JP6731145B2 - 帯電ローラおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
またトナーには、当該トナーの流動性や帯電性その他の特性を調整するために、シリカや酸化チタン等のサブミクロンオーダーの微小粒子を、外添剤として外添するのが一般的である。
そして画像形成を繰り返すうちに、除去しきれなかった外添剤等が感光体の表面と常時接触している帯電ローラの外周面に付着して徐々に蓄積されて、感光体の帯電ムラを生じたり形成画像に付着したりして、濃度ムラなどの画像不良の原因になるという問題がある。
かかる構成によれば、上記のように外層にフッ素樹脂を含ませることで当該外層の外周面、すなわち帯電ローラの外周面の表面自由エネルギーを小さくして、外添剤等の付着をある程度は抑制できる。
すなわち特許文献1では、外層は主として、前述した各成分を任意の有機溶剤に溶解、および分散させたコーティング剤を、帯電ローラの外周面に直接に塗布したのち乾燥させる等して形成され、フッ素樹脂とともにアクリル樹脂やフッ素変性アクリレートを併用しない場合には、上記コーティング剤の表面自由エネルギーが小さくなりすぎる傾向がある。
本発明の目的は、外添剤等の付着による画像不良が発生するのを現状よりも良好に抑制できる帯電ローラとその製造方法を提供することにある。
図1(a)(b)を参照して、この例の帯電ローラ1は、半導電性ゴム組成物の多孔質体によって筒状に形成された内層2の外周面3に、THVからなり半導電性が付与された継ぎ目のないチューブ4からなる外層5が積層されてなるものである。内層2の中心の通孔6にはシャフト7が挿通されて固定されている。
そのため、外周面にコーティング剤を直接に塗布して形成される従来の外層のようにアクリル樹脂やフッ素変性アクリレート等を併用しなくても厚みの均一な外層5を形成できる。
しかもTHVは、通常のフッ素樹脂よりも融点が低く、カーボンブラック等の電子導電性導電剤(導電性フィラー)との混練性に優れるため、当該THVと電子導電性導電剤とを例えばTHVの軟化温度以上に加熱した状態で混練したのち、上述した各種の成形法等によってチューブ4を製造することにより、従来のコーティング剤からなる外層のようにアクリル樹脂やフッ素変性アクリレート等を併用しなくても、上記電子導電性導電剤が均一に分散された外層5を形成できる。
その上、THVは通常のフッ素樹脂よりも柔軟であるため、帯電ローラ1の全体でのゴム硬さを現状よりも小さくできる。
なお上記の効果をより一層向上するとともに、特にブリードによる感光体やその他の部材の汚染をできるだけ防止すること等を考慮すると、外層5のもとになるチューブ4はTHVと電子導電性導電剤のみ(2種以上のTHVおよび/または2種以上の電子導電性導電剤を併用する場合を含む)で形成して、例えば可塑剤や加工助剤、イオン導電性導電剤等の、ブリードして汚染源となる成分を含まないことが好ましい。
すなわち帯電ローラ1は、外周面8に、感光体の表面を帯電させるための放電の起点となる、適度な数および大きさの突起を有していることが求められるが、輪郭曲線の算術平均粗さRaが上記の範囲未満である外周面8は平滑すぎて適度な突起を有しえないため、帯電ローラ1として機能させて感光体の表面を均一に帯電させて、形成画像の画質を安定させることができない。
これに対し外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaを上記の範囲とすることで当該外周面8に適度な突起を設けて、外添剤の付着、蓄積を極力抑制しながら、なおかつ感光体の表面を均一に帯電させることができ、濃度ムラなどの画像不良が発生するのを抑制して形成画像の画質を安定させることができる。
輪郭曲線の算術平均粗さRaを上記の範囲に調整するための方法は特に限定されない。例えば従来から行われている湿式研磨等の研磨加工や、あるいはレーザー加工、さらには所定の算術平均粗さRaとした型面形状を熱転写する熱転写加工等の少なくとも1種を採用できる。
アスカーC型硬さがこの範囲未満では、例えば帯電ローラ1を感光体の表面に圧接させて変形させた状態で画像形成装置を一定時間に亘って停止させたのち再び動作させた際に、上記帯電ローラ1の、感光体に圧接させていた箇所が変形したまま元に戻らないいわゆるヘタリを生じるおそれがある。
これに対し、帯電ローラ1の全体でのアスカーC型硬さを上記の範囲とすることにより、上記ヘタリが生じるのをできるだけ抑制しながら当該帯電ローラ1に適度な柔軟性を付与して、感光体と当接させた際に適度なニップ幅を有する好適な放電領域を確保でき、濃度ムラなどの画像不良が発生するのを抑制して形成画像の画質を安定させることができる。
ちなみに帯電ローラ1の全体でのアスカーC型硬さを、本発明では、日本工業規格JIS K7312−1996「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」の付属書2において援用する(社)日本ゴム協会標準規格SRIS0101「膨張ゴムの物理試験方法」に準拠したタイプC硬さ試験機(例えば高分子計器(株)製のアスカーゴム硬度計C型等)を用いて、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
〈帯電ローラの製造方法〉
図2(a)〜(c)を参照して、この例の製造方法では、外層5のもとになる、THVからなり半導電性が付与された継ぎ目のないチューブ4と、あらかじめ中心の通孔6にシャフト7が挿通されて固定された、外径D1がチューブ4の内径D2よりも大きい内層2とを用意し、上記チューブ4内に上記内層2を圧入する。
チューブ4の厚みTは100μm以上、300μm以下に限定される。
