以下、本発明に係る列車在線検知装置の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る列車在線検知装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、列車在線検知装置1は、情報の入力を受け付ける入力受付部2、各種の情報を取得する情報取得部3、情報取得部3で取得した情報に基づいて、環状に形成されている第1の線区である環状線区L1内において指定される指定区間を判別する指定区間判別部4、指定区間判別部4で判別された指定区間に列車20が在線しているかを判断する在線判断部5、列車20が指定区間に接近しているかを判断する接近判断部6、環状線区L1内を走行する列車20を制御するための列車制御情報を生成する列車制御部7、列車20が走行する経路の情報である経路情報を記憶する線路データベース8を備えている。尚、本実施の形態では、列車在線検知装置1は、列車20と地上無線装置9を介して無線通信を行う地上装置10によって構成される場合を例に説明するが、本発明の列車在線検知装置1は、この形態に限定されるものではなく、後述するように列車20が備える車上装置21、または、地上装置10と車上装置21とを含めた構成としても良い。
入力受付部2は、例えば、操作者が入力した情報を受け付けるためのものでる。入力受付部2は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成されており、操作者によって種々の情報および操作指令等の入力が行われる。この入力受付部2では、環状線区L1内において指定区間を指定するために、指定区間の両端に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、環状線区L1内の特定の位置を示す仮想ブロックVBが指定区間に含まれているか否かを示す仮想ブロック有無情報の入力を受け付ける。入力受付部2は、入力を受け付けた第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を情報取得部3へ出力する。尚、指定区間は、例えば、列車20を臨時の制限速度に減速させる必要がある区間である臨時速度制限区間や列車20の進入を禁止させる必要がある区間である列車防護区間等である。
図2は、環状に形成されている第1の線区に設定されるブロックおよび仮想ブロックの一例を示す図である。図3は、図2に示す環状に形成されている第1の線区を一次元状に表した状態を示す図である。図4は、仮想ブロックを含んでいる側が指定区間である場合の一例を示す図である。図2および図3では、環状線区L1に設定される複数に分割されているブロック[B1001]〜[B1010]および仮想ブロックVBが示されている。このようなブロック[B1001]〜[B1010]および仮想ブロックVBの情報は、例えば、線路データベース8に記憶される。図2において、環状線区L1上の各ブロック[B1001]〜[B1010]の基準点に付した吹き出し内の数字は、各ブロック[B1001]〜[B1010]の基準点におけるキロ程を示している。第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報は、例えば、ブロック番号とブロック内位置とで表現される。第1の端点P1の位置情報(キロ程)は、例えば、図4に示すように、ブロック[B1003]の基準点であるキロ程(座標値)の200にブロック[B1003]のブロック内位置の座標値の40を加えた240として表される。また、第2の端点P2の位置情報(キロ程)は、ブロック[B1009]の基準である座標値の800にブロック[B1009]のブロック内位置の座標値の0を加えた800として表される。尚、図2では、列車20の走行方向が時計回りである場合には座標値が減少し、列車20の走行方向が反時計回りである場合には座標値が増加するように設定されている場合の例を示している。また、図2において、各ブロック[B1001]〜[B1010]の長さはすべて「100」であるため、ブロック[B1001]では座標値は0から100であり、ブロック[B1002]では座標値は100から200であり、ブロック[B1003]では座標値は200から300であり、ブロック[B1004]では座標値は300から400であり、ブロック[B1005]では座標値は400から500であり、ブロック[B1006]では座標値は500から600であり、ブロック[B1007]では座標値は600から700であり、ブロック[B1008]では座標値は700から800であり、ブロック[B1009]では座標値は800から900であり、ブロック[B1010]では座標値は900から0である例を示しており、ブロック終端の座標は隣接ブロック始端の座標と同じ位置を示している。尚、ブロックの設定の仕方は、これに限定されるものではない。また、図2においては、列車20の走行方向が時計回りである場合には座標値が減少し、列車20の走行方向が反時計回りである場合には座標値が増加するように設定しているが、これに限定されるものではなく、列車20の走行方向が時計回りである場合には座標値が増加し、列車20の走行方向が反時計回りである場合には座標値が減少するように設定されていてもよい。
仮想ブロックVBは、環状線区L1内の特定の位置を示す点である。仮想ブロックVBは、例えば、環状線区L1内の予め定められた固定位置を示しており、本実施形態では、図2に示すように、環状線区L1の始点と終点との接続点であるキロ程が0の位置に仮想ブロックVBが設定されている。尚、仮想ブロックVBが設定される位置は、環状線区L1の始点と終点との接続点に限定されるものではなく、予め位置情報が分かっていれば、環状線区L1内の任意の位置に設定することができる。また、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報は、仮想ブロックVBの座標値に指定されないものとする。つまり、第1の端点P1、第2の端点P2、および仮想ブロックVBは、いずれも異なる座標値となるように設定される。第1の端点P1または第2の端点P2のいずれかを仮想ブロックVBの座標値に指定したい場合には、余裕を見込んで、仮想ブロックVBが指定区間に含まれるように第1の端点P1または第2の端点P2の位置情報を指定するようにすれば良い。また、仮想ブロック有無情報は、図2に示す第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のうち、指定された指定区間に、仮想ブロックが含まれているか否かを示す情報である。
情報取得部3は、図1に示すように、入力受付部2で受け付けた入力情報である第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得する。情報取得部3は、取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を指定区間判別部4に出力する。また、情報取得部3は、線路データベース8から列車20が走行する経路を示す経路情報を取得する。情報取得部3は、例えば、取得した経路情報を接近判断部6に出力する。経路情報は、列車20の走行区間に関する情報および列車20の走行方向(時計回り方向または反時計回り方向)に関する情報を含んでおり、例えば、ブロック番号で表される。図3に示す経路情報の一例である経路R1011は、ブロック[B1001]、[B1002]、[B1003]の順(反時計回り方向)に列車20が走行する経路情報を表している。また、本実施形態では、線路データベース8を地上装置10に設けている例を示しているが、地上装置10の外部に設けるようにしても良い。また、情報取得部3は、列車20から車上無線装置22および地上無線装置9を介して列車20の在線位置情報を取得する。情報取得部3は、取得した列車20の在線位置情報を在線判断部5に出力する。尚、図1では、1台の列車20のみを示しているが、実際には環状線区L1を走行する列車20は複数あり、情報取得部3では、各列車20を識別するための列車IDと共に、それぞれの列車20から在線位置情報を取得する。また、本実施の形態では、情報取得部3は、地上無線装置9を介して列車20からの情報を取得する例を示しているが、この形態に限定されるものではなく、有線回線を用いて情報を取得するように構成されていても良い。
