JP6721396B2 - 模様紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、意匠性の高い模様が付された模様紙の製造方法に関する。
外観及び風合いに優れた模様紙は、商品イメージの付与、商品価値の向上などを目的として広範な用途に使用されている。また、模様紙の製造方法としては、染色による方法、種々の型付けによる方法、特殊な形状物又は着色物を抄き込む方法、凝集物を抄紙原料に添加して抄造する方法など、種々の方法が知られている。
例えば特許文献1には、紙面に斑点状模様を有する意匠性に優れた模様紙の製造方法として、木材パルプ等の繊維原料を含むスラリー中に液状着色樹脂粒子を懸濁又は分散させたものを湿式抄紙する方法が記載されている。この液状着色樹脂粒子は、エマルジョン重合体と着色材とを含有する液滴からなり、該液滴の表層部がゲル化物によって構成されているもので、特許文献1によれば、液状着色樹脂粒子を含むスラリーを湿式抄紙すると、液状着色樹脂粒子は紙の表面で扁平状に変形し、紙面の平滑性を阻害することなく意匠性に優れた斑点状模様が形成されるとされている。
また特許文献2には、模様紙の一種である雲竜紙、即ち、セルロース繊維等により構成されるベース原料とレーヨン繊維等の凝集繊維との混合物を抄紙して得られる模様紙に関し、模様の大きさが均一で外観に優れる雲竜紙の製造方法として、湿式抄紙とは別に、繊度及び繊維長が特定範囲にあるレーヨン繊維とカチオン性凝集剤及びアニオン性凝集剤とを使用してレーヨンフロックを製造し、そのレーヨンフロックをベースとなるスラリーに添加して湿式抄紙する方法が記載されている。
特開平4−308299号公報 特開2007−9374号公報
特許文献1及び2に記載の模様紙の製造方法は、何れも一連の湿式抄紙工程とは別工程で液状着色樹脂粒子やレーヨンフロック等の添加剤を製造するものであるため、工程が複雑で製造コストの点で不利な面がある。
本発明は、意匠性の高い模様が付された模様紙を効率良く簡便に製造し得る模様紙の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に分布して模様を形成している模様紙の製造方法であって、ミクロフィブリルセルロース、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維を含む原料スラリーを槽内に貯留し、該原料スラリー中の固形分を抄紙網で抄き上げて該抄紙網の表面に湿紙を形成する湿紙形成工程を有し、前記湿紙形成工程において前記原料スラリーを前記槽内に滞留させる、模様紙の製造方法である。
また本発明は、ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に分布して模様を形成している模様紙の製造方法であって、ミクロフィブリルセルロース、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維を含む原料スラリーを槽内に貯留し、該原料スラリー中の固形分を抄紙網で抄き上げて該抄紙網の表面に湿紙を形成する湿紙形成工程を有し、前記湿紙形成工程において前記抄紙網を透過した前記原料スラリーである排水スラリーを前記槽外に排出し、該排水スラリーに該排水スラリーとは反対の電荷を有する凝集剤を添加して凝集剤添加スラリーを得、該凝集剤添加スラリーを該原料スラリーと共に該槽内に導入して前記湿紙の形成に使用する、模様紙の製造方法である。
本発明によれば、意匠性の高い模様が付された模様紙を効率良く簡便に製造し得る模様紙の製造方法が提供される。本発明の模様紙は、その高い意匠性を活かして例えば、ファンシーペーパー、包装用紙、障子紙、油とり紙、キッチンペーパー、テッシュペーパー、衛生品のキャリアテッシュ等に好適に使用できる。
図1は、本発明の製造方法によって製造される模様紙の模式的な平面図である。 図2は、本発明の模様紙の製造方法における湿紙形成工程の一実施態様の概略図である。 図3は、本発明の範囲外の模様紙の製造方法における湿紙形成工程の概略図(図2相当図)である。
本発明の製造方法によって製造される模様紙は、ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に分布して模様を形成している紙である。図1には斯かる模様紙の一例が示されている。図1に示す模様紙1は単層構造の紙であり、多数の凝集体2が紙面全体に散点状に分布している。凝集体2は通常、模様紙本来の色(通常は白色)とは異なる色(例えば黒色)を有している。模様紙1においては、多数の凝集体2が模様紙1の面方向に分散しているのみならず、厚み方向においても分散している。従って模様紙1を目視観察すると、多数の凝集体2の色味が均一ではなく凝集体2どうしで濃淡に差が見られ、観察者に立体的で奥行き感がある視覚効果を生じさせ得る。
