JP6721233B2 - 振動速度検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波振動子の放射面における振動速度を検出する振動速度検出装置に関するものである。
超音波のエネルギーを利用して物体、物質の処理を行う応用は強力超音波応用と呼ばれ、洗浄、乳化、分散、化学反応促進、塑性加工、切削加工、プラスチック接合、金属接合などに利用されている。強力超音波の発生は、超音波発振器(一種の高周波電源)と超音波振動子(電気機械変換器)とから構成される強力超音波発生装置により行われる。強力超音波発生装置を用いた物体、物質の処理において、超音波振動子の放射面の振動速度は、超音波処理効果と密接な関係がある。このため、超音波振動子の放射面(振動子放射面)における振動速度の測定は、製造現場での品質の監視・制御において重要な役割を持つ。また、振動子放射面の振動速度は、振動子材料の振動応力による疲れ破壊や振動特性の劣化に関係がある。このため、過大振幅等による超音波振動子の異常・故障を未然に防止するためにも振動子放射面の振動速度を監視することは、重要な作業の1つとなっている。
超音波振動子の振動速度を測定する従来装置としては、フォトニックスセンサーやレーザードップラー振動計などがあるが、これらの測定装置は高価であり現場(超音波発生装置が設置される製造ライン等)において導入することが困難である。さらに、これらの測定装置は、振動子放射面に光を当てて測定する手法を採用しているため、振動子放射面が固体や液体などと接触して音響負荷がある状態においては、振動子放射面の振動速度を測定することができないといった欠点がある。
これに対して、特許文献1には、超音波振動子の振動速度を検出するための検出手段を有する駆動装置が開示されている。この検出手段は、直列接続された2つの抵抗器を備え、超音波振動子の電極から取り出した電圧を分圧することで超音波振動子の振動速度に比例した検出電圧を出力している。この構成を採用すると、音響負荷がある状態においても超音波振動子の振動速度が検出される。また、特許文献2には、超音波振動子の振動速度を検出するためのブリッジ回路を備えた超音波洗浄装置が開示されている。ブリッジ回路は、一辺の超音波振動子と、その他の辺を構成する3つのブリッジ用コンデンサと、出力電流及び出力電圧を検出するためのブリッジ出力検出用抵抗とを備えている。ブリッジ回路において、超音波振動子とブリッジ用コンデンサとはインピーダンスの平衡が成り立つように形成されている。このブリッジ回路において、ブリッジ出力検出用抵抗で検出される出力電圧及び出力電流によって振動速度が検出されるようになっている。この構成を採用した場合、音響負荷がある状態においても超音波振動子の振動速度が検出される。
特開平08−1091号公報(図1等参照) 特開2009−166028号公報(図10等参照)
ところが、特許文献1のように、超音波振動子の電極の電圧を検出するだけでは、正確な振動速度を求めることができない。具体的には、超音波振動子に同じ電圧を印加した場合でも、超音波振動子の音響負荷が大きくなると、超音波振動子のインピーダンスが高くなり振動速度が低下する。このため、検出手段で電圧を検出するだけでは、音響負荷に応じた正確な振動速度を求めることができない。また、特許文献2のブリッジ回路では、超音波振動子のインピーダンスに対応したブリッジ用コンデンサが設けられている。従って、特性が異なる別の超音波振動子を用いる場合には、ブリッジ回路においてインピーダンスの平衡がとれるように各ブリッジ用コンデンサを変更しなければならず、専用のブリッジ回路を新たに構成する必要があるため、装置の部品コストが嵩んでしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波振動子の放射面における振動速度を音響負荷の有無にかかわらず低コストで正確に検出することができる振動速度検出装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定の振動モードで振動して超音波を放射する放射面を有する超音波振動子と、前記超音波振動子を前記振動モードにおける共振周波数付近で機械振動させるための超音波発振器とを備え、前記放射面から前記超音波を放射して所定の処理を行う超音波発生装置において、前記超音波振動子と前記超音波発振器との間に設けられる振動速度検出装置であって、前記超音波振動子の制動容量、及び前記振動モードでの前記放射面における力係数を示すデジタル信号としての前記共振周波数動作時の前記力係数のデジタル信号を入力する入力手段と、前記超音波振動子の電気端子に接続され、前記電気端子における電圧及び電流をアナログ信号として検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記電圧及び前記電流に関するアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、前記制動容量、前記力係数、前記電圧及び前記電流のデジタル信号を用いて、電気音響変換の基本式に基づく演算を行い、前記超音波振動子の前記放射面における振動速度を算出するデジタル信号処理手段とを備え、前記デジタル信号処理手段は、前記電圧に関するデジタル信号を微分処理するための遅延素子及び第1減算器と、前記第1減算器の減算結果に対して前記制動容量のデジタル信号に対応した係数を乗算するための第1係数可変乗算器と、前記電流に関するデジタル信号から前記第1係数可変乗算器の乗算結果を減算するための第2減算器と、前記第2減算器の減算結果に対して前記力係数のデジタル信号に対応した係数を乗算し、その乗算結果を前記振動速度として出力する第2係数可変乗算器とを備えることを特徴とする振動速度検出装置をその要旨とする。
