JP6733358B2 - 粘着剤用組成物及び粘着フィルム - Google Patents
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Description
本発明に係る粘着剤用組成物の一態様は、
ヨウ素価が2〜150g/100gである熱可塑性樹脂(A)と、
ヨウ素価が1〜30g/100gである粘着付与剤(B)と、
を含有し、
前記熱可塑性樹脂(A)の含有量をMa(質量部)、前記粘着付与剤(B)の含有量をMb(質量部)としたときに、Ma/Mb=1〜10であることを特徴とする。
適用例1の粘着剤用組成物において、
前記熱可塑性樹脂(A)が、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位とを有することができる。
適用例1または適用例2の粘着剤用組成物において、
組成物の重量平均分子量(Mw)が1×105〜5×105であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の粘着剤用組成物は、共押出し法に用いられることができる。
本発明に係る粘着フィルムの一態様は、
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の粘着剤用組成物を用いて作製された粘着層を有することを特徴とする。
適用例5の粘着フィルムにおいて、
前記粘着層は、エネルギー線を照射することにより部分的に架橋されることができる。
本実施形態に係る粘着剤用組成物は、ヨウ素価が2〜150g/100gである熱可塑性樹脂(A)(以下、単に「成分(A)」ともいう。)と、ヨウ素価が1〜30g/10
0gである粘着付与剤(B)(以下、単に「成分(B)」ともいう。)と、を含有し、前記熱可塑性樹脂(A)の含有量をMa(質量部)、前記粘着付与剤(B)の含有量をMb(質量部)としたときに、Ma/Mb=1〜10であることを特徴とする。
本実施形態に係る粘着剤用組成物に含まれる熱可塑性樹脂(A)は、ヨウ素価が2〜150g/100gである熱可塑性樹脂であり、粘着フィルムの一部を構成する粘着層を作製するために用いられる。成分(A)は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位と、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位とを有することが好ましい。以下、成分(A)を構成する繰り返し単位、成分(A)の構造及び特性について順に説明する。
成分(A)は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
成分(A)は、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが特に好ましい。
成分(A)は、上記以外の繰り返し単位を有してもよい。上記以外の繰り返し単位としては、例えば、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位、α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位等が挙げられる。
酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリルなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上であることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることが特に好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂(A)としては、特に限定されないが、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位のブロックと、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位のブロックとが交互に存在するA−B−A型ブロック共重合体が好ましく用いられる。具体的には、スチレンとブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン化合物とのブロック共重合体、あるいはその水素添加物が好ましく、耐久性の観点からスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体あるいはその水素添加物がより好ましい。このような熱可塑性樹脂(A)は、特開2010−255007号公報や国際公開第2007/126081号に記載されている方法により合成することができる。
