JP4813933B2 - 石油系重質油の水素化分解方法 - Google Patents

石油系重質油の水素化分解方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、石油系重質油の水素化分解方法に関する技術分野に属するものであり、詳細には、重金属成分を含有する石油系重質油の水素化分解方法に関し、特には、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油のような重金属成分を含有する石油系重質油を触媒の存在下で水添し、高度に軽質化された製品を得る方法に関する技術分野に属するものである。
原油の重質化と需要の軽質化が同時に進行するという需要構造の急激な変化を背景に、不足する軽質製品を余剰の重質油から製造する重質油分解技術が注目されており、有限な石油埋蔵量の減少が不可避の情勢にあってその重要度がますます増大してきている。
これまでに、重質油の熱分解、水素化分解について多くの方法が提案されているが、これらの方法は、減圧残渣油等のような重質油の軽質化に対しては、なんらかの問題点を有している。
即ち、このようなタイプの重質油中には、かなり大量の窒素化合物及び硫黄化合物を含む傾向にあり、さらに、重質油分解を触媒存在下で行わせる場合、極めて有害となりがちな多量の有機金属性不純物を含有する。このような有機金属性不純物(金属不純物)としては、ニッケル(Ni)やバナジウム(V)を含むものが最も多いが、他の金属を含むものも多い。これらの金属不純物は、重質油中のアスファルテン等の比較的高分子量の有機化合物と化学的に結合しており、これらが存在すると、窒素、硫黄及び酸素含有化合物の分解除去に対する触媒活性がかなり阻害される。
触媒を用いずに,減圧残渣油等を処理する方法としては、熱分解方法である、いわゆるコーカー法が知られているが、この方法は、多量に副生するコークスの処理の問題に加えて、過分解によるガス生成量の増加のため、得られる留出油の収率低下が免れない上、芳香族分、オレフィン成分が多く、品質の悪いものになるという欠点を有する。
粒状の触媒を反応器内に充填して行う固定床方式の水素化分解方法では、高度に軽質化を行うと、上述のごとく原料中のアスファルテンやV、Niなどの重金属の影響を受け、副生するコークや重金属が次第に触媒層に沈積し、その結果、触媒の活性低下や触媒層の閉塞をもたらし、長期連続運転に限界がある。
Co-Mo 系等の押出成形粒子触媒を使用して沸騰床方式の反応器で水素化分解を行わせる方法においては、沸騰床反応器内の激しい混合状態により、コーク等の蓄積による圧力損失の増加の問題はなく、また、運転中に触媒の抜き出しと、補給が可能なことから触媒の活性を一定に保ったまま、長期に連続運転ができ、固定床方式に比べ利点を有している。しかしながら、触媒を循環させて運転するため、ポンプ等のメカニカルな問題があり、固定床方式に比べ運転の難しさがある。また、触媒が高価であり、反応圧力は一般的に15〜20MPaGと高く、反応生成物の脱硫、脱窒素は不十分である。さらには、重質油の種類によっては、転化率を向上させると触媒の失活がおこり、頻繁に反応器内触媒を抜き出すと共に、新触媒を反応器に供給するという運転が必要となるため、50〜60%程度に転化率を抑制して運転される。
上記のような従来法の欠点を克服する技術として、石油系重質油を、低廉な使い捨ての鉄系触媒と循環された反応生成重質物と共に、懸濁床(スラリー床)反応器に供給し、水素化分解反応させることにより、90%以上の高転化率を得る方法がある。この方法では、選択した鉄系の触媒活性が極端に悪くない限り、反応圧力を15MPa 以上の高圧にすれば、重質油の種類によらず、温度:440 〜450 ℃、反応時間:60〜90分、循環重質残渣(+525℃)の流量:10〜50質量%(原料の石油系重質油供給量に対する割合)の条件下で90%以上の高転化率が可能である。このような方法(以下、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法ともいう)は、例えば、特開2001−89772 号公報に記載されている。
特開2001−89772 号公報
しかしながら、この方法(鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法)は、反応圧力が高圧であることから、経済性において前述の熱分解法の場合よりも劣り、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法においては低圧化をはかることが重要となる。確かに、天然のリモナイト鉄鉱石触媒等、安価で高活性の鉄系触媒を使用することにより、低圧の圧力として、例えば10MPa の反応圧力とし、かつ、上記に示すような反応温度、反応時間、循環重質残渣流量とした条件下で、90%以上の転化率を得ることは可能である。しかし、重質油の種類(例えば、重質油中のアスファルテンの縮合環数が13以上もある重質油)によっては、水素化分解工程でのコーク〔Toluene Insoluble (トルエン不溶性残渣、即ち、トルエンに不溶性の残渣)である〕(Toluene Insoluble を、以下、TIともいう)の収率が大きく、反応生成重質物の循環(以下、ボトムリサイクルともいう)を行うと、リサイクルする重質残渣(+525℃)中のTI濃度が増大する。このような場合には、TIの分解反応性はほとんどないことから、リサイクル重質残渣の分解性が低下し、ボトムリサイクルの効果が発揮できなくなり、従って、転化率およびオイル収率が低くなる。
