JP6727080B2 - 有機発光素子ならびにそれに用いる発光材料および化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、発光効率が高い有機発光素子に関する。また、その有機発光素子に用いる発光材料と化合物にも関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子の発光効率を高める研究が盛んに行われている。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料などを新たに開発して組み合わせることにより、発光効率を高める工夫が種々なされてきている。その中には、アクセプター性基として置換もしくは無置換のジアリールボリル基を有する化合物を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究も見受けられる。
例えば、特許文献1には、置換ジアリールボリル基を1つ有する化合物が記載されている。
Triarylboron-Based Fluorescent Organic Light-Emitting Diodes with External Quantum Efficiencies Exceeding 20%, Angew Chem Int Ed Engl. 2015 Dec 7;54(50):15231-5. doi: 10.1002/anie.201508270
上記のように、特許文献1には、置換ジアリールボリル基を1つ有する化合物が記載されている。しかしながら、本発明者らが、この化合物の発光特性を実際に評価したところ、発光効率が十分に満足しうるものではなく、より優れた発光特性を有する発光材料を提供する必要があることが判明した。
そこで、本発明者らは、置換もしくは無置換のジアリールボリル基を有する化合物群について種々の検討を始めたところ、置換もしくは無置換のジアリールボリル基2つとドナー性基を有する化合物群に発光材料として有用性があることを初めて見出し、さらに検討を進めることにした。特許文献1に記載されている化合物は、いずれも置換もしくは無置換のジアリールボリル基の数が1つであり、同文献には、置換もしくは無置換のジアリールボリル基の数を2つにして、さらにドナー性基を導入することについては、開示も示唆もされていない。このため、特許文献1からは、置換もしくは無置換のジアリールボリル基2つとドナー性基を有する化合物の発光材料としての有用性は予測がつかない。
鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、2つ以上の置換もしくは無置換のジアリールボリル基と2つ以上のドナー性基で芳香環が置換された構造を有する化合物が、例えば置換ジアリールボリル基1つとドナー性基2つがベンゼン環に結合した化合物よりも、発光効率が顕著に高いことを見出した。そして、2つ以上の置換もしくは無置換のジアリールボリル基と2つ以上のドナー性基で芳香環が置換された構造を有する化合物は有機発光素子の発光材料として極めて有用であることを明らかにした。さらに、この化合物の中に、遅延蛍光材料として有用な化合物があることを見出し、発光効率が高い有機発光素子を安価に提供しうることを明らかにした。本発明者らは、これらの知見に基づいて、上記の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される構造を有する化合物。
一般式(1)
(D)m−Ar−(A)n
[一般式(1)において、Arは芳香環を表し、Dはハメットのσpが負の置換基を表し、Aはハメットのσpが正の置換基を表す。mとnは各々独立に2以上の整数を表すが、m+nがArの芳香環に置換可能な置換基数の最大値を超えることはない。Aの少なくとも2つは、置換もしくは無置換のジアリールボリル基である。]
[2] 前記一般式(1)で表される化合物の分子内に存在するすべてのAが置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[3] 前記一般式(1)のArは芳香族炭化水素環であることを特徴とする[1]または[2]に記載の化合物。
[4] 前記芳香族炭化水素環がベンゼン環であることを特徴とする[3]に記載の化合物。
[5] 前記一般式(1)のAのうちの2つが置換もしくは無置換のジアリールボリル基であり、前記2つの置換もしくは無置換のジアリールボリル基が互いにパラ位となるようにベンゼン環に結合していることを特徴とする[4]に記載の化合物。
[6] 前記一般式(1)のmが2であり、2つのDが互いにパラ位となるようにベンゼン環に結合していることを特徴とする[4]または[5]に記載の化合物。
[7] 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物である[1]に記載の化合物。
Figure 0006727080
[一般式(2)において、A1は置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表す。R1〜R5の少なくとも1つは各々独立に置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表し、R1〜R5の少なくとも2つは各々独立にハメットのσpが負の置換基を表し、残りのR1〜R5は各々独立に水素原子またはハメットのσpが0以上である置換基を表す。]
[8] 前記一般式(2)のR1またはR3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることを特徴とする[7]に記載の化合物。
[9] 前記一般式(2)のR3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることを特徴とする[7]または[8]に記載の化合物。
[10] 前記一般式(2)のR1〜R5のうちでハメットのσpが負の置換基であるものが、R1とR4の組み合わせ、R2とR3の組み合わせ、または、R3とR4の組み合わせであることを特徴とする[7]または[8]に記載の化合物。
[11] 前記一般式(2)のR1〜R5のうちでハメットのσpが負の置換基であるものが、R1とR4の組み合わせであることを特徴とする[7]〜[10]のいずれか1項に記載の化合物。
[12] 前記ジアリールボリル基がアルキル基で置換されたジアリールボリル基である[1]〜[11]のいずれか1項に記載の化合物。
[13] 前記置換もしくは無置換のジアリールボリル基が、ホウ素原子に2つの芳香族炭化水素環が結合した構造を有することを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の化合物。
[14] 前記置換もしくは無置換のジアリールボリル基が下記一般式(10)で表される構造を有することを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 0006727080
[一般式(10)において、R11〜R20は各々独立に水素原子または置換基を表す。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
[15] 前記一般式(10)のR11〜R15の少なくとも1つと、R16〜R20の少なくとも1つが、アルキル基であることを特徴とする[14]に記載の化合物。
[16] 前記一般式(10)のR11、R13、R15、R16、R18、R20がアルキル基であることを特徴とする[14]または[15]に記載の化合物。
[17] 前記アルキル基がメチル基であることを特徴とする[16]に記載の化合物。
[18] 前記ハメットのσpが負の置換基が下記一般式(11)で表される構造を有することを特徴とする[1]〜[17]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 0006727080
[一般式(11)において、R21〜R28は各々独立に水素原子または置換基を表す。]
[19] 前記一般式(11)のR21〜R28が水素原子であることを特徴とする[18]に記載の化合物。
[20] [1]〜[19]のいずれか1項に記載の化合物を含有する発光材料。
[21] [1]〜[19]のいずれか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする有機発光素子。
[22] [1]〜[19]のいずれか1項に記載の化合物を含む発光層を基板上に有することを特徴とする[21]に記載の有機発光素子。
