JP6734113B2 - 皮膜形成用組成物 - Google Patents
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Description
このようなニトロセルロースを含有する美爪料において、例えば、淡色系ネイルエナメルの耐褪色性を高めるために、塩酸、硝酸、リン酸などの無機塩または酢酸、クエン酸、酒石酸などの有機塩を用いる発明(特許文献1)、耐光性を高めるために、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などを配合する発明(特許文献2)、没食子酸プロピル、フェルラ酸、トコトリエノールなどを配合する発明(特許文献3)、オクトクリレンを配合して光による黄変や高温保存および長期保存での黄変を改善する発明(特許文献4)などが知られている。
しかしながら、これらを以てしても美爪料の安定性は十分に満足できるものではなかった。
ニトロセルロースを有機溶媒に溶解させたものとしては、昭和化学社製のニトロセルロース(H1/2)などが挙げられる。
本発明の皮膜形成用組成物中のニトロセルロースの含有量は、用途に応じて調整することができるが、例えば3〜30質量%の範囲にすることができる。
またオキシアルキレン付加物は、オキシエチレン付加物などが挙げられる。
オキシエチレン付加物は、オキシエチレン基の平均付加モル数(EO)が3〜10のものが好ましく、EOが3〜8のものがより好ましい。
硫酸塩は、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩が好ましい。
(I)ポリオキシエチレン(EO=3〜10)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(MEA)硫酸塩、(II)ポリオキシエチレン(EO=3〜10)ラウリン酸モノエタノールアミド(MEA)硫酸塩、(III)ポリオキシエチレン(EO=3〜10)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(MEA)リン酸エステルなどが挙げられる。
これらの市販品としては、
(I)はサンアミドC−3(日油社製)、ネオスコープCME−30SH(東邦化学工業社製)、アンホレックスCAS(三好油脂社製)などのPEG−3ヤシ油脂肪酸MEA硫酸ナトリウムなど、
(II)はPEG−3ラウリン酸MEA硫酸ナトリウムなど、
(III)は、アミゼット52P(川研ファインケミカル社製)のPEG−5ヤシ油脂肪酸MEAリン酸エステルなどが挙げられる。
本発明の皮膜形成用組成物中の有機溶剤の含有量は、全量で100質量%とする調整量であり、例えば60〜90質量%の範囲にすることができる。
樹脂としては、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、スルホンアミド系樹脂、シュークロース系樹脂などが挙げられる。
本発明の皮膜形成用組成物中の樹脂の含有量は、ニトロセルロース/樹脂(質量比)において好ましくは0.3〜3.0となる範囲である。
表1、表2に示す各成分を、ディスパーにて均一に混合分散し、実施例1〜8および比較例1〜2の皮膜形成用組成物を調製した。調製直後の実施例1〜8および比較例1〜2の皮膜形成用組成物は、無色透明であった。
前記組成物について、下記(1)〜(3)の各試験により評価した結果を、表1、2に示す。
(1-1)組成物
実施例および比較例の皮膜形成用組成物を透明のサンプル瓶(10mL容量)にそれぞれ8mL充填した後で蓋をして密閉し、実施例1〜8および比較例1、2のサンプル瓶を作製した。それらのサンプル瓶を80℃で60時間保存したときの外観変化を下記評価基準により評価した。
(1-2)皮膜
実施例1〜8および比較例1、2の皮膜形成用組成物を人工爪(基材)にハケで2度塗りした後、自然乾燥させて、皮膜(無色透明)が形成された人工爪サンプルを得た。得られた人工爪サンプルを80℃で60時間保存したときの外観変化を下記評価基準により評価した。
(2-1)組成物
上記の耐熱性試験と同様に調製した透明のサンプル瓶(蓋をして密閉している)を天井に取り付けられた蛍光灯(400〜500ルクス)下、2週間室温(20〜30℃)で保存したときの外観変化を下記評価基準により評価した。
(2-2)皮膜
上記の耐熱性試験と同様に調製した人工爪サンプルを天井に取り付けられた蛍光灯(400〜500ルクス)下、室温(20〜30℃)で2週間保存したときの外観変化を下記評価基準により評価した。
(3-1)組成物
上記の耐熱性試験と同様に調製した透明のサンプル瓶(蓋をして密閉している)を室内(室温20〜30℃)で6ヶ月保存したときの外観変化を下記評価基準により評価した。
(3-2)皮膜
上記の耐熱性試験と同様に調製した人工爪サンプルを室内にて(室温20〜30℃)で6ヶ月保存したときの外観変化を下記評価基準により評価した。
◎:未処理品(無色透明)と対比してほとんど変化なし
