以下、本発明の実態の形態について添付図面を参照して説明する。図1〜図6は、本発明の一実施形態である薬液供給装置1の外観構成を、図7及び図8は、図1〜図6の薬液供給装置1の内部構成を、それぞれ示している。なお、本実施形態の薬液供給装置1は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗用の給水受皿(図示せず)上に設置されるタイプのものを例に挙げている。本実施形態の薬液供給装置1は、図2に示す正面側を手前にし、図3に示す背面側を奥にして、給水受皿上に設置される。
薬液供給装置1は、芳香、消臭、便器の洗浄のための薬液を収容する薬液容器2と、薬液容器2が取り付けられるカップ状の支持体3と、薬液容器2及び支持体3の間に介在する中蓋4とを備えている。この薬液供給装置1は、支持体3の底面部30から突き出る案内部材5及び長脚33が給水受皿の排水口(図示せず)に挿入されるようにして給水受皿に設置される。以下、薬液供給装置1の各部材について、詳細に説明するが、薬液容器2は、使用時には、口部21が下方を向く上下逆さの状態で支持体3に取り付けられるので、本発明では、薬液容器2の口部21側を「下側」、胴部20側を「上側」としている。
まず、薬液容器2は、図9〜図16に示すように、薬液を収容可能な胴部20と、胴部20に連続して一体形成された円筒状の口部21とを有する構成のものである。薬液容器2は、一部又は全体が透明又は半透明の材料で構成され、外部から薬液の残量が確認できる。この薬液容器2としては、例えばガラス製や合成樹脂製などとすることができる。
薬液容器2の口部21の端部には、薬液を排出するための排出口22が形成されている。口部21には、キャップ23が着脱可能に被せられ、キャップ23により排出口22が塞がれて薬液容器2内が密閉される。
薬液容器2の胴部20は、本実施形態では、平面視において、楕円の長径方向の一端を先の尖らせた形にした涙滴型となるように形成されている。胴部20は、略平坦な上端面25及び下端面26と、上端面25及び下端面26の間の側面27とを有しており、側面27は、外周縁24を境にして、下方に向かうに連れて径方向外側に広がる上側面27A及び径方向内側に狭まる下側面27Bを有している。ここで、外周縁24は、平面視において胴部20の外形を形作っている線(輪郭)を指すが、本実施形態では、外周縁24が側面視において正面側から背面側に向けて斜め上方を向いて傾斜するように、胴部20が形成されている。また、本実施形態では、側面27(上側面27A及び下側面27B)が角張った多角形状をなすように、胴部20が形成されている。
次に、支持体3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製であり、図17〜図24に示すように、上部に開口を有し、平面視において涙滴型に形成されている。支持体3は、底面部30及び側面部31と、底面部30に着脱可能に取り付けられるカバー部材6とを備えており、側面部31の上端縁が上部開口の開口縁32となっている。
支持体3の側面部31には、薬液の芳香成分を外部に拡散させるための開口O1が複数形成されている。また、側面部31は、上端が斜めに切り欠かれており、支持体3に薬液容器2が取り付けられる際に開口縁32に合わされる薬液容器2の外周縁24と同じく、開口縁32が側面視において正面側から背面側に向けて斜め上方を向いて傾斜している。
支持体3の底面部30には、その下面に、2本の長脚33と、長脚33の周囲に配置された4本の短脚34とが突き出るようにして設けられている。長脚33は給水受皿の排水口に挿入可能である。短脚34は長脚33が給水受皿の排水口に挿入された状態で、支持体3を給水受皿上にほぼ水平に支持する。底面部30の上面には、カバー部材6の周壁(以下、「内側周壁」という。)61の外側に重ね合わされる平面視略矩形枠状の周壁(以下、「外側周壁」という。)35が設けられている。
カバー部材6は、平面視略矩形状の上面部60と、上面部60から垂下する略矩形枠状の内側周壁61とを備えており、内側周壁61を支持体3の底面部30上の外側周壁35の内側に嵌め合わせることで、カバー部材6が底面部30に装着される。カバー部材6は、上面部60の内側周壁61の外側において垂下する略矩形枠状の囲繞壁62をさらに備えている。囲繞壁62の下端部には、互いに対向する位置に、水平に延びる一対の板状の係止片63が設けられている。支持体3の底面部30上には、互いに対向する位置に一対の係止爪36が設けられており、この係止爪36がそれぞれ対応する係止片63に引っ掛かることで、カバー部材6が底面部30に固定される。
