JP6732643B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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本発明は、ノーマリオン型の第1のスイッチング素子を有するハイサイドのスイッチ部と、カスコード接続されたノーマリオン型の第2のスイッチング素子とノーマリオフ型の第3のスイッチング素子とを含むローサイドのスイッチ部とを直列接続してなるインバータ回路と、前記インバータ回路の出力側に接続されたDC/DCコンバータと、前記インバータ回路における前記ハイサイドのスイッチ部と前記ローサイドのスイッチ部とを背反的に繰り返しオン/オフ制御するスイッチング制御回路とを備えたスイッチング電源装置に関する。
近時、GaN(窒化ガリウム)を用いた電界効果トランジスタ(FET)が着目されている。GaNはバンドギャップが広いことからワイドギャップ半導体とも呼ばれる。GaNを用いたトランジスタは良好な高周波特性と低オン抵抗特性とを有し、将来的に有力なパワーデバイスと見なされている。GaNの一般的な性質はノーマリオン動作を伴うことである。ノーマリオン型はゲート端子に電圧を印加していない状態でもハイサイド・ローサイドの両端子間(ドレイン・ソース間)に電流が流れる。これに対して、一般的なノーマリオフ型は機器の安全性を確保する上で優れた特性をもつ。GaNトランジスタは高周波特性と低オン抵抗特性に優れているものの、ノーマリオフ型は扱いにくいという性質を有しており、機器の安全性の面で工夫を必要としている。
すなわち、良好な高周波特性と低オン抵抗特性を活かしつつ、実質的なノーマリオフ動作による安全性を確保する目的で、ハイサイドの第1のスイッチング素子にノーマリオン型を用い、ローサイドの第2のスイッチング素子に一般的なノーマリオフ型を用い、第1のスイッチング素子のローサイド端子と第2のスイッチング素子のハイサイド端子とを直列に接続し、第1のスイッチング素子のゲート端子と第2のスイッチング素子のローサイド端子とをカスコード接続したゲート駆動回路が提案されている。これにより、等価的にノーマリオフ動作するスイッチ部が構成される。
図10はこのようなカスコード接続を備えたスイッチング電源装置の従来例1を示す(例えば特許文献1参照)。すなわち、ノーマリオン型のスイッチング素子110とノーマリオフ型で電力MOS(金属酸化物半導体)型のスイッチング素子112とがカスコード接続(ハイサイド素子のゲート端子とローサイド素子のソース端子とが接続)されて、ローサイドのスイッチ部を構成している。ハイサイドのスイッチ部はノーマリオン型のスイッチング素子108によって構成されている。ハイサイドのスイッチ部とローサイドのスイッチ部とはインバータ動作を行うようになっている。良好な高周波特性と低オン抵抗特性についてはハイサイドのノーマリオン型のスイッチング素子108が担い、安全性確保についてはローサイドのノーマリオフ型のスイッチング素子112が担っている。
図11は別の従来例2(例えば特許文献2参照)において開示されたノーマリオン型のGaNトランジスタの駆動電圧・ドレイン電流特性の例である。A1,B1はリセス構造(凹構造)を持たないタイプ、A2,B2はリセス構造を有するタイプである。例えばタイプA1では順ゲートバイアス1[V]の場合のドレイン電流は駆動電圧0[V]の場合の約1.25倍に増大でき、タイプB1では順ゲートバイアス2[V]の場合のドレイン電流は駆動電圧0[V]の場合の約1.9倍に増大できることが分かる。タイプA1,B1の場合、駆動電圧が0[V]でGaNトランジスタはオン状態となり、駆動電圧が−4〜−2[V]でオフ状態となる。すなわち、ノーマリオン型のスイッチング素子は、これをターンオフするのに負バイアスの印加が必要となる。
図12はダイオードとコンデンサにより構成したスナバ回路によって制御回路の電源とする別の従来例3に記載されたドライブ回路の回路図である(例えば特許文献3参照)。このドライブ回路においては、ハイサイドのノーマリオン型のスイッチング素子Q1がオン状態でローサイドのノーマリオフ型の第2のスイッチング素子Q2がオフ状態のときに、両スイッチング素子Q1,Q2間に接続されたダイオードD2を介してコンデンサC2を充電し、その直流電圧を制御回路10の電源として利用するようになっている。両スイッチング素子Q1,Q2は等価的にノーマリオフ型のスイッチ部を構成している。
特開2006−352839号公報 特開2009−76845号公報 特開2013−78111号公報
図10に示す従来例1にあっては、ハイサイドのノーマリオン型のスイッチング素子108に負バイアスを印加するための特別な負電源(図の最下部にある−15Vの負電源)を必要としている。また、ハイサイドのスイッチング素子108をターンオフするための負電源が発生していなくて、そのスイッチング素子108がオン状態にあるときに、ローサイドのノーマリオン型のスイッチング素子110とノーマリオフ型のスイッチング素子112がオン状態になると、3つのスイッチング素子108,110,112に電流量の過大な貫通電流が流れ、これら3つのスイッチング素子が破損するおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、スイッチング電源装置に関して、特別な負電源装置を用意する必要をなくして回路構成の簡素化を図るとともに、貫通電流を防止し、破壊からの保護について安全性を確保できるようにすることを目的としている。
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
本発明による第1のスイッチング電源装置は、
ノーマリオン型の第1のスイッチング素子を有するハイサイドのスイッチ部と、カスコード接続されたノーマリオン型の第2のスイッチング素子とノーマリオフ型の第3のスイッチング素子とを含むローサイドのスイッチ部とを直列接続してなるインバータ回路と、
前記インバータ回路における前記ハイサイドのスイッチ部と前記ローサイドのスイッチ部とを背反的に繰り返しオン/オフ制御するスイッチング制御回路と、
前記第3のスイッチング素子に並列に接続されて前記ハイサイドおよびローサイドの両スイッチ部の背反的なオン/オフ制御によって負電源を生成する第1の負電源生成回路と、
前記第1のスイッチング素子の入力ラインに挿入されて、指令信号の状態に応じて前記入力ラインを流れる電流を定常電流状態と限流状態とに切り替える定常電流・限流切替回路とを備え、
前記スイッチング制御回路は、前記第1の負電源生成回路による前記負電源の生成を検出したときは前記指令信号として前記定常電流・限流切替回路を定常電流状態に制御するモードにし、前記負電源の生成を検出しないときは前記指令信号として前記定常電流・限流切替回路を限流状態に制御するモードにするように構成されていることを特徴とする。
上記構成の本発明のスイッチング電源装置において、第1の負電源生成回路は、ハイサイドのスイッチ部(第1のスイッチング素子)のターンオンおよびローサイドのスイッチ部(第3のスイッチング素子)のターンオフと、これとは逆の、ハイサイドのスイッチ部(第1のスイッチング素子)のターンオフおよびローサイドのスイッチ部(第3のスイッチング素子)のターンオンとの交互繰り返しの切り替え(つまりは正常なスイッチング動作)によって負電源を生成する。スイッチング制御回路は負電源の生成を検出すると、定常電流・限流切替回路を定常電流状態に切り替える。第3のスイッチング素子のオフ状態において第1のスイッチング素子がターンオンし第1の負電源生成回路に電流を供給する期間では、定常電流をもってインバータ回路を駆動する。したがって、その駆動は高効率なものとなる(いうまでもなく、定常電流状態は流れる電流量が限流状態に比べてより多くなり、限流状態は流れる電流量が定常電流状態に比べてより少なくなる)。
負電源の生成を検出している状態において、第1のスイッチング素子がターンオフし、さらに第3のスイッチング素子がターンオンすると、第1の負電源生成回路において負電源の生成の継続が行われる。
高周波のスイッチング動作の過程において、タイミングのずれ等のために、第1のスイッチング素子のオン状態で、不測の事態としてさらに第3のスイッチング素子もオン状態となった場合には、第1の負電源生成回路における負電源の生成が停止して、これをスイッチング制御回路が検出することで定常電流・限流切替回路を限流状態に切り替える。すなわち、常時オン状態にある第2のスイッチング素子とともに第1のスイッチング素子と第3のスイッチング素子とが不測に同時的にオン状態となった場合には、その3つのスイッチング素子を流れる電流を限流状態に制御することになる。これにより、同時オンの状態となった3つのスイッチング素子に流れる電流を制限することが可能となる。
第1の負電源生成回路としては、ハイサイドのスイッチ部とローサイドのスイッチ部との接続点に接続されてこれら両スイッチ部の正常な背反的なオン/オフ動作によって負電源を生成する回路で構成していて、特別な負電源装置を用意する必要がないため、回路構成の簡素化が図られる。
