JP6734030B2 - 鞍乗り型車両のリヤフレーム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両のリヤフレームに関する。
従来、鞍乗り型車両のリヤフレームは、前後方向に延びる左右一対のシートフレームと、該シートフレームを車幅方向に接続するクロスメンバとを備え、リヤフレームの上方に設けられたシート部材がクロスメンバによって下方から支持されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
特許5021191号公報
ところで、特許文献1に示すように、クロスメンバは、リヤフレームの上方に位置するシート部材に近接して位置するように、シートフレームの上部に設けられている。このため、リヤフレームは、前面視(正面視)において、下方に開いたコ字状の形態を呈するので、下部の左右方向の剛性が上部に比して弱くなる。
本発明の目的は、鞍乗り型車両のリヤフレームの剛性を向上させることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
鞍乗り型車両のリヤフレームであって、前後方向に延びている左右一対のシートフレームと、左右の前記シートフレームを車幅方向に接続している第1クロスメンバ及び第2クロスメンバと、を備え、前記第1クロスメンバは、前記シートフレームの上部に位置しており、前記第2クロスメンバは、前記第1クロスメンバの前端部よりも後方で前記シートフレームの下部に位置しており、左右の前記シートフレームと、前記第1及び第2クロスメンバとが、一体形成されており、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとの上下方向の間に、盗難防止装置が固定されるようになっており、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとの上下方向の間に前記盗難防止装置が固定された状態で、前記第1クロスメンバの後端部は、前記盗難防止装置の前部に設けられたコネクタ接続口の後方に位置するように形成されており、前記第1クロスメンバの前端部は、前記コネクタ接続口に接続されるコネクタの前方に位置するように形成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、リヤフレームは、第1及び第2クロスメンバが上下方向において異なって位置しているので、正面視において矩形状に形成されることになる。これによって、リヤフレームの剛性を向上できる。
例えば、第1及び第2クロスメンバの上下方向の間に盗難防止装置を固定した場合に、左右一対のシートフレームによって左右から盗難防止装置へのアクセスを制限しつつ、第1及び第2クロスメンバによって上下から盗難防止装置へのアクセスを制限できる。したがって、盗難防止装置への周囲からのアクセスを制限することによって、盗難防止装置が不法に操作され、又は取り外されることを防止できるので、これによって、鞍乗り型車両の盗難防止性を向上できる。
また、本発明の他の態様は、鞍乗り型車両のリヤフレームの製造方法であって、前記リヤフレームを成型型による成型加工により形成し、その際の型抜き方向が、前記クロスメンバの延在方向に対して前後方向に傾斜しており、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとが重複しない、方向、に設定されている
要するに本発明によると、リヤフレームの剛性を向上できる。
本発明の一実施形態に係るリヤフレームを備えた鞍乗り型車両の後部を示す斜視図である。 鞍乗り型車両の後部を下方から見た斜視図である。 図1からリヤシート及び上部テールカバーを取り外した状態を示す斜視図である。 図3から蓋体を取り外した状態を示す斜視図である。 リヤフェンダを取り外した状態を下方から見た斜視図である。 リヤフレームに固定されたECUの周辺を前方から見た斜視図である。 リヤフレームの単体斜視図である。 図4のXIII−XIII線断面図である。 リヤフレームに固定されたECUの周辺を後方から見た斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態で使用する方向の概念は、特に説明のない限り、鞍乗り型車両に乗車した乗員から見た方向の概念と一致するものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る鞍乗り型車両1の後部を上方から見た斜視図であり、シート周辺を示している。図1に示すように、鞍乗り型車両1は、運転者用のフロントシート2と、これに隣接して後方に位置する同乗者用のリヤシート3と、リヤシート3の周囲を覆うテールカバー4とを備えている。なお、図1において、リヤシート3を仮想線で内側を透過させて示している。
リヤシート3は、シートロック装置5を介してリヤフレーム10に取り付けられている。シートロック装置5は、リヤフレーム10に取り付けられており、テールカバー4に取り付けられたキーシリンダ6(図4参照)を解錠操作することによって、リヤシート3をリヤフレーム10に係止するロック状態と、リヤシート3のリヤフレーム10への係止を解除するアンロック状態とに、操作されるようになっている。
テールカバー4は、リヤシート3の周囲を覆う上側テールカバー4Aと、上側テールカバー4Aの下部に連続して下側に配設された下側テールカバー4B(図2参照)と、に上下2分割されて構成されている。
図2は、鞍乗り型車両1のシート周辺を下方から見た斜視図である。図2に示すように、リヤフレーム10の下方には、下方からリヤフェンダ7が取り付けられている。したがって、リヤシート3の下方には、テールカバー4によって側方が覆われ且つリヤフェンダ7によって下方が覆われた装備品収容空間S1が形成されている。換言すれば、テールカバー4の車幅方向の内側において、上側テールカバー4Aの上部開口4Aa(図1参照)がリヤシート3によって覆われ、且つ、下側テールカバー4Bの下部開口4Baがリヤフェンダ7によって覆われた、装備品収容空間S1が形成されている。
