JP6715146B2 - 油性インクジェットインク用樹脂、油性インクジェットインク、及びウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法 - Google Patents

油性インクジェットインク用樹脂、油性インクジェットインク、及びウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、油性インクジェットインク用樹脂、その樹脂を含む油性インクジェットインク、及びウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法に関する。
非水系溶剤中に粒状物質を分散させるために樹脂分散剤が広く用いられている。例えば、インク分野では、樹脂分散剤を用いて非水系溶剤中に顔料等の色材を安定して分散させることで、インクの貯蔵安定性を改善することが研究されている。
インクジェットインクのように比較的インク粘度が低い系においても、非水系溶剤中に顔料を安定して分散させることが望まれる。一方で、顔料を安定して分散させるために、樹脂分散剤を多量に用いると、インク粘度が高くなって、印刷方式によっては適さなくなる場合がある。
また、樹脂分散剤によって顔料と非水系溶剤との親和性を高めようとすると、印刷後に紙面上で顔料と非水系溶剤とが離脱しにくくなって、非水系溶剤とともに顔料が紙内部に浸透し、裏抜け現象が発生することがある。
特許文献1には、炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位と、ウレタン基を有する(メタ)アクリレート単位とを含むアクリル系ポリマーを含む非水系顔料インクが開示されている。
特許文献1のアクリル系ポリマーは、溶剤中で分散安定性に優れる一方で、紙面上では顔料と溶剤との離脱性を高めて顔料が紙内部に浸透し裏抜けすることを防止することができる。
特許文献1のアクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートが長鎖アルキル基を有することで、非水系溶剤との親和性に優れ、非水系溶剤中での分散安定性を高めることができる。また、特許文献1のウレタン基を有する(メタ)アクリレート単位は、極性が高く顔料を吸着させるウレタン基を有することで、顔料を取り囲むことができる。そして、特許文献1のウレタン基を有する(メタ)アクリレート単位は、極性が高く、非水系溶剤に対して溶解性が低いため、印刷後に非水系溶剤と顔料との離脱性を高めることができる。
特開2010−1452号公報
アクリル系ポリマーにウレタン結合を側鎖として導入する反応の一方法としては、モノマー混合物からアクリル系ポリマーを重合し、このアクリル系ポリマーのうちアミノ基と反応しうる官能基に対し、イソシアネート化合物とポリオール化合物を反応させる。
このイソシアネート化合物とポリオール化合物をアクリル系ポリマーに反応させる段階で、副生成物が発生し問題になることがある。この副生成物は、インクにも混入することがある。
本発明の一目的としては、インク貯蔵安定性を改善し、樹脂からの副生成物量を低減する油性インクジェットインク用樹脂、油性インクジェットインク、及びその樹脂の製造方法を提供することである。
本発明は、以下を要旨とする。
(1)ウレタン結合を側鎖として有する(メタ)アクリル系ポリマーであって、炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、アミノ基と反応しうる官能基を基点にアミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位B、β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び−(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する、油性インクジェットインク用樹脂。
(2)前記単位Dは、下記一般式(1)で表されるエチレンオキシド基を有する(メタ)アクリル系モノマー由来の単位を含む、(1)に記載の油性インクジェットインク用樹脂。
CH=CR−COO−(CO)−R (1)
(一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜10の芳香環含有基であり、nは2〜20の整数である。)
(3)前記単位Bは、下記一般式(2)で表されるアミノ基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー由来の単位を基点に、アミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位を含む、(1)または2)に記載の油性インクジェットインク用樹脂。
CH=CR−COO−R (2)
(一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはアミノ基と反応しうる官能基である。)
(4)前記(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖と、前記(メタ)アクリル系ポリマーに導入されたウレタン結合部との質量比が60:40〜99:1である、(1)から(3)のいずれかに記載の油性インクジェットインク用樹脂。
(5)前記単位Bのアミノ基と反応しうる官能基が、グリシジル基、ビニル基、及び(メタ)アクリロイル基のうちから選択される1種以上である、(1)から(4)のいずれかに記載の油性インクジェットインク用樹脂。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の油性インクジェットインク用樹脂を含む、油性インクジェットインク。
(7)炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、アミノ基と反応しうる官能基を有する単位B、β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び
−(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する(メタ)アクリル系ポリマーと、アミノアルコールと、多価イソシアネート化合物とを反応させて、前記(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入する、ウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法。
(8)前記(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入する工程で、炭素数が5〜18の脂肪酸部分を有する脂肪酸ビスマス塩を添加する、(7)に記載のウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法。
(9)前記(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入する工程で、炭素数が8〜18の脂肪酸を添加する、(7)または(8)に記載のウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法。
本発明によれば、インク貯蔵安定性を改善し、樹脂からの副生成物量を低減する油性インクジェットインク用樹脂、油性インクジェットインク、及びその樹脂の製造方法を提供することである。
以下、本発明に係る油性インクジェットインク用樹脂を一実施形態を用いて説明する。