[23] 遅延蛍光を放射することを特徴とする[21]または[22]に記載の有機発光素子。
[24] 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする[21]〜[23]のいずれか1項に記載の有機発光素子。
[25] 前記一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体。
本発明の化合物は、高い発光効率を有する。このため、本発明の化合物は、発光材料として有用であり、有機発光素子の発光材料として用いることにより、優れた発光特性を有する有機発光素子を実現することができる。また、本発明の化合物は、遅延蛍光を放射することができるため、遅延蛍光体として用いることができる。本発明の化合物からなる遅延蛍光体を有機発光素子に用いることにより、発光効率が極めて高い有機発光素子を実現することができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。 化合物1のトルエン溶液の発光強度の過渡減衰曲線である。 化合物1のmCBP共蒸着薄膜(化合物1の濃度は6重量%)について、5K、100K、200K、300Kの温度下で測定した発光強度の過渡減衰曲線である。 化合物2のトルエン溶液の発光強度の過渡減衰曲線である。 化合物1を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[一般式(1)で表される化合物]
本発明の化合物は下記一般式(1)で表される構造を有する。また、本発明の発光材料は、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。さらに、本発明の有機発光素子は、下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。そこで、一般式(1)で表される化合物について、まず説明する。
一般式(1)
(D)m−Ar−(A)n
一般式(1)において、Arは芳香環を表す。芳香環は、芳香族炭化水素環であってもよいし、芳香族ヘテロ環であってもよいが、芳香族炭化水素環であることが好ましい。また、芳香環は、単環の芳香環であってもよいし、縮合多環構造や環集合構造を有する芳香環であってもよい。芳香族炭化水素環は、その炭素数が6〜40であることが好ましく、ベンゼン環または複数のベンゼン環が縮合した構造を有する縮合環であることがより好ましい。芳香族炭化水素環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、テトラセン環、ペンタセン環、コロネン環等を挙げることができ、ベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。芳香族ヘテロ環のヘテロ原子は、N、O、Sの少なくともいずれかであることが好ましい。また、芳香族ヘテロ環は、その炭素数が3〜40であることが好ましく、5員環、6員環、5員環と6員環が縮合した構造を有する縮合環であることがより好ましく、5員環であることがさらに好ましい。芳香族ヘテロ環としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等を挙げることができ、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環であることが好ましい。Arで表される芳香環はスピロ原子を含むものであってもよい。例えば、芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環からなる群より選択される複数の環がスピロ原子を介して結合したスピロ環を含むものであってもよく、スピロビフルオレンを例示することができる。このようなスピロ原子を含む芳香環も好ましい。
Dはハメットのσpが負の置換基を表し、Aはハメットのσpが正の置換基を表す。
ハメットのσpは、L.P.ハメットにより提唱されたものであり、パラ置換安息香酸の酸解離平衡に及ぼす置換基の影響を定量化したものである。具体的には、パラ置換安息香酸における置換基と酸解離平衡定数の間に成立する下記式:
σp=log Kx−log KH
における置換基に特有な定数(σp)である。上式において、KHは置換基を持たない安息香酸の酸解離平衡定数、KXはパラ位が置換基で置換された安息香酸の酸解離平衡定数を表す。ハメットのσpに関する説明と各置換基の数値については、Hansch,C.et.al.,Chem.Rev.,91,165-195(1991)を参照することができる。
ハメットのσpが正の値であるということは、その置換基がアクセプター性基(電子求引性基)であることを意味し、ハメットのσpが負の値であるということは、その置換基がドナー性基(電子供与性基)であることを意味する。
Aが表す置換基は、ハメットのσpが0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.3以上であることがさらに好ましい。また、0.5以上の置換基を選択したり、0.7以上の置換基を選択することもできる。Dが表す置換基は、ハメットのσpが−0.1以下であることが好ましく、−0.2以下であることがより好ましく、−0.3以下であることがさらに好ましい。また、−0.5以下の置換基を選択したり、−0.7以下の置換基を選択することもできる。
一般式(1)において、mとnは各々独立に2以上の整数を表すが、m+nがArの芳香環に置換可能な置換基数の最大値を超えることはない。mは芳香環に置換するDの置換数を表し、nは芳香環に置換するAの置換数を表す。すなわち、本発明の一般式(1)で表される化合物は、DおよびAを、それぞれ、その分子内に2つ以上有する。複数のDは互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
芳香環における置換基が置換可能な基としては、具体的には芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環を構成するメチン基(−CH=)や、芳香族ヘテロ環を構成するイミノ基(−NH−)等を挙げることができる。例えばArがベンゼン環である場合、置換可能な置換基数の最大値は6であり、m+nは6を超えることはない。
芳香環におけるDおよびAの置換位置は特に限定されないが、例えばベンゼン環に2つのDが結合する場合は、互いにパラ位となる位置に結合していることが好ましく、また、ベンゼン環に2つのAが結合する場合は、互いにパラ位となる位置に結合していることが好ましい。これにより、一般式(1)で表される化合物がラジカルになったときに共鳴構造をとることができ、ラジカルが安定化する。その結果、ラジカルから効率よく励起状態を生成することができる。また、Arが表す芳香環が縮合環である場合、複数のDは同一の環に結合していてもよいし、異なる環に結合していてもよく、複数のAは同一の環に結合していてもよいし、異なる環に結合していてもよい。例えば、Arが、第1ベンゼン環〜第3ベンゼン環がこの順に並んで縮合してなるアントラセン環である場合、第1ベンゼン環にDのいずれか、またはAのいずれかが結合し、第3ベンゼン環に他のDまたは他のAが結合した構造をとることができる。ただし、一般式(1)で表される化合物におけるアントラセン環へのDおよびAの結合態様はこれに限るものではない。
一般式(1)において、Aの少なくとも2つは、置換もしくは無置換のジアリールボリル基である。複数の置換もしくは無置換のジアリールボリル基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。nが2であるとき、2つのAはいずれも置換もしくは無置換のジアリールボリル基である。nが3以上であるとき、複数のAのうちで置換もしくは無置換のジアリールボリル基であるものは、2つであってもよいし、3つ以上であってもよい。言い換えれば、nが3以上であるときには、複数のAのすべてが置換もしくは無置換のジアリールボリル基であってもよいし、Aのうちの一部が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であってもよいが、複数のAのすべてが置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることが好ましい。すなわち、一般式(1)で表される化合物の分子内に存在する、ハメットのσpが正の置換基(A)は、全て「置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることが好ましい。
