以下、ソレノイドの外力検出装置を具体化した一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。本実施形態のソレノイドの外力検出装置は、自己保持型電磁弁に用いられるソレノイドに加わった外力を検出する。
図1に示すように、自己保持型電磁弁10のボディ11は、長四角ブロック状の弁ボディ12と、弁ボディ12の長手方向の一端側に連結される連結ブロック13と、連結ブロック13における弁ボディ12とは反対側に連結される有底長四角筒状の磁気カバー14と、を有している。弁ボディ12、連結ブロック13、及び磁気カバー14は、例えば、合成樹脂材料製である。よって、弁ボディ12、連結ブロック13、及び磁気カバー14は非磁性材製である。
図2に示すように、弁ボディ12には、スプール弁15を往復動可能に収容する円孔状の弁孔16が形成されている。弁ボディ12には、供給ポート17、出力ポート18、及び排出ポート19が形成されている。供給ポート17、出力ポート18、及び排出ポート19は、弁孔16にそれぞれ連通するとともにスプール弁15の軸線方向においてこの順に並んで弁ボディ12に形成されている。スプール弁15の軸線方向において、排出ポート19は、出力ポート18よりも連結ブロック13側に位置しており、供給ポート17は、出力ポート18よりも連結ブロック13とは反対側に位置している。本実施形態の自己保持型電磁弁10は、3ポート電磁弁である。
弁孔16は、孔径がそれぞれ異なる第1孔16a、第2孔16b、第3孔16c、及び第4孔16dを有している。第1孔16a、第2孔16b、第3孔16c、及び第4孔16dは、弁ボディ12における連結ブロック13とは反対側の端面から連結ブロック13に向けてこの順で配置されるとともにスプール弁15の軸線方向にそれぞれ延びている。第2孔16bは、第1孔16aよりも孔径が小さい。第3孔16cは、第2孔16bよりも孔径が小さい。第4孔16dは、第2孔16b及び第3孔16cよりも孔径が大きく、且つ第1孔16aよりも孔径が小さい。
第1孔16aと第2孔16bとは、スプール弁15の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第1段差面16eによって接続されている。第2孔16bと第3孔16cとは、スプール弁15の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第2段差面16fによって接続されている。第3孔16cと第4孔16dとは、スプール弁15の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の第3段差面16gによって接続されている。第1孔16aは、供給ポート17及び出力ポート18に連通している。第2孔16bは、排出ポート19に連通している。また、第1孔16aにおける第2孔16bとは反対側の端部は、雌ねじ孔16hになっている。
弁ボディ12には、弁孔16における連結ブロック13とは反対側の端部を閉塞する有底円筒状のプラグ20が取り付けられている。プラグ20は、円板状の底部20aと、底部20aの周縁部から弁孔16の内周面に沿って延びる円筒状の延在部20bと、を有している。底部20aの外周面には雌ねじ孔16hに螺合される雄ねじ20cが形成されている。プラグ20は、底部20aの雄ねじ20cが雌ねじ孔16hに螺合されることにより、弁ボディ12の弁孔16に取り付けられ、底部20aは、弁孔16における連結ブロック13とは反対側の端部を閉塞している。
底部20aには、装着孔20dが形成されている。装着孔20dは、底部20aをスプール弁15の軸線方向に貫通している。装着孔20dには、吸着用手動軸21が取り付けられている。吸着用手動軸21は、延在部20bの内側から装着孔20dに挿入されることにより装着孔20dに装着されている。吸着用手動軸21は、底部20aの内面における装着孔20dの周囲に当接する環状のフランジ部21aを有している。そして、フランジ部21aが底部20aの内面に当接することにより、装着孔20dから弁ボディ12外へ抜け落ちてしまうことが防止されている。
延在部20bは、供給ポート17における第1孔16aへの開口周囲を通過して、出力ポート18における第1孔16aへの開口周囲まで延びている。延在部20bの内側は、第1孔16aに連通している。延在部20bにおける供給ポート17と対向する部分には、連通孔20eが形成されている。
延在部20bの外周面には、第1孔16aの内周面における供給ポート17と出力ポート18との間の部分と延在部20bの外周面との間をシールする円環状の第1シール部材22aが装着されている。そして、第1シール部材22aによって、第1孔16aの内周面における供給ポート17と出力ポート18との間の部分と延在部20bの外周面との間を介した供給ポート17と出力ポート18との間の流体の洩れが規制されている。