本実施形態による油性インクジェット用樹脂は、ウレタン結合を側鎖として有する(メタ)アクリル系ポリマーであって、炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、アミノ基と反応しうる官能基を基点にアミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位B、β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び−(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する、ことを特徴とする。
本実施形態によれば、油性インクジェットインク(以下、単に「インク」と称することがある。)の貯蔵安定性を改善し、樹脂からの副生成物量を低減する油性インクジェット用樹脂(以下、単にウレタン変性ポリマーと称することがある。)を提供することができる。
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。(メタ)アクリル系ポリマーは、アクリレート由来の単位、メタクリレート由来の単位、またはこれらの組み合わせを有するポリマーを意味する。
本実施形態によるウレタン変性ポリマーは、炭素数8〜18のアルキル基を有することで、非水系溶剤への親和性を高めることがき、非水系溶剤中に分散ないし溶解可能とすることができる。また、本実施形態によるウレタン変性ポリマーは、ウレタン結合が側鎖に導入されることで、顔料への親和性が向上し顔料に吸着しやすくなる。これによって、ウレタン変性ポリマーにおいて、アルキル基が溶媒に配向し、ウレタン結合部が顔料に配向することで、非水系溶剤中に顔料を安定して分散することができる。
また、ウレタン結合部は極性が高いため、非水系溶剤に対して溶解性が低く、印刷後に、紙面表面で、非水系溶剤と顔料との離脱性を高くして、顔料が非水系溶剤とともに紙内部に浸透して裏抜け現象が発生することを防ぐことができる。
ウレタン変性ポリマーの重合において副生成物が生成すると、副生成物は重合溶媒に不溶であり、静置しておくと沈降することがある。この沈降物はフィルターや遠心分離により除去が可能であるが、樹脂自体の粘度が高いため除去効率が非常に悪い。
また、この沈降物は、ウレタン変性ポリマーまたはこれを含むインク製造ラインにおいて配管の詰まりなどの原因になる。
副生成物を含むウレタン変性ポリマーを用いて顔料を分散させる場合では、分散機内部のスクリーン等を詰まらせ、分散効率が低下する問題がある。
ウレタン変性ポリマーの重合において、不溶性の副生成物は、原材料の中でも、アミノ基と反応しうる官能基を有するモノマー、β−ジケトン基及び/またはβケト酸エステル基を有するモノマー、アミノアルコール、多価イソシアネート等の極性の高いモノマーが反応したものと考えられる。
そこで、本発明では、これらの原材料とともに、アルキレンオキシド基を有するモノマーを用いることで、ウレタン変性ポリマーの重合において副生成物量を低減することができる。結果として、ウレタン変性ポリマーのインク貯蔵安定性の効果を損なうことなく、樹脂からの副生成物量を低減することができる。
本実施形態によるウレタン結合を側鎖として有する(メタ)アクリル系ポリマー(ウレタン変性ポリマー)は、炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、アミノ基と反応しうる官能基を基点にアミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位B、β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び−(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する。
このウレタン変性ポリマーは、炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、アミノ基と反応しうる官能基を有する単位B’、β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び−(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する(メタ)アクリル系ポリマー(以下、単に幹ポリマーと称することがある。)と、アミノアルコールと、多価イソシアネート化合物とを反応させて、(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入することで、製造することができる。
幹ポリマーの単位Aのアルキル基は、最終的なウレタン変性ポリマーにそのまま残って、溶媒親和性を示す。
ウレタン変性ポリマーにおいて、単位Aのアルキル基の炭素数が8以上であることで、非水系溶剤、特に炭化水素系非極性溶剤に対して親和性を高めることができ、ウレタン変性ポリマーを非水系溶剤に安定して分散ないし溶解可能とすることができる。ウレタン変性ポリマーの溶解性が低下すると、ウレタン変性ポリマーが非水系溶剤中で白濁して、粘度が上昇することがある。
単位Aのアルキル基の炭素数が18以下であることで、ウレタン変性ポリマーを常温で液体状、または非水系溶剤に分散ないし溶解可能とすることができる。この炭素数が19以上になると、特に低温でウレタン変性ポリマーが固化することがある。
幹ポリマーの単位B’のアミノ基と反応しうる官能基は、ウレタン結合を導入する基点となる。ウレタン変性ポリマーでは、アミノ基と反応しうる官能基を基点にアミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位Bとなる。
ウレタン変性ポリマーにβ―ジケトン基及び/またはβ―ケト酸エステル基を有する単位Cが含まれることで、ウレタン変性ポリマー含有液体の粘度を下げることができる。例えば、インクの溶剤を選択する際に、溶剤自身の粘度値に基づく制約が少なくなり、非水系溶剤の選択の幅を拡げることができる。また、必要に応じて定着用樹脂または添加剤などを配合する際の、配合成分によるインク粘度増加の許容範囲が広がり、インク処方の自由度を広げることも可能となる。
単位Cのβ―ジケトン基及び/またはβ―ケト酸エステル基は、その一部が多価イソシアネートと反応して、ウレタン結合を生成することがあるが、残りの部分は、β―ジケトン基及び/またはβ―ケト酸エステル基のままウレタン変性ポリマーに残る。
ウレタン変性ポリマーにアルキレンオキシド基を有する単位Dが含まれることで、樹脂からの副生成物量を低減することができる。この一要因としては、上記した各単位A、B、Cを構成するモノマーを混合して重合する際に、単位Dを構成するモノマーが含まれることで、モノマーをより均一に混合することができ、各モノマー間の反応を促進させて、反応に寄与しない未反応モノマーの発生を抑制するためである。未反応モノマーの一部が、後続するウレタン化反応において、アミノアルコール及び多価イソシアネートと反応し、不溶性の副生成物として生成されることがある。
単位Aの炭素数8〜18のアルキル基としては、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。
炭素数8〜18のアルキル基としては、例えば、オクチル基(2−エチルヘキシル基)、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ヘキサデシル基(パルミチル基)、オクタデシル基(ステアリル基)等を挙げることができる。これらは、1分子中に単独で、または複数種が含まれていてもよい。
