以下、本発明の実態の形態について添付図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態である薬液供給装置1の外観構成を示している。本実施形態の薬液供給装置1は、水洗トイレにおける貯水タンク上部に設けられた皿状の手洗い部に設置されるオンタンクタイプの薬液供給装置である。
薬液供給装置1は、例えばトイレ内空間の芳香・消臭や便器の洗浄のための薬液と、薬液を収容する薬液容器2と、薬液容器2が着脱可能に取り付けられる支持体7と、支持体7に取り付けられた薬液容器2を覆った状態で支持体7上に被せられるカバー8とを備えている。薬液供給装置1は、図13に示すように、支持体7が手洗い部10上に置かれるとともに支持体7の底部よりも下方に突き出た案内部材50及び長脚56が手洗い部10の排水口11に挿入されるようにして、手洗い部10に設置される。以下、薬液供給装置1の各部材について説明する。
薬液容器2は、図1~図3に示すように、薬液を収容可能な胴部20と、胴部20に連続して一体形成された円筒状の口部21とを備えている。なお、薬液容器2は、使用時に口部21が下方を向く上下逆さの状態で支持体7に取り付けられるので、以下の説明では、薬液容器2の口部21側を「下側」、胴部20側を「上側」としている。
薬液容器2は、外側から内部を視認することが可能であり、例えば全体を透明又は半透明とすることで内部を視認可能とすることができる。なお、薬液容器2の少なくとも一部を透明又は半透明にすることにより、内部を視認可能としてもよい。薬液容器2の胴部20及び口部21は、例えばガラスや合成樹脂などで形成することができる。胴部20の底には、口部21と連通して胴部20内の薬液を吐出するための吐出口22が開口している。口部21には、キャップ23が着脱可能に被せられている。キャップ23は、例えば軟質の合成樹脂により形成することができる。キャップ23は、口部21を塞ぐ部分に薄肉部25を介して閉塞部24を備えている。
薬液容器2は、キャップ23を口部21に装着したまま、キャップ23(胴部20の吐出口22)側を下に向けた逆さの状態で使用される。そして、使用に際しては、後述する支持体7の円筒状の接続部材44を薬液容器2の口部21内にキャップ23の閉塞部24を突き破るように差し込むことで、薬液容器2と支持体7とが接続される。これにより、薬液容器2内の薬液が吐出口22から口部21を通り、接続部材44を介して支持体7に吐出される。支持体7の接続部材44は、薬液容器2の口部21と嵌合することで、接続部材44が口部21から抜け出し難くなっている。
次に、支持体7は、図1及び図2に示すように、上部が開口するカップ状に形成されており、薬液容器2及びカバー8を下方より支持している。支持体7は、本実施形態では、図4に示すように、後述する緩衝室6(図10に示す)を形成する蓋部材4及び底部材5と、蓋部材4及び底部材5が着脱可能に取り付けられる下容器3とで構成されている。
まず、下容器3は、図2及び図4~図7に示すように、薬液容器2と同様に、平面視において、第1の方向(図6(A)の左右方向、以下「横方向」)の長さがこれと直交する第2の方向(図6(A)の上下方向、以下「縦方向」)の長さよりも長い横長状の外形を有している。本実施形態では、下容器3は平面視略楕円形状に形成されている。手洗い部の形状が横長形状である場合、薬液供給装置1は、第1の方向(薬液容器2及び下容器3の横方向)が手洗い部の横方向(左右方向)と一致するように設置される。下容器3は、例えば合成樹脂、陶器、ガラスなどにより形成することができる。
下容器3は、底面部30と、底面部30を囲む平面視略楕円形状の環状突起31と、底面部30の横方向の中央位置に設けられた平面視略矩形状の凹部32と、環状突起31の外側に周方向に一周にわたり設けられた平坦な周縁部33とを備えている。凹部32は、支持体7の底部の一部を構成し、凹部32には、下方に突き出る複数(例えば4本)の短脚34が設けられている。各短脚34は、図13に示すように、支持体7が手洗い部10上に置かれたときに支持体7を手洗い部10上にほぼ水平に定置させる。
