以下、図面を参照しながら実施形態に係る運転支援通信システム10について詳細に説明する。本実施形態に係る運転支援通信システム10は、車両での車両情報の検証処理の負担を小さくすることを目的とする。なお、以下、複数の実施形態を説明するが、共通する機能を有する構成要素については同一の符号を付けて重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、運転支援通信システム10を模式的に示した図である。図2は、運転支援通信システム10の構成を示したブロック図である。
運転支援通信システム10は、複数の車両20と、少なくとも1つの路側機30とを備える。車両20は、道路を走行する移動体であって、例えば、自動車、原動機付き自転車および自転車等である。なお、運転支援通信システム10は、車両20に限らず、他の移動体に適用してもよい。路側機30は、路側に設置される機器である。路側機30は、例えば、車両20が通過する道路に設置されたり、信号機を備える交差点に設置されたり、駐車場等に設置されたりする。なお、路側機30は、必ずしも、路側に固定されていなくてもよく、適宜持ち運びして移動されてもよい。
車両20は、車両通信装置22を有する。路側機30は、路側通信装置32を有する。車両通信装置22および路側通信装置32は、電波により情報(メッセージ)を互いに無線通信する。
車両通信装置22および路側通信装置32は、共通のチャネル(周波数帯域)に、共通の方式でメッセージを送信および受信する。車両通信装置22および路側通信装置32は、自身が設定した送信タイミングにおいて、送信対象のメッセージを予め定められた方式で符号化および変調して、所定チャネルに無線送信する。車両通信装置22および路側通信装置32が無線送信したメッセージは、所定チャネルにブロードキャスト送信され、通信エリア内に位置する他の装置により受信される。
また、車両通信装置22および路側通信装置32は、送信タイミング以外の期間において、所定チャネルに他の装置から無線送信されたメッセージの受信を待機する状態となっている。車両通信装置22および路側通信装置32は、送信タイミング以外の期間において、他装置から所定チャネルにメッセージが送信された場合、他装置からメッセージを受信することができる。
車両通信装置22は、所定期間毎に、車両メッセージ(移動体メッセージ)をブロードキャスト送信する。車両メッセージには、車両情報(移動体情報)と、車両情報の正当性を示す第1の検証情報とを含む。車両情報は、車両20の走行に関する情報である。車両情報を送信することにより、車両通信装置22は、自車両の走行に関する情報を、路側機30および近傍の車両20に与えることができる。車両メッセージについては、図3を参照してさらに説明する。
なお、自車両とは、その車両通信装置22が備えられている車両20(自移動体)のことをいう。また、他車両とは、その車両通信装置22が備えられている車両20以外の車両20(他移動体)のことをいう。
路側通信装置32は、車両通信装置22から送信された車両メッセージを受信する。路側通信装置32は、車両メッセージに含まれる第1の検証情報に基づき、車両メッセージに含まれる車両情報の正当性を検証する。そして、路側通信装置32は、正当であると検証された車両情報を記憶する。これにより、路側通信装置32は、路側機30の周囲(通信可能なエリア内)に存在する車両20から、その車両20の走行に関する情報を取得することができる。
路側通信装置32は、所定期間毎に、合成メッセージをブロードキャスト送信する。合成メッセージは、合成情報と、合成情報の正当性を示す第2の検証情報を含む。合成情報は、正当であると検証された車両情報に基づき生成された、1または複数の車両20の走行に関する情報である。これにより、路側通信装置32は、路側機30の周囲に存在する1または複数の車両20の走行に関する情報を、路側機30の周囲に存在する1または複数の車両20のそれぞれに送信することができる。合成メッセージについては、図3を参照してさらに説明する。
車両通信装置22は、周囲(通信可能なエリア内)に存在する車両20から送信された車両メッセージを受信する。車両通信装置22は、車両メッセージに含まれる第1の検証情報に基づき、車両メッセージに含まれる車両情報の正当性を検証する。
車両通信装置22は、周囲(通信可能なエリア内)に存在する路側機30から送信された合成メッセージを受信する。車両通信装置22は、合成メッセージに含まれる第2の検証情報に基づき、合成メッセージに含まれる合成情報の正当性を検証する。さらに、車両通信装置22は、正当であると検証された合成情報から1または複数の車両情報を抽出する。
そして、車両通信装置22は、正当であると検証された車両情報および合成情報から抽出した1または複数の車両情報に基づき、車体の大きさ、自車両との相対位置および移動方向等を表すマップ情報を生成する。さらに、車両通信装置22は、マップ情報に基づき自車両と他車両との衝突可能性を解析する。これにより、車両通信装置22は、自車両と衝突しそうな他車両が存在する場合、運転者に注意を促したり、衝突(例えば、ニヤミス、接触および衝突等)を避けるように走行を制御したりすることができる。
図3は、メッセージに含まれる情報を示す図である。メッセージは、車両20と車両20との間および車両20と路側機30との間に送受信される。メッセージは、図3の(A)に示すように、情報内容と、検証情報とを含む。
検証情報は、情報内容の正当性を検証するための情報である。検証情報は、例えば、共通鍵暗号によるメッセージ認証コードまたはデジタル署名である。このような検証情報が付加されたメッセージは、情報内容の完全性および送信元の真正性を担保することができる。
車両メッセージの場合、情報内容は、車両情報である。車両情報は、図3の(B)に示すように、例えば、識別情報、位置、速度、車体の大きさ、姿勢、ハンドル角度および送信時刻を含む。
識別情報は、その車両情報を送信した車両20(または車両通信装置22)を他の車両20(または他の車両通信装置22)と識別するための情報である。位置は、その車両情報を送信した車両20の位置(例えば、緯度および経度)である。車体の大きさは、その車両情報を送信した車両20の車体の大きさである。姿勢は、その車両情報を送信した車両20の姿勢(東西南北の方向)を表す。ハンドル角度は、その車両情報を送信した車両20のハンドルの回転角度である。ハンドル角度は、車両20の走行予定方向を表す。送信時刻は、その車両情報を送信した時刻を表す。なお、車両情報は、これら以外の情報を含んでもよいし、これらの情報の一部を含まなくてもよい。
合成メッセージの場合、情報内容は、合成情報である。合成情報は、図3の(C)に示すように、例えば、1または複数の車両情報を含む。より具体的には、合成情報は、その合成情報の送信タイミングより前の所定期間において取得した、正当であると検証された車両情報を含む。合成情報は、1または複数の車両情報を連結した情報である。また、合成情報は、1または複数の車両情報を所定の方式で符号化した情報であってもよい。なお、合成情報は、車両情報以外の情報を含んでもよい。
図4は、第1実施形態に係る車両通信装置22の機能構成を示す図である。車両通信装置22は、アンテナ41と、スイッチ42と、車両タイミング制御部43と、少なくとも1つのセンサ45と、車両情報生成部47と、第1検証情報生成部48と、車両メッセージ生成部49と、送信部50と、受信部52と、メッセージ処理部53と、解析部54と、通知部55と、車両制御部56とを有する。
アンテナ41は、所定チャネルに対して電磁波を放射する。また、アンテナ41は、所定チャネルを伝播する電磁波を取得する。