内層2の外径D1とチューブ4の内径D2との差D1−D2で表される、内層2に対する外層5の締め代によっても異なるものの、チューブ4の厚みTが上記の範囲未満では、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さが前述した20°未満となって、ヘタリを生じやすくなる。また外層5が、比較的短期間で摩耗して失われたりもしやすくなる。
これに対し、チューブ4の厚みTを上記の範囲とすることにより、上記ヘタリが生じるのをできるだけ抑制しながら、帯電ローラ1に適度な柔軟性を付与して、感光体と当接させた際に適度なニップ幅を有する好適な放電領域を確保でき、感光体の表面を均一に帯電させて、濃度ムラなどの画像不良が発生するのを抑制して形成画像の画質を安定させることができる。
締め代がこの範囲未満では、外層5による内層2の締め付け力が十分に得られないため、当該内層2に対して外層5がずれたりしやすくなる。
これに対し、締め代を上記の範囲とすることにより、画像形成時に外層5がずれたりするのをできるだけ抑制しながら、帯電ローラ1に適度な柔軟性を付与して、感光体と当接させた際に適度なニップ幅を有する好適な放電領域を確保でき、感光体の表面を均一に帯電させて、濃度ムラなどの画像不良が発生するのを抑制して形成画像の画質を安定させることができる。
内層2は、半導電性を有する種々のゴム組成物によって形成できる。ただし内層2は、エチレンプロピレン系ゴム、およびパラフィン系オイルを含む半導電性ゴム組成物によって形成するのが好ましい。
互いに親和性、相溶性に優れた上記両成分を併用することにより、半導電性ゴム組成物の溶融粘度を低下させて発泡性を向上した状態で発泡、架橋できるため、内層2の発泡倍率を高めて、当該内層2の柔軟性を現状よりも向上できる。
そのため上記内層2を外層5と組み合わせることにより、感光体やその他の部材の汚染を生じることなしに、全体でのアスカーC型硬さが40°以下の範囲を満足する、柔軟な帯電ローラ1を形成できる。
内層2のもとになるエチレンプロピレン系ゴムとしては、エチレンとプロピレンの共重合体であるエチレンプロピレンゴム(EPM)、およびエチレンとプロピレンとジエンの共重合体であるエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)がいずれも使用可能であり、特にEPDMが好ましい。
このうちジエンがENBであるEPDMとしては、例えば住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM 501A〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):44、エチレン含量:52%、ジエン含量:4.0%〕、505A〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):47、エチレン含量:50%、ジエン含量:9.5%〕等の少なくとも1種が挙げられる。またジエンがDCDPであるEPDMとしては、例えば住友化学(株)製のエスプレンEPDM 301A〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):44、エチレン含量:50%、ジエン含量:5.0%〕、301〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):55、エチレン含量:62%、ジエン含量:3.0%〕、305〔ムーニー粘度ML1+4(100℃):60、エチレン含量:60%、ジエン含量:7.5%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
EPDMとしては、上記例示の1種または2種以上が挙げられる。
(その他のゴム)
エチレンプロピレン系ゴム、パラフィン系オイル、およびTHVを組み合わせることによる、先に説明した効果をより一層向上すること考慮すると、内層2を形成するゴムとしては、エチレンプロピレン系ゴムのみを単独(2種以上のエチレンプロピレン系ゴムを併用する場合を含む)で用いるのが好ましい。
かかる他のゴムとしては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の1種または2種以上が挙げられる。
他のゴムの配合割合は、ゴムの総量100質量部中の20質量部以下、特に10質量部以下であるのが好ましい。
パラフィン系オイルとしては、エチレンプロピレン系ゴムと良好な相溶性を有する種々のパラフィン系オイルが使用可能である。
パラフィン系オイルとしては、例えば出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPWシリーズの各種パラフィン系オイル等の1種または2種以上が挙げられる。
パラフィン系オイルの配合割合がこの範囲未満では、当該パラフィン系オイルを配合することによる、前述した、半導電性ゴム組成物の溶融粘度を低下させて発泡性を向上し、それによって発泡体の発泡倍率を高めて内層2、ひいては帯電ローラ1の柔軟性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。すなわち帯電ローラ1に、全体のアスカーC型硬さが40°以下の範囲を満足する高い柔軟性を付与できないおそれがある。
これに対し、パラフィ系オイルの配合割合を上記の範囲とすることにより、帯電ローラ1の半導電性の低下や外層5のずれ等が生じるのを抑制しながら、半導電性ゴム組成物の発泡性を向上し、発泡倍率を高めて内層2の柔軟性を向上して、帯電ローラ1に、全体のアスカーC型硬さが40°以下の範囲を満足する柔軟性を付与できる。
また前述したように伸展油がパラフィン系オイルである油展EPDMを使用する場合には、EPDM100質量部あたりの油展量が上記の範囲である油展EPDMを選択して使用すればよい。