単位Bのアミノ基と反応しうる官能基としては、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等を挙げることができる。
単位Bとしては、例えば、下記一般式(2)で表されるアミノ基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー由来の単位を基点に、アミノアルコールと多価イソシアネートとの反応により前記ウレタン結合が導入された単位である。
CH=CR−COO−R (2)
一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基である。
はアミノ基と反応しうる官能基であり、例えば、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、またはこれらのうち1種以上を含む官能基等を挙げることができる。
例えば、上記式(2)においてRがグリシジル基の場合では、アミノアルコールと反応してエポキシ基が開環し、幹ポリマーにアミノアルコールが付加される。
−COO−CH−CH(OH)−CH−N(ROH) 2−p
ここで、Rは、幹ポリマー部分であり、R及びRは、それぞれ独立的に任意のアルキル基であり、pは1または2である。
そして、付加されたアミノアルコールのヒドロキシ基と、多価イソシアネートとが反応し、ウレタン結合が導入される。
単位Cのβ−ジケトン基としては、例えば、アセトアセチル基、プロピオンアセチル基等を挙げることができる。単位Cのβ−ケト酸エステル基としては、例えば、アセトアセトキシ基、プロピオンアセトキシ基等を挙げることができる。
単位Dのアルキレンオキシド基としては、−(R−O)−で表され、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。好ましくは、単位Dのアルキレンオキシド基は、−(R−O)−で表され、Rは炭素数1〜4のアルキレン基であり、nは2〜20の整数であることが好ましく、より好ましくは、nは2〜10の整数である。
具体的には、単位Dのアルキレンオキシド基は、メチレンオキシド基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、またはこれらの組み合わせを用いることができる。これらの中でも、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基を好ましく用いることができる。
単位Dのアルキレンオキシド基は、ウレタン変性ポリマーの中に2種以上のアルキレンオキシド基が互いに結合して含まれてもよい。
単位Dとしては、例えば、下記一般式(1)で表されるエチレンオキシド基を有する(メタ)アクリル系ポリマー由来の単位である。
CH=CR−COO−(CO)−R (1)
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基である。
は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10の芳香環含有基であることが好ましく、より好ましくは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。Rがアルキル基であることで、多価イソシアネートとの反応性を抑制して、副生成物の生成を防止することができる。
nは2〜20の整数であることが好ましく、より好ましくは2〜10の整数である。nが20以下であることで、モノマー状態で流動性を確保して、重合性を向上させることができる。
ウレタン変性ポリマーには、単位Aが複数含まれることが望ましい。複数の単位Aは、上記した官能基の中から1種類の官能基からなってもよいし、互いに異なる2種以上の官能基からなってもよい。単位B、単位C及び単位Dも同様である。
ウレタン変性ポリマーの全単位に対し、単位Aは、30質量%以上含まれていることが好ましく、40〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが一層好ましい。
ウレタン変性ポリマーの全単位に対し、単位Bは、1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましい。
ウレタン変性ポリマーの全単位に対し、単位Cは、50質量%以下であることが好ましく、1〜40質量%であることが好ましい。
ウレタン変性ポリマーの全単位に対し、単位Dは、50質量%以下であることが好ましく、1〜40質量%であることが好ましい。
ウレタン変性ポリマーにおいて、単位Cと単位Dとの質量比「単位C:単位D」は、10:90〜90:10が好ましく、より好ましくは30:70〜70:30である。
幹ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、6000〜80000であることが好ましく、7000〜70000であることがより好ましく、8000〜50000であることが一層好ましい。
好ましくは、幹ポリマーは、(メタ)アクリルポリマーを主鎖として、主鎖の炭素原子に次の側鎖を備えることが好ましい。
−CO−O−R
−CO−O−R
−CO−O−R
−CO−O−R
ここで、Rは、炭素数8〜18のアルキル基である。
は、アミノ基と反応しうる官能基である。
は、β―ジケトン基及び/またはβ―ケト酸エステル基である。
は、アルキレンオキシド基である。
幹ポリマーは、以下のモノマーを含むモノマー混合物を共重合して製造することができる。
炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;以下単にモノマーAと称することがある。
アミノ基と反応しうる官能基を有する反応性(メタ)アクリレート;以下単にモノマーBと称することがある。
β―ジケトン基及び/またはβ―ケト酸エステル基を有するモノマー;以下単にモノマーCと称することがある。
アルキレンオキシド基を有するモノマー;以下単にモノマーDと称することがある。
モノマーAとしては、例えば、パルミチル(メタ)アクリレート(C16)、イソセチル(メタ)アクリレート(C16)、ドデシル(メタ)メタクリレート(C12)、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(C8)、ステアリル(メタ)アクリレート(C18)、イソステアリル(メタ)アクリレート(C18)、イソデシル(メタ)アクリレート(C10)、ノニル(メタ)アクリレート(C9)、イソオクチル(メタ)アクリレート(C8)、トリデシル(メタ)アクリレート(C13)等を挙げることができる。
モノマーBとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;ビニル(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のビニル基を有する(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
モノマーCとしては、例えば、エステル鎖にβ−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を含む(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドが好ましい例として挙げられる。より詳細には、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;ヘキサジオン(メタ)アクリレート;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
