JP6715033B2 - 熱伝導性接着剤組成物、熱伝導性接着剤シートおよび積層体の製造方法 - Google Patents

熱伝導性接着剤組成物、熱伝導性接着剤シートおよび積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性接着剤組成物、熱伝導性接着剤シートおよび積層体の製造方法に関する。
特に、窒化ホウ素粒子の配合量を減少させて低コスト化を図りつつも、硬化した際の熱伝導性、接着性および耐熱性を低下させることなく、安定的に保持することができる熱伝導性接着剤組成物、これを用いた熱伝導性接着剤シートおよび積層体の製造方法に関する。
従来、各種電子機器において、半導体集積回路が用いられている。
中でも、大きな電力を必要とする機器においては、ハイパワーのダイオード、トランジスタおよびICなどのパワー素子を実装したパワーモジュールが用いられている。
かかるパワーモジュールでは、パワー素子から発生した熱を逃がすための十分な放熱性が要求される。
そこで、パワーモジュールとヒートシンクとを、熱伝導性接着剤シートにより接着する技術が広く用いられている。
このような熱伝導性接着剤シートおよびこれを形成するための熱伝導性接着剤組成物としては、樹脂成分中に無機粒子を分散させてなるものが種々提案されている。
中でも、特許文献1〜3には、無機粒子として窒化ホウ素粒子とその他の無機酸化物粒子を併用する熱伝導性接着剤が開示されている。
すなわち、特許文献1には、(a)熱可塑性樹脂、(b)エポキシ樹脂、(c)硬化剤、(d)窒化ホウ素粒子および(e)無機球状粒子を含有する電子機器用接着剤組成物であって、(e)無機球状粒子の一次平均粒径が(d)窒化ホウ素粒子の体積基準における一次粒径分布の10体積%粒径以下であることを特徴とする電子機器用接着剤組成物が開示されている。
また、(e)無機球状粒子としては、アルミナ粒子や酸化マグネシウム粒子等が記載されている。
また、特許文献2には、熱界面材料において、整合性のある第1の型の熱伝導粒子であって、当該第1の熱伝導粒子の各々自体が、さらに小さな扁平粒子の自己結合性の凝集である第1の型の熱伝導粒子と;第2の型の熱伝導粒子と;樹脂粒子と;不安定性の液体と;を含み、不安定性の液体および樹脂粒子が20%未満の範囲まで互いに可溶であることを特徴とする熱界面材料が開示されている。
また、第1の型の熱伝導粒子としては、窒化ホウ素粒子が記載されており、第2の型の熱伝導粒子としては、アルミナ粒子や酸化亜鉛粒子等が記載されている。
また、特許文献3には、主層と、主層の少なくとも一面に表皮層を設けた接着性シートであって、主層がアルミナまたは窒化ホウ素を75〜95体積%含有する樹脂からなり、表皮層がアルミナを70〜80体積%含有する樹脂からなる接着性シートが開示されている。
特開2011−225856号公報(特許請求の範囲等) 特開2011−515559号公報(特許請求の範囲等) 特許第3514340号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1〜3に記載の熱伝導性接着剤組成物等は、窒化ホウ素粒子と、アルミナ粒子等の金属酸化物粒子と、を併用しているものの、窒化ホウ素粒子の配合量の方が金属酸化物粒子よりもはるかに多いため、低コスト化を十分に実現することができないという問題が見られた。
また、窒化ホウ素粒子と併用される金属酸化物粒子の粒径が10μm以下の小粒径であることからも明らかなように、金属酸化物粒子は、あくまでもメイン粒子である窒化ホウ素粒子を減らした分の間隙を埋めるためのサブ粒子として使用されているに過ぎなかった。
それ故、サブ粒子である金属酸化物粒子を併用したものは、あくまでもメイン粒子である窒化ホウ素粒子のみを用いたものの劣化版に過ぎず、事実、十分な熱伝導性を得ることが困難になるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、このような問題を検討した結果、窒化ホウ素粒子の配合量を減少させた場合であっても、所定粒径の金属酸化物粒子(以下、「大粒径金属酸化物粒子」と称する場合がある。)を所定の割合で併用することで、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と同等の特性を有する硬化物を得ることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、窒化ホウ素粒子の配合量を減少させて低コスト化を図りつつも、硬化した際の熱伝導性、接着性および耐熱性を低下させることなく、安定的に保持することができる熱伝導性接着剤組成物、これを用いた熱伝導性接着剤シートおよび積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、下記(A)、(B1)および(B2)成分を含有するとともに、下記(A)成分としての熱可塑性樹脂がポリアミドイミドオリゴマーであり、当該ポリアミドイミドオリゴマーが分子末端に、架橋点となるカルボキシル基を有しており、下記(A)成分としての熱可塑性樹脂同士を架橋するための熱架橋剤が、エポキシ系熱架橋剤であることを特徴とする熱伝導性接着剤組成物が提供され、上述した問題を解決することができる。
(A) 熱可塑性樹脂 100重量部
(B1)窒化ホウ素粒子 100〜450重量部
(B2)数平均粒径15〜200μmの金属酸化物粒子 600〜5000重量部
すなわち、本発明の熱伝導性接着剤組成物であれば、窒化ホウ素粒子の配合量を所定の範囲まで減少させつつ、大粒径金属酸化物粒子を所定の割合で併用していることから、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と比較して、低コスト化を図りつつも、硬化した際の熱伝導性、接着性および耐熱性を低下させることなく、安定的に保持することができる。
また、硬化物における接着性および耐熱性をさらに向上させることができ、かつ、硬化前の熱伝導性接着剤組成物の保存安定性を効果的に向上させることができる。
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物を構成するにあたり、(B2)成分としての金属酸化物粒子が、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子および酸化亜鉛粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
このように構成することにより、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と同等の特性を有する硬化物を、より安定的に得ることができる。
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物を構成するにあたり、(B1)成分としての窒化ホウ素粒子の数平均粒径を5〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、硬化物における熱伝導性および接着性をより向上させることができる。
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物を構成するにあたり、(B1)成分としての窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素粒子凝集体であることが好ましい。
このように構成することにより、硬化物における熱伝導性および接着性をさらに向上させることができる。
なお、窒化ホウ素粒子凝集体を構成する一次粒子の粒径は、0.1〜100μmの範囲内の値であることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物を構成するにあたり、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量を1000〜15000の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、硬化物における接着性および耐熱性をより一段と向上させることができる。
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分として、(A)成分としての熱可塑性樹脂同士を架橋するための熱架橋剤を、(A)成分としての熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜80重量部の範囲内で含むことが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分同士を架橋させて熱伝導性接着剤組成物を安定的に硬化させことができる。