指定区間判別部4は、情報取得部3で取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とに基づいて、第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別するものである。指定区間は、指定区間の両端の位置を示す第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報だけでは、図2に示すように、第1の区間A1なのか第2の区間A2なのか判断できないため、本発明に係る列車在線検知装置1では、指定区間に仮想ブロックVBが含まれているか否かを示す情報である仮想ブロック有無情報を用いている。これにより、指定区間判断部4では、例えば、仮想ブロック有無情報として指定区間は仮想ブロックVBを含んでいるという情報を取得した場合には、図4に示すように、仮想ブロックVBを含んでいる側である第1の区間A1が指定区間であると判断する。図5は、仮想ブロックを含んでいない側が指定区間である場合の一例を示す図である。仮想ブロック有無情報として指定区間は仮想ブロックVBを含んでいないという情報を取得した場合には、指定区間判断部4は、図5に示すように、仮想ブロックVBを含んでいない側である第2の区間A2が指定区間であると判断する。図6は、図4に示す指定区間のブロック列の一例を示す図である。また、図7は、図5に示す指定区間のブロック列の一例を示す図である。指定区間判別部4では、指定区間を判別すると、図6および図7に示すように、第1の端点P1および第2の端点P2の2点間(指定区間)のブロック列を生成する。
在線判断部5は、指定区間判別部4で判別された指定区間に環状線区L1内を走行する列車20が在線しているか否かを判断するものである。在線判断部5では、情報取得部3で取得した列車20の在線位置情報と指定区間判別部4で判別された指定区間の情報に基づいて、列車20が指定区間に在線しているかを判断する。
在線位置情報は、環状線区L1内における列車20の位置の情報であり、例えば、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と同様にブロック番号とブロック内位置とで表現される。詳しくは図示しないが、例えば、列車20が環状線区L1に設定される各ブロック[B1001]〜[B1010]の始端に設置された地上子を通過した際に、列車20内の車上子では地上子情報を検知する。この地上子情報は、列車20が備える車上装置21において車上子情報として受信される。車上装置21では、この車上子情報によって地上子の位置を検知し、地上子の絶対位置を基準位置とし、例えば、車軸に取り付けられた速度発電機が検出する速度情報に基づいて、基準位置からの走行距離を算出することにより、ブロック内における列車20の位置であるブロック内位置を求める。これにより、車上装置21は、自身の列車20の在線位置情報を求めることができる。尚、地上子は、各ブロック[B1001]〜[B1010]の始端に設置される場合に限定されるものではなく、一定距離間隔、あるいは複数ブロックに1個設置される場合もあり、ブロックの始端以外の位置に設置される場合もある。また、列車20の在線位置情報を求める方法は、これに限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
車上装置21は、例えば、自身の列車20を識別するための列車IDの情報に列車20の在線位置情報と列車20の走行方向の情報とを付与して、車上無線装置22に出力する。車上無線装置22は、車上装置21から受け取った列車20の在線位置情報等の情報を地上無線装置9へ送信する。地上無線装置9では、車上無線装置22から受信した列車20の在線位置情報等の情報を列車在線検知装置1(地上装置10)の情報取得部3へ送信する。これにより、情報取得部3は、列車20から地上無線装置9を介して在線位置情報を取得する。尚、列車20には、地上子情報を検知する車上子が先頭車両と後尾車両の両方に設けておくことにより、列車20の先端位置および後端位置を求めることができる。また、列車20の先頭車両または後尾車両の一方に車上子を設けておくことにより、列車20の先端位置または後端位置の一方を求め、列車長を用いて演算を行うことにより、他方の先端位置または後端位置を求めるようにしても良い。
在線判断部5では、例えば、図4に示すように、指定区間判別部4が、図2に示す第1の区間A1が指定区間であると判別した場合には、指定区間(第1の区間A1)のブロック列に列車20の在線位置(キロ程)が含まれているか否かを判定することによって、列車20が指定区間に在線しているかを判断する。より具体的には、在線判断部5は、列車20の先端位置または後端位置のキロ程のいずれかが、指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であるかを判定し、列車20の先端位置または後端位置のキロ程のいずれかが、指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であると判定した場合には、列車20は指定区間A1に在線していると判断する。
接近判断部6は、在線判断部5が指定区間に列車20が在線してないと判断した場合に、列車20から列車20の走行方向において第1の端点P1および第2の端点P2のうち、列車20に近い側の端点である始端点までの距離が特定の範囲内にあるか否かを判断するものである。列車20は、指定区間に在線していない場合でも、指定区間が臨時速度制限区間や列車防護区間である場合には、列車20が指定区間に接近した際に走行速度を減速させたり、または、停止させたりする必要がある場合がある。そのため、接近判断部6では、列車20が指定区間に接近していないかを判断する。
接近判断部6では、例えば、列車20から走行方向において列車20に近い側の指定区間の端点である始端点までの距離が特定の範囲内にあるか否かの判断を、列車20が走行する経路を示す経路情報に基づいて行う。接近判断部6は、経路情報が示す列車20が走行する経路内に指定区間の始端点が含まれるか否かを判断し、列車20が走行する経路内に指定区間の始端点が含まれる場合には、列車20は指定区間に接近していると判断する。例えば、図4に示すように、列車20bは、指定区間A1に在線していない。しかしながら、列車20bは、ブロック[B1004]に在線しており、列車20bが走行する経路情報は、経路R1018であり、ブロック[B1005]の終端の位置のキロ程(500)から時計回り方向にブロック[B1003]の始端の位置のキロ程(200)までの走行経路を示している。そのため、接近判断部6は、列車20bの経路R1018が指定区間A1の始端点である第1の端点P1(キロ程が240)を含むと判断し、列車20bは指定区間に接近していると判断されることになる。一方で、列車20cは、ブロック[B1006]に在線しており、列車20cが走行する経路情報は、経路R1017であり、図3に示すように、ブロック[B1007]の終端の位置のキロ程(700)から時計回り方向にブロック[B1005]の始端の位置のキロ程(400)までの走行経路を示している。そのため、接近判断部6は、列車20cの経路R1017が指定区間A1の始端点である第1の端点P1(キロ程が240)を含まないと判断し、列車20cは指定区間に接近していないと判断されることになる。尚、接近判断部6による列車20が指定区間に接近しているか否かの判断の方法は、経路情報に基づくものに限定されるものではなく、例えば、列車20の先端位置から指定区間の始端点まで距離を算出し、この距離が指定区間の種類等に応じて設定される特定の距離範囲内に含まれるか否かを判定することにより、列車20が指定区間に接近しているかを判断するようにしても良い。
列車制御部7は、列車20を制御するための列車制御情報を生成するものである。列車制御部7で生成された列車制御情報は、地上無線装置9を介して列車20に送信される。列車20では、地上無線装置9から送られてきた列車制御情報を車上無線装置22で受信し、車上無線装置22は車上装置21へ出力する。車上装置21では、車上無線装置22から受け取った列車制御情報に基づいて、列車20の走行制御等を行う。列車制御情報としては、例えば、列車20を臨時の制限速度に減速させるための臨時速度制御情報や列車20の進入禁止区間を示す列車防護情報等が含まれる。列車制御部7は、在線判断部5または接近判断部6の判断結果に基づいて、列車制御情報を生成する。列車制御部7では、在線判断部5によって指定区間に列車20が在線していると判断された場合または接近判断部6によって列車20が指定区間に接近していると判断された場合には、指定区間の種類に応じて、例えば、列車20の走行速度を特定の速度以下に減速して走行するように制御するための列車制御情報や列車20を停止させるための列車制御情報等を生成する。
