JP6728719B2 - 有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6728719B2
JP6728719B2 JP2016017092A JP2016017092A JP6728719B2 JP 6728719 B2 JP6728719 B2 JP 6728719B2 JP 2016017092 A JP2016017092 A JP 2016017092A JP 2016017092 A JP2016017092 A JP 2016017092A JP 6728719 B2 JP6728719 B2 JP 6728719B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
dispersion
active energy
energy ray
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016017092A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017139062A (ja
Inventor
雄大 千葉
雄大 千葉
貫 岩田
貫 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2016017092A priority Critical patent/JP6728719B2/ja
Publication of JP2017139062A publication Critical patent/JP2017139062A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6728719B2 publication Critical patent/JP6728719B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は、有機EL素子用電極の製造方法、および有機EL素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)は自発光素子として、ディスプレイ等の映像表示装置や面光源として用いられている。そして、このような有機EL素子は、一般的には、ガラス基板、透明プラスチックフィルム等の透光性支持基板上に陽極である透光性電極と、発光層を含む有機層と、陰極である金属電極を順に積層して作製されるものである。発光層を含む有機層は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を有する。ホール注入層は透光性電極(陽極)側に位置し、電子注入層は、陰極(金属電極)側に位置する。
透光性電極と金属電極との間で印加された電圧により、陰極から供給された電子と陽極から供給されたホールとが有機層で再結合し、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際にEL発光する。EL発光した光は透明電極を透過し、透明支持基板の側から外部に取り出される。
しかしながら、このような有機EL素子においては、発光層を含む有機層で生じた光を外部に十分に取り出すことができないという問題があった。すなわち、発光層を含む有機層で生じた光のうちその多くは、素子の内部において多重反射を繰り返すうちに熱になって消えてしまうか、或いは、素子内部を導波して素子端部から出射してしまうため、十分な外部取り出し効率を達成することができないという問題があった。そのため、近年では、有機EL素子の分野において、凹凸形状が形成された電極による回折効果を利用して外部への光の取り出し効率を向上させること等が提案されてきた。
金属微粒子が誘電体層内部に分散された金属微粒子層を、発光層と電子輸送層との間や発光層と正孔輸送層との間に設け、発光層からの光が金属微粒子層内を伝搬する際、プラズモン共鳴を励起させ、高効率で光を外部に取り出す技術が考案されている(特許文献1)。
その他、周期格子構造による表面プラズモン共鳴を利用して、発光効率を向上する技術が開示されている(特許文献2〜特許文献9)。
これらの先行文献では周期格子構造を作製する方法として、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、機械式切削加工、レーザー加工、二光束干渉露光、縮小露光などが用いられる。しかし、二光束干渉露光を除いてこれらの手法は大面積に周期格子構造を作製するのに適さないため、工業的な利用面において面積の制約を受ける。また、二光束干渉露光による周期格子構造作製も、ある程度の大面積は作製可能であるが、一辺が数cm以上の大面積の場合は光学セットアップ全体に対する振動、風、熱収縮・膨張、空気の揺らぎ、電圧変動、等々の様々な外乱因子が影響して、均一で正確な周期格子構造を作製することはきわめて困難である。また、粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法による周期格子構造作製も、単層膜作製装置やエッチング装置が必須であり大面積化やコスト面での生産性が低いという課題がある。
特開2007−35430号公報 特開2002−270891号公報 特表2005−535121号公報 特開2005−108982号公報 特開2006−259064号公報 特開2004−31350号公報 特開2006−313667号公報 特開2009−158478号公報 特願2013−522947号公報
本発明は、上記記載の従来技術の有する課題を鑑みてなされたものであり、素子内の短絡を誘引することがなく、より高い光取出し効率を達成することが可能な有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記問題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記工程(1)〜(5)を含む有機EL素子用電極の製造方法である。
(1)分散体の平均粒子径が100〜500nmであり、変動係数が30%以下の有機粒子Aの分散体、無機粒子Bの分散体、および活性エネルギー線硬化性成分Cを混合してなる活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径が、前記無機粒子Bの分散体中の無機粒子Bの平均粒子径よりも大きい活性エネルギー線硬化性組成物を用意する工程。