また、リヤフェンダ7の下方には、後部装備品80(図1参照)を支持するリヤフラップ9が、更に取り付けられている。なお、図2において後部装備品80は省略されており、後部装備品80とは、鞍乗り型車両1の後部に装備される装備品を差し、例えば、図1に示すように、方向指示器(ウィンカー)81、泥よけ82、ナンバープレート83等の様々な装備品が含まれる。
図3は、図1からリヤシート3及び上側テールカバー4Aを取り外した状態を示している。図3に示すように、リヤフレーム10には、リヤフレーム10の少なくとも前側部分を上方から覆うように形成された樹脂製の蓋体20が取り付けられている。蓋体20は、装備品収容空間S1を、リヤシート3と蓋体20との間に画定された第1空間S11と、蓋体20とリヤフェンダ7とによって画定された第2空間S12とに、上下に区分するように形成されている。すなわち、第1空間S11は、第2空間S12よりも上方に位置している。第1空間S11には整備用工具を収容した工具袋8(図1参照)が配置されるようになっている。
図4は、図3から更に蓋体20を取り外した状態を示しており、図5は、リヤフェンダ7及びリヤフラップ9を取り外した状態を下方から見た斜視図を示している。図4及び図5に示すように、第2空間S12内には、ECU30が配置されている。ECUは、Engine Control Unit又はElectronic Control Unitの略であり、運転者の操作に基づいて鞍乗り型車両1の不図示の原動機(例えばエンジン又はモータ)を制御する制御装置である。
また、ECU30は、認証機能を有しており、正規の認証キー情報を有する正規の作動キー以外では、原動機を作動させることがない。すなわち、ECU30は、電源供給されただけで原動機が作動させられることを防止して、これによって鞍乗り型車両1が盗難されることを防止する、盗難防止装置としても機能する。
図6は、第2空間S12に配置されたECU30の周辺を拡大して示しており、図6において、リヤフレーム10を仮想線で透過して示している。ECU30は、ECUホルダ32によって覆われており、且つ、後述するように、第1及び第2ガード体60,70によって第2空間S12における移動が規制されるようになっている。
以下、各構成要素について具体的に説明する。
(リヤフレーム10)
図7は、リヤフレーム10を上方から見た単体斜視図である。リヤフレーム10は、車体本体に接続された状態で、前端から後方に進むにつれて上方に傾斜して延びている。すなわち、リヤフレーム10は、長手方向が水平面に対して後方に進むにつれて上方に傾斜するように形成される。図7に示すように、リヤフレーム10は、前後方向に延びる左右一対のシートフレーム14と、左右のシートフレーム14を車幅方向に接続する第1〜第3クロスメンバ11〜13と、を備えている。第1クロスメンバ11は、シートフレーム14の前後方向の中央部よりも前側でシートフレーム14の上部に位置している。第2クロスメンバ12は、第1クロスメンバ11の前端部よりも後方位置でシートフレーム14の下部に位置している。第3クロスメンバ13は、シートフレーム14の後端部でシートフレーム14の上部に位置している。
より具体的には、シートフレーム14は、車体取付状態において、後方へ進むにつれて上方へ傾斜して延びており、第1クロスメンバ11は、シートフレーム14の前後方向の中央部よりも前側部分の上部を車幅方向に接続するように延びている。第2クロスメンバ12は、シートフレーム14のうち、第1クロスメンバ11の前端部よりも後方部分の下部を車幅方向に接続するように延びている。第3クロスメンバ13は、シートフレーム14の後端部の上部を車幅方向に接続するように延びている。第1クロスメンバ11は、第2クロスメンバ12よりも上方に位置しており、第3クロスメンバ13は第1クロスメンバ11よりも上方に位置している。
リヤフレーム10は、左右のシートフレーム14と、第1〜第3クロスメンバ11〜13とが、ダイカスト法によって一体形成されたアルミニウム合金製である。なお、リヤフレーム10と、第1〜第3クロスメンバ11〜13と、を別部材で形成し、これを溶接で接合することによってリヤフレーム10を一体として形成してもよい。
このように、リヤフレーム10を形成することによって、左右のシートフレーム14と、第1及び第2クロスメンバ11,12とによって、リヤフレーム10を、前端部よりも前方から後方を見て矩形状に形成することができるので、リヤフレーム10の剛性を上下方向においてバランスよく向上できる。しかも、左右のシートフレーム14と、第1〜第3クロスメンバ11〜13が一体形成されているので、リヤフレーム10の剛性を更に向上できる。
第1クロスメンバ11は、シートフレーム14の上方において車幅方向に延びる第1クロスメンバ本体部111と、第1クロスメンバ本体部111の左右両側部を左右のシートフレーム14のそれぞれの上部に接続する左右一対の第1クロスメンバ基部112と、を備え、リヤフレーム10のダイカスト成型における型抜き方向D(図8参照)に垂直な車幅方向断面で下方に開いたコ字状の形態を有している。
図8は、図4のVIII−VIII線に沿った前後方向及び上下方向に平行な断面図であり、図8においてシートロック装置5は省略されている。図8を併せて参照して、第1クロスメンバ本体部111は、第2空間S12に配置されたECU30の前部に対応して位置するように形成されている。より具体的には、ECU30は前部にコネクタ接続口31が設けられており、第1クロスメンバ本体部111は、前部がコネクタ接続口31に接続されるコネクタ55よりも前方に位置し、後部がコネクタ接続口31よりも後方に位置するように形成されている。
図7に示すように、第1クロスメンバ本体部111には、シートロック装置5を取り付けるためのネジ孔としてのシートロック装置取付部111aが左右に前後方向の位置を異にして形成されている。図1を併せて参照して、シートロック装置5は、シートロック装置取付部111aに、締結ボルト43によって取り付けられるようになっている。