分(A)のヨウ素価が前記範囲内にあると、本発明の粘着剤用組成物を基材に塗布した後、UV(紫外線)やEB(電子線)等のエネルギー線を照射することにより、粘着層の表面を部分的に架橋することができる。これにより、粘着層の表面に適度な柔軟性を保ちつつ、粘着昂進に優れた粘着層を作製することができる。成分(A)のヨウ素価は、例えば、成分(A)がスチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物である場合、水素添加の条件を制御して水添率を変化させることにより適宜調整することができる。なお、本発明における熱可塑性樹脂(A)のヨウ素価は、「JIS K 0070:1992」に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態に係る粘着剤用組成物に含まれる粘着付与剤(B)は、ヨウ素価が1〜30g/100gである重合体(ただし、熱可塑性樹脂(A)を除く。)であり、粘着フィルムの一部を構成する粘着層を作製するために用いられる。
本実施形態に係る粘着剤用組成物において、成分(A)の含有量をMa(質量部)、成分(B)の含有量をMb(質量部)としたときに、含有比Ma/Mbは、1〜10であり、1.3〜9.5であることが好ましく、1.7〜9.1であることがより好ましい。含有比Ma/Mbが前記範囲にあると、粘着層を作製する製造装置においてホッパーなどでのブロッキングを抑制することができ、粘着フィルムの生産性が向上する。また、UV(紫外線)やEB(電子線)等のエネルギー線照射による粘着層の表面での架橋が効率良く進行するため、粘着フィルムの粘着特性(耐溶剤性、粘着昂進、糊残り等)が良好となる。
(A)が成分(B)に対して過剰に存在することで、粘着層の粘着力が低下しやすい。
本実施形態に係る粘着剤用組成物には、上記の各成分の他、必要に応じて、ラジカル発生剤;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル及び脂肪酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種;老化防止剤;充填剤;ポリマー;着色剤;難燃剤等を添加してもよい。
本実施形態に係る粘着剤用組成物に含まれ得るラジカル発生剤は、粘着フィルムの一部を構成する粘着層を作製する際に、加熱や紫外線等の放射線を照射することによりラジカルを発生させるために用いられる。ラジカルを発生させて前記成分(A)及び/前記成分(B)を架橋させることにより、形成される粘着層の粘着昂進を効果的に低減することができる。
本実施形態に係る粘着剤用組成物に含まれ得る、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル及び脂肪酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である成分は、ホッパーなどでのブロッキング(詰まり)を抑制して粘着フィルムの生産性をさらに向上させるために用いられる。
フィッシャー・トロプシュワックスおよびそれらの部分酸化物あるいはエチレン性不飽和カルボン酸との共重合体等の合成炭化水素系ワックス;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変成ワックス;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス;セチルアルコール、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸およびアルコール;グリセリルステアレート、ポリエチレングリコールステアレート、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル;ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム等の脂肪酸金属塩;無水フタル酸イミド;塩素化炭化水素等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系、ホスファイト系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤が好適に添加される。老化防止剤の添加量は、成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上1質量部以下であることがより好ましい。
充填剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填材、炭素繊維、アミド繊維等の有機充填材を使用することができる。
本実施形態に係る粘着剤用組成物において、組成物としての重量平均分子量(Mw)は、1×105〜5×105であることが好ましく、1.5×105〜4×105であることがより好ましく、1.7×105〜3×105であることが特に好ましい。組成物としての重量平均分子量が前記範囲にあると、適度な柔軟性を保ちつつ、初期粘着力に優れた粘着層を作製することができる。また、エネルギー線照射時に効率よく架橋を進めることができるので、粘着昂進に優れた粘着層を作製することができる。なお、ここでいう「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量のことを指す。