TI収率を抑制するためには、反応圧力を高圧にすることが有効であるが、これでは経済性が悪くなる。従って、低圧の反応圧力を指向した場合、低圧の条件下でTI収率が増大しても、リサイクルする重質残渣中のTI濃度を低く保つためには、選択的にTIを系外に抜き出すこと(以下、TI選択的除去ともいう)が必要となる。
選択的にTIを系外に抜き出す方法(以下、TI選択的除去法ともいう)としては、重質残渣(固体を含む)を含む重質反応生成物に軽質の溶剤(以下、軽質溶剤ともいう)を添加し、沈降槽(沈降式の固液分離器)にて、軽質溶剤に溶解するものを沈降槽のオーバーフローから抜き出し、一方、軽質溶剤に不溶なもの(TI: 触媒の固体成分が主体)を沈降槽のアンダーフローから抜き出すという、いわゆる溶剤添加沈降式固液分離法(以下、溶剤添加方式の沈降式固液分離法ともいう)がある。しかし、本方式の沈降式固液分離法においては、上記の添加する軽質溶剤(以下、固液分離用軽質溶剤ともいう)として、水素化分解工程で生成された軽質溶剤、即ち、自製の軽質溶剤(以下、自製軽質溶剤ともいう)のみを使用する場合は、その溶剤の重質有機物に対する溶解力が乏しく、アンダーフロー側で固体が凝集し閉塞のトラブルが起こるためにプロセス化を成し得ない。一方、重質有機物に対し溶解力に富む溶剤としてトルエン等軽質な芳香族性溶剤を使用した場合には、閉塞トラブルの心配は無いが、固形物の沈降速度が極めて遅く、沈降槽を巨大なものにせねばならず、装置費用はより高価なものとなる。また、軽質芳香族性溶剤は一般的にそれとほぼ同等の沸点留分をもつナフサ留分の製造コストに比べて数倍高く、軽質芳香族性溶剤を固液分離工程に単独で使用した場合は、その工程からの本溶剤のロスは多大の処理コスト増大に導く。
TI収率の高い重質油を取り扱う場合に、より経済的なプロセスとするためには、低コストのTI選択的除去法(固液分離法)が望まれる。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法における沈降式固液分離法によるTI選択的除去に際して、沈降槽(沈降式固液分離器)のアンダーフロー側での閉塞のトラブルがなく、かつ、沈降槽巨大化の必要がなく、TI選択的除去をすることができる石油系重質油の水素化分解方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、石油系重質油の水素化分解方法に係わり、特許請求の範囲の請求項1〜記載の石油系重質油の水素化分解方法(第1〜発明に係る石油系重質油の水素化分解方法)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の石油系重質油の水素化分解方法は、懸濁床反応器に重金属成分を含有する石油系重質油および鉄系触媒を供給し、この石油系重質油を水素化分解し、この懸濁床反応器から反応生成物を高圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を低圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を減圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体の一部を前記懸濁床反応器に循環し、一方、この液相流体の残部を固液分離用軽質溶剤と混合して沈降式固液分離器に供給し、固体を沈降させ、この固液分離器の上部より固体成分の少ない流体を抜き出す一方、この固液分離器の下部から固体成分の多い流体を抜き出し、前記固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後、その流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する石油系重質油の水素化分解方法であって、前記固液分離用軽質溶剤として、沸点:150℃以下の単一成分またはそれらの混合成分からなる芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる沸点が80〜180℃の範囲内にある軽質溶剤とを、混合比:30/70〜60/40で混合した溶剤を用いると共に、この溶剤の前記液相流体の残部に対する混合の割合を2〜5倍とし、かつ、前記沈降式固液分離器の温度条件を130〜250℃とすることを特徴とする石油系重質油の水素化分解方法である〔第1発明〕。
