JP6713271B2 - ミシン糸用油剤及びミシン糸 - Google Patents

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Description

本発明は、ミシン糸用油剤及びミシン糸に関する。より詳細には、繊維材料に平滑性を付与するために用いられるミシン糸用油剤及び該ミシン糸用油剤が付着したミシン糸に関する。
合成繊維ミシン糸にミシン糸用油剤を処理する方法としては、一般的にパラフィンワックスやポリオレフィン誘導体等を平滑成分とする油剤を合成繊維ミシン糸に処理した後に、シリコーン系油剤をストレート処理で給油する二段処方が行われている。また、ジメチルポリシロキサンエマルジョンを用いてチーズオイリングを行い、油剤を処理する方法も知られている(例えば、特許文献1等)。
生産性向上のために、ミシンの高速化に対応した平滑性(高速平滑性という)を付与できる油剤が必要となっている。しかしながら、特許文献1に記載されたポリエステル糸用平滑剤では、高速平滑性を付与することできず、縫製時に糸切れ、地糸切れ、目飛びが発生する問題があった。
このように、高速平滑性を付与できるミシン糸用油剤の開発には至っていない。
特開平9−95867号公報
本発明の目的は、合成繊維ミシン糸(原料ミシン糸)に対して、ミシンの高速化に対応した高速平滑性を付与することができるミシン糸用油剤及び該ミシン糸用油剤が付着したミシン糸を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高速平滑性の付与には、ポリジメチルシロキサンの動粘度が大きく寄与していることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のミシン糸油剤は、25℃における動粘度が40000〜250000mm/sであるジメチルポリシロキサン(A)、界面活性剤及び水を含有するものである。
前記ジメチルポリシロキサン(A)と界面活性剤の重量比は、8/1〜0.5/1であることが好ましい。
ミシン糸用油剤の不揮発分に占める前記ジメチルポリシロキサン(A)の重量割合は、10〜70重量%であることが好ましい。
本発明のミシン糸用油剤は、さらに、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、ポリエチレンワックス及び酸化ポリチレンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックス類を含有することが好ましい。
前記ジメチルポリシロキサンと前記ワックス類との重量比は、1/4〜4/1であることが好ましい。
ミシン糸用油剤の不揮発分に占める前記ワックス類の重量割合は、20〜50重量%であることが好ましい。
本発明のミシン糸は、合成繊維ミシン糸(原料ミシン糸)に、上記のミシン糸用油剤が付着したものである。
本発明のミシン糸用油剤は、原料ミシン糸に対して、ミシンの高速化に対応した高速平滑性を付与することができる。本発明のミシン糸は、高速平滑性に優れる。
本発明は、特定のジメチルポリシロキサン、界面活性剤及び水を含有するミシン糸用油剤である。以下、詳細に説明する。
[ジメチルポリシロキサン]
本発明のミシン糸用油剤は、25℃における動粘度が40000〜250000mm/sであるジメチルポリシロキサン(A)を必須に含有する。このようなジメチルポリシロキサン(A)を用いることにより、安定した縫製性が可能な高速平滑性を付与できる。ジメチルポリシロキサン(A)の25℃における動粘度は、45000〜200000mm/sが好ましく、47000〜150000mm/sが好ましく、50000〜100000mm/sが特に好ましい。ジメチルポリシロキサン(A)の25℃における動粘度が40000mm/s未満の場合、高速平滑性が不足し、縫製時に糸切れ等が発生する。一方、ジメチルポリシロキサン(A)の25℃における動粘度が250000mm/s超の場合、成分の繊維への付着性の低下及び油剤乳化性の低下が発生し、十全な性能が発現しない。
なお、本発明における動粘度とは、ウベローデ粘度計を用い、25℃における試料液の流出秒数を測定し、これに粘度計定数を乗じて求めた値をいう。
ジメチルポリシロキサン(A)のシロキサン結合(−Si(CHO−)の平均結合量は、800〜1250が好ましく、800〜1100がより好ましく、800〜1000がさらに好ましい。
本発明のミシン糸用油剤は、ジメチルポリシロキサン(A)以外のジメチルポリシロキサンを含んでもよい。ジメチルポリシロキサン全体に占めるジメチルポリシロキサン(A)の重量割合は、20重量%以上が好ましく、30〜90重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましく、30〜50重量%が特に好ましい。
本発明のミシン糸用油剤は、油剤成分の付着性向上及び油剤安定性の点から、25℃における動粘度が50000mm/s未満のジメチルポリシロキサン(B)を併用することが好ましい。ジメチルポリシロキサン(B)の25℃における動粘度は、2000〜30000mm/sが好ましく、5000〜30000mm/sがより好ましく、5000〜10000mm/sがさらに好ましい。
ジメチルポリシロキサン(B)のシロキサン結合(−Si(CHO−)の平均結合量は、300〜750が好ましく、400〜750がより好ましく、400〜600がさらに好ましい。