また、第1クロスメンバ本体部111には、残余の部分よりも薄肉とされた、第1〜第3薄肉部113〜115が形成されている。第1薄肉部113は、第1クロスメンバ本体部111の前部において、第1クロスメンバ本体部111の車幅方向にわたって形成されている。第1薄肉部113の左右両側部には、第1ガード体60(図6参照)が取り付けられる第1ガード体取付部113aが形成されている。
第2薄肉部114は、第1クロスメンバ本体部111の後部において、車幅方向の略中央部に形成されている。第2薄肉部114の左右両側部には、第2ガード体70(図6参照)が取り付けられる第2ガード体取付部114aが形成されている。第1及び第2ガード体取付部113a,114aは、ボス状部分を座繰り加工して形成されており、中央部にボルト挿通孔が貫通形成されている。
第3薄肉部115は、第1クロスメンバ本体部111の上部において、左右方向の略中央部を前後方向にわたって延びる細溝状に形成されている。なお、第1〜第3薄肉部113〜115の肉厚は、ダイカスト法によって製造できる肉厚のうち下限肉厚(例えば約2〜3mm)に設定されており、第1及び第2ガード体取付部113a,114aの肉厚も、第1〜第3薄肉部113〜115の肉厚と同等になるように座繰り加工されている。
左右の第1クロスメンバ基部112には、前部に、蓋体20を取り付けるための蓋体取付孔112aがそれぞれ形成されている。また、左右のシートフレーム14の第2クロスメンバ12の後部に対応する位置にも蓋体取付孔112aがそれぞれ形成されている。
第2クロスメンバ12は、左右のシートフレーム14の前後方向略中央部の、それぞれの下縁を、車幅方向に結ぶ平板状の形態を有している。すなわち、第2クロスメンバ12は、シートフレーム14の延在方向Fに延びている。
図8に示すように、第1クロスメンバ11は、ECU30に対向する下面11aに直交する方向から見たときに、少なくとも一部が重複範囲X1で第2クロスメンバ12と重複して位置するように形成されている。
また、第2クロスメンバ12は、ECU30に対向する上面12aに直交する方向から見たときに、少なくとも一部が重複範囲X2で第1クロスメンバ本体部111と重複して位置するように形成されている。
また、第1及び第2クロスメンバ11,12をシートフレーム14の延在方向Fに直交する方向から見たときに、第1及び第2クロスメンバ11,12は、少なくとも一部が重複範囲X3で重複して位置するように形成されている。なお、本実施形態では、第2クロスメンバ12はシートフレーム14の延在方向Fに延びているので、重複範囲X3は、第2クロスメンバ12の上面12aに直交する方向から見た場合の重複範囲X2と同一となる。
換言すると、第1クロスメンバ11の後端部11bと、第2クロスメンバ12の前端部12bとが、前後方向において重複して位置するようになっている。さらに換言すると、シートフレーム14の延在方向Fにおいて、第2クロスメンバ12の前端部12bは、第1クロスメンバ11の後端部11bよりも前方であって、第1クロスメンバ11の前端部11cよりも後方に位置している。
すなわち、重複部分X2を、シートフレーム14の延在方向Fに対して垂直に切断した場合の断面形状(すなわち、上面12aに直交する方向と車幅方向とに平行な断面形状)が、各シートフレーム14、第1クロスメンバ11、及び第2クロスメンバ12によって矩形状の閉ループ状に形成される。これによって、リヤフレーム10の曲げ剛性やねじり剛性が向上する。
第2クロスメンバ12は、第2空間S12に配置されたECU30の少なくとも後側半分に対応する前後方向長さを有し、後縁がECU30よりも後方に位置するように形成されている。また、第2クロスメンバ12には、リヤフラップ9を取り付けるためのリヤフラップ取付部121が形成されている。リヤフラップ取付部121は、下方に突出するボス状部分と、該ボス状部分を上下に貫通するように形成されたネジ孔とによって構成されている。
また、リヤフレーム10の成型型の抜き方向Dが、車体取付状態におけるリヤフレーム10の鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した方向に設定されている。具体的には、リヤフレーム10の車体取付状態において、前方に進むにつれて下方に傾斜する方向に、成型型の抜き方向Dが設定されている。
具体的には、抜き方向Dから見たときに、第1クロスメンバ11と第2クロスメンバ12とは重複して位置しておらず、第1クロスメンバ11と第2クロスメンバ12との前後方向の間に、抜き方向Dと車幅方向に平行な平面が画定される。これによって、第1クロスメンバ11及び第2クロスメンバ12を上方から見て、前後方向に近接配置しやすい。換言すると、抜き方向Dを、シートフレーム14の延在方向Fに対して傾斜するように設定することが好ましい。
第1及び第2クロスメンバ11,12は、略平行に延びており、それぞれ、車体取付状態において、抜き方向D、すなわち前方に進むにつれて下方に傾斜している。これによって、第1及び第2クロスメンバ11,12と一対のシートフレーム14とで囲まれた空間は、車体取付状態において、水平方向から傾斜して前後方向に延びる。これによって、さらにECU30を水平方向に移動しにくくすることができ、ECU30の取り外しを防止できる。
第1又は第2クロスメンバ11,12は、シートフレーム14と分離不能に形成されて、シートレール14の剛性を確保するための部分として利用される。したがって、剛性確保する部分を分離してまで、すなわち車体剛性を低下させてまで、ECU30を不正に取り外して盗難される可能性が低く、盗難防止性を向上できる。
例えば、リヤフレーム10の上下にそれぞれ配置される支持対象に対して上下方向に近接した位置で、支持対象を支持することができ、支持構造を単純化することができる。具体的には、第1クロスメンバ11は、支持対象のリヤシート3に対して下方側に近接(当接)した位置に位置しており、第2クロスメンバ12は、支持対象のリヤフラップ9に対して上方側に近接(当接)した位置に位置している。
図7に示すように、第3クロスメンバ13は、左右のシートフレーム14のそれぞれの後端部を、車幅方向に結ぶように形成されており、リヤシート3の後部が係止されるようになっている。
(蓋体20)
