JP6713013B2 - 貝類のノロウイルス不活化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貝類による食中毒を防止するために用いる貝類の浄化方法に関する。
貝類は、新鮮な食材として生食用に用いられたり、貝付きのまま消費者の手元に届けられることが増えている。
この場合に、貝類由来の食中毒対策として、大腸菌,腸炎ビブリオ菌及びノロウイルス等の洗浄浄化,殺菌等の処理が出荷前に行われている。
貝類におけるウイルス性食中毒の主な原因はノロウイルスである。
特に牡蠣は消化器官である中腸線を含む牡蠣全部分を生食として摂取するため、牡蠣の中腸線に蓄積したノロウイルスがヒトの腸粘膜細胞に感染・増殖することに伴って、下痢や嘔吐、発熱等の胃腸炎症状が誘起される。
ノロウイルスの感染力は、ヒトが10〜100個程度のウイルスを摂取したのみで発症する非常に感染力の強いウイルスである。
実際、食中毒症状を訴える者の吐瀉物に菌類が検出されない場合、ノロウイルスが検出されることが多い。
しかし、従来の清浄な海水を1〜2日程度かけ流す洗浄浄化方法では、確実に貝類に含まれるノロウイルスを10〜100個程度以下にできない。
また、従来の次亜塩素酸ソーダ等による殺菌方法は、遊離残留塩素濃度が10〜20ppmという高い濃度液においても、ノロウイルスを十分死滅させることが出来ないこと、海水中の有機物により塩素活性が失活すること、貝類の体内においても同様に有機物によって塩素活性が失活するため十分な対策ではない。
従って、海水中及び貝殻表面や剥き貝の表面の殺菌はある程度行えるものの、貝体内の殺菌を行うことができない。
すなわち、従来の方法は、貝類の体内に取り込まれているノロウイルスを排出させてウイルス量を減少させるものであって、貝類の体内に存在するノロウイルスを充分に不活化できるものではなかった。
特許文献1には、海洋深層水を用いて牡蠣を水槽の中でかけ流し畜養することで、浄化する方法を開示する。
しかし、同公報に開示する技術も牡蠣の体内に取り込まれているノロウイルスを不活化できるものではない。
特開2016−15947号公報
本発明は、貝類の体内、特に消化器官内に存在するノロウイルスに対しても充分に不活化できる方法の提供を目的とする。
本発明に係る貝類のノロウイルス不活化方法は、抗ノロウイルス抗体を投入した飼育水を用いて貝類を飼育することを特徴とする。
これにより、貝類に含まれるノロウイルスのみならず、貝類表面に付着したノロウイルス及び飼育水中に浮遊するノロウイルスも合せて不活化できる。
この場合に、抗ノロウイルス抗体は水溶性蛋白質からなる免疫グロブリンであるのが好ましい。
ノロウイルス(Norovirus)は、電子顕微鏡で観察される形態学的分類では、小型球形ウイルス(SRSV)に属され、胃腸炎,食中毒の原因ウイルスとして知られている。
ノロウイルスに属するウイルスは、Genogroup I(GI)と、Genogroup II(GII)の2つの遺伝子群に分類されている。
また、(GI)はさらに14の遺伝子型に分類され、(GII)は17の遺伝子型に分類され、極めて多様性を持った集団として存在する。
また、新しい遺伝子型も存在しているとみられている。
ノロウイルスのゲノムは、ORF1〜3の3つのオープンリーディングフレームを有し、ORF1は非構造蛋白質であり、ORF2は構造蛋白質となっており、このORF2はウイルスのカプシドを構成している。
よって、このORF2(VP1)領域をバキュロウイルスによる発現系に組み込み、昆虫細胞で発現させると、ノロウイルス様粒子(VLP:Virus like particle)を作出することができる。
このようにして作出したVLPは、構造がノロウイルスそのものであり、ウイルス粒子と同等の抗原性を有するが、内部にゲノムRNAを持たず中空で感染性がない。