ジメチルポリシロキサン(B)を併用する場合、ジメチルポリシロキサン全体に占めるジメチルポリシロキサン(B)の重量割合は、10重量%以上が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、30〜70重量%がさらに好ましく、50〜70重量%が特に好ましい。
ジメチルポリシロキサン(B)を併用する場合、ジメチルポリシロキサン(A)とジメチルポリシロキサン(B)との重量比(A/B)は、1/0.1〜1/4が好ましく、1/0.5〜1/3.5がより好ましく、1/1〜1/3.5がさらに好ましい。
[界面活性剤]
本発明のミシン糸用油剤は、界面活性剤を必須に含有する。界面活性剤は乳化剤として使用され、上記のジメチルポリシロキサン(A)等を水に乳化、分散させることを可能とする。界面活性剤としては、特に限定されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明のミシン糸用油剤は、糸への加工時の吸尽性と製品の乳化安定性の点から、ノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤全体に占めるノニオン性界面活性剤の重量割合は、60重量%以上が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、80〜90重量%がさらに好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸グリセライド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。エチレンオキサイドの付加モル数は1〜60が好ましく、3〜50がさらに好ましい。また、アルキル基の炭素数は6〜30が好ましく、12〜24がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル等が挙げられる。エチレンオキサイドの付加モル数は1〜60が好ましく、3〜50がさらに好ましい。また、アルキル基の炭素数は6〜30が好ましく、12〜24がさらに好ましい。
脂肪酸グリセライドとしては、ラウリン酸モノグリセリド、ラウリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸トリグリセリド、パルミチン酸ジグリセリド等が挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、脂肪酸にエチレンオキサイドを付加させて製造することや、脂肪酸とポリエチレングリコールとを直接エステル化させて製造することができる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールラウリン酸モノエステル、ポリエチレングリコールラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールステアリン酸モノエステル、ポリエチレングリコールオレイン酸ジエステル等が挙げられる。エチレンオキサイドのモル数は1〜60が好ましく、3〜50がさらに好ましい。脂肪酸としては、炭素数6〜30の脂肪酸が好ましく、炭素数12〜24の脂肪酸がさらに好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート等が挙げられる。エチレンオキサイドの付加モル数は1〜60が好ましく、3〜50がさらに好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ひまし油としては、エチレンオキサイドの付加モル数が1〜60、さらに好ましくは3〜50の硬化ひまし油が挙げられる。
ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーおよびこれらの誘導体としては、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの比(PO/EO)が20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30で、分子量が1000〜6000、好ましくは2000〜4000のものが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は、これらのなかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。ノニオン性界面活性剤は、1種又は2種以上含んでもよい。
ノニオン性界面活性剤のHLBは特に限定されないが、HLBは2.0〜19.5が好ましく、3.0〜19.0がより好ましく、3.5〜18.5がさらに好ましい。なお、本発明に用いられるHLBは、グリフィン法によって測定される値である。
前記ノニオン性界面活性剤は、糸への加工時の吸尽性と製品の乳化安定性を確保するために、下記ノニオン性界面活性剤(C1)、(C2)および(C3)を含むことが好ましい。
ノニオン性界面活性剤(C1):HLBが1以上7未満で、ノニオン性界面活性剤全体に占める割合が10〜60重量%
ノニオン性界面活性剤(C2):HLBが7以上14未満で、ノニオン性界面活性剤全体に占める割合が10〜60重量%
ノニオン性界面活性剤(C3):HLBが14以上20未満で、ノニオン性界面活性剤全体に占める割合が10〜60重量%
ノニオン性界面活性剤(C1)、(C2)、(C3)としては、前述のノニオン性界面活性剤において、エチレンオキサイド等の親水基部分とアルキル基等の疎水基部分を適宜設定して、各HLBの範囲になるものを使用することができる。