図3に示すように、蓋体20は、板状の樹脂部材であって、リヤフレーム10の上方を覆う略矩形状に形成された本体部21と、本体部21の四隅に形成された被取付部22と、本体部21の前部に形成されたリレー取付部23と、本体部21の後方右側部に形成されたハーネスガイド24と、本体部21の前方右側部に形成されたセンサ取付部25と、が一体形成されている。
本体部21は、リヤフレーム10の上方において、第1クロスメンバ11の前部から第2クロスメンバ12の後部まで、左右のシートフレーム14の間を少なくとも延びている。すなわち、本体部21は、第2空間S12に配置されたECU30の上方を少なくとも覆うように形成されている。本体部21は、第1クロスメンバ11の上方を覆う前側本体部211と、前側本体部21の後部に連続して第2クロスメンバ12の上方を覆う後側本体部212と、を有している。
前側本体部211には、第1クロスメンバ11に取り付けられたシートロック装置5が貫通する開口部211aと、開口部211aの後部に位置するワイヤ配策部211bと、開口部211aの両側部に位置する取付孔211cと、が形成されている。
図4を併せて参照して、ワイヤ配策部211bの内側(下側)には、キーシリンダ6の解錠操作をシートロック装置5に伝達するロックワイヤ54が配策されるようになっている。取付孔211cの下面側にはゴムナット(図示しない)が設けられ、図1を併せて参照して、締結ボルト44を取付孔211cに貫通させて前記ゴムナットに締め付けることによって、上側テールカバー4Aの前部が蓋体20に取り付けられるようになっている。
後側本体部212は、前側本体部211よりも一段低く形成されており、上面に工具袋8が載置されるようになっている。
被取付部22は、蓋体20をリヤフレーム10に取り付けるための被取付部として構成されており、前側本体部211の前端両側部と後側本体部212の後端両側部との4箇所それぞれに、ボルト座面とボルト孔とを有するように形成されている。そして、蓋体20は、締結ボルト41をリヤフレーム10の前後に形成された蓋体取付孔112a(図7参照)に締結することによってリヤフレーム10に取り付けられるようになっている。
リレー取付部23は、前側本体部211の車幅方向の略中央部の左右2箇所において、それぞれ上方に向けて立設するように形成された板状の形態を有している。そして、リレー51に形成されたスリット部51aを、リレー取付部23の上方から嵌挿させることによって、リレー51が、リレー取付部23に取り付けられるようになっている。
ハーネスガイド24は、後側本体部212の上面右側部において、上方に向けて立設するように形成された左右一対の板状の形態を有している。そして、ハーネス52を、ハーネスガイド24の左右方向間に配策させることで、蓋体20上におけるハーネス52の左右方向位置を規制している。
図3の左上部に拡大して示すように、センサ取付部25は、前側本体部211の前方右端部に設けられ、鉛直方向及び左右方向に平行であって前方を指向するように形成された取付面25aと、取付面25aに取り付けられた左右一対の取付ボルト25bと、を備えている。そして、センサ53の後面を取付面25aに当接させつつ取付ボルト25bにセンサ53の貫通孔を貫通させて、締結ナット42で締め付けることによって、センサ53を蓋体20に取り付けることができる。
なお、センサ53をセンサ取付部25に取り付けることによって、前方を指向しつつ長手方向が鉛直方向に延びるような、所定の姿勢で取り付けることができる。本実施形態ではセンサ53は、転倒を検知する転倒センサであって、所定の姿勢で取り付けることで鞍乗り型車両の傾斜状態を検知することを可能とし、これによって鞍乗り型車両の転倒を検知できる。
(ECU30)
図8に示すように、ECU30は、第1及び第2クロスメンバ11,12の上下方向間に配置された状態で、前部が上方から第1クロスメンバ11によって覆われており、後部が下方から第2クロスメンバ12によって覆われている。具体的には、ECU30は、上面が第1クロスメンバ11の下面11aに対向し、下面が第2クロスメンバ12の上面12aに対向している。ECU30は、前部にコネクタ接続口31を有し、コネクタ接続口31には、原動機等の電装部品に接続されたハーネスがコネクタ55を介して接続されるようになっている。
コネクタ接続口31は、第1クロスメンバ11の後端部よりも前方に位置しており、コネクタ接続口31に差し込まれたコネクタ55は、第1クロスメンバ11の前端部よりも後方に位置している。すなわち、コネクタ接続口31及びコネクタ55への上方からのアクセスが、第1クロスメンバ11によって防止されるようになっている。
ECU30は、ゴム製のECUホルダ32に取り付けられており、ECUホルダ32を介して、第2空間S12内に弾性的に支持されている。具体的には、ECU30は、ECUホルダ32を介して、下方が第2クロスメンバ12によって支持されており、上方が第1クロスメンバ11及び蓋体20(図3参照)によって近接又は当接されており、左右両側方が左右のシートフレーム14によって近接又は当接されている。さらに、ECU30は、前端部が、リヤフェンダ7に立設されたストッパ7aによって支持されている。
すなわち、ECU30は、第2空間S12において、ECUホルダ32を介して、上下方向への移動が第1及び第2クロスメンバ11,12及び蓋体20によって規制又は防止されており、左右方向への移動が左右のシートフレーム14によって規制又は防止されており、前方への移動がリヤフェンダ7によって規制又は防止されている。
図6に示すように、ECUホルダ32は、ECU30が前方から差し込まれるようになっており、ECU30の前部を覆う第1ホルダ部分33と、第1ホルダ部分に接続されており、ECU30の車幅方向の略中央部をECU30の上部、後部及び下方にかけて覆う第2ホルダ部分34と、を有している。第2ホルダ部分34の上部には、前後方向に延びる第2ホルダ開口部34aが左右一対に形成されており、これによって、左右の第2ホルダ開口部34aの間を前後方向に延びる第2ホルダリブ部34bが形成されている。
(第1及び第2ガード体60,70)