また、延在部20bの外周面には、第1孔16aの内周面における供給ポート17よりも出力ポート18とは反対側の部分と延在部20bの外周面との間をシールする円環状の第2シール部材22bが装着されている。そして、第2シール部材22bによって、第1孔16aの内周面における供給ポート17よりも出力ポート18とは反対側の部分と延在部20bの外周面との間を介した供給ポート17からの流体の洩れが規制されている。
延在部20bの先端面は、スプール弁15の軸線方向において第1段差面16eと対向している。延在部20bの先端面には、円環状の第1弁座23が突設されている。第1段差面16eには、円環状の第2弁座24が突設されている。第2弁座24は、第1弁座23に向けて延びており、第1弁座23及び第2弁座24はスプール弁15の軸線方向で互いに向き合っている。第1孔16aにおける第1弁座23と第2弁座24との間は、スプール弁15の外周面に装着された弁体15vが収容される弁室25になっている。
スプール弁15は、円柱状の軸部15aと、軸部15aの外周面から突出する円環状の大径部15bと、を有している。軸部15aは、第4孔16dから第3孔16c及び第2孔16bを通過して第1孔16a内に突出し、プラグ20の延在部20b内に入り込んでいる。軸部15aの外径は、第3孔16cの孔径と同じである。第3孔16cの内周面は、スプール弁15が軸線方向に移動する際に、軸部15aの外周面と摺接し、スプール弁15における軸線方向への移動をガイドするガイド面として機能する。
弁体15vは、ゴム製であるとともに円環状であり、大径部15bの外周面を覆うように大径部15bに装着されている。弁体15vは、スプール弁15の軸線方向で第1弁座23及び第2弁座24の間に配置されている。弁体15vは、第1弁座23及び第2弁座24に対して接離可能になっている。
軸部15aにおけるプラグ20側の端面には、軸部材26が取り付けられている。軸部材26は、プラグ20の延在部20b内に配置されている。軸部材26は、圧入部26aと、圧入部26aの外径よりも大径である大径部26bと、大径部26bにおける圧入部26aとは反対側に連続する軸部26cと、を有している。そして、軸部材26は、圧入部26aが、軸部15aにおけるプラグ20側の端面に形成された圧入孔15cに圧入されることにより、軸部15aに取り付けられ、スプール弁15と一体的に移動可能である。大径部26bの外径は、延在部20bの内径とほぼ同じである。軸部26cにおける大径部26bとは反対側の端面は、吸着用手動軸21と対向している。
延在部20b内において、大径部26bとプラグ20の底部20aとの間はばね収容室27になっている。ばね収容室27には弁体ばね28が収容されている。弁体ばね28は、大径部26bと吸着用手動軸21との間に介在されている。弁体ばね28は、弁体15vが第1弁座23から離間する方向へ軸部材26及びスプール弁15を付勢している。
大径部26bの外周面にはパッキン29が装着されている。パッキン29は、プラグ20の連通孔20eよりもプラグ20の底部20a側に位置している。そして、パッキン29によって、大径部26bの外周面と延在部20bの内周面との間を介した供給ポート17からばね収容室27への流体の洩れが規制されている。
図1に示すように、連結ブロック13には、弁孔16に連通する貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aの軸心は、弁孔16の軸心に一致している。また、磁気カバー14は、底壁14aと、底壁14aの周縁部から延びる周壁14bと、を有している。周壁14bの軸線は、貫通孔13aの軸心、及び弁孔16の軸心に一致している。底壁14aには、挿通孔14cが形成されている。挿通孔14cの軸心は、周壁14bの軸線に一致している。
磁気カバー14には、磁性材製である磁気フレーム30が埋設されている。磁気フレーム30は、磁気カバー14の底壁14aの内面に沿って延びる板状の底部30aと、底部30aの周縁部から磁気カバー14の周壁14bに沿って延びる筒状の延在部30bと、を有している。磁気フレーム30は、延在部30bが磁気カバー14の周壁14bに埋め込まれることにより、磁気カバー14に一体化されている。延在部30bの内周面における先端側の部位は、磁気カバー14の周壁14bの内周面から露出している。底部30aには雌ねじ孔30cが形成されている。雌ねじ孔30cは、挿通孔14cの内側に位置している。雌ねじ孔30cの軸心は、挿通孔14cの軸心に一致している。
自己保持型電磁弁10は、ソレノイド31を備えている。ソレノイド31は、駆動用コイル32、固定鉄心33、プランジャ34、及びプランジャばね35を有している。固定鉄心33及びプランジャ34は、磁性材製である。磁気カバー14内には、駆動用コイル32が巻回された筒状のボビン36が収容されている。ボビン36の軸線は、磁気カバー14の周壁14bの軸線に一致している。
固定鉄心33は、磁気カバー14内に収容されている。固定鉄心33は、軸部33aと、軸部33aの端部から軸部33aの軸線方向に対して直交する方向に突出する環状のフランジ部33bと、を有している。軸部33aは、ボビン36の内側に対して磁気カバー14の底壁14a側から挿入されている。軸部33aの軸線方向の長さは、ボビン36の軸線方向の長さよりも短い。軸部33aにおけるフランジ部33bとは反対側の端面33eは平坦面状である。フランジ部33bは、ボビン36における磁気カバー14の底壁14a側の面に当接している。