また、本発明の別の態様は、上述した熱伝導性接着剤組成物から形成された熱伝導性接着剤シートである。
すなわち、本発明の熱伝導性接着剤シートであれば、所定の熱伝導性接着剤組成物から形成されることから、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と比較して、低コスト化を図りつつも、硬化した際の熱伝導性、接着性および耐熱性を低下させることなく、安定的に保持することができる。
また、本発明のさらに別の態様は、上述した熱伝導性接着剤シートを用いた積層体の製造方法であって、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
(a)第1の構造体と第2の構造体との間に熱伝導性接着剤シートを介在させる工程
(b)熱プレスにより熱伝導性接着剤シートを圧着・硬化させ、第1の構造体と第2の構造体とを接着する工程
すなわち、本発明の積層体の製造方法であれば、所定の熱伝導性接着剤シートを用いていることから、高温環境下であっても第1および第2の構造体間の接着を安定的に保持しつつ、相対的に高温の構造体から相対的に低温の構造体に対して効率的に熱を伝導し、外部環境に放熱が可能な積層体を安定的に、かつ、低コストで製造することができる。
図1(a)〜(c)は、本発明の熱伝導性接着剤シートを用いた積層体の製造方法を説明するために供する図である。 図2は、実施例2の熱伝導性接着剤シートの断面の電子顕微鏡写真を示すために供する図である。 図3(a)〜(b)は、実施例2の熱伝導性接着剤シートの断面の電子顕微鏡写真を示すために供する別の図である。 図4(a)〜(b)は、実施例2の熱伝導性接着剤シートの断面の電子顕微鏡写真を示すために供するさらに別の図である。 図5(a)〜(b)は、実施例2の熱伝導性接着剤シートの断面における元素分布を示すために供する図である。 図6(a)〜(b)は、実施例2の熱伝導性接着剤シートの断面における元素分布を示すために供する別の図である。 図7(a)〜(b)は、実施例2の熱伝導性接着剤シートの断面における元素分布を示すために供するさらに別の図である。 図8は、実施例2の硬化物の断面の電子顕微鏡写真を示すために供する図である。 図9(a)〜(b)は、実施例2の硬化物の断面の電子顕微鏡写真を示すために供する別の図である。 図10(a)〜(b)は、実施例2の硬化物の断面の電子顕微鏡写真を示すために供するさらに別の図である。 図11(a)〜(b)は、実施例2の硬化物の断面における元素分布を示すために供する図である。 図12(a)〜(b)は、実施例2の硬化物の断面における元素分布を示すために供する別の図である。 図13(a)〜(b)は、実施例2の硬化物の断面における元素分布を示すために供する別の図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、下記(A)、(B1)および(B2)成分を含有することを特徴とする熱伝導性接着剤組成物である。
(A) 熱可塑性樹脂 100重量部
(B1)窒化ホウ素粒子 100〜450重量部
(B2)数平均粒径15〜200μmの金属酸化物粒子 600〜5000重量部
以下、第1の実施形態の熱伝導性接着剤組成物について、具体的に説明する。
1.(A)成分:熱可塑性樹脂
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、主剤として熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする。
この理由は、熱可塑性樹脂であれば、可撓性、熱応力の緩和、接着性等の機能を、得られる硬化物に対して効果的に付与することができるためである。
(1)種類
また、熱可塑性樹脂の種類としては、特に制限されるものではなく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂、アクリルゴム、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン等が挙げられる。
中でも、耐熱性の観点から、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドがより好ましく挙げられ、粒子分散性の観点からポリアミドイミドが特に好ましく挙げられる。
また、これらの熱可塑性樹脂は、後述する(C)成分としての熱架橋剤との反応が可能な官能基を有していることが好ましい。
より具体的には、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソシアネート基等を有することが好ましい。
以下、接着性や耐熱性等、熱伝導性接着剤組成物の主剤として、総合的な観点から特に好適なポリアミドイミドオリゴマーを例に挙げて、具体的に説明する。
(2)分子構造
かかるポリアミドイミドオリゴマーの分子構造としては、特に制限されないが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を主要構成単位として有することが好ましい。
(一般式(1)中、Arは下記式(2)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、Rは下記式(3)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、繰り返し数nは2〜80の範囲内の正数である。)
また、上述した主要構成単位以外の構成単位として、ポリアミド構成単位やポリイミド構成単位が含まれていてもよい。
また、ポリアミドイミドオリゴマーが、下記一般式(4)に示すように分子の両末端に、あるいは下記一般式(5)に示すように分子の片末端に、架橋点となるカルボキシル基を有することが好ましい。
このように分子末端に架橋点となるカルボキシル基を有することで、後述する(C)成分としての熱架橋剤により、ポリアミドイミドオリゴマーの末端同士を効果的に架橋できる。これにより、実質的に他の硬化成分を用いることなく、熱伝導性、接着性および耐久性に優れた硬化物を得ることができ、かつ、硬化前の熱伝導性接着剤組成物の保存安定性を効果的に向上させることができる。
すなわち、ポリアミドイミドオリゴマーという高ガラス転移点を有する成分同士を、熱架橋剤を介して互いに架橋することにより、耐熱性に優れた樹脂を得ることができる。
(一般式(4)中、Arは式(2)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、Rは式(3)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、繰り返し数nは2〜80の範囲内の正数である。)
(一般式(5)中、Arは式(2)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、Rは式(3)で表される構造から選択される少なくとも一種であり、繰り返し数nは2〜80の範囲内の正数である。)
(3)数平均分子量
また、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量を1000〜15000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量が1000未満の値となると、得られる硬化物における耐熱性が過度に低くなるほか、接着剤組成物の粘度が低くなり過ぎて形態安定性が悪化する場合があるためである。一方、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量が15000を超えた値となると、(A)成分が溶剤に溶解しにくくなって熱伝導性接着剤組成物の塗工性が過度に低下したり、(A)成分同士の架橋が過度に少なくなって十分な接着性を得ることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量の下限値を2000以上の値とすることがより好ましく、3000以上の値とすることがさらに好ましく、5000以上の値とすることが特に好ましい。
また、ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量の上限値を12000以下の値とすることがより好ましく、10000以下の値とすることがさらに好ましい。
(4)ガラス転移点
また、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点を100〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点が100℃未満の値となると、耐熱性が過度に低下する場合があるためである。一方、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点が300℃を超えた値となると、接着力が過度に低下する場合があるためである。
