本発明の実施形態の作業機の交換支援装置1について、図1〜図3を参考にして説明する。図1は、実施形態の部品実装機の交換支援装置1を説明する図である。実施形態の交換支援装置1は、基板生産ラインに組み込まれて構成されている。基板生産ラインは、図1に示された4台の第1〜第4部品実装機31〜34の他に、図略の半田印刷機、半田検査機、および基板外観検査機などが列設されて構成されている。基板生産ラインの全体の動作を制御するために、上位ホストシステム2が設けられている。実施形態の部品実装機の交換支援装置1は、上位ホストシステム2で実行されるメンテナンス管理プログラムを含んで実現されている。まず、基板生産ラインの全体構成について説明する。
4台の第1〜第4部品実装機31〜34は、モジュール化された同型機であり、列設されて部品実装ライン3を構成している。基板は、半田検査機から第1部品実装機31に搬入されて所定の電子部品が実装される。その後、基板は、第2〜第4部品実装機32〜34へと順番に搬送され、それぞれで所定の電子部品が実装され、続いて基板外観検査機へと搬送される。各部品実装機31〜34は、通信接続された上位ホストシステム2との間で、各種データの授受を行う。部品実装機31〜34の台数は4台に限定されず、1台でも5台以上でもよい。各部品実装機31〜34は、基板搬送装置、複数個のフィーダ装置4、部品移載装置、およびモニタ装置61をそれぞれ備えている。基板搬送装置は、基板の搬入出および位置決めを行う。
複数個のフィーダ装置4は、それぞれがフィーダ式部品供給装置であり、それぞれ複数の電子部品を所定の供給位置に順次供給する。フィーダ装置4は構成要素の一例である。各フィーダ装置4は、図1に図示省略されたリール保持部にリールを保持する。リールには、多数の電子部品を一列に収容したテープが巻回されている。各フィーダ装置4は、テープを送って順次電子部品を供給位置にセットする駆動機構を備えている。複数個のフィーダ装置4は、各部品実装機31〜34の載置台の上面に平行に形成された複数のスロット(装備位置)にそれぞれ差し込まれて、交換可能に装備される。各フィーダ装置4は、4台の部品実装機31〜34のいずれの載置台のいずれのスロット位置にも装備可能であり、換言すると、4台の部品実装機31〜34のスロット位置の互換性を有している。
各フィーダ装置4には、個体を識別するフィーダ識別コードが付与されている。また、各リールには、電子部品の部品種を識別するデバイスコードが付与されている。フィーダ識別コードおよびデバイスコードの少なくとも一方を読み取るために、部品実装機31〜34には図略のコードリーダが設けられている。部品実装機31〜34の図略の制御部は、フィーダ装置4との通信機能またはコードリーダを介して、フィーダ識別コードを認識する。これにより、部品実装機31〜34の制御部は、装備されているフィーダ装置4の個体をスロット位置と対応付けて把握する。
また、部品実装機31〜34の制御部は、コードリーダを介してデバイスコードを認識する。これにより、部品実装機31〜34の制御部は、リールに収容された電子部品の部品種を表すデバイスコードと、当該のリールを保持しているフィーダ装置4のフィーダ識別コードとの対応関係を把握する。フィーダ識別コードおよびデバイスコードのデータは、上位ホストシステム2に通信伝送されて共有される。
フィーダ装置4の駆動機構は、テープを送って電子部品を供給した実績動作回数、すなわち実績フィーダ送り数Nmの増加に伴って性能が低下しがちになる。このため、予め定められた規定フィーダ送り数Nkだけ電子部品を供給した時点で、フィーダ装置4のメンテナンスを実施することが推奨されている。規定フィーダ送り数Nkは、メンテナンスの間隔期間に推奨される動作回数の上限値であり、本発明の規定動作回数情報に相当する。フィーダ装置4のメンテナンス項目として、例えば、駆動機構の点検および清掃や、可動
部への潤滑油の補給などがある。
部品移載装置は、装備されている複数のフィーダ装置4の各供給位置から電子部品を受け取り、基板搬送装置によって位置決めされた基板の指定位置に電子部品を装着する。部品移載装置は、X−Y軸駆動機構、実装ヘッド5、および装着ノズルを備えている。X−Y軸駆動機構は、例えばねじ送り機構やリニアモータなどを駆動源として、実装ヘッド5をフィーダ装置4と基板との間で往復駆動する。実装ヘッド5は、X−Y軸駆動機構によって水平二軸方向に駆動される可動部材(装備位置)に交換可能に装備される。本実施形態において、1台の部品実装機31〜34に装備される実装ヘッド5の個数は1個(シングルヘッド構造)とする。これに限定されず、1台の部品実装機に2個の実装ヘッドが装備されてもよい(ツインヘッド構造)。
実装ヘッド5には、大別してシングルノズルヘッドとマルチノズルヘッドとがある。実装ヘッド5は構成要素の一例である。シングルノズルヘッドは、下面に1本の装着ノズルを保持している。マルチノズルヘッドは、下面の円周上に等間隔に複数本の装着ノズルを保持している。装着ノズルは、負圧を利用して電子部品を吸着採取し、基板上の指定位置で負圧を解消して電子部品を装着する。実装ヘッド5および装着ノズルは、4台の部品実装機31〜34の間で互換性を有している。各実装ヘッド5には、個体を識別するヘッド識別コードが付与されている。部品実装機31〜34の制御部は、実装ヘッド5との通信機能により、ヘッド識別コードを認識する。これにより、部品実装機31〜34の制御部は、装備されている実装ヘッド5の個体を把握する。ヘッド識別コードのデータは、上位ホストシステム2に通信伝送されて共有される。
実装ヘッド5は、保持している装着ノズルを昇降駆動するZ軸駆動機構、および装着ノズルを回転駆動するθ軸駆動機構を有している。さらに、実装ヘッド5のうちのマルチノズルヘッドは、複数本の装着ノズルを円周上で回転駆動するR軸駆動機構を有している。また、実装ヘッド5は、負圧を発生および制御する空気圧制御機構を有している。Z軸駆動機構、θ軸駆動機構、R軸駆動機構、および空気圧制御機構は、電子部品を装着した実績動作回数、すなわち実績ショット数Mmの増加に伴って性能が低下しがちになる。このため、予め定められた規定ショット数Mkだけ電子部品を装着した時点で、実装ヘッド5のメンテナンスを実施することが推奨されている。規定ショット数Mkは、メンテナンスの間隔期間に推奨される動作回数の上限値であり、本発明の規定動作回数情報に相当する。実装ヘッド5および装着ノズルのメンテナンス項目として、例えば、駆動機構の点検および清掃や、可動部への潤滑油の補給、空気圧配管の内部の清掃などがある。
