JP6719432B2 - 水中油型乳化組成物、食肉食品及びマスキング方法 - Google Patents

水中油型乳化組成物、食肉食品及びマスキング方法 Download PDF

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Description

本発明は、水中油型乳化組成物及びそれを含有する食肉食品並びに油脂に由来する臭いのマスキング方法に関する。
従来、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の治療、高血圧の予防、皮膚の老化防止等の種々の作用を有することが見出され、健康増進のための食品素材、医薬品として利用されている。しかしながら、これらの高度不飽和脂肪酸は、極めて酸化しやすいこと、これらの酸化に伴い不快臭が発生することが知られている。この不快臭に、魚油に含まれるトリメチルアミンやコリン等の含窒素化合物が関係していることも知られている。
このような油脂の不快臭を防止する方法として、種々の安定化剤や抗酸化剤等が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
一方、特許文献3には、油脂、水溶性蛋白、水及びトランスグルタミナーゼを含む固形脂が記載されている。
特開平10−084915号公報 WO2004/048497号のパンフレット 特開平2−128648号公報
特許文献1及び2に記載の単なる酸化剤や安定化剤では、油脂の不快臭のマスキング効果が十分といえない場合がある。また特許文献3には、油脂の不快臭をマスキングする効果は何ら記載されていない。
本発明者は、驚くべきことに、たんぱく質乳化剤及びトランスグルタミナーゼを用いた水中油型乳化組成物により、油脂の不快臭を非常に効果的にマスキングできることを見出した。
本発明は上記知見によりなされたものであり、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含む魚油と、タンパク質乳化剤と、トランスグルタミナーゼと、水とを含有する水中油型乳化組成物を提供するものである。
また本発明は、上記水中油型乳化組成物を含有する食肉食品を提供するものである。
また本発明は、油脂に由来する臭いのマスキング方法であって、不快臭源となる油脂を、水及びタンパク質乳化剤を用いて乳化するとともにトランスグルタミナーゼを作用させる、油脂に由来する臭いのマスキング方法を提供するものである。
本発明の水中油型乳化組成物及び食肉食品によれば、DHAやEPAを含有する魚油に由来する不快臭を効果的に防止されるため、該不快臭を抑制しながら食品中にDHAやEPAを含有させることができる。また本発明のマスキング方法によれば、油脂の不快臭を効果的にマスキングできる。
図1は、実施例で固形乳化物を煮熟したときの様子を示す写真である。 図2(a)は本発明の食肉食品の一例であるサラミ風魚肉ソーセージの写真である。図2(b)は、本発明の食肉食品の一例であるウィンナーソーセージの写真であり、図2(c)は、本発明の食肉食品の一例であるボロニアソーセージの写真である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態は、経口用の水中油型乳化組成物に係るものである。水中油型乳化組成物であることの確認は、(1)電気の導通が有る事、(2)水に溶解した際、均一に分散する事、(3)顕微鏡による油脂の分散のいずれかの確認により行うことができる。
水中油型乳化組成物は、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含有することが好ましく、より好ましくは、当該油脂を含む魚油を含有する。なお、一般に、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂としては、魚油由来がほとんどであることから、水中油型乳化組成物がDHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含有していることを確認すれば、水中油型乳化組成物がDHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含む魚油を含有しているものとする。
DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含む魚油としては、マグロ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギ、サケ、アジ、アナゴ、アンコウ、カツオ、サワラ、ニシン、ブリ、等の1種又は2種以上に由来する油脂か、これらの油脂についてDHA又はEPA含量を高めるために精製処理がなされた油脂を用いることができる。精製処理としては、脱ガム、脱臭、脱酸等の処理が挙げられる。