したがって、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点の下限値を135℃以上の値とすることがより好ましく、150℃以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ポリアミドイミドオリゴマーのガラス転移点の上限値を280℃以下の値とすることがより好ましく、250℃以下の値とすることがさらに好ましく、220℃以下の値とすることが特に好ましい。
(5)配合量
また、熱可塑性樹脂の配合量を、熱伝導性接着剤組成物の固形分100重量%に対して、1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱可塑性樹脂の配合量が1重量%未満の値となると、後述する(C)成分による(A)成分同士の架橋が過度に少なくなって、十分な接着性を得ることが困難になったり、(B)成分としての熱伝導性無機粒子を伝導性接着剤組成物中に均一に分散・保持することが困難になったりする場合があるためである。一方、熱可塑性樹脂の配合量が30重量%を超えた値となると、熱伝導性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、熱伝導性接着剤組成物の固形分100重量%に対する熱可塑性樹脂の配合量の下限値を、3重量%以上の値とすることがより好ましく、5重量%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱伝導性接着剤組成物の固形分100重量%に対する熱可塑性樹脂の配合量の上限値を20重量%以下の値とすることがより好ましく、10重量%以下の値とすることがさらに好ましい。
2.(B)成分:熱伝導性無機粒子
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、接着剤組成物に対して熱伝導性を付与する観点から、(B)成分としての熱伝導性無機粒子を含むことを特徴とする。
より具体的には、少なくとも、(B1)成分としての窒化ホウ素粒子と、(B2)成分としての金属酸化物粒子を含むことを特徴とする。
以下、(B)成分を構成する各成分について、それぞれ具体的に説明する。
(1)(B1)成分:窒化ホウ素粒子
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、(B1)成分として窒化ホウ素粒子を含むことを特徴とする。
この理由は、窒化ホウ素粒子であれば、絶縁性を安定的に保持しつつ、接着剤組成物に対して効率的に熱伝導性を付与することができるためである。
また、窒化ホウ素粒子であれば、(A)成分としての熱可塑性樹脂中に分散した状態で、メインの(B)成分である(B2)成分としての大粒径金属酸化物粒子間の間隙を効果的に充填することができる。そのため、少量の配合であっても効率的に窒化ホウ素粒子による伝熱ネットワークを構成することができ、ひいては硬化した際の熱伝導性を効果的に向上させることができる。
すなわち、(B2)成分としての大粒径金属酸化物粒子間の間隙に熱伝導率の高い窒化ホウ素粒子が存在することにより、大粒径金属酸化物粒子のみを含む場合よりも効率的に伝熱ネットワークを構成することができる。
また、窒化ホウ素粒子は、大粒径化したものを用いる観点から、鱗片状の結晶体、もしくは小粒径の窒化ホウ素粒子を二次凝集させた窒化ホウ素粒子凝集体が好ましく挙げられる。
特に、窒化ホウ素粒子が凝集した窒化ホウ素粒子凝集体を用いることが好ましい。
この理由は、窒化ホウ素粒子凝集体であれば、塗工時や硬化時に窒化ホウ素粒子が特定の方向(例えば、厚み方向)に配向することを抑制することにより、熱伝導性における異方性の発現を抑制し、全ての方向に等しく熱を伝えることができるためである。
なお、本発明における「凝集体」とは、一次粒子が少なくとも100個以上高次凝集し、配向することなく規則的に円球状(真円球、楕円球、半円球、円柱状を含む)もしくは多角形状を形成したものを意味する。
(1)−1 粒径
また、窒化ホウ素粒子の数平均粒径を5〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、窒化ホウ素粒子の数平均粒径が5μm未満の値となると、窒化ホウ素粒子による伝熱ネットワークを構成することが困難になり、熱伝導率が過度に低下する場合があるためである。一方、窒化ホウ素粒子の数平均粒径が200μmを超えた値となると、接着面への窒化ホウ素粒子の露出により接着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、窒化ホウ素粒子の数平均粒径の下限値を10μm以上の値とすることがより好ましく、30μm以上の値とすることがさらに好ましく、50μm以上の値とすることが特に好ましい。
また、窒化ホウ素粒子の数平均粒径の上限値を150μm以下の値とすることがより好ましく、100μm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素粒子凝集体である場合、該凝集体を構成する一次粒子の粒径は、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、8〜30μm程度であることが特に好ましい。また、凝集体を構成する全ての一次粒子が上述した範囲内の一次粒径である必要は無く、全体の50%以上がそのような粒子から構成されていることが好ましい。
また、当該一次粒子は球状であっても、断面が楕円形状であってもよいが、より凝集しやすい観点から、断面が楕円形状のものがより好ましい。
断面が楕円形状である一次粒子の場合、長軸が上述した一次粒径の範囲内の値となることが好ましい。一方、短軸は、0.05〜50μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、0.3〜5μmであることが特に好ましい。また、一次粒子のアスペクト比は、1.2〜50であることが好ましく、3〜30であることがより好ましく、6〜15であることが特に好ましい。
なお、本発明における数平均粒径は、レーザー散乱粒度分布計(堀場製作所(株)製、LA−920)を用い、粒子が膨潤しない媒体に分散させて測定することができる。
(1)−2 アスペクト比
また、窒化ホウ素粒子のアスペクト比を1.1〜30の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、窒化ホウ素粒子のアスペクト比が1.1未満の値となると、粒子が球状となるため、粒子同士の接触面積が減少し、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、窒化ホウ素粒子のアスペクト比が30を超えた値となると、塗工時や硬化時に粒子が配向しやすくなり、所望の方向への熱伝導率が発現しにくくなる場合があるためである。
したがって、窒化ホウ素粒子のアスペクト比の下限値を1.2以上の値とすることがより好ましく、1.3以上の値とすることがさらに好ましい。
また、窒化ホウ素粒子のアスペクト比の上限値を20以下の値とすることがより好ましく、10以下の値とすることがさらに好ましく、5以下の値とすることが特に好ましい。
なお、かかるアスペクト比を有する窒化ホウ素粒子の形状としては、凝集体もしくは鱗片状とすることが好ましく、凝集体とすることが特に好ましい。
(1)−3 配合量
また、窒化ホウ素粒子の配合量を、(A)成分100重量部に対して100〜450重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、窒化ホウ素粒子の配合量が100重量部未満の値となると、(B2)成分としての大粒径金属酸化物粒子の間隙を埋める効果が低くなり、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、窒化ホウ素粒子の配合量が450重量部を超えた値となると、熱伝導率には問題がないものの、高価な窒化ホウ素の配合量が多くなるため、高コストとなる場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する窒化ホウ素粒子の配合量の下限値を125重量部以上の値とすることがより好ましく、150重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する窒化ホウ素粒子の配合量の上限値を400重量部以下の値とすることがより好ましく、350重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)(B2)成分:大粒径金属酸化物粒子