また、本発明による第2のスイッチング電源装置は、
ノーマリオン型の第1のスイッチング素子を有するハイサイドのスイッチ部と、カスコード接続されたノーマリオン型の第2のスイッチング素子とノーマリオフ型の第3のスイッチング素子とを含むローサイドのスイッチ部とを直列接続してなるインバータ回路と、
前記インバータ回路における前記ハイサイドのスイッチ部と前記ローサイドのスイッチ部とを背反的に繰り返しオン/オフ制御するスイッチング制御回路と、
前記第3のスイッチング素子に並列に接続されて前記ハイサイドおよびローサイドの両スイッチ部の背反的なオン/オフ制御によって負電源を生成する第1の負電源生成回路と、
前記インバータ回路の正負の電源入力端子間に設けられ、起動時に当該電源入力端子間に印加される電圧から前記第1スイッチング素子の負ゲート電圧を生成する第2の負電源生成回路と、
定常動作時に前記第1のスイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると、前記第2の負電源生成回路を停止させる第1の負バイアス電圧検出回路と、
起動時に前記第2の負電源生成回路により生成された、前記第1のスイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると、前記第3のスイッチング素子によるスイッチングを許可する許可信号を前記スイッチング制御回路に送出する第2の負バイアス電圧検出回路とを備え、
前記第2の負バイアス電圧検出回路から前記許可信号が前記スイッチング制御回路に送出されると、前記両スイッチ部を交互にオン/オフ制御し、前記第1の負電源生成回路による前記第1スイッチング素子の負ゲート電圧の生成を開始させることを特徴とする。
この構成によれば、装置の起動時に第2の負電源生成回路が電源入力端子間に印加される電圧から第1スイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧(負ゲート電圧)を生成する。そして、第2の負バイアス電圧検出回路により負ゲート電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出されると、第3のスイッチング素子によるスイッチングを許可する許可信号がスイッチング制御回路に送出される。その結果、ハイサイドおよびローサイドのスイッチ部が背反的に繰り返しオン/オフ制御され定常動作するとともに、第1の負電源生成回路により負電源が生成される。そして、第1の負バイアス電圧検出回路により負ゲート電圧が規定のマイナス電位に達したことが検出されると、第2の負電源生成回路による負電源の生成が停止される。
このように負電源の供給手段として特別な負電源を用意しなくとも内部の回路構成として第2の負電源生成回路を用いることで、ノーマリオン型の第1のスイッチング素子を有するハイサイドのスイッチ部に負バイアス電圧を与えることができる。このため、回路構成の簡素化を図りながら、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子にノーマリオン型のスイッチング素子を用いながらも、第1のスイッチング素子に負バイアス電圧を確実に発生させることで貫通電流を防止することができる。
上記構成の本発明のスイッチング電源装置には、次のようないくつかの好ましい態様ないし変化・変形の態様がある。
〔1〕前記第2の負電源生成回路は、定電圧素子、容量素子の並列回路にノーマリオン型の負電源オン・オフ用のスイッチング素子が直列に接続されてなる起動時通電ラインを有する状態で前記インバータ回路の正負の電源入力端子間に接続されて、前記並列回路と前記負電源オン・オフ用のスイッチング素子との接続点に負電源を生成するように構成され、
第1の負バイアス電圧検出回路は、定常動作時において、前記インバータ回路における第1のスイッチング素子のゲート端子の電圧とローサイド端子の電圧と前記第2の負電源生成回路の定電圧素子のローサイド端子の電圧とから、前記スイッチング制御回路が前記第1のスイッチング素子のゲート端子に出力する負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると、前記負電源オン・オフ用のスイッチング素子をオフ制御して前記第2の負電源生成回路を停止させるように構成され、
さらに、定常動作時において、前記第1の負バイアス電圧検出回路により前記第1のスイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると前記第2の負電源生成回路の起動時通電ラインにおける負電源オン・オフ用のスイッチング素子をオフ制御する一方、前記負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達していないことを検出すると前記負電源オン・オフ用のスイッチング素子をオフ制御する負電源切替回路を備える、という態様がある。
この構成によれば、第2の負電源生成回路による負電圧生成時には、ハイサイドの入力端子から流入した主電流を第2の負電源生成回路に分流させることにより、オン状態にある第1のスイッチング素子への電流を制限し、インバータ回路に電流量の過大な貫通電流が流れること防止する。一方で、第2の負電源生成回路が停止状態になると、ハイサイドの入力端子から流入した主電流が第2の負電源生成回路に分流することがなくなり、インバータ回路における第1のスイッチング素子に対して定常電流を供給し、定常電流をもってインバータ回路を高効率に駆動する。
よって、負電源の供給手段として特別な負電源装置を用意する代わりに内部の回路構成として第2の負電源生成回路を用いることで、回路構成の簡素化を図りながらも、貫通電流防止のための第1のスイッチング素子の確実なターンオフ動作を補償することができる。
〔2〕前記第1の負電源生成回路は、前記第3のスイッチング素子のハイサイド端子とローサイド端子との間に挿入された容量素子と一方向通電素子の直列回路を含むスナバ回路を備えている、という態様がある。特別な負電源装置を用いる代わりに採用される第1の負電源生成回路について、これを簡単な回路構成をもって構成することが可能である。
〔3〕また、前記第1スイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点が前記スイッチング制御回路の負電源生成検出端子に接続され、前記スイッチング制御回路の負電源生成検出端子と前記第1の負電源生成回路の容量素子の下側電極との間に、別の容量素子とマイナス電荷移動用のスイッチング素子との直列回路が接続されている、という態様がある。このように構成すれば、第1の負電源生成回路における充放電用の容量素子に対する充放電の切り替え制御のために第3のスイッチング素子をオン/オフ制御することによって、生成した負電源の継続的確保が可能となる。
〔4〕また、前記第1のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子および前記マイナス電荷移動用のスイッチング素子の各ゲート端子にそれぞれ印加する第1、第3および第の駆動信号のタイミングとして、前記第1の駆動信号のアクティブ期間は前記第3の駆動信号のインアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、前記第3の駆動信号のアクティブ期間は前記第1の駆動信号のインアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、前記第の駆動信号のアクティブ期間は前記第3の駆動信号のアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、前記第の駆動信号のインアクティブ期間は前記第3の駆動信号のインアクティブ期間に対してその期間外で前後のデッドタイムをあける状態で同期している、という態様がある。
本発明によれば、特別な負電源装置を用意する必要をなくして回路構成の簡素化を図るとともに、ハイサイドのスイッチ部とローサイドのスイッチ部とのインバータ動作によってDC/DCコンバータの高効率な駆動を実現しながら、第1ないし第3の3つのスイッチング素子が不測に同時的にオン状態となったときには、それら同時オンの3つのスイッチング素子に流れる電流を制限し、破壊からの保護について安全性を確保することができる。
本発明の第1の実施例におけるスイッチング電源装置の構成を示す回路図 本発明の第1の実施例のスイッチング電源装置におけるハイサイドの制御回路の具体的な構成を示す回路図 本発明の第1の実施例におけるスイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャート 本発明の第1の実施例におけるスイッチング電源装置の正常時の動作推移を示す動作説明図 本発明の第1の実施例におけるスイッチング電源装置の異常時の動作説明図 本発明の第2の実施例におけるスイッチング電源装置の構成を示す回路図 本発明の第2の実施例における第1の負バイアス電圧検出回路の構成を示す回路図 本発明の第2の実施例における第2の負バイアス電圧検出回路の構成を示す回路図 本発明の第2の実施例におけるスイッチング電源装置の全体にわたるより詳細な構成を示す回路図 従来例1のスイッチング電源装置の構成を示す回路図 従来例2におけるノーマリオン型のGaNトランジスタの駆動電圧・ドレイン電流特性の例示図 従来例3のスイッチング電源装置の構成を示す回路図