本発明による臭いのマスキングの効果が高いことから、水中油型乳化組成物に含まれる油相中、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂の割合は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また水中油型乳化組成物に含まれる油相中、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂の割合は100質量%であってもよいが、80質量%以下であると構成油脂の入手しやすさやコストの点で好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
特に、水中油型乳化組成物に含まれる油脂の全構成脂肪酸中、DHAの割合は100質量%であってもよいが、35質量%以下であると構成油脂の入手しやすさやコストの点で好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。また水中油型乳化組成物に含まれる油脂の全構成脂肪酸中、EPAの割合は100質量%であってもよいが、35質量%以下であると構成油脂の入手しやすさやコストの点で好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
水中油型乳化組成物に含まれる油相中のDHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂の割合、並びに全構成脂肪酸中のDHA又はEPAの割合は、水中油型乳化組成物から油相を取り出し、その油相中のトリグリセリド組成をガスクロマトグラフにより調べることにより求めることができる。また、水中油型乳化組成物から油相を取り出す処理は、クロロホルム・メタノール抽出法で行うことができる。なお、本実施形態の水中油型乳化組成物は、これから油相を取り出したときに、該油相は魚油を含有していることにより、室温(25℃)で液状である。
マスキング効果を高める点、及び、DHA又はEPAの組成物中の割合を高める点から、本実施形態の水中油型乳化組成物中、油脂の量は、好ましくは10質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上70質量%以下である。また同様の観点から、水中油型乳化組成物中、水の量は、好ましくは油脂100質量部に対して、25質量部以上900質量部以下であり、より好ましくは40質量部以上230質量部以下である。
水中油型乳化組成物中の油脂の量は、クロロホルム・メタノール抽出法のようにして求めることができる。また水中油型乳化組成物中の水の量は、減圧乾燥法で求めることができる。
水中油型乳化組成物は、タンパク質乳化剤を含有する。タンパク質乳化剤としては、水溶性であって経口可能なものを使用でき、例えばカゼイン、アルブミン、大豆蛋白、卵白などが挙げられる。
水中油型乳化組成物を室温(25℃)で固形状とする点、及び、水中油型乳化組成物の風味を損なわない点等から、水中油型乳化組成物において、タンパク質乳化剤量は油脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは、3質量部以上10質量部以下である。タンパク質乳化剤の量は、ケルダール法を用いて測定できる。
とりわけ、水中油型乳化組成物を室温で固形状としやすく油脂に由来する不快臭マスキングの安定性が高い点から、タンパク質乳化剤としてカゼインを用いることが好ましく、カゼインに別のタンパク質乳化剤を併用することがより好ましい。カゼインと別のタンパク質乳化剤を併用する場合、カゼイン100質量部に対し、別のタンパク質乳化剤が10質量部以上80質量部以下であることが好ましく、20質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。別のタンパク質乳化剤としては、トランスグルタミナーゼとの反応しやすさの点から、ゼラチン、大豆蛋白等が好ましい。
本実施形態で用いる「トランスグルタミナーゼ」とは、蛋白質中のグルタミン残基を供与体、リジン残基を受容体とするアシル基転移反応を触媒する活性を有する酵素(EC 2.3.2.13)をいう。トランスグルタミナーゼとしては、哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、微生物由来のものなど、種々の起源のものが知られているが、それらいずれの起源のものを用いてもよく、また組み換え酵素であってもよい。
水中油型乳化組成物を室温(25℃)で固形状とする点、及び、水中油型乳化組成物の風味を損なわない点等から、水中油型乳化組成物に含まれる油脂100質量部に対し、トランスグルタミナーゼの量が好ましくは、0.0001質量部以上0.01質量部以下であり、より好ましくは、0.0005質量部以上0.005質量部以下である。トランスグルタミナーゼの量は、検体と等量の蒸留水とのホモジナイズ液の上澄を等量の5%カゼインナトリウム液に加えて50℃で1時間以上反応し不溶化した蛋白量を別途作成した検量線を用いて測定できる。