スイッチ42は、送信タイミングにおいて、送信部50とアンテナ41とを接続して、送信部50から出力された信号をアンテナ41を介して所定チャネルに送出させる。スイッチ42は、受信期間(送信タイミング以外の期間)において、受信部52とアンテナ41とを接続して、アンテナ41から取得した信号を受信部52に供給する。
車両タイミング制御部43は、予め設定された送信間隔毎に車両メッセージが送信されるように送信タイミングを制御する。車両タイミング制御部43は、送信タイミングにおいて、アンテナ41と送信部50とを接続するとともに、送信部50に車両メッセージを送信させる。また、車両タイミング制御部43は、送信タイミングにおいて車両メッセージを送信可能なように、車両情報生成部47、第1検証情報生成部48および車両メッセージ生成部49のそれぞれに、送信タイミングに先だって処理を実行させる。
少なくとも1つのセンサ45は、車両情報を生成するために必要な各種の情報を検知する。少なくとも1つのセンサ45は、例えば、車両20の位置(例えば、緯度および経度)、車両20の姿勢(東西南北の方向)および車両20のハンドルの回転角度等を検知する。少なくとも1つのセンサ45のそれぞれは、検知結果を車両情報生成部47に与える。
車両情報生成部47は、車両メッセージの送信間隔毎に、車両情報を生成する。この場合、車両情報生成部47は、車両メッセージの送信タイミングから第1所定時間前において、少なくとも1つのセンサ45のそれぞれから検知結果を取得する。第1所定時間は、車両情報の生成、検証情報の生成、車両メッセージの生成および車両メッセージの送信を実行するための処理時間である。そして、車両情報生成部47は、検知結果および予め設定された情報等に基づき、車両情報を生成する。例えば、車両情報生成部47は、識別情報、位置、速度、車体の大きさ、姿勢、ハンドル角度および送信時刻等を含む車両情報を生成する。なお、車両情報生成部47は、識別情報および車体の大きさを予め記憶している。また、車両情報生成部47は、送信時刻を時刻発生部等から取得してよい。
第1検証情報生成部48は、車両情報生成部47により生成された車両情報を受け取る。第1検証情報生成部48は、受け取った車両情報の正当性を示す検証情報を生成する。
車両メッセージ生成部49は、車両情報生成部47により生成された車両情報と、第1検証情報生成部48により生成された検証情報とを受け取る。車両メッセージ生成部49は、受け取った車両情報と、受け取った検証情報とを含む車両メッセージを生成する。
送信部50は、送信タイミングに先だって生成された車両メッセージを、車両メッセージ生成部49から受け取る。そして、送信部50は、車両タイミング制御部43により指定された送信タイミングにおいて、受け取った車両メッセージをアンテナ41を介して所定チャネルに送信する。
受信部52は、車両タイミング制御部43により指定された送信タイミング以外の期間において、アンテナ41を介して所定チャネルから情報を受信する。具体的には、受信部52は、路側機30の路側通信装置32が所定チャネルに送信した合成メッセージを受信する。さらに、受信部52は、他車両が所定チャネルに送信した車両メッセージを受信する。
メッセージ処理部53は、受信部52により受信された合成メッセージおよび車両メッセージを受け取る。そして、メッセージ処理部53は、受け取った合成メッセージおよび車両メッセージに基づき、マップ情報を生成する。マップ情報は、周囲に位置する1または複数の車両20のそれぞれについて、車体の大きさ、自車両との相対位置、移動方向および元となる車両情報の送信時刻等を表す。なお、メッセージ処理部53については、図6を参照してさらに説明する。
解析部54は、マップ情報に基づき、自車両と他車両とが衝突する可能性等を解析する。例えば、解析部54は、衝突(例えば、ニヤミス、接触および衝突等)する確率、衝突する予測時刻、および、接触する位置等を解析する。解析部54は、解析結果を通知部55および車両制御部56に与える。
通知部55は、解析部54による解析結果を運転者に通知する。例えば、通知部55は、警告をモニタに表示したり、音声で出力したりしてもよい。さらに、通知部55は、衝突を回避するための指示を運転者に通知してもよい。
車両制御部56は、解析部54による解析結果に基づき車両20の動作を制御する。例えば、車両制御部56は、他車両との衝突を回避するように、自車両の動作を制御する。
なお、センサ45、解析部54、通知部55および車両制御部56は、車両通信装置22以外の装置に設けられていてもよい。例えば、センサ45、解析部54、通知部55および車両制御部56は、車両制御用のプロセッサ等に実装されていてもよい。また、車両20は、通知部55または車両制御部56の何れか一方のみを備える構成であってもよい。例えば、車両20が自動運転機能を有する場合には、車両制御部56を備えていてもよい。また、車両20が自動運転機能を有さない場合には、車両制御部56を備えず、通知部55を備えていてもよい。
図5は、第1実施形態に係る路側通信装置32の機能構成を示す図である。路側通信装置32は、路側アンテナ61と、路側スイッチ62と、路側タイミング制御部63と、メッセージ受信部65と、メッセージフィルタ部66と、メッセージ検証部68と、車両情報記憶部70と、車両情報取得部71と、合成情報生成部72と、第2検証情報生成部73と、合成メッセージ生成部74と、メッセージ送信部75とを有する。
路側アンテナ61は、所定チャネルに対して電磁波を放射する。また、路側アンテナ61は、所定チャネルを伝播する電磁波を取得する。
路側スイッチ62は、送信タイミングにおいて、メッセージ送信部75と路側アンテナ61とを接続して、メッセージ送信部75から出力された信号を路側アンテナ61を介して所定チャネルに送出させる。路側スイッチ62は、受信期間(送信タイミング以外の期間)において、メッセージ受信部65と路側アンテナ61とを接続して、路側アンテナ61から取得した信号をメッセージ受信部65に供給する。
路側タイミング制御部63は、所定間隔毎に、合成メッセージが送信されるように送信タイミングを制御する。路側タイミング制御部63は、送信タイミングにおいて、路側アンテナ61とメッセージ送信部75とを接続するとともに、メッセージ送信部75に合成メッセージを送信させる。路側タイミング制御部63は、送信タイミングにおいて合成メッセージを送信可能なように、車両情報取得部71、合成情報生成部72、第2検証情報生成部73および合成メッセージ生成部74のそれぞれに、送信タイミングに先だって処理を実行させる。
メッセージ受信部65は、路側タイミング制御部63により指定された送信タイミング以外の期間において、路側アンテナ61を介して所定チャネルから情報を受信する。具体的には、メッセージ受信部65は、路側機30の周囲(通信可能なエリア内)に位置する車両20の車両通信装置22から、車両メッセージを受信する。
メッセージフィルタ部66は、メッセージ受信部65が受信した車両メッセージのうち、予め定められた条件を満たす車両メッセージを削除し、予め定められた条件を満たさない車両メッセージをメッセージ検証部68に与える。
例えば、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージのうち、予め定められた距離より遠い車両20から送信された車両メッセージを削除する。例えば、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージの車両情報に含まれる位置が、路側機30から予め定められた距離より遠い場合、受信した車両メッセージを削除する。これにより、メッセージフィルタ部66は、路側機30の近傍の車両20と衝突する可能性が低い車両20から送信された車両メッセージを削除することができる。