請求項1に記載の発明によると、超音波発振器と超音波振動子との間に振動速度検出装置を設けることにより、超音波振動子の放射面に音響負荷が加わった状態でも振動速度を容易に測定することができる。従って、超音波発生装置の使用現場において、超音波振動子の放射面における振動速度をリアルタイムで検出、モニタリングすることができる。また、本発明の振動速度検出装置では電気音響変換の基本式を演算に用いているので、光を用いるフォトニクスセンサやレーザードップラー振動計と比較して、低コストで放射面の振動速度を検出することができる。さらに、本発明の振動速度検出装置では、超音波振動子の電気端子における電圧及び電流に加えて、制動容量及び力係数を用いて放射面の振動速度が算出されるので、特許文献1の従来技術と比較して振動速度を正確に求めることができる。また、特性の異なる超音波振動子を測定する場合でも、その超音波振動子の制動容量及び力係数を入力手段から入力することにより、放射面の振動速度を正確に求めることができる。この場合、特許文献2のように超音波振動子のインピーダンスに応じて回路変更を行う必要がなく、簡単かつ低コストで放射面の振動速度を求めることができる
また本発明では、前記超音波発振器は、前記振動モードにおける共振周波数付近で前記超音波振動子を機械振動させ、前記入力手段は、前記共振周波数(A形共振周波数)動作時の前記力係数(A形力係数)のデジタル信号を入力するものであるため、超音波振動子を共振周波数付近で駆動したときの放射面の振動速度をより正確に求めることができる。
さらに本発明では、前記デジタル信号処理手段は、前記電圧に関するデジタル信号を微分処理するための遅延素子及び第1減算器と、前記第1減算器の減算結果に対して前記制動容量のデジタル信号に対応した係数を乗算するための第1係数可変乗算器と、前記電流に関するデジタル信号から前記第1係数可変乗算器の乗算結果を減算するための第2減算器と、前記第2減算器の減算結果に対して前記力係数のデジタル信号に対応した係数を乗算し、その乗算結果を前記振動速度として出力する第2係数可変乗算器とを備えるため、後退差分法によって離散化近似したデジタル信号処理手段を構成することができる。そして、本発明のデジタル信号処理手段を用いることにより、共振周波数付近で超音波振動子を駆動したときの動作に対応したデジタル信号処理が行われるため、共振周波数付近での放射面の振動速度をより正確に求めることができる。
上記課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、所定の振動モードで振動して超音波を放射する放射面を有する超音波振動子と、前記超音波振動子を前記振動モードにおける反共振周波数付近で機械振動させるための超音波発振器とを備え、前記放射面から前記超音波を放射して所定の処理を行う超音波発生装置において、前記超音波振動子と前記超音波発振器との間に設けられる振動速度検出装置であって、前記超音波振動子の制動容量、及び前記振動モードでの前記放射面における力係数を示すデジタル信号としての前記反共振周波数動作時の前記力係数のデジタル信号を入力する入力手段と、前記超音波振動子の電気端子に接続され、前記電気端子における電圧及び電流をアナログ信号として検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記電圧及び前記電流に関するアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、前記制動容量、前記力係数、前記電圧及び前記電流のデジタル信号を用いて、電気音響変換の基本式に基づく演算を行い、前記超音波振動子の前記放射面における振動速度を算出するデジタル信号処理手段とを備え、前記デジタル信号処理手段は、前記電流に関するデジタル信号に対して前記制動容量のデジタル信号に対応した係数を乗算するための第1係数可変乗算器と、前記第1係数可変乗算器の乗算結果を積分処理するための遅延素子及び加算器と、前記電圧に関するデジタル信号から前記加算器の加算結果を減算するための減算器と、前記減算器の減算結果に対して前記力係数のデジタル信号に対応した係数を乗算し、その乗算結果を前記振動速度として出力する第2係数可変乗算器とを備えることを特徴とする振動速度検出装置をその要旨とする。
請求項2に記載の発明によると、超音波発振器と超音波振動子との間に振動速度検出装置を設けることにより、超音波振動子の放射面に音響負荷が加わった状態でも振動速度を容易に測定することができる。従って、超音波発生装置の使用現場において、超音波振動子の放射面における振動速度をリアルタイムで検出、モニタリングすることができる。また、本発明の振動速度検出装置では電気音響変換の基本式を演算に用いているので、光を用いるフォトニクスセンサやレーザードップラー振動計と比較して、低コストで放射面の振動速度を検出することができる。さらに、本発明の振動速度検出装置では、超音波振動子の電気端子における電圧及び電流に加えて、制動容量及び力係数を用いて放射面の振動速度が算出されるので、特許文献1の従来技術と比較して振動速度を正確に求めることができる。また、特性の異なる超音波振動子を測定する場合でも、その超音波振動子の制動容量及び力係数を入力手段から入力することにより、放射面の振動速度を正確に求めることができる。この場合、特許文献2のように超音波振動子のインピーダンスに応じて回路変更を行う必要がなく、簡単かつ低コストで放射面の振動速度を求めることができる。