上記の通り、魚油は通常室温で液状であるところ、本実施形態の組成物は、水相中に魚油の油滴が分散した水中油型乳化組成物であり、油滴の周囲を連続相である水相が取り囲むことで、臭気の揮発を抑制していると考えられる。更に、本実施形態の組成物は油滴と水相の界面に存在するタンパク質乳化剤同士をトランスグルタミナーゼが架橋する。これにより、油滴をその周囲に水相が存在する状態で架橋タンパク質で閉じ込め被覆した状態となることでマスキング効果に一層優れたものになると発明者は考えている。
トランスグルタミナーゼによるタンパク質の架橋により、通常、本実施形態の水中油型乳化組成物は、室温(25℃)で固形状である。このことは、マスキング効果に優れるだけでなく、液状の場合に比べて、より多くのDHAやEPAを食品中に含有させることが可能であることから好ましい。また特に室温で固形状の水中油型乳化組成物は、これを食品に練り込むことで、従来の油脂を練り込んだ食品が白濁したり食感が弱くなるという不都合を回避することができるため好ましい。
水中油型乳化組成物は、100℃で固形状であることも、マスキング効果が高温下でも安定し、更にDHAやEPAを食品中に安定的に含有させることが容易であることから好ましい。100℃で固形状であることは、後述する実施例の記載のように、煮立った湯の中で5分間煮熟して溶解しないことから確認できる。溶解しないとは、煮熟前後の粒径減少が10%以下であることを意味する。煮熟時に測定湯温が100℃前後でばらつくことがあるため測定湯温は100℃に限定されないが、95℃以上であることが好ましい。
水中油型乳化組成物は、水、油脂、タンパク質乳化剤及びトランスグルタミナーゼに加えて、増粘剤を含有していても良い。増粘剤は、粘性を高めて魚油を乳化させやすくする目的で用いられる。増粘剤としては、キサンタンガム、グアガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、加工澱粉等、経口用に用いられている増粘剤を使用できる。増粘剤を用いる場合、水中油型乳化組成物の風味と形状を好ましいものとする観点から、水中油型乳化組成物に含まれる油脂100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下含有させることが好ましく、0.2質量部以上2.0質量部以下含有させることがより好ましい。
次に、本実施形態の水中油型乳化組成物の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする魚油を水及びタンパク質乳化剤を用いて乳化するとともにトランスグルタミナーゼを作用させる。
好ましくは、本製造方法は、水及びタンパク質乳化剤を含有する水相と、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする魚油を含む油相とを混合し、水中油型乳化物を得る第1工程と、第1工程で得られた水中油型乳化物とトランスグルタミナーゼとを混合し、トランスグルタミナーゼ酵素反応させる第2工程とを有する。
マスキング効果に優れた水中油型乳化組成物を得る点から、第1工程において、水相と油相との量比は、油相100質量部に対し、水相が25質量部以上900質量部以下が好ましく、水相が40質量部以上230質量部以下がより好ましい。
第1工程において水相と油相とを混合させる際の温度は、DHA又はEPAの酸化を防止して風味の良好な水中油型乳化組成物を得る点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。また、タンパク質乳化剤の水相中の分散性を高める点や水和の点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
DHA又はEPAの酸化を防止して風味の良好な水中油型乳化組成物を得る点から、酵素反応は、60℃以下で行うことが好ましく、30℃以下で行うことがより好ましい。また酵素反応の効率化の観点から酵素反応は、0℃以上で行うことが好ましく、10℃以上で行うことがより好ましい。この温度範囲において、酵素反応時間は例えば0.5時間以上50時間以下で行うことが好ましく、1時間以上30時間以下で行うことがより好ましい。
