以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る平面形状測定装置を例示するブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1の平面形状測定装置50は、鋼板である平板1を熱間圧延する熱間圧延ラインにおいて用いられる。平面形状測定装置50は、搬送される平板1の平面形状を、停止させることなく搬送状態のまま測定する。
以下の説明では、平板1の長手方向を長さ方向(第1方向)と称し、平板1の長手方向および厚さ方向の双方に対して垂直な方向を幅方向(第2方向)と称する。平板1は、長手方向が搬送方向にほぼ平行になるように搬送される。平面形状測定装置50は、たとえば、粗圧延機の入側または出側において、平板1の平面形状を測定する。圧延される前の平板1はスラブと称される。このようなスラブの寸法は、たとえば、長さ2000mm程度、幅1000mm程度、厚さ300mm程度である。なお、すべての実施の形態において、測定対象とする平板1の長さ方向の形状(以下、幅プロフィールともいう)および幅方向の形状(以下、長さプロフィールともいう)については、急峻な形状変化はないものとする。
平面形状測定装置50は、平面形状測定撮像器7を備える。平面形状測定撮像器7は、二次元の視野を有する二次元カメラである。平面形状測定撮像器7は、光学信号である画像を電気信号に変換する撮像素子を含む。撮像素子としては、たとえば、CCDエリアイメージセンサや、CMOSエリアイメージセンサなどを用いることができる。
平面形状測定撮像器7の視野28は、平板1が通過する領域を包含する。平面形状測定撮像器7は、平板1の平面形状を上方から撮像する。平面形状測定撮像器7は、平板1の平面形状の静止画を撮像する。搬送等により平板1が動いていても、露光時間を比較的短くすることによって、平面形状測定撮像器7は、平板1の平面形状の静止画を撮像できる。平面形状測定撮像器7は、平板1の位置から、たとえば20m〜25m程度の高さに設置される。平面形状測定撮像器7の視野28は、平板1が通過する高さにおいて、たとえば長さ7m程度、幅6m程度の広さを有する。
平面形状測定装置50を構成する以下の各部の機能は、論理回路等によるハードウェアによって実現されてもよいし、メモリ(図示せず)に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することによって実現されてもよい。プロセッサが実行する場合には、複数組のプロセッサおよびメモリが連携してもよい。
平面形状測定装置50は、平板温度情報受信器2を備える。平板温度情報受信器2は、外部から発信される平板1に関する表面温度情報を受信する。表面温度情報を発信する図示しない装置は、平面形状測定装置50の上流に配置されたたとえば放射温度計で平板1の表面温度を計測し、その温度の計測値を表面温度情報として発信する。あるいは、表面温度情報を発信する装置は、温度計から平面形状測定装置50までの搬送区間内の熱の収支にもとづく温度モデルを用いて表面温度を計算し、その温度計算値を表面温度情報として発信する。
露光時間テーブル(テーブル)5は、平面形状測定撮像器7の露光時間と平板1の表面温度とを対応付ける。露光時間は、平面形状測定撮像器7の受光特性を決定するパラメータの一例である。露光時間に代えて、あるいは露光時間とともにアイリス(絞り値)を設定するようにしてもよい。平板1の表面温度が高いほど、露光時間は短くされている。露光時間テーブル5は、たとえば図示しない記憶装置に格納されている。
露光時間設定指令器(パラメータ設定指令器)6は、平板温度情報受信器2が受信した表面温度情報と、露光時間テーブル5が規定する対応関係と、にもとづいて、露光時間の設定を平面形状測定撮像器7に対して指令する。平面形状測定撮像器7は、露光時間設定指令器6からの指令にしたがって露光時間を設定する。
平面形状測定装置50は、測定開始指令受信器3を備える。測定開始指令受信器3は、外部から供給される測定開始指令を受信する。測定開始指令を供給する図示しない装置は、平板1が視野28内に搬送されてくるタイミングに同期するように、測定開始指令を発信する。この装置は、たとえば、平板1の搬送速度と搬送ピッチとにもとづいて計算されたタイミングで、測定開始指令を発信する。
平面形状測定装置50は、輝度分布長さ方向加算器8aと、輝度分布幅方向加算器8bと、を備える。輝度分布長さ方向加算器(第1画像データ加算器)8aおよび輝度分布幅方向加算器(第2画像データ加算器)8bは、平面形状測定撮像器7の出力に接続されている。
輝度分布長さ方向加算器8aおよび輝度分布幅方向加算器8bは、平面形状測定撮像器7によって得られた撮像データを処理して得られた元画像データ101を処理する。輝度分布長さ方向加算器8aは、元画像データ101を処理して、輝度分布長さ方向加算画像データ102を生成する。輝度分布幅方向加算器8bは、元画像データ101を処理して、輝度分布幅方向加算画像データ103を生成する。
図2は、平板の元画像データにもとづいて、輝度長さ方向加算画像データを生成する手順を説明するための模式図である。
図3は、平板の元画像データにもとづいて、輝度幅方向加算画像データを生成する手順を説明するための模式図である。