(2)前記活性エネルギー線硬化性組成物を支持基板に塗工した後、乾燥し、前記有機粒子Aに起因する凸部を表面に有する活性エネルギー線硬化性膜Xであって、前記有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径の2〜20倍の厚みの活性エネルギー線硬化性膜Xを形成する工程。
(3)前記活性エネルギー線硬化性膜Xに活性エネルギー線を照射し、硬化膜Yを形成する工程。
(4)次いで、加熱し、前記硬化膜Yの表面の凸部を、その淵部を残すように破壊し、凹部を形成して、200〜450nmの間隔の凹凸の占める割合が30%以上である、硬化膜Zを得る工程。
(5)前記硬化膜Z上に金属を蒸着する工程。
硬化膜Zの凹凸の平均高さが10〜100nmである、請求項1記載の有機EL用素子電極の製造方法である。
無機粒子Bの分散体の平均粒子径が5〜50nmである、請求項1または2記載の有機EL用素子電極の製造方法。
また、本発明は、下記工程(1)〜(8)を含む有機EL素子の製造方法に関する。
(1)分散体の平均粒子径が100〜500nmであり、変動係数が30%以下の有機粒子Aの分散体、無機粒子Bの分散体、および活性エネルギー線硬化性成分Cを混合してなる活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径が、前記無機粒子Bの分散体中の無機粒子Bの平均粒子径よりも大きい活性エネルギー線硬化性組成物を用意する工程。
(2)前記活性エネルギー線硬化性組成物を支持基板に塗工した後、乾燥し、前記有機粒子Aに起因する凸部を表面に有する活性エネルギー線硬化性膜Xであって、前記有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径の2〜20倍の厚みの活性エネルギー線硬化性膜Xを形成する工程。
(3)前記活性エネルギー線硬化性膜Xに活性エネルギー線を照射し、硬化膜Yを形成する工程。
(4)次いで、加熱し、前記硬化膜Yの表面の凸部を、その淵部を残すように破壊し、凹部を形成して、200〜450nmの間隔の凹凸の占める割合が30%以上である、硬化膜Zを得る工程。
(5)前記硬化膜Z上に金属を蒸着し、有機EL用素子電極を製造する工程。
(6)前記有機EL用電極上に、発光層を含む有機層を形成する工程。
(7)前記発光層を含む有機層上に、透明電極を形成する工程。
(8)接着剤を用いて前記透明電極上に、透明支持基板に貼り付ける工程。
本発明により、素子内の短絡を誘引することがなく、より高い光取出し効率を達成することが可能な有機EL素子提供のための電極を簡便な方法で得ることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に特定されない。
<有機粒子A>
有機粒子Aについて説明する。
有機粒子Aとしては、ポリアクリレートビーズ、ポリメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、ポリカーボネートビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、およびベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド縮合物ビーズ等が用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
有機粒子Aは、種々の方法で得ることができ、分散体の状態で得ることができる。例えば乳化重合(この中の一態様にソープフリー乳化重合がある)、分散重合、懸濁重合、シード重合などが挙げられる。中でも、乳化重合、分散重合は粒度分布が比較的狭いものとなり、本発明における波長依存性の低減に寄与するため好ましい。また、種々の(メタ)アクリレートを含有させた重合体とすることで、立体反発による分散性を付与することが出来る。
上記のようにして得られる有機粒子Aの分散体の平均粒子径は、後述する無機粒子Bの分散体中の無機粒子Bの平均粒子径よりも大きいことが重要である。具体的には有機粒子Aの分散体の平均粒子径は、100〜500nmであることが好ましい。後述の硬化膜Zが有する凹凸の形状は、有機粒子Aの分散体の平均粒子径によって制御できる。有機粒子Aの分散体の平均粒子径は、100nm以上とすることで可視光波長に対する凹凸平均間隔を制御することができ、500nm以下とすることで回折効果に必要な回折角を確保することができる。好ましくは、100nm〜450nmであり、さらに好ましくは150nm〜370nmである。
本明細書において、有機粒子Aの分散体の「平均粒子径」とは、後述の平均1次粒子径とは異なり、凝集による2次粒子の粒子径を加味した分散粒径のことである。これは動的光散乱法によって求めることが出来る。ここで、平均1次粒子径と区別する理由は、同じ平均1次粒子径の有機粒子Aを用いた場合であっても、有機粒子Aの分散状態により、平均粒子径および粒度分布は異なる場合があるためである。
「平均粒子径」は測定サンプルの50体積%における分散粒径の値である。これらは動的光散乱法では日機装(株)社製「ナノトラックUPA」で測定することができる。
有機粒子Aの粒度分布としては、変動係数が30%以下であることが好ましい。「変動係数」とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値の百分率で表されるものであり、平均粒子径に対するばらつきの大きさの指標となる。
変動係数が30%より大きいと、粒径のバラつきが大きくなり、所定の凹凸形状が得られなくなる場合がある。より好ましくは変動係数が20%以下である。
有機粒子Aの分散体は、予め溶剤に分散した分散液を用いることが好ましい。また、その際、界面活性剤など分散を安定化させる添加剤を加えてもよい。
<無機粒子B>
硬化性膜X、硬化膜Yおよび硬化膜Zは、無機粒子Bを含む。無機粒子Bは、有機粒子Aと凝集がおきず、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化性膜X、硬化膜Yおよび硬化膜Z中に均一に分散していることが望ましい。
無機粒子Bは、硬化膜Zを形成する際、表面近傍に位置する有機粒子Aの破壊・分解を促進する機能を担う。
