JP6722620B2 - 細胞状態の解析装置および解析方法 - Google Patents
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Description
本発明は、細胞、例えばスフェロイドの状態を解析するための装置および方法に関するものである。
怪我や病気で損傷した組織に幹細胞から作製した細胞や組織を移植することにより本来の機能を回復する再生医療が近年注目されている。またばらばらの細胞の浮遊液を注射する治療法よりも生体模倣3次元組織を移植する方法の方が患部への生着率が高く治癒効果が高いことが知られており、表皮や軟骨再生向けの細胞シートが製品化されている。また複数の細胞からなる球状の細胞の集塊であるスフェロイドも3次元組織の形態のひとつとして注目されており、軟骨スフェロイドなどの実用化に向けた研究が進められている。
スフェロイドは培養過程において中心部の細胞に培地の栄養や酸素が行き届きにくいため、主に中心部から壊死などの細胞死が起きることが知られている。ここで細胞死とはネクローシス(壊死)やアポトーシス(自然死)を指す。ネクローシスでは細胞は膨張して細胞質が変化し細胞膜が破裂する。アポトーシスでは細胞は縮小して免疫細胞に貧食される。ただし、このときスフェロイド外形の変化は起こらない。また、内部で細胞死を起こしているスフェロイドは生細胞の数が少なく、また死細胞から好ましくない物質が放出される可能性もあるため、移植に適していないと考えられる。
このようなスフェロイド内部の細胞死領域の有無はスフェロイドの品質に大きな影響を与えると考えられる。しかしながら、これまでスフェロイドは主に創薬向けに使用されており、スフェロイド内部の細胞死は深刻な問題ではなかった。またスフェロイドの評価手法が非侵襲的である必然性はなく、生細胞数計測には色素を用いて生細胞の酵素活性を測る手法が用いられてきた。一方、移植向けのスフェロイドを培養しながら継時的に計測し移植タイミングを決めるためには、それらの品質評価項目に対応したスフェロイドの非侵襲評価技術が必要となる。現状ではスフェロイドの評価は位相差顕微鏡による観察あるいは組織染色などにより検証されている。位相差顕微鏡による細胞観察は非侵襲的であるが、位相差顕微鏡はスフェロイドの3次元形状の計測やスフェロイド内部で起きる細胞死を評価することはできない。また細胞死は組織染色により評価可能であるが、スフェロイドを固定・包埋する侵襲的な手法であり、結果を判断するまでに時間を要する上、移植用のスフェロイドそのものを評価できない。よってスフェロイド内部の細胞死を非侵襲評価可能な技術開発が必須となる。これらの課題を解決するスフェロイドの3次元形状の計測および内部の細胞死の非侵襲的計測技術の確立は、移植用スフェロイドの細胞状態を直接的に評価可能にすることにより、移植用再生組織の品質向上に貢献するといえる。
非侵襲的にスフェロイド内部を計測可能な手法のうち、細胞レベルの分解能を有するものとして、光干渉断層計(OCT)や、反射型共焦点顕微鏡などが挙げられる。これらはサンプルに光を照射し、サンプル内からの反射光を用いて、内部状態のイメージングが可能な技術である。しかし、細胞レベルの分解能を保持しつつ、移植に用いられるとされているスフェロイドのサイズ最大500ミクロン程度全体を一つの光学系で計測することは、計測範囲の侵達深さが不足するため原理的に難しい。そのため、一つの光学系で観察しようとした場合には、通常測定が難しい領域を観察するために工夫が必要となる。
これまでにいくつかの文献において反射面を設けてサンプル裏面を観察する方法が述べられている。例えば特許文献1では、落射型顕微鏡において、反射ミラーを設け、対物レンズをz軸方向に駆動させて、焦点位置を可変とし、反射面を介してサンプル裏面からの反射検出光を検出して、サンプルの3次元観察を行う方法について述べている。
また特許文献2では、反射面を設けた観察容器に細胞を配置し、入射光を2度透過した光を検出することにより、射出波面が従来の透過観察と比べ2倍変形され、コントラストを向上させる方法について述べている。
スフェロイド内部の細胞死などの細胞状態を非侵襲的に解析する方法として反射光による3次元測定は有効と考えられる。しかし、特許文献1で想定しているサンプルは、球形状ではあるが、生体サンプルではなく、また取得データは、サンプル内部の情報ではなく、サンプル外周形状に関するものである。こうした場合には、反射面からのデフォーカスした反射光が存在したとしても、検出対象であるサンプル外周からの反射光が十分大きいため、像劣化の問題は深刻でないと考えられる。しかし、測定サンプルが細胞集塊であるスフェロイドであり、また取得したいデータがサンプル内部の情報である場合には、反射面からのデフォーカスした反射光はノイズとして像の劣化の要因となる。これは、細胞の反射率が1m%〜10m%程度と非常に小さいことに起因している。
上記課題を解決するために、スフェロイドを3次元測定装置を用いて撮像し、サンプルに対して対物レンズの反対側に反射面を設置することにより、通常では3次元測定装置の侵達深さが及ばないスフェロイド裏面内部の情報も取得できることを見出した。また、光束中心部を遮光することにより、ノイズとなる反射面からのデフォーカス成分を抑制することにより、高画質の画像を取得できることも見出した。本発明は、上記知見に基づいて完成されたものである。
具体的には、本開示は、
光源と、
前記光源からの光をサンプル内部に集光するための対物レンズと、
前記光源からの光の光束中心部を遮光する遮光部と、
前記サンプルに対して前記対物レンズの反対側に設けられ、前記遮光部で光束中心部が遮光された光を反射させる反射面を設置する反射面設置場と、