図2および図3に示すように、元画像データ101は、複数の列および複数の行を有する。元画像データ101は、複数の列の各列および複数の行の各行で、輝度レベルのデータを含む。図2および図3には、理解を容易にするために、少ない行数および列数の場合が示されている。この例では、元画像データ101は、長さ方向には21列、幅方向には15行の輝度レベルのデータが配されている。
図2では、元画像データ101として、長さ方向に列(n−1),列(n),列(n+1)にそれぞれ対応する輝度レベルのデータW(n−1),W(n),W(n+1)が示されている。各列の輝度レベルのデータは、隣接する列の輝度レベルのデータと加算されて、新たな輝度レベルのデータが計算される。輝度分布長さ方向加算画像データ102は、列に関して新たな輝度レベルのデータを含んでいる。輝度分布長さ方向加算画像データ102は、長さ方向に新たな輝度レベルのデータW(n)’を含む。
より詳細に説明すると、列(n)の輝度レベルのデータW(n)は、列(n)の前後に隣接する列(n−1),(n+1)の輝度レベルのデータW(n−1),W(n+1)と加算されて新たな輝度レベルのデータW(n)’が生成される。他の列についても同様に加算されて新たな輝度レベルのデータが生成される。つまり、新たな輝度レベルのデータW(n)’は次式で表される。
W(n)’=W(n−1)+W(n)+W(n+1)
図3では、元画像データ101として、幅方向に行(m−1),行(m),行(m+1)にそれぞれ対応する輝度レベルのデータL(m−1),L(m),L(m+1)が示されている。各行の輝度レベルのデータは、隣接する行の輝度レベルのデータと加算されて、新たな輝度レベルのデータが計算される。輝度分布幅方向加算画像データ103は、行に関して新たな輝度レベルのデータを含んでいる。輝度分布幅方向加算画像データ103は、幅方向に新たな輝度レベルのデータL(m)’を含む。
より詳細に説明すると、行(m)の輝度レベルのデータL(m)は、その前後に隣接する行の輝度レベルのデータL(m−1),L(m+1)と加算されて新たな輝度レベルのデータL(m)’が生成される。他の行についても同様に加算されて新たな輝度レベルのデータが生成される。つまり、新たな輝度レベルのデータL(m)’は次式で表される。
L(m)’=L(m−1)+L(m)+L(m+1)
列および行の数は、たとえば、元画像データ101の分解能にもとづいて設定される。たとえば、解像度がVGA(640×480)の平面形状測定撮像器7によって取得された元画像データ101の場合には、最大で、行の数は640本、列の数は480本とすることができる。
このように、本実施の形態1の平面形状測定装置50では、複数の列の各列および複数の行の各行の輝度レベルのデータに、隣接する行および列の輝度レベルのデータを加算する。そのため、計算された新たな輝度レベルのデータは、元画像データ101の幅方向および長さ方向の両方の分解能と同じ分解能で輝度レベルを増大させることができる。
図1にもどって、平面形状測定装置50の構成について説明を続ける。平面形状測定装置50は、幅エッジ座標演算器9aと、長さエッジ座標演算器9bと、エッジ座標間幅演算器10aと、エッジ座標間長さ演算器10bと、幅エッジ中央座標演算器11aと、長さエッジ中央座標演算器11bと、を含む。平面形状測定装置50は、傾斜角演算器12と、幅プロフィール演算器13と、長さ方向曲り形状演算器14と、長さプロフィール演算器15と、幅方向曲り形状演算器16と、を含む。これらの演算器は、平板1の平面形状を特定するプロフィール値を演算するプロフィール値演算装置20を構成する。
幅エッジ座標演算器9aは、輝度分布長さ方向加算器8aの出力に接続されている。幅エッジ座標演算器9aは、輝度分布長さ方向加算器8aが出力する輝度分布長さ方向加算画像データ102を画像処理することによって、平板1の幅方向のエッジを検出し、平板1の幅を測定するためのエッジ座標を演算する。
長さエッジ座標演算器9bは、輝度分布幅方向加算器8bの出力に接続されている。長さエッジ座標演算器9bは、輝度分布幅方向加算器8bが出力する輝度分布幅方向加算画像データ103を画像処理することによって、平板1の長さ方向のエッジを検出し、平板1の長さを測定するためのエッジ座標を演算する。
幅エッジ座標演算器9aおよび長さエッジ座標演算器9bでは、エッジ座標は、あらかじめ設定された輝度レベルにおける座標として演算される。たとえば、エッジ座標は、輝度レベルが輝度飽和レベルの+10%における座標が演算される。
本実施の形態1の平面形状測定装置50では、上述したとおり、元画像データ101の分解能を維持しつつ、輝度レベルを増大させることができるので、幅エッジおよび長さエッジの両方を正確に検出し、これらの座標を正確に計算することができる。したがって、後述する各演算器による各プロフィール値もより正確に計算することが可能になる。
エッジ座標間幅演算器10aは、幅エッジ座標演算器9aの出力に接続されている。エッジ座標間幅演算器10aは、幅エッジ座標演算器9aの演算結果にもとづいて、立上りエッジ座標と立下りエッジ座標との間隔を演算することで、平板1の幅を演算する。
エッジ座標間長さ演算器10bは、長さエッジ座標演算器9bの出力に接続されている。エッジ座標間長さ演算器10bは、長さエッジ座標演算器9bの演算結果にもとづき、立ち上がりエッジ座標と立下りエッジ座標との間隔を演算することで、平板1の長さを演算する。
幅エッジ中央座標演算器11aは、幅エッジ座標演算器9aの出力に接続されている。幅エッジ中央座標演算器11aは、幅エッジ座標演算器9aの演算結果にもとづき、立ち上がりエッジ座標と立下りエッジ座標との中央値を、平板1の長さ方向に沿って演算する。
