JP6715709B2 - 水素化分解油の製造方法及び水素化分解油の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水素化分解油の製造方法及び水素化分解油の製造装置に関する。
原油には低沸点の軽質油、高沸点の重質油等の様々な成分が含まれる。近年、供給原油としては重質油の含有率が高い原油(石油系重質油)が増えつつある。一方、石油需要としては、軽質油の需要が依然として高い。このため、石油系重質油から軽質油を製造する方法が注目されている。
このような重質油を軽質化する技術として、重質油の水素化分解や熱分解について多くの方法が提案されている。水素化分解では、重質油を水素と反応させて軽質化するために触媒が必要であるが、重質油はニッケルやバナジウムなどの重金属を多く含むため、触媒被毒により触媒活性が低下し易い。また、熱分解では、触媒活性低下の不都合は生じないが、コークが大量に生成し易く、また生成物の収率が低下し易い。
これらの重質油の水素化分解や熱分解における不都合を解消するために、低廉な使い捨ての鉄系触媒と重質油とを混合し、懸濁床(スラリー床)反応器で反応させる水素化分解方法が提案されている(特開2001−89772号公報参照)。この水素化分解方法では、使用した触媒を反応器へ循環させることにより、運転コストを低減している。しかし、この水素化分解方法でも、重質油の種類によってはコークの生成量が大きくなり、触媒活性が低下するおそれがある。
上記水素化分解方法の触媒活性低下の不都合を解消するために、芳香族軽質溶剤と水素化分解により得られたナフサとを混合した溶剤を用い、所定の条件で沈降固液分離する水素化分解方法が提案されている(特開2007−246719号公報参照)。この水素化分解方法は、所定の条件での沈降固液分離により、水素化分解工程で生じるコークを低コストで選択的に液相流体から除去し、コークの生成に伴う触媒活性低下を抑制している。
しかし、この水素化分解方法で上記溶剤に混合させる芳香族軽質溶剤は、液相流体からの固形分の抽出性を向上させるが、沈降速度を低下させる。一方、上記溶剤に混合させるナフサは、沈降性を改善させるが、抽出性を低下させ固体が凝集し易くなる。そのため、この水素化分解方法は、芳香族軽質溶剤による沈降性の低下作用及びナフサ留分による抽出性の低下作用の影響により固液分離の際の沈降に比較的長い時間を要するので、生産効率の向上が望まれる。また、この水素化分解方法は、固液分離の条件を比較的高温かつ高圧にする必要があるため、原料の性状によっては装置が大型化し設備コストが高価となるおそれがある。
特開2001−89772号公報 特開2007−246719号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、水素化分解工程で生じるコークを沈降固液分離により選択的に除去する時間を短縮でき、かつ設備コストを低減できる水素化分解油の製造方法及び水素化分解油の製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、重金属成分を含有する石油系重質油を原料とする水素化分解油の製造方法であって、上記石油系重質油、鉄系触媒及び水素ガスを混合する工程と、上記混合工程後に懸濁床反応器中で上記石油系重質油を水素化分解する工程と、上記水素化分解工程後の反応生成物を多段の気液分離器で気液分離する工程と、上記気液分離工程で得られた固液相の一部を上記混合工程に循環する工程と、上記循環工程後の固液相の残部及び固液分離用溶剤の混合物を遠心分離器で固液分離する工程とを備え、上記固液分離用溶剤が、芳香族軽質溶剤、水素化分解法により得られるナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ10質量%超含有することを特徴とする水素化分解油の製造方法である。
当該水素化分解油の製造方法は、固液分離用溶剤が、それぞれ含有量が上記範囲の芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分を含有することにより、芳香族軽質溶剤による沈降性の低下作用及びナフサ留分による抽出性の低下作用を抑制できる。これにより、当該水素化分解油の製造方法は、気液分離工程で得られた固液相の残部と上記固液分離用溶剤との混合物を固液分離する工程での分離性を高くすると共に沈降時間を短縮できる。また、当該水素化分解油の製造方法は、遠心分離器により上記混合物を固液分離するので、比較的高温及び高圧の条件を必要とせず固液分離装置の大型化を抑制できるため、設備コストを低減できる。ここで「沈降」とは、遠心分離器の遠心力による比重の大きい固体の外周側への移動を含む概念であり、「沈降時間」とは、複数の固体の遠心分離器の外周側への移動に要する平均時間を意味する。
上記混合物における上記固液相の残部の質量に対する固液分離用溶剤の質量比としては、0.5以上4以下が好ましく、上記固液分離工程での遠心分離器内の混合物の温度としては40℃以上130℃以下、滞留時間としては60秒以下が好ましい。このように、混合物における固液相の残部の質量に対する固液分離用溶剤の質量比を上記範囲内とすることで、固液分離用溶剤の使用量を抑制しつつ固液分離工程での分離性向上効果を促進できる。また、このように遠心分離器内の混合物の温度を上記範囲内とすることで、重質有機物の抽出性を向上させつつ灯油留分の蒸発を抑制できる。また、このように遠心分離器内の混合物の滞留時間を上記上限以下とすることで、固液分離装置の小型化を促進できる。
上記気液分離工程が、上記水素化分解工程後の反応生成物を高圧気液分離器により気液分離する第1工程と、上記第1工程で分離された固液相を低圧気液分離器により気液分離する第2工程と、上記第2工程で分離された固液相を減圧気液分離器により気液分離する第3工程とを有するとよい。このように、気液分離工程が、第1工程、第2工程及び第3工程を有し、圧力及び温度条件がこの順で低下する複数の気液分離器で気液分離することにより、減圧重質残渣の含有量の大きい固液相を効率よく分離できる。
上記気液分離工程で得られた気相及び固液分離工程で得られた液相を分留する工程をさらに備え、上記固液分離用溶剤のナフサ留分及び灯油留分として上記分留工程で得られたものを用いるとよい。このように、固液分離用溶剤のナフサ留分及び灯油留分として分留工程で得られたものを用いることにより、ナフサ留分及び灯油留分の調達及び輸送が容易となる。
上記芳香族軽質溶剤が沸点150℃以下の単一成分又はそれらの混合成分であり、上記ナフサ留分の沸点が80℃以上180℃以下であり、上記灯油留分の沸点が180℃超240℃以下であるとよい。このように、固液分離用溶剤として芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分のそれぞれの沸点が上記範囲内のものを用いることで、固液分離用溶剤の蒸気圧の上昇を抑制できると共に、固液分離工程で分離された液相及び固体の回収に要する熱量の増加を抑制できるので、設備コスト及び水素化分解油の製造コストの抑制効果を促進できる。ここで「沸点」とは、1気圧(101325Pa)における沸点をいう。
