以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。例えば、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
図1は、本実施形態に係るシステム100の概略図である。図1に示されるシステム100は、MFP10A、10B(以下、これらを総称して、「MFP10」と表記することがある。)と、携帯端末50とで構成されている。MFP10及び携帯端末50は、通信ネットワーク101を通じて通信可能に構成されている。通信ネットワーク101は、例えば、有線LAN、無線LAN、或いはこれらの組み合わせであってもよい。または、MFP10及び携帯端末50は、USBケーブル等によって接続されていてもよい。
MFP10(Multi-Function Peripheralの略)は、図2(A)に示されるように、プリンタ11と、スキャナ12と、ディスプレイ23と、入力I/F24と、通信I/F25と、CPU31と、メモリ32と、通信バス33とを主に備える。MFP10を構成する各構成要素は、通信バス33を通じて相互に接続されている。MFP10は、画像処理装置の一例である。
プリンタ11は、画像データで示される画像をシートに記録するプリント動作を実行するハードウェアである。本実施形態では、インクを吐出して画像を記録するインクジェット方式のプリンタ11の例を説明するが、プリンタ11の記録方式は電子写真方式等であってもよい。スキャナ12は、原稿に記録されている画像を読み取って画像データ(以下、「スキャンデータ」と表記する。)を生成するスキャン動作を実行するハードウェアである。プリント動作及びスキャン動作は、画像処理動作の一例である。
なお、画像処理動作の具体例はこれらに限定されない。画像処理動作は、例えば、FAXプロトコルに従って画像データを外部装置にFAX送信するFAX送信動作、不図示のサーバから画像データを受信するダウンロード動作等であってもよい。また、MFP10A、10Bは、少なくとも1つの動作を実行可能であればよい。さらに、MFP10A、10Bが実行可能な動作は、異なっていてもよい。
プリンタ11は、所定の実行条件に従ってプリント動作を実行する。プリント動作の実行条件は、複数の項目(例えば、“サイズ”、“用紙種”、“画質”)それぞれに対応する複数のパラメータによって特定される。項目“サイズ”は、画像を記録するシートのサイズ(例えば、“A4”、“B5”、“L版”等)を示す。項目“用紙種”は、画像を記録するシートの種類(例えば、“普通紙”、“光沢紙”等)を示す。項目“画質”は、シートに記録する画像の解像度、より詳細には、単位面積当たりに着弾し得るインク滴の数(例えば、“300dpi”、“1800dpi”等)を示す。
スキャナ12は、所定の実行条件に従ってスキャン動作を実行する。スキャン動作の実行条件は、複数の項目(例えば、“解像度”、“色”、“形式”)それぞれに対応する複数のパラメータによって特定される。項目“解像度”は、原稿に記録された画像を読み取る際の読取解像度(例えば、“300dpi”、“600dpi”等)を示す。項目“色”は、読み取った画像の色の階調(例えば、“モノクロ”、“256色”、“フルカラー”等)を示す。項目“形式”は、スキャンデータのファイル形式(例えば、“PDF”、“TIFF”、“JPEG”等)を示す。
ディスプレイ23は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、各種情報を表示する表示画面を備える。
入力I/F24は、ユーザによる入力操作を受け付けるユーザインタフェースである。具体的には、入力I/F24はボタンを有しており、押下されたボタンに対応づけられた各種の操作信号をCPU31へ出力する。さらに、入力I/F24は、ディスプレイ23の表示画面に重畳された膜状のタッチセンサを有していてもよい。ディスプレイ23の表示画面に表示されたオブジェクトを指定する操作、文字列或いは数字列を入力する操作は、ユーザ操作の一例である。「オブジェクト」とは、例えば、ディスプレイ23に表示された文字列、アイコン、ボタン、リンク、ラジオボタン、チェックボックス、プルダウンメニュー等である。
タッチセンサとして実現される入力I/F24は、ユーザがタッチした表示画面上の位置を示す位置情報を出力する。なお、本明細書中における「タッチ」とは、入力媒体を表示画面に接触させる操作全般を含む。また、入力媒体が表示画面に触れていなくても、表示画面との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させる「ホバー」或いは「フローティングタッチ」を、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。さらに入力媒体とは、ユーザの指であってもよいし、タッチペン等であってもよい。ディスプレイ23に表示されたオブジェクトの位置をタップするユーザ操作は、当該オブジェクトを指定するユーザ操作の一例である。
通信I/F25は、通信ネットワーク101を通じて外部装置と通信可能なインタフェースである。すなわち、MFP10は、通信I/F25を通じて外部装置に各種情報を送信し、通信I/F25を通じて外部装置から各種情報を受信する。通信I/F25の具体的な通信手順は特に限定されないが、例えば、Wi−Fi(Wi-Fi Allianceの登録商標)を採用することができる。また、MFP10及び携帯端末50がUSBケーブルで接続される場合、通信I/F25は、USBケーブルを着脱可能なUSBインタフェースであってもよい。
CPU31は、MFP10の全体動作を制御するものである。CPU31は、入力I/F24から出力される各種情報、通信I/F25を通じて外部装置から受信した各種情報等に基づいて、後述する各種プログラムをメモリ32から取得して実行する。CPU31及びメモリ32は、コントローラの一例を構成する。