また、例えば、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージのうち、予め定められた時間前から現在までの間に正当でない車両情報を送信した車両20から送信された車両メッセージを削除する。例えば、メッセージフィルタ部66は、後段のメッセージ検証部68において正当でないと判断された車両情報に含まれる識別情報を、不正な識別情報として、一定期間、記憶する。そして、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージの車両情報に含まれる識別情報が、記憶している不正な識別情報と一致する場合、受信した車両メッセージを削除する。これにより、メッセージフィルタ部66は、不正な車両情報を検証する処理を無くすことができる。
また、例えば、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージのうち、車両情報に含まれる何れかの値が異常である車両メッセージを削除する。例えば、メッセージフィルタ部66は、車両情報に含まれる所定の値が、予め設定されている範囲外である場合、異常であると判断する。また、メッセージフィルタ部66は、車両情報に含まれる所定の値が、過去の値(例えば、直前の値または所定時間前までの値の平均等)から、予め定められた範囲を超えて変化した場合には、異常であると判断する。これにより、メッセージフィルタ部66は、誤っている可能性が高い車両情報を検証する処理を無くすことができる。
また、例えば、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージのうち、予め定められた時間前から現在までの間に値が異常である車両情報を送信した車両20から送信された車両メッセージを削除する。例えば、メッセージフィルタ部66は、値が異常であると判断した車両情報に含まれる識別情報を、異常な値を含む車両情報の識別情報として、一定期間、記憶する。そして、メッセージフィルタ部66は、受信した車両メッセージの車両情報に含まれる識別情報が、記憶している異常な値を含む車両情報の識別情報と一致する場合、受信した車両メッセージを削除する。これにより、メッセージフィルタ部66は、異常な値を含む車両情報を検証する処理を無くすことができる。
メッセージ検証部68は、メッセージフィルタ部66を通過した車両メッセージを取得する。メッセージ検証部68は、受信した車両メッセージに含まれる検証情報に基づき、受信した車両メッセージに含まれる車両情報の正当性を検証する。メッセージ検証部68は、車両情報が正当であると判断した場合には、車両情報を車両情報記憶部70に書き込む。メッセージ検証部68は、車両情報が正当ではないと判断した場合には、その車両情報を書き込まずに削除する。車両情報記憶部70は、正当であると検証された車両情報を記憶する。
車両情報取得部71は、合成メッセージの送信間隔毎に、車両情報記憶部70に書き込まれている1または複数の車両情報を読み出す。この場合、車両情報取得部71は、合成メッセージの送信タイミングから第2所定時間前において、車両情報記憶部70に書き込まれている1または複数の車両情報を読み出す。第2所定時間は、合成情報の生成、検証情報の生成、合成メッセージの生成および合成メッセージの送信を実行するための処理時間である。車両情報取得部71は、車両情報記憶部70から車両情報を読み出した後、読み出し済みの車両情報を車両情報記憶部70から削除したり、フラグを立てたりする。これにより、車両情報取得部71は、次の処理以降に、同一の車両情報を重複して読み出すことを回避できる。
合成情報生成部72は、車両情報取得部71により読み出された、正当であると検証された1または複数の車両情報に基づき、複数の車両20の走行に関する情報である合成情報を生成する。本実施形態においては、合成情報生成部72は、正当であると検証された1または複数の車両情報を連結することにより合成情報を生成する。合成情報生成部72は、車両20において合成情報から1または複数の車両情報を再現できれば、他の方法で合成情報を生成してもよい。
第2検証情報生成部73は、合成情報生成部72により生成された合成情報の正当性を示す検証情報を生成する。合成メッセージ生成部74は、合成情報生成部72により生成された合成情報と、合成情報の正当性を示す検証情報とを含む合成メッセージを生成する。
メッセージ送信部75は、送信タイミングに先だって生成された合成メッセージを、合成メッセージ生成部74から受け取る。そして、メッセージ送信部75は、路側タイミング制御部63により指定された送信タイミングにおいて、受け取った合成メッセージを路側アンテナ61を介して所定チャネルに送信する。
図6は、第1実施形態に係る車両通信装置22が有するメッセージ処理部53の機能構成を示す図である。メッセージ処理部53は、メッセージ記憶部82と、検証部83と、マップ生成部84とを有する。
メッセージ記憶部82は、受信部52が受信した合成メッセージまたは車両メッセージを記憶する。メッセージ記憶部82は、例えば、第1記憶部85と、第2記憶部86と、分配部87とを含む。第1記憶部85は、合成メッセージを記憶する。第2記憶部86は、車両メッセージを記憶する。分配部87は、受信部52が受信した合成メッセージおよび車両メッセージを取得する。分配部87は、合成メッセージを第1記憶部85に書き込み、車両メッセージを第2記憶部86に書き込む。
第1記憶部85および第2記憶部86は、検証部83からメッセージが読み出される。第1記憶部85および第2記憶部86は、それぞれFIFO(First In First Out)メモリであってよい。FIFOメモリである第1記憶部85および第2記憶部86は、先に書き込まれたメッセージが先に検証部83により読み出される。
検証部83は、メッセージ記憶部82から合成メッセージおよび車両メッセージを1つずつ読み出して、正当性を検証する。検証部83は、合成メッセージを読み出した場合、読み出した合成メッセージに含まれる検証情報に基づき、読み出した合成メッセージに含まれる合成情報の正当性を検証する。また、検証部83は、車両メッセージを読み出した場合、読み出した車両メッセージに含まれる検証情報に基づき、読み出した車両メッセージに含まれる車両情報の正当性を検証する。検証部83は、合成情報または車両情報が正当であると判断した場合には、合成情報または車両情報を後段のマップ生成部84に与える。検証部83は、合成情報または車両情報が正当ではないと判断した場合には、その合成情報または車両情報をマップ生成部84に与えずに削除する。
ここで、検証部83は、合成情報を車両情報より優先して検証する。例えば、検証部83は、メッセージ記憶部82に合成メッセージが1つでも記憶されている場合には、車両メッセージよりも合成メッセージを先に読み出して検証してもよい。例えば、検証部83は、第1記憶部85に合成メッセージが記憶されている場合には、優先して第1記憶部85から合成メッセージを読み出して合成情報を検証する。そして、この場合、検証部83は、第1記憶部85に合成メッセージが記憶されていないことを条件として第2記憶部86から車両メッセージを読み出して車両情報を検証する。
また、例えば、検証部83は、車両メッセージよりも合成メッセージの読み出し回数を多くして、検証してもよい。例えば、検証部83は、第1記憶部85および第2記憶部86の両者にメッセージが記憶されている場合、第1記憶部85からN回(Nは2以上の整数)連続で合成メッセージを読み出したことを条件として、第2記憶部86から車両メッセージを1回読み出してもよい。