フィーダ識別コード、デバイスコード、およびヘッド識別コードとして、バーコードやQRコード(登録商標)などを例示できる。当然ながら、コードリーダは、バーコードやQRコード(登録商標)などを読み取り可能な装置となる。各フィーダ装置4は、フィーダ識別コードを用いて過去の動作履歴や現在の状態、メンテナンス時期などが個別に管理され、デバイスコードを用いて現在保持しているリールの部品種が把握される。また、各実装ヘッド5は、ヘッド識別コードを用いて過去の動作履歴や現在の状態、メンテナンス時期などが個別に管理される。
モニタ装置61は、各部品実装機31〜34の前側上部に配設されている。モニタ装置61は、後述する生産ジョブデータの一部や、部品実装機31〜34の動作状態などを作業者に向けて表示する。モニタ装置61には、作業者が入力操作を行うための入力部が付設されている。また、モニタ装置61は、後述する交換支援装置1の出力部および案内部13としても動作する。
上位ホストシステム2は、所定の生産プログラムを実行することにより、基板生産ラインの全体の動作を制御する。また、上位ホストシステム2は、所定のメンテナンス管理プログラムを実行することにより、実施形態の交換支援装置1として動作する。上位ホストシステム2は、中央演算部(CPU)、記憶部、入力部、出力部などを備えた一般的なコンピュータ装置で構成される。上位ホストシステム2は、4台の部品実装機31〜34だけでなく、図略の半田印刷機、半田検査機、および基板外観検査機にも通信接続されている。上位ホストシステム2は、生産する基板の種類に対応する複数種類の生産ジョブデータを記憶部に保持している。生産ジョブデータは、生産する基板の設計情報、生産情報、および検査情報を含んでいる。
設計情報には、基板のサイズ、基板に印刷されるペースト状半田の位置、基板に実装される電子部品の部品種および数量、電子部品が装着される指定位置などの情報が含まれる。生産情報には、電子部品の部品種を4台の部品実装機31〜34に割り当てさらに各スロット位置に割り当てる情報、電子部品を吸着および装着するときの動作を管理する情報などが含まれる。また、生産情報として、基板の生産予定枚数および生産完了予定時刻が設定されている場合も多い。検査情報には、基板を撮像して検査するときの撮像方法、撮像によって得られた画像の処理方法、および合否判定基準などの情報が含まれる。
上位ホストシステム2は、基板生産ラインを構成する各作業機に対して、必要な生産ジョブデータの一部を必要とされる時期にタイムリーに通信伝送する。また、上位ホストシステム2は、通信伝送を介して各作業機から動作状況に関するデータを取得する。これにより、上位ホストシステム2は、各作業機の動作状況や生産の進捗状況などを監視する。動作状況の指標として、各部品実装機31〜34で1枚の基板に指定された数量の電子部品を装着するのに要する時間、すなわちサイクルタイムTc1〜Tc4(図1の矢印R1参照)を例示できる。サイクルタイムTc1〜Tc4は、各部品実装機31〜34で動作のたびに計時され、図1の矢印R1に示されるように上位ホストシステム2へと通信伝送される。また、進捗状況の指標として、生産を完了した基板の生産実績枚数を例示できる。
ヘッドメンテナンス装置7は、部品実装機31〜34と同じフロアに配設される場合が多いが、配設場所は特に限定されない。ヘッドメンテナンス装置7は、作業者が搬入してセットした実装ヘッド5のメンテナンスを実施する。ヘッドメンテナンス装置7は、メンテナンスを実施した実装ヘッド5のヘッド識別コードおよびメンテナンス結果を含むメンテナンス情報を前面上部の表示パネル71に表示する。かつ、ヘッドメンテナンス装置7は、図1の矢印R2に示されるようにメンテナンス情報を上位ホストシステム2に通信伝送する。メンテナンス結果は、通常は「良好」となるが、稀に実装ヘッド5の性能を十分に回復できない場合に「不良」となることも生じ得る。
保管庫8は、部品実装機31〜34と同じフロアに配設される場合が多いが、配設場所は特に限定されない。保管庫8は、部品実装機31〜34に装備されていない多数のフィーダ装置4および実装ヘッド5を保管する用途に設けられている。保管庫8は、必ずしもハウジングによって閉鎖された倉庫である必要はなく、例えば、フロア内に区画された保管スペースであってもよい。保管庫8の内部または扉付近にモニタ装置65が配設されている。モニタ装置65は、上位ホストシステム2に通信接続されている。モニタ装置65には、作業者が入力操作を行うための入力部が付設されている。モニタ装置65は、後述する交換支援装置1の出力部および案内部13として動作する。
次に、上位ホストシステム2のメンテナンス管理プログラムを用いて実現された実施形態の交換支援装置1の説明に移る。交換支援装置1は、残存動作回数演算部11、動作頻度把握部12、案内部13、および動作時間管理部14を備えている。なお、この実施形態に限定されず、上位ホストシステム2と別体のコンピュータ装置を用いてメンテナンス管理装置1を構成してもよい。
残存動作回数演算部11は、それぞれのフィーダ装置4について、規定フィーダ送り数Nkと実績フィーダ送り数Nmとに基づいて残存フィーダ送り数Nrをそれぞれ演算する。具体的に、残存動作回数演算部11は、規定フィーダ送り数Nkから実績フィーダ送り数Nmを減算して残存フィーダ送り数Nrを演算する。残存フィーダ送り数Nrは、次回のメンテナンスまでに推奨される残された動作回数を意味する。規定フィーダ送り数Nkは、決められた定数であり、上位ホストシステム2の入力部から記憶部に予め入力設定されている。なお、フィーダ装置4の種類や構造に依存して、規定フィーダ送り数Nkが異なる場合もある。