メモリ32は、OS34と、装置プログラム35とを記憶している。装置プログラム35は、単一のプログラムであってもよいし、複数のプログラムの集合体であってもよい。また、メモリ32は、装置プログラム35の実行に必要なデータ或いは情報等を記憶する。メモリ32は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、MFP10に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体、CPU31が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成される。
メモリ32は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non−transitoryな媒体である。non−transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体も含まれる。また、non−transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non−transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。後述する携帯端末50のメモリ62についても同様である。
メモリ32のMIB(Management Information Baseの略)は、図1に示される装置情報を記憶している。装置情報は、装置IDと、モデル名と、複数の項目それぞれに対応付けられた候補パラメータとを含む。装置情報は、MFP10の製造過程において、製造メーカによって設定される。
装置IDは、MFP10を一意に識別するための情報である。すなわち、全てのMFP10には、後述するモデル名が同一か異なるかに拘わらず、異なる装置IDが割り当てられる。装置IDの具体例は特に限定されないが、例えば、通信I/F25に割り当てられたMACアドレス等であってもよい。本実施形態では、MFP10Aは装置ID“MFP−A”で識別され、MFP10Bは装置ID“MFP−B”で識別される。
モデル名は、MFP10のモデルを識別するための情報である。本実施形態では、MFP10Aにモデル名“Model−01”が割り当てられ、MFP10Bにモデル名“Model−05”が割り当てられる。また図示は省略するが、MFP10A、10Bの製造メーカが製造する他のMFP10のモデル名として、“Model−03”、“Model−07”等がある。モデル名“Model−01”、“Model−03”は非特定モデルの一例であり、モデル名“Model−05”、“Model−07”は特定モデルの一例である。特定モデル及び非特定モデルは、例えば、後述する端末プログラム65の開発者によって決定される。
候補パラメータは、プリント動作の実行条件に含められるパラメータの候補である。項目“サイズ”の候補パラメータは、例えば、“A4”、“B5”、“L版”である。項目“用紙種”の候補パラメータは、例えば、“普通紙”、“光沢紙”である。項目“画質”の候補パラメータは、例えば、“ノーマル”、“ファイン”である。但し、モデル名“Model−05”において、項目“画質”の候補パラメータは、項目“用紙種”のパラメータ“普通紙”が選ばれた場合に“ノーマル”、“ファイン”の2つとなり、項目“用紙種”のパラメータ“光沢紙”が選ばれた場合に“ノーマル”のみとなる。
項目“画質”は複数の項目のうちの特定項目の一例である。一方、項目“サイズ”、“用紙種”は、特定項目と異なる非特定項目の一例である。また、項目“用紙種”は、用紙種項目の一例である。さらに、特定項目“画質”のパラメータのうち、パラメータ“ファイン”は第1値の一例であり、パラメータ“ノーマル”は第2値の一例である。但し、特定項目の具体例は、項目“画質”に限定されない。一方、スキャン動作の実行条件に含められ得る候補パラメータは、図示を省略する。
項目“画質”のパラメータは、入力解像度及び出力解像度の組み合わせを示す。入力解像度は、プリント動作の対象となる画像データ(例えば、ラスタデータ)の解像度を示す。換言すれば、入力解像度は、MFP10に入力される画像データの単位面積当たりの画素数を示す。出力解像度は、プリント動作の対象となる画像データの各画素をシートに記録するのに用いるインク滴の数を示す。換言すれば、出力解像度は、シート上の単位面積当たりに着弾し得るインク滴の数を示す。
そして、モデル名“Model−05”において、パラメータ“ノーマル”は入力解像度=300dpi、出力解像度=300dpiの組み合わせを示し、パラメータ“ファイン”は入力解像度=600dpi、出力解像度=1800dpiの組み合わせを示す。すなわち、パラメータ“ノーマル”のとき、300dpiの画像データの各画素は、1滴のインクでシートに記録される。一方、パラメータ“ファイン”のとき、600dpiの画像データの各画素は、3滴のインクでシートに記録される。
一方、モデル名“Model−01”において、パラメータ“ノーマル”は入力解像度=150dpi、出力解像度=固定数の組み合わせを示し、パラメータ“ファイン”は入力解像度=300dpi、出力解像度=固定数の組み合わせを示す。すなわち、項目“画質”のパラメータに拘わらず、画像データの各画素は、固定数のインクでシートに記録される。なお、固定数とは、1滴、3滴、或いはこれらと異なる値でもよい。
入力解像度として設定される値のうち、600dpiは第1解像度の一例であり、300dpiは第2解像度の一例であり、150dpiは第3解像度の一例である。そして、入力解像度の具体的な値は前述の例に限定されないが、第1解像度>第2解像度>第3解像度である。また、1画素の記録に用いられるインク滴の数のうち、3滴は第1数の一例であり、1滴は第2数の一例である。そして、1画素の記録に用いられるインク滴の数の具体例は前述の例に限定されないが、第1数>第2数である。
携帯端末50は、図2(B)に示されるように、ディスプレイ53と、入力I/F54と、通信I/F55と、CPU61と、メモリ62と、通信バス63とを主に備える。携帯端末50に含まれるディスプレイ53、入力I/F54、通信I/F55、CPU61、メモリ62、及び通信バス63は、MFP10に含まれるディスプレイ23、入力I/F24、通信I/F25、CPU31、メモリ32、及び通信バス33と同様の構成であるので、説明は省略する。CPU61及びメモリ62は、コントローラの一例である。