このような検証部83は、1回で複数の車両情報を取得することができる検証処理を優先して実行することができる。これにより、検証部83は、効率良く検証処理を実行することができる。
なお、検証部83は、受信してから予め定められた時間以上経過したメッセージについては検証を実行しなくてもよい。例えば、メッセージ記憶部82は、書き込まれてから一定時間以上経過したメッセージを削除してもよい。これにより、検証部83は、現時点とは異なる状態を表す合成情報または車両情報についての検証処理を無くして、効率良く検証処理を実行することができる。
マップ生成部84は、検証部83から、正当であると検証された合成情報または正当であると検証された車両情報を取得する。マップ生成部84は、正当であると検証された合成情報に基づき、周囲に存在する1または複数の車両20のそれぞれについての車体の大きさ、自車両との相対位置、移動方向および元となる車両情報の送信時刻等を表すマップ情報を生成する。また、マップ生成部84は、正当であると検証された車両情報に基づき、マップ情報を生成する。なお、マップ生成部84は、既にマップ情報を生成している状態において、新たな合成情報または車両情報を取得した場合には、新たな合成情報または車両情報に基づき、既に生成しているマップ情報における対応する部分を更新する。
また、マップ生成部84は、同一の車両20についての車両情報を複数回取得した場合、送信時刻が最も遅い1つの車両情報に基づき、マップ情報におけるその車両20に対応する部分を生成または更新する。これにより、マップ生成部84は、同一の車両20から車両情報を複数回取得した場合、古い車両情報に基づきマップ情報を更新してしまったり、同一の送信時刻の複数の車両情報に基づき重複してマップ情報を更新してしまったりすることを無くすことができる。
マップ生成部84は、例えば、マップ記憶部90と、選択部91と、抽出部92と、重複排除部93と、マップ処理部94と、マップ出力部95とを含む。マップ記憶部90は、最新のマップ情報を記憶する。
選択部91は、検証部83から合成情報または車両情報を取得する。選択部91は、合成情報を抽出部92に与え、車両情報を重複排除部93に与える。
抽出部92は、合成情報から、含まれる1または複数の車両情報を抽出する。例えば、合成情報が複数の車両情報を連結した情報である場合、抽出部92は、合成情報を複数の車両情報に分離する。抽出部92は、抽出した1または複数の車両情報を重複排除部93に与える。
重複排除部93は、選択部91および抽出部92から、車両情報を取得する。重複排除部93は、マップ情報における対応する車両20についての元となる車両情報の送信時刻が、取得した車両情報と同一または新しいか否かを判断する。マップ情報における対応する車両20についての元となる車両情報の送信時刻が、取得した車両情報と同一または新しい場合、重複排除部93は、取得した車両情報を削除する。マップ情報における対応する車両20についての元となる車両情報の送信時刻が、取得した車両情報より古い場合重複排除部93は、取得した車両情報をマップ処理部94に与える。これにより、重複排除部93は、同一の車両20における同一または過去の送信時刻の車両情報により、マップ情報を重複して更新することを回避することができる。
マップ処理部94は、重複排除部93から、車両情報を取得する。マップ処理部94は、取得した車両情報に基づき、マップ記憶部90に記憶されているマップ情報における、対応する情報(対応する車両20についての車体の大きさ、自車両との相対位置、移動方向、および、元となる車両情報の送信時刻等)を更新する。
マップ出力部95は、マップ情報が更新された場合、マップ情報を解析部54に与える。マップ出力部95は、解析部54から取得要求を受けた場合に、マップ記憶部90に記憶されているマップ情報を解析部54に与えてもよい。
図7は、車両通信装置22における送信処理を示すフローチャートである。車両通信装置22は、例えば運転が開始された後、図7に示すフローに従って送信処理を実行する。
まず、S111において、車両通信装置22は、車両メッセージの生成タイミングか否かを判断する。生成タイミングは、例えば、車両メッセージの送信タイミングの第1所定時間前である。車両通信装置22は、車両メッセージの生成タイミングである場合(S111のYes)、処理をS112に進め、生成タイミングでない場合(S111のNo)、処理をS111で待機する。
続いて、S112において、車両通信装置22は、センサ45による検知結果を取得する。続いて、S113において、車両通信装置22は、車両情報を生成する。続いて、S114において、車両通信装置22は、生成した車両情報の正当性を示す検証情報(第1の検証情報)を生成する。続いて、S115において、車両通信装置22は、生成した車両情報と、生成した検証情報(第1の検証情報)とを含む車両メッセージを生成する。
続いて、S116において、車両通信装置22は、車両メッセージの送信タイミングか否かを判断する。送信タイミングは、例えば、予め設定された送信間隔毎(例えば、100m秒毎)に指定される。車両通信装置22は、送信タイミングである場合(S116のYes)、処理をS117に進め、送信タイミングでない場合(S116のNo)、処理をS116で待機する。
S117において、車両通信装置22は、生成した車両メッセージの送信処理をする。そして、車両通信装置22は、処理をS111に戻す。以上のように、車両通信装置22は、予め設定された送信間隔毎に、周囲の路側機30および周囲の車両20に車両メッセージを送信することができる。
図8は、路側通信装置32における受信処理を示すフローチャートである。路側通信装置32は、所定の位置に設置された後、図8に示すフローに従って受信処理を実行する。
まず、S121において、路側通信装置32は、合成メッセージの送信タイミングか否かを判断する。送信タイミングは、例えば、予め設定された送信間隔毎に指定される。送信タイミングにおいて、路側通信装置32は、車両メッセージを受信することができない。路側通信装置32は、合成メッセージの送信タイミングではない場合(S121のNo)、処理をS122に進め、送信タイミングである場合(S121のYes)、処理をS121で待機する。
続いて、S122において、路側通信装置32は、車両メッセージを受信したか否かを判断する。路側通信装置32は、車両メッセージを受信した場合(S122のYes)、処理をS123に進め、車両メッセージを受信していない場合(S122のNo)、処理をS121に戻す。
続いて、S123において、路側通信装置32は、車両メッセージの受信処理をする。続いて、S124において、路側通信装置32は、受信した車両メッセージが、予め設定された削除条件を満たすか否かを判断する。予め設定された削除条件は、例えば、予め定められた距離より遠い車両20から送信された車両メッセージであることである。また、削除条件は、予め定められた時間前から現在までの間に正当でない車両情報を送信した車両20から送信された車両メッセージであることでもよい。また、削除条件は、車両情報に含まれる何れかの値が異常である車両メッセージであることでもよい。また、削除条件は、予め定められた時間前から現在までの間に値が異常である車両情報を送信した車両20から送信された車両メッセージであることでもよい。
