JP6726158B2 - 硝子体およびその他の組織の除去のための振動性手術器具 - Google Patents

硝子体およびその他の組織の除去のための振動性手術器具 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は患者の眼から硝子体およびその他の組織を除去するための眼科手術器具に関し、より具体的には硝子体およびその他の組織を破壊して吸引し眼から除去するための少なくとも一つのポートを備えるカニューレを振動させる眼科手術器具に関する。
硝子体切除術用カッター(または単に硝子体カッター)は、水晶体と網膜の間に存在する眼の後方部分からの硝子体液(眼科学分野では「硝子体」または「vit」と呼ばれることが多い)の除去に使用適応がある眼科医療器具アクセサリである。時に、硝子体は、視力を低下させる物質によって汚染されているために除去される(例えば、破裂血管からの血液、または飛蚊症と呼ばれ視野に黒い点を生じるその他の細胞性物質)。他の症例では、網膜上の構造または網膜付近の構造への手術用アクセスを提供するために硝子体が除去される。さらに、網膜および眼のその他の構造にかかる張力を緩和するために硝子体が除去される。
硝子体は約98%〜99%が水であるが、ビトロジン(vitrosin)によって結合している。ビトロジンは「グリコサミノグリカンであるヒアルロン酸がからみついたII型コラーゲン線維網」である(http://en.wikipedia.org/wiki/Vitreous humourによる情報)。硝子体は柔らかいゼリー状の粘稠性を有し、その粘度は水の約2〜4倍である。硝子体線維または鎖は、その一部が網膜に隣接して存在する硝子体膜(またはヒアリン膜)とつながっており、硝子体膜が引っ張られると、視野のひずみまたは場合によっては硝子体膜が網膜から引きはがされるために網膜への損傷を引き起しうる。流体力学の観点から、硝子体はずり減粘を呈するチキソトロピー性を有するものとして、そしてグリコサミノグリカンを含む水がベースの物質であることから基質として扱われてよい。故に、硝子体はチキソトロピー性の物質として分類される身体内の細胞外物質である(基質とチキソトロピーに関する情報はWikipedia.orgを参照)。
長いコラーゲン線維はゼラチン様の粘稠性を作り出し、後方部分から硝子体が直接(事前に破壊せずに)吸引されるのを少なくとも3つの方法で防ぐ。一つめの方法として、硝子体線維は真空吸引を介して硝子体が直接小さな孔に吸い込まれるのを防ぐのに十分な物質を一緒に引っ張っている。すなわち、小さい部分は孔に吸い込まれ大きな部分を一緒に引き込もうとするが、大きな部分は孔を通過できず、孔を塞ぐことになる。二つ目は、たとえ十分に大きな孔と十分に強力な吸引を使用することによっていくらかの硝子体を吸引器具に吸い込むことに成功したとしても、硝子体の粘着性が吸引器具の内壁をとらえ、流量を手術において望ましいレベル未満まで減少させる。三つ目に、たとえ持続的な流れが短時間の間確立されたとしても、孔の中に引きこまれていない硝子体鎖の終端部が引き続き物質をそれらの方に向かって引き寄せ、最終的にはヒアリン膜または網膜などの他の構造を引張り、これらに損傷を与えることになり、この現象は網膜外科医によって口語的に「牽引」と呼ばれている。外科医は、もしも損傷リスクが十分に高いと考えた場合は、何らかの形の切除または破壊を行うことなしに硝子体の受動的吸引を直接的に試みることはしない。例えば、手術中に後方部分に水晶体の断片が脱落した場合、水晶体超音波乳化吸引によって水晶体断片を除去する前に硝子体切除術(硝子体の除去)を行うのが一般的である。これは、水晶体超音波乳化吸引を試みた場合に硝子体内で発生するかもしれない牽引の危険性を排除するためのものである。
治療対象となっている疾患に応じて様々な量の硝子体を除去することができる。硝子体は典型的には、眼の後方表面周囲の様々な領域へのアクセスを提供するために球体の中心から除去される。硝子体は、治療上の理由のために外科医がアクセスする必要のある領域から除去され、例えば網膜の特定の領域を覆い隠している膜への安全で直接的なアクセスを提供するためである。硝子体は、牽引または引っ張りによる網膜への将来的な損傷を予防するために必要なものと外科医が特定する領域からも除去される。これら後に述べた2つの例においては、外科医は、網膜近傍にある可能性のある特定の領域から硝子体をできる限り多く除去しようとする。
多くの例では、強膜を介して硝子体へのアクセスが得られる。いくつかの例では、超音波水晶体乳化吸引術(phaco)を用いる白内障手術中に、硝子体脱出と呼ばれる水晶体を保持する被膜状の嚢の後壁の断裂が起こる。これらの場合、前方セグメント内に存在する硝子体と、後方セグメント前部に由来するいくらかの硝子体が角膜入口部を介して除去されてよい。現在の臨床診療においては、超音波水晶体乳化吸引術(phaco)器具の代わりに、硝子体を除去するために個別の硝子体切除術器具を使用しなければならない。水晶体除去用先端を使用する超音波器具、またはカプセル研磨先端を使用する潅流/吸引ハンドピースのいずれかを用いて硝子体の除去を試みると、ハンドピースの針には粘着性の硝子体による詰まりが生じ、眼の後方部分に存在する要素に加わる牽引を発生させ(上記のような理由から)、有効性を失う。業界において、標準的な先端ピースを付けた超音波水晶体乳化吸引術器具を使用して前方チャンバーから硝子体を除去することはできないことが一般的に認識されている。
超音波に関する多くの特許は、全般的な眼の組織および具体的に水晶体組織を断片または小片に破壊する手順を説明している。水晶体の除去を考えるとき、潅流液と混和された状態の破壊された水晶体断片のスラリーとしてこれを説明することにより、かなり正確なモデルを得ることができる。硝子体のねばねばとした粘着性のゼラチンのような性質を考慮すると、これはこの組織の説明としてはあまり正確ではない。
超音波器具を用いる硝子体液の除去に言及する特許および科学論文は存在するが、手術中に牽引を生じることなく安全かつ確実に硝子体を除去する方法を教示していたものはない。
Bankoによる特許文献1は、超音波器具による硝子体液の除去を開示している。この器具は超音波エネルギーを閉じ込めるための遮断体を含み、超音波プローブにより除去することを意図していない組織を保持する、例えば網膜を保護することによって安全係数を提供する。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
Jonesによる特許文献2は、物理的に小さい高周波発生装置、好ましくはパルス発振装置による硝子体ゲルの除去を教示している。作動周波数は「少なくとも約90〜100MHz」であり、標準的な眼科マイクロサージェリー用システムで用いられる従来の20〜60kHzに比べて著しく高い。さらに、放射先端そのものの内部に設置されているものとしてトランスデューサーが確認されている。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
Kossovskyらによる特許文献3は、超音波と、針の軸方向のボアの直径より実質的に小さい直径を持つ単一の開口部を一端に備える針とを使用して、硝子体を含む眼の組織の断片化と吸引の方法を教示している。これは、「眼の組織を吸引するための真空を作り出すために一つにまとめられる横断性の終端部壁部分・・・開口部およびボア・・・」を含む、または吸引ポンプを補助的に使用することのない吸引を含み、これにより許容できないほど低い流量がもたらされる。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
Spinosaらによる特許文献4は、治療液の送達のために改善された取り外し可能なシース器具を備える超音波装置に主に関するものである。硝子体への使用が言及されている。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
Perkinsによる特許文献5は、軸方向ポート、すなわち遠位端の頂部にあるポートを含む複数のポートを備える水晶体乳化吸引術用の針を開示しており、これは後方カプセル付近において安全なものであり、硝子体脱出は起こらない。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
Bankoによる特許文献6は水晶体超音波乳化吸引術用の機器を開示しており、様々な形状の先端と吸引ポートを備える針の複数の実施形態が含まれる。様々な先端デザインは、超音波エネルギーを望ましい状態に集中させるためのものである。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
Wuchinichによる特許文献7は、硝子体の液化のための静止シースがその周りを取り囲む超音波により振動する中実先端を説明する。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
潅流と吸引を同時に行わない、硝子体内での超音波の使用に関する研究が発表されている。例えば、非特許文献1において著者らは、ウシの硝子を液化させるために、後方チャンバーの中央に設置した直径2mmのプローブを、60kHz(ストローク数不明)で使用し、プローブの遠位端周囲の液化した領域の直径を測定した。しかし、器具を介してチャンバーから硝子体を吸引する試みは行われていなかった。除去中の硝子体の牽引に関する考察は記載されていない。
米国特許第3805787号明細書 米国特許第3941122号明細書 米国特許第4531934号明細書 米国特許第4634420号明細書 米国特許第6126629号明細書 米国特許第6299591号明細書 米国特許出願公開第2007/0255196号明細書
Lietgeb,Schuy,and Zirm, "Ultrasonic Vitrectomy − an Alternative Technique to Presently Used Mechanical Procedures" Graefes Archives of Clinical and Experimental Ophthalmology, 1979, volume 209, pages 263−268.