本発明における「置換もしくは無置換のジアリールボリル基」とは、ボリル基(−BH2)のホウ素原子に結合する2つの水素原子が、それぞれ置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基で置換された構造を有する一価の基のことをいう。置換もしくは無置換のアリール基におけるアリール基は芳香族炭化水素環から1つの水素原子を除いた一価の芳香族炭化水素基である。アリール基を構成する芳香族炭化水素環の好ましい範囲と具体例については、Arにおける芳香族炭化水素環の好ましい範囲と具体例を参照することができる。置換もしくは無置換のヘテロアリール基におけるヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環から1つの水素原子を除いた一価の芳香族ヘテロ環基である。ヘテロアリール基を構成する芳香族ヘテロ環の好ましい範囲と具体例については、Arにおける芳香族ヘテロ環の好ましい範囲と具体例を参照することができる。ジアリールボリル基のホウ素原子(B)に結合する2つの基は互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、ジアリールボリル基のホウ素原子(B)に結合する2つの基は、両方とも置換もしくは無置換のアリール基であってもよいし、両方とも置換もしくは無置換のヘテロアリール基であってもよいし、一方が置換もしくは無置換のアリール基であり、他方が置換もしくは無置換のヘテロアリール基であってもよい。これらのうち、ジアリールボリル基のホウ素原子(B)に結合する2つの基は、両方とも置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。また、その置換もしくは無置換のアリール基は、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基であることが好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基であることがより好ましい。アリール基およびヘテロアリール基に置換しうる置換基の好ましい範囲と具体例については、下記の一般式(10)のR11〜R20がとりうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。また、アリール基およびヘテロアリール基に置換する置換基は、隣の置換基と結合して環状構造を形成していてもよい。置換基が隣の置換基と結合して形成する環状構造の具体例については、R11とR12等が互いに結合して形成する環状構造の具体例を参照することができる。
置換もしくは無置換のジアリールボリル基は、下記一般式(10)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0006727080
一般式(10)において、R11〜R20は、各々独立に水素原子または置換基を表す。置換基の数は特に制限されず、R11〜R20のすべてが無置換(すなわち水素原子)であってもよい。一般式(10)で表される基が置換基を有するときの置換位置や置換数は特に制限されないが、置換数は0〜6個であることが好ましい。複数の置換基を有するとき、それらは互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。一般式(12)で表される基が置換基を有する場合、R11〜R14の少なくとも1つと、R17〜R20の少なくとも1つであることが好ましい。例えば、R11、R13、R15、R16、R18、R20が置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(10)のR11〜R20がとりうる置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数12〜40のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基である。さらに好ましい置換基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基であり、特に好ましい置換基は炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基である。
本明細書でいうアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アルコキシ基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソプロポキシ基を挙げることができる。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、各々独立に直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ヘテロアリール基も、単環でも融合環でもよく、具体例としてピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、トリアジル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基を挙げることができる。これらのヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であっても、ヘテロアリール環を構成する炭素原子を介して結合する基であってもよい。
11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20は互いに結合して環状構造を形成していてもよいし、互いに結合して環状構造を形成していないことも好ましい。環状構造を形成している場合、その環状構造は芳香環であっても脂肪環であってもよく、またヘテロ原子を含むものであってもよく、さらに環状構造は2環以上の縮合環であってもよい。ここでいうヘテロ原子としては、N、OおよびSからなる群より選択されるものであることが好ましい。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20が互いに結合して形成する環状構造の例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、イミダゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、シクロヘキサジエン環、シクロヘキセン環、シクロペンタエン環、シクロヘプタトリエン環、シクロヘプタジエン環、シクロヘプタエン環などを挙げることができ、ベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。すなわち、一般式(10)のホウ素原子Bに結合している各ベンゼン環は、それぞれ、単環のベンゼン環であるか、該ベンゼン環に他のベンゼン環が縮合してナフタレン環を形成していることが好ましい。一方、R15とR16が互いに結合して形成する環状構造の例として、R15とR16が単結合を構成して形成する5員環、R15とR16がメチレン基を構成して形成する6員環などを挙げることができる。メチレン基はアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。
nが3以上であって、複数のAのうちの一部が、置換もしくは無置換のジアリールボリル基であるとき、残りのAがとりうるハメットのσpが正の置換基は、特に制限されないが、例えばハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、フェニル基、シアノ基、ピリミジン基、トリアジン基、トリフルオロ基等を挙げることができる。残りのAが2以上であるとき、それらが表すハメットのσpが正の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
一方、一般式(1)において、Dが表すハメットのσpが負の置換基としては、特に制限されないが、例えば置換アミノ基、アルコキシ基、アルキル基等を挙げることができる。ここで、置換アミノ基が有する置換基としては、炭素数6〜40のアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基等を挙げることができ、その置換基同士が互いに結合してヘテロアリール基を形成していてもよい。