携帯端末50は、例えば、携帯電話、スマートフォン、或いはタブレット端末等である。より詳細には、携帯端末50のディスプレイ53は、表示画面のサイズが12インチ以下、より好ましくは8インチ以下であるのが望ましい。また、携帯端末50の入力I/F54は、ディスプレイ53の表示画面に重ねられたタッチセンサであるのが望ましい。メモリ62は、OS64と、端末プログラム65とを記憶している。
OS64は、例えば、Android(Google inc.の登録商標) OS、iOS(Cisco Systems,Inc.の登録商標)、Windows Phone(Microsoft Corporationの登録商標) Operating System等であってもよい。端末プログラム65は、通信I/F55を通じて接続されたMFP10に、画像処理動作を実行させるプログラムである。より詳細には、端末プログラム65は、モデル名“Model−01”、“Model−03”、“Model−05”、“Model−07”のMFP10に画像処理動作を実行させることができる。
携帯端末50には、バージョンの異なる複数の端末プログラム65のうちの1つがインストールされている。バージョンの異なる複数の端末プログラム65は、MFP10に画像処理動作を実行させるという基本的な機能が共通する。一方、バージョンの異なる複数の端末プログラム65は、ユーザインタフェース、指定装置情報或いはその他の各種情報の記憶の仕方等、詳細な仕様が相違する場合がある。端末プログラム65は、例えば、バージョン1.0、バージョン1.1、及びバージョン1.2の3つのバージョンがリリースされている。また、各バージョンの端末プログラム65には、共通するプログラムIDが付与されている。
OS64は、端末プログラム65をインストールすることができる。具体的には、OS64は、端末プログラム65をインストールする指示操作を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて、端末プログラム65の実行ファイルを通信I/F55を通じて不図示のサーバから受信する。そして、OS64は、受信した端末プログラム65の実行ファイルを携帯端末50にインストールする。なお、端末プログラム65をインストールする処理は、不図示のインストーラプログラムによって実行されてもよい。
なお、サーバから受信した端末プログラム65と同一のプログラムIDが付与された旧バージョンの端末プログラム65が携帯端末50にインストール済である場合、OS64は、メモリ62に既に記憶されている旧バージョンの実行ファイルを、受信した新バージョンの実行ファイルで上書きするバージョンアップインストールを実行する。本実施形態では、バージョン1.0、1.1を旧バージョンとし、バージョン1.2を新バージョンとする。
また、メモリ62は、図3(A)に示される共通条件情報を記憶することができる。共通条件情報は、モデル名“Model−01”、“Model−03”、“Model−05”、“Model−07”のMFP10に共通して適用されるプリント動作の実行条件を示す条件情報である。共通条件情報は、例えば、項目“サイズ”のパラメータ“A4”と、項目“用紙種”のパラメータ“普通紙”と、項目“画質”のパラメータ“ファイン”とを含む。共通条件情報は、例えば、端末プログラム65のインストール時にメモリ62に記憶される。
また、メモリ62は、図3(B)或いは図3(C)に示される個別条件情報を記憶することができる。個別条件情報は、例えば、ユーザが指定したMFP10(以下、「指定装置」と表記する。)のみに適用されるプリント動作の実行条件を示す条件情報である。個別条件情報は、後述する指定装置情報がメモリ62に記憶されたタイミングで、当該指定装置情報に対応付けてメモリ62に記憶される。一方、指定装置情報がメモリ62に記憶されていないとき、個別条件情報は、メモリ62に記憶されていない。
また図示は省略するが、メモリ62は、指定装置情報を記憶することができる。指定装置情報は、通信ネットワーク101を通じて通信可能なMFP10のうち、指定装置の装置情報である。指定装置情報は、端末プログラム65がインストールされた時点ではメモリ62に記憶されておらず、後述するメイン処理で端末プログラム65によってメモリ62に記憶される。
また図示は省略するが、メモリ62は、起動済フラグと、初回フラグとを記憶することができる。起動済フラグは、携帯端末50にインストールされたバージョン1.2の端末プログラムが、既に起動されたか否かを示すための情報である。起動済フラグには、未だ起動していないことに対応する第3値“OFF”、或いは既に起動したことに対応する第4値“ON”が設定される。起動済フラグの初期値は、第3値である。初回フラグは、特定モデルのMFP10が指定装置に指定されたか否かを示すための情報である。初回フラグには、未だ指定されていないことに対応する第5値“ON”、或いは既に指定されたことに対応する第6値“OFF”が設定される。初回フラグの初期値は、第5値である。
さらに図示は省略するが、メモリ62には、データフォルダが設けられていてもよい。データフォルダには、例えば、写真データ、文書データ、プレゼンテーションデータ、表計算データ等が格納されていてもよい。データフォルダに記憶されている各種データは、プリント動作の対象となり得るデータである。
[システム100の動作]
図4〜図6を参照して、本実施形態に係るシステム100の動作を説明する。なお、図4のメイン処理を開始する時点において、携帯端末50にインストールされた端末プログラム65はバージョン1.2であり、メモリ62には、指定装置情報が記憶されていないものとする。
本明細書のフローチャートは、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU31、61の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「制御」等の処理は、CPU31、61の処理を表している。CPU31、61による処理は、OS34、64を介したハードウェア制御も含む。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