一方、実績フィーダ送り数Nmは、当該のフィーダ装置4がメンテナンスされた時点で初期値にセットされて、動作するたびに増加する変数である。初期値は、通常ゼロとされるが、これに限定されない。作業者は、メンテナンスを実施したフィーダ装置4のフィーダ識別コードを上位ホストシステム2の入力部から入力する。すると、残存動作回数演算部11は、メンテナンス実施後の初期設定として、当該のフィーダ識別コードに対応する実績フィーダ送り数Nmを初期値にセットし、記憶部に記憶させる。
フィーダ装置4は、いずれかの部品実装機31〜34のいずれかのスロット位置に装備されて電子部品を供給動作する。すると、図1の矢印R1に示されるように、残存動作回数演算部11は、当該のフィーダ装置4の実績フィーダ送り数Nmをフィーダ識別コードとともに部品実装機31〜34から取得する。この場合、残存動作回数演算部11は、実績フィーダ送り数Nmの数値情報を直接取得してもよい。あるいは、残存動作回数演算部11は、フィーダ装置4が動作した旨の情報(例えばパルス信号情報)を毎回取得し、カウントアップ処理を行って実績フィーダ送り数Nmを求めるようにしてもよい。残存動作回数演算部11は、それぞれのフィーダ装置4のフィーダ識別コードと、演算によって求めた残存フィーダ送り数Nrとを組にして記憶する。なお、フィーダ装置4が部品実装機31〜34から取り外されている期間に、実績フィーダ送り数Nmおよび残存フィーダ送り数Nrは変化しない。
また、残存動作回数演算部11は、それぞれの実装ヘッド5について、規定ショット数Mkと実績ショット数Mmとに基づいて残存ショット数Mrをそれぞれ演算する。具体的に、残存動作回数演算部11は、規定ショット数Mkから実績ショット数Mmを減算して残存ショット数Mrを演算する。残存ショット数Mrは、次回のメンテナンスまでに推奨される残された動作回数を意味する。規定ショット数Mkは、決められた定数であり、上位ホストシステム2の入力部から記憶部に予め入力設定されている。なお、実装ヘッド5の種類や構造に依存して、規定ショット数Mkが異なる場合もある。
一方、実績ショット数Mmは、当該の実装ヘッド5がメンテナンスされた時点で初期値にセットされて、動作のたびに増加する変数である。初期値は、通常ゼロとされるが、これに限定されない。実装ヘッド5は、作業者によってヘッドメンテナンス装置7に搬入され、メンテナンスが実施される。すると、図1の矢印R2に示されるように、ヘッドメンテナンス装置7は、メンテナンスを実施した実装ヘッド5のヘッド識別コードおよびメンテナンス結果を含むメンテナンス情報を上位ホストシステム2に通信伝送する。残存動作回数演算部11は、メンテナンス実施後の初期設定として、メンテナンス結果が「良好」であることを前提とし、ヘッド識別コードに対応した実績ショット数Mmを初期値にセットし、記憶部に記憶させる。
実装ヘッド5は、いずれかの部品実装機31〜34に装備されて電子部品を装着動作する。すると、図1の矢印R1に示されるように、残存動作回数演算部11は、当該の実装ヘッド5の実績ショット数Mmをヘッド識別コードとともに部品実装機31〜34から取得する。この場合、残存動作回数演算部11は、実績ショット数Mmの数値情報を直接取得してもよい。あるいは、残存動作回数演算部11は、実装ヘッド5が動作した旨の情報(例えばパルス信号情報)を毎回取得し、カウントアップ処理を行って実績ショット数Mmを求めるようにしてもよい。残存動作回数演算部11は、それぞれの実装ヘッド5のヘッド識別コードと、演算によって求めた残存ショット数Mrとを組にして記憶する。なお、実装ヘッド5が部品実装機31〜34から取り外されている期間に、実績ショット数Mmおよび残存ショットMrは変化しない。
動作頻度把握部12は、生産する基板の種類に対応して、4台の部品実装機31〜34の各スロットにそれぞれ装備するフィーダ装置4が動作する頻度、すなわちフィーダ送り頻度nを把握する。さらに、動作頻度把握部12は、生産する基板の種類に対応して、4台の部品実装機31〜34にそれぞれ装備する実装ヘッド5が動作する頻度、すなわちショット頻度mを把握する。前述した生産ジョブデータは、基板の種類に対応すし、フィーダ送り頻度nやショット頻度mなどの動作頻度に関する動作頻度情報を含むものであるので、動作頻度把握部12は、生産ジョブデータに基づいて、フィーダ送り頻度nおよびショット頻度mを容易に把握できる。
案内部13は、作業者がフィーダ装置4を部品実装機31〜34のスロットに装備するときに、残存フィーダ送り数Nrとフィーダ送り頻度nとに基づいて、各フィーダ装置4を装備する部品実装機31〜34およびそのスロット位置を案内する。また、案内部13は、作業者が実装ヘッド5を部品実装機31〜34に装備するときに、残存ショット数Mrとショット頻度mとに基づいて、各実装ヘッド5を装備する部品実装機31〜34を案内する。案内部13は、保管庫8にモニタ装置65を配置し、各部品実装機31〜34にモニタ装置61を配置して構成されている。案内部13がフィーダ装置4および実装ヘッド5を選択するとともにその装備位置を示す案内情報は、作業者を誘導するためのものである。案内情報は、2つのモニタ装置61、65のどちらにも表示される。案内部13による案内情報の決定方法および表示方法の詳細については、後で交換支援装置1の動作および作業者の作業内容と一緒に説明する。
動作時間管理部14は、各部品実装機31〜34から通信伝送されるサイクルタイムTc1〜Tc4を管理する。実績ショット数Mmが増加するのに伴い、実装ヘッド5は摩耗および疲弊しがちであるので、サイクルタイムTc1〜Tc4には多少の遅延傾向が生じる。例えば、駆動機構の潤滑油が不足したり摺動面が荒れたりして、駆動速度が低下しがちになる。このため、サイクルタイムTc1〜Tc4の管理値として、上限の許容動作時間が予め設定されて動作時間管理部14に保持されている。
サイクルタイムTc1〜Tc4は、各部品実装機31〜34で同一であることが理想であり、これを最適化目標として生産ジョブデータも作成される。しかしながら、基板の種類によってはアンバランスが生じ、部品実装機31〜34の相互間でサイクルタイムTc1〜Tc4が異なる場合も避けられない。動作時間管理部14は、各部品実装機31〜34で計時されたサイクルタイムTc1〜Tc4のいずれかが許容動作時間を超過したとき、当該の部品実装機の実装ヘッド5のメンテナンスを残存ショット数Mrに関わりなく実施するように案内する。この案内情報は、部品実装機31〜34のモニタ装置61に表示される。