プランジャ34は、ボビン36の内側から連結ブロック13の貫通孔13a内に突出する柱状である。プランジャ34は、固定鉄心33よりも弁ボディ12側に位置している。プランジャ34の軸線は、固定鉄心33の軸部33aの軸線と一致している。プランジャ34における固定鉄心33側の端面34aは平坦面状である。プランジャ34の端面34aは、固定鉄心33の軸部33aの端面33eに面接触可能である。
プランジャ34の外周面には、環状の鍔部34cが突出している。鍔部34cは、プランジャ34の外周面において、プランジャ34における固定鉄心33とは反対側の端面34b側の端部から突出している。鍔部34cは、連結ブロック13の貫通孔13aの内側に位置している。
プランジャ34の端面34bには、収容凹部60が形成されている。収容凹部60は、プランジャ34の軸線方向に延びている。収容凹部60におけるプランジャ34の端面34b側の部分は、雌ねじ孔61になっている。雌ねじ孔61には、柱状のプランジャプラグ62が取り付けられている。収容凹部60の開口は、プランジャプラグ62によって閉塞されている。
プランジャプラグ62は、合成樹脂材料製である。よって、プランジャプラグ62は、非磁性材製である。プランジャプラグ62は、雌ねじ孔61に螺着される螺子部63と、螺子部63に連続するとともに収容凹部60から突出する柱状の突出部64と、を有している。
図2に示すように、突出部64は、螺子部63に連続するとともに外径が螺子部63よりも大きい中径部64aと、中径部64aにおける螺子部63とは反対側の端部に連続するとともに外径が中径部64aの外径よりも大きい大径部64bと、を有している。突出部64の大径部64bは、連結ブロック13の貫通孔13aから弁ボディ12の第4孔16d内に突出している。突出部64の大径部64bにおける中径部64aとは反対側の端面64eは、スプール弁15の軸部15aに接離可能である。
プランジャ34の端面34b、突出部64の中径部64aの外周面、及び中径部64aと大径部64bとを繋ぐ環状の段差面64cによって、手動軸用凹部34dが形成されている。手動軸用凹部34dは、鍔部34cに連続している。
図1に示すように、磁気カバー14内には、有底筒状の収容部材37が収容されている。収容部材37は、プランジャ34の軸線方向において、ボビン36と磁気フレーム30の底部30aとの間に配置されている。収容部材37は、板状の底部37aと、底部37aの周縁部から磁気カバー14の周壁14bの内周面に沿って延びる筒状の延在部37bと、を有している。底部37aには、挿通孔37cが形成されている。挿通孔37cの軸心は、磁気フレーム30の雌ねじ孔30cの軸心と一致している。
固定鉄心33のフランジ部33bは、収容部材37の内側に位置している。フランジ部33bの外周面は、収容部材37の延在部37bの内周面に接している。収容部材37の内側には、板状の磁石38が収容されている。磁石38は、プランジャ34の軸線方向において、固定鉄心33と収容部材37の底部37aとの間に配置されている。磁石38の外周面は、収容部材37の延在部37bの内周面に接している。
磁気フレーム30の雌ねじ孔30cには、第1磁性コア39が螺着されている。第1磁性コア39は、外周面に雄ねじ39aが形成されている螺子部39bと、螺子部39bから突出するとともに収容部材37の挿通孔37cに挿通される柱状の挿通部39cと、を有している。挿通部39cにおける螺子部39bとは反対側の端面は、磁石38に接触している。挿通部39cの外周面は、挿通孔37cの内周面に接触している。
図3及び図4に示すように、自己保持型電磁弁10においては、実線の矢印で示すように磁石38の磁束が発生している。磁石38の磁束は、磁石38→固定鉄心33の鍔部34c→収容部材37→第1磁性コア39の挿通部39c→磁石38の順に通過している。
図1に示すように、磁気フレーム30の先端側の内側には、筒状の第2磁性コア40が配置されている。第2磁性コア40は、プランジャ34の軸線方向において、ボビン36よりも連結ブロック13側に位置している。第2磁性コア40の外周面は、磁気フレーム30の延在部30bの内周面における先端側の部位に接触している。プランジャ34は、第2磁性コア40の内側を通過している。
プランジャばね35は、第2磁性コア40とプランジャ34の鍔部34cとの間に介在されている。プランジャばね35の一端は、第2磁性コア40の端面に支持されるとともに、プランジャばね35の他端は、プランジャ34の鍔部34cに支持されている。プランジャばね35は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに対して離間する方向へプランジャ34を付勢している。プランジャばね35の付勢力は、弁体ばね28の付勢力よりも大きい。