図2には、本発明の模様紙の製造方法の実施に用いられる製造装置の一例である湿式抄紙機10の一部が示されている。湿式抄紙機10は、抄紙網として円網12を1枚備えた単層型円網抄紙機であり、図2に示されているのはその一部であり、連続帯状の湿紙3を形成するフォーミングパートである。湿式抄紙機10は、このフォーミングパートの他に、フォーミングパートで使用する原料スラリー(紙料)4を調製する原料スラリー調整パート(図示せず)と、フォーミングパートで形成した湿紙3を乾燥して製造目的物たる模様紙とするドライパート(図示せず)と、その乾燥後の連続帯状の模様紙をロール状に巻き取るワインダーパート(図示せず)とを含んで構成されている。湿式抄紙機10の基本構成は、公知の湿式抄紙機におけるものと同じである。
前記原料スラリー調整パートは、繊維原料を離叩解する装置(図示せず)と、離叩解された繊維原料にサイズ剤、顔料、紙力増強剤、漂白剤、凝集剤等の添加剤を添加する添加装置(図示せず)とを備え、製造目的物たる模様紙の特性に応じた所定濃度の原料からなる紙料を調製するように構成されている。また、前記ドライパートは通常、湿紙を圧搾脱水するプレスロール等の加圧手段と、圧搾脱水された湿紙を加熱乾燥するヤンキードライヤー(回転シリンダー式抄紙乾燥機)等の加熱手段とを具備している。
湿式抄紙機10のフォーミングパートは、図2に示すように、原料スラリー4を貯留する槽11と、外周部がメッシュ状の抄紙網12により形成され、モータ等の図示しない原動機からの動力を受けて中心軸回りを矢印R1方向に回転する円筒状の円網サクションシリンダー13と、円網サクションシリンダー13に対向配置され、モータ等の図示しない原動機からの動力を受けて中心軸回りを矢印R2方向に回転する円筒状のクーチロール14と、円網サクションシリンダー13とクーチロール14との間を走行する無端フェルト15とを備えている。
槽11には、原料スラリー供給ライン20が付設されている。原料スラリー供給ライン20は、前記原料スラリー調整パートと槽11との間を繋ぐ配管を含んで構成されており、前記原料スラリー調整パートで調製された原料スラリー4は、原料スラリー供給ライン20を流通して、槽11に設けられた原料スラリー供給口21から槽11内に供給される。
抄紙網12は、金属製ワイヤー又は合成樹脂製ワイヤーを円筒状に製織してなる円筒体からなる。円網サクションシリンダー13は図示しない吸引ポンプに接続されており、その吸引ポンプを駆動させて円網サクションシリンダー13の内部空間を負圧にすることで、抄紙網12の外部に存する原料スラリー4を円網サクションシリンダー13の内部に吸引する吸引力が発現するようになされている。
また、円網サクションシリンダー13の回転軸方向の端部には、抄紙網12を超えて円網サクションシリンダー13の内部に流入した原料スラリー4、即ち排水スラリー5(いわゆる白水)を槽11の外部へ排出するスラリー排出口22が設けられている。スラリー排出口22は、槽11に付設されたスラリー回収ライン23を構成する配管に接続され、また、スラリー回収ライン23の他端は原料スラリー供給ライン20に接続されており、スラリー排出口22から排出された排水スラリー5は、スラリー回収ライン23及び原料スラリー供給ライン20を順次流通して、原料スラリー供給ライン20を流通する原料スラリー4と合流した後、原料スラリー供給口21を介して槽11内に供給され、湿紙3の形成に再利用される。また、スラリー回収ライン23の途中には、バルブ24を介してスラリー廃棄ライン25が接続されており、バルブ24を切り替えることで、スラリー排出口22から排出された排水スラリー5を、スラリー回収ライン23を使って槽11に戻して再利用するか、又はスラリー廃棄ライン25を使って廃棄するかを選択することができる。
本発明の模様紙の製造方法は、木材パルプ等の親水性繊維を含む原料スラリーを槽内に貯留し、該原料スラリー中の固形分を抄紙網で抄き上げて該抄紙網の表面に湿紙を形成する湿紙形成工程を有している。より具体的には図2に示すように、円網サクションシリンダー13の一部が槽11内の原料スラリー4中に浸漬された状態で、その外周部である抄紙網12が方向R1に回転しつつ、円網サクションシリンダー13の内部側からの吸引が実施されると、原料スラリー4は抄紙網12に沿うように流れながら抄紙網12を透過して円網サクションシリンダー13の内部へと流入し、その流入の際に原料スラリー4中の固形分が抄紙網12によって抄き上げられ、抄紙網12の回転に伴って抄紙網12の外面上に湿紙3が連続的に形成される。こうして形成された連続帯状の湿紙3は、抄紙網12とクーチロール14との最近接位置にて、抄紙網12から無端フェルト15に転移され、無端フェルト15と共に前記ドライパートに搬送されて乾燥工程に付される。尚、抄紙網12を回転させている状態では、図2に示すように、抄紙網12の内側の液面レベルL1は抄紙網12の外側の液面レベルL2に比して低くなる。