上記の観点から、硝子体除去用の器具の主要なデザインの目的は、硝子体の鎖を破壊することであり、これによりカッター内への吸引を可能にし、カッターを通過する流れを改善し、カッターの外側の牽引を最小限に抑える。もう一つの目的は、低い牽引目標値が達成されている限りは、網膜にできるだけ近い領域から硝子体を除去できるように、吸引ポートと器具終端部の間の距離を最小化することである。
臨床的に、使用者は次の5つの目的の達成を希望する:硝子体を迅速に除去する、できるだけ小さな創口から眼に進入する、牽引または直接的な切除による網膜への機械的損傷を回避する、眼への注入圧を最小化する、眼内の安定した陽圧を維持する。硝子体をゆっくりと除去することは、手術時間が長くなることを意味し、これは患者と患者の眼にとって負担をかけることになる。大型の創口では閉鎖するために創口全体に縫合が必要となり、不快症状や視野のひずみを引き起こす可能性がある。網膜の機械的損傷は、盲点または慢性的な視野の低下を引き起こす可能性がある。高い注入圧は網膜への血流を制限する可能性があり、網膜への恒久的な損傷を引き起こす可能性がある。眼内圧の変動は、カッターの開口部内への組織の移動を意図せず引き起こす可能性がある、または瞬間的な眼の虚脱を引き起こす。さらに、硝子体に接触させた場合に超音波カニューレの先端部で気泡が形成され、これにより手術部位の視野が不明瞭となり、眼の内部の流体工学に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの気泡は通常はキャビテーションと呼ばれ、これらは損傷しようとしていない組織の損傷も引き起こす可能性もある。
これらの目的は、互いに矛盾する可能性がある。一般に、組織吸引経路は硝子体除去のスピードを上げるためには大きくなるものである; 吸引経路が大きくなると、今度はカニューレを挿入するために大型の創口が必要となり、眼内圧を安定した状態に保つために眼に流入する水流を維持する高い注入圧が必要となる。低い注入圧によって得られる眼内圧の変動の安全マージンは小さい。さらに複雑な因子は、任意の圧力差の場合の硝子体の流れが概して水の流れより小さいことであり;そして硝子体と水はともに透明であることから、手術中に視覚的に識別するのが困難である。注入圧は、組織カッターの開口部が水に入った場合であってもチャンバーを安定した状態に保てるよう十分に高い値に設定しなければならない、または真空吸引は、硝子体液の流動と組織カッターの詰まりのリスクを最小化するために低いレベルに設定しなければならない。従って、通常の生理学的眼内圧レベルに近い注入圧の使用を可能にし、さらに手術中の眼内の安定した圧力を維持しながらも小径の内腔を通過する硝子体の十分な流れを達成する手術器具を提供することが望ましい。
外側カッターに対して動くことができる内側カッターを有する機械的硝子体カッターは周知であり、基本的に使用されている唯一の種類の硝子体カッターである。実質的には全ての機械的硝子体カッターはギロチンタイプのものであり、軸方向に往復運動する内側カッターを備えている。しかし、外側カッター上のポート全域を回転する、または往復しながら振動する内側カッターの実施例が先行技術において存在している。振動カッターは、切除されない硝子体に起因する牽引の潜在的問題が起こる可能性があり(「spooling」)、これが網膜の損傷を引き起こしうることから使用されない。全ての例において、機械的硝子体カッターはカッターポート内に硝子体を引き込むための吸引に頼るものであり、内側カッターと外側カッターとの間に起こる信頼できるハサミ型の接触が牽引を防ぐために必要となる。典型的には、軸方向の内側の針の動きを作り出すために空気圧駆動が使用されている;モーター駆動のカム、ボイスコイル、ソレノイド、または低周波数の非共振性のピエゾエレクトリック駆動を使用する電気駆動デザインも提案されている、または市販されている。David Wuchinichは、共鳴変換器内で内側の針がピエゾエレクトリック要素によって駆動されるバージョンを同氏のウェブサイト上で提示している。駆動機構の差にもかかわらず、これらの器具は全てポートを備える静止している外側の針と運動する内側の針で構成されている。
最近になって、切除された鎖の小片の全体的な大きさを小さくするために、機械的硝子体カッターの切除作用の周波数が上がり、切除と切除の間の時間が短縮されている。切除速度は600CPM(100ミリ秒/切除サイクル)から5,000CPM(12ミリ秒/切除サイクル)に上昇し、切除速度を10,000CPM(6ミリ秒/切除サイクル)まで上げる積極的な取り組みが行われている。最終的な最高切除速度は、往復運動をする質量によって、そして空気圧式器具内で前後に移動しなければならない空気の体積、そして電気器具におけるモーターの要求事項によってあるポイントにおいて限界となる。
必然的に、一組の針のデザインを有する全ての機械的硝子体カッターは、外側の針と内側の針の2つの針を含むことになる。吸引経路は内側の針を通るように設定され、吸引経路の形状は内側の針の内径(ID)によって部分的に決定される。内側の針は外側の針の内側で比較的自由に動けなければいけないため、内側カッターODと吸引経路ODの間の効果的な間隔は、2つのチューブの壁の厚さにいくらかの空隙を加えたものでなければならない。眼科手術器具は、漏れが少なく、治癒が早く、縫合を必要とせず、必要な前処置時間が短く、誘発される光学収差が小さい、より小さな切開の使用を可能にするために小型化されてきている。しかしこの傾向のために、外側カッターのODを小さくすることに使用者の関心が向いている。(チューブ内の流れに関する基本的なモデルにおいては)抵抗はチューブ直径の4乗に比例するため、吸引経路を提供するための第2の小径内側チューブの使用は、流れ抵抗を高め、流量を低下させることによって吸引速度を制限する。
外側の針のポートの開口部は、外側の針の壁を通過して妥当な量の損傷のない硝子体が引き込まれ、これが内側の針と外側ポートの辺縁によって捕捉されて切除されるのに十分な大きさでなければならないため、硝子体の小片のいくつかは外側の針の内径とほぼ同じ大きさの断面積、またはこれよりも大きな断面積を有していてよい。従って、硝子体の切除片は内側の針のIDによって定義される吸引経路よりも必然的に大きい。このことは、硝子体片が内側の針の壁に付着し、時にはそれらがチューブを流れる際に詰まりを起こす可能性があることを意味する。これは流れ抵抗と詰まりが起こる可能性を高めながら、同時に有効流量も低下させる。
効果的な切除を行うために、移動する内側の針の前縁は、静止している外側の針に強く押し付けられている状態で、静止している外側の針内のポートの前縁を超えて延伸しなければならない。牽引を最小化するために硝子体を完全に切除すること、そしてポートを可能な限り前方の位置に設置するという2つの希望があるため、設計者および製造業者は、時に発生する可能性のある不完全な切除(針の終端がポート終端を通過できないため)と、網膜近傍の領域を切除できないこと(ポートの終端部を超えて内側の針が駆動するためのより大きなスペースを提供するためにポートを遠位端からかなり後方に位置させているため)とを比較検討してそのバランスを調整することになる。全ての機械的硝子体カッターは、内側の針の屈曲または変位に起因する内側の針と外側の針の間のいくらかのレベルの干渉に頼るものである;この干渉は引きずりを加え、これは内側の針の速度を落とし、より早い切除速度を達成することをさらに困難にする。
ギロチンカッターによって硝子体が切除されている高速動画は、内側の針がポートを越えて通過し、先端にある外側ポートの辺縁に硝子体を押しつけてこれを押し潰す際に、硝子体カッターはポート外側の硝子体を引張り、ポート開口部の大きさとほぼ同じ距離、典型的には約0.015インチ(381μm)だけこれを移動させることを示す。これにより、たとえ完全な切除の最中であっても、それぞれの切除中に牽引が発生する(硝子体のポートへの自然な流れを上回る状態でポート外側の硝子体が引っ張られる)。
流量測定は、最新の機械的硝子体カッター内部を通過する水の流量が、同じ真空レベルと作動速度における同じカッター内部を通過する硝子体の流量よりも著しく高いことを示している。これは、硝子体の流れ抵抗が水の流れ抵抗よりも大きいことを示唆し、これには2つの影響がある。これは硝子体切除術の全体的な時間を延長し、水と硝子体との間をカッターが移動する際および再度戻る際の潅流水流の眼への流入の急激な変化を引き起こす。これらの急激な流れの変化は眼内圧を維持するために高い注入圧を必要とし、眼内の構造の損傷を引き起こす可能性がある。
前述のように、外科医は、網膜に近い場所の膜の近くの硝子体の除去を容易にするために、カッターの終端部にできる限り近い場所にポートを設置することを希望する。しかし、従来の機械的硝子体カッターでは、設計者は全てのアセンブリの差異と許容誤差を考慮して、内側の針が通過するスペースが得られるように、ポートの前縁と外側の針の終端の間に空間を残さなければならない。これはカッターポートの前縁が、外側の針の終端から約0.008インチから0.015インチ(200〜380μm)の位置にあってよいことを意味する。
部分的に効果的ではあるものの、全ての先行技術の硝子体除去器具は、小型の創口サイズ、高い流量、低い牽引という最終目標を完全に実現できていない。
このセクションは、本開示の全般的な概要を提供し、その全範囲またはその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
実施形態のいくつかの例は、遠位端および近位端を備えるハウジングを含む眼科手術器具を含んでよい。カニューレはハウジング遠位端に取り付けられ、カニューレを通って延伸する内腔と連絡する少なくとも一つのポートを備える遠位先端を有する。内腔はハウジング内の吸引経路と連絡している。さらに、ポートの断面積は内腔の断面積より小さい。眼科手術器具は、患者の眼からの硝子体およびその他の組織の除去を補助するために、カニューレの遠位端を振動させるためのハウジング内に保持される振動発生源をさらに含む。吸引発生源は、眼から液体および硝子体およびその他の組織を除去するために、内腔および少なくとも一つのポートに陰圧を適用するために吸引経路に接続される。振動発生源および吸引発生源は協働して、遠位先端の外側でキャビテーションを発生させることなく、ポート内部を通過する組織の周期的な二方向の流れを作り出す。
実施形態の他の例は、カニューレを振動させることができる手術装置に取り付けるためのカニューレを開示する。この手術装置は吸引経路も含む。カニューレは、眼の後方セグメント全体に延伸するのに十分な長さのシャフトを有し、カニューレの近位部または手術装置の遠位部は入口部のアライメント器具と接触しない。少なくとも一つのポートがカニューレ遠位先端付近で、カニューレの中心軸の側面に形成される。ポートは、吸引経路と連絡するためにカニューレを通って延伸する内腔と連絡する。少なくとも一つのポートの断面積は内腔の断面積に比べて3分の1以下である。
さらなる実施形態の例は、第1の入口部アライメント器具、ある長さのチューブに取り付けられた注入カニューレ、組織摘出器具を受容するための第2の入口部アライメント器具を含む眼科手術キットを開示する。注入カニューレは第1の入口部アライメント器具に挿入するためのものであり、チューブは注入液の供給源に取り付けるためのものである。第1の入口部アライメント器具は、第2の入口部アライメント器具の内腔径よりも大きな直径の内腔を有する。
実施形態の別の例は、複数の入口部アライメント器具と、チューブの全長に取り付けられる複数の注入カニューレとを含む眼科手術キットを開示する。各注入カニューレは複数の入口部アライメント器具のうちの一つに挿入するためのものであり、チューブは注入液の供給源に取り付けるためのものである。複数の入口部アライメント器具の別のものは組織摘出器具を受容するためのものである。複数の注入カニューレは、組織摘出器具のポートの吸引断面積よりも大きい断面積を注入液に提供する。