受信した車両メッセージが削除条件を満たす場合(S124のYes)、路側通信装置32は、処理をS121に戻す。これにより、路側通信装置32は、受信した車両メッセージに対する処理を実行せずに削除することができる。受信した車両メッセージが削除条件を満たさない場合(S124のNo)、路側通信装置32は、処理をS125に進める。
S125において、路側通信装置32は、受信した車両メッセージに含まれる検証情報に基づき、受信した車両メッセージに含まれる車両情報の正当性を検証する。続いて、S126において、路側通信装置32は、車両情報が正当であるか否かを判断する。車両情報が正当でない場合(S126のNo)、路側通信装置32は、処理をS121に戻す。車両情報が正当である場合(S126のYes)、路側通信装置32は、処理をS127に進める。
S127において、路側通信装置32は、車両情報を車両情報記憶部70に書き込む。そして、路側通信装置32は、処理をS121に進める。以上のように路側通信装置32は、送信タイミング以外の期間において、周囲の車両20から車両情報を受信することができる。さらに、路側通信装置32は、削除条件を満たさず且つ正当な車両情報を、車両情報記憶部70に記憶させることができる。
図9は、路側通信装置32における送信処理を示すフローチャートである。路側通信装置32は、所定の位置に設置された後、図9に示すフローに従って送信処理を実行する。
まず、S131において、路側通信装置32は、合成メッセージの生成タイミングか否かを判断する。生成タイミングは、例えば、合成メッセージの送信タイミングの第2所定時間前である。路側通信装置32は、合成メッセージの生成タイミングである場合(S131のYes)、処理をS132に進め、生成タイミングでない場合(S131のNo)、処理をS131で待機する。
続いて、S132において、路側通信装置32は、車両情報記憶部70に記憶されている1または複数の車両情報を読み出す。路側通信装置32は、過去に送信された合成メッセージに含まれなかった1または複数の車両情報を、車両情報記憶部70から読み出す。
続いて、S133において、路側通信装置32は、読み出した1または複数の車両情報に基づき合成情報を生成する。例えば、路側通信装置32は、読み出した1または複数の車両情報を連結して合成情報を生成する。
続いて、S134において、路側通信装置32は、生成した合成情報の正当性を示す検証情報(第2の検証情報)を生成する。続いて、S135において、路側通信装置32は、生成した合成情報と、生成した検証情報(第2の検証情報)とを含む合成メッセージを生成する。
続いて、S136において、路側通信装置32は、合成メッセージの送信タイミングか否かを判断する。送信タイミングは、例えば、予め設定された送信間隔毎に指定される。路側通信装置32は、送信タイミングである場合(S136のYes)、処理をS137に進め、送信タイミングでない場合(S136のNo)、処理をS136で待機する。
S137において、路側通信装置32は、生成した合成メッセージの送信処理をする。そして、路側通信装置32は、処理をS131に戻す。以上のように、路側通信装置32は、予め設定された送信間隔毎に合成メッセージを周囲の車両20に送信することができる。
図10は、車両情報の取得期間を示す図である。路側通信装置32は、例えば、T秒毎に、合成メッセージを送信する。例えば、路側通信装置32は、時刻t0において、合成メッセージを送信し、時刻t0からT秒後の時刻t1において、次の合成メッセージを送信する。また、路側通信装置32は、車両情報記憶部70から車両情報を読み出す処理、1または複数の車両情報から合成情報を生成する処理、検証情報を生成する処理、合成メッセージを生成する処理および合成メッセージを送信する処理に要する合計時間(第2所定時間)が、ΔTである。
このような場合、路側通信装置32は、時刻t0からΔTを減じた時刻(t0−ΔT)から、時刻t1からΔTを減じた時刻(t1−ΔT)までの間に取得した1または複数の車両情報を、車両情報記憶部70から読み出す。そして、路側通信装置32は、読み出した1または複数の車両情報に基づく合成メッセージを、時刻t1に送信する。これにより、路側通信装置32は、T秒毎に合成メッセージを送信することができる。
図11は、車両通信装置22における受信処理を示すフローチャートである。車両通信装置22は、例えば運転が開始された後、図11に示すフローに従って受信処理を実行する。
まず、S141において、車両通信装置22は、車両メッセージの送信タイミングか否かを判断する。送信タイミングは、例えば、予め設定された送信間隔毎に指定される。送信タイミングにおいて、車両通信装置22は、メッセージを受信することができない。車両通信装置22は、車両メッセージの送信タイミングではない場合(S141のNo)、処理をS142に進め、送信タイミングである場合(S141のYes)、処理をS141で待機する。
続いて、S142において、車両通信装置22は、メッセージを受信したか否かを判断する。車両通信装置22は、メッセージを受信した場合(S142のYes)、処理をS143に進め、メッセージを受信していない場合(S142のNo)、処理をS141に戻す。
続いて、S143において、車両通信装置22は、メッセージの受信処理をする。続いて、S144において、車両通信装置22は、受信したメッセージが、合成メッセージか否かを判断する。受信したメッセージが合成メッセージである場合(S144のYes)、車両通信装置22は、処理をS145に進める。受信したメッセージが合成メッセージでない場合(S144のNo)、すなわち、受信したメッセージが車両メッセージである場合、車両通信装置22は、処理をS146に進める。
S145において、車両通信装置22は、合成メッセージをメッセージ記憶部82の第1記憶部85に書き込む。また、S146において、車両通信装置22は、車両メッセージをメッセージ記憶部82の第2記憶部86に書き込む。S145またはS146を終えると、車両通信装置22は、処理をS141に戻す。
以上のように車両通信装置22は、送信タイミング以外の期間において、周囲の路側機30または周囲の車両20から、合成メッセージおよび車両メッセージを受信することができる。さらに、車両通信装置22は、合成メッセージを第1記憶部85に書き込み、車両メッセージを第2記憶部86に書き込むことができる。
図12は、第1実施形態におけるメッセージ受信後の処理を示すフローチャートである。車両通信装置22は、例えば運転が開始された後、受信処理と並行して、図12に示すフローに従って処理を実行する。
まず、S151において、車両通信装置22は、メッセージ記憶部82に少なくとも1つのメッセージが記憶されているか否かを判断する。車両通信装置22は、少なくとも1つのメッセージがある場合(S151のYes)、処理をS152に進め、メッセージが1つも無い場合(S151のNo)、処理をS151で待機する。
S152において、車両通信装置22は、メッセージ記憶部82から合成メッセージおよび車両メッセージを1つずつ読み出す。この場合において、車両通信装置22は、合成メッセージを車両メッセージより優先して読み出す。
例えば、車両通信装置22は、第1記憶部85に1つでも合成メッセージが記憶されている場合には、合成メッセージを読み出す。そして、車両通信装置22は、第1記憶部85に合成メッセージが記憶されていないことを条件として第2記憶部86から車両メッセージを読み出す。また、車両通信装置22は、第1記憶部85および第2記憶部86の両者にメッセージが記憶されている場合、第1記憶部85からN回(Nは2以上の整数)連続で合成メッセージを読み出したことを条件として、第2記憶部86から車両メッセージを1回読み出してもよい。
