JP6713450B2 - 活性化合物含有錠剤の製造用のプレミックス - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール(PVA)を含む活性化合物含有錠剤を製造するためのプレミックスに関する。本発明は、対応するプレミックスを含む活性化合物含有錠剤にも関する。
ポリビニルアルコール(PVA)は、特に重合度および粘度に関して、種々のグレード(等級や品質)で入手される合成ポリマーである。ポリビニルアルコール(PVA)は、基本的には、ポリ酢酸ビニルのアルカリ加水分解により得られる合成の軟質ポリマーである。そして、ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルからの遊離基重合(free-radical polymerization)により得られる。ポリ酢酸ビニルの異なる鎖長および異なる加水分解度によって、広範囲の種々の物理的特性を有するポリビニルアルコール(PVA)を得ることができる。PVAは、塗膜形成要素、接着性ゲルおよび粘度調節剤として、複数の適用領域において、例えば、塗料、紙類、繊維製品、化粧品および、薬物送達系を含む薬剤において用いられる。
製薬産業にとって特に興味深いのは、PVAの医薬品における、例えば、眼科用調製物(点眼薬)における使用、被覆錠剤用の塗膜形成要素としての、顆粒中のバインダーとしてのまたは被覆剤中の被覆成分としての使用、また、薬物送達システムにおける使用である。非常に特に興味深いのは、活性化合物を徐放する固形経口投与薬剤の製剤における、例えば、いわゆる「放出遅延錠剤または持続型錠剤(retard tablets)」における種々のグレードのPVAの使用である。これらの錠剤において、活性化合物はPVAマトリクス中に微細に分散された形態をとる。このタイプのポリマー含有医薬製剤における活性化合物の遅延放出は、口内または胃腸管内におけるように液体が存在する場合に直接溶解する錠剤ではなく、その代わりに膨潤する錠剤と、拡散によってのみ少しずつ放出される活性化合物とによって達成される。
このタイプのガレヌス改変製剤では、活性化合物を、体内において長時間に渡って制御しながら投与剤から放出させ、それによって、長期間(数時間)にわたって薬物の治療有効血中濃度を維持することができる。そのような放出遅延錠剤の二つの本質的な利点は、摂取後に活性化合物を直ちに放出する錠剤と比べると、第一に、望ましくなく毒性の可能性もあるAPIの血中/血漿中濃度を回避すること、および錠剤を摂取する頻度が低下(例えば、3回/日の代わりに1回/日のみ)することであり、すなわち、いわゆる患者コンプライアンスが向上すると共に、薬剤治療の治療結果が向上することである。
種々の薬局方(欧州薬局方(Ph. Eur.)、米国薬局方(USP)および日本薬局方(JPまたはJPE(医薬品添加物規格)))による医薬製剤において用いるものとして明記されている既知のポリビニルアルコールは、圧力の作用により直接錠剤化することはできないか、あるいは特定の条件のみ可能である。この点に関わる特別の課題は、活性化合物がその中で均質に分散される活性化合物賦形剤としてPVAを主成分とする錠剤を簡単な方法で製造することにある。PVA含有製剤の直接錠剤化の達成には、通常、比較的多い割合のラクトースのようなさらなるバインダー、および潤滑剤、場合によりさらなる添加剤の存在が必要である。PVAが活性化合物賦形剤として用いられる製剤は、水溶液またはアルコール溶液の存在下に調製されることが多い。例えば、湿潤造粒後に、さらなる添加剤の存在下に、活性化合物およびPVAを圧縮することにより、活性化合物を徐放する錠剤を製造することが知られている。後者は、製剤に必要な溶媒を、エネルギーを投入して、再び除去しなくてはならないという不利益を伴う。
(目的)
前記から生じるように、製剤の、特に活性化合物を遅延放出する錠剤の調製のために用いることができる、ポリビニルアルコールに基づく錠剤形成マトリクス用としての直接圧縮可能型混合物を調製することが望ましい。すなわち、本発明の目的は、活性化合物を遅延放出するポリビニルアルコール含有錠剤を提供することでもある。
微細粒状化され、所望により更に粉砕された、それ自身は低い圧縮可能性しか有していないポリビニルアルコールと、微結晶性セルロース(microcrystalline cellulose)との組合せによって、驚くべきことに、今、活性化合物を遅延放出する製剤の調製のために用いることができる錠剤化用マトリクスとしての直接圧縮可能型混合物が与えられた。