図6に示すように、第1及び第2ガード体60,70は、リヤフレーム10よりも強度の高い材料(例えばアルミニウム合金より強度の高い鉄鋼材料)を折り曲げ成形して、重複部分を互いに溶接により接合することによって箱状に形成されている。第1及び第2ガード体60,70は、それぞれ第1クロスメンバ本体部111に盗難防止用締結ボルト45によって固定されている。盗難防止用締結ボルト45は、締め付け方向にのみ締結可能なボルトである。
第1ガード体60は、第2空間S12に配置されたECU30の前方上部に対して、前上方から近接して位置する第1ガード本体61と、第1ガード本体61を第1ガード体取付部113aに取り付けるための取付ブラケット62と、を有している。
図8を併せて参照して、第1ガード本体61は、下方及び後方が開いた箱状に形成されており、より具体的には、第1ガード本体61は、ECUホルダ32に覆われたECU30の前上部の角部に対応して断面L字状に形成され、その左右両側部において箱状に折りたたまれている。すなわち、第1ガード本体61は、リヤフレーム10よりも強度の高い材料で形成されており、且つ、箱状に形成されていることと相まって、第1クロスメンバ11に比して、高強度に形成されている。
また、第1ガード本体61の前壁部分61aは、ECU30に差し込まれたコネクタ55に対して、所定隙間L1を介して前方から対向して位置している。所定隙間L1は、コネクタ55のECU30へのコネクタ差し込み長さL2よりも短くなるように設定されている。従って、第2空間S12に配置されたECU30からコネクタ55を引き抜こうとした場合、コネクタ55はコネクタ接続口31から完全に引き抜かれる前に前壁部分61aに接触することになり、引き抜きできないようになっている。すなわち、前壁部分61aは、コネクタ55のコネクタ接続口31からの引き抜きを防止する、コネクタガード部分として作用する。
第1ガード本体61の側壁部分61bは、コネクタ55の両側部に対向位置している。すなわち、第1ガード本体61によって、第2空間S12に配置されたECU30からのコネクタ55の引き抜きが防止されると共に、ECUホルダ32を介して、ECU30の第2空間S12における、前方、上方、及び左右方向への移動が規制又は防止されるようになっている。
取付ブラケット62は、前面視で上方に開いた略U字状の取付ブラケット本体部62aと、取付ブラケット本体部62aの上端部から左右方向に延びて第1ガード体取付部113aの下部に対向して位置するブラケット取付部62bと、を有しており、取付ブラケット本体部62aで、第1ガード本体61に例えば溶接によって固着されている。また、ブラケット取付部62bの下面にはウェルドナット62cが取り付けられている。
図9は、第2ガード体70の周辺を後方から見た斜視図である。図9に示すように、第2ガード体70は、下方及び前方が開いた箱状に形成されており、上壁部70aで、第1クロスメンバ11の第2ガード体取付部114aに取り付けられるようになっている。また、第2ガード体70の後壁部70bには、第2空間S12に配置されたECU30のECUホルダ32の第2ホルダリブ部34bによって嵌挿される、上下に延びるスリット70cが形成されている。
換言すると、第2ガード体70は、スリット70cがECUホルダ32の第2ホルダリブ部34bを上方から左右に挟むように位置している。また、第2ガード体70の後壁部70bのうち、スリット70cを除く残余の部分は、左右の第2ホルダ開口部34a内に位置するようになっている。すなわち、第2ガード体70によって、ECUホルダ32を介して、ECU30の第2空間S12における、後方、上方、及び左右方向への移動が規制又は防止されるようになっている。
したがって、第1及び第2ガート体60,70によって、ECU30の第2空間S12における、前後、左右、上方への移動が規制又は防止されており、さらに、第1ガード体60の第1ガート本体61によってECU30からのコネクタ55の引き抜きが防止されるようになっている。
よって、ECU30は、第1及び第2ガード体60,70によって前後、左右、上方の移動が規制又は防止されており、これに加えて、上述したように、第1及び第2クロスメンバ11,12、蓋体20、シートフレーム14、リヤフェンダ7によって前、左右、上下の移動が規制又は防止されている。この結果、ECU30は、前後、左右、上下の各方向への移動が規制又は防止されており、間接的に第2空間S12に固定されるようになっている。
また、ECU30、又は第1及び第2ガード体60,70を含む部分は、上下に並ぶ第1及び第2クロスメンバ11,12の間の空間に配置されている。これによって、ECU30を着脱するにあたって上下の第1及び第2クロスメンバ11,12が干渉することになるから、ECU30の盗難防止性を向上できる。
(リヤフェンダ7)
図2に示すように、リヤフェンダ7は、リヤフレーム10の下方に取り付けられている。図示は省略するが、リヤフェンダ7は、前端部及び端部において、リヤフレーム10に下方から締結ボルトで取り付けられるようになっている。また、図8を併せて参照して、リヤフェンダ7は、第2空間S12に配置されたECU30の前部に当接するように上方に立設されたストッパ7aと、リヤフレーム10のリヤフラップ取付部121に対応した位置に貫通形成された貫通孔7bを有している。
リヤフェンダ7は、貫通孔7bに第2クロスメンバ12のリヤフラップ取付部121を挿通させつつ、リヤフラップ9をリヤフラップ取付部121に取り付けることによって、前後方向の略中間部分がリヤフラップ9と第2クロスメンバ12との上下方向間に位置するようになっておいる。すなわち、リヤフェンダ7は、前後方向の略中間部分が、リヤフラップ9と第2クロスメンバ12とによって、上下方向の位置すなわち移動が規制されるようになっている。
(リヤフラップ9)
図2に示すように、リヤフラップ9は、リヤフェンダ7の下方に位置しており、リヤフラップ取付部121に、締結ボルト46を下方から締結することによって取り付けられている。従って、締結ボルト46をリヤフレーム10側からリヤフラップ9に締結する場合、すなわち第2空間S12側に締結ボルト46のボルト頭部を配置する場合に比して、締結ボルト46へ容易にアクセスすることができるので、リヤフラップ9の整備性がよい。