続いて、S153において、車両通信装置22は、読み出したメッセージに含まれる検証情報に基づき、読み出したメッセージに含まれる情報内容(合成情報または車両情報)を検証する。続いて、S154において、車両通信装置22は、メッセージに含まれる情報内容が正当であるか否かを判断する。情報内容が正当でない場合(S154のNo)、車両通信装置22は、処理をS151に戻す。情報内容が正当である場合(S154のYes)、車両通信装置22は、処理をS155に進める。
S155において、車両通信装置22は、検証した情報内容が合成情報か否かを判断する。検証した情報内容が合成情報でない場合(S155のNo)、すなわち、検証した情報内容が車両情報である場合、車両通信装置22は、処理をS156に進める。検証した情報内容が合成情報である場合(S155のYes)、車両通信装置22は、処理をS158に進める。
S156において、車両通信装置22は、取得した車両情報が、既に取得済みの車両情報と重複しているか否かを判断する。すなわち、車両通信装置22は、マップ情報における対応する情報部分の元となる車両情報の送信時刻が、取得した車両情報の送信時刻より新しいまたは同一の場合、取得済みの車両情報と重複している車両情報であると判断する。車両通信装置22は、取得した車両情報が、取得済みの車両情報と重複している場合(S156のYes)、処理をS151に戻す。車両通信装置22は、取得した車両情報が、取得済みの車両情報と重複していない場合(S156のNo)、処理をS157に進める。
S157において、車両通信装置22は、取得した車両情報に基づき、マップ情報における、対応する車両20に関する情報(車体の大きさ、自車両との相対位置、移動方向、および、元となる車両情報の送信時刻等)を更新する。また、車両通信装置22は、対応する車両20に関する情報がマップ情報にまだ含まれていない場合には、対応する車両20に関する情報をマップ情報に新たに生成する。車両通信装置22は、S157を終えると、処理をS163に進める。
また、S158において、車両通信装置22は、取得した合成情報から、含まれる1または複数の車両情報を抽出する。例えば、合成情報が複数の車両情報を連結した情報である場合、車両通信装置22は、合成情報を複数の車両情報に分離する。
S158を終えると、続いて、車両通信装置22は、抽出した車両情報毎に、S159とS162との間のループ処理を実行する。
ループ内におけるS160において、車両通信装置22は、抽出した車両情報が、取得済みの車両情報と重複しているか否かを判断する。S160の処理は、S156の処理と同様である。車両通信装置22は、抽出した車両情報が、取得済みの車両情報と重複している場合(S160のYes)、処理をS162に進める。車両通信装置22は、抽出した車両情報が、取得済みの車両情報と重複していない場合(S160のNo)、処理をS161に進める。
ループ内におけるS161において、車両通信装置22は、抽出した車両情報に基づき、マップ情報における、対応する車両20に関する情報を更新する。S161の処理は、S157の処理と同様である。車両通信装置22は、S161を終えると、処理をS162に進める。
S162において、車両通信装置22は、抽出した全ての車両情報について処理を終えたかどうかを判断する。車両通信装置22は、全ての車両情報について159とS162との間の処理を終えた場合には、ループを抜けて、処理をS163に進める。
S163において、車両通信装置22は、マップ情報に基づき、自車両と他車両とが衝突する可能性等を解析する。例えば、車両通信装置22は、衝突する確率、衝突する予測時刻、および、衝突する位置等を解析する。
続いて、S164において、車両通信装置22は、自車両と他車両とが衝突するか否かを判断する。例えば、S164において、車両通信装置22は、衝突する確率が所定値以上であるか否かを判断してもよい。車両通信装置22は、自車両と他車両とが衝突しない場合(S164のNo)、処理をS151に戻す。車両通信装置22は、自車両と他車両とが衝突する場合(S164のYes)、処理をS165に進める。
S165において、車両通信装置22は、解析結果を運転者に通知したり、衝突を回避するために車両20の動作を制御したりする。S165を終えると、車両通信装置22は、処理をS151に戻す。
以上のように、路側通信装置32は、周囲の車両20から受信した複数の車両情報に基づき合成情報を生成し、合成情報と検証情報とを含む合成メッセージを周囲のそれぞれの車両20に送信する。そして、車両通信装置22は、複数の車両情報に基づき生成された合成情報を検証して、複数の車両情報を取得する。このように、運転支援通信システム10によれば、車両通信装置22に複数の車両情報を1回の検証処理により取得させることができるので、車両通信装置22の検証処理の負担を小さくすることができる。
(第1変形例)
図13は、第1実施形態の第1変形例に係るメッセージ処理部53の機能構成を示す図である。第1実施形態の第1変形例に係る検証部83は、緊急車両から送信された車両メッセージに含まれる車両情報を、緊急車両以外の車両20から送信された車両メッセージに含まれる車両情報より優先して検証する。
緊急車両は、人命救助または火災対応等により急を要する業務に利用される車両20である。例えば、緊急車両は、救急車、消防車および警察車両等である。
第1変形例に係る検証部83は、合成メッセージよりも、緊急車両から送信された車両メッセージを優先して検証してもよい。例えば、メッセージ記憶部82は、第3記憶部171をさらに含む。第1変形例に係る第1記憶部85は、緊急車両から送信された車両メッセージを記憶する。第1変形例に係る第2記憶部86は、合成メッセージを記憶する。第3記憶部171は、緊急車両以外の一般の車両20から送信された車両メッセージを記憶する。分配部87は、メッセージに含まれる識別情報を参照して、取得したメッセージを第1記憶部85、第2記憶部86または第3記憶部171の何れかに書き込む。
そして、検証部83は、第1記憶部85に車両メッセージが記憶されている場合には、優先して第1記憶部85から車両メッセージを読み出して車両情報を検証する。検証部83は、第1記憶部85に車両メッセージが記憶されていないことを条件として第2記憶部86または第3記憶部171からメッセージを読み出して、メッセージに含まれる情報を検証する。この場合、検証部83は、第3記憶部171に記憶されている車両メッセージよりも、第2記憶部86に記憶されている合成メッセージを優先して検証する。
さらに、検証部83は、自車両から所定距離までの第1エリアの内部の車両20から送信された車両メッセージに含まれる車両情報を、第1エリアの外部の車両20から送信された車両メッセージに含まれる車両情報より優先して検証してもよい。例えば、第1記憶部85は、自車両から所定距離以内の車両20から送信された車両メッセージをさらに記憶する。分配部87は、メッセージに含まれる位置と自車両の現在位置とを比較して、取得した車両メッセージを第1記憶部85または第3記憶部171の何れかに書き込む。
これにより、第1変形例に係る車両通信装置22は、緊急車両の存在を運転者に早急に通知したり、緊急車両を避けるような動作をさせたりすることができる。また、第1変形例に係る車両通信装置22は、自車両から所定距離以内の車両20の存在を運転者に早急に通知したり、自車両から所定距離以内の車両20を避けるような動作をさせたりすることができる。
(第2変形例)
図14は、第1実施形態の第2変形例に係るマップ生成部84の機能構成を示す図である。第1実施形態の第2変形例に係るマップ生成部84は、合成情報に含まれるそれぞれの車両情報を、送信時刻から現在時刻までの経過時間に応じて補正し、補正した車両情報に基づきマップ情報を生成する。
