JP6733556B2 - 自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、エンジンとエンジンをクランキング可能なモータとを備え、モータによってエンジンをクランキングして始動する際に、シフトレバーがPレンジ,Nレンジの何れかで且つ車両停止状態にある場合には、それ以外の場合に比して、エンジンの燃料噴射を開始する回転数を高くするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、こうした制御により、吸気圧が大きく低下している状態で初回の燃料噴射を行なわせて、燃料噴霧の霧化の促進を図っている。
特開2010−188948号公報
上述の自動車では、シフトレバーがPレンジ,Nレンジの何れかで且つ車両停止状態にある場合に、それ以外の場合に比して、エンジンの燃料噴射を開始する回転数を高くすることにより、エンジンの始動時の、燃料噴霧の霧化を促進したり振動(ショック)を低減したりすることができるものの、エンジンの回転数の上昇が遅くなると考えられる。このため、シフトレバーがPレンジ,Nレンジの何れかで且つ車両停止状態にある場合にドライバの操作(例えば、アクセルペダルの踏込)に基づいてエンジンを始動する際には、ドライバにもたつき感を感じさせる可能性がある。
本発明の自動車は、シフトポジションが非走行ポジションでドライバの操作に応じてエンジンを始動する際に、ドライバにもたつき感を感じさせるのを抑制することを主目的とする。
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動車は、
エンジンと、
前記エンジンをクランキング可能なモータと、
前記エンジンの始動要求に応じて前記モータによって前記エンジンがクランキングされて始動されるように前記エンジンと前記モータとを制御する制御装置と、
を備える自動車であって、
前記制御装置は、
前記エンジンを始動する際において、
シフトポジションが走行ポジションのときには、燃料噴射の開始時期を第1時期とし、
前記シフトポジションが非走行ポジションで且つ前記始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、前記燃料噴射の開始時期を前記第1時期よりも遅い第2時期とし、
前記シフトポジションが前記非走行ポジションで且つ前記始動要求が前記ドライバ操作に基づくものであるときには、前記燃料噴射の開始時期を、前記第1時期と同一または前記第1時期よりも遅く且つ前記第2時期よりも早い第3時期とする、
ことを要旨とする。
この本発明の自動車では、エンジンを始動する際において、シフトポジションが走行ポジションのときには、燃料噴射の開始時期を第1時期とし、シフトポジションが非走行ポジションで且つ始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、燃料噴射の開始時期を第1時期よりも遅い第2時期とし、シフトポジションが非走行ポジションで且つ始動要求がドライバ操作に基づくものであるときには、燃料噴射の開始時期を、第1時期と同一または第1時期よりも遅く且つ第2時期よりも早い第3時期とする。これにより、シフトポジションが非走行ポジションで且つ始動要求がドライバ操作に基づくものであるときには、ドライバにもたつき感を感じさせるのを抑制することができる。もとより、シフトポジションが非走行ポジションで且つ始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、エンジンの始動時の、燃料噴霧の霧化を促進したり振動(ショック)を低減したりすることができる。ここで、「非走行ポジション」としては、駐車ポジションやニュートラルポジションが相当し、「走行ポジション」は、前進ポジションや後進ポジションが相当する。
こうした本発明の自動車において、前記制御装置は、前記第3時期を、アクセル操作量が大きいほど早くなる傾向の時期とするものとしてもよい。また、前記制御装置は、アクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記エンジンの目標回転数を設定すると共に前記エンジンの始動完了後に前記エンジンが前記目標回転数で回転するように前記エンジンを制御し、更に、前記第3時期を、前記目標回転数が大きいほど早くなる傾向の時期とするものとしてもよい。これらのようにすれば、アクセル操作量やエンジンの目標回転数に応じた始動性をより十分に確保することができる。
また、本発明の自動車において、前記制御装置は、前記エンジンを始動する際において、前記シフトポジションが前記走行ポジションのときには、前記燃料噴射の開始時期を前記第1時期とすると共に点火の開始時期を第4時期とし、前記シフトポジションが前記非走行ポジションで且つ前記始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、前記燃料噴射の開始時期を前記第2時期とすると共に前記点火の開始時期を前記第4時期よりも遅い第5時期とし、前記シフトポジションが前記非走行ポジションで且つ前記始動要求が前記ドライバ操作に基づくものであるときには、前記燃料噴射の開始時期を前記第3時期とすると共に前記点火の開始時期を前記第4時期と同一または前記第4時期よりも遅く且つ前記第5時期よりも早い第6時期とするものとしてもよい。