上記固液分離工程での遠心分離器内の混合物の滞留時間としては、30秒以下が好ましく、上記遠心分離器の遠心力としては、3000G以下が好ましい。このように、遠心分離器内の混合物の滞留時間を30秒以下とし、遠心分離器の遠心力を3000G以下とすることで、固液分離装置の大型化をより確実に抑制でき、設備コスト低減効果を促進できる。
上記鉄系触媒が平均粒子径2μm以下のリモナイト鉄鉱石触媒であるとよく、上記混合工程における石油系重質油の質量に対する鉄系触媒の質量比としては、鉄換算で0.003以上0.02以下が好ましい。このように、鉄系触媒として上記平均粒子径を有するリモナイト鉄鉱石触媒を用いることで低コストで水素化反応を促進でき、石油系重質油の質量に対する鉄系触媒の質量比を上記範囲内とすることで水素化分解油の収率の向上効果を促進できる。ここで「平均粒子径」とは、レーザー回折散乱法によって求めた粒度分布において体積積算値50%となる粒径(メディアン径)を意味する。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、重金属成分を含有する石油系重質油を原料とする水素化分解油の製造装置であって、上記石油系重質油、鉄系触媒及び水素ガスを混合する混合部と、上記混合部で得た原料スラリー中の石油系重質油を水素化分解する懸濁床反応部と、上記懸濁床反応部で生成された反応生成物を多段で気液分離する気液分離部と、上記気液分離部で得られた固液相の一部を上記混合部に循環する循環部と、上記気液分離部で得られた固液相の残部及び固液分離用溶剤の混合物を固液分離する遠心分離部とを備え、上記固液分離用溶剤が、芳香族軽質溶剤、水素化分解法により得られるナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ10質量%超含有することを特徴とする水素化分解油の製造装置である。
当該水素化分解油の製造装置は、固液分離用溶剤が、それぞれ含有量が上記範囲の芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分を含有することにより、芳香族軽質溶剤による沈降性の低下作用及びナフサ留分による抽出性の低下作用を抑制できる。これにより、当該水素化分解油の製造装置は、気液分離部で得られた固液相の残部と上記固液分離用溶剤との混合物の遠心分離部での分離性を高くすると共に沈降時間を短縮できる。また、当該水素化分解油の製造装置は、遠心分離器により上記混合物を固液分離するので、比較的高温及び高圧の条件を必要とせず固液分離装置の大型化を抑制できるため、設備コストを低減できる。
以上説明したように、本発明の水素化分解油の製造方法及び水素化分解油の製造装置により、水素化分解工程で生じるコークを沈降固液分離により選択的に除去する時間を短縮でき、かつ設備コストを低減できる。
本発明の一実施形態に係る水素化分解油製造装置の構成を示す概略模式図である。
以下、本発明に係る水素化分解油の製造装置及び水素化分解油の製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[水素化分解油製造装置]
当該水素化分解油製造装置は、重金属成分を含有する石油系重質油を原料とする水素化分解油の製造装置である。当該水素化分解油製造装置は、上記石油系重質油、鉄系触媒及び水素ガスを混合する混合部と、上記混合部で得た原料スラリー中の石油系重質油を水素化分解する懸濁床反応部と、上記懸濁床反応部で生成された反応生成物を多段で気液分離する気液分離部と、上記気液分離部で得られた固液相の一部を上記混合部に循環する循環部と、上記気液分離部で得られた固液相の残部及び固液分離用溶剤の混合物を固液分離する遠心分離部とを主に備える。また、当該水素化分解油製造装置は、上記気液分離部で分離された気相からガスを精製するガス精製部と、上記気液分離部で得られた気相及び遠心分離部で得られた液相を分留する分留部とを備える。
当該水素化分解油製造装置は、具体的には図1に示すように、スラリー調製槽1、予熱器2、第1ポンプ3、懸濁床反応器4、高圧気液分離器5、低圧気液分離器6、減圧気液分離器7、混合物調製槽8、第2ポンプ9、遠心分離器10、第3ポンプ11、オーバーフロー溶剤回収装置12、アンダーフロー溶剤回収装置13、高圧低温気液分離器14、ガス精製装置15及び蒸留塔16を備える。
<混合部>
当該水素化分解油製造装置の混合部は、スラリー調製槽1と、スラリー調製槽1及び予熱器2間に配設される配管とを有する。混合部は、石油系重質油A、鉄系触媒B及び水素ガスCを混合する。
スラリー調製槽1は、石油系重質油A及び鉄系触媒Bを混合し、スラリー化するための槽である。また、スラリー調製槽1は撹拌機1aを備える。
予熱器2は、懸濁床反応器4に供給される原料スラリーDを予熱するための加熱器である。
第1ポンプ3は、スラリー調製槽1で調製されたスラリーを予熱器2へ移送するためのポンプである。第1ポンプ3によりスラリー調製槽1から予熱器2へ移送される配管内で、上記スラリーに水素ガスCが供給される。このように配管内で上記スラリーと水素ガスCとが混合することにより、原料スラリーDが形成される。この原料スラリーDは、予熱器2で加熱されて懸濁床反応器4に供給される。
<懸濁床反応部>
当該水素化分解油製造装置の懸濁床反応部は、懸濁床反応器4を有する。懸濁床反応器4は、その中で上記原料スラリーD中の上記石油系重質油Aを水素化分解する。この懸濁床反応器4としては、例えば気泡塔型の懸濁床反応器を用いることができる。
<気液分離部>
当該水素化分解油製造装置の気液分離部は、高圧気液分離器5、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7を有する。気液分離部は、高圧気液分離器5、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7により懸濁床反応部4で生成された反応生成物Eを多段で気液分離する。
高圧気液分離器5は、懸濁床反応部4で生成された反応生成物Eを高温高圧で気相と固液相とに分離する。高圧気液分離器5として、例えば重力や遠心力を利用する公知の気液分離器を用いることができる。高圧気液分離器5の圧力は、例えば8MPaG以上17MPaG以下であり、高圧気液分離器5の加熱温度は、例えば380℃以上420℃以下である。この固液相には、重質油成分(重質反応生成物)及び固体(コーク及び鉄系触媒B)が含まれているが、これらの他に軽質油成分も含まれている。なお、上記重質油成分は、沸点が525℃以上の油成分であり、上記軽質油成分は、上記重質油成分以外の油成分であって上記重質油成分よりも沸点が低いものである。