また、図2及び図4~図7に示すように、凹部32には、中央位置に平面視矩形状の開口35が形成されている。凹部32内には底部材5が嵌め込まれ、このとき底部材5の案内部材50や長脚56は開口35を介して凹部32の下方に突き出ることが可能である。下容器3の横方向において、凹部32の外側にはそれぞれ上方に延びるアーム39を介して係合爪36が設けられている。底部材5が下容器3の凹部32に嵌め込まれたとき、底部材5に被せられた蓋部材4の一対の係合突起43に、一対の係合爪36が一対一で係合することで、蓋部材4及び底部材5が下容器3に固定される。
環状突起31は、カバー8が支持体7(下容器3)上に被せられた際に、後述するカバー8の側面部81内に嵌め込まれる。これにより、支持体7(下容器3)に被せるカバー8の位置決めが容易となる。また、周縁部33の幅は、カバー8の側面部81の厚みとほぼ同じであり、カバー8が支持体7(下容器3)上に被せられた際に側面部81が周縁部33に突き当たることにより、カバー8が支持体7(下容器3)上に安定して定置される。
下容器3には、支持体7が手洗い部上に置かれた際に、手洗い部の排水口の外側に位置して支持体7と手洗い部との間を案内部材50に向かって流れる流水の支持体7側の一部を遮る遮水壁37が設けられている。遮水壁37は、本実施形態では底部材5の長脚56の外側であり、かつ、後述する案内部材50を囲む遮蔽部材59の外側に配置されている。遮水壁37は、案内部材50の周囲の少なくとも一部に配置されていればよいが、本実施形態のように案内部材50の周囲の全周にわたって配置されていることが好ましい。
遮水壁37は、案内部材50の周面と平行に上下方向に延びる壁面を有しており、この壁面に支持体7と手洗い部との間を流れる流水の一部が当たることで、当該流水の一部は案内部材50に向かって流れるのが遮られる。なお、壁面は、下方に向かうに連れて外側に傾斜するように形成されていてもよい。遮水壁37は、本実施形態では、凹部32の外側において案内部材50の周囲の全周にわたって配置されているが、その一部は下容器3の底面部30の下面から下方に延びることで形成されたものである一方で、残部はその他の部材で構成されている。具体的に、下容器3の横方向においては、凹部32の外側に位置する一対の係合爪36の各アーム39も遮水壁37を構成している。また、下容器3の縦方向においては、遮水壁37の内側かつ下方に位置する凹部32も遮水壁37を構成しており、遮水壁37が段差を有している。
支持体7が手洗い部に設置されると、放水タップ(図示せず)からの流水が手洗い部上に流れ落ち、手洗い部と支持体7との間を排水口に向かって流れる。ここで、下容器3が遮水壁37を備えていないと、図13(A)に示すように、手洗い部10と支持体7との間を流れる流水が案内部材50に勢いよく当たるため、放水タップから手洗い部10に供給された流水が多量であると、流水が案内部材50で跳ね返って手洗い部10から飛び散る可能性がある。
これに対して、下容器3が遮水壁37を備えていると、図13(B)に示すように、手洗い部10と支持体7との間を流れる流水のうち、その下部側(手洗い部10側)については排水口11上の案内部材50に当たるように流れるが、その上部側(支持体7側)については遮水壁37に当たることで案内部材50に向かう流れが遮られ、下部側(手洗い部10側)の流水に向かって流れたり、下部側(手洗い部10側)の流水の流れとは逆方向に流れたりする。これにより、手洗い部10上を案内部材50に向けて流れる下部側(手洗い部10側)の流水の流れが上部側(支持体7側)の流水の影響により弱まることで、案内部材50に流水が勢いよく当たることを防止できる。放水タップから手洗い部10に供給された流水が多量であっても、流水が案内部材50で跳ね返って手洗い部10から飛び散ることを防止することができる。
下容器3には、遮水壁37の外側に配置された誘導部材38が設けられている。誘導部材38は、複数の短脚34のそれぞれに対応して、案内部材50と反対側の外側に配置されている。各誘導部材38は、各短脚34よりも短く形成されており、図14に示すように、支持体7が手洗い部10上に置かれた際には手洗い部10に当たらずに浮いている。
各誘導部材38は、外側面が下方に向かうに連れて内側(案内部材50側)に傾斜しており、図14に示すように、手洗い部10に供給された水を排水口11に向けて誘導する役割を果たす。これにより、手洗い部10に供給された水が排水口11にスムーズに流れる。
