JP6730232B2 - 調速機及びエレベーター - Google Patents

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Description

本発明は、乗りかごの昇降速度を監視する調速機、及びこの調速機を備えたエレベーターに関するものである。
従来、エレベーターは、乗りかごと、釣合おもりと、乗りかごと釣合おもりとを連結するロープと、このロープが巻回される巻上機とを備えている。また、エレベーターには、乗りかごの昇降速度を常時監視して、所定の速度以上の速度に達した乗りかごを非常停止させるための調速機が備えられている。
具体的には、調速機は、乗りかごの昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(通常は定格速度の1.3倍)に達すると、乗りかごを駆動する巻上機の電源及びこの巻上機を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。また、調速機は、乗りかごの下降速度が第1過速度を超えて第2過速度(通常は定格速度の1.4倍)に達すると、乗りかごに設けられた非常停止装置を動作させて、乗りかごを機械的に非常停止させる。
このような調速機は、乗りかごに連結された無端状の調速機ロープと、この調速機ロープが巻き掛けられたプーリとを有し、プーリの回転速度を検出することによって乗りかごの昇降速度を監視している。そして、定期的に、調速機が第1過速度及び第2過速度で動作するか確認する必要がある。なお、乗りかごを第1過速度及び第2過速度で昇降移動させるには準備や復旧に時間を要するため、調速機ロープからプーリに加わる張力を抜き、調速機のプーリを強制的に回転させることで、確認作業が行われていた。
調速機ロープからプーリに加わる張力を抜くためには、プーリから調速機ロープを外したり、昇降路の下部に設けたテンションプーリを浮かせたりする必要があり、大変煩雑なものとなっていた。
また、調速機ロープからプーリに加わる張力を抜く技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。この特許文献1には、調速機本体に回転自在に取付けられる綱車から、この綱車に架け渡されたガバナロープを浮き上がらせる技術が記載されている。
特開2006−124069号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、保守点検作業を行うたびに引き上げ装置を調速機に取り付ける必要があり、保守点検作業が煩雑なものとなっていた。
本目的は、上記の問題点を考慮し、保守点検作業を容易に行うことができる調速機及びエレベーターを提供することにある。
上記課題を解決し、本目的を達成するため、調速機は、エレベーターの乗りかごの昇降速度を監視する調速機である。
調速機は、調速機プーリと、筐体と、退避部材と、を備えている。調速機プーリは、乗りかごに接続された調速機ロープが巻き掛けられる通常用ロープ溝部を有する。筐体は、調速機プーリを回転可能に支持する。退避部材は、調速機プーリの軸方向の一側に配置される。また、退避部材は、通常用ロープ溝部における少なくとも頂部に接続し、かつ調速機ロープが載置可能な退避面部を有する。
また、エレベーターは、建築構造物に設けられた昇降路内を昇降移動する乗りかごを備えたエレベーターにおいて、乗りかごの昇降速度を監視する調速機を備えている。調速機としては、上述した調速機が用いられる。
上記構成の調速機及びエレベーターによれば、保守点検作業を容易に行うことができる。
第1の実施の形態例にかかるエレベーターを示す概略構成図である。 第1の実施の形態例にかかる調速機を示す側面断面図である。 第1の実施の形態例にかかる調速機の保守点検時の状態を示す側面断面図である。 第2の実施の形態例にかかる調速機を示す側面断面図である。 第3の実施の形態例にかかる調速機を示す側面断面図である。
以下、実施の形態例にかかる、調速機及びエレベーター及について、図1〜図5を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
1.第1の実施の形態例
1−1.エレベーター及び調速機の構成例
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベーターの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターの構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本例のエレベーター1は、建築構造物内に形成された昇降路110内を昇降動作する。エレベーター1は、人や荷物を載せる乗りかご120と、主ロープ130と、釣合おもり140と、巻上機100と、調速機10と、を備えている。また、エレベーター1は、非常止め装置190と、ガイドレール200とを備えている。なお、昇降路110は、建築構造物内に形成され、その頂部には機械室160が設けられている。
