図1はこの発明の実施形態であるペット用循環型自動給水器を示す斜視図、図2は平面図、図3は正面図、図4は側面断面図である。
これらの図に示すように、この実施形態のペット用循環型自動給水器は、犬や猫等のペット用として好適に用いられるものである。この給水器は、ウォーターボウル1と、トップファンネル3とを基本的な構成要素として備えている。
なお、以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、図2の平面図に向かって下側を「前側」、上側を「背面側(後側)」、左側を「左側」、右側を「右側」とし、図3の正面図に向かって下側を「下側」、上側を「上側」として説明する。
ウォーターボウル1は、例えば硬質合成樹脂の成形品によって構成されており、平面視形状が略円形に形成された底壁11と、その底壁11の外周縁部に立ち上がり状に一体形成され、かつ平面視形状が略円環状に形成された周囲壁12とを備えている。このウォーターボウル1は、上方に開放されており、さらに周囲壁12は、二重壁構造によって構成されている。
図4および図5に示すようにウォーターボウル1の内面における前後方向の中間部よりもやや後側の位置に、ウォーターボウル1を前後に仕切る仕切壁15が立ち上がり状に一体形成されている。仕切壁15は、その左右方向の中間部が前方に膨出するように形成されており、その膨出部が半円筒形状の柱状部151として構成されている。
ウォーターボウル1内における仕切壁15よりも前側の部分は貯水室20として構成されるともに、仕切壁15よりも後側の部分はポンプ室23として構成されている。
またウォーターボウル1内の貯水室20における底壁11には、仕切壁15の近傍に、下側に凹んだ凹陥部16が形成されている。この凹陥部16は、平面視において半円扇型状に形成されており、凹陥部16の弦に相当する部分が仕切壁15に隣接するとともに、円弧に相当する部分が、ウォーターボウル1の周囲壁12の前半周部から内側に所定の間隔をおいて配置されている。
なお後述するが、ウォーターボウル1内の貯水室20のうち、凹陥部16に対応する領域が、排水ゾーン22として構成されるとともに、それ以外の領域、つまりウォーターボウル1内の排水ゾーン22の外側における周囲壁12の前半周部に沿った領域が、緩流水路21として構成されている。
本実施形態において、凹陥部16は排水ゾーン22(貯水室20)の一部を構成するものではなく、排水ゾーン22と凹陥部16とは互いに別の部位として捉えている。
また本実施形態において貯水室20(排水ゾーン22)の底壁の上面位置は、凹陥部16の上端開口面と一致するようになっている。
図5に示すように、仕切壁15の下端部の左側(一端側)および右側(他端側)には、凹陥部16内に対応して、切欠状の通水口17,17が形成されている。そしてウォーターボウル1内において、ポンプ室23と排水ゾーン22とが凹陥部16および通水口17,17を介して通水可能に連通されており、排水ゾーン22内の飲用水Wが凹陥部16および通水口17,17を介してポンプ室23に流入されるようになっている。
ここで本実施形態においては、凹陥部16および通水口17によって通水路が構成されている。さらにこの通水路16,17の一端側開口(上流側開口)は、凹陥部16の上端開口によって構成されるとともに、通水路16,17の他端側開口(下流側開口)は、通水口17によって構成されている。つまり、通水路16の一端側は、排水ゾーン22(貯水室20)の底面に開口されるとともに、他端側は、ポンプ室23に開口されている。
凹陥部16内には、その前後の内周壁面に沿ってフィルター設置用段部161が形成されている。この段部161の上端位置は、凹陥部16の上端開口面(排水ゾーン22の底面)よりも、後述するフィルター25の厚みの分だけ下方に配置されている。