光検出器と
を有し、
前記光検出器は、前記反射面にて反射した光が照射された焦点位置からの信号光を、再び前記反射面で反射させた反射光を検出することができ、
前記遮光部は、前記反射面を反射し、前記サンプルを透過した光の少なくとも一部を遮光するものであることを特徴とする3次元測定装置に関する。
光源と、
前記光源からの光をサンプル内部に集光するための対物レンズと、
前記光源からの光の光束中心部を遮光する遮光部と、
前記サンプルに対して前記対物レンズの反対側に設けられ、前記遮光部で光束中心部が遮光された光を反射させる反射面を設置する反射面設置場と、
光検出器と
を有し、
前記光検出器は、前記反射面にて反射した光が照射された焦点位置からの信号光を、再び前記反射面で反射させた反射光を検出することができ、
前記遮光部は、前記反射面を反射し、前記サンプルを透過した光の少なくとも一部を遮光するものであることを特徴とする3次元測定装置に関する。
また本開示は、
光源からサンプルに光を照射する工程、
光照射位置からの距離が異なる複数のサンプル断層画像を取得する工程であって、(a)前記光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界を超える距離では、前記光源からの光の光束中心部を遮光部により遮光し、遮光された光を反射面で反射させてサンプル断層画像を取得し、(b)前記光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界までの距離では、前記反射面を用いないでサンプル断層画像を取得する、工程、
取得した画像に基づいてサンプルの細胞状態を解析する工程
を含むことを特徴とする細胞状態の解析方法に関する。
光源からサンプルに光を照射する工程、
光照射位置からの距離が異なる複数のサンプル断層画像を取得する工程であって、(a)前記光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界を超える距離では、前記光源からの光の光束中心部を遮光部により遮光し、遮光された光を反射面で反射させてサンプル断層画像を取得し、(b)前記光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界までの距離では、前記反射面を用いないでサンプル断層画像を取得する、工程、
取得した画像に基づいてサンプルの細胞状態を解析する工程
を含むことを特徴とする細胞状態の解析方法に関する。
本発明により、細胞状態の解析装置および方法が提供される。本開示の装置および方法は、通常の一方向観察からでは得られなかった細胞(例えばスフェロイド)裏面内部の状態を非侵襲的に解析することができる。そのため、細胞、特に移植などの再生医療に使用するための細胞、例えばスフェロイドの製造に有用である。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
本開示は、細胞状態を解析する方法および細胞状態の解析に使用することができる3次元測定装置に関する。解析対象となるサンプルは特に限定されるものではなく、細胞を含むサンプルとすることができる。例えば、単細胞、細胞塊、組織などの任意の形態の細胞を解析することができる。好ましくは、細胞はスフェロイドを含む細胞塊である。スフェロイドとは、細胞が集合して凝集化した3次元状の細胞集合体を指す。本開示の方法および装置では、限定されるものではないが、幹細胞、軟骨細胞、肝細胞、角膜細胞、表皮細胞、心筋細胞、神経細胞、並びにそれらの前駆細胞などから構成されるスフェロイドを使用することができる。また、細胞の由来も特に限定されるものではなく、例えば動物、好ましくは哺乳動物の細胞であり、具体的には霊長類(ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラなど)、実験動物(マウス、ラットなど)、家畜動物(ウシ、ブタ、ウサギなど)、ペット動物(イヌ、ネコなど)に由来する細胞とすることができる。
図2にスフェロイドが作製されて崩壊するまでの段階を示す。図2は培養容器201を図の奥行方向としたとき、横から細胞の構造を観察したものである。ここでは一例として幹細胞を使用した。スフェロイドは以下の段階を経て3次元組織となる。
(S201):細胞が播種される。このとき、単離された幹細胞202が培地中に浮遊している状態である。
(S202):幹細胞202が凝集し、その一部が培養表面に接着する。平面培養の場合には底面が平らで細胞接着性の高い培養器材を用いるが、スフェロイド培養では図のように丸底の培養器材を用いたり、培養表面に微細な凹凸を施したり、培養表面の表面処理で細胞接着性を低下させたりすることにより、細胞を凝集させる。
(S203):凝集した細胞が増殖しスフェロイドとなる。適切なスフェロイドに培養された時点で培養容器から取り出して患部へ移植する。
(S204):スフェロイドは培養過程において中心部の細胞に培地の栄養や酸素が行き届きにくいため、主に中心部から壊死などの細胞死が起きることが知られている。ここで細胞死とはネクローシス(壊死)やアポトーシス(自然死)を指す。ネクローシスでは細胞は膨張して細胞質が変化し細胞膜が破裂する。アポトーシスでは細胞は縮小して免疫細胞に貧食される。ただし、このときスフェロイド外形の変化は起こらない。また、内部で細胞死を起こしているスフェロイドは生細胞の数が少なく、また死細胞から好ましくない物質が放出される可能性もあるため、移植に適していないと考えられる。
(S205):最終的には細胞同士がばらばらになりスフェロイドは崩壊する。
(S201):細胞が播種される。このとき、単離された幹細胞202が培地中に浮遊している状態である。