そこで、バキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞で発現させたノロウイルス様粒子(VLP:Virus like particle)を鳥類又は哺乳類に接種して得られたポリクローナル抗体を貝類のノロウイルス不活化に使用する方法に特徴がある。
なお、抗体力価・高アフィニティーの抗ノロウイルス抗体を作製するためには、VLPとオイルアジュバントを混和し、鳥類または哺乳類の筋肉内に接種し、数週間後に再度追加接種するのが好ましい。
一定間隔期間ごとに追加接種することで抗体力価・高アフィニティーを維持させることができる。
この水溶性蛋白質である抗ノロウイルス抗体は、塩化ナトリウム水溶液や清浄海水にて溶解状態でも安定化する。
貝類を浸漬した浄化用水槽の海水に抗ノロウイルス抗体溶液を直接投入し、貝類が海水の濾水活動条件である通気や海水温度を維持し1晩蓄養させるとよい。
本発明による貝類の体内に取り込まれてノロウイルスを不活化する方法は上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
貝類の飼育槽や出荷前の浄化過程における蓄養タンクの飼育水中に抗ノロウイルス抗体を投入することで、貝類表面に付着したノロウイルス及び、貝類から排出されて飼育水に浮遊するノロウイルスの感染性を確実に不活化することに加えて、従来の方法では実現できなかった貝類の体内に蓄積したノロウイルス及び、貝類から排出された糞中に含まれるノロウイルスの感染性も確実に不活化できる。
本来抗体は、生体の免疫防御システムにおいて、生体内、消化管内にて病原体の感染・増殖を阻止する機能を持つ蛋白質である。
また、抗体の大きな特徴に、一つの抗体が決まった抗原だけにしか反応しない特異性があり、「鍵と鍵穴の関係」に例えられるほど抗原抗体反応のアフィニティーや結合力が強く簡単に解離しない。
抗体は、貝類の体内においても高い活性と安定性を示す。
抗体の特異的作用により貝類の組織に作用せず、ヒトの食品として貝類の品質を低下させない。
貝類の体内に抗体が含まれた状態でヒトに食されても安全である。
逆に抗ノロウイルス抗体が含まれる貝類は、ノロウイルス感染症を予防するサプリメントともいえる。
また、抗体が含まれていても貝類本来の甘味や風味に影響を与えない。
抗ノロウイルス抗体のうち、GI.5株とGII.4株の2種類のVLPに対する抗体を用いると、ヒトの食中毒から分離されている多様な遺伝子型のノロウイルスに対して対応している。
仮に新たな遺伝型のノロウイルスが出現した場合、同様にその遺伝型VLPをバキュロウイルス発現系にて作出し、追加して動物への接種抗原とすることで迅速に対応できる。
抗ノロウイルス抗体は、モノクローナル抗体までの作製や精製を必要とせず、鳥類及び哺乳類から得られるポリクローナル抗体を採集することで安価で大量に生産できることから、貝類の出荷前洗浄工程における大量使用かつ低コストを必要とされる産業利用に対応でき、極めて簡易的な方法で効果が得られる。
(a)は抗ノロウイルス抗体のノロウイルスVLPのA型HBGAへの結合阻害効果を示す図であり(横軸は抗体濃度 μg/mL)、(b)は抗ノロウイルス抗体のノロウイルスVLPのO型HBGAへの結合阻害効果を示す図であり(横軸は抗体濃度 μg/mL)、(c)は抗ノロウイルス抗体のノロウイルスVLPのB型HBGAへの結合阻害効果を示す図である(横軸は抗体濃度 μg/mL)。 抗ノロウイルス抗体のノロウイルス感染症患者から検出される各遺伝子型ノロウイルスに対する有効性を示す図である。
抗ノロウイルス抗体作製用の抗原として、ノロウイルスの構造蛋白をコードする遺伝子ORF2(VP1)領域をバキュロウイルスに組み込み、培養昆虫細胞で発現させたノロウイルスVLPをオイルアジュバントと混和し、鳥類または哺乳類の筋肉内に接種し、一定間隔期間ごとに追加接種して、摂取動物に抗ノロウイルス抗体を産生させる。
