JP6731634B2 - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、処理対象物の表面をプラズマによってエッチングする装置および方法に関する。
電子部品や回路基板を製造する様々な工程において、処理室内でプラズマを発生させて、処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置が用いられている。処理室内でプラズマ放電が正常に起こっているかどうかを判断するために、特許文献1は、処理室を構成する蓋部に、電位検出用のプローブ電極を備えた放電検出センサを装着している。プローブ電極は、プラズマ放電の変化に応じて誘発される電位を検出する。このとき、検出された電位が閾値を超えると、処理室内における異常放電として検出される。
特開2009−135253号公報
しかし、上記の方法では、閾値に達しないわずかな異常放電や、漸次的に生じる異常放電を検出することは困難である。
本発明の一局面は、処理室と、前記処理室に設けられる電極部と、前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、を備え、前記電極部に処理対象物を載置して、前記処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置であって、さらに、前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態に応じた電位が誘起されるプローブ電極を備え、前記プローブ電極の電位を検出する放電検出センサと、前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備え、前記信号解析部は、プラズマ処理の開始後、所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返すとともに、算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較し、前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する第1の異常判定機能を備え、前記nが1〜3であり、前記信号解析部は、前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理装置に関する。
また、本発明は、処理室と、前記処理室に設けられる電極部と、前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、を備え、前記電極部に処理対象物を載置して、前記処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置であって、さらに、前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態を、電位として検出する放電検出センサと、前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備え、前記信号解析部は、プラズマ処理の開始後、所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返すとともに、算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較し、前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する第1の異常判定機能を備え、前記nが1〜3であり、前記信号解析部は、前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理装置に関する。
本発明の他の一局面は、処理室と、前記処理室に設けられる電極部と、前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態に応じた電位が誘起されるプローブ電極を備え、前記プローブ電極の電位を検出する放電検出センサと、前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記電極部に載置された処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理方法であって、前記処理室内で前記プラズマを発生させるプラズマ発生工程と、前記プラズマ発生工程の後、前記信号解析部が、異常放電が発生したかどうかを判定する第1の異常判定工程と、を備え、前記第1の異常判定工程が、所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返す工程と、算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較する工程と、前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する工程と、を備え、前記nが1〜3であり、前記第1の異常判定工程において、前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理方法に関する。
また、本発明は、処理室と、前記処理室に設けられる電極部と、前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態を、電位として検出する放電検出センサと、前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記電極部に載置された処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理方法であって、前記処理室内で前記プラズマを発生させるプラズマ発生工程と、前記プラズマ発生工程の後、前記信号解析部が、異常放電が発生したかどうかを判定する第1の異常判定工程と、を備え、前記第1の異常判定工程が、所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返す工程と、算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較する工程と、前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する工程と、を備え、前記nが1〜3であり、前記第1の異常判定工程において、前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理方法に関する。