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物は、(B2)成分として大粒径金属酸化物粒子を含むことを特徴とする。
この理由は、大粒径金属酸化物粒子を配合することにより、粒子間の接触界面での伝熱損失の回数を低減することにより効率的な伝熱ネットワークが形成されるためである。さらに、大粒径金属酸化物粒子間の間隙の体積が大きいため、その中に窒化ホウ素粒子が多く入るため、伝熱ネットワークがさらに効率的なものとなるためである。
(2)−1 種類
また、大粒径金属酸化物粒子の種類としては、特に制限されるものではなく、例えば、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ベリリウム粒子、酸化チタン粒子等の従来公知のものを使用することができる。
中でも、特に、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子および酸化亜鉛粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの金属酸化物粒子であれば、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と同等の特性を有する硬化物を、より安定的に得ることができるためである。
すなわち、これらの金属酸化物粒子であれば、単体での熱伝導率が比較的高く、かつ、大粒径の粒子を容易に製造することができるためである。
(2)−2 粒径
また、大粒径金属酸化物粒子の数平均粒径を15〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、大粒径金属酸化物粒子の数平均粒径が15μm未満の値となると、大粒径酸化物粒子同士の接触回数が多くなるため、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、大粒径金属酸化物粒子の数平均粒径が200μmを超えた値となると、接着面への粒子の露出により接着性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、大粒径金属酸化物粒子の数平均粒径の下限値を25μm以上の値とすることがより好ましく、35μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、大粒径金属酸化物粒子の数平均粒径の上限値を150μm以下の値とすることがより好ましく、100μm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、大粒径金属酸化物粒子は、非凝集体である。
(2)−3 アスペクト比
また、大粒径金属酸化物粒子のアスペクト比を1.1〜5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、大粒径金属酸化物粒子のアスペクト比が1.1未満の値となると、粒子が球状となるため、粒子同士の接触面積が減少し、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、大粒径金属酸化物粒子のアスペクト比が5を超えた値となると、塗工時や硬化時に粒子が配向しやすくなり、所望の方向への熱伝導率が発現しにくくなる場合があるためである。
したがって、大粒径金属酸化物粒子のアスペクト比の下限値を1.2以上の値とすることがより好ましく、1.3以上の値とすることがさらに好ましい。
また、大粒径金属酸化物粒子のアスペクト比の上限値を4.0以下の値とすることがより好ましく、3.0以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)−4 配合量
また、大粒径金属酸化物粒子の配合量を、(A)成分100重量部に対して600〜5000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、大粒径金属酸化物粒子の配合量が600重量部未満の値となると、大粒径金属酸化物粒子による伝熱ネットワークが形成されず、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、大粒径金属酸化物粒子の配合量が5000重量部を超えた値となると、樹脂成分の機能阻害や、接着面への大粒径金属酸化物粒子の露出により接着性が低下する場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する大粒径金属酸化物粒子の配合量の下限値を700重量部以上の値とすることがより好ましく、800重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する大粒径金属酸化物粒子の配合量の上限値を3000重量部以下の値とすることがより好ましく、2000重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
(3)(B3)成分:小粒径金属酸化物粒子
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物は、(B3)成分として小粒径金属酸化物粒子をさらに含むことが好ましい。
この理由は、小粒径金属酸化物粒子を配合することにより、大粒径金属酸化物粒子間に小粒径金属酸化物粒子が入ることで、金属酸化物粒子の接触面積が増加し、熱伝導率が増加するためである。
(3)−1 種類
また、小粒径金属酸化物粒子の種類としては、特に制限されるものではなく、上述した(B2)成分としての大粒径金属酸化物粒子の種類として挙げたものを使用することができる。
(3)−2 粒径
また、小粒径金属酸化物粒子の数平均粒径を0.1〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、小粒径金属酸化物粒子の数平均粒径が0.1μm未満の値となると、小粒径金属酸化物粒子の接触回数が多くなるため、熱伝導率の上昇効果が得られない場合があるためである。一方、小粒径金属酸化物粒子の数平均粒径が10μmを超えた値となると、大粒径金属酸化物粒子の間隙に入ることが困難となって、熱伝導率の上昇効果が得られない場合があるためである。
したがって、小粒径金属酸化物粒子の数平均粒径の下限値を0.25μm以上の値とすることがより好ましく、0.5μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、小粒径金属酸化物粒子の数平均粒径の上限値を7μm以下の値とすることがより好ましく、5μm以下の値とすることがさらに好ましい。
(3)−3 アスペクト比
また、小粒径金属酸化物粒子のアスペクト比を1.1〜5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、小粒径金属酸化物粒子のアスペクト比が1.1未満の値となると、粒子が球状となるため、粒子同士の接触面積が減少し、熱伝導率が低下する場合があるためである。一方、小粒径金属酸化物粒子のアスペクト比が5を超えた値となると、大粒径金属酸化物粒子の間隙に充填しにくくなる場合があるためである。
したがって、小粒径金属酸化物粒子のアスペクト比の下限値を1.2以上の値とすることがより好ましく、1.3以上の値とすることがさらに好ましい。
また、小粒径金属酸化物粒子のアスペクト比の上限値を4以下の値とすることがより好ましく、3以下の値とすることがさらに好ましい。
(3)−4 配合量
また、小粒径金属酸化物粒子の配合量を、(A)成分100重量部に対して100〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、小粒径金属酸化物粒子の配合量が100重量部未満の値となると、大粒径金属酸化物粒子の間隙を十分に充填することが困難になって、熱伝導率の上昇効果が得られない場合があるためである。一方、小粒径金属酸化物粒子の配合量が1000重量部を超えた値となると、小粒径金属酸化物粒子が大粒径金属酸化物粒子の間隙を充填するだけでなく、小粒径金属酸化物粒子同士が独自に伝熱ネットワークを構築することになる。そのため、小粒径金属酸化物粒子同士の接触界面が多くなり、熱伝導率が低下する場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する小粒径金属酸化物粒子の配合量の下限値を150重量部以上の値とすることがより好ましく、200重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する小粒径金属酸化物粒子の配合量の上限値を900重量部以下の値とすることがより好ましく、800重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