また本発明では、前記超音波発振器は、前記振動モードにおける反共振周波数付近で前記超音波振動子を機械振動させ、前記入力手段は、前記反共振周波数(B形共振周波数)動作時の前記力係数(B形力係数)のデジタル信号を入力することから、超音波振動子を反共振周波数付近で駆動したときの放射面の振動速度をより正確に求めることができる。
さらに本発明では、前記デジタル信号処理手段は、前記電流に関するデジタル信号に対して前記制動容量のデジタル信号に対応した係数を乗算するための第1係数可変乗算器と、前記第1係数可変乗算器の乗算結果を積分処理するための遅延素子及び加算器と、前記電圧に関するデジタル信号から前記加算器の加算結果を減算するための減算器と、前記減算器の減算結果に対して前記力係数のデジタル信号に対応した係数を乗算し、その乗算結果を前記振動速度として出力する第2係数可変乗算器とを備えるため、後退差分法によって離散化近似したデジタル信号処理手段を構成することができる。そして、本発明のデジタル信号処理手段を用いることにより、反共振周波数付近で超音波振動子を駆動したときの動作に対応したデジタル信号処理が行われるため、反共振周波数付近での放射面の振動速度をより正確に求めることができる。
振動速度を求める手法としては、上記の後退差分法以外に、前進差分法や、双一次変換にて離散化する手法を挙げることができるが、請求項1や請求項2のように後退差分法を用いる場合には、演算処理が比較的容易となり、振動速度を迅速に求めることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1または2において、前記変換手段におけるサンプリング周波数を、前記超音波振動子の駆動周波数の2倍以上に設定したことをその要旨とする。
請求項に記載の発明によると、超音波振動子の駆動周波数(共振周波数付近または反共振周波数付近)の2倍以上にサンプリング周波数を設定することにより、放射面の振動速度を確実に求めることができる。
以上詳述したように、請求項1〜に記載の発明によると、超音波振動子の放射面における振動速度を音響負荷の有無にかかわらず低コストで正確に検出することができる。
第1の実施の形態の超音波発生装置の概略構成を示すブロック図。 第1の実施の形態のデジタル信号処理部を示すブロック図。 サンプリング周波数が駆動周波数の2倍である場合の振動速度の演算結果を示すタイミングチャート。 サンプリング周波数が駆動周波数の5倍である場合の振動速度の演算結果を示すタイミングチャート。 サンプリング周波数が駆動周波数の10倍である場合の振動速度の演算結果を示すタイミングチャート。 サンプリング周波数が駆動周波数の20倍である場合の振動速度の演算結果を示すタイミングチャート。 第2の実施の形態のデジタル信号処理部を示すブロック図。
[第1の実施の形態]
以下、本発明を超音波発生装置に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施の形態の超音波発生装置1は、超音波発振器2と、超音波振動子3と、超音波発振器2と超音波振動子3との間に設けられる振動速度検出装置4と、デジタル入力装置5とを備える。超音波発生装置1は、例えば超音波洗浄を行うために用いられる。
超音波発振器2は、振動速度検出装置4を介して超音波振動子3に接続され、超音波振動子3を駆動するための27.8kHzの駆動信号を出力する。超音波振動子3は、例えばボルト締めランジュバン型振動子であり、縦振動モードで機械振動して超音波を放出する放射面7を有する。本実施の形態では、縦振動モードにおける超音波振動子3の共振周波数は27.8kHzである。超音波振動子3は、超音波発振器2から出力される駆動信号によって機械振動することで、音響負荷となる洗浄液W1に超音波を放射する。
振動速度検出装置4は、電圧検出器11、電流検出器12、低域通過フィルタ13,14,15、A/D変換器16,17、デジタル信号処理部18、D/A変換器19、デジタル表示器20、及びアナログ表示器21を備えている。また、振動速度検出装置4には、一対の入力端子23a,23b及び一対の出力端子24a,24bが設けられおり、各入力端子23a,23bは超音波発振器2に接続されるとともに、各出力端子24a,24bは超音波振動子3の電気端子25a,25bに接続されている。振動速度検出装置4において、一方の入力端子23aと一方の出力端子24aとが内部配線及び電流検出器12を介して接続され、他方の入力端子23bと他方の出力端子24bとが内部配線を介して接続されている。超音波発振器2から出力された駆動信号は、振動速度検出装置4における入力端子23a,23b及び出力端子24a,24bを介して超音波振動子3に供給されるようになっている。
検出手段としての電圧検出器11は、各出力端子24a,24bを介して超音波振動子3の各電気端子25a,25bに並列に接続されている。電圧検出器11は、例えば抵抗分圧回路にて構成されており、超音波振動子3の電気端子25a,25bにおける電圧e(t)を、電圧検出器11によるアナログ信号電圧x(t)=e(t)/αとして検出する。なお、αは定数である。
