JP6731872B2 - ホットメルトシール組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、両面をガラス板で挟持された太陽電池モジュールのホットメルトシール組成物に関し、特に2枚のガラス板を一定の隙間を持たせて重ね合わせた際に形成される4方向の端部をシールするホットメルトシール組成物に関する。
従来、両面をガラス板で挟持された、例えばフレームレスの太陽電池モジュールのシール材に使用可能で、シール材の溶融温度において適度な流れ性を有し、絶縁性、防水性、水蒸気バリア性、耐久性に優れるホットメルトシール組成物が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1に記載のホットメルトシール組成物は、重量平均分子量が10〜30万のポリイソブチレンと、少なくとも生石灰またはゼオライトから成る吸湿剤と、シラン変性ポリオレフィンと、充填材と、から成ることを特徴とするホットメルトシール組成物である。また特許文献2に記載のホットメルトシール組成物は、重量平均分子量が15〜25万のポリイソブチレンと、重量平均分子量が35〜45万のポリイソブチレンと、重量平均分子量が8〜10万のポリイソブチレンと、少なくとも生石灰またはゼオライトから成る吸湿剤と、シラン変性ポリオレフィンと、充填材と、から成り、各ポリイソブチレンの重量平均分子量から求める数平均の分子量が19万〜30万であることを特徴とするホットメルトシール組成物である。
特開2013−213122号公報 特開2014−19837号公報
しかしながら、上記特許文献1又は特許文献2に示されるホットメルトシール組成物においては、太陽電池モジュールの生産ラインにおいて数日間、溶融温度に置かれ続けるとガラス板との接着性が低下する課題がある。また太陽電池モジュールの生産効率向上のために生産ラインスピードを上げる目的でホットメルトシール組成物の溶融温度を通常の160℃から190℃程度とする場合があり、この場合も上記同様にガラス板との接着性が不十分になるという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、高温に数日間置かれても、また溶融温度が高くなってもガラス板との接着性が低下することがないホットメルトシール組成物を提供することにある。
請求項1記載の発明は、重量平均分子量が6万〜14万のポリイソブチレンと、少なくとも生石灰またはゼオライトから成る吸湿剤と、表面をアミノシラン又はエポキシシランにより処理した充填材であってレーザー回析・散乱法による平均粒子径が0.4〜3μmの充填材と、酸価が100〜350のロジン誘導体とを含み、シラン変性樹脂を含まず、ロジン誘導体は組成物全体100重量部に対して2重量部以上12重量部以下であることを特徴とするホットメルトシール組成物である。
また、請求項2記載の発明は、前記ポリイソブチレンは組成物全体100重量部に対して15重量部以上40重量部以下であることを特徴とする請求項1記載のホットメルトシール組成物である。
また、請求項3記載の発明は、前記充填材は、組成物全体100重量部に対して35重量部以上50重量部以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホットメルトシール組成物である。
また、請求項4記載の発明は、さらに、カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のホットメルトシール組成物である。
本発明に係るホットメルトシール組成物は、両面をガラス板で挟持された太陽電池モジュールのシール材に使用可能で、組成物が数日間高温に置かれてもガラス板との接着性が良好で、また溶融温度が高くなっても同様にガラス板との接着性が低下することが無いという効果がある。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のホットメルトシール組成物は、重量平均分子量が6万〜14万のポリイソブチレンと、少なくとも生石灰またはゼオライトから成る吸湿剤と、表面をアミノシラン又はエポキシシランにより処理した充填材であってレーザー回析・散乱法による平均粒子径が0.4〜3μmの充填材と、酸価が100〜350のロジン誘導体とを含み、シラン変性樹脂を含まず、ロジン誘導体は組成物全体100重量部に対して2重量部以上12重量部以下であることを特徴とするホットメルトシール組成物であり、必要により、本組成物が目的とする性能を阻害しない範囲で、他の充填材、チクソ付与剤、希釈剤、粘着付与剤、耐熱補助剤、難燃剤、酸化防止剤等を配合することが出来る。