(4)配合割合
また、(B1)成分100重量部に対し、(B2)成分の配合割合を150〜1500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B2)成分の配合割合が150重量部未満の範囲内の値となると、高価な窒化ホウ素粒子の配合量が多くなり、低コスト化の効果が得られない場合があるためである。一方、(B2)成分の配合割合が1500重量部を超えた値となると、大粒径金属酸化物粒子の配合量が多くなり、間隙を充填する窒化ホウ素粒子の量が十分でなくなるため、熱伝導率が低下する場合があるためである。
したがって、(B1)成分100重量部に対する(B2)成分の配合割合の下限値を200重量部以上の値とすることがより好ましく、300重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(B1)成分100重量部に対する(B2)成分の配合割合の上限値を1250重量部以下の値とすることがより好ましく、1000重量部以下の値とすることがさらに好ましく、(B3)成分を併用する観点を加味すると、500重量部以下の値とすることがより好ましい。
また、(B1)成分100重量部に対し、(B3)成分の配合割合を100〜700重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B3)成分の配合割合が100重量部未満の値となると、大粒径金属酸化物粒子の間隙を十分に充填することが困難になって、熱伝導率の上昇効果が得られない場合があるためである。一方、(B3)成分の配合割合が700重量部を超えた値となると、小粒径金属酸化物粒子が大粒径金属酸化物粒子の間隙を充填するだけでなく、小粒径金属酸化物粒子同士が独自に伝熱ネットワークを構築することになる。そのため、小粒径金属酸化物粒子同士の接触界面が多くなり、熱伝導率が低下する場合があるためである。
したがって、(B1)成分100重量部に対する(B3)成分の配合割合の下限値を150重量部以上の値とすることがより好ましく、200重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(B1)成分100重量部に対する(B3)成分の配合割合の上限値を600重量部以下の値とすることがより好ましく、500重量部以下の値とすることがさらに好ましく、350重量部以下の値とすることが特に好ましい。
3.(C)成分:熱架橋剤
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、(A)成分としての熱可塑性樹脂同士を架橋するための成分として、熱架橋剤を含むことが好ましい。
この理由は、熱架橋剤であれば、適切な(A)成分を選択することにより、実質的に他の硬化成分を含むことなく(A)成分同士を架橋することができるためである。
その結果、容易に接着性および耐熱性に優れた硬化物を得ることができる一方、硬化前の熱伝導性接着剤組成物の保存安定性を効果的に向上させることができる。
(1)種類
また、熱架橋剤の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知の熱架橋剤を使用することができる。
例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩等の化合物を熱架橋剤として用いることができる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上述した熱架橋剤の中でも、エポキシ系化合物からなる熱架橋剤(以下、「エポキシ系熱架橋剤」と称する。)を使用することが好ましい。
この理由は、エポキシ系熱架橋剤であれば、得られる硬化物におけるゲル分率を高くして優れた耐熱性を得ることができる一方で、組成物での保管時や接着剤シート形成のための乾燥時には硬化反応が進行しづらいためである。
(2)分子量
また、熱架橋剤の分子量を100〜500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱架橋剤の分子量が100未満の値となると、熱伝導性接着剤組成物の塗工性に悪影響を及ぼすことはないものの、得られる硬化物における耐熱性が過度に低下する場合があるためである。一方、熱架橋剤の分子量が500を超えた値となると、通常、常温で固体となることから、熱伝導性接着剤組成物の塗工性に悪影響を及ぼしたり、架橋が不十分になってゲル分率が低下し、接着性が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、熱架橋剤の分子量の下限値を150以上の値とすることがより好ましく、200以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱架橋剤の分子量の上限値を450以下の値とすることがより好ましく、400以下の値とすることがさらに好ましい。
また、このようなエポキシ系熱架橋剤としては、例えば、2,2−[イソプロピリデンビス[4,1−フェニレン(オキシメチレン)]]ビスオキシラン(分子量340、常温で液体)、2,2−[メチレンビス(2,1−フェニレンオキシメチレン)]ビスオキシラン(分子量312、常温で液体)等が好適に使用される。
(3)配合量
また、熱架橋剤の配合量を、(A)成分100重量部に対して1〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱架橋剤の配合量が1重量部未満の値となると、硬化反応が十分に進行せず接着性が過度に低下する場合があるためである。一方、熱架橋剤の配合量が80重量部を超えた値となると、未反応の架橋剤が残存し、熱伝導性、接着性および耐熱性がいずれも過度に低下する場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する熱架橋剤の配合量の下限値を3重量部以上の値とすることがより好ましく、5重量部以上の値とすることがさらに好ましく、20重量部以上とすることが特に好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する熱架橋剤の配合量の上限値を70重量部以下の値とすることがより好ましく、60重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
4.(D)成分:有機溶剤
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物は、有機溶剤を含むことが好ましい。
この理由は、有機溶剤を含むことにより、熱伝導性接着剤組成物の粘度を適正な範囲に調節し、塗工性を向上させることができるためである。
(1)種類
また、有機溶剤の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知の有機溶剤を使用することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
特に、熱可塑性樹脂に対する相溶性および乾燥時の蒸発のしやすさの観点から、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、イソホロンからなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
(2)配合量
また、有機溶剤の配合量としては、(A)成分100重量部に対して100〜1500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、有機溶剤の配合量が100重量部未満の値となると、塗液の粘度が高くなり塗工が困難になる場合があるためである。一方、有機溶剤の配合量が1500重量部を超えた値となると、乾燥時に溶剤が蒸発しきらず、シート内に残留し、絶縁破壊電圧を低下させる場合があるためである。
したがって、(A)成分100重量部に対する有機溶剤の配合量の下限値を、150重量部以上の値とすることがより好ましく、200重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(A)成分100重量部に対する有機溶剤の配合量の上限値を、1200重量部以下の値とすることがより好ましく、1000重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