低圧気液分離器6は、高圧気液分離器5で分離された固液相を高温低圧で気相と固液相とに分離する。低圧気液分離器6として、例えば重力や遠心力を利用する公知の気液分離器を用いることができる。低圧気液分離器6の圧力は、例えば0.1MPaG以上1MPaG以下であり、低圧気液分離器6の加熱温度は、例えば360℃以上400℃以下である。
減圧気液分離器7は、低圧気液分離器6で分離された固液相を気相と固液相Fとに分離する。減圧気液分離器7として、例えば重力や遠心力を利用する公知の気液分離器を用いることができる。減圧気液分離器7の圧力は、例えば5mmHG以上50mmHG以下であり、減圧気液分離器7の加熱温度は、例えば330℃以上370℃以下である。固液相Fには、重質油成分(重質反応生成物)及び固体が含まれているが、これらの他に軽質油成分も含まれている。なお、減圧気液分離器7から排出される固液相Fは、軽質油成分に上記重質油成分が溶解し、この油成分に固体が混ざった状態のものである。
<循環部>
当該水素化分解油製造装置の循環部は、第2ポンプ9と、第2ポンプ9及びスラリー調製槽1間の配管とを有する。第2ポンプ9は、減圧気液分離器7で分離された固液相Fの一部をスラリー調製槽1へ循環させると共に、上記固液相Fの残部を混合物調製槽8に供給するためのポンプである。
混合物調製槽8は、減圧気液分離器7で分離された固液相Fと固液分離用溶剤Gとを混合し混合物Hを得るための槽である。また、混合物調製槽8は撹拌機8aを備える。
第3ポンプ11は、混合物調製槽8で混合された混合物Hを遠心分離器10に供給する
ためのポンプである。
<遠心分離部>
当該水素化分解油製造装置の遠心分離部は、遠心分離器10、オーバーフロー溶剤回収装置12及びアンダーフロー溶剤回収装置13を有する。
遠心分離器10は、固体と液体との比重差を利用して、遠心分離により上記混合物Hを固液分離する。具体的には、遠心分離器10は、回転子の回転により内部に供給される混合物Hに遠心力を付加し、混合物H中の固体粒子の外周側への移動速度を速くし、固形分を外周側へ移動させる。遠心分離器10は、このように混合物Hの固形分を外周側へ移動させることにより、混合物Hを液相と固形分とに分離する。このようにして遠心分離器10内の外周側に分離された混合物Hの固形分は、固形分排出用出口から排出され、遠心分離器10の内側に分離された混合物Hの液相は、液相排出用出口から排出される。遠心分離器10は、上記混合物Hを固液分離できるものであればよく、例えば沈降固体を機械的に排出できるデカンタ型の遠心分離器を用いることができる。また、遠心分離器10は、混合物Hをバッチ式で処理するものであってもよいし、連続的に処理するものであってもよいが、連続的に処理した方が処理量当たりの分離時間を短縮できる。
オーバーフロー溶剤回収装置12は、遠心分離器10で分離された液相が供給され、この液相から固液分離用溶剤Gを分離し、この分離した固液分離用溶剤Gを混合物調製槽8に供給し再利用する。オーバーフロー溶剤回収装置12は、例えば加熱により上記液相に含まれる固液分離用溶剤Gを気化させた後、その気化した固液分離用溶剤Gを冷却することにより固液分離用溶剤Gを分離する。後述するように、固液分離用溶剤Gが含有する成分の沸点は240℃以下なので、240℃以上に加熱できる乾燥器などをオーバーフロー溶剤回収装置12として用いることができる。オーバーフロー溶剤回収装置12で固液分離用溶剤Gを分離した後の流体の一部はスラリー調製槽1へ循環され、その流体の残部は蒸留塔16へ供給される。
アンダーフロー溶剤回収装置13は、遠心分離器10で分離された固形分が供給され、この固形分から固液分離用溶剤Gを分離し、この分離した固液分離用溶剤Gを混合物調製槽8に供給し再利用する。アンダーフロー溶剤回収装置13は、例えば加熱により上記固形分に含まれる固液分離用溶剤Gを気化させた後、その気化した固液分離用溶剤Gを冷却することにより固液分離用溶剤Gを分離する。従って、アンダーフロー溶剤回収装置13として、240℃以上に加熱できる乾燥器などを用いることができる。アンダーフロー溶剤回収装置13で固液分離用溶剤Gを分離した後の固形物は、スラッジJとして排出される。
高圧低温気液分離器14は、高圧気液分離器5で分離された気相が供給され、この気相をさらに気相と液相とに分離する。高圧低温気液分離器14として、例えば重力や遠心力を利用する公知の気液分離器を用いることができる。高圧低温気液分離器14で分離された気相は、ガス精製装置15へ供給される。また、高圧低温気液分離器14で分離された液相は、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7で分離された気相と共に蒸留塔16に供給される。
<ガス精製部>
水素化分解油製造装置のガス精製部は、ガス精製装置15を有する。ガス精製装置15は、高圧低温気液分離器14で分離された気相からガスKを精製する。ガス精製装置15は、例えば上記気相に含まれる不要なガスを吸着塔などで吸着させ、必要な成分のガスを精製する。例えば水素ガスを精製する場合、水素ガス以外の不要ガスであるCO、CH、HO及びCO等を吸着する吸着剤を吸着塔に充填することにより、高純度の水素ガスが精製できる。ガス精製装置15で精製されたガスKは、一部は燃料ガスとして利用され、残部はリサイクルガスとして懸濁床反応器4の冷却用ガスに利用される。
<分留部>
水素化分解油製造装置の分留部は、蒸留塔16を有する。蒸留塔16は、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7で分離された気相、高圧低温気液分離器14で分離された液相、オーバーフロー溶剤回収装置12で固液分離用溶剤Gを分離した後の流体が供給され、これらを所定の留分に分留する。蒸留塔16として、例えば公知の棚段式の蒸留塔を用いることができる。例えば上記気相、液相及び流体を350℃程度に熱した後にこれらを蒸留塔16内に供給し、蒸留塔16内で石油蒸気とし、この石油蒸気の冷却後、沸点の低いものから高いものへと順に分離する。これにより、例えば図1に示すようにナフサL、灯油M、軽油N、減圧軽油Pが順に分離され、抜き出される。また、蒸留塔16下部から無灰残渣Qが抜き出される。
(固液分離用溶剤)
上記混合物調製槽8で固液相Fと混合する固液分離用溶剤Gは、芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分を含有する。
固液分離用溶剤Gにおける芳香族軽質溶剤の含有量は10質量%超であり、芳香族軽質溶剤の含有量の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。また、芳香族軽質溶剤の含有量は、80質量%未満が好ましく、芳香族軽質溶剤の含有量の上限としては、60質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。芳香族軽質溶剤の含有量が上記下限に満たないと、固液相Fからの固体の抽出性が低下して十分な分離性が得られないおそれがある。逆に、芳香族軽質溶剤の含有量が上記上限を超えると、沈降速度が低下して水素化分解油の製造時間が長くなるおそれがあると共に、芳香族軽質溶剤は高価であるため水素化分解油の製造コストが増加するおそれがある。