検出手段としての電流検出器12は、一方の出力端子24aを介して超音波振動子3の電気端子25aに直列に接続されている。電流検出器12は例えばカレント・トランス(CT)またはシャント抵抗などにて構成されており、超音波振動子3の電気端子25aにおける電流i(t)を、電流検出器12によるアナログ信号電圧x(t)=i(t)/βとして検出する。なお、βは定数である。
電圧検出器11は、低域通過フィルタ13を介してA/D変換器16(変換手段)に接続され、A/D変換器16はデジタル信号処理部18に接続されている。電圧検出器11から出力されるアナログ信号電圧x(t)が低域通過フィルタ13を通ることで、アナログ信号電圧x(t)にて不要な高周波成分が除去される。その後、A/D変換器16では、サンプリング周期T毎にアナログ信号電圧x(t)が量子化されてデジタル信号x(n)に変換される。そして、変換後のデジタル信号x(n)がデジタル信号処理部18(デジタル信号処理手段)に入力される。
電流検出器12は、低域通過フィルタ14を介してA/D変換器17(変換手段)に接続され、A/D変換器17はデジタル信号処理部18に接続されている。電流検出器12から出力されるアナログ信号電圧x(t)が低域通過フィルタ14を通ることで、アナログ信号電圧x(t)にて不要な高周波成分が除去される。その後、A/D変換器17では、サンプリング周期T毎にアナログ信号電圧x(t)が量子化されてデジタル信号x(n)に変換される。そして、変換後のデジタル信号x(n)がデジタル信号処理部18に入力される。
なお、超音波振動子3の駆動周波数(本実施の形態では共振周波数)をfとするとき、サンプリング周期Tは、T<1/(2f)の関係を保つように設定されている。つまり、A/D変換器16,17におけるサンプリング周波数fが、超音波振動子3の駆動周波数fの2倍以上(f>2f)となるように設定されている。
振動速度検出装置4には、入力手段としての2つの外部入力端子27a,27bが設けられており、各外部入力端子27a,27bは、デジタル入力装置5に接続されている。作業者がデジタル入力装置5を操作することにより、超音波振動子3の制動容量C及び力係数Aのデジタル信号が外部入力端子27a,27bを介してデジタル信号処理部18に入力される。なお、力係数Aは、共振周波数(A形共振周波数)で機械振動させたとき、電気端子25a,25bの印加電圧と超音波振動子3の放射面7(機械端子)に発生する駆動力との比でありA形力係数と呼ばれる。また、制動容量C及び力係数Aは、製品出荷時にて事前に測定された超音波振動子3固有の値である。制動容量C及び力係数Aは、製品使用直前または使用時に測定した値を用いてもよい。
デジタル信号処理部18は、電気音響変換の基本式に基づく演算を実装したシステムであり、本実施の形態では、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)によって実現される。具体的には、超音波振動子3が共振周波数(A形共振周波数)付近で振動する場合、連続時間領域での振動速度の検出値y(t)は、次式(1)にて示すことができる。
Figure 0006721233
デジタル信号処理部18は、上式(1)に示す振動速度の検出値y(t)を後退差分法に基づき離散化近似して振動速度を算出し、デジタル信号y(n)として出力する。具体的には、本実施の形態のデジタル信号処理部18は、超音波振動子3の電気端子25a,25bにおける電圧e(t)及び電流i(t)に対応したデジタル信号x(n),x(n)と、制動容量C及び力係数Aのデジタル信号とを用いて、超音波振動子3の放射面7における振動速度のデジタル信号y(n)を算出する。以下、本実施の形態のデジタル信号処理部18における信号処理について詳述する。
図2に示されるように、デジタル信号処理部18は、遅延素子31、第1減算器32、第1係数可変乗算器33、係数乗算器34、第2減算器35、第2係数可変乗算器36を備える。デジタル信号処理部18において、電圧検出器11で検出された電圧e(t)のデジタル信号x(n)が第1減算器32に入力されるとともに、遅延素子31にて遅延されたデジタル信号x(n−1)が第1減算器32に入力される。第1減算器32は、デジタル信号x(n)に対して遅延されたデジタル信号x(n−1)を減算し、その減算結果を第1係数可変乗算器33に入力する。遅延素子31及び第1減算器32は、電圧e(t)に関するデジタル信号x(n)を微分処理するための微分器として機能する。第1係数可変乗算器33には、外部入力端子27aから制動容量Cのデジタル信号が入力される。第1係数可変乗算器33は、第1減算器32の減算結果に対して制動容量Cのデジタル信号に対応した係数α*C/Tを乗算した後、その乗算結果を第2減算器35に入力する。
一方、電流検出器12で検出された電流i(t)のデジタル信号x(n)が係数乗算器34に入力される。係数乗算器34は、デジタル信号x(n)に係数βを乗算した後、その乗算結果を第2減算器35に入力する。第2減算器35では、係数乗算器34の減算結果(電流i(t)に関するデジタル信号)から第1係数可変乗算器33の乗算結果を減算し、その減算結果を第2係数可変乗算器36に入力する。第2係数可変乗算器36には、外部入力端子27bから力係数Aのデジタル信号が入力される。第2係数可変乗算器36は、第2減算器35の減算結果に対して力係数Aのデジタル信号に対応した係数1/Aを乗算した後、その乗算結果を振動速度のデジタル信号y(n)として出力する。