Dが表すハメットのσpが負の置換基としての、置換アミノ基およびヘテロアリール基の好ましい例として、下記一般式(11)〜(14)で表される基を挙げることができ、中でも一般式(11)で表される基であることがより好ましい。
Figure 0006727080
一般式(11)〜(14)において、R21〜R28、R41〜R46、R51〜R62およびR71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R75とR76は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(11)〜(14)で表される基が置換基を有するときの置換位置や置換数は特に制限されない。各基の置換数は、0〜6個が好ましく、0〜4個がより好ましく、例えば0〜2個とすることも好ましい。複数の置換基を有するとき、それらは互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。
一般式(11)で表される基が置換基を有する場合は、R21、R23、R26、R28のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R21とR28が置換基である場合、R23とR26が置換基である場合、R21、R23、R26、R28が全て置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(11)で表される基は、R21〜R28が全て水素原子であることも好ましく、R22とR27がトリフルオロメチル基であって、R21、R23〜R26、R28が各々独立に水素原子または置換基であることも好ましい。
以下において、R22とR27がトリフルオロメチル基であって、R21、R23〜R26、R28が各々独立に水素原子または置換基である場合の好ましい範囲について説明する。
21、R23〜R26、R28の中に置換基を有するとき、いずれが置換基であってもよく、置換基の数も特に制限されない。例えば、R21、R23〜R26、R28の中の置換基の数は0〜4個が好ましく、0〜2個がより好ましく、例えば0個とすることも好ましい。R21、R23〜R26、R28の中の2つ以上が置換基であるとき、その2つ以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、R21、R23〜R26、R28の中に置換基を有する場合、R23〜R26の少なくとも1つが置換基であることが好ましい。例えば、R23とR26が置換基である場合、R24とR25が置換基である場合を好ましく例示することができ、特に、R23とR26が置換基であることが好ましい。R23とR26が置換基であることにより、化合物の酸化耐性が改善される傾向がある。カルバゾール−9−イル基の3位と6位を置換基で保護して酸化を受けにくくすることにより、化合物の2量化が抑制され、安定性が向上すると推測される。R23とR26が表す置換基は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、tert−ブチル基であることがさらに好ましい。
21、R23〜R26、R28の少なくとも1つはカルバゾリル基であることが好ましく、カルバゾール−2−イル基、カルバゾール−3−イル基、カルバゾール−9−イル基であることがより好ましい。R21、R23〜R26、R28の少なくとも1つがカルバゾリル基であることにより、一般式(1)で表される化合物のHOMO準位とLUMO準位をより深く下げることができる。R21、R23〜R26、R28の少なくとも1つがカルバゾリル基であるとき、そのカルバゾリル基は、無置換であっても置換基で置換されていてもよいが、シアノ基で置換されていることが好ましい。R21、R23〜R26、R28が表すカルバゾリル基がシアノ基で置換されている場合、そのシアノ基の置換位置は、カルバゾール−2−イル基では6位および8位の少なくとも一方であることが好ましく、カルバゾール−3−イル基では7位であることが好ましく、カルバゾール−9−イル基では2位および7位の少なくとも一方であることが好ましい。これらの中で、R21、R23〜R26、R28の少なくとも1つが表すカルバゾリル基は、6位および8位の少なくとも一方がシアノ基で置換されたカルバゾール−2−イル基であることがより好ましい。R21、R23〜R26、R28が表すカルバゾリル基は、3位、6位、9位が置換可能である場合は置換されていることが好ましく、その置換基は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜40のアリール基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基であることがさらに好ましい。3位、6位、9位が置換されていれば、酸化を受けにくくなり、2量化を抑制することができるため、安定性の面で好ましい。また、R21、R23〜R26、R28のうちカルバゾリル基であるものは、R23〜R26の少なくとも1つであることが好ましく、R23とR26であることがより好ましい。ただし、実用性の観点から、一般式(1)で表される化合物の分子内に存在するカルバゾール環の数は4つ以下であることが好ましい。
次に、一般式(12)〜(15)の好ましい範囲について説明する。
一般式(12)で表される基が置換基を有する場合は、R42〜R46のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R42が置換基である場合と、R43が置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(13)で表される基が置換基を有する場合は、R52〜R60のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R52〜R54のいずれかがが置換基である場合、R55〜R60のいずれかが置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(14)で表される基が置換基を有する場合は、R72〜R74およびR77〜R79のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R72とR79が置換基である場合、R73とR78が置換基である場合、R74とR77が置換基である場合、R72、R74、R77およびR79が置換基である場合を好ましく例示することができる。特に、R74とR77が置換基である場合、R72、R74、R77およびR79が置換基である場合をより好ましく例示することができる。このときの置換基は、各々独立に炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基であることが特に好ましく、炭素数1〜6の無置換のアルキル基、炭素数6〜10の無置換のアリール基、または炭素数6〜10のアリール基で置換された炭素数6〜10のアリール基であることがさらにより好ましい。また、R75とR76は、水素原子であることが好ましく、互いに結合して環状構造を形成していることも好ましい。R75とR76が互いに結合して形成する環状構造の例として、R75とR76がオキシ基(−O−)、スルフィド基(−S−)またはメチレン基(−CH2−)を構成して形成する6員環を挙げることができる。この場合、一般式(14)で表される基の骨格構造は、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格またはジヒドロアクリジン骨格となる。また、メチレン基がアルキル基やアリール基で置換されていてもよい。
一般式(11)のR21〜R28、一般式(12)のR41〜R46、一般式(13)のR51〜R62および、一般式(14)のR71〜R80がとりうる置換基の好ましい範囲と具体例については、上記の一般式(10)におけるR10〜R20がとりうる置換基の好ましい範囲と具体例を参照することができる。これらの中で、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。
また、一般式(1)のArが表す芳香環には、上記においてDおよびAが表す置換基として示した基以外の置換基が置換していてもよい。芳香環に置換しうる置換基については、下記のR1〜R5がとりうる好ましい置換基を参照することができる。これらのうち、ハメットのσpが負の置換基はDが表す置換基に相当し、ハメットのσpが正の置換基はAが表す置換基に相当する。また、Arが表す芳香環には、ハメットのσpが0である置換基が置換していてもよい。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006727080