本発明の実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 実施例のエンジンECU24により実行される遅延時間設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例の遅延時間設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料を用いて吸気,圧縮,膨張(爆発燃焼),排気の各行程により動力を出力する内燃機関として構成されている。図2に示すように、エンジン22は、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸気管125に吸入すると共に燃料噴射弁126から燃料を噴射して空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブ128aを介して燃焼室129に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。燃焼室129から排気バルブ128bを介して排気管133に排出される排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)を有する浄化装置134を介して外気に排出される。
このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。また、吸気バルブ128aを開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ128bを開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144a,144bからのカム角θca,θcbも挙げることができる。さらに、スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットル開度THや、吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量Qa,吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温Taも挙げることができる。排気管に取り付けられた空燃比センサ135aからの空燃比AFや、排気管に取り付けられた酸素センサ135bからの酸素信号O2も挙げることができる。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動制御信号や、燃料噴射弁126への駆動制御信号,点火プラグ130への駆動制御信号も挙げることができる。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。また、エンジンECU24は、エアフローメータからの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて、体積効率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLも演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサからの相電流を挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54を介してインバータ41,42に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbやバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。入出力制限Win,Woutは、バッテリ50を充放電してもよい許容充放電電力である。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
ここで、シフトポジションSPとしては、駐車ポジション(Pポジション)、後進ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進ポジション(Dポジション)などがある。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36の要求駆動力を設定し、要求駆動力に見合う要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1,MG2とを運転制御する。エンジン22とモータMG1,MG2との運転モードとしては、例えば、以下の(1)〜(3)のモードを挙げることができる。
(1)トルク変換運転モード:要求動力に対応する動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共に、エンジン22から出力される動力の全てが、プラネタリギヤ30とモータMG1,MG2とによってトルク変換されて、要求動力が駆動軸36に出力されるようにモータMG1,MG2を駆動制御するモード
(2)充放電運転モード:要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共に、エンジン22から出力される動力の全てまたは一部が、バッテリ50の充放電を伴ってプラネタリギヤ30とモータMG1,MG2とによってトルク変換されて、要求動力が駆動軸36に出力されるようにモータMG1,MG2を駆動制御するモード
(3)モータ運転モード:エンジン22の運転を停止して、要求動力がモータMG2から駆動軸36に出力されるようにモータMG2を駆動制御するモード
また、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転停止中にエンジン22の始動要求がなされたときには、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により、エンジン22を始動する。エンジン22の始動要求としては、例えば、シフトポジションSPが走行ポジション(DポジションやRポジション)で要求動力が所定動力よりも大きくなったことによる始動要求や、シフトポジションSPが非走行ポジション(PポジションやNポジション)でアクセルペダル83が踏み込まれるいわゆるレーシング操作が行なわれたことによる始動要求,バッテリ50の充電のための始動要求,エンジン22の始動要求などを挙げることができる。エンジン22の始動は、具体的には、以下のように行なわれる。モータMG1によってエンジン22をクランキングし、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1(例えば、350rpmや400rpm,450rpmなど)以上に至るのを待つ。