図8は、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1による処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、列車在線検知装置1による処理の流れについて図8のフローチャートを用いながら説明する。本実施形態に係る列車在線検知装置1では、図8に示すように、まず情報取得部3が、入力受付部2で受け付けた入力情報である第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得したかを判断する(S101)。情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得していないと判断した場合(S101:No)には、再度、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得したか否かを判定する(S101)。すなわち、情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得するまでS101の判定を繰り返す。情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得したと判断した場合(S101:Yes)には、取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を指定区間判別部4に出力する。
指定区間判別部4は、情報取得部3から受け取った第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とに基づいて、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別し、第1の端点P1および第2の端点P2の2点間(指定区間)を示すブロック列を生成する(S102)。
在線判断部5は、情報取得部3で取得した列車20の在線位置情報と指定区間判別部4で判別された指定区間の情報に基づいて、指定区間のブロック列に列車20の先端位置または後端位置が含まれているか否かを判定する(S103)。在線判断部5では、例えば、図4に示すように、指定区間判別部4が、図2に示す第1の区間A1が指定区間であると判別した場合には、まず列車20の先端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であるかを判定する。在線判断部5は、列車20の先端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であると判定した場合(S103:Yes)には、列車20は指定区間A1に在線していると判断し(S104)、列車在線検知装置1による在線検知の処理を終了する。つまり、図4に示すように、キロ程が100から200であるブロック[B1002]内に在線している列車20aについては、在線判断部5によって指定区間A1に在線していると判断される。
一方、在線判断部5は、列車20の先端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上のいずれでもないと判定した場合には、次に列車20の後端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であるかを判定する。在線判断部5は、列車20の後端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であると判定した場合(S103:Yes)には、列車20は指定区間に在線していると判断し(S104)、列車在線検知装置1による在線検知の処理を終了する。しかしながら、在線判断部5は、列車20の後端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上のいずれでもないと判断した場合、つまり、列車20の先端位置または後端位置のキロ程のいずれも指定区間A1内に含まれないと判定した場合(S103:No)には、列車20は指定区間に在線していないと判断する(S105)。つまり、図4に示すように、キロ程が300から400であるブロック[B1004]内に在線している列車20bおよびキロ程が500から600であるブロック[B1006]内に在線している列車20cについては、在線判断部5によって指定区間A1に在線していないと判断される。
在線判断部5によって列車20は指定区間に在線していないと判断された場合(S105)には、次に、接近判断部6によって列車20の走行方向において列車20に近い側の指定区間の端点である始端点は、経路情報が示す列車20が走行する経路に含まれているか否かを判定する(S106)。接近判断部6は、例えば、図4に示す列車20bのように、ブロック[B1004]に在線している場合、列車20bが走行する経路情報は、経路R1018であり、ブロック[B1005]の終端の位置のキロ程(500)から時計回り方向にブロック[B1003]の始端の位置のキロ程(200)までの走行経路を示しているので、列車20bの経路R1018に指定区間A1の始端点である第1の端点P1(キロ程が240)が含まれていると判定する(S106:Yes)。そして、接近判断部6は、列車20bは指定区間A1に接近していると判断し(S107)、列車在線検知装置1による在線検知の処理を終了する。
一方で、接近判断部6は、例えば、図4に示す列車20cのように、ブロック[B1006]に在線している場合、列車20cが走行する経路情報は、経路R1017であり、図3に示すように、ブロック[B1007]の終端の位置のキロ程(700)から時計回り方向にブロック[B1005]の始端の位置のキロ程(400)までの走行経路を示しているので、列車20cの経路R1017に指定区間A1の始端点である第1の端点P1(キロ程が240)が含まれてないと判定する(S106:No)。そして、接近判断部6は、列車20cは指定区間A1に接近していないと判断し(S107)、列車在線検知装置1による在線検知の処理を終了する。
尚、上記説明した本実施の形態において、列車在線検知装置1(地上装置10)は、プロセッサと、記憶回路と、受信器と、送信器とを備え、各動作はソフトウエアにより実現することができる。図9は、図1に示す列車在線検知装置1を実現するハードウエア構成の一例を示す図である。図9に示す列車在線検知装置1は、プロセッサ101、記憶回路102、受信器103、送信器104、入力部105を備え、プロセッサ101は受信した情報を用いてソフトウエアによる演算及び制御を行い、記憶回路102は受信した情報またはプロセッサ101が演算および制御を行うに際して必要な情報及びソフトウエアの記憶を行う。受信器103は、外部から情報を受信するインターフェースである。送信器104は、外部に情報を送信するインターフェースである。入力部105は、各種の情報の入力を受け付ける入力インターフェースである。なお、プロセッサ101、記憶回路102、受信器103、送信器104、入力部105は、各々複数設けられていてもよい。図1に示す入力受付部2は、入力部105によって実現される。また、情報取得部3は、プロセッサ101および受信器103によって実現される。また、指定区間判断部4、在線判断部5、接近判断部6はプロセッサ101によって実現される。列車制御部7は、プロセッサ101および送信器104によって実現される。線路データベース8は、記憶回路102によって実現される。
本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1によれば、環状線区L1内に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のうち、指定された指定区間に、環状線区L1内の特定の位置を示す仮想ブロックVBが含まれているか否かを示す仮想ブロック有無情報とを取得する情報取得部3と、情報取得部3で取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とに基づいて、第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別する指定区間判別部4と、指定区間判別部4で判別された指定区間に列車20が在線しているか否かを判断する在線判断部5と、を備えているので、環状線区L1において指定された指定区間を判別し、指定区間内に列車20が在線しているかを判断することができる。