まず、端末プログラム65は、OS64によって起動されたことに応じて、メモリ62に記憶された起動済フラグの設定値を判断する(S11)。すなわち、端末プログラム65は、バージョン1.2の実行ファイルにバージョンアップインストールされてから初めて起動されたか否かを判断する。S11の処理は、起動回数判断処理の一例である。そして、端末プログラム65は、起動済フラグに既に第2値“ON”が設定されていると判断したことに応じて(S11:ON)、S12〜S14の処理をスキップして、S15以降の処理を実行する。
次に、端末プログラム65は、図7(A)に示されるメイン画面をディスプレイ53に表示させる(S15)。メイン画面は、動作アイコン111、112と、切替アイコン113とを含む。動作アイコン111は、プリント動作の実行指示に対応する。動作アイコン112は、スキャン動作の実行指示に対応する。切替アイコン113は、指定装置の切替指示に対応する。指定装置情報がメモリ62に記憶されていない場合、切替アイコン113には、指定装置が選択されていないことを示す「未選択」の文字列が記述される。そして、端末プログラム65は、メイン画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S16)。S16の処理は、受付処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、例えば、切替アイコン113の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S16:切替)、通信ネットワーク101を通じて携帯端末50と通信可能なMFP10を検索する(S17)。なお、通信可能なMFP10の検索には、周知の方法を採用することができるが、例えば以下の方法が考えられる。
例えば、端末プログラム65は、SNMP(Simple Network Management Protocolの略)を用いて、通信I/F55を通じて通信が可能な複数のMFP10を検索する。具体的には、端末プログラム65は、通信I/F55を通じて通信ネットワーク101に送信要求情報をブロードキャストする。次に、端末プログラム65は、送信要求情報の応答としてMFP10A、10Bが送信した装置情報を、通信I/F55を通じて受信する。すなわち、端末プログラム65は、装置情報の送信元のMFP10A、10Bを、通信可能なMFP10として特定する。
次に、端末プログラム65は、図7(B)に示されるデバイス選択画面をディスプレイ53に表示させる(S18)。デバイス選択画面は、S17で発見したMFP10A、10Bに対応するデバイスアイコン121、122を含む。デバイスアイコン121、122には、対応するMFP10A、10Bの装置ID及びモデル名が記述されている。そして、端末プログラム65は、デバイス選択画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S19)。S19の処理は、第1受付処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、例えば、デバイスアイコン121の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S19:Yes)、デバイスアイコン121に対応するMFP10Aから受信した装置情報を、指定装置情報としてメモリ62に記憶させる(S20)。なお、指定装置情報及び個別条件情報が既にメモリ62に記憶されている場合、端末プログラム65は、既に記憶されている指定装置情報及び個別条件情報をメモリ62の作業領域に退避させ、新たな装置情報を指定装置情報としてメモリ62に記憶させる。S20の処理は、第1記憶処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、図5に示される実行条件設定処理を実行する(S14)。なお、指定装置情報が記憶されていないメモリ62に、MFP10Aの装置情報を指定装置情報として記憶させた場合、「前装置=なし」、「現装置=MFP−A」として、実行条件設定処理が実行される。前装置とは、S20の実行前の指定装置を指す。現装置とは、S20の実行後の指定装置を指す。
まず、端末プログラム65は、前装置の指定装置情報がメモリ62の作業領域に記憶されているか否かを判断する(S31)。そして、端末プログラム65は、前装置の指定装置情報が記憶されていないと判断したことに応じて(S31:No)、図3(A)に示される共通条件情報と同一の個別条件情報を、現装置の指定装置情報と対応付けてメモリ62に記憶させる(S32)。S32の処理は、第2記憶処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、指定装置情報のモデル名に基づいて、現装置が特定モデルか、非特定モデルかを判断する(S34)。なお、指定装置が特定モデルか否かは、装置情報のモデル名に基づいて判断することに限定されず、当該装置が出力解像度を切替可能か否かに基づいて判断してもよい。出力解像度を切替可能か否かを示す情報は、例えば、当該装置から受信した装置情報に含まれていてもよい。そして、端末プログラム65は、出力解像度を切替不能なMFP10Aを非特定モデルと判断し、出力解像度を切替可能なMFP10Bを特定モデルと判断してもよい。S34の処理は、第1判断処理の一例である。
そして、端末プログラム65は、指定装置であるMFP10Aが非特定モデルだと判断したことに応じて(S34:No)、S35〜S40の処理をスキップして、実行条件設定処理を終了する。すなわち、指定装置が指定されていない状態で非特定モデルのMFP10Aが指定装置に指定された場合、当該指定装置の個別条件情報は、共通条件情報と同一となる。