以上のようにして、本実施形態の水中油型乳化組成物を得ることができる。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、DHA又はEPAを含有しながらそれに由来する不快臭を効果的にマスキングでき、食品素材又は医薬品、医薬部外品等として好適に利用することができる。とりわけ本実施形態の水中油型乳化組成物はDHA又はEPAに効果があるとされる、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の治療、高血圧の予防、皮膚の老化防止、コレステロールの低下、中性脂肪低下、動脈硬化の予防、血栓抑制、高脂血症の改善、学習能力、記憶能力の向上、乳幼児の脳や神経の発達、抗うつ作用の改善、アルツハイマー病発症の抑制、老人性認知症の予防・改善等の各種症状の予防や改善の効果が期待できる。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、食品にこれを含有させる場合の形態としては、その用途にもよるが、例えば固形粒子として食品中に分散させることが、DHA又はEPAをより多く含有する食品を得やすい点から好ましい。食品としては例えば、後述する食肉食品や、パン、焼き菓子、クッキー等のベーカリー食品等が挙げられる。特に、本実施形態の水中油型乳化組成物は、固形粒子にして、食肉食品中に分散させることが、本実施形態の水中油型乳化組成物を固体脂状に模した食肉食品が得られ、しかもDHA又はEPAを該食肉食品に多く含有させることができる点で好ましい。このような食肉食品としては、ケーシング詰め食肉加工食品であることが、とりわけ、種々の食肉と本実施形態の水中油型乳化組成物を組み合わせることで、固体脂に模した水中油型乳化組成物により、見た目の美味しさが得やすいために好ましい。
固形粒子の粒径としては、1mm以上10mm以下であることが好ましく、3mm以上8mm以下であることがより好ましい。固形粒子の粒径は、一つの粒子を横断する全線分のうち、最長の線分の長さであり、マイクロメーターを用いて測定することができる。
食肉食品における食肉の種類としては、畜肉及び魚肉のいずれをも用いることができる。畜肉としては、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、家兎肉、家禽肉等、及びこれらを組み合わせたものであり、その品種又は部位を問わない。魚肉としては、マグロ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギ、サケ、アジ、アナゴ、アンコウ、カツオ、サワラ、ニシン、ブリ、タラ、タイ、カサゴ、イカ、タコ、ホタテ等、特に限定なく用いることができる。魚肉を用いる場合、魚油における魚種と魚肉における魚種とは同じであっても異なっていてもよい。
ケーシング詰め食肉加工食品としては、食肉として魚肉を用いる場合は、例えば、平成23年8月31日消費者庁告示第8号で記載された「魚肉ハム及び魚肉ソーセージ品質表示基準」に記載の「魚肉ハム」及び「魚肉ソーセージ」を挙げることができる。また食肉として畜肉を用いる場合は、例えば、平成23年9月30日消費者庁告示第10号で記載された「ソーセージ品質表示基準」に記載の「ソーセージ」を挙げることができる。
ケーシング詰め食肉加工食品に用いる食肉の状態としては特に制限されず、ペースト状、すり身状、挽肉状等を挙げることができる。これらに本実施形態の水中油型乳化組成物を混合させた後、混合物をケーシングに詰め、必要に応じて加熱することで、本実施形態のケーシング詰め食肉加工食品が得られる。加熱温度としては、例えば70℃以上100℃以下が挙げられる。ケーシングとしては、動物の腸、胃、食道などのほか、コラーゲンフィルム、セルロースフィルム、その他合成フィルムといった皮や包装を適宜使用することができる。
ケーシング詰め食肉加工食品を含め、本実施形態の食肉食品に本実施形態の水中油型乳化組成物を含有させる場合、食肉食品中の水中油型乳化組成物の含有割合は、より多くのDHA又はEPAを含有させる点から3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。また、食肉食品の水中油型乳化組成物の割合は30質量%以下であると、食肉食品の風味や食べやすさの点から好ましい。
特に、食肉食品が、サラミ風ソーセージ又はサラミソーセージである場合、食肉食品中の水中油型乳化組成物の含有割合は、3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、6質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
また、食肉食品が、ボロニアソーセージ又はウィンナーソーセージである場合、食肉食品中の水中油型乳化組成物の含有割合は、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、6質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
室温で固形状の水中油型乳化組成物を用いると、これを含有するケーシング詰め食肉加工食品においてつなぎを用いる必要がなくなるメリットがある。
また例えば赤身の魚肉ペーストを用いた魚肉ソーセージの一例としては、魚肉の赤身のすり身に固形状の水中油型乳化組成物を混ぜてケーシング詰めして加熱すると、あたかも豚の赤身に豚の脂肪が分散したかのような外観をしたサラミ風ソーセージが得られる。また魚の白身を用いた場合も、色素を用いて豚の赤身に豚の脂肪が分散したサラミ風ソーセージを得ることができる。