モノマーCを含むことにより、幹ポリマー中にイオン性基を有する官能基を導入することも可能となる。一般に、極性の低い非水系溶剤中にイオン性基を導入した場合、インクの粘度上昇を引き起こすことになるが、モノマーCの存在によりこの粘度上昇を抑制することができる。このことは、インクが記録媒体に着弾する際のインクの静電的な凝集、定着にも寄与し、結果的に印刷濃度の向上、裏抜けの抑制を実現することができる。
モノマーDとしては、例えば、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、
ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記したポリアルキレングリコール部分のアルキレンオキシド基の繰り返し単位数nは、2〜20が好ましく、より好ましくは2〜10である。
上記したモノマーA、B、C及びDは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記したモノマーA、B、C及びDに加え、本発明の効果を損なわない限り、その他のモノマーを用いてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系ポリマー;マレイン酸エステル;フマル酸エステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;α−オレフィン;アルキル基の炭素数が8未満のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
幹ポリマーの製造工程では、上記したモノマーA、B、C及びDを含むモノマー混合物を作製する。
モノマー混合物中のモノマーA、B、C及びDの配合量は、上記した(メタ)アクリルポリマーの単位A、単位B、単位C及び単位Dの割合となるように、調整すればよい。
モノマーの極性は、低い順から、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートA<アミノ基と反応しうる官能基を有する反応性(メタ)アクリレートB<β―ジケトン基及び/またはβ―ケト酸エステル基を有するモノマーCとなる傾向がある。
単体で重合溶剤に溶解しやすいモノマーは、モノマーA及びモノマーBであり、モノマーCはモノマーBが溶解助剤になって重合溶剤に溶解するようになる。
これにアルキレンオキシド基を有するモノマーDを加えることで、モノマーCの溶解性がさらに向上し、均一なモノマー混合物を作製できるようになる。このモノマー混合物を用いることで、後続のウレタン化反応が均一に進み、副生成物量を低減できるようになる。また、未反応モノマーが残留することを防止することができる。
特に、アルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリレートは、重合溶剤に可溶で、β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有するモノマーCよりも極性が低い傾向がある。
上記したモノマー混合物は、公知のラジカル共重合により、重合させることができる。反応系としては、溶液重合または分散重合で行うことが好ましい。
重合反応に際し、反応速度を調整するために、重合開始剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に適宜添加することができる。
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物;t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂(株)製)等の過酸化物等の熱重合開始剤を使用することができる。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤を用いることができる。
また、反応系に連鎖移動剤を併用することで、得られる(メタ)アクリルポリマーの分子量を調整することができる。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン等のチオール類等を好ましく用いることができる。
溶液重合に用いる重合溶媒(反応溶媒)は、特に限定されないが、重合によって得られる樹脂を分散ないし溶解可能であるものが好ましい。また、樹脂をインクに用いる場合は、重合溶媒をそのままインクの非水系溶剤として用いるように、重合溶媒を後述するインクの非水系溶剤のなかから適宜選択することが好ましい。
本実施形態では、上記した(メタ)アクリル系ポリマー(幹ポリマー)と、アミノアルコールと、多価イソシアネート化合物とを反応させて、幹ポリマーにウレタン結合を導入する。この反応をウレタン化反応と称することがある。
ウレタン化反応では、まず、幹ポリマ−の単位Bのアミノ基と反応しうる官能基に、アミノアルコ−ルのアミノ基が反応して結合する。次いで、アミノアルコ−ルのヒドロキシ基に、多価イソシアネ−ト化合物のイソシアン酸エステル基(RN=C=O)が下記式のように付加反応する。これによって、ウレタン結合(−NH−CO−O−)が導入され、カルバミン酸エステルの構造(RNHCOOR)となる。
(RN=C=O)+(R−OH)→R−OCONHR
ここで、R−OHは、(メタ)アクリルポリマ−の反応性官能基に結合したアミノアルコ−ル部を示す。
上記により、顔料吸着能を持たない幹ポリマーに対して、顔料吸着基として作用するウレタン結合が導入される。
アミノアルコールとしては、モノメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等を例示できる。なかでも、2個のヒドロキシ基を提供して形成されるウレタン結合の数を増やせることから、一般式(HOR)NH(Rは2価の炭化水素基)で示されるジアルカノールアミン(2級アルカノールアミン)であることが好ましい。これらのアミノアルコールは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
このアミノアルコールは、上記単位Bのアミノ基と反応しうる官能基に対し、適切な量のウレタン結合を導入する観点から、0.05〜1モル当量で反応させることが好ましく、0.1〜1モル当量で反応させることがより好ましい。アミノアルコールが1モル当量より少ない場合は、単位Bにおいて未反応の官能基が残ることになるが、残った官能基は顔料の吸着基として作用すると考えられる。
多価イソシアネート化合物としては、1,6−ジイソシアネートへキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族系、脂環式系、芳香族系のものが挙げられ、複数種を使用することもできる。
多価イソシアネート化合物は、ヒドロキシ基との反応でウレタン結合を導入する際に未反応原料などが残らないようにするために、仕込んだ原料に含まれるヒドロキシ基に対してほぼ当量(0.98〜1.02モル当量)で反応させることが好ましい。
上記の反応において、さらに多価アルコールを加え、多価アルコールと多価イソシアネート化合物とを反応させることも好ましい。多価アルコールの添加により、ウレタン結合の形成が繰り返されて、より極性の高い側鎖となるポリウレタン側鎖を得ることができる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、複数種を使用することもできる。