乗りかご120は、昇降路110内に配置されている。乗りかご120には、不図示のスライダが設けられている。スライダは、昇降路110に設置されたガイドレール200に摺動可能に係合する。そして、乗りかご120は、ガイドレール200に沿って昇降路110内を昇降する。以下、乗りかご120が昇降する方向を昇降方向とする。また、乗りかご120の上端部には、主ロープ130が接続されている。
主ロープ130の一端は、乗りかご120に接続され、主ロープ130の他端は、釣合おもり140の上部に接続されている。また、主ロープ130は、巻上機100に巻き掛けられている。巻上機100は、機械室160に設置されている。巻上機100の近傍には、主ロープ130が装架される反らせ車150が設けられている。そして、巻上機100が駆動することで、乗りかご120及び釣合おもり140が昇降路110内を昇降する。
非常止め装置190は、乗りかご120に設けられている。非常止め装置190は、作動レバー191の動作により、ガイドレール200を把持し、乗りかご120の昇降動作を停止させる。作動レバー191は、調速機ロープ181に接続されている。
調速機ロープ181は、軸方向の両端が接続された無端状に形成されている。調速機ロープ181は、後述する調速機10の調速機プーリ13に巻き掛けられている。また、昇降路110の下部には、調速機ロープ181が巻き掛けられる下部プーリ183が設けられている。下部プーリ183は、昇降方向において調速機10の調速機プーリ13と対向している。下部プーリ183には、不図示のロープテンション機構が設けられている。ロープテンション機構は、下部プーリ183を介して調速機ロープ181に所定の張力を付与する。
そして、調速機ロープ181は、乗りかご120の昇降動作に合わせて、調速機10の調速機プーリ13と下部プーリ183の間を循環移動する。そのため、調速機ロープ181の循環速度と、乗りかご120の昇降速度は、互いに連動している。調速機10は、調速機ロープ181の循環速度から乗りかご120の昇降速度を検出する。
調速機10は、乗りかご120の昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(通常は定格速度1.3倍)に達すると、不図示の制御部に信号を出力する。そして、制御部は、乗りかご120を昇降させる巻上機100の電源及び巻上機100を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。
また、調速機10は、乗りかご120の昇降速度が第1過速度を超えて第2過速度(通常は定格速度の1.4倍)に達すると、作動レバー191を介して非常止め装置190を動作させる。これにより、乗りかご120の昇降動作が機械的に停止する。
[調速機]
次に、調速機10について図2を参照して説明する。
図2は、調速機10を示す側面断面図である。
図2に示すように、調速機10は、筐体11と、回転軸12と、調速機プーリ13と、一対の振り子14、14と、作動機構の一例を示すラチェット機構15と、退避部材の一例を示す退避プーリ17とを有している。
筐体11は、第1対向面部11aと、第2対向面部11bと、載置面部11cとを有している。第1対向面部11aと第2対向面部11bは、互いに間隔を空けて対向して配置されている。第1対向面部11a及び第2対向面部11bにおける上下方向の一端部からは載置面部11cが略垂直に連続している。載置面部11cは、第1対向面部11aと第2対向面部11bを接続する。また、載置面部11cは、機械室160の床面161(図1参照)に設けた不図示の載置台に固定される。
第1対向面部11aと第2対向面部11bには、回転軸12が固定されている。回転軸12は、その軸方向が、第1対向面部11aと第2対向面部11bが対向する方向と平行に配置されている。そして、回転軸12は、第1対向面部11aと第2対向面部11bを接続するように配置される。回転軸12には、調速機プーリ13が軸受け部16を介して回転可能に支持されている。
調速機プーリ13の外周部には、通常用ロープ溝部13aが形成されている。通常用ロープ溝部13aにおける第1対向面部11a側の端部は、半径方向の外側に向けて突出している。また、通常用ロープ溝部13aにおける第2対向面部11b側の端部は、切り欠かれている。この通常用ロープ溝部13aには、調速機ロープ181が巻き掛けられる。そのため、乗りかご120が昇降動作し、調速機ロープ181が循環移動すると、調速機プーリ13は、回転軸12を中心に回転する。
また、調速機プーリ13には、固定孔13bが設けられている。固定孔13bは、調速機プーリ13における第1対向面部11aと対向する一面から第2対向面部11bと対向する他面に向けて貫通している。この固定孔13bには、固定ねじ21が螺合される。