本発明によれば、生産性を低下させることなく、わずかな異常放電を検出することができる。
本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構造を断面で示す概念図である。 本発明の実施形態に係る放電検出センサを断面で示す概念図である。 本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る放電状態監視処理のメインフローを示すフローチャートである。 放電検出センサによって検出される電位変化の典型的な波形パターンを示すグラフである。 放電検出センサによって検出される第1の異常放電の典型的な波形(W2)パターンを拡大して示すグラフである。 放電開始波(波形W1)および第2の放電異常を示す波形W3を検出するためのアルゴリズムを説明するグラフ(a)および微小アーク放電を示す波形W4を検出するためのアルゴリズムを説明するグラフ(b)である。 本発明の実施形態に係る第1の異常放電検出処理のフローを示すフローチャートである。 第2の異常放電検出処理のフローを示すフローチャートである。 微小アーク放電検出処理のフローを示すフローチャートである。 リトライ処理のフローを示すフローチャートである。 累積プラズマ処理のフローを示すフローチャートである。 メンテナンス判定処理のフローを示すフローチャートである。
特許文献1の方法は、プラズマ放電の変化を、電位の絶対値を用いて評価している。つまり、電位が所定の閾値を超えた場合に、異常放電が生じたと判断し、検出する。異常放電が検出されると、プラズマ処理を一旦、中断し、プラズマ処理条件の再設定等が行われた後、プラズマ処理が再開される。特許文献1の放電検出センサは微小な放電であっても捉えることができるが、生産性の観点から、ノイズや微小な放電は、異常放電の判断材料から外されている。つまり、閾値として、ある程度大きな値が設定されている。
しかし、このような方法で異常放電を検出する場合、プラズマ処理後の処理対象物に、異常放電に起因すると考えられるダメージが生じ得る。すなわち、閾値に達しないような微小な異常放電が、プラズマ処理に影響を与えているものと考えられる。このようなダメージは、処理対象物の性能に影響を与える。しかし、微小な放電を捉えるために閾値を小さくすることは、上記のとおり、生産性を低下させる。
そこで、本実施形態では、閾値に替えてあるいはこれに加えて、異常放電を、電位の相対的な変化率に基づいて検出する。具体的には、最新のサンプリング期間における電位の平均値と、それ以前の直近のサンプリング期間における電位の平均値とを比較して、平均値の増減率が所定の割合を超える場合に、異常放電が発生したと判断する。このように、異常放電の有無を電位の増減率によって判断することにより、微小な異常放電であっても判断材料として考慮することができる。微小な異常放電は、絶対値の大きな異常放電(例えば、上記閾値を超える異常放電)が発生する前触れである場合がある。そのため、微小な異常放電を検出することにより、大きな放電が発生する前にプラズマ処理条件を再設定等することができ、歩留まりが向上する。
(プラズマ処理装置)
プラズマ処理装置は、処理室と、処理室に設けられ、処理対象物が載置される電極部と、電極部に高周波電力を印加する高周波電源部と、を備える。処理室にプラズマ発生用ガスを供給し、電極部に第1の高周波電力を印加すると、処理室内にプラズマが発生する。発生したプラズマにより、電極部に載置された処理対象物の表面はエッチングされる。プラズマ処理装置は、さらに、処理室内で発生するプラズマ放電の状態を、電位として検出する放電検出センサと、放電検出センサで検出された電位を取得し、解析する信号解析部と、を備える。
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置100を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構造を断面で示す概念図である。
処理室103aは、水平なベース部101と、蓋部102とにより構成される真空チャンバ103を密閉状態にすることにより形成される。蓋部102は、昇降手段(図示せず)によって昇降自在に配設されている。蓋部102が下降して、ベース部101の上面に当接することにより、真空チャンバ103は密閉状態になる。このとき、蓋部102とベース部101との間にはシール部材104が介在しており、これによって、処理室103aの密閉状態が担保される。処理室103aでは、処理対象物109がプラズマ処理される。ベース部101には開口部101a設けられており、開口部101aを塞ぐように、絶縁部材106を介して電極部105が嵌め込まれている。電極部105の上面は、絶縁層107で覆われている。絶縁層107の上面には、処理対象物109を位置決めするためのガイド部材108が配置されている。
ベース部101の開口部101aの周縁には、貫通孔101bが形成されている。貫通孔101bには、管路111が挿入されており、管路111には、ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114および真空計115が接続されている。ガス供給バルブ113および真空バルブ114には、さらにガス供給部116および真空ポンプ117がそれぞれ接続されている。真空バルブ114を開くとともに真空ポンプ117を稼働させることにより、処理室103a内のガスが排出されて、減圧状態になる。処理室103a内の真空度は真空計115によって測定される。一方、ガス供給バルブ113を開けると、プラズマ発生用ガスが、ガス供給部116から処理室103a内に供給される。ガス供給部116は流量調整機能を内蔵しており、処理室103a内に供給されるプラズマ発生用ガスの流量が調整される。ベントバルブ112を開けると、処理室103a内に大気が供給される。