また、図1を併せて参照して、リヤフラップ9には、方向指示器81、泥よけ82、ナンバープレート83等の後部装備品80が取り付けられるようになっている。換言すれば、リヤフラップ9は、リヤフェンダ7よりも剛性の高いリヤフレーム10に直接に支持されているので、リヤフェンダ7に取り付けられる場合に比して、後部装備品80をよりしっかりと支持できるようになっている。従って、リヤフラップ9をリヤフレーム10に直接に取り付けることによって、後部装備品80を支持するためにリヤフェンダ7及びリヤフラップ9を過度に補強することを必要としない。
次に、上述した、リヤシート3、テールカバー4、シートロック装置5、リヤフェンダ7、リヤフレーム10、蓋体20、盗難防止用締結ボルト45、第1及び第2ガード体60,70他によって構成される、ECU30の盗難防止構造について説明する。ECU30は、テールカバー4の内側であって、リヤフレーム10の車幅方向の内側に配設されているので、ECU30にアクセスしようとした場合、上方若しくは下方からアクセスすることを要する。
まず、ECU30に上方からアクセスする場合を説明すると、図1に示す状態から、リヤシート3を取り外すことを要するが、リヤシート3はシートロック装置5を介してリヤフレーム10に係止されている。このため、リヤシート3を取り外すには、キーシリンダ6を解錠操作してシートロック装置5をアンロック状態にすることを要するので、正規の解錠キーがなければ、リヤシート3を取り外すことに手間取ることになる。
また、図3及び図4を参照すると、キーシリンダ6による解錠操作をシートロック装置5に伝達するロックワイヤ54は、蓋体20のワイヤ配策部211bの内側に配設されているので、テールカバー4の外側からロックワイヤ54へのアクセスが防止されている。したがって、テールカバー4の外側からロックワイヤ54を不法に操作してシートロック装置5をアンロック状態にすることが防止されるようになっている。この点からも、リヤシート3のリヤフレーム10からの取り外しが容易ではない。
次に、図3に示されるように、リヤシート3がリヤフレーム10から取り外されたとしても、ECU30は、蓋体20によって上方が覆われているので、ECU30へのアクセスが制限されている。したがって、ECU30にアクセスするには、蓋体20を取り外すことを要する。なお、蓋体20には、リレー51、ハーネス52、センサ53等が支持されているので、蓋体20は鞍乗り型車両1の機能上必要な機能部品として構成されることになる。このため、蓋体20を無理に取り外そうとすると、鞍乗り型車両1の機能部品としての蓋体20を損傷させてしまうことになるので、蓋体20を無理に取り外すことが抑制される。
また、蓋体20をリヤフレーム10に取り付ける締結ボルト41に、盗難防止用締結ボルトを用いてもよい。これによって、より一層、蓋体20の車体フレーム10からの取り外しを困難にさせることができる。
次に、蓋体20がリヤフレーム10から取り外されたとしても、図4に示すように、ECU30は、前部が第1クロスメンバ11によって覆われており、さらに、第1及び第2ガード体60,70によって、第2空間S12内の位置すなわち移動が規制されているので、ECU30を容易に取り外すことができない。
第1及び第2ガード体70は、第1クロスメンバ11に盗難防止用締結ボルト45で締結されているので、第1及び第2ガード体60,70を第1クロスメンバ11から取り外すのは容易ではない。また、第1及び第2ガード体60,70はリヤフレーム10よりも強度の高い材料を箱状に折り曲げて形成されており、一方で第1及び第2ガード体60,70は、第1クロスメンバ11の第1及び第2薄肉部113,114に形成された、第1及び第2ガード体取付部113a,114aに取り付けられている。
このため、第1ガード体60,70は第1クロスメンバ11よりも高強度に形成されているので、第1及び第2ガード体60,70を、破損させて第1クロスメンバ11から取り外そうとした場合、第1及び第2ガード体60,70の破損に先だって、第1クロスメンバ11が、第1及び第2ガード体よりも強度の低い第1〜第3薄肉部113〜115から破損しやすい。この結果、鞍乗り型車両の機能部品を損傷してしまうことになる。したがって、破損を躊躇させ、又は抑止させる効果がある。
また、ECU30からコネクタ55の引き抜きは、コネクタ55に対向して位置する第1ガード体60によって防止されるようになっている。したがって、この点からも、ECU30の取り外しがより効果的に防止されるようになっている。
一方、ECU30を下方から取り外そうとした場合、ECU30にアクセスするには、リヤフェンダ7と、リヤフラップ9を取り外す必要があるので、短時間でECU30にアクセスできない。また、リヤフェンダ7及びリヤフラップ9を取り外したとしても、上述したように、ECU30は、第1及び第2ガード体60,70によって、第2空間S12における移動が制限されており、更に第1ガード体60の第1ガード本体61によって、コネクタ55の引き抜きが防止されるようになっている。
したがって、上記説明したECUの盗難防止構造によれば、ECU30への上方及び下方からのアクセスに時間を要し、短時間でアクセスできないようになっている。すなわち、本実施形態に係る鞍乗り型車両1は、認証機能付のECU30を備えているので、本鞍乗り型車両1を盗難しようとする者は、まず、ECU30を認証機能が解除されたECU30に取り換えることを要するが、上述したようにECU30へのアクセスが極めて困難とされ、加えてECU30の取り外しも困難であるので、鞍乗り型車両1を短時間で盗難することができず、鞍乗り型車両の盗難防止性能が高められている。
以上説明した鞍乗り型車両のリヤフレームによれば、以下の効果を発揮できる。