図1に示されるように、デジタル信号処理部18から出力される振動速度のデジタル信号y(n)は、デジタル信号用の出力端子28から装置外部に出力される。また、振動速度のデジタル信号y(n)は、デジタル表示器20に取り込まれ、振動速度の検出値がデジタル表示される。なお、デジタル表示器20としては、液晶ディスプレイ(LCD)や蛍光表示管(VFD)などの表示器が用いられる。
さらに、振動速度のデジタル信号y(n)は、D/A変換器19によりデジタル信号からアナログ信号に変換される。そして、低域通過フィルタ15を通ることでアナログ信号の高周波成分が除去された後、振動速度のアナログ信号としてアナログ信号用の出力端子29から装置外部に出力される。また、低域通過フィルタ15を通過したアナログ信号は、アナログ表示器21に入力され、メータなどを用いて振動速度の検出値がアナログ表示される。
本願発明者は、本実施の形態の振動速度検出装置4において、A/D変換器16,17のサンプリング周波数fを超音波振動子3の駆動周波数fの2倍、5倍、10倍、20倍の周波数に変更し、得られる振動速度をシミュレーションにて確認した。その結果を図3〜図6に示している。図3は、サンプリング周波数fを駆動周波数fの2倍にした場合のシミュレーション結果を示し、図4は、サンプリング周波数fを駆動周波数fの5倍にした場合のシミュレーション結果を示す。また、図5は、サンプリング周波数fを駆動周波数fの10倍にした場合のシミュレーション結果を示し、図6は、サンプリング周波数fを駆動周波数fの20倍にした場合のシミュレーション結果を示している。なお、図3〜図6では、上段に示す電圧の波形及び中段に示す電流の波形に基づいて算出される振動速度の理論値を下段にて点線で示している。そして、各サンプリング周波数fに応じた振動速度のシミュレーション結果を下段にて実線で示している。図3〜図6に示されるように、サンプリング周波数fを駆動周波数fの2倍にした場合では、振動速度の理論値に対してズレが生じているが、駆動周波数foの5倍、10倍、20倍にサンプリング周波数fを高めることにより、振動速度をより正確に検出できることを確認することができた。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態の超音波発生装置1では、超音波発振器2と超音波振動子3との間に振動速度検出装置4を設けることにより、超音波振動子3の放射面7に音響負荷が加わった状態でも振動速度を容易に測定することができる。従って、超音波発生装置1の使用現場において、超音波振動子3の放射面7における振動速度をリアルタイムで検出、モニタリングすることができる。また、本実施の形態の振動速度検出装置4では電気音響変換の基本式を演算に用いているので、光を用いるフォトニクスセンサやレーザードップラー振動計と比較して低コストで放射面7の振動速度を検出することができる。さらに、振動速度検出装置4では、超音波振動子3の電気端子25a,25bにおける電圧e(t)及び電流i(t)に加えて、制動容量C及び力係数Aを用いて放射面7の振動速度が算出されるので、従来技術と比較して振動速度を正確に求めることができる。また、特性の異なる超音波振動子3を測定する場合でも、その超音波振動子3の制動容量C及び力係数Aを外部入力端子27a,27bから入力することにより、放射面7の振動速度を正確に求めることができる。この場合、超音波振動子3のインピーダンスに応じて回路変更を行う必要がなく、簡単かつ低コストで放射面7の振動速度を求めることができる。
(2)本実施の形態のデジタル信号処理部18では、遅延素子31、減算器32,35、係数乗算器33,34,36を用いたデジタル信号処理が行われるので、アナログ回路で構成する場合と比較して、回路素子の温度変化や経年変化による特性変化の影響が少ない。このため、振動速度を求める際の再現性や安定性が高くなり、振動速度を正確に求めることができる。また、アナログ回路で構成すると、回路素子数が膨大となるが、本実施の形態では、デジタルシグナルプロセッサのソフトウエアにてデジタル信号処理部18を構成しているため、振動速度検出装置4の小型化や低コスト化を図ることができる。
(3)本実施の形態の超音波発振器2は、縦振動モードにおける共振周波数付近で超音波振動子3を機械振動させる発振器であり、振動速度検出装置4の外部入力端子27bには共振周波数での力係数Aのデジタル信号が入力される。また、デジタル信号処理部18は、上式(1)に示される振動速度の検出値y(t)を後退差分法に基づき離散化近似して算出する処理手段であり、算出した振動速度をデジタル信号y(n)として出力している。本実施の形態のデジタル信号処理部18を用いることにより、共振周波数付近で超音波振動子3を駆動したときの動作に対応したデジタル信号処理が行われるため、共振周波数付近での放射面7の振動速度をより正確に求めることができる。
(4)本実施の形態の超音波発生装置1では、A/D変換器16,17のサンプリング周波数fを超音波振動子3の駆動周波数f(共振周波数)の2倍以上に設定しているので、超音波振動子3の放射面7の振動速度を求めることができる。特に、サンプリング周波数fを超音波振動子3の駆動周波数fの5倍以上とすると、超音波振動子3の放射面7の振動速度をより正確に求めることができる。