長さエッジ中央座標演算器11bは、長さエッジ座標演算器9bの出力に接続されている。長さエッジ中央座標演算器11bは、長さエッジ座標演算器9bの演算結果にもとづき、立ち上がりエッジ座標と立下りエッジ座標との中央値を、平板1の幅方向に沿って演算する。
傾斜角演算器12は、幅エッジ中央座標演算器11aおよび長さエッジ中央座標演算器11bのそれぞれの出力に接続されている。傾斜角演算器12は、幅エッジ中央座標演算器11aおよび長さエッジ中央座標演算器11bの演算結果にもとづき、平板1の傾斜角を演算する。平板1の傾斜角とは、正規の向きに対する平板の回転角度である。
幅プロフィール演算器13は、エッジ座標間幅演算器10aおよび傾斜角演算器12のそれぞれの出力に接続されている。幅プロフィール演算器13は、傾斜角演算器12の演算結果にもとづき、エッジ座標間幅演算器10aの演算結果を補正することによって、幅プロフィールを演算する。幅プロフィールとは、平板1の幅が平板1の長さ方向に沿ってどのように変化するかを示す形状に関するパラメータである。
長さプロフィール演算器15は、エッジ座標間長さ演算器10bおよび傾斜角演算器12の出力に接続されている。長さプロフィール演算器15は、傾斜角演算器12の演算結果にもとづき、エッジ座標間長さ演算器10bの演算結果を補正することによって、長さプロフィールを演算する。長さプロフィールとは、平板1の長さが平板1の幅方向に沿ってどのように変化するかを示す形状に関するパラメータである。
長さ方向曲り形状演算器14は、幅エッジ中央座標演算器11aおよび傾斜角演算器12のそれぞれの出力に接続されている。長さ方向曲り形状演算器14は、傾斜角演算器12の演算結果にもとづき、幅エッジ中央座標演算器11aの演算結果を補正することによって、長さ方向曲がり形状を演算する。長さ方向曲がり形状とは、平板1の幅の中心位置が平板1の長さ方向に沿ってどのように曲がっているかを表す形状に関するパラメータである。
幅方向曲り形状演算器16は、長さエッジ中央座標演算器11bおよび傾斜角演算器12のそれぞれの出力に接続されている。幅方向曲り形状演算器16は、傾斜角演算器12の演算結果にもとづき、長さエッジ中央座標演算器11bの演算結果を補正することによって、幅方向曲がり形状を演算する。幅方向曲がり形状とは、平板1の長さの中心位置が平板1の幅方向に沿ってどのように曲がっているかを表す形状に関するパラメータである。
幅プロフィール演算器13、長さ方向曲り形状演算器14、長さプロフィール演算器15および幅方向曲り形状演算器16は、平板1の平面形状のゆがみに関するデータを演算するゆがみ演算装置22の例である。本実施形態の平面形状測定装置50では、これらのゆがみ演算装置22を備えたことで、平板1の直角度の変形や、平板1の中心線の曲りなど、平板1の平面形状のゆがみを正確に測定できる。
実施の形態1の平面形状測定装置50の動作について説明する。
図4(a)〜図4(c)は、平板の元画像データの例を示す模式図である。
まず、平面形状測定装置50の動作原理について説明する。
図4(a)〜図4(c)では、それぞれ上段の図に、元画像データ101の輝度レベルのデータを表す画像イメージが示されている。これらの画像イメージでは、明るく(白く)示されている箇所の輝度レベルが高く、暗く(黒く)示されている箇所の輝度レベルが低いことを表している。各図の下段の図は、輝度レベルの大きさを長さ方向にわたってプロットしたグラフを示している。このプロットを輝度分布または輝度分布データと呼ぶこととする。なお、以下では、長さ方向の輝度分布の場合について説明するが、幅方向の輝度分布についても同様である。
図4(a)は、元画像データ101の輝度レベルが適切な範囲にある場合の例を示す。長さ方向の両方のエッジ座標Le1,Le2において、輝度レベルが急峻に立ち上がっており、輝度レベルの境界が鮮明である。そのため、容易にエッジを検出することができる。したがって、エッジ座標Le1,Le2を正確に計算することができる。
図4(b)は、元画像データ101の輝度レベルが全体に低い場合の例を示す。このような状態は、外部から受信する表面温度情報が実際の表面温度よりも高い場合に、露光時間が短く設定されるために発生する可能性がある。この例の場合には、両方のエッジ座標Le1,Le2において、輝度レベルの立ち上がりが緩慢になっている。そのため、エッジを検出することが困難となり、エッジ座標にもとづいて長さエッジを演算した場合の誤差が大きくなるおそれがある。
図4(c)は、元画像データ101の輝度レベルが全体的に高い場合の例を示す。このような状態は、外部から受信する表面温度情報が実際の表面温度よりも低い場合に、露光時間が長く設定されるために発生する可能性がある。この例の場合には、平板1のエッジの外側に光漏れが生じている。両方のエッジ座標Le1,Le2では、急峻な輝度レベルの立ち上がりが見られるが、エッジ座標Le1,Le2よりも外側の座標Ll1,Ll2まで、顕著な輝度レベルが検出されている。そのため、座標Ll1から座標Le1の間、および、座標Le2から座標Ll2の間において、エッジ座標を誤検出するおそれがある。
図5(a)〜図5(c)は、平板の元画像データにもとづいて、輝度幅方向加算画像データを生成する手順を説明するための模式図である。