そして、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以上に至ると、エンジン22の点火を開始し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以上に至ってから遅延時間Tdfが経過すると、エンジン22の燃料噴射を開始する。なお、遅延時間Tdfが値0のときには、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以上に至ったときに、燃料噴射および点火を開始することになる。そして、エンジン22の回転数Neが閾値Nref2(例えば、800rpmや900rpm,1000rpmなど)以上に至ると、エンジン22の始動が完了したと判定する。なお、エンジン22をクランキングする際には、エンジン22をクランキングするためのクランキングトルクTcrをモータMG1から出力すると共に、モータMG1からのクランキングトルクTcrの出力に伴って駆動軸36に作用するトルクをキャンセルするためのキャンセルトルクTcnと、駆動軸36に要求される要求トルクTd*と、の和トルク(Tcn+Td*)をモータMG2から出力する。ここで、要求トルクTd*には、シフトポジションSPが走行ポジション(DポジションやRポジション)のときにはシフトポジションSPとアクセル開度Accと車速Vとに応じた走行用の値が設定され、シフトポジションSPが非走行ポジション(PポジションやNポジション)のときには値0が設定される。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、燃料噴射の開始の遅延時間Tfdを設定する際の動作について説明する。図3は、実施例のエンジンECU24により実行される遅延時間設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の始動要求がなされたときに実行される。
図2の遅延時間設定ルーチンが実行されると、エンジンECU24は、まず、シフトポジションSPや遅延許可フラグF1を入力する(ステップS100)。ここで、シフトポジションSPは、シフトポジションセンサ82により検出されたものを入力するものとした。遅延許可フラグF1は、図示しない遅延許可フラグ設定ルーチンにより、燃料噴射の開始時期の遅延が許可されているときには値1が設定され、遅延が許可されていないときには値0が設定されたものを入力するものとした。燃料噴射の開始時期の遅延が許可される条件としては、例えば、エンジン22の吸入空気量Qaが所定量以上である条件を挙げることができる。
こうしてデータを入力すると、入力したシフトポジションSPが走行ポジション(DポジションやRポジション)であるか非走行ポジション(PポジションやNポジション)であるかを判定する(ステップS110)。そして、シフトポジションSPが走行ポジションであると判定されたときには、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0(0sec)を設定して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。
ステップS110でシフトポジションSPが非走行ポジションであると判定されたときには、遅延許可フラグF1の値を調べる(ステップS120)。そして、遅延許可フラグF1が値0のときには、燃料噴射の開始時期の遅延が許可されていないと判断し、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0を設定して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。
ステップS120で遅延許可フラグF1が値1のときには、燃料噴射の開始時期の遅延が許可されていると判断し、ドライバ始動要求フラグF2を入力し(ステップS140)、入力したドライバ始動要求フラグF2の値を調べる(ステップS150)。ここで、ドライバ始動要求フラグF2は、エンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであるときには値1が設定され、エンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには値0が設定されたものを入力するものとした。ドライバ操作に基づくエンジン22の始動要求としては、例えば、上述のレーシング操作が行なわれたことによる始動要求を挙げることができる。ドライバ操作に基づかないエンジン22の始動要求としては、例えば、バッテリ50の充電のための始動要求やエンジン22の暖機のための始動要求などを挙げることができる。
ステップS150でドライバ要求フラグF2が値0のときには、エンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものではないと判断し、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0よりもある程度大きい時間Tdf1を設定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。ここで、時間Tdf1としては、所定時間、例えば、1.5secや2sec,2.5secなどを用いることができる。このように、遅延時間Tdfとして値0よりもある程度大きい時間Tdf1を用いることにより、エンジン22の気筒内の空気量が少なくなってからエンジン22の燃料噴射を開始することができる。この結果、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、エンジン22の始動時の、燃料噴霧の霧化を促進したり振動(ショック)を低減したりすることができる。