(5)本実施の形態では、超音波発生装置1の稼働時において、振動速度がデジタル表示器20及びアナログ表示器21にリアルタイムで表示されるので、振動速度に応じた超音波振動子3の異常を監視することにより、超音波振動子3の故障を未然に防ぐことができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図7に基づき説明する。上記第1の実施の形態の超音波発生装置1では、超音波振動子3を共振周波数(A形共振周波数)付近で駆動していたが、本実施の形態では、超音波振動子3を反共振周波数(B形共振周波数)付近で駆動させる点が第1の実施の形態と異なる。具体的には、デジタル信号処理部18の構成、及び力係数Aの値が上記第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
超音波振動子3が反共振周波数付近で振動する場合、連続時間領域での振動速度の検出値y(t)は、次式(2)にて示すことができる。
Figure 0006721233
本実施の形態のデジタル信号処理部18は、上式(2)に示す振動速度の検出値y(t)を後退差分法に基づき離散化近似して振動速度を算出し、デジタル信号y(n)として出力する。
図7に示されるように、本実施の形態のデジタル信号処理部18は、係数乗算器41、第1係数可変乗算器42、遅延素子43、加算器44、減算器45、第2係数可変乗算器46を備える。デジタル信号処理部18は、超音波振動子3の電気端子25a,25bにおける電圧e(t)及び電流i(t)に対応したデジタル信号x(n),x(n)と、制動容量C及び力係数Aのデジタル信号とを用いて、超音波振動子3の放射面7における振動速度y(n)を算出する。本実施の形態における力係数Aは、反共振周波数(B形共振周波数)で機械振動させたとき、電気端子25a,25bに流れる電流と超音波振動子3の放射面7(機械端子)に発生する駆動力との比でありB形力係数と呼ばれる。
デジタル信号処理部18において、電圧検出器11で検出された電圧e(t)のデジタル信号x(n)が係数乗算器41に入力される。係数乗算器41は、デジタル信号x(n)に対して係数αを乗算した後、その乗算結果を減算器45に入力する。また、電流検出器12で検出された電流i(t)のデジタル信号x(n)が第1係数可変乗算器42に入力されるとともに、外部入力端子27aから第1係数可変乗算器42に制動容量Cのデジタル信号が入力される。第1係数可変乗算器42は、電流i(t)に関するデジタル信号x(n)に対して制動容量Cのデジタル信号に対応した係数β*T/Cを乗算した後、その乗算結果を加算器44に入力する。加算器44には、その加算器44の出力を遅延素子43にて遅延させた遅延信号が入力される。加算器44は、係数可変乗算器42の乗算結果に遅延信号を加算した後、加算結果を減算器45に入力する。遅延素子43及び加算器44は、第1係数可変乗算器42の乗算結果を積分処理するための積分器として機能する。
減算器45は、係数乗算器41の乗算結果(電圧e(t)に関するデジタル信号)から加算器44の加算結果を減算した後、その減算結果を第2係数可変乗算器46に入力する。第2係数可変乗算器46には外部入力端子27bから力係数Aのデジタル信号が入力される。第2係数可変乗算器46は、減算器45の減算結果に対して力係数Aのデジタル信号に対応した係数1/Aを乗算した後、その乗算結果を振動速度のデジタル信号y(n)として出力する。
本実施の形態のデジタル信号処理部18を用いる場合でも、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態のデジタル信号処理部18において、反共振周波数(B形共振周波数)動作時の力係数A(B形力係数)のデジタル信号が入力され、上式(2)に基づいて、反共振周波数付近で超音波振動子3を駆動したときの動作に対応したデジタル信号処理が行われる。このため、反共振周波数付近での放射面7の振動速度をより正確に求めることができる。
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施の形態の超音波発生装置1では、振動速度検出装置4により超音波振動子3の振動速度を監視して異常を防止するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、振動速度検出装置4の検出結果に応じて図示しない制御装置により超音波発振器2の出力を制御して、超音波振動子3の振動速度を一定速度に保つように構成してもよい。このようにすると、超音波を利用した処理をバラツキなく確実に行うことができ、製造品質等を良好に保つことができる。
・上記実施の形態では、超音波振動子3としてボルト締めランジュバン型振動子を用いていたが、ソリッド型振動子などの他の超音波振動子を用いてもよい。また、超音波振動子3を駆動する振動モードとしては、縦振動以外に縦効果厚み振動、横効果伸び振動、滑り振動、径方向振動、たわみ振動、ねじり振動などの振動モードであってもよい。
・上記実施の形態の振動速度検出装置4において、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)によってデジタル信号処理部18を実現するものであったが、これ以外に中央処理装置(CPU)によるソフトウエア(プログラミング)によって実現してもよい。さらに、集積回路(LSI、FPGAなど)や、ゲートアレイなどのハードウエアによってデジタル信号処理部18を構成してもよい。