電極部105には、整合器118を介して高周波電源部119が電気的に接続されている。一方、蓋部102は接地部110に接地されている。処理室103a内にプラズマ発生用ガスを供給するとともに高周波電源部119を稼働させると、電極部105と蓋部102との間に高周波電圧が印加される。これにより、処理室103a内にはプラズマが発生する。整合器118は、プラズマを発生させるプラズマ放電回路(図示せず)と高周波電源部119とのインピーダンスを整合させる。ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114、真空計115、ガス供給部116、真空ポンプ117、高周波電源部119は、制御部120内の装置制御部124により制御される。すなわち装置制御部124は、プラズマ処理動作を実行させる通常の動作制御機能を備える。制御部120には、表示部130、入力部140、信号記録部150が接続される。表示部130には、後述する信号解析部121(図3参照)による各異常判定の結果等が示される。入力部140には、プロセスレシピ等が入力される。信号記録部150は、放電検出センサ160により検出された電位の変化を、デジタル信号として記録する。放電検出センサ160は、蓋部102に設けられた開口部102aを覆うように固定されている。
(放電検出センサ)
放電検出センサ160を、図2を参照しながら説明する。
放電検出センサ160は、誘電体部材161およびプローブ電極ユニット162を備える。放電検出センサ160は、支持部材170によって蓋部102の外側(処理室103aとは反対側)に固定されている。誘電体部材161は平板状であって、一方の面は処理室103aに面しており、他方の面はプローブ電極ユニット162を構成するプローブ電極162bに対向している。誘電体部材161の材質は、例えば光学的に透明なガラスである。支持部材170の材質は導電性であれば特に限定されず、例えば金属である。
プローブ電極ユニット162は、誘電体部材161側に配置されたプローブ電極162bと、これに対向するように配置されたシールド電極162cと、これらの間に介在するガラス板162aと、で構成されている。プローブ電極162bと誘電体部材161とは、密着するように支持部材170で固定されている。プローブ電極162bは、検出導線162dを介して、信号記録部150に接続している。シールド電極162cは、プローブ電極ユニット162を外部から電気的にシールドする。プローブ電極162bおよびシールド電極162cは、例えば、ガラス板162aの表面に、ITO(酸化インジウムスズ)の透明な導電性物質をコーティングすることにより形成される。そのため、放電検出センサ160を介して、外部から処理室103aの内部を視認することができる。
処理室103aの内部でプラズマ放電が起こると、プローブ電極162bは、誘電体部材161、および、発生したプラズマPと誘電体部材161との界面に形成されるシース(空間電荷層)Sを介して、プラズマPと電気的に接続される。すなわち、誘電体部材161によって形成されるコンデンサC1と、シースSに相当する容量を備えるコンデンサC2と、プラズマPによる抵抗と、を直列に接続した電気的な回路が形成され、プローブ電極162bにはプラズマPの状態に応じた電位が誘起される。つまり、プローブ電極162bの電位の変化は、プラズマPの状態の変化を表している。信号記録部150は、検出導線162dを介して、プローブ電極162bの電位の変化を受信し、デジタル信号として一時的に記録する。一方、シールド電極162cに生じた電荷は、支持部材170を介して接地された蓋部102に逃がされるため、ノイズは低減される。
(信号記録部)
信号記録部150を、図3を参照しながら説明する。
信号記録部150は、増幅装置(AMP151)とA/D変換器(A/D152)とメモリ153とを備えている。AMP151は、検出導線162dを介して伝達されるプローブ電極162bの電位変化を増幅する。A/D152は、AMP151により増幅された電位変化の信号をA/D変換する。A/D変換された電位変化を示すデジタル信号は、制御部120の書き込み制御に従ってメモリ153に一時的に記録される。メモリ153に一時的に記録されたデジタル信号は、制御部120からのクリア指令に従って消去される。
(制御部)
引き続き図3を参照しながら、制御部120について説明する。
制御部120は、信号解析部121、タイマA122A、タイマB122B、処理時間計測部123および装置制御部124を備える。信号解析部121は、信号記録部150のメモリ153に記録されたデジタル信号を参照および解析して、処理室103a内におけるプラズマ放電の状態を示す指標データを抽出する。信号解析部121がメモリ153のデジタル信号を参照するインターバルは極めて短い時間であるため、指標データは、プラズマ放電の状態をほぼリアルタイムで示す。そのため、不具合発生への適切な対処方法やメンテナンスの要否をリアルタイムに判定することができる。
信号解析部121は、放電開始波検出部1211、第1の異常放電検出部1212、第2の異常放電検出部1213、微小アーク放電検出部1214、および、それぞれの検出部(第1の異常放電検出部1212を除く)に対応する複数のカウンタ(図示せず)を備える。
放電開始波検出部1211は、処理室103a内においてプラズマ放電が正常に開始したことを示す波形W1を検出する。第1の異常放電検出部1212は、処理室103a内において不正常な微小なプラズマ放電(第1の異常放電)が発生していることを示す波形W2を検出する。第2の異常放電検出部1213は、処理室103a内において不正常なプラズマ放電(第2の異常放電)が発生していることを示す波形W3を検出する。微小アーク放電検出部1214は、処理室103a内において微小なアーク放電が発生していることを示す波形W4を検出する。なかでも、波形W2(第1の異常放電)を検出するアルゴリズムが、本実施形態に特徴的である。
第1の異常放電検出部1212を除く各検出部に対応する複数のカウンタは、波形W1、W3およびW4の発生頻度をそれぞれカウントして、カウント値N1、N2、N3を算出する。カウント値N1、N2、N3および第1の異常放電の有無は、プラズマ放電の状態を示す指標データとなり、後述する放電状態監視機能1241によって、リトライ処理、累積プラズマ処理、メンテナンス判定のために参照される。なお、リトライ処理、累積プラズマ処理、メンテナンス判定は、全てが実行される必要はなく、これらのうち1つ以上の処理が実行される。
タイマA122Aには初期監視期間Taが予め設定されており、タイマB122Bには設定処理期間Tbが予め設定されている。初期監視期間Taは、高周波電源部119が作動した後(ON状態)、処理室103a内でプラズマ放電が正常に開始されたか否かを判定するための監視期間である。設定処理期間Tbは、処理対象物に応じて設定されるプラズマ処理の継続期間である。処理時間計測部123は、実際にプラズマ処理が実行された実時間を計測する機能を有しており、高周波電源部119がONされると計時を開始し、高周波電源部119がOFFされると計時を終了もしくは中断する。