一般式(2)において、A1は置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは各々独立に置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表す。置換もしくは無置換のジアリールボリル基の説明と好ましい範囲については、一般式(1)における置換もしくは無置換のジアリールボリル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。A1およびR1〜R5の少なくとも1つが表す置換もしくは無置換のジアリールボリル基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
ここで、R1〜R5のいずれか1つが置換もしくは無置換のジアリールボリル基である場合は、R1〜R3のいずれであってもよい。いずれか2つが置換もしくは無置換のジアリールボリル基である場合は、R1とR3の組み合わせや、R2とR4の組み合わせを例示することができる。いずれか3つが置換もしくは無置換のジアリールボリル基である場合は、R1とR3とR4の組み合わせを例示することができる。これらの中で、好ましいのは、R1またはR3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基である場合であり、より好ましいのは、R3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基である場合である。この場合、R3が表す置換もしくは無置換のジアリールボリル基とA1が表す置換もしくは無置換のジアリールボリル基とが互いにパラ位の位置になるため、一般式(2)で表される化合物がラジカルになったときに共鳴構造をとることができ、ラジカルが安定化する。その結果、ラジカルから効率よく励起状態を生成することができる。
一般式(2)において、R1〜R5の少なくとも2つは各々独立にハメットのσpが負の置換基を表す。ハメットのσpが負の置換基の説明と好ましい範囲については、一般式(1)のDが表すハメットのσpが負の置換基の説明と好ましい範囲を参照することができる。ハメットのσpが負の置換基は上記の一般式(11)〜(14)で表される基であることが好ましく、一般式(11)で表される基であることがより好ましい。R1〜R5の少なくとも2つが表すハメットのσpが負の置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが同一であることが好ましい。
1〜R5のいずれか2つが、ハメットのσpが負の置換基である場合は、R1とR2の組み合わせ、R2とR3の組み合わせ、R3とR4の組み合わせ、R1とR3の組み合わせ、R2とR4の組み合わせ、R1とR4の組み合わせ等を例示することができ、いずれか3つが、ハメットのσpが負の置換基である場合は、R1とR3とR4の組み合わせを例示することができる。いずれか4つが、ハメットのσpが負の置換基である場合は、R1とR3とR4とR5の組み合わせ、R1とR2とR4とR5の組み合わせを例示することができる。これらの中で、好ましいのは、R2とR3の組み合わせ、R3とR4の組み合わせ、または、R1とR4の組み合わせがハメットのσpが負の置換基である場合であり、より好ましいのは、R1とR4の組み合わせがハメットのσpが負の置換基である場合である。この場合、ハメットのσpが負の置換基同士が互いにパラ位の位置になるため、一般式(2)で表される化合物がラジカルになったときに共鳴構造をとることができ、ラジカルが安定化する。その結果、ラジカルから効率よく励起状態を生成することができる。
一般式(2)において、R1〜R5の少なくとも1つは置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表し、R1〜R5の少なくとも2つはハメットのσpが負の置換基を表すが、R1〜R5のうちの残りは各々独立に水素原子またはハメットのσpが0以上の置換基を表す。R1〜R5のうちの残りが表すハメットのσpが0超の置換基、すなわちハメットのσpが正の置換基の具体例については、一般式(1)において、複数のAのうちの一部が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であるときの残りのAがとりうるハメットのσpが正の置換基の具体例を参照することができる。
また、一般式(2)のR1〜R5は、上記においてR1〜R5が表す置換基として示した基以外の置換基をとっていてもよい。以下において、R1〜R5がとりうる好ましい置換基を例示する。R1〜R5が表す置換基は、R1〜R5の少なくとも1つが置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表し、R1〜R5の少なくとも2つがハメットのσpが負の置換基を表すという条件を満たす限り、ハメットのσpが負の置換基であっても、ハメットのσpが正の置換基であってもよく、ハメットのσpが0である置換基であってもよい。
1〜R5がとりうる好ましい置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらに好ましい置換基は、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらになお好ましくは、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子である。
一般式(2)において、R1〜R5のうち水素原子であるものは2つ以下であり、2つであることが好ましく、0であることも好ましい。
好ましい組み合わせとして、例えば、R3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であり、R1およびR2の少なくとも1つと、R4およびR5の少なくとも1つがハメットのσpが負の置換基である場合を挙げることができる。より好ましい組み合わせとして、例えば、R3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であり、R1およびR2のうちの1つと、R4およびR5のうちの1つがハメットのσpが負の置換基である場合を挙げることができる。さらに好ましい組み合わせとして、例えば、R3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であり、R1とR4がハメットのσpが負の置換基である場合を挙げることができる。別の好ましい組み合わせとして、例えば、一般式(1)のR1が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であり、R2〜R5の少なくとも2つがハメットのσpが負の置換基である場合を挙げることができる。別のより好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であり、R3とR4がハメットのσpが負の置換基である場合を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物は、例えばDが一般式(11)で表される基である場合には、その置換位置および置換数や、該一般式(11)で表される基におけるベンゼン環への結合部位、一般式(11)で表される基に導入するカルバゾリル基の置換位置および置換数や、該カルバゾリル基における一般式(11)で表される基への結合部位等の選択により、分子構造の対称性やリニア性を制御することができる。例えば、分子の対称性が高ければ、電子の遷移性が高くなるという利点がある。一方、分子がリニアである方が、分極が大きくなって量子収率が大きくなるため好ましいが、電子の遷移性は低くなる。
以下において、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明において用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下の例示化合物の構造式における「Mes」は2,4,6−トリメチルフェニル基(メシチル基)を表し、「MeO」はメトキシ基を表す。