実施形態の別の例は、硝子体カニューレを振動させるために手術装置に取り付けられる硝子体カニューレを含む眼科手術システムを開示する。硝子体カニューレは、硝子体カニューレを通って硝子体カニューレの近位端まで延伸する内腔と連絡する少なくとも一つのポートを備える遠位先端を有する。内腔は手術装置内の吸引経路と連絡しており、ポートの断面積は内腔の断面積よりも小さい。硝子体およびその他の組織は、ポートを通る組織の周期的な二方向の流れが生み出されるように硝子体カニューレが振動したときに眼から除去される。注入液供給源は注入カニューレに接続される。吸引発生源は、硝子体およびその他の組織を眼から吸引するための手術装置吸引経路に取り付けられる。眼に挿入するための複数の入口部アライメント器具は、少なくとも注入カニューレおよび硝子体カニューレを受容するためのものである。
利用可能なさらなる分野は、本願に記載する発明の説明から明らかになるであろう。この概要に含まれる説明と特定の実施例は例を示すことを目的としているものに過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
本書で説明される図面は特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、実行可能な全ての実施例を説明するものではなく、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
実施形態の一例の器具の立面図である。 図1の点線円2の部分の部分立面図である。 線2−2で切り取った図2の立面図である。 図2の代替的な実施例の部分立面図である。 線3−3で切り取った図3の立面図である。 図2の別の代替的な実施例の部分立面図である。 線4−4で切り取った図4の立面図である。 図2のさらに別の代替的な実施例の部分立面図である。 図2のやはり別の代替的な実施例の部分立面図である。 線6−6で切り取った図6の立面図である。 実施例器具と一緒に使用されるカニューレ実施例の立面図である。 実施例器具のカニューレのさらに別の実施例の部分立面図である。 図8を90度回転させた図である。 実施例器具のカニューレのやはり別の実施例の部分立面図である。 実施例器具のカニューレの別の実施例の部分立面図である。 実施例器具のカニューレの別の実施例の部分立面図である。 実施例器具のカニューレの代替的な実施例の部分立面図である。 実施例器具の湾曲したカニューレ実施例の立面図である。 実施例システムの部分斜視図である。 実施例キットの立面図である。 実施例キットに含まれる代替的器具の立面図である。 硝子体の流れを示すカニューレの部分断面図である。 硝子体の流れを示すカニューレの部分断面図である。 硝子体の流れを示すカニューレの部分断面図である。 硝子体の流れを示すカニューレの部分断面図である。 ポートからの距離に応じた圧力勾配の低下を示す図である。 22ゲージのカニューレの硝子体の流量を示すグラフである。 様々なポートのサイズの静的保持力を示すグラフである。
対応する参照番号は、図面の複数の図全体において対応する部分を示す。
ここで、図面を参照しながら実施形態の例をより詳細に説明する。
図1は、実施形態の一例による眼科手術器具10の立面図である。器具10は、遠位端14および近位端16を有するハウジング12を含む。カニューレ18はハウジング遠位端14に取り付けられる。カニューレ18は、カニューレ18を通って延伸し、ハウジング12内の吸引経路24と連絡する内腔(図1に示さず)と連絡する少なくとも一つのポート22を備える遠位先端20を有する。振動発生源26は、患者の眼からの硝子体およびその他の組織の除去を補助するために、カニューレ18の遠位先端20を振動させるためにハウジング12内に保持される。吸引発生源(図1に示さず)は、液体および硝子体およびその他の組織を眼から除去するために内腔と少なくとも一つのポート22に陰圧を適用するために、チューブコネクタ21を介して吸引経路24に接続される。振動発生源26および吸引発生源は協働して、遠位先端20の外側にキャビテーションを発生させることなく、ポート22を通る組織の周期的な二方向の流れを作り出す。先端の動きは、1つのポートまたは複数のポートを通って往復しながら流れる液体の周期的な二方向の流れを生み出すことができ、これは下記でさらに詳しく説明される。
器具10が、上述のように振動する従来の水晶体超音波乳化吸引または断片化手術器具に取り付けられるカニューレ18であってよいことがわかる。器具10は、牽引をほとんどまたは全く起こさずに、硝子体およびその他の組織を破壊するのに十分にカニューレを振動させるピエゾエレクトリック性、磁気抵抗性、またはその他あらゆる振動機構である振動発生源26を有していてよい。振動発生源26は、超音波的にまたは音響的にカニューレ遠位先端20を振動させてよい。従来の超音波手術器具が使用される場合、振動周波数20−60kHzが一般的である。同様に、振動発生源26は、縦振動(矢印28で示されるように)、左右の回転振動(カニューレ18の縦軸を中心に)、横振動(遠位先端20の側方から側方への動き、または楕円振動)の1つ以上の方式でカニューレ遠位先端20を振動させてよい。
カニューレ遠位先端は、器具10の設計と望ましい性能に応じて複数の実施形態のいずれかを有していてよい。図2から図6−6はカニューレ遠位先端およびポートの複数の実施例を示す。示された実施例に加えて、ポートは様々なサイズ、望ましいあらゆる形状(例えば、三角形、長方形、四角、楕円形、八角形、他)であってよい。ポート22の合計断面積、または多数のポートの合計断面積は好ましくは約75000平方マイクロメートル(μm)未満である。各ポートは、好ましくはカニューレ18の内腔よりも小さい断面積を有する(下図7参照)。より好ましくは、各ポートは内腔断面積に比べて1/3以下の断面積を有する。
カニューレ18は、好ましくはカニューレのハブ(後ほど図7内の17に示す)から遠位先端20までが31〜33mmのシャフト長を有する、すなわちカニューレの後部(ハブ)または手術装置の遠位部(図7に示さず)が入口部アライメント器具(図14内の164に示す)に接触することなく、眼の後方セグメント全体に延伸できる十分な長さを有する。カニューレ18は典型的な断片化用の針(通常は約17mm)、および水晶体超音波乳化吸引術用の針(通常は約14.5mm)より長い。カニューレ長またはシャフト長は、概して円筒状であり、入口部アライメント器具にちょうど収まるがカニューレのハブから概して円筒状の部分まで形成される先細り部分を含まないカニューレの部分である、カニューレの一部として定義される。カニューレは好ましくは20、23、25、または場合によっては27ゲージの外径を有する。ポート22の直径はプランジEDM(放電加工機)、レーザー切除、またはその他適した方法によって形成が可能であり、小さいもので0.004インチ(102μm)が形成されており、現在は0.006インチ(152.4μm)から0.008インチ(203.2μm)の間の直径が好ましいものと考えられており、35,000 μm未満および20,000μm未満のポート断面積が得られる。ポート直径127μm(0.005インチ)は12,667μmの断面積をもたらし、直径152.4μm(0.006インチ)の断面積は18,241μmであり、直径203.2μm(0.008インチ)の断面積は32,429μmである。従って、ポートは好ましくは、205μm未満、155μm未満、または130μm未満の直径を有する。
図2および2−2は、カニューレ遠位先端20の側面に形成される一つのポート22を有する。このようにポート22を側面に設定することは手術中に外科医がポート22を視認し、ポート22を備える側面の反対側にあるカニューレ遠位先端20の側面29が損傷を引き起こすことなく繊細な組織に接触することが可能となるのを助ける。もしもポートが遠位先端20の軸方向の先端部または頂点に形成されると、手術中に外科医がポートを視認することは不可能となり、望ましくない組織が破壊され、眼から除去される可能性がある。ポート周囲の組織を視認できることは、外科医にとって安全な治療を行うために不可欠である。さらに、軸方向の先端ポートは、遠位先端20内の可動性の有効断面積を減少させることによって望ましい周期的な二方向の流れを作り出す有効性を低下させることになり、カニューレ中心軸の側面に形成されるポートによって必要となるものに比べてより大きな振動力(先端速度)が必要となり、これはひいては網膜組織への害の発生の可能性を高める可能性がある。
図3および3−3は、カニューレの内腔と連絡する多数のポート32を備えるカニューレ遠位先端30を示す。多数のポート32はカニューレの中心軸34の側面に形成される。
図4および4−4は概して平坦な遠位先端40を備えるカニューレを示し、形成されるポート42は、平坦な遠位先端40と側面壁46の間の放射状の移行部44である。遠位先端のジオメトリまたは形状因子は、製造方法とカニューレの望ましい性能に応じてあらゆる形状であってよい(例えば、ピラミッド形、円形(図2のように)、四角形、円錐形、円錐台状、他)。
図5は、平坦な遠位先端50が側面壁56にポート52を有していることを除き図4と類似のものである。
図6および6−6は、多数のポート62を備える遠位先端60を示す。
図7は、内腔19よりも小さい断面積を有するポート22を備えるカニューレ18を示す。カニューレ18は、水晶体超音波乳化吸引手術装置であってよい器具10への取り付けのために近位端27に螺入式接続部を有するものとしても示されている。当然ながら、カニューレ18は、その他の接続機構、例えば摩擦性嵌合、クイック接続、またはカニューレ18を器具10に取り付けるために適切なあらゆる機構を有してよい。加えて、カニューレ18は、振動発生源26の要素部品、例えばホーン(図示せず)を備える単一構造として機械加工されることもできる。
図8から図11は、カニューレに取り付けられ、カニューレ遠位先端を超えて延伸する防護器具の代替的な実施例を示す。防護器具は、接着剤、摩擦接触、オーバーモールド、またはその他あらゆる適切な手法を含む、適切な方法によって取り付けることができる。防護器具は、好ましくはシリコーンまたはその他適切な材料などの、柔軟で伸展性のある材料から形成される。防護器具は、繊細な組織、例えば網膜を損傷から保護するための役割を果たす。
図8は、ポート82を備えるカニューレ遠位先端80、およびカニューレに取り付けられ、カニューレ遠位先端80を超えて延伸する防護器具84を示す。防護器具84がカニューレ遠位先端80を超えて延伸する距離は、器具の性能、外科医の選好、望ましい安全マージンに応じて変化する。防護器具84は輪になったバンドの構造として説明されてよい。距離は約1mm以下であってよい。図8Aは図8を90度回転させたものを示す。
図9は、ポート92および防護器具94を備えるカニューレ遠位先端90を示す。防護器具94は複数の触手状構造96として説明されてよい。
図10は、触手状構造96を支持する補強リング100が付加された状態の図9と同じ構造である。
図11は、ポート112と、硝子体切除術中に除去または損傷されてはいけない繊細な組織を保護するためにシリコーンまたはその他適切な柔軟で伸展性のある材料で形成されるプラグ116を受容するための孔114とを備えるカニューレ遠位先端110を示す。
図12は、器具10に取り付けられる伸展性のあるジャケット120を示す(アタッチメント示さず)。ジャケット120は、カニューレ遠位先端122の周囲を取り囲み、これを超えて延伸する。ジャケット120はカニューレ遠位先端22に近接するポート124も含む。このジャケットは針に固定されていないが、針と一緒に動く。