(1)リヤフレーム10は、第1及び第2クロスメンバ11,12が上下方向及び前後方向において異なって位置しているので、平面視及び正面視において矩形状に形成されることになる。これによって、リヤフレーム10の剛性を上下方向においてバランスよく向上できる。また、シートフレーム14の延在方向Fにおいて第2クロスメンバ12の前端部12bは、第1クロスメンバ11の後端部11bよりも前方に位置しており、すなわち、第1及び第2クロスメンバ11,12が近接して配置されるので、リヤフレーム10の剛性をより効果的に向上できる。
(2)第1及び第2クロスメンバ11,12の上下方向の間(第2空間S12)にECU30を配置した場合に、左右のシートフレーム14によって左右からECU30へのアクセスを制限し、第1及び第2クロスメンバ11,12によって上下からECU30へのアクセスを制限できる。したがって、リヤシート3が取り外された状態でも、ECU30への外部からのアクセスを制限できるので、この結果、ECU30の盗難防止性を向上できる。
(3)第1及び第2クロスメンバ11,12の上下方向の間にECU30を配置した場合に、ECU30に接続されるコネクタ55が、第1クロスメンバ11によって上方から覆われることになるので、上方からコネクタ55へのアクセスを制限できる。これによって、ECU30からコネクタ55が引き抜かれることを防止して、ECU30の盗難防止性を更に向上できる。
(4)第1及び第2ガード体60,70によって、第1及び第2クロスメンバ11,12の上下方向の間に配置されたECU30の移動を、規制又は防止できるので、ECU30の盗難防止性をより一層向上できる。
(5)第1ガード本体61の前壁部分61aによって、第1及び第2クロスメンバ11,12の上下方向の間に配置されたECU30からのコネクタ55の引き抜きを防止できるので、ECU30の盗難防止性を更により一層向上できる。
(6)第1及び第2ガード体60,70を盗難防止用締結ボルト45で固定することによって、第1及び第2ガード体60,70の第1クロスメンバ11からの取り外しを困難にできる。また、第1クロスメンバ11は、第1及び第2ガード体取付部113a,114aの強度が、第1及び第2ガード体60,70に比して弱く形成されているので、第1及び第2ガード体60,70を破壊しようとした場合、第1クロスメンバ11が破損し易く、この結果、車両を破損させてしまう可能性が高い。従って、車両を破損させることなく、ECU30を取り外すことが容易ではなく、ECU30の盗難防止性を更により一層向上できる。特に、第1クロスメンバ11には、第1〜第3薄肉部113〜115を形成したので、第1及び第2ガード体60,70を破壊しようとすると、第1〜第3薄肉部113〜115において破損しやく、強度部材であるリヤフレーム10に損傷を生じる。
(7)リヤフレーム10の上方に位置するリヤシート3を、シートフレーム14の上部に設けられた第1クロスメンバ11によって近接した位置で支持しやすく、リヤフレーム10の下方に位置する後部装備品80を、シートフレーム14の下部に設けられた第2クロスメンバ12によって近接した位置でリヤフラップ9を介して支持しやすい。従って、リヤフレーム10の上下にそれぞれ配設される装備品3,9,80を、上下に近接した位置で支持しやすく、リヤフレーム10による装備品3,9,80の支持構造を単純化できる。
(8)第1クロスメンバ11によって、リヤシート3を支持すると共に、リヤシート3を固定するシートロック装置5を固定することができる。従って、第1クロスメンバ11によって、ECU30への上方からのアクセスを制限する部材と、リヤシート3を固定可能に支持する部材とを共通化できるので、部品点数を削減できる。更に、シートロック装置5とリヤシート3との距離を小さくすることができるので、リヤシート3の固定構造を単純化できる。
(9)左右のシートフレーム14、第1クロスメンバ11、及び第2クロスメンバ12をダイカスト法又は溶接によって一体的に形成することによって、部品点数を削減できる。これによって、生産性が向上するので、コストを低減できる。しかも、重量物である後部装備品80を支持するリヤフラップ9を、シートフレーム14に一体化された第2クロスメンバ12によって、しっかりと支持できる。
(10)蓋体20によって、ECU30、第1及び第2ガード体60,70を上方から遮蔽することができるので、リヤシート3が取り外された状態でも、ECU30へのアクセスを困難にできる。よって、ECU30の盗難防止性能をさらにより一層向上できる。
(11)蓋体20は、リレー取付部23、ハーネスガイド24、センサ取付部25が一体形成されているので、鞍乗り型車両1の機能上必要な機能部品として構成されることになる。これによって、蓋体20によって上方が遮蔽されたECU30へのアクセスのために、蓋体20を破壊することが抑制されるので、ECU30へのアクセスを抑制できる。よって、ECU30の盗難防止性能をさらにより一層向上できる。
(12)蓋体20のワイヤ配策部211bによって、ロックワイヤ54への外部からのアクセスを防止できる。これによって、ロックワイヤ54を直接操作してシートロック装置5を解錠操作することを防止して、リヤシート3が不所望に取り外されることを防止できる。よって、リヤシート3の下方に配置された、ECU30の盗難防止性能をより向上できる。
盗難防止装置としては、鞍乗り型車両が盗難されるのを防止する装置を差し、例えば認証機能を有する電子制御ユニット(以下、ECUと称する)、認証用アンテナ、又はGPS(Global Positioning System)を有する通信手段(現在位置情報を通信する)が含まれる。また、盗難防止装置の他、盗難されるのを防止したい装備品、物品(ETC車載器、ETCカード等)を、第2空間S12に配置すると共に、第1及び第2ガード体60,70によって、移動を規制すると共に、コネクタの引き抜きを防止するように構成してもよい。
上記実施形態では、第1及び第2ガード体60,70を、第1クロスメンバ11に取り付けたが、これに限らず、第2クロスメンバ12に取り付けてもよく、又は第1及び第2ガード体60,70の一方を第1クロスメンバに取り付けて、他方を第2クロスメンバに取り付けてもよい。また、第1及び第2ガード体60,70を一体として形成してもよい。