(S202):幹細胞202が凝集し、その一部が培養表面に接着する。平面培養の場合には底面が平らで細胞接着性の高い培養器材を用いるが、スフェロイド培養では図のように丸底の培養器材を用いたり、培養表面に微細な凹凸を施したり、培養表面の表面処理で細胞接着性を低下させたりすることにより、細胞を凝集させる。
(S203):凝集した細胞が増殖しスフェロイドとなる。適切なスフェロイドに培養された時点で培養容器から取り出して患部へ移植する。
(S204):スフェロイドは培養過程において中心部の細胞に培地の栄養や酸素が行き届きにくいため、主に中心部から壊死などの細胞死が起きることが知られている。ここで細胞死とはネクローシス(壊死)やアポトーシス(自然死)を指す。ネクローシスでは細胞は膨張して細胞質が変化し細胞膜が破裂する。アポトーシスでは細胞は縮小して免疫細胞に貧食される。ただし、このときスフェロイド外形の変化は起こらない。また、内部で細胞死を起こしているスフェロイドは生細胞の数が少なく、また死細胞から好ましくない物質が放出される可能性もあるため、移植に適していないと考えられる。
(S205):最終的には細胞同士がばらばらになりスフェロイドは崩壊する。
スフェロイドの品質を保証するために、培養中および移植前に上記スフェロイドの内部の細胞死(ネクローシスやアポトーシス)の有無を評価することが必要である。
本開示は、高分解能を特徴とする光学機器を用いてスフェロイド等のサンプルのイメージングを実施し、内部構造を分析することにより細胞状態(例えばスフェロイド内部の細胞状態)を解析する。その際に、
測定サンプルに対して対物レンズの反対側に反射面を設けることにより、反射面なしでは侵達深さの限界を超えていたサンプルの裏面側についても撮像し、且つ
光源からの光を照射する光束中心部を遮光する遮光部を設けることにより、ノイズとなる反射面からのデフォーカスした反射光を抑制し明瞭な像を取得して、
細胞を解析する。
測定サンプルに対して対物レンズの反対側に反射面を設けることにより、反射面なしでは侵達深さの限界を超えていたサンプルの裏面側についても撮像し、且つ
光源からの光を照射する光束中心部を遮光する遮光部を設けることにより、ノイズとなる反射面からのデフォーカスした反射光を抑制し明瞭な像を取得して、
細胞を解析する。
一態様は、細胞状態を解析する方法である。この方法では、まず培養中または培養終了時の細胞サンプルに、好ましくは培養容器越しに、光源から光を照射し、3次元的に測定する、つまりサンプルの断層画像を取得する。測定機器は3次元に高分解能を有する光学機器であればよく、光源と、細胞に光源からの光を照射する集光光学系(対物レンズ)と、光を検出する光検出器とを備えるものである。好ましくは非侵襲的(非破壊かつ非染色)な光学機器を使用する。例えば、OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)が挙げられる。他の例として、反射型共焦点顕微鏡、多光子励起顕微鏡などの、非侵襲且つ3次元に分解能を有する光学機器が使用可能である。
光学機器としてOCTを使用する場合、光源の光を信号光と参照光に分岐し、信号光を細胞に照射し、細胞から反射した信号光を参照光と合波することにより生成された合成光を検出する原理である。OCTでは、信号光は細胞の様々な深さから重なり合って反射されるが、参照光と干渉される成分は特定の深さ位置からの信号光成分に限定されるため、光学顕微鏡とは異なりZ分解能の高い測定が可能になる。
10ミクロン以下程度の高い空間分解能を有するOCTの場合、取得した画像から、例えばスフェロイド内部の細胞単位のイメージングが可能である。細胞死が起きている領域では輝度が正常な細胞部分と比べ低くなることから、その有無や体積を解析することができる。そのため、3次元的に測定することにより細胞死などの細胞状態を解析することができる。この情報によりスフェロイドの培養過程が順調か、移植できるか否か判定できる。また、この細胞状態の解析方法は、既存の画像処理技術により自動化可能である。自動培養装置に組み込み、自動培養装置内の培養容器で培養されたスフェロイドをOCTで測定することも可能である。
前記光検出器からの信号に基づいて、光照射位置からの距離(例えば培養面からの垂直方向の距離)が異なる複数のサンプル断層画像を取得する。そして複数の断層画像に基づいてサンプルの3次元形状と断層画像を解析し、サンプルにおける細胞の状態を解析する。
光照射位置からの距離が光の侵達深さの限界を超える距離でサンプルを測定する際に、光源からの光の光束中心部を遮光部により遮光し、遮光された光を反射面で反射させてサンプル断層画像を取得する。具体的には、測定サンプルに対して対物レンズの反対側に反射面を設ける。これにより、反射面なしでは侵達深さの限界を超えていたサンプルの裏面側(つまり反射面なしでは測定できないサンプルの部分)についても撮像し、測定することが可能となる。さらに、反射面を用いる測定の際には、遮光部を設けることで、ノイズとなる反射面からのデフォーカスした反射光を抑制し明瞭な像を取得することが可能となる。
一方、光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界に到達するまでは、反射面を用いないでサンプルに集光し、サンプル断層画像を取得する。ここで「反射面を用いない」とは、反射面を装置に設置しないでサンプル断層画像を取得すること、および反射面を装置に設置した状態で光の焦点位置がサンプル内となるように制御して光を照射することで反射面の影響を受けずにサンプル断層画像を取得することの両方を意味する。