また、畜肉を用いた場合は、その肉種などを適宜選択して、ボロニアソーセージやウィンナーソーセージ等のソーセージ類を好適に製造することができる。
次いで、本発明の油脂に由来する臭いのマスキング方法について更に説明する。本方法は、油脂に由来する臭いのマスキング方法であって、不快臭源となる油脂を、水及びタンパク質乳化剤を用いて乳化するとともにトランスグルタミナーゼを作用させるものである。
不快臭源となる油脂としては、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂のほかに、多価不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂を挙げることができる。多価不飽和脂肪酸は酸化しやすく、このような多価不飽和脂肪酸としては、とりわけ酸化しやすく、不快臭を発生しやすいにものとして、特に、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等のω−3脂肪酸が好ましく挙げられる。構成脂肪酸としてω−3脂肪酸を多く含有する油脂として、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含有する魚油、α−リノレン酸を構成脂肪酸とする油脂を含有するアマニ油、しそ油若しくはナタネ油、えごま油等が挙げられる。
本マスキング方法において、乳化対象となる油脂における多価不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。乳化対象となる油脂における多価不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂の割合は、50質量%以下であるとコストの点で好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
本マスキング方法において、タンパク質乳化剤及びトランスグルタミナーゼ並びにその他の任意成分としては上記で用いられたものを用いることができる。また、乳化対象となる油脂に対し使用する水、タンパク質乳化剤、及びトランスグルタミナーゼの量は、上述した水中油型乳化組成物中の水の好ましい量と同様の量を挙げることができる。乳化や酵素反応の好ましい温度や時間も上記の水中油型乳化組成物の好適な製造方法で挙げた温度や時間と同様とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。以下の説明で特に断らない限り、「%」及び「部」はいずれも質量基準である。なお、以下の評価で水中油型乳化組成物からなる固形粒子の粒径は上記の方法にて測定した。
〔実施例1〕
ゼラチン1.7部、カゼインナトリウム3部及びキサンタンガム0.2部を水40部に加熱溶解した。得られた液と、DHA精製魚油(カツオ由来、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂28質量%、全構成脂肪酸中のDHAの割合22質量%、全構成脂肪酸中のEPAの割合6質量%含有)55部とをミキサーで60℃で撹拌乳化させ、水中油型乳化物を得た。得られた乳化物にトランスグルタミナーゼ0.001部を混合した後、5℃で17時間保管して酵素反応させ、実施例1の固形状の水中油型乳化組成物を得た。
得られた水中油型乳化組成物は、室温(25℃)で加熱卵白状の固形を呈していた。また水中油型乳化組成物を図1に示すように、100℃の湯に投入したところ、5分間煮熟させても、気泡を含み膨張したものの溶解せず、固形状態を維持していた。煮熟前の固形粒子状水中油型乳化組成物の粒径を100%としたときの、煮熟後の固形粒子状水中油型乳化組成物の粒径は95%であり、粒径減少は10%以下であった。
〔比較例1〕
比較例1のサンプルとして豚脂を用いた。
<評価1:食肉食品の臭い防止効果>
実施例1の固形状の水中油型乳化組成物及び比較例1の豚脂を以下の評価に供した。
(評価例1)
・サラミ風ソーセージの製造
水中油型乳化組成物をサイレントカッターで粒径4mmに切断した。別途、骨から分離したタラの魚肉に、食塩1.7%、サラミ風味シーズニング2%、クチナシ赤色色素0.3%を加えサイレントカッターにてペースト状として魚肉ペーストを得た。この魚肉ペーストと、上記で切断した水中油型乳化組成物とを質量比60:40で混合し、直径3.5cmのケーシングに充填後、85℃で蒸煮して、水中油型乳化組成物の含有量が40%であるサラミ風ソーセージを得た。実施例1の水中油型乳化組成物を用いて製造したサラミ風ソーセージを図2(a)に示す。図2(a)に示すように、サラミ風ソーセージは、豚肉赤身肉と豚脂とを用いて製造した通常のサラミ風ソーセージと同様の外観を呈していた。
・ボロニアソーセージの製造