一方具体例の図示は省略するが、端末プログラム65は、前装置の指定装置情報がメモリ62の作業領域に記憶されていると判断したことに応じて(S31:Yes)、作業領域に記憶されている前装置の個別条件情報と同一の個別条件情報を、現装置の指定装置情報と対応付けてメモリ62に記憶させる(S33)。S33の処理は、第3記憶処理の一例である。すなわち、端末プログラム65は、指定装置が指定された状態で特定モデルのMFP10Aが指定装置に指定された場合、前装置が特定モデルか否かに拘わらず、前装置の個別条件情報が現装置に引き継がれる。
図4に戻って、端末プログラム65は、メイン画面をディスプレイ53に表示させる(S15)。デバイスアイコン121が指定された後のメイン画面において、切替アイコン113には、指定装置情報に含まれる装置ID“MFP−A”が記述される。次に、端末プログラム65は、例えば、動作アイコン111の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S16:プリント)、図6に示されるプリント処理を実行する。
まず、端末プログラム65は、図8(A)に示されるデータ選択画面をディスプレイ53に表示させる(S51)。データ選択画面は、データフォルダに記憶されたデータに対応するデータアイコン131、132、133を含む。そして、端末プログラム65は、データ選択画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S52)。S52の処理は、第3受付処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、例えば、データアイコン131の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S52:Yes)、データアイコン131に対応するデータを、指定データとしてメモリ62から読み出す。次に、端末プログラム65は、図8(B)に示されるプレビュー画面をディスプレイ53に表示させる(S53)。そして、端末プログラム65は、プレビュー画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S54)。S54の処理は、受付処理の一例である。
プレビュー画面は、プレビュー画像141と、[設定]アイコン142と、[プリント]アイコン143を含む。プレビュー画像141は、個別条件情報で示される実行条件に従って、指定データで示される画像をシートに記録した状態を示す。[設定]アイコン142は、個別条件情報を編集する指示に対応する。[プリント]アイコン143は、指定データを対象とするプリント動作を指定装置に実行させる指示に対応する。
次に、端末プログラム65は、[設定]アイコン142の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S54:設定)、図9(A)に示される設定画面をディスプレイ53に表示させる(S55)。設定画面は、項目“サイズ”、“用紙種”、“画質”に対応するパラメータアイコン151、152、153と、[OK]アイコン154とを含む。そして、端末プログラム65は、設定画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S56)。
パラメータアイコン151〜153には、個別条件情報で示されるパラメータ“A4”、“普通紙”、“ファイン”を示す文字列が記述されている。また、パラメータアイコン151、152、153は、対応する項目の候補パラメータが指定装置情報に複数含まれている場合に、指定可能な表示態様で表示される。一方、パラメータアイコン151、152、153は、対応する項目の候補パラメータが指定装置情報に1つだけ含まれている場合に、図10(B)のパラメータアイコン153のように、指定不能な表示態様で表示される。指定不能な表示態様とは、指定可能な表示態様と異なる表示態様であればよいが、例えば、グレーアウトであってもよい。
次に、端末プログラム65は、例えば、指定可能な表示態様のパラメータアイコン151の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S56:項目&S57:複数)、図9(B)に示されるパラメータ選択画面をディスプレイ53に表示させる(S58)。そして、端末プログラム65は、パラメータ選択画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S59)。
パラメータアイコン151が指定された場合のパラメータ選択画面は、「項目“サイズ”のパラメータを指定して下さい。」とのメッセージと、ラジオボタン161、162、163と、[OK]アイコン164とを含む。ラジオボタン161、162、163は、指定装置情報に含まれる項目“サイズ”の候補パラメータ“A4”、“B5”、“L版”に対応する。また、表示直後のパラメータ選択画面は、個別条件情報に含まれるパラメータ“A4”に対応するラジオボタン161がチェックされている。
端末プログラム65は、例えば、ラジオボタン162をチェックした後に、[OK]アイコン164を指定するユーザ操作とを入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S59:Yes)、図3(B)に示されるように、個別条件情報の項目“サイズ”のパラメータを、“A4”から“B5”に変更する(S60)。
次に、端末プログラム65は、設定画面をディスプレイ53に表示させる(S55)。ラジオボタン162がチェックされた後の設定画面において、パラメータアイコン151には、新たなパラメータ“B5”を示す文字列が記述されている。そして、ユーザは、S55〜S60の処理を繰り返し実行させることによって、個別条件情報を編集することができる。S56、S59の処理は、第2受付処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、設定画面の[OK]アイコン154の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S56:OK)、プレビュー画面をディスプレイ53に表示させる(S53)。S55〜S60を通じて個別条件情報が編集された後のプレビュー画面において、プレビュー画像141は、新たな個別条件情報で示される実行条件に従って、指定データで示される画像をシートに記録した状態を示す。