調速機プーリ13における第1対向面部11aと対向する一面には、一対の振り子14、14と、ラチェット機構15が配置されている。振り子14、14は、調速機プーリ13に不図示の振り子軸を介して回動可能に支持されている。そして、振り子14は、調速機プーリ13と共に回転し、遠心力により振り子軸を中心に回動する。
また、調速機プーリ13の回転速度が第1過速度に達すると、振り子14は、不図示の検出スイッチに接触する。これにより、調速機10は、乗りかご120の昇降速度が第1過速度に達したことを検出する。そして、調速機10は、巻上機100の電源及び巻上機100を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。
さらに、調速機プーリ13の回転速度が第2過速度に達すると、振り子14は、ラチェット機構15と係合する。そして、ラチェット機構15は振り子14と共に回転し、調速機10に設けた不図示のロープ把持機構が調速機ロープ181を把持する。これにより、調速機ロープ181の移動が規制され、作動レバー191を介して非常止め装置190が動作する。その結果、乗りかご120の下降動作が機械的に停止される。
なお、本例では、作動機構としてラチェット機構15を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、振り子14と係合するアーム機構やその他各種の機構を用いてもよい。
調速機プーリ13における軸方向の第2対向面部11b側には退避プーリ17が配置されている。退避プーリ17は、軸受け部18を介して回転軸12に回転可能に支持されている。また、退避プーリ17は、調速機プーリ13における第2対向面部11bと対向する他面に重ね合わせて配置されている。
退避プーリ17の外周面には、退避面部の一例を示す退避用ロープ溝部17aが形成されている。退避用ロープ溝部17aは、その直径が第2対向面部11b側の端部から調速機プーリ13側の端部に向けて小さくなっている。そのため、退避用ロープ溝部17aは、通常用ロープ溝部13aに向けて傾斜している。
また、退避用ロープ溝部17aにおける通常用ロープ溝部13a側の端部の直径h2は、通常用ロープ溝部13aにおける退避用ロープ溝部17a側の端部の直径h1と等しい。そのため、退避プーリ17を調速機プーリ13に重ね合わせた際、退避用ロープ溝部17aと通常用ロープ溝部13aの間に段差がなく、退避用ロープ溝部17aは、通常用ロープ溝部13aと面一に連続している。これにより、調速機ロープ181を通常用ロープ溝部13aから退避用ロープ溝部17aに容易に移動させることができる。
なお、本例では、退避用ロープ溝部17aの端部の直径h2を通常用ロープ溝部13aの直径h1と等しく設定し、退避用ロープ溝部17aを通常用ロープ溝部13aとの間に段差をなくして配置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、退避用ロープ溝部17aの端部の直径h2を、通常用ロープ溝部13aの直径h1よりも大きく又は小さく設定し、退避用ロープ溝部17aと通常用ロープ溝部13aとの間に段差を設けてもよい。なお、なお、退避用ロープ溝部17aと通常用ロープ溝部13aの段差の長さは、調速機ロープ181の直径r1の半分(半径)よりも小さいことが好ましい。
さらに、退避プーリ17には、固定孔17bが形成されている。固定孔17bは、退避プーリ17における調速機プーリ13と対向する一面から第2対向面部11bと対向する他面に向けて貫通している。退避プーリ17の固定孔17bは、退避プーリ17と調速機プーリ13を重ね合わせた際に、調速機プーリ13の固定孔13bを臨む位置に形成されている。
退避プーリ17の固定孔17b及び調速機プーリ13の固定孔13bには、固定部材の一例を示す固定ねじ21が螺合される。これにより、退避プーリ17は、調速機プーリ13に固定ねじ21により締結固定される。その結果、退避プーリ17は、調速機プーリ13と共に回転する。そのため、地震や風による振動や揺れによって調速機ロープ181が通常用ロープ溝部13aから退避用ロープ溝部17aに意図に反して移動した場合でも、調速機ロープ181から調速機プーリ13へ回転力を確実に伝達させることができる。
さらに、上述したように、退避用ロープ溝部17aは、通常用ロープ溝部13aに向けて傾斜している。その結果、調速機ロープ181が退避用ロープ溝部17aに移動しても、調速機ロープ181を通常用ロープ溝部13aに戻すことができる。
なお、本例の調速機10では、調速機プーリ13と退避プーリ17を一体に固定する固定部材として固定ねじ21を用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。固定部材としては、例えば、固定ピンや係合爪等その他各種の固定方法を適用できるものである。なお、固定部材としては、調速機プーリ13と退避プーリ17の固定が解除可能な固定方法が適用される。
