JP6736843B2 - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents
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Description
古来、住宅は木材や石材など地域の特性による材料を用い、また固有の文化に根ざした様式が人々の住まいであったが、住宅産業の発展とともに工業化が進み天然素材から人工素材への転換が行われてきた。あるいは近年では、高級な木材や石材を多用することが、森林破壊や環境問題に繋がる恐れがあることも、化粧シートの需要を拡大させる一要因となっている。
またアパートやマンション、個人住宅の室内内装工事完了後には、管理会社や美装業者による室内清掃がある。床面に散り積もった石膏ボードやパテ等接着剤の屑、埃等を水や洗剤を用いて拭き取り清掃を行う。
本実施形態では、床用の化粧シート及び化粧板を例に挙げて説明するが、他の部位に使用する化粧シート及び化粧板であっても良い。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また基材シート1における、絵柄模様層2とは反対側の面(裏面)には、樹脂層からなる裏面樹脂コート層8が設けられている。
また化粧板20は、図1に示すように、上記化粧シート10を基材11に貼り合わせることで構成される。
[基材11]
基材11としては、南洋材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(以後MDF)、日本農林規格に規定される普通合板が使用可能である。また、木紛添加オレフィン系樹脂からなる基材も使用可能である。基材11の厚さは3〜25mm程度が好適である。基材11は、アルミなどの金属板、金属製の複合版であっても良い。
樹脂製の基材シート1は、例えば着色した熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。
絵柄模様層2は、既知の印刷手法を用いて設けることが出来る。基材シート1が巻取りの状態で用意できる場合には、ロールツーロールの印刷装置で絵柄模様層2の形成のための印刷を行うことができる。印刷手法は特に限定するものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば、例えばグラビア印刷法を用いることができる。
また必要な場合には、絵柄模様層2と透明接着層3と、および透明接着層3と透明熱可塑性樹脂層4との接着性向上を目的として、絵柄模様層2の上に接着層(不図示)を設けても良い。この接着層(不図示)に用いる樹脂は特に限定するものではないが、例えば2液硬化型ウレタン樹脂などを用いることができ、例えばコーティング装置やグラビア印刷装置などを用いて設けることができる。
透明接着層3は、基材シート1および絵柄模様層2と透明熱可塑性樹脂層4の接着を強固にする目的で設けられる。この接着が強固であることによって、化粧シート10に対し、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。
[透明熱可塑性樹脂層4]
透明熱可塑性樹脂層4は、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。
透明接着層3と透明熱可塑性樹脂層4の形成は、例えば共押し出しで両者を同時に押し出して形成することができる。
透明熱可塑性樹脂層4によって、化粧シート10は意匠的に厚みや深みが出る効果を有するほか、化粧シート10の耐候性、耐磨耗性能を向上させることができる。
透明熱可塑性樹脂層4の上には表面保護層7を設ける。表面保護層7は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層7としても良い。本実施形態の化粧シート10では、図1で示すように、表面保護層7として、第1表面保護層5、および第2表面保護層6の2層が設けられている。表面保護層7が一層から構成されていても良い。この場合には、第2表面保護層6が表面保護層7となる。
表面保護層7は、曲げ加工性、耐傷付性や清掃性に関してその優劣を左右する重要な役割をもつ。表面保護層7は、硬化型樹脂を主成分とする。すなわち樹脂成分が実質的に硬化型樹脂から構成されることが好ましい。実質的とは、例えば樹脂全体を100質量部とした場合に80質量部以上を指す。表面保護層7には、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤等を含んでもよい。
第2表面保護層6は、表面保護層7の最外面に位置する最外層である。この第2表面保護層6は、変性シリコーン及び電離放射線硬化型樹脂を含有する。また、第2表面保護層6には、60度鏡面光沢を所望の光沢度に調整するために、シリカその他のマット剤が添加されている。
ここで特に清掃性を考慮して選択することが重要である。われわれはこの点に関して鋭意検討を重ねてきた結果、次の知見を見出すことができた。
すなわち、表面保護層7のうちの最外層に当たる第2表面保護層6の主成分が、紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物とすることで、床に用いた場合の耐傷つき性を満足させると同時に曲げ加工においては表面保護層7の白化や割れが発生し難くなるとの知見を得た。
このように、表面保護層7のうちの最外層に当たる第2表面保護層6の主成分が、紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物とすることで、床に用いた場合の耐傷つき性を満足させると同時に曲げ加工においては表面保護層7の白化や割れが発生し難くなる。
ここで電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常190〜380nmが好ましい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
また変性シリコーンの含有量は、樹脂成分を100質量部とした場合に、0.1質量部以上30質量部以下の範囲に調整すればよい。0.1質量部以上20質量部の範囲がより好ましく、更に、1質量部以上20質量部以上であれば更により好ましい。
ここで、変性シリコーン自体が硬化型樹脂であっても良い。すなわち、変性シリコーンの一部が、表面保護層7の主成分である硬化型樹脂の一部を兼ねていても良い。