接種動物から採取された抗ノロウイルス抗体を含むポリクローナル抗体を、塩化ナトリウム水溶液及びリン酸緩衝液に溶解後、フィルターろ過滅菌を行い冷蔵もしくは冷凍させたものを流通させる。
貝類の浄化用の浄化水を貯留した浄化槽に抗ノロウイルス抗体溶液を投入した後、浄化処理後の牡蠣を浸漬する。
抗ノロウイルス抗体を含む飼育水を循環と通気(空気を通すこと)させて貝類に呼吸をさせて、貝類の体内に飼育水と共に抗ノロウイルス抗体を取り込みさせる。
この浸漬時間は16〜24時間である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は一例を説明するためのものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
<抗ノロウイルス抗体の作製>
遺伝子組換え技術で発現させたノロウイルスVLPとオイルアジュバント混和物を産卵鶏の胸筋内に接種し、接種鶏が産卵した卵の卵黄より抗ノロウイルス抗体を含有するポリクローナル抗体を抽出した。
評価試験に用いる陰性コントロール抗体は、通常飼育産卵鶏が産卵した卵の卵黄よりポリクローナル抗体を抽出した。
<抗ノロウイルス抗体のノロウイルスVLPの組織血液型抗原(Histo-blood group antigen:HBGA)結合阻害評価試験>
ノロウイルスの感染は、ノロウイルス受容体であるHBGAへの結合が重要とされている。
ELISA法(Enzyme-Linked Immuno Sorvent Assay)を用いて抗ノロウイルス抗体のノロウイルスVLPのHBGA結合阻害を測定した。
ELISA用96ウエルプレートにA型,O型,B型の各血液型のHBGAを一晩吸着固相化させた後、PBS−Tで3回洗浄し、スキムミルクPBS−Tを分注して1時間ブロッキングし、PBS−Tで3回洗浄した。
抗ノロウイルス抗体または陰性コントロール抗体を400μg/mLから1.563μg/mL濃度まで2倍階段希釈した希釈系列抗体液とノロウイルスGII.4株VLP 1μg/mL(ノロウイルス粒子数として5.5×1010個/mL)を等量混合し1時間反応させた各混合溶液100μLをウエルに分注して1時間反応させた後、PBS−Tで4回洗浄した。
抗ノロウイルスVLPマウスIgG標識抗体を各ウエルに分注し1時間反応後、PBS−Tで4回洗浄後、発色試薬を各ウエルに分注して30分間呈色反応させて、各ウエルに停止液を分注して呈色反応を停止させ、OD値を測定した。
図1のグラフ(a),(b),(c)に示すように、抗ノロウイルス抗体50μgでノロウイルス5.5×1010個相当のノロウイルスVLPのHBGAへの結合阻害がA型、O型、B型の全てのHBGAで確認された。
抗ノロウイルス抗体によるHBGAへの結合阻害はノロウイルスの非感染性に付与しており、ノロウイルスを不活化したこととなる。
<抗ノロウイルス抗体の各遺伝子型ノロウイルスに対する有効性>
ELISA用96ウエルプレートに各遺伝子型ノロウイルスVLPを一晩吸着固相化させた後、PBS−Tで3回洗浄し、スキムミルクPBS−Tを分注して1時間ブロッキングし、PBS−Tで3回洗浄した。
抗ノロウイルス抗体または陰性コントロール抗体の2倍階段希釈液を100μL各ウエルに分注して1時間反応させた後、PBS−Tで4回洗浄した。抗ニワトリIgG標識抗体を各ウエルに分注し1時間反応後、PBS−Tで4回洗浄後、発色試薬を各ウエルに分注して30分間呈色反応させて、各ウエルに停止液を分注して呈色反応を停止させ、OD値を測定した。
陰性コントロール抗体のOD値(0.086)に対して2倍以上であるOD値0.100以上を陽性とし、陽性を示す抗体希釈液の最大希釈倍数の逆数を抗体価とした。
その結果を図2のグラフに示す。