固液分離用溶剤Gにおけるナフサ留分の含有量は10質量%超であり、ナフサ留分の含有量の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。一方、ナフサ留分の含有量の上限としては、75質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。ナフサ留分の含有量が上記下限に満たないと、沈降速度が低下して水素化分解油の製造時間が長くなるおそれがある。逆に、ナフサ留分の含有量が上記上限を超えると、固液相Fからの固体の抽出性が低下して、固体の凝集により遠心分離器10下部に閉塞が生じ易くなるおそれがある。
固液分離用溶剤Gにおける灯油留分の含有量は10質量%超であり、灯油留分の含有量の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。一方、灯油留分の含有量の上限としては、75質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。灯油留分の含有量が上記下限に満たないと、芳香族軽質溶剤による沈降速度低下作用を十分に抑制できず、水素化分解油の製造時間が長くなるおそれがある。逆に、灯油留分の含有量が上記上限を超えると、固液分離用溶剤Gを回収する際に必要な熱量が大きくなるため、運転コストが増加するおそれがある。
なお、固液分離用溶剤Gは、上記範囲内の芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ含有していれば、これら以外の成分を含んでいてもよい。固液分離用溶剤Gに上記範囲内の芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ含有させることで、固液相Fからの固体の抽出性、沈降性、固液分離用溶剤Gのハンドリング性及び回収性等をバランスよく得ることができる。さらに、固液分離用溶剤Gにおける芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分の含有量を略等しくすることで、上記各効果をよりバランスよく得ることができる。つまり、固液分離用溶剤Gは、芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分を1/3ずつ含有することが特に好ましい。
固液分離用溶剤Gが含有する芳香族軽質溶剤としては、沸点150℃以下の単一成分又はそれらの混合成分のものが好ましい。芳香族軽質溶剤として沸点が150℃を超えるものを用いると、抽出性を向上させるために遠心分離器10内の温度を高くする必要があるため、固液分離のための処理コストが増加するおそれがある。沸点150℃以下の芳香族軽質溶剤として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることができる。
固液分離用溶剤Gが含有するナフサ留分としては、沸点が80℃以上180℃以下のものが好ましく、固液分離用溶剤Gが含有する灯油留分としては、沸点が180℃超240℃以下のものが好ましい。沸点が80℃未満のナフサ留分を用いると、固液分離用溶剤Gの蒸気圧が高くなり過ぎ、この蒸気圧に対応するために設備コストが増加するおそれがある。また、沸点が240℃を超える灯油留分を用いると、オーバーフロー溶剤回収装置12及びアンダーフロー溶剤回収装置13で固液分離用溶剤Gを回収する際に必要な熱量が大きくなるため、運転コストが増加するおそれがある。
[水素化分解油製造方法]
当該水素化分解油の製造方法は、重金属成分を含有する石油系重質油を原料とする水素化分解油の製造方法である。当該水素化分解油の製造方法は、上記石油系重質油A、鉄系触媒B及び水素ガスCを混合する工程と、上記混合工程後に懸濁床反応器4中で上記石油系重質油Aを水素化分解する工程と、上記水素化分解工程後の反応生成物Eを多段の気液分離器5,6,7で気液分離する工程と、上記気液分離工程で得られた固液相Fの一部を上記混合工程に循環する工程と、上記循環工程後の固液相Fの残部及び固液分離用溶剤Gの混合物Hを遠心分離器10で固液分離する工程とを主に備える。また、当該水素化分解油の製造方法は、上記気液分離工程で分離された気相からガスを精製する工程と、上記気液分離工程で得られた気相及び固液分離工程で得られた液相を分留する工程とを備える。
<混合工程>
混合工程では、石油系重質油A、鉄系触媒B及び水素ガスCを混合する。具体的には、スラリー調製槽1において石油系重質油A及び鉄系触媒Bをスラリー調製槽1に供給する。スラリー調製槽1が、撹拌機1aを用いて上記石油系重質油A及び鉄系触媒Bを混合することで、石油系重質油A及び鉄系触媒Bを含むスラリーを得る。このように混合して得たスラリーと水素ガスCとを配管中で混合することにより原料スラリーDが得られる。この原料スラリーDを予熱器2を介して懸濁床反応器4に供給する。
石油系重質油Aとしては、特に限定されないが、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油等の石油系重質油を用いることができる。また、天然に存在するビチューメン(タールサンド、オイルサンド等)のような超重質油を用いることもできる。
鉄系触媒Bとしては、石油系重質油Aの水素化分解反応に対する触媒として活性が高いものであれば特に限定されないが、例えばリモナイト鉄鉱石触媒、パイライト、ヘマタイト、硫酸鉄、赤泥等を挙げることができる。これらの中でもリモナイト鉄鉱石触媒が好ましい。リモナイト鉄鉱石触媒は、パイライト、ヘマタイト、硫酸鉄等の鉄系触媒に比べて高活性であり、かつ天然で採取される安価な触媒である。
鉄系触媒Bの平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、0.3μmがより好ましい。一方、鉄系触媒Bの平均粒子径の上限としては、2μmが好ましく、1.2μmがより好ましい。鉄系触媒Bの平均粒子径が上記下限に満たないと、このような平均粒子径の小さい鉄系触媒Bを得るための機械的粉砕に時間を要し、水素化分解の処理効率が低下するおそれがある。逆に、鉄系触媒Bの平均粒子径が上記上限を超えると、鉄系触媒Bの実効表面積が不足し触媒活性が低くなるため、水素化分解油の収率を十分に向上できないおそれがある。
上記混合工程における石油系重質油Aに対する鉄系触媒Bの質量比の下限としては、鉄換算で0.003が好ましく、0.005がより好ましい。一方、上記質量比の上限としては、鉄換算で0.02が好ましく、0.015がより好ましい。上記質量比が上記下限に満たないと、コーク生成量が急激に高くなる傾向があり、コークの生成を十分に抑制できないおそれがある。逆に、上記質量比が上記上限を超えると、水素化分解の処理コストが大きくなるおそれがある。