本実施形態に係る粘着フィルムは、基材層と、当該基材層の片面又は両面に形成された粘着層とを備えたフィルムである。粘着層を形成するための粘着剤用組成物については、上述の通りである。以下、基材層及び基材用組成物、粘着フィルムの製造方法についてこの順に説明する。
基材層を作製するための基材用組成物は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、オレフィン系樹脂が好ましい。
本実施形態に係る粘着フィルムは、基材層と、当該基材層の片面又は両面に形成された粘着層とを備えた、いわゆる積層構造を有するフィルムである。したがって、本実施形態に係る粘着フィルムは、(1)塗布法;予め作製された基材層の片面又は両面に粘着剤用組成物を塗布して粘着層を形成した後に巻き取る方法、(2)共押出し法;基材用組成物と粘着剤用組成物とを、溶融共押出装置等を使用して共押出成形することにより、基材層の片面又は両面に粘着層を形成する方法、などの方法により製造することができる。
して架橋処理し、厚さ5〜200μmとなる粘着層を形成することにより製造できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<合成例1>
窒素置換された反応容器に、脱気・脱水されたシクロヘキサン500部、スチレン4部、及びテトラヒドロフラン15部を仕込み、重合開始温度40℃にてn−ブチルリチウム0.05部を加えて、昇温重合を行った。重合転化率が99%以上に達した後、反応液を10℃に冷却し、次いで、1,3−ブタジエン90部及びスチレン4部を加えて、さらに昇温重合を行った。重合転化率が99%以上に達した後、スチレン2部を加えて、さらに昇温重合を行った。その後、反応容器内に、ジエチルアルミニウムクロライド0.03部及びビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフルフリルオキシクロライド0.06部を加え、撹拌した。水素ガス供給圧0.7MPa−Gauge、反応温度80℃で水素添加反応を開始し、3時間後に反応溶液を常温・常圧に戻し、反応容器より抜き出すことにより、熱可塑性樹脂A−1を得た。
熱可塑性樹脂A−1を0.250g秤量し、シクロヘキサンを50mL加えて希釈した。次にウィイス試薬(和光純薬製、0.1mol/L塩化ヨウ素・酢酸溶液)を10.0mL加えてよく振り混ぜ、30分放置して反応を進行させた。ここに15wt%ヨウ化カリウム水溶液を10mL加え、水を30mL加え撹拌した。0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液(和光純薬製)を徐々に滴下し、溶液が薄い黄色となった段階でデンプン溶液(10g/L)を3滴加え、液の青色がなくなるまで滴下した(滴下量YmL)。次に、試料を加えないこと以外は同様にして、ブランクの滴下量(滴下量ZmL)を求めた。下記計算により、熱可塑性樹脂A−1のヨウ素価を算出したところ、10g/100gであった。
ヨウ素価(g/100g)=(Z−Y)×1.269/0.250
水素添加反応の反応時間を、それぞれ10時間、1時間、0.5時間、5時間とした以外は、上記合成例1と同様にして熱可塑性樹脂A−2、A−3、A−4、A−5を得た。得られた熱可塑性樹脂A−2、A−3、A−4、A−5のヨウ素価を上記と同様にして算出したところ、A−2:1g/100g、A−3:66g/100g、A−4:160g/100g、A−5:3g/100gであった。
3.2.1.粘着剤用組成物の作製
熱可塑性樹脂A−1を100質量部、粘着付与剤としてパインクリスタルPE−590(商品名、荒川化学工業株式会社製、水素添加ロジンエステル、ヨウ素価=4g/100g)30質量部、Irgacure127(BASF社製)1質量部、ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)0.15質量部を、二軸押出機(東洋精機製作所製、商品名「ラボブラストミル」)にて溶融押出混合を行い、押出ストランドを60℃に設定した温浴槽で固化し、ストランドカッターにてペレタイズすることにより5mmφのペレット状の粘着剤用組成物を得た。
基材層としてポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名「YF30」)、接着層として上記で作製したペレット状の粘着剤用組成物を使用し、フィードブロックタイプのTダイを備えた二層共押出装置により、基材層の厚みが100μm、粘着層の厚みが10μmとなるように、シリンダー温度190℃、ダイス温度190℃の成形条件にて基材層と粘着層とを共押出し成形して、フィルムを製造した。得られたフィルムの粘着層面に対し、高圧水銀ランプにて、表1に記載の照射量の紫外線を照射し、粘着フィルムを製造した。