図2に示すように、連結ブロック13には、手動軸収容孔42が形成されている。手動軸収容孔42は、プランジャ34の軸線方向に対して直交する方向に延びるとともに貫通孔13aに連通している。手動軸収容孔42内には、柱状の離脱用手動軸43が収容されている。離脱用手動軸43は、手動軸収容孔42内を往復動可能である。そして、離脱用手動軸43の先端部は、手動軸収容孔42に対して出没可能である。離脱用手動軸43の先端部には、傾斜面43aが形成されている。傾斜面43aは、離脱用手動軸43の先端部における弁ボディ12側に形成されている。傾斜面43aは、離脱用手動軸43の先端部が手動軸収容孔42から突出した際に、手動軸用凹部34dにおける弁ボディ12側の角部34eに摺接可能である。角部34eはテーパ形状になっている。
また、手動軸収容孔42内には、復帰ばね44が収容されている。復帰ばね44は、離脱用手動軸43の先端部が手動軸収容孔42に没入する方向へ離脱用手動軸43を付勢している。さらに、離脱用手動軸43には、離脱用手動軸43の移動方向に対して直交する方向に貫通する挿通孔43hが形成されている。挿通孔43hには、連結ブロック13に支持された柱状の挿通部材45が挿通されている。離脱用手動軸43の移動方向において、挿通部材45と挿通孔43hの内周面との間には比較的大きな隙間がある。そして、離脱用手動軸43は、挿通部材45と挿通孔43hの内周面との間の隙間分だけ、手動軸収容孔42内を移動可能である。復帰ばね44の付勢力に伴う離脱用手動軸43の移動は、挿通孔43hの内周面が挿通部材45に当接することにより規制され、離脱用手動軸43が手動軸収容孔42から飛び出さないようになっている。
図1に示すように、自己保持型電磁弁10は、駆動用コイル32への通電を制御する制御基板50を備えている。制御基板50には、マイコン51が搭載されている。駆動用コイル32は、駆動用コイル端子32aを介して制御基板50に電気的に接続されている。また、自己保持型電磁弁10は、給電部52を備えている。給電部52には、図示しない電源が接続される。
そして、電源から給電部52を介して制御基板50に入力電圧が印加されると、制御基板50から駆動用コイル32への通電が開始される。マイコン51は、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向又は逆方向になるように制御基板50の駆動を制御する。
図3に示すように、例えば、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向である場合、二点鎖線の矢印で示すように、固定鉄心33→プランジャ34→第2磁性コア40→磁気フレーム30→第1磁性コア39→磁石38→固定鉄心33の順に磁束が通過する磁気回路が形成される。この磁気回路の磁束が通過する方向は、磁石38の磁束が通過する方向と同じ方向である。磁気回路は、駆動用コイル32の励磁により形成される。
そして、駆動用コイル32の起磁力が、プランジャ34を固定鉄心33に向けて吸着する方向に働き、駆動用コイル32の起磁力及び磁石38の吸引力が、プランジャばね35の付勢力に抗して、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに接近する方向へプランジャ34がプランジャプラグ62と共に移動する。よって、プランジャ34は、駆動用コイル32の励磁により移動する。
さらに、プランジャ34は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに接近する方向へ移動して、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着される。よって、固定鉄心33の軸部33aの端面33eは、プランジャ34を吸着する吸着面である。
このプランジャ34の移動に伴い、軸部材26及びスプール弁15が、弁体ばね28の付勢力によって、弁体15vが第1弁座23から離間する方向へ移動し、弁体15vが第2弁座24に着座する。これにより、図1及び図2に示すように、供給ポート17と出力ポート18とが、連通孔20e、延在部20bの内側、及び弁室25を介して連通し、供給ポート17から供給された流体が連通孔20e、延在部20bの内側、及び弁室25を介して流体圧機器に供給される。
また、駆動用コイル32への通電を停止すると、駆動用コイル32の起磁力が生じなくなるが、磁石38の吸引力がプランジャばね35の付勢力に打ち勝って、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で自己保持される。したがって、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で、駆動用コイル32への通電が停止された場合には、磁石38の吸引力がプランジャばね35の付勢力に打ち勝つように、プランジャばね35の付勢力が設定されている。よって、磁石38は、プランジャ34を固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着させた状態に保持する。