例えば、第1実施形態の第2変形例に係るマップ生成部84は、補正部172をさらに含む。補正部172は、重複排除部93から、重複が排除された後の車両情報を取得する。
補正部172は、合成情報から抽出した車両情報を選択する。補正部172は、選択した車両情報について、現在時刻から、車両情報に含まれる送信時刻までの経過時間を算出する。また、補正部172は、選択した車両情報について、車両情報に含まれる姿勢およびハンドル角度に基づき移動方向を算出する。続いて、補正部172は、選択された車両情報に含まれる位置、経過時間、移動方向および速度に基づき、現在時刻における予測位置を算出する。続いて、補正部172は、選択された車両情報に含まれる位置を、予測位置に補正する。そして、補正部172は、補正した車両情報をマップ処理部94に与える。
このようにマップ生成部84は、路側機30を経由することによる遅延を補正して、精度の良いマップ情報を生成することができる。
なお、補正部172は、車両20から直接受信した車両メッセージに含まれる車両情報を同様に補正してもよい。これにより、補正部172は、合成情報を優先して補正することによる遅延を補正して、精度の良いマップ情報を生成することができる。
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係る路側通信装置32の機能構成を示す図である。第2実施形態に係る路側通信装置32は、合成情報生成部72が合成マップ生成部201を含む。
合成マップ生成部201は、車両情報取得部71により読み出された、正当であると検証された1または複数の車両情報に基づき、1または複数の車両20のそれぞれについての車体の大きさ、位置、移動方向および元となる車両情報の送信時刻を表す合成マップ情報を生成する。合成マップ生成部201は、合成マップ情報を含む合成情報を生成する。
図16は、第2実施形態に係る車両通信装置22におけるメッセージ受信後の処理を示すフローチャートである。第2実施形態において、車両通信装置22は、受信処理と並行して、図16に示すフローに従って処理を実行する。
なお、図16に示すフローチャートは、図12のS158からS162までの処理に代えて、S211からS213の処理を実行する。図16においては、図12の処理との相違点を説明する。
S155において取得した情報内容が合成情報であると判断した場合(S155のYes)、車両通信装置22は、処理をS211に進める。S211において、車両通信装置22は、合成情報に含まれる合成マップ情報を抽出する。そして、車両通信装置22は、合成マップ情報に含まれる複数の車両20のそれぞれについての情報のうち、既に取得済みの車両情報に示されていた情報を排除する。
すなわち、車両通信装置22は、合成マップ情報に含まれる複数の車両20のそれぞれに関する情報について、元となる車両情報の送信時刻が、合成マップ情報における対応する車両20に関する情報に含まれる送信時刻より新しいまたは同一の場合、重複していると判断する。そして、車両通信装置22は、合成マップ情報に含まれる複数の車両20のそれぞれに関する情報のうち、重複していると判断された情報を削除する。
続いて、S212において、車両通信装置22は、重複が排除された合成マップ情報に含まれる、それぞれの車両20の位置を、自車両との相対位置に補正する。続いて、S213において、車両通信装置22は、補正された合成マップ情報に含まれるそれぞれの車両20についての車体の大きさ、位置、移動方向および送信時刻に基づき、管理しているマップ情報を更新する。車両通信装置22は、S213の処理を終了すると、処理をS163に進める。
このように第2実施形態に係る車両通信装置22は、路側通信装置32から合成マップ情報を受信して、管理しているマップ情報を更新する。これにより、車両通信装置22は、合成情報から車両情報を抽出する処理をしなくてよく処理を軽減することができる。
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る路側通信装置32の機能構成を示す図である。第3実施形態に係る路側通信装置32は、合成情報生成部72が、合成マップ生成部201と合成マップ解析部231とを含む。
合成マップ生成部201は、生成した合成マップ情報を合成マップ解析部231に与える。合成マップ解析部231は、合成マップ生成部201から合成マップ情報を取得する。
合成マップ解析部231は、取得した合成マップ情報に基づき、複数の車両20における衝突可能性を解析する。合成マップ解析部231は、2以上の車両20が衝突する確率、衝突する予測時刻、および、衝突する位置等を解析する。合成マップ解析部231は、解析結果を表す衝突可能性情報を生成する。合成マップ解析部231は、衝突可能性情報を含む合成情報を生成する。
図18は、第3実施形態に係る車両通信装置22におけるメッセージ受信後の処理を示すフローチャートである。第3実施形態において、車両通信装置22は、受信処理と並行して、図18に示すフローに従って処理を実行する。
なお、図18に示すフローチャートは、図12のS158からS162までの処理に代えて、S241の処理を実行する。図18においては、図12の処理との相違点を説明する。
S155において取得した情報内容が合成情報であると判断した場合(S155のYes)、車両通信装置22は、処理をS241に進める。S241において、車両通信装置22は、合成情報に含まれる衝突可能性情報を抽出する。そして、車両通信装置22は、衝突可能性情報に含まれる自車両に関する情報を抽出する。
車両通信装置22は、S241の処理を終了した場合、処理をS164に進める。S164において、車両通信装置22は、抽出した情報に基づき、自車両と他車両とが衝突するか否かを判断する。
このように第3実施形態に係る車両通信装置22は、路側通信装置32から衝突可能性情報を受信して、自車両と他車両とが衝突するか否かを判断する。これにより、車両通信装置22は、合成情報から車両情報を抽出してマップ情報を更新する処理および更新したマップ情報に基づき解析する処理をしなくてよく、処理を軽減することができる。
(第4実施形態)
図19は、第4実施形態に係る車両通信装置22の機能構成を示す図である。第4実施形態に係る車両通信装置22は、少なくとも1つのセンサ45による検知結果が、解析部54に与えられる。
第4実施形態に係る少なくとも1つのセンサ45は、車両情報を生成するための走行に関する情報に加えて、周囲に存在する物体の位置、大きさ、速度および移動方向等を検知する。物体は、例えば、他車両、歩行者または路上の障害物等である。
解析部54は、少なくとも1つのセンサ45により検知された、周囲に存在する物体の位置、大きさ、速度および移動方向等の少なくとも1つを取得する。解析部54は、少なくとも1つのセンサ45による検知結果およびマップ情報に基づき、自車両と物体とが衝突する可能性を解析する。例えば、解析部54は、少なくとも1つのセンサ45による検知結果およびマップ情報に基づき、自車両と物体とが衝突するか否か等を判断する。なお、解析部54は、マップ情報とセンサ45による検知結果とが矛盾した場合には、センサ45による検知結果を優先してもよい。
このように第4実施形態に係る車両通信装置22は、マップ情報およびセンサ45による検知結果に基づき、自車両と物体(例えば、他車両および歩行者等)とが衝突するか否か等を判断する。これにより、車両通信装置22は、より多くの情報に基づき、運転者に注意を促したり、物体との衝突を避けるように自車両の走行を制御したりすることができる。