フィルター25は、平面視において、凹陥部16の形状に対応して、半円扇形に形成されている。そしてこのフィルター25が、凹陥部16に嵌め込まれて適合状態に収容されている。このようにフィルター25を設置した状態では、フィルター25の下面側が凹陥部16内の段部161に支持されることによって、フィルター25の下面と凹陥部16の底面との間に間隔が設けられ、その間に水路が形成される。さらにフィルター25の上面が凹陥部16の上端開口面に一致し、排水ゾーン22(貯水室20)の底面として構成されるようになっている。
この構成においては、排水ゾーン22内の飲用水Wは、フィルター25を介して通水路16,17を通過してポンプ室23に導入されるようになっている。
なお本実施形態においては、貯水室20(排水ゾーン22)内の飲用水Wは全てフィルター25を通過してポンプ室23に送り込まれるようになっている。
本実施形態において、ポンプ室23の底面は、貯水室20の底面(フィルター25の上面)よりも24mm〜39mm程度低い位置に設定されている。なお、ポンプ室23の底面と凹陥部16の底面とは同じ高さ(同レベル)に設定されている。
図4に示すように、ウォーターボウル1の周囲壁12は、既述した通り二重壁構造によって構成されている。周囲壁12の内壁のうち前側半周の内壁121における下部は内側に向かって傾斜するように配置されている。また、前側半周の内壁121と底壁11との間のコーナー部は、曲率半径を有する円弧状の断面形状を有している。
なお、前側半周の内壁121は、後に詳述する緩流水路21の外側(一方側)の側壁を構成している。
図1〜図4および図6に示すように、ウォーターボウル1内に配置されるトップファンネル3は、例えば硬質合成樹脂の成形品によって構成されており、ウォーターボウル1内の所領領域を覆う略ドーム状に形成されている。
トップファンネル3の外周壁には、排水ゾーン22の上方を覆う排水ゾーンカバー部32と、ポンプ室23の上方を覆うポンプ室カバー部33とを備えている。本実施形態においては、排水ゾーンカバー部32および/またはポンプ室カバー部33によって、カバー部材が構成されている。
トップファンネル3の後半の周縁部、つまりポンプ室カバー部33の下端周縁部は、ウォーターボウル1の周囲壁12における後縁部、つまりポンプ室23の後縁部上方に対応して配置されている。
またトップファンネル3の前半の周縁部、つまり排水ゾーンカバー部32の下端周縁部は、ウォーターボウル1の底面近傍に配置されるように下方まで延びており、ウォーターボウル1の内部における排水ゾーン22の前周縁部に対応して配置されている。そして本実施形態においては、この排水ゾーンカバー部32のウォーターボウル1内に配置される部分(下側部)によって、ウォーターボウル1の貯水室20内が、緩流水路21と排水ゾーン22とに仕切られている。こうして、ウォーターボウル1内における周囲壁12の前半内壁121と、排水ゾーンカバー部32の下端部との間に、平面視において略半円弧状(三日月状)の緩流水路21が形成されている。換言すると、周囲壁12の前半内壁121を一方側(外側)の側壁とし、かつ排水ゾーンカバー部32の下端部を他方側(内側)の側壁とする緩流水路21が形成されている。
トップファンネル3における排水ゾーンカバー部32の両側部には切欠部321が形成されており、この切欠部321によって緩流水路21と排水ゾーン22とが通水可能に連通されている。従って緩流水路21内の飲用水Wは切欠部321を通って排水ゾーン22内に流入されるようになっている。ここで本実施形態においては、切欠部321によって通水口(通水路)が構成されている。
なお、本実施形態においては、排水ゾーンカバー部32の下端中間部と緩流水路21の底壁11との間にも狭い隙間が形成されるようになっており、この狭い隙間によっても、緩流水路21内と排水ゾーン22内とが連通されている。
また本実施形態においては、ウォーターボウル1の底面における緩流水路21に対応する領域は、緩流水路21の一端部(左端部)から他端部(右端部)に向かって下向きに緩やかに傾斜する傾斜面に形成されている。これにより緩流水路21内の飲用水Wは、自重によって、緩流水路21の一端側(上流側)から他端側(下流側)にかけて流動するようになっている。