さらに、本例の調速機10では、退避プーリ17を調速機プーリ13に対して振り子14やラチェット機構15が配置された面とは反対側に配置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、退避プーリ17を調速機プーリ13における振り子14やラチェット機構15が配置された面と同じ面に配置してもよい。
1−2.保守点検作業
次に、上述した構成を有する調速機10の保守点検作業について図3を参照して説明する。
図3は、調速機10の保守点検時の状態を示す側面断面図である。
まず、図3に示すように、固定ねじ21を調速機プーリ13及び退避プーリ17の固定孔13b、17bから取り外す。これにより、調速機プーリ13と退避プーリ17は、それぞれ独立して回転することができる。
次に、調速機ロープ181を調速機プーリ13の通常用ロープ溝部13aから退避プーリ17の退避用ロープ溝部17aに移動させる。上述したように、退避用ロープ溝部17aと通常用ロープ溝部13aの間に段差がなく、退避用ロープ溝部17aは、通常用ロープ溝部13aと面一に連続している。これにより、調速機ロープ181を容易に通常用ロープ溝部13aから退避用ロープ溝部17aに移動させて、調速機ロープ181を退避用ロープ溝部17aに巻き掛けることができる。
そして、ロープ保持部材22を用いて、調速機ロープ181を退避用ロープ溝部17aに掛けた状態で保持する。ロープ保持部材22は、調速機ロープ181を保持する保持片22aと、筐体11(本例では、第2対向面部11b)に固定される固定片22bと、保持片22aと固定片22bとを接続する接続片22cとを有している。
ロープ保持部材22としては、上述したものに限定されるものではなく、クランプや紐等その他各種の部材を用いることができ、さらに作業者の手で保持してもよい。
調速機ロープ181が調速機プーリ13の通常用ロープ溝部13aから退避プーリ17の退避用ロープ溝部17aに移動することで、調速機ロープ181からの張力は、調速機プーリ13に加わらず、退避プーリ17に加わる。その結果、調速機プーリ13のみを回転させることができる。
次に、調速機プーリ13を第1過速度及び第2過速度まで強制的に回転させて、調速機10の動作を確認する。そして、調速機10の動作の確認作業が完了すると、ロープ保持部材22を筐体11及び調速機ロープ181から取り外す。退避用ロープ溝部17aは、通常用ロープ溝部13aに向けて傾斜しているため、調速機ロープ181は、退避用ロープ溝部17aから通常用ロープ溝部13aに戻る。このように、本例の調速機10によれば、調速機ロープ181の戻し作業を容易に行うことができる。
次に、図2に示すように、固定ねじ21を、調速機プーリ13及び退避プーリ17の固定孔13b、17bに螺合する。これにより、調速機プーリ13と退避プーリ17が再び固定ねじ21により一体に固定される。その結果、調速機10の保守点検作業が完了する。
このように、本例の調速機10によれば、下部プーリ183を持ち上げたり、ロープ引き上げ部材を用いたりすることなく、調速機ロープ181から調速機プーリ13に加わる張力を抜くことができる。その結果、調速機プーリ13のみを回転させて、保守点検作業を容易に行うことができる。
2.第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかる調速機について図4を参照して説明する。
図4は、第2の実施の形態例にかかる調速機を示す側面断面図である。
この第2の実施の形態例にかかる調速機が、第1の実施の形態例にかかる調速機10と異なる点は、回転軸を筐体に回転可能に支持させた点である。そのため、第1の実施の形態例にかかる調速機10と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図4に示すように、調速機30は、筐体31と、回転軸32と、調速機プーリ33と、一対の振り子34、34と、ラチェット機構35と、退避プーリ37とを有している。筐体31は、第1対向面部31aと、第2対向面部31bと、載置面部31cとを有している。第1対向面部31a及び第2対向面部31bには、支持孔31dが開口している。支持孔31dには、軸受け部36が設けられている。
軸受け部36には、回転軸32が回転可能に支持されている。また、回転軸32には、調速機プーリ33が固定されている。回転軸32は、調速機プーリ33の半径方向の中心に固定されている。そのため、第2の実施の形態例にかかる調速機30では、回転軸32が調速機プーリ33と共に回転する。
調速機プーリ33の外周面には、通常用ロープ溝部33aが形成されている。また、調速機プーリ33には、固定孔33bが形成されている。通常用ロープ溝部33a及び固定孔33bの構成は、第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様であるため、その説明は省略する。