ノニオン性界面活性剤(C1)のHLBは1以上7未満が好ましく、3〜6.7がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤(C1)としては、脂肪酸グリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
ノニオン性界面活性剤全体に占めるノニオン性界面活性剤(C1)の割合は、10〜60重量%が好ましく、15〜55重量%がより好ましく、20〜50重量%がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤(C1)は、1種又は2種以上含んでもよい。
ノニオン性界面活性剤(C2)のHLBは、7以上14未満が好ましく、11〜13がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤(C2)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。
ノニオン性界面活性剤全体に占めるノニオン性界面活性剤(C2)の割合は、10〜60重量%が好ましく、15〜55重量%がより好ましく、20〜50重量%がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤(C2)は、1種又は2種以上含んでもよい。
ノニオン性界面活性剤(C3)のHLBは、14以上20未満が好ましく、16〜19がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤(C3)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。
ノニオン性界面活性剤全体に占めるノニオン性界面活性剤(C3)の割合は、10〜60重量%が好ましく、15〜55重量%がより好ましく、20〜50重量%がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤(C3)は、1種又は2種以上含んでもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム塩、パルミチン酸カリウム塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩等の脂肪酸(塩);ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ酢酸カリウム塩、乳酸、乳酸カリウム塩等のヒドロキシル基含有カルボン酸(塩);ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸(ナトリウム塩)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸(塩);トリメリット酸カリウム、ピロメリット酸カリウム等のカルボキシル基多置換芳香族化合物の塩;ドデシルベンゼンスルホン酸(ナトリウム塩)等のアルキルベンゼンスルホン酸(塩);ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルスルホン酸(カリウム塩)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸(塩);ステアロイルメチルタウリン(ナトリウム)、ラウロイルメチルタウリン(ナトリウム)、ミリストイルメチルタウリン(ナトリウム)、パルミトイルメチルタウリン(ナトリウム)等の高級脂肪酸アミドスルホン酸(塩);ラウロイルサルコシン酸(ナトリウム)等のN−アシルサルコシン酸(塩);オクチルホスホネート(カリウム塩)等のアルキルホスホン酸(塩);フェニルホスホネート(カリウム塩)等の芳香族ホスホン酸(塩);2−エチルヘキシルホスホネートモノ2−エチルヘキシルエステル(カリウム塩)等のアルキルホスホン酸アルキルリン酸エステル(塩);アミノエチルホスホン酸(ジエタノールアミン塩)等の含窒素アルキルホスホン酸(塩);2−エチルヘキシルサルフェート(ナトリウム塩)等のアルキル硫酸エステル(塩);ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルサルフェート(ナトリウム塩)等のポリオキシアルキレン硫酸エステル(塩);ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩;等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オレイルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジエチルメチルアンモニウムサルフェート、等のアルキル第四級アンモニウム塩;(ポリオキシエチレン)ラウリルアミノエーテル乳酸塩、ステアリルアミノエーテル乳酸塩、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアミノエーテルジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)硬化牛脂アルキルエチルアミンエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアンモニウムジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン乳酸塩等の(ポリオキシアルキレン)アルキルアミノエーテル塩;N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N-ジメチル−N−ステアロイルアミドプロピルアンモニウムナイトレート、ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミドエチルメチルジエチルアンモニウムメトサルフェート等のアシルアミドアルキル第四級アンモニウム塩;ジパルミチルポリエテノキシエチルアンモニウムクロライド、ジステアリルポリエテノキシメチルアンモニウムクロライド等のアルキルエテノキシ第四級アンモニウム塩;ラウリルイソキノリニウムクロライド等のアルキルイソキノリニウム塩;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンザルコニウム塩;ベンジルジメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド等のベンゼトニウム塩;セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩;オレイルヒドロキシエチルイミダゾリニウムエトサルフェート、ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリニウムエトサルフェート等のイミダゾリニウム塩;N−ココイルアルギニンエチルエステルピロリドンカルボン酸塩、N−ラウロイルリジンエチルエチルエステルクロライド等のアシル塩基性アミノ酸アルキルエステル塩;ラウリルアミンクロライド、ステアリルアミンブロマイド、硬化牛脂アルキルアミンクロライド、ロジンアミン酢酸塩等の第一級アミン塩;セチルメチルアミンサルフェート、ラウリルメチルアミンクロライド、ジラウリルアミン酢酸塩、ステアリルエチルアミンブロマイド、ラウリルプロピルアミン酢酸塩、ジオクチルアミンクロライド、オクタデシルエチルアミンハイドロオキサイド等の第二級アミン塩;ジラウリルメチルアミンサルフェート、ラウリルジエチルアミンクロライド、ラウリルエチルメチルアミンブロマイド、ジエタノールステアリルアミドエチルアミントリヒドロキシエチルホスフェート塩、ステアリルアミドエチルエタノールアミン尿素重縮合物酢酸塩等の第三級アミン塩;脂肪酸アミドグアニジニウム塩;ラウリルトリエチレングリコールアンモニウムハイドロオキサイド等のアルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
[ワックス類]
本発明のミシン糸用油剤は、さらに、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、ポリエチレンワックス及び酸化ポリチレンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックス類を含有することが好ましい。ワックス類を含有することにより、乳化安定性に寄与すると共に低速平滑性を付与することができる。ワックス類は、1種又は2種以上を併用してもよい。
パラフィンワックスは、その融点が40℃以上であることが好ましく、55〜90℃がより好ましく、55〜80℃がさらに好ましく、65〜75℃が特に好ましい。融点が40℃未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。なお、本発明に用いられるワックス類の融点は、JIS−K−2235−5.3.1に従い測定したものをいう。詳細には、溶融した試料を試料容器に採り、水浴にて徐々に冷却し、15秒間ごとに試料の温度測定を行い、温度差0.1℃以内で一致する連続5回の読みが得られたら、それらを平均して試料の融点とした。
パラフィンワックスは飽和炭化水素であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよいが、直鎖状飽和炭化水素であるノルマルパラフィンワックス(C2n+2)が好ましい。パラフィンワックスの炭素数は22〜36が好ましく、28〜34がより好ましく、29〜32がさらに好ましい。
パラフィンワックスの分子量は300〜500が好ましく、390〜480がより好ましく、410〜450がさらに好ましい。該分子量が300未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。一方、該分子量が500超の場合、油剤の乳化安定性が低下する場合がある。パラフィンワックスは、1種または2種以上含んでもよい。また、ノルマルパラフィンワックスを主成分(95重量%以上、好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上)として、少量の側鎖状飽和炭化水素(イソパラフィン)を含む場合でもよい。
酸化パラフィンワックスは、その融点が60℃以上であることが好ましく、60〜90℃がより好ましく、65〜85℃がさらに好ましく、70〜80℃が特に好ましい。融点が60℃未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。
酸化パラフィンワックスは、前述のパラフィンワックスを酸素又は酸素含有空気で酸化して得られる酸化物であり、前述のパラフィンワックスの構造上に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等を含むものである。酸化パラフィンワックスの酸価は、6〜19が好ましく、8〜17がより好ましく、10〜15がさらに好ましい。パラフィンワックスとの併用の場合にこれらの範囲は好適である。