多価アルコールは、樹脂の極性を制御するためにも重要である。極端に樹脂極性が大きくなってしまうと、顔料分散性、インクの低粘度化、インクの貯蔵安定性が損なわれるため、アミノアルコールに対して多価アルコールは0〜20モル当量で反応させることが好ましく、0.05〜10モル当量で反応させることがより好ましい。
ウレタン変性ポリマーの主鎖(幹ポリマー)と、導入されたウレタン結合部(枝または枝ポリマー)との質量比率は、60:40〜99:1であることが好ましく、70:30〜99:1であることがより好ましい。ウレタン変性ポリマーの主鎖の質量は、共重合に使用したモノマーの合計質量であり、導入されたウレタン結合部の質量は、反応に使用したアミノアルコールと多価イソシアネート化合物の質量であり、多価アルコールを使用した場合はこれも加えた合計質量である。
上記ウレタン化反応では、触媒を用いることができる。
触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタン系触媒、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウム系触媒、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛系触媒、ビスマス系触媒等を用いることができる。
なかでも、ウレタン化反応では、触媒として脂肪酸ビスマス塩を好ましく用いることができる。脂肪酸ビスマス塩とともに脂肪酸を併用することが好ましい。
従来、ウレタン化反応において、錫系触媒が広く用いられてきた。しかし、環境保全の観点から、錫系触媒は適さないため、代替の触媒が求められている。
安全性の観点から各種の触媒を検討し、さらに反応速度及び副生成物についても検討を行った結果、ウレタン化反応の触媒として脂肪酸ビスマス塩を好ましく用いることができる。また、ウレタン化反応において、脂肪酸ビスマス塩を用いる場合に発生する副生成物に対しては、脂肪酸ビスマス塩とともに脂肪酸を用いることで、このような副生成物量を効果的に低減することができる。
さらに、錫系触媒は反応性が高いため、主反応だけでなく副反応も進み、副生成物も発生しやすくなることがある。一方で、脂肪酸ビスマス塩と脂肪酸とを組み合わせることで、反応が緩やかに進み、主反応が進行する際に、副反応が起こりにくく、副生成物量を低減することができる。
脂肪酸ビスマス塩は、チタン、ジルコニウム、亜鉛系の触媒に比べて元素の大きさ、電子密度と配位している化合物の構造が、本実施形態のウレタン化反応に適している。また、脂肪酸ビスマス塩の脂肪酸部分によって非水系溶剤への溶解性が高まり、ウレタン化反応をより均一に進行させることができる。
脂肪酸ビスマス塩は、ビスマス(III)に3個の脂肪酸が結合したものを用いることができる。脂肪酸部分としては、飽和及び不飽和のいずれであってもよいが、安定性の観点から、飽和脂肪酸を用いることが好ましい。
脂肪酸部分としては、炭素数5以上であることが好ましく、炭素数8以上であることがより好ましい。これによって、幹ポリマーのアルキル基部分との親和性が高くなって、幹ポリマーと触媒とを接近させることができる。そうすると、幹ポリマーのアミノアルコール部分と多価イソシアネートとの反応部分において、触媒が局所的に作用することができ、ウレタン化反応を促進することができる。
一方、脂肪酸部分としては、炭素数18以下であることが好ましく、より好ましくは10以下である。脂肪酸ビスマス塩の脂肪酸部分の炭素数が多くなると、重合溶媒との親和性が低下して、ウレタン化反応に寄与しない場合がある。また、この炭素数を18以下とすることで、幹ポリマーのアルキル基部分との親和性を維持することができる。
脂肪酸ビスマス塩の具体例としては、2−エチルヘキサン酸ビスマス(C8)、ネオデカン酸ビスマス(C10)、オクタン酸ビスマス(C8)、ネオペンタン酸ビスマス(C5)等を挙げることができる。
これらの脂肪酸ビスマス塩は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪酸ビスマス塩は、(メタ)アクリルポリマー(幹ポリマー)100質量部(固形分量)に対し、1質量部以下で配合することが好ましく、より好ましくは0.8質量部以下であり、一層好ましくは0.5質量部以下である。脂肪酸ビスマス塩は、ウレタン変性ポリマーを重合した後には不純物として残存するため、その配合量は少ない方が好ましい。本実施形態では、少量の触媒でも効果を得ることができるため、脂肪酸ビスマス塩は、幹ポリマー100質量部(固形分量)に対し、0.50質量部以下、さらには0.45質量部以下で配合してもよい。
一方、脂肪酸ビスマス塩は、(メタ)アクリルポリマー(幹ポリマー)100質量部(固形分量)に対し、0.01質量部以上、とりわけ0.05質量部以上で配合するとよい。
溶液重合の場合では、脂肪酸ビスマス塩は、反応系全量に対し、0.30質量%以下で配合することが好ましく、より好ましくは0.20質量%以下であり、一層好ましくは0.15質量%以下である。
一方、溶液重合の場合では、脂肪酸ビスマス塩は、反応系全量に対し、0.01質量%以上で配合することが好ましく、より好ましくは0.02質量%以上である。
ウレタン化反応において、脂肪酸ビスマス塩とともに脂肪酸を併用することで、ウレタン化反応を促進させて、副生成物量を低減することができ、ウレタン変性ポリマーの分子量を高くすることができる。
これは、幹ポリマーに含まれる炭素数8〜18のアルキル基部分および重合溶媒に対して、脂肪酸の構造が似ていることで、幹ポリマーと脂肪酸との親和性を得ることができる。さらに、脂肪酸ビスマス塩の脂肪酸部分に対して、脂肪酸の構造が似ていることで、脂肪酸ビスマス塩と幹ポリマーとの親和性を高めて、反応を促進させることができる。
反応が進行することで、反応に寄与しないモノマーが減少して、副生成物の発生を抑制することができる。また、反応が進行することで、ウレタン化反応が連鎖的に進行し、重合度を高め、高分子量のポリマーを得ることができる。
また、幹ポリマーの反応系にアミンが含まれるため、このアミン由来の官能基を脂肪酸によって中和して、ウレタン化反応をより効率よく進行させることができる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、安定性の観点から、好ましくは飽和脂肪酸である。また、脂肪酸は、直鎖脂肪酸及び分岐鎖脂肪酸のいずれであってもよい。
脂肪酸としては、炭素数8以上であることが好ましく、より好ましくは10以上である。脂肪酸の炭素数が8以上であることで、幹ポリマーのアルキル基部分との親和性を高くすることができる。そうすると、幹ポリマーのアミノアルコール部分と多価イソシアネートとの反応部分において、脂肪酸が介在することで、触媒が局所的に作用することができ、ウレタン化反応を促進することができる。
一方、脂肪酸としては、炭素数18以下であることが好ましく、より好ましくは16以下である。脂肪酸の炭素数が多くなると、重合溶媒との親和性が低下して、ウレタン化反応に寄与しない場合がある。また、脂肪酸の炭素数を18以下とすることで、幹ポリマーのアルキル基部分との親和性を維持することができる。
このような脂肪酸としては、例えば、イソパルミチン酸(C16)、オクタン酸(C8)、ステアリン酸(C18)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)等を挙げることができる。
これらの脂肪酸は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪酸は、質量比で、脂肪酸ビスマス塩1に対し、0.8以上で配合することが好ましく、より好ましくは1.0以上であり、さらに好ましくは1.5以上であり、一層好ましくは2.0以上である。これによって、ウレタン化反応を促進させて、副生成物量をより低減することができる。