また、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1によれば、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報の入力を受け付ける入力受付部2を備え、情報取得部3は、入力受付部2で受け付けた第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを取得するので、状況に応じた適切な指定区間の情報を取得することができる。
また、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1によれば、入力受付部2は、列車20と無線通信を行う地上装置10に設けられているので、環状線区L1内の状況に応じた適切な指定区間の情報を入力することができる。
また、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1によれば、在線判断部5が指定区間に列車20が在線してないと判断した場合に、列車20から列車20の走行方向において第1の端点P1および第2の端点P2のうち、列車20に近い側の端点である始端点までの距離が特定の範囲内にあるか否かを判断する接近判断部6を備えているので、列車20が指定区間に在線していない場合でも、指定区間が臨時速度制限区間や列車防護区間である場合に、列車20が指定区間に接近しているか否かを判断することができる。
尚、本実施の形態では、列車在線検知装置1は、列車20と地上無線装置9を介して無線通信を行う地上装置10によって構成される場合を例に説明しているが、この形態に限定されるものではない。図10は、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置の構成の他の一例を示すブロック図である。図10に示すように、列車20が備える車上装置21を列車在線検知装置1として構成しても良い。尚、図1に示す列車在線検知装置1と同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10に示す列車在線検知装置1では、情報の入力を受け付ける入力受付部2、各種の情報を取得する情報取得部3、情報取得部3で取得した情報に基づいて、環状線区L1内において指定される指定区間を判別する指定区間判別部4、指定区間判別部4で判別された指定区間に列車20が在線しているかを判断する在線判断部5、列車20が指定区間に接近しているかを判断する接近判断部6、環状線区L1内を走行する列車20を制御するための列車制御情報を生成する列車制御部7、列車20が走行する経路の情報である経路情報を記憶する線路データベース8に加えて、列車20の在線位置情報を取得する在線位置算出部11を備えている。
在線位置算出部11は、例えば、列車20が環状線区Lに設定される各ブロック[B1001]〜[B1010]の始端に設置された地上子を通過した際に、列車20内の車上子で検知した地上子情報を車上子情報として受信し、この車上子情報によって地上子の位置を検知し、地上子の絶対位置を基準位置とし、例えば、車軸に取り付けられた速度発電機が検出する速度情報に基づいて、基準位置からの走行距離を算出して、ブロック内における列車20の位置であるブロック内位置を求めることにより、自身の列車20の在線位置情報を算出する。在線位置算出部11では、算出した列車20の在線位置情報を情報取得部3に出力する。
また、詳しくは図示しないが、列車在線検知装置1は、地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成しても良い。列車在線検知装置1を地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成する場合には、例えば、地上装置10側に入力受付部2、情報取得部3、指定区間判別部4の機能を持たせておき、車上装置10側に在線判断部5、接近判断部6、列車制御部7、線路データベース8、在線位置算出部11の機能を持たせるように構成しても良い。この場合、列車在線検知装置1は、地上装置10の入力受付部2で指定区間の両端に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、環状線区内の特定の位置を示す仮想ブロックVBが指定区間に含まれているか否かを示す仮想ブロック有無情報の入力を受け付けて、情報取得部3へ出力する。情報取得部3は、入力受付部2で受け付けた入力情報である第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得し、指定区間判別部4に出力する。指定区間判別部4は、情報取得部3で取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とに基づいて、第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別し、図6および図7に示すように、第1の端点P1および第2の端点P2の2点間(指定区間)のブロック列を生成し、地上無線装置9を介して、車上装置21へ送信する。そして、車上装置21では、指定区間判別部4で生成された指定区間を示すブロック列の情報を車上無線装置22を介して受信すると、在線判断部5では、指定区間を示すブロック列に列車20の在線位置が含まれているか否かを判定することによって、列車20が指定区間に在線しているかを判断するようにすれば良い。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る列車在線検知装置1aについて説明する。図11は、本発明の実施の形態2に係る列車在線検知装置の構成の一例を示すブロック図である。列車在線検知装置1aは、図11に示すように、実施の形態1に係る図1に示す列車在線検知装置1が備える入力受付部2の代わりに、環状線区L内または環状線区Lの周辺の状態を検知するセンサ12と、センサ情報データベース13とを備えている。尚、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1と同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
センサ12は、例えば、環状線区L1内または環状線区L1の周辺に特定の間隔を離して複数設置されており、環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態を検知するものである。センサ12としては、例えば、環状線区L1の周辺の風速を検知する風速センサ、環状線区L1沿いの斜面等で落石が発生していないかを検知する落石検知センサ、環状線区L1が位置する周辺の地域において地震が発生していないかを検知する地震センサ、環状線区L1が通る河川や環状線区L1沿いの河川等の水面の高さ等を検知する液面レベルセンサ、環状線区L1内または環状線区L1の周辺の降雪量や雨量等を検知する各種の天候センサ等を用いることができる。センサ12は、列車20の走行制御を行う必要があるような特定の状態を検知した場合、センサ12が有する自身のセンサIDを地上無線装置9を介して情報取得部3に送信する。特定の状態の一例としては、センサ12が風速センサの場合には、予め定められた風速以上の風が吹いている状態等である。