請求項記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記懸濁床反応器での反応条件が、反応圧力:6〜14MPaG、反応温度:430〜450℃、反応時間:30〜120分である請求項記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第発明〕。
請求項記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記鉄系触媒が石油系溶剤中で機械的に粉砕された平均粒子径2μm以下のリモナイト鉄鉱石触媒であり、その添加量が石油系重質油の量に対して鉄成分として0.3〜2質量%である請求項1または2記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第発明〕。
請求項記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体であって前記懸濁床反応器に循環する流体の量を、この流体中の沸点: 525℃以上の重質油成分の量が懸濁床反応器への石油系重質油供給量に対して10〜100質量% となる量とする請求項1〜のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第発明〕。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法によれば、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法における沈降式固液分離法によるTI選択的除去に際して、沈降槽(沈降式固液分離器)のアンダーフロー側での閉塞のトラブルがなく、かつ、沈降槽巨大化の必要がなく、TI選択的除去(選択的にToluene Insoluble を系外に抜き出すこと)をすることができるようになる。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法における沈降式固液分離法によるTI選択的除去に際して、固液分離対象の液相流体(固体を含む)に添加する固液分離用軽質溶剤として、芳香族性軽質溶剤と自製軽質溶剤(上記水素化分解方法において得られる軽質溶剤)とを混合した溶剤を用いると共に、この固液分離用軽質溶剤の添加量を前記固液分離対象の液相流体に対する混合の割合で2〜5倍とし、かつ、前記沈降式固液分離器の温度条件を130〜250 ℃とすると、沈降槽(沈降式固液分離器)のアンダーフロー側での閉塞のトラブルがなく、かつ、沈降槽巨大化の必要がなく、TI選択的除去をすることができるようになることがわかった。
本発明(第1発明)は、かかる知見に基づき完成されたものであり、石油系重質油の水素化分解方法に係わるものである。このようにして完成された本発明(第1発明)に係る石油系重質油の水素化分解方法は、懸濁床反応器に重金属成分を含有する石油系重質油および鉄系触媒を供給し、この石油系重質油を水素化分解し、この懸濁床反応器から反応生成物を高圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を低圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を減圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体の一部を前記懸濁床反応器に循環し、一方、この液相流体の残部を固液分離用軽質溶剤と混合して沈降式固液分離器に供給し、固体を沈降させ、この固液分離器の上部より固体成分の少ない流体を抜き出す一方、この固液分離器の下部から固体成分の多い流体を抜き出し、前記固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後、その流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する石油系重質油の水素化分解方法であって、前記固液分離用軽質溶剤として、沸点:150℃以下の単一成分またはそれらの混合成分からなる芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる沸点が80〜180℃の範囲内にある軽質溶剤とを、混合比:30/70〜60/40で混合した溶剤を用いると共に、この溶剤の前記液相流体の残部に対する混合の割合を2〜5倍とし、かつ、前記沈降式固液分離器の温度条件を130〜250℃とすることを特徴とする石油系重質油の水素化分解方法である。
本発明(第1発明)に係る石油系重質油の水素化分解方法によれば、前記知見からもわかるように、沈降槽(沈降式固液分離器)のアンダーフロー側での閉塞のトラブルがなく、かつ、沈降槽巨大化の必要がなく、TI選択的除去をすることができるようになる。
本発明(第1発明)に係る石油系重質油の水素化分解方法において、固液分離用軽質溶剤の添加量を固液分離対象の液相流体(減圧気液分離器にて分離された液相流体の一部)に対する混合の割合で2〜5倍としている。この理由は、下記の点にある。上記固液分離用軽質溶剤の添加量(割合)を2倍未満とすると、沈降式固液分離器での固体成分(コーク、触媒)の沈降速度が遅くて不十分となる。5倍超とすると、経済性が低下して不十分となる。即ち、溶剤は基本的に循環使用されるが、添加する溶剤量が5倍超と多い場合には、系外に流出する損失量も多くなるため、新たに補給する溶剤量が多くなり、経済的に不利となる。