カバー部材6の上面部60は、その中央に位置する平面視円形状の下段部分60aと、下段部分60aより高い位置にある下段部分60aの周囲の上段部分60bとからなる。下段部分60aの中央位置には、薬液容器2の排出口22に接続され、薬液容器2内の薬液を外部へ排出させる排出部材64が設けられている。
排出部材64は、下段部分60aの上面から突き出る円筒状の接続部64aと、下段部分60aの下面から突き出た、接続部64aよりも小径の円筒状の細管部64bとを備える。接続部64aは、上端が斜めに切り欠かれており、薬液容器2の排出口22に接続される。接続部64aと細管部64bとは、接続部64a内の下段部分60aに形成された流通孔64cを介して連通しており、接続部64a及び細管部64bの内部は、薬液を薬液容器2から案内部材5に通す薬液通路を構成している。下段部分60aの接続部64a内でありかつ細管部64bの周囲には、連通孔65が複数(図示例では3個)形成されている。
支持体3には、底面部30にカバー部材6を装着することで、図23及び図24に示すように、薬液が貯留可能な空間を有する緩衝室7が形成される。緩衝室7は、薬液容器2から排出される薬液の量を調整する役割を果たすものである。緩衝室7は、細管部64bとは仕切られており、緩衝室7には、連通孔65を介して、薬液容器2から接続部64aに排出された薬液の一部が導入される。また、緩衝室7には、緩衝室7内に空気を流入させる空気孔70が形成される。
空気孔70は、外側周壁35及び内側周壁61で構成される緩衝室7の側壁に形成される。本実施形態では、支持体3の外側周壁35の上端部が凹状に切り欠かれることで、外側周壁35に貫通穴71が形成されている。一方で、カバー部材6の内側周壁61には、その上端部から下端部まで上下方向に延びるスリット72が形成されている。このスリット72は、外側周壁35の貫通穴71に対応する位置に形成されており、カバー部材6を底面部30に装着して、貫通穴71とスリット72とを一致させることで、水平方向を向く空気孔70が緩衝室7の側壁に形成される。本実施形態では、空気孔70は、緩衝室7の側壁の対向する2辺の幅中央部に各々形成されている。
なお、空気孔70の配置は、必ずしもこの実施形態に限られるものではなく、緩衝室7の側壁のいずれの位置であっても形成することができる。また、本実施形態では、緩衝室7の側壁の上端部に空気孔70が形成されているが、上端部よりも下方位置に形成することもできる。ただし、あまりに下方に配置すると、給水受皿に供給された水が支持体3の内部へ浸入したときに、その水が空気孔70を通って緩衝室7内に浸入するおそれがあるので好ましくない。また、本実施形態では、カバー部材6の内側周壁61に縦長のスリット72を形成することにより空気孔7を形成しているが、内側周壁61にも外側周壁35と同じように貫通穴を設け、貫通穴同士を一致させることで、空気孔70を形成してもよい。また、内側周壁61に貫通穴を形成し、外側周壁35に縦長のスリットを形成することにより空気孔70を形成してもよく、さらに、内側周壁61及び外側周壁35ともに縦長のスリットを形成することにより空気孔70を形成してもよい。また、本実施形態では、空気孔70が水平方向を向いているが、水平方向よりも下向き(斜め下向き)になるように形成してもよい。また、空気孔70は、必ずしも緩衝室7の側壁に設けられている必要はなく、緩衝室7の上壁(カバー部材6の上面部60)に形成されていてもよい。
上記構成の緩衝室7は、薬液容器2の温度変化に対して次のように作用をする。例えば、図7及び図8において、温度が上昇して薬液容器2が暖められた場合には、薬液容器2内の空気が膨張して薬液容器2内は正圧になる。この場合、薬液容器2内の薬液は押し出されて排出口23から排出されるが、排出された薬液は、排出部材64から案内部材5に供給される他、連通孔65を介して緩衝室7にも流れ込む。そのため、薬液が案内部材5へ過剰に供給されるのが防止される。