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、800以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、通常247以上であり、好ましくは290以上である。
一般式(1)で表される化合物は、分子量にかかわらず塗布法で成膜してもよい。塗布法を用いれば、分子量が比較的大きな化合物であっても成膜することが可能である。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)で表される構造を複数個含む化合物を、有機発光素子の発光層に用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造を有する重合性モノマーを重合させた重合体を、有機発光素子の発光層に用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)のAr、D、Aのいずれかに重合性官能基を有するモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を有機発光素子の発光層に用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを有機発光素子の発光層に用いることも考えられる。
一般式(1)で表される構造を含む重合体を構成する繰り返し単位の構造例として、一般式(1)のAr、D、Aのいずれかに下記一般式(15)または(16)で表される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 0006727080
一般式(15)および(16)において、L1およびL2は連結基を表す。連結基の炭素数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。連結基は−X11−L11−で表される構造を有するものであることが好ましい。ここで、X11は酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。L11は連結基を表し、置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
一般式(15)および(16)において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基である。
繰り返し単位の具体的な構造例として、一般式(1)のAr、D、Aのいずれかに下記式(21)〜(24)で表される構造を導入したものを挙げることができる。一般式(1)のAr、D、Aのいずれかに導入する下記式(21)〜(24)で表される構造の数は2つ以上であってもよいが、1つであることが好ましい。
Figure 0006727080
これらの式(21)〜(24)を含む繰り返し単位を有する重合体は、一般式(1)のAr、D、Aの少なくとも1つにヒドロキシ基を導入しておき、それをリンカーとして下記化合物を反応させて重合性基を導入し、その重合性基を重合させることにより合成することができる。
Figure 0006727080
分子内に一般式(1)で表される構造を含む重合体は、一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、それ以外の構造を有する繰り返し単位を含む重合体であってもよい。また、重合体の中に含まれる一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、通常の共重合に用いられるモノマーから誘導されるものを挙げることができる。例えば、エチレン、スチレンなどのエチレン性不飽和結合を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
[一般式(1)で表される化合物の合成方法]
上記の一般式(1)で表される化合物は新規化合物である。
一般式(1)で表される化合物の合成法は特に制限されない。一般式(1)で表される化合物の合成は、既知の合成法や条件を適宜組み合わせることにより行うことができる。例えば、一般式(1)で表される化合物が一般式(2)で表される化合物であり、そのR3が一般式(10)で表される基(ジアリールボリル基)であり、R1とR4が一般式(11)で表される基である化合物は、以下の反応式(I)、(II)で表される2つの反応によりにより合成することが可能である。
Figure 0006727080
上記の反応式におけるR2、R5、R11〜R20、R21〜R28の説明については、一般式(2)、(10)、(11)における対応する記載を参照することができる。X1〜X3はハロゲン原子を表し、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。X1、X3はフッ素原子であることが好ましく、X2は臭素原子であることが好ましい。
上記の反応は、公知のカップリング反応を応用したものであり、公知の反応条件を適宜選択して用いることができる。上記の反応の詳細については、後述の合成例を参考にすることができる。また、一般式(1)で表される化合物は、その他の公知の合成反応を組み合わせることによっても合成することができる。
[有機発光素子]
本発明の一般式(1)で表される化合物は高い発光効率を有する。特に、本発明の一般式(1)で表される化合物は、ハメットのσpが負の置換基で置換された芳香環に、ジアリールボリル基が置換した構造を有し、ハメットのσpが負の置換基およびジアリールボリル基の芳香環における置換数がそれぞれ2以上であるという特徴的な構造を有することにより、ジアリールボリル基の置換数が1である場合に比べて顕著に高い発光効率を得ることができる。このため、一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光材料として有用であり、有機発光素子の発光層の発光材料として効果的に用いることができる。
さらに、一般式(1)で表される化合物の中には、遅延蛍光を放射する遅延蛍光材料(遅延蛍光体)が含まれている。すなわち本発明は、一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体の発明と、一般式(1)で表される化合物を遅延蛍光体として使用する発明と、一般式(1)で表される化合物を用いて遅延蛍光を発光させる方法の発明も提供する。そのような化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、遅延蛍光を放射し、発光効率が高いという特徴を有する。その原理を、有機エレクトロルミネッセンス素子を例にとって説明すると以下のようになる。
有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正負の両電極より発光材料にキャリアを注入し、励起状態の発光材料を生成し、発光させる。通常、キャリア注入型の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、生成した励起子のうち、励起一重項状態に励起されるのは25%であり、残り75%は励起三重項状態に励起される。従って、励起三重項状態からの発光であるリン光を利用するほうが、エネルギーの利用効率が高い。しかしながら、励起三重項状態は寿命が長いため、励起状態の飽和や励起三重項状態の励起子との相互作用によるエネルギーの失活が起こり、一般にリン光の量子収率が高くないことが多い。一方、遅延蛍光材料は、項間交差等により励起三重項状態へとエネルギーが遷移した後、三重項−三重項消滅あるいは熱エネルギーの吸収により、励起一重項状態に逆項間交差され蛍光を放射する。有機エレクトロルミネッセンス素子においては、なかでも熱エネルギーの吸収による熱活性化型の遅延蛍光材料が特に有用であると考えられる。有機エレクトロルミネッセンス素子に遅延蛍光材料を利用した場合、励起一重項状態の励起子は通常通り蛍光を放射する。一方、励起三重項状態の励起子は、デバイスが発する熱を吸収して励起一重項へ項間交差され蛍光を放射する。このとき、励起一重項からの発光であるため蛍光と同波長での発光でありながら、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差により、生じる光の寿命(発光寿命)は通常の蛍光やりん光よりも長くなるため、これらよりも遅延した蛍光として観察される。これを遅延蛍光として定義できる。