図13は、遠位先端134のポート132を外科医が視認するのを助ける湾曲したカニューレ130を示す。
再度図1を参照すると、振動発生源26は好ましくは、硝子体に埋まった水晶体断片を除去するのに十分な遠位先端20の振動を引き起こすことができ、これは典型的には硝子体を除去するのに必要な振動よりも著しく大きくなる。水晶体断片の除去には超音波振動が必要となる場合がある。比較的小型のポート22を備えるカニューレ18は水晶体断片を乳化するが、カニューレ18の保持力または保持量が標準的なphacoまたは断片化用の針に比べて著しく少ないため、器具10は標準的な針を備える標準的な断片化器具よりも効率性が低いことが理解される。振動発生源26は、内側内腔面積および平均吸引流量の両者に依存する速度振幅においてカニューレ遠位先端20を振動させる必要があると考えられている。20ゲージのETW(超薄壁)先端で0.5ml/分の吸引速度の場合、これは少なくとも0.02メートル/秒(m/秒)となる。器具10は、吸引チューブ(図示せず)の取り付けのための吸引チューブコネクタ21および振動発生源26に制御信号と電力を供給するための電源コード23も含む。カニューレ18は、カニューレ18を振動させる手術装置また器具10に取り付けられる。カニューレ18は、内腔19と連絡する少なくとも1つのポート22を備える遠位先端20を有する。内腔19は、カニューレ18を通ってカニューレ18の近位端27まで延伸し、内腔19は手術装置10内の吸引経路24と連絡する。硝子体およびその他の組織は、ポート22を通る組織の周期的な二方向の流れが生じるようにカニューレが振動するときに眼から除去される。流れとゲージに応じた予想される最低先端速度目標値のいくつかを、デザイン例として下表1に示す。表1のゲージの列のEは極薄壁を意味し、Uは超薄壁を意味する。
Figure 0006726158
ピーク先端速度は、振動によって生じる遠位先端20が到達するピーク速度である。ピーク先端速度またはVTPは、周波数fの振動における先端調波速度として表されうる。振動の出力を定量するためのメートル単位として振動周波数におけるピーク間距離(Sp−p)の値を使用することは周知である。従って、VTP=Sp−p*π*fとなる。
ポートを通過する水の最大ポテンシャル速度Vwaterは圧力差またはポート前後の圧力低下に依存する。そのためこの場合、少なくとも一つのポート22を通過する水の最大流速は、眼内圧とカニューレ内腔19内の圧力の間の圧力差に関して表すことができる。吸引が存在する場合の内腔19内の圧力は眼内圧よりも小さくなければならない。眼内圧は、眼の自然な圧力に、眼に注入される液体を加えたものから、眼から吸引されたまたは漏出した液体を差し引いたものを含む。吸引は慣例として絶対圧力ではなく周囲圧力より小さい陰圧に関して表されるために、下記の式では、圧力差が眼内圧+真空吸引で表されていることに留意すべきである。圧力低下Δおよび吸引媒体の密度ρに関しては、その他の損失が存在しないのであれば、微量の体積の水を静止状態から速度√(2・Δ/ρ)へと加速させることができる。故に、Vwater=√(2・Δ/ρ)であり、式中、Δ=(眼内圧 + 真空吸引)であり、ρ= 媒体の密度であり、水と硝子体の場合で約1000kg/mまでである。Vwaterはメートル/秒(m/秒)で表され、ポートを通過する流れに由来する損失を補正するためにΔ項に適用される係数によってさらに変形することができる。係数は一般的に0.62〜0.75である。
ポートを通過する平均吸引液体速度Vflavgは、体積流量Fおよびポートの面積の大きさに依存する。そのためF=Vflavg*N*Aportとなり、式中、Fの単位はm/秒、Vflavgの単位はm/秒、Aportの単位はmであってよく、Nはポートの数である。円形のポートの場合は、面積は当然ながらπ*rである。
ポート22または多数のポートの任意の組み合わせは、735mmHg以下の真空状態において1グラム未満の保持力を有する。保持力が小さいため、限られた遠位先端速度との組み合わせにより、眼の後側において硝子体およびその他の繊細な組織を破壊し、吸引する場合に牽引がほとんどまたは全く起こらないことが見出されている。
図14は、眼科手術器具10を超える追加の器具を含むシステム140を示す。例えば、注入液供給源142は眼144と連絡する。眼144に注入される注入液146の圧力は眼144の眼内圧の一部を作る。眼144に挿入するための注入カニューレ148は、好ましくはポート22の断面積よりも、または多数のカニューレポートの合計断面積よりも大きな断面積を有する。注入カニューレ148は供給源142と注入チューブ150を介して連絡する。吸引発生源152は吸引経路24に、吸引チューブ154を介して適用される。吸引発生源152は、液体および硝子体およびその他の組織を眼144から除去するために、内腔19およびポート22に陰圧を適用する。電源コード23は、振動発生源26を制御するために手術コンソール156に接続される。注入液供給源142は、棒158に取り付けられた平衡塩類溶液の瓶またはバッグとして示され、眼144に流入する液体146の圧力を増減させるため、上下に動く。しかし、注入液供給源は、加圧された注入液供給源もしくは適当な注入圧を適用するために絞り込まれるバッグ、または眼に注入液体を供給するのに適したその他の方法などの他の形態をとることができる。
図14は、網膜の断裂162を修復するために眼144から硝子体160を除去する器具10を示す。カニューレ18および注入カニューレ148は、入口部アライメント(ESA)器具164および166から眼144に挿入された状態で示される。ESA器具164および166は既知であり、ESA器具は縫合を必要とせずに自己閉鎖が得られるのに十分に小型の切開を作ることから、縫合なしの手術を可能にする。好ましくは注入カニューレ148は23ゲージである内腔(示さず)を有し、硝子体カニューレ18の内腔19は25ゲージ以下である。
図14は眼科手術システム140として説明されうる。システム140は、硝子体カニューレ18を振動させるための手術装置または器具10に取り付けられる硝子体カニューレ18を含む。硝子体カニューレ18は、硝子体カニューレ18を通って硝子体カニューレ18の近位端27まで延伸する内腔19(図7参照)と連絡する少なくとも一つのポート(図2から6参照)を備える遠位先端20を有する。内腔19は手術装置10内の吸引経路24と連絡する。硝子体160およびその他の組織は、振動発生源と吸引発生源が協働して、遠位先端の外側にキャビテーションを発生させることなしにポートを通る組織の周期的な二方向の流れを作り出すように、硝子体カニューレ18が振動する際に眼144から除去される。注入液供給源142は、注入チューブ150を介して注入カニューレ148に接続される。吸引発生源152は、硝子体160およびその他の組織の眼144からの吸引のためにコネクタ21を介して手術装置10および吸引経路24に取り付けられる。複数の入口部アライメント器具164、166は眼144への挿入と、少なくとも注入カニューレ148および硝子体カニューレ18を受容するためのものである。
図15は眼科手術キット200を示す。キット200は、本発明に加えて、例えば機械的硝子体カッターなどの従来の硝子体切除術システムおよび器具と一緒に有用に用いられてよい。小型の手術装置へと向かう現在の傾向により、硝子体カッター/除去器具を通る十分な流量を作り出すことに関する問題が生じている。小型の装置の内腔では、詰まりを予防し、十分な量の組織の除去を維持するために、十分な流量を作り出すための高い真空レベルが必要となる。注入カニューレと注入ESA器具のサイズが硝子体カッターに使用されるそれと同じである場合、注入カニューレは手術中の眼内圧を維持するために過剰な注入圧を必要とする可能性がある。過剰な注入圧は、手術部位を覆い隠す組織損傷および液体の噴出につながる可能性があり、眼内の液体の望ましくない乱れを生じさせる可能性がある。これらの問題を回避するため、硝子体カッター/硝子体除去器具の内径の断面積よりも大きな断面積を持つ注入カニューレを使用することができる。これにより、注入カニューレが安全な低い注入圧において十分な注入液体積を供給し、安定した眼内圧を維持することが可能となる。
キット200は、第1の入口部アライメント器具204および第2の入口部アライメント器具206が含まれるパッケージ202を含む。キット200は、チューブ210の全長に取り付けられる注入カニューレ188も含む。カニューレ188は第1の入口部アライメント器具204に挿入するためのものであり、チューブ210はコネクタ212を介して注入液の供給源(図示しておらず、キットの一部ではない)に取り付けるためのものである。第2の入口部アライメント器具206は、図16に示すような組織摘出器具、例えば上述の振動性の手術装置10または従来のギロチンタイプの硝子体カッター214を受容するためのものである。第1の入口部アライメント器具204は、第2の入口部アライメント器具206の内腔の直径よりも大きな直径の内腔を有する。キット200は、硝子体およびその他の組織の患者の眼からの除去のための組織摘出器具214または10をさらに含んでよい。キット200は振動性の手術装置10に取り付けるためのカニューレ18も含んでよく、カニューレ18は、カニューレ18を通って延伸し、ハウジング12内の吸引経路24と連絡する(図7に示すように)内腔19と連絡する少なくとも一つのポート22を備える遠位先端20を有する。複数のトロカー201もキット200に含まれてよい。
代替例では、組織摘出器具の内腔よりも大きい内腔を有する注入カニューレではなく、組織摘出器具の内腔サイズと同じまたはこれより小さい多数の注入カニューレを使用することができる。組織摘出器具のポート(1つまたは複数)または内腔の吸引断面積よりも大きい注入液用の断面積を提供することが目標である。
上記を考慮し、既存のデザインの欠点に対処する新しい硝子体切除術器具デザインが提案される。これは、内側の針なしで、1つ以上の軸から偏位したポートを備える単一の覆いのついた、または覆いのついていない、動く外側の針で構成される。ポート(1つまたは複数)は好ましくは針の内径の断面積の70%未満の断面積を有し(あらゆる寸法の残留する損傷のないゼラチン様の塊が、小さすぎて詰まりを引き起こせないようにする)、針のゲージに応じてポート全体の最大寸法が約0.003インチ〜0.012インチ(75−305マイクロメートル)となる。これは針の内径の半分より小さい直径を持つカニューレの軸の側面に設置するための単一のポートであってよく、これにより許容可能な結果が達成される。
さらなる好ましい構成は、カニューレ/針が、手術における標準的な創口(例えば、ODが1mm以下)または入口部アライメントシステムカニューレ(例えば、23ゲージのシステムの場合でODが0.625mm以下)のいずれかを通過するのに十分に小径であること、そして眼球全体に到達する十分な長さを有することである(例えばハブの終端部における先細り部分からシャフトの先端までの距離が30mm以上)。
動きの振幅および構造寸法の実施例として、ポートの大きさは約0.005インチまたは127マイクロメートルであるかもしれず、最小壁圧は0.001インチまたは25マイクロメートルであるかもしれない;予想される最大変位振幅は5〜15マイクロメートルであるかもしれない。相対速度の一例として、変位振幅が10マイクロメートルで、調波作動周波数が28,500Hzの器具の調波速度振幅は約1.8m/秒となる;器具終端部の4つの0.005インチ(125マイクロメートル)径の孔を通過する粒子速度は、流量が3.5ml/分の場合に約1.2m/秒であり、類似の23ゲージ器具を通過する水の望ましい流量と一致する。