<ホッパー内でのブロッキング評価>
得られた粘着剤用組成物のペレットをフィードブロックタイプのTダイを備えた二層共押出装置に投入し、ホッパー内でブロッキングの状態を確認し、下記の基準により評価した。結果を表1に示す。
・「3点」:ホッパー内でブロッキングすることはなく、非常に良好。
・「2点」:ホッパー内でブロッキングするが、棒で付けばブロッキングが崩れるため、良好。
・「1点」:ホッパー内でブロッキングし、棒で付いてもブロッキングが解消されず、不良。
粘着フィルムの作製に使用する粘着剤用組成物20.0mgを、25℃、20時間テトラヒドロフラン20mLに浸漬し、フィルター濾過することで粘着剤の溶出成分Aを回収した。一方、UV/EB照射前のフィルム20.0mgを、25℃、20時間テトラヒドロフラン20mLに浸漬し、フィルター濾過することで溶出成分Bを回収した。溶出成分A、BのGPC測定を実施し、フィルム化工程時のゲル成分有無を以下のように評価した。
・「4点」:溶出成分Aと溶出成分BのGPC強度比、GPC形状共に変化がほとんど認められず、ゲル成分が極めて微量。
・「3点」:溶出成分Aと溶出成分BのGPC強度比に変化がほとんど認められず、GPC形状から多量体生成が認められ、ゲル成分は微量である。
・「2点」:溶出成分BのGPC強度が小さく、GPC形状から多量体生成が認められ、ゲル成分が多い。
・「1点」:溶出成分BのGPC強度が極めて小さく、ゲル成分が極めて多い。
フィルム化工程時に生成するゲル成分は、フィルム異物となり得るため少ないことが望ましいが、2点以上であれば良好と判断できる。
得られた粘着フィルムの外観を目視にて観察し、粘着フィルムの着色について以下のように評価した。
・「4点」:粘着フィルムに黄色味が認められず、フィルム着色が極めて小さい。
・「3点」:粘着フィルムに黄色味が僅かに認められ、フィルム着色が小さい。
・「2点」:粘着フィルムに黄色味が認められ、フィルム着色が認められる。
・「1点」:粘着フィルムの黄色味が強く、フィルム着色が非常に大きい。
光学用途等の透明性が必要とされる用途において、粘着フィルムの着色は小さいことが望ましいが、2点以上であれば良好と判断できる。
得られた粘着フィルム20.0mgを、25℃、20時間テトラヒドロフラン20mLに浸漬し、フィルター濾過することで溶出成分Cを回収した。溶出成分CのGPC測定を実施し、上記「ゲル成分有無の評価」で回収された溶出成分AのGPC形状と比較することにより粘着フィルムの耐溶剤性を以下のように評価した。
・「5点」:溶出成分CのGPC形状にて、熱可塑性樹脂(A)に由来するピーク強度がほとんど認められず、耐溶剤性が格段極めて良好である。
・「4点」:溶出成分Aと溶出成分CのGPC形状比較にて、溶出成分Cの熱可塑性樹脂(A)に由来するピーク強度が溶出成分Aの熱可塑性樹脂に由来するピーク強度の20%以下であり、耐溶剤性が極めて良好である。
・「3点」:溶出成分Aと溶出成分CのGPC形状比較にて、溶出成分Cの熱可塑性樹脂
(A)に由来するピーク強度が溶出成分Aの熱可塑性樹脂に由来するピーク強度の20%超50%以下であり、耐溶剤性が特に良好である。
・「2点」:溶出成分Aと溶出成分CのGPC形状比較にて、溶出成分Cの熱可塑性樹脂(A)に由来するピーク強度が溶出成分Aの熱可塑性樹脂に由来するピーク強度の50%超90%未満であり、耐溶剤性が良好である。
・「1点」:溶出成分Aと溶出成分CのGPC強度比、GPC形状共に変化がほとんど認められず、耐溶剤性は不良である。
粘着フィルムの耐溶剤性が高いと、フィルム表面に薬品等が付着した際の形状変化を抑制でき好ましい。耐薬品性の観点から、耐溶剤が3点以上あることが好ましい。なお、耐溶剤性はポリマー架橋の指標であり、熱可塑性樹脂(A)の架橋による粘着層の流動抑制や糊残り防止等の粘着性能の指標となり、耐溶剤性の評価が3点以上であれば良好と判断できる。
被着体として五洋紙工(株)製のプリズムシート(GTL5000)を使用し、25mm幅に切出した粘着フィルムの粘着層と前記プリズムシートのレンズ面とが対向するようにして、室温(23℃)にて2kgローラーで粘着フィルムを被着体に圧着した。その後、23℃で2時間静置し、23℃、60%RH環境下においてストログラフ((株)東洋精機製作所製、型番「VES05D」)を用いて300mm/分の速度で180°引き剥がしを行い、初期粘着力を測定した。初期粘着力は値が大きいほどより良好であるが、実用的には80mN/25mm以上である場合、良好と判断できる。
被着材として五洋紙工(株)製のプリズムシート(GTL5000)を使用し、25mm幅に切出した粘着フィルムの粘着層と前記プリズムシートのレンズ面とが対向するようにして、室温(23℃)にて2kgローラーで粘着フィルムを被着体に圧着した。その後、60℃、20時間静置し、23℃、60%RH環境下においてストログラフ(東洋精機製作所社製、型番「VES05D」)を用いて300mm/分の速度で180°引き剥がしを行い、昂進粘着力を測定した。