<重量平均分子量が6万〜14万のポリイソブチレン>
本発明に使用されるポリイソブチレンは、重量平均分子量が6万〜14万のイソブチレンの重合体を含み、該ポリイソブチレンは組成物全体100重量部中の15重量部以上40重量部以下が好ましく、これ以外に重量平均分子量が30万〜70万のポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム、ブチルゴムを配合することが出来る。15重量部未満では高温溶融時の流れ性が不足し、40重量部超では高温溶融時の流れ性が過剰となる。重量平均分子量が30万〜70万のポリイソブチレン、部分架橋ブチルゴム、ブチルゴムをさらに配合する場合のこれらの配合量は組成物全体100重量部中、10重量部以上30重量部以下が好ましく、これらと重量平均分子量が6万〜14万のポリイソブチレンとの合計の配合量は組成物全体100重量部中の30重量部以上50重量以下が好ましい。市販の重量平均分子量が6万〜14万のポリイソブチレンにはOppanol B15SFN(商品名、BASF社製)が、同重量平均分子量が30万〜70万のポリイソブチレンにはOppanol B50SF(商品名、BASF社製)がある。また部分架橋ブチルゴムにはKALAR5215(商品名、ポリ(イソブチレン−イソプレン)、ムーニー粘度(ML12+3@127℃):47−57、ガラス転移温度:−70℃、ROYAL ELASTOMERS社製)が、ブチルゴムには、Butyl 301(商品名、ムーニー粘度(ML(1+8)@125℃):51±5、密度:0.92、LANXESS社製)がある。なお、ここでいう重量平均分子量は、GPC法による。
<吸湿剤>
本発明に使用される吸湿剤は、少なくとも生石灰またはゼオライトから成り、複層ガラスの周囲を本発明であるホットメルトシール組成物でシールした際に、該周囲から複層ガラス内に進入する水分を吸着保持するために配合され、水分を吸着した際の重量増加率は、10〜30%のものが適していて、より好ましくは20〜25%である。10%未満では十分な吸着性能を保持できず、30%超では、吸湿性能が高いため保存安定性が不足する。特に配合される生石灰に関しては、ポリイソブチレンに対する分散性が良好な、粒子の表面を脂肪酸等で処理したものが適している。市販の生石灰としては、CML#31(商品名、表面脂肪酸処理生石灰、水分吸着時の重量増加率:20%、近江化学工業製)が、市販のゼオライトとしては、ミズカシーブス5AP(商品名、水分吸着時の重量増加率:24%、水澤化学社製)がある。
吸湿剤の配合量は、組成物全体の100重量部に対して2〜10重量部であり、より好ましくは4〜8重量部である。2重量部未満では吸湿効果が不十分であり、10重量部超では絶縁性が低下する。4重量部以下では吸湿効果が不十分となる傾向があり、8重量部超では絶縁性が低下する傾向にある。
<充填材>
本発明に使用される充填材は、表面をアミノシラン又はエポキシシランにより処理した充填材であってレーザー回析・散乱法による平均粒子径が0.4〜3μmの充填材を用いるが、特に平均粒子径が0.4〜2μmの補強性充填材であるクレーが好ましい。レーザー回折・散乱法による平均粒子径は、JIS Z8825−2013に準拠した測定値で、D50の値を指す。配合量は組成物全体の100重量部中35〜50重量部が好ましく、35重量部未満では補強効果が不十分であり、50重量部超では密着性が不十分となる。本発明に係る組成物には、本表面をアミノシラン又はエポキシシランにより処理した充填材のほかに、例えば、同じく表面をアミノシラン、エポキシシラン、またはビニルシランにより処理したレーザー回析・散乱法による平均粒子径が3μmを超えるクレーや、表面未処理のタルク、カーボンブラックなどの他の充填材を配合することができ、これらの他の充填材を加えた際のすべての充填材の配合量は、組成物全体の100重量部中の40〜60重量部が好ましい。市販の、表面をアミノシラン処理した充填材でレーザー回析・散乱法による平均粒子径が0.4〜3μmの充填材としては、ST−301(商品名、平均粒子径:0.7μm、白石カルシウム社製)がある。
なお、カーボンブラックについては組成物全体の100重量部中の2〜10重量部が好ましく、2重量部未満では補強効果が不十分となり、10重量部超では流動性が低下し、市販品としては、旭サーマルカーボン(商品名、旭サーマル社製)やMA100(商品名、三菱化学社製)がある。
<ロジン誘導体>
本発明に使用するロジン誘導体は、天然樹脂のロジンから誘導される酸価が100〜350の高極性の樹脂であり、ロジン樹脂のほかロジンエステルや二量化された樹脂酸を含む重合ロジン等を使用することが出来る。該ロジン誘導体の配合量は、組成物全体100重量部中の2〜12重量部が好ましく、2重量部未満では密着性が不十分となり、12重量部超では流動性が低下する。