図12は、センサ情報データベースに記憶される仮想ブロック有無情報を含むデータ構成の一例を示す図である。センサ情報データベース13は、例えば、図12に示すように、センサIDに、指定区間の両端に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロックVBが指定区間に含まれているか否かを示す仮想ブロック有無情報とを関連付けて記憶している。列車在線検知装置1aでは、情報取得部3は、センサ12が特定の状態を検知した場合に、センサ12からセンサIDを受信すると、受信したセンサIDに基づいて、センサ情報データベース13にアクセスし、受信したセンサIDに対応する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロックVBが指定区間に含まれているか否かを示す仮想ブロック有無情報とを取得する。これにより、列車在線検知装置1aは、図1に示す列車在線検知装置1と同様に指定区間判断部4によって指定区間を判別することができる。尚、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報は、第1の実施形態に係る列車在線検知装置1と同様に、仮想ブロックVBの座標値にはならないものとする。つまり、第1の端点P1、第2の端点P2、および仮想ブロックVBは、いずれも異なる座標値となるように設定される。第1の端点P1または第2の端点P2のいずれかを仮想ブロックVBの座標値にしたい場合には、余裕を見込んで、仮想ブロックVBが指定区間に含まれるように第1の端点P1または第2の端点P2の位置情報を記憶しておくようにすれば良い。また、図11では、1つのセンサ12のみを図示しているが、環状線区L1内または環状線区L1の周辺に特定の間隔を離して複数設置されるものであり、環状線区L1が通る場所の状況に応じて、異なる種類のセンサ12が複数設置されていても良い。また、図11では、センサ情報データベース13を地上装置10に設けている例を示しているが、地上装置10の外部に設けるようにしても良い。また、図11では、情報取得部3は、地上無線装置9を介してセンサ12からの情報を取得する例を示しているが、この形態に限定されるものではなく、有線回線を用いて情報を取得するように構成されていても良い。また、情報取得部3が第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを取得するのは、入力受付部2およびセンサ情報データベース13からに限定されるものではなく、他の装置等から取得するように構成しても良い。
本発明の実施の形態2に係る列車在線検知装置1aによれば、環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態を検知するセンサ12と、センサ12が有するIDに、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを関連付けて記憶するセンサ情報データベース13とを備え、情報取得部3は、センサ12が特定の状態を検知した場合に、センサ情報データベース13からセンサ12が有するIDに基づいて、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを取得するので、センサ12が検知した環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態に応じて、効率的に指定区間を判別することができる。
図13は、本発明の実施の形態2に係る列車在線検知装置の構成の他の一例を示すブロック図である。実施の形態2に係る列車在線検知装置1aも実施の形態1に係る列車在線検知装置1と同様に、図13に示すように、列車が備える車上装置21の側に、入力受付部2、情報取得部3、指定区間判別部4、在線判断部5、接近判断部6、列車制御部7、線路データベース8、在線位置算出部11に加えて、センサ情報データベース13を備えるように構成しても良い。図13に示す列車在線検知装置1aでは、センサ12は、列車20の走行制御を行う必要があるような特定の状態を検知した場合、センサ12が有する自身のセンサIDを地上無線装置9を介して車上無線装置22に送信し、車上無線装置22は情報取得部3に送信する。そして、情報取得部3は、受信したセンサIDに基づいて、センサ情報データベース13にアクセスし、受信したセンサIDに対応する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロックVBが指定区間に含まれているか否かを示す仮想ブロック有無情報とを取得する。これにより、図13に示す列車在線検知装置1aは、指定区間判断部4によって指定区間を判別することができる。また、詳しくは図示しないが、列車在線検知装置1aでも、実施の形態1に係る列車在線検知装置1と同様に、地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成しても良い。
図14は、本発明の実施の形態2に係る列車在線検知装置の構成の更に他の一例を示すブロック図である。図14に示す列車在線検知装置1aでは、センサ12は、例えば、予め第1の端点P1の位置情報、第2の端点P2の位置情報、仮想ブロック有無情報を記憶部(不図示)に記憶しており、特定の状態を検知した場合には、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを地上無線装置9を介して情報取得部3に送信するように構成されている。これにより、図14に示す列車在線検知装置1aでは、地上装置10がセンサ情報データベース13を有することなく、情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを取得することができる。
図15は、環状線区L1に環状に形成されている第2の線区である環状線区L2が隣接して接続されている場合の仮想ブロックの一例を示す図である。図2では、1つの環状線区L1に仮想ブロックVBを設定する例を示しているが、例えば、図15に示すように、それぞれ異なる環状線区L1と環状線区L2が隣接して接続されている場合には、仮想ブロックVBをそれぞれの環状線区L1、L2が接続される接続点に設定するようにしても良い。これにより、環状線区L1と環状線区L2とで共有の仮想ブロックVBを用いることができるので、環状線区L1と環状線区L2のそれぞれに仮想ブロックVBを設けた場合よりも仮想ブロックVBを1つ省略できるので、効率的である。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る列車在線検知装置1bについて説明する。図16は、本発明の実施の形態3に係る列車在線検知装置の構成の一例を示すブロック図である。図17は、環状に形成されている第1の線区に設定されるブロックおよび方向情報の一例を示す図である。本発明の実施の形態3に係る列車在線検知装置1aは、図16および図17に示すように、入力受付部2では、環状線区L1内に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のうち、指定された指定区間は、第1の端点(始端)P1から第2の端点(終端)P2までのどちら回りの方向(時計回り方向または反時計回り方向)に位置しているかを示すための方向情報との入力を受け付け、情報取得部3は、入力受付部2で受け付けたる第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とを取得するものである。尚、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1と同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
列車在線検知装置1bでは、指定区間判別部4は、情報取得部3で取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とに基づいて、第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別する。指定区間は、指定区間の両端の位置を示す第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報だけでは、図17に示すように、第1の区間A1なのか第2の区間A2なのか判断できないため、列車在線検知装置1bでは、指定区間は、第1の端点P1から第2の端点P2までのどちら回りの方向(時計回り方向または反時計回り方向)に位置しているかを示すための方向情報を用いている。図18は、指定区間が第1の端点から第2の端点までの時計回り方向に位置している場合の一例を示す図である。図19は、指定区間が第1の端点から第2の端点までの反時計回り方向に位置している場合の一例を示す図である。指定区間判断部4では、例えば、方向情報として指定区間は、第1の端点P1から第2の端点P2までの時計回り方向側であるという情報を取得した場合には、図18に示すように、第1の端点P1から第2の端点P2までの時計回り方向側である第1の区間A1が指定区間であると判断する。また、方向情報として指定区間は、第1の端点P1から第2の端点P2までの反時計回り方向側であるという情報を取得した場合には、指定区間判断部4は、図19に示すように、第1の端点P1から第2の端点P2までの反時計回り方向側である第2の区間A2が指定区間であると判断する。また、指定区間判別部4では、指定区間を判別すると、図1に示す列車在線検知装置1と同様に、図6および図7に示すように、第1の端点P1および第2の端点P2の2点間(指定区間)のブロック列を生成する。そして、在線判断部5では、指定区間判別部4が生成したブロック列に列車20の在線位置(キロ程)が含まれているか否かを判定することによって、列車20が指定区間に在線しているかを判断する。