図5(a)の上段の図には、元画像データ101の輝度レベルのデータを表す画像イメージが示されている。図5(a)の下段の図には、行(m)の輝度レベルの大きさが長さ方向にわたって示されている。図5(a)に示すように、元画像データ101は、輝度レベルが低く設定されており、輝度レベルの大きさは、長さ方向にわたって、輝度飽和レベルに達していない。
図5(b)の上段の図には、行(m−1),行(m),行(m+1)のそれぞれに対応する輝度分布のデータL(m−1),L(m),L(m+1)が示されている。この図に示すように、それぞれのデータについてのエッジ座標は、Le1,Le2にほぼ一致している。図5(b)の下段の図には、輝度分布のデータL(m−1),L(m),L(m+1)を加算した新たな輝度分布のデータL(m)’が示されている。この図に示すように、新たな輝度分布レベルは増大されているとともに、エッジ座標Le1,Le2が加算前から維持されている。そのため、エッジ座標Le1,Le2における輝度レベルの立ち上がりが急峻になっている。
図5(c)の上段の図には、輝度分布幅方向加算画像データ103の輝度レベル分布のデータを表す画像イメージが示されている。図5(c)の下段の図には、行(m)の輝度分布が示されている。輝度レベルの大きさは、長さ方向のほとんどにわたって、輝度飽和レベルを超えているが、エッジ座標Le1,Le2は維持されている。つまり、輝度分布幅方向加算画像データ103は、隣接行間の輝度分布のデータの加算によって生成された新たな輝度分布のデータを含んでおり、エッジ付近からの光漏れを生ずることなく、エッジ座標を決定することができる。
輝度分布長さ方向加算画像データ102についても同様に計算することができる。したがって、輝度分布長さ方向加算画像データ102にもとづいて、幅方向のエッジを正確に検出し、エッジ座標を計算することができる。
次に、本実施の形態1の平面形状測定装置50の一連の動作についてフローチャートを用いて説明する。
図6は、実施の形態1の平面形状測定装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
図6に示すように、ステップS101おいて、平板温度情報受信器2は、外部から供給される平板1に関する表面温度情報を受信する。
ステップS102において、露光時間設定指令器6は、露光時間テーブル5を参照して、平板温度情報受信器2が受信した表面温度情報に対応する平面形状測定撮像器7の露光時間を取得する。
ステップS103において、露光時間設定指令器6は、平面形状測定撮像器7に対してステップS102で取得した露光時間を設定する。
ステップS104において、測定開始指令受信器3は、外部から発信される測定開始指令を受信する。
ステップS105において、平面形状測定撮像器7は、測定開始指令にしたがって撮像を開始し、視野28内を移動する平板1の平面形状の画像データを取得する。
ステップS106において、平面形状測定撮像器7は、ステップS105で取得した画像データを元画像データ101として記憶する。
ステップS107において、輝度分布長さ方向加算器8aは、元画像データ101の幅方向の輝度分布レベルのデータを、長さ方向に複数行加算して、輝度分布長さ方向加算画像データ102を生成する。輝度分布幅方向加算器8bは、元画像データ101の長さ方向の輝度分布レベルのデータを、幅方向に複数列加算して、輝度分布幅方向加算画像データ103を生成する。
ステップS108において、幅エッジ座標演算器9aは、輝度分布長さ方向加算画像データ102から幅エッジ座標を演算する。長さエッジ座標演算器9bは、輝度分布幅方向加算画像データ103から長さエッジ座標を演算する。
ステップS109において、エッジ座標間幅演算器10aは、幅エッジ座標演算器9aで演算された立上りエッジ座標と立下りエッジ座標との間隔を演算することで、平板1の幅を演算する。
ステップS110において、幅エッジ中央座標演算器11aは、幅エッジ座標演算器9aで演算された立ち上がりエッジ座標と立下りエッジ座標との中央値を、平板1の長さ方向に沿って演算する。
ステップS111において、エッジ座標間長さ演算器10bは、長さエッジ座標演算器9bで演算された立ち上がりエッジ座標と立下りエッジ座標との間隔を演算することで、平板1の長さを演算する。
ステップS112において、長さエッジ中央座標演算器11bは、長さエッジ座標演算器9bで演算された立ち上がりエッジ座標と立下りエッジ座標との中央値を、平板1の幅方向に沿って演算する。
ステップS113において、傾斜角演算器12は、幅エッジ中央座標演算器11aで演算された複数点の座標にもとづき、平板1の傾斜角を演算する。
ステップS114において、傾斜角演算器12は、長さエッジ中央座標演算器11bで演算された複数点の座標にもとづき、平板1の傾斜角を演算する。
ステップS115において、幅プロフィール演算器13は、傾斜角演算器12で演算された傾斜角を用いて、エッジ座標間幅演算器10aの演算結果を補正することで、平板1の幅プロフィールを演算する。
ステップS116において、長さ方向曲り形状演算器14は、傾斜角演算器12で演算された傾斜角を用いて、幅エッジ中央座標演算器11aの演算結果を補正することで、平板1の長さ方向曲がり形状を演算する。
ステップS117において、長さプロフィール演算器15は、傾斜角演算器12で演算された傾斜角を用いて、エッジ座標間長さ演算器10bの演算結果を補正することで、平板1の長さプロフィールを演算する。
ステップS118において、幅方向曲り形状演算器16は、傾斜角演算器12で演算された傾斜角を用いて、長さエッジ中央座標演算装置器bの演算結果を補正することで、平板1の幅方向曲がり形状を演算する。