以下、上記構成の本発明のスイッチング電源装置につき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。
〔第1の実施例〕
図1は本発明の第1の実施例におけるスイッチング電源装置の構成を示す回路図、図2はそのスイッチング電源装置におけるハイサイドの制御回路の具体的な構成を示す回路図、図3(a),(b)は動作を説明するタイミングチャート、図4は正常時の動作推移を示す動作説明図、図5は異常時の動作説明図である。
図1において、T1p,T1nは直流電圧の入力端子、T2p,T2nは直流電圧の出力端子、11はハイサイドのスイッチ部、12はローサイドのスイッチ部、10はハイサイドのスイッチ部11とローサイドのスイッチ部12の直列回路よりなるインバータ回路、20はインバータ回路10の出力側に接続された出力回路、30はハイサイドの制御回路30aとローサイドの制御回路30bからなるスイッチング制御回路、40は第1の負電源生成回路、50は定常電流・限流切替回路である。
出力回路20の構成要素として、21はパルストランス、N01は一次巻線、N21,N22は二次巻線、D01,D02は整流ダイオード、C02は共振用のコンデンサ、C03は平滑コンデンサ(出力コンデンサ)である。パルストランス21における一次巻線N01と共振用のコンデンサC02の直列回路がローサイドのスイッチ部12の両端間に接続されている。パルストランス21における二次巻線N21の両端間に整流ダイオードD01と平滑コンデンサC03の直列回路が接続されている。また、パルストランス21における二次巻線N22の両端間に整流ダイオードD02と平滑コンデンサC03の直列回路が接続されている。2つの整流ダイオードD01,D02の各カソードは平滑コンデンサC03の正極端子に接続され、平滑コンデンサC03の負極端子は2つの二次巻線N21,N22の接続点(中間タップ)に接続されている。平滑コンデンサC03はその両端が直流電圧の出力端子T2p,T2nに接続されている。このスイッチング電源装置は、センタータップ方式の全波整流回路を伴うLLC(two inductors(LL) and a capacitor(C))共振コンバータを構成している。
一対の直流電圧の入力端子T1p,T1n間に接続された平滑コンデンサC01の両端間に、定常電流・限流切替回路50とインバータ回路10の直列回路が接続されている。また、インバータ回路10におけるローサイドのスイッチ部12には第1の負電源生成回路40が接続されている。
スイッチング制御回路30は、インバータ回路10におけるハイサイドのスイッチ部11とローサイドのスイッチ部12に対するスイッチング制御および定常電流・限流切替回路50に対する切替制御を行うものとして構成されている。
以下、インバータ回路10、スイッチング制御回路30、第1の負電源生成回路40および定常電流・限流切替回路50のそれぞれについて詳しく説明する。
インバータ回路10におけるハイサイドのスイッチ部11はノーマリオン型の第1のスイッチング素子Q01で構成されている。また、ローサイドのスイッチ部12はカスコード接続されたノーマリオン型の第2のスイッチング素子Q02とノーマリオフ型の第3のスイッチング素子Q03とで構成されている。すなわち、第2のスイッチング素子Q02のソース端子(ローサイド端子)と第3のスイッチング素子Q03のドレイン端子(ハイサイド端子)とが接続され、かつ第2のスイッチング素子Q02のゲート端子が第3のスイッチング素子Q03のソース端子(ローサイド端子)に接続されている。そして、ハイサイドのスイッチ部11における第1のスイッチング素子Q01のソース端子(ローサイド端子)とローサイドのスイッチ部12における第2のスイッチング素子Q02のドレイン端子(ハイサイド端子)とが接続されてインバータ回路10を構成している。第1のスイッチング素子Q01および第2のスイッチング素子Q02はGaN(窒化ガリウム)で構成されたノーマリオン型(デプレッション型)でNチャネル型の接合型FETである。第3のスイッチング素子Q03は通常の低耐圧のSi(シリコン)で構成されたノーマリオフ型(エンハンスメント型)でNチャネル型のMOSFETである。
スイッチング制御回路30はハイサイドの制御回路30aとローサイドの制御回路30bからなる。ハイサイドの制御回路30aは第1のスイッチング素子Q01と定常電流・限流切替回路50の常閉接点S01を制御する。定常電流・限流切替回路50は、入力端子T1pと第1のスイッチング素子Q01のドレイン端子(ハイサイド端子)とを結ぶハイサイドライン上に介装され、限流用の抵抗素子R01と常閉接点S01との並列回路から構成される。ローサイドの制御回路30bは第3のスイッチング素子Q03とマイナス電荷移動用のスイッチング素子Q04を制御する。スイッチング素子Q04は、ゲート・ソース間電圧がオフ時に0[V]となり、オン時に例えば10[V]になるようにバイアスする。常閉接点S01としては、リレー動作方式のほか、任意のタイプのものが適用可能である。
ローサイドの制御回路30bはLLC共振コンバータの出力電圧信号(図示省略)からスイッチング制御信号(PWM信号)を生成し、また、このスイッチング制御信号を基に第3のスイッチング素子Q03に対する駆動信号Jを生成する。ハイサイドの制御回路30aはローサイドの制御回路30bが生成するスイッチング制御信号を基に第1のスイッチング素子Q01に対する駆動信号Bを生成する。
ハイサイドの制御回路30aは図2に示すように、オペアンプからなるコンパレータCm1と抵抗素子R02,R03,R04とツェナーダイオードZD1と駆動回路31を有している。入力側にはG1端子とV+ 端子とV- 端子と駆動信号Iの入力端子とがあり、出力側には負バイアス出力端子Oがある。G1端子はハイサイドのスイッチ部11とローサイドのスイッチ部12との接続点(第1のスイッチング素子Q01のソース端子と第2のスイッチング素子Q02のドレイン端子との接続点)に接続されていて、スイッチング制御回路30の負電源生成検出端子となっている。V+ 端子は整流ダイオードD04とコンデンサC06との接続点に接続されている。V- 端子はスイッチング素子Q04とマイナス電荷保持用のコンデンサC07との接続点に接続されている。G1端子とV- 端子との間に抵抗素子R02,R03の直列回路が接続され、両抵抗素子の接続点がコンパレータCm1の非反転入力端子(+)に接続されている。V+ 端子とV- 端子との間に抵抗素子R04とツェナーダイオードZD1の直列回路が接続され、それらの接続点がコンパレータCm1の反転入力端子(−)に接続され、基準電圧を生成している。コンパレータCm1および駆動回路31の正負の直流電源入力端子はそれぞれV+ 端子とV- 端子に接続されている。駆動回路31にはローサイドの制御回路30bから駆動信号Iが入力されるようになっている。駆動回路31の負バイアス出力端子Oは第1のスイッチング素子Q01のゲート端子に接続されている。コンデンサC07の負電圧が検出され、かつローサイドの制御回路30bからの駆動信号Iが"L"レベルにあるとき、駆動回路31は負バイアスの駆動信号Bを第1のスイッチング素子Q01に対して出力するように構成されている。
ハイサイドの制御回路30aにおける駆動回路31の負バイアス出力端子Oから第1のスイッチング素子Q01に"H"レベル(0[V])が出力されて第1のスイッチング素子Q01がオン状態にあるときには、インバータ動作によりローサイドの制御回路30bは第3のスイッチング素子Q03にオフ信号を与える。第1のスイッチング素子Q01がオン状態でも第3のスイッチング素子Q03がオフ状態であるので、基本的には第1、第2および第3の3つのスイッチング素子Q01,Q02,Q03に貫通電流が流れることはない。
もし、第1のスイッチング素子Q01がオン状態にあるときに、不測に第3のスイッチング素子Q03もオン状態になると(図5参照)、充放電用のコンデンサC05の上側電極からの電荷放電により、G1端子の電位が降下し、ハイサイドの制御回路30aにおけるコンパレータCm1が出力する指令信号Srは"L"レベルへと反転する。その結果、定常電流・限流切替回路50の常閉接点S01がオープンし、限流用の抵抗素子R01が有効となり限流状態となるため、仮に第1、第2および第3の3つのスイッチング素子Q01,Q02,Q03が同時オンとなっても、流れる電流を制限し、破壊からの保護について安全性を確保することができる。