予熱器2においてスラリー調製槽1で混合されたスラリーを加熱する温度としては、水素化分解反応が開始する温度付近とするとよい。
<水素化分解工程>
水素化分解工程では、懸濁床反応器4内で原料スラリーD中の石油系重質油Aを水素ガスCにより水素化分解する。この水素化分解により、反応生成物Eが得られる。
懸濁床反応器4における水素化分解の反応圧力(水素ガス供給圧力)の下限としては、5MPaが好ましく、7MPaがより好ましい。一方、水素化分解の反応圧力の上限としては、20MPaが好ましく、17MPaがより好ましい。水素化分解の反応圧力が上記下限に満たないと、水素分圧が小さくなりコーク生成量が増大するため、鉄系触媒Bの触媒活性が低下するおそれがある。逆に、水素化分解の反応圧力が上記上限を超えると、増圧による反応促進効果が得られず、水素化分解の処理コストが大きくなるおそれがある。なお、反応圧力は、混合工程において供給する水素ガスCの量によって調整することができる。
懸濁床反応器4における水素化反応温度の下限としては、400℃が好ましく、430℃がより好ましい。一方、水素化反応温度の上限としては、480℃が好ましく、455℃がより好ましい。水素化反応温度が上記下限に満たないと、水素化分解反応が進み難く、軽質化された油を十分に得られないおそれがある。逆に、水素化反応温度が上記上限を超えると、熱分解反応によりコーク生成量が増加し易く、鉄系触媒Bの触媒活性が低下するおそれがある。
懸濁床反応器4における水素化反応時間の下限としては、30分が好ましく、60分がより好ましい。一方、水素化反応時間の上限としては、180分が好ましく、120分がより好ましい。水素化反応時間が上記下限に満たないと、軽質化された油を十分に得られないおそれがある。逆に、水素化反応時間が上記上限を超えると、時間の増加に対して得られる軽質化された油の増量が少なくなり、水素化分解油の製造効率が悪化するおそれがある。
<気液分離工程>
気液分離工程では、懸濁床反応器4で得られた反応生成物Eを多段の気液分離器を用いて気液分離する。具体的には、気液分離工程は、それぞれ異なる気液分離器を用いて気液分離を行う第1工程、第2工程及び第3工程を有する。気液分離工程は、第1工程、第2工程及び第3工程の順に気液分離を行う。第1工程、第2工程及び第3工程は、圧力及び温度条件がこの順で低下する異なる気液分離器を用いて気液分離する。
(第1工程)
第1工程では、上記水素化分解工程後の反応生成物Eを高圧気液分離器5により気液分離する。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で高圧気液分離器5により分離された固液相を低圧気液分離器6により気液分離する。
(第3工程)
第3工程では、第2工程で低圧気液分離器6により分離された固液相を減圧気液分離器7により気液分離する。
<循環工程>
循環工程では、上記気液分離工程で得られた固液相Fの一部を上記混合工程に循環する。具体的には、気液分離工程の第3工程で減圧気液分離器7により分離された固液相Fの一部を第2ポンプ9により、配管を介してスラリー調製槽1に供給する。これにより、固液相Fに含まれる鉄系触媒Bが再利用される。
定常状態において、原料スラリーDにおける石油系重質油Aに対する鉄系触媒Bの質量割合の下限としては、2質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。一方、上記原料スラリーDにおける鉄系触媒Bの質量割合の上限としては、11質量%が好ましく、6質量%がより好ましい。上記原料スラリーDにおける鉄系触媒Bの質量割合が上記下限に満たないと、鉄系触媒Bの供給量が不十分となり、水素化分解油の収率が低下するおそれがある。逆に、上記原料スラリーDにおける鉄系触媒Bの質量割合が上記上限を超えると、新規に供給される鉄系触媒B又は再利用される鉄系触媒Bの供給量を多くする必要があり、水素化分解の処理コストが増加するおそれがある。ここで「定常状態」とは、懸濁床反応器4内の鉄系触媒Bの総量が装置立ち上げ時等の過渡状態を脱した状態を指し、例えば時間の経過に伴い多少の増減はあるものの、懸濁床反応器4内の鉄系触媒Bの総量の単位時間当たりの変動率が10質量%以下に収まる状態である。
<固液分離工程>
固液分離工程では、上記循環工程後の固液相Fの残部と固液分離用溶剤Gとの混合物Hを遠心分離器10により固液分離する。具体的には、混合物調製槽8で固液相Fと固液分離用溶剤Gとが混合された混合物Hが第3ポンプ11により遠心分離器10に供給され、遠心分離器10がこの混合物Hを固液分離する。なお、混合物調製槽8は、減圧気液分離器7により分離された固液相Fのうち、循環工程で循環利用された一部を除く残部が第2ポンプ9により供給され、撹拌機8aを用いて固液相Fと固液分離用溶剤Gとを混合して混合物Hを生成する。
また、固液分離工程では、遠心分離器10で分離した液相及び固形分から固液分離用溶剤Gを回収し、この回収した固液分離用溶剤Gを固液分離工程へ循環する。具体的には、オーバーフロー溶剤回収装置12により、遠心分離器10で分離された液相から固液分離用溶剤Gを分離し、この分離した固液分離用溶剤Gを混合物調製槽8に供給する。また、アンダーフロー溶剤回収装置13により、遠心分離器10で分離された固形物から固液分離用溶剤Gを分離し、この分離した固液分離用溶剤Gを混合物調製槽8に供給する。これにより、固液分離用溶剤Gが循環利用される。
上記混合物Hにおける固液相Fの質量に対する固液分離用溶剤Gの質量比の下限としては、0.5が好ましく、1がより好ましく、1.5がさらに好ましい。一方、上記質量比の上限としては、4が好ましく、3がより好ましく、2.5がより好ましい。上記質量比が上記下限に満たないと、十分な分離性が得られないおそれがある。逆に、上記質量比が上記上限を超えると、固液分離用溶剤Gの使用量が多くなり、水素化分解油の製造コストが増加するおそれがある。
固液分離工程での遠心分離器10内の混合物Hの温度の下限としては、40℃が好ましく、70℃がより好ましい。一方、遠心分離器10内の混合物Hの温度の上限としては、130℃が好ましく、120℃がより好ましい。遠心分離器10内の混合物Hの温度が上記下限に満たないと、重質分が流動せず溶解し難いため、十分な抽出性が得られないおそれがある。逆に、遠心分離器10内の混合物Hの温度が上記上限を超えると、固液分離用溶剤Gが蒸発して遠心分離器10内の圧力が上昇し易くなるので、この圧力の上昇に対応するために設備コストが増加するおそれがある。
固液分離工程での遠心分離器10内の混合物Hの滞留時間の上限としては、60秒が好ましく、45秒がより好ましく、30秒がさらに好ましい。一方、混合物Hの滞留時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましく、20秒がさらに好ましい。混合物Hの滞留時間が上記上限を超えると、遠心分離器内の容量を大きくしなければならず、遠心分離器が大型となるおそれがある。逆に、混合物Hの滞留時間が上記下限に満たないと、十分に固液分離できないおそれがある。