錠剤硬度に対して押圧力をプロットすることによる、MCCおよびParteck LUB MSTと混合された、異なる粒径を有する種々のポリビニルアルコールPVA26-88および40-88の特性を示す図である。図1中、 錠剤硬度に対して押圧力をプロットすることによる、MCCおよびParteck LUB MSTと混合された、異なる粒径を有する種々のポリビニルアルコールPVA26-88および40-88の特性を示す図である。
(発明の概要)
本発明は、平均粒径100μm未満のポリビニルアルコール(PVA)と微結晶性セルロース(MCC)との共混合物(co-mixture)を含んでなる活性化合物含有錠剤の製造用のプレミックスを、医薬製剤科学者に提供する。好ましくは、本発明は、平均粒径が150μm以下、好ましくは平均粒径が100μm〜140μmの範囲である微結晶性セルロースを含んでなるこのタイプのプレミックスに関する。特に良好な特性は、本発明の目的が達成されるように平均粒径が80μm〜90μmの範囲であるポリビニルアルコールを含んでなる直接圧縮可能型プレミックスにより、特に、対応する直接圧縮可能型共混合物により保持される。本発明によれば、プレミックスは、PVAと微結晶性セルロースとの重量比2:1〜1:2、好ましくは2:1〜1:1の共混合物である。本発明によれば、プレミックスは、活性化合物遅延放出に適しているポリビニルアルコール(PVA)と微結晶性セルロース(MCC)との共混合物であり、後者のPVAは薬局方(Ph. Eur.、USP/NF (国民医薬品集)およびJPE)の要求を満たす。共混合物の状態である本発明のプレミックスは、微結晶性セルロース(MCC)と、薬局方Ph. Eur.、USP/NFおよびJPEの要求に従う活性化合物遅延放出に適した等級18-88、26-88および40-88のポリビニルアルコール(PVA)、およびJPEおよびPh. Eur.の要求に従う等級28-99のポリビニルアルコール(PVA)を含む。これらの共混合物は、好ましくは、微結晶性セルロース(MCC)と、活性化合物遅延放出に適した等級PVA26-88およびPVA40-88のポリビニルアルコール(PVA)とからなる。プレミックスは、20kNの押圧力で加圧することにより成形され、硬度が380Nを超え、摩損度(friability)が0.1重量%以下である錠剤を得ることができる。硬度が178Nを超え、摩損度が0.1重量%以下である錠剤を、10kNの押圧力で加圧することにより成形することができる。
一方、本発明は、ポリビニルアルコールと微結晶性セルロースとからなるキャリアマトリクスを含んでなる活性化合物含有錠剤にも関する。微結晶性セルロース(MCC)とポリビニルアルコール(PVA)との先に特徴付けたようなプレミックスを、錠剤の合計重量を基準に1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、特に好ましくは10〜90重量%含んでなる、活性化合物を徐放する錠剤により、特に良好な特性が示される。低い押圧力で加圧することにより本発明のプレミックスから活性化合物含有錠剤を有利に得ることができる。その際、高錠剤硬度を有する錠剤では、打錠機からの放出に低圧力が採用される。本発明のプレミックスから、押圧力20kNで加圧することにより、硬度が380Nを超え、摩損度が0.1重量%以下である活性化合物含有錠剤を得ることができ、また、押圧力10kNで、硬度が178Nを超え摩損度が0.1重量%以下である錠剤を得ることができる。
特に、本発明は、一方において、前述のプレミックス、およびBCSクラスIからの活性化合物を、単独でまたは他の活性化合物と組み合わせて含んでなる、活性化合物を遅延放出する活性化合物含有錠剤に関する。
(発明の詳細な説明)
微細粒状化され、所望により更に粉砕された、それ自身は低い圧縮可能性しか有していないポリビニルアルコールと微結晶性セルロースの組合せの使用が、驚くべきことに、今、活性化合物を遅延放出する製剤の調製のために用いることができる錠剤化用のマトリクスとしての直接圧縮可能型混合物を与える。遅延放出マトリクスとしての微粒子状PVAの使用は、微粒子という性質が遅延放出される活性化合物とのより均質な混合物の調製を可能にするので、医薬製剤科学者にとって特に望ましい。そして、均質混合物は個々の投与量の正確さ(「含量均一性」:content uniformity)にとって重要、すなわち、個々の各錠剤中への同量の活性成分の分配に重要である。さらに、微粒子状PVA粒子およびその結果としての大きな粒子表面積により、使用時に胃腸管内において錠剤が湿った後に錠剤により均質なゲル層が形成され、このゲル中における活性化合物のより再現性がありまた場合により拡張された分散が達成できるようになる。