第1の負電源生成回路40は、コンデンサC05と整流ダイオードD05とからなるスナバ回路を有し、コンデンサC05と整流ダイオードD05の接続点に出現した負電圧が、オン状態とされたスイッチング素子Q04を介してコンデンサC07に印加される。すなわち、コンデンサC07の下側電極(コンデンサC07とハイサイドの制御回路30aとの接続部)に負電圧V- が出現する。
次に、上記のように構成された本実施例のスイッチング電源装置の動作を説明する。
ローサイドのスイッチ部12における第2のスイッチング素子Q02はそのゲート端子が接地されていることから、常時的にオン状態にある。
図3は第1のスイッチング素子Q01、第3のスイッチング素子Q03、スイッチング素子Q04のゲート端子に対する駆動信号S01,S03,S04についてのタイミングチャートである。図3(a)は複数のサイクルにわたる波形の遷移を示し、図3(b)は1サイクル分を拡大して示すものである。
第1のスイッチング素子Q01と第3のスイッチング素子Q03とはインバータ動作をすることが分かる。また、スイッチング素子Q04のオン状態は第3のスイッチング素子Q03のオン状態が前提となり、逆に、第3のスイッチング素子Q03のオフ状態はスイッチング素子Q04のオフ状態が前提となっていることが分かる。
本実施例におけるスイッチング電源装置の動作タイミングは、図3のタイムチャートを参照して、概ね次のようになっている。すなわち、タイミングt1でスイッチング素子Q04の駆動信号S04が"L"レベルに立ち下がり、次のタイミングt2で第3のスイッチング素子Q03の駆動信号S03が"L"レベルに立ち下がる。そして、さらに次にタイミングt3で第1のスイッチング素子Q01の駆動信号S01が"H"レベルに立ち上がる。次に、タイミングt4で第1のスイッチング素子Q01の駆動信号S01が"L"レベルに立ち下がり、次のタイミングt5で第3のスイッチング素子Q03の駆動信号S03が"H"レベルに立ち上がる。そしてさらに次のタイミングt6でスイッチング素子Q04の駆動信号S04が"H"レベルに立ち上がる。次のタイミングt7では駆動信号S04が"L"レベルに立ち下がるが、これはタイミングt1と同じ状態へ回帰している。
スイッチング素子Q01のゲート端子に印加される駆動信号S01と、スイッチング素子Q03のゲート端子に印加される駆動信号S03の2つの駆動信号の関係は、図3に示すように、駆動信号S01と駆動信号S03とは大筋では互いに論理反転の関係にある。すなわち、駆動信号S01の"H"レベル期間においては駆動信号S03が"L"レベルにあり、逆に、駆動信号S03の"H"レベル期間においては駆動信号S01が"L"レベルにある。より詳しくは、一方の"H"レベル期間は他方の"L"レベル期間の内側にある。つまり、駆動信号S01の立ち上がりタイミングt3は駆動信号S03の立ち下がりタイミングt2より微小時間遅延し、駆動信号S01の立ち下がりタイミングt4は駆動信号S03の立ち上がりタイミングt5より微小時間先行する。そして、駆動信号S03の立ち上がりタイミングt5は駆動信号S01の立ち下がりタイミングt4より微小時間遅延し、駆動信号S03の立ち下がりタイミングt2は駆動信号S01の立ち上がりタイミングt3より微小時間先行する。
スイッチング素子Q04のゲート端子に印加される駆動信号S04は、第3のスイッチング素子Q03のゲート端子に印加される駆動信号S03を基に生成される。すなわち、駆動信号S04の立ち上がりタイミングt6は駆動信号S03の立ち上がりタイミングt5より微小時間遅延したタイミングであり、かつ、駆動信号S04の立ち下がりタイミングt1は駆動信号S03の立ち下がりタイミングt2より微小時間先行するタイミングである。
第1のスイッチング素子Q01、第3のスイッチング素子Q03およびスイッチング素子Q04の各ゲート端子にそれぞれ印加する第1、第3および第4の駆動信号S01,S03,S04のタイミングをまとめると、次のようになる。すなわち、第1の駆動信号S01のアクティブ期間は第3の駆動信号S03のインアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、第3の駆動信号S03のアクティブ期間は第1の駆動信号S01のインアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期している。また、第4の駆動信号S04のアクティブ期間は第3の駆動信号S03のアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、第4の駆動信号S04のインアクティブ期間は第3の駆動信号S03のインアクティブ期間に対してその期間外で前後のデッドタイムをあける状態で同期している。
ローサイドの制御回路30bの電源系に接続されたコンデンサC08と整流ダイオードD04およびコンデンサC06で作られ、ハイサイドの制御回路30aに入力される正電源の電圧V+ については例えば1[V]〜3[V]とする。また、スイッチング素子Q04とコンデンサC07との接続点に現れ、ハイサイドの制御回路30aに入力される負電源の電圧V- については例えば−6[V]〜−4[V]とする。
本実施例のスイッチング電源装置において、そのスイッチング周期については例えば10[μs](スイッチング周波数100[kHz])とする。
スイッチング電源装置の起動時以降の正常動作モードにおいては、第1の負電源生成回路40によって負電源の電圧V- が生成されているため、ハイサイドの制御回路30aは定常電流・限流切替回路50に対する指令信号Srを活性化して、常閉接点S01をクローズ状態に切り替え、定常電流状態(限流用の抵抗素子R01を常閉接点S01によりバイパスした状態)にセットしている。
パルストランス21に対する一次側回路において、ハイサイドのスイッチ部11とローサイドのスイッチ部12とはインバータ動作を行う。すなわち、ハイサイドの制御回路30aから第1のスイッチング素子Q01のゲート端子に対して0近傍レベルの"H"レベルが印加されている期間において、ローサイドの制御回路30bから第3のスイッチング素子Q03のゲート端子に対して"L"レベルが印加される。この期間においては、第1のスイッチング素子Q01がオン状態でスイッチング素子Q03がオフ状態であるから、ハイサイドの入力端子T1pから流入した主電流は、定常電流・限流切替回路50における常閉接点S01、第1のスイッチング素子Q01、パルストランス21の一次巻線N01、共振用のコンデンサC02およびローサイドの入力端子T1nの経路を流れる。すると、二次側回路において、二次巻線N21に誘起された電流が整流ダイオードD01から平滑コンデンサC03に流入し、平滑コンデンサC03を充電する。
また、ハイサイドの制御回路30aから第1のスイッチング素子Q01のゲート端子に対して負バイアスの"L"レベルが印加されている期間において、ローサイドの制御回路30bから第3のスイッチング素子Q03のゲート端子に対して"H"レベルが印加される。この期間においては、ハイサイドの第1のスイッチング素子Q01がオフ状態でローサイドのスイッチング素子Q03がオン状態であり、パルストランス21の一次巻線N01に生じる逆起電力による電流が、一次巻線N01から共振用のコンデンサC02、第3のスイッチング素子Q03、第2のスイッチング素子Q02および一次巻線N01の経路に流れる。すると、二次側回路において、二次巻線N22に誘起された電流が整流ダイオードD02から平滑コンデンサC03に流入し、引き続き平滑コンデンサC03を充電する。
平滑コンデンサC03に充電された直流電圧は直流出力端子T2p,T2nを介して図示しない負荷回路へ供給される。
二次側回路に現れる出力電圧信号が図示しないフォトカプラを介してローサイドの制御回路30bにフィードバックされる。ローサイドの制御回路30bはこのフィードバック信号からスイッチング素子Q03のゲート端子に対する方形波の駆動信号Jを生成する。また、ローサイドの制御回路30bから駆動信号Iを受け取ったハイサイドの制御回路30aは第1のスイッチング素子Q01のゲート端子に対する方形波の駆動信号Bを生成する。
パルストランス21の補助巻線N03に誘起された電圧が整流ダイオードD03と平滑コンデンサC04によって整流平滑化され、ローサイドの制御回路30bに対する電源電圧Vccが生成される(例えば15[V])。
電源電圧Vccがローサイドの制御回路30bによって降圧され、その降圧電圧がコンデンサC08に蓄積され、さらに整流ダイオードD04とコンデンサC06によりハイサイドの制御回路30aで用いる正電源の電圧V+ が生成される。
スイッチング素子Q01とスイッチング素子Q03の交互のオン/オフスイッチングによりスナバ回路(充放電用のコンデンサC05と整流ダイオードD05)を利用した第1の負電源生成回路40に負電源の電圧V- が生成される。すなわち、充放電用のコンデンサC05と整流ダイオードD05の接続点に負電源の電圧V- が現れる。スイッチング素子Q04がオン状態であれば、負電源の電圧V- はコンデンサC07の下側電極に現れ、そこからハイサイドの制御回路30aに入力される。