(制御装置部)
さらに図3を参照しながら、装置制御部124について説明する。
装置制御部124は、放電状態監視機能1241、処理履歴記憶部1242、リトライ機能1243、累積プラズマ処理機能1244、メンテナンス判定機能1245を備えている。すなわち、装置制御部124は、上記した通常の動作制御機能に加えて、信号解析部121によって抽出された指標データを監視して、処理室103a内のプラズマ放電の状態を判定し、当該プラズマ処理の再設定を行う。指標データの監視は、放電状態監視機能1241によって実行される。プラズマ放電の状態の判定およびプラズマ処理の再設定は、リトライ機能1243、累積プラズマ処理機能1244およびメンテナンス判定機能1245によって実行される。
処理履歴記憶部1242は、メモリ153に一時的に記録された信号データや、カウント値N1、N2、N3などの指標データを、当該プラズマ処理装置100による処理履歴データとして記憶する。これにより、当該プラズマ装置100によって処理が行われた処理対象物109について、詳細な処理履歴データを取得することができ、品質管理や生産管理のためのトレーサビリティが確保される。
(放電状態監視処理)
以下、図4を参照しながら、本実施形態に係るプラズマ処理装置100を用いた放電状態監視処理について説明する。図4は、放電状態監視処理のメインフローを示すフローチャートである。
まず、放電状態監視処理の開始に先立って、初期監視期間Taおよび設定処理期間Tbがそれぞれ、タイマA122AまたはB122Bに設定(初期設定)される。次いで、カウント値N1、N2、N3、N4、N5、N6をリセットするとともに、処理時間計測部123をリセットする。カウント値N4、N5、N6は、メンテナンス判定機能1245、累積プラズマ処理機能1244およびリトライ機能1243に、それぞれ内部機能として設けられているカウンタ(図示せず)によってカウントされる値である。この後、プラズマ処理装置100は待機状態となり、放電状態の監視処理が開始される。
放電状態の監視処理が開始されると、高周波電源部119(RF)がONされる(プラズマ発生工程)。RFのON状態が確認されると(ST1)、メモリ153をONして書き込み可能な状態とするとともに、タイマA122Aによる初期監視期間Taの計時(ST2)と、処理時間計測部123による処理時間計測が開始される。その後、信号記録部150は、放電検出センサ160から受信した電位の変化に応じたデジタル信号の記録を開始する。デジタル信号は、メモリ153に一時的に記憶される。
続いて、信号解析部121によって、メモリ153に一時的に記憶されたデジタル信号(データ)を参照して、プラズマ放電の状態を示す指標データを抽出する以下の処理が実行される。
まず、初期監視期間Taが経過するまでの間、信号解析部121の放電開始波検出部1211によって、波形W1の検出および波形W1のカウントが行われる(ST3)。波形W1の検出のアルゴリズムについては、後述する。その後、初期監視期間Taの経過を確認して(ST4)、波形W1のカウント値N1が1以上であるか否かが判断される(ST5)。カウント値N1<1である場合、プラズマ放電は正常に開始されていないと判断され、後述するリトライ処理に進む(ST20)。
一方、カウント値N1≧1である場合、プラズマ放電が正常に開始されたと判断して、タイマB122Bによる設定処理期間Tbの計時が開始される(ST55)。この後、設定処理期間Tbが経過する(ST8)までの間、第1の異常放電検出部1212による波形W2の検出(ST61)と、第2の異常放電検出部1213による波形W3の検出およびカウント(ST62)と、微小アーク放電検出部1214による波形W4の検出およびカウント(ST63)と、が並行して実行される(ST6)。波形W2〜W4の検出のアルゴリズムについても、後述する。
ST61において波形W2が検出されるか、ST62において波形W3のカウント値N2が予め設定された規定値L2(例えば、L2=1〜3)を超えるか、あるいは、ST63において波形W4のカウント値N3が予め設定された規定値L3(例えば、L3=10〜100)を超える場合、異常放電が許容限度以上の頻度で発生している異常状態にあると判断されて、後述する再処理(累積プラズマ処理)に進む(ST30)。
異常状態が認められない場合、設定処理期間Tbを経過していることを確認し(ST8)、メモリ153の書き込みをOFFし、処理時間計測部123によって計測された処理時間を読み取るとともに、メモリ153に記録されたデジタル信号のデータおよび各カウント値を処理履歴記憶部1242にダウンロードする。次いで、メモリ153の記録内容がクリアされて(ST9)、信号記録部150は放電状態監視処理が実行される前の状態に戻る。最後に、ダウンロードされた処理時間や各データに基づき、後述するメンテナンス判定処理(ST40)が行われる。なお、ST1からST9までは、繰り返して行われる。
次に、図5〜図7を参照しながら、波形W1〜W4を検出するためのアルゴリズムについて説明する。
図5に、放電検出センサ160によって検出される電位変化の典型的な波形パターンを示す。波形パターンには、プラズマ放電の開始および不正常放電(異常放電)の発生が示される。図5は、プラズマ処理装置の運転開始から運転終了に至るまでの過程において検出される複数の波形パターンを示している。図6は、第1の異常放電の典型的な波形W2を拡大して示すグラフである。図7(a)は、放電開始波(波形W1)および第2の放電異常を示す波形W3を検出するためのアルゴリズムを説明するグラフである。図7(b)は、微小アーク放電を示す波形W4を検出するためのアルゴリズムを説明するグラフである。
(放電開始波)