固液分離工程での遠心分離器10の遠心力としては、2500G以下が好ましく、2200G以下がより好ましく、2000G以下がさらに好ましい。固液分離工程での遠心力は、高いほど分離能力が向上するが、固液分離工程での遠心力が上記上限を超えると、遠心分離器10が大型となり、設備コストが増加するおそれがある。
<ガス精製工程>
ガス精製工程では、ガス精製装置15により、高圧低温気液分離器14で分離された気相からガスKを精製する。なお、高圧低温気液分離器14は、高圧気液分離器5で分離された気相をさらに高圧低温で気液分離し、その分離した気相をガス精製装置15に供給する。
<分留工程>
分留工程では、上記気液分離工程で得られた気相及び上記固液分離工程で得られた液相を分留する。具体的には、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7で分離された気相、高圧低温気液分離器14で分離された液相、オーバーフロー溶剤回収装置12で固液分離用溶剤Gを分離した後の液相が蒸留塔16に供給され、蒸留塔16によりこれらをナフサL、灯油M、軽油N、減圧軽油P、無灰残渣Q等に分留する。
上記固液分離用溶剤Gのナフサ留分及び灯油留分として上記分留工程で得られたナフサL及び灯油Mを用いるとよい。このように、固液分離用溶剤Gのナフサ留分及び灯油留分として当該水素化分解油製造方法の分留工程で得られたものを用いることにより、ナフサ留分及び灯油留分の調達及び輸送が容易となると共に、固液分離用溶剤Gのコストを低減できる。
なお、当該水素化分解油製造装置の運転開始時には、分留工程で得られたナフサL及び灯油Mが存在しないため、最初の固液分離用溶剤Gに含有させるナフサ留分及び灯油留分として、例えば他の水素化分解油製造装置で得たナフサL及び灯油Mを用いてもよい。また、固液分離用溶剤Gとしてナフサ留分及び灯油留分を含有させずに運転を開始し、当該水素化分解油製造装置によりナフサL及び灯油Mが分留された時点で、固液分離用溶剤Gにその分留されたナフサL及び灯油Mを添加するようにしてもよい。
[利点]
当該水素化分解油の製造方法は、固液分離用溶剤Gが、芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ10質量%超含有することにより、芳香族軽質溶剤による沈降性の低下作用及びナフサ留分による抽出性の低下作用を抑制できる。これにより、当該水素化分解油の製造方法は、気液分離工程で得られた固液相Fの残部と固液分離用溶剤Gとの混合物Hを固液分離する固液分離工程での分離性を高くすると共に沈降時間を短縮できる。また、当該水素化分解油の製造方法は、遠心分離器10により混合物Hを固液分離するので、比較的高温及び高圧の条件を必要とせず固液分離装置の大型化を抑制できるため、設備コストを低減できる。
〔その他の実施形態〕
なお、本発明の水素化分解油の製造方法及び水素化分解油の製造装置は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば上記実施形態では、多段の気液分離器として、高圧気液分離器5、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7の3段の気液分離器を用いることとしたが、2段の気液分離器で構成してもよいし、4段以上の気液分離器で構成してもよい。気液分離器の段数が多いほど気液分離に要する時間は長くなるが、分離性を向上させ易くなる。
また、上記実施形態では、蒸留塔により、ナフサ、灯油、軽油、減圧軽油及び無灰残渣Qが分留されることとしたが、少なくともナフサ及び灯油が分留されればよく、これ以外の油分は分留しなくてもよい。また、これら以外の油分が分留されてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1の水素化分解油製造装置において、スラリー調製槽1に重金属成分を含有する石油系重質油A及び鉄系触媒Bを供給し、スラリー調製槽1で混合されたスラリーに水素ガスCを供給して原料スラリーDを得た。この原料スラリーDを予熱器2で予熱した後、懸濁床反応器4に供給した。ここで、上記石油系重質油Aとして減圧蒸留残渣(以下、VRという)を用い、鉄系触媒Bとしてリモナイト鉄鉱石触媒を用いた。このリモナイト鉄鉱石触媒の添加量は、減圧蒸留残渣の質量に対して鉄換算で1質量%とした。このリモナイト鉄鉱石触媒の平均粒子径は1.05μmであった。懸濁床反応器4での水素化分解反応の条件は、反応圧力12MPa、反応温度450℃、反応時間90分とした。
次に、懸濁床反応器4で生成した反応生成物Eを高圧気液分離器5に供給し、高圧気液分離器5、低圧気液分離器6及び減圧気液分離器7により順に気液分離を行い、気相及び固液相に分離した。ここで、各気液分離器の温度条件は、高圧気液分離器5では、圧力12MPaG、温度400℃とし、低圧気液分離器6では、圧力0.3MPaG、温度380℃とし、減圧気液分離器7では、圧力10mmHG、温度350℃とした。このようにして低圧気液分離器6の下部から得られた固液相F(VR、減圧蒸留残渣)と固液分離用溶剤Gとを混合し、この混合物Hを遠沈管容積250mLの遠心分離器10(株式会社久保田製作所の「テーブルトップ遠心機5100」)で上澄み液と沈降物(ケーキ)とに分離した。この上澄み液及びケーキは、それぞれ上記実施形態での遠心分離器10で分離された液相及び固形分に相当する。上記固液分離用溶剤Gは、上記減圧蒸留残渣に対して表1に示す質量割合の芳香族軽質溶剤、ナフサ留分及び灯油留分を含有するものを混合した。ここでは、芳香族軽質溶剤としてトルエンを用いた。上記固液分離は、遠心分離器10の遠心力2000G、遠心分離器10内の上記混合物の温度100℃とし、30秒間行った。このようにして固液分離する方法を実施例1とし、固液分離された上記上澄み液及びケーキのそれぞれに含まれる固形分濃度を測定した。このとき得られる固形分は、トルエンの不溶分であるアスファルテン及び鉄系触媒Bである。この測定結果を表1に示す。なお、表1の「溶剤/減圧蒸留残渣質量比」は、上記混合物における減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比を示す。また、表1の「固液分離溶剤中含有量」に示す質量割合は、固液分離用溶剤における各成分の質量割合、すなわち固液分離用溶剤中の各成分の配合比を示す。
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様の配合比の固液分離用溶剤を用い、減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比が0.9となるよう混合した混合物を用いた以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例3)