本発明(第1発明)に係る石油系重質油の水素化分解方法において、沈降式固液分離器の温度条件を130 〜250 ℃としているのは、130 ℃未満とすると、沈降式固液分離器での固体成分(コーク、触媒)の沈降速度が遅くて不十分となり、250 ℃超とすると、使用溶剤(固液分離用軽質溶剤)の蒸気圧が高く、使用溶剤を液相に保つためには2MPa 程度以上とする必要があり、ひいては装置費用が高くなるからである。
本発明(第1発明)に係る石油系重質油の水素化分解方法において、固液分離用軽質溶剤としては、前述のように、芳香族性軽質溶剤と自製軽質溶剤(当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤)とを混合した溶剤を用いる。この芳香族性軽質溶剤としては、沸点:150℃以下の単一成分またはそれらの混合成分からなるものを用いる。かかる沸点の芳香族性軽質溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエンがある。
自製軽質溶剤(当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤)であって芳香族性軽質溶剤と混合する自製軽質溶剤としては、沸点が80〜180℃の範囲内にあるものを用いる。この理由は下記の点にある。沸点が80℃未満のものを用いる
と、使用溶剤(固液分離用軽質溶剤)の蒸気圧が高く、装置費用が高くなる。沸点が180℃超のものを用いると、固液分離器の上部より抜き出された流体や、固液分離器の下部から抜き出された流体から、溶剤を分離して回収する際、相当の熱量を必要とし、経済的ではない。
前記固液分離用軽質溶剤での芳香属性軽質溶剤と自製軽質溶剤との混合の比30/70〜60/40である。この理由は下記の点にある。前記比が30/70未満(自製軽質溶剤70%超)の固液分離用軽質溶剤を用いると、沈降式固液分離器の下部で固体の閉塞が起こって運転不能となる可能性がある。前記比が60/40超(自製軽質溶剤40%未満)の固液分離用軽質溶剤を用いると、沈降式固液分離器での固体の沈降速度が遅くなるため、沈降式固液分離器のサイズをより大きくする必要があり、また、芳香族性軽質溶剤の添加量が多くなり、経済的に不利となる。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法において、懸濁床反応器での反応条件に関しては、特には限定されず、例えば、反応圧力:6〜14MPaG、反応温度:430〜450℃、反応時間:30〜120分とする〔第発明〕。なお、この反応圧力はゲージ圧での圧力である。1MPaGは絶対圧では1.1MPaであり、常圧はゲージ圧では0MPaG、絶対圧では0.101MPaである。1MPaG=1×106Paであり、9.80665×104Pa=1kgf/cm2 (即ち、0.980665×105Pa=1kgf/cm2)であるので、0.980665MPa=10kgf/cm2 である。従って、上記の6〜14MPaGは、6×10/0.980665〜14×10/0.980665kgf/cm2である。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法において、鉄系触媒としては、石油系溶剤中で機械的に粉砕された平均粒子径2μm以下のリモナイト鉄鉱石触媒を用い、その添加量が石油系重質油の量に対して鉄成分として0.3〜2質量%であることが望ましい〔第発明〕。この理由は下記の点にある。このようなリモナイト鉄鉱石触媒は、Fe2O3(ヘマタイト)、FeS2 (パイライト)、FeSO4(硫酸鉄)等の鉄系触媒に比べ高活性であり、しかも天然で採取される安価な触媒である。その添加量が0.3質量%未満の場合は、コーク生成量が急激に高くなる傾向があり、2質量%超の場合は、オイル収率がほとんど増加せず、かえってコスト高になる傾向がある。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法においては、固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後、その流体の一部または全部を懸濁床反応器に循環している。この懸濁床反応器に循環する流体の量は、この流体中の沸点:525℃以上の重質油成分の量が懸濁床反応器への石油系重質油供給量に対して10〜100質量%となる量とすることが望ましい〔第発明〕。この理由は下記の点にある。上記循環量が10質量%未満の場合は、オイル収率がほとんど増加せず、ボトムリサイクル効果が発揮されない。上記循環量が100質量%超の場合は、上記循環量10質量%未満の場合よりもオイル収率が格段に高くなるものの、オイル収率の増加率は上記循環量10〜100質量% の場合よりも少なく循環効率が低下する。