・上記各実施の形態の振動速度検出装置4では、予め測定した制動容量Cや力係数A,Aのデジタル信号を外部入力端子27a,27bから入力するように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、振動速度検出装置4の内部に制動容量Cや力係数A,Aのデジタル値を予め記憶するメモリを入力手段として備え、そのメモリから読みだした制動容量Cや力係数A,Aのデジタル信号をデジタル信号処理部18に入力するように構成してもよい。また例えば、使用環境によっては超音波振動子3の周囲の温度変化が大きくなることがある。この場合には、その温度変化によって制動容量Cが変動するため、振動速度検出装置4の内部または外部に、制動容量Cを測定するための容量計を新たに設ける。そして、容量計で測定した制動容量Cのデジタル信号をデジタル信号処理部18に入力するように構成してもよい。このように、制動容量Cを定期的に測定して入力更新することにより、振動速度をより正確に検出することができる。
・上記実施の形態では、振動速度検出装置4にデジタル表示器20及びアナログ表示器21を備えていたが、いずれか一方の表示器を備えるように構成してもよい。さらに、振動速度検出装置4内には表示器を設けずに、振動速度検出装置4の外部に設けた表示器に、振動速度の演算結果を表示するように構成してもよい。
・上記実施の形態では、超音波洗浄を行う超音波発生装置1に振動速度検出装置4が設けられていたが、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、乳化、分散、化学反応促進、塑性加工、切削加工、プラスチック接合、金属接合などに利用される超音波発生装置に本発明の振動速度検出装置4を設けてもよい。また、上記実施の形態の超音波発生装置1では、1つの超音波振動子3を備えていたが、超音波処理装置や超音波洗浄装置には、複数の超音波振動子3を備える場合もある。このような場合、複数の超音波振動子3に対して1つの振動速度検出装置4を接続し、複数の超音波振動子3の平均的な振動速度を検出するように超音波発生装置1を構成してもよいし、複数の超音波振動子3の1つずつに振動速度検出装置4を設け、各超音波振動子3の振動速度を個別に検出するように超音波発生装置1を構成してもよい。またこの場合、スイッチ回路を設けて接続経路を切り替えることで、1つの振動速度検出装置4によって複数の超音波振動子3の振動速度を選択的に検出できるように超音波発生装置1を構成してもよい。
・上記各実施の形態の振動速度検出装置4において、装置内部または装置外部に、積分器や微分器をさらに設け、デジタル信号処理部18から出力される振動速度に対して積分処理や微分処理を施すことにより、超音波振動子3の振動変位や振動加速度の情報を得るように構成してもよい。
・上記各実施の形態の振動速度検出装置4では、デジタル信号処理部18において、後退差分法にて離散化近似して振動速度を求めるものであったが、前進差分法や双一次変換により離散化近似して振動速度を求めるように構成してもよい。
・上記各実施の形態の超音波発生装置1では、超音波発振器2と超音波振動子3との間に振動速度検出装置4を設けていたが、これに限定されるものではない。例えば、超音波発振器2において、超音波の駆動信号を出力する出力端子の部分に振動速度検出装置4を内蔵させてもよい。さらに、超音波振動子3の電気端子25a,25bの部分に振動速度検出装置4を実装した超音波トランスデューサを用いて超音波発生装置を構成してもよい。なおこの場合、振動速度検出装置4に、振動速度の算出結果を通信にて出力するための通信手段を設けてもよいし、その通信手段を用いて制動容量Cや力係数A,Aのデジタル信号を入力するように構成してもよい。このように通信手段を振動速度検出装置4に設けることにより、IoT(Internet of Things)のセンサとして超音波振動子3を用いることが可能となる。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項7において、前記変換手段におけるサンプリング周波数を、前記超音波振動子の駆動周波数の5倍以上に設定したことを特徴とする振動速度検出装置。
(2)請求項4において、前記デジタル信号処理手段は、後退差分法にて離散化して前記振動速度を求めることを特徴とする振動速度検出装置。
(3)請求項4において、前記デジタル信号処理手段は、前進差分法にて離散化して前記振動速度を求めることを特徴とする振動速度検出装置。
(4)請求項4において、前記デジタル信号処理手段は、双一次変換にて離散化して前記振動速度を求めることを特徴とする振動速度検出装置。
(5)請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記デジタル信号処理手段の出力信号を積分する積分器を備えることを特徴とする振動速度検出装置。
(6)請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記デジタル信号処理手段の出力信号を微分する微分器を備えることを特徴とする振動速度検出装置。