<シラン変性樹脂>
本発明にはシラン変性樹脂である、シラン変性ポリオレフィンやシラン変性EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)を含まない。シラン変性ポリオレフィンとは、シリル化したアモルファスポリ−α-オレフィン重合体であり、シリル化前のアモルファス−α−オレフィン重合体としては、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリブテンー1などのホモポリマー、コポリマー;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのコポリマーまたはターポリマーを挙げることができる。該シラン変性ポリオレフィンの市販品としてはvestoplast206(粘度;5±1Pa・s/190℃、エボニック社製)があり、シラン変性EVAとしてはリンクロンXVF600N(商品名、JIS K 7210のMFR(190℃、21.2N):1.0g/10min、三菱化学社製)がある。
以下、実施例及び比較例にて本出願に係るホットメルトシール組成物について具体的に説明する。
実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8
表1及び表2に示す配合にて、重量平均分子量が11万のポリイソブチレンであるポリイソブチレンAとしてOppanol B15SFNを、同重量平均分子量が57万のポリイソブチレンBとしてOppanol B50SFを、吸湿剤としてCML#31を、部分架橋ブチルゴムとしてKALAR5215を、ブチルゴムとしてButyl 301を、表面をアミノシランにより処理した充填材であってレーザー回析・散乱法による平均粒子径が0.4〜3μmの充填材である充填材AとしてST−301を、表面をエポキシシランにより処理したカオリンクレーであってレーザー回析・散乱法による平均粒子径が1.5μmの充填材として充填材Fを、その他の充填材のうち充填材BにST−100(商品名、レーザー回析・散乱法による平均粒子径:3.5μm、表面アミノシラン処理、白石カルシウム社製)を、充填材CにST−KE(商品名、同平均粒子径:3.5μm、表面ビニルシラン処理、白石カルシウム社製)を、充填材DにタルクSG95(商品名、同平均粒子径:2.5μm、未処理タルク、日本タルク社製)を、充填材Eに旭サーマルカーボンを、酸価が100〜350のロジン誘導体のうちロジン誘導体AとしてアラダイムR−95(商品名、重合ロジン、酸価:158〜168、荒川化学工業社製)を、同ロジン誘導体BとしてKE−604(商品名、酸変性超淡色ロジン樹脂、酸価:230〜245、荒川化学工業社製)を、同ロジン誘導体CとしてマルキードNo.33(商品名、マレイン化ロジン及びフマル化ロジン及びこれらのエステル樹脂の混合物、酸価290〜320、荒川化学工業社製)を、同ロジン誘導体DとしてマルキードNo.32(商品名、マレイン化ロジン及びフマル化ロジン及びこれらのエステル樹脂の混合物、酸価120〜140、荒川化学工業社製)を、その他の樹脂のうちタッキファイアーAとしてエステルガム105(商品名、ロジンエステル樹脂、酸価:20以下、荒川化学工業社製)を、タッキファイアーBとしてYSポリスターU130(テルペンフェノール樹脂、軟化点:130℃、ヤスハラケミカル社製)を、シラン変性ポリオレフィンとしてvestoplast206を、シラン変性EVAとしてリンクロンXVF600Nを使用し、試験用ニーダー(1L)で180℃に加熱しながら混練し、実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8のホットメルトシール組成物を得た。
Figure 0006731872
Figure 0006731872
<評価項目および評価方法>
<せん断密着強度及びせん断密着破壊状態>
20mm×50mm×3mm厚のガラス板に実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8のホットメルトシール組成物を厚さ1.4mm厚で塗付し、直ちに同形状のガラス板を巾10mmでオーバーラップさせるように載置する。150℃5分間真空脱気後、20kPa圧力で15分間プレスし、ホットメルトシール組成物の厚み0.7mmとなるように成形する。その後さらに23℃2日間養生後、引張速度20mm/分で2枚のガラス板を引張り、破壊強度を測定し、単位面積あたりの破壊強度をせん断密着強度(N/mm)とした。0.2N/mm以上を○と評価し0.2N/mm未満を×とした。また、破壊時の破壊面を目視で評価し、ホットメルトシール組成物80%凝集破壊を○と評価し、これ以外を×とした。