上位ホストシステム2は、複数のフィーダ装置4や複数の実装ヘッド5などの各構成要素について、フィーダ識別コードやヘッド識別コードなど、各構成要素を識別するための識別情報と、各構成要素に対して実施された前回のメンテナンス以降の動作回数に関する実績動作回数情報と、各構成要素に対するメンテナンスの頻度に関するメンテナンス頻度情報と、を関連付けた構成要素情報を記憶部に記憶する。実績動作回数情報は、残存動作回数演算部11が部品実装機などの作業機から取得した情報に基づくものである。メンテナンス頻度情報は、例えば前回のメンテナンスから次回のメンテナンスまでに推奨される構成要素の動作回数の上限値に関する情報や、前回のメンテナンスから次回のメンテナンスまでに推奨される経過時間の上限値に関する情報など、メンテナンスの頻度に関する情報である。
次に、実施形態の交換支援装置1の動作および作業者の作業内容について説明する。図2は、実施形態の部品実装機の交換支援装置1の動作および作業者の作業内容を説明するシーケンスフローの図である。図2には、生産する基板の種類を変更するときの段取り替え作業が例示されている。図2の左右に並んだ4欄のうち、最も左側の欄は作業者の作業内容を示している。左から2番目の欄は、上位ホストシステム2の交換支援装置1としての動作を示している。左から3番目の欄は、部品実装機31〜34のモニタ装置61の案内部13としての動作を示している。最も右側の欄は、保管庫8のモニタ装置65の案内部13としての動作を示している。また、図2の上側から下側へと、時間の経過が示されている。
図2のシーケンスS1で、作業者は、生産する基板の種類を変更する。この変更作業は、作業者が上位ホストシステム2の入力部から旧生産ジョブを新生産ジョブに切り替え設定して行われる。これにより、シーケンスS2で、上位ホストシステム2は、旧生産ジョブデータに代わる新生産ジョブデータを基板生産ラインの各作業機に通信伝送する(図1の矢印R3参照)。すると、シーケンスS3で、部品実装機31〜34のモニタ装置61は、生産する基板の種類を変更するための段取り替え作業を行うように、作業者に向けて案内表示する。
次に、シーケンスS4で、交換支援装置1は、新生産ジョブデータで装備する実装ヘッド5に関する判断を行う。具体的な第1事例として、旧生産ジョブデータに基づいて部品実装機31〜34に装備されていた各実装ヘッド5が新生産ジョブデータでもそのまま使える場合を考える。この場合、交換支援装置1は、実装ヘッド5を交換して装備する必要は無いと判断する。第2事例として、旧生産ジョブデータから新生産ジョブデータへの変更に伴い、第1および第2部品実装機31、32で実装ヘッド5を交換して装備する場合を考える。この場合、交換支援装置1の残存動作回数演算部11、記憶部、および案内部13が協調して動作する。
第2事例において、交換支援装置1は、第1および第2部品実装機31、32に新たに装備する実装ヘッド5の候補を抽出する。はじめに第1部品実装機31に装備される実装ヘッド5の候補抽出について説明する。交換支援装置1は、例えば、抽出の時点で保管庫8に保管されていること、かつ、新生産ジョブデータで指示された型式であること、を条件に、A実装ヘッド5A、B実装ヘッド5B、およびC実装ヘッド5Cを抽出する。次に交換支援装置1は、新たに装備される実装ヘッド5の動作頻度に関する情報を、記憶部に記憶された新生産ジョブデータから取得する。例えば第1部品実装機31に装備される実装ヘッドの動作頻度としてのショット頻度の値はm1であるとする。次に交換支援装置1は、抽出されたA実装ヘッド5A、B実装ヘッド5B、およびC実装ヘッド5Cの各々について、それらのヘッド識別コードに基づいて、記憶部に記憶された実績動作回数情報と規定動作回数情報とを取得する。次に交換支援装置1の残存動作回数演算部11は、A実装ヘッド5A、B実装ヘッド5B、C実装ヘッド5Cの各々について、規定動作回数情報と実績動作回数情報とに基づいて、次回のメンテナンスまでに推奨される残された動作回数である残存動作回数を演算する。残存動作回数は、例えば、規定動作回数と実績動作回数の差として演算される。例えば抽出された各実装ヘッドの残存動作回数としての残存ショット数は、A実装ヘッド5AがMrA、B実装ヘッド5BがMrB、C実装ヘッド5CがMrCであるとする。次に交換支援装置1は、抽出された実装ヘッドの各々が、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期に到達するか否かを判断する。この判断は、例えば、抽出された実装ヘッド各々の残存動作回数の値が、新生産ジョブデータにおける各装備位置での動作頻度の値より大きいか否かを判断すればよい。例えば、交換支援装置1が、各実装ヘッドの残存動作回数の値と第1部品実装機31でのショット頻度の値を比較したところ、MrA>m1、MrB>m1、MrC<m1であった。A実装ヘッド5AとB実装ヘッド5Bの残存動作回数の値は、新生産ジョブデータにおける第1部品実装機31でのショット頻度の値より大きいため、交換支援装置1は、A実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bは、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達しないものと判断する。また、C実装ヘッド5Cの残存動作回数の値は、新生産ジョブデータにおける第1部品実装機31でのショット頻度の値より小さいため、交換支援装置1は、C実装ヘッド5Cは、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期に到達するものと判断する。そして、交換支援装置1は、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達しないと判断されたA実装ヘッド5AとB実装ヘッド5Bを示す情報を、第1部品実装機31に新たに装備される実装ヘッド5の候補として、案内部13に表示する。実装ヘッド5の候補を示す情報としては、例えばヘッド識別コードを表示させればよい。第2部品実装機32に装備される実装ヘッド5の候補抽出についても、同様に行われる。ここで、第2部品実装機32に装備される実装ヘッドの動作頻度としてのショット頻度の値がm2、ショット頻度の値と各実装ヘッドの残存動作回数の値との比較が、MrA>m2、MrB>m2、MrC<m2であったとする。したがって、交換支援装置1は、第2部品実装機32に新たに装備される実装ヘッド5の候補として、A実装ヘッド5AとB実装ヘッド5Bを示す情報を案内部13に表示する。