サンプル(例えばスフェロイド)の内部において細胞死が起きている部位では細胞質の変化や細胞膜の破壊により正常な生細胞よりも反射光が弱まる。そのため、3次元測定で取得した画像を解析することで、細胞の状態を解析することができる。例えば、3次元測定で取得した画像の輝度を解析することにより輝度がある一定の値より低い場合には、その部位に細胞死状態の細胞が存在すると推測することができる。一方、輝度が一定の値より高い場合には、その部位に細胞死状態の細胞は存在しないと推測することができる。また、輝度の値から細胞死状態の細胞がどの程度存在するかを定量的に解析することも可能である。細胞状態に関連する画像の特徴、例えば輝度の値は、使用する細胞の種類、使用する光学系装置、サンプル組成などに応じて異なるため、あらかじめ学習させておいた特定の細胞状態、すなわち細胞死の有無の画像データ、例えば輝度データから、細胞状態を解析することができる。
なお、反射光測定の際、測定サンプルからの信号光はサンプルを進む中で散乱などの影響を受け強度が減衰する。スフェロイドのような球形に近い組織の内部に存在する細胞死を反射光で検出する場合、同一平面画像内であってもスフェロイド表面から測定地点まで光が進んだ距離は測定地点ごとに異なるため輝度を単純に比較できないため、補正を実施することが好ましい。すなわち、断層画像における輝度は、スフェロイドの3次元形状および/または光照射位置から測定位置までの距離による影響を受け、3次元形状における細胞の重なり度合が大きいほど、そして光照射位置からの距離が遠いほど、輝度は低くなり、信号強度が減衰する。そのため、そのような信号強度減衰を考慮して輝度の補正を行うことで、スフェロイドに特有の問題点を解消することができる。信号強度減衰は、使用する細胞の種類、使用する光学系装置、サンプル組成などに応じて異なるため、あらかじめ学習させておいたスフェロイド内部の特定の細胞状態と関連する信号強度減衰のデータから、輝度を補正することができる。このような補正は、使用する装置で自動的に行ってもよいし、あるいは実施者が手作業で行ってもよい。
また別の態様は、3次元測定装置である。この装置は、
光源と、
前記光源からの光をサンプル内部に集光するための対物レンズと、
前記光源からの光の光束中心部を遮光する遮光部と、
前記サンプルに対して前記対物レンズの反対側に設けられ、前記遮光部で光束中心部が遮光された光を反射させる反射面を設置する反射面設置場と、
光検出器と
を有し、前記光検出器は、前記反射面にて反射した光が照射された焦点位置からの信号光を、再び前記反射面で反射させた反射光を検出することができ、前記遮光部は、前記反射面を反射し、前記サンプルを透過した光の少なくとも一部を遮光するものである。光源、対物レンズおよび光検出器は、上述したような3次元に高分解能を有する光学機器、好ましくは非侵襲的(非破壊かつ非染色)な光学機器である。好ましい実施形態において、光源、対物レンズおよび光検出器は、光干渉断層計(OCT)として構成される。
光源と、
前記光源からの光をサンプル内部に集光するための対物レンズと、
前記光源からの光の光束中心部を遮光する遮光部と、
前記サンプルに対して前記対物レンズの反対側に設けられ、前記遮光部で光束中心部が遮光された光を反射させる反射面を設置する反射面設置場と、
光検出器と
を有し、前記光検出器は、前記反射面にて反射した光が照射された焦点位置からの信号光を、再び前記反射面で反射させた反射光を検出することができ、前記遮光部は、前記反射面を反射し、前記サンプルを透過した光の少なくとも一部を遮光するものである。光源、対物レンズおよび光検出器は、上述したような3次元に高分解能を有する光学機器、好ましくは非侵襲的(非破壊かつ非染色)な光学機器である。好ましい実施形態において、光源、対物レンズおよび光検出器は、光干渉断層計(OCT)として構成される。
反射面は、光を反射することができる形状、大きさおよび材質であれば、任意のものとすることができる。反射面は、サンプルにダメージを及ぼさない程度の反射率を有することが好ましい。反射面は、特定の測定の場合(例えば、光の侵達深さ限界を超えたサンプル部分を測定する場合)に、反射面を設置する場に設置されてもよいし、予め設置されていてもよい。一実施形態において、反射面はサンプルを含む容器に設けられ、容器が装置に配置されることで、容器の反射面が反射面設置場に設置される。別の実施形態では、反射面は、3次元測定装置の反射面設置場に予め設置されている。また別の実施形態では、反射面は、使用時に反射面設置場に設置されるものである。反射面は、取り外し可能なものとすることができる。
遮光部もまた、光を遮光することができる形状、大きさおよび材質であれば、任意のものとすることができる。なお、対物レンズの面積に対する、遮光部の面積の比が、25分の9以下となるように設置することが好ましい。遮光部は、対物レンズと一体的に形成されていてもよいし、あるいは対物レンズと光源の間に設けられ、交換可能なものであってもよい。
上記装置は、反射面および遮光部を用いてサンプルに集光し、3次元測定を行うことができるが、反射面を用いずにサンプルに集光する機能も有することが好ましい。
上記装置は、対物レンズを少なくとも光軸方向に駆動し、サンプル内の焦点位置を走査する駆動部をさらに有することが好ましい。例えば、反射面および遮光部を使用する場合には、反射面から反射した光の焦点位置がサンプル内となるように対物レンズを駆動する(例えば図1)。一方、反射面を使用しない場合には、光源からの光の焦点位置がサンプル内となるように対物レンズを駆動する(例えば図9)。
上記装置は、細胞状態を解析するために使用することができる。つまり、サンプルは細胞を含むもの、例えばスフェロイドとすることができる。