ステップS150でドライバ要求フラグF2が値1のときには、エンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであると判断し、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0以上で且つ時間Tdf1よりも短い時間Tdf2を設定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。ここで、時間Tdf2としては、所定時間、例えば、値0(0sec)や0.3sec,0.5secなどを用いることができる。このように、遅延時間Tdfとして値0以上で且つ時間Tdf1よりも短い時間Tdf2を用いることにより、遅延時間Tdfとして時間Tdf1を用いる場合に比して、エンジン22の燃料噴射を早期に開始してエンジン22からのトルクを用いてエンジン22の回転数をより迅速に上昇させることができる。この結果、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであるときに、ドライバにもたつき感を感じさせるのを抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の始動要求に応じてモータMG1によってエンジン22をクランキングして始動する際に、シフトポジションSPが走行ポジションのときには、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0を設定し、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、遅延時間Tdfに値0よりもある程度大きい所定時間Tdf1を設定し、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであるときには、遅延時間Tdfに値0以上で且つ所定時間Tdf1よりも短い所定時間Tdf2を設定する。これにより、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであるときには、ドライバにもたつき感を感じさせるのを抑制することができる。もとより、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、エンジン22の始動時の、燃料噴霧の霧化を促進したり振動(ショック)を低減したりすることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、時間Tdf2として、値0以上で且つ時間Tdf1よりも短い所定時間を用いるものとした。しかし、時間Tdf2として、値0以上で且つ時間Tdf1よりも短い範囲内で、アクセル開度Accが大きいほどより短くなる傾向の時間を設定するものとしてもよい。また、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にエンジン22の始動完了後にエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようにエンジン22を制御するものにおいて、時間Tdf2として、エンジン22の目標回転数Ne*が大きいほど大きくなる傾向の時間を設定するものとしてもよい。これらのようにすれば、アクセル開度Accやエンジン22の目標回転数Ne*に応じた始動性をより十分に確保することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動する際において、シフトポジションSPや遅延許可フラグF1,ドライバ始動要求フラグF2に基づいて燃料噴射の開始の遅延時間Tdfを設定するものの、点火の開始の遅延時間Tdiについては設けないものとした。しかし、シフトポジションSPや遅延許可フラグF1,ドライバ始動要求フラグF2に基づいて燃料噴射の開始の遅延時間Tdfおよび点火の開始の遅延時間Tdiを設定するものとしてもよい。この場合、エンジンECU24は、図3の遅延時間設定ルーチンに代えて、図4の遅延時間設定ルーチンを実行するものとしてもよい。図4の遅延時間設定ルーチンは、ステップS200〜S220の処理を追加した点を除いて、図3の遅延時間設定ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4の遅延時間設定ルーチンでは、エンジンECU24は、ステップS110でシフトポジションSPが走行ポジションのときや、ステップS110でシフトポジションSPが非走行ポジションで且つステップS120で遅延許可フラグF1が値0のときには、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0を設定すると共に(ステップS130)、点火の開始の遅延時間Tdiに値0を設定して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
ステップS110でシフトポジションSPが非走行ポジションで且つステップS120で遅延許可フラグF2が値1で且つステップS150でドライバ始動要求フラグF2が値0のときには、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0よりもある程度大きい時間Tdf1を設定すると共に(ステップS160)、点火の開始の遅延時間Tdiに値0よりもある程度大きい時間Tdi1を設定して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。ここで、時間Tdi1としては、所定時間、例えば、時間Tdf1と同一の時間などを用いることができる。このように、遅延時間Tdfとして値0よりも大きい時間Tdf1を用いると共に遅延時間Tdiとして値0よりもある程度大きい時間Tdf1を用いることにより、エンジン22の気筒内の空気量が少なくなってからエンジン22の燃料噴射および点火を開始することができる。この結果、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、エンジン22の始動時の、燃料噴霧の霧化を促進したり振動(ショック)を低減したりすることができる。