一方、トップファンネル3の外周面における上端部から排水ゾーンカバー部32の下端縁部の左側部(一側部)にかけての領域には、その領域が下側に凹陥形成されることによって、急流水路35が形成されている。
トップファンネル3の上端部における急流水路35内の領域には、その領域が凹陥形成されることによって、皿状(凹球面状)の溢水部31が形成されている。この溢水部31の底壁における左右方向の中間部のやや後側には、下方に垂直に延びる送水パイプ36が一体に形成されている(図4参照)。この送水パイプ36の上端は、溢水部31の底面において開放されており、流出口37として構成されている。さらに送水パイプ37の下端は、ポンプ室23に対応して配置されている。
図4および図8に示すようにポンプ室23の内部において、左右方向の中間位置における仕切壁15の近傍には、揚水ポンプ(循環ポンプ)4が設置されている。この揚水ポンプ4の上壁には、パイプ状の吐出部41が上方に突出するように設けられている。さらに揚水ポンプ4の一側壁の下部には、スリット状の切欠部が多数形成されており、各切込部が吸込口42として構成されている。そして揚水ポンプ4は、底面付近の飲用水Wが吸込口42から吸い込まれて、吐出部41の上端から上方に向けて吐出されるようになっている。
なお本実施形態において、ポンプ室23の底面の高さは、揚水ポンプ4が設置されている面(設置面)を基準とする。
図7〜図9に示すように揚水ポンプ4の吐出部41には、吐出口部材5が取り付けられている。この吐出口部材5は、取付部50と、延長部51と、支柱部52と、バッフルプレート53とを一体に備えた硬質合成樹脂の成形品等によって構成されている。
取付部50は、外径寸法が揚水ポンプ4の吐出部41よりも一回り大きいパイプ状の形状を有し、揚水ポンプ4の吐出部41に外嵌して固定できるようになっている。
延長部51は、基端(下端)が取付部50の先端(上端)に一体に形成されたパイプ状の形状を有している。この延長部51は、その外径寸法が揚水ポンプ4の吐出部41に対しほぼ同じに大きさに形成されている。換言すると延長部51は、その外径寸法が取付部50に対し少し小さくなっており、延長部51の外周面と取付部50の外周面との間に外周段差部55が形成されている。
支柱部52は、基端(下端)が延長部51の先端(上端)に一体に形成され、かつ周方向に等間隔おきに3本形成されている。言うまでもなく本発明においては、支持部52の数は限定されるものではなく、2本以下でも、3本以上でも良い。さらに支持部52の形状も特に限定されるものではない。
バッフルプレート53は、支柱部52の先端に固定され、かつ外径寸法が延長部51とほぼ同じ大きさに形成された円板状の形状を有している。
取付部50、延長部51およびバッフルプレート53は、互いの軸心が一致するように配置されており、バッフルプレート53が延長部51の上端開口部に対向して配置されている。
この吐出口部材5の取付部50が、揚水ポンプ4の吐出部41に外嵌されることにより、吐出口部材5が揚水ポンプ4に取り付けられている。この取付状態では、吐出口部材5の延長部51は、揚水ポンプ4の吐出部41に対し軸心が一致しており、延長部51が吐出部41に対し上方に延長するように配置されている。
ここで本実施形態においては、吐出部41および延長部51によって、吐出パイプが構成されるとともに、その吐出パイプ41,51の上端(先端)開口部、つまり延長部51の上端開口部(先端開口部)が、揚水ポンプ4の吐出口45として構成されるものである。従って、本実施形態においては、揚水ポンプ4の吐出口45に対向して、バッフルプレート53が配置されることとなる。さらにバッフルプレート53は、支持部としての支柱部52を介して揚水ポンプ4の吐出口45に支持されることとなる。
この構成においては、揚水ポンプ4の吐出部41から吐出された水Wは、吐出口部材5の延長部51を通過してバッフルプレート53に衝突することによって外径方向に拡散し、その拡散した水Wが支柱部52間を通って吐出口部材5の外側に流出されるようになっている。
なお本実施形態においては、吐出口部材5が揚水ポンプ4の吐出部41に対し別体に構成されているが、それだけに限られず、本発明においては、吐出口部材5を揚水ポンプ4の吐出部41に一体に形成するようにしても良い。