また別の態様は、スフェロイドの内部の細胞状態を非侵襲的に光学的に解析する細胞解析装置である。この装置は、光源と、細胞に光源からの光を照射する集光光学系(対物レンズ)と、細胞からの光を検出する光検出器と、光検出器から取得した情報に基づく画像を解析する解析部とを備える。光源、集光光学系および光検出器は、上述したような3次元に高分解能を有する光学機器、好ましくは非侵襲的(非破壊かつ非染色)な光学機器である。好ましい実施形態において、光源、集光光学系および光検出器は、光干渉断層計(OCT)として構成される。
また解析部は、光照射位置からの距離(例えば培養面からの垂直方向の距離)が異なる複数の断層画像を取得する画像取得部と、複数の断層画像を解析する画像解析部とを有するものである。画像取得部は、光照射位置からの距離が光の侵達深さの限界を超える距離で画像取得する際に、光源からの光の光束中心部を遮光部により遮光し、遮光された光を反射面で反射させてサンプル断層画像を取得する。一方、光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界に到達するまでは、反射面を用いないでサンプル断層画像を取得する。解析部は、スフェロイドの3次元形状と断層画像とから、スフェロイド内部の細胞状態(例えば細胞死の有無)を解析するように構成することができる。解析部は、スフェロイドの外形形状を測定する測定部をさらに有していてもよく、これによりスフェロイドの外形形状および/または体積を測定し、スフェロイド内部の細胞状態の解析を補助することができる。
また、本開示の装置は、出力装置を備えていてもよいし、あるいは外部の出力装置と接続されていてもよい。出力装置は、当技術分野で公知の任意の出力装置とすることができ、例えば画像および/またはデータ表示装置、警報装置、プリンターなどが挙げられる。この場合、解析部は、細胞死と判定された部分を示した画像およびスフェロイドの体積と細胞死部分の体積比を表示装置に表示するように構成してもよい。また、解析データに基づいて警報装置から警報を発するか、解析データに基づいた信号を細胞培養装置または他の外部の装置に出力するかの少なくとも1つを行うように構成してもよい。
本開示の装置は、特定の細胞状態と関連するデータを記憶する記憶部をさらに備えることが好ましい。上述したように、そのようなデータは、使用する細胞の種類、使用する光学系装置、サンプル組成などに応じて異なるため、特定の細胞状態(スフェロイド内部の特定の細胞状態、すなわち細胞死の有無)のデータを記憶部に記憶させておくことにより、記憶されたデータとの比較により細胞状態を迅速かつ簡便に解析することができる。
また別の態様は、スフェロイドを培養するための細胞培養装置であり、(1)スフェロイドを培養する培養部と、(2)前記スフェロイドの内部の細胞状態を光を用いて解析する解析部と、(3)前記スフェロイドの培養および解析を制御する制御部とを有する。
細胞培養装置の培養部は、細胞を培養してスフェロイドを形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、当業者であれば目的の細胞の種類、スフェロイドの使用目的に応じて適当な培養部を構成することができる。一実施形態において、培養部は、恒温室と、前記恒温室内に配置されスフェロイドを培養する培養容器と、前記培養容器に結合され細胞溶液を供給する細胞ボトルと、前記培養容器に結合され培地を供給する培地ボトルと、前記培養容器に結合され培養容器から廃棄される培地を格納する廃液ボトルとを備えるものとすることができる。
細胞培養装置の解析部は、光源と、細胞に光源からの光を照射する集光光学系(対物レンズ)と、細胞からの光を検出する光検出器と、光検出器から取得した情報に基づく画像を解析する画像解析部とを備える。この画像解析部は、光照射位置からの距離(例えば培養面からの垂直方向の距離)が異なる複数の断層画像を取得する画像取得部と、複数の断層画像を解析する画像解析部とを有するものである。画像取得部は、光照射位置からの距離が光の侵達深さの限界を超える距離で画像取得する際に、光源からの光の光束中心部を遮光部により遮光し、遮光された光を反射面で反射させてサンプル断層画像を取得する。一方、光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界に到達するまでは、反射面を用いないでサンプル断層画像を取得する。解析部は、スフェロイドの3次元形状と断層画像とから、スフェロイド内部の細胞状態(例えば細胞死の有無)を解析するように構成することができる。解析部は、スフェロイドの外形形状を測定する測定部をさらに有していてもよく、これによりスフェロイドの外形形状および/または体積を測定し、スフェロイド内部の細胞状態の解析を補助することができる。
細胞培養装置の制御部は、細胞溶液の供給、培地の供給、培地の廃棄、細胞の培養、反射面の設置、光の焦点位置の走査、光の照射、光の検出、画像の取得、画像の解析、輝度の計測、および細胞状態の解析のうちの少なくとも1つを制御する。例えば、制御部は、前記解析部からの出力に基づいて、前記培養部におけるスフェロイドの培養を制御するように構成される。制御部は、当技術分野で公知の任意の制御手段を使用することができ、例えばコンピュータとすることができる。
本開示の細胞培養装置はさらに、出力装置を備えていてもよく、出力装置は、測定した情報を表示するか、測定した情報に基づいて警報を発するか、外部の装置に出力するか、あるいは、制御部または入力部にフィードバックを行うか、の少なくとも1つを行うことができる。ここで、警報とは、異常を知らせるものと正常を知らせるものの両方を含む。
上記で説明した機能は、ハードウエアで構成してもよいし、ソフトウエアで構成してもよい。