以下、図3および図4を用いて、タイミングt1〜t6にかけての動作を順次に説明する。図4では、(a),(b),(c),(d),(e),(f)の各図が時計周りの順に配置されて描かれている。図4(a)〜(f)のすべてにおいて常閉接点S01はすべてクローズ状態となっているが、それは、これら6つの状態がすべて、負電源の電圧V- の生成に関して正常動作状態にあるからである(異常状態は図5に示されている)。
〈1〉タイミングt1において、スイッチング素子Q04がターンオフする。このとき、第1のスイッチング素子Q01はオフ状態にあり、第3のスイッチング素子Q03はオン状態にある。ハイサイドの制御回路30aは第1のスイッチング素子Q01をオフ状態にするためにゲート端子に対して負バイアスを印加する。この負バイアスの印加については、正常動作モードで生成されている負電源の電圧V- が用いられる。正常動作モードゆえに、常閉接点S01はクローズ状態となっている。負電源の電圧V- の検出はコンデンサC07の下側端子にマイナス電荷が蓄積されていることによって行われる。
ハイサイドの制御回路30aの具体的動作としては、負電源の電圧V- の入力によって、コンパレータCm1の非反転入力端子(+)には(〔G1端子の電圧〕−〔負電源の電圧V- 〕)の大きな差電圧が印加され、コンパレータCm1は指令信号Srとして活性状態の"H"レベルを出力し、常閉接点S01をクローズ状態に保持する。限流用の抵抗素子R01は無効化される。この定常電流・限流切替回路50の定常電流状態は、後の〈3〉において、パルストランス21の一次巻線N01と第1の負電源生成回路40のコンデンサC05への通電を限流せずに、定常通りに行う動作の準備となっている。すなわち、コンデンサC07における負電源の生成がコンパレータCm1によって検出されると、常閉接点S01をクローズ状態にして限流動作を停止させる。これによって、ハイサイドの入力端子T1pからの電力を低損失に第1のスイッチング素子Q01のドレイン端子に供給して、スイッチング電源装置の動作を高効率で信頼性の高いものとすることができる。
〈2〉タイミングt2において、第3のスイッチング素子Q03がターンオフする。この動作は次のタイミングt3以降での第1の負電源生成回路40における充放電用のコンデンサC05への充電の準備となっている(第3のスイッチング素子Q03がオン状態であれば充電できない。)。第1のスイッチング素子Q01およびスイッチング素子Q04はオフ状態、常閉接点S01はクローズ状態となっている。
〈3〉タイミングt3において、第1のスイッチング素子Q01がターンオンする。第3のスイッチング素子Q03(および第2のスイッチング素子Q02)はオフ状態であるため、直流電圧の入力端子T1pから流入した主電流が第1のスイッチング素子Q01からパルストランス21の一次巻線N01、共振用のコンデンサC02の経路を流れ、出力回路20の平滑コンデンサC03に電圧変換した直流電圧を生成する。同時に、入力端子T1pからの電流は第1のスイッチング素子Q01および第2のスイッチング素子Q02を介して第1の負電源生成回路40における充放電用のコンデンサC05に充電を行う。充放電用のコンデンサC05の上側電極にはプラスの電荷が蓄積され、下側電極はGNDレベルとなる。第3のスイッチング素子Q03およびスイッチング素子Q04はオフ状態、常閉接点S01はクローズ状態となっている。
定常電流・限流切替回路50が定常電流状態であるため、インバータ回路10の駆動および充放電用のコンデンサC05の充電に供される電流は限流されておらず、その大きさは充分なものとなる。
〈4〉タイミングt4において、第1のスイッチング素子Q01がターンオフする。これにより、パルストランス21の一次巻線N01への通電は一時休止する。第1の負電源生成回路40における充放電用のコンデンサC05への充電も休止される。第1のスイッチング素子Q01のターンオフの動作は、次にタイミングt5における第1の負電源生成回路40の充放電用のコンデンサC05からの放電の準備となっている。第3のスイッチング素子Q03およびスイッチング素子Q04はオフ状態、常閉接点S01はクローズ状態となっている。
〈5〉タイミングt5において、第3のスイッチング素子Q03がターンオンする。これにより、第1の負電源生成回路40の充放電用のコンデンサC05の上側電極がターンオンした第3のスイッチング素子Q03を介してグラウンド(GND)に接続され、その上側電極からの放電が開始される。その結果、上側電極の電位がプラス電位から0[V]へと推移し、同時に下側電極の電位が0[V]からマイナス電位へと推移する。すなわち、第1の負電源生成回路40において負電源の電圧V- の生成(補給)が行われる。負電源の電圧V- が生成(補給)されると、ハイサイドの制御回路30aは定常電流・限流切替回路50の常閉接点S01に対してクローズの指令信号Srを出力し続けるため、常閉接点S01はクローズ状態に維持される。第1のスイッチング素子Q01およびスイッチング素子Q04はオフ状態となっている。
このタイミングt5では第3のスイッチング素子Q03のターンオンに伴い、一次巻線N01に逆起電力が発生する。
〈6〉タイミングt6において、スイッチング素子Q04がターンオンする。これにより、タイミングt5で第1の負電源生成回路40の充放電用のコンデンサC05の下側電極に蓄積されたマイナス電荷がターンオンしたスイッチング素子Q04を介してコンデンサC07の下側電極へ移動(補給)する。第1のスイッチング素子Q01はオフ状態、第3のスイッチング素子Q03はオン状態、常閉接点S01はクローズ状態となっている。
〈7〉次のタイミングでは〈1〉のタイミングt1での動作へと回帰する。すなわち、スイッチング素子Q04がターンオフする。このターンオフにもかかわらず、マイナス電荷はすでにコンデンサC07の下側電極に蓄積されているので、ハイサイドの制御回路30aは依然として負電源の電圧V- の生成を検出していて、常閉接点S01に対する指令信号Srはクローズを維持する。
以上のタイミングt1からタイミングt6を経て次のサイクルのタイミングt1(t7)までの1サイクル期間の動作が上記のとおりに正常状態を維持していれば、第1の負電源生成回路40による負電源の電圧V- の生成がハイサイドの制御回路30aによって検出されて、定常電流・限流切替回路50における常閉接点S01はクローズ状態を維持することとなる。
次に、第1のスイッチング素子Q01と第3のスイッチング素子Q03が不測に同時オン状態となった場合の動作を図5を用いて説明する。
すなわち、図4(c)〜(d)にようにタイミングt3からタイミングt4までの期間においては、第1のスイッチング素子Q01がオン状態となっていてパルストランス21の一次巻線N01に対して限流ではない定常電流を流している。このとき、第3のスイッチング素子Q03およびスイッチング素子Q04はオフ状態、常閉接点S01はクローズとなっている。
しかるに、図5に示すように、不測に第3のスイッチング素子Q03がオン状態となって、第1および第3の両スイッチング素子Q01,Q03が同時オン状態になったとする。このとき、充放電用のコンデンサC05の上側電極およびコンデンサC07の上側電極から第3のスイッチング素子Q03を介してグラウンド(GND)に放電がなされ、両上側電極は0[V]となるため、ハイサイドの制御回路30aは負電源の電圧V- の生成を検出できなくなる。その結果、ハイサイドの制御回路30aは定常電流・限流切替回路50における常閉接点S01に対して非活性"L"レベルの指令信号Srを出力し、常閉接点S01をオープンする。すなわち、限流用の抵抗素子R01を有効化する。
上記の動作の結果、第1および第3の両スイッチング素子Q01,Q03が不測に同時にオン状態となったとしても、より正確には第1、第2および第3の3つのスイッチング素子Q01,Q02,Q03が同時オンとなっても、上記した限流作用によって、それらオン状態のスイッチング素子Q01,Q02,Q03に流れる電流を制限することが可能となっており、破壊からの保護について安全性が確保されている。
以上のように構成された本発明実施例のスイッチング電源装置においては、スイッチング素子Q01をオフさせるための負電源として、特別なものを用意しなくてもよく、容量素子としての充放電用のコンデンサC05と一方向通電素子としての整流ダイオードD05を構成要素とするスナバ回路構成の極簡易な第1の負電源生成回路40をもって対応することが可能となっている。
その結果として、主スイッチング素子としてのスイッチング素子Q01,Q02にスイッチング動作の高効率ではあるが貫通電流によって破壊されてしまうおそれのあるノーマリオン型のスイッチング素子を用いたとしても、定常電流・限流切替回路50による限流によって素子の破壊を確実に回避することができる。すなわち、高速動作を可能とするスイッチング電源装置を実現する上で有用な技術となる。
そして、特別な構成の専用の負電源を用意しなくても済むので、スイッチング電源装置の小型化にも貢献することができる。
〔第2の実施例〕