初期監視期間Taでは、電位が正負両側に大きく振れた後に定常値に戻る波形W1を検出する。波形W1は、高周波電源部119から電極部105への電力印加が開始され、処理室103a内にプラズマ放電が発生した際に生じる放電開始波として特有の波形パターンである。波形W1の検出は、放電開始波検出部1211によって行われる。放電開始波検出部1211は、メモリ153に格納された初期監視期間Taにおけるデジタル信号の中で、第1の閾値V1(+)を超えるデジタル信号を波形W1として検出する。具体的には、図7(a)に示すように、放電開始波検出部1211は、初期監視期間Taにおいて、予め設定されたサンプリング時間Δt毎の電圧値をメモリ153から読み取り、v(t)<V1(+)<v(t+Δt)を満たすことが確認されるたびに、対応するカウンタを歩進させる。カウント結果はカウント値N1として装置制御部124に通知される。カウント値N1が規定値L1を下回ると判断されると、リトライ処理(ST20)のために参照される。通常、規定値L1=1である。
(異常放電)
初期監視期間Ta経過後、設定処理期間Tbの経過中においては、異常放電の有無が監視される。異常放電には、処理室103aの内部状態の変化によって生じる微小な電位の変化を伴う放電(第1の異常放電)、電極部105上に載置された処理対象物109と電極部105との間に生じる不正常な放電(第2の異常放電)、および、微小アーク放電等があり、ここではこれらの異常放電が監視の対象となる。以下、各異常放電を検出するために、それぞれ異なるアルゴリズムを用いる場合を説明するが、これに限定されない。例えば、本実施形態の特徴である第1の異常放電を検出するためのアルゴリズムを用いて、第1の異常放電だけでなく、第2の異常放電および微小アーク放電を検出してもよい。
(第1の異常放電)
第1の異常放電とは、処理室103aの内部状態の変化によって生じる微小な電位の変化を伴う放電である。処理室103aの内部状態の変化は、例えば、プラズマ処理が進行することにより生じる。第1の異常放電が生じた際の波形W2は、図6に示すように、電位が正負両側に小さく振れる動きを繰り返した後、定常値に戻るパターンを描く。
波形W2の検出は、第1の異常放電検出部1212によって行われる。第1の異常放電検出部1212は、メモリ153に格納された設定処理期間Tbにおけるデータの中で、最新のサンプリング期間Td(<Tb)における信号の絶対値の平均値が、それ以前の直近のサンプリング期間における信号の絶対値の平均値に対して所定の割合を超えて増減しているデータ群を、波形W2として検出する。ここで、大きな異常放電の前触れとなる微小な放電は、電位の正負両側に小さく振れる動きを繰り返す。そのため、第1の異常放電の検出では、複数のサンプリング期間Tdにおけるデータ群の絶対値の平均値同士を比較する。なお、サンプリング期間Tdは、放電開始波W1を検出するためのアルゴリズムで用いられたサンプリング時間Δtと同じであってもよいし、別に設定されてもよい。
波形W2を検出する処理のフローを図8に示す。
まず、放電状態監視処理の開始に先立って、設定処理期間Tbより短いサンプリング時間Tdが、対応するタイマCに設定(初期設定)される。サンプリング時間Tdには、Ntd1個のデータが含まれる。Ntd1個は、例えば、100〜500程度である。次いで、メモリ153をONして、読み込みおよび書き込み可能な状態とするとともに、タイマCによる第1サンプリング時間Tdの計時が開始される(ST611)。続いて、第1サンプリング時間Tdの経過を確認して(ST612)、メモリ153に一時的に記憶されたデータを読み出す(ST613(i))。
ST613では、さらに、読み出されたNtd1個のデータを絶対値に変換し(ST613(ii))、絶対値の大きい順に並び変える。絶対値の大きい方からNtd2個取り除いて、ノイズを除去する(ST613(iii))。Ntd2個は、例えば、Ntd1個の5〜10%程度である。次に、残りのデータ群の絶対値の第1平均値(Vtave)を算出する(ST613(iv))。算出された第1平均値(Vtave)は、メモリ153に書き込まれる。
第1サンプリング時間Tdが経過すると、タイマCは、すぐに第2サンプリング時間Tdの計時を開始する。そして、第2サンプリング時間Tdの経過が確認されると、上記ST613(i)〜(iv)が再び行われ、算出された第2平均値が、メモリ153に書き込まれる。第2サンプリング時間Tdの経過以降も同様にして、順次、第N(N≧2)サンプリング時間Tdまで、サンプリング時間Tdごとの平均値が算出され、記録されていく。
このようにして算出された最新の第N(N≧2)サンプリング時間Tdにおける第N平均値Vtaveと、第N−1サンプリング時間TdN−1における第N−1平均値Vtaveold1とを比較し、増減率が許容値Rより大きいか否か、すなわち、下記式(1−1)あるいは(1−2)を満たすか否かを確認する(ST614)。式(1−1)は、第Nサンプリング時間Tdにおける平均値Vtaveが、第N−1サンプリング時間TdN−1における平均値Vtaveold1より増加する場合に対応し、式(1−2)は、第Nサンプリング時間Tdにおける平均値Vtaveが、第N−1サンプリング時間TdN−1における平均値Vtaveold1より減少する場合に対応する。
式(1−1):Vtave>Vtaveold1×R
式(1−2):Vtaveold1>Vtave×R
そして、式(1−1)あるいは(1−2)のいずれかを満たすことが確認されると、異常放電エラー有りと判断され、図4に示すメインフローにおける累積プラズマ処理(ST30)が行われる。許容値Rは、プラズマ処理条件等に応じて適宜設定でき、例えば、1〜5である。
一方、式(1−1)および(1−2)を満たさない場合、算出された第Nサンプリング時間Tdにおける平均値Vtaveと、さらに遡った第N−2サンプリング時間TdN−2における平均値Vtaveold2とを比較し、増減率が許容値Rより大きいか否か、すなわち、下記式(2−1)あるいは(2−2)を満たすか否かを確認する(ST615)。式(2−1)あるいは(2−2)を満たすことが確認されると、異常放電エラー有りと判断され、図4に示すメインフローにおける累積プラズマ処理(ST30)が行われる。
式(2−1):Vtave>Vtaveold2×R
式(2−2):Vtaveold2>Vtave×R
さらに、式(2−1)および(2−2)を満たさない場合、算出された第Nサンプリング時間Tdにおける平均値Vtaveと、さらに遡った第N−3サンプリング時間TdN−3における平均値Vtaveold3とを比較し、増減率が許容値Rより大きいか否か、すなわち、下記式(3−1)あるいは(3−2)を満たすか否かを確認する(ST616)。式(3−1)あるいは(3−2)を満たすことが確認されると、異常放電エラー有りと判断され、図4に示すメインフローにおける累積プラズマ処理(ST30)が行われる。