図4に示すように、例えば、駆動用コイル32に通電される電流の向きが逆方向である場合、二点鎖線の矢印で示すように、固定鉄心33→磁石38→第1磁性コア39→磁気フレーム30→第2磁性コア40→プランジャ34→固定鉄心33の順に磁束が通過する磁気回路が形成される。この磁気回路の磁束が通過する方向は、磁石38の磁束が通過する方向とは逆方向である。すると、駆動用コイル32の起磁力により磁石38の吸引力が低減される。
図5及び図6に示すように、磁石38の吸引力が駆動用コイル32の起磁力により低減されると、プランジャばね35の付勢力が磁石38の吸引力に打ち勝って、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間する方向へプランジャ34がプランジャプラグ62と共に移動する。そして、プランジャばね35の付勢力が弁体ばね28の付勢力に打ち勝つことで、プランジャプラグ62の突出部64の端面64eがスプール弁15の軸部15aに当接しながら、スプール弁15及び軸部材26を押圧し、弁体15vが第2弁座24から離間する方向へ移動し、弁体15vが第1弁座23に着座する。これにより、出力ポート18と排出ポート19とが、弁室25及び第2孔16bを介して連通し、出力ポート18から弁室25、第2孔16b、及び排出ポート19を介して外部に流体が排出される。
また、駆動用コイル32への通電を停止すると、駆動用コイル32の起磁力が生じなくなる。このとき、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間していることにより、プランジャばね35の付勢力が磁石38の吸引力に打ち勝って、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持される。したがって、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で、駆動用コイル32への通電が停止された場合には、プランジャばね35の付勢力が磁石38の吸引力に打ち勝つように、プランジャばね35の付勢力が設定されている。
このように、自己保持型電磁弁10では、供給ポート17と出力ポート18とが連通した状態と、出力ポート18と排出ポート19とが連通した状態とを切り替える場合に、駆動用コイル32を通電状態とする。そして、自己保持型電磁弁10では、供給ポート17と出力ポート18とが連通した状態を維持する場合や、出力ポート18と排出ポート19とが連通した状態を維持する場合には、駆動用コイル32への通電を行う必要が無い。
また、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で、駆動用コイル32への通電が停止されている場合において、離脱用手動軸43を押圧すると、離脱用手動軸43の先端部が手動軸収容孔42から突出して、離脱用手動軸43の先端部の傾斜面43aが、手動軸用凹部34dの角部34eに摺接する。この離脱用手動軸43の先端部の傾斜面43aと手動軸用凹部34dの角部34eとの摺接により、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間する方向へプランジャ34がプランジャプラグ62と共に移動する。そして、プランジャプラグ62がスプール弁15及び軸部材26を押圧し、弁体15vが第2弁座24から離間する方向へ移動し、弁体15vが第1弁座23に着座する。これにより、出力ポート18と排出ポート19とが、弁室25及び第2孔16bを介して連通する。このように、本実施形態の自己保持型電磁弁10においては、離脱用手動軸43を押圧することで、駆動用コイル32への通電を行うこと無く、供給ポート17と出力ポート18とが連通した状態から出力ポート18と排出ポート19とが連通した状態へと切り替えることも可能であり、自己保持型電磁弁10の動作確認を行うことができる。
そして、離脱用手動軸43の押圧を解除することにより、離脱用手動軸43は、復帰ばね44の付勢力によって、離脱用手動軸43を押圧する前の元の位置に復帰する。このとき、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間していることにより、プランジャばね35の付勢力が磁石38の吸引力に打ち勝って、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持される。
また、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間している状態で、駆動用コイル32への通電が停止されている場合において、吸着用手動軸21を軸部26cに向けて押圧すると、吸着用手動軸21が軸部26cに当接し、軸部26c及びスプール弁15が吸着用手動軸21により押圧される。そして、軸部26c及びスプール弁15は、弁体15vが第1弁座23から離間する方向へ移動するとともに、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに接近する方向へプランジャ34がプランジャプラグ62と共に移動し、弁体15vが第2弁座24に着座する。これにより、供給ポート17と出力ポート18とが、連通孔20e、延在部20bの内側、及び弁室25を介して連通する。このように、本実施形態の自己保持型電磁弁10においては、吸着用手動軸21を押圧することで、駆動用コイル32への通電を行うこと無く、出力ポート18と排出ポート19とが連通した状態から供給ポート17と出力ポート18とが連通した状態へと切り替えることも可能であり、自己保持型電磁弁10の動作確認を行うことができる。