実施例3は、実施例1と同様の配合比の固液分離用溶剤を用い、減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比が3.6となるよう混合した混合物を用いた以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例4)
実施例4は、上記減圧蒸留残渣に対して表1に示す質量割合のトルエン、ナフサ留分及び灯油留分を含有するものを混合し、固液分離時の遠心分離器10内での滞留時間を50秒とした以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例5)
実施例5は、上記減圧蒸留残渣に対して表1に示す質量割合のトルエン、ナフサ留分及び灯油留分を含有するものを混合した以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例6)
実施例6は、固液分離時の遠心分離器10内の混合物の温度を60℃とした以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例7)
実施例7は、固液分離時の遠心分離器10での滞留時間を15秒とした以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例8)
実施例8は、固液分離時の遠心分離器10の遠心力を1500Gとした以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(実施例9)
実施例9は、リモナイト鉄鉱石触媒として平均粒子径2.5μmのものを用い、減圧蒸留残渣の質量に対するリモナイト鉄鉱石触媒の添加量を鉄換算で2.5質量%とした以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(比較例1〜比較例4)
比較例1〜比較例4は、それぞれ上記減圧蒸留残渣に対して表1に示す質量割合のトルエン、ナフサ留分及び灯油留分を含有するものを混合した混合物を用いた以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
(比較例5)
比較例5は、上記減圧蒸留残渣に混合する固液分離用溶剤としてトルエンを用いた以外は実施例1と同様の方法により固液分離を行った。
実施例2〜実施例9及び比較例1〜比較例5のそれぞれにおいて、実施例1と同様に固液分離された上澄み液及びケーキのそれぞれに含まれる固形分濃度を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 0006715709
<評価結果>
表1の結果より、実施例1〜実施例9でのケーキ中の固形分濃度は40質量%以上と大きく、遠心分離器により、固形分としてアスファルテン及び鉄系触媒Bを十分に分離できたことがわかる。一方、比較例1〜比較例5でのケーキ中の固形分濃度は40質量%未満であり、遠心分離器によりアスファルテン及び鉄系触媒Bを十分には分離できていない。このことから、トルエン、ナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ10質量%超含有する固液分離用溶剤を用いることで、固形分の抽出性を向上できることが確認できた。ここで、比較例1及び比較例5でのケーキ中の固形分濃度は35質量%及び36質量%程度と比較的大きいが、比較例1及び比較例5は固液分離用溶剤のトルエンの含有量を極めて大きくしたものである。トルエンはナフサ留分に比べて数倍高価であるため、比較例1及び比較例5では固液分離用溶剤が高価となり過ぎるため実用的ではない。
また、表1の結果より、実施例1〜実施例9での上澄み液中の固形分濃度は1.2質量%以下と非常に小さく、このことからも、実施例1〜実施例9では、遠心分離器により固形分としてアスファルテン及び鉄系触媒Bが十分に分離できたことがわかる。
実施例1及び実施例2の結果を比較すると、これらはトルエン、ナフサ留分及び灯油留分の含有量が1/3ずつである同じ配合比の固液分離用溶剤を使用しているが、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。これは、固液分離用溶剤における減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比が、実施例1に比べて実施例2の方が小さいため、実施例2の抽出性が実施例1より低下したためである。このことから、上記固液分離用溶剤の質量比を1.5以上とすることで、分離性を向上できることがわかる。
実施例1及び実施例3の結果を比較すると、これらのケーキ中の固形分濃度は同等である。実施例1及び実施例3は、トルエン、ナフサ留分及び灯油留分の配合比が同じ固液分離用溶剤を使用しているが、固液分離用溶剤における減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比が、実施例1に比べて実施例3の方が大きい。このことより、上記固液分離用溶剤の質量比は、実施例3での質量比に近い程度まで大きくなると、さらに大きくしても抽出性の向上効果の増加が小さくなるといえる。従って、上記固液分離用溶剤の質量比を4以下となる範囲で調整することで、固液分離用溶剤の使用量を抑制しつつ高い抽出性が得られることがわかる。
実施例1及び実施例4の結果を比較すると、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。実施例1及び実施例4は、固液分離用溶剤における減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比は略等しいが、固液分離用溶剤中の各成分の配合比が異なる。固液分離用溶剤中のトルエンの含有量は実施例1よりも実施例4の方が大きいが、上述したようにケーキ中の固形分濃度は実施例1の方が大きい。これは、トルエンの抽出性向上作用よりも沈降速度低下作用の方が大きく影響したために、実施例4のケーキ中の固形分濃度が実施例1よりも小さくなったといえる。このことから、固液分離用溶剤中のトルエンの含有量を60質量%以下とし、ナフサ留分及び灯油留分の含有量を共に20質量%以上とすることで、分離性をより向上できることがわかる。また、固液分離用溶剤におけるトルエン、ナフサ留分及び灯油留分の含有量を等しくすることで、分離性が向上し易いことがわかる。
実施例1及び実施例5の結果を比較すると、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。実施例1及び実施例5は、固液分離用溶剤における減圧蒸留残渣に対する固液分離用溶剤の質量比は略等しいが、固液分離用溶剤中の各成分の配合比が異なる。固液分離用溶剤中のトルエンの含有量は、実施例1の方が実施例5よりも大きい。これは、抽出性向上効果の大きいトルエンの含有量が小さいために、実施例5のケーキ中の固形分濃度が実施例1よりも小さくなったといえる。このことから、固液分離用溶剤中のトルエンの含有量を30質量%以上とすることで、分離性をより向上できることがわかる。