図20は、第4実施形態に係る路側通信装置32の機能構成を示す図である。第4実施形態に係る路側通信装置32は、少なくとも1つの路側センサ251と、センサ情報生成部253とをさらに備える。
少なくとも1つの路側センサ251は、路側機30の周囲に存在する物体(車両20、歩行者または路上の障害物等)の位置、大きさ、速度および移動方向等の少なくとも1つを検知する。センサ情報生成部253は、少なくとも1つの路側センサ251による検知結果に基づき、路側機30の周囲に存在する物体の位置、大きさ、速度および移動方向等の少なくとも1つを表すセンサ情報を生成する。そして、センサ情報生成部253は、生成したセンサ情報を第2検証情報生成部73および合成メッセージ生成部74に与える。
第4実施形態において、第2検証情報生成部73は、センサ情報の正当性を示す検証情報(第3の検証情報)をさらに生成する。合成メッセージ生成部74は、センサ情報生成部253により生成されたセンサ情報と、センサ情報の正当性を示す検証情報とを含むセンサメッセージをさらに生成する。
メッセージ送信部75は、合成メッセージとともにセンサメッセージを取得する。そして、メッセージ送信部75は、路側タイミング制御部63により指定された送信タイミングにおいて、取得した合成メッセージおよびセンサメッセージを路側アンテナ61を介して所定チャネルに送信する。
また、第4実施形態に係る車両通信装置22は、路側通信装置32からセンサメッセージを受信した場合、センサメッセージに含まれるセンサ情報を、センサ情報の正当性を示す検証情報により検証する。そして、車両通信装置22は、正当であると検証されたセンサ情報に基づき、自車両と物体とが衝突する可能性を解析する。この場合、車両通信装置22は、センサ45による検知結果と、受信したセンサ情報とが矛盾した場合には、センサ45による検知結果を優先してもよい。
このように第4実施形態に係る路側通信装置32は、生成したセンサ情報を車両通信装置22に送信することができる。また、車両通信装置22は、路側通信装置32から受信したセンサ情報に基づき、自車両と物体(例えば、他車両および歩行者等)とが衝突するか否か等を判断する。これにより、車両通信装置22は、より多くの情報に基づき、運転者に注意を促したり、物体との衝突を避けるように自車両の走行を制御したりすることができる。
なお、メッセージ送信部75は、センサ情報を合成情報に含めてもよい。この場合、路側通信装置32は、センサメッセージの生成および送信をしなくてよい。
また、少なくとも1つの路側センサ251は、第3実施形態に係る路側通信装置32に備えられてもよい。この場合、合成マップ解析部231は、少なくとも1つの路側センサ251により検知された、路側機30周囲に存在する物体の位置、大きさ、速度および移動方向等の少なくとも1つを取得する。合成マップ解析部231は、少なくとも1つの路側センサ251による検知結果および合成マップ情報に基づき、2以上の車両20が衝突する可能性を解析する。これにより、路側通信装置32は、より多くの情報に基づき、衝突可能性情報を生成することができる。
図21は、実施形態に係る情報処理装置500のハードウェア構成の一例を示す図である。上述した車両通信装置22および路側通信装置32は、一部分の構成要素が例えば図21に示すような情報処理装置500により実現することができる。
情報処理装置500は、通常のコンピュータと同様の構成をしている。すなわち、情報処理装置500は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM502と、RAM503と、記憶部504と、インターフェイス部505とを有する。CPU501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、記憶部504およびインターフェイス部505は、バスにより接続されている。
CPU501は、記憶部504に記憶されたプログラムをRAM503に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりする。ROM502には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶部504からRAM503に読み出すスタートプログラムが記憶されている。RAM503は、CPU501の作業領域としてデータを記憶する。
記憶部504は、例えば、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等である。記憶部504は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラムおよびデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されてもよい。インターフェイス部505は、他の装置と情報を送受信するための装置である。
本実施形態の情報処理装置500で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、本実施形態の情報処理装置500で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の情報処理装置500で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、本実施形態のプログラムを、ROM502等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
情報処理装置500を車両通信装置22として機能させるためのプログラムは、車両情報生成モジュールと、第1検証情報生成モジュールと、車両メッセージ生成モジュールと、メッセージ処理モジュールと、解析モジュールと、通知モジュールと、車両制御モジュールとを有する。情報処理装置500は、プロセッサ(CPU501)が記憶媒体(記憶部504等)からプログラムを読み出して実行することにより各モジュールが主記憶装置(RAM503)上にロードされ、プロセッサ(CPU501)が、車両情報生成部47、第1検証情報生成部48、車両メッセージ生成部49、メッセージ処理部53、解析部54、通知部55および車両制御部56として機能する。なお、車両情報生成部47、第1検証情報生成部48、車両メッセージ生成部49、メッセージ処理部53、解析部54、通知部55および車両制御部56は、一部または全部がプロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
また、情報処理装置500を路側通信装置32として機能させるためのプログラムは、メッセージフィルタモジュールと、メッセージ検証モジュールと、車両情報取得モジュールと、合成情報生成モジュールと、第2検証情報生成モジュールと、合成メッセージ生成モジュールとを有する。情報処理装置500は、プロセッサ(CPU501)が記憶媒体(記憶部504等)からプログラムを読み出して実行することにより各モジュールが主記憶装置(RAM503)上にロードされ、プロセッサ(CPU501)が、メッセージフィルタ部66、メッセージ検証部68、車両情報取得部71、合成情報生成部72、第2検証情報生成部73および合成メッセージ生成部74として機能する。なお、メッセージフィルタ部66、メッセージ検証部68、車両情報取得部71、合成情報生成部72、第2検証情報生成部73および合成メッセージ生成部74は、一部または全部がプロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。