図7および図10に示すようにトップファンネル3の送水パイプ36の下端には、シール用キャップ6が取り付けられている。
このシール用キャップ6は、弾力性を有する素材によって構成されており、リング状のシール部61と、そのシール部61の外周縁部から上方に立ち上がり状に形成された周壁部62とを一体に備えている。このシール部61の中央孔(リング孔)は、その内径が吐出口部材5の延長部51の外径よりも小さく形成されている。なお本実施形態においては、シール用キャップ6のシール部61によってシール部材が構成されている。
このシール用キャップ6の周壁部62が、トップファンネル3における送水パイプ36の下端部に弾性密着状態に外嵌されることにより、シール用キャップ6が送水パイプ36の下端部に着脱自在に取り付けられている。
またシール用キャップ6におけるシール部61の中央孔に下側から、上記吐出口部材5のバッフルプレート53および支柱部52が挿入されて、延長部51がシール部材61の中央孔に挿通配置される。さらに吐出口部材5の外周段差部55によってシール部61が送水パイプ36の下端面に押さえ付けられることにより、シール部61が送水パイプ36および吐出口部材5によって挟持されて固定される。
ここでシール部61の中央孔の内径は、延長部51の外径によりも小さく形成されているため、シール部61の内周縁部が上方へ屈曲されて中央孔が拡径された状態で、延長部51がシール部材61の中央孔に挿通配置されている。このようにシール部材61が延長部51の外周面に水密状態に弾性密着することにより、送水パイプ36の下端開口部において、送水パイプ36の内周面と延長部51の外周面との間が、シール部61によって水密が図られている。
こうして、揚水ポンプ4の吐出部41が、吐出口部材5およびシール用キャップ6を介してトップファンネル3の送水パイプ36に連結されている。これにより、揚水ポンプ4によって吸い上げられたポンプ室23内の飲用水Wは、送水パイプ36を通ってその上端の流出口37から溢水部31に供給されて、溢水部31からオーバーフローして急流水路35に流出されるようになっている。なお既述したように、送水パイプ36の下端開口部において、送水パイプ36の内周面と延長部51の外周面との間が、シール部61によって水密が図られているため、送水パイプ36内の水が、送水パイプ36の下端開口部から漏れ出すのを防止することができる。
図1〜図4に示すように、本実施形態において、トップファンネル3における急流水路35は、傾斜水路を構成している。この急流水路35は、溢水部31を上側として、下端側が上記緩流水路21の一端側(左側)に開放されている。つまり、急流水路35は、溢水部31から緩流水路21に向けて下り傾斜する傾斜面によって構成されている。
さらに急流水路35は、その一部に急勾配の急斜面を有している。具体的には、急流水路35は、上端から下端にかけて次第に勾配がきつくなるような凸面湾曲形状に形成されており、上端部はほぼ水平に近い緩やかな緩斜面によって構成されるとともに、下側部はぼぼ垂直に近い急斜面によって構成されている。これにより溢水部31から急流水路35に導入された飲用水Wは、自重によって急流水路35を流下する際に、次第に流速を増して、勢いよく緩流水路21の一端側に流れ込むようになっている。
ここで本実施形態においては、急流水路21の下側部が急勾配に形成されているが、それだけに限られず、本発明においては、急流水路35の少なくとも一部が急勾配に形成されていれば良い。さらに本発明においては、急流水路21の水路全域を急勾配に形成するようにしても良い。要は、急流水路35を流れる飲用水Wの流速が、緩流水路21に比べて速くなるように、急流水路35の一部に急勾配が形成されていれば良い。
なお本実施形態においては、トップファンネル3の下端周縁部に係合突起(図示省略)が形成されており、その突起がウォーターボウル1の周囲壁12の係合孔(図示省略)に着脱自在に係合することによって、トップファンネル3がウォーターボウル1に着脱自在に取り付けられている。