酸化パラフィンワックスの炭素数は27〜36が好ましく、28〜34がより好ましく、29〜32がさらに好ましい。
酸化パラフィンワックスの分子量は430〜550が好ましく、440〜530がより好ましく、460〜500がさらに好ましい。分子量が430未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。一方、分子量が550超の場合、油剤の乳化安定性が低下する場合ある。酸化パラフィンワックスは、1種又は2種以上含んでもよい。
ポリエチレンワックスは、その融点が100℃以上であることが好ましく、100〜160℃がより好ましく、120〜150℃がさらに好ましく、130〜140℃が特に好ましい。融点が100℃未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。
ポリエチレンワックスは、エチレンの重合により製造する方法、一般成型用ポリエチレンを熱分解により低分子量化する方法、一般成型用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンを分離精製して利用する方法等により製造される。
ポリエチレンワックスの密度は0.90〜0.99g/mlが好ましく、0.94〜0.98g/mlがより好ましく、0.96〜0.97g/mlがさらに好ましい。
ポリエチレンワックスの分子量は2000〜5000が好ましく、2500〜4500がより好ましく、3000〜4000がさらに好ましい。分子量が2000未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。一方、分子量が5000超の場合、油剤の乳化安定性が低下する場合がある。ポリエチレンワックスは1種又は2種以上含んでもよい。
酸化ポリエチレンワックスは、その融点が100℃以上であることが好ましく、100〜180℃が好ましく、120〜160℃がより好ましく、130〜150℃がさらに好ましい。融点が100℃未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。
酸化ポリエチレンワックスは、前述のポリエチレンワックスを酸素又は酸素含有空気で酸化して得られる酸化物であり、前記ポリエチレンワックスの構造上に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等を含むものである。酸化ポリエチレンワックスの酸価は、3〜100が好ましく、5〜50がより好ましく、7〜30がさらに好ましい。
本発明に用いられる酸化ポリエチレンワックスの密度は0.90〜0.99g/mlが好ましく、0.94〜0.98g/mlがより好ましく、0.96〜0.97g/mlがさらに好ましい。
酸化ポリエチレンワックスの分子量は2200〜5200が好ましく、2700〜4700がより好ましく、3200〜4200がさらに好ましい。分子量が2200未満の場合、平滑性が損なわれる場合がある。一方、分子量が5200超の場合、油剤の乳化安定性が低下する場合がある。酸化ポリエチレンワックスは、1種又は2種以上含んでもよい。
本発明のミシン糸用油剤は、前述のワックス類以外のエステルワックス、例えばライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、蜜蝋、モンタン酸エステル等を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。その場合、これらワックスの融点はいずれも60℃以上であると好ましい。
[ミシン糸用油剤]
本発明のミシン糸用油剤は、25℃における動粘度が40000〜250000mm/sであるジメチルポリシロキサン(A)、界面活性剤及び水を含有し、ジメチルポリシロキサン(A)が水に乳化した状態となっている。
ジメチルポリシロキサン(A)と界面活性剤の重量比(ジメチルポリシロキサン(A)/界面活性剤)は、好ましくは8/1〜0.5/1、より好ましくは5/1〜0.5/1、さらに好ましくは4/1〜0.85/1、特に好ましくは2/1〜0.85/1である。該重量比が8/1超の場合、油剤の乳化安定性が低下することがある。一方、該重量比が0.5/1未満の場合、高速平滑性が低下することがある。
ミシン糸用油剤の不揮発分に占めるジメチルポリシロキサン(A)の重量割合は、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。当該重量割合が10重量%未満の場合、高速平滑性が低下することがある。一方、当該重量割合が70重量%超の場合、油剤の乳化安定性が低下することがある。なお、本発明における不揮発分とは、試料を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
ミシン糸用油剤の不揮発分に占める界面活性剤の重量割合は、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは10〜20重量%、さらに好ましくは10〜15重量%である。当該重量割合が5重量%未満の場合、油剤の乳化安定性が低下することがある。一方、当該重量割合が25重量%超の場合、平滑性が低下することがある。
本発明のミシン糸用油剤は水を必須に含有する。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。