さらに、第2事例で、第1および第2部品実装機31、32に新たに装備する実装ヘッド5の候補が、A実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bの2個に限定された簡易条件を考える。A実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bは、保管庫8に保管されており、同型品で互換性がある。このため、従来技術では、第1部品実装機31にA実装ヘッド5Aを装備し、第2部品実装機32にB実装ヘッド5Bを装備してもよく、逆に、第1部品実装機31にB実装ヘッド5Bを装備し、第2部品実装機32にA実装ヘッド5Aを装備してもよかった。
これに対して本実施形態で、案内部13は、A実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bの残存ショット数MrA、MrBと、第1部品実装機31および第2部品実装機32のショット頻度m1、m2とに基づいて、A実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bを装備する部品実装機を特定して案内する。ここで、A実装ヘッド5Aの残存ショット数MrA、およびB実装ヘッド5Bの残存ショット数MrBは、残存動作回数演算部11によって演算されている。一例として、A実装ヘッド5Aの残存ショット数MrAは、B実装ヘッド5Bの残存ショット数MrBよりも少ないとしておく。また、第1部品実装機31のショット頻度m1および第2部品実装機32のショット頻度m2は、動作頻度把握部12によって把握されている。一例として、第1部品実装機31のショット頻度m1は、第2部品実装機32のショット頻度m2よりも小さいものとしておく。
案内部13は、残存ショット数MrAの少ないA実装ヘッド5Aをショット頻度m1の小さな第1部品実装機31に装備し、残存ショット数MrBの多いB実装ヘッド5Bをショット頻度m2の大きな第2部品実装機32に装備すると判断する。さらに、シーケンスS5で、案内部13は、判断結果に基づいた案内情報のうち構成要素を選択する案内情報を保管庫8のモニタ装置65に通信伝送して(図1の矢印R4参照)表示する。具体的に、案内部13は、装備する構成要素としてA実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bのヘッド識別コードを案内表示する。なお、この時点で、A実装ヘッド5AおよびB実装ヘッド5Bと、第1部品実装機31および第2部品実装機32との対応関係を表示する必要は無い。
次に、シーケンスS6で、交換支援装置1は、新生産ジョブデータで装備するフィーダ装置4に関する判断を行う。交換支援装置1は、まず、新生産ジョブデータで必要になる新たな電子部品の部品種、当該部品種のリールを保持したフィーダ装置4の必要個数、および装備するスロット位置をリストアップする。交換支援装置1は、次に、保管庫8に保管されていて、かつ当該部品種のリールを保持しているフィーダ装置4を探索する。この探索は、把握済みのデバイスコードとフィーダ識別コードとの対応関係に基づいて容易に行われる。当該部品種のリールを保持しているフィーダ装置4が必要個数に足りていれば、探索は終了する。不足している場合、交換支援装置1は、保管庫8に保管されていて、かつ当該部品種のリールを保持可能なフィーダ装置4を必要個数に足りるまで探索する。この場合、フィーダ装置4の不足個数分について、リール保持部に当該部品種のリールをセットする作業者の作業が必要になる。
次に、探索が終了して新生産ジョブデータで装備するフィーダ装置4の候補がリストアップされた時点の一例として第3事例を考える、図3は、実施形態の部品実装機の交換支援装置1で、案内部13の機能を例示する第3事例の説明図である。第3事例で、新生産ジョブデータにより、或る部品種の電子部品を供給するために4個のフィーダ装置4の装備が必要とされている。かつ、4個のフィーダ装置4の装備位置は、第1部品供給装置31のスロットS1、第2部品供給装置32のスロットS2、第3部品供給装置33のスロットS3、および第4部品供給装置34のスロットS4と定められている。
新生産ジョブデータに定められた各スロットS1〜S4での部品供給数Pは、図3に示されるように、P1=100、P2=150、P3=800、およびP4=300である。したがって、動作頻度把握部12は、各スロットS1〜S4の部品供給数P1〜P4に比例するフィーダ送り頻度を把握できる。例えば、部品供給数P3=800と最大値である第3部品供給装置33のスロットS3でフィーダ送り頻度は最大となり、部品供給数P1=100と最小値である第1品供給装置31のスロットS1でフィーダ送り頻度は最小となる。第3事例で、案内部13は、フィーダ送り頻度に代えて、これと同等に扱える部品供給数P1〜P4を用いる。