一方、脂肪酸は、ウレタン変性ポリマーを重合した後は酸成分として作用するため、その配合量は少ない方が好ましい。脂肪酸は、質量比で、脂肪酸ビスマス塩1に対し、30以下で配合することが好ましく、より好ましくは15以下である。脂肪酸の配合量を低減するために、脂肪酸は、質量比で、脂肪酸ビスマス塩1に対し、10以下で配合可能であり、さらには7以下で配合可能である。
溶液重合の場合では、脂肪酸は、反応系全量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であってもよい。一方、溶液重合の場合では、脂肪酸は、反応系全量に対し、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であっても効果を得ることができる。
幹ポリマーのアルキル基(炭素数8〜18)の炭素数c1と、脂肪酸ビスマス塩の脂肪酸部分の炭素数c2と、脂肪酸の炭素数c3とは、以下の関係を満たすことが好ましい。
炭素数c2は、脂肪酸ビスマス塩が複数の脂肪酸部分を有する場合は、それぞれの脂肪酸部分の炭素数である。この場合、それぞれの脂肪酸部分の炭素数c2が、それぞれ独立して以下の関係を満たすことが好ましい。
c1>c3≧c2
本実施形態では、(メタ)アクリル系モノマー(幹ポリマー)を得る工程後に、幹ポリマーを貧溶媒を用いて洗浄してもよい。この洗浄工程は、上記したウレタン化反応の前に行うことが好ましい。
ウレタン変性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、インクジェット用インクとして用いる場合には、インクの吐出性の観点から10000〜80000程度であることが好ましく、13000〜50000程度であることがより好ましい。
ウレタン変性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、常温以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることがより好ましい。これにより、インクが記録媒体上で定着する際に、常温で被膜を形成することができる。
ウレタン変性ポリマーを溶液重合する場合では、幹ポリマーの固形分量が15〜60質量%となるように重合し、引き続き、ウレタン化反応を行って、ウレタン変性ポリマーの固形分量が15〜60質量%となるように重合することができる。この範囲で、重合及びウレタン化反応の速度を制御しやすくできる。
本実施形態によるウレタン変性(メタ)アクリルポリマーは、顔料分散剤として好ましく用いることができる。ウレタン変性ポリマーを顔料分散剤として用いる場合には、油性インクに応用することが好ましい。
本実施形態によるウレタン変性ポリマーは、それ自身に高い顔料分散能があるため配合量を少なくすることができ、かつ、別に顔料分散剤を添加しなくてもよい。その結果、通常は高分子化合物である顔料分散剤の配合による弊害、すなわちインクの高粘度化および保存安定性の低下を抑制することができ、特にインクジェット記録システムにおいては吐出安定性を向上させることができる。さらに、通常使用環境下における保存安定性のみならず、高温環境下条件における保存安定性をも確保することができる。
油性インクとしては、顔料及び非水系溶剤を少なくとも含み、さらに顔料分散剤としてウレタン変性(メタ)アクリルポリマーを含むことができる。
ウレタン変性ポリマーは、インク全量に対し、顔料分散性を確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。一方、ポリマーの含有量が多くなると、インクの粘度が高くなるばかりでなく、高温環境下での保存安定性が低下することがある。そのため、ウレタン変性ポリマーは、インク全量に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
また、ウレタン変性ポリマーは、顔料の質量を1として、顔料分散性を確保する観点から、0.2以上であることが好ましく、インク粘度の向上と経時変化による吐出不良を回避する観点から、1以下であることが好ましい。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;
イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;
ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
これらの非水系溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水系溶剤と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。
本実施形態では、ウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造工程において、重合溶剤を用いる場合は、上記した非水系溶剤のなかから、石油系炭化水素溶剤及び脂肪酸エステル系溶剤を好ましく用いることができる。高級アルコール系溶剤及び高級脂肪酸系溶剤は、反応系に少なからず影響を与えるため、重合溶媒としての使用量を制限することが好ましい。
油性インクに高級アルコール系溶剤及び高級脂肪酸系溶剤を配合する場合は、ウレタン変性(メタ)アクリルポリマーを調製した後に、後から添加することが好ましい。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料の平均粒子径としては、吐出安定性と保存安定性の観点から、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下である。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01〜20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1〜15質量%であることが好ましい。
油性インク中で顔料を安定して分散させるために、本実施形態によるウレタン変性(メタ)アクリルポリマーを顔料分散剤として用いることができる。
本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の顔料分散剤を併用してもよい。その他の顔料分散剤としては、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤及びノニオン性分散剤のいずれを用いてもよい。また、その他の顔料分散剤は、また、高分子量化合物及び低分子量化合物(界面活性剤)のいずれを用いてもよい。
発色性の観点から、顔料とともに染料を併用してもよい。染料としては、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができ、例えば、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料、金属錯塩染料、造塩染料等を挙げることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
上記各成分に加えて、油性インクには、各種添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
油性インクは、通常の方法によって調製することができ、例えば、ビーズミル等の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製できる。