ミシン糸用油剤が、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、ポリエチレンワックス及び酸化ポリチレンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックス類を含有する場合、ワックス類はジメチルポリシロキサン(A)と同様に、水に乳化・分散した状態となっている。
ミシン糸用油剤におけるジメチルポリシロキサン(A)とワックス類の重量比(ジメチルポリシロキサン(A)/ワックス類)は、好ましくは1/4〜4/1、より好ましくは1/4〜3.5/1、さらに好ましくは1/4〜3/1である。該重量比が4/1超の場合、低速平滑性が低下することがある。一方、該重量比が1/4未満の場合、高速平滑性が低下することがある。
ミシン糸用油剤の不揮発分に占める当該ワックス類の重量割合は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは22〜48重量%である。
ミシン糸用油剤がジメチルポリシロキサン(B)を含有する場合、ジメチルポリシロキサン(B)はジメチルポリシロキサン(A)と同様に、水に乳化した状態となっている。ミシン糸用油剤の不揮発分に占めるジメチルポリシロキサン(B)の重量割合は、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%、さらに好ましくは30〜40重量%である。ジメチルポリシロキサン(A)とジメチルポリシロキサン(B)の重量比は前述した通りである。
本発明のミシン糸用油剤は、製品安定性や吸尽性の点から、アミノ変性シリコーンを含むことが好ましい。アミノ変性シリコーンの構造は特に限定されるものではなく、アミノ基を有するアミノ変性基は、主鎖であるシリコーンの側鎖と結合していてもよいし、末端と結合していてもよいし、また両方と結合していてもよい。また、そのアミノ変性基は、モノアミン型であってもポリアミン型であってもよく、アミノ変性シリコーン1分子中に両者が併存していてもよい。アミノ変性基としては、特に限定はないが、例えば、アミノプロピル基やN−(2−アミノエチル)アミノプロピル基等が挙げられる。アミノ変性シリコーンは、1種または2種以上を使用してもよい。
アミノ変性シリコーンのアミノ当量については、特に限定はないが、1000〜30000g/molが好ましく、1500〜25000g/molがより好ましく、3000〜20000g/molがさらに好ましく、5000〜15000g/molが特に好ましい。
アミノ変性シリコーン(B1)の25℃における動粘度は、50〜10000mm/sが好ましく、200〜3000mm/sがより好ましく、500〜2000mm/sがさらに好ましい。
上記アミノ変性シリコーンとしては、例えば、下記一般式(1)で示す化合物を挙げることができる。
Figure 0006713271
式(1)中、Rは炭素数が1〜20のアルキル基又はアリール基を示す。Rは、好ましくは炭素数が1〜10のアルキル基又はアリール基であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。なお、式(1)における複数のRは、同一であってもよく異なっていてもよい。Rは下記一般式(2)で示される基である。Rは、R、R又は−OR11で示される基であり、好ましくはRである。なお、式(1)における複数のRは、同一であってもよく異なっていてもよい。R11は、水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子又はメチル基である。pは、10〜10000の数であり、好ましくは50〜5000であり、さらに好ましくは100〜2000である。qは、0.1〜1000の数であり、好ましくは0.5〜500であり、さらに好ましくは1〜100である。
Figure 0006713271
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。R、R及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜10のアルキル基又はアリール基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子である。rは0〜6の数であり、好ましくは0〜3であり、さらに好ましくは0〜1である。
ミシン糸用油剤がアミノ変性シリコーンを含有する場合、アミノ変性シリコーンはジメチルポリシロキサン(A)と同様に、水に乳化した状態となっている。ミシン糸用油剤の不揮発分に占めるアミノ変性シリコーンの重量割合は、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、さらに好ましくは3〜5重量%である。
本発明のミシン糸用油剤は、上記で説明した各成分以外に、アルキル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーンをさらに含有してもよい。
本発明のミシン糸用油剤は、ジメチルポリシロキサン(A)を必須に含有する分散質が水に乳化・分散されたものである。分散質には、ワックス類、ジメチルポリシロキサン(B)、変性シリコーン等が必要に応じて含まれる。油剤中の分散質の平均粒子径は、好ましくは0.1〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.8である。平均粒子径が0.1μm未満の場合、二次凝集の原因となることがある。一方、平均粒子径が1.5μm超の場合、製品安定性が悪く、分離することがある。なお、本発明で用いる平均粒子径とは、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、体積基準とするメジアン粒径を測定したものをいう。