次に、各スロットS1〜S4に装備するフィーダ装置4の候補を抽出する。はじめにスロットS1に装備されるフィーダ装置4の候補抽出について説明する。交換支援装置1は、例えば、抽出の時点で保管庫8に保管されていること、かつ、新生産ジョブデータで指示された型式であること、を条件に、5個のフィーダ装置4A〜4Eを抽出する。次に交換支援装置1は、新たに装備されるフィーダ装置4の動作頻度に関する情報を、記憶部に記憶された新生産ジョブデータから取得する。スロットS1に装備されるフィーダ装置4の動作頻度として扱われる部品供給数P1の値は100である。次に交換支援装置1は、抽出されたフィーダ装置4A〜4Eの各々について、それらのフィーダ識別コードに基づいて、記憶部に記憶された実績動作回数情報と規定動作回数情報とを取得する。次に交換支援装置1の残存動作回数演算部11は、フィーダ装置4A〜4Eの各々について、規定動作回数情報と実績動作回数情報とに基づいて、次回のメンテナンスまでに推奨される残された動作回数である残存動作回数Nrを演算する。例えば抽出された各フィーダ装置4A〜4Eの規定動作回数Nkはどれも100000である。フィーダ装置4A〜4Eの実績動作回数である実績フィーダ送り数Nmはそれぞれ、NmA=500、NmB=100、NmC=80000、NmD=50000、NmE=99950であるとする。そこで、残存動作回数演算部11は、各フィーダ装置4A〜4Eの残存動作回数を、NrA=99500、NrB=99900、NrC=20000、NrD=50000、NrE=50と演算する。次に交換支援装置1は、抽出されたフィーダ装置4A〜4Eの各々が、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期に到達するか否かを判断する。フィーダ装置4A〜4Dの残存動作回数NrA〜NrDの値は、新生産ジョブデータにおけるスロットS1での部品供給数P1=100の値より大きいため、交換支援装置1は、フィーダ装置4A〜4Dは、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達しないものと判断する。また、フィーダ装置4Eの残存動作回数の値は、新生産ジョブデータにおけるスロットS1での部品供給数P1=100の値より小さいため、交換支援装置1は、フィーダ装置4Eは、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期に到達するものと判断する。そして、交換支援装置1は、新生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達しないと判断されたフィーダ装置4A〜4Dを示す情報、例えばフィーダ識別コードを、スロットS1に新たに装備されるフィーダ装置4Aの候補として、案内部13に表示する。スロットS2〜S4に装備されるフィーダ装置4Aの候補抽出についても、同様に行われる。
各スロットS1〜S4に装備するフィーダ装置4の候補として、4個のフィーダ装置4A〜4Dがリストアップされた。このため、従来技術では、どのスロットS1〜S4にどのフィーダ装置4A〜4Dを装備してもよかった。
これに対して本実施形態で、案内部13は、4個のフィーダ装置4A〜4Dの残存フィーダ送り数NrA〜NrDと、4箇所のスロットS1〜S4の部品供給数P1〜P4とに基づいて、フィーダ装置4A〜4Dを装備するスロットS1〜S4を特定して案内する。ここで、4個のフィーダ装置4A〜4Dの規定フィーダ送り数Nk=100000で同一となっている。また、4個のフィーダ装置4A〜4Dの実績フィーダ送り数Nmはそれぞれ、NmA=500、NmB=100、NmC=80000、およびNmD=50000が取得されている。したがって、残存動作回数演算部11により演算される残存フィーダ送り数Nrはそれぞれ、NrA=99500、NrB=99900、NrC=20000、およびNrD=50000となる。
案内部13は、残存フィーダ送り数Nrが多いフィーダ装置4ほど部品供給数Pの大きなスロットに装備し、残存フィーダ送り数Nrが少ないフィーダ装置4ほど部品供給数Pの小さなスロットに装備すると判断する。図3の例では、白抜き矢印に示されるように、案内部13は、フィーダ装置4Bを第3部品実装機のスロットS3に装備し、フィーダ装置4Cを第1部品実装機31のスロットS1に装備すると判断する。また、案内部13は、フィーダ装置4Aを第4部品実装機のスロットS4に装備し、フィーダ装置4Dを第2部品実装機32のスロットS2に装備すると判断する。
さらに、図2のシーケンスS7で、案内部13は、判断結果に基づいた案内情報のうち構成要素を選択する案内情報を保管庫8のモニタ装置65に表示する(図1の矢印R4参照)。具体的に、案内部13は、装備する構成要素として4個のフィーダ装置4A〜4Dのフィーダ識別コードを案内表示する。なお、この時点で、4個のフィーダ装置4A〜4Dと、4箇所のスロットS1〜S4との対応関係を表示する必要は無い。
次に、シーケンスS8で、作業者は、保管庫に移動して、モニタ装置65に表示された案内情報を確認する。作業者は、案内情報の誘導にしたがうことで、第2事例の2個の実装ヘッド5A、5B、および第3事例の4個のフィーダ装置4A〜4Dを誤りなく取り出すことができる(図1の矢印R5、R6参照)。次に、シーケンスS9で、作業者は、2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置を取り出した旨の取り出し情報をモニタ装置65の入力部から更新入力する。
これにより、シーケンスS10で、上位ホストシステム2は、2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置の現在の状態を「保管庫8に保管中」から「取り出し中」に更新する。次に、シーケンスS11で、上位ホストシステム2は、構成要素の装備位置に関する案内情報を、4台の部品実装装置31〜34の各モニタ装置61に表示する(図1の矢印R3参照)。具体的に、モニタ装置61は、A実装ヘッド5Aのヘッド識別コードを第1部品実装機31に対応付け、B実装ヘッド5Bのヘッド識別コードを第2部品実装機32に対応付けて案内表示する。また、モニタ装置61は、図3に示された4組の対応関係、例えば第1部品実装機31のスロットS1とフィーダ装置4Cのフィーダ識別コードとの対応関係を案内表示する。
次に、シーケンスS12で、作業者は、2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置を運搬して部品実装機31〜34に向かい、モニタ装置61に表示された案内情報を確認する。作業者は、案内情報の誘導にしたがうことで、2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置を部品実装機31〜34の案内された装備位置に誤りなく装備することができる(図1の矢印R7参照)。次に、シーケンスS13で、部品実装機31〜34の各制御部は、2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置4A〜4Dが装備されたことを認識する。装備された旨の情報は、上位ホストシステム2に通信伝送されて共有される。