式(3−1):Vtave>Vtaveold3×R
式(3−2):Vtaveold3>Vtave×R
一方、式(3−1)および(3−2)を満たさない場合、異常放電エラー無しと判断され、平均値Vtaveold2を平均値Vtaveold3、平均値Vtaveold1を平均値Vtaveold2、平均値Vtaveを平均値Vtaveold1にそれぞれ書き換えて(ST617)、タイマCをリセットする(ST618)。そして、図4に示すメインフローのST8において、設定処理期間Tbが経過したかどうかの確認が行われる。設定処理時間Tbが経過していない場合には、再び図8に示すステップST612に戻り、第1の異常放電検出を引き続き行う。
なお、ここでは、電位の増減率を順次、第N−3(n=3)サンプリング時間TdN−3にまで遡って比較し、増減率が許容値Rを超えた時点で、累積プラズマ処理(ST30)に進むとしているが、これに限定されない。例えば、最新の第Nサンプリング時間TdN−1におけるデータ群の平均値は、その直前の第N−1サンプリング時間TdN−1における平均値とのみ比較してもよい。ただし、複数回遡った電位の平均値と順次比較することにより、電位が徐々に増加あるいは減少するような波形W2を検出することが可能となる。また、第N−4サンプリング時間TdN−4以上(n≧4)に遡って、順次、電位の平均値を比較してもよい。ただし、検出処理の速度等を考慮すると、比較する対象は、第N−2から第N−5サンプリング時間Td(2≦N≦6、1≦n≦5)において取得されたデータ群であるのが好ましい。さらに、後述する第2の異常放電と同様に、増減率が許容値Rを超える回数をカウントし、一定のカウント値を超える場合に、そのカウント値をプラズマ放電の状態を示す指標データとして、累積プラズマ処理(ST30)のために参照してもよい。
(第2の異常放電)
第2の異常放電とは、電極部105上に載置された処理対象物109と電極部105との間に生じる不正常な放電であり、処理対象物109と絶縁層107との間に隙間が生じている場合などに生じる。第2の異常放電が生じた際の波形W3は、図5に示すように、波形W1と同様に電位が正負両側に大きく振れた後、定常値に戻るパターンを描く。
第2の異常放電(波形W3)の検出処理(ST62)のフローを図9に示す。波形W3の検出処理ST62は、第2の異常放電検出部1213によって行われる。第2の異常放電検出部1213は、メモリ153に格納された設定処理期間Tbにおけるデジタル信号の中に、第1の閾値V1(+)を超えるデジタル信号がある場合に、波形W3として検出する。
具体的には、第2の異常放電検出部1213は、設定処理期間Tbにおいて、予め設定されたサンプリング時間Δt毎の電圧値をメモリ153から読み取り、v(t)<V1(+)<v(t+Δt)(図7(a)参照)を満たすか否かを確認する。上記式を満たす場合、対応するカウンタのカウント値N2に1を加算する更新処理が行われる(ST621)。更新されたカウント値N2が規定値L2以上の場合、異常放電エラー有りと判断され、図4に示すメインフローの累積プラズマ処理(ST30)が行われる。一方、カウント値N2が規定値L2より小さい場合、異常放電エラー無しと判断され、図4に示すメインフローのステップST8において、設定処理期間Tbが経過したかどうかの確認が行われる。設定処理時間Tbが経過していない場合には、再び図4に示すステップST62に戻り、第2の異常放電検出を引き続き行う。
(微小アーク放電)
微小アーク放電とは、処理室103a内において電極部105等の高周波電圧が印加される部分と、接地されたベース部101との間に生じる微小な放電である。微小アーク放電は、ベース部101の開口部101a、ガイド部材108等の絶縁性が低下することにより生じる。絶縁性の低下は、プラズマ処理によって発生した異物が付着し、堆積することによって生じる。特に、ガイド部材108の側面や開口部101aの内側面等、プラズマによる付着異物の再除去効果が及びにくい部分には、プラズマ処理によって処理対象物109から除去された樹脂や金属の微細粒子が付着し、堆積しやすい。その結果、これらの部位の絶縁性が低下して、接地されたベース部材1との間で微小アーク放電が発生する。微小アーク放電が生じた際の波形W4は、図5に示すように、電位が負側(放電特性によっては正側)に小さく振れた後、定常値に戻るパターンを描く。
微小アーク放電(波形W4)の検出処理(ST63)のフローを図10に示す。微小アーク放電は、微小アーク放電検出部1214によって検出される。微小アーク放電検出部1214は、メモリ153に格納された設定処理期間Tbにおけるデジタル信号の中に、第1の閾値V1(+)よりも小さい絶対値で負電圧側に設定される第2の閾値V2(−)より小さいデジタル信号がある場合に、波形W4として検出する。
具体的には、微小アーク放電検出部1214は、設定処理期間Tbにおいて、予め設定されたサンプリング時間Δt毎の電圧値をメモリ153から読み取り、v(t)>V2(−)>v(t+Δt)(図7(b)参照)を満たすか否かを確認する。上記式を満たすことが確認されると、対応するカウンタのカウント値N3に1を加算する更新処理が行われる(ST631)。更新されたカウント値N3が規定値L3以上の場合、異常放電エラー有りと判断され、図4に示すメインフローの累積プラズマ処理(ST30)が行われる。一方、カウント値N3が規定値L3より小さい場合、異常放電エラー無しと判断され、図4に示すメインフローのステップST8において、設定処理期間Tbが経過したかどうかの確認が行われる。設定処理時間Tbが経過していない場合には、再び図4に示すステップST63に戻り、微小アーク放電検出を引き続き行う。
ここで、第1の閾値V1の絶対値は、第2の閾値V2の絶対値よりも大きい。そのため、微小アーク放電検出部1214では、微小アーク放電に伴う波形W4だけでなく、第2の異常放電に伴う波形W3も併せて検出される。しかし、波形W3は設定処理期間Tb内で数回程度の検出頻度で生じるのに対し、波形W4は1秒あたり100回程度の検出頻度で生じる。したがって、微小アーク放電検出部1214により波形W3が混在して検出されても、波形W4の検出頻度は大きく影響されず、実際上の問題となることはない。言い換えれば、波形W4の検出の際に、波形W3を区別しない単純なアルゴリズムを用いるため、波形W4の検出処理に要する時間が短くなって、リアルタイムで波形を検出することが可能となる。
(リトライ処理)