このような熱活性化型の励起子移動機構を用いれば、キャリア注入後に熱エネルギーの吸収を経ることにより、通常は25%しか生成しなかった励起一重項状態の化合物の比率を25%以上に引き上げることが可能となる。100℃未満の低い温度でも強い蛍光および遅延蛍光を発する化合物を用いれば、デバイスの熱で充分に励起三重項状態から励起一重項状態への項間交差が生じて遅延蛍光を放射するため、発光効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層の発光材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの優れた有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料としては、一般式(1)で表される本発明の化合物群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、本発明の発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、本発明の発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。もっとも、一重項励起子および三重項励起子を十分に閉じ込めることができなくても、高い発光効率を得ることが可能な場合もあるため、高い発光効率を実現しうるホスト材料であれば特に制約なく本発明に用いることができる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる本発明の発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光材料である本発明の化合物が発光層中に含有される量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、一般式(1)で表される化合物を発光層に用いるだけでなく、発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる一般式(1)で表される化合物と、発光層以外の層に用いる一般式(1)で表される化合物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層、正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層、正孔輸送層、電子輸送層などにも一般式(1)で表される化合物を用いてもよい。これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R1〜R10は、各々独立に水素原子または置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
まず、発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0006727080
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0006727080
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0006727080
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0006727080
Figure 0006727080
Figure 0006727080
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0006727080
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
Figure 0006727080
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、発光層に一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、発光効率が大きく改善された有機発光素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、HOMO準位およびLUMO準位の測定は、大気中光電子分光装置 (理研計器製:AC3)およびUV/Vis/NIR分光光度計 (PerkinElmer製:LAMBDA950)を用いて行い、発光強度の経時変化の測定は、蛍光分光光度計(ホリバ製:FluoroMax−4)を用いて行い、発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)、分光放射計(トプコン社製:SR−3)およびストリークカメラ(浜松ホトニクス(株)製C4334型)を用いて行った。
また、本実施例では、ナノ秒の発光寿命で減衰する発光を即時蛍光(通常の蛍光)、マイクロ秒以上の発光寿命で減衰する発光を遅延蛍光として判断した。
(合成例1) 化合物1の合成
まず、下記の反応により中間体1aを合成した。
Figure 0006727080
水素化ナトリウム1.1g(27.5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド100mLを、窒素置換した300mLの三口フラスコに入れ、氷浴で冷却しつつ、カルバゾール4.6g(27.5mmol)を加えて30分間攪拌した。この混合物に、1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン3g(11mmol)を加え、60℃で12時間加熱攪拌を行った。反応溶液を室温に冷却した後、300mLの水に注ぎ、ろ過により固体を回収した。この固体をエタノールで数回洗浄することにより、中間体1aを収量4.83g、収率78%で得た。
次に、下記の反応により化合物1を合成した。
Figure 0006727080
中間体1aの1g(1.77mmol)を100mLの三口フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴンで置換した後、テトラヒドロフラン30mLを加えて溶解させた。この混合物を−78℃に冷却し、1.6Mのブチルリチウム2.4mLを滴下して1時間攪拌した。この混合物に、ジメシチルフルオロボラン1g(3.89mmol)を溶解したテトラヒドロフラン溶液10mLを滴下し、徐々に室温に戻して12時間攪拌を行った。この反応溶液に水を加え、ろ過により固体を回収し、クロロホルムおよびエタノールを用いて再結晶させることにより、目的物である化合物1を収量0.82g、収率51%で得た。
(合成例2) 化合物2の合成
まず、下記の反応により中間体2aを合成した。
Figure 0006727080
1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン3g(11mmol)の代わりに、1,2−ジブロモ−4,5−ジフルオロベンゼン3g(11mmol)を用いること以外は、合成例1の中間体1aの合成工程と同様にして、中間体2aを収量5.54g、収率89%で得た。
次に、下記の反応により化合物2を合成した。
Figure 0006727080
中間体2aの1.6g(2.84mmol)を200mLの三口フラスコに入れ、フラスコ内をアルゴンで置換した後、シクロペンチルメチルエーテル50mLを加えて溶解させた。この混合物を−78℃に冷却し、1.6Mのブチルリチウム2.2mLを滴下して1時間攪拌した。この混合物に、ジメシチルフルオロボラン0.9g(3.36mmol)を溶解したシクロペンチルメチルエーテル溶液10mLを滴下し、徐々に室温に戻して12時間攪拌を行った。この反応溶液を−78℃に冷却し、前工程と同様の操作で、ブチルリチウムおよびジメシチルフルオロボラン溶液を滴下して反応を行った。12時間攪拌を行った反応溶液にドライアイスを加えて反応を停止し、この反応溶液をクロロホルム:ヘキサン=1:4の混合溶媒を展開溶媒に用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。その結果、目的物である化合物2の黄色固体を収量0.53g、収率21%で得た。
[薄膜の作製と評価]
(実施例1)
合成例1で得た化合物1は、HOMO準位が6.06eV、LUMO準位が3.62eVであった。この化合物1を用いて以下のようにして薄膜を作製した。
Ar雰囲気のグローブボックス中で化合物1のトルエン溶液(濃度10-5mol/L)を調製した。
また、石英基板上に真空蒸着法にて、真空度1×104Pa以下の条件にて化合物1の薄膜(単独膜)を100nmの厚さで形成した。