5.その他の添加物
また、本発明の熱伝導性接着剤組成物は、上述した(A)〜(D)成分以外にも、シランカップリング剤等のその他の添加物を配合しても良いが、硬化成分に関しては、実質的に配合しないことが好ましい。
この理由は、(A)〜(D)成分の他に、さらに硬化成分を配合すると、熱伝導性接着剤組成物の保存安定性が低下しやすくなる場合があるためである。
このような硬化成分としては、例えば、(C)成分としてエポキシ系熱架橋剤を用いた場合であれば、その硬化剤としてのジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック等の多価フェノール化合物、トリフェニルメタンおよびこれらの変性物、イミダゾール、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
また、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等の硬化触媒についても、実質的に配合しないことが好ましい。
なお、(A)〜(D)成分の他に、さらに硬化成分を配合する場合には、(A)成分100重量部に対して、10重量部以下の値とすることが好ましく、5重量部以下の値とすることがより好ましく、1重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の熱伝導性接着剤組成物から形成された熱伝導性接着剤シートである。
かかる熱伝導性接着剤シートであれば、所定の熱伝導性接着剤組成物から形成されることから、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と比較して、低コスト化を図りつつも、硬化した際の熱伝導性、接着性および耐熱性を低下させることなく、安定的に保持することができる。
以下、第2の実施形態の熱伝導性接着剤シートについて、具体的に説明する。
1.製造方法
本発明の熱伝導性接着剤シートは、第1の実施形態の熱伝導性接着剤組成物から形成することを特徴とする。
より具体的には、シリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム等の剥離フィルムに対して、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコータ―、カーテンコーター、ダイコーター等を用いて熱伝導性接着剤組成物を塗布する。
次いで、70〜140℃で1〜30分間乾燥させ、熱伝導性接着剤シートを得ることができる。
なお、得られた熱伝導性接着剤シートの露出面を保護する観点から、かかる露出面に対しても剥離フィルムを貼合することが好ましい。
2.厚さ
また、熱伝導性接着剤シートの厚さを50〜800μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、熱伝導性接着剤シートの厚さが50μm未満の値となると、十分な絶縁性を確保できなくなったり、シートの厚さが熱伝導性無機粒子よりも薄くなり、熱伝導性無機粒子がシート表面に露出して接着性が過度に低下したりする場合があるためである。一方、熱伝導性接着剤シートの厚さが800μmを超えた値となると、乾燥時に溶剤が蒸発しきらず、シート内に残留し、絶縁破壊電圧を低下させる場合があるためである。
したがって、熱伝導性接着剤シートの厚さの下限値を60μm以上の値とすることがより好ましく、70μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、熱伝導性接着剤シートの厚さの上限値を700μm以下の値とすることがより好ましく、600μm以下の値とすることがさらに好ましく、300μm以下の値とすることが特に好ましい。
3.ゲル分率
また、熱伝導性接着剤シートのゲル分率を10%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、熱伝導性接着剤シートのゲル分率が10%を超えた値となると、熱プレスにより部材間の接着に供されるまでの保存安定性が過度に低い疑いが生じる場合があるためである。
したがって、熱伝導性接着剤シートのゲル分率を8%以下の値とすることがより好ましく、5%以下の値とすることがさらに好ましい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第2の実施形態の熱伝導性接着剤シートを用いた積層体の製造方法であって、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
(a)第1の構造体と第2の構造体との間に熱伝導性接着剤シートを介在させる工程
(b)熱プレスにより熱伝導性接着剤シートを圧着・硬化させ、第1の構造体と第2の構造体とを接着する工程
かかる積層体の製造方法であれば、所定の熱伝導性接着剤シートを用いていることから、高温環境下であっても第1および第2の構造体間の接着を安定的に保持しつつ、相対的に高温の構造体から相対的に低温の構造体に対して効率的に熱を伝導し、外部環境に放熱が可能な積層体を安定的に、かつ、低コストで製造することができる。
以下、第3の実施形態の積層体の製造方法について、具体的に説明する。
1.工程(a)
工程(a)は、図1(a)に示すように、第1の構造体20と第2の構造体30との間に第2の実施形態の熱伝導性接着剤シート1を介在させる工程である。
ここで、第1の構造体20および第2の構造体30としては、一方の熱を他方に伝導させることが必要とされる用途の組み合わせであれば特に制限されるものではない。
例えば、図1(c)に示すように、第1の構造体20をパワーモジュールとし、第2の構造体30をヒートシンクとした場合、パワーモジュールから生じる熱を、熱伝導性接着剤シート1の硬化物10を介してヒートシンクに効率的に伝導し、外部環境に放熱することができる。
なお、その他の第1の構造体20および第2の構造体30の組み合わせとしては、半導体回路と放熱基板やLEDヒートシンクの組み合わせ、あるいは携帯機器用電池と筐体の組み合わせ等が挙げられる。
2.工程(b)
工程(B)は、図1(b)に示すように、熱プレス(200a、200b)により熱伝導性接着剤シート1を圧着・硬化させ、第1の構造体20と第2の構造体30とを接着し、図1(c)に示すように、第1の構造体20/硬化物10/第2の構造体30からなる積層体100を得る工程である。
このときの熱プレスの条件としては、プレス温度を150〜250℃の範囲内の値とし、プレス圧力を150〜600kgf/cm2の範囲内の値とし、プレス時間を3〜60分の範囲内の値とすることが好ましい。
また、硬化物10の厚さは、熱プレスを行う前の熱伝導性接着剤シートよりも薄くなるため、40〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
3.硬化物のゲル分率
また、硬化物のゲル分率を50〜100%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物のゲル分率が50%未満の値となると、接着性および耐熱性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、硬化物のゲル分率の下限値を60%以上の値とすることがより好ましく、70%以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、硬化物のゲル分率の測定条件については、実施例に記載する。
4.硬化物の熱伝導率
また、硬化物の熱伝導率を8〜200W/m・Kの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物の熱伝導率が8W/m・K未満の値となると、直接的に熱伝導性が低下して、所望の放熱効果を得ることが困難になる場合があるためである。一方、硬化物の熱伝導率が200W/m・Kを超えた値となると、熱伝導性無機粒子の含有量が多くなって接着力が過度に低下する場合があるためである。
したがって、硬化物の熱伝導率の下限値を10W/m・K以上の値とすることがより好ましく、12W/m・K以上の値とすることがさらに好ましい。
また、硬化物の熱伝導率の上限値を150W/m・K以下の値とすることがより好ましく、100W/m・K以下の値とすることがさらに好ましく、20W/m・K以下の値とすることが特に好ましい。
なお、硬化物の熱伝導率の測定条件については、実施例に記載する。
また、本発明において、「W/m・K」は、「W/(m・K)」を意味する。
5.硬化物の接着力