図20は、本発明の実施の形態3に係る列車在線検知装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、列車在線検知装置1bによる処理の流れについて図20のフローチャートを用いながら説明する。本実施形態に係る列車在線検知装置1bでは、図20に示すように、まず情報取得部3が、入力受付部2で受け付けた入力情報である第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報を取得したかを判断する(S201)。情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報を取得していないと判断した場合(S201:No)には、再度、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報を取得したか否かを判定する(S201)。すなわち、情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報を取得するまでS201の判定を繰り返す。情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報を取得したと判断した場合(S201:Yes)には、取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報を指定区間判別部4に出力する。
指定区間判別部4は、情報取得部3から受け取った第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とに基づいて、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別し、第1の端点P1および第2の端点P2の2点間(指定区間)を示すブロック列を生成する(S202)。
在線判断部5は、情報取得部3で取得した列車20の在線位置情報と指定区間判別部4で判別された指定区間の情報に基づいて、指定区間のブロック列に列車20の先端位置または後端位置が含まれているか否かを判定する(S203)。在線判断部5では、例えば、図18に示すように、指定区間判別部4が、図17に示す第1の区間A1が指定区間であると判別した場合には、まず列車20の先端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であるかを判定する。在線判断部5は、列車20の先端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であると判定した場合(S203:Yes)には、列車20は指定区間A1に在線していると判断し(S204)、列車在線検知装置1bによる在線検知の処理を終了する。つまり、図17に示すように、キロ程が100から200であるブロック[B1002]内に在線している列車20aについては、在線判断部5によって指定区間A1に在線していると判断される。
一方、在線判断部5は、列車20の先端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上のいずれでもないと判定した場合には、次に列車20の後端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であるかを判定する。在線判断部5は、列車20の後端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上であると判定した場合(S203:Yes)には、列車20は指定区間に在線していると判断し(S204)、列車在線検知装置1bによる在線検知の処理を終了する。しかしながら、在線判断部5は、列車20の後端位置のキロ程が指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上のいずれでもないと判断した場合、つまり、列車20の先端位置または後端位置のキロ程のいずれも指定区間A1内に含まれないと判定した場合(S203:No)には、列車20は指定区間に在線していないと判断する(S205)。つまり、図17に示すように、キロ程が300から400であるブロック[B1004]内に在線している列車20bおよびキロ程が500から600であるブロック[B1006]内に在線している列車20cについては、在線判断部5によって指定区間A1に在線していないと判断される。
在線判断部5によって列車20は指定区間に在線していないと判断された場合(S205)には、次に、接近判断部6によって列車20の走行方向において列車20に近い側の指定区間の端点である始端点は、経路情報が示す列車20が走行する経路に含まれているか否かを判定する(S206)。接近判断部6は、例えば、図17に示す列車20bのように、ブロック[B1004]に在線している場合、列車20bが走行する経路情報は、経路R1018であり、ブロック[B1005]の終端の位置のキロ程(500)から時計回り方向にブロック[B1003]の始端の位置のキロ程(200)までの走行経路を示しているので、列車20bの経路R1018に指定区間A1の始端点である第1の端点P1(キロ程が240)が含まれていると判定する(S206:Yes)。そして、接近判断部6は、列車20bは指定区間A1に接近していると判断し(S207)、列車在線検知装置1bによる在線検知の処理を終了する。
一方で、接近判断部6は、例えば、図17に示す列車20cのように、ブロック[B1006]に在線している場合、列車20cが走行する経路情報は、経路R1017であり、ブロック[B1007]の終端の位置のキロ程(700)から時計回り方向にブロック[B1005]の始端の位置のキロ程(400)までの走行経路を示しているので、列車20cの経路R1017に指定区間A1の始端点である第1の端点P1(キロ程が240)が含まれてないと判定する(S206:No)。そして、接近判断部6は、列車20cは指定区間A1に接近していないと判断し(S207)、列車在線検知装置1bによる在線検知の処理を終了する。尚、上記説明した本実施の形態3に係る列車在線検知装置1bにおいても、列車在線検知装置1と同様のハードウエア構成によって実現することができる。
本発明の実施の形態3に係る列車在線検知装置1bによれば、環状線区L1内に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のうち、指定された指定区間は、第1の端点P1から第2の端点P2までのどちら回りの方向側に位置しているかを示すための方向情報とを取得する情報取得部3と、情報取得部3で取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とに基づいて、第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別する指定区間判別部4と、指定区間判別部4で判別された指定区間に列車20が在線しているか否かを判断する在線判断部5と、を備えているので、環状線区L1において指定された指定区間を判別し、指定区間内に列車20が在線しているかを判断することができる。
尚、本実施の形態では、列車在線検知装置1bは、列車20と地上無線装置9を介して無線通信を行う地上装置10によって構成される場合を例に説明しているが、この形態に限定されるものではなく、図10に示す列車在線検知装置1と同様に、列車20が備える車上装置21を列車在線検知装置1bとして構成しても良い。また、列車在線検知装置1bは、地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成しても良い。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係る列車在線検知装置1cについて説明する。図21は、本発明の実施の形態4に係る列車在線検知装置の構成の一例を示すブロック図である。本発明の実施の形態4に係る列車在線検知装置1cは、図21に示すように、実施の形態3に係る図16に示す列車在線検知装置1bが備える入力受付部2の代わりに、環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態を検知するセンサ12と、センサ情報データベース13とを備えている。尚、本発明の実施の形態3に係る列車在線検知装置1bと同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
