以下、本発明の実施の形態に係る鉄筋配筋用スペーサーの製造装置を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る鉄筋配筋用スペーサーの製造装置により製造された金属線材及び成形品であって、(a)は金属線材の平面図、(b)は金属線材を一次成形した一次成形品の平面図、(c)は一次成形品を二次成形した二次成形品の正面図、(d)は二次成形品の側面図、(e)は二次成形品の斜視図をそれぞれ示している。
この図1において、鉄筋配筋用スペーサー1は、金属線材10を横方向及び縦方向から折曲加工することにより成形される。図1の(a)で示す金属線材10は、横方向からの一次成形により図1の(b)で示す一次成形品W1が成形され、この一次成形品W1を縦方向からの二次成形により折曲成形することで、図1の(c)〜(e)で示す二次成形品W2が成形される。この二次成形品W2は、後述する防錆材Bを両端部の内側脚部W25,W25及び長手方向中間部分に対応する中間部分W11の両側の外側脚部W26,W26に付着させる防錆処理を施すことで、鉄筋配筋用スペーサー1が製造される。この鉄筋配筋用スペーサー1は、コンクリート構造物を敷設する際にコンクリート構造物の補強用鉄筋を支持することで、その補強用鉄筋に対する打設コンクリートのかぶり厚さを一定に保つようにしている。
金属線材10としては、鉄製で直径が4.5〜6mmの断面円形のものが用いられている。なお、金属線材10としては、ステンレス製のものであってもよい。
また、二次成形品W2(鉄筋配筋用スペーサー1)の両端部の内側脚部W25,W25及び中間部分W11の両側の外側脚部W26,W26には、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などの熱可塑性樹脂よりなる粉末の防錆材B(後述する)が付着されている。この防錆材Bは、二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26を加熱することにより当該内側及び外側脚部W25,W26に対し融着する。
また、鉄筋配筋用スペーサー1は、改良地盤上に1m前後のピッチで縦横に配置されている。そして、補強用鉄筋を鉄筋配筋用スペーサー1上に配筋した後、その補強用鉄筋上へコンクリートを投入してコンクリート構造物を形成している。
図2は図1の鉄筋配筋用スペーサー1の製造装置の斜視図、図3は図2の鉄筋配筋用スペーサー1の製造装置の平面図、図4は図2の鉄筋配筋用スペーサー1の製造装置の右側面図をそれぞれ示している。
図2〜図4に示すように、鉄筋配筋用スペーサー1を製造する製造装置Xの製造装置本体X1は、金属線材10を一次成形品W1の左右の成形位置S,Sにそれぞれ個別に供給する金属材料供給装置2と、この金属材料供給装置2によりそれぞれ形成位置S,Sに供給された金属線材10,10を一次成形及び二次成形によりプレス成形するプレス成形装置3とを備えている。また、製造装置本体X1は、プレス成形装置3によりプレス成形された二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26を防錆処理する防錆処理装置4と、プレス成形装置3によりプレス成形された二次成形品W2を成形位置Sから防錆処理装置4に受け渡す受渡装置5と、防錆処理装置4により二次成形品W2を防錆処理した鉄筋配筋用スペーサー1を製造装置X外に搬出する搬出装置6とを備えている。
図5は図1の一次成形品W1の成形位置Sに対し金属線材10を移送する前の金属材料供給装置2を斜め上方から見た斜視図、図6は図5の一次成形品W1の成形位置Sに対し金属線材10を移送した後の金属材料供給装置2を斜め上方から見た斜視図をそれぞれ示している。また、図7は図5の一方の金属線材10を一次成形品W1の成形位置Sに移送する前の金属材料供給装置2を斜め上方から見た斜視図、図8は図7の一方の金属線材10を一次成形品W1の成形位置Sに移送する前の金属材料供給装置2を他方の金属線材10側から見た側面図をそれぞれ示している。更に、図9は図6の一方の金属線材10を一次成形品W1の成形位置Sに移送した後の金属材料供給装置2を斜め上方から見た斜視図、図10は図9の一方の金属線材10を一次成形品W1の成形位置Sに移送した後の金属材料供給装置2を他方の金属線材10側から見た左側面図をそれぞれ示している。
図5及び図6に示すように、金属材料供給装置2は、複数の金属線材10を収容する左右一対の線材材料庫20,20と、各線材材料庫20から1本ずつ供給位置K,Kへ供給する左右一対の供給装置21,21と、この各供給装置21により供給位置K,Kに供給された金属線材10をそれぞれ成形位置S,Sまで移送する左右一対の移送装置22とを備えている。