回転軸32には、軸受け部38を介して退避プーリ37が回転可能に支持されている。退避プーリ37の外周面には、退避用ロープ溝部37aが形成されている。また、退避プーリ37には、固定孔37bが形成されている。なお、退避用ロープ溝部37a及び固定孔37bの構成は、第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様であるため、その説明は省略する。
退避プーリ37は、固定ねじ41により調速機プーリ33に固定されている。そのため、退避プーリ37は、調速機プーリ33及び回転軸32と共に回転する。
また、保守点検時には、固定ねじ41を外すことで、退避プーリ37と調速機プーリ33との固定が解除される。そして、調速機ロープ181を通常用ロープ溝部33aから退避用ロープ溝部37aに移動させると、調速機プーリ33には、調速機ロープ181からの張力が抜ける。その結果、調速機プーリ33と回転軸32のみを回転させることができる。
また、退避プーリ37には、調速機ロープ181からの張力が加わるため、回転軸32が退避プーリ37の軸受け部38に支持されて回転し、退避プーリ37は、回転することがない。
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する調速機30によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様の作用効果を得ることができる。
3.第3の実施の形態例
次に、第3の実施の形態例にかかる調速機について図4を参照して説明する。
図5は、第3の実施の形態例にかかる調速機を示す側面断面図である。
この第3の実施の形態例にかかる調速機が、第1の実施の形態例にかかる調速機10と異なる点は、退避部材の構成である。そのため、第1の実施の形態例にかかる調速機10と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図5に示すように、調速機50は、筐体51と、回転軸52と、調速機プーリ53と、一対の振り子54、54と、ラチェット機構55と、退避部材57とを有している。筐体51は、第1対向面部51aと、第2対向面部51bと、載置面部51cとを有している。筐体31には、回転軸52が固定されている。回転軸52には、軸受け部56を介して調速機プーリ53が回転可能に支持されている。調速機プーリ53の外周面には、通常用ロープ溝部53aが形成されている。通常用ロープ溝部53aには、調速機ロープ181が巻き掛けられる。
また、筐体51の第2対向面部51bと調速機プーリ53の間には、退避部材57が配置されている。退避部材57は、第2対向面部51bにおける調速機プーリ53と対向する一面に固定されている。また、退避部材57は、回転軸52よりも第2対向面部51bにおける昇降方向の上端部から調速機プーリ53に向けて突出している。
退避部材57は、円弧状に形成されている。退避部材57は、支持部57bと、退避面部57aとを有している。支持部57bは、第2対向面部51bに固定されている。支持部57bにおける第2対向面部51bとは反対側の端部、すなわち調速機プーリ53側の端部には、退避面部57aが形成されている。
退避面部57aは、その曲率半径が、支持部57bから調速機プーリ53に向かうにつれて小さくなっている。そのため、退避面部57aは、調速機プーリ53の通常用ロープ溝部53aに向けて傾斜している。さらに、退避面部57aにおける通常用ロープ溝部53a側の端部の曲率半径は、通常用ロープ溝部53aにおける退避面部57a側の端部の曲率半径と等しい。退避面部57aと通常用ロープ溝部53aの間に段差がなく、退避面部57aは、通常用ロープ溝部53aにおける昇降方向の頂部と面一に接続している。これにより、調速機ロープ181を通常用ロープ溝部53aから退避面部57aに容易に移動させて、退避面部57aに調速機ロープ181を載置させることができる。
また、退避面部57aは、通常用ロープ溝部53aに向けて傾斜しているため、調速機ロープ181が意図に反して退避面部57aに移動しても、調速機ロープ181を通常用ロープ溝部53aに戻すことができる。
保守点検時には、第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様に、調速機ロープ181を退避面部57aに移動させてロープ保持部材22で保持する。退避部材57は、筐体11に固定されているため、調速機プーリ53のみを強制的に回転させることができる。
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する調速機50によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる調速機10と同様の作用効果を得ることができる。