シーケンスS14で、上位ホストシステム2は、案内した装備位置に2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置4A〜4Dが装備されたことを確認する。そして、上位ホストシステム2は、2個の実装ヘッド5A、5Bおよび4個のフィーダ装置の現在の状態を「取り出し中」から「装備済み」に更新する。この後、新生産ジョブデータに基づいた基板の生産が開始される。
なお、段取り替え作業で、装備位置の箇所数よりも装備可能な構成要素(フィーダ装置4または実装ヘッド5)の候補数が多い場合もある。この場合、案内部13は、残存フィーダ送り数Nrや残存ショット数Mrの多い構成要素を優先的に装備するように案内する。
また、基板を生産している途中に、4台の部品実装機31〜34のいずれかで、フィーダ装置4または実装ヘッド5がメンテナンス時期に到達する場合もある。この場合でも、交換要素(フィーダ装置4または実装ヘッド5)の候補が複数あるときに、案内部13は、残存フィーダ送り数Nrや残存ショット数Mrと装備位置での動作頻度とに基づいて適切な交換要素を選択することができる。例えば、案内部13は、既に装備されている別のフィーダ装置4の実績フィーダ送り数Nmや別の実装ヘッド5の実績ショット数Mmに近い実績動作回数を有する交換要素を選択して案内する。また例えば、案内部13は、交換要素の複数の候補のうち残存フィーダ送り数Nrや残存ショット数Mrが最も大きな候補を選択して案内する。
上述したように構成要素を選択して装備することを繰り返すと、複数の構成要素を平準化して使用することができる。これにより、複数の構成要素は、実績動作回数が互いに近似して、メンテナンス時期への到達が接近する。また、複数の構成要素の摩耗および疲弊の程度が類似してくる。したがって、これらの複数の構成要素を装備する4台の部品実装機31〜34で性能が揃う。仮に、メンテナンスを実施した直後の良好な実装ヘッド5を第1部品実装機31に装備し、次回のメンテナンス時期が近い摩耗した実装ヘッド5を第2部品実装機32に装備すると、2台のサイクルタイムTc1、Tc2に大きな差異が生じる。この場合、第2部品実装機32の遅延するサイクルタイムTc2に制約されて、部品実装ライン3全体の生産効率が低下する。
実施形態の交換支援装置1は、基板に電子部品を実装する基板生産ラインに配置される作業機(部品実装機31〜34)の装備位置に交換可能に装備されて動作する構成要素(フィーダ装置4、実装ヘッド5)の交換を支援する。交換支援装置1は、装備位置に装備された構成要素の動作頻度に関する動作頻度情報(ショット頻度、部品供給数)を含む、生産する基板の種類に対応する生産ジョブデータを記憶する生産ジョブデータ記憶部(記憶部)と、複数の構成要素の各々について、構成要素を識別する識別情報(ヘッド識別コード、フィーダ識別コード)と、構成要素に対して実施された前回のメンテナンス以降の動作回数に関する実績動作回数情報(実績ショット数、実績フィーダ送り数)と、構成要素に対するメンテナンスの頻度に関するメンテナンス頻度情報(規定ショット数、規定フィーダ送り数)と、を関連付けた構成要素情報を記憶する構成要素情報記憶部(記憶部)と、生産ジョブデータと構成要素情報とに基づいて、複数の構成要素の各々について、生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達するか否かを判断する判断部と、判断部が、ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達しない、と判断した構成要素を示す情報を出力する出力部(案内部13)と、を備えた。
これによれば、案内部13は、生産ジョブデータによる生産が完了するまでにメンテナンス時期へ到達しない、と判断された構成要素を示す情報を出力する。したがって、作業者は、メンテナンス時期が考慮された出力にしたがって構成要素を装備位置に装備することにより、生産途中でメンテナンス時期に到達する構成要素の発生を低減させることができる。
実施形態の部品実装機の交換支援装置1は、基板に電子部品を実装する4台の部品実装機31〜34の複数の装備位置に交換可能に装備されて動作する構成要素(フィーダ装置4、実装ヘッド5)を対象として、メンテナンスを実施するメンテナンス時期を個別に管理し、メンテナンス時期への到達を案内する。交換支援装置1は、複数の構成要素について、メンテナンスの間隔期間に推奨される動作回数の上限値を規定動作回数Nk、Mkとし、前回のメンテナンス以降に動作した回数を実績動作回数Nm、Mmとし、規定動作回数Nk、Mkと実績動作回数Nm、Mmとに基づいて残存動作回数Nr、Mrをそれぞれ演算する残存動作回数演算部11と、基板の種類に対応して、複数の装備位置における構成要素の動作頻度n、m(または部品供給数P)をそれぞれ把握する動作頻度把握部12と、基板の種類の変更に起因して、あるいは装備位置に装備された構成要素の一部がメンテナンス時期に到達したことに起因して作業者が構成要素を装備するときに、残存動作回数Nr、Mrと動作頻度n、m(または部品供給数P)とに基づいて構成要素の装備位置を案内する案内部13と、を備えた。
これによれば、案内部13は、構成要素の次回のメンテナンスまでに推奨される残存動作回数Nr、Mrと装備位置における動作頻度n、m(または部品供給数P)とを考慮して構成要素の装備位置を案内する。したがって、作業者は、メンテナンス時期が考慮された案内にしたがって構成要素を装備位置に装備でき、構成要素のメンテナンスが効率化される。さらに、メンテナンスの効率化は、生産効率の向上にも資する。