本発明の模様紙の製造方法の主たる特徴の1つとして、前記湿紙形成工程において、ミクロフィブリルセルロース、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維を含む特定の原料スラリーを用い、且つこの特定の原料スラリーを槽内に滞留させる点が挙げられる。
図3には、従来の単層型円網抄紙機である湿式抄紙機10Zのフォーミングパートにおける湿紙形成工程が示されている。尚、湿式抄紙機10Zについては、図2に示す湿式抄紙機10と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。従来の湿式抄紙機10Zのフォーミングパートにおいては、原料スラリー供給口21から槽11内に原料スラリー4を連続的に供給しつつ、槽11内の所定の水位を超えた分の原料スラリー4を、槽11の上部に設けられたオーバーフロー排出口26から排出することで、槽11内の抄紙網12の外側の原料スラリー4の水位(液面レベルL2)を一定に維持している。また、原料スラリー4をオーバーフローさせることで、抄紙網12に形成される湿紙3の厚みや地合いを一定に維持している。尚、オーバーフロー排出口26にはスラリー回収ライン23を構成する配管が接続されており、オーバーフローした原料スラリー4を再び槽11内に供給して、湿紙3の形成に再利用するようになされている。
このように、原料スラリー供給口21から槽11内に原料スラリー4を供給すると共に、槽11の上部から原料スラリー4をオーバーフローさせてオーバーフロー排出口26から槽11の外部に排出する操作を続けると、原料スラリー4は槽11内に滞留せずに、矢印F2で示す方向即ち原料スラリー供給口21からオーバーフロー排出口26に向かう方向に流れるようになる。本発明者は当初、図3に示す如き原料スラリーが槽内で滞留しない系において、原料スラリーとしてミクロフィブリルセルロース、粉体及び紙力増強剤を含むものを用いて湿式抄紙を行ったところ、そうして得られた紙には、ミクロフィブリルセルロースと粉体との凝集体はほとんど存在せず、斯かる凝集体を模様とする模様紙を製造することはできなかった。
これに対し本発明者は、図2に示す湿式抄紙機10のように、槽11内の原料スラリー4の液面レベルL2を、槽11の上部からのオーバーフローが起こらないような高さに調整して、原料スラリー4がオーバーフロー排出口26から排出されずに槽11内に滞留している状態で、原料スラリー4としてミクロフィブリルセルロース、粉体及び紙力増強剤を含むものを用いて湿式抄紙を行ったところ、そうして得られた紙には、ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に形成され、意匠性の高い模様を形成していた。このように、湿紙形成工程の実施中に原料スラリーを槽内で滞留させることで、槽内にミクロフィブリルセルロース、粉体及び紙力増強剤の3成分が局所的に高密度で存在するようになり、それによってこれら3成分相互の接触回数が、原料スラリーを槽内で滞留させずにオーバーフローさせる場合に比して、大幅に増加するようになるため、これら3成分の凝集が促進され、その結果として紙に凝集体からなる模様が散点状に形成されたと推察される。特にミクロフィブリルセルロースは水などの原料スラリーを構成する液媒体に比して比重が小さいため、原料スラリーの液面近くに偏在する傾向が強く、それ故、原料スラリーを槽内に滞留させると、その原料スラリーに含まれるミクロフィブリルセルロースは、例えば図2中矢印F1で示すように、吸引力が作用している抄紙網12の近傍の液面にて滞留するようになるところ、このミクロフィブリルセルロースの滞留が凝集体の形成に大きく寄与していると推察される。逆に言えば、湿紙形成工程の実施中に槽上部から原料スラリーをオーバーフローさせると、このミクロフィブリルセルロースの滞留が生じ難くなるため、ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集が阻害されやすくなると推察される。尚、液面レベルL2の調整は、原料スラリー供給口21からの原料スラリー4の供給量及び/又はスラリー排出口22からの排水スラリー5(白水)の排出量を適宜調整することで実施することができる。