上記で説明した機能は、ハードウエアで構成してもよいし、ソフトウエアで構成してもよい。
さらに他の態様は、スフェロイドを培養する細胞培養装置(細胞培養部)からデータを受け取り、細胞培養装置で培養されたスフェロイド内部の細胞状態を解析する細胞状態解析装置である。細胞培養装置と細胞状態解析装置は一体化されていてもよいし、またはネットワークで接続されて地理的に離れた位置に配置されてもよい。
本実施例では、自動培養装置中におけるスフェロイドの非侵襲3次元測定とスフェロイド内部の細胞状態の解析を例に説明する。
図3はOCT(光干渉断層計)を組み込んだ自動培養装置の一例を示す。図3の自動培養装置301は細胞培養をする恒温室302を有する。恒温室内には撮像部303が設置されている。恒温室の外部には解析部304、記憶部305を含むコンピュータ306と出力装置307が設置されている。出力装置307は、例えばオペレータに各種の情報を表示する画像表示装置、音声で警報を発する警報装置、プリンターなどがある。また、ネットワークなどを介して、外部の記憶装置や情報端末にデータを送信することもできる。あるいは、種々のインターフェースを介して、制御部308に指示を送ることもできる。自動培養装置の制御は制御部308で実施する。細胞培養は恒温室302内部に複数設置された培養容器314中において実施される。必要となる細胞溶液の供給は培地流路312を通って細胞ボトル309から供給される。培地の供給は、培地流路312を通って培地ボトル310から培養容器314に対して実施される。培養に使用された不要な培地は廃液流路313を通って廃液ボトル311へ廃棄される。
スフェロイドの細胞解析、すなわち品質評価は、培養容器の外部からスフェロイドを撮像する撮像部303を用いた測定により実施可能である。本実施例では、撮像部303にOCT(光干渉断層計)を用いる。非侵襲3次元測定を行う部分の全体構成は、スフェロイドを撮像する撮像部303と、撮像した画像を解析してスフェロイド内部の細胞の状態を解析する解析部304と、事前に解析に必要な情報を記憶させておく記憶部305と、解析結果を表示する出力装置(ここでは画像モニターを想定した)307を有する。図3の自動培養装置はアミノ酸分析装置を含むアミノ酸分析ユニット(図示せず)を備えてもよい。培地交換時に廃液となる古い培地は培養容器314から廃液流路313を通って廃液ボトル311へ廃棄されるが、培養上清の一部は廃液流路313から分岐された培養上清分析行き流路(図示せず)を通ってアミノ酸分析ユニットへ運ばれ上清中のアミノ酸濃度を分析することができる。
細胞状態は解析部304にて解析され、培養終了タイミングの決定や培養組織の品質評価として自動培養装置の制御部308へフィードバックされる。あるいは、細胞状態は出力装置307に表示され、オペレータが細胞状態を解析し、培養終了タイミングの決定や培養組織の品質評価を行う。また、オペレータは、必要に応じて自動培養装置の制御部308やコンピュータ306を操作するために、入力部(図示せず)に入力を行う。入力部は、ネットワークを介して遠隔地からの指示を入力できる構成としてもよい。本実施例では、解析部304の実現方法として、汎用のコンピュータ306上で動作するソフトウエアとして構成したが、ハードウエアで構成することも可能である。
なお、図3の実施例では、コンピュータ306、制御部308等は、自動培養装置301に近接して配置、あるいは一体化した例を示している。しかし、コンピュータ306、制御部308等の位置はこれに制限されるものではない。有線または無線のネットワークが発達した現在では、これらを出力装置307を介してネットワークで接続し、遠隔地に配置することも本発明の開示範囲である。
さらなる本発明の特徴は、以下の具体例によって明らかになるものである。なお、実施例においては、撮像部303としてOCTを用いている。
図4に撮像部303であるOCT(光干渉断層計)の基本構成例を示す。OCTは、光源401、ビームスプリッター402、対物レンズ403、参照光ミラー404、検出器405から構成される。光源401からの光を信号光407と参照光408に分岐し、信号光407をサンプルであるスフェロイド406に照射する。細胞から反射した信号光を参照光と合波することにより生成された干渉光409を、検出器405で検出する。これにより細胞の構造が可視化される。図4では干渉光を1つ生成しているが、互いに位相関係が異なる3つ以上の干渉光を生成する干渉光学系を備える構成としてもよい。
なお、撮像部は、OCT以外の構成であってもよく、例えば反射型共焦点顕微鏡を用いることも可能である。反射型共焦点顕微鏡の基本構成例を図5に示す。光源501、ビームスプリッター502、対物レンズ503、ガルバノミラー504、検出器505から構成される。光源501からの光をビームスプリッター502とガルバノミラー504を介して、スフェロイド507に照射する。細胞からの反射光は焦点位置以外からの反射光成分を遮光するピンホール部506を通った成分が、検出器505で検出される。
図6にスフェロイドの測定イメージを示す。図6の左側はスフェロイドの斜視図のイメージである。ここで図示するようにxyz軸を定義する。右側はOCTから得られる異なるz位置における、xy像のイメージである。スフェロイド評価例のひとつとして図7にスフェロイド内部の細胞死の有無とOCT像のイメージ図を示す。図7において、Aは壊死のないスフェロイド(正確な生細胞領域701を有する)、Bは一部が壊死しているスフェロイド(細胞死の領域702を有する)を示し、Bは壊死のためにOCT像の輝度が一部低くなっている。