本実施形態のペット用循環型自動給水器においては、ポンプ室23、送水パイプ36、溢水部31、急流水路35、緩流水路21、排水ゾーン22、通水路16,17によって飲用水Wの循環流路が形成されている。そして、その循環流路において、排水ゾーン22およびポンプ室23は、トップファンネル3のカバー部32,33によって上方が覆われて閉塞されているのに対し、緩流水路21、溢水部31、急流水路35は覆われておらず、水面が上方に開放されている。本実施形態では、このように水面が上方に開放された流路、具体的には緩流水路21、溢水部31、急流水路35を水面開放部と称している。よって本実施形態において、貯水室20の水面開放部は緩流水路21によって構成されている。
さらに本実施形態において、貯水室20の水面開放部(緩流水路21)の底面の高さは、緩流水路21の最も低い位置を基準としている。例えば緩流水路21が断面V字状に形成されているような場合には、V溝の下端(谷底部)が底面の高さとなる。つまり、本発明において、水面開放部(緩流水路21)の底面に対し、ポンプ室23の底面が低く設定されていると言う場合、水面開放部(緩流水路21)の最も低い位置に対し、ポンプ室の底面(ポンプ設置面)が低く設定されているということである。
以上のように構成された本実施形態のペット用循環型自動給水器においては、図4に示すように飲用水Wをその水位が仮想線Laで示す最大水位(最高水位)よりも少し低い位置までウォーターボウル1内に貯留する。参考までに本実施形態の給水器において、ウォーターボウル1内に最大水位Laまで飲用水Wを注入した際にはその水量が約950mlとなる。
本実施形態においては、最大水位Laを示す目印(メモリ)が仕切壁15に記載されており、水位を目視で正確に確認できるようになっている。
こうしてウォーターボウル1内に飲用水Wを注入した状態で、揚水ポンプ4を駆動すると、ポンプ室23内の飲用水Wが揚水ポンプ4によって汲み上げられて、吐出口部材5の吐出口45から吐出される。吐出された飲用水Wは、バッフルプレート53に衝突して勢いが低減されて、送水パイプ36内を緩やかに上昇して流出口37から流出されて溢水部31に導入される。溢水部31に導入された飲用水Wは溢水部31をオーバーフローして急流水路35に導入されて、その飲用水Wは急流水路35を勢いよく流下して緩流水路21の左側(上流側)に導入される。緩流水路21に導入された飲用水Wは、急流水路35を流下する際の水勢に加えて、緩流水路21自体の傾斜勾配によって、緩流水路21を緩やかに一端側(上流側)から他端側(下流側)に向けて流動していく。また緩流水路21を流動する飲用水Wは、排水ゾーンカバー部32の両側の切欠部321を通って排水ゾーン22内に導入される。排水ゾーン22内に導入された飲用水Wは、フィルター25を通って濾過された後、通水路16,17を介してポンプ室23内に導入される。
こうして飲用水Wが自動給水器内を循環する一方、犬や猫等のペットは、溢水部31、急流水路35あるいは緩流水路21等の水面開放部を流れる水Wを適宜飲用するものである。
以上のように構成された本実施形態のペット用循環型自動給水器によれば、揚水ポンプ4の吐出口45と溢水部31の流出口37とを連結する送水パイプ36内にバッフルプレート53を配置しているため、吐出口45から吐出される飲用水Wは、バッフルプレート53によって勢いが低減されて、送水パイプ36内を緩やかに低速で流通するようになる。従って、溢水部31の流出口37から飲用水Wが緩やかに流出するため、流出口37から飲用水Wが勢いよく噴き出して飛散するような不具合を確実に防止することができる。
さらに本実施形態においては、揚水ポンプ4の吐出口45から吐出される飲用水Wは、勢いが低減されるものの、流量は十分に確保できるため、溢水部31の流出口37から十分な飲用水Wが溢れ出す。このため水量が豊富で良好な美観を確保できるとともに、引用水Wの循環量も多く確保でき、衛生的にも好ましい。