以上の事実から本発明者は、湿式抄紙機を用いて常法に従って湿紙を形成するに際し、前記特定の原料スラリーを槽内に滞留させること、具体的には例えば、前記特定の原料スラリーを槽からオーバーフローさせないことが、ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に分布して模様を形成している意匠性の高い模様紙を得るために重要であることを知見し、本発明に想到するに至ったものである。このように本発明の模様紙の製造方法は、ミクロフィブリルセルロース、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維という、紙料として従来汎用されているものを原料スラリーに用い、且つ湿紙形成工程の実施中に槽上部からの原料スラリーのオーバーフローを禁止するなどの方法により、湿紙形成工程において原料スラリーを槽内に滞留させるだけの非常にシンプルな構成で、意匠性の高い模様紙を製造することが可能であるから、特許文献1及び2に記載の模様紙の製造方法の如き、模様を形成する材料を別途調製する工程を必要する製造方法に比して、工程が簡単で製造コストの点で有利である。
また本発明者は、前記の「湿紙形成工程において原料スラリーを槽内に滞留させる方法」以外の他の方法によっても、意匠性の高い模様が付された模様紙を効率良く簡便に製造し得ることを知見した。その有用な他の方法とは、「湿紙形成工程において抄紙網を透過した原料スラリーである排水スラリーを槽外に排出し、該排水スラリーに該排水スラリーとは反対の電荷を有する凝集剤を添加して凝集剤添加スラリーを得、該凝集剤添加スラリーを該原料スラリーと共に該槽内に導入して湿紙の形成に使用する方法」(以下、凝集剤添加法ともいう)である。本発明にはこの凝集剤添加法を利用した模様紙の製造方法も含まれる。
例えば図2に示す湿式抄紙機10を用いて模様紙の製造を行う場合に、その湿紙形成工程において、いわゆる白水である排水スラリー5(抄紙網12を透過した原料スラリー4)は、スラリー排出口22から槽11の外部に排出され、スラリー回収ライン23及び原料スラリー供給ライン20を介して槽11内に供給されて湿紙3の形成に使用されるところ、例えばスラリー回収ライン23を流通する排水スラリー5に、該排水スラリー5とは反対の電荷を有する凝集剤を添加することで、前記凝集剤添加法を実施することができる。これにより、排水スラリー5中にミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が形成された凝集剤添加スラリーが得られ、該凝集剤添加スラリーは、原料スラリー供給ライン20を流通する原料スラリー4と合流されて槽11内に供給されて湿紙3の形成に使用されるため、図1に示す模様紙1の如き模様紙が得られる。凝集剤の添加量は、排水スラリー5に含まれるミクロフィブリルセルロースの濃度などに応じて、適当な大きさの凝集体が形成し得る範囲で適宜調整すれば良い。
前記凝集剤添加法で使用可能なカチオン性凝集剤としては、例えばカチオン化澱粉、カチオン化カルボキシメチルセルロース、カチオン系ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
前記凝集剤添加法で使用可能なアニオン性凝集剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド-アクリル酸共重合体の塩、アニオン系ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
前記カチオン性凝集剤及び前記アニオン性凝集剤は、それぞれ、官能基の中和度、分子量、添加量によって、凝集力を調整でき、必要に応じて適宜、選択できる。
以下、本発明で使用するスラリーについて説明する。本発明で使用する原料スラリーは、ミクロフィブリルセルロース(MFC)、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維をスラリー原料として含むもので、通常、水を液媒体とする。尚、本発明で使用する原料スラリーには、必要に応じ本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、これら以外の、湿式抄紙に通常用いられる各種添加剤を含有させても良い。
ミクロフィブリルセルロースとは、ミクロフィブリル化したセルロース繊維である。ここでいうミクロフィブリル化とは、セルロース繊維をその構成要素であるミクロフィブリル(微小繊維)まで引き裂いた状態、あるいは、セルロース繊維中のミクロフィブリルが摩擦によって繊維表面に現れて毛羽立つことでささくれ立った状態にすることを意味し、具体的には、セルロース繊維に強力な機械的剪断力などの外力を加えて、0.01〜1μm程度の太さにまで細分化することを意味する。