本発明のミシン糸用油剤は、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外のその他成分を含んでもよい。その他成分としては、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、防虫剤、防ダニ剤、消臭剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防汚剤、深色化剤、平滑剤、柔軟剤または吸水剤等の繊維の後加工剤、界面活性剤、無機物、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、溶剤、脂肪酸(塩)等が挙げられる。
本発明のミシン糸用油剤の不揮発分の濃度は、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは2〜70重量%、さらに好ましくは5〜60重量%である。
本発明のミシン糸用油剤の調製方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、ジメチルポリシロキサン(A)、界面活性剤、水、必要に応じてワックス類、ジメルポリシロキサン(B)、アミノ変性シリコーン、その他の変性シリコーン、その他成分等を混合し、一般的な攪拌装置及びホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサーなどの乳化機を用いて乳化することによって得ることができる。
[ミシン糸]
本発明のミシン糸は、合成繊維ミシン糸(油剤が付着されていない原料ミシン糸)に、本発明のミシン糸用油剤が付着したのである。本発明のミシン糸の用途に関しては、特に限定はないが、工業(産業)用途、職業用途、家庭用途のいずれのミシンにも使用することができる。本発明のミシン糸は高速平滑性にも優れていることから、工業用途が好ましく、その中でも、回転速度が3000回/秒以上(好ましくは3500〜5000回/秒)の工業用途ミシンに使用されることが好ましい。
合成繊維ミシン糸(原料ミシン糸)は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維等の合成繊維を挙げることができる。その中でポリエステル繊維が特に好ましい。ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレートがもっとも好ましく例示される。
上記合成繊維ミシン糸は、フィラメント糸、スパン糸のいずれも用いることができる。
ミシン糸の形態としては、一般的にチーズと綛があるが、ミシン糸用には一般的にチーズによる処理(以下、チーズ処理という)がなされている。チーズ処理は、チーズ染色機を用い、本発明の油剤を水等で希釈した処理液を使用する。油剤濃度は、糸重量に対して好ましくは2〜20重量%、より好ましくは4〜15重量%、さらに好ましくは6〜10重量%である。
処理液は、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外のその他成分を含んでもよい。その他成分としては、油剤のところで例示したものと同様の成分を挙げることができる。
浴比は1:10とし、温度は20℃から60℃まで2℃/分で昇温し、60℃で15分間処理を行った。処理中、液流はインからアウトに3分、アウトからインに5分で変化させた。処理後はチーズ乾燥機にて脱水、乾燥を行うことで完了した。
ミシン糸用油剤の不揮発分の付着量は、合成繊維ミシン糸に対して、好ましくは1.5〜4.5重量%、より好ましくは2〜4重量%、さらに好ましくは2〜3重量%である。付着量が1.5重量%未満の場合、平滑性が低下することがある。付着量が4.5重量%超の場合、均一付着性に問題があり、油滲みを発生することがある。なお、ミシン糸用油剤の不揮発分の付着量は、ソックスレー抽出器を用いたノルマルヘキサン等による抽出分により測定することができる。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例1、2、6〜8、10は参考例とする。例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(実施例1)
攪拌機を備えた容量3リットルの反応機中に、表1に示すジメチルポリシロキサンを250g、ワックス1(パラフィンワックス:融点66℃)、界面活性剤1(ポリオキシエチレンアルキルエーテル炭素数18、エチレンオキサイド付加モル数3モル)を25g、界面活性剤2(ポリオキシエチレンアルキルエーテル炭素数8、エチレンオキサイド付加モル数20モル)を25g投入し、加熱撹拌しながら、水を610g投入し、有効成分(不揮発分)39重量%のミシン糸油剤を得た。
得られたミシン糸油剤を用いて、下記の加工条件により、ポリエステルスパンミシン糸に加工し、試験サンプルを得た。試験サンプルについて、高速平滑性、平滑性、吸尽性及び付着量の評価を下記の方法により行った。また、得られたミシン糸用油剤を用いて、下記方法により平均粒子径を測定した。その結果を表1に示す。
<処理条件>
試験糸:ポリエステルスパンミシン糸
処理使用量:9%o.w.f.