センサ12は、例えば、環状線区L1内または環状線区L1の周辺に特定の間隔を離して複数設置されており、環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態を検知するものである。センサ12としては、例えば、前述の風速センサ、落石検知センサ、地震センサ、液面レベルセンサ、各種の天候センサ等を用いることができる。センサ12は、列車20の走行制御を行う必要があるような特定の状態を検知した場合、センサ12が有する自身のセンサIDを地上無線装置9を介して情報取得部3に送信する。
図22は、センサ情報データベースに記憶される方向情報を含むデータ構成の一例を示す図である。センサ情報データベース13は、例えば、図22に示すように、センサIDに、指定区間の両端に位置する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のうち、指定区間は、第1の端点P1から第2の端点P2までのどちら回りの方向(時計回り方向または反時計回り方向)に位置しているかを示すための方向情報とを関連付けて記憶している。列車在線検知装置1cでは、情報取得部3は、センサ12が特定の状態を検知した場合に、センサ12からセンサIDを受信すると、受信したセンサIDに基づいて、センサ情報データベース13にアクセスし、受信したセンサIDに対応する第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とを取得する。これにより、列車在線検知装置1cは、図16に示す列車在線検知装置1bと同様に指定区間判断部4によって指定区間を判別することができる。
本発明の実施の形態4に係る列車在線検知装置1cによれば、環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態を検知するセンサ12と、センサ12が有するIDに、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とを関連付けて記憶するセンサ情報データベース13とを備え、情報取得部3は、センサ12が特定の状態を検知した場合に、センサ情報データベース13からセンサ12が有するIDに基づいて、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とを取得するので、センサ12が検知した環状線区L1内または環状線区L1の周辺の状態に応じて、効率的に指定区間を判別することができる。
尚、実施の形態4に係る列車在線検知装置1cも実施の形態1に係る列車在線検知装置1と同様に、列車が備える車上装置21の側に、入力受付部2、情報取得部3、指定区間判別部4、在線判断部5、接近判断部6、列車制御部7、線路データベース8、在線位置算出部11に加えて、センサ情報データベース13を備えるように構成しても良い。この場合、図13に示す列車在線検知装置1aと同様に、例えば、センサ12は、列車20の走行制御を行う必要があるような特定の状態を検知した場合、センサ12が有する自身のセンサIDを地上無線装置9を介して車上無線装置22に送信し、車上無線装置22は情報取得部3に送信するように構成する。また、列車在線検知装置1cも地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成しても良い。
図23は、本発明の実施の形態4に係る列車在線検知装置の構成の他の一例を示すブロック図である。図23に示す列車在線検知装置1cでは、センサ12は、例えば、予め第1の端点P1の位置情報、第2の端点P2の位置情報、方向情報を記憶部(不図示)に記憶しており、特定の状態を検知した場合には、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とを地上無線装置9を介して情報取得部3に送信するように構成されている。これにより、図23に示す列車在線検知装置1aでは、地上装置10がセンサ情報データベース13を有することなく、情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、方向情報とを取得することができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る列車在線検知装置1dについて説明する。図24は、本発明の実施の形態5に係る列車在線検知装置の構成の一例を示すブロック図である。図25は、環状に形成されている第1の線区L1に乗り入れ可能な第3の線区L3が接続されている構成の一例を示す図である。本発明の実施の形態5に係る列車在線検知装置1dは、図24に示すように、実施の形態1に係る図1に示す列車在線検知装置1が備える構成に加えて、接続点有無判断部14を更に備えている。尚、本発明の実施の形態1に係る列車在線検知装置1と同様の構成等については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
列車在線検知装置1dでは、線路データベース8は、経路情報に加えて、接続点位置情報を予め記憶している。接続点位置情報は、図25に示すように、環状に形成されている第1の線区である環状線区L1と、環状線区L1へ乗り入れ可能な第3の線区L3とが接続される接続点P3の位置を示す情報である。接続点位置情報は、例えば、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と同様にブロック番号とブロック内位置とで表現される。例えば、図25では、接続点位置情報がブロック[B1006]の基準点であるキロ程(座標値)の500にブロック[B1006]のブロック内位置の座標値の80を加えた580として表される例を示している。尚、第3の線区L3は、第1の線区L1に乗り入れ可能なものであれば、特に限定されるものではなく、環状に形成されている線区であっても良い。
列車在線検知装置1dの情報取得部3は、図24に示すように、線路データベース8から経路情報及び接続点位置情報を取得することができる。接続点有無判断部14は、指定区間に接続点P3が位置しているか否かを判断する。接続点有無判断部14では、例えば、指定区間判別部4が、図25に示す仮想ブロックVBを含む第1の区間A1が指定区間であると判別した場合には、接続点位置情報を用いて、図4に示す指定区間(第1の区間A1)のブロック列に接続点P3の位置(キロ程)が含まれているか否かを判定することによって、接続点P3が指定区間A1に位置しているかを判断する。図25の例では、指定区間判別部4が、第1の区間A1が指定区間であると判別した場合には、接続点有無判断部14は、接続点P3の位置のキロ程(580)が図4に示す指定区間A1の第1の端点P1の位置のキロ程(240)以下または第2の端点P2の位置のキロ程(800)以上のブロック列には含まれないので、指定区間A1に接続点P3は位置していないと判断する。また、指定区間判別部4が、仮想ブロックVBを含んでいない第2の区間A2が指定区間であると判別した場合には、接続点有無判断部14は、接続点P3の位置のキロ程(580)が図5に示す指定区間A2の第1の端点P1の位置のキロ程(240)から第2の端点P2の位置のキロ程(800)までのブロック列に含まれるので、指定区間A2に接続点P3は位置していると判断する。
接近判断部6aは、列車20が指定区間に接近しているかを判断するものである。接近判断部6aは、接続点有無判断部14が指定区間に接続点P3が位置している判断した場合に、第3の線区L3から環状線区L1に向かって走行する列車2から接続点P3までの距離Dが特定の範囲内にあるか否かを判断する。列車20は、環状線区L1内を走行しておらず、第3の線区L3を走行している場合でも、乗り入れする環状線区L1との接続点P3が臨時速度制限区間や列車防護区間である指定区間に位置している場合には、列車20が指定区間に接近した際に走行速度を減速させたり、または、停止させたりする必要がある場合がある。そのため、接近判断部6aでは、第3の線区L3から環状線区L1に向かって走行する列車20が指定区間に接近していないかを判断する。