無機粒子Bとしては、具体的には、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ハフニウム(HfO)、五酸化ニオブ(Nb)、五酸化タンタル(Ta)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)から成る群から選択された少なくとも1種の材料から成る粒子が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
酸化チタン(TiO)、および酸化ジルコニウム(ZrO2)は分散性の観点から特に好ましい。
硬化膜Zに所定の凹凸を形成するためには、無機粒子Bの粒子間に強い凝集がないことが好ましい。そのため、無機粒子Bの平均1次粒子径は100nm以下が好ましく、さらに好ましくは5〜50nmである。
本明細書における「平均1次粒子径」とは凝集を加味しない個々の粒子径のことを示し、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて実測した50個の粒子直径の平均値である。
無機粒子Bは、粉体をそのまま用いることができるが、予め溶剤に分散した分散体を用いることが好適である。無機粒子Bの分散体の平均粒子径が5〜50nmであることが好ましい。
分散方法は、無機粒子Bの表面状態に合わせた分散剤を用い、分散機を用いる方法が好ましい。分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスP Y 」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)、微小ビーズミル(寿工業(株)社製「スーパーアペックミル」および「ウルトラアペックミル」)、超音波分散機等が使用できる。
分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、およびポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。
分散に関しては、2種類以上の分散機、または大きさの異なる2種類以上のメディアをそれぞれ用い、段階的に実施しても差し支えない。
無機粒子Bを分散させるために、必要に応じて分散剤を添加することが出来る。分散剤は、無機粒子Bの凝集を抑制し、分散性を良好なものにするものであればなんら構わない。好ましくは、低分子型分散剤、高分子型分散剤、界面活性剤型分散剤が好適に用いられる。
<活性エネルギー線硬化性成分C>
活性エネルギー線硬化性を有する成分としては、エチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。エチレン性不飽和二重結合としては、(メタ)アクリレート基、およびマレイミド基のような不飽和基が挙げられる。活性エネルギー線硬化性を有する成分は、エポキシ基、およびオキセタニル基などを有すこともできる。
活性エネルギー線硬化性を有する成分を硬化することにより、有機粒子Aあるいは無機粒子Bを硬化膜中に保持することが出来る。活性エネルギー線硬化性を有する成分の質量平均分子量(Mw)は5000〜20000であることが好ましい。質量平均分子量(Mw)が5000以上であることにより、有機粒子Aあるいは無機粒子Bを良好に分散させることが出来る。また、質量平均分子量(Mw)が20000以下であることにより、低粘度にでき、有機粒子Aあるいは無機粒子Bの凝集を抑制・防止し、平坦性に優れる硬化性膜Xを得ることが出来る。
活性エネルギー線硬化性を有する成分がエチレン性不飽和二重結合を含む場合、その二重結合当量は400(g/mol)以上1600(g/mol)以下が好ましい。二重結合当量が400(g/mol)以上であると、硬化膜の硬化収縮が抑制でき、透光性電極に微細な亀裂あるいは剥離が生じ難くなる。一方、二重結合当量が1600(g/mol)以下であると架橋密度が大きくなり、洗浄工程での電極の剥離を抑制・防止できる。
エチレン性不飽和二重結合を有する成分を得る方法としては、特に制限はない。
例えば、水酸基、エポキシ基、酸(カルボキシル)基、およびイソシアネート基の中から選ばれる1種または2種以上の官能基を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分を重合させてなる共重合体中の官能基を、この官能基と反応可能な官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有するエチレン性不飽和単量体で変性する方法が挙げられる。
共重合体の官能基と、変性に使用するエチレン性不飽和単量体の官能基の組み合わせは特に制限は無いが、例えば、水酸基とイソシアネート基、水酸基とエポキシ基、およびエポキシ基と酸(カルボキシル)基等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性を有する成分Cは、エチレン性不飽和二重結合の他に、架橋性基として熱架橋性基を有することが好ましい。熱架橋性官能基としては、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、酸(カルボキシル)基、およびイソシアネート基が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
<活性エネルギー線硬化性組成物>、<活性エネルギー線硬化性膜X>
活性エネルギー線硬化性組成物は、有機粒子Aの分散体、および無機粒子Bの分散体をそれぞれ独立して作製し、その後、および活性エネルギー線硬化性を有する成分Cを混合あるいは混練することにより得ることができる。
分散安定性の観点からは、有機粒子Aの分散体と、無機粒子Bの分散体とを混合した後、活性エネルギー線硬化性を有する成分C、および必要に応じてその他の成分とを均一に混合する方法が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、その他必要時応じて、シラン化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、レベリング剤、および光安定剤などを含むこともできる。
活性エネルギー線硬化性膜Xは、有機粒子Aの分散体、無機粒子Bの分散体、および活性エネルギー線硬化性を有する成分Cを含む活性エネルギー線硬化性組成物を支持基材に塗工し、乾燥することによって得られる。以下、活性エネルギー線硬化性膜Xを硬化性膜Xと略すことがある。硬化性膜Xの厚みは、有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径の2〜20倍であることが重要であり、2〜10倍であることが好ましい。