次に、底部材5は、図4、図9及び図10に示すように、平面視略矩形状の底壁54と、底壁54の周縁から上方に突き出る略矩形枠状の周壁55と、板状の案内部材50とを備えている。底壁54は、支持体7の底部の一部を構成し、底壁54には、下方に突き出る複数(図示例では2本)の長脚56が設けられている。また、底壁54には、中央位置に貫通孔57が形成されている。
各長脚56は、底部材5が下容器3に固定された際に、周囲の短脚34よりも長く下方に突き出る長さを有しており、図13に示すように、支持体7が手洗い部10上に置かれたときに手洗い部10の排水口11に挿入される。
図4、図9及び図10に戻って、周壁55は、内部に後述する蓋部材4の内側壁41が嵌め込まれる。周壁55の上端には、互いに対向する位置において凹状に切り欠かれていることで、切欠き58が形成されている。
案内部材50は、底壁54から貫通孔57を横断するようにして下方に突き出ている。案内部材50は、薬液容器2から後述する蓋部材4の接続部材44及び排出部材45を介して底部材5に吐出された薬液を、底部材5の下方を流れる流水と接触する位置へ案内するためのものである。案内部材50の上端には、貫通孔57を通って底壁54の上方に突き出る嵌合突起51が設けられている。嵌合突起51は、後述する蓋部材4の排出部材45内に嵌合可能である。嵌合突起51の外周面には、上端から下端まで延びる縦溝52が形成されており、縦溝52は、毛管作用により排出部材45内を通過する薬液を案内部材50に導出する。
案内部材50の表面及び裏面には、上下方向に延びる多数の細溝53が形成されている。案内部材50は、2本の長脚56の間に位置しており、図13に示すように、各長脚56とともに手洗い部10の排水口11に挿入される。案内部材50は各長脚56よりもやや短く形成されており、その下端部のみが排水口11に挿入される。案内部材50に、手洗い部10に供給された流水が接することで、案内部材50の表裏面の薬液が流水にさらわれて、流水とともに排水口11から貯水タンクに流れ込む。
図4、図9及び図10に戻って、案内部材50と各長脚56との間には、略矩形枠状の遮蔽部材59設けられている。遮蔽部材59は、案内部材50よりもさらに短く形成されており、手洗い部に供給された流水が案内部材50から底部材5内に逆流することを規制している。
次に、蓋部材4は、図2、図4、図8及び図10に示すように、平面視略矩形状の上面部40と、上面部40から垂下する略矩形枠状の内側壁41と、内側壁41の外側に位置し上面部40の周縁から垂下する外側壁42とを備えている。内側壁41を底部材5の周壁55の内側に嵌合させることで、蓋部材4が底部材5に取り付けられ、蓋部材4と底部材5との間に緩衝室6が形成される。緩衝室6は、薬液を貯留可能な空間である。
外側壁42は、蓋部材4が底部材5に取り付けられたとき、底部材5の周壁55の外周面から離反している。外側壁42の下端には、外側に突き出る一対の係合突起43が設けられており、一対の係合突起43は、下容器3の一対の係合爪36と一対一で係合可能である。
内側壁41には、その上端から下端まで上下方向に延びる一対の切欠き47が形成されている。一対の切欠き47は、底部材5の周壁55の一対の切欠き58に一対一で対応するように配置されている。蓋部材4が底部材5に取り付けられたとき、切欠き47と切欠き58とが一致することで、緩衝室6内に空気を流通させる空気流通孔が形成される。
上面部40は、その中央部の平面視円形状の下段部40aと、下段部40aより高い位置にある下段部40aの周囲の上段部40bとからなる。下段部40aの中央位置には、薬液容器2の口部21内に差し込まれる円筒状の接続部材44が設けられている。
接続部材44は、上面部40の下段部40aに上段部40bよりも上方に突き出るように設けられている。接続部材44は、薬液容器2の口部21内に差し込まれる際に、キャップ22の薄肉部を容易に突き破ることが可能なように、上端が斜めに切り取られて尖っている。