さらに実施形態の交換支援装置1で、案内部13は、作業者が2個以上の構成要素を装備するときに、残存動作回数Nr、Mrの少ない構成要素を動作頻度n、m(または部品供給数P)の小さな装備位置に装備し、残存動作回数Nr、Mrの多い構成要素を動作頻度n、m(または部品供給数P)の大きな装備位置に装備することをモニタ装置61で案内する。加えて、残存動作回数演算部11は、規定動作回数Nk、Mkから実績動作回数Nm、Mmを減算して残存動作回数Nr、Mrを演算する。
これによれば、2個以上の構成要素で、残存動作回数Nr、Mrが徐々に接近してゆく。例えば、図3で、残存フィーダ送り数NrCが20000しか残されていないフィーダ装置4Cは、部品供給数P1が最小値の装備位置に装備されて、残存フィーダ送り数NrCの減少が抑制される。一方、残存フィーダ送り数NrBが99900も残っているフィーダ装置4Bは、部品供給数P3が最大値の装備位置に装備されて、残存フィーダ送り数NrBの減少が促進される。このような方法で構成要素の選択および装備位置の決定を続けてゆくと、多数のフィーダ装置4の残存フィーダ送り数NrA〜NrDが相互に接近してくる。すると、複数のフィーダ装置4のメンテナンスが同時期に近づく。これは、複数の実装ヘッド5についても同様である。
ここで、周知のように残存動作回数Nr、Mrに厳密性は無いので、多少の残存動作回数Nr、Mrが残っていてもメンテナンスを実施してよい。これにより、複数の構成要素のメンテナンスを同時期にまとめて実施できる。換言すると、メンテナンス時期を集中化して、メンテナンスを効率化でき、作業者の手間も軽減される。また、複数の構成要素の摩耗および疲弊の程度が類似する。これにより、複数の構成要素を装備する4台の部品実装機31〜34で性能が揃い、各サイクルタイムTc1〜Tc4の相互間の偏差が減少する。したがって、メンテナンス時期の集中化およびサイクルタイムTc1〜Tc4の偏差減少の総合的な効果により、生産効率の向上に資することができる。
さらに、実施形態の交換支援装置1で、案内部13は、複数の構成要素(フィーダ装置4、実装ヘッド5)を保管する保管庫8にモニタ装置65を配置し、部品実装機にモニタ装置61を配置して構成されている。
これによれば、作業者は、装備する構成要素の選択および装備位置に関する案内情報を身近な位置で確認できる。したがって、作業効率が捗るとともに、構成要素を取り違えたり、装備位置を誤ったりするおそれが低減される。
さらに、実施形態の交換支援装置1は、フィーダ装置4にフィーダ識別コードが付与され、実装ヘッド5にヘッド識別コードが付与されており、これらの識別コードを用いてメンテナンス時期を個別に管理する。
これによれば、上位ホストシステム2などのコンピュータ装置を用いて交換支援装置1を実現できる。したがって、メンテナンス時期を個別に管理する手間が省力化されるとともに、管理の信頼性も高い。
さらに、実施形態の交換支援装置1で、残存動作回数演算部11は、部品実装機31〜34に装備されたフィーダ装置4のフィーダ識別コードおよび実績フィーダ送り数Nm、ならびに実装ヘッド5のヘッド識別コードおよび実績ショット数Mmを部品実装機31〜34から受け取る。
これによれば、残存フィーダ送り数Nr、ならびに残存ショット数Mrを自動で管理できる。したがって、管理の手間が大幅に省力化され、管理の信頼性も向上する。
さらに、実施形態の交換支援装置1で、残存動作回数演算部11は、実装ヘッド5のメンテナンスを受け持つヘッドメンテナンス装置7からメンテナンスを実施した実装ヘッド5のヘッド識別コードを受け取り、当該実装ヘッド5の実績動作回数Mmを初期値(通常ゼロ)にセットする。
これによれば、実装ヘッド5のメンテナンス実施後に実績動作回数Mmの初期設定が自動で行われる。したがって、管理の手間がさらに一層大幅に省力化されるとともに、初期設定も確実に行われる。
さらに、実施形態の交換支援装置1は、動作時間管理部14をさらに備えている。動作時間管理部14は、部品実装機31〜34の動作に要するサイクルタイムTc1〜Tc4が予め設定された許容動作時間を超過したとき、当該の部品実装機に装備された実装ヘッド5のメンテナンスを残存ショット数Mrに関わりなく実施するように案内する。
これによれば、実装ヘッド5の性能がメンテナンス時期よりも早期に低下した場合に、残存ショット数Mrに関わりなくメンテナンスを実施して性能回復を図ることができる。したがって、生産効率の低下を抑制できる。
なお、実施形態では、実装ヘッド5を単位としてメンテナンスを実施するとしているが、装着ノズルの単位でメンテナンスを実施してもよい。また、構成要素の選択および装備位置の決定については、実施形態と異なる別法を併用することも考えられる。例えば、ロット生産が終了して基板の種類が異なる次ロットへの段取り替え作業を行うときに、複数の構成要素のメンテナンスをまとめて実施できるようにする別法も可能である。この別法で、案内部13は、基板の生産予定枚数や生産実績枚数も考慮して、装備する構成要素を選択し、その装備位置を決定する。
さらになお、動作時間管理部14は、各部品実装機31〜34で1枚の基板に指定数量の電子部品を装着するのに要するサイクルタイムTc1〜Tc4を管理するとしたが、別法も考えられる。例えば、実装ヘッド5がフィーダ装置4で電子部品を吸着し、基板に移動して電子部品2を装着し、フィーダ装置4に戻るまでの所要時間を装着サイクルタイムと呼ぶ。動作時間管理部14は、この装着サイクルタイムの遅延傾向に基づいて、実装ヘッド5のメンテナンスを案内するようにしてもよい。
また、実施形態の交換支援装置1の管理対象であるフィーダ装置4および実装ヘッド5は、別の基板生産ラインの部品実装機に互換に装備されてもよい。この場合、上位ホストシステム2は、フィーダ装置4の実績フィーダ送り数Nmおよび実装ヘッド5の実績ショット数Mmを複数の基板生産ラインから取得する。
実施形態の交換支援装置1は、部品実装機31〜34の装備位置に交換可能に装備されて動作するフィーダ装置4、および実装ヘッド5の交換を支援した。交換支援装置1は、基板生産ラインに配置される半田印刷機の装備位置に交換可能に装備されて動作する構成要素の交換を支援してもよい。半田印刷機に装備される構成要素としては、例えば印刷対象物としての基板の上に重ねられたマスクの上に載せられた半田を、マスクに設けられた開口部に押し込むためのスキージなどがある。