そして、端末プログラム65は、プレビュー画面の[プリント]アイコン143の指定を入力I/F54を受け付けたことに応じて(S54:プリント)、項目“画質”のパラメータ“ファイン”に従って、指定データを300dpiのラスタデータに変換する。そして、端末プログラム65は、指定装置であるMFP10Aに通信I/F55を通じてプリント指示情報を送信する(S61)。プリント指示情報は、個別条件情報で示される実行条件に従って、指定データを対象とするプリント動作を実行させる動作指示情報の一例である。プリント指示情報は、例えば、ラスタデータに変換した指定データと、個別条件情報とを含む。S61の処理は、動作指示処理の一例である。
一方図示は省略するが、MFP10Aの装置プログラム35は、通信I/F25を通じて携帯端末50からプリント指示情報を受信する。そして、装置プログラム35は、受信したプリント指示情報に従ったプリント動作を、プリンタ11に実行させる。すなわち、プリンタ11は、ラスタデータに変換された指定データで示される画像の各画素を、B5サイズの普通紙に固定数のインク滴を用いて記録する。
また具体例の図示は省略するが、非特定モデルのMFP10Aが指定装置に指定され、且つ項目“画質”のパラメータ“ノーマル”が指定された状態で、[プリント]アイコン143がタップされた場合、端末プログラム65が指定データを150dpiのラスタデータに変換することを除いて、前述の処理と同様の処理が実行される。すなわち、非特定モデルMFP10Aが実行するプリント動作において、項目“画質”のパラメータによって、シートに着弾するインク滴の数に2倍の差が生じる。
次に、MFP10Aが指定装置として指定され、且つ図3(B)に示される個別条件情報がメモリ62に記憶されている状態で、端末プログラム65が起動された場合について、前述の説明との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
まず、端末プログラム65は、メイン画面の切替アイコン113を指定した後に、デバイス選択画面のデバイスアイコン122の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S16:切替&S19:Yes)、MFP10Aの指定装置情報及び図3(B)の個別条件情報をメモリ62の作業領域に退避させ、MFP10Bの装置情報を指定装置情報としてメモリ62に記憶させる(S20)。「前装置=MFP−A」、「現装置=MFP−B」として、実行条件設定処理が実行される。
次に、端末プログラム65は、前装置の指定装置情報がメモリ62の作業領域に記憶されていると判断したことに応じて(S31:Yes)、図3(B)に示される個別条件情報を、現装置の指定装置情報と対応付けてメモリ62に記憶させる(S33)。すなわち、端末プログラム65は、指定装置がMFP10AからMFP10Bに切り替えられたことに応じて、MFP10Aの指定装置情報に対応付けられた個別条件情報を、MFP10Bの指定装置情報に対応付けてメモリ62に記憶させる。MFP10Aは第1装置の一例であり、MFP10Bは第2装置の一例である。
次に、端末プログラム65は、現装置であるMFP10Bが特定モデルであり、且つメモリ62の初回フラグに第5値“ON”が設定されていると判断したことに応じて(S34:Yes&S35:ON)、初回フラグに第6値“OFF”を設定する(S36)。S35の処理は、特定モデルのMFP10が指定装置に指定されるのが、初めてか、2回目以降かを判断する第2判断処理の一例である。
次に、端末プログラム65は、指定装置情報に対応付けてメモリ62に記憶された個別条件情報において、項目“画質”のパラメータの設定値を判断する(S37)。次に、端末プログラム65は、項目“画質”にパラメータ“ファイン”が設定されていると判断したことに応じて(S37:ファイン)、図10(A)に示される確認画面をディスプレイ53に表示させる(S38)。確認画面は、「項目“画質”のパラメータを“ファイン”から“ノーマル”に変更しますか?」のメッセージと、[YES]アイコン171と、[NO]アイコン172とを含む。
次に、端末プログラム65は、確認画面に対するユーザ操作を、入力I/F54を通じて受け付ける(S39)。S39の処理は、受付処理の一例である。そして、端末プログラム65は、[YES]アイコン171の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S39:Yes)、図3(C)に示されるように、S32、S33でコピーした個別条件情報の項目“画質”のパラメータを、“ファイン”から“ノーマル”に上書きする(S40)。一方、端末プログラム65は、S40において、項目“サイズ”、“用紙種”のパラメータを変更しない。S40の処理は、上書き処理の一例である。
一方、端末プログラム65は、確認画面の[NO]アイコン172の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S39:NO)、S40の処理をスキップして、実行条件設定処理を終了する。また、端末プログラム65は、個別条件情報の項目“画質”にパラメータ“ノーマル”が設定されていると判断したことに応じて(S37:ノーマル)、S38〜S40の処理をスキップして、実行条件設定処理を終了する。さらに、端末プログラム65は、初回フラグに第6値“OFF”が設定されていると判断したことに応じて(S35:OFF)、S36〜S40の処理をスキップして、実行条件設定処理を終了する。