一方、流水で冷やされるなどして、薬液容器2の温度が低下すると、薬液容器2内の空気が収縮して薬液容器2内は負圧になる。この場合には、空気孔70の作用により大気圧又は室内圧となっている緩衝室7内の薬液が、連通孔65を介して薬液容器2内へ吸い込まれる。したがって、案内部材5上の水又は薄められた薬液が排出部材64を通って薬液容器2側に戻されるのが抑制される。また、薬液容器2内の負圧によって薬液の排出が制限されるのが防止される。
このように、緩衝室7によって、温度変化によって薬液容器2内に圧力変化が生じた場合でも、薬液容器2と緩衝室7との間での薬液の流通が生じるため、薬液容器2内の薬液が過剰に流出するあるいは流出が制限されるのを防止することができる。
図17〜図24に戻って、支持体3の底面部30には、外側周壁35に囲まれた領域の中央位置に、平面視円形状の貫通孔37が形成されている。この貫通孔37に、排出部材64の細管部64bが嵌入される。
底面部30の下面には、貫通孔37を横切るようにして、案内部材5が設けられている。案内部材5は、細管部64bから排出された薬液を下方へと案内する板状のものであり、案内部材5の上端面には、細管部64b内に嵌入する突起50が一体に設けられている。突起50の外側面には、上端から下端まで延びる縦溝(図示せず)が形成されており、縦溝により、細管部64bの内周面との間に薬液の導出路が形成されている。縦溝の断面形状は、半円状の他、三角形や四角形などの角状など、種々の形状とすることができ、縦溝の断面寸法は、毛管作用により薬液が導出路に沿って導出され得る程度とするのが望ましい。また、底面部30上の貫通孔37の周囲には、細管部64bと突起50との嵌合状態を確実に保持するために、細管部64bの外側に嵌合する環状突起38が設けられている。
案内部材5は、上端部が細管部64bの下端に当接している。案内部材5の表裏の板面には、上下方向に延びる多数の細溝51が形成されている。この案内部材5は、2本の長脚33の間に位置しており、長脚33とともに給水受皿の排水口に挿入される。ただし、案内部材5は長脚33よりもやや短く形成されており、その下端部のみが排水口に挿入可能となっている。底面部30の下面の案内部材5と長脚33との間には、案内部材5を囲む遮蔽部材39が突き出るように設けられている。遮蔽部材39は、案内部材5よりもさらに短く形成されており、長脚33は支持体3を排水口に位置決めし、案内部材5は排水口に流下する水に接することで、案内部材5上の薬液が水に洗い流されて貯水タンクの中に流れ込む。一方、遮蔽部材39は、流下する水が支持体3内に逆流するのを規制している。
また、底面部30の外側周壁35の外側位置には、支持体3の内部に浸入した水を外部へ排出するための開口O2が複数形成されている。
最後に、中蓋4は、図25〜図32に示すように、上部に開口を有し、平面視において涙滴型に形成されている。中蓋4は、本実施形態では、側面をなす周壁部40と、周壁部40の下端縁に連続して設けられる底面部41とを備えており、周壁部40の上端縁42が上部開口の開口縁となっている。使用時において、周壁部40は、薬液容器2の外周縁24より下側の下側面27Bと対向する部分となり、底面部41は、薬液容器2の下面26と対向する部分となる。
底面部41の下面には、周壁部40と境界位置でありかつ互いに対向する位置に、一対の垂下する係止爪43が設けられている。支持体3の側面部31の下端位置でありかつ互いに対向する位置には、内向きに延びる一対の係止突起44が設けられており、この係止突起44にそれぞれ対応する係止爪43が下方から引っ掛かることで、中蓋4が支持体3に取り付けられ、固定される。
周壁部40は、上端が斜めに切り欠かれており、支持体3に薬液容器2が取り付けられる際に上端縁42に合わされる薬液容器2の外周縁24と同じく、上端縁42が側面視において正面側から背面側に向けて斜め上方を向いて傾斜している。また、周壁部40は、上端縁42が薬液容器2の外周縁24よりも一回り大きくなるように、形成されている。これにより、図2〜図4及び図6に示すように、中蓋4を薬液容器2と支持体3との間に介在させた状態においては、中蓋4の上端縁42が平面視において薬液容器2の外周縁24よりも外側に突き出る。よって、使用時に給水管から薬液容器2上に落下し、薬液容器2の表面に沿って流れ落ちて薬液容器2の外周縁24まで伝わった水が、薬液容器2の外周縁24と中蓋4(周壁部40)の上端縁42との間の不可避的に生じる隙間から薬液供給装置1の内部に浸入する場合でも、薬液供給装置1内に浸入した水は、薬液容器2の下側面27Bではなく、中蓋4の周壁部40の薬液容器2側の面を伝いながら底面部40に誘導されやすくなる。そのため、薬液供給装置1内に浸入した水が薬液容器2の下側面27Bを伝って支持体3内に落下することを抑制することができる。