実施例1及び実施例6の結果を比較すると、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。実施例1及び実施例6は、遠心分離器での混合物の温度のみが異なる。実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高かったのは、実施例6の方が遠心分離器での混合物の温度が低かったことで重質分の流動が小さかったためといえる。この結果より、遠心分離器での混合物の温度を70℃以上とすることで、分離性をより向上できることがわかる。
実施例1及び実施例7の結果を比較すると、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。実施例1及び実施例7は、遠心分離器での混合物の滞留時間のみが異なる。この結果より、遠心分離器での混合物の滞留時間を20秒以上とすることで、分離性をより向上できることがわかる。
実施例1及び実施例8の結果を比較すると、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。実施例1及び実施例8は、固液分離時の遠心分離器の遠心力のみが異なる。この結果より、遠心分離器の遠心力を1600G以上とすることで、分離性をより向上できることがわかる。
実施例1及び実施例9の結果を比較すると、実施例1の方がケーキ中の固形分濃度が高い。実施例1及び実施例9は、リモナイト鉄鉱石触媒の平均粒子径及び減圧蒸留残渣に対する添加量のみが異なる。この結果より、リモナイト鉄鉱石触媒の平均粒子径を2μm以下とし、減圧蒸留残渣の質量に対するリモナイト鉄鉱石触媒の質量比を鉄換算で0.02以下とすることで、抽出性をより向上できることがわかる。
以上説明したように、当該水素化分解油の製造方法及び水素化分解油の製造装置により、水素化分解工程で生じるコークを沈降固液分離により選択的に除去する時間を短縮でき、かつ設備コストを低減できるので、石油系重質油から軽質油を製造する装置等として好適に用いることができる。
1 スラリー調製槽
1a 撹拌機
2 予熱器
3 第1ポンプ
4 懸濁床反応器
5 高圧気液分離器
6 低圧気液分離器
7 減圧気液分離器
8 混合物調製槽
8a 撹拌機
9 第2ポンプ
10 遠心分離器
11 第3ポンプ
12 オーバーフロー溶剤回収装置
13 アンダーフロー溶剤回収装置
14 高圧低温気液分離器
15 ガス精製装置
16 蒸留塔
A 石油系重質油
B 鉄系触媒
C 水素ガス
D 原料スラリー
E 反応生成物
F 固液相
G 固液分離用溶剤
H 混合物
J スラッジ
K ガス
L ナフサ
M 灯油
N 軽油
P 減圧軽油
Q 無灰残渣

Claims (7)

  1. 重金属成分を含有する石油系重質油を原料とする水素化分解油の製造方法であって、
    上記石油系重質油、鉄系触媒及び水素ガスを混合する工程と、
    上記混合工程後に懸濁床反応器中で上記石油系重質油を水素化分解する工程と、
    上記水素化分解工程後の反応生成物を多段の気液分離器で気液分離する工程と、
    上記気液分離工程で得られた固液相の一部を上記混合工程に循環する工程と、
    上記循環工程後の固液相の残部及び固液分離用溶剤の混合物を遠心分離器で固液分離する工程と
    を備え、
    上記固液分離用溶剤が、芳香族軽質溶剤、水素化分解法により得られるナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ10質量%超含有し、
    上記混合物における上記固液相の残部の質量に対する固液分離用溶剤の質量比が0.5以上4以下であり、
    上記固液分離工程での遠心分離器内の混合物の温度が40℃以上130℃以下、滞留時間が60秒以下であることを特徴とする水素化分解油の製造方法。
  2. 上記気液分離工程が、
    上記水素化分解工程後の反応生成物を高圧気液分離器により気液分離する第1工程と、
    上記第1工程で分離された固液相を低圧気液分離器により気液分離する第2工程と、
    上記第2工程で分離された固液相を減圧気液分離器により気液分離する第3工程と
    を有する請求項1に記載の水素化分解油の製造方法。
  3. 上記気液分離工程で得られた気相及び固液分離工程で得られた液相を分留する工程をさらに備え、
    上記固液分離用溶剤のナフサ留分及び灯油留分として上記分留工程で得られたものを用いる請求項1又は請求項2に記載の水素化分解油の製造方法。
  4. 上記芳香族軽質溶剤が沸点150℃以下の単一成分又はそれらの混合成分であり、
    上記ナフサ留分の沸点が80℃以上180℃以下であり、
    上記灯油留分の沸点が180℃超240℃以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の水素化分解油の製造方法。
  5. 上記固液分離工程での遠心分離器内の混合物の滞留時間が30秒以下であり、上記遠心分離器の遠心力が3000G以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水素化分解油の製造方法。
  6. 上記鉄系触媒が平均粒子径2μm以下のリモナイト鉄鉱石触媒であり、
    上記混合工程における石油系重質油の質量に対する鉄系触媒の質量比が、鉄換算で0.003以上0.02以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の水素化分解油の製造方法。
  7. 重金属成分を含有する石油系重質油を原料とする水素化分解油の製造装置であって、
    上記石油系重質油、鉄系触媒及び水素ガスを混合する混合部と、
    上記混合部で得た原料スラリー中の石油系重質油を水素化分解する懸濁床反応部と、
    上記懸濁床反応部で生成された反応生成物を多段で気液分離する気液分離部と、
    上記気液分離部で得られた固液相の一部を上記混合部に循環する循環部と、
    上記気液分離部で得られた固液相の残部及び固液分離用溶剤の混合物を、温度が40℃以上130℃以下、滞留時間が60秒以下で固液分離する遠心分離部と
    を備え、
    上記固液分離用溶剤が、芳香族軽質溶剤、水素化分解法により得られるナフサ留分及び灯油留分をそれぞれ10質量%超含有し、
    上記混合物における上記固液相の残部の質量に対する固液分離用溶剤の質量比が0.5以上4以下であることを特徴とする水素化分解油の製造装置。
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