内層2のもとになる半導電性ゴム組成物は、上記エチレンプロピレン系ゴムを少なくとも含むゴム、およびパラフィン系オイルに、上記ゴムを架橋させるための架橋成分、内層2を多孔質構造とするべく発泡させるための発泡成分、および内層2に半導電性を付与するための導電剤等を所定の割合で配合して調製できる。
架橋成分としては架橋剤、促進剤が挙げられる。
このうち架橋剤としては、例えば硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物系架橋剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。
また硫黄系架橋剤としては、例えば粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄や、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物などが挙げられる。
さらに過酸化物架橋剤としては、例えばベンゾイルペルオキシド等が挙げられる。
エチレンプロピレン系ゴムがEPDMである場合、架橋剤としては硫黄が好ましい。
なお、例えば硫黄としてオイル処理粉末硫黄、分散性硫黄等を使用する場合、上記の配合割合は、それぞれの中に含まれる有効成分としての硫黄自体の割合とする。
促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤、あるいは有機促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
個々の促進剤の配合割合は種類によって任意に設定できるが、通常は個別に、ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
(発泡成分)
発泡成分としては、加熱によって分解してガスを発生する種々の発泡剤が使用可能である。
発泡剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、8質量部以下であるのが好ましい。
一方、発泡剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、内層2の発泡倍率が高くなりすぎ、帯電ローラ1の全体でのアスカーC型硬さが20°未満になってヘタリを生じやすくなるおそれがある。
発泡助剤の配合割合は、組み合わせる発泡剤の種類等に応じて任意に設定できるが、ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
導電剤としては、電子導電性導電剤および/またはイオン導電性導電剤が挙げられ、特に電子導電性導電剤が好ましい。
電子導電性導電剤としては、例えば電子導電性を有する各種のカーボンブラック、グラファイト、金属粉や金属繊維、導電性金属酸化物等の1種または2種以上が挙げられる。特にカーボンブラックが好ましい。
電子導電性導電剤の配合割合がこの範囲未満では、内層2の抵抗値が高くなりすぎて、帯電ローラ1の全体に十分な半導電性を付与できない。
一方、電子導電性導電剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、たとえパラフィン系オイルを配合したとしても内層2、ひいては帯電ローラ1が硬くなって、当該帯電ローラ1に、全体のアスカーC型硬さが40°以下の範囲を満足する高い柔軟性を付与できないおそれがある。
半導電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば架橋助剤、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。
このうち架橋助剤としては、例えば酸化亜鉛等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。特に酸化亜鉛とステアリン酸を併用するのが好ましい。
充填剤としては、例えば酸化亜鉛、シリカ、補強用のカーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
充填剤の配合割合は、ゴムの総量100質量部あたり20質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下であるのが好ましい。
(半導電性ゴム組成物)
以上で説明した各成分を含む半導電性ゴム組成物は、従来同様に調製できる。
混練には、例えばインターミックス、バンバリミキサ、ニーダ、押出機等の密閉式の混練機や、あるいはオープンロール等を用いることができる。
内層2を作製するには、まず上記半導電性ゴム組成物を、押出成形機を用いて筒状に押出成形し、次いで所定の長さにカットして加硫缶内で加圧、加熱して発泡および架橋させる。
次いで発泡、架橋させた筒状体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却したのち所定の外径D1となるように研磨する。
シャフト7は、例えば鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。
シャフト7は、筒状体のカット後から内層2をチューブ4に圧入後までの任意の時点で、通孔6に挿通して固定できる。
これにより、二次架橋時の膨張収縮による内層2の反りや変形を防止できる。また、シャフト7を中心として回転させながら研磨することで当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面3のフレを抑制できる。さらに、内層2をチューブ4に圧入する際の作業性を向上できる。