上面部40の下段部40aには、下方に突き出る排出部材45が設けられている。排出部材45は、接続部材44よりも小径の円筒状であり、接続部材44と同心円状に配置されている。接続部材44と排出部材45とは連通しており、接続部材44及び排出部材45の内部は、薬液を薬液容器2から後述する案内部材50に通す薬液通路を構成している。排出部材45の内部は、緩衝室6とは仕切られており、排出部材45は、底部材5の貫通孔57内に嵌合可能である。
下段部40aの接続部材44の内側かつ排出部材45の外側には、小径の通液孔46が複数(図示例では3個)形成されている。通液孔46は、薬液容器2から接続部材44を介して吐出された薬液の一部を緩衝室6へ導入する。
緩衝室6は、温度変化によって薬液容器2内に圧力変化が生じた場合でも、薬液容器2から排出される薬液の量を調整するものである。緩衝室6は、薬液容器2の温度変化に対して次のように作用をする。
例えば、温度が上昇して薬液容器2が暖められた場合には、薬液容器2内の空気が膨張して薬液容器2内は正圧になる。この場合、薬液容器2内の薬液は押し出されて口部21から吐出されるが、吐出された薬液は、接続部材44及び排出部材45から案内部材50に流れる他、通液孔46を介して緩衝室6にも流れ込む。そのため、薬液が案内部材50へ過剰に流出するのが防止される。
一方、流水で冷やされるなどして、薬液容器2の温度が低下すると、薬液容器2内の空気が収縮して薬液容器2内は負圧になる。この場合には、空気流通孔(切欠き47及び切欠き58)の作用により大気圧又は室内圧となっている緩衝室6内の薬液が、通液孔46を介して薬液容器2内へ吸い込まれる。したがって、案内部材5上の水又は薄められた薬液が排出部材45及び接続部材44を通って薬液容器2側に戻されるのが抑制される。また、薬液容器2内の負圧によって薬液の吐出が制限されるのが防止される。
次に、カバー8は、図1、図2及び図11に示すように、薬液容器2や下容器3と同様に、平面視において、第1の方向(図11(A)の左右方向)の長さがこれと直交する第2の方向(図11(A)の上下方向)の長さよりも長い横長状の外形を有しており、本実施形態では、平面視略楕円形状に形成されている。カバー8は、例えば合成樹脂、陶器、ガラスなどにより形成することができる。
カバー8は、天面部80と、下部に開口を有する筒状の側面部81と、周方向の少なくとも一部において天面部80及び側面部81を接続する傾斜面部82とを備えている。天面部80は、平面視略楕円形状を呈しており、上面が周縁から中央に向かって緩やかに隆起する凸曲面状を呈している。
側面部81は、天面部80と同様に平面視略楕円形状を呈している。側面部81は、真っ直ぐ下方に延びるように形成されているが、下方に向かうに連れて外側に傾斜するように形成されていてもよいし、下方に向かうに連れて内側に傾斜するように形成されていてもよい。
傾斜面部82は、天面部80との接続位置において下方に折れ曲がっている。つまり、傾斜面部82は天面部80と丸く滑らかな湾曲で接続されているわけではなく、傾斜面部82と天面部80とが断面視で外側に突き出るV字をなすように接続されており、カバー8は、傾斜面部82と天面部80との接続位置において角張った形状を呈している。なお、傾斜面部82と天面部80との接続位置における角は、面取りされていてもよい。傾斜面部82は、周方向の少なくとも一部において天面部80及び側面部81を接続していればよいが、本実施形態のように天面部80及び側面部81を周方向の全周にわたって接続していることが好ましい。
また、傾斜面部82は、天面部80と側面部81との間で斜めに傾いているが、断面視で直線状を呈していてもよく、また、断面視で内側にへこむ凹状の曲線状に形成されていてもよいが、本実施形態のように、断面視で凹状の曲線状に形成されていることが好ましい。
カバー8は、支持体7に下方から支持されるものの中では最も外側に位置していることから、支持体7が手洗い部に設置されると、カバー8は真上に配置される放水タップ(図示せず)からの流水をあびることになる。この放水タップからの流水は、カバー8の天面部80に落ち、その後、天面部80から傾斜面部82を経て側面部81を伝って手洗い部上に流れ落ちる。