本発明において、固液分離用軽質溶剤として芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤(自製軽質溶剤)とを混合した溶剤を用いる。この自製軽質溶剤としては、運転当初は、反応器後流部に位置する各気液分離器にて分離された気相流体と液相流体(この気相流体、及び/又は、この液相流体)を蒸留して得られるナフサ等の軽質油(以下、蒸留で得られる軽質油Aともいう)を用い、これを芳香族性軽質溶剤と混合したものを固液分離用軽質溶剤として用いる。その後は、(a)固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離し、この溶剤(以下、溶剤aという)を固液分離用軽質溶剤として用いるか、固液分離器の下部から抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離し、この溶剤(以下、溶剤bという)を固液分離用軽質溶剤として用いるか、固液分離器の上部及び/又は下部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体を蒸留して得られるナフサ等の軽質油(以下、蒸留で得られる軽質油Bともいう)を芳香族性軽質溶剤と混合したもの(以下、溶剤cという)を固液分離用軽質溶剤として用いるか、上記溶剤a、溶剤b、溶剤cの2種以上を固液分離用軽質溶剤として用いる。更に、その後、これらの溶剤を用いるだけでは固液分離用軽質溶剤の量が不足してきた時点においては、これらの溶剤を用いるだけでなく、蒸留で得られる軽質油Aと芳香族性軽質溶剤とを添加するか、これらを混合したものを添加して固液分離用軽質溶剤の量の不足を補うようにする。
本発明において、固液分離用軽質溶剤として芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤(自製軽質溶剤)とを混合した溶剤を用いる。当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤(自製軽質溶剤)には、上記軽質油Aや軽質油Bがある(含まれる)他、上記溶剤a、溶剤b、溶剤c中の軽質溶剤(芳香族性軽質溶剤を除く)も含まれる。
本発明において、懸濁床反応器から反応生成物を高圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。この液相流体には、重質油成分(重質反応生成物)、固体(コーク、触媒)が含まれているが、これらの他に軽質油成分も含まれている。なお、上記重質油成分は、沸点:+525℃(525 ℃以上)の油成分であり、上記軽質油成分は、上記重質油成分以外の油成分であって上記重質油成分よりも沸点が低いものである。
上記液相流体を低圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を減圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。この液相流体には、重質油成分(重質反応生成物)、固体が含まれているが、これらの他に軽質油成分も含まれている。なお、この液相流体は、軽質油成分に重質油成分(重質反応生成物)が溶解し、この油成分に固体が混ざった状態のものである。
上記液相流体の一部を懸濁床反応器に循環し、一方、上記液相流体の残部を固液分離用軽質溶剤と混合して沈降式固液分離器に供給し、固体を沈降させ、この固液分離器の上部より固体成分の少ない流体を抜き出す一方、この固液分離器の下部から固体成分の多い流体を抜き出す。この固液分離器の上部より抜き出された流体には、重質油成分(重質反応生成物)と軽質油成分と固液分離用軽質溶剤とが含まれている。これは軽質油成分および固液分離用軽質溶剤に重質油成分(重質反応生成物)が溶解した状態のものである。一方、固液分離器の下部から抜き出された流体には、固液分離用軽質溶剤に不溶の固体成分(コーク、触媒)と油成分が含まれている。これは油成分に固体成分が混ざった状態のスラリー状のものである。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法に用いる装置の例を図1に示す。この図1において、(1) は反応工程のスラリー調整槽、(2) は予熱器、(3) は懸濁床反応器、(4) は高圧気液分離器、(5) は低圧気液分離器、(6) は減圧気液分離器、(7) は固液分離工程のスラリー調整槽、(8) は沈降式固液分離器(沈降槽)、(9) はオーバーフロー溶剤回収装置、(10)はアンダーフロー溶剤回収装置、(11)は高圧低温気液分離器、(12)はガス精製装置、(13)は蒸留塔を示すものである。この装置によれば、本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法は例えば次のようにして行う。