また、硬化物の23℃環境下における接着力を3〜50N/25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物の23℃環境下における接着力が3N/25mm未満の値となると、積層体として使用する際に第1の構造体と第2の構造体とが剥離する場合があるためである。一方、硬化物の23℃環境下における接着力が50N/25mmを超えた値となると、積層体の使用を終えた後に、第1の構造体と第2の構造体とを分解することが困難になる場合があるためである。
したがって、硬化物の23℃環境下における接着力の下限値を4.5N/25mm以上の値とすることがより好ましく、6N/25mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、硬化物の接着力の23℃環境下における上限値を40N/25mm以下の値とすることがより好ましく、30N/25mm以下の値とすることがさらに好ましく、18N/25mm以下の値であることが特に好ましい。
なお、硬化物の23℃環境下における接着力の測定条件については、実施例に記載する。
また、硬化物の150℃環境下における接着力を1〜40N/25mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化物の150℃環境下における接着力が1N/25mm未満の値となると、積層体が高温の環境下に置かれた際に、第1の構造体と第2の構造体とが剥離する場合があるためである。一方、硬化物の150℃環境下における接着力が40N/25mmを超えた値となると、積層体の使用を終えた際に、第1の構造体と第2の構造体とを分解することが困難になる場合があるためである。
したがって、硬化物の150℃環境下における接着力の下限値を1.5N/25mm以上の値とすることがより好ましく、2N/25mm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、硬化物の接着力の150℃環境下における上限値を30N/25mm以下の値とすることがより好ましく、20N/25mm以下の値とすることがさらに好ましく、10N/25mm以下とすることが特に好ましい。
なお、硬化物の150℃環境下における接着力の測定条件については、実施例に記載する。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.熱伝導性接着剤組成物の調製
表1および以下に示すように、(A)成分としての熱可塑性樹脂と、(B1)成分としての窒化ホウ素粒子と、(B2)成分としての金属酸化物粒子と、(C)成分としての熱架橋剤と、(D)成分としての有機溶剤と、を混合し、熱伝導性接着剤組成物を調製した。
なお、表1および下記における配合量は、(D)成分および液状の(C)成分以外は、固形分換算された値を示す。なお、(C)成分および(D)成分は純分換算された値を示す。
(A) 成分:ポリアミドイミドオリゴマー 100重量部
(東洋紡(株)製、ACX−02、数平均分子量:8000、ガラス転移点:190℃、両末端にカルボキシル基を有する)
(B1)成分:窒化ホウ素粒子凝集体 230重量部
(昭和電工(株)製、UHP−G1F、数平均粒径:80μm、アスペクト比:1.5)
(B2)成分:丸み状酸化アルミニウム粒子 1350重量部
(昭和電工(株)製、AS−10、数平均粒径:50μm、アスペクト比:1.5)
(C) 成分:エポキシ系樹脂 40重量部
(2,2’−[イソプロピリデンビス[4,1−フェニレン(オキシメチレン)]]ビスオキシラン(下記式(6)、分子量340、液状)
(D) 成分:シクロヘキサノン 1000重量部
なお、以下において、上述した(B2)成分を「大粒径酸化アルミニウム粒子A」と称する場合がある。
また、(B1)成分に関し、電子顕微鏡観察によると、該凝集体の一次粒子は、断面が楕円形状であり、長軸粒径10μm程度、アスペクト比10程度であった。
2.熱伝導性接着剤シートの製造
次いで、得られた熱伝導性接着剤組成物を、シリコーン剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製、SP−PET751031)(以下、「PET」と称する。)の剥離処理面に塗布し、120℃で3分間乾燥させ、厚さ150μmの熱伝導性接着剤シートを得た。
3.評価
(1)塗工性
熱伝導性接着剤シートを製造する際の熱伝導性接着剤組成物の塗工性を、目視により、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:得られた熱伝導性接着剤シートの表面が均一である
△:得られた熱伝導性接着剤シートの表面にヒビ割れが発生している
×:熱伝導性接着剤組成物が不均一であり、塗工することができない
(2)ゲル分率
熱伝導性接着剤シートの硬化性を、ゲル分率(%)により評価した。
すなわち、まず、得られた熱伝導性接着剤組成物から(B1)および(B2)成分等の熱伝導性無機粒子のみを除いた組成のゲル分率測定用接着剤組成物を調製した。
次いで、得られたゲル分率測定用接着剤組成物を、PETの剥離処理面に塗布し、120℃で3分間乾燥させ、厚さ150μmのゲル分率測定用接着剤シートを得た。
次いで、得られたゲル分率測定用接着剤シートの露出面に対し、別のPETを剥離処理面が接するように積層し、両面がPETに挟持された状態のゲル分率測定用接着剤シートを得た。
次いで、両面がPETに挟持された状態のゲル分率測定用接着剤シートに対して、180℃、500kgf/cm2、30分の条件で熱プレスを行い、ゲル分率測定用接着剤シートをゲル分率測定用硬化物とした。
次いで、得られたゲル分率測定用硬化物をメッシュサイズ200のポリエステルメッシュで包み、十分な量のシクロヘキサノン中に常温で48時間浸漬し、浸漬前後に測定した重量からゲル分率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
(3)熱伝導率
得られた熱伝導性接着剤シートを硬化した際の熱伝導率(W/m・K)を評価した。
すなわち、得られた熱伝導性接着剤シートの露出面に対し、別のPETを剥離処理面が接するように積層し、両面がPETに挟持された状態の熱伝導性接着剤シートを得た。
次いで、両面がPETに挟持された状態の熱伝導性接着剤シートに対して、180℃、500kgf/cm2、30分の条件で熱プレスを行い、熱伝導性接着剤シートを硬化させて硬化物とした。このとき、得られた硬化物の厚さは100μmであった。
次いで、両面のPETを剥離した後、硬化物の熱伝導率(W/m・K)を、薄膜の熱拡散・熱伝導率測定装置(アイフェイズ(株)製、ai−Phase Mobile 1u)を用いて温度波法(TWA)にて測定した。得られた結果を表1に示す。
(4)接着力
得られた熱伝導性接着剤シートを硬化した際の接着力(N/25mm)を測定した。
すなわち、得られた熱伝導性接着剤シートからPETを剥離し、熱伝導性接着剤シートの両面に対し、電解銅箔(福田金属箔粉工業(株)製、CF−T8G−UN 35)をツヤ面が接するように積層し、両面が電解銅箔に挟持された状態の熱伝導性接着剤シートを得た。
次いで、両面が電解銅箔に挟持された状態の熱伝導性接着剤シートに対して、180℃、500kgf/cm2、30分の条件で熱プレスを行い、熱伝導性接着剤シートを硬化させて硬化物とした。このとき、得られた硬化物の厚さは100μmであった。
次いで、硬化物を、両面の電解銅箔ごと25mm幅に裁断した後、一方の電解銅箔をチャック(固定)して引張試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン万能引張試験機)を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/分、23℃環境下の条件にて引き剥がし、接着力(N/25mm)を測定した。
また、150℃の環境下においても同様に接着力(N/25mm)を測定した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例2では、熱伝導性接着剤組成物における(B2)成分を、丸み状酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製、AS−20、数平均粒径:40μm、アスペクト比:1.5)に変え、これを810重量部配合し、さらに(B3)成分として、丸み状酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製、AL−47−H、数平均粒径:2μm、アスペクト比:1.5)を540重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、以下において、上述した(B2)成分を「大粒径酸化アルミニウム粒子B」と称し、(B3)成分を「小粒径酸化アルミニウム粒子a」と称する場合がある。