図8にOCTによるスフェロイドの測定およびスフェロイド内部の細胞状態の解析フロー概略図を示す。まず、恒温室302内部に設置されたOCT撮像部303において、スフェロイドのXZ断層像を撮像する(S101)。XYZの方向は図6に示す通り、XY平面が培養面に平行な面であり、Z軸は培養面に垂直な軸である。XZ断層像により、スフェロイドのZ厚さ(Z=0からM)が判明するため、これをXY像取得範囲とする(S102)。スフェロイドはほぼ球形状と考えられるため、侵達深さ限界によりXZ像がスフェロイド全体を撮像できていない場合であっても、撮像されている範囲のスフェロイド輪郭の曲率からスフェロイドのZ厚さを推定できる。あるいは位相差顕微鏡のような2次元測定手段を用いてXY平面の直径を測定し、それをZ厚さとみなしても良い。この段階で、遮光部のサイズを決定してもよい。
次に、XY視野において反射面を用いない測定モードでZ=0からCまでXY像を連続撮影する(S103からS104)。このときCは侵達深さ限界以下の値とする。対物レンズの設計や対象となるサンプルによっても異なるが、細胞レベルの高分解能を有する3次元測定装置の場合、侵達深さ限界は200-300μm程度と考えられる。反射面を用いない測定モードについては図9に示す。これは通常のOCT測定に相当し、侵達深さ限界に達しているサンプル裏面909よりも光源側に位置する領域はこれにより撮像可能である。焦点位置106は、対物レンズ104の走査によって決まる。このときZ=0-Cまでの撮像間隔は細かい方が高精度な解析が可能であるが、任意に設定可能である。好ましい一例としては、想定される細胞のZ方向の大きさよりも、小さな間隔を設定する。
侵達深さ限界に達しているスフェロイド裏面については、反射面を用いたモードでZ=CからMまでXY像を連続撮影する(S105からS106)。反射面を用いた測定モードについては図1に示す。図9の場合に比べ対物レンズ104を容器底面101に近づける。光源からの光は、対物レンズ104を通り、一度反射面107で反射された後、サンプル内の焦点位置108に照射され、サンプルからの反射光は再び反射面107で反射された後、対物レンズ104を通過し検出される。反射面107は培養底面101と平行であることが好ましく、また反射率を高め且つ測定するスフェロイドにダメージを及ぼさない適切な材質で作製され、表面処理がなされていることが好ましい。このとき、光源からの光のうち、対物レンズ104を通り、一度反射面107で反射された後、サンプルを透過し再び対物レンズに戻ってくる光、すなわち反射面からのデフォーカス成分が、ノイズの原因となるため、光束中心部を遮光する遮光部105を設けることにより反射面からのデフォーカス成分を抑制し、高画質の画像を取得する。
スフェロイドのOCT像は反射面を用いない測定モードおよび反射面を用いた測定モードの結果を合わせて表示し(S107)、画像解析により細胞状態、たとえば壊死の有無を判定し、撮像したスフェロイドが移植に適当か不適当かを判定する(S108)。結果をリアルタイムに表示すれば、細胞の状況をモニタできる。また、外部の装置にネットワークを介して送信することにより、遠隔操作も可能となる。あるいは、解析結果が特定の条件を満たす場合、音または映像等により警報を発することもできる。
以上のように、本発明の実施例では、スフェロイドを3次元測定装置を用いて撮像し、サンプルに対して対物レンズの反対側に反射面を設置することにより、通常の3次元測定に加え、通常では3次元測定装置の侵達深さが及ばないスフェロイド裏面内部の情報も取得する。また、光束中心部を遮光することにより、ノイズとなる反射面からのデフォーカス成分を抑制することにより、高画質の画像を取得することができる。また、スフェロイド内部の細胞死領域の有無などの細胞状態を表示し、あるいは記憶装置に記憶することで、オペレータにスフェロイドの状態に関する情報を知らせることができる。
本発明の実施例に説明した自動培養装置では、細胞の3次元的な情報を非侵襲で取得し、これを基に、自動的に警告または指示を、装置あるいはオペレータにフィードバックをすることが可能となる。
本実施例中、ソフトウエアで構成した機能と同等の機能は、ハードウエアでも実現できる。そのような態様も本願発明の範囲に含まれる。
本実施例では、反射面を用いた3次元測定の際に、遮光部が及ぼす効果を示す。図10に、遮光部を用いた場合と用いない場合に得られるスフェロイドのイメージを示す。Dは遮光なしで撮像したスフェロイド像のイメージである。遮光なしの場合、細胞からの反射率は1m%〜10m%と非常に小さいため、反射面からのデフォーカス成分がノイズとなり、スフェロイド内部の解析が困難となる。これに対しEは遮光した場合のスフェロイド像のイメージである。反射面からのデフォーカス成分を抑制することにより、スフェロイド内部の像が明瞭に撮像可能となる。
ただし、遮光部の領域が大きくなりすぎると、分解能が低下しすぎる懸念がある。図11に遮光部のサイズに依存したz分解能の変化を示す。これは開口数が0.52の対物レンズを使用した場合の、対物レンズの開口径(ビーム直径)に対する遮光部径の比、に対してOCTのZ分解能をプロットしたシミュレーション結果の一例である。対物レンズの開口径に対する遮光部径の比が0.6以上になると著しく分解能が低下する。このため、対物レンズの開口面積に対する、遮光部の面積の比は、25分の9以下であることが好ましい。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101:容器底面
102:培地
103:スフェロイド
104:対物レンズ
105:遮光部
106:光路
107:反射面
108:サンプル内の焦点位置
201:培養容器
202:幹細胞
301:自動培養装置
302:恒温室
303:撮像部
304:解析部