スラリー調整槽(1) に重金属成分を含有する石油系重質油および鉄系触媒を供給し、混合する。ここで得られた混合物(スラリー)を予熱器(2) に供給すると共に、この予熱器(2) に水素を供給し、予熱する。この混合物を水素と共に懸濁床反応器(3) に供給し、石油系重質油を水素化分解する反応をさせる。
この懸濁床反応器(3) から反応生成物を高圧気液分離器(4) に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。この液相流体を低圧気液分離器(5) に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。この液相流体を減圧気液分離器(6) に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。この液相流体の一部を前記懸濁床反応器(3) に循環し、一方、この液相流体の残部を固液分離用軽質溶剤と共にスラリー調整槽(7) に供給し、混合する。
ここで、固液分離用軽質溶剤としては、芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤(自製軽質溶剤)とを混合した溶剤を用いると共に、この溶剤の混合割合(前記スラリー調整槽(7)に供給する液相流体の残部に対する混合の割合)を2〜5倍とする。なお、上記自製軽質溶剤としては蒸留塔(13)にて得られるナフサを用いる。運転当初は、このナフサと芳香族性軽質溶剤とを混合したものを固液分離用軽質溶剤として用いる。その後は、後述のオーバーフロー溶剤回収装置(9)から分離される固液分離用軽質溶剤(溶剤a)や、アンダーフロー溶剤回収装置(10)から分離される固液分離用軽質溶剤(溶剤b)を固液分離用軽質溶剤として用いる。これらの溶剤だけでは固液分離用軽質溶剤の量が不足する場合は、芳香族性軽質溶剤と蒸留塔(13)にて得られるナフサとを添加して固液分離用軽質溶剤の量の不足を補うようにする。
上記スラリー調整槽(7) にて得られた混合物(スラリー)を沈降式固液分離器(8) に供給し、固体を沈降させ、この沈降式固液分離器(8) の上部より固体成分の少ない流体を抜き出す一方、この固液分離器(8) の下部から固体成分の多い流体を抜き出す。ここで、沈降式固液分離器(8) の温度条件は130 〜250 ℃とする。
上記固液分離器(8) の上部より抜き出された流体をオーバーフロー溶剤回収装置(9) に供給し、この溶剤回収装置(9) から固液分離用軽質溶剤を分離した後、その流体の一部をスラリー調整槽(1) 、予熱器(2) を介して懸濁床反応器(3) に循環し、その残部を蒸留塔(13)に供給する。一方、この分離された固液分離用軽質溶剤は、スラリー調整槽(7) に供給され、固液分離用軽質溶剤として用いられる。
上記固液分離器(8) の下部から抜き出された流体は、アンダーフロー溶剤回収装置(10)に供給され、この溶剤回収装置(10)から固液分離用軽質溶剤を分離した後、スラッジとして系外に排出される。
なお、前述の高圧気液分離器(4) にて分離された気相流体は、高圧低温気液分離器(11)に供給され、ガス精製装置(12)に供給される。前述の低圧気液分離器(5) 及び減圧気液分離器(6) にて分離された気相流体は、高圧低温気液分離器(11)にて分離された液相流体と共に、蒸留塔(13)に供給される。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
前述の図1と同等の装置によって重金属成分を含有する石油系重質油の水素化分解方法を実施した。この詳細を以下説明する。
スラリー調整槽(1) に重金属成分を含有する石油系重質油および鉄系触媒ならびに助触媒を供給し、混合し、得られた混合物(スラリー)を予熱器(2) に供給すると共に、この予熱器(2) に水素を供給し、予熱した後、この混合物を水素と共に懸濁床反応器(3) に供給した。このとき、重金属を含有する石油系重質油としては、減圧蒸留残渣(以下、VRという)を用いた。鉄系触媒としては、リモナイト鉄鉱石触媒を用いた。このリモナイト鉄鉱石触媒の添加量は、石油系重質油の量に対して鉄成分として1質量%とした。助触媒としてイオウを用い、この添加量は前記鉄成分の量の1.2 倍とした。懸濁床反応器(3) での水素化分解反応の条件は、反応圧力:12MPa 、反応温度:450 ℃、反応時間:90分、循環蒸留残渣量:VR量の50質量%とした。なお、上記VRの留分構成は表1に示すとおりであった。表1において、wt% on feed VRは、供給するVR量に対する重量割合(wt% で表示)のことである。