浴比:1:10
温度×時間:20℃→60℃×15分(昇温2℃×1分)
液流:イン→アウト 3分、アウト→イン 5分
熱処理(乾燥)条件: 100℃ ×60分
<高速平滑性・平滑性>
ミシン糸がミシン本体を走行時にかかる摩擦力を平滑性とし、糸の走行速度が100m/分の摩擦力を高速平滑性とし、10m/分を中速平滑性、1m/分を低速平滑性とした。測定は、温度20℃、湿度45%の恒温恒湿室において行った。得られた数値が小さいほど、平滑性が優れている。高速平滑性の値が500以上であれば、実際の縫製時に糸切れ、目飛び等の問題が発生の恐れがある。中速平滑性の値が250以上であれば、糸切れを起こす恐れがある。低速平滑性の値が200以上であれば、糸を引き出す際に負荷がかかり、糸切れを起こす恐れがある。
<吸尽性>
チーズ処理液の初液30g中の油剤の不揮発分濃度と、処理後の処理液中の油剤の不揮発分濃度より、吸尽率(%)を算出した。吸尽率は85%以上を良好と評価した。なお、油剤の不揮発分濃度は赤外線水分計で測定した値を用いた。
吸尽率(%)=処理後の油剤の不揮発分濃度/処理前の油剤の不揮発分濃度×100
<付着量>
糸試料(チーズ内層部、チーズ中層部、チーズ外層部)約5gを、ソックスレー抽出器を用いてノルマルヘキサンを溶剤として、油剤成分を抽出し、絶乾後の重量から、油剤成分(不揮発分)の付着量を算出した。
<均一付着性>
チーズ中層部の付着量と内層部及び外層部の付着量の差を、中層部の付着量に対して百分率で表した場合に、内層部及び外層部のいずれの付着差も15%以下である場合を良好とした。
<平均粒子径>
レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、体積基準として測定したメジアン粒径を平均粒子径とした。
(実施例2〜12、比較例1〜4)
実施例1のミシン糸油剤において、表1、2に示す成分及びそれらの配合量に変更する以外は、実施例1と同様に評価をした。その結果を表1、2に示す。なお、表1、2のジメチルポリシロキサンの動粘度は25℃で測定したものである。
(比較例5)
ブランクとして、水処理のミシン糸について、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0006713271
Figure 0006713271
結果より、本発明のミシン糸用油剤は、比較例と比較して、高速平滑性に優れ、良好な付着性を付与できることがわかる。

Claims (6)

  1. 25℃における動粘度が40000〜250000mm/sであるジメチルポリシロキサン(A)、界面活性剤及び水を含有
    さらに、25℃における動粘度が2000〜30000mm /sであるジメチルポリシロキサン(B)及び25℃における動粘度が50〜10000mm /sであるアミノ変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種と、
    パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、ポリエチレンワックス及び酸化ポリチレンワックスから選ばれる少なくとも1種のワックス類とを含有し、
    前記ジメチルポリシロキサン(A)と前記ワックス類との重量比が1/4〜4/1である、
    ミシン糸用油剤。
  2. 前記ジメチルポリシロキサン(A)と界面活性剤の重量比が8/1〜0.5/1である、請求項1に記載のミシン糸用油剤。
  3. ミシン糸用油剤の不揮発分に占める前記ジメチルポリシロキサン(A)の重量割合が10〜70重量%である、請求項1又は2に記載のミシン糸用油剤。
  4. 前記ジメチルポリシロキサン(B)を含有し、前記ジメチルポリシロキサン(A)と前記ジメチルポリシロキサン(B)との重量比(A/B)が1/0.1〜1/4である、請求項1〜3のいずれかに記載のミシン糸用油剤。
  5. ミシン糸用油剤の不揮発分に占める前記ワックス類の重量割合が20〜50重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のミシン糸用油剤。
  6. 合成繊維ミシン糸に、請求項1〜のいずれかに記載のミシン糸用油剤が付着した、ミシン糸。
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