また、上記実施形態では、第2空間S12に配置したECU30を、移動を規制又は防止することによって第2空間S12内に間接的に固定するように構成したが、ECU30を直接に締結部材で例えばリヤフレーム10に固定してもよい。
また、上記実施形態では、ECU30のコネクタ接続口31が前方に位置する場合を例にとり説明したが、後方又は側方等の他の部分に位置する場合にも、本発明を適用してもよい。その場合でも、第1及び第2ガード体によって、ECU30の移動を規制又は防止しつつ、ECU30に接続されたコネクタ55の引き抜きを防止するように構成すればよい。
また、上記実施形態では、シートフレーム14の延在方向Fは、第2クロスメンバ12の延在方向に一致しており、延在方向Fに垂直な方向と、第2クロスメンバ12の上面12aに直交する方向とが一致している。しかしながら、第2クロスメンバ12は、延在方向Fに延びていなくてもよい。すなわち、第1クロスメンバ11の下面11aに直交する方向、又は第2クロスメンバ12の上面12aに直交する方向、又は延在方向Fに直交する方向、のいずれかの方向から見て、第1クロスメンバ11と第2クロスメンバ12とが少なくとも部分的に重複すればよく、第1及び第2クロスメンバの上下方向の間にECU30が搭載されるものであればよい。
また、第1及び第2クロスメンバ11,12を、上下方向に見て、前後方向に重複するようにしてもよく若しくは前後方向に若干の隙間をあけて近接配置してもよい。要するに、シートフレーム14の上部を車幅方向に接続する第1クロスメンバ11と、シートフレーム14の下部を車幅方向に接続する第2クロスメンバ12とを、前後方向に近接して配置することで、リヤフレーム10の上下方向の剛性を効果的に向上できる。
また、ECU30等の電装品が搭載される面が、いずれかのクロスメンバに形成されており、このクロスメンバに面直な方向において、2つのクロスメンバが電装品を上下方向に挟んでシートフレーム14の延在方向F又に重複して位置するものであればよく、若しくは、前後方向に重複又は近接して位置するものでもよい。
なお、本発明は、以上の実施形態に示すものに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
以上のように、本発明に係る鞍乗り型車両のリヤフレームによれば、リヤフレームの剛性を、上下方向及び左右方向においてバランスよく向上できるので、この種の製造技術分野において好適に実施される可能性がある。
1 鞍乗り型車両
3 リヤシート
4 テールカバー
5 シートロック装置
7 リヤフェンダ
7a ストッパ
8 工具袋
9 リヤフラップ
10 リヤフレーム
11 第1クロスメンバ
12 第2クロスメンバ
13 第3クロスメンバ
14 シートフレーム
20 蓋体
21 本体部
22 被取付部
23 リレー取付部
24 ハーネスガイド
25 センサ取付部
30 ECU
31 コネクタ接続口
32 ECUホルダ
45 盗難防止用締結ボルト
51 リレー
52 ハーネス
53 センサ
54 ロックワイヤ
55 コネクタ
60 第1ガード体
61 第1ガード本体
62 取付ブラケット
70 第2ガード体
80 後部装備品
81 方向指示器
82 泥よけ
83 ナンバープレート
S1 装備品収容空間
S11 第1空間
S12 第2空間
L1 所定隙間
L2 コネクタ差し込み長さ

Claims (5)

  1. 前後方向に延びている左右一対のシートフレームと、
    左右の前記シートフレームを車幅方向に接続している第1クロスメンバ及び第2クロスメンバと、を備え、
    前記第1クロスメンバは、前記シートフレームの上部に位置しており、
    前記第2クロスメンバは、前記第1クロスメンバの前端部よりも後方で前記シートフレームの下部に位置しており、
    左右の前記シートフレームと、前記第1及び第2クロスメンバとが、一体形成されており、
    前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとの上下方向の間に、盗難防止装置が固定されるようになっており、
    前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとの上下方向の間に前記盗難防止装置が固定された状態で、
    前記第1クロスメンバの後端部は、前記盗難防止装置の前部に設けられたコネクタ接続口の後方に位置するように形成されており、
    前記第1クロスメンバの前端部は、前記コネクタ接続口に接続されるコネクタの前方に位置するように形成されている、ことを特徴とする鞍乗り型車両のリヤフレーム。
  2. 前記第1クロスメンバ及び前記第2クロスメンバの少なくとも一方に設けられたガード体を備えており、
    前記ガード体は、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとの間に固定された前記盗難防止装置の移動を規制するように構成されている、
    請求項に記載の鞍乗り型車両のリヤフレーム。
  3. 前記ガード体は、前記第1クロスメンバと前記第2クロスメンバとの間に固定された前記盗難防止装置に接続された、前記コネクタの、引き抜き方向への移動を、規制する、コネクタガード部分を、有している、
    請求項に記載の鞍乗り型車両のリヤフレーム。
  4. 前記ガード体は、前記第1クロスメンバ及び前記第2クロスメンバの少なくとも一方に、締め付け方向にのみ締結可能な盗難防止用締結部材によって固定されており、
    前記第1クロスメンバ及び/又は前記第2クロスメンバは、前記ガード体が取り付けられた部分の強度が、前記ガード体に比して弱く形成されている、
    請求項2又は3に記載の鞍乗り型車両のリヤフレーム。
  5. 前記第1クロスメンバは、前記シートフレームの上方に設けられたシート部材を下方から支持するように形成されており、
    前記第2クロスメンバは、前記シートフレームの下方に設けられた後部装備品を上方から支持するように形成されている、
    請求項1〜のいずれか1つに記載の鞍乗り型車両のリヤフレーム。
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