ここで、傾斜面部82が天面部80との接続位置において丸く滑らかな凸状の湾曲で接続されていると、図12(B)に示すように、放水タップから勢いよくカバー8上に落下した流水は、天面部80から表面を伝って流れ落ちる際にその一部が落下時の勢いそのままに横方向に飛び出して手洗い部から飛び散るという問題を引き起こす。
これに対して、傾斜面部82が天面部80との接続位置において下方に折れ曲がっていると、図12(A)に示すように、傾斜面部82において天面部80から流れ落ちる流水の横方向に飛び出そうとする勢いが弱まる。よって、放水タップから勢いよく流水がカバー8上に落下しても、カバー8上に落下した流水は、その表面を伝って流れ落ちる際に傾斜面部82において水の流れが緩やかになることから、横方向に飛び出すことが抑制され、手洗い部から飛び散ることを防止することができる。
また、傾斜面部82を断面視で直線状、良好には図12(A)に示す凹状の曲線状とすることで、流水が傾斜面部82を流れ落ちる際の水の流れをより緩やかにすることができる。よって、カバー8上に落下した流水がその表面を伝って流れ落ちる際に、さらに効果的に横方向に飛び出すことを抑制でき、手洗い部から飛び散ることを防止することができる。
傾斜面部82の天面部80に対する傾斜角度は特に限定されるものではないが、上述したカバー8の表面を流れ落ちる水の流れを傾斜面部82により緩やかにするとの効果を良好に達成するためには、20°以上70°以下であることがより好ましく、30°以上60°以下であることが好ましい。なお、傾斜面部82が断面視で凹状の曲線状に形成されている場合には、断面視で傾斜面部82の天面部80との接続位置における接線と天面部80とのなす角度が前記傾斜角度とすることができる。
また、傾斜面部82が断面視で凹状の曲線状に形成されている場合に、傾斜面部82の曲率半径は特に限定されるものではないが、上述したカバー8の表面を流れ落ちる水の流れを傾斜面部82により緩やかにするとの効果を良好に達成するためには、5mm以上15mm以下であることが好ましく、8mm以上10mm以下であることがより好ましい。
さらにカバー8は、外部に露出する表面の少なくとも一部が親水性である。ここで、カバー8の「外部に露出する表面」とは、カバー8を支持体7上に被せた状態でカバー8の外側から見える面のことを意味し、カバー8の内側の見えない面や、側面部81の下端面のような他の部材(支持体7など)により隠された面を除いた面のことを指す。
また、「親水性」とは、水との親和性が高い性質であり、本発明ではカバー8の表面の水との接触角が90°未満であることを意味する。カバー8は、水との親和性が高いことで、その表面が水になじみ易くなり、放水タップから落下した水がカバー8の表面にべったりと付くように薄い膜状に広がって、カバー8の表面に対して水が接触する面積が大きくなる。これにより、放水からカバー8上に落下した流水は、カバー8の表面にはじかれるよりもカバー8の表面にベタッと薄くくっつくようにしてカバー8の表面を伝って流れ落ちる。よって、カバー8の表面で水が跳ねて手洗い部から飛び散ることを防止することができる。
カバー8の表面の水との接触角は、90°未満であれば特に限定されるものではないが、上述した水がカバー8の表面にベタッと薄くくっつくようにして流れるとの効果を良好に達成するためには、80°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましい。また、前記接触角の下限は特に限定されるものではないが、5°以上であることが好ましく、10°以上であることがより好ましい。
前記接触角は、カバー8などの親水性を備えた部材の表面の汚れを除去した後、例えばマイクロピペットを用いて6μL程度の水の液滴を当該部材の表面に着滴し、1000ms後の液滴の接触角を接触角計(協和界面化学社製:DropMaster500、測定解析統合ソフト:FAMAS)により計測することができる。
カバー8などの親水性を備えさせる部材に親水性を付与するためには、例えば当該部材が合成樹脂製の場合にその表面に親水処理剤を塗布したり、当該部材がガラスや陶器製の場合にその表面に釉薬などの親水性無機塗料を塗布したり、親水処理剤を含ませた合成樹脂材料により当該部材を成形したりすることが挙げられる。