但し、スラリー原料として使用するミクロフィブリルセルロースには、1μmを超える太さのセルロース繊維が混入していても良い。このような、太いミクロフィブリルセルロースのスラリー原料への混入は、通常、セルロース繊維をミクロフィブリル化する過程で生じた、ミクロフィブリル化が不十分又は全くなされていないセルロース繊維が、意図せずに不可避的に原料に混入することによっておこり得る。スラリー原料として使用するミクロフィブリルセルロースの質量全体に占める、太さが1μmを超えるセルロース繊維の質量の割合は、20質量%以下とすることが好ましい。
スラリー原料として使用するミクロフィブリルセルロースの種類は特に限定されず、樹木などの植物由来のものの他、バクテリア、ホヤの被嚢などの微生物又は動物由来のものであっても良い。
原料スラリーにおけるミクロフィブリルセルロースの含有量は、模様紙に意匠性の高い模様を付与する観点から、原料スラリーの全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。原料スラリーにおけるミクロフィブリルセルロースの含有量が少なすぎると、凝集体の形成が不十分となって模様紙の意匠性が低下するおそれがあり、ミクロフィブリルセルロースの含有量が多すぎると、凝集体が多くなりすぎるため紙の強度が著しく低下する、又は、紙の表面が粗くなるおそれがある。
スラリー原料として使用する粉体は、ミクロフィブリルセルロースと共に、本発明の製造目的物たる模様紙における模様を構成するものであり、模様の視認性を高める観点から、模様紙本来の色とは異なる色を有するものが好ましい。模様紙本来の色は、模様紙が通常のパルプ繊維を主体とするものであれば、白色又はそれに準ずる色となるから、粉体はそのような白色系とは異なる色を有するものが好ましい。スラリー原料として使用する粉体としては、例えば、椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭等の活性炭;染料、顔料;染料や顔料で着色された有機又は無機微粒子が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
原料スラリーにおける粉体の含有量は、模様紙に意匠性の高い模様を付与する観点から、原料スラリーの全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。原料スラリーにおける粉体の含有量が少なすぎると、凝集体の形成が不十分となって模様紙の意匠性が低下するおそれがあり、粉体の含有量が多すぎると、凝集体中における粉体の固定が十分ではなく、摩擦などにより紙から脱落するおそれがある。
スラリー原料として使用する紙力増強剤は、紙力増強の目的のみならず、ミクロフィブリルセルロース及び粉体と共に、本発明の製造目的物たる模様紙における模様を形成する(凝集を促進する)目的でも使用されるものである。スラリー原料として使用する紙力増強剤としては、湿式抄紙において通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド、澱粉、グリオキサール変性ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂及びこれらの塩等のカチオン性紙力増強剤;アニオン系ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド-アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド部分加水物、ポリアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合物、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩等のアニオン性紙力増強剤が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特にミクロフィブリルセルロースと粉体とが接触した時の凝集効果を促進させる観点から、紙力増強剤としては、カチオン性及びアニオン性の2種類を併用することが好ましい。
原料スラリーにおける紙力増強剤の含有量(2種以上を併用する場合はそれらの合計含有量)は、原料スラリーの全質量に対して、好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。原料スラリーにおける紙力増強剤の含有量が少なすぎると、紙力が十分に得られない、ミクロフィブリルセルロース及び粉体を含む凝集体の形成が不十分となって模様紙における模様が少なくなる等の不都合が生じるおそれがあり、紙力増強剤の含有量が多すぎると、紙搬送用毛布やドライヤーへの紙の貼りつきによる紙の形成不良のおそれがある。