このようにして、本実施の形態1の平面形状測定装置50は、平板1の平面形状を測定することができる。
本実施の形態1の平面形状測定装置50の効果について説明する。
本実施の形態1の平面形状測定装置50は、輝度分布長さ方向加算器8aおよび輝度分布幅方向加算器8bを備えている。輝度分布長さ方向加算器8aは、平面形状測定撮像器7によって取得された元画像データ101の幅(列)方向に沿った輝度分布のデータを、隣接する列の輝度分布のデータと加算して新たな輝度分布のデータとする。輝度分布幅方向加算器8bは、元画像データ101の長さ(行)方向に沿った輝度分布のデータを、隣接する行の輝度分布のデータと加算して新たな輝度分布のデータとする。そのため、新たな輝度分布は、0または0付近の場合には、0に近い値のままとなり、0よりも大きい有限の値の場合には、より大きい有限の値となる。したがって、平板1のエッジにおいて、輝度レベルの立ち上がりがより急峻になるので、平面形状測定装置50は、エッジを容易に検出することができ、エッジ座標をより正確に計算することができる。
平板1のエッジ座標を正確に計算することができるので、本実施の形態1の平面形状測定装置50では、プロフィール値演算装置20によって、平板1の各種プロフィール値をより正確に計算することができる。
平板1の表面温度には、平面形状測定撮像器7によって平板1を撮像するのに先立って測定または設定された値が用いられる。表面温度のデータは、たとえば実測された数点の温度データの平均値や中央値等が用いられる。このような単一の温度データにもとづいて、二次元の元画像データ101を取得するための平面形状測定撮像器7の露光時間が設定される。
一方、温度に対する輝度の関係は指数関数的であり、小さな温度変化の場合であっても、輝度レベルの変化は非常に大きい。たとえば、700℃のときの輝度レベルを基準とした場合には、800℃のときの輝度レベルの相対値は5倍程度であり、900℃のときの輝度レベルの相対値は18倍程度にもなる。
さらに、平面形状測定撮像器7は、有限のダイナミックレンジを有しており、撮像した画像データの輝度レベルによって過飽和しないように、露光時間を抑制する必要がある。
平板1の表面温度は、プロフィール値の測定に先立って測定されるので、温度測定後に圧延ロールに接触する等した場合には、一時的に表面温度は低下する。平板1の表面温度が低下する場合には、平板1のエッジ付近から低下するので、平板1のエッジ付近の表面温度の測定誤差は大きくなる傾向にある。
平板1の各プロフィール値は、平板1のエッジ座標にもとづいて演算されるので、エッジを正確に検出する必要がある。上述のように、平板1のエッジ付近では、供給される表面温度のデータは、実際の温度よりも高い値である傾向があるので、表面温度にもとづいて設定される露光時間は、短い値に設定される傾向がある。そうすると、平面形状測定撮像器7によって取得される元画像データ101は、全体的に低い輝度レベル分布を有するデータとなる場合が多い。
本実施の形態1の平面形状測定装置50では、輝度分布長さ方向加算器8aおよび輝度分布幅方向加算器8bによって、元画像データ101について、有限値の輝度レベルを増大するように補正し、0付近の輝度レベルをそのまま低いレベルとすることができる。したがって、平板1のエッジにおける輝度レベルの立ち上がりを急峻にすることができるので、低い輝度レベル分布を有する元画像データ101であっても、エッジを正確に検出することができる。したがって、正確なエッジ座標を計算し、高い精度で各プロフィール値を計算することが可能になる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、輝度レベル判定器204を用いて加算画像データの輝度レベルを抽出し、輝度レベルが平板1のエッジを検出するのに十分となるように輝度レベルを設定する。
図7は、実施の形態2に係る平面形状測定装置を例示するブロック図である。
図7に示すように、本実施の形態2の平面形状測定装置250は、輝度レベル判定器204を備える。本実施の形態2では、平面形状測定装置250が輝度レベル判定器204を備える点で、上述の実施の形態1の場合と相違する。他の点では、実施の形態1の場合と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
輝度レベル判定器(レベル判定器)204は、輝度分布長さ方向加算器8aおよび輝度分布幅方向加算器8bのそれぞれの出力に接続されている。輝度レベル判定器204の出力は、輝度分布長さ方向加算器8aおよび輝度分布幅方向加算器8bのそれぞれの入力に接続されている。
輝度レベル判定器204は、あらかじめ設定された輝度レベル分布のしきい値を有する。輝度レベル判定器204は、輝度分布長さ方向加算画像データ102の輝度分布レベルを入力して、しきい値と比較する。輝度レベル判定器204は、新たな輝度分布レベルを生成するために加算する行数および列数を設定することができる。
輝度分布長さ方向加算器8aによって演算された輝度分布長さ方向加算画像データ102の輝度分布レベルがしきい値よりも小さい場合には、輝度レベル判定器204は、新たな輝度分布レベルのために加算する列数を1から2に増加させる。
輝度分布幅方向加算器8bによって演算された輝度分布幅方向加算画像データ103の輝度分布レベルがしきい値よりも小さい場合には、輝度レベル判定器204は、新たな輝度分布レベルのために加算する行数を1から2に増加させる。