305:記憶部
306:コンピュータ
307:出力装置
308:制御部
309:細胞ボトル
310:培地ボトル
311:廃液ボトル
312:培地流路
313:廃液流路
314:培養容器
401:光源
402:ビームスプリッター
403:対物レンズ
404:参照光ミラー
405:検出器
406:スフェロイド
407:信号光
408:参照光
409:干渉光
501:光源
502:ビームスプリッター
503:対物レンズ
504:ガルバノミラー
505:検出器
506:ピンホール
507:スフェロイド
701:正常な生細胞の領域
702:細胞死の領域
909:サンプル裏面
102:培地
103:スフェロイド
104:対物レンズ
105:遮光部
106:光路
107:反射面
108:サンプル内の焦点位置
201:培養容器
202:幹細胞
301:自動培養装置
302:恒温室
303:撮像部
304:解析部
305:記憶部
306:コンピュータ
307:出力装置
308:制御部
309:細胞ボトル
310:培地ボトル
311:廃液ボトル
312:培地流路
313:廃液流路
314:培養容器
401:光源
402:ビームスプリッター
403:対物レンズ
404:参照光ミラー
405:検出器
406:スフェロイド
407:信号光
408:参照光
409:干渉光
501:光源
502:ビームスプリッター
503:対物レンズ
504:ガルバノミラー
505:検出器
506:ピンホール
507:スフェロイド
701:正常な生細胞の領域
702:細胞死の領域
909:サンプル裏面
Claims (14)
- 光源と、
前記光源からの光をサンプル内部に集光するための対物レンズと、
前記光源からの光の光束中心部を遮光する遮光部と、
前記サンプルに対して前記対物レンズの反対側に設けられ、前記遮光部で光束中心部が遮光された光を反射させる反射面を設置する反射面設置場と、
光検出器と
を有し、
前記光検出器は、前記反射面にて反射した光が照射された焦点位置からの信号光を、再び前記反射面で反射させた反射光を検出することができ、
前記遮光部は、前記反射面を反射し、前記サンプルを透過した光の少なくとも一部を遮光するものであることを特徴とする3次元測定装置。 - (a)前記反射面が、前記サンプルを含む容器に設けられ、前記容器の反射面が、前記反射面設置場に設置される、
(b)前記反射面が、前記3次元測定装置の前記反射面設置場に予め設置されている、または
(c)前記反射面が、使用時に前記反射面設置場に設置され、取り外し可能なものである
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。 - (a)前記遮光部は、前記対物レンズと一体的に形成されている、または
(b)前記遮光部は、前記対物レンズと前記光源の間に設けられ、交換可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。 - 前記対物レンズを少なくとも光軸方向に駆動し、前記サンプル内の焦点位置を走査する駆動部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記対物レンズの面積に対する、前記遮光部の面積の比は、25分の9以下であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記光源から出射された光を前記サンプルに入射させる入射光と参照光に分岐する光分岐部と、
前記サンプルからの信号光と前記参照光とを合波し、干渉光を生成する干渉光学系と
をさらに有し、前記光検出器が前記干渉光を検出することを特徴とする請求項1に記載の装置。 - 前記干渉光学系は、互いに位相関係が異なる3つ以上の干渉光を生成することを特徴とする請求項6に記載の装置。
- 前記対物レンズと前記光検出器との間に、
前記反射光を集光する集光レンズと、
前記対物レンズの焦点位置からの反射光成分を透過し焦点位置以外からの反射光成分を遮光するピンホール部と
をさらに有し、前記光検出器が前記ピンホール部を通った反射光成分を検出することを特徴とする請求項1に記載の装置。 - 前記反射面を用いずに前記サンプルに集光する機能も有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記サンプルが細胞を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記サンプルがスフェロイドであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
- 細胞状態を解析するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 光源からサンプルに光を照射する工程、
光照射位置からの距離が異なる複数のサンプル断層画像を取得する工程であって、(a)前記光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界を超える距離では、前記光源からの光の光束中心部を遮光部により遮光し、遮光された光を反射面で反射させてサンプル断層画像を取得し、(b)前記光照射位置からの距離が光の侵達深さ限界までの距離では、前記反射面を用いないでサンプル断層画像を取得する、工程、
取得した画像に基づいてサンプルの細胞状態を解析する工程
を含むことを特徴とする細胞状態の解析方法。 - 前記サンプルがスフェロイドであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
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