さらに本実施形態においては、バッフルプレート53を揚水ポンプ4の吐出口45に支柱部52を介して支持しているため、以下に説明するように水勢をより一層確実に低減することができる。
すなわち、送水ポンプ36を有するトップファンネル3は、揚水ポンプ4とは別体であり、組み付けるものであるため、トップファンネル3が揚水ポンプ4に対し位置ずれする場合がある。このため仮に、バッフルプレート53をトップファンネル3の送水パイプ36に支持固定しておくと、トップファンネル3の揚水ポンプ4に対する位置ずれによって、バッフルプレート53が揚水ポンプ4の吐出口45に対し位置ずれすることがある。そうすると、吐出口45から吐出される水Wが確実にバッフルプレート53に当たらず、一部の水Wの勢いが低減されず、その一部の水Wが送水パイプ36を勢力を保ったまま通過する。その結果、溢水部31の流出口37から水Wが噴水のように噴き上がって飛散してしまうおそれがある。
そこで本実施形態においては、バッフルプレート53を揚水ポンプ4の吐出口45に支持しているため、バッフルプレート53の吐出口45に対する相対位置を固定できて位置ずれを防止することができる。このため吐出口45から吐出される水Wはバッフルプレート53に確実に当接するため、送水パイプ36内で水勢を確実に低減でき、水Wが溢水部31の流出口37から噴き上がって飛散するような不具合を確実に防止することができる。
さらに本実施形態においては、揚水ポンプ4側にバッフルプレート53を支持させて、バッフルプレート53の吐出口45に対する相対位置を固定するようにしているため、バッフルプレート53付き(吐出口部材5付き)の揚水ポンプ4を、種類やサイズの異なる他の給水器に採用したとしても、バッフルプレート53による水勢低減効果を確実に得ることができる。つまり本実施形態におけるバッフルプレート53付きの揚水ポンプ4を、他の給水器にも不具合なく採用できるため、汎用性を向上させることができる。
しかも本実施形態においては、揚水ポンプ4側にバッフルプレート53を固定しているため、トップファンネル3の素材や形状にかかわらず、バッフルプレート53を確実に配置することができる。つまり、トップファンネル3を例えば微細な加工が困難なセラミック等によって作製する場合には、トップファンネル3にバッフルプレート53を組み付けることが困難であるが、本実施形態では、揚水ポンプ4側にバッフルプレート53を固定しているため、トップファンネル3の素材や形状にかかわらず、バッフルプレート53を確実に取り付けることができる。このようにトップファンネル3の素材にかかわらず、バッフルプレート53を確実に取り付けることができ、より一層汎用性を向上させることができる。
また本実施形態においては、送水パイプ36の下端にシール用キャップ6を嵌着して送水パイプ下端の水密を図っているため、送水パイプ36内の水Wが下端から漏れ出してポンプ室23内に逆流するような不具合を確実に防止することができる。
さらに送水パイプ36の下端からの水Wの漏れ出しを防止できるため、ウォータボウル1内の水位が低くとも、水Wを確実に循環させることができる。
すなわち仮に、送水パイプ36の下端の水密性が不十分であると、ウォータボウル1内の水位が低くて水面が送水パイプ36の下端位置まで満たないような場合、送水パイプ36の下端が水Wにより封止されなくなってしまう。そうすると、揚水ポンプ4から送水パイプ36内に送り込まれた水Wが、送水パイプ36の下端から多量に漏れ出して逆流してしまい、水Wを十分に溢水部31に供給することができず、水Wを十分に循環させることが困難になってしまう。
これに対し、本実施形態においては、送水パイプ36の下端に十分な水密性を確保できるため、ウォータボウル1の水位が低くて水面が送水パイプ36の下端位置まで満たない場合であっても、揚水ポンプ4から送水パイプ36に送り込まれた水Wは、送水パイプ36の下端から漏れ出すようなことがなく、確実に溢水部31に供給でき、十分な水量で水Wを循環させることができる。