そして、吸着用手動軸21の押圧を解除することにより、吸着用手動軸21は、弁体ばね28の付勢力によって、吸着用手動軸21を押圧する前の元の位置に復帰する。このとき、磁石38の吸引力がプランジャばね35の付勢力に打ち勝つことにより、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で自己保持される。
図7に示すように、プランジャ34に形成された収容凹部60は、大径孔60aと、大径孔60aよりも内径が小径である小径孔60bと、大径孔60aと小径孔60bとを繋ぐ環状の段差面60cと、を有している。大径孔60aにおける小径孔60bとは反対側の端部は、雌ねじ孔61に連続している。
自己保持型電磁弁10は、ソレノイド31に加わった振動や衝撃等の外力を検出する外力検出装置53を備えている。外力検出装置53は、球体である磁性材製の3つの検出体54と、検出体54を一定方向に付勢した状態で保持する外力検出用ばね55と、を備えている。3つの検出体54及び外力検出用ばね55は、収容凹部60内に収容されている。3つの検出体54は、プランジャ34の軸線方向に直線上に並んで大径孔60a内に収容されている。よって、大径孔60aは、3つの検出体54を収容する。3つの検出体54は、外周面が大径孔60aの内周面に接触しながら大径孔60a内を転動可能である。
外力検出用ばね55の一端は、収容凹部60の底面に支持されるとともに、外力検出用ばね55の他端は、3つの検出体54のうち収容凹部60の底面に最も近い検出体54に支持されている。よって、小径孔60bは、外力検出用ばね55における検出体54とは反対側の端部を収容する。外力検出用ばね55の付勢力Fs1は、プランジャばね35の付勢力Fs2よりも小さい。そして、検出体54は、磁石38の吸引力が外力検出用ばね55の付勢力Fs1よりも小さくなる位置に配置されている。
3つの検出体54は、外力検出用ばね55の付勢力Fs1によって、プランジャプラグ62に向けて付勢されている。そして、3つの検出体54は、3つの検出体54のうちプランジャプラグ62に最も近い検出体54がプランジャプラグ62に押し付けられた状態で外力検出用ばね55により保持されている。3つの検出体54のうちプランジャプラグ62に最も近い検出体54は、プランジャプラグ62に対して接離可能である。3つの検出体54は、ソレノイド31に加わった外力Fe1が、外力検出用ばね55の付勢力Fs1を上回ると、外力検出用ばね55の付勢力に抗してプランジャプラグ62から離間する方向へ収容凹部60内を移動する。
3つの検出体54のうち収容凹部60の底面に最も近い検出体54、つまり、3つの検出体54のうち小径孔60bに最も近い検出体54は、段差面60cに当接可能である。3つの検出体54のうち小径孔60bに最も近い検出体54は、駆動用コイル32の内側に位置している。
ソレノイド31に加わった外力Fe1が、外力検出用ばね55の付勢力Fs1を上回ったとき、プランジャ34は自己保持された状態が維持されている。よって、外力検出用ばね55の付勢力Fs1は、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が移動し始める外力Fe2よりも小さい。
マイコン51は、検出体54の移動に伴う駆動用コイル32に作用する磁路長の変化、つまり、プランジャストロークの変化によるインダクタンスの変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力を検出する。駆動用コイル32のインダクタンスは、検出体54の移動に伴う磁気回路の磁路長の変化により変化する。マイコン51は、ソレノイド31に加わった外力を検出する外力検出部として機能する。したがって、本実施形態において、外力検出装置53が備えている外力検出部は、駆動用コイル32への通電を制御する制御基板50に搭載されたマイコン51である。よって、駆動用コイル32は、検出体54の移動を検出するための検出用コイルとしても機能する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に外力が加わったとする。このとき、ソレノイド31に加わった外力Fe1が、外力検出用ばね55の付勢力Fs1を上回ると、3つの検出体54が、外力検出用ばね55の付勢力に抗してプランジャプラグ62から離間する方向へ収容凹部60内を移動する。この際、プランジャ34は、磁石38の吸引力によって、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で自己保持されている。したがって、外力検出用ばね55の付勢力Fs1は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が移動し始める外力Fe2よりも小さい。