スラリー原料として使用する親水性繊維は、模様紙の主体をなすものである。スラリー原料として使用する親水性繊維としては、湿式抄紙において通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維;藁、竹、ケナフ、麻等の非木材パルプ;レーヨン、キュプラ、テンセル、リヨセル等の再生セルロース繊維;アセテート等の半合成セルロース繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、親水性繊維の叩解度は特に制限されず、模様紙の用途等に応じて適宜調整すれば良い。
原料スラリーにおける親水性繊維の含有量は、模様紙に実用上十分な紙力を付与しつつ、ミクロフィブリルセルロースや粉体などの模様形成に関わる成分を一定量含有可能にする観点から、原料スラリーの全質量に対して、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
好ましい原料スラリーの調製方法として、ミクロフィブリルセルロース、粉体及び親水性繊維を含むスラリー前駆体に、カチオン性紙力増強剤及びアニオン性紙力増強剤をこの順で添加する方法が挙げられる。この原料スラリー調製方法のポイントは、紙力増強剤の添加順序をカチオン性紙力増強剤、アニオン性紙力増強剤の順とすることである。斯かる方法によれば、先ず、ミクロフィブリルセルロースにカチオン性紙力増強剤が付着することで、該ミクロフィブリルセルロースがカチオンに帯電し、次に、このカチオンに帯電したミクロフィブリルセルロースにアニオン性紙力増強剤が付着することで、カチオンに帯電した複数のミクロフィブリルセルロースどうしが該アニオン性紙力増強剤を介して互いに引き合うようになるため、凝集体を形成するための各成分相互の接触回数が増加するという効果が奏される。
1 模様紙
2 凝集体
3 湿紙
4 原料スラリー
5 排水スラリー
10,10Z 湿式抄紙機(フォーミングパート)
11 槽
12 抄紙網
13 円網サクションシリンダー
14 クーチロール
15 無端フェルト
20 原料スラリー供給ライン
21 原料スラリー供給口
22 スラリー排出口
23 スラリー回収ライン
24 バルブ
25 スラリー廃棄ライン
26 オーバーフロー排出口

Claims (4)

  1. ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に分布して模様を形成している模様紙の製造方法であって、
    ミクロフィブリルセルロース、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維を含む原料スラリーを槽内に貯留し、該原料スラリー中の固形分を抄紙網で抄き上げて該抄紙網の表面に湿紙を形成する湿紙形成工程を有し、
    前記湿紙形成工程において前記原料スラリーを前記槽内に滞留させ、
    前記原料スラリーの前記槽内での滞留は、該原料スラリーを該槽からオーバーフローさせないことでなされる、模様紙の製造方法。
  2. 前記紙力増強剤は、カチオン性及びアニオン性の2種類を含む請求項に記載の模様紙の製造方法。
  3. 前記原料スラリーは、ミクロフィブリルセルロース、粉体及び親水性繊維を含む原料スラリー前駆体に、前記カチオン性紙力増強剤及び前記アニオン性紙力増強剤をこの順で添加することにより調製される請求項に記載の模様紙の製造方法。
  4. ミクロフィブリルセルロースと粉体と紙力増強剤との凝集体が散点状に分布して模様を形成している模様紙の製造方法であって、
    ミクロフィブリルセルロース、粉体、紙力増強剤及び親水性繊維を含む原料スラリーを槽内に貯留し、該原料スラリー中の固形分を抄紙網で抄き上げて該抄紙網の表面に湿紙を形成する湿紙形成工程を有し、
    前記湿紙形成工程において前記抄紙網を透過した前記原料スラリーである排水スラリーを前記槽外に排出し、該排水スラリーに該排水スラリーとは反対の電荷を有する凝集剤を添加して凝集剤添加スラリーを得、該凝集剤添加スラリーを該原料スラリーと共に該槽内に導入して前記湿紙の形成に使用する、模様紙の製造方法。
JP2016082591A 2016-04-18 2016-04-18 模様紙の製造方法 Active JP6721396B2 (ja)

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