ステップS110でシフトポジションSPが非走行ポジションで且つステップS120で遅延許可フラグF2が値1で且つステップS150でドライバ始動要求フラグF2が値1のときには、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfに値0以上で且つ時間Tdf1よりも短い時間Tdf2を設定すると共に(ステップS170)、点火の開始の遅延時間Tdiに値0以上で且つ時間Tdi1よりも短い時間Tdi2を設定して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。ここで、時間Tdi2としては、所定時間またはアクセル開度Accやエンジン22の目標回転数Ne*に基づく時間、例えば、時間Tdf2と同一の時間などを用いることができる。このように、遅延時間Tdfとして値0以上で且つ時間Tdf1よりも短い時間Tdf2を用いると共に遅延時間Tdiとして値0以上で且つ時間Tdi1よりも短い時間Tdi2を用いることにより、遅延時間Tdfとして時間Tdf1を用いると共に遅延時間Tdiとして時間Tdi1を用いる場合に比して、エンジン22の燃料噴射および点火を早期に開始してエンジン22からのトルクを用いてエンジン22の回転数をより迅速に上昇させることができる。この結果、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであるときに、ドライバにもたつき感を感じさせるのを抑制することができる。
実施例や変形例のハイブリッド自動車20では、燃料噴射の開始の遅延時間Tdfや点火の開始の遅延時間Tdiを用いることによって燃料噴射の開始時期や点火の開始時期を調節する(早くしたり遅くしたりする)ものとした。しかし、遅延時間Tdfや遅延時間Tdiに代えて、遅延回転数ΔNeなどを用いることによって燃料噴射の開始時期や点火の開始時期を調節するものとしてもよい。遅延回転数ΔNeを用いる場合、例えば、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1に遅延回転数ΔNeを加えた値(Nref1+ΔNe)以上に至ったときにエンジン22の燃料噴射を開始するものにおいて、シフトポジションSPが走行ポジションのときには、遅延回転数ΔNeに値0を設定し、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、遅延回転数ΔNeに値0よりも大きい値ΔNe1を設定し、シフトポジションSPが非走行ポジションで且つエンジン22の始動要求がドライバ操作に基づくものであるときには、遅延回転数ΔNeに値0以上で且つ値ΔNe1よりも小さい値ΔNe2を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、キャパシタを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
実施例では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36にモータMG2を接続するハイブリッド自動車20の構成とした。しかし、エンジンとそのエンジンをクランキング可能なモータとを備え、シフトポジションが走行ポジションか非走行ポジションかに拘わらずにエンジンを始動可能な自動車であれば如何なる構成としてもよい。例えば、駆動輪に連結された駆動軸に変速機を介してモータを接続すると共にそのモータにクラッチを介してエンジンを接続するハイブリッド自動車の構成としてもよい。また、駆動輪に連結された駆動軸に変速機を介してエンジンを接続すると共にそのエンジンにスタータモータを接続し、アイドルストップが可能な自動車の構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「モータ」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、125 吸気管、126 燃料噴射弁、128a 吸気バルブ、128b 排気バルブ、129 燃焼室、130 点火プラグ、132 ピストン、133 排気管、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136 スロットルモータ、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144a,144b カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (1)

  1. エンジンと、
    前記エンジンをクランキング可能なモータと、
    前記エンジンの始動要求に応じて前記モータによって前記エンジンがクランキングされて始動されるように前記エンジンと前記モータとを制御する制御装置と、
    を備える自動車であって、
    前記制御装置は、
    前記エンジンを始動する際において、
    シフトポジションが走行ポジションのときには、燃料噴射の開始時期を第1時期とし、
    前記シフトポジションが非走行ポジションで且つ前記始動要求がドライバ操作に基づくものでないときには、前記燃料噴射の開始時期を前記第1時期よりも遅い第2時期とし、
    前記シフトポジションが前記非走行ポジションで且つ前記始動要求が前記ドライバ操作に基づくものであるときには、前記燃料噴射の開始時期を、前記第1時期と同一または前記第1時期よりも遅く且つ前記第2時期よりも早い第3時期とし、
    更に、前記制御装置は、アクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記エンジンの目標回転数を設定すると共に前記エンジンの始動完了後に前記エンジンが前記目標回転数で回転するように前記エンジンを制御し、更に、前記第3時期を、前記目標回転数が大きいほど早くなる傾向の時期とする、
    自動車。
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