初期粘着力と昂進粘着力の値を用いて、以下の式より昂進倍率を算出した。
・昂進倍率=昂進粘着力/初期粘着力
昂進倍率は値が小さいほどより良好であるが、実用的には2.0以下である場合、良好と判断できる。
昂進粘着力を評価した後の被着体の表面状態を視認し、被着体表面の状態を確認し、以下の指標に従い評価した。
・「3点」:粘着剤の残留が認められないため非常に良好。
・「2点」:粘着剤の残留がわずかに認められるため良好。
・「1点」:粘着剤の残留が大量に認められ不良。
表1〜表2に記載の組成と製造条件とした以外は、実施例1と同様に粘着剤用組成物及び粘着フィルムを製造し、評価を行った。その結果を表1〜表2に示す。
表1〜表2に記載の組成と製造条件とした以外は、実施例1と同様に粘着剤用組成物を作製した。次いで、基材層としてポリエチレン(三菱化学(株)製、商品名「YF30」)、接着層として上記で作製したペレット状の粘着剤用組成物を使用し、フィードブロックタイプのTダイを備えた二層共押出装置により、基材層の厚みが100μm、粘着層の
厚みが10μmとなるように、シリンダー温度190℃、ダイス温度190℃の成形条件にて基材層と粘着層とを共押出し成形して、フィルムを製造した。得られたフィルムの粘着層面に対し、NHVコーポレーション社製の電子線照射装置(EBC300−60)を用い、加速電圧を300keV、照射雰囲気を窒素下にて、表1〜表2に記載の照射量の電子線を照射し、粘着フィルムを製造した。このようにして作製された粘着フィルムを実施例1と同様に評価した。
下表1〜下表2に、各実施例、比較例で使用した粘着剤用組成物の組成、粘着フィルムの製造条件ならびに評価結果を示す。
<熱可塑性樹脂(A)>
・A−1:上記合成例1で合成された熱可塑性樹脂、ヨウ素価=10g/100g、重量平均分子量(Mw)=3.1×105
・A−2:上記合成例2で合成された熱可塑性樹脂、ヨウ素価=1g/100g、重量平均分子量(Mw)=3.3×105
・A−3:上記合成例3で合成された熱可塑性樹脂、ヨウ素価=66g/100g、重量平均分子量(Mw)=3.0×105
・A−4:上記合成例4で合成された熱可塑性樹脂、ヨウ素価=160g/100g、重量平均分子量(Mw)=2.9×105
・A−5:上記合成例5で合成された熱可塑性樹脂、ヨウ素価=3g/100g、重量平均分子量(Mw)=3.1×105
<粘着付与剤(B)>
・PE−590:商品名「パインクリスタルPE−590」、荒川化学工業株式会社製、水素添加ロジンエステル、ヨウ素価=4g/100g、重量平均分子量(Mw)=7.9×102
・P−125:商品名「アルコンP−125」、荒川化学工業株式会社製、脂環族飽和炭化水素、ヨウ素価=7g/100g、重量平均分子量(Mw)=1.2×103
・KE−311:商品名「KE−311」、荒川化学工業株式会社製、水素添加ロジンエステル、ヨウ素価=26g/100g、重量平均分子量(Mw)=7.7×102
・A−100:商品名「スーパーエステルA−100」、荒川化学工業株式会社製、変性ロジンエステル、ヨウ素価=48g/100g、重量平均分子量(Mw)=7.9×102
・T160:商品名「YSポリスターT160」、ヤスハラケミカル株式会社製、テルペンフェノール共重合体、ヨウ素価=35g/100g、重量平均分子量(Mw)=1.1×103
・UH115:商品名「YSポリスターUH115」、ヤスハラケミカル株式会社製、水添テルペンフェノール共重合体、ヨウ素価=17g/100g、重量平均分子量(Mw)=1.2×103
<その他の成分>
・Irgacure127(商品名、BASF社製、ラジカル発生剤)
・ステアリン酸Ca(和光純薬工業(株)製、ステアリン酸カルシウム)
Claims (4)
- ヨウ素価が10〜150g/100gである熱可塑性樹脂(A)と、
ヨウ素価が1〜30g/100gである粘着付与剤(B)と、
を含有し、
前記熱可塑性樹脂(A)が、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体であり、
前記熱可塑性樹脂(A)の含有量をMa(質量部)、前記粘着付与剤(B)の含有量をMb(質量部)としたときに、Ma/Mb=1〜10である、粘着剤用組成物。 - 組成物の重量平均分子量(Mw)が1×105〜5×105である、請求項1に記載の粘着剤用組成物。
- 共押出し法に用いるための、請求項1または請求項2に記載の粘着剤用組成物。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の粘着剤用組成物を用いて作製された粘着層を有し、
前記粘着層が、エネルギー線を照射することにより部分的に架橋されている、粘着フィルム。
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