また第2表面保護層6を構成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂の混合からなる場合には、上記変性シリコーンは、電離放射線反応性及び熱反応性の少なくとも一方からなる変性シリコーン樹脂であることが好ましい。
ここで、汚染性向上策としてシリコーン樹脂やフッ素樹脂を最表面に設定することが出来る。特にシリコーン樹脂を用いる場合は、周囲との密着性や相溶性の問題から変性シリコーンを用いることが好ましい。
またこれらの変性シリコーン製造メーカーとしては信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、旭化成ワッカーシリコーン(株)などが挙げられる。
また第2表面保護層6には、シリカその他のマット剤を添加し、その添加するマット剤及びその量の配合を調整することで、第2表面保護層6のJIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢の値が、化粧シート10の目的に応じた所望の光沢度となるように調整する。本実施形態では、所望の60度鏡面光沢として、5以上20未満の範囲、若しくは20以上35以下の範囲とする。
ここで、光沢度が高くなるほど、拭き取り性は向上するものの、意匠性がその分損なわれる。拭き取り性の向上と所要以上の意匠性の付与との兼ね合いから60度鏡面光沢の値を、5以上35以下としている。このとき、相対的に意匠性を重視する場合には、5〜20に調整し、相対的に拭き取り性の向上を重視する場合には、20〜35に調整すると良い。
第1表面保護層5については、最外層である第2表面保護層6と同様の組成の樹脂を用いてもよく、別個に樹脂の種類や組成、比率を変えたものを用いても構わない。
化粧シート10の絵柄模様層2の側に関しては以上のとおりであるが、化粧シート10を木質基材に貼り合わせて化粧板20として使用あるいはさらに部材に加工するに当たっては、樹脂製の基材シート1の表裏両面のうち絵柄模様層2の反対側の面に、シリカ粉末を含む樹脂層である裏面樹脂コート層8を設けて、木質基材11との接着強度を向上させても良い。この貼り合わせに用いる接着剤は、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体のエマルジョン型接着剤などを用いることができる。
本実施形態は、次のよう効果を奏する。
この構成によれば、耐傷つき性を付与しつつ、室内施工時に床に堆積する石膏ボードや接着剤、パテ等の屑、埃を、拭き取り易く、化粧材としての清掃性を有する化粧シート10を提供することが可能となる。特に、第2表面保護層6に変性シリコーンを含有させつつ、60度鏡面光沢を20以上35以下の光沢度に特定することで、清掃性をより向上させた化粧シート10及び化粧板を提供することが出来る。
この構成によれば、耐傷つき性を付与しつつ、室内施工時に床に堆積する石膏ボードや接着剤、パテ等の屑、埃を、拭き取り易く、化粧材としての清掃性を有する化粧シート10を提供することが可能となる。特に、第2表面保護層6に変性シリコーンを含有させつつ、60度鏡面光沢を5以上20未満の光沢度に特定することで、清掃性を向上させつつ、低光沢で意匠性の高い化粧シート10を提供することができる。
この構成によれば、化粧シート10に確実に耐汚染性を付与可能となる。
(4)変性シリコーンとして、第2表面保護層6が含む硬化型樹脂の硬化のタイプと同じ反応性の変性シリコーンを採用する。
この構成によれば、清掃性が向上しつつ、その効果が長く持続する化粧シート10を提供することが出来る。
<実施例1>
以下の材料構成および手順によって、図1と同じ層構成の化粧シート10を作成した。
(1)基材シート1として、着色ポリエチレンフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。
(3)また基材シート1の裏面に、裏面樹脂コート層8として、シリカ粉末を含有する2液ウレタン系プライマー樹脂を乾燥後の厚みが1μmとなるようにグラビア印刷によって層形成した。
(5)透明接着層3(厚さ10μm)として、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を使用し、透明熱可塑性樹脂層4(厚さ115μm)として、主成分アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン(プライムポリマー社製)を用いた。
このとき、透明接着層3と透明熱可塑性樹脂層4の積層は、透明接着層3が絵柄模様層2側になるように、両者を押出し機を用いて共押し出しして積層した。
更に、第2表面保護層6として、第1表面保護層5の上に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、シリカが内添された熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)、およびアクリル変性シリコーン(信越化学工業(株)製)を7:3:1の混合比率になるように調製し、そこへイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス社製)を混合した塗液を乾燥後の厚さ6μmで塗工して、第2表面保護層6を形成した。
(7)続いて紫外線照射(高圧水銀灯、200mJ/cm2)により、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂およびアクリル変性シリコーンを硬化させて実施例1の化粧シート10を得た。
実施例1に記載の(6)以降の手順において下記のように変更して実施例2の化粧シート10を作製した。
すなわち、(6)第1表面保護層5の形成として、シリカが内添された熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)およびイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス社製)を混合した塗液を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。
(7)続いて紫外線照射(高圧水銀灯、200mJ/cm2)により、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ実施例2の化粧シート10を得た。
実施例1に記載の(6)以降の手順において下記のように変更して実施例3の化粧シート10を作製した。