そして、3つの検出体54のうち小径孔60bに最も近い検出体54が、駆動用コイル32の内側をプランジャ34の軸線方向へ移動することにより、駆動用コイル32に起電力が発生し、駆動用コイル32のインダクタンスが変化する。マイコン51は、検出体54の移動に伴う駆動用コイル32のインダクタンスの変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力を検出する。これにより、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が誤動作してしまう前に、ソレノイド31に加わった外力が検出される。そして、マイコン51は、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向となるように制御基板50の駆動を制御し、駆動用コイル32への通電を行う。これにより、磁石38の吸引力に加えて、駆動用コイル32の起磁力が、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態を補助するため、ソレノイド31に外力が加わった場合に、プランジャ34が誤動作してしまうことが回避される。
図9に示すように、プランジャ34が固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に外力が加わったとする。このとき、ソレノイド31に加わった外力Fe1が、外力検出用ばね55の付勢力Fs1を上回ると、3つの検出体54が、外力検出用ばね55の付勢力に抗してプランジャプラグ62から離間する方向へ収容凹部60内を移動する。この際、プランジャ34は、プランジャばね35の付勢力Fs2によって、固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持されている。したがって、外力検出用ばね55の付勢力Fs1は、プランジャ34が固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が移動し始める外力Fe2よりも小さい。
そして、3つの検出体54のうち小径孔60bに最も近い検出体54が、駆動用コイル32の内側をプランジャ34の軸線方向へ移動することにより、駆動用コイル32に起電力が発生し、駆動用コイル32のインダクタンスが変化する。マイコン51は、検出体54の移動に伴う駆動用コイル32のインダクタンスの変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力を検出する。これにより、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が誤動作してしまう前に、ソレノイド31に加わった外力が検出される。そして、マイコン51は、駆動用コイル32に通電される電流の向きが逆方向となるように制御基板50の駆動を制御し、駆動用コイル32への通電を行う。これにより、磁石38の吸引力が駆動用コイル32の起磁力により低減されるため、ソレノイド31に外力が加わった場合に、プランジャ34が誤動作してしまうことが回避される。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)マイコン51は、検出体54の移動に伴う駆動用コイル32のインダクタンスの変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力を検出する。外力検出用ばね55の付勢力Fs1は、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が移動し始める外力Fe2よりも小さい。これによれば、ソレノイド31に加わった外力Fe1が、外力検出用ばね55の付勢力Fs1を上回ると、検出体54が、外力検出用ばね55の付勢力に抗して移動するが、プランジャ34は、自己保持された状態が維持されている。よって、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が誤動作してしまう前に、マイコン51によって、ソレノイド31に加わった外力を検出することができる。
(2)マイコン51は、駆動用コイル32のインダクタンスの変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力を検出する。このため、例えば、検出体54の移動によって生じる駆動用コイル32の起電力の変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力の検出を行う場合に比べると、ソレノイド31に加わった外力の検出を精度良く行うことができる。