硬化性膜Xは、有機粒子A、無機粒子B、および活性エネルギー線硬化性を有する成分Cの他に光重合開始剤を含むことができる。
硬化性膜Xは、有機粒子A、無機粒子B、および活性エネルギー線硬化性を有する成分Cの合計100質量%中、有機粒子Aを1〜35質量%、無機粒子Bを30〜75質量%、活性エネルギー線硬化性成分Cを1〜35質量%含むことが好ましく、有機粒子Aを10〜35質量%、無機粒子Bを35〜75質量%、活性エネルギー線硬化性成分Cを5〜30質量%含むことがより好ましく、有機粒子Aを15〜30質量%、無機粒子Bを40〜70質量%、活性エネルギー線硬化性成分Cを5〜30質量%含むことがさらに好ましい。
有機粒子Aの量は、硬化性膜Xおよび硬化膜Yの表面に所定の凹凸形状を発現させる点で上記範囲であることが好ましい。無機粒子Bの量は粒子同士の凝集抑制や形成される凹凸形状の強度確保の点で重要で上記範囲であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性成分Cの量は活性エネルギー線硬化性硬化膜Xの安定性、操作性向上の点で上記範囲であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物を支持基材に塗工する方法としては、公知の方法を用いることができ、
例えばロットまたはワイヤーバーなどを用いた方法;
および、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング、リップコーティング、スロットコーティングまたはスピンコーティングなどの各種コーティング方法を用いることができる。
パターニングする場合は、1)印刷方式により直接パターニングを行う方法 と、2)フォトリソグラフィー方式によりパターニングを行う方法を用いることが出来る。
1)印刷方式では、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷等の通常の印刷方式で行うことができる。
2)フォトリソグラフィー方式では、感光性の活性エネルギー線硬化性組成物を使用する。その場合、活性エネルギー線硬化性組成物を基板に直接塗布、乾燥させた後、もしくはフィルム基材(以下セパレートフィルムと称す)上に溶剤に溶解させた上記組成物を塗工後、溶剤を乾燥させることにより得られる感光性ドライフィルムを、透光性基板に張り合わせたのち、ラミネートや真空ラミネートによって、基板への密着および気泡等の除去を行う事により活性エネルギー線硬化性硬化膜Xを形成した後に、溶液現像またはアルカリ現像工程によってパターン形成を行う。
<硬化膜Y>
活性エネルギー線硬化性膜Xに活性エネルギー線を照射することによって、硬化膜Yを形成できる。
活性エネルギー線にて硬化することで、硬化性膜Xの表面の凹凸形状を固定化することができる。活性エネルギー線は、可視光線または紫外線または赤外線等による光(電磁波)硬化性、電子線照射の中より選ばれる1種または2種以上を併用して用いることが出来る。
硬化性膜Xおよび硬化膜Yの表面は凹凸を有する。凹凸の平均高さは、10〜200nmであることが好ましく、20〜150nmであることがより好ましい。
硬化性膜Xおよび硬化膜Yの表面の「凹凸の平均高さ」、「凹凸の間隔」は、走査型プローブ顕微鏡(例えば、オックスフォード・インストゥルメンツ社製の製品名「アサイラムリサーチMFP−3D」等)を用いて求めることができる。即ち、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ5μmだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦方向に測定した最も高い山頂から10番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から10番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を「凹凸の平均高さ」いう。
また、硬化性膜Xおよび硬化膜Yの表面の凹凸の間隔分布状態も同様の装置を用いて、求めることができる。例えば、2.0μm×2.0μmの領域について、隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔を測り、その分布によって凹凸の間隔分布状態を求めることができる。本発明における硬化性膜Xおよび硬化膜Yの表面の凹凸の間隔分布は、200〜450nmの間隔の凹凸の占める割合が10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
<硬化膜Z>
硬化膜Yを加熱することにより、硬化膜Yの表面の凸部の淵部を残すよう、硬化膜Y表面近傍にあった有機粒子Aの少なくとも一部を破壊、分解することにより、硬化膜Zを得ることができる。例えば、10℃/分の条件で昇温した際に、有機粒子Aの質量が5〜10%減少する温度にて、硬化膜Yの加熱時間は、硬化膜Zの凹凸の間隔や深さが後述する範囲となる条件で加熱することができる。
例えば、有機粒子Aの凸部を破壊し、凹部を形成するための加熱条件は温度、時間により制御することができる。加熱温度は、200〜300℃が好ましい。200℃以上とすることで徐々に分解させることができ、300℃以下とすることで、分解速度を任意に制御することが出来る。より好ましくは210℃〜280℃であり、さらに好ましくは220〜250℃である。加熱時間は、5〜60分が好ましい。5分以上とすることで、分解速度を任意に制御することができ、60分以下とすることで凹部の形状を維持し、所定の凹凸形状に制御することが出来る。好ましくは10〜50分であり、さらに好ましくは20〜40分である。
硬化性膜Xおよび硬化膜Yの場合と同様に、硬化膜Zの凹凸の平均高さや、凹凸の間隔分布状態を求めることができる。
硬化膜Zの凹凸の平均高さは10〜100nmであることが好ましい。10nm以上とすることで、可視光波長に対する回折効果を確保でき、100nm以下とすることで前述した電界分布の不均一化の抑制、電界集中による発熱や素子破壊を防ぐことが出来る。平均高さは、20〜90nmがより好ましく、さらに好ましくは30〜80nm、さらに好ましくは40〜60nmである。