材料の直接圧縮特性は、特に、それらの粒子特性に依存することが実験により示されている。粒子の形態および脆性(brittleness)に加えて、特に粒径によって、重要な役割がこの点において果たされる。PVAに基づく遅延放出マトリクスの粒径が特に重要であり、より詳細には、マトリクス中での活性化合物分布の均質性、および遅延放出効果、特に、マトリクスの圧縮性にも関与することが今回分かった。
粒径分布の影響を調べ平均粒径の特別の利点を決めるために、薬理学的に認定されたポリビニル等級PVA26-88および40-88を種々の条件下に冷間粉砕して、各々が異なる粒径/粒径分布を有する3種のフラクションを得た(フラクション1:85-89μm;フラクション2:116-129μmおよびフラクション3:207-245μm)。これらの粉砕フラクションを、異なる平均粒径の3種の市販の微結晶性セルロース等級(Vivapur(登録商標)105:約25μm;Vivapur(登録商標)102:約100μmおよびVivapur(登録商標)200:約250μm)と組み合わせて、圧縮性試験に付した。
驚くべきことに、流動挙動が非常に悪いので、PVA粒子フラクションのいずれも、微粒子状MCC等級(約25μm)と組み合わせて錠剤化することはできないことが、実験により示された。平均粒径が100μmまたは250μmのMCC等級を使用すると、良好な硬度および低い摩擦性を有する錠剤を適切な流動性を伴って得ることができる。
等級PVA26-88およびPVA40-88を用いた実験は、PVA粉末がより細かく粉砕されるほど、より硬い錠剤が得られることを示した。
例えば、2種の微細粉末フラクションPVA26-88およびPVA40-88(85-89μm)とVivapur(登録商標)102(約100μm)との混合物を用いた実験において、押圧力30kNにおいて、500Nよりかなり高い最高錠剤硬度が得られる。これに対して、より粗いPVAフラクション、すなわち、平均粒径が116-129μmまたは207-245μmの粉末を用いると、かなり柔らかい錠剤が得られる。すなわち、平均粒径約250μmの微結晶性セルロースVivapur(登録商標)200を用いれば、粒径フラクションが207-245μmの範囲であるPVA40-88を使用したときに、押圧力30kNにおいて、300N未満の硬度を有する錠剤が得られる。得られた結果を、以下の圧縮性に関する線面に示す。
特に、平均粒径が約100μmの市販の微結晶性セルロースVivapur(登録商標)102との組み合わせは、平均粒径が約100μmから約250μmへのVivapur(登録商標)200との混合物よりも、優れた圧縮性を有する傾向があることが分かった。
実験が示すように、平均粒径が90μm未満、好ましくは80〜90μmの範囲であるポリビニルアルコールの特に優れた圧縮特性は、医薬製剤科学者に、予め造粒することなく錠剤の製造用の直接圧縮プロセスにおいて用いることができると共にそれによって最適な医薬製剤特性を有する放出遅延錠剤が得られるポリビニルアルコールを提供する。特に、これらの予備処理PVAは、高い硬度および低い摩損度を有する錠剤が得られるようにすることができる。これらの錠剤特性は、回転式被覆装置における任意に望まれる着色のような錠剤のさらなる取り扱い中に特に有利であるが、特に、ブリスター内への包装、充填および輸送中に、また、患者による使用時、例えば、ブリスターパックから錠剤を押し出すときにも、特に有利である。
このタイプの特定のPVA粒径フラクションの製造のためのおよびそれらの特に良好な圧縮性のための条件が、以下に示される実施例からわかる。
(実施例)
本明細書は、当業者が本発明を包括的に応用することを可能にする。従って、さらなる注釈がなくとも、当業者は前記明細書を最も広い範囲で利用することができると考えられる。
何か不明であれば、引用公報および引用され得る特許文献を参考にすべきであることは言うまでもない。従って、これらの文献は、本明細書の開示内容の一部であると見なされる。
本発明をより良く理解しそれを説明するために、本発明の保護の範囲内に入る実施例を以下に示す。これらの実施例は、可能な変化を説明するためにも役立つ。しかしながら、記載された本発明の原理の一般的正当性故に、これらの実施例は本出願の保護の範囲をそれらのみに縮小することに適していない。
さらに、与えられた実施例および明細書の残部においても、示された%範囲からより高い値が発生し得るとしても、組成物全体を基準にして、組成物中に存在する成分量は常に合計して100重量%またはモル%にしかならず、それを超えることはできないことは、当業者にとって言うまでもない。すなわち、特記しない限り、体積数値で表される比を除いて、%データは重量%またはモル%と見なされる。
実施例および明細書並びに特許請求の範囲に示される温度は℃で表される。
(物質の特性を特徴付けるための装置/方法)
1.嵩密度(bulk density):DIN EN ISO 60: 1999(独国版)による。