すなわち、端末プログラム65は、特定モデル及び非特定モデルのうち特定モデルの指定装置が指定された場合にのみ(S34:Yes)、S40の処理を実行する。また、端末プログラム65は、第5値“ON”及び第6値“OFF”のうちの第5値“ON”が初回フラグに設定されている場合にのみ(S35:ON)、S40の処理を実行する。さらに端末プログラム65は、[YES]アイコン171及び[NO]アイコン172のうちの[YES]アイコン171が指定された場合にのみ(S39:YES)、S40の処理を実行する。
次に、端末プログラム65は、メイン画面の動作アイコン111を指定し、データ選択画面のデータアイコン131を指定した後に、プレビュー画面の[設定]アイコン142の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S16:プリント&S52:Yes&S54:設定)、設定画面をディスプレイ53に表示させる(S55)。ここで表示される設定画面は、個別条件情報に含まれるパラメータ“B5”、“普通紙”、“ノーマル”を示す文字列が記述されたパラメータアイコン151〜153を含む。
次に図示は省略するが、端末プログラム65は、パラメータアイコン152を指定し、パラメータ選択画面を通じて項目“用紙種”のパラメータ“光沢紙”の指定を入力I/F54を通じて受け付けたことに応じて(S56:パラメータ&S57:複数&S59:Yes)、個別条件情報の項目“用紙種”のパラメータを、“普通紙”から“光沢紙”に変更する(S60)。
次に、端末プログラム65は、図10(B)に示される設定画面をディスプレイ53に表示させる(S55)。特定モデルのMFP10Bが指定装置として指定され、項目“用紙種”のパラメータ“光沢紙”が選ばれた場合、項目“画質”の候補パラメータが“ノーマル”のみとなるので、項目“画質”に対応するパラメータアイコン153が指定不能な態様で表示される。すなわち、端末プログラム65は、図10(B)に示されるパラメータアイコン153の指定を入力I/F54を通じて受け付けたとしても、パラメータ選択画面を表示しない。
次に、端末プログラム65は、設定画面の[OK]アイコン154を指定した後に、プレビュー画面の[プリント]アイコン143の指定を入力I/F54を受け付けたことに応じて(S56:OK&S54:プリント)、項目“画質”のパラメータ“ノーマル”に従って、指定データを300dpiのラスタデータに変換する。そして、端末プログラム65は、指定装置であるMFP10Bに通信I/F55を通じてプリント指示情報を送信する(S61)。
一方図示は省略するが、MFP10Bの装置プログラム35は、通信I/F25を通じて携帯端末50からプリント指示情報を受信する。そして、装置プログラム35は、受信したプリント指示情報に従ったプリント動作を、プリンタ11に実行させる。すなわち、プリンタ11は、ラスタデータに変換された指定データで示される画像の各画素を、B5サイズの光沢紙に1滴のインクを用いて記録する。
また具体例の図示は省略するが、特定モデルのMFP10Bが指定装置に指定され、且つ項目“画質”のパラメータ“ファイン”が指定された状態で、[プリント]アイコン143がタップされた場合、端末プログラム65は、指定データを600dpiのラスタデータに変換する。また、この場合のプリンタ11は、ラスタデータに変換された指定データで示される画像の各画素を、B5サイズの光沢紙に3滴のインクを用いて記録する。すなわち、特定モデルMFP10Bが実行するプリント動作において、項目“画質”のパラメータによって、シートに着弾するインク滴の数に6倍の差が生じる。
次に、端末プログラム65がバージョン1.1から1.2にバージョンアップインストールされてから初めて起動された場合の実行条件設定処理について説明する。まず、端末プログラム65は、バージョンアップインストール後に初めて起動された、すなわち、起動済フラグに第3値“OFF”が設定されていると判断したことに応じて(S11:OFF)、起動済フラグに第4値“ON”を設定する(S12)。
次に、端末プログラム65は、メモリ62に指定装置情報が記憶されているか否かを判断する(S13)。そして、端末プログラム65は、メモリ62に指定装置情報が記憶されていると判断したことに応じて(S13:Yes)、実行条件設定処理(S14)を実行した後に、S15以降の処理を実行する。一方、端末プログラム65は、メモリ62に指定装置情報が記憶されていないと判断したことに応じて(S13:No)、S14の処理をスキップして、S15以降の処理を実行する。
なお、バージョン1.2の端末プログラム65が初めて起動されたタイミングでは、指定装置を変更する処理(S17〜S20)が実行されていない。そこで、バージョン1.1の端末プログラム65において、特定モデルのMFP10Bが指定装置として指定されている場合にのみ(S13:Yes&S34:Yes)、前装置=現装置として、S35以降の処理が実行される。S35以降の処理は既に説明したので、説明を省略する。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、特定モデルのMFP10Bにプリント動作を実行させる際に、項目“画質”のパラメータが“ファイン”から“ノーマル”に自動的に上書きされる。これにより、煩雑なユーザ操作を要求することなく、特定モデルのMFP10Bに適した実行条件で、プリント動作を実行させることができる。
ここで、非特定モデルのMFP10Aは、画像データの解像度に関係なく、各画素を記録するのに固定数のインク滴を用いる。そのため、特定項目“画質”に“ノーマル”を設定したとしても、プリント動作の実行時間が大きく短縮されることはない。すなわち、非特定モデルのMFP10Aは、特定項目“画質”に“ファイン”が設定された条件情報に従って、プリント動作を実行するのが望ましい。
一方、特定モデルのMFP10Bは、画像データの解像度に応じて、各画素を記録するのに用いるインク滴の数が変動する。すなわち、画像データの解像度を低くすればプリント動作の実行時間が短縮され、画像データの解像度を高くすれば高画質の画像が記録される。さらに、特定モデルに対する特定項目“画質”のパラメータ“ノーマル”と、非特定モデルに対する特定項目“画質”のパラメータ“ファイン”とでは、画像データの解像度を同一としている。