硬化膜Zの凹凸の間隔分布は、200〜450nmの間隔の凹凸の占める割合が30%以上であることが好ましく、40以上%であることがより好ましい。
硬化膜Zの表面の凹凸をこのような深さ・間隔にすることにより、硬化膜Z上に金属を蒸着した有機EL素子用電極の表面にも同様の凹凸を形成できる。その結果、凹凸構造により表面プラズモンとして失われていた光のエネルギーが取り出され、取り出されたエネルギーを輻射光として金属層表面から放射させることができる。
[有機EL素子用電極]、[有機EL素子]
有機EL素子用電極は、前記硬化膜Z上に金属を蒸着することにより得ることができる。
そして、有機EL素子は、前記有機EL素子用電極上に、発光層を含む有機層を形成し、次いで前記発光層を含む有機層上に、透明電極を形成し、さらに接着剤を用いて前記透明電極上に、透明支持基板に貼り付けることにより得ることができる。
蒸着に供する金属や蒸着方法は、公知の金属や公知の方法が挙げられる。
発光層を含む有機層、透明電極、接着剤、透明支持基板についても、同様に公知の材料、公知の作成方法が適宜選択できる。
有機EL素子用電極の表面は、前記硬化膜Zと同様の凹凸をその表面に有することができる。そして、有機EL素子において、発光層が発光する際に、ごく近傍に近接場光が発生する。発光層と金属層との距離は非常に近いため、近接場光は金属層の表面にて伝播型の表面プラズモンのエネルギーに変換される。その結果、取出し面から高強度の光が出射し、取出し効率が向上する。
本発明では、有機EL素子用電極の表面の凹凸の周期性が低く、凹部または凸部がランダムに分布している。この凹凸形状のランダム性が、広帯域の光の取出し効率の向上に寄与する。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。特に明記しない限り、「部」は「質量部」を表し、「%」は質量%を示す。
先ず、有機粒子Aと無機粒子Bの分散粒子径、硬化膜Zを得るための加熱条件の測定方法、凹凸形状の測定方法について説明する。
(分散粒子径)
分散粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定した。
サンプルセル内に有機粒子Aまたは無機粒子Bに使用する分散媒を充填し、ブランクを測定した。次に、有機粒子A分散液または無機粒子Bをこれに加え、測定可能な濃度範囲まで希釈した。動的光散乱法による測定を行い、測定サンプルの50体積%における分散粒径の値を粒子径とした。また、分散粒径のうち、600nm以上の粒子径の体積%を、粒子径600nm以上の粒子の含有量とした。
(硬化膜Zを得るための温度条件)
硬化膜Zを得るための加熱条件(温度、時間)は以下の方法で測定した。セイコーインスツルメンツ社製の示差熱熱質量同時測定装置EXSTER TG/DTA6300を用い、200ml/分の空気気流下、10℃/分の昇温速度にて測定し、有機粒子Aの質量が5%減少し、昇温前の95%となる温度を求めた。
(硬化性膜X、硬化膜Y、Zの膜厚の測定)
硬化性膜X、硬化膜Y、Zの膜厚の測定は以下の方法で測定した。ニコン社製の接触式膜厚計「デジマイクロカウンタTC−101」を用いて、10点以上の測定値の平均値を膜厚とした。
(硬化性膜X、硬化膜Y、Zの表面の凹凸形状の測定)
オックスフォード・インストゥルメンツ社製の製品名「アサイラムリサーチMFP−3D」を用いて測定した。
カンチレバーの材質:シリコン
測定環境温度:25℃
測定面積:2μm×2μm
(1)有機粒子Aの分散液の作製
(製造例101)
雰囲気下、水566.7gの中に、トリフルオロエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート40g、アリルメタクリレート5g、およびイソボルニルアクリレート5gを添加・強撹拌し、80℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(以下「V−50」という)0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、80℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングにより水を除去し、固形分20質量%に調整した有機粒子A分散液(A−1)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた有機粒子A分散液(A−1)中の有機粒子Aの平均粒子径は290nm、変動係数は5%だった。
有機粒子A分散液(A−1)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(製造例102)
水の量を900gとした以外は製造例101と同様の組成にて、重合およびストリッピングし、固形分20質量%の有機粒子A分散液(A−2)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた有機粒子A分散液(A−2)中の有機粒子Aの平均粒子径は120nm、変動係数は5%だった。
有機粒子A分散液(A−2)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(製造例103)
雰囲気下、メタノール365gおよび水201.7gの混合溶剤に、トリフルオロエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート40g、アリルメタクリレート5g、およびイソボルニルメタリレート5gを添加・強撹拌し、60℃に昇温し、「V−50」0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、60℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングによりメタノールおよび水を除去し、固形分20質量%に調整した有機粒子A分散液(A−3)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた有機粒子A分散液(A−3)中の有機粒子Aの平均粒子径は420nm、変動係数は11%だった。
有機粒子A分散液(A−3)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(製造例104)