また、周壁部40は、本実施形態では、上端縁42よりも下端縁が内側に位置するように、底面部41に対して90°より大きい傾斜角度をもって外側に傾斜しており、薬液容器2の下側面27Bの形状に対応させて、側面視において正面側から背面側に向けて次第に傾斜角度が小さくなるように、形成されている。さらに、周壁部40は、薬液容器2の下側面27Bの形状に対応させて、角張った多角形状をなすように形成されている。このように、中蓋4の周壁部40における下側面27Bと対向する側の面を、薬液容器2の下側面27Bの形状に対応した形状とすることで、薬液供給装置1内に浸入した水は、より薬液容器2の下側面27Bではなく中蓋4の周壁部40の薬液容器2側の面を伝って底面部40に誘導されやすくなる。そのため、薬液供給装置1内に浸入した水が薬液容器2の下側面27Bを伝って支持体3上に落下することをさらに効果的に抑制することができる。
次に、底面部41は、略中央位置に、薬液容器2の口部21を貫通可能な大きさの平面視円形状の貫通孔45が形成されている。貫通孔45の径は、本実施形態では、カバー部材6の上面部60の下段部分60aの径と一致しており、中蓋4を支持体3に取り付けた際には、貫通孔45は下段部分60aの上方に位置する。この貫通孔45を通して薬液容器2の口部21の排出口22に排出部材64の接続部64aをキャップ23を貫通して刺し込むことで、薬液供給装置1が組み立てられる。
この底面部41の貫通孔45は、本実施形態では、薬液容器2の外周縁24と周壁部40の上端縁42との間から薬液供給装置1内に浸入しかつ周壁部40により下方に誘導されて底面部41まで伝わった水を排出するための排水孔としても機能している。貫通孔45の下方にはカバー部材6の上面部60の下段部分60aが位置しており、下段部分60aにおける排出部材64より外側の部分は、空気孔70などの緩衝室7内と連通する孔が形成されていないため、薬液供給装置1内に浸入した水が貫通孔45(排水孔)から支持体3内に落下しても、緩衝室7内に浸入することを防止することができる。
なお、貫通孔45は、必ずしもカバー部材6の上面部60の下段部分60aの径と一致している必要はなく、下段部分60aの径より大きくてもよい。この場合には、薬液供給装置1内に浸入した水は貫通孔45(排水孔)からカバー部材6の上面部60の上段部分60bに落下するが、本実施形態では上段部分60bにも、空気孔70などの緩衝室7内と連通する孔が形成されていないため、薬液供給装置1内に浸入した水が緩衝室7内に浸入することを防止することできる。
また、図33に示すように、底面部41の貫通孔45の外側位置に、別途、排水孔46を形成してもよい。排水孔46は、貫通孔45を取り囲むようにして形成することが好ましく、図示例では、複数の排水孔46が、貫通孔45の周囲に、周方向に間隔をあけて形成されている。なお、排水孔46の数及び配置は、必ずしも図示例のものに限定されず、種々の数及び配置にすることができる。この場合においても、薬液供給装置1内に浸入した水は排水孔46からカバー部材6の上面部60の上段部分60bに落下するが、本実施形態では上段部分60bに空気孔70などの緩衝室7内と連通する孔が形成されていないため、薬液供給装置1内に浸入した水が緩衝室7内に浸入することを防止することできる。
ただし、カバー部材6の上面部60の上段部分60bに空気孔70が形成されている場合には、薬液供給装置1内に浸入した水を下段部分60aに落下させることが好ましい。
中蓋4の周壁部40及び底面部41の少なくとも薬液容器2側の面は、金属光沢を有している。例えば、メッキ処理を施したり塗料を塗布したりすることで、金色や銀色、銅色などの金属光沢のある色彩を付すことができる。中蓋4の周壁部40及び底面部41の薬液容器2側の面に金属光沢のある色彩が付されていると、薬液容器2が透明又は半透明である場合には、中蓋4の金属光沢により、薬液容器2の外部から透けて中蓋4の表面がキラキラと輝いて視認されるので、薬液供給装置1の意匠性(デザイン性)を向上させることができる。