しかしながら、第3の実施の形態例にかかる調速機50の退避部材57は、筐体11に固定されており、調速機プーリ53とは一緒に回転しない。そのため、通常時に、調速機ロープ181が退避面部57aに移動すると、調速機ロープ181が退避面部57aで擦れるおそれがある。これに対して、第1の実施の形態例にかかる調速機10及び第2の実施の形態例にかかる調速機30では、退避プーリ17、37が調速機プーリ13、33と共に回転する。そのため、通常時に、調速機ロープ181が退避用ロープ溝部17a、37aに移動しても、退避プーリ17、37が回転し、調速機ロープ181が退避プーリ17、37で擦れることがない。
さらに、第1の実施の形態例にかかる調速機10及び第2の実施の形態例にかかる調速機30では、通常用ロープ溝部13a、33aの側面全面に、退避用ロープ溝部17a、37aが配置される。そのため、調速機ロープ181が、調速機プーリ13、33や退避プーリ17、37から脱落することがない。
さらに、調速機ロープ181には、ロープテンション機構により張力が発生している。そして、第3の実施の形態例にかかる退避部材57では、通常用ロープ溝部53aの一部にのみ退避面部57aが配置されている。その結果、第3の実施の形態例にかかる調速機50では、調速機ロープ181を退避部材57から調速機プーリ53に戻す際に、退避部材57が設けられていない箇所において調速機ロープ181が調速機プーリ53の側面に引っ掛かるおそれがある。
これに対して、第1の実施の形態例にかかる調速機10及び第2の実施の形態例にかかる調速機30では、退避用ロープ溝部17a、37aが、通常用ロープ溝部13a、33aの側面全面に配置されている。そのため、調速機ロープ181を退避用プーリ17、37から調速機プーリ13、33に戻す際に、調速機ロープ181が調速機プーリ13、33の側面に引っ掛かることを抑制することができる。これにより、調速機ロープ181の戻し作業を容易に行うことができ、調速機10の保守点検作業の作業性を向上させることができる。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
1…エレベーター、 10、30、50…調速機、 11、31、51…筐体、 12、32、52…回転軸、 13、33、53…調速機プーリ、 13a、33a、53a…通常用ロープ溝部、 13b、17b…固定孔 17、37…退避プーリ(退避部材)、 17a、37a…退避用ロープ溝部(退避面部)、 21…固定ねじ(固定部材)、 22…ロープ保持部材、 57…退避部材、 57a…退避面部、 100…巻上機、 110…昇降路、 120…乗りかご、 130…主ロープ、 140…釣合おもり、 160…機械室、 181…調速機ロープ、 183…下部プーリ、 190…非常止め装置、 191…作動レバー

Claims (6)

  1. エレベーターの乗りかごの昇降速度を監視する調速機において、
    前記乗りかごに接続された調速機ロープが巻き掛けられる通常用ロープ溝部を有する調速機プーリと、
    前記調速機プーリを回転可能に支持する筐体と、
    前記調速機プーリの軸方向の一側に配置された退避部材と、を備え、
    前記退避部材は、前記通常用ロープ溝部における少なくとも頂部に接続し、かつ前記調速機ロープが載置可能な退避面部を有する
    調速機。
  2. 前記退避部材は、前記筐体に回転可能に支持される退避プーリからなり、
    前記退避面部は、前記退避プーリの外周面に設けられ、前記調速機ロープが巻き掛けられる退避用ロープ溝部からなり、
    前記退避プーリは、固定部材を介して前記調速機プーリに解除可能に固定される
    請求項1に記載の調速機。
  3. 前記退避用ロープ溝部における前記通常用ロープ溝部側の端部の直径と、前記通常用ロープ溝部における前記退避用ロープ溝部側の端部の直径の差は、前記調速機ロープの直径の半分以下に設定される
    請求項2に記載の調速機。
  4. 前記退避用ロープ溝部における前記通常用ロープ溝部側の端部の直径は、前記通常用ロープ溝部における前記退避用ロープ溝部側の端部の直径と等しく設定される
    請求項3に記載の調速機。
  5. 前記退避面部は、前記通常用ロープ溝部に向けて傾斜している
    請求項1に記載の調速機。
  6. 建築構造物に設けられた昇降路内を昇降移動する乗りかごを備えたエレベーターにおいて、
    前記乗りかごの昇降速度を監視する調速機を備え、
    前記調速機は、
    前記乗りかごに接続された調速機ロープが巻き掛けられる通常用ロープ溝部を有する調速機プーリと、
    前記調速機プーリを回転可能に支持する筐体と、
    前記調速機プーリの軸方向の一側に配置された退避部材と、を備え、
    前記退避部材は、前記通常用ロープ溝部における少なくとも頂部に接続し、かつ前記調速機ロープが載置可能な退避面部を有する
    エレベーター。
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