すなわち、(6)第1表面保護層5の形成として、シリカが内添された熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)およびイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス社製)を混合した塗液を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。
(7)続いて紫外線照射(高圧水銀灯、200mJ/cm2)により、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ実施例3の化粧シート10を得た。
実施例1に記載の(6)以降の手順において下記のように変更して実施例4の化粧シート10を作製した。
すなわち、(6)第1表面保護層5の形成として、シリカが内添された熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)およびイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス社製)を混合した塗液を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。
その際、JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が20になるように、第1表面保護層5にシリカからなるマット剤を内添した熱硬化型アクリルウレタン樹脂及び第2表面保護層6に対し、シリカからなるマット剤を含有した紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂の含有量を調整した。
(7)続いて紫外線照射(高圧水銀灯、200mJ/cm2)により、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂およびアクリル変性シリコーンを硬化させ実施例4の化粧シート10を得た。
実施例1に記載の(6)以降の手順において下記のように変更して実施例5の化粧シート10を作製した。
すなわち、(6)第1表面保護層5の形成として、シリカが内添された熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)およびイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス社製)を混合した塗液を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。
その際、JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が20になるように、第1表面保護層5にシリカからなるマット剤を含有する熱硬化型アクリルウレタン樹脂、及び第2表面保護層6にシリカからなるマット剤を含有する紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂の各含有量を調整した。
(7)続いて紫外線照射(高圧水銀灯、200mJ/cm2)により、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ実施例5の化粧シート10を得た。
実施例1に記載の(6)以降の手順において下記のように変更して実施例6の化粧シート10を作製した。
すなわち、(6)第1表面保護層5の形成として、シリカが内添された熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)およびイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス社製)を混合した塗液を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。
その際、JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が20になるように、第1表面保護層5にシリカからなるマット剤を内添した熱硬化型アクリルウレタン樹脂及び第2表面保護層6にシリカからなるマット剤を内添した紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂の各含有量を調整した。
(7)続いて紫外線照射(高圧水銀灯、200mJ/cm2)により、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ化粧シート10を得た。
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が5になるように、第1表面保護層5及び第2表面保護層6の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例7の化粧シート10を作成した。
<実施例8>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が8になるように、第1表面保護層5及び第2表面保護層6の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例8の化粧シート10を作成した。
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が27になるように、第1表面保護層5及び第2表面保護層6の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例9の化粧シート10を作成した。
<実施例10>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が35になるように、第1表面保護層5及び第2表面保護層6の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例10の化粧シート10を作成した。
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が3になるように、第1表面保護層5及び第2表面保護層6の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の化粧シート10を作成した。
<比較例2>
JIS Z 8741に準拠する60度鏡面光沢値が40になるように、第1表面保護層5及び第2表面保護層6の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の化粧シート10を作成した。