雰囲気下、メタノール409.2gおよび水157.5gの混合溶剤に、トリフルオロエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート45g、アリルメタクリレート5gを添加・強撹拌し、40℃に昇温し、「V−50」0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、40℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングによりメタノールおよび水を除去し、固形分20質量%に調整した有機粒子A分散液(A−4)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた有機粒子A分散液(A−4)中の有機粒子Aの平均粒子径は588nm、変動係数は15%だった。
有機粒子A分散液(A−4)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(製造例105)
「V−50」0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を1時間掛けて徐々に滴下した以外は、製造例101と同様の組成にて、重合およびストリッピングし、固形分20質量%の有機粒子A分散液(A−5)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた有機粒子A分散液(A−5)中の有機粒子Aの平均粒子径は340nm、変動係数は40%だった。
有機粒子A分散液(A−5)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(製造例106)
市販の有機粒子であるアドバンセルNS(積水化学工業株式会社製)をメトキシプロピルアセテートに加え、固形分20質量%に調整した有機粒子A分散液(A−6)を得た。得られた有機粒子A分散液(A−6)中の有機粒子Aの平均粒子径は150nm、変動係数は13%だった。
有機粒子A分散液(A−6)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(製造例107)
市販の有機粒子であるタフチックF−120(東洋紡株式会社製)をメトキシプロピルアセテートに加え、固形分20質量%に調整した有機粒子A分散液(A−7)を得た。得られた有機粒子A分散液(A−7)中の有機粒子Aの平均粒子径は200nm、変動係数は10%だった。
有機粒子A分散液(A−7)を乾燥し、有機粒子Aを得、5%熱分解温度を求めたところ、230℃であった。
(2)分散剤の作製
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコにビフェニルテトラカルボン酸二無水物80.0部、ペンタエリスリトールトリアクリレート250.0部、メチルヒドロキノン0.24部、シクロヘキサノン217.83部を加え、85℃まで昇温した。次に触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン1. 65部を加え、90℃で8時間反応した。続いてこの溶液中に、ラウリルグリシジルエーテル134.3部、シクロヘキサノン86.9部、ジメチルベンジルアミン2.82部を加え、徐々に昇温度し、100度で反応させた。室温まで冷却し、固形分60質量%の分散剤溶液を得た。質量平均分子量(Mw)は3500であった。
(3)無機粒子Bの分散体の作製
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート86.7g、(2)で得られた分散剤溶液3.3g(約1.98gの分散剤を含む)を加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、無機粒子B分散体(酸化チタン微粒子分散体)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は50nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約83.5%、分散剤は16.5%である。
(4)活性エネルギー線硬化性成分の作製
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、およびガス導入管を備えた反応容器に、溶剤としてメトキシプロピルアセテート100部を入れた。この容器内に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱した。この温度を保持し、ジシクロペンタニルメタクリレート24部、ヒドロキシエチルメタクリレート15部、メタクリル酸36.6部、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.5部をメトキシプロピルアセテート40部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続けて、共重合体を得た。
次いで、反応容器内に乾燥空気を導入し、グリシジルメタクリレート(GMA)30部、メトキシプロピルアセテート37部、ジメチルベンジルアミン0.6部、およびメトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分35質量%の活性エネルギー線硬化性成分の溶液を得た。活性エネルギー線硬化性成分の5%熱分解温度は230℃以上、質量平均分子量(Mw)は15000、二重結合当量は500であった。
(実施例1)
(5)活性エネルギー線硬化性組成物の作製
有機粒子A:無機粒子B:活性エネルギー線硬化性成分:光重合開始剤:シランカップリング剤:レベリング剤の質量比が20:60.1:8.2:0.6:11:0.1となるよう、有機粒子A分散液(A−1)、無機粒子B分散体、活性エネルギー線硬化性成分の溶液等を混合した後。メッシュ径5μmのフィルタで濾過し、活性エネルギー線硬化性組成物を作製した。
(6)活性エネルギー線硬化性膜Xの作製
100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス「イーグル2000」)に、スピンコーターを用いて、前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、放冷し、1.3μmの厚みの活性エネルギー線硬化性膜Xを作製した。
(7)硬化膜Yの作製