これとは別に、石英基板上に真空蒸着法にて、真空度1×104Pa以下の条件にて化合物1と3,3’−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)−1,1’−ビフェニル(
mCBP)とを異なる蒸着源から蒸着し、化合物1の濃度が6重量%である薄膜(ドープ膜)を100nmの厚さで形成した。
化合物1のトルエン溶液について、窒素バブリングを行った後に、325nm励起光による555nm発光の過渡減衰曲線を測定した結果を図2に示す。また、化合物1のmCBP共蒸着薄膜(化合物1の濃度は6重量%)について、5K、100K、200K、300Kの温度下で、337nm励起光による555nm発光の過渡減衰曲線を測定した結果を図3に示す。
図3の過渡減衰曲線において、測定条件が高温になる程、蛍光寿命が延長していることから、化合物1は熱活性型の遅延蛍光体であることが確認された。
(実施例2)
化合物1の代わりに化合物2を用いること以外は、実施例1と同様にして化合物2のトルエン溶液を調製した。
化合物2のトルエン溶液について、窒素バブリングを行う前と窒素バブリングを行った後に、325nm励起光による481nm発光の過渡減衰曲線を測定した結果を図4に示す。
図4を見ると、発光寿命が短い蛍光成分ととともに、発光寿命が長い蛍光成分を認められる。このことから、化合物2は遅延蛍光体であることが確認された。なお、発光寿命が、窒素バブリング前よりも窒素バブリング後の方が長寿命になっているのは、窒素バブリングしたトルエン溶液では、三重項励起子の酸素によるクエンチングが抑えられて励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差が促進されたためと推測される。
(比較例1)
化合物1の代わりに下記の構造を有する比較化合物1(Czはカルバゾール−9−イル基を表す)を用いること以外は、実施例1と同様にして比較化合物1のトルエン溶液を調製した。
Figure 0006727080
実施例1、2および比較例1で調製した各トルエン溶液について、325nm励起光によるフォトルミネッセンス量子収率、遅延蛍光寿命、発光極大波長を測定した結果を表1に示す。ここで、フォトルミネッセンス量子収率は、トルエン溶液を大気下に置いた状態と脱気した状態の2つの条件で測定した。
Figure 0006727080
表1に示すように、置換ジアリールボリル基とカルバゾール−9−イル基(ドナー性基)をそれぞれ2つ有する化合物1、2のトルエン溶液は、置換ジアリールボリル基1つとカルバゾール−9−イル基2つを有する比較化合物1のトルエン溶液に比べて、顕著に高い発光効率を有していた。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の作製と評価]
(実施例3)
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度1×104Pa以下で積層した。まず、ガラス基板上にジピラジノ[2,3−f:20,30−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)を10nm厚で形成し、次いで、4,4'−シクロヘキシリデンビス[N,N−ビス(4−メチルフェニル)ベンゼンアミン](TAPC)を30nm厚で形成し、さらに、化合物1とmCBPを共蒸着して30nm厚の膜を形成した(化合物1の濃度は6重量%)。次いで、2,4,6−トリス(ビフェニル−3−イル)−1,3,5−トリアジン(T2T)を10nm厚で形成し、さらに、2,7−ビス(2,20−ビピリジン−5−イル)トリフェニレン(BPy−TP2)を40nm厚で形成した。次いで、LiFを0.8nm形成し、さらにAlを100nm厚で形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
また、発光層における化合物1の濃度を15重量%または25重量%に変更すること以外は、上記の工程と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
作製した各有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率(EQE)−電流密度特性を図5に示す。図5中、「6重量%」、「15重量%」、「25重量%」は、それぞれ発光層における化合物1の濃度が6重量%、15重量%、25重量%である有機エレクトロルミネッセンス素子を表す。各有機エレクトロルミネッセンス素子の最大外部量子効率は、化合物1の濃度を6重量%にしたもので18.3%、化合物1の濃度を15重量%にしたもので15.7%、化合物1の濃度を25重量%にしたもので13.9%であり、非常に高い発光効率を得ることができた。
本発明の化合物は、非常に高い発光効率を有する。このため、本発明の化合物は、有機発光素子用の発光材料として有用である。また、本発明の有機発光素子は、こうした発光材料を含むため、優れた発光特性を実現しうるものである。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (10)

  1. 下記一般式()で表される構造を有する化合物。
    Figure 0006727080
    [一般式(2)において、A 1 は置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表す。R 1 〜R 5 の少なくとも1つは各々独立に置換もしくは無置換のジアリールボリル基を表し、R 1 〜R 5 の少なくとも2つは、各々独立に下記一般式(11)で表される構造を有するハメットのσpが負の置換基を表し、残りのR 1 〜R 5 は各々独立に水素原子またはハメットのσpが0以上である置換基を表す。ただし、R 1 〜R 5 のうちで、下記一般式(11)で表される構造を有するハメットのσpが負の置換基であるものは、R 1 とR 4 の組み合わせ、R 2 とR 3 の組み合わせ、または、R 3 とR 4 の組み合わせである。]
    Figure 0006727080
    [一般式(11)において、R 21 〜R 28 は各々独立に水素原子または置換基を表す。]
  2. 前記一般式()で表される化合物の分子内に存在するハメットのσpが正の置換基は、すべて置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 前記一般式(2)のR1またはR3が置換もしくは無置換のジアリールボリル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
  4. 前記一般式(2)のR1〜R5のうちで、前記一般式(11)で表される構造を有するハメットのσpが負の置換基であるものが、R1とR4の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 前記置換もしくは無置換のジアリールボリル基が下記一般式(10)で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 0006727080
    [一般式(10)において、R11〜R20は各々独立に水素原子または置換基を表す。R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R18とR19、R19とR20は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。]
  6. 前記一般式(10)のR11〜R15の少なくとも1つと、R16〜R20の少なくとも1つが、アルキル基であることを特徴とする請求項に記載の化合物。
  7. 前記一般式(10)のR11、R13、R15、R16、R18、R20がアルキル基であることを特徴とする請求項5または6に記載の化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を含有する発光材料。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする有機発光素子。
  10. 遅延蛍光を放射することを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
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