○:未処理品(無色透明)と対比して少し黄変が見られるが色調に影響を与えない程度
△:未処理品(無色透明)と対比して黄変による色調の変化を確認できる
×:未処理品(無色透明)と対比して黄変がひどく全く別の色調に見える
一方、比較例1は全ての試験で黄変および色調の変化が確認され、オクトクリレンを配合した比較例2においても、耐熱性と長期安定性において黄変および色調の変化が確認された。
また、実施例1〜8は、塗布のしやすさや乾燥の速さなどの使用性、発色や光沢などの仕上がり、粘性において、比較例1および2に比べて同などもしくはやや優れることが確認できた。
ネイルエナメル
ニトロセルロース 15.0
PEG−3ラウリン酸MEA硫酸ナトリウム 0.3
イソプロパノール 6.0
ブタノール 2.0
酢酸エチル 13.0
酢酸ブチル 調整量
フタル酸系アルキッド樹脂 6.0
クエン酸アセチルトリブチル 8.0
シリカ 2.6
オクトクリレン 0.8
カンフル 0.1
着色料 適量
合計(質量%) 100.0
(結果)得られたネイルエナメルは、上記(1)〜(3)の耐熱性試験、耐光性試験、長期保存安定性試験の各評価において良好な結果を得た。
ネイルエナメル
ニトロセルロース 13.0
PEG−5ヤシ油脂肪酸MEAリン酸エステル 0.2
イソプロパノール 6.0
酢酸エチル 20.0
酢酸ブチル 調整量
フタル酸系アルキッド樹脂 7.0
アクリル酸アルキルコポリマー 1.0
クエン酸 0.1
クエン酸アセチルトリブチル 8.0
ステアラルコニウムヘクトライト 1.3
スクワラン 適量
着色料 適量
合計(質量%) 100.0
(結果)得られたネイルエナメルは、上記(1)〜(3)の耐熱性試験、耐光性試験、長期保存安定性試験の各評価において良好な結果を得た。
ネイルエナメルトップコート
ニトロセルロース 8.0
PEG−3ヤシ油脂肪酸MEA硫酸ナトリウム 0.3
イソプロパノール 6.0
酢酸エチル 20.0
酢酸ブチル 調整量
アクリル系樹脂 8.0
フタル酸系アルキッド樹脂 3.0
アクリル酸アルキルコポリマー 1.0
クエン酸アセチルトリブチル 8.0
シリカ 1.0
シメチコン 0.3
カンフル 0.1
ホホバ種子油 適量
着色料 適量
合計(質量%) 100.0
(結果)得られたネイルエナメルは、前記(1)〜(3)の耐熱性試験、耐光性試験、長期保存安定性試験の各評価において良好な結果を得た。
ネイルエナメルベースコート
ニトロセルロース 11.0
PEG−3ヤシ油脂肪酸MEA硫酸ナトリウム 0.1
イソプロパノール 5.0
酢酸ブチル 15.0
酢酸エチル 調整量
フタル酸系アルキッド樹脂 11.0
クエン酸アセチルトリブチル 6.0
着色料 適量
合計(質量%) 100.0
(結果)得られたネイルエナメルベースコートは、上記(1)〜(3)の耐熱性試験、耐光性試験、長期保存安定性試験の各評価において良好な結果を得た。
ニトロセルロースラッカー
ニトロセルロース 10.0
PEG−3ヤシ油脂肪酸MEA硫酸ナトリウム 0.2
キシレン 調整量
酢酸エチル 10.0
酢酸ブチル 5.0
イソプロパノール 10.0
アルキッド樹脂 15.0
エチレングリコール 2.0
可塑剤 2.0
顔料 適量
合計(質量%) 100.0
(結果)得られたニトロセルロースラッカーは、前記(1)〜(3)の耐熱性試験、耐光性試験、長期保存安定性試験の各評価において良好な結果を得た。
Claims (5)
- ニトロセルロース、脂肪酸アルカノールアミド類および溶媒を含有する皮膜形成用組成物であって、
前記脂肪酸アルカノールアミド類が、脂肪酸アルカノールアミドの硫酸エステル塩、脂肪酸アルカノールアミドの硫酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドのリン酸エステル塩、脂肪酸アルカノールアミドのリン酸エステル、またはそれらのオキシアルキレン付加物から選ばれるものである、皮膜形成用組成物。 - 前記脂肪酸アルカノールアミド類が、ポリオキシエチレン(オキシエチレン基の平均付加モル数=3〜10モル)脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩、またはポリオキシエチレン(オキシエチレン基の平均付加モル数=3〜10モル)脂肪酸アルカノールアミドリン酸エステルである、請求項1記載の皮膜形成用組成物。
- 前記皮膜形成用組成物中の脂肪酸アルカノールアミド類の含有量が0.01〜1.0質量%である、請求項1または2記載の皮膜形成用組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物を含有する美爪料。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物を含有する塗料。
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