図6は本発明の第2の実施例におけるスイッチング電源装置の構成を示す回路図、図7はそのスイッチング電源装置における第1の負バイアス電圧検出回路の具体的な構成を示す回路図、図8はそのスイッチング電源装置における第2の負バイアス電圧検出回路の具体的な構成を示す回路図、図9は図6、図7、図8の各回路を互いに結線して示す詳細な回路図である。図8におけるコンデンサC11は図6におけるコンデンサC11と同じものである。なお、図6において、第1の実施例の図1で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。
第2の負電源生成回路60は、ツェナーダイオードZD2、コンデンサC11、抵抗素子R11,R12、負電源オン・オフ用のスイッチング素子Q11およびダイオードD11を備えている。ツェナーダイオードZD2のカソードはハイサイドの入力端子T1pに接続されている。コンデンサC11はツェナーダイオードZD2に並列に接続されている。ツェナーダイオードZD2のアノードに一端が接続された抵抗素子R11の他端がノーマリオン型の負電源オン・オフ用のスイッチング素子Q11のドレイン端子に接続されている。負電源オン・オフ用のスイッチング素子Q11のソース端子はローサイドの入力端子T1nに接続され、そのゲート端子が抵抗素子R12を介してローサイドの入力端子T1nに接続されている。ツェナーダイオードZD2とコンデンサC11と抵抗素子R11の接続点がAであり、マイナス電荷保持用のコンデンサC07の下側電極とノーマリオフ型のスイッチング素子Q04のドレイン端子(ハイサイド端子)との接続点がPであるが、接続点PがダイオードD11を介して接続点Aに接続されている。
負電源切替回路70は、ノーマリオフ型の負電源切替用のスイッチング素子Q12と抵抗素子R13を備えている。スイッチング素子Q12は、そのドレイン端子(ハイサイド端子)がスイッチング素子Q11のゲート端子に接続され、スイッチング素子Q12のソース端子(ローサイド端子)が第1の負電源生成回路40におけるコンデンサC05の下側電極とスイッチング素子Q04との接続点Uに接続されている。抵抗素子R13はスイッチング素子Q12のゲート端子とソース端子(ローサイド端子)との間に接続されている。スイッチング素子Q12のゲート端子は図7のハイサイドの制御回路30aにおける第1の負バイアス電圧検出回路32の出力端子Sに接続されている。
ハイサイドの制御回路30aの内部には、図7に示す第1の負バイアス電圧検出回路32と図8に示す第2の負バイアス電圧検出回路33が構成されている。
第1の負バイアス電圧検出回路32は、オペアンプを用いたコンパレータCm2、ダイオードD21,D22、コンデンサC21,C22、抵抗素子R21,R22および第1のレベルシフト回路LS1を備えている。
第1のスイッチング素子Q01のソース端子(ローサイド端子)と第2のスイッチング素子Q02のドレイン端子(ハイサイド端子)との接続点がEであり、この接続点EがコンデンサC06とコンデンサC07との接続点Fに接続されている。そして、接続点Eと接続点Aとの間に抵抗素子R21、コンデンサC21およびダイオードD21が接続され、接続点Eと第1のスイッチング素子Q01への負バイアス出力端子Oとの間に抵抗素子R22、コンデンサC22およびダイオードD22が接続されている。
抵抗素子R21、コンデンサC21、ダイオードD21の接続点G1がコンパレータCm2の非反転入力端子(+)に接続され、抵抗素子R22、コンデンサC22、ダイオードD22の接続点G2がコンパレータCm2の反転入力端子(−)に接続されている。コンパレータCm2の正電源端子が接続点Eに接続されている。コンパレータCm2の出力端子に第1のレベルシフト回路LS1の入力端子が接続され、第1のレベルシフト回路LS1の出力端子が出力端子Sを介してスイッチング素子Q12のゲート端子に接続されている。
この第1の負バイアス電圧検出回路32は、第1のスイッチング素子Q01のゲート電圧VB とソース電圧VE と第2の負電源生成回路60におけるツェナーダイオードZD2のアノード電圧VA とから、負バイアス電圧V- が規定のマイナス電位に達したか否かの検出を行う。すなわち、ゲート電圧VB の絶対値|VB |がアノード電圧VAの絶対値|VA |よりも大きいときにスイッチング素子Q12をターンオンし、連動してスイッチング素子Q11をターンオフして第2の負電源生成回路60を停止し、ゲート電圧VB の絶対値|VB |がアノード電圧VA の絶対値|VA |以下のときにスイッチング素子Q12をターンオフし、連動して負電源オン・オフ用のスイッチング素子Q11をターンオンして第2の負電源生成回路60を駆動する。
第2の負バイアス電圧検出回路33は、オペアンプを用いたコンパレータCm3、ダイオードD31,D32、コンデンサC31,C32、抵抗素子R31,R32,R41,R42および第2のレベルシフト回路LS2を備えている。抵抗素子R41と抵抗素子R42の直列回路がコンデンサC11の両端間に接続されている。
接続点Eと抵抗素子R41と抵抗素子R42の接続点Kとの間に抵抗素子R31、コンデンサC31およびダイオードD31が接続され、接続点Eと負バイアス出力端子Oとの間に抵抗素子R32、コンデンサC32およびダイオードD32が接続されている。
抵抗素子R31、コンデンサC31、ダイオードD31の接続点H1がコンパレータCm3の非反転入力端子(+)に接続され、抵抗素子R32、コンデンサC32、ダイオードD32の接続点H2がコンパレータCm3の反転入力端子(−)に接続されている。コンパレータCm3の正電源端子が接続点Eに接続されている。コンパレータCm3の出力端子に第2のレベルシフト回路LS2の入力端子が接続され、第2のレベルシフト回路LS2の出力端子がローサイドの制御回路30bに対してスイッチング許可信号Syを出力するように接続されている。
この第2の負バイアス電圧検出回路33は、第1のスイッチング素子Q01のゲート電圧VB とソース電圧VE と接続点Kの電圧VK とから、ゲート電圧VB が規定の負バイアス電圧に達したか否かの検出を行う。そして、ゲート電圧VB が規定の負バイアス電圧に達したことを検出すれば、すなわち、ゲート電圧VB の絶対値|VB |が接続点Kの電圧VK の絶対値|VK |よりも大きいときにスイッチング許可信号Syをローサイドの制御回路30bに出力する。
第2の負電源生成回路60とハイサイドの制御回路30aとは次のような相関関係をもつものとして構成されている。第2の負電源生成回路60によって負電源の電圧V- が生成されていることをハイサイドの制御回路30aが検出したときには、ハイサイドの制御回路30aは第2の負電源生成回路60を非活性化する(停止させる)一方、ハイサイドの制御回路30aが第2の負電源生成回路60による負電源の電圧V- を検出しないときには、ハイサイドの制御回路30aは第2の負電源生成回路60を活性化する(動作させる)。
第2の負電源生成回路60を非活性化しても、それ以前の段階で生成した負電源の電圧V- はある程度の期間は継続する。すなわち、非活性化のタイミングに対して、負電源の電圧V- を検出しなくなるタイミングとの間にはタイムラグがある。
定常動作状態において、ハイサイドの制御回路30aがコンデンサC07の下側電極において負電源の電圧V- の生成を検出すると、第1の負バイアス電圧検出回路32におけるコンパレータCm2は"H"レベル信号を出力し、さらにレベルシフト回路32aによって電位が上昇されたターンオン信号をスイッチング素子Q12のゲート端子に出力して、このスイッチング素子をターンオンし、連動してスイッチング素子Q11がターンオフする。スイッチング素子Q11がターンオフすると、第2の負電源生成回路60への通流が遮断され、それまでのツェナーダイオードZD2と抵抗素子R11で生じていた電力消費が停止となり、第2の負電源生成回路60における電力損失がなくなる。
すなわち、ハイサイドの制御回路30aが負電源の電圧V- の生成を検出するまでは、スイッチング素子Q11がオン状態で第2の負電源生成回路60が活性状態にあって、ハイサイドの入力端子T1pから流入した主電流がツェナーダイオードZD2、抵抗素子R11、負電源オン・オフ用のスイッチング素子Q11の起動時通電ラインに分流していて、第1のスイッチング素子Q01に対して流入する主電流が限流状態にあった。
ハイサイドの制御回路30aは負電源の電圧V- の生成が検出されなくなると、第1の負バイアス電圧検出回路32におけるコンパレータCm2は"L"レベル信号を出力し、レベルシフト回路32aを介してターンオフ信号をスイッチング素子Q12をターンオフする。スイッチング素子Q12がターンオフすると、スイッチング素子Q11のゲート端子にあるマイナス電荷が抵抗素子R12を介してグラウンド(GND)に放電し、それまで負電位にあったスイッチング素子Q11のゲート電圧が0[V]となって、スイッチング素子Q11がターンオンする。
その結果、第2の負電源生成回路60においてツェナーダイオードZD2、抵抗素子R11、スイッチング素子Q11の起動時通電ラインに電流が流れ、コンデンサC11の下側電極に負電源の電圧V- が生成される。
第1の負バイアス電圧検出回路32は、第1のスイッチング素子Q01のゲート電圧VB とソース電圧VE とツェナーダイオードZD2のアノード電圧VA とから、負バイアス電圧V- が規定のマイナス電位に達したか否かを検出する。
コンデンサC07の下側電極に現れる負電源の電圧V- (VB )が規定レベルに達し、そのマイナス電位が充分に深いものであれば(|VB |>|VA |であれば)、図7の第1の負バイアス電圧検出回路32において、そのコンパレータCm2の反転入力端子(−)に印加される電圧が非反転入力端子(+)に印加される電圧よりも低くなっていることから、コンパレータCm2は"H"レベルを出力する。その結果、スイッチング素子Q12をターンオンし、連動してスイッチング素子Q11をターンオフし、第2の負電源生成回路60を停止させる。すなわち、ツェナーダイオードZD2、抵抗素子R11への分流を停止し、インバータ回路10への電流供給を定常電流状態とする。このとき、負電源の電圧V- (VB )は規定レベルに達してそのマイナス電位が充分に深くなっているので、第1のスイッチング素子Q01はオフ状態である。
第2の負バイアス電圧検出回路33は、スイッチング電源装置の起動時において、第2の負電源生成回路60が生成する負電源の電圧V- によってインバータ回路10の第1のスイッチング素子Q01のゲート電圧が規定のマイナス電位になったか否かを検出する。
スイッチング電源装置の起動前すなわち停止時においては、第1のスイッチング素子Q01および第2のスイッチング素子Q02はともにオン状態にあり、スイッチング素子Q11もオン状態にある。したがって、電源を投入してスイッチング電源装置を起動してハイサイドの入力端子T1pから電源主電流が流入すると、その電流は第1のスイッチング素子Q01を介してパルストランス21の一次巻線N01に流入し、第2のスイッチング素子Q02を介して第1の負電源生成回路(スナバ回路)40のコンデンサC05に流入し、さらに第2の負電源生成回路60のコンデンサC11にも流入する。この段階では、図8の第2の負バイアス電圧検出回路33は第3のスイッチング素子Q03に対するスイッチング許可信号Syを生成していないので、第3のスイッチング素子Q03はオフ状態に保たれている。
次に、上記のように構成された第2の実施例のスイッチング電源装置の動作について、定常動作時と起動時とに分けて説明する。説明の都合上、時間的順序が逆にはなるが、まず定常動作時の動作を説明し、次いで起動時の動作を説明する。
(ア)定常動作時の動作
いま、スイッチング電源装置がすでに定常動作状態にあって、第1のスイッチング素子Q01と第3のスイッチング素子Q3とが交互にオン/オフを繰り返すスイッチング動作が行われているとする。すなわち、第1の負電源生成回路40によって負電源の電圧V- が生成され、その負電源の電荷がスイッチング素子Q04のオン動作に伴ってコンデンサC07の下側電極に移動し、ハイサイドの制御回路30aにおいて負電源の電圧V- の生成が検出されているとする。
第1の負バイアス電圧検出回路32において、接続点Aにおける負電圧が逆接続のダイオードD21を介してコンパレータCm2の非反転入力端子(+)に入力される。また、第1のスイッチング素子Q01へ印加されるゲート電圧VB がコンパレータCm2の反転入力端子(−)に入力される。生成された負電源の電圧V- のレベルがマイナス電位側で充分に低くなっている場合には、コンパレータCm2から"H"レベル信号が出力される。この"H"レベル信号が第1のレベルシフト回路LS1を介して負電源切替回路70におけるスイッチング素子Q12のゲート端子に印加され、スイッチング素子Q12をターンオンさせる。すると、負電源の電圧V- がターンオンした負電源切替用のスイッチング素子Q12を介してスイッチング素子Q11のゲート端子に印加され、このスイッチング素子Q11をターンオフさせる。負スイッチング素子Q11がターンオフすると、第2の負電源生成回路60に電流が流れなくなり、第2の負電源生成回路60の動作が停止し、この回路60におけるツェナーダイオードZD2および抵抗素子R11で発生していた電力損失がなくなる。第2の負電源生成回路60に対する分流がなくなると、ハイサイドの入力端子T1pから流入する主電流は、そのすべてが第1のスイッチング素子Q01に供給されることになる。
一方、第2の負電源生成回路60の停止状態で負電源の電圧V- が検出されなくなると、ゲート電圧VB のマイナス電位側でのシフトが減少して第1のスイッチング素子Q01がターンオンする。また、ツェナーダイオードZD2のアノード電圧VA がゲート電圧VB よりも低くなり、コンパレータCm2の非反転入力端子(+)に対して"L"レベルを出力する。その結果、コンパレータCm2から"L"レベル信号が出力され、それまで負電源切替用のスイッチング素子Q12のゲート端子に負ゲート電圧を与えていたマイナス電荷が抵抗素子R12を介して放電され、その結果としてスイッチング素子Q12がターンオフし、連動してスイッチング素子Q11がターンオンする。スイッチング素子Q11のターンオンによって第2の負電源生成回路60が駆動され、ツェナーダイオードZD2、抵抗素子R11、スイッチング素子Q11の直列回路に電流が流れることにより、接続点Aに負電源の電圧V- を生成する。すなわち、第1のスイッチング素子Q01のターンオンとともに、第2の負電源生成回路60の駆動による分流で、ターンオンした第1のスイッチング素子Q01に流れる電流を制限する。よって、もしも第3のスイッチング素子Q03のオン状態のまま第1のスイッチング素子Q01がターンオンしたとしても、第1、第2および第3の3つのスイッチング素子Q01,Q02,Q03に電流量の過大な貫通電流が流れることを防止することができる。
以上をまとめると、
(i)ゲート電圧VB のマイナス電位側への偏りすなわち絶対値|VB |が大きくて第1のスイッチング素子Q01がオフ状態にあるときは、第1の負バイアス電圧検出回路32から"H"レベル信号が出力されてスイッチング素子Q11がターンオフして第2の負電源生成回路60が停止し、ハイサイドの入力端子T1pから流入する主電流に対する限流作用がなくなり、第1のスイッチング素子Q01に対しては全電流が流れ込み得る状態となる。ただし、このとき第1のスイッチング素子Q01はオフ状態にある。このことは、次のタイミングで第1のスイッチング素子Q01がターンオンし、第3のスイッチング素子Q03がターンオフしたときには、即座に全電流をパルストランス21の一次巻線N01と第1の負電源生成回路40とに供給する準備を整えている、ということである。記号的に表現すると、
(|VB |=大) → (Q01=OFF) → (Cm2=H) → (Q12=ON) → (Q11=OFF) → (限流なし)
のようになる。
(ii)絶対値|VB |が小さくて第1のスイッチング素子Q01がオン状態にあるときは、第1の負バイアス電圧検出回路32から"L"レベル信号が出力されてスイッチング素子Q11がターンオンして第2の負電源生成回路60が動作し、ハイサイドの入力端子T1pから流入する主電流を分流によって第1のスイッチング素子Q01に対して限流を行う状態となる。このとき第1のスイッチング素子Q01はオン状態にある。このことは、第1のスイッチング素子Q01のオン状態において、何らかの要因で第3のスイッチング素子Q03も同時にターンオンしたとしても、限流作用があるがゆえに、規制電流量の過大な貫通電流が流れること防止できている、ということである。記号的に表現すると、
(|VB |=小) → (Q01=ON) → (Cm2=L) → (Q12=OFF) → (Q11=ON) → (限流あり)
のようになる。
(イ)起動時の動作
スイッチング電源装置が起動される直前の状態では、2つのノーマリオン型の第1のスイッチング素子Q01、第2のスイッチング素子Q02、スイッチング素子Q11はオン状態にあり、スイッチング素子Q03,Q04,Q12はオフ状態にある。
電源の投入に伴ってハイサイドの入力端子T1pから主電流が流入すると、その大部分が第1のスイッチング素子Q01、第2のスイッチング素子Q02から第1の負電源生成回路40のコンデンサC05とダイオードD05のラインと一次巻線N01、コンデンサC02のラインに流れる。また、接続点Eから抵抗素子R31、ダイオードD31、抵抗素子R42のラインや抵抗素子R21、ダイオードD21のラインにも電流が流れる。ハイサイドの入力端子T1pから流入した主電流の残りの部分はツェナーダイオードZD2と抵抗素子R41,R42とから抵抗素子R11、負電源オン・オフ用のスイッチング素子Q11のラインに流れる。
ローサイドの制御回路30bはまだ活性化されていないので、スイッチング素子Q03,Q04はオフ状態のままであり、したがって、第1の負電源生成回路40による負電源の電圧V- の生成はない。一方、電流が流入した第2の負電源生成回路60は活性化されて、接続点Aに負電源の電圧V- を生成する。これによって、インバータ回路10に対するスイッチング許可信号Syがローサイドの制御回路30bに送出され、それによって第1のスイッチング素子Q01と第2のスイッチング素子Q02の交互のオン/オフ動作の繰り返し切り替えが開始される。また、スイッチング素子Q03,Q04のターンオフも許可されることになる。