また、底面部41は、周壁部40と同様に、薬液容器2側の面(下端面26と対向する側の面)が、角張った多角形状をなすように形成されている。このように、中蓋4の周壁部40及び底面部41の薬液容器2側の面が角張った形状であると、中蓋4の金属光沢が薬液容器2を通してより輝いて見えるので、薬液供給装置1の意匠性(デザイン性)をより向上させることができる。
なお、中蓋4は、周壁部40及び底面部41の薬液容器2側の面だけでなく、全表面に金属光沢のある色彩を付してもよい。
上記した本実施形態の薬液供給装置1は、水洗トイレ用貯水タンクの給水受皿上に設置されると、薬液容器2内の薬液が、排出部材64から案内部材5に排出され、案内部材5の表面の薬液がフラッシュ時に給水受皿に供給される水に洗い流されて、排水口から貯水タンクに流れ込む。
このとき、給水受皿上の給水管から薬液容器2上に落下した水は、薬液容器2の表面に沿って流れ落ちて薬液容器2の外周縁24と支持体3の開口縁32との重ね合わせ部分まで伝わるが、薬液容器2と支持体3との間に中蓋4が介在しているので、水は、中蓋4の周壁部40の上端縁42と薬液容器2の外周縁24との間に不可避的に生じる隙間から薬液供給装置1内に浸入する場合がある。しかしながら、薬液供給装置1内に浸入した水は、中蓋4の周壁部40により下方に誘導されて底面部41まで伝わった後、底面部41の排水孔(本実施形態では貫通孔45)から支持体3内に落下する。なお、薬液供給装置1内に浸入した水が、仮に薬液容器2の下側面27Bを伝わった場合であっても、意図しない所定以外の位置で中蓋4に落下した後の水は、中蓋4の周壁部40により下方に誘導されて、底面部41の排水孔から支持体3内に落下する。そして、支持体3の貫通孔45の下方位置には、カバー部材6の上面部60の下段部分60aが存在しており、下段部分60aにおける排出部材64より外側の部分には、空気孔70などの緩衝室7内と連通する孔が形成されていない。そのため、薬液供給装置1内に浸入した水が貫通孔45(排水孔)から支持体3内に落下しても、緩衝室7内に浸入することを防止することができるので、緩衝室7内の薬液が薄められることが防止される。その結果、緩衝室内7の薬液が温度変化により薬液容器2内に吸収されても、薬液容器2内の薬液の希釈化が防止され、薬液容器2から排出される薬液濃度を適正に保つことができる。よって、安定した薬液の供給が可能となる。
このように、本発明では、薬液供給装置1内に水が浸入した場合でも、浸入した水が中蓋4により支持体3内の予め意図した所定の位置に落下させることができるので、支持体3内の水が落下する位置に空気孔70などの緩衝室7内と連通する孔を形成しないようにすることで、薬液供給装置1内に浸入した水が緩衝室7内に浸入することを防止することができる。
また、本実施形態の薬液供給装置1は、中蓋4の周壁部40の薬液容器2の下側面27Bと対向する側の面が、薬液容器2の下側面27Bの形状に対応した形状であるので、薬液供給装置1内に浸入した水は、より薬液容器2の下側面27Bではなく中蓋4の周壁部40の表面を伝って底面部41に誘導される。したがって、薬液供給装置1内に浸入した水を、中蓋4によってより効果的に支持体3内の所定の位置に落下させることができるので、緩衝室7内に浸入することをさらに好適に防止することができる。
また、本実施形態の薬液供給装置1は、中蓋4の周壁部40の上端縁42が平面視において薬液容器2の外周縁24よりも外側に突き出ているので、薬液容器2の表面から薬液容器2の外周縁24と支持体3の開口縁32との重ね合わせ部分に伝わる水を、中蓋4の周壁部40に率先して誘導できる。すなわち、中蓋4の下面に水が伝わることを抑制することができる。その結果、薬液供給装置1内に浸入した水を、中蓋4によってより効果的に支持体3内の所定の位置に落下させることができるので、緩衝室7内に浸入することをさらに好適に防止することができる。
また、本実施形態の薬液供給装置1は、中蓋4の周壁部40の上端縁42が側面視において正面側から背面側に向けて斜め上方を向くように傾斜しているので、薬液容器2の表面から薬液容器2の外周縁24と支持体3の開口縁32との重ね合わせ部分に伝わる水を、中蓋4の周壁部40の上端縁42により、斜め下方に向けて流し落として、薬液供給装置1の側面視における正面側の端部から落下するように誘導することができる。これにより、水が薬液供給装置1内に浸入することを抑制することができる。