実施形態の例に対して多数の小規模な変更を行うことができる。これらには、孔の合計数、孔の直径、遠位先端の内側形状と外側形状、針の製造に使用されている材料、針の製造に使用される工程(モノリシックに機械加工される、または要素から作製されうるもので、ドリル穿孔またはEDMまたは孔を形成するためのその他の工程を含むことができる)、全長、内径および外径、作動周波数、および連続運転またはパルス運転が含まれる。
実施形態の例の一部として、特定の駆動制御モードが実現可能である。例えば、一部の使用者は先端部で膜のような解剖学的特徴を把持したり、またはこれを剥離することを希望するかもしれない。カッターは低い真空レベルしか必要とせず、小型の孔を有していることから、先端部の保持力は従来のカッターのものより著しく小さい可能性がある。従って器具の1つの制御モードには、超音波パワーを使用する指令が出されていない場合に、自動的に高いレベルの真空を適用するが、ひとたび超音波パワーが適用されると指令が出された吸引の真空レベルを低下させる手順が含まれる。
代替的な先端の動きの方向も企図されうる。例えば先端の終端にある孔はわずかに中心からずれているため、先端を捻るような動きによって、孔の側面は、縦振動で行われる破壊と同様の方法で硝子体の破壊と液化を行う可能性がある。ポートの捻る方向の作用は、 ポートの側面領域から針の内外に直接液体を押し出すことによって二方向の流れを生み出す可能性がある。同様に、わずかな側方への動きまたは横方向の動きでも同様の効果が得られる可能性がある。この場合、二方向の流れは、針がポートの軸に沿って動くのに従い、ポートの前側に交互に作り出される圧力領域と真空領域をもたらす可能性があり、または針がポートの面に平行に動く場合は、ポートの面全域に亘って高い液体速度によって低い圧力領域が誘発される可能性がある。
実施形態の例の別の説明は、本開示の手術器具が、従来のギロチン式硝子体カッターに比べて同じ真空レベルでより大きな流量を達成する可能性があることかもしれない。
この実施形態の例は、ポート内を貫通するように作成される組織の吸引経路に利用可能な針内部の面積を大きくすること、吸引サイクルの一部の間の内側の針による吸引ポートの閉塞を排除すること、最も小さい吸引経路直径の壁に沿って高いせん断応力を適用して、チキソトロピー性の硝子体内にずり減粘を発生させること、硝子体を小片に破砕すること(以下に簡潔に考察するメカニズムによって)などの多数のメカニズムによって流れを改善する。これらのメカニズムのそれぞれを、以降のパラグラフでさらに詳しく説明する。
この実施形態の例では、機械的硝子体カッターと同様に針は2本ではなく1本のみである。内側の針を排除することによって、針前後の任意の圧力差において針を通過する流れは、同じ外径の外側の針の場合で約2〜4倍増加する可能性がある。長いチューブを通過する乱流のない流れ抵抗の伝統的な解析は、1/長さ*直径という公式と関連があることが周知である。典型的には従来の機械的硝子体切除術器具は、少なくとも30mmの吸引内腔を有し、これは眼の側面にある入口点から球体を横切って眼の反対側の点に到達するのに十分な長さである。ある種の典型的な針材料の組み合わせの直径を下表2に示し、単位は0.001インチ(25.4マイクロメートル)である(メートル法に換算する場合は、表内の数値に25.4マイクロメートルを掛ける)。ここで、MTW=超薄壁;UTW=極薄壁である。
Figure 0006726158
任意のゲージのカニューレを通過できる外側の針の場合、内側の針を排除することで吸引経路の直径が25%〜40%増加する可能性があることがわかり、これは少なくとも55%(より大きい(1−(1/1.25))の流れ抵抗の低下に置き換えられる。機械加工などの異なる針の製造方法の使用はこの最終結果に影響する可能性がある。
加えて、機械的硝子体カッターの内側の針は、外側の針から出た後で駆動機構に取り付けられなければならないことから、概して眼の全域に到達するのに必要な最小距離よりもかなり長い。これは長さ係数の逆数のために流れ抵抗のさらなる増大の要因となる。
従来の硝子体切除術カッターにおいては、内側の針は切除サイクルの一部の間に吸引ポートをブロックし、結果的に吸引が低下する。例えば、固定された真空レベルにおいては、ポートが連続的に開口している状態で水は約5ml/分の速度で従来のカッター内部を流れ、硝子体は同一条件において0ml/分の速度で流れる。ひとたび切除が行われると硝子体の流れが増加する(この時点では硝子体は小片に切除されているため)が、カッター吸引ポートはこの時点で針によって時間の一部分においてブロックされているため、水の流れは低下する。従来のカッターにおいては、内側の針の移動時間を最小化するとブロックの時間が最小化され、これにより眼内を通過する流れが増加するが、短い移動時間は典型的に高い駆動圧を必要とし、切除速度が上がるに従って相対的移動時間(閉口デューティーサイクル)が増加するのは避けられない。このブロック時間を本実施形態例を用いて排除することにより、破壊サイクル中に吸引のために利用できる合計時間が最大化される。
硝子体のようなチキソトロピー性の物質は、高いせん断応力にさらされると粘性が低下する。吸引経路の壁を連続的に往復運動させると、壁と接触するあらゆる硝子体に高いせん断応力が加わり、硝子体が液状の状態を維持し、流れ抵抗が低下する。吸引された組織がひとたび針の下流の径の大きい吸引経路内に移動すると、予想流速と同様に経路の流体抵抗が低下し、経路のこの部分の流体抵抗の影響が最小化される。
この実施形態例は硝子体の破壊および液化を促進する特徴も含み、得られる小片は従来の硝子体切除によって得られる小片よりも小さい。たとえ吸引経路の内径が同一のままであったとしても、より小さい小片は流れ抵抗の低下につながる。
具体的には、針の終端部にある孔または孔のパターンは小さい小片しか通過させず、吸引経路のIDよりも実質的に小さい孔を選択することにより、物質を破砕して吸引経路の断面積よりも小さい小片にするのに役立つ。さらに、多数の孔を持つ孔のパターンは孔同士の間に1つ以上の網目状の構造を作り、これが個々の流れをばらばらにし(それらの流れの中にある鎖もばらばらにする)、流入の際に硝子体をばらばらにする。さらに、ポートを通過する二方向の流れを形成する速度において、針の終端部が調波状に急速に変位する場合、チキソトロピー性の硝子体を液化する局所せん断応力が生じる。さらにひとたび小型の孔から引き込まれると、カニューレ内の25ゲージのチューブを通る吸引経路の最小面積はポート領域より著しく大きい。ポートを通過し、壁の近くで破壊される小片は凝集せず、互いの動きを妨げることもない。
さらに、ポートを通過した後で吸引内腔内で拡散するプロセスでは、物質は高い横方向のせん断応力に曝されることになる。故に、数回の調波サイクルしか持続しない時間(0.1ミリ秒未満)の間に、硝子体組織は吸引ポート付近に引き込まれ、組織の一部は流れの方向とは反対の方向に引き戻され、その後平均流速よりも大きな速度で吸引の流れの方向に引き込まれ、その後より大きな吸引内腔領域内でばらばらに拡散する。その結果生じる周期的な応力の乱流の組み合わせは組織の破壊と液化を生じさせて組織を破砕して小片化し、これにより針の外側の牽引が排除され、針内部の流れ抵抗が最小化される。
さらに、高いポート速度において慣性ジェットが形成されるに従い、同時に形成される対向性の二方向の流れに由来し、トロイダルセル内で形成される回転性の流れによる側方の高いせん断応力がポート内に生じ、硝子体をさらに破壊し、これを液化する。
すぐ上で述べた議論を下表3に示し、従来の硝子体カッターの性能に対して開示されている本実施形態例を比較する。
Figure 0006726158
音響媒体において、調和運動は往復運動または振動運動であり、この場合の圧力波は、粒子の局所変位を介して媒体中を伝わる可能性がある。圧力波の位相面はとてつもない距離を移動できるものの、媒体中の粒子は非常にわずかしか動かず、振動期のたびに周期的に元の場所に戻ることを理解することが重要である。粒子運動の振幅は、媒体中の粒子を通り過ぎる圧力波の大きさによって決定され、波の圧力振幅が大きいほど、粒子の変位振幅が大きくなる。粒子速度は調和関数としても説明することができ、粒子変位振幅関数の一時導関数となる。この関係は音響学においてよく理解され、1つの単純な指針となる方程式は次の通りである:
P=z*u、式中、
P=調波圧力関数
u=調波粒子速度関数
=音響インピーダンスとして知られる材料特性。
海抜0の地点では、圧力振幅は1気圧を上回ることができず、これを上回る振幅においては圧力振幅の負の半波は絶対値で絶対真空未満に低下し、これは物理的に不可能であることが理解されてよい。従って、針先端が、針の外側の組織から離れていくように後方へ移動するに従い、圧力に関してはほぼ真空の状態を作り出すが、絶対真空を作り出すことはできない。ひとたび先端付近の絶対圧力が媒体の蒸気圧未満に低下すると、便宜的境界において飽和蒸気が充満したポケットが形成され、真空のそれ以上の低下を制限する。
調波粒子運動とは対照的に、吸引粒子速度は一方向のものである。粒子速度は、実際の体積流量と吸引経路ジオメトリの関数である。吸引流粒子速度は方程式V=Q/面積から推定可能であり、式中Vは平面全域の平均流速であり、Qは体積流量であり、面積は流路の断面積である。
1.5〜15ml/分の流速が眼科臨床の観点から望ましいと考えられる。流量が少なすぎる場合は、眼球から硝子体を除去する時間が過剰となる。流量が多すぎる場合は、眼内の流体工学のバランスが損なわれる可能性があり、外科医は手術部位を安定した状態に保つことが困難になるかもしれない。
流速は、経路面積が最小の場合に最も高くなる。従来の硝子体切除術器具では、この場所は内側の針の内部に存在していた。標準的な23または25ゲージの入口部アライメントシステムカニューレと適合性のある器具の流路径は吸引針のIDによって決定され、これは従来の器具においては最大で0.38mmであり、最も小さいもので直径0.28mmまで小さくすることができる。この場合の粒子速度範囲は、最小値として2ml/分の流速において0.29m/秒〜0.54m/秒となる。高い流量と、小さい針の経路のジオメトリによって高い流速が得られる。
望ましい水の流量約3.5ml/分を持つ従来の23ゲージの5000CPM(cuts per minute)カッターの場合に、切除組織のセグメントの前縁が、切除のたびに吸引針を通って6〜12mmの距離を移動し、平均粒子速度が約0.5〜1.0m/秒で、ピーク粒子速度がこの2倍となることは言及に値する。比較のため、総ストロークが約1mmの5000CPMカッターの場合のピーク内側の針速度は約0.4m/秒となる。針の速度はストロークに比例し、ストロークはポートのサイズに比例し、ポートのサイズは部分的に針のゲージに比例することから、より小さいカッター内側の針では動きが若干遅くなる可能性がある。
しかし、内側の針がこのピーク速度を達成するのはほんの短い時間である。針は空気圧の上昇に反応して完全停止状態から前方に加速し、その結果得られる速度関数は、針が前方停止部に到達するまで時間の二乗に比例する。
比較のため、28.5kHz、調波ストローク振幅5〜15マイクロメートルで使用するための、ODが0.025インチ(635マイクロメートル)、IDが0.020インチ(508マイクロメートル)で、終端部で対称に配置される4つの0.005インチ(127マイクロメートル)径の孔を備える試作品23モノリシック超音波硝子体切除術針が構築された。同じ3.5 ml/分の流量の典型的な機械的硝子体カッターにおいて、これらの4つの孔を通過する平均流速は約1.1m/秒となる。約10マイクロメートルのピーク間変位振幅において、ピーク交換流速度の振幅は約3.7m/秒であり、サイクルの大部分における吸引流速度を上回ることを意味し(30%より大きい)、ポートを通過する流れの方向を効果的に逆転させ、それと同時に、この時間の大部分の間に反対の方向に移動する。その他に関しては構造と駆動条件が同様の別の一つの0.005インチの孔を持つ器具は、高い吸引流速(3.5m/s)とピーク交換流速度(約10m/s)の両方をもたらしながらも、流れの方向の逆転を作り出す。