上記懸濁床反応器(3) から反応生成物を高圧気液分離器(4) に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を低圧気液分離器(5) に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を減圧気液分離器(6) に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離した。このとき、高圧気液分離器(4) の圧力温度条件は、圧力:12MPaG、温度:400 ℃とした。低圧気液分離器(5) の圧力温度条件は、圧力:0.3MPaG 、温度:380 ℃とした。減圧気液分離器(6) の圧力温度条件は、圧力:10mmHG、温度:350 ℃とした。なお、上記減圧気液分離器(6) にて分離された液相流体の組成は、表2に示すとおりであった。表2において、BTM(+525℃)は、沸点が 525℃以上の重質有機物と無機物(触媒)の混合物のことである。HS成分は、ヘキサンに可溶な成分のことである。HI-TS 成分は、ヘキサンに不溶でトルエンに可溶な成分のことである(後述の表3〜4においても同様)。
上記減圧気液分離器(6)にて分離された液相流体を固液分離用軽質溶剤と共にスラリー調整槽(7)に供給し、混合した。このとき、固液分離用軽質溶剤としては、芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる軽質溶剤(自製軽質溶剤)とを混合した溶剤を用いると共に、この溶剤の混合割合(前記スラリー調整槽(7)に供給する液相流体に対する混合の割合)を4倍とした。上記芳香族性軽質溶剤としてはトルエンを用い、上記自製軽質溶剤としては蒸留塔(13)にて得られるナフサ(b.p.:100-170℃)を用いた。これらの混合の比は40/60とした。
上記スラリー調整槽(7) にて得られた混合物(スラリー)を沈降式固液分離器(8) に供給し、固体を沈降させ、この沈降式固液分離器(8) の上部より固体成分の少ない流体を抜き出す一方、この固液分離器(8) の下部から固体成分の多い流体を抜き出した。このとき、沈降式固液分離器(8) の圧力温度条件は、圧力:1.5MPa、温度:220 ℃とした。
上記固液分離器(8) の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した。この溶剤分離後の流体の組成は、表2に示すとおりであった。上記固液分離器(8) の下部から抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した。この溶剤分離後の流体の組成は、表2に示すとおりであった。表2からわかるように、固液分離器(8) の下層部流体にTI(Toluene Insoluble )成分および触媒が濃縮している。一方、固液分離器(8) の上層部流体中には、TI及び触媒の量が少ない。
上記固液分離器(8) の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体の一部は、前述の減圧気液分離器(6) にて分離された液相流体と共に、反応系に循環した。
かかる石油系重質油の水素化分解方法を実施した。その結果、沈降式固液分離法によるTI選択的除去に際して、沈降槽(沈降式固液分離器)(8) のアンダーフロー側での閉塞のトラブルを生じることなく、かつ、沈降槽巨大化の必要がなく、充分なTI選択的除去をすることができた。
また、懸濁床反応器での反応成績は、転化率:91%、蒸留残渣(+525℃)収率:VR量に対し7.5 質量%、オイル収率:VR量に対し85質量%であった。ここで、転化率は下記式(1) により求められるものである。
転化率(%)=100 ×〔(原料VR中+525℃のwt%)−(蒸留残渣収率)〕/(原料VR 中+525℃のwt%) ------------------ 式(1)
〔比較例1〕
固液分離用軽質溶剤として、自製軽質溶剤のみを用いた。この点を除き、実施例1の場合と同様の方法、同様の条件で、石油系重質油の水素化分解方法を実施した。なお、上記自製軽質溶剤としては蒸留塔(13)にて得られるナフサ(b.p.:100-170℃)を用いた。
この結果、沈降槽(沈降式固液分離器)(8) の下部でブロッキング(閉塞のトラブル)が生じ、このため、運転不可となった。沈降槽下層部に残った固体状物質の組成を分析したところ、表3に示すとおりであった。
〔比較例2〕
固液分離用軽質溶剤として、軽質芳香属性溶剤のみを用いた。この点を除き、実施例1の場合と同様の方法、同様の条件で、石油系重質油の水素化分解方法を実施した。なお、上記軽質芳香属性溶剤としてはトルエン(b.p.:110℃)を用いた。
この結果、固液分離器(8) の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体の組成、および、固液分離器(8) の下部から抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体の組成は、表4に示すとおりであった。
沈降槽(沈降式固液分離器)(8) の下部での閉塞のトラブルを生じることなく、TI選択的除去をすることはできたが、上記表4からわかるように、実施例1の場合に比較して固液分離器(8) の下層部流体でのTI(Toluene Insoluble )成分および触媒の濃縮の程度が小さく、固液分離器(8) の上層部流体中のTI及び触媒の量が多く、脱TI率が低くてTI選択的除去が不充分である。