これにより、特定モデルのMFP10Bは、特定項目“画質”を“ノーマル”とした場合に、非特定モデルのMFP10Aと比較して、画質の低下を抑制しつつ、プリント動作の実行時間を短縮することができる。すなわち、特定モデルのMFP10Bが指定装置に指定された場合には、特定項目“画質”のパラメータを“ノーマル”に上書きするのが望ましい。
また、上記の実施形態によれば、指定装置が指定されていない状態で特定モデルのMFP10Bが指定装置に指定された場合に、共通条件情報に対して上書き処理が実行される。すなわち、特定項目でない項目“サイズ”、“用紙種”のパラメータは、共通条件情報から引き継がれる。また、指定装置がMFP10Aから特定モデルのMFP10Bに切り替えられた場合に、MFP10Aの個別条件情報に対して上書き処理が実行される。すなわち、特定項目でない項目“サイズ”、“用紙種”のパラメータは、MFP10Aの個別条件情報から引き継がれる。これにより、端末プログラム65には、項目“画質”の上書き処理のみを実装すればよいので、端末プログラム65の開発コストが低減される。
上書き処理で上書きされた条件情報は、全てのユーザに対して最適でない可能性がある。すなわち、上書き処理で上書きした後の条件情報が明示のユーザ操作でさらに変更された場合には、当該条件情報をそのまま引き継ぐのが望ましい。そこで上記構成のように、特定モデルのMFP10Bが指定装置に初めて指定された場合にのみ、上書き処理を実行するのが望ましい。なお、S35で「初めてでない」と判断するのは、指定装置が特定モデルから他の特定モデルに切り替えられた場合、指定装置が特定モデル、非特定モデル、特定モデルの順に切り替えられた場合の両方を含む。
また、上記の実施形態によれば、ユーザが特定モデルのMFP10Bを指定装置に指定したタイミングで、上書き処理が実行される。すなわち、指定装置を指定するユーザ操作は、MFP10に画像処理動作を実行させるためのユーザ操作の一例である。但し、上書き処理の実行タイミングは、指定装置が指定されたタイミングに限定されない。なお、前装置の指定装置情報及び個別条件情報を作業領域に退避する処理は、S20の時点で実行されるものとする。
他の例として、端末プログラム65は、S55〜S60において、項目“用紙種”のパラメータ“普通紙”が指定されたタイミングで、実行条件設定処理を実行してもよい。普通紙に画像を記録する場合は、光沢紙に画像を記録する場合と比較して、画質が低くてもプリント動作の実行時間が短い方が良い場合が多いと考えられる。そこで、このようなプリント動作を実行するタイミングで上書き処理を実行するのが望ましい。
さらに他の例として、端末プログラム65は、S51、S52でドキュメントデータが指定されたタイミングで、実行条件設定処理を実行してもよい。なお、端末プログラム65は、例えば、指定データの拡張子が“.txt”、“.doc”、“.rtf”等であることに応じて、ドキュメントデータだと判断すればよい。ドキュメントデータを対象とするプリント動作は、写真データ等を対象とするプリント動作と比較して、画質が低くてもプリント動作の実行時間が短い方が良い場合が多いと考えられる。そこで、このようなプリント動作を実行するタイミングで上書き処理を実行するのが望ましい。
また、上記の実施形態によれば、特定モデルのMFP10Bが指定装置に指定された状態で端末プログラム65がバージョンアップされた場合に、特定項目“画質”のパラメータが“ファイン”から“ノーマル”に自動的に上書きされる。これにより、煩雑なユーザ操作を要求することなく、特定モデルのMFP10Bに適した実行条件で、プリント動作を実行させることができる。
さらに、端末プログラム65は、図5のS35、S36に代えて、前装置が特定モデルか非特定モデルかを判断してもよい。この処理は、第2判断処理の他の例である。そして、端末プログラム65は、現装置が特定モデルであり、且つ前装置が特定モデルでないと判断した場合にのみ、S37以降の処理を実行してもよい。なお、「前装置が特定モデルでない」とは、前装置が非特定モデルであるか、前装置が指定されていない場合を指す。一方、端末プログラム65は、現装置が非特定モデルであるか、前装置が特定モデルであると判断した場合に、S37以降の処理をスキップしてもよい。
上記の変形例のように、指定装置が非特定モデルから特定モデルに切り替えられた場合、特定モデルのMFP10Bに適した個別条件情報が生成されるのが望ましい。一方、指定装置が特定モデルから特定モデルに切り替えられた場合、切替前のMFP10で使用していた個別条件情報が引き継がれるのが望ましい。すなわち、上記の変形例の場合には、特定モデルのMFP10Bが指定装置に指定されるのが初めてでなくても、上書き処理が実行される可能性がある。
また、上記の実施形態では、項目“画質”を特定項目の例として説明したが、特定項目の具体例はこれに限定されず、項目“サイズ”、“用紙種”、或いは不図示の他の項目であってもよい。さらに、上記の実施形態では、プリント動作を画像処理動作の例として説明したが、画像処理動作の具体例はこれに限定されず、スキャン動作、FAX送信動作、ダウンロード動作等であってもよい。
また、上記の実施形態のMFP10及び携帯端末50において、メモリ32、62に記憶された各種プログラムがCPU31、61によって実行されることによって、本発明のントローラが実行する各処理が実現される例を説明した。しかしながら、コントローラの構成はこれに限定されず、その一部又は全部を集積回路等のハードウェアで実現してもよい。
さらに、本発明は、MFP10及び携帯端末50として実現できるだけでなく、MFP10及び携帯端末50に処理を実行させるプログラムとして実現してもよい。そして、当該プログラムは、non−transitoryな記録媒体に記録されて提供されてもよい。non−transitoryな記録媒体は、CD−ROM、DVD−ROM等の他、通信ネットワーク101を通じてMFP10及び携帯端末50に接続可能なサーバに搭載された記憶部を含んでもよい。そして、サーバの記憶部に記憶されたプログラムは、当該プログラムを示す情報或いは信号として、インターネット等の通信ネットワーク101を通じて配信されてもよい。