前者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、当該シャフト7が内層2に電気的に接合されるとともに機械的に固定される。
〈外層5〉
外層5は、先に説明したようにTHVからなり半導電性が付与された継ぎ目のないチューブ4からなる。
チューブ4は、上記THVに電子導電性導電剤等を所定の割合で配合した樹脂組成物を、前述したように押出成形法やトランスファー成形法、あるいは射出成形法等の各種成形法によって、所定の厚みT、および内径D2を有する筒状に成形して作製される。
THVとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびビニリデンフロライドの三種の単量体を任意の割合で共重合させた種々の三元共重合体がいずれも使用可能である。
かかるTHVとしては、例えばスリーエムジャパン(株)製のDYNEON(登録商標)シリーズの各種グレードの熱可塑性フッ素樹脂THVの少なくとも1種が挙げられる。
チューブ4に半導電性を付与するための導電剤としては、前述したように感光体やその他の部材の汚染をできるだけ防止すること等を考慮すると電子導電性導電剤が好ましい。
また電子導電性導電剤としては、前述した電子導電性を有する各種のカーボンブラックやグラファイトの他、カーボンナノチューブ等の炭素フィブリルなどが挙げられる。これら電子導電性導電剤の1種または2種以上が使用可能である。
電子導電性導電剤の配合割合は、THV100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、15質量部以下であるのが好ましい。
電子導電性導電剤の配合割合がこの範囲未満では、チューブ4に適度の半導電性を付与できないおそれがある。
(その他の成分)
前述したようにチューブ4は、ブリードによる感光体やその他の部材の汚染をできるだけ防止すること等を考慮すると、上記THVと電子導電性導電剤のみで形成して、例えば可塑剤や加工助剤、イオン導電性導電剤等の、ブリードして汚染源となる成分を含まないことが好ましい。
上記各部を備えた帯電ローラ1は、例えばレーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した種々の画像形成装置に組み込んで使用できる。
(内層2)
ゴムとしては、エチレンプロピレン系ゴムのうちEPDM〔住友化学(株)製のエスプレンEPDM 505A、非油展、ムーニー粘度ML1+4(100℃):47、エチレン含量:50%、ジエン含量:9.5%〕を用いた。
上記EPDM100質量部を、バンバリミキサを用いて素練りしながらパラフィン系オイル70質量部、および下記表1に示す成分のうち架橋成分、発泡成分以外を加えて混練したのち架橋成分、発泡成分を加えてさらに混練して、内層2のもとになる半導電性ゴム組成物を調製した。
充填剤:重質炭酸カルシウム、白石カルシウム(株)製のBF−300
架橋助剤I:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
架橋助剤II:ビーズステアリン酸、日油(株)製の商品名つばき
電子導電性導電剤:カーボンブラックISAF、東海カーボン(株)製のシースト6
発泡剤:ADCA、永和化成工業(株)製のビニホールAC#3
発泡助剤:尿素系、永和化成工業(株)製のセルペースト101
架橋剤:5%オイル入り硫黄、鶴見化学工業(株)製(有効成分としての硫黄自体の質量部はEPDM100質量部あたり1.5質量部)
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド、チウラム系促進剤、三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)TS
促進剤MBTS:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、チアゾール系促進剤、Shandong Sunsine Chemical Co.Ltd.製のSUNSINE MBTS
上記半導電性ゴム組成物を押出成形機に供給して外径φ15mm、内径φ6.5mmの筒状に押出成形し、架橋用の仮のシャフトに装着して加硫缶内で160℃×1時間架橋、および発泡させた。
(外層5)
THVとしては、スリーエムジャパン(株)製のDYNEON THV221GZを用い、電子導電性導電剤としては、デンカ(株)製のデンカブラック(登録商標)を用いた。
そして上記チューブ4内に上記内層2を圧入したのち両端をカットして、上記内層2の外周に上記チューブ4からなる外層5を形成し、さらにその外周面8を#2000のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム(登録商標)〕を用いた鏡面研磨によって粗面化して帯電ローラ1を製造した。
また外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaを、レーザー顕微鏡〔(株)キーエンス製のVX−100〕を用いて測定した結果から、前述した規定に則って求めたところ1μmであった。
チューブ4の厚みTを195μmとしたこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは31°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは1μmであった。
チューブ4の厚みTを290μmとしたこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは38°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは1μmであった。
チューブ4の厚みTを420μmとしたこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは48°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは1μmであった。
外周面8を#1500のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム〕を用いた鏡面研磨によって粗面化したこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは25°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは1.4μmであった。
外周面8を#3000のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム〕を用いた鏡面研磨によって粗面化したこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは25°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは0.32μmであった。
チューブ4の厚みTを195μmとし、なおかつ外周面8を#4000のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム〕を用いた鏡面研磨によって粗面化したこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは31°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは0.1μmであった。
THVに代えてポリエステルエラストマー〔東レ・デュポン(株)製のハイトレル(登録商標)5557〕を用い、当該ポリエステルエラストマー100質量部に、デンカブラック10質量部を加えて混練したのち、実施例1と同様にして、内径D2=15.9mm、厚みT=105μmのチューブ4を作製した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは26°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは1μmであった。
外周面8を#1000のラッピングフィルム〔三共理化学(株)製のミラーフィルム〕を用いた鏡面研磨によって粗面化したこと以外は実施例1と同様にして帯電ローラ1を製造した。
外径D1と内径D2との差D1−D2で表される締め代は200μm、帯電ローラ1の全体のアスカーC型硬さは25°、外周面8の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは1.7μmであった。
感光体と、当該感光体の表面に常時接触させて配設された帯電ローラとを備え、レーザープリンタ本体に着脱自在とされた市販のレーザープリンタのトナーカートリッジの、純正の帯電ローラに代えて、実施例、比較例で製造した帯電ローラ1を組み込んだ。
そして組み立てたトナーカートリッジを上記レーザープリンタに装填して、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下、5%濃度の画像を30000枚連続して形成して、形成画像に縦スジ状の濃度ムラや白い点状の濃度ムラなどが見られたか否かを下記の基準で評価した。
△:目視ては殆ど観察できない程度の僅かな濃度ムラが見られたが、実用レベルであった。
×:濃度ムラが見られた。
また、上記画像形成に使用した帯電ローラ1を取り出して、外周面8への外添剤等の付着、蓄積の有無を下記の基準で評価した。
△:軽微な付着が見られたが、画像評価に問題ない程度であった。
×:外添剤等の付着、蓄積が見られた。
以上の結果を表2、表3に示す。
また実施例1〜3、比較例1の結果より、上記外層5を備えた帯電ローラ1のアスカーC型硬さを40°以下として、感光体と当接させた際に適度なニップ幅を有する好適な放電領域を確保して感光体の表面を均一に帯電させることにより、濃度ムラなどの画像不良が発生するのを抑制して形成画像の画質を安定させるためには、上記外層5のもとになるチューブ4の厚みTを300μm以下とする必要があることが判った。
2 内層
3 外周面
4 チューブ
5 外層
6 通孔
7 シャフト
8 外周面
D1 外径
D2 内径
T 厚み
Claims (4)
- 半導電性ゴム組成物の多孔質体からなる筒状の内層、および前記内層の外周に設けられた、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフロライド共重合体からなり半導電性が付与された継ぎ目のないチューブからなる外層を備え、前記外層の外周面の、輪郭曲線の算術平均粗さRaは0.3μm以上、1.5μm以下である帯電ローラ。
- 前記チューブは、前記テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフロライド共重合体、および電子導電性導電剤のみからなる請求項1に記載の帯電ローラ。
- 全体でのアスカーC型硬さが40°以下である請求項1または2に記載の帯電ローラ。
- 前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の帯電ローラの製造方法であって、前記外層のもとになる、厚みTが100μm以上、300μm以下である前記チューブ内に、外径D1が前記チューブの内径D2よりも大きい前記内層を圧入する工程を含む帯電ローラの製造方法。
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