前記親水処理剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤を含有したものとすることができる。その例としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などのポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルなどのポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキアルキレンデシルエーテルなどのポリオキアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル;アルキルアルカノールアミド;アルキルポリグルコシド;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが例示される。好ましくは、グリセリン脂肪酸エステル ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
なお、カバー8は、本実施形態では、内部に流水が入らないように開口が形成されていないが、カバー8に1又は複数の開口を形成してもよい。
上述した本実施形態の薬液供給装置1によれば、図13(B)に示すように、水洗トイレの貯水タンク上部に設けられた手洗い部10に設置された後、放水タップからの流水が薬液供給装置1上に落下すると、流水はカバー8の表面を伝って手洗い部10に流れ落ちた後、支持体7と手洗い部10との間を排水口11に向かって流れる。手洗い部10と支持体7との間を流れる流水のうち、その下部側(手洗い部10側)については排水口11上の案内部材50に当たるように流れるが、その上部側(支持体7側)については遮水壁37に当たることで案内部材50に向かう流れが遮られ、下部側(手洗い部10側)の流水に向かって流れたり、下部側(手洗い部10側)の流水の流れとは逆方向に流れたりする。これにより、手洗い部10上を案内部材50に向けて流れる下部側(手洗い部10側)の流水の流れが上部側(支持体7側)の流水の影響により弱まることで、案内部材50に流水が勢いよく当たることを防止できる。放水タップから手洗い部10に供給された流水が多量であっても、流水が案内部材50で跳ね返って手洗い部10から飛び散ることを防止することができる。
また、各誘導部材38は、外側面が下方に向かうに連れて内側(案内部材50側)に傾斜しているので、図14に示すように、手洗い部10に供給された水を排水口11に向けて誘導する。よって、手洗い部10に供給された水を排水口11に向けてスムーズに流すことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば上記実施形態の薬液供給装置1では、カバー8が親水性を備えているが、カバー8は必ずしも親水性を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態の薬液供給装置1では、カバー8が傾斜面部82を備えているが、傾斜面部82は必ずしもカバー8に備えられている必要はない。
また、上記実施形態の薬液供給装置1では、支持体7が下容器3、蓋部材4及び底部材5の3つのパーツに分かれているが、底部材5は下容器3に一体化されていてもよく、また、蓋部材4も底部材5に一体化されていてもよい。
また、上記実施形態の薬液供給装置1では、支持体7は、凹部32の外側に遮水壁37が設けられているが、凹部32の内側に凹部32から下方に延びる遮水壁37が設けられていてもよい。
また、上記実施形態の薬液供給装置1では、支持体7は、誘導部材38が設けられているが、必ずしも誘導部材38が設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態の薬液供給装置1では、薬液容器2をカバー8で覆っているが、必ずしもカバー8は必要ではなく、単に支持体7上に薬液容器2が取り付けられた薬液供給装置であってもよい。この場合には、薬液容器2の胴部20について、上記実施形態のカバー8の天面部80、側面部81及び傾斜面部82と同様の天面部、側面部及び傾斜面部を備えた形状にしてもよい。また、この場合には、薬液容器2の胴部20について、上記実施形態のカバー8と同様に、親水性を備えさせるようにしてもよい。