また、ウレタン変性ポリマーを上記したように溶液重合によって樹脂含有液体の形態で製造し、この樹脂含有液体に、その他の成分を一括または分割して混合及び分散して、油性インクを調製することができる。
上記した油性インクは、インクジェット印刷、オフセット印刷、孔版印刷、グラビア印刷、電子写真方式印刷等の印刷インク全般として用いることができる。特に、分散安定性が良好であるため、インクジェットインクとして用いることが好ましい。
インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、一層好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
本実施形態において、記録媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm〜数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、インクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
以下、本発明の一実施例について説明する。以下の実施例によって本発明が限定されることはない。以下の説明において、特に説明のない場合、「%」は「質量%」を表す。
<インク調製>
(幹ポリマーの合成)
表1に、幹ポリマーa〜hのモノマー混合物の処方を示す。
300ml四つ口フラスコに、パルミチン酸イソオクチル(日光ケミカルズ(株))126.5gを仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで加熱し、これに表1に示す処方のモノマー混合物を添加し、さらにAF7を16.7g、パーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサのエート(日油(株)製))を4gの混合物を3時間かけて滴下した。その後、温度を110℃に保ちながら、1時間後にパーブチルOを0.2g添加し、さらに1時間加熱した。パルミチン酸イソオクチルを12.7g加え、固形分40%の幹ポリマー含有液を得た。
得られた幹ポリマーの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、9000〜12000であった。
Figure 0006715146
表1に示す各成分は以下の通りである。
パルミチル−ステアリルメタクリレート:PSMA、花王株式会社製。
2−エチルヘキシルメタクリレート:2−EHA、日油株式会社製。
グリシジルメタクリレート:GMA、日油株式会社製。
2−アセトアセトキシエチルメタクリレート:AAEM、日本合成化学工業株式会社製。
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート:n≒2、日油株式会社製「商品名:ブレンマーPME−100」、分子量約100。
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート:n≒4、日油株式会社製「商品名:ブレンマーPME−200」、分子量約200。
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート:n≒9、日油株式会社製「商品名:ブレンマーPME−400」、分子量約400。
上記PSMAは、パルミチルメタクリレートとステアリルメタクリレートの混合物である。
上記nは、エチレングリコールの繰り返し単位数である。
(ウレタン変性ポリマーの合成)
得られた幹ポリマーにウレタン結合を導入して、ウレタン変性ポリマーとして樹脂1〜9を合成した。
表2及び表3の上段に、ウレタン変性ポリマー(樹脂1〜9)の処方を示す。
各表に示す組成にしたがって、幹ポリマー含有液にジエタノールアミン及びプロピレングリコールの混合物を添加し、窒素ガスを通気し撹拌しながら110℃で1時間加熱した。その後、各表に示す組成にしたがって、この混合物に2−エチルヘキサン酸ビスマス及びイソパルミチン酸の混合物を添加し、次いで、ジイソシアネート及びパルミチン酸イソオクチルの混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、6時間反応させ、固形分40%の樹脂1〜9を得た。
樹脂7〜9では、「2−エチルヘキサン酸ビスマス及びイソパルミチン酸の混合物」を「ジブチル錫ジラウレート」に変えた他は、同様にして、樹脂を合成した。
各成分の詳細は以下の通りである。
ジエタノールアミン:東京化成工業株式会社製。
プロピレングリコール:和光純薬工業株式会社製。
2−エチルヘキサン酸ビスマス:和光純薬工業株式会社製。
ジブチル錫ジラウレート:東京ファインケミカル株式会社製「L-101」。
イソパルミチン酸:東京化成工業株式会社製。
ジイソシアネート:1,6−ジイソシアネートへキサン、東京化成工業株式会社製。
パルミチン酸イソオクチル:日光ケミカルズ株式会社製。
AF7:JX日鉱日石エネルギー株式会社製「AFソルベント7号」、石油系炭化水素溶剤。
(インクの調製)
表2及び表3の下段に、各インクの処方を示す。
各樹脂1〜9を用いて、表2及び表3に示す処方にしたがって、インク原料を混合し、ジルコニアビーズ(直径0.5mm)を入れ、ロッキングミル((株)セイワ技研製)により120分間分散した。分散後ジルコニアビーズを除去し、3.0μmおよび0.8μmのメンブレンフィルターで順に濾過して、ゴミ及び粗大粒子を除去して、インクを調製した。
各成分の詳細は以下の通りである。
カーボンブラック:エボニックジャパン株式会社製「NEROX500」。
パルミチン酸イソオクチル:日光ケミカルズ株式会社製「IOP」。
ステアリルアルコール:高級アルコール工業株式会社製。
AF−4:JX日鉱日石エネルギー株式会社製「AFソルベント4号」;石油系炭化水素溶剤。
<評価>
得られた樹脂及びインクについて、以下の評価を行った。結果を各表にあわせて示す。
(重量平均分子量)
樹脂1〜9の重量平均分子量は、株式会社島津製作所製「GPCシステム」を用いて測定した。このゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、疎水性充填剤と非水系(有機溶媒)移動相を用いて、合成高分子の分子量分布測定を行うことができる。
疎水性充填剤にはスチレンージビニルベンゼン共重合体を用い、有機溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。
この測定結果を以下の基準で評価した。
A:重量平均分子量が13000以上。
B:重量平均分子量が10000以上13000未満。
C:重量平均分子量が10000未満。
(副生成物量)
得られた樹脂1〜9について、樹脂含有液体中の副生成物量を測定した。
樹脂含有液体において、ウレタン変性アルキルメタクリレートは溶媒中に微分散しているが、副生成物は溶媒に不溶で低分散性であるため沈降しやすい。この特性を利用して、樹脂含有液体の遠心分離において、上澄み液にウレタン変性アルキルメタクリレートが残り、副生成物が沈降するように、所定の遠心分離条件を決定した。この遠心分離条件によって、同一条件で各種樹脂1〜9の樹脂含有液体を遠心分離し、上澄み液を除去し、沈降量を測定した。樹脂含有液体全量に対して沈降量の質量割合を測定し、これを副生成物量とした。この副生成物量を以下の基準で評価した。
A:0.1%未満。
B:0.1%以上0.3%未満。
C:0.3%以上。
(インク貯蔵安定性)