また本実施形態においては、循環流路の飲用水Wが全て滞りなく流動するため、特に溢水部31、急流水路35および緩流水路21等の水面開放部において、飲用水Wが滞りなく流動するため、水Wが滞留する淀みが形成されることがなく、ペットの体毛、食べかす、塵埃等のゴミが滞留することがない。また水Wにゴミが混入されたとしても、水Wと共にゴミは、排水ゾーン22に速やかに送り込まれて、排水ゾーンカバー部32によって隠蔽される。従って、水面開放部の水面上にゴミが浮遊せず、しかも、ペットが水Wと一緒にゴミも飲用するような不具合も確実に防止でき、良好な美観を確保できるとともに、衛生的にも優れた給水環境を提供することができる。
また排水ゾーン22に流入された飲用水Wは、混入するゴミがフィルター25によって取り除かれた後、通水路16,17を介してポンプ室23に導入される。よってこの点においても、ゴミ等の不要物が混入された飲用水Wが、溢水部31、急流水路35および緩流水路21等の水面開放部を流動するのを確実に防止することができる。
さらに本実施形態においては、ウォーターボウル1の周囲壁12における前周縁部内壁121、つまり緩流水路21の外側(一方側)の側壁を、外側に向かって下り傾斜する傾斜面に形成している。このため、急流水路35から流れ落ちた飲用水Wは、緩流水路21において内側から外側に向かう水Wの流れが形成されて、その流れに沿って飲用水Wは外側を多く流れるようになる。従って緩流水路21内においては中心側(内側)よりも外側の方が飲用水Wの流れが速くなり、ゴミをスムーズに外側に誘導することができる。その結果、ゴミを緩流水路21から効率良く除去できて、淀みが形成されるのを、より確実に防止することができる。
また本実施形態の自動給水器においては、飲用水Wが急流水路35から緩流水路21に勢いよく導入されるため、飲用水Wが適度に撹拌されて、水面上にゴミが浮遊するのを防止することができる。このため、水W内に混入するゴミをより確実に排水ゾーン22に送り込むことができ、美観および衛生環境をより一層向上させることができる。
また本実施形態の自動給水器においては、排水ゾーン22の底面からポンプ室23に至る通水路16,17を形成するとともに、その通水路16,17の上流側端部開口、つまり排水ゾーン22の底面に、フィルター25を水平に配置しているため、フィルター全域を集塵領域(濾過領域)として有効に利用でき、効率良く集塵することができる。すなわち仮に仕切壁15等に排水ゾーン22およびポンプ室23間を連通する通水孔を形成し、その通水孔にフィルターを垂直配置に設置した場合には、排水ゾーン22内の水位が低下すると、フィルターの一部が水面上に配置されることがある。その場合、フィルターの水面上の部分は、集塵部(濾過部)として機能せず、フィルター全域を有効に活用することができなくなってしまう。
そこで本実施形態においては、排水ゾーン22の底面にフィルター25を設置しているため、排水ゾーン22内の水位にかかわらず、フィルター25は常時水面下に配置される。従って、水位が低くなろうとも、水Wが循環している限り、フィルター全域を集塵部(濾過部)として機能させることができ、効率良く集塵(濾過)することができる。
その上さらに、排水ゾーン22の底面にフィルター25を設置しているため、底面に沈殿してしまうゴミも確実にフィルター25によって回収することができ、より一層濾過性能を向上させることができる。
さらに本実施形態においては、排水ゾーン22の底面にフィルター25を設置しているため、フィルター25の設置面積を大きく確保することができる。このため本実施形態のように、排水ゾーン22の底面のほぼ全域に対応する大きさのフィルター25、つまり濾過面積が広い大サイズのフィルター25を難なく採用することができ、濾過性能をより一層向上させることができる。
さらに本実施形態においては、排水ゾーン22の底面に凹陥部16を形成し、その凹陥部16にフィルター25を嵌め込むことによって、フィルター25の上面を排水ゾーン22の底面に一致させるようにしているため、フィルター25を排水ゾーン22内に収まり良く適合させることができ、より一層美観を向上させることができる。