リトライ処理(ST20)について、図11を参照しながら説明する。リトライ処理は、プラズマ放電が正常に開始しない場合(通常、波形W1が1回以上カウントされない(N1=0)場合)に行われる処理であり、リトライ機能1243によって、放電開始動作を反復実行するか否かが判定される。
リトライ処理では、RFを一旦OFFにした後(ST21)、リトライ判定回数のカウント値N5に1を加算する更新処理が行われる(ST22)。次いで、カウント値N5が、予め設定された上限値L5を超えているか否かが判断される(ST23)。上限値L5は、例えば1〜5回の範囲内で適宜設定される。カウント値N5が上限値L5を超えていない場合、カウント値N1および処理時間計測部123をリセットする(ST24)。その後、再度、RFをONにし(ST25)、メインフローの(1)に復帰して、以降の処理を実行する。
一方、カウント値N5が上限値L5を超えている場合、異常放電状態であると判断する。この場合、メモリ153に記録されたデジタル信号のデータやカウント値N1などを履歴データとして処理履歴記憶部1242に保存する(ST26)。次いで、メモリ153の記憶内容をクリアした後(ST27)、例えば表示部130に、無放電エラーを表示する(ST28)。このエラー表示を確認したオペレータは、当該プラズマ処理装置100に対して、必要な処置を行う。
(累積プラズマ処理)
再処理(累積プラズマ処理)について、図12を参照しながら説明する。累積プラズマ処理は、プラズマ放電が正常に開始された後、異常放電が検出された場合に行われる処理であり、累積プラズマ処理機能1244によって、同一の処理対象物109に対するプラズマ処理を再開するか否かが判定される。
累積プラズマ処理では、RFを一旦OFFにした後(ST31)、累積プラズマ判定回数のカウント値N6に1を加算する更新処理が行われる(ST32)。次いで、カウント値N6が、予め設定された上限値L6を超えているか否かが判断される(ST33)。上限値L6は、例えば1〜5回の範囲内で適宜設定される。カウント値N6が上限値L6を超えていない場合、カウント値N2およびN3をリセットした後(ST34)、設定処理期間Tbを再設定する(ST35)。ST35では、処理時間計測部123に記録されている処理時間と既設定の設定処理期間Tbとから、当該処理対象物109に対する未処理時間を算出し、この未処理時間に基づいて設定処理期間Tbが新たに設定される。その後、再度、RFをONにし(ST36)、メインフローの(1)に復帰して、以降の処理を実行する。これにより、予め設定された適正な処理時間が確保される。なお、設定処理期間Tbの再設定(ST35)は任意のステップであり、ステップST35を行うか否かの基準を予め設定しておいてもよい。例えば、処理時間を厳密に指定する必要がある場合、設定処理期間Tbの再設定を行い、実質的な処理時間が長くなっても品質に影響がない場合には、設定処理期間Tbを再設定しなくてもよい。
一方、カウント値N6が上限値L6を超えている場合、異常放電状態であると判断する。この場合、メモリ153に記録されたデジタル信号のデータやカウント値N2およびN3などを履歴データとして処理履歴記憶部1242に保存する(ST37)。次いで、メモリ153の記憶内容をクリアした後(ST38)、例えば表示部130に、異常放電警告を表示する(ST39)。この異常放電警告を確認したオペレータは、当該プラズマ処理装置に対して、必要な処置を行う。
(メンテナンス判定処理)
メンテナンス判定処理(ST40)について、図13を参照しながら説明する。メンテナンス判定処理では、メンテナンス判定機能1245によって、処理室103a内の異物の付着および堆積に対する対策の要否が判定される。
メンテナンス判定処理では、まず、微小アーク放電の発生回数を示すカウント値N3を、設定処理期間Tbで除して、単位時間あたりの微小アーク放電の発生頻度(カウント値N4)を演算する(ST41)。次に、演算されたカウント値N4を、予め定められた上限値L4と比較することにより、メンテナンスの要否を判断する(ST42)。上限値L4は、例えば100/秒程度である。カウント値N4が上限値L4を超えている場合、例えば表示部130に、処理室103aの内部の清掃や蓋部102の交換など、異物の付着および堆積に対する対策が必要である旨を示すメンテナンス警告を表示する(ST43)。このメンテナンス警告を確認したオペレータは、当該プラズマ処理装置に対して、メンテナンスを行う。
本発明のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法によれば、プラズマ放電のわずかな異常を検出することができるため、基板などを処理対象物とするプラズマクリーニング等に特に有用である。
100:プラズマ処理装置
101:ベース部
101a:開口部
101b:貫通孔
102:蓋部
102a:開口部
103:真空チャンバ
103a:処理室
104:シール部材
105:電極部
106:絶縁部材
107:絶縁層
108:ガイド部材
109:処理対象物
110:接地部
111:管路
112:ベントバルブ
113:ガス供給バルブ
114:真空バルブ
115:真空計
116:ガス供給部
117:真空ポンプ
118:整合器
119:高周波電源部
120:制御部
121:信号解析部
1211:放電開始波検出部
1212:第1の異常放電検出部
1213:第2の異常放電検出部
1214:微小アーク放電検出部
122A:タイマA
122B:タイマB
123:処理時間計測部
124:装置制御部
1241:放電状態監視機能
1242:処理履歴記憶部
1243:リトライ機能
1244:累積プラズマ処理機能
1245:メンテナンス判定機能
130:表示部
140:入力部
150:信号記録部
151:AMP
152:A/D
153:メモリ
160:放電検出センサ
161:誘電体部材
162:プローブ電極ユニット
162a:ガラス板、162b:プローブ電極、162c:シールド電極
170:支持部材

Claims (6)

  1. 処理室と、
    前記処理室に設けられる電極部と、
    前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、を備え、
    前記電極部に処理対象物を載置して、前記処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置であって、
    さらに、