ノロウイルス発症患者より検出される遺伝子型GI.4、GI.5、GII.2、GII.3、GII.4、GII.6、GII.17の各VLPに対して高い交差反応を示し、各遺伝子型のノロウイルスVLPに対して抗ノロウイルス抗体が結合することより、多様な遺伝子型が存在するノロウイルスに対して幅広くノロウイルスの感染性を不活化する効果を示した。
<有機物存在下におけるノロウイルス不活化評価試験>
ノロウイルスの不活化に有効な消毒剤として次亜塩素酸ナトリウムをあげているが、有機物存在下では不活化効果が著しく消失する。
そこで、有機物存在下における抗ノロウイルス抗体のノロウイルス不活化評価試験を実施した。
牡蠣中腸線内容物を10%濃度として懸濁したリン酸緩衝液にノロウイルスVLPをウイルス粒子数相当として、5.5×1010/mL、5.5×10/mL、5.5×10/mL、5.5×10/mL、5.5×10/mLの各濃度になるよう添加して調製した。
10%牡蠣中腸線内容物リン酸緩衝液にノロウイルスVLP各濃度を添加した溶液100μLを体外診断用医薬品ノロウイルス抗原キット「イムノキャッチ−ノロ」にアプライして、ノロウイルス抗原の有無の判定を行い、本キットの検出限界値を求めた。
次に、ノロウイルスVLP 5.5×1010/mL濃度添加の10%牡蠣中腸線内容物リン酸緩衝液と抗ノロウイルス抗体10mg/mLリン酸緩衝液を1:1で混合し30秒後に、本キットにアプライしてノロウイルス抗原の有無の判定を行った。
同様にノロウイルスVLP 5.5×10/mL濃度溶液と抗ノロウイルス抗体0.01mg/mLリン酸緩衝液を1:1で混合し同様に30秒後に、本キットにアプライしてノロウイルス抗原の有無の判定を行った。
その結果を下記表1に示す。
10%牡蠣中腸線内容物リン酸緩衝液にノロウイルスVLP懸濁させた検体において、本キットの検出感度は5.5×10/mLで陽性反応を示し、5.5×10/mLでは陰性反応を示した。
抗ノロウイルス抗体は、有機物存在下においても僅か30秒の反応時間で、抗ノロウイルス抗体10mg/mLでノロウイルスVLP 5.5×1010/mLを、抗ノロウイルス抗体0.01mg/mLでノロウイルスVLP 5.5×10/mLを検出限界以下とした。
すなわち、抗ノロウイルス抗体は、有機物存在下でも瞬時にウイルスに特異的に結合しノロウイルスの抗原性をなくしたことから、ノロウイルスの感染性を不活化したことになる。
<貝類の体内に取り込まれたノロウイルス不活化評価試験>
食用として流通できるマガキを濾過海水でかけ流し48時間以上無給餌に置いたマガキを被験貝として用いた。
人工海水で12時間通気撹拌し十分な酸素濃度のある人工海水にノロウイルスVLPを0.01ng/mL(ノロウイルス5.5×10個/mL相当)濃度になるように添加してよく撹拌した後、2つの水槽に同量ずつ分けた。
各水槽に総重量が同程度になるようマガキ11個/水槽を投入し24時間飼育後、抗ノロウイルス抗体または陰性コントロール抗体を水槽に添加して通気撹拌しながらさらに24時間飼育した。
開殻して軟体部を取り出し、さらに中腸線を採材乳剤化して分析サンプルとした。
また、飼育海水及び、マガキが排泄した糞または代謝物等を回収して分析を行った。
<貝類の体内への抗体の取り込み確認>
海水に添加した抗体を牡蠣が体内に取り込み消化器官内(中腸線)に滞留していることの確認試験として、ELISA法を用いて中腸線内の抗体量を定量した。
抗ニワトリIgGヤギIgGをELISA用96ウエルプレートに一晩吸着固相化させた後、PBS−Tで3回洗浄し、BSA−PBS−Tを分注して1時間ブロッキングし、PBS−Tで3回洗浄した。
中腸線乳剤または、抗体添加海水(飼育水)及び、検量線用の既知ニワトリIgGを適性濃度に希釈して100μLをウエルに分注して1時間反応させた後、PBS−Tで4回洗浄した。