固液分離器(8) の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体の一部は、前述の減圧気液分離器(6) にて分離された液相流体と共に、反応系に循環した。懸濁床反応器での反応成績は、転化率:87%、蒸留残渣(+525℃)収率:VR量に対し11.4質量%、オイル収率:VR量に対し82質量%であった。
以上よりわかるように、実施例1および比較例2の場合、比較例1の場合のような沈降槽の下部での閉塞のトラブルを生じることなく、TI選択的除去をすることができる。しかし、比較例2の場合、脱TI率が低くてTI選択的除去が不充分であり、しかも、固液分離用軽質溶剤として軽質芳香族性溶剤のみを用いるためにコストが高くなる。実施例1の場合は、比較例2の場合に比較し、脱TI率が高くて充分TI選択的除去をすることができ、しかも、固液分離用軽質溶剤として自製軽質溶剤と軽質芳香族性溶剤を混合したものを用いるために比較例2の場合よりもコストが低くて経済性に優れている。
Figure 0004813933
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本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法は、重金属成分を含有する石油系重質油を懸濁床反応器にて鉄系触媒の存在下で水素化分解し、この反応生成物から得られる液相流体について沈降式固液分離法によるTI選択的除去をするに際して、沈降槽(沈降式固液分離器)のアンダーフロー側での閉塞のトラブルがなく、かつ、沈降槽巨大化の必要がなく、TI選択的除去をすることができるので、重金属成分を含有する石油系重質油の水素化分解方法として好適に用いることができて有用である。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法を行うための装置の例を示す模式図である。
符号の説明
(1) --スラリー調整槽、(2) --予熱器、(3) --懸濁床反応器、(4) --高圧気液分離器、(5) --低圧気液分離器、(6) --減圧気液分離器、(7) --スラリー調整槽、(8) --沈降式固液分離器、 (9) --オーバーフロー溶剤回収装置、(10)--アンダーフロー溶剤回収装置、(11)--高圧低温気液分離器、(12)--ガス精製装置、(13)--蒸留塔。

Claims (4)

  1. 懸濁床反応器に重金属成分を含有する石油系重質油および鉄系触媒を供給し、この石油系重質油を水素化分解し、この懸濁床反応器から反応生成物を高圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を低圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体を減圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離し、この液相流体の一部を前記懸濁床反応器に循環し、一方、この液相流体の残部を固液分離用軽質溶剤と混合して沈降式固液分離器に供給し、固体を沈降させ、この固液分離器の上部より固体成分の少ない流体を抜き出す一方、この固液分離器の下部から固体成分の多い流体を抜き出し、前記固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後、その流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する石油系重質油の水素化分解方法であって、
    前記固液分離用軽質溶剤として、沸点:150℃以下の単一成分またはそれらの混合成分からなる芳香族性軽質溶剤と当該水素化分解方法において得られる沸点が80〜180℃の範囲内にある軽質溶剤とを、混合比:30/70〜60/40で混合した溶剤を用いると共に、この溶剤の前記液相流体の残部に対する混合の割合を2〜5倍とし、かつ、前記沈降式固液分離器の温度条件を130〜250℃とすることを特徴とする石油系重質油の水素化分解方法。
  2. 前記懸濁床反応器での反応条件が、反応圧力:6〜14MPaG、反応温度:430〜450℃、反応時間:30〜120分である請求項記載の石油系重質油の水素化分解方法。
  3. 前記鉄系触媒が石油系溶剤中で機械的に粉砕された平均粒子径2μm以下のリモナイト鉄鉱石触媒であり、その添加量が石油系重質油の量に対して鉄成分として0.3〜2質量%である請求項1または2記載の石油系重質油の水素化分解方法。
  4. 前記固液分離器の上部より抜き出された流体から固液分離用軽質溶剤を分離した後の流体であって前記懸濁床反応器に循環する流体の量を、この流体中の沸点: 525℃以上の重質油成分の量が懸濁床反応器への石油系重質油供給量に対して10〜100質量% となる量とする請求項1〜のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法。
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