(7)請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記デジタル信号処理手段が算出した前記振動速度の算出結果を表示する表示器を備えたことを特徴とする振動速度検出装置。
(8)請求項1乃至7のいずれかにおいて、前記デジタル信号処理手段が算出した前記振動速度の算出結果を通信にて出力するための通信手段を備えたことを特徴とする振動速度検出装置。
(9)請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動速度検出装置を内蔵したことを特徴とする超音波発振器。
(10)請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動速度検出装置と前記超音波振動子とを備えることを特徴とする超音波トランスデューサ。
1…超音波発生装置
2…超音波発振器
3…超音波振動子
4…振動速度検出装置
7…放射面
11…検出手段としての電圧検出器
12…検出手段としての電流検出器
16,17…変換手段としてのA/D変換器
18…デジタル信号処理手段としてのデジタル信号処理部
27a,27b…入力手段としての外部入力端子
31,43…遅延素子
32…第1減算器
33,42…第1係数可変乗算器
35…第2減算器
36,46…第2係数可変乗算器
44…加算器
45…減算器
…共振周波数(A形共振周波数)動作時のA形力係数
…反共振周波数(B形共振周波数)動作時のB形力係数
…制動容量

Claims (3)

  1. 所定の振動モードで振動して超音波を放射する放射面を有する超音波振動子と、前記超音波振動子を前記振動モードにおける共振周波数付近で機械振動させるための超音波発振器とを備え、前記放射面から前記超音波を放射して所定の処理を行う超音波発生装置において、前記超音波振動子と前記超音波発振器との間に設けられる振動速度検出装置であって、
    前記超音波振動子の制動容量、及び前記振動モードでの前記放射面における力係数を示すデジタル信号としての前記共振周波数動作時の前記力係数のデジタル信号を入力する入力手段と、
    前記超音波振動子の電気端子に接続され、前記電気端子における電圧及び電流をアナログ信号として検出する検出手段と、
    前記検出手段が検出した前記電圧及び前記電流に関するアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
    前記制動容量、前記力係数、前記電圧及び前記電流のデジタル信号を用いて、電気音響変換の基本式に基づく演算を行い、前記超音波振動子の前記放射面における振動速度を算出するデジタル信号処理手段と
    を備え
    前記デジタル信号処理手段は、
    前記電圧に関するデジタル信号を微分処理するための遅延素子及び第1減算器と、
    前記第1減算器の減算結果に対して前記制動容量のデジタル信号に対応した係数を乗算するための第1係数可変乗算器と、
    前記電流に関するデジタル信号から前記第1係数可変乗算器の乗算結果を減算するための第2減算器と、
    前記第2減算器の減算結果に対して前記力係数のデジタル信号に対応した係数を乗算し、その乗算結果を前記振動速度として出力する第2係数可変乗算器と
    を備える
    ことを特徴とする振動速度検出装置。
  2. 所定の振動モードで振動して超音波を放射する放射面を有する超音波振動子と、前記超音波振動子を前記振動モードにおける反共振周波数付近で機械振動させるための超音波発振器とを備え、前記放射面から前記超音波を放射して所定の処理を行う超音波発生装置において、前記超音波振動子と前記超音波発振器との間に設けられる振動速度検出装置であって、
    前記超音波振動子の制動容量、及び前記振動モードでの前記放射面における力係数を示すデジタル信号としての前記反共振周波数動作時の前記力係数のデジタル信号を入力する入力手段と、
    前記超音波振動子の電気端子に接続され、前記電気端子における電圧及び電流をアナログ信号として検出する検出手段と、
    前記検出手段が検出した前記電圧及び前記電流に関するアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、
    前記制動容量、前記力係数、前記電圧及び前記電流のデジタル信号を用いて、電気音響変換の基本式に基づく演算を行い、前記超音波振動子の前記放射面における振動速度を算出するデジタル信号処理手段と
    を備え、
    前記デジタル信号処理手段は、
    前記電流に関するデジタル信号に対して前記制動容量のデジタル信号に対応した係数を乗算するための第1係数可変乗算器と、
    前記第1係数可変乗算器の乗算結果を積分処理するための遅延素子及び加算器と、
    前記電圧に関するデジタル信号から前記加算器の加算結果を減算するための減算器と、
    前記減算器の減算結果に対して前記力係数のデジタル信号に対応した係数を乗算し、その乗算結果を前記振動速度として出力する第2係数可変乗算器と
    を備える
    ことを特徴とする振動速度検出装置。
  3. 前記変換手段におけるサンプリング周波数を、前記超音波振動子の駆動周波数の2倍以上に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の振動速度検出装置。
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