    前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態に応じた電位が誘起されるプローブ電極を備え、前記プローブ電極の電位を検出する放電検出センサと、
    前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備え、
    前記信号解析部は、
    プラズマ処理の開始後、所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返すとともに、
    算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較し、
    前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する第1の異常判定機能を備え、
    前記nが1〜3であり、
    前記信号解析部は、
    前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理装置。
  2. 前記信号解析部は、さらに、前記電位の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する第2の異常判定機能を備える、請求項に記載のプラズマ処理装置。
  3. 処理室と、
    前記処理室に設けられる電極部と、
    前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、を備え、
    前記電極部に処理対象物を載置して、前記処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置であって、
    さらに、
    前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態を、電位として検出する放電検出センサと、
    前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備え、
    前記信号解析部は、
    プラズマ処理の開始後、所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返すとともに、
    算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較し、
    前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する第1の異常判定機能を備え、
    前記nが1〜3であり、
    前記信号解析部は、
    前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理装置。
  4. 処理室と、
    前記処理室に設けられる電極部と、
    前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、
    前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態に応じた電位が誘起されるプローブ電極を備え、前記プローブ電極の電位を検出する放電検出センサと、
    前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記電極部に載置された処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理方法であって、
    前記処理室内で前記プラズマを発生させるプラズマ発生工程と、
    前記プラズマ発生工程の後、前記信号解析部が、異常放電が発生したかどうかを判定する第1の異常判定工程と、を備え、
    前記第1の異常判定工程が、
    所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返す工程と、
    算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較する工程と、
    前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する工程と、を備え、
    前記nが1〜3であり、
    前記第1の異常判定工程において、前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理方法。
  5. 前記プラズマ発生工程の後、前記信号解析部が、前記電位の絶対値が所定の閾値を超えた場合に異常放電が発生したと判断する、第2の異常判定工程を備える、請求項に記載のプラズマ処理方法。
  6. 処理室と、
    前記処理室に設けられる電極部と、
    前記電極部に高周波電力を印加することにより、前記処理室内でプラズマを発生させる高周波電源部と、
    前記処理室内で発生するプラズマ放電の状態を、電位として検出する放電検出センサと、
    前記放電検出センサで検出された前記電位を信号として取得し、解析する信号解析部と、を備えるプラズマ処理装置を用いて、前記電極部に載置された処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理方法であって、
    前記処理室内で前記プラズマを発生させるプラズマ発生工程と、
    前記プラズマ発生工程の後、前記信号解析部が、異常放電が発生したかどうかを判定する第1の異常判定工程と、を備え、
    前記第1の異常判定工程が、
    所定のサンプリング期間内における前記信号の絶対値の平均値を算出し、記憶するステップを順次繰り返す工程と、
    算出された最新の第N(N≧2)サンプリング期間の前記絶対値の第N平均値と、前記第Nサンプリング期間以前の直近の第N−n(1≦n<N)サンプリング期間の前記絶対値の第N−n平均値と、を比較する工程と、
    前記第N−n平均値に対する前記第N平均値の増減率が所定の割合を超えた場合に、異常放電が発生したと判断する工程と、を備え
    前記nが1〜3であり、
    前記第1の異常判定工程において、前記第N平均値と、第N−1平均値、第N−2平均値および第N−3平均値とを、順次比較する、プラズマ処理方法。
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