次に、超高圧水銀ランプを用いて、前記硬化性膜Xに、照度20mW/cm、200mJ/cmの紫外線を照射し、硬化膜Yを得た。
(8)硬化膜Zの作製
次に、硬化膜Yを230℃に加熱したオーブンに入れ、20分放置した。その後、室温で放冷することで硬化膜Zを得た。
(9)有機EL素子用電極の作製
前記硬化膜Z上に、真空蒸着法によりMgとAgを共蒸着し、厚さ100nmのMgAg層を形成後、MgAgの酸化防止の観点から、さらに、その上にAgを50nm蒸着し、有機EL素子用の背面電極(陰極)とした。
(10)有機EL素子の作製
前記有機EL素子用電極上に、30nmの厚さの電子注入層(表2に示す[Alq3])を形成し、前記電子注入層上に40nmの厚さの赤色の発光層(表2参照)を形成した。
次に、前記赤色の発光層上に、正孔輸送層として、N,N‘−ジ−(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジン(以下、α−NPD)を50nmの厚さに形成し、前記正孔輸送層上に、正孔注入層として、銅フタロシアニン(以下、CuPcという)を15nmの厚さに形成した。
その後、ITOセラミックターゲット(In:SnO=90:10(質量比))を用い、DCスパッタリング法にて厚さ150nmのITO膜を、前記正孔注入層上に、形成した。フォトレジストを用いて上記ITO膜をエッチングして、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターンを形成した。超音波洗浄を行った後、低圧紫外線ランプを用いてオゾン洗浄し、透明電極(陽極)とした。
その後、紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上に透明支持基板としてスライドガラスを被せ、高圧紫外線ランプを用いてエポキシ樹脂を硬化させ、赤色の有機EL素子素得た。
上記と同様にして、表2に示す発光層と電子注入層を使用し、青色、緑色、および白色の発光素子をそれぞれ作製し、有機EL素子を得た。
(11)評価
得られた有機EL素子の光取り出し効率、発光外観、波長依存性を下記基準に基づき、評価した。
<<光取り出し効率>>
コニカミノルタセンシング(株)社製分光放射輝度計「CS−2000」により、硬化膜Zを形成した場合の有機EL素子、硬化膜Zを形成せず、ガラス基板で作製した有機EL素子の正面輝度をそれぞれ測定した。
硬化膜Zを形成しなかった場合を基準とし、硬化膜Zを形成した場合の白色発光素子の正面輝度の向上率を有機EL素子の正面輝度の向上率を求めた。
正面輝度向上率1.5倍以上:優(◎)、
正面輝度向上率1.2倍以上〜1.5倍未満:良(○)、
正面輝度向上率1.2倍未満:可(△)
<<発光外観(ダークスポット、ムラ)>>
各有機EL素子の発光素子に、室温において順方向電流を10mA/cm通電し、発光外観(ダークスポット、ムラ)を観察した。
ダークスポット、ムラが観察されない:良(○)、
ダークスポット、ムラが僅かに観察される:可(△)、
ダークスポット、ムラが観察される:不可(×)
<<波長依存性>>
表2に示す赤・青・緑の発光層を用いた発光装置における正面輝度の違い、および、白色発光層を用いた発光装置における発光スペクトルの形状変化の有無により評価した。発光スペクトルの測定は、大塚電子(株)社製MCPD−9800を用いて行なった
赤・青・緑のそれぞれの正面輝度向上率の値の差が10%未満かつ白色のスペクトル形状が変化していない:良(○)、
赤・青・緑のそれぞれの正面輝度向上率の値の差が10%以上20%未満かつ白色のスペクトル形状が変化していない:可(△)、
赤・青・緑のそれぞれの正面輝度向上率の値の差が20%以上かつ白色のスペクトル形状が変化している:不可(×)
(実施例2〜5)
実施例1で用いた有機粒子A分散液(A−1)の代わりに、有機粒子A分散液(A−2)、(A−3)、(A−6)、(A−7)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化性膜X、硬化膜Y、Z、有機EL素子用電極、および有機EL素子を順次作成し、同様に評価した。
(比較例1〜2)
実施例1で用いた有機粒子A分散液(A−1)の代わりに、有機粒子A分散液(A−4)、(A−5)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化性膜X、硬化膜Y、Z、有機EL素子用電極、および有機EL素子を順次作成し、同様に評価した。
(比較例3〜5)
硬化膜Yを作成した後、表3に示すように加熱条件を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化膜Z、有機EL素子用電極、および有機EL素子を順次作成し、同様に評価した。
(比較例6)
実施例1で用いた有機粒子A分散液(A−1)を用いず、実施例1と同様に硬化性膜X、硬化膜Yを作成し、加熱することなく硬化膜Y上に蒸着層を形成した有機EL素子用電極、および有機EL素子を順次作成し、同様に評価した。
実施例1〜5では、所定の凹凸形状を有することにより取り出し効率の向上が認められ、素子内の短絡による発光外観の不良は確認されなかった。一方、比較例1、2では、所定の粒子径、変動係数を満たしていないため、目的とする凹凸形状の平均高さ、平均間隔の割合を満たせず、取り出し効率、発光外観が悪い結果となった。
比較例3〜5では、実施例1と同じ活性エネルギー線硬化性組成物を用いても、加熱条件の違いにより、硬化膜Zの200〜450nmの平均間隔の割合が30%未満となり、取り出し効率、発光外観が悪い結果となった。比較例6では、凹凸形状を持たないため、発光外観は良好であるが、取り出し効率は低い結果となった。
以上説明したように、本発明によれば、素子内の短絡を誘引することがなく、光取出し効率をより向上させることができ、十分に高い発光効率を達成することが可能な有機EL素子を提供することが可能となる。

Claims (1)

  1. 下記工程(1)〜(7)を含む有機EL素子の製造方法。
    (1)分散体の平均粒子径が100〜500nmであり、変動係数が30%以下の有機粒子Aの分散体、無機粒子Bの分散体、および活性エネルギー線硬化性成分Cを混合してなる活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径が、前記無機粒子Bの分散体中の無機粒子Bの平均粒子径よりも大きい活性エネルギー線硬化性組成物を用意する工程。