<180度はく離密着強度及び180度はく離破壊状態>
180mm×30mm×3mm厚のガラス板に実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8のホットメルトシール組成物を厚さ1.4mmで塗付し、直ちに25mm×400mm×1mmの綿布を張り付ける。150℃5分間真空脱気後、20kPa圧力で15分間プレスし、ホットメルトシール組成物の厚み0.7mmとなるように成形する。その後さらに23℃2日間養生した後、引張速度20mm/分で綿布をガラス板に対して180度方向に引っ張り、綿布がはく離する際の強度を測定し、単位長あたりの強度を180度はく離密着強度(N/mm)とした。1.5N/mm以上を○と評価し、1.5N/mm未満を×とした。また、はく離時のはく離面を目視で評価し、ホットメルトシール組成物の60%以上の凝集破壊を○と評価し、これ以外を×とした。
<ラミネート性>
ガラス板上に実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8のホットメルトシール組成物を厚さ0.7mmで塗付し、150℃で5分間脱気後、60kPa圧力で15分間プレスし、その状態を目視で観察した。ホットメルトシール組成物に気泡の混入がないものを○と評価し、気泡があるものを×とした。
<流動性>
実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8のホットメルトシール組成物の各々8〜15gを厚み0.7mmのシート状に成形する。その後、メルトインデクサ G-01(メルトフローレート測定装置、東洋精機製作所社製)に各ホットメルトシール組成物を投入する。5分間所定の温度に養生し、10kgの加圧条件にてJIS K 7210に準拠してメルトフローレート(MFR)を測定する。所定温度は180℃及び190℃の2種類とした。MFRが180℃では40〜80g/10分を○、190℃では60〜100g/10分を○と評価し、これ以外を×とした。
<熱劣化後の180度はく離密着強度及び180度はく離破壊状態>
実施例1乃至実施例13及び比較例1乃至比較例8のホットメルトシール組成物各々200gを190℃下に72時間放置する。その後各ホットメルトシール組成物を180mm×30mm×3mm厚のガラス板に厚さ1.4mmで塗付し、直ちに25mm×400mm×1mmの綿布を張り付ける。150℃5分間真空脱気後、20kPa圧力で15分間プレスし、ホットメルトシール組成物の厚み0.7mmとなるように成形する。その後さらに23℃2日間養生した後、引張速度20mm/分で綿布をガラス板に対して180度方向に引っ張り、綿布がはく離する際の強度を測定し、単位長あたりの強度を180度はく離密着強度(N/mm)とした。1.5N/mm以上を○と評価し、1.5N/mm未満を×とした。また、はく離時のはく離面を目視で評価し、ホットメルトシール組成物の60%以上の凝集破壊を○と評価し、これ以外を×とした。
評価結果
評価結果を表3及び表4に示す。実施例1乃至実施例13のホットメルトシール組成物はすべての評価項目が○であった。
Figure 0006731872
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Claims (4)

  1. 重量平均分子量が6万〜14万のポリイソブチレンと、少なくとも生石灰またはゼオライトから成る吸湿剤と、表面をアミノシラン又はエポキシシランにより処理した充填材であってレーザー回析・散乱法による平均粒子径が0.4〜3μmの充填材と、酸価が100〜350のロジン誘導体とを含み、シラン変性樹脂を含まず、ロジン誘導体は組成物全体100重量部に対して2重量部以上12重量部以下であることを特徴とするホットメルトシール組成物。
  2. 前記ポリイソブチレンは組成物全体100重量部に対して15重量部以上40重量部以下であることを特徴とする請求項1記載のホットメルトシール組成物。
  3. 前記充填材は、組成物全体100重量部に対して35重量部以上50重量部以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホットメルトシール組成物。
  4. さらに、カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のホットメルトシール組成物。
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