抗ニワトリIgGヤギIgG標識抗体を各ウエルに分注し1時間反応後、PBS−Tで4回洗浄後、発色試薬を各ウエルに分注して30分間呈色反応させて、各ウエルに停止液を分注して呈色反応を停止させOD値を測定し、検量線より総ニワトリIgG抗体濃度を算出した。
その結果を下記表2に示す。
抗体を添加した海水に24時間飼育した全ての牡蠣の中腸線内容物から抗体が検出された。
また、牡蠣から排泄された糞(代謝物を含む)からの抗体が検出され、海水中の抗体を取り込み消化器官内に滞留することが確認された。
<貝類の体内のノロウイルスVLPの検出確認>
抗ノロウイルスVLP IgGをELISA用96ウエルプレートに一晩吸着固相化させた後、PBS−Tで3回洗浄し、SM−PBS−Tを分注して1時間ブロッキングし、PBS−Tで3回洗浄した。
中腸線乳剤または、抗体添加海水(飼育水)及び、検量線用の既知ノロウイルスVLPを適性濃度に希釈して100μLをウエルに分注して1時間反応させた後、PBS−Tで4回洗浄した。
抗ノロウイルスVLPモルモットIgGを各ウエルに分注し1時間反応後、PBS−Tで4回洗浄後、抗モルモットIgG標識抗体を各ウエルに分注し1時間反応後、PBS−Tで4回洗浄後、発色試薬を各ウエルに分注して30分間呈色反応させて、各ウエルに停止液を分注して呈色反応を停止させOD値を測定し、検量線よりノロウイルスVLP濃度を算出した。
その結果を下記表2に示す。
牡蠣投入前のノロウイルスVLP添加海水1mLあたり、2.75×10(ウイルス粒子数)であり、陰性コントロール抗体を添加した海水で飼育した対照区の牡蠣11検体中8検体の中腸線からノロウイルスVLPが検出され、中腸線1gあたり4.81×10から1.06×10であった。
また、海水中に排泄された糞1gあたり2.75×10が検出された。
抗ノロウイルスVLP抗体を添加した海水で飼育した試験区の牡蠣11検体の全検体の中腸線及び、海水中に排泄された糞のからノロウイルスVLPは検出されず検出限界以下であった。
本発明の貝類の体内に取り込まれたノロウイルスを不活化する方法は、鳥類及び哺乳類が持つ生体の免疫防御システムにおいて重要や役割を担う抗体を活用し、有機物が存在する貝類の消化器官内、貝類排泄物内、飼育海水においても、多様な遺伝子型であるノロウイルスと瞬時に特異的抗原抗体反応で結合し、ノロウイルスの感染性を不活化する機能性を蛋白質でありながら、無味無臭の抗体の特性より貝類の組織に作用せず、貝類の品質を低下させないこと、ヒトに食されても安全であることから産業上の有効性は極めて大きい。
また、モノクローナル抗体ではなく、鳥類または哺乳類が産生するポリクローナル抗体とすることで、安価に大量製造できること、貝類生産現場においては、貝類の浄化用の浄化水を貯留した浄化槽に抗ノロウイルス抗体溶液を投入し一晩浸漬飼育させるのみと簡易的かつ汎用性が高いことから迅速な普及が期待される。

Claims (1)

  1. 抗ノロウイルス抗体を投入した海水からなる飼育水を用いて貝類を飼育する、貝類のノロウイルス不活化方法であって、
    貝類に含まれるノロウイルスのみならず、貝類表面に付着したノロウイルス及び飼育水中に浮遊するノロウイルスも合せて不活化できるものであり、
    前記抗ノロウイルス抗体は水溶性蛋白質からなる免疫グロブリンであって、バキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞で発現させたノロウイルス様粒子(VLP:Virus like particle)を鳥類に接種して得られたGI.5株とGII.4株に対する抗ノロウイルス抗体を含有する卵黄水溶性蛋白質抽出液であることを特徴とする貝類のノロウイルス不活化方法。
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