図8(a)〜図8(f)は、平板の元画像データにもとづいて、輝度分布幅方向加算画像データを生成する手順を説明するための模式図である。
図8(a)の上段の図は、元画像データ101の輝度分布のデータを表す画像イメージを示している。図8(a)の下段の図は、行(m)の輝度分布のデータL(m)を示している。図8(a)に示すように、単一行の輝度分布のデータは、エッジを正確に検出できる程度に十分なレベルに達していない。
図8(b)の上段の図は、行(m)の前後に隣接する行(m−1)および行(m+1)のそれぞれの輝度分布のデータL(m−1),L(m+1)を示している。図8(b)の下段の図は、輝度分布のデータL(m−1),L(m),L(m+1)を加算して生成された新たな輝度分布のデータL(m)’を示している。図8(b)に示すように、隣接する行の輝度分布のデータを加算することによって生成された新たな輝度分布のデータは、輝度分布に関するしきい値と比較される。
図8(c)の上段の図は、計算された新たな輝度分布のデータによる輝度分布幅方向加算画像データ103の輝度レベルを表す画像イメージである。図8(c)の下段の図は、行(m)に対応する新たな輝度分布のデータL(m)’である。この図では、輝度分布の最大値が輝度飽和レベルを超えており、このときの輝度分布幅方向加算画像データ103を用いてエッジを検出するようにしてもよい。
図8(c)の場合では、エッジ付近の輝度レベルの立ち上がりが少し緩慢なので、しきい値をより高い値にする場合を考える。図8(d)および図8(e)に示すように、加算する隣接行の行数を前後2行とする。図8(f)に示すように、輝度レベル分布の大きさは、輝度分布が0より大きい有限値の場合には、輝度分布はより大きい値となり、輝度分布の大きさが0程度の場合には、ほぼ0のままである。その結果、エッジ付近の輝度分布の立ち上がりが急峻になり、エッジをより正確に検出することが可能になる。したがってエッジ座標Le1,Le2を正確に計算することができる。
なお、図8(f)に示したように、加算により増大した輝度分布レベルは、輝度飽和レベルを大きく超過するが、図示した二点鎖線のようにエッジ以外の部分の輝度分布レベルは、各プロフィール値の計算とは直接関係ないので、問題を生じることはない。
加算する行数を1から2に増大させても、新たな輝度レベルがしきい値に達しない場合には、輝度レベル判定器204は、加算する行数をさらに増大させることができる。
L(m)’’=L(m−i)+…+L(m−1)+L(m)+L(m+1)+…+L(m+i)
ここで、iは任意の自然数であり、元画像データ101の分解能にもとづく列数以下の数である。
上述では、輝度レベル判定器204と輝度分布幅方向加算器8bとの関係について説明したが、輝度レベル判定器204と輝度分布長さ方向加算器8aとの関係についても同様である。新たな輝度レベル分布のデータW(n)’’は以下のように表すことができる。
W(n)’’=W(n−j)+…+W(n−1)+W(n)+W(n+1)+…+W(n+j)
ここで、jは任意の自然数であり、元画像データ101の分解能にもとづく行数以下の数である。
ここで、上式のiおよびjは異なる正数であってもよいし、同じ正数でもよい。
本実施の形態2の平面形状測定装置250の一連の動作をフローチャートを用いて説明する。
図9は、本実施の形態2の平面形状測定装置の動作を説明するためのフローチャートの例である。
ステップS101〜S106は、すでに説明した実施の形態1の場合の動作と同じである。また、S108〜S118も、すでに説明した実施の形態1の場合の動作と同じである。したがって、これら各ステップについては、図示および詳細な説明を省略する。
ステップS106の後にステップS201が実行される。ステップS201において、輝度レベル判定器204は、輝度分布長さ方向加算器8aに対して加算する行数iを初期値に設定する。この例では、初期値は1である。
ステップS202において、輝度分布長さ方向加算器8aは、加算する隣接行を1として加算を実行し、輝度分布長さ方向加算画像データ102を生成する。
ステップS203において、輝度レベル判定器204は、生成された輝度分布長さ方向加算画像データ102の各行の輝度レベルがしきい値以上であるか否かを判定する。各行の輝度レベルがしきい値を下回っている場合には、処理はステップS204に遷移される。
ステップS204において、輝度レベル判定器204は、加算する隣接行の初期値に1を加算する。この例では、加算する行数は2となる。輝度レベル判定器204は、ステップS203で輝度レベルがしきい値を超えるまで、加算する列数を増やして加算画像データを生成する。
ステップS203で、輝度レベルがしきい値以上の場合には、処理はステップS205に遷移される。ステップS205において、輝度レベル判定器204は、輝度分布幅方向加算器8bに対して加算する列数jを初期値に設定する。この例では、初期値は1である。
ステップS206において、輝度分布幅方向加算器8bは、加算する隣接列を1として加算を実行し、輝度分布幅方向加算画像データ103を生成する。
ステップS207において、輝度レベル判定器204は、生成された輝度分布幅方向加算画像データ103の各列の輝度レベルがしきい値以上であるか否かを判定する。各列の輝度レベルがしきい値を下回っている場合には、処理はステップS208に遷移される。