「g/ml」で表される。
2.タップ密度(tapped density):DIN EN ISO 787-11: 1995(独国版)による。
「g/ml」で表される。
3.安息角(angle of repose):DIN ISO 4324: 1983(独国版)による。
「度:°」で表される。
4.表面積:BETに従って決定。評価および手順は文献「BET Surface Area by Nitrogen Absorption」S. Brunauerら著(Journal of American Chemical Society, 60, 9, 1983)に従う。装置:ASAP 2420 Micromeritics Instrument Corporation (USA)。窒素使用。サンプル重量:約3.0000g。加熱:50°C(5時間)。加熱速度:3K/分。3回決定からの算術平均で表示。
5.粒径:乾式分散でレーザー回折により決定。Scirocco 2000分散ユニットを有するMastersizer 2000(英国Malvern Instruments Ltd.製)。カウンター圧力1および2バールで決定。フラウンホーファ(Fraunhofer)評価。分散剤RI:1.000。オブスキュレーション限界(obscuration limits):0.0-10.0%。トレー型:汎用型。バックグラウンド時間:7500ミリ秒。測定時間:7500ミリ秒。手順は、ISO 13320-1、および装置製造者からの技術マニュアルおよび仕様書の情報に従う。結果は体積%で表す。
6.粒径:湿式分散でレーザー回折により決定。Hydro 2000SM湿式分散ユニットを有するMastersizer 2000(英国Malvern Instruments Ltd.製)。分散媒体:低粘度シリコーン油(製造者:独国Evonik Goldschmidt GmbH;製造者による名称:Tegiloxan3;製造者による品番:9000305)。分散剤RI:1.403。撹拌器速度:2500rpm。トレー型:汎用型。バックグラウンド時間:7500ミリ秒。測定時間:7500ミリ秒。オブスキュレーション限界(obscuration limits):7.0-13.0%。手順は、ISO 13320-1、および装置製造者からの技術マニュアルおよび仕様書の情報に従う。結果は体積%で表す。
手順:懸濁セルに低粘度シリコーン油を充たし、目標とするオブスキュレーション範囲(obscuration range)(7.0-13.0%)に至るまでサンプルを少しずつ加え、待機時間2分後に測定を開始する。
(粒径の決定)
ふるい塔を通す乾式ふるい分けによる:Retsch AS 200コントロール、Retsch(独国)製。物質量:約110.00g。ふるい分け時間:30分。振幅:1mm。インターバル:5秒。DIN ISO 3310による金属線−繊維を用いる分析的ふるい分け。メッシュ幅(μm):710、600、500、400、355、300、250、200、150、100、75、50、32。「サンプル重量の重量%」として表中に示されるふるい毎のフラクション当たりの分配量を「サンプル重量の重量%」として表中に示す。
7.錠剤化試験は以下のように行う:
実験部分に示される組成に従う混合物を、実験室用タンブラーミキサー(Turbula T2A、スイス国Willy A. Bachofen製)において密閉ステンレススチール容器(容量:約2リッター、高さ:約19.5cm、直径:約12cm(外径))内で5分間混合する。
用いられるステアリン酸マグネシウムは、Parteck LUB MST(植物性ステアリン酸マグネシウム)EMPROVE exp Ph. Eur., BP, JP, NF, FCC品番1.00663(独国Merck KGaA製)で、250μmのふるいを通ったものである。
錠剤500mgを得るための圧縮(11mmパンチ、丸形、平板、斜端)は、Catman 5.0評価システム(独国Hottinger Baldwin Messtechnik-HBM製)を備えるKorsch EK 0-DMS搭載偏心打錠機(独国Korsch製)において行う。
試験した押圧力(公称設定値:約5、約10、約20および約30kN;効果的に測定した実測押圧力は実施例に示す)に依存して、加圧データおよび医薬製剤特性数値の評価のために少なくとも100個の錠剤を製造する。
錠剤の硬度、直径および高さ:Erweka Multicheck 5.1(独国Erweka製)。各々の場合、押圧当たり20個の錠剤の測定からの平均データ(算術平均)である。測定は、錠剤製造の1日後に行う。
錠剤磨耗:TA420摩損度試験機(独国Erweka製)。測定の装置パラメーターおよび性能は、Ph. Eur.第7版「Friability of Uncoated Tablets」に従う。測定は、錠剤製造の1日後に行う。
錠剤重量:Sartorius CPA 64バランス(独国Sartorius製)を備えるMulticheck 5.1(独国Erweka製)。押圧当たり20個の錠剤の秤量からの平均値(算術平均)として表す。測定は、錠剤製造の1日後に行う。
・用いられる材料の特徴付け
1.用いられるPVA等級およびそれらの特性:
1.1.粉砕用原料
1.1.1.PVA26-88:ポリビニルアルコール26-88であり、賦形剤EMPROVE(登録商標) exp Ph. Eur., USP, JPE, 品番1.41352(独国Darmstadt在Merck KGaA製)として用いるのに適したもの。
1.1.2.PVA40-88:ポリビニルアルコール40-88であり、賦形剤EMPROVE(登録商標) exp Ph. Eur., USP, JPE, 品番1.41353(独国Darmstadt在Merck KGaA製)として用いるのに適したもの。
これらのPVA等級は、この状態では直接圧縮可能型錠剤化マトリクスとして用いることができない、数ミリメーターの寸法の粗粒子の状態である。
粗粒子は、ダイを再現可能に充たすことができず、よって、(回転式)打錠機の高回転速度において錠剤重量を一定にすることができない。さらに、微粒子状PVAのみが、分離効果を起こすことなく、錠剤中における活性化合物の均質分布を確保することができ、これは、製造された各錠剤中における活性化合物の個々の投与量の正確さ(含量均一性)を確保するために絶対的に必要である。さらに、微粒子状PVAのみが、再現性のある遅延放出に必要な、錠剤の本体全体における均質なゲル形成を確保することもできる。
これらの理由により、前記粗粒子状PVA等級を、直接圧縮可能型遅延放出マトリクスとして用いる前に細かく砕く、すなわち粉砕しなくてはならない。
圧縮性に関して2種のPVA等級の最適な粒径または粒径分布を決めるために、各々の場合に、異なる粒径の3つの粒子フラクションを冷間粉砕により製造した。
1.2.粉砕PVA等級
1.2.1.平均粒径フラクションDv50(レーザー回折、乾式分散)を有するポリビニルアルコール26-88品番1.41352からの粉砕PVA26-88。
・フラクション1:Dv50 84.88−87.60μm
・フラクション2:Dv50 120.28−123.16μm
・フラクション3:Dv50 206.86−224.48μm
1.2.2.平均粒径フラクションDv50(レーザー回折、乾式分散)を有するポリビニルアルコール40-88品番1.41353からの粉砕PVA40-88。
・フラクション1:Dv50 85.84−87.37μm
・フラクション2:Dv50 115.97−120.52μm
・フラクション3:Dv50 206.83−211.55μm
(粉砕)
PVA等級の粉砕は、液体窒素下において0℃からマイナス30℃の温度範囲における冷間粉砕として、独国Augsburg在Hosokawa Alpine製のAeroplex 200 ASスパイラルジェットミルにおいて行われる。異なる粒子フラクションは実験的に製造され、特に粉砕温度を変えて製造される、すなわち、粉砕条件は、所望の粒径フラクションが得られるまで、進行中の製造過程で粒径を制御することにより種々変更される。
粉砕PVA等級の得られた産物特性、特に、嵩密度、タップ密度、安息角、BET表面積、BET細孔容積および粒径分布のような粉末特性は、以下の表から明らかである。
・嵩密度、タップ密度、安息角、BET表面積、BET細孔容積:
(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
Figure 0006713450
乾式分散(カウンター圧力1バール)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
・乾式分散(カウンター圧力2バール)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
・乾式分散(カウンター圧力3バール)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
・塔ふるい分けにより決められた粒子分布:
数値単位は重量%である。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
2.微結晶性セルロース(MCC)
2.1.Vivapur(登録商標)タイプ200;微結晶性セルロース;Ph. Eur., NF, JP(独国Rosenberg在JRS Pharma製)
2.2.Vivapur(登録商標)タイプ102 Premium;微結晶性セルロース;Ph. Eur., NF, JP(独国Rosenberg在JRS Pharma製)
・乾式分散(カウンター圧力1バール)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
・乾式分散(反対圧力2バール)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
・乾式分散(カウンター圧力3バール)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
・湿式分散(低粘度シリコーン油)によるレーザー回折により決められた粒子分布:
数値単位はμmである。(測定方法の詳細については、方法の欄を参照されたい。)
Figure 0006713450
3.他の材料
3.1.Parteck LUB MST(植物性ステアリン酸マグネシウム)EMPROVE exp Ph. Eur., BP, JP, NF, FCC品番1.00663(独国Merck KGaA製)
3.2.コロイド状二酸化ケイ素;賦形剤として用いるのに適した高分散品
EMPROVE exp Ph. Eur., NF, JP, E 551 品番1.13126(独国Merck KGaA製)
(実験結果)
以下の実験は、用いられるPVAの粒径が押圧挙動(押圧力/錠剤硬度比)にかなりの影響を有することを示した。
A)結果:
Dv50が70-90μmである粉砕ポリビニルアルコールに基づく共混合物が、微結晶性セルロース(MCC)と組み合わされたより粗いPVA粒径フラクションと比較して、特に優れた圧縮可能性を有することが分かった。すなわち、実施例A1において、押圧力20kNにおいて400Nを超える錠剤硬度が得られ、押圧力30kNにおいて500Nを超える硬度さえ得られている。実施例A3においても、350Nを超える錠剤硬度(押圧力20kNにて)または450Nを超える錠剤硬度(押圧力30kNにて)が達成される。
すなわち、これらの特定のPVA/MCC共混合物は、それ自体は圧縮性の低い活性化合物と組み合わせた遅延放出性錠剤の製剤用のマトリクスとしての直接錠剤化に特に適している。
B)手順:
1.混合比1:1で2種の市販の微結晶性セルロースとそれぞれのPVA粒径フラクションとからなるブレンドの調製
2.Turbulaミキサーにおいて5分間混合後、高分散二酸化ケイ素0.25重量%を加え、混合物を再び5分間混合する。混合物を、次に、800μm手作業ふるいを通す。
3.Parteck(登録商標) LUB MSTを0.25重量%添加後、混合物を再び5分間混合し、続いて圧縮する。
4.錠剤硬度、錠剤重量、錠剤高さ、錠剤磨耗および必要な放出力(排出力:ejection force)のパラメーターについて、錠剤の特徴付けを行う。
C)実験結果:
1a.微結晶性セルロースVivapur(登録商標)102 Premiumと、PVA26-88およびPVA40-88の3種の粒径フラクションとのブレンドの調製
一般的説明:PVA26-88およびPVA40-88のそれぞれの粒径フラクションを、800μm手作業ふるいを通過させて、粗い成分および凝集塊を除去する。このふるい産物300gを秤量して2リッターTurbula混合容器に入れ、微結晶性セルロースVivapur(登録商標)102 Premium300gを加え、混合物を、T2A Turbulaミキサー内で5分間混合する。
Figure 0006713450
1b.高分散二酸化ケイ素とのブレンド
流動性を向上させるために、高分散二酸化ケイ素0.25重量%を、実施例および比較例の各々に加え、再び5分間混合する。
1c.これらのブレンドの圧縮および錠剤の特徴付け
一般的説明:各々のケースについて、ステアリン酸マグネシウム1.25gを、Turbula混合容器内で先に調製した実施例A1およびA2および比較例B1、C1、B2およびC2からの共混合物498.75gに加え、混合物を、T2A Turbulaミキサー内で再び5分間混合し、Korsch EK 0-DMS偏心プレスにおいて錠剤化する。
Figure 0006713450
図1は、より良い説明のために、かなり異なる押圧力/錠剤硬度プロフィールのグラフを示す。
2a.微結晶性セルロースVivapur(登録商標)200とPVA26-88およびPVA40-88の3種の粒径フラクションとのブレンドの調製
一般的説明:PVA26-88およびPVA40-88のそれぞれの粒径フラクションを、800μm手作業ふるいを通過させて、粗い成分および凝集塊を除去する。このふるい産物300gを秤量して2リッターTurbula混合容器に入れ、微結晶性セルロースVivapur(登録商標)200の300gを加え、混合物を、T2A Turbulaミキサー内で5分間混合する。
Figure 0006713450
2b.高分散二酸化ケイ素とのブレンド
流動性を向上させるために、高分散二酸化ケイ素0.25重量%を、実施例および比較例の各々に加え、再び5分間混合する。
2c.これらのブレンドの圧縮および錠剤の特徴付け
一般的説明:各々のケースについて、ステアリン酸マグネシウム1.25gを、Turbula混合容器内で先に調製した実施例A3およびA4および比較例B3、C3、B4およびC4からの共混合物498.75gに加え、混合物を、T2A Turbulaミキサー内で再び5分間混合し、Korsch EK 0-DMS偏心プレスにおいて錠剤化する。
Figure 0006713450
図2は、より良い説明のために、かなり異なる押圧力/錠剤硬度プロフィールのグラフを示す。

Claims (17)

  1. 遅延放出性の、活性化合物含有錠剤の製造用のプレミックスであって、平均粒径100μm未満のポリビニルアルコール(PVA)と平均粒径が100〜250μmの範囲である微結晶性セルロース(MCC)との直接圧縮可能型共混合物を含み、
    前記共混合物が前記微結晶性セルロース(MCC)と、薬局方(Ph. Eur.、 USP/NFおよびJPE)の要求を満たし、活性化合物遅延放出に適した、等級PVA18−88、PVA26−88および/またはPVA40−88のポリビニルアルコール(PVA)との共混合物、または前記微結晶性セルロース(MCC)と薬局方(JPEおよびPh. Eur.)の要求を満たす、等級PVA20−99のポリビニルアルコール(PVA)との共混合物である、プレミックス。
  2. 前記微結晶性セルロースの平均粒径が150μm以下である、請求項1に記載のプレミックス。
  3. 前記微結晶性セルロースの平均粒径が100μm〜140μmの範囲である、請求項1に記載のプレミックス
  4. 前記ポリビニルアルコールは、80μm〜90μmの範囲の平均粒径を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプレミックス。
  5. 前記ポリビニルアルコールと前記微結晶性セルロースとの重量比が2:1から1:2である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のプレミックス。
  6. 前記ポリビニルアルコールと前記微結晶性セルロースとの重量比が2:1から1:1である、請求項5に記載のプレミックス。
  7. 前記共混合物が、前記微結晶性セルロースと、前記等級PVA26−88またはPVA40−88のポリビニルアルコールとの共混合物である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のプレミックス。
  8. 押圧力20kNで圧縮することにより成形して、硬度が380Nを超え、摩損度が0.1重量%以下である錠剤を与えることができる、請求項1乃至のいずれか1項に記載のプレミックス。
  9. 押圧力10kNで圧縮することにより成形して、硬度が178Nを超え、摩損度が0.1重量%以下である錠剤を与えることができる、請求項1乃至のいずれか1項に記載のプレミックス。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のプレミックスを含む、活性化合物を遅延放出する活性化合物含有錠剤。
  11. 前記プレミックスを、錠剤の合計重量を基準にして1〜99重量%含む、請求項10に記載の活性化合物含有錠剤。
  12. 前記プレミックスを、錠剤の合計重量を基準にして5〜95重量%含む、請求項10に記載の活性化合物含有錠剤。
  13. 前記プレミックスを、錠剤の合計重量を基準にして10〜90重量%含む、請求項10に記載の活性化合物含有錠剤。
  14. 低い押圧力で圧縮することにより高い錠剤硬度を持って得られ、必要とする放出力は低い、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の活性化合物含有錠剤。
  15. 押圧力20kNで圧縮することにより380Nを超える硬度を持って得られ、摩損度が0.1重量%以下である、請求項14に記載の活性化合物含有錠剤。
  16. 押圧力10kNで圧縮することにより178Nを超える硬度を持って得られ、摩損度が0.1重量%以下である、請求項14に記載の活性化合物含有錠剤。
  17. 活性化合物の遅延放出性を有し、BCSクラスIからの活性化合物を、単独または他の活性化合物と組み合わせて含む、請求項10乃至16のいずれか1項に記載の活性化合物含有錠剤。
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