実施例1〜実施例10、比較例1、比較例2で作成した化粧シート10を厚み3mmのMDF(広葉樹)の表面に貼り合わせて評価用の化粧板とした。
貼り合わせのための接着剤として、2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業社製リカボンド(登録商標)BA−10L/BA−11B=100:2.5)を用い、ウエット状態で100g/m2の塗工量で貼り合わせた。次いで24時間養生して化粧板(評価用の化粧板)とした。
実施例1〜実施例10、比較例1および比較例2の材料構成、手順によって作成した化粧シート10をもちいた化粧板を下記の評価項目および評価方法によって試験、評価した。
(1)60度鏡面光沢値測定
試験方法はJIS Z 8741に準拠して行った。
吉野石膏製「タイガーパテ120」(下地、仕上げ兼用)を各化粧板に手塗りし、1時間養生後、水を硬く絞ったモップで拭き取り、更に乾拭きにて拭き取った。
そして、拭きムラ確認として、10人の試験員によって官能試験を実施した。
評価の指標は次の通りである。
○:良いとした人 7人〜10人
△:良いとした人 1人〜6人
×:とした人 0人
各化粧板の化粧材としての光沢意匠性を、10人の試験員に対し官能試験を実施した。
評価の指標は次の通りである。
○:良いとした人 7人〜10人
△:良いとした人 1人〜6人
×:良いとした人 0人
塩化ビニル素材のスリッパに45g/cm2の荷重を加えた状態で200000往復摺動運動させた。その後、黒マジックで汚染し、乾拭きで拭き取った。評価の指標は次の通りである。
○:全面拭き取れる
△:一部拭き取れる
×:拭き取れない
(2)〜(4)の評価を総合した。指標は次の通りである。
◎:○評価が3つのもの
○:○評価が2つで△評価が1つのもの
△:○評価が1つで△評価が2つのもの
×:1つ以上×評価があるもの
相対的に60度鏡面光沢が3の比較例1においては、拭き取り後のムラが目立ち易いことが確認された。これは光沢値が、拭きムラの目立ちやすさに効果があることを示している。
これらの結果を総合すると、最外面の60度鏡面光沢が、5以上35以下であることによって、化粧材としての清掃性と意匠性を有する化粧シート10を提供することが可能になることがわかる。
ここで、60度鏡面光沢が5以上20未満の実施例7,8においては、他の実施例に比べて拭き取り性が相対的にやや落ちるものの、他の実施例に比べて意匠性がやや良好になっていたことを確認している。
以上の結果から、本発明によれば、清掃性を有し、化粧材としての意匠性を有する化粧シート10を提供することが可能であることを検証することができた。
2・・・絵柄模様層
3・・・透明接着層
4・・・透明熱可塑性樹脂層
5・・・第1表面保護層
6・・・第2表面保護層
7・・・表面保護層
8・・・裏面樹脂コート層(樹脂層)
11・・基材
10・・化粧シート
20・・化粧板
Claims (9)
- 樹脂製の基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層がこの順で形成され、
上記表面保護層の最外面に位置する最外層は、シリカからなるマット剤、変性シリコーン及び電離放射線硬化型樹脂を含有し、且つJIS Z 8741に準拠した60度鏡面光沢が20以上35以下であり、
上記最外層以外の上記表面保護層は、シリカからなるマット剤及び熱硬化型樹脂を含有し、
上記変性シリコーンは、アルコール変性シリコーン又はポリエーテル変性シリコーンであり、
上記透明接着層は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする化粧シート。 - 樹脂製の基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層がこの順で形成され、
上記表面保護層の最外面に位置する最外層は、シリカからなるマット剤、変性シリコーン及び電離放射線硬化型樹脂を含有し、且つJIS Z 8741に準拠した60度鏡面光沢が5以上20未満であり、
上記最外層以外の上記表面保護層は、シリカからなるマット剤及び熱硬化型樹脂を含有し、
上記変性シリコーンは、アルコール変性シリコーン又はポリエーテル変性シリコーンであり、
上記透明接着層は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする化粧シート。 - 上記変性シリコーンを、上記最外層を構成する樹脂成分を100質量部とした場合、0.1質量部以上30質量部以下含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した化粧シート。
- 上記変性シリコーンは、電離放射線反応性の変性シリコーンを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した化粧シート。
- 上記電離放射線硬化型樹脂は、紫外線硬化型樹脂であり、
上記最外層は、上記紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂との混合物で形成され、
上記混合物の含有量は、上記最外層の全量に対して70質量%以上であり、
上記混合物のうち、上記紫外線硬化型樹脂の含有量は、80質量%以上90質量%以下の範囲内であり、上記熱硬化型樹脂の含有量は、10質量%以上20質量%以下の範囲内であり、
上記変性シリコーンは熱反応性の変性シリコーンを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した化粧シート。 - 上記熱硬化型樹脂は熱硬化型アクリルウレタン樹脂であり、
上記電離放射線硬化型樹脂は紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂であることを特徴とする請求項5に記載した化粧シート。 - 上記最外層の層厚は、上記最外層以外の上記表面保護層の層厚よりも薄いことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した化粧シート。
- 上記透明熱可塑性樹脂層は、アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載した化粧シート。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の化粧シートを用いて作製した化粧板。
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