ステップS208において、輝度レベル判定器204は、加算する隣接列の初期値に1を加算する。この例では、加算する列数は2となる。輝度レベル判定器204は、ステップS206で輝度レベルがしきい値を超えるまで、加算する列数を増やして加算画像データを生成する。
ステップS207で輝度レベルがしきい値以上の場合には、処理はステップS108に遷移される。
上述では、加算する隣接行数および隣接列数の初期値を1としたが、初期値は任意の適切な値とすることができる。たとえば、初期値を0としてもよいし、2としてもよいし、それ以上の値としてもよい。
また、上述では、輝度レベルが所定値以上となるまで、加算する隣接行数および隣接列数を1ずつ増加させたが、2ずつ増加させてもよいし、それ以上としてももちろんよい。
さらに、上述では、加算画像データを生成するのに、元画像データの輝度レベルのデータを用いたが、輝度判定を実行するたびに、元画像データを加算画像データによって更新して用いるようにしてもよい。
いうまでもないが、輝度レベルのデータを長さ方向に加算する手順と、幅方向に加算する手順とは入れ替えてもよいし、同時に処理するようにしてもよい。
輝度レベル判定器204の判定基準は、他の適切な条件によって設定されてもよい。たとえば、加算画像データの輝度レベルの最大値に代えて、輝度レベルの中央値等を用いてもよい。また、しきい値についても任意の適切な値に設定することができる。
本実施の形態2の平面形状測定装置250の効果について説明する。
本実施の形態2の平面形状測定装置250は、輝度レベル判定器204を備えている。輝度レベル判定器204は、輝度分布長さ方向加算画像データ102および輝度分布幅方向加算画像データ103の輝度レベルがあらかじめ設定されたしきい値よりも小さい場合に、加算する行数および列数を増加させる。隣接する行数および列数を増やして輝度レベルのデータを補正することによって、平板1のエッジ付近において、より急峻な輝度レベルの変化を得ることができるので、正確にエッジ座標を検出することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、エッジ付近の輝度レベルの立ち上がりを強調する補正を行うことによって、より正確にエッジを検出する。
図10は、実施の形態3に係る平面形状測定器を例示するブロック図である。
図10に示すように、本実施の形態3の平面形状測定装置350は、輝度変換テーブル305を備える。この実施の形態3の平面形状測定装置350は、輝度変換テーブル305を備える点で上述の他の実施の形態と相違する。他の点では、上述した実施の形態1の場合と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
輝度変換テーブル305は、輝度分布長さ方向加算器8aと幅エッジ座標演算器9aとの間に設けられている。輝度変換テーブル305は、輝度分布幅方向加算器8bと長さエッジ座標演算器9bとの間に設けられている。輝度変換テーブル305は、輝度分布長さ方向加算器8aによって生成された輝度分布長さ方向加算画像データ102を入力し、エッジ付近(以下、端部という。)の輝度レベルを強調するように補正した端部輝度強調画像データ106を出力する。輝度変換テーブル305は、輝度分布幅方向加算器8bによって生成された輝度分布幅方向加算画像データ103を入力し、端部の輝度レベルを強調するように補正した端部輝度強調画像データ107を出力する。
端部輝度強調画像データ106,107は、幅エッジ座標演算器9aおよび長さエッジ座標演算器9bにそれぞれ供給される。輝度変換テーブル305は、たとえば図示しない記憶装置に格納されており、入力された輝度レベルのデータに対応する補正後の輝度レベルのデータに変換する。
図11(a)および図11(b)は、平板の表面温度と輝度レベルの関係を例示するグラフおよび表である。図11(c)は、平板の表面温度に対する平面形状測定撮像器の露光時間の関係を例示するグラフである。
図11(a)は、カメラの受光特性を決定するパラメータ値を固定した場合に、平板1の表面温度により撮像画の輝度レベルがどのように変化するかの一例を示している。図11(a)に示すグラフの縦軸は、表面温度が700℃のときの輝度レベルを基準としたときの各表面温度の輝度レベルの相対比を対数軸で表示している。図11(a)に示すグラフの横軸は、平板1の表面温度である。このグラフでは、横軸の平板1の表面温度に対して、敏感に輝度レベルは変わることが示されている。
図11(b)は、図11(a)に示す平板1の表面温度と輝度レベルとの関係を表にまとめたものである。図11(b)には、さまざまな基準温度について、表面温度ごとに基準温度に対する輝度レベルの相対比が記載されている。たとえば、700℃を基準温度としたときの800℃での輝度レベルの相対比は5である。これは、700℃を基準にして輝度レベルの上限値が設定されているとすれば、実際の表面温度が800℃であった場合には上限の500%の光を受光することを意味する。
露光時間テーブル5は、平面形状測定撮像器7の露光時間と、平板1の表面温度とを対応付けるデータが設定されている。露光時間は、平面形状測定撮像器7の受光特性を決定するパラメータの一例である。露光時間テーブル5の一例を図11(c)に示す。図11(c)に示す露光時間テーブル5では、平板1の表面温度が高いほど露光時間は短く設定されている。露光時間設定指令器6は、平板温度情報受信器2が受信した表面温度情報と、露光時間テーブルが規定する対応関係とにもとづいて、露光時間の設定を平面形状測定撮像器7に対して指令する。平面形状測定撮像器7は、露光時間設定指令器6からの指令にしたがって露光時間の設定を行う。