    (2)前記活性エネルギー線硬化性組成物を支持基板に塗工した後、乾燥し、前記有機粒子Aに起因する凸部を表面に有する活性エネルギー線硬化性膜Xであって、前記有機粒子Aの分散体中の有機粒子Aの平均粒子径の2〜20倍の厚みの活性エネルギー線硬化性膜Xを形成する工程。
    (3)前記活性エネルギー線硬化性膜Xに活性エネルギー線を照射し、硬化膜Yを形成する工程。
    (4)次いで、加熱し、前記硬化膜Yの表面の凸部を、その淵部を残すように破壊し、凹部を形成して、200〜450nmの間隔の凹凸の占める割合が30%以上である、硬化膜Zを得る工程。
    (5)前記硬化膜Z上に金属を蒸着し、有機EL素子用電極を製造する工程。
    (6)前記有機EL素子用電極上に、発光層を含む有機層を形成する工程。
    (7)前記発光層を含む有機層上に、透明電極を形成する工程。

JP2016017092A 2016-02-01 2016-02-01 有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法 Expired - Fee Related JP6728719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016017092A JP6728719B2 (ja) 2016-02-01 2016-02-01 有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016017092A JP6728719B2 (ja) 2016-02-01 2016-02-01 有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017139062A JP2017139062A (ja) 2017-08-10
JP6728719B2 true JP6728719B2 (ja) 2020-07-22

Family

ID=59565961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016017092A Expired - Fee Related JP6728719B2 (ja) 2016-02-01 2016-02-01 有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6728719B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017139062A (ja) 2017-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5656177B2 (ja) 有機発光素子用基板及びその製造方法
TWI688599B (zh) 自發射型感光性樹脂組合物、由其製造的濾色器和具有該濾色器的圖像顯示裝置
JP5543480B2 (ja) 高屈折率の充填材層及びパッシベーション層を備える光抽出フィルム
KR101871538B1 (ko) 유기 el 소자용의 광 취출 투명 기판 및 그것을 사용한 유기 el 소자
Duan et al. Inkjet‐printed micrometer‐thick patterned perovskite quantum dot films for efficient blue‐to‐green photoconversion
TW201905115A (zh) 包括經包覆之奈米粒子之墨水
KR101985916B1 (ko) 광산란층용 수지 조성물, 광산란층, 및 유기 전계 발광 장치
WO2011062215A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法並びにこれを用いる照明装置
TWI395796B (zh) 透明膜形成用組成物及積層透明膜
TW201905117A (zh) 含有量子點之硬化性組成物、含有量子點之硬化物、光學構件之製造方法及顯示裝置之製造方法
JP2011029099A (ja) 透明導電膜付き基材
JP2005183370A (ja) カーボンナノチューブエミッターの形成方法
JP2010049210A (ja) 塗布組成物、該塗布組成物の製造方法、透光性光散乱性膜、有機エレクトロルミネッセンス表示素子及び面状光源体
JP6732045B2 (ja) 波長変換フィルムおよびバックライトユニット
Yuan et al. Directional control and enhancement of light output of scintillators by using microlens arrays
CN105163871B (zh) 涂层制品和具有包括折射率匹配层的光外耦合层堆栈的装置及其制备方法
CN106575547A (zh) 透明电极、透明电极的制造方法、及电子器件
JP6435870B2 (ja) 光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置
KR101114917B1 (ko) 유기전자소자용 기판 및 그 제조방법
JP6728719B2 (ja) 有機el素子用電極の製造方法、および有機el素子の製造方法
JP5834327B2 (ja) 光散乱用樹脂組成物、および該光散乱樹脂組成物から形成される光散乱層、および該光散乱層を具備する有機el表示装置または有機el照明装置
JP2006310131A (ja) 色変換膜
JP6185867B2 (ja) 機能性積層材料、機能性積層材料の製造方法、および機能性積層材料を含む有機電界発光装置
JP6127791B2 (ja) 光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置
JP2016061818A (ja) 光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200331

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200615

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6728719

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees