−−−システム構成の例−−−
以下、本発明の一実施形態に係る座席予約装置20を含んで構成される座席予約システム1について説明する。本実施形態の座席予約システム1は、交通機関としての鉄道において、列車の座席を予約するためのシステムである。
本実施形態の座席予約システム1では、乗車したい列車やその座席を特定するのではなく、乗車する時間帯と区間の組を指定することで座席の予約を行う方式(以下、時間帯予約方式とする)によって座席が予約されることを想定している。ただし本発明の適用場面はすべての列車のすべての座席の予約方式が時間帯予約方式である場合に限定されるものではなく、既存の予約方式との併用も可能である。その場合、予め各々の予約方式に対して所定の方法(たとえば期待利益最大化など)によって各列車の座席を割り当てておき、各予約方式では、当該予約方式に割り当てられた座席のみを対象として、ユーザからの予約の受理やユーザへの座席の割り当てを行うようにする。なお、既存の予約方式や各予約方式向けの座席の割当方法については公知の手法が用いられているものとして、ここでは説明を省略する。
時間帯予約方式では、需要予測の結果、すなわち、各列車の各座席指定区間に乗車を希望する旅客数の予測結果に基づいて、あらかじめ列車と座席指定区間の組ごとに所定の座席数(以下、割当可能座席数とする)が設定されるとともに、時間帯と座席指定区間の組ごとに予約を受け付ける数(以下、予約許容数とする)が設定される。予約許容数は当該時間帯に含まれる列車の割当可能座席数の総和と一致させてもよいが、需要予測の誤差によって生じる空席(すなわち座席割当のなされない座席)の発生を抑制するため、予約許容数を当該時間帯に含まれる列車の割当可能座席数の総和よりも多く設定してもよい(オーバーブッキング)。この、予約許容数の設定については、公知の技術(たとえば特許文献2など)を適用すればよく、詳細な説明は省略するが、各列車の各座席指定区間の乗車待ち旅客数が、当該列車の当該座席指定区間に乗車を希望する旅客数の予測誤差程度以上となり、かつ、全旅客の待ち時間が所定の許容値以内に収まる範囲となるようにパラメータを設定することで、乗車待ちの人がいる状態を維持して空席の発生を抑えつつ、かつ、旅客の待ち時間を列車1〜2本程度に抑えることができる。なお、本実施形態では、予約時間帯の重複を許す(すなわちある列車が複数の予約時間帯に含まれる)ため、前記割当可能座席数について、「列車と座席指定区間の組ごと」ではなく、「予約時間帯と列車と座席指定区間の組ごと」に割当可能座席数を設定し、管理するが、以下では説明が煩雑になることを避けるため、単純に「列車と座席指定区間の組ごと」と表現するものとする。
本実施形態の座席予約システム1は、列車の運行に乱れ(以下「運行乱れ」とする)が発生した場合(すなわち1つ以上の列車に遅延が発生した場合)や、運行乱れからの回復等の目的のために運転整理が為されて列車ダイヤが変更された場合に、現在時刻以降の運行状況の予測結果(以下、運行予測結果とする)に基づいて、時間帯予約方式に係る予約許容数を適切に変更するものである。これにより、本実施形態の座席予約システム1では、運行乱れ等によりある予約時間帯に含まれる割当可能な座席数が減少した場合にも、「当初計画における割当可能座席数に基づいて設定した予約許容数に基づいて予約受理可否の判断を継続し、それによって予約が過剰に受理され続けるような状況」を防止することができる。以下、詳細について説明する。
図1は、座席予約システム1の全体構成例を示す図である。本実施形態の座席予約システム1は、運行管理システム10、携帯端末11、駅端末12および座席予約装置20を含んで構成される。運行管理システム10、携帯端末11、駅端末12および座席予約装置20は、通信ネットワーク30を介して互いに通信可能に接続される。通信ネットワーク30は、たとえばインターネットやLAN(Local Area Network)、VAN(Value Added Network)などであり、たとえばイーサネット(登録商標)や公衆電話回線網、専用
電話回線網、無線通信路、携帯電話回線網などにより構築される。
運行管理システム10は、鉄道網内を走行する各列車の運行計画や運行状況(各列車の各駅の到着時刻や出発時刻など)を管理するために用いるコンピュータであり、たとえばパーソナルコンピュータやワークステーションなどである。運行管理システム10は、図示しない運行計画作成システムによって予め作成された、あるいは、運転整理によって変更された運行計画を基に、運行当日の各列車の走行実績を用いて各列車の現在までの運行状況と各列車の未来の運行状況を計算する(予測する)。運行管理システム10は、運行管理を担当する指令員に、上記計算した運行状況を提示し、それにより、指令員による、実際の運行状況を踏まえた運行計画の修正(運転整理)を支援する。運転整理の内容としては、ある列車の走行区間の全体または一部区間の運休、臨時列車の増発、2つの列車が共通して走行する駅間における当該2列車の走行順序の変更などがある。なお、運転整理は必ずしも指令員によって行われるものではなく、所定のアルゴリズムに従って運行管理システム10が自動で行うようにしてもよい。
運行管理システム10は、上記処理に係る機能部である実績取得部101、ダイヤ管理部102および運行予測部103、ならびに前記運転整理を行うためのユーザインタフェースを備え上記処理に用いられるコンピュータである運転整理端末104を備えている。なお、これらの機能部をそれぞれ別のコンピュータが備えるようにし、ネットワークを介して情報をやり取りすることで運行計画および運行状況の管理を行うようにしてもよい。運行管理システム10による列車の運行計画および運行状況の管理については、公知の手法が用いられているものとしてここでは説明を省略する。
携帯端末11は、座席を予約しようとする、あるいは、座席の割当や変更を受けようとするユーザが操作する可搬型のコンピュータであり、たとえば携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノート型コンピュータなどである。携帯端末11を用いたユーザからの情報の入力およびユーザへの情報の提供については、これらのコンピュータにインストールされたプログラムを介して、あるいは、これらのコンピュータからウェブブラウザ等の汎用的なプログラムを用いて所定のウェブサイトにアクセスすることにより、座席予約装置20との間で情報の授受ができるように成されている(公知の技術を用いればよいため詳細な説明は省略する)。本実施形態では、以下、ユーザは座席の予約および座席の割当・変更のいずれにおいても携帯端末11を使用するものとして説明を行うが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。例えば、時間帯予約および座席の割当・変更のいずれか、または両方について、デスクトップ型のパーソナルコンピュータや、駅に設置している自動券売機などの専用端末を用いるようにしてもよい。
駅端末12は上記専用端末の例であり、ICカードのリーダー機能を有し、後述のユーザIDを特定できる情報を上記ICカードから読み取れるようにしたものである。本実施形態では、ユーザIDの特定方法を除き、駅端末12の備える機能は上述の携帯端末11の備える機能と本質的に等価であるため、以下では説明を省略する。
座席予約装置20は、時間帯と座席指定区間の組を指定した予約を受け付ける処理と、それらの予約を実際の列車の座席に割り当てる処理とを行うコンピュータである。座席予
約装置20は、たとえばパーソナルコンピュータやワークステーションなどである。
図2は、座席予約装置20のハードウェア構成例を示す図である。座席予約装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205および出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。
通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。
入力装置205は、座席予約装置20の操作者等からのデータ入力を受け付けるための装置であり、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、座席予約装置20の操作者等に情報を提示するための装置であり、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
こうした座席予約装置20は、図1に示すように、通信部211、需要予測部212、座席手配部213、予約処理部214、座席割当部215、運行予測情報反映部216、および記憶部230を備えている。
この、通信部211、需要予測部212、座席手配部213、予約処理部214、座席割当部215および運行予測情報反映部216は、座席予約装置20が備える、上述のCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現される。また、記憶部230は、座席予約装置20が備えるメモリ202および記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
このうち記憶部230は、輸送計画データ231、予約制御パラメータ232、旅客モデル233、予約カウンタ234、座席カウンタ235、予約情報リスト236および運行予測情報237を記憶する。
記憶部230が記憶する情報等のうち、輸送計画データ231は、列車による旅客の輸送に係る計画に関する情報である。輸送計画データ231には、たとえば、予約許容数の算出に用いるための列車ダイヤ(以下、「基準ダイヤ」とする)、料金(乗車区間・座席指定区間ごとの運賃・各種料金との対応関係;ただし一般には料金クラス別)、指定席の数(定員)、時間帯予約向けに利用可能な座席数などが含まれる。基準ダイヤには列車ごとの発着駅と、それら各々の駅に対する計画上の着発時刻および運行状況から予測される発着時刻を含む。上記、運行状況から予測される発着時刻は、前日までの時点では計画上の時刻と等しくされており、当日については、運行状況に従って後述(図10など)の運行予測情報反映処理において適宜更新される。なお、前記料金の情報は、レベニューマネジメント等の公知の技術を用いるような場合には、予約タイミング(すなわち予約が乗車希望日時のどれくらい前に為されるか)ごとに管理するようにしてもよい。
また、予約制御パラメータ232は、予約の受付を制御するための情報である。予約制御パラメータ232には、予約時間帯の一覧と、予約受付期間(すなわち「いつからいつまで座席予約が可能か」という値)と、現在予約を受け付けているか否かを示す予約受付中フラグと、待ち時間にかかるコスト(たとえば金額換算値)と、列車種別追加ルールと、新規予約受理可能時間帯と、が含まれる。また、乗車希望者数の予測誤差を標準偏差の何倍として見積もるか、乗車待ちを列車何本分まで許容するか、など、公知の技術を実施
するために必要なパラメータについても含まれるように、予約制御パラメータ232を構成する。
ここで、予約時間帯の一覧は、予約として受け付けることのできる時間帯の一覧と、受理済みの予約情報に対応する予約時間帯の一覧(予約を受理した後、後述のステップS5163の処理で時間帯の終了時刻が延長されたものを含む)と、の両者を区別して管理する。また、本実施形態では、予約受付中フラグが「偽」(現在予約を受け付けていないことを示す値)の場合、座席予約装置20は、時間帯予約要求と座席割当要求と座席変更要求のいずれについても謝絶する。
また、列車種別追加ルールは、運行乱れ等が発生した場合に座席割当の対象とする列車の範囲を広げるために使用される情報であり、列車種別を追加する条件と追加する列車種別とを紐付けて管理しておく。たとえば「列車種別TBの列車に30分以上の遅延が発生した場合」「座席割当の対象として列車種別TAとTCを追加する」という情報となる。
また、新規予約受理可能時間帯は、後述の運行予測情報反映処理において、列車種別と座席指定区間の組ごとに、予約受理数が予約許容数未満となる時間帯のうち最も早い時間帯を求めたものであり、当該処理において、予約情報に含まれる予約時間帯の終了時刻を延長する際の基準として用いられる情報である。
また、旅客モデル233は、割当可能座席数と予約許容数とを決定するための情報である。ここで、割当可能座席数とは、各列車と座席指定区間の組に対して時間帯予約向けに確保する座席数のことであり、予約許容数とは、各予約時間帯と座席指定区間の組に対して予約を受け付けることが可能な座席数のことである。旅客モデル233は、需要モデル2331および列車選択モデル2332を含む。
需要モデル2331は、予約時間帯と座席指定区間の組ごとに、予約が発生する座席数(以下、需要数とする)を予測するための情報である。本実施形態では、需要モデル2331は、予約時間帯と座席指定区間の組ごとに、過去の予約・販売実績データから季節ごとや曜日ごとの傾向を踏まえてあらかじめ計算された需要数の予測値であるものとする。ただし、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、たとえば、需要モデル2331について、予約時間帯と座席指定区間と予約時期(座席を予約したい時間帯の何日前あるいは何時間前に予約をするか)の組に対して、過去の実績等から予約が発生すると予想される座席数を対応付けるようなモデルとしてもよく、その場合、座席予約の売れ進みの状況に応じて需要数の予測精度が向上させられるほか、座席指定料金を適切に変動させて収益の最適化に繋げることができる(収益最適化については「レベニューマネジメント」等と呼ばれる公知の技術であり、詳細な説明は省略する)。需要モデル2331は、さらに、需要数を予測するための予測モデル(予測式)としてもよい。また、列車の定常運行時と運行乱れ時とで異なるモデルを使用するようにしてもよい。
また、列車選択モデル2332は、各予約時間帯と座席指定区間の組について、予約した人がどの列車を選択するか、すなわち、たとえば、どの列車に乗車するのに都合のよい時刻に駅に到着するかを推定するための情報である。本実施形態では、列車選択モデル2332は、予約者(ユーザ)がある列車を選択する確率(以下、列車選択確率とする)を含むものとする。列車選択モデル2332は、たとえばユーザの過去の予約実績および発券実績に基づく確率として予め計算して保持しておけばよいし、あるいは、アンケート等に基づき予め計算して保持しておくこともできる。なお、列車選択モデル2332は、時間帯や座席指定区間ごとに異なる確率とすることができ、また、列車の定常運行時と運行乱れ時とで異なる確率としてもよい。さらに、運行乱れ時については、「乗車可能な最も早い列車に乗車する」「座席指定区間の終了駅に最も早く到着する列車に乗車する」「別
路線が選択可能であれば別路線を選択する」等の旅客行動パターンごとにそれらのパターンが選択される確率を定義したものを、列車選択モデル2332として使用するようにしてもよい。
本実施形態では、さらに、予約時間帯の重複を許すため、列車と座席指定区間の組について、どの予約時間帯を指定したユーザに選択されるかの確率(以下、時間帯選択確率とする)についても、列車選択モデル2332として含むように構成する。
また、予約カウンタ234は、各予約時間帯と座席指定区間の組ごとに、予約許容数と受理された予約数(予約受理数)とを保持する。
また、座席カウンタ235は、列車と座席指定区間の組ごとに、割当可能座席数および座席割当数を保持する。割当可能座席数とは、時間帯予約を行ったユーザに対して割り当てることが可能な座席の数である。割当可能座席数は、各列車の定員を考慮してあらかじめ作成される。たとえば各列車の各座席指定区間について所定数の席数としてもよいし、需要予測結果に基づいて、列車や座席指定区間によって異なる席数とすることもできる。本実施形態では、後述するように、割当可能座席数は、列車の運行状況によって更新され得る。また、座席割当数は、当該列車と座席指定区間の組に対して実際に予約を割り当てた座席数である。
また、予約情報リスト236は、受理された予約情報のリストである。予約情報とは、誰がどの列車種別の列車のどの座席指定区間をどの時間帯で何座席分、予約したかを示す情報である。予約情報には、さらに、どの列車のどの座席を割り当てたかを示す情報も含むように構成する(割り当てられる列車や座席が確定していない場合には「未割当」を表す値を登録しておく)。予約情報には、これ以外にも予約に関する各種の情報を含めることができ、本実施形態では、現在の「予約状態」を含めるものとする。予約状態には、乗車時間帯を指定した予約を受理しているがユーザに特定の列車の座席を割り当てていない「予約済」、ユーザに特定の列車の座席を割り当てた「発券済」(電磁的なチケットを確保するためのデータ管理上の扱いであり、必ずしも座席指定券の物理的な発券を意味しない)、ユーザが乗車した「乗車済」がある。また本実施形態では、予約状態として、ユーザに特定の列車の座席を割り当てたものの、その割当が変更されうる状態を示す「仮発券」もとりうる。なお、本実施形態では、予約情報リスト236は、当日運行する列車の分の予約情報を抽出して別途管理しているものとし、公知の技術(たとえば特許文献2など)で保持されていた乗車日のデータは省略されているものとする。以下では、主に当日分の予約情報の扱いについて説明する。
また、運行予測情報237は、各列車の最新の運行状況を示す情報である。運行予測情報237は、現在時刻までに得られている各列車の走行実績と当初計画の列車ダイヤに運休等の運転整理を反映した結果である最新の列車ダイヤとを用いて各列車の現在時刻まで及び未来の運行状況を予測した結果の列車ダイヤである「予測ダイヤ」を含む。運行予測情報237は、運行管理システム10で計算した結果が、ネットワーク経由で取得される。なお、前記予測ダイヤは、列車ごとの発着駅と、それら各々の駅に対する計画上の着発時刻および運行状況から予測された発着時刻を含むようにする。
座席予約装置20が備える機能部のうち、需要予測部212は、列車と座席指定区間の組ごとにどの程度の乗車希望があるか(すなわち、座席の需要)を予測する。本実施形態では、需要予測部212は、旅客モデル233と基準ダイヤ(すなわち乗車希望者数を予測する時点における予測ダイヤ)を基に公知の手法を用いて乗車を希望する旅客数(乗車希望者数)を予測するものとし、ここでは需要予測手法の詳細についての説明を省略する。なお、需要予測部212は、定常運行時や運行乱れ時など、列車の運行状況に応じて旅客モデル233に含まれるモデルの中から適切なものを用いることができる。
なお、需要予測部212は、座席の需要を予測するにあたり、予約情報リスト236を考慮して需要予測を行うようにしてもよい。すなわち、需要予測をする時点における座席の売れ進み状況が把握できるほか、受理済の予約情報の状態が「割当済」または「仮割当」の場合には、それらの予約情報については現在割り当てられている列車に乗車することで確定しているとして扱うことで、確率計算となる部分の精度を向上させることができる。
また、後述(図10)の運行予測情報反映処理では、運行予測情報に基づいて基準ダイヤが更新される場合があるが、そのような場合、需要予測部212は、更新前の基準ダイヤと予約情報リスト236を用いて需要予測をする時点において判明している需要を把握した上で、当該需要を踏まえて、更新後の基準ダイヤに基づいて座席の需要を予測するようにしてもよい。
座席手配部213は、需要予測部212を用いて求めた乗車希望者数を基に、列車と座席指定区間の組ごとに、時間帯予約方式で割当可能とする座席数を決定し、さらに、予約制御パラメータ232と旅客モデル233を参照し、予約時間帯と列車と座席指定区間の組ごとの割当可能座席数を決定する。時間帯予約方式で割当可能とする座席数の各予約時間帯への配分方法については、たとえば、列車選択モデル2332に含まれる時間帯選択確率に基づき配分すればよい。
座席手配部213は、このように予約時間帯と列車と座席指定区間の組ごとの割当可能座席数を決定した後、予約時間帯と座席指定区間の組ごとに予約許容数を決定する。予約時間帯別の各列車・各座席指定区間の割当可能座席数を参照して特許文献2など公知の技術と同様の方法によって実施すればよく、詳細な説明は省略する。
座席予約装置20が備える機能部のうち、予約処理部214は、携帯端末11から座席予約要求を受け付け、予約カウンタ234の状況に応じて予約の受理または謝絶を判断して応答する。予約処理部214は、さらに、座席予約要求を受理すると決定した場合には、予約カウンタ234の保持する予約受理数を当該座席予約要求に係る座席数の分だけカウントアップする。予約処理部214が実行する処理の詳細は、後述する(図4など)。
また、座席割当部215は、割当可能座席数および割当座席数に応じて、座席の割当のリクエスト(以下、座席割当要求とする)あるいは座席の変更のリクエスト(以下、座席変更要求とする)に対し、どの列車の座席を割り当てるのかを決定する。座席割当部215が実行する処理の詳細は、後述する(図5など)。なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、座席割当部215は、どの列車の座席を割り当てるのかを決定後、具体的に当該列車のどの座席を割り当てるのかも決定するものとする。具体的には、たとえば、どの列車の座席を割り当てるのかが決定された時点で、いずれの予約に対しても割当されていない座席を検索し、任意に割り当てればよい。あるいは、特許文献2で開示されているように、列車確定と座席確定のタイミングを分離し、座席を確保した列車にユーザが乗車し空席を見つけて着席する時点で座席を確定させるようにしてもよい。何れの場合についても、公知の技術を用いて実施することができる。なお、例示した以外の方法によって座席を確定させるようにしてもよい。
また、運行予測情報反映部216は、運行予測情報237が変化した場合に予約の調整を行うものである。後述するように、運行予測情報反映部216は、たとえば、列車の運行が乱れた場合に予約の調整を行う。運行予測情報反映部216による処理の詳細については後述する(図10など)。
−−−フロー例−−−
図3は、本実施形態に係る座席予約装置20により実行される処理の流れを示す図である。このフローにおいて、座席予約装置20は、携帯端末11から時間帯を指定した予約の要求(以下、時間帯予約要求とする)を受信した場合(S31:YES)、予約処理部214により図4に示す時間帯予約処理を実行する(S32)。
また、座席予約装置20は携帯端末11から座席割当要求を受信した場合(S33:YES)、座席割当部215により図5に示す座席割当処理を実行し(S34)、座席予約装置20は携帯端末11から座席変更要求を受信した場合(S35:YES)、座席割当部215により図18に示す座席変更処理を実行する(S36)。さらに、座席予約装置20は、所定の時間が経過するごとに(S37:YES)、図10に示す運行予測情報反映処理を実行する(S38)。
座席予約装置20は、ステップS31乃至S38の処理の終了後、処理を終了するか否かを判定する。判定の結果、処理を終了すると判定された場合(S39:YES)、座席予約装置20は処理を終了する。処理を終了すると判定されなかった場合(S39:NO)、座席予約装置20はステップS31の処理に戻って処理を続ける。ステップS39の判定は、例えば、座席予約装置20が備える入力装置205から処理終了コマンドの入力有無で判定することを想定するが、これに限らず、一般の方法を用いることができる。
ここで、上述の図3のフローにおける時間帯予約処理(S32)の詳細について図4に基づき説明する。まず始めに、予約処理部214は、携帯端末11からユーザを特定するための情報(会員情報)を受信する(S411)。本実施形態では、会員情報としてはユーザIDおよびパスワードを想定する。
続いて予約処理部214は、受信した会員情報を用いてユーザの認証を行う(S412)。予約処理部214は一般的な方法によりユーザの認証を行うことができる。たとえば、座席予約装置20が各ユーザについてのユーザIDとパスワードとを対応付けるデータベースを備えるようにし、予約処理部214は会員情報とデータベースを照合して認証を行うようにすることができる。
予約処理部214は、認証に成功した場合(S412:YES)、携帯端末11から予約情報を受信する(S413)。予約情報には乗車希望日、予約時間帯、座席指定区間、座席数が含まれる。他方、認証に失敗した場合(S412:NO)、予約処理部214はステップS419の処理に進む。
続いて予約処理部214は、予約を受付中であるか否かを判定する(S414)。予約処理部214は、たとえば予約制御パラメータ232を参照して、現在日時に照らして乗車希望日および予約時間帯が予約受付期間内でない場合には、予約受付中でないと判定する。さらに、予約処理部214は、現在日時が乗車希望日当日である場合には、予約受付中フラグが偽(現在予約を受け付けていないことを示す値)である場合に、予約受付中でないと判定する。予約処理部214は、それ以外の場合、予約受付中であると判定する。予約受付中でない場合(S414:NO)、予約処理部214はステップS419の処理に進む。
続いて予約処理部214は、予約カウンタ234の予約受理数と予約要求に係る座席数(予約要求数)との合計が、予約カウンタ234の予約許容数以下であるか否かにより、予約を受理するかどうかを判定する(S415)。すなわち、予約受理数と予約要求に係る座席数との合計が予約カウンタ234の予約許容数以下である場合には「予約要求を受理する」と判定し(S415:YES)、それ以外の場合には「予約要求を謝絶する」と
判定する(S415:NO)。
また、予約処理部214は、予約を受理すると判定した場合(S415:YES)、当該予約に係る決済処理を行う(S416)。
本実施形態では、時間帯予約方式による座席予約は会員制のサービスであることを想定している(それにより需要予測の精度向上が可能)。そのためこの決済処理は予めユーザIDに紐付けて登録されたクレジットカードへの課金を想定する。ただし、本発明の実施形態はこれに限らず、決済処理には任意の手法を用いることができる。たとえば、ユーザが駅端末12を用いて予約操作を行う場合であれば、現金、プリペイドカード、ユーザIDに紐付けられていないクレジットカード等による決済処理を行う機能を駅端末12に搭載しておき、駅端末12にて決済処理を行えるようにしてもよい。これらの決済処理は一般的な手法により行われるものとして、ここでは説明を省略する。
次に、予約処理部214は、予約カウンタ234の予約受理数に予約要求数を加算し(S417)、予約情報に予約済みのステータスを設定して予約情報リスト236に追加する(S418)。
S411乃至S418の処理の終了後、予約処理部214は、予約処理に係る結果を携帯端末11に応答する(S419)。予約処理部214は、上記ステップS415において予約を受理すると判定した場合(S415:YES)には予約内容を応答し、予約を受理しないと判定した場合(S415:NO)には予約ができない旨のメッセージを応答することができる。予約処理部214は、また、上記ステップS412で認証に失敗した場合(S412:NO)には、予約ができない旨のメッセージに加え、認証に失敗した旨のメッセージを応答することができる。予約処理部214は、また、上記ステップS414で予約受付中でなかった場合(S414:NO)には、予約ができない旨のメッセージに加え、予約受付中でない旨のメッセージを応答することができる。
次に、上述の図3のフローにおける座席割当処理(S34)の詳細について図5に基づき説明する。この場合、座席割当部215は、携帯端末11からユーザを特定するための会員情報(上述したようにユーザIDとパスワードを想定する)を受信する(S611)。座席割当部215は、受信した会員情報を用いてユーザの認証を行う(S612)。
続いて座席割当部215は、認証に成功した場合(S612:YES)、座席割当要求に対応する予約情報を特定する(S613)。ステップS613の処理では、座席割当部215は、たとえば、ユーザに対応する予約情報を予約情報リスト236から抽出し、抽出した予約情報が1つ以上ある場合、それらを携帯端末11に送信する。携帯端末11では、予約情報を一覧表示して座席割当の対象となる予約の指定をユーザから受け付け、指定された予約情報を特定する情報を座席予約装置20に送信する。なお、ユーザに対応する予約情報がひとつしか存在しない場合には、座席割当部215は、ユーザへの問い合わせをせずに当該予約情報が指定されたものと判断してもよい。なお、座席割当部215は、予約制御パラメータ232に含まれる予約受付中フラグを参照し、値が「偽」(現在予約を受け付けていないことを表す値)である場合には、座席割当要求に対応する予約情報は存在しないものとして扱う。
次に、座席割当部215は、対応する予約情報が予約情報リスト236に存在した場合(S614:YES)、図7に示す座席割当可能列車リスト作成処理を実行し、座席を割り当てることのできる列車の一覧を含む座席割当可能列車リストを作成する(S615)。
次に、座席割当部215は、座席割当可能列車リストに登録されている列車から割当対
象とする列車を特定する(S616)。座席割当部215は、たとえば、座席割当可能列車リストに登録されている列車とそれらの列車に関連する情報の一覧を携帯端末11に送信して、携帯端末11に座席割当の候補となる列車の一覧を表示させ、ユーザから列車の指定を受け付けることにより、割当対象となる列車を特定する。
図6は、ステップS616の処理において携帯端末11に表示される列車指定画面の例を示す図である。座席割当部215は、座席割当可能列車リストと当該リストに登録されている列車に関連する情報を携帯端末11に送信する。例えば、座席割当部215が携帯端末11に送信する情報には、座席指定区間を特定する情報(当該区間の開始駅と終了駅)、列車を特定する情報(列車名)に加えて、座席指定区間の開始駅からの出発時刻、座席指定区間の終了駅への到着時刻、および空席状況を含めるようにする。ここで、出発時刻と到着時刻については、当初計画時点での列車ダイヤにおける発着時刻のほか、予測ダイヤにおける発着時刻も含める。予測ダイヤにおける発着時刻を含めることで、目的地に最も早く到着すると予想される列車をユーザが容易に選択できるようになるため、利便性が向上する。
携帯端末11は、座席予約装置20から受信した座席割当可能列車リスト及びそれに付随する情報に基づいて、図6に示す列車指定画面600や列車指定画面601を表示し、座席割当を受けようとする列車の指定をユーザから受け付ける。携帯端末11は、ユーザから受け付けた列車を特定する情報を座席予約装置20に送信し、座席割当部215は、携帯端末11から受信した情報に基づいてユーザから指定された列車を特定する。
列車指定画面600は運行乱れのない状態における画面例であり、出発時刻と到着時刻の表示は、上段が当初計画時点での列車ダイヤにおける時刻、下段(括弧内)が予測ダイヤにおける時刻を意味している。空席状況については、列車指定画面600では、いずれの列車についても空席が十分に確保された状態(空席状況として「○」が表示される状態)となっているが、時間帯予約方式では需要予測に基づいて割当可能な座席数が決められているため、出発時刻が近付くにつれ、空席が残りわずかな状態(空席状況として「△」が表示される状態)や空席がない状態(空席状況として「×」が表示される状態)へと遷移していくと予想される(実際のところは、予測された需要に対してどの程度の余裕をもって割当可能な座席数を決めたかに依存する)。
他方、列車指定画面601は運行乱れが発生した場合における画面例である。列車種別TBの「つばき」が運行している路線(後述:図13)において運行乱れが発生した場合、本実施形態では、後述(図14)のように、運行乱れからの早期回復を意図して、別路線を運行する列車種別TCの「つつじ」の座席も割当可能としている。そのため、運行乱れに巻き込まれている「つばき」の空席状況は「空席が残りわずか(△)」となっている一方で、平常通りの運行をしている「つつじ」の空席状況は「空席が十分に確保されている(○)」となっている。また、本実施形態では、座席割当が可能な列車を、座席指定区間終了駅の予測到着時刻が早い順にソートして提示しているため、目的地に最も早く到着すると予想される列車がどの列車なのか、ユーザが把握し易くなっている。このように、本実施形態では、運行乱れが発生した場合にも、ユーザが空席の状況や目的地への予測到着時刻を確認して座席の割当を受ける列車を選択することができる。
ここで図5のフローの説明に戻る。座席割当部215は、予約情報に含まれる座席数を座席割当数に加算して、座席カウンタ235を更新する(S617)。座席割当部215は、予約情報の状態に「発券済」を設定するように予約情報リスト236を更新する(S618)。
また、座席割当部215は、座席割当結果を携帯端末11に応答する(S619)。座
席割当部215は、認証に失敗した場合(S612:NO)、あるいは、対象となる予約情報が予約情報リスト236に存在しない場合(S614:NO)には、その旨のメッセージを携帯端末11に送信し、座席を割り当てた場合には、割り当てた列車の座席に係る情報(列車の発車時刻および到着時刻、座席番号などを含む。)を携帯端末11に送信する。
以上のようにして、具体的な座席がユーザに割り当てられる。
ここで、上述の図5のフローにおける座席割当可能列車リスト作成処理(S615)の詳細について図7に基づき説明する。
座席割当可能列車リスト作成処理において、座席割当部215は、まず始めに、座席割当可能列車リストを空集合に設定する(S6151)。その後、座席割当部215は、着目する予約情報の割当対象となっている列車種別の列車のそれぞれについて、図8に示す座席割当可否判定処理を実行して座席の割当が可能か否かを判定し(S6152)、座席割当可と判定した場合には(S6153:YES)、当該列車を座席割当可能列車リストに追加する(S6154)。
ここで、ある列車が着目する予約情報(すなわち座席割当の対象となる予約情報)の割当対象となるか否かの判定は、当該列車の列車種別が、当該予約情報の割当対象となる割当種別(図16など参照)に含まれているか否かで判定すればよい。
こうした座席割当可能列車リスト作成処理のうち、座席割当可否判定処理(S6152)の詳細について、図8に基づき説明する。座席割当可否判定処理は、着目する列車に当該予約に対して割当可能な空席があるかどうかを判定する処理であり、本実施形態では、座席割当部215は、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が予約時間帯に含まれるような予約情報のほか、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が予約時間帯から外れている予約情報についても優先順位を低く設定して座席の割当を行えるようにする。このような構成とすることで、ユーザにとっては、予約変更の手間が低減されるほか、従来、予約を変更しようとした際に混雑のために遅い時間帯の列車に対してのみ予約可能であると判断されていたような場合であっても、座席確定要求の時点で当該予約情報に対応する優先順位で確保可能な空席があれば座席割当を受けることが可能となるため、従来に比べ、より早い時間帯の列車に乗車できる可能性があり、利便性が向上する。
座席割当可否判定処理において、座席割当部215は、まず始めに、予約時間帯の終了時刻および開始時刻に応じて予約時間帯の優先順位を決定する(S61521)。具体的には、座席割当部215は、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が予約時間帯の開始時刻より前または終了時刻より後となる予約時間帯の優先順位を低くし、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が予約時間帯の開始時刻以降かつ終了時刻以前となる場合には、予約時間帯の終了時刻が早いほど、予約時間帯の終了時刻が等しい場合には予約時間帯の開始時刻が早いほど、優先順位が高くなるように、着目する列車に対する予約時間帯の優先順位を決定する。
そのため、座席割当部215は、たとえば、予約制御パラメータ232の一部として管理されている受理済みの予約情報に対応する予約時間帯の一覧を参照し、予約時間帯のそれぞれについて、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が当該予約時間帯に含まれなければ時間外ペナルティを設定し、時間外ペナルティを第1キー、予約時間帯の終了時刻を第2キー、予約時間帯の開始時刻を第3キーとして昇順にソートした順番に優先順位を決定する。
予約時間帯の終了時刻を第2キーとすることで、予約時間帯の終了時刻が迫っている予
約情報に対して、優先的に座席を割り当てる(より多くの座席数を割当可能とする)ことができる。
図9は、上述の優先順位の決定方法を説明するための図である。
図9の例において、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が12時45分であるものとすると、座席割当部215は、開始時刻が上記予測出発時刻よりも後である予約時間帯、すなわち開始時刻が「13:00」、「15:00」および「13:30」の予約時間帯について「1」の時間外ペナルティを設定し、終了時刻が上記予測出発時刻よりも前である予約時間帯、すなわち終了時刻が「11:00」の予約時間帯について「1」の時間外ペナルティを設定し、他の予約時間帯については「0」の時間外ペナルティを設定する(図9の左図参照)。
次に座席割当部215が、時間外ペナルティを第1のキー、予約時間帯の終了時刻を第2のキー、予約時間帯の開始時刻を第3のキーとして昇順にソートすると、図9の右図のようになる。このようにして、各予約時間帯の優先順位を決めることができる。
図8の説明に戻る。座席割当部215は、上述のように予約時間帯の優先順位を決定後、現在判定対象となっている予約情報に対して割当可能な座席が存在するか否かを判定する。具体的には、当該予約情報に対応する予約時間帯の優先順位を参照し、当該優先順位以下の優先順位とされている予約時間帯に対応する残席数(割当可能座席数から座席割当数を減じた値;時間帯と列車と座席指定区間の組に対して管理されている)の総和が、現在判定対象となっている予約情報に係る座席数以上である場合(S61522:YES)、割当可能と判定し(S61523)、当該優先順位以下の優先順位とされている予約時間帯に対応する残席数の総和が、現在判定対象となっている予約情報に係る座席数未満である場合(S61522:NO)、座席割当不可と判定する(S61524)。たとえば、図9のような状況の場合、現在判定対象となっている予約情報が「12:00〜14:00の予約時間帯に3席」というものであったとすると、当該予約時間帯は優先順位が3位であるため、優先順位が3位乃至8位の残席数(割当可能座席数から割当座席数を減じた値)の合計が3以上であれば「割当可」、2以下であれば「割当不可」となる。なお、「割当可」である場合、ステップS616で現在着目している列車が選択され、ステップS617で座席カウンタ235を更新することになった場合には、座席割当部215は、優先順位が高い予約時間帯に対応する座席カウンタ235から優先的に、割当座席数の値を増やしていく。たとえば、優先順位が3位乃至8位に対応する残席数が順に「2席(3位)」「0席(4位)」「0席(5位)」「1席(6位)」「1席(7位)」「1席(8位)」である場合、3席分の割当後の残席数が「0席(3位)」「0席(4位)」「0席(5位)」「0席(6位)」「1席(7位)」「1席(8位)」となるように座席カウンタ235を更新すればよい。そのため、ステップS61521で求めた、着目列車に対する予約時間帯の優先順位については、ステップS617の処理で参照できるよう、ステップS617の処理が終了するまで中間データとして記憶部230に保持しておく。
次に、上述の図3のフローにおける運行予測情報反映処理(S38)の詳細について図10に基づき説明する。なお、図3において、運行予測情報反映処理は周期的に実行されるものとしたが、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、運行予測情報反映部216が任意の方法で列車の運行スケジュールに変更があったことを検知して運行予測情報反映処理を実行するようにしてもよい。
図10のフローにおいて、運行予測情報反映部216は、運行管理システム10が算出した予測ダイヤを取得して記憶部230の運行予測情報237を更新する(S511)。予測ダイヤの取得は、運行管理システム10に対して都度演算要求を行い、演算結果を受信するような構成としてもよいし、運行管理システム10が最新の演算結果を用いて逐次
更新している、運行管理システム10内の記憶装置または運行管理システム10の外部にある図示しない記憶装置に格納された予測ダイヤを、運行予測情報反映部216が参照して取得するような構成としてもよい。
続いて、運行予測情報反映部216は、後述の図11に示す予約許容数更新要否判定処理を実行する(S512)。運行予測情報反映部216は、ステップS512の予約許容数更新要否判定処理の結果、予約許容数を更新する必要があると判定した場合(S513:YES)、ステップS514乃至S518の処理を行う。予約許容数を更新する必要がある場合(S513:YES)、運行予測情報反映部216は、まず始めに、新規予約および新規発券を停止する処理を行う(S514)。ここで、新規予約および新規発券の停止に係る処理は公知のものを採用することができる。運行予測情報反映部216は、新規予約および新規発券を停止する処理の際、予約制御パラメータ232に含まれている予約受付中フラグを「偽」(現在予約を受け付けていないことを表す値)とする。また、予約許容数を更新する必要がないと判定された場合(S513:NO)、運行予測情報反映部216は、運行予測情報反映処理を終了する。
続いて、運行予測情報反映部216は、図12に示す座席配分更新処理を実行し(S515)、図14に示す予約情報リスト更新処理を実行した後(S516)、新規予約および新規発券を再開する処理を行う(S517)。なお、運行予測情報反映部216は、新規予約および新規発券を再開する処理の際、予約制御パラメータ232に含まれている予約受付中フラグを「真」(現在予約を受け付けていることを表す値)とする。
ここで、上述の予約許容数更新要否判定処理(S512)の詳細について、図11に基づき説明する。この場合、運行予測情報反映部216は、輸送計画データ231に含まれる基準ダイヤと、運行予測情報237に含まれる予測ダイヤとを比較して、基準ダイヤに対して列車や走行区間の増減があるかどうかを判定する(S5121)。基準ダイヤに対して予測ダイヤにおける列車や走行区間の増減がある場合の原因には、たとえば運休、部分運休、臨時列車の設定などがある。
続いて運行予測情報反映部216は、基準ダイヤと予測ダイヤを比較して、遅延状況に変化があったか否かを判定する(S5122)。運行予測情報反映部216は、たとえば、予測ダイヤにおける各列車の各駅の発車時刻と、基準ダイヤにおける対応する発車時刻との差を計算し、所定の閾値を超えている場合に「変化あり(S5122:YES)」と判定し、それ以外の場合に「変化なし(S5122:NO)」と判定すればよい。
続いて、運行予測情報反映部216は、予約許容数変動有無判定処理を行う(S5123)。すなわち、運行予測情報反映部216は、予約時間帯と座席指定区間の組ごとに、当該時間帯に走行すると予測されている列車の割当可能座席数の総和(a)を算出し、算出した総和(a)と、現在当該時間帯の予約許容数の算出基準となっている座席数(b)とを比較し、「|(a)−(b)|>Δ」となる時間帯と座席指定区間の組が1つでも存在すれば「変動あり」と判定する(S5123)。閾値Δとしては、予約制御パラメータ232に登録されている所与の値を用いる。あるいは、基準ダイヤにおいて着目時間帯に走行する列車の割当可能座席数の平均値Mを求め、当該平均値Mに基づき、たとえば当該時間帯を走行する列車N本分(Nはたとえば1や2などの値)の割当座席数の総数を近似する値として「M×N」という値を閾値Δとして用いるようにしてもよい。そのような構成とした場合には、時間帯によってMの値が大きく変動するような路線においても、予約許容数の変動有無を、より適切に判定することができる。なお、閾値Δの値はこれらの値に限るものではなく、その他の方法によって求めた値を用いるようにしてもよい。
こうした予約許容数変動有無判定処理を行うことで、後述する予約許容数の更新頻度を
抑えることができる。したがって、予約許容数の更新頻度が上がることを許容する場合には、ステップS5123ではΔを0などの小さな数に設定してもよい。
運行予測情報反映部216は、予約許容数変動有無判定処理の結果、変動ありと判定した場合(S5124:YES)、予約許容数を更新する必要があると判定し(S5125)、現時点の予測ダイヤを基準ダイヤとするよう、基準ダイヤを更新する。一方、運行予測情報反映部216は、予約許容数変動有無判定処理の結果、変動なしと判定した場合(S5124:NO)、予約許容数を更新する必要がないと判定する(S5126)。
続いて、上述の図10のフローのうち座席配分更新処理(S515)の詳細を、図12に基づき説明する。座席配分更新処理において、運行予測情報反映部216は、まず始めに、予約制御パラメータ232を参照して座席配分の更新対象となる列車種別を取得し、予測ダイヤを参照して、当該列車種別の列車のうち、現在時刻以降の時間帯に出発すると予測されている駅から終着駅までの区間において現時点で座席の割当が為されていない列車・区間の座席について、時間帯予約方式の予約に対して割当可能な座席として仮確保する(すなわち、他の予約方式の予約に対して割り当てられないように一時的に制限を掛ける)(S5151)。なお、仮確保した座席数は、座席に余剰があった場合に元の状態に戻すため、列車と区間の組ごとに輸送計画データ231に登録しておく。
運行予測情報反映部216は、座席の確保にあたり、異なる路線の列車の座席も時間帯予約方式の予約に対して割当可能な座席として確保することができる。ここで、異なる路線の列車の座席を割当可能とするのは、振替輸送の効果による運行乱れからの早期回復を意図した措置である。ただし、異なる路線の列車の座席を使用する場合、座席指定区間の開始駅と終了駅が一致していても座席指定料金が異なり得ることから(たとえば元々予約していた路線よりも高い料金に設定されている可能性がある)、本実施形態では、異なる路線の列車の座席は、既に時間帯予約方式で予約されている予約に対する座席割当対象としてのみ使用され、新規の予約に対する座席割当対象にはならないように、座席割当処理および運行予測情報反映処理(後述:図14のステップS5162が該当)を構成している。なお、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、新規の予約に対しても、異なる路線の列車の座席を割当対象としてもよい。割当対象とする列車種別の管理範囲を、予約情報単位から、予約時間帯と座席割当区間の組単位に変更すればよく、そのような変更は容易である。
図13に、3種類の列車種別TA、TBおよびTCに係る路線の模式図を示す。種別TAの列車と種別TBの列車は同一路線の列車であり、停車駅のみが異なる。具体的には、種別TAの列車がA駅を出発してからB駅、C駅およびD駅に停車した後にE駅に到着する一方で、種別TBの列車は、B駅およびD駅には停車せず、A駅を出発してからC駅に停車した後にE駅に到着する。種別TCの列車は、種別TAおよびTBとは異なる路線の列車であり、A駅を出発してからF駅を経由してE駅に到着する。ここで、運行乱れの発生によって種別TBの列車が大幅遅延となったケースを考えた場合、種別TBの列車にA駅からE駅まで乗車しようとしていたユーザにとって、途中停車駅が異なる種別TAの列車や、別路線の列車である種別TCの列車を用いて移動することは、一つの選択肢になり得るものと考えられる。
本実施形態の座席予約システム1によれば、運行予測情報反映部216は、運休や遅延などによりある時間帯の予約許容数が減少した場合に、異なる列車種別の列車や異なる路線の列車の座席も座席割当の対象として確保することで、時間帯を指定した予約に係る座席割当候補を多くして、時間帯予約を利用しているユーザが当初想定していた座席指定区間の終了駅への到着時刻と実際の到着時刻との乖離を小さくすることができる。また、列車の運行会社の視点では、運行乱れが波及していない路線(すなわち種別TCの列車が運
行している路線)に旅客を流すことで運行乱れが発生している路線における輸送需要が低減されるため、種別TAや種別TBの列車を運休させ易くなり、運行乱れからの早期回復が図れるなどの効果が得られる。
図12のフローの説明に戻る。運行予測情報反映部216は、輸送計画データ231を参照し、ステップS5151で仮確保した座席も含め、列車と座席指定区間の組ごとに時間帯予約向けに利用可能な座席数を求める(S5152)。
次に、座席手配部213が、需要予測部212を用いて需要予測を行う。需要予測部212は、旅客モデル233と輸送計画データ231に含まれる基準ダイヤと予約情報リスト236とに基づいて各列車・各区間で必要となる座席数を予測する(S5153)。
座席手配部213は、予約制御パラメータ232を参照し、上記のようにして求めた需要予測の結果に応じて、輸送計画データ231に含まれる定員のうちどの程度を時間帯予約のために確保するかを再度決定して、割当可能座席数を求める(S5154)。ステップS5154の処理は、公知の技術を用いて実施すればよい。
座席手配部213は、割当可能座席数を減らした場合には、減らした数だけの座席を解放する(S5155)。それらの座席は、たとえば、時間帯予約以外の予約方式による座席の確保等に供することができる。
続いて運行予測情報反映部216は、予約時間帯と列車と座席指定区間の組ごとの割当可能座席数と需要予測の結果とに基づいて時間帯と座席指定区間の組ごとに予約許容数を決定し、決定した数により予約カウンタ234の予約許容数を更新する(S5156)。
また、運行予測情報反映部216は、予約情報リスト236に登録されている予約情報の数である予約受理数を予約時間帯と座席指定区間の組ごとに計算し、ある予約時間帯と座席指定区間の組に対する予約受理数が予約許容数を超える場合には当該時間帯の当該座席指定区間の予約受理数は予約許容数であるものとして、予約許容数と予約受理数との差分を当該時間帯の「次」の時間帯の当該座席指定区間の予約受理数に加算していく(S5157)。本実施形態では、予約として受け付けることのできる時間帯の一覧を、ある時間帯の終了時刻が別の時間帯の開始時刻と一致するように作成しておくことで、「次の時間帯」を特定できるようにしておく。たとえば、予約として受け付けることのできる時間帯を「10:00〜11:00」「10:30〜11:30」「11:00〜12:00」「11:30〜12:30」等としておくことで、毎時ちょうどの系列と毎時30分の系列の、各々の系列について、ある時間帯の「次」の時間帯を一意に求めることができる。なお、各々の系列について最後となる時間帯については、予約受理数が予約許容数を超えた場合に予約受理数を「次」の時間帯に順送りすることができないため、十分な数の割当可能座席数が確保できるように座席配分を設定しておく。このように、運行予測情報の変化に応じて予約時間帯と座席指定区間の組ごとの予約許容数を更新するとともに、予約時間帯と座席指定区間の組ごとの予約受理数についても更新するような構成とすることで、列車が大きく遅延した場合など、予約受理数が予約許容数を超える可能性がある場合についても、時間帯を指定した座席の予約を受け付けるにあたり、当該予約を受理すべきか否かを、当日の運行状況を踏まえて適切に判定することができる。
次に、運行予測情報反映部216は、列車種別と座席指定区間の組ごとに、上記予約受理数が予約許容数未満となる時間帯のうち最も早い時間帯を新規予約受理可能時間帯として決定し、予約制御パラメータ232の当該列車種別の当該座席指定区間に対応する新規予約受理可能時間帯を、決定した時間帯で更新する(S5158)。
ここで図10のフローのうち、予約情報リスト更新処理(S516)の詳細について、図14に基づき説明する。予約情報リスト更新処理において、運行予測情報反映部216は、まず始めに、予約情報リスト236に登録されている予約情報のうち、状態が「発券済」の予約情報について、状態を「仮発券」に更新する(S5161)。
ステップS5161の処理を行うことで、列車の運行が乱れる前に特定の列車に座席を確保してしまった(すなわち座席割当を受けてしまった)ユーザに対して、後述のように、運行乱れを踏まえて座席を確保する列車を変更する機会を提供できるため、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。
続いて運行予測情報反映部216は、予約情報リスト236に登録されている予約情報のうち、状態が「仮発券」または「予約済」の予約情報について、座席指定区間に応じて座席割当対象となる列車種別を追加する(S5162)。図12乃至図13を用いて既に説明したとおり、このような処理とすることで、時間帯を指定した予約に係る座席割当候補を多くして、時間帯予約を利用しているユーザが当初想定していた座席指定区間の終了駅への到着時刻と実際の到着時刻との乖離を小さくすることができるほか、運行乱れからの早期回復を支援することができる。なお、座席予約装置20は、座席割当対象となる列車種別を、予約を受理した時点における列車種別と、ステップS5162で追加された列車種別とが、区別できるようなデータ構造を用いて管理する。たとえば、後述(図16)のように列車種別を登録順で管理しておくことにより、最初に登録されている列車種別が予約を受理した時点のもの、それ以外はステップS5162の処理で後から追加されたもの、のように区別することができる。
また、運行予測情報反映部216は、予約情報リスト236に登録されている予約情報のうち、状態が「仮発券」または「予約済」の予約情報について、予約時間帯の終了時刻を延長する(S5163)。終了時刻を延長する際、運行予測情報反映部216は、終了時刻が延長された予約時間帯について、予約制御パラメータ232の予約時間帯リストに登録する。
なお、予約時間帯の終了時刻の延長にあたっては、運行予測情報反映部216は、上述のように再度決定した割当可能座席数に応じて延長する時間の長さを決定する。たとえば、運行予測情報反映部216は、予約許容数を算出する基となる座席数(すなわち、対応する列車・座席指定区間の割当可能座席数の総和)が減少した場合には、予約制御パラメータ232を参照し、現時点における予約時間帯の終了時刻と、新規予約受理可能時間帯の終了時刻のうち、遅い方の時刻まで終了時刻を延長する。図15に、予約許容数の更新時に実行される予約情報リスト更新処理(ステップS516)において、予約情報に含まれる予約時間帯の終了時刻が更新される例を示す。具体的には、予約許容数の更新前に「14:00〜16:00」の予約時間帯で予約をとっていた場合に、予約許容数の更新後、対応する予約情報に含まれる予約時間帯の終了時刻が「18:00」まで延長された例である。後述するように、本実施形態による時間帯予約方式の予約では指定した予約時間帯に含まれる列車に対して座席割当の優先順位が高くなるが、遅延や運休などによって当該予約時間帯に実際に出発すると予測される列車が減少し、それによって当該予約時間帯で割当可能な座席数が減少した場合には、ユーザ側に不手際がなくともユーザ間に不公平が発生する可能性がある。すなわち、当初の予約時間帯の範囲内では選択可能な列車数の減少に伴う座席数の不足によって座席割当可能な列車が残っておらず、座席割当可能な列車が予約時間帯の終了時刻よりも後に出発する列車のみとなることで、当該ユーザよりも後の予約時間帯で予約したユーザの方が優先的に座席割当される状態となる可能性がある。そうなった場合、当初の予約時間帯での座席割当にあぶれた当該ユーザよりも、後の予約時間帯で予約したユーザの方が、早く出発する列車に座席が割り当てられることになり、不公平感が生じることになる。本実施形態によれば、予約時間帯の終了時刻を少なくと
も新規予約受理可能時刻以降まで延長することで、「予約済」や「発券済」であったユーザのすべてに対して優先的に座席割当ができるだけの座席数を確保できるため、上述のようなユーザ側の不手際によらない不公平の発生を抑制することができる。さらに、予約時間帯の開始時刻を選択キーとすることで、当初早い時間帯で予約していたユーザに対して、より優先的に座席を割り当てることができる。
図16は、運行乱れが発生した場合における予約情報リスト236の更新例を示す図である(ただし、各予約情報が備える情報のうち、座席数など以下の説明で使用しない情報については図示を省略した)。図16に示す予約情報236Aは、運行乱れの発生前における予約情報リスト236に登録されている予約情報の例である。運行乱れの発生に伴い、予約許容数が更新された場合、予約情報236Aは、例えば予約情報236Bのように更新される。予約情報236Bは、列車種別TA及び列車種別TBに係る路線に運行乱れが発生した場合の例であり、かつ、予測ダイヤ上で、A駅からC駅までは列車2に乗車するのがもっとも早く到着すると予測されている場合の例である。この場合、状態が「予約済」と「発券済」である予約情報のうち、予約IDが「R003−0」である予約情報については、列車種別がTCであるため、運行乱れ発生前の情報から更新されない。また、予約IDが「R002−0」である予約情報については、座席指定区間の終了駅であるC駅までもっとも早く到着すると予測されている列車に座席が割り当てられているため、運行乱れ発生前の情報から更新されない。他方、予約IDが「R004−0」である予約情報については、会員IDが「KF1121」であるユーザが列車4とは別の列車を使ってE駅まで移動するという選択肢を採れるよう、状態が「仮発券」に更新され、予約時間帯の終了時刻が「18:00」まで延長され、さらに、選択可能な列車種別として、A駅とE駅の両方の駅に停車する列車種別である「TA」および「TC」が追加される。これにより「R004−0」の予約について、運行乱れの影響を受ける列車4に座席が確保される一方で、列車種別「TA」「TB」または「TC」の列車から18:00までの時間帯で、再度優先的に座席の割当を受けることが可能となる。なお、会員IDが「KF1121」であるユーザに対しては、状態が「仮発券」となったため、図17で説明するように座席の割り当て結果が通知される。
ここで図14の説明に戻る。座席割当部215は、予約情報リスト236に登録されている予約情報のうち、状態が「仮発券」の予約情報について、列車種別に対応する列車の座席を割り当てる(S5164)。座席割当部215は、上述した図5の座席割当処理のステップS615乃至S617と同様の処理を、状態が「仮発券」の予約情報を対象として実行することにより座席の割当を行うが、ユーザを介さず、座席予約装置20が自動で座席を割り当てることが必要であるため、ステップS616とS617の処理については、各々、以下のように内容が異なっている。
ステップS616に対応する処理では、座席割当部215は、ユーザから列車の指定を受け付ける代わりに、たとえば、同一列車種別の列車の中で、座席指定区間開始駅の予測出発時刻が当該座席の割当時の予測出発時刻以降であり、かつ、座席指定区間終了駅の予測到着時刻がもっとも早い列車を自動で選択する。ただし、これに限定するものではなく、たとえば、列車種別に関する条件を緩和し、同一路線内で割当対象となっているすべての列車種別の列車から選択するようにしてもよいし、さらに条件を緩和し、割当対象となっているすべての列車種別の列車から選択するようにしてもよい。
また、ステップS617に対応する処理では、座席割当部215は、予約情報に含まれる座席数を、元々割り当てられていた列車・座席指定区間に対応する座席割当数から減算し、かつ、新規に割り当てた列車・座席割当区間に対応する座席割当数に加算することで、座席カウンタ235を更新する。
なお、座席割当部215は、元々割り当てられていた列車・座席指定区間と、ステップS616に対応する処理で新規に割り当てた列車・座席割当区間とが同一である場合には、座席カウンタ235を更新せず、同一である旨を運行予測情報反映部216に通知するような構成としてもよい。そのような構成とした場合、運行予測情報反映部216は、当該通知を受信した際に予約情報の更新を行うようにする。具体的には、予約の状態を「仮発券」から「発券済」に更新し(すなわちステップS5161の処理で更新する前の状態に戻し)、さらに、座席割当対象となる列車種別をステップS5162の処理で追加される前の値となるよう更新する。このような構成とすることで、ユーザにとって最適であると予想される座席割当済みの列車が運行予測情報の反映前後で変わらない場合に、ユーザにとって無意味な通知が送られる現象の発生を抑えることができる。
運行予測情報反映部216は、ステップ5164の処理の終了後、状態が「仮発券」の予約情報について、携帯端末11に対して座席の割り当て結果を通知し(S5165)、それにより、新規に割り当てられた座席の確認と、必要に応じて座席変更要求をするようにユーザに促す。
当該通知に対してユーザから座席変更要求があった場合には、運行予測情報反映部216は、図3のステップS36の処理により、指定された列車に座席割当を行い、当該予約情報に対して自動で割り当てた座席を解放した後、当該予約情報の状態を「発券済」に更新する。座席割当および座席の解放を行う際、運行予測情報反映部216は、割当および解放される座席数に応じた各列車の各座席指定区間の座席割当数の更新も実施する。
次に、上述の図3のフローにおける座席変更処理(S36)の詳細について図18に基づき説明する。この場合、座席割当部215は、携帯端末11からユーザを特定するための会員情報(上述したようにユーザIDとパスワードを想定する)を受信する(S711)。座席割当部215は、受信した会員情報を用いてユーザの認証を行う(S712)。
続いて座席割当部215は、認証に成功した場合(S712:YES)、座席変更要求に対応する予約情報を特定する(S713)。ステップS713の処理では、座席割当部215は、たとえば、前記ユーザに対応する予約情報のうち、状態が「割当済」または「仮割当」の予約情報を予約情報リスト236から抽出し、抽出した予約情報が1つ以上ある場合、それらを携帯端末11に送信する。携帯端末11では、送信されてきた予約情報を一覧表示して座席変更の対象となる予約の指定をユーザから受け付け、指定された予約情報を特定する情報を座席予約装置20に送信する。なお、前記送信する予約情報がひとつしか存在しない場合には、座席割当部215は、ユーザへの問い合わせをせずに当該予約情報が指定されたものと判断してもよい。なお、座席割当部215は、予約制御パラメータ232に含まれる予約受付中フラグを参照し、値が「偽」(現在予約を受け付けていないことを表す値)である場合には、座席変更要求に対応する予約情報は存在しないものとして扱う。
次に、座席割当部215は、対応する予約情報が予約情報リスト236に存在した場合(S714:YES)、座席変更可能列車リスト作成処理を実行し、座席を割り当てることのできる列車の一覧を含む座席割当可能列車リストを作成する(S715)。座席変更可能列車リスト作成処理は、図7に示す座席割当可能列車リスト作成処理と同様の処理であるため詳細な説明は省略するが、着目している予約情報に係る列車については既に座席を割当済のため、当該列車が座席割当可能列車リストに含まれない場合には、当該列車の当該予約情報に係る座席指定区間の一部または全部が運休等により利用できない場合を除き、座席割当部215は、当該予約情報について割り当てられている列車についても、残席数を「0」として座席割当可能列車リストに加える点が異なっている。
次に、座席割当部215は、座席割当可能列車リストに登録されている列車から割当対象とする列車を特定する(S716)。座席割当部215は、たとえば、座席割当可能列車リストに登録されている列車とそれらの列車に関連する情報の一覧と、現在の予約情報において座席が割り当てられている列車がどの列車であるかの情報を携帯端末11に送信して、携帯端末11に座席割当の候補となる列車の一覧を表示させ、ユーザから列車の指定を受け付けることにより、割当対象となる列車を特定する。ステップS716の処理はステップS516の処理と同様の処理であるが、携帯端末11では、たとえば、列車の指定を受け付ける図6の入力画面600、601に代えて、図17に示すような座席の変更を促す入力画面602を表示する。入力画面602のように、現在、座席割当が為されている列車がどの列車であるかを提示することで、ユーザが現在の状況を容易に把握することができる。
なお、図17は、予約情報の状態が「仮割当」の予約に対する入力画面の例であるが、状態が「割当済」の予約についても、表示されるメッセージが異なるなどの細かな違いはあるものの、本質的には「仮割当」の場合と同様の情報を提示すればよい。
続いて、座席割当部215は、座席カウンタ235を更新する(S717)。具体的には、座席変更要求に係る予約情報を参照し、ステップS716で特定された列車の当該予約情報に係る座席指定区間の座席割当数に当該予約情報に係る座席数を加え、当初の(すなわち変更前の)列車の当該予約情報に係る座席指定区間の座席割当数から当該予約情報に係る座席数を減じる。
座席割当部215は、さらに、予約情報リスト236を更新する(S718)。具体的には、座席変更要求に係る予約情報について、割り当てた座席の情報を登録し、予約の状態を「発券済」とする。
その後、座席割当部215は、座席変更結果を携帯端末11に応答する(S719)。座席割当部215は、認証に失敗した場合(S712:NO)、あるいは、対象となる予約情報が予約情報リスト236に存在しない場合(S714:NO)には、その旨のメッセージを携帯端末11に送信し、座席を割り当てた場合には、割り当てた列車の座席に係る情報(列車の発車時刻および到着時刻、座席番号などを含む。)を携帯端末11に送信する。
以上説明したように、本実施形態の座席予約装置20は、交通機関としての鉄道において列車の座席を予約するにあたり、予約時間帯と座席指定区間の組ごとの予約可能な座席数である予約許容数と、前記予約時間帯と座席指定区間の組ごとの予約を受理した数である予約受理数とを記憶する記憶部と、前記予約時間帯と座席指定区間の組を指定した予約要求を受信し、前記予約許容数および前記予約受理数に応じて前記予約要求の受理または謝絶を判定する予約処理部と、前記交通機関の未来の運行状況を示す運行予測情報に基づいて、予約時間帯と座席指定区間の組の各々について、前記時間帯予約方式の予約要求に対して実際に割当可能な座席数を算出し、当該座席数に応じて前記予約時間帯と座席指定区間の組ごとの前記予約許容数を更新する運行予測情報反映部と、を備える。したがって、遅延や運休などのように交通機関の運行に乱れが発生し、実際に予約時間帯に含まれる列車の組み合わせが変化して、割当可能な座席数が減少あるいは増加した場合にも、変化後の割当可能座席数に基づいて予約許容数を適切に更新して予約を受理するか否かを決定することができる。よって、実際に割当可能な座席数に対して過剰に予約を受理してしまうようなリスクを抑制することができる。
また、本実施形態の座席予約装置20では、前記運行予測情報反映部は、前記運行予測情報に基づいて、列車と座席指定区間の組ごとに需要数を予測し、前記需要数に基づいて
、列車と座席指定区間の組ごとに、予約時間帯と座席指定区間の組を指定した予約に対して割当可能な座席数である割当可能座席数を決定することができる。したがって、列車の運行スケジュールが当初の計画から変わった場合にも、需要にみあった座席数を確保し、これに基づいて予約許容数を更新することができる。よって、運行乱れの発生等に伴って、ある時間帯について当初確保した座席数では過不足が生じるような場合においても、過不足が補正される方向で座席数が調整され、適切な数の予約の受理を行うことが可能となる。
また、本実施形態の座席予約装置20では、列車の運休や大幅な遅延が発生した場合に、前記運行予測情報反映部が、時間帯予約方式で既に予約されている予約情報の各々に対して、当該予約情報で当初対象としていた列車種別の列車とは異なる種別の列車、または当該列車種別に係る路線とは異なる路線の列車の空席についても座席割当の対象となるように、予約情報を更新する構成とした。このような構成とすることで、列車の運休や大幅な遅延が発生した場合にも、時間帯予約に係るユーザに早期に座席を提供することが可能となる。
また、本実施形態の座席予約装置20では、前記運行予測情報反映部が、座席割当済の予約について、座席を割り当てた列車が運行されなくなった場合に、当該列車とは異なる列車の座席を確保するような構成とした。このような構成とすることで、運行乱れからの早期回復等を意図して列車が運休された場合においても、既に座席が割り当てられたユーザの座席を確保し続けることができる。
また、本実施形態の座席予約装置20では、前記時間帯予約方式の予約要求に対して座席を割り当てる座席割当部を備え、前記座席割当部が、受理した前記予約のそれぞれについて、前記予約に係る時間帯の開始時刻および終了時刻の少なくともいずれかと、列車の予測出発時刻とに応じて前記予約の優先順位を算出し、前記優先順位に応じて前記予約を当該列車の座席に割当可能か否かを決定するようにした。このような構成とすることで、予約時に指定した予約時間帯に出発すると予測されている列車の座席に対して優先的に座席割当が為されるようにできる一方、予約時間帯よりも早い列車や遅い列車に対して座席の割当を受けようとするユーザについても、優先順位は下がるものの、その時点での最良に近い列車の座席を確保することが可能となる。そのため、状況の変化によって乗りたい列車が変わった場合の再予約の手間の削減や、予約失効リスクの低減などの点で、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、本実施形態の座席予約装置20では、前記運行予測情報反映部が、前記割当可能座席数が所定の閾値を超えて変化する場合に、前記予約許容数を更新するようにした。現実には、すべての列車が厳密に計画通りに運行することが稀である路線も多く、そのような場合、列車の走行実績が、時々刻々、計画より早まったり遅れたりする。各列車の走行実績がそのように揺らいだ場合、運行予測の結果として得られる各列車の各駅の予測出発時刻も変動し、運行予測をするタイミング次第で、ある列車の予測出発時刻が所定の予約時間帯に含まれたり含まれなかったりといった現象が発生する(特に、ある列車の予測出発時刻が上述の予約時間帯の開始時刻や終了時刻に近い場合に、このような現象が発生し易い)。本実施形態のような構成とすることで、上述のような現象の発生に伴って予約許容数が頻繁に更新される現象を抑制することができる。すなわち、予約許容数の更新に伴う計算負荷が低減されるほか、予約許容数の更新に伴う座席割当の変更頻度が抑制され、時間帯予約を安定的に提供することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる
。
−−−変形例−−−
たとえば上記実施形態では、交通機関としての鉄道において列車の座席を予約するためのシステムについて説明したが、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、バス等、個々の便の運行状況が管理され、未来の運行状況が予測され得るような各種交通機関の座席予約システムに適用可能である。また、上記実施形態では運行乱れ時に別路線の列車を選択可能としたが、別路線の列車のほかに、別路線のバス等を選択可能としてもよい。
たとえば、上記実施形態では、時間帯は開始時刻と終了時刻とにより特定されるものとしたが、乗継前の列車の運行状況も運行管理システム10等から取得可能である場合には、乗継前の列車の到着時刻に基づき特定されるものとしてもよい。
図19は、時間帯を乗継前の列車の到着時刻により特定する場合における、予約情報の入力画面610の一例を示す図である。図19に示す入力画面610は、携帯端末11が表示してユーザからの入力を受け付ける。図19の入力画面610から乗継前の列車を指定した入力がなされると、座席予約装置20は、たとえば以下のような処理によって、予約の処理および運行予測情報の反映を行う。なお、その際、通常の時間帯を指定した予約と乗継前の列車を指定した予約とを区別するため、各々の予約情報に、いずれの方式による時間帯の指定であるかを示すフラグを保持するようにする。ここで、乗継前の列車を指定した予約の場合には「乗継前の列車」を特定するための情報(当該列車に係る路線や列車番号など)も保持しておく必要があるため、実際には各々の予約情報に乗継前の列車を特定するための情報を保持するようにし、「当該列車が特定されていれば乗継前の列車を指定した予約」「当該列車が特定されていなければ通常の時間帯を指定した予約」として扱うようにすればよい。乗継前の列車の指定方法としては、たとえば、図19のように、路線と、乗継予定の駅への到着時刻と、を指定する方法を用いることができる。ここで、乗継予定の駅への到着時刻の指定は、ユーザが把握できる時刻を用いることが望ましいことから、列車ダイヤに記載されている計画上の到着時刻を用いる。乗継前の列車を指定した予約要求を受理した場合、予約処理部214は、当該指定された乗継前の列車に係る情報を用いて、当該予約に係る予約情報に含まれる乗継前の列車を特定するための情報を登録する。
予約処理部214は、乗継前の列車が指定された場合、予測ダイヤを参照して乗継駅に到着すると予想される時刻(予測到着時刻)を求め、予約制御パラメータ232を参照して予約時間帯の一覧を取得し、予め定めた変換規則(たとえば「予測到着時刻に乗継に必要な時間を加えた時刻を含む、終了時刻が最も遅い予約時間帯」など)により予測到着時刻に対応する予約時間帯を求める。このようにして求めた予約時間帯を用いることで、以降の時間帯予約処理は上述の実施形態と同様に実施することができる。
また、運行予測情報反映部216は、運行予測情報反映処理において、乗継前の列車を指定してなされた予約情報の各々について、乗継前の列車の予測到着時刻と予約時間帯とを比較し、予め定めた所定の条件(たとえば「乗継前の列車の予測到着時刻に、乗継に必要な時間を加えた時刻が、現在の予約時間帯の終了時刻以降となる」など)を満たす場合には、当該予約情報に係る予約時間帯を更新する。すなわち、最新の予測到着時刻に基づいて新規の予約時間帯を算出し、更新対象となる予約情報に係る予約時間帯と座席指定区間の組について、予約受理数から当該予約情報に係る座席数を減算し、当該予約情報に係る予約時間帯を新規の予約時間帯で更新し、新規の予約時間帯と座席指定区間の組について、予約受理数に当該予約情報に係る座席数を加算する処理を行う。
このように、時間帯の開始時点を特定の時刻ではなく列車により特定することで、時間
帯予約に係る列車に乗り継ぐ前の列車の運行に変更が生じた場合に、乗り継ぎ後の列車に乗車する時間帯も連動して変更するため、乗り継ぎ後の列車の需要に対する変更が予見可能となることから、需要予測の精度を向上することができる。また、ユーザは予約変更の手続きなしに、優先時間帯での座席指定が可能となる。
なお、上記実施形態では、運行管理システム10と座席予約装置20とは別体であるものとしたが、これに限らず、1台の実体または仮想のコンピュータが運行管理システム10および座席予約装置20のすべての構成を備えるようにしてもよい。また、上記実施形態では、座席予約システム1が運行管理システム10と座席予約装置20とを備え、座席予約装置20が運行管理システム10から提供される予測ダイヤを用いて処理を行う構成について説明したが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。たとえば、旅客向けの情報システム等、最新の予測ダイヤが更新されていくようなデータサーバが存在する場合には、座席予約装置20が当該サーバの保持する予測ダイヤを参照するような構成としてもよい。
また、座席予約装置20を複数の実体または仮想のコンピュータにより実現するようにしてもよい。たとえば、記憶部230を座席予約装置20とは異なるデータベースサーバにより実現することができる。この場合、座席予約装置20から当該データベースサーバにアクセスして各種のデータを読み出すようにすることができる。
また、たとえば、需要予測部212を座席予約装置20とは異なる別コンピュータが備えるようにし、当該別コンピュータが需要予測処理を行い、座席予約装置20から当該別コンピュータにアクセスして需要予測結果を取得するようにしてもよい。
また、たとえば、座席割当部215を座席予約装置20とは異なる別のコンピュータが備えるようにし、当該別コンピュータが座席割当処理や座席変更処理を行うようにしてもよい。その場合、たとえば、予約情報リスト236の更新は座席予約装置20を介して行うようにし、運行予測情報を反映する際の座席の再割当などの処理については座席予約装置20から座席割当部215を備える前記別コンピュータにコマンドを送信して制御するようにすればよい。
また、上記実施形態では、図3で説明したように、時間帯予約処理と座席割当処理と座席変更処理と運行予測情報反映処理とを座席予約装置20が順序よく実行するような構成としたが、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、たとえば、時間帯予約処理と座席割当処理と座席変更処理とを、各々複数件、非同期で実施するにしてもよい。その場合、記憶部に格納されている情報に不整合が発生しないよう、座席予約装置20は、セマフォ等の公知の技術を用いて記憶部に格納されている情報の読み書きを制御する。
また、上記実施形態では座席を割り当てる列車を確定させたタイミングでユーザに割り当てる具体的な座席も同時に確定する例について説明したが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。特許文献2などの公知の技術と同様に列車確定と座席確定とを別々のタイミングで実施するような構成とすることは容易である。
また、上記実施形態では、座席の割当時における予約情報の優先順位を決定する際に、座席割当部215は、着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻が予約時間帯に含まれない場合にも優先順位を下げて受け付けるものとしたが、「予約時間帯外の列車への座席割当は無効」として座席の割当を行わないようにしてもよい。この場合、座席割当部215は、時間帯の終了時刻が着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻よりも前であるとき、すなわち予約した時間帯より後に出発する列車に対してのみ予約を無効としてもよいし、時間帯の開始時刻が着目する列車の座席指定区間開始駅の予測出発時刻
よりも後であるとき、すなわち予約した時間帯よりも前に出発する列車に対してのみ予約を無効としてもよい。
また、上記実施形態では、座席割当処理にあたり、時間外ペナルティは「0」または「1」であるものとしたが、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、たとえば、予約した時間帯と着目する列車の予測出発時刻との乖離度合いを時間外ペナルティとしてもよい。この場合、処理の負荷は増加するものの、座席割当部215は、予約した時間帯よりも早く到着すればするほど、あるいは遅く到着すればするほど、時間外ペナルティを大きくして優先順位を決めるため、着目する列車の予測出発時刻から大きく外れた予測時間帯の予約ほど、座席割当の優先順位が低くなり、不公平感がより少ない座席割当を行うことができる。
また、上記実施形態では、座席割当処理にあたり、すべての予約時間帯に対して優先順位を求め、残席数を計算するような処理としたが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。たとえば、着目する列車の予測出発時刻を開始時刻から終了時刻までの間に含まないすべての時間帯について、優先度を等しく最下位とし、割当可能座席数についても、着目する列車の予測出発時刻を開始時刻から終了時刻までの間に含まない各々の時間帯について個別に設定するのではなく、当該時間帯のすべてに対して所定の座席数を割り当てるようにしてもよい。このような構成とすることで、演算コストが低減できる。
また、上記実施形態では、図12で説明した座席配分更新処理において、現在時刻以降の時間帯に出発すると予測されている駅から終着駅までの区間において現時点で座席の割当が為されていない列車・区間の座席について、時間帯予約方式の予約に対して割当可能な座席として仮確保するような処理としたが、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、たとえば、座席を仮確保する対象とする列車・区間を、現在時刻以降、所定の時間幅の間に出発すると予測されている駅から終着駅までの区間に限定するようにしてもよい。その場合、当該時間幅は、たとえば、予約制御パラメータ232に記憶しておけばよい。
また、上記実施形態では、当日の列車数の増減や遅延の影響を反映する例について説明したが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。たとえば、運行予定日の前日以前に「予約状況が計画作成当時の需要予測結果と異なる」等の理由によって列車の増便や減便が為される場合についても、同様に適用可能である。なお、このような場合においては遅延時に既に予約が受理されているユーザに対して便宜を図る処理は不要であるため、予約情報リスト更新処理において、列車種別を追加する処理や予約時間帯の終了時刻を延長する処理は不要である。本発明をこのような場合に適用することで、運行当日に限らず、需要に応じた柔軟な運行計画の変更と、座席予約とを両立させることができる。
また、上記実施形態では、ステップS616で座席割当列車を特定する際、座席割当の候補となる列車をユーザに提示し、ユーザの選択入力を待つような処理としたが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。たとえば、座席割当部215が「割当可能な列車のうち座席指定区間の終了駅への予測到着時刻が最も早い列車」など予め定めたルールに基づいて自動で列車を選択し、割り当てるようにしてもよい。このような構成とすることで、座席割当に必要となるユーザの手間を低減し、より速やかな座席割当ができる。
また、上記実施形態では、ステップS5162で各予約情報に座席割当対象とする列車種別を追加する際、座席指定区間の開始駅と終了駅が一致している場合にのみ、列車種別の追加対象としたが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。たとえば、運行予測情報反映部216が、予め定めたルールに基づき、前記開始駅に「近い駅」や前記終了駅に「近い駅」に停車する列車についても前記列車種別の追加対象とするようにしてもよい。そのような構成とする場合、運行予測情報反映部216がステップS5151で空席を
仮確保する対象についても、それらの列車が含まれるようにしておく。このような構成とすることで、運行乱れの影響を受けるユーザの利便性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、ステップS5123の処理において、座席数の変動の大きさを基に予約許容数の変動有無を判定したが、本発明の実施形態はこれに限るものではなく、たとえば時間方向のぶれを考慮した判定としてもよい。たとえば、計画からのずれを許容する時間幅δを予め定め、予約制御パラメータ232が当該時間幅δを含むように構成しておき、「予約時間帯の開始時刻−δ1」から「予約時間帯の終了時刻+δ2」の間の時間帯に走行すると予測されている列車の割当可能座席数の総和(c)と現在当該時間帯の予約許容数の算出基準となっている座席数(b)とを比較して、(c)=(b)となるδ1(≦δ)およびδ2(≦δ)が存在すれば「変動なし」、存在しなければ「変動あり」と判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ステップS512で予約許容数更新要否を判定する際、基準ダイヤと予測ダイヤとを比較することで要否を判定していたが、本発明の実施形態はこれに限るものではない。たとえば、運行予測情報反映部216が「運転整理が開始されたこと」と「運転整理が終了したこと」を運行管理システム10から各々受信するように構成し、運行予測情報反映部216は、前記「運転整理が開始されたこと」を受信した時点で新規予約及び新規発券を停止する処理(ステップS514)を行い、前記「運転整理が終了したこと」を受信した時点でステップS515乃至S518の処理を行うようにしてもよい。このような構成とすることで、運行乱れが大きく、運行管理システム10において複数の運転整理が実行されるような場合に、予約許容数の更新処理(ステップS514乃至S518)が頻繁に実行される現象を抑制することができる。すなわち、予約許容数の更新に伴う計算負荷が低減されるほか、特に運行乱れからの早期回復を目的として運休を含む運転整理が為される場合に、予約許容数の更新に伴う座席割当の変更頻度が抑制され、時間帯予約を安定的に提供することができる。なお、運転整理が長時間にわたって為される場合には、運行予測情報反映部216が、運行管理システム10から運転整理の内容が確定した列車あるいは時間帯を受信するような構成とし、運行予測情報反映部216は、運転整理の内容が確定した列車のみを対象としてステップS515乃至ステップS518の処理を実行するようにしてもよい。その場合、予約制御パラメータ232に含まれる予約受付中フラグは、列車単位で真偽が設定できるように構成しておく。