図12は、輝度変換の動作を説明するための模式図である。
図12に示すように、輝度変換テーブル305には、輝度レベルの相対値に対する平板1の表面温度のデータが相対値で設定されている。すでに述べたように、表面温度が線形的に増加した場合に、輝度レベルは指数関数的に増加する。輝度変換テーブル305は、輝度レベルの指数関数的変化を線形的変化に変換する。たとえば、図12の示した輝度変換テーブル305の例は、図11(a)に示した表面温度と輝度レベルの相対値との関係と同じものである。横軸に示された温度について、相対値とすることによって、指数関数的変化をする輝度レベルを線形的変化に変換することができる。
つまり、輝度変換テーブル305は、輝度分布長さ方向加算画像データ102および輝度分布幅方向加算画像データ103の輝度レベルを対数変換する。対数変換においては、より小さい値の入力に対して大きな変化を有する出力が得られ、より大きな値の入力に対しては小さな変化を有する出力が得られる。したがって、加算画像データを輝度変換テーブル305を通すことによって、端部の立ち上がりを急峻にして端部を強調する画像に変換することができる。
本実施の形態3の平面形状測定装置350の一連の動作をフローチャートを用いて説明する。
図13は、本実施の形態3の平面形状測定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップS101〜S107は、すでに説明した実施の形態1の場合の動作と同じである。ステップS109〜S118もすでに説明した実施の形態1の場合の動作と同じある。したがって、これら各ステップについては、詳細な説明を省略する。なお、このフローチャートでは、実施の形態1の場合のステップS108に代えて実行される。
ステップS107の後にステップS301が実行される。ステップS301において、輝度分布長さ方向加算器8aは、輝度変換する行(i)を初期化する。初期化された行(i)はこの例では行(1)である。
ステップS302において、輝度分布長さ方向加算器8aは、行(1)の輝度レベルを長さ方向にわたって変換する。
ステップS303において、輝度分布長さ方向加算器8aは、輝度変換処理する行が最大値であるか否かを判定する。
輝度変換処理する列が最大値でない場合には、処理はステップS304に遷移される。ステップS304において、輝度分布長さ方向加算器8aは、行(1)に1を加算して行(2)とする。列が最大値になるまで、ステップS302を実行し、列が最大値なった場合に、処理は次のステップS305に遷移される。
ステップS305において、輝度分布幅方向加算器8bは、輝度変換する列(j)を初期化する。初期化された列(j)は、この例では列(1)である。
ステップS306において、輝度分布幅方向加算器8bは、列(1)の輝度レベルを幅方向にわたって変換する。
ステップS307において、輝度分布幅方向加算器8bは、輝度変換処理する列が最大値であるか否かを判定する。
輝度変換処理する列が最大値でない場合には、処理はステップS308に遷移される。ステップS308において、輝度分布幅方向加算器8bは、列(1)に1を加算して列(2)とする。列が最大値になるまで、ステップS306を実行し、列が最大値になった場合に、処理は次のステップS309に遷移される。ステップS309において、幅エッジ座標演算器9aおよび長さエッジ9bは、幅エッジ座標および長さエッジ座標をそれぞれ演算する。
上述では、加算画像データのすべてにわたって、輝度レベルを変換する場合について説明したが、端部を強調することができればよいので、行および列の初期値の近傍、最大値の近傍(たとえば最初10行から最後の10行や最初の10列から最後の10列等)について輝度変換処理を実行するようにしてもよい。また、これら複数行、複数列について同時に輝度変換処理を施すようにしてももちろんよい。
上述では、行ごと、列ごとに順次変換する場合について説明をしたが、加算画像データをラインメモリやフィードメモリに記憶させて、記憶されたデータを複数行、複数列ごとに読み出して、変換してもよいし、1画面分を一気に読み出して、変換するようにしてもよい。
本実施の形態3の平面形状測定装置350の効果について説明する。
本実施の形態3の平面形状測定装置350は、輝度変換テーブル305を備えている。輝度変換テーブル305は、輝度分布長さ方向加算画像データ102および輝度分布幅方向加算画像データ103の輝度レベルに補正を施す。輝度レベルに対する補正を対数変換とすることによって、平板1のエッジ付近の輝度レベルの立ち上がりをより急峻にすることができる。エッジ付近の輝度レベルの立ち上がりを急峻にすることによって、エッジをより正確に検出することができるので、エッジ座標を誤差なく計算することができる。
輝度変換テーブル305の対数変換データを、平板1の表面温度対輝度レベルのデータにもとづいて設定することができるので、容易に変換テーブルを生成することができ、実装も容易である。
上述した実施の形態3の構成要素と、実施の形態2の構成要素とを組み合わせてもよい。この場合には、たとえばフローチャート(図9)のステップS207とステップS108との間に、ステップS301〜S308を挿入することによって容易に実装することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。