また、得られた熱伝導性接着剤シートの断面における電子顕微鏡写真を図2に示す。
なお、かかる断面は、得られた熱伝導性接着剤シートを、クロスセクションポリッシャーによって厚さ方向に切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したものである。
また、図2における上部、中間部、下部および金属酸化物粒子間部分の拡大写真を、それぞれ図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)に示す。
また、図5(a)に示す熱伝導性接着シートの断面における元素分布(ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)およびアルミニウム(Al)を、それぞれ図5(b)、図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)に示す。
図2〜7より、大粒径金属酸化物粒子の間隙を窒化ホウ素粒子および小粒径金属酸化物粒子が充填していることが確認された。
したがって、特に大粒径金属酸化物粒子の間隙を熱伝導率の高い窒化ホウ素粒子により充填することで、効率的な伝熱ネットワークとなっていることが理解される。
また、得られた硬化物の断面における電子顕微鏡写真を図8に示す。
また、図8における上部、中間部、下部および金属酸化物粒子間部分の拡大写真を、それぞれ図9(a)、図9(b)、図10(a)および図10(b)に示す。
また、図11(a)に示す熱伝導性接着シートの断面における元素分布(ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)およびアルミニウム(Al)を、それぞれ図11(b)、図12(a)、図12(b)、図13(a)および図13(b)に示す。
図9〜14より、熱伝導性接着剤シートの断面写真に見られた空隙が無くなっていることが確認された。
したがって、粒子同士がより密に充填し、接触面積が増加しているため、熱伝導率が上昇したことが理解される。
[実施例3]
実施例3では、熱伝導性接着剤組成物における(B2)成分を、酸化マグネシウム粒子(宇部興産(株)製、RF−98、数平均粒子径:50μm、アスペクト比:1.5)に変え、これを1250重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、以下において、上述した(B2)成分を「大粒径酸化マグネシウム粒子」と称する場合がある。
[実施例4]
実施例4では、熱伝導性接着剤組成物における(B1)成分を、鱗片状窒化ホウ素粒子(昭和電工(株)製、UHP−2、数平均粒径:10μm、アスペクト比:30)に変え、これを230重量部配合し、(B2)成分を、大粒径酸化アルミニウム粒子Bに変え、これを810重量部配合し、さらに(B3)成分として、小粒径酸化アルミニウム粒子aを540重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、熱伝導性接着剤組成物における(B1)成分の配合量を150重量部に変えるとともに、(B2)成分を、大粒径酸化アルミニウム粒子Bに変え、これを900重量部配合し、さらに(B3)成分として、小粒径酸化アルミニウム粒子aを600重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、熱伝導性接着剤組成物における(B2)成分を配合せず、(B3)成分として、球状酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製、CB−P05、数平均粒径:5μm、アスペクト比:1.0)に変え、これを1350重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、以下において、上述した(B3)成分を「小粒径酸化アルミニウム粒子b」と称する場合がある。
[比較例2]
比較例2では、熱伝導性接着剤組成物における(B1)および(B2)成分を配合せず、(B3)成分として、小粒径酸化アルミニウム粒子bを1700重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、熱伝導性接着剤組成物における(B1)成分を配合せず、(B2)成分を、大粒径酸化マグネシウム粒子に変え、これを1250重量部配合したほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[参考例4]
参考例4では、熱伝導性接着剤組成物における熱伝導性接着剤組成物における(B1)成分の配合量を485重量部に変え、(B2)成分を配合しなかったほかは、実施例1と同様に熱伝導性接着剤組成物および熱伝導性接着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
以上、詳述したように、本発明の熱伝導性接着剤組成物によれば、窒化ホウ素粒子の配合量を減少させた場合であっても、所定粒径の金属酸化物粒子を所定の割合で併用することで、窒化ホウ素粒子のみを多量に用いた場合と同等の特性を有する硬化物を得ることができるようになった。
その結果、窒化ホウ素粒子の配合量を減少させて低コスト化を図りつつも、硬化した際の熱伝導性、接着性および耐熱性を低下させることなく、安定的に保持することができるようになった。
したがって、本発明の熱伝導性接着剤組成物等は、例えば、パワーモジュール等の電子部品の放熱用途に使用される高性能な熱伝導性接着剤組成物等における低コスト化に、著しく寄与することが期待される。
1:熱伝導性接着剤シート、10:硬化物、20:第1の構造体、30:第2の構造体、100:積層体

Claims (8)

  1. 下記(A)、(B1)および(B2)成分を含有するとともに、
    下記(A)成分としての熱可塑性樹脂がポリアミドイミドオリゴマーであり、当該ポリアミドイミドオリゴマーが分子末端に、架橋点となるカルボキシル基を有しており、
    下記(A)成分としての熱可塑性樹脂同士を架橋するための熱架橋剤が、エポキシ系熱架橋剤であることを特徴とする熱伝導性接着剤組成物。
    (A) 熱可塑性樹脂 100重量部
    (B1)窒化ホウ素粒子 100〜450重量部
    (B2)数平均粒径15〜200μmの金属酸化物粒子 600〜5000重量部
  2. 前記(B2)成分としての金属酸化物粒子が酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子および酸化亜鉛粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性接着剤組成物。
  3. 前記(B1)成分としての窒化ホウ素粒子の数平均粒径を5〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性接着剤組成物。
  4. 前記(B1)成分としての窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素粒子凝集体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性接着剤組成物。
  5. 前記ポリアミドイミドオリゴマーの数平均分子量を1000〜15000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性接着剤組成物。
  6. (C)成分として、前記(A)成分としての熱可塑性樹脂同士を架橋するための熱架橋剤を、前記(A)成分としての熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜80重量部の範囲内で含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導性接着剤組成物。
  7. 前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱伝導性接着剤組成物から形成された熱伝導性接着剤シート。
  8. 前記請求項7に記載の熱伝導性接着剤シートを用いた積層体の製造方法であって、
    下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
    (a)第1の構造体と第2の構造体との間に前記熱伝導性接着剤シートを介在させる工程
    (b)熱プレスにより前記熱伝導性接着剤シートを圧着・硬化させ、前記第1の構造体と第2の構造体とを接着する工程
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