本開示の発明の手術器具および針は、概してゆっくりと進む吸入流に由来する小量の液体(「交換ボーラス」)を、図1のポート22のような小型のポートを通って急速に往復させ、ポートを通過する組織の周期的な二方向の流れを作り出すことによって硝子体を破砕する。組織の周期的な二方向の流れは上述の調波運動と類似のものである。急速な前後の運動は、交換流の辺縁と交換流の中心の間に生じるせん断力によって、および、交換ボーラスの急速に移動する後縁と前進する吸入流のゆっくりと動く前縁(ボーラスが先端の外側から先端の内側へと移動する場合、すなわち通常の動き)との間、または後退する排気流の後縁(ボーラスが先端の内側から先端の外側に向かって移動する場合、すなわち逆流性の動き)との間の張力によって、組織を破砕する。理論上、交換流の速度が速いほど両方の種類の力が大きくなる。
本発明の器具は、真空吸引が適用された状態で、ポートを通過する二方向の流れを引き起こすのに十分な速度において駆動される小型のポートを備える実質的に閉じた状態の先端を提供することによって、周期的な二方向の流れまたは交換ボーラスを作り出す。先端の駆動速度は、望ましい吸引流レベルにおいて二方向の流れを作り出すのに十分なものでなければならない。あるポイントにおいて、先端速度によって先端の内側に作り出された真空が最大レベルに達し、先端の効果が最適化されると言われている。最大真空を作り出すそれより大きい速度を上回る先端速度は組織の破壊において引き続き効果的なものであるが、有害な副作用、例えば乱流または組織の損傷を有する場合があり、そしてあるポイントにおいて、それらは先端の外側にキャビテーションを発生させ始める。先端の外側にキャビテーションが生じるレベルを下回るポイントに先端駆動速度を維持することが望ましい。
中空の球形先端を使用して本発明をこれ以降説明するものの、本発明の作用は面積のみに依存し、形状には依存しないことに留意すべきである。等しい内側面積、外側面積、ポート面積を有する中空の半球状の先端、中実の半球状の先端、そして終端部が平坦な先端は、キャビテーション駆動速度上限は外側先端のジオメトリにいくらか依存する可能性があるものの、同等の最小駆動速度と最適駆動速度を有する。
先端を通過する体積流量は、時不変系吸引流速Qaspおよび時不変系音響流Qacstcの2つの成分で構成される。体積流量(単位時間当たりの体積)を表すための大文字Qの使用は、文献において十分に確立されている。
total(時間)(= Q(t))=Qasp+Qacstc(t)=QDF+QHF(t)。
下付き文字HFは二方向の流れまたは調波流を表し、DFは正流を表す。QHF(t)が対称であれば(例えば、QHF(t)=QHF0*sin(ωt))、Q(t)は非対称となり、最大陽性値は最小陰性値より大きくなることがわかる。
DFは外科医が手術を適時にやり終えることを可能にする十分に高い値となるように選択する必要があるが、眼が不安定になるまたは高い静的注入圧が必要となるほど高い値にはしない。眼の中心部において硝子体吸引速度約1.5ml/分(1〜2ml/分)を可能にする製品で概して外科医は満足しており、網膜のような重要構造または疎な構造に近づくに従って低い流量を使用する可能性がある。体積流量のSI単位はm/秒であり、1.5ml/分は約2.5x10―8/秒、または0.025ml/秒、または25μl/秒、または25mm/秒である。吸引は常にポートに引き込まれる。従って、記号表記法については、ポートを通って先端に流入する流れは陽性流として表し、ポートを通って先端から流出する流れは陰性流として表す。
吸引速度VDF=QDF/Areaport=QDF/Aportである。
HF(t)は、内側および外側の先端の運動面の作用によって前後にポートを通って移動する体積である。実際には、これは運動軸に垂直な内側面の面積に、運動軸に平行な面の速度を掛けたものである。Qの大きさは、内側面積、ポート面積、および先端の速度に依存し、ポートと運動軸の間の角度による影響を受ける。基本的な方程式は次のようになる:
HF(t)=QHF0sine(ωt)
式中、QHF0=運動軸に垂直な先端の速度に{運動軸に垂直な先端の内側面積−(ポートの面積に、ポートの垂線と運動軸の間の角度のコサインを掛けたもの)}を掛けたもの=V*(AID−Aport*Cosine(φ))。
陽性流は、我々が上記で定めた表記法によるとポートに流入する流れであり、陰性流はポートから流出する流れである。陽性流は先端が前方へ動くと生じて、外側面が液体を先端の前面から押出し、先端面の内側では液体を引き込むのに従い外側の領域に流入する。
吸引速度VHF(t)=QHF(t)/Aportであり、さらに、
HF(t)= AInsideTip*V(t)tipである。
線形状態では、QHF(t)=QHF0*sin(wt)であり、非線形状態ではこれは当てはまらない場合がある。
HF(t)のピーク陰性値がVDFより小さい場合、針または器具は一方向の流れ領域内で動作する(針のポートを通過する二方向の液体の流れはない)。すなわちV(t)=VDF+VHF(t)は常に陽性となる。液体の速度の増減はあるものの常にポートに流入する。液体の流れは、基本的には前方に動くストロークの中点を通過する先端に対応し、液体の流れは後方へ動くストロークの中点を先端が通過する時点で最小となる。
QDF/AInsideTip>Vtipの場合に流れは一方向の流れ領域に存在する。器具および針は、高い吸引速度、小さい変位面積、そして低い先端速度の場合にこの領域内で動作する。典型的なphaco針は、先端の内側の面積は0(すなわち先端は全く閉じていない)であり、方程式の左側の項を無限に大きくするため、この領域内で動作する。これらの針は典型的には硝子体内で動作する場合に閉塞し、この領域が硝子体内では有効でないことを裏付ける。典型的なI/A器具および針は、先端速度が0であり、方程式の右側の項を非常に小さくするためこの領域内で動作する。これらの針は典型的には硝子体内で動作する場合に閉塞し、この領域が硝子体内では有効でないことを裏付ける。
器具および針は、調波速度が吸引速度、または平均線形速度をわずかに上回る場合に、上記で示した閾値を上回る二方向の流れの領域に流入する。この領域内の流れの変化は、いずれかの側からポートに流入する速度を達成するのに必要な圧力差が、約1気圧〜2気圧の圧力より大きいポイントまでは線形と考えることができる。前方に動く内側面の作用はポートにつながる外側入口部において最大1気圧の真空を作り出すことができ、同時に前方に動く外側面の作用はポート外側と隣接領域の陽圧を作り出すことができる。作り出される陽圧の大きさは外側先端の寸法と先端速度に依存する。
ポートを通る流れは開口部を通過する静止流によって上端部において制限され、この場合Vport2=2Δpressure/ρであり、これを時間領域に拡大することができ、Vport (t)=2Δpressure(t)/ρとなる。この場合Δpressure(t)は前方に動く面からポートにつながる外側入口部までである。これは、ポート部分の針の内側では1ATMより大きい真空状態は存在できず、先端の外側で生じるピーク圧力は針の内側で生じるピーク真空を決して上回ることはできず、線形条件では典型的にはこれを下回ることから、1ATM(103500Pa)を著しく上回ることはできない。さらに、Vportによって上記で示されたポートを通過する流れは、線形の流れと二方向の交換流の組み合わせであることにも留意されたい。針が手術器具に向かって後方に動く場合、針内側面はポートから流出するように液体を動かすのに必要な圧力を作り出すことができる。前方に動く例が極限例である。さらに、達成されうる二方向の流れの最大速度は、音響効果と慣性効果のために理論上の最大吸引流より小さくなる可能性がある。
器具および針の流体工学は、ポート付近の先端によって作り出される反応性の音圧がもはや、必要な速度でポートを通過して物質を引き込むのに十分に高い値でない場合に制限される。この時点でキャビテーションが針の内側で発生し始め、往復音響流が制限され始める。このクロスオーバーポイントはある程度の予測が可能であり、大部分は先端速度に依存し、先端の寸法にもわずかに依存する。ひとたび非線形領域に入ると、二方向の流れは先端速度の上昇に従いよりゆっくりと増加する。
DF= Vtip*Atip=Aport*√(2*ATM/ρ)−Qasp
極限例を見つけるため、Qaspの項を省略し、上記の方程式を単純化してVtip=(Aport/Atip)*√(2*ATM/ρ)とする。√(2*ATM/ρ)の項は完全な物理定数であり、水の場合にATM=103500Paおよびρ=1000kg/mだと、これは14.4m/sと等しくなる。さらに円形の内側面積および円形のポートの場合、線形作用の先端最高速度に関する方程式はさらに単純化してVtip=(Dport/DtipID*14.4m/secとすることができる。流れの大きな変動において、極限速度は考慮される針のサイズに関してはそれほど変化せず、限界値の計算に単純化した方程式を使用することを裏付ける。
単一サイクルの間の往復流内のポートの内側の粒子変位がポート直径の著しい割合を上回る往復流速においては、線形音響学において使用される小さな振幅の仮定は守られない可能性があり、ポートから噴出する小さな慣性ジェットとポートの軸周囲のトロイダルな再循環フローセルが形成される可能性がある。これは二方向の流れの閾値を上回るあるポイントにおいて生じる。これらは交換流の基本的な量を変化させることはないが、わずかに異なる流れの分布をもたらす。図17A−Dは、カニューレ18の縦振動内の様々なポイントにおけるポート22を通過する組織の流れを示す。図示される全ての流れは、カニューレ18に加わる吸引圧力を無視している。図17Aは、最大延伸時のカニューレ18を示し、対向するポートの流れが同時に生じており、ポート22を通過する網目状の流れはほとんどないか、全くない。線170はポート22の外側の再循環流を示し、ポートの周りに小さなトロイダル流を作っている。線172はポート22の内側の再循環流を示す。線174はポートから流出する流れを示し、線176はポートに流入する流れを示す。線177および178は常に存在し、ポートの内側と外側の両方でポート22から離れていく流れを示す。図17Bは、矢印171によって示されるように器具12に向かって引き戻されたポイントにあるカニューレ18を示し、ポート22から流出する網目状の流れの動きが示されている。線173はカニューレ18に向かって戻る流れを示す。図17Cは最小延伸時のカニューレ18を示し、対向するポートの流れが同時に生じており、ポート22を通過する網目状の流れはほとんどないか、全くない。図17Dは矢印179によって示されるように、器具12から離れていくように前方に動いているポイントのカニューレ18を示し、網目状の流れはポート22に流入している。線180は、カニューレ18の頂部の内側に充満する液体の流れを示す。線182は、カニューレ18の外側面に沿ってポート22に流入する液体の流れを示す。線184は182で示される流れから離れていくトロイダル流を示す。
大きな先端は、ポート面積が同じ場合に、小さな先端よりも低い非線形の先端流速閾値を有する。非線形の閾値は、ゲージと壁の厚さとともに急速に変化する。非線形の閾値の変化は、目標吸引速度の変化に伴いよりゆっくりと変化する。さらに非線形の閾値先端速度はポート面積に比例して低下する。