また本実施形態においては、緩流水路21の底面、つまり貯水室20の水面開放部の底面よりも、ポンプ室23の底面を低く設定しているため、ポンプ室23内の不用意な水位低下を未然に認識でき、水不足による揚水ポンプ26の停止等の不具合を有効に防止することができる。すなわち、揚水ポンプ26を確実に作動させるには、ポンプ室23内に所定の水位以上の水位を確保する必要がある。この水位は、比較的高いものであり、例えば一般のユーザーの中には、所定の水位よりも低くとも、水Wが少し残っていれば、揚水ポンプ26を差し支えなく作動できるという謝った認識を持っているユーザーも存在しているのが現状である。
このような背景の下、仮に貯水室20の底面に対し、ポンプ室23の底面を同一の高さ、または高く設定していると、ポンプ室23の水位が所定の水位(最小水位)よりも低い場合であっても、緩流水路21等の貯水室20には多少、水Wが残っているため、ユーザーは水量は足りていると誤認してしまう。その結果、水Wの補給のタイミングを逃してしまい、水不足が生じて、揚水ポンプ26が停止して水Wの循環が滞る等の不具合が発生してしまう。
そこで本実施形態においては、ポンプ室23の底面を緩流水路21の底面よりも低く設定しているため、緩流水路21の水位が低くともポンプ室23の水位を十分に確保することができる。換言すると、ポンプ室23の水位が低くて給水が必要な場合には、緩流水路21にほとんど水Wが残っていない状態となるため、ユーザーは緩流水路21内の水Wの残存量をみれば、給水が必要か否かを簡単かつ正確に把握することができる。このためユーザーが給水の時期を見逃すような不具合を確実に防止でき、ユーザーは必要時に確実に水Wの補給を行うことができ、水不足によるポンプ停止等の不具合を確実に防止することができる。
さらに本実施形態においては、排水ゾーン22の底面に対し、ポンプ室23の底面を低く設定しているため、自然流下によって飲用水Wを排水ゾーン22から通水路16,17を通ってポンプ室23内にスムーズに流動させることができる。
なお上記実施形態においては、トップファンネル3における溢水部31を、下方に凹陥した皿状(凹球面状)に形成しているが、それだけに限られず、本発明においては、溢水部31を、平面状や、上方に膨出した山状(凸球面状)に形成するようにしても良い。
また上記実施形態においては、緩流水路21をその上流側(一端側)から下流側(他端側)に向けて下方に緩やかに傾斜する緩斜面によって構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、緩流水路21に勾配を付けなくとも良い。例えば緩流水路21をその一端側から他端側にかけて勾配を付けずにほぼ水平(平坦)に形成しておき、急流水路35から飲用水Wが緩流水路21の一端側に流入された際の水Wの勢い(慣性力)によって、飲用水Wを緩流水路21の一端側から他端側に流動させるようにしても良い。
さらに緩流水路21に緩斜面を形成する場合、必ずしも緩流水路21の全域に勾配を付ける必要はなく、緩流水路21の少なくとも一部を緩斜面によって構成するようにしても良い。
また上記実施形態においては、緩流水路21において、水Wが左側から右側に流れるように構成しているが、言うまでもなく、本発明においては、緩流水路21を水が右側から左側に流れるように構成しても良い。
また上記実施形態においては、ウォーターボウル1の前周縁部が平面視円弧状に形成されているが、本発明においては、必ずしも、ウォーターボウル自体の外周前縁部を平面視円弧状に形成する必要はなく、ウォーターボウル内に設けられる緩流水路を平面視円弧状に形成すれば良い。つまり、緩流水路が平面視円弧状に形成されていれば、ウォーターボウル自体の外周形状は特に限定されず、例えば円形、楕円形、長円形、三角形、四角形等の多角形、さらには異形状等であっても良い。
また上記実施形態においては、バッフルプレート53を揚水ポンプ4の吐出口45に支持固定する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、バッフルプレートをトップファンネル等の送水パイプ側に形成するようにしても良い。