そして、このインバータ回路10のスイッチング動作により第1の負電源生成回路40において負電源の電圧V- が生成され、スイッチング素子Q04のターンオンに伴ってマイナスの電荷がコンデンサC07の下側電極に移動し、負電源の電圧V- が生成され、上記の(ア)で説明した定常動作状態に進む。
本発明は、スイッチング電源装置に関して、特別な負電源装置を用意する必要をなくして回路構成の簡素化を図るとともに、インバータ動作によってDC/DCコンバータの高効率な駆動を実現しながら、第1ないし第3の3つのスイッチング素子が不測に同時的にオン状態となったときには、それら同時オンの3つのスイッチング素子に流れる電流を制限して、破壊からの保護について安全性を確保する技術として有用である。
10 インバータ回路
11 ハイサイドのスイッチ部
12 ローサイドのスイッチ部
20 出力回路
30 スイッチング制御回路
32 第1の負バイアス電圧検出回路
33 第2の負バイアス電圧検出回路
40 第1の負電源生成回路
50 定常電流・限流切替回路
60 第2の負電源生成回路
70 負電源切替回路
C05 容量素子(充放電用のコンデンサ)
C07 マイナス電荷の移動を受け入れる別の容量素子
C11 コンデンサ
D05 一方向通電素子(整流ダイオード)
G1 負電源生成検出端子
Q01 ノーマリオン型の第1のスイッチング素子
Q02 ノーマリオン型の第2のスイッチング素子
Q03 ノーマリオフ型の第3のスイッチング素子
Q04 マイナス電荷移動用のスイッチング素子
Q11 ノーマリオン型の負電源オン・オフ用のスイッチング素子
S01 第1のスイッチング素子に対する駆動信号
S03 第3のスイッチング素子に対する駆動信号
S04 負電源オン・オフ用のスイッチング素子に対する駆動信号
Sr 指令信号
T1p ハイサイドの入力端子(インバータ回路の正の電源入力端子)
T1n ローサイドの入力端子(インバータ回路の負の電源入力端子)
ZD2 ツェナーダイオード

Claims (6)

  1. ノーマリオン型の第1のスイッチング素子を有するハイサイドのスイッチ部と、カスコード接続されたノーマリオン型の第2のスイッチング素子とノーマリオフ型の第3のスイッチング素子とを含むローサイドのスイッチ部とを直列接続してなるインバータ回路と、
    前記インバータ回路における前記ハイサイドのスイッチ部と前記ローサイドのスイッチ部とを背反的に繰り返しオン/オフ制御するスイッチング制御回路と、
    前記第3のスイッチング素子に並列に接続されて前記ハイサイドおよびローサイドの両スイッチ部の背反的なオン/オフ制御によって負電源を生成する第1の負電源生成回路と、
    前記第1のスイッチング素子の入力ラインに挿入されて、指令信号の状態に応じて前記入力ラインを流れる電流を定常電流状態と限流状態とに切り替える定常電流・限流切替回路とを備え、
    前記スイッチング制御回路は、前記第1の負電源生成回路による前記負電源の生成を検出したときは前記指令信号として前記定常電流・限流切替回路を定常電流状態に制御するモードにし、前記負電源の生成を検出しないときは前記指令信号として前記定常電流・限流切替回路を限流状態に制御するモードにするように構成されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. ノーマリオン型の第1のスイッチング素子を有するハイサイドのスイッチ部と、カスコード接続されたノーマリオン型の第2のスイッチング素子とノーマリオフ型の第3のスイッチング素子とを含むローサイドのスイッチ部とを直列接続してなるインバータ回路と、
    前記インバータ回路における前記ハイサイドのスイッチ部と前記ローサイドのスイッチ部とを背反的に繰り返しオン/オフ制御するスイッチング制御回路と、
    前記第3のスイッチング素子に並列に接続されて前記ハイサイドおよびローサイドの両スイッチ部の背反的なオン/オフ制御によって負電源を生成する第1の負電源生成回路と、
    前記インバータ回路の正負の電源入力端子間に設けられ、起動時に当該電源入力端子間に印加される電圧から前記第1スイッチング素子の負ゲート電圧を生成する第2の負電源生成回路と、
    定常動作時に前記第1のスイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると、前記第2の負電源生成回路を停止させる第1の負バイアス電圧検出回路と、
    起動時に前記第2の負電源生成回路により生成された、前記第1のスイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると、前記第3のスイッチング素子によるスイッチングを許可する許可信号を前記スイッチング制御回路に送出する第2の負バイアス電圧検出回路とを備え、
    前記第2の負バイアス電圧検出回路から前記許可信号が前記スイッチング制御回路に送出されると、前記両スイッチ部を交互にオン/オフ制御し、前記第1の負電源生成回路による前記第1スイッチング素子の負ゲート電圧の生成を開始させることを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 前記第2の負電源生成回路は、定電圧素子、容量素子の並列回路にノーマリオン型の負電源オン・オフ用のスイッチング素子が直列に接続されてなる起動時通電ラインを有する状態で前記インバータ回路の正負の電源入力端子間に接続されて、前記並列回路と前記負電源オン・オフ用のスイッチング素子との接続点に負電源を生成するように構成され、
    第1の負バイアス電圧検出回路は、定常動作時において、前記インバータ回路における第1のスイッチング素子のゲート端子の電圧とローサイド端子の電圧と前記第2の負電源生成回路の定電圧素子のローサイド端子の電圧とから、前記スイッチング制御回路が前記第1のスイッチング素子のゲート端子に出力する負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると、前記負電源オン・オフ用のスイッチング素子をオフ制御して前記第2の負電源生成回路を停止させるように構成され、
    さらに、定常動作時において、前記第1の負バイアス電圧検出回路により前記第1のスイッチング素子のゲート端子における負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達したことを検出すると前記第2の負電源生成回路の起動時通電ラインにおける負電源オン・オフ用のスイッチング素子をオフ制御する一方、前記負バイアス電圧が規定のマイナス電位に達していないことを検出すると前記負電源オン・オフ用のスイッチング素子をオフ制御する負電源切替回路を備えることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
  4. 前記第1の負電源生成回路は、前記第3のスイッチング素子のハイサイド端子とローサイド端子との間に挿入された容量素子と一方向通電素子の直列回路を含むスナバ回路を備えている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
  5. 前記第1スイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点が前記スイッチング制御回路の負電源生成検出端子に接続され、前記スイッチング制御回路の負電源生成検出端子と前記第1の負電源生成回路の容量素子の下側電極との間に、別の容量素子とマイナス電荷移動用のスイッチング素子との直列回路が接続されている請求項4に記載のスイッチング電源装置。
  6. 前記第1のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子および前記マイナス電荷移動用のスイッチング素子の各ゲート端子にそれぞれ印加する第1、第3および第の駆動信号のタイミングとして、前記第1の駆動信号のアクティブ期間は前記第3の駆動信号のインアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、前記第3の駆動信号のアクティブ期間は前記第1の駆動信号のインアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、前記第の駆動信号のアクティブ期間は前記第3の駆動信号のアクティブ期間に対してその期間内で前後のデッドタイムをあける状態で同期し、前記第の駆動信号のインアクティブ期間は前記第3の駆動信号のインアクティブ期間に対してその期間外で前後のデッドタイムをあける状態で同期している請求項に記載のスイッチング電源装置。
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