加えて、薬液供給装置1を給水受皿上に、図2に示す正面側を手前にし、図3に示す背面側を奥にして設置した場合に、中蓋4の周壁部40の上端縁42が奥側に向けて斜め上方を向くので、薬液容器2を透して、特に中蓋4の周壁部40が外部から視認しやすくなる。そして、中蓋4の周壁部40及び底面部41の表面に金属光沢のある色彩が付されていることで、この中蓋4の金属光沢により、薬液容器2の外部から中蓋4の表面をキラキラと輝かせることができる。よって、薬液供給装置1をよりデザイン性の優れたものとすることができる。さらに、中蓋4の周壁部40及び底面部41の表面を角張った形状とすることで、中蓋4の金属光沢がより輝いて見えるので、薬液供給装置1をさらに効果的にデザイン性の優れたものとすることができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、中蓋4の周壁部40及び底面部41の薬液容器2側の面(表面)を角張った形状としているが、必ずしも角張った形状とする必要はなく、平面又は滑らかな曲面に形成してもよい。
また、上記した実施形態では、中蓋4の周壁部40及び底面部41の薬液容器2側の面(表面)が金属光沢を有しているが、必ずしも金属光沢を有している必要はない。
また、上記した実施形態では、中蓋4の周壁部40の上端縁42、薬液容器2の外周縁24及び支持体3の開口縁32を側面視において正面側から背面側に向けて斜め上方を向くように傾斜させているが、必ずしも傾斜させる必要はなく、例えば水平方向に延びていてもよい。
また、上記した実施形態では、中蓋4の周壁部40の薬液容器2側の面(下側面27Bと対向する側の面)を薬液容器2の下側面27Bの形状に対応した形状としているが、必ずしも薬液容器2の下側面27Bの形状に対応した形状とする必要はない。
また、上記した実施形態では、中蓋4の周壁部40が底面部41に対して90°より大きい傾斜角度をもって外側に傾斜しているが、必ずしも周壁部40は傾斜している必要はなく、底面部41に対して垂直に立ちあがっていてもよい。
また、上記した実施形態では、中蓋4は、周壁部40及び底面部41を備えた構成となっているが、必ずしも底面部41を備えている必要はなく、周壁部40だけを備え、周壁部40に、周壁部40の上端縁42と薬液容器2の外周縁24との間から浸入しかつ周壁部40により下方に誘導される水を排出する排水孔46を形成した構成としてもよい。
また、上記実施形態では、薬液容器2の胴部20の側面27を、角張った形状としているが、必ずしも角張った形状とする必要はなく、滑らかに湾曲していてもよい。また、薬液容器2の胴部20は、略平坦な上端面25を有しているが、必ずしも上端面25を有している必要はなく、上側面27Aの頂部が丸く凸状に湾曲していてもよい。また、薬液容器2の胴部20の側面27は、外周縁24を境に上側面27A及び下側面27Bを有しているが、必ずしも下側面27Bを有している必要はなく、上側面27Aに下端面26が連続して設けられていてもよい。
また、上記した実施形態では、カバー部材6は、支持体3の外側周壁35の内側に内側周壁61が嵌合する内側嵌合構造となっているが、その逆の、カバー部材6側の周壁が支持体3側の周壁の外側に嵌合する外側嵌合構造としてもよい。
また、上記した実施形態では、薬液容器2の排出口22が1つであり、これに対応して支持体3に緩衝室7などを1つ設けたタイプの薬液供給装置1について、本発明が適用されているが、これらを各々2つ以上設けたタイプの薬液供給装置(例えば特開2006−283539号公報などを参照)に対しても本発明を適用することができる。
また、上記した実施形態では、案内部材5を支持体3の下方へ突出させ、案内部材5を給水受皿の排水口に挿入して案内部材5を介して薬液を排水口に排出しているタイプの薬液供給装置1について、本発明が適用されているが、薬液を給水受皿上に直接排出する薬液供給装置(例えば特開2004−300665号公報などを参照)に対しても本発明を適用することができる。
また、上記した実施形態では、水洗トイレの貯水タンク上に配置されるタイプの薬液供給装置1について、本発明が適用されているが、便器のリムに吊り掛けて使用されるタイプの薬液供給装置(例えば特開2009−57768号公報などを参照)に対しても本発明を適用することができる。