接近判断部6aは、例えば、図24に示すように、列車20が指定区間に接近しているか否かの判断を在線位置情報及び接続点位置情報に用いて行うことができる。接近判断部6aは、例えば、在線位置情報及び接続点位置情報に用いて、列車20の先端位置から接続点P3までの距離Dを算出し、この距離Dが指定区間の種類等に応じて設定される特定の距離範囲内に含まれるか否かを判定することにより、列車20が指定区間に接近しているか否かを判断する。尚、接近判断部6aによる列車20が指定区間に接近しているか否かの判断の方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、列車20が走行する経路を示す経路情報及び接続点位置情報を用いて、経路情報が示す列車20が走行する経路内に接続点P3が含まれるか否かを判断し、列車20が走行する経路内に接続点P3が含まれる場合には、列車20は指定区間に接近していると判断するようにしても良い。
列車制御部7では、在線判断部5によって指定区間に列車20が在線していると判断された場合または接近判断部6aによって列車20が指定区間に接近していると判断された場合には、指定区間の種類に応じて、例えば、列車20の走行速度を特定の速度以下に減速して走行するように制御するための列車制御情報や列車20を停止させるための列車制御情報等を生成する。列車制御部7で生成された列車制御情報は、地上無線装置9を介して列車20に送信される。
図26は、本発明の実施の形態5に係る列車在線検知装置1dによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、列車在線検知装置1dによる処理の流れについて図26のフローチャートを用いながら説明する。本実施形態に係る列車在線検知装置1dでは、図26に示すように、まず情報取得部3が、入力受付部2で受け付けた入力情報である第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得したかを判断する(S301)。情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得していないと判断した場合(S301:No)には、再度、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得したか否かを判定する(S301)。すなわち、情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得するまでS301の判定を繰り返す。情報取得部3は、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を取得したと判断した場合(S301:Yes)には、取得した第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報を指定区間判別部4に出力する。
指定区間判別部4は、情報取得部3から受け取った第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とに基づいて、第1の端点P1および第2の端点P2が両端に位置する第1の区間A1または第2の区間A2のいずれが指定区間であるかを判別し、第1の端点P1および第2の端点P2の2点間(指定区間)を示すブロック列を生成する(S302)。
在線判断部5は、情報取得部3で取得した列車20の在線位置情報と指定区間判別部4で判別された指定区間の情報に基づいて、指定区間のブロック列に列車20の先端位置または後端位置が含まれているか否かを判定する(S303)。在線判断部5は、例えば、列車20の先端位置または後端位置のキロ程が指定区間に含まれていると判定した場合(S303:Yes)には、列車20は指定区間に在線していると判断し(S304)、列車在線検知装置1dによる在線検知の処理を終了する。
在線判断部5は、列車20の先端位置および後端位置のキロ程のいずれも指定区間内に含まれないと判定した場合(S303:No)には、列車20は指定区間に在線していないと判断する(S305)。
在線判断部5によって列車20は指定区間に在線していないと判断された場合には、次に、接続点有無判断部14によって指定区間に接続点P3が位置しているか否かを判断する(S306)。接続点有無判断部14が指定区間に接続点P3が位置していると判断した場合(S306:Yes)には、接近判断部6aは、第3の線区L3から環状線区L1に向かって走行する列車20から接続点P3までの距離Dが特定の範囲内にあるか否かを判断する(S307)。
接近判断部6aは、列車20から接続点P3までの距離Dが特定の範囲内にあると判断した場合(S307:Yes)には、列車20bは指定区間に接近していると判断し(S308)、列車在線検知装置1dによる在線検知の処理を終了する。
一方、接近判断部6aは、列車20から接続点P3までの距離Dが特定の範囲内にないと判断した場合(S307:No)には、列車20は指定区間に接近していないと判断し(S309)、列車在線検知装置1dによる在線検知の処理を終了する。また、接続点有無判断部14は、指定区間に接続点P3が位置していないと判断した場合(S306:No)には、列車20は指定区間に接近していないと判断し(S309)、列車在線検知装置1dによる在線検知の処理を終了する。
尚、図26に示すフローチャートでは、在線判断部5が列車20は指定区間に在線していないと判断した(S305)後に、接続点有無判断部14が指定区間に接続点P3が位置しているか否かを判断する(S306)処理を行っている例を示している。しかしながら、列車在線検知装置1dでは、S305の処理の後に、図8のフローチャートに示すS106の処理と同様に、接近判断部6aによって列車20の走行方向において列車20に近い側の指定区間の端点である始端点は、経路情報が示す列車20が走行する経路に含まれているか否かを判定し、接近判断部6aが経路情報が示す列車20が走行する経路に指定区間の始端点が含まれていないと判定された場合に、S306以降の処理を実行するようにしても良い。
本発明の実施の形態5に係る列車在線検知装置1dによれば、在線判断部5が指定区間に列車20が在線していないと判断した場合に、指定区間に環状線区L1と第3の線区L3とが接続される接続点P3が位置しているか否かを判断する接続点有無判断部14と、接続点有無判断部14が指定区間に接続点P3が位置していると判断した場合に、第3の線区L3から環状線区L1に向かって走行する列車20から接続点P3までの距離Dが特定の範囲内にあるか否かを判断する接近判断部6aと、を備えているので、列車20が環状線区L1内を走行しておらず、第3の線区L3を走行している場合でも、乗り入れする環状線区L1との接続点P3が指定区間に位置している場合には、列車20が指定区間に接近しているか否かを判断することができる。
尚、本実施の形態では、列車在線検知装置1dは、列車20と地上無線装置9を介して無線通信を行う地上装置10によって構成される場合を例に説明しているが、この形態に限定されるものではなく、図10に示す列車在線検知装置1と同様に列車20が備える車上装置21を列車在線検知装置1dとして構成しても良い。また、列車在線検知装置1dは、地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成しても良い。列車在線検知装置1dを地上装置10と車上装置21を含めた列車制御システムとして構成する場合には、例えば、地上装置10側に入力受付部2、情報取得部3、指定区間判別部4の機能を持たせておき、車上装置10側に在線判断部5、接近判断部6a、列車制御部7、線路データベース8、在線位置算出部11の機能を持たせるように構成しても良い。
また、列車在線検知装置1dでは、入力受付部2で第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報との入力を受け付ける例を示しているが、第2の実施形態に係る列車在線検知装置1aと同様に、入力受付部2の代わりに、環状線区L内または環状線区Lの周辺の状態を検知するセンサ12と、センサ情報データベース13とを備えるようにしても良い。また、図14示す列車在線検知装置1aと同様に、センサ12が、予め第1の端点P1の位置情報、第2の端点P2の位置情報、仮想ブロック有無情報を記憶しておき、特定の状態を検知した場合には、第1の端点P1および第2の端点P2の位置情報と、仮想ブロック有無情報とを地上無線装置9を介して情報取得部3に送信するように構成しても良い。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲において、各実施の形態を適宜変更、省略したりすることができる。