各インクを密閉容器に入れ、70℃の環境下で4週間放置した。放置前のインク粘度と、放置後のインク粘度とを測定し、粘度変化率を以下の式から求めた。この粘度変化率を以下の基準で評価した。
インク粘度は、23℃において剪断速度を1s−1から1000s−1まで増加させたときの1000s−1における粘度であり、(株)アントンパール社製レオメーターMCR302(コーン角度1°、直径50mm)で測定した。
粘度変化率=[(4週間後の粘度×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
A:粘度変化率が5%未満。
B:粘度変化率が5%以上10%未満。
C:粘度変化率が10%以上。
実施例の各インクは、粘度の初期値が5〜15mPa・sの範囲内であった。
(触媒、酸の安全性)
樹脂の合成において用いた触媒、酸について、PRTR制度で対象化学物質になっているかを安全基準として判断した。評価基準は以下の通りである。
A:PRTR制度で対象化学物質に該当しない。
B:PRTR制度で対象化学物質に該当する。
Figure 0006715146
Figure 0006715146
各表に示す通り、各実施例のインクでは、樹脂の副生成物量を少なく抑えることができ、さらにインク貯蔵安定性に優れ、樹脂の重量平均分子量が適正範囲であった。
実施例1〜3は、各種メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを用いたものであり、それぞれ良好な結果であった。
実施例4及び5は、それぞれ実施例1及び2に対し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート量を少なくしたものであり、それぞれ良好な結果であった。
実施例6は、実施例2に対し、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート量を多くしたものであり、それぞれ良好な結果であった。実施例6では、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート量が少なくなっており、インク貯蔵安定性が低下するものの、良好な範囲であった。
実施例1〜6では、安全性の高い触媒、酸を用いており、良好な結果を得ることができた。
実施例7は、実施例1に対し、従来の錫系触媒を用いている点が異なり、樹脂の副生成物量が低下するものの、良好な範囲であった。
モノマーの極性は、低い順から、PSMA<LMA<GMA<AAEMである。単体で重合溶剤に溶解するモノマーはPSMA、LMA、GMAであった。AAEMはGMAが溶解助剤となり合成溶剤に溶解するようになった。
モノマー混合物に、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PME)を加えることで、AAEMの溶解性が向上し、均一なモノマー混合液になるため、幹ポリマーにおいて各モノマー由来の単位が均等にランダム配列され、その後のウレタン化反応が均一に進み、副生成物が低減すると推測する。
実施例で用いたPMEは、重合溶剤に可溶で、AAEMよりも極性が低かった。
比較例1は、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートを用いないものであり、樹脂の副生成物量が増加した。
比較例2は、2−アセトアセトキシエチルメタクリレートを用いないものであり、インク貯蔵安定性が低下し、さらに樹脂の副生成物量も増加した。

Claims (9)

  1. ウレタン結合を側鎖として有する(メタ)アクリル系ポリマーであって、
    炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、
    アミノ基と反応しうる官能基を基点にアミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位B、
    β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び
    −(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する、
    油性インクジェットインク用樹脂。
  2. 前記単位Dは、下記一般式(1)で表されるエチレンオキシド基を有する(メタ)アクリル系モノマー由来の単位を含む、請求項1に記載の油性インクジェットインク用樹脂。
    CH=CR−COO−(CO)−R (1)
    (一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜10の芳香環含有基であり、nは2〜20の整数である。)
  3. 前記単位Bは、下記一般式(2)で表されるアミノ基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー由来の単位を基点に、アミノアルコールと多価イソシアネートとの反応によりウレタン結合が導入された単位を含む、請求項1または2に記載の油性インクジェットインク用樹脂。
    CH=CR−COO−R (2)
    (一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはアミノ基と反応しうる官能基である。)
  4. 前記(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖と、前記(メタ)アクリル系ポリマーに導入されたウレタン結合部との質量比が60:40〜99:1である、請求項1から3のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク用樹脂。
  5. 前記単位Bのアミノ基と反応しうる官能基が、グリシジル基、ビニル基、及び(メタ)アクリロイル基のうちから選択される1種以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク用樹脂。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク用樹脂を含む、油性インクジェットインク。
  7. 炭素数8〜18のアルキル基を有する単位A、
    アミノ基と反応しうる官能基を有する単位B、
    β−ジケトン基及び/またはβ−ケト酸エステル基を有する単位C、及び
    −(R−O)−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。)で表されるアルキレンオキシド基を有する単位Dを有する(メタ)アクリル系ポリマーと、
    アミノアルコールと、
    多価イソシアネート化合物とを反応させて、前記(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入する、
    ウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法。
  8. 前記(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入する工程で、炭素数が5〜18の脂肪酸部分を有する脂肪酸ビスマス塩を添加する、請求項7に記載のウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法。
  9. 前記(メタ)アクリル系ポリマーにウレタン結合を導入する工程で、炭素数が8〜18の脂肪酸を添加する、請求項7または8に記載のウレタン変性(メタ)アクリルポリマーの製造方法。
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