非常に高い先端速度では、先端の外側面上でキャビテーションが発生し始める。硝子体は外側で液化してよいが、吸引流の速度または体積はかなり予測しにくくなり、音響場の強度は大きくなって予測しにくくなり、先端周囲の液体はより乱流性のものになり、音響流が発生する可能性があり、隣接組織への損傷が生じる可能性が高くなる。その結果、これは本開示の器具と先端の使用において安全な手順を行うための上限と考えることができる。先端の速度は、先端の内側面積と外側面積の差に等しい単一音源の圧力振幅からポート面積を引いたものが1気圧未満になるように十分に低いものでなければならない。
この速度閾値上限の定量的理解は次の通りである。音響学においては、(本開示の先端がその変化形態である)小さな点音源では、P=ρ*f*Q/(2r)であり、式中rは検討中の点に対する音響中心であることは周知である。先端の外側面では、Q=Vtip*Aouterでありキャビテーション限界Pは1気圧または103500Paである。その結果、方程式はVtip=(ATM/ρ)*(1/f)*(2r/Aouter)となる。線形運動する半球状のシェルの場合、音響中心は振動軸上のシェルの頂点の後ろ、半径の約1/3に位置する、すなわち直径の1/6に位置し、r=router/3またはDouter/6となる。方程式を単純化するとVtip=(2ATM/ρf)*((router/3)/Aouter)となる。これに近いまたはこれを上回る先端速度の場合、外側キャビテーションが発生する可能性が高い。
内側面積と一致する外側面の部分によって動かされる体積が二方向の流れまたは交換流の一部であり、これはポートを通過してくる液体によって置換されることから、外側キャビテーションには寄与しない可能性があることに留意するのが重要である。故に、Aouterは合計外側面積から合計内側面積を差し引いたものである(または、円形のジオメトリの場合、Aouter=(π/4)*(OD−ID)。故に、限界値はチューブの壁の厚さによって最も強い影響を受ける。さらに、音響中心の有効な場所は、この置換のためにずれる可能性があり、閉形式の方程式ではジオメトリ要素の計算がより困難になることに留意されたい。キャビテーションの限界速度は、振動性の先端周囲の圧力場のFEA(有限要素解析)モデリングによって、また気泡および空洞を観察する高速カメラを用いる直接観察によって確認されてよい。上記の方程式から、外側キャビテーションの限界値が吸引流またはポートの面積もしくは場所による影響を比較的受けないことに留意する。
いくつかのデザイン条件の場合、二方向の流れの最適先端速度への到達は外側キャビテーション閾値を上回ることなしに達成することはできない。これらの例では、先端は最大の効果を得るために、外側キャビテーション閾値に近い値で、しかしこれを上回らないように振動させる必要がある。これは厚みの大きい壁、小さいゲージ、そして大きなポートでは特に当てはまる。
上記の開示を要約すると、一方向の流れの領域は有効ではない;一方向の流れの領域を上回るレベルでの駆動は望ましい駆動レベルのより低い境界値を表す;白内障手術用に設計されている超音波針(これらは通常は内側先端の表面積を有していない)を硝子体に使用することはこの領域に含まれる;これらの針では概して閉塞が起こる;硝子体除去に関しては、0以外のいくらかの先端速度が必要である;この低速限界値はVtip>QDF/AinsideTipによって定義されてよい;線形領域内の二方向の流れは有効であり、二方向の流れの振幅が増加するに従い有効性は増大する;内側キャビテーションの存在下の二方向の流れは有効であるが、有効性の増大はプラトー状態になる;外側キャビテーション閾値を上回る二方向の流れは、内側が非線形の領域に比べて、ポート部分の組織の破壊においてさらに効果的ということはなく、乱流および安全に対する懸念のような副作用が急激に増加し始める。キャビテーションに由来する衝撃波の伝播は先端のすぐ近傍の外側の領域にある硝子体または網膜組織のいずれかを無差別に破壊する可能性がある。
提示された実施例は全て、海抜ゼロの標準的な圧力を想定している。高地では、気圧は低下し(例えば2200メートルまたは7200フィートの高さにあるメキシコシティでは約80kPa)、転移点のいくつかを変化させる可能性があるが、基本原則を変化させることはない。海抜より十分に低い地点での運転が性能を著しく変化させるとは考えにくい。
加えて、器具および針の性能はポートと外側面の音響中心との間の距離による影響を受ける。外側面の作用はポート部の圧力に与える影響が少ないことから、これらの2つのポイントが離れていくに従い、低い先端速度において先端は線形領域から非線形領域へと移行する。
針の内径および外径およびポートの直径のような直径が言及されているものの、断面積は円形でなくてもよく、基本原則に著しい影響を及ぼさない。
キャビテーションは周囲温度の場合の水の蒸気圧付近で始まり、明らかにこれは完全な真空状態に近いが、これを上回らない。我々は分析を単純化する目的で完全な真空状態を想定した。
いくつかの観察を下記に記載する。針の外径(OD)の主な影響は外側キャビテーション速度限界値に加わる。これは大きな面積に拡散するものの、たとえ壁の厚さが維持されたとしても、ODが大きいほど全体的なQが大きくなる。針の内径(ID)の最も重大な影響は、内側キャビテーション閾値に対するものであり、任意のポートサイズの場合、面積が大きいほどキャビテーション速度閾値が低くなる。小さいポートは吸引流および往復流に関してポートを通過する速度を上昇させる。ポート外側の速度場は、概してポートのサイズとは無関係であり、ポートに対して大きな距離においてQのみに依存する。ポート直径は低い一方向/二方向の閾値または外側キャビテーション境界値に影響しない。壁の厚さ((OD−ID)/2)は音響面積に影響し、針のシャフト以下で不変の場合、これは針の剛性に影響する。IDとポート直径の比は、往復流の速度を促進する。比が大きい(大きなID付近の小さいポート)と、ポートを通過する速度が大きくなり、低いストロークにおいて二方向の流れの発生が始まる。
デザインに関する考慮事項をいくつか以下に記載する。吸引と二方向の流れのバランスに影響する主要な因子を開示したが、設計者はポート面積の選択に着目する可能性が高い。
その他の影響が存在しない場合、使用者は大きな切開創よりも小さな切開創で手順を実施することを強く望むものである。しかし、使用者は実現しうる最も高い流量と、剛性を有し信頼できる器具も望んでおり、真の末端切除作用およびポートの前での組織の視認性に関しては彼らの選好はさまざまであるかもしれない。
設計者は、切開創を許容可能に通過できる、または切開創から挿入されたカニューレを許容可能に通過できる最大の外径を選択することになる。
設計者は、流れ抵抗を最小化するために、器具が許容できないほど柔軟になる、または破壊しやすい状態にすることなしに、できる限り大きい内径(すなわち最も薄い壁の厚さ)を選択することになる。
設計者は典型的に、費用効率のために既製の材料を使用することを好むため、設計者はさらに、医療グレードのマイクロチューブ商品で利用可能な寸法に基づいて内径と外径を選択する可能性がある。
設計者は、末端切除効果(0度の場合)と先端が挿入されている場合のポートの視認性(90度で最大)のバランスを取るために、ポートと先端の間の角度を選択することになる。
これにより(設計者には)、外側キャビテーションを最小化するための先端速度の選択とのバランスを考えた、上記方程式に従って最適交換流を提供するためのポート面積および先端速度の選択、そして望ましい吸引流を達成するための真空吸引の選択が残される。
針のジオメトリ(円形または非円形)、そして先端のジオメトリ(半球、弾丸状、円錐形、平坦、ノミ型、他)の詳細はその他の使用者の希望による影響、または製造可能性もしくは耐久性を高めるための影響を受ける可能性がある。
実質的に閉じた針の遠位端は硝子体の液化に著しく寄与する。標準的なphaco針のような開口した針は、水力学的ゲインを持たず二方向の流れを作り出せない。さらに組織の大きな集塊を把持して、離さず、動かす能力はPhaco針および断片化用の針において非常に望ましいものである;牽引は、基本的にphaco手順において望ましく、硝子体切除術手順では望ましくない。Phaco針は、開口断面積の大きな進化したベル構造を持ち、これは特に保持量(利用可能な引張力または保持力の大きさ)を向上させるためのものである。標準的なphaco針内の単一ポートの面積は吸引断面積と等しいかこれより大きいため、破砕される小片はその後に続く吸引面積を通過するのがやっとであり、凝集する可能性があり、臨床において観察される詰まりの原因となる。
硝子体液化の影響は2つの別個の方法によって観察されるかもしれない。
方法1a:この方法では、固定された体積の純粋な硝子体または純水のいずれかを固定された真空を用いて眼から吸引し、組織吸引までの時間を測定する。2種類の液体に要する時間が著しく異なる場合、組織は水に比べて流動性がかなり低い(すなわちより粘性である);それらが互いに近づく場合、組織は実質的に液体である。この測定は比較において実施することができ、機械的カッターと超音波テクノロジーを比較する。
方法1b:方法1aの変法では、ある体積の純粋な硝子体または純水のいずれかを固定された真空を用いて固定された時間にわたり吸引する;この場合は固定された時間内に最も大きい体積または質量の吸引を可能にする器具の方が優れており、純水を使用して吸引されるものと同等の質量または体積を吸引することは、組織が実質的に液体であることを示唆する。
方法II:硝子体のサンプルを切除または液化し、処理前後の組織の分子量を測定し、水のそれと比較する。分子量は媒体の重要な機械的特性であり、流動性を含む多数の特性と関連がある。この場合、小さい分子量は高い流動性を反映する。
実施形態の例の器具を作製するために様々な手法を採用してよく、これは硝子体除去の目的に重要ではないジオメトリの面に影響する。
例えば、器具はチタンのような材質からモノリシックに機械加工されてよい。この場合、止まり穴をチタンロッドにドリルで開けることによって内側経路が形成される。ドリルの先端は典型的に半球状ではないため、終端部の内面は半球にはならず、従って閉口型終端部の形状と厚さは不均一となる可能性がある。しかしこの場合、閉口型終端部に開けられた穴はやはり、器具を通過する吸引経路の面積よりも小さい断面積を有することになる。
孔は様々な方法で作製されてよく、打ち抜き、ドリル穿孔、またはワイヤ放電加工を使用する切削が含まれるがこれらに限定されない。
シャフトは、深絞り、モノリシックな機械加工、または予備成形シーリング、プレカットマイクロチューブと溶接、延伸加工またはその他の加工の組み合わせによって形成されてよい。
さらに、ポートを備える先端は針のシャフトとは個別に形成され、接着、溶接、摩擦接触、または先端とシャフトを固定するその他の方法などの周知の方法によって取り付けられてよい。そうした2つの部品からなるデザインでは、シャフトのIDが先端部のIDよりも小さい場合、シャフトのIDは、上記の教示において使用されるIDである。
器具は、切除針と超音波駆動装置の両方を使用者が手に入れることができるように構成されてよい、または針は使用者によって再利用可能な超音波駆動装置に装着できるように作製されてもよい。
器具は、金属およびプラスチックを含む製造工程に適した生体適合性材料から構成されてよい。
構成された一つの実施例は、4つの0.005インチのポートを備える22ゲージの針を、150mmHgのポート圧力差と組み合わせたものであり、最大約3m/秒(28.5kHzにおけるピーク間距離が35マイクロメートル)の速度で駆動させ、水の流量は約10ml/分で硝子体流量は約2.5〜4.0ml/分となった。内腔IDは約0.020インチで、正味のポート液体速度は((20/10)*3=)12m/秒未満で、圧力差から最大で得られる水吸引流6m/秒、または4つのポートを通る2.5ml/分の流れで予想される0.8m/秒の硝子体吸引流速を十分に上回る。さらに高い速度では、内側キャビテーションの発生が始まった。硝子体の相対的な流動性は、硝子体および水の流速の差が1桁未満であったことから明らかである。