(3)自己保持型電磁弁10に用いられるソレノイド31においては、プランジャ34が自己保持されている状態では、駆動用コイル32への通電が停止されているため、駆動用コイル32を、検出体54の移動を検出するための検出用コイルとしても機能させることができる。したがって、検出体54の移動を検出するための検出用コイルを、駆動用コイル32とは別に設ける必要が無いため、自己保持型電磁弁10の構成が複雑化してしまうことを回避することができる。また、例えば、プランジャ34が固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に加わった外力Fe1が、外力検出用ばね55の付勢力Fs1を上回ると、検出体54が、外力検出用ばね55の付勢力に抗して移動する。このとき、外力検出用ばね55の付勢力Fs1は、プランジャばね35の付勢力Fs2よりも小さいため、プランジャ34は、プランジャばね35の付勢力Fs2によって自己保持された状態が維持される。よって、ソレノイド31に加わった外力によってプランジャ34が誤動作してしまう前に、マイコン51によって、ソレノイド31に加わった外力を検出することができる。
(4)検出体54は球体である。これによれば、例えば、検出体54が柱状であり、検出体54の外周面と大径孔60aの内周面とが面接触している場合に比べると、検出体54における大径孔60aの内周面に対する接触面積を小さくすることができる。したがって、検出体54の外周面と大径孔60aの内周面との間に生じる摺動抵抗を小さくすることができるため、検出体54の移動がスムーズになり、ソレノイド31に加わった外力の検出を精度良く行うことができる。
(5)検出体54は、段差面60cに当接可能である。これによれば、外力検出用ばね55の付勢力Fs1に抗した検出体54における収容凹部60内での移動が、検出体54が段差面60cに当接すると規制される。よって、外力検出用ばね55が過剰に圧縮されてしまうことを抑制することができ、外力検出用ばね55の耐久性を向上させることができる。
(6)プランジャプラグ62は、合成樹脂材料製である。これによれば、例えば、プランジャプラグ62が金属製である場合に比べると、プランジャ34とプランジャプラグ62とを合わせた重量を小さくすることができる。よって、ソレノイド31に外力が加わったときに、プランジャ34がプランジャプラグ62と共に移動し難くなり、プランジャ34が誤動作してしまうことを回避し易くすることができる。
(7)マイコン51は、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に加わった外力を検出すると、駆動用コイル32に通電される電流の向きが順方向となるように制御基板50の駆動を制御し、駆動用コイル32への通電を行う。これによれば、磁石38の吸引力に加えて、駆動用コイル32の起磁力が、プランジャ34の端面34aが固定鉄心33の軸部33aの端面33eに吸着された状態を補助するため、ソレノイド31に外力が加わった場合に、プランジャ34が誤動作してしまうことを回避することができる。
(8)マイコン51は、プランジャ34が固定鉄心33の軸部33aの端面33eから離間した状態で自己保持されているときに、ソレノイド31に加わった外力を検出すると、駆動用コイル32に通電される電流の向きが逆方向となるように制御基板50の駆動を制御し、駆動用コイル32への通電を行う。これによれば、磁石38の吸引力が駆動用コイル32の起磁力により低減されるため、ソレノイド31に外力が加わった場合に、プランジャ34が誤動作してしまうことを回避することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態において、検出体54の移動に伴う磁束の変化により変化する駆動用コイル32の起電力の変化に基づいて、ソレノイド31に加わった外力の検出を行ってもよい。検出体54が移動し始めると、駆動用コイル32中の磁束が変化する電磁誘導作用により、駆動用コイル32には起電力が発生する。
・ 実施形態において、検出体54の数は特に限定されるものではない。
・ 実施形態において、検出体54は、例えば、柱状であってもよく、検出体54の形状は特に限定されるものではない。
・ 実施形態において、収容凹部60が段差面60cを有していなくてもよく、検出体54が段差面60cに当接しない構成であってもよい。
・ 実施形態において、マイコン51とは別に、外力検出部を別途設けてもよい。
・ 実施形態において、自己保持型電磁弁10は、5ポート電磁弁であってもよい。
・ 実施形態において、外力検出装置53は、自己保持型電磁弁10に用いられるソレノイド31に加わった外力を検出するものでなくてもよく、例えば、パイロット形電磁弁に用いられるソレノイドに加わった外力を検出するものであってもよい。この場合、検出体54の移動を検出するための検出用コイルを、駆動用コイル32とは別に設ける必要がある。また、この場合、検出体54及び外力検出用ばね55が、プランジャ34の収容凹部60内に収容されていなくてもよい。要は、検出体54が、検出用コイルの内側に位置していれば、検出体54及び外力検出用ばね55の配置位置は特に限定されない。