水中油型乳化組成物をサイレントカッターで粒径3mmに切断した。別途、骨から分離した豚の生肉に、食塩1.6%、ソーセージ風味シーズニング2%、コチニール色素0.03%を加えサイレントカッターにて粗びきして、豚の生のひき肉を得た。得られた豚の生のひき肉と、切断後の水中油型乳化組成物とを質量比93:7で混合し、直径4cmのケーシングに充填後、85℃でボイルして、水中油型乳化組成物の含有量が7%であるボロニアソーセージを得た。実施例1の水中油型乳化組成物を用いて製造したボロニアソーセージを図2(b)に示す。図2(b)に示すように、ボロニアソーセージは、通常の豚脂を用いて製造した通常のボロニアソーセージと同様の外観を呈していた。
・ウィンナーソーセージの製造
水中油型乳化組成物をサイレントカッターで粒径2mmに切断した。別途、骨から分離した豚の生肉に、食塩1.6%、ソーセージ風味シーズニング2%、コチニール色素0.03%を加えサイレントカッターにて粗びきして豚の生のひき肉を得た。得られた豚の生のひき肉と、切断後の水中油型乳化組成物とを質量比93:7で混合し、直径2cmのケーシングに充填後、60℃で乾燥・燻製、75℃で蒸煮して、水中油型乳化組成物の含有量が7%であるウィンナーソーセージを得た。実施例1の水中油型乳化組成物を用いて製造したウィンナーソーセージを図2(c)に示す。図2(c)に示すように、ウィンナーソーセージは、通常の豚脂を用いて製造した通常のウィンナーソーセージと同様の外観を呈していた。
(比較評価例1)
比較例1の豚脂を用いた以外は評価例1と同様にして、サラミ風ソーセージ、ボロニアソーセージ及びウィンナーソーセージを得た。
評価例1で得られたサラミ風ソーセージについて、5人の成人パネラー(男女比4:1、平均年齢51歳)に比較評価例1で得られたサラミ風ソーセージと、作製後放冷し室温の状態において試食してもらい、アロマの比較を2点比較法にて行わせた。結果、比較評価例1で得られたサラミ風ソーセージと評価例1で得られたサラミ風ソーセージとで臭いの差は認められなかった。また同様に、ボロニアソーセージ、ウィンナーソーセージについても評価例1と比較評価例1とで比較したが、臭いの差は認められなかった(p<0.05)。
〔実施例2〕
DHA精製魚油としてマグロ由来、DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂29質量%、全構成脂肪酸中のDHAの割合22質量%、全構成脂肪酸中のEPAの割合7質量%含有するものを用い、DHA精製魚油の使用量を50部にし、水を45部とした。これらの点以外は実施例1と同様にして、水中油型乳化組成物を得た。
〔評価2:パンの臭い防止効果〕
(評価例2)
強力小麦粉50部、砂糖4部、スキムミルク2部、食塩2部、水37部及びドライイースト1部に、実施例2で得られた水中油型乳化組成物4部を加えて練り上げた。得られた生地を焼成してパンを得た。
(比較評価例2)
評価例2において、実施例2で得られた水中油型乳化組成物4部の代わりに、実施例2で用いたDHA精製魚油2部及び水2部を用いた以外は評価例2と同様にしてパンを得た。
評価例2で得られたパンと比較評価例2で得られたパンとを、5人の成人パネラー(男女比4:1、平均年齢51歳)に、作製後放冷し室温の状態において試食してもらい、2点比較法にてアロマを比較した。結果、評価例2で得られたパンは、比較評価例2で得られたパンに比べて魚油由来の不快臭が有意に少なかった(p<0.05)。

Claims (9)

  1. DHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂を含む魚油と、タンパク質乳化剤と、トランスグルタミナーゼと、水とを含有し、油脂の量が30質量%以上である、水中油型乳化組成物。
  2. 魚油の量が30質量%以上である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. 油相中のDHA又はEPAを構成脂肪酸とする油脂の質量割合が10%以上80%以下である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 室温で固形である、請求項1〜3の何れか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 100℃で固形である、請求項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の水中油型乳化組成物からなる固形粒子が食肉中に分散された食肉食品。
  7. ケーシング詰め食肉加工食品である、請求項に記載の食肉食品。
  8. 食肉が畜肉又は魚肉である、請求項又はに記載の食肉食品。
  9. 粉末油脂の原料として用いられるものを除く、請求項1〜5の何れか1項に記載の水中油型乳化組成物。
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