その他の構造を想定することが可能である。ポートの合計面積が大きくなるに従い、合計吸引体積は圧力差が固定の場合に増加する;最終的には、安定状態の眼(そして希望の度合いは小さくなるが、堅い眼)を維持したいという希望がデザインの決定過程に影響を及ぼす。注入カニューレが小型になるに従い(例えば25ゲージまたは27ゲージのカニューレを用いて)、水のピーク注入流量に由来する眼圧の低下が重要性を増し、全体としての最適なデザインは、上記で確認したような小型のポート/高い真空のデザインに集中しはじめる。
従来のギロチン式カッターでは、硝子体は2つの対向する金属面の間の鋏の作用を使用してセグメントに切除され、このセグメントは比較的大きい(例えば、1分あたりに1mlの処理された硝子体を吸引する5000CPMのカッターの場合1つのセグメントあたり約0.2μl)。
対照的に、実施形態の例においては、硝子体は針による高度に限局性のせん断力および圧縮力の組み合わせによって液化されてよく、処理される個々の応力点の間にかなり小さなセグメントをもたらす(例えば、1分あたりに1mlの硝子体を吸引する28.5kHzの器具の場合、1つのセグメントあたり0.0006μl未満)。
実施形態の例を使用する硝子体を液化するプロセスの概要を下記に示す:
1)二方向の流れが硝子体鎖に応力を加え、破壊し、
2)小型のポートを通過する比較的高速の流れが、伝統的に放物線形状と考えられている非定常流の速度プロファイルをもたらし、流れを通過する高いせん断力をもたらし、
3)ポートを通過する物質は、低いものでは体温における水蒸気圧(約7000Pa、絶対値)となる可能性がある最小の希薄な真空による周期的な圧力サイクルと、数気圧の最大圧縮圧力を受け、これは捕捉されたあらゆる気体の素早い膨張と圧縮を引き起こし、局所の破壊を生じさせ、
4)ポートの辺縁を通過して流れる物質は急激な90度の転回を経験して高い渦度を受け、これは大きいが高度に限局性のせん断力も必要とし、
5)ポートの外側辺縁にある物質は、ストロークの各サイクルの間に最も前方と後方の極限の針の位置においてポートの辺縁によるせん断性の衝撃波にさらされることになり、分裂のための多くのポイントを作り出し、
6)高速における内側および外側にあるポートの軸周囲のトロイダルフローセルが物質を引き裂く可能性がある。
実施形態の例は、従来の超音波乳化器具に比べて比較的小さいポート開口部の使用によって牽引を制御する。一次のレベルでは、圧力勾配はポートからの距離が増加するに従い劇的に低下し、ポートから約直径1つ分離れた点の間の圧力の低下は、離れた場からポートそのものまでの圧力低下合計値のわずか約1.5%であることが示されうる(図18参照)。運動する内側の針と外側ポートの前縁との間に捕捉されるのに十分に遠いポートに進入する硝子体の切除が可能となるように、そして有用な流れを作り出すために各切除サイクルにおいて十分な硝子体の切除が確実に行われるように、機械的硝子体カッターのギロチン式ポートは大きくなければならず(外側の針のODのサイズに近い、すなわち23ゲージの針で約0.025インチ(635マイクロメートル))。超音波硝子体切除術先端の限局性のせん断作用および著しく高いサイクル速度のために、硝子体はやはり臨床的に有用な速度において切除されるように十分に遠くまで移動して小型のポートに流入することができる。
従来の超音波針は、概して直径の大きい遠位側に位置する単一の終端部ポートを有し、水晶体断片に加わってこれを移動させる牽引(白内障手術においては「purchase」とも呼ばれる)を改善するためにできる限り大きく作製される。超音波水晶体乳化吸引術後の潅流/吸引(I/A)先端は小型のもので0.3mm(0.012インチ)のポートを備えることが周知である。
実施形態の例は、ポートの入口部において硝子体に小型の裂孔を作り、辺縁部付近の硝子体内の線維を破壊し、これらが鎖の全長に沿って限局性の引張作用を起こせないようにする基本的な硝子体切除作用による牽引の制御も行う。
実施形態の例は、比較的低い真空レベルの使用を可能にすることによる牽引の制御も行う。
図19は、Stellaris(登録商標)(Bausch & Lomb Incorporatedから入手可能)水晶体乳化吸引術器具の各種超音波パワーレベルにおける任意の水流の最大ポテンシャル流速(x軸にポテンシャル速度)の場合の、上述の4つの直径0.005インチ(127マイクロメートル)のポートを備える22ゲージカニューレの硝子体流量(y軸に流量)を示すグラフである(超音波レベルは単位m/秒のピーク先端速度に関して表される)。
眼から流出するあらゆる流れは、注入カニューレを通って眼に流入する流れによってそのバランスが調整されなければならない。流れ器具は、注入液(水/BSS)を含む眼内のあらゆる液体を吸引してよい。この液体を供給するために使用される圧力は概して低く保たれる(可能であれば22mmHG未満の健康な眼内圧(IOP)に近い値に保たれる)。眼から流出する粘度の低い流れの場合、注入カニューレ前後の圧力低下が眼内部の圧力低下を引き起こす;圧力が低くなりすぎると眼への危険が生じうる。23ゲージ手術用の典型的なカニューレでは、わずか10ml/分の注入流から6〜10mmの圧力低下が起こりうる。サンプル針においては、硝子体流量は水の流量の約33%となっており、高いものでは水の流量の40%となる場合もあり、1〜2ml/分の硝子体吸引速度は眼内の全ての硝子体のバルク除去を1分または2分以内に行うことができ、これは臨床的に許容可能なものである。従って、予想される圧力差のレベルにおいて、(例えば)10ml/分の針を通過する水の流れを可能にするよう設計されているポートは十分に大きいと考えることができ、これより大きいものを使用する必要はない。
大型注入カニューレおよび小型硝子体切除術カニューレが含まれるキットは、これをいくらか補正するのに役立つ可能性があるが、受動的注入計画を用いる注入限界値に基づきいくらかの流れの上限が常に存在することになる。流れを検知し、IOPを高める能動的計画でもこれを補正することが可能であるが、性能リスクと費用が付きものであり、受動的システムおよび硝子体切除術針を用いて達成できる許容可能な性能を考慮すると、この計画の使用は回避してよい。
周知の水晶体超音波乳化吸引術用の針または断片化用の針で観察されるものよりも小型のポートは、複数の理由からより優れた性能を発揮する。第一に、小型のポートはポートを通過する流れの速度を高め、大型ポートに比べて低い速度で二方向の流れを作り出す。第二に、小型ポートは静的牽引を著しく減少させる(図20と下記の考察を参照)。第三に、小型ポートは先端から高流量の場を保護する境界であり、網膜により近い場所で先端の使用が可能となる。
図20は、様々な速度ポテンシャルにおける各種のポートサイズの様々なグラム保持強度を示す(対数目盛、y軸上)グラフである。従来の23ゲージ硝子体カッターは約0.018インチ〜0.024インチのポートを有するかもしれず、約350mmHgの真空において約1.5ml/分の硝子体の流れをもたらし、1グラム以上の静的牽引を生む。対照的に、4つの0.005インチの孔(1つの0.010インチの孔に相当する)を用いて構築された22ゲージサンプルは、約150mmHgにおいて同じ流れを提供し、わずか約100ミリグラムの牽引しか生まない。桁違いに小さい保持力は、実施形態の例が、従来の機械的硝子体カッターに比べて顕著な牽引を引き起こすことなく優れた硝子体除去を提供する理由である可能性が高い。
標準的な超音波水晶体乳化吸引術用の針または断片化用の針は、少なくとも少数の理由のために硝子体切除においては有効ではない。これらのうち主な理由は、硝子体との接触点においてポートに流出入する往復流を作り出す構造を持たないことである。これにより、絡み合った硝子体の大きな塊が入口部の壁に付着し、ポートを詰まらせて外側牽引を生じさせる。さらに流れを制限する直径は典型的にはシャフト全長に設置されており、そして小さい直径が使用される場合には水晶体物質に関して改善された牽引を提供するために遠位端にベルが設置されており、これは振動が発生するポートにおける吸引流体速度をさらに低下させる。さらに、大きなポート直径は、たとえ牽引があったとしても硝子体のいくらかの吸引を可能にし、使用者に最小吸引真空レベルを使用することを促し、吸引液体速度をさらに制限する。本発明の実施例はポートの液体の通過を開始させるためにいくらかの振動を要するが、ポートが小さいと液体速度は高くなり、小さな速度先端運動を可能にし、外側キャビテーションを制限する。
針のハブ付近に狭窄性のスロートを用いて破砕針が設計された。これは高い流量を生む小型の吸引ポートを有しているものの、これは振動運動が最初に先端と相互作用する遠位側に設置されていない。入口部ポートでは、直径はかなり大きく(破砕針は水晶体除去と操作のためのものであることから、purchaseを高めるため)、吸引速度を低下させる。
上述の実施形態の説明は、例示と説明のために提供されたものである。これは本開示を網羅するためのものではなく、または限定するためのものでもない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は概してその特定の実施形態に限定されず、たとえ具体的に示されていないまたは説明されていないとしても、可能な場合は相互に交換が可能で、選択された実施形態において使用可能である。実施形態は多くの方法で変化させることもできる。そうした変化形態は本開示から逸脱するものとはみなされず、そうした修飾形態の全ては本開示の範囲に含めることが意図されている。

Claims (8)

  1. 吸引経路を含む手術装置に取り付けられ、該手術装置によって振動されるカニューレであって、
    該カニューレの近位部または前記手術装置の遠位部が、カニューレを眼に挿入するための入口部アライメント器具と接触することなしに、網膜近傍の領域を含む眼の後方セグメント全体に延伸するのに十分な長さのシャフト、および
    記吸引経路と連絡するために前記カニューレを通って延伸する内腔と連絡するよう形成される少なくとも一つのポートを備え、前記少なくとも一つのポートは、カニューレ遠位先端の側面に形成され、カニューレ遠位先端の軸方向の先端部および頂点には形成されず、該少なくとも一つのポートの断面積は前記内腔の断面積に比べて3分の1以下であることを特徴とするカニューレ。
  2. 水晶体超音波乳化吸引手術装置に取り付けられた請求項1記載のカニューレ。
  3. 前記ポートを多数備えたことを特徴とする請求項1または2記載のカニューレ。
  4. 前記シャフトの長さは、31mm〜33mmであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のカニューレ。
  5. 前記少なくとも一つのポートは、205μm以下の直径を有することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のカニューレ。
  6. 前記少なくとも一つのポートは、155μm以下の直径を有することを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のカニューレ。
  7. 前記少なくとも一つのポートは、130μm以下の直径を有することを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載のカニューレ。
  8. 前記カニューレは、20ゲージ、23ゲージ、25ゲージ、および27ゲージのいずれかの外径を有することを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載のカニューレ。
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