各線材材料庫20は、各移送装置22の供給位置K,Kを挟んで左右方向外方に位置している。また、各供給装置21は、底面がそれぞれ供給位置K,Kへ向かって傾斜する各線材材料庫20からの金属線材10を板ばね210の付勢力により係止する係止爪211と、この係止爪211を板ばね210の付勢力に抗して引き上げる伸縮シリンダ212とを備え、各供給位置Kに対し金属線材10が1本ずつ滑降により供給されるようにしている。つまり、各移送装置22による移送タイミングに合わせて各供給装置21の係止爪211を伸縮シリンダ212により引き上げることで、金属線材10を供給位置K,Kに対し1本ずつ供給するようにしている。
また、図7〜図10に示すように、各移送装置22は、それぞれ供給位置Kから成形位置Sまで前後方向へ延びる断面略凸状の内側レール221と、この内側レール221の外側を前後方向へ延びる断面略凹状の外側レール222と、内側レール221にそれぞれ摺動自在に支持された内側スライダー231と、外側レール222にそれぞれ摺動自在に支持された外側スライダー232と、各内側スライダー231を供給位置Kと成形位置Sとの間で往復動させる駆動手段24とを備えている。この駆動手段24は、正逆回転可能な駆動モータ241と、この駆動モータ241の回転軸242に基端(下端)がそれぞれ回転一体に連結され、先端(上端)が長孔243を介して各内側スライダー231のピン233に摺動自在に支持された揺動アーム244とを備えている。
各外側レール222は、各線材材料庫20から供給された金属線材10を供給位置Kにおいて受け取るものであって、その底部に前後方向へ延びるスリット223を有している。各外側スライダー232は、各内側スライダー231に対しそれぞれ断面略L字状の金具25を介して取り付けられている。各外側スライダー232は、各外側レール222の下面に沿って設けられ、スリット223を介して上方へ突出する突出片234を備えている。
突出片234は、各線材材料庫20から供給位置Kに供給された金属線材10の後端(図7〜図10では右端)と当接し、各外側スライダー232(各内側スライダー231)の往動により金属線材10を押して成形位置Sまで移送するようにしている。そして、各供給装置21の係止爪211は、各突出片234が復動して供給位置Kに供給される金属線材10の後方に戻る各移送装置22の移送タイミングで伸縮シリンダ212により引き上げられ、金属線材10を供給位置K,Kに対し1本ずつ供給されるようにしている。
図11は図6の金属材料供給装置2とプレス成形装置3及び受渡装置5とを移送方向下流側から見た斜視図、図12は図11の金属材料供給装置2とプレス成形装置3及び受渡装置5との左側面図をそれぞれ示している。また、図13は図11の金属材料供給装置2とプレス成形装置3及び受渡装置5との背面図、図14は図11の金属材料供給装置2とプレス成形装置3及び受渡装置5との平面図をそれぞれ示している。
図11〜図14にも示すように、プレス成形装置3は、縦方向に進退動作する進退動作手段30を具備している。この進退動作手段30は、図示しない回転体の回転軸に対し偏心する軸に上端が回転自在に支持された偏心駆動部材32と、この偏心駆動部材32の上下動により縦方向に進退動作するようにジョイント31を介して連結されたプレス金型33とを備えている。プレス金型33は、プレス成形装置3の筐体36に対し縦方向となる鉛直方向への進退動作のみが許容されるように左右一対のガイド板38,38を介して支持され、偏心駆動部材32の上下動による振れ回りを規制している。
図15は図12の一方のプレス成形装置3の一次成形金型により金属線材10を一次成形する前の状態を一次成形品W1の成形位置Sにおいて後方から見た背面図、図16は図15の一方のプレス成形装置3の一次成形金型により金属線材10を一次成形する前の状態を一次成形品W1の成形位置Sにおいて上方から見た平面図をそれぞれ示している。また、図17は図15の一方のプレス成形装置3の一次成形金型により金属線材10を一次成形する前の状態を一次成形品W1の成形位置において駆動型の回転方向下流側から見た正面図、図18は図15の一方のプレス成形装置3の一次成形金型により金属線材10を一次成形する前の状態を一次成形品W1の成形位置Sにおいて駆動型の回転方向上流側から見た背面図をそれぞれ示している。
更に、図19は図15の一方のプレス成形装置3の二次成形金型により一次成形品W1を二次成形する前の状態を一次成形品W1の成形位置Sにおいて後方から見た背面図、図20は図19の一方の一次成形金型により一次成形品W1を一次成形し終えた状態を一次成形品W1の成形位置Sにおいて駆動型の回転方向下流側から見た正面図をそれぞれ示している。
図15〜図20に示すように、プレス金型33は、金属線材10に対する横方向(左右方向)からの折曲加工により一次成形品W1を成形する左右一対の一次成形金型34,34と、この各一次成形金型34により一次成形品W1を成形した成形位置Sにおいて当該一次成形品W1に対する縦方向(上下方向)からの折曲加工により二次成形品W2を成形する左右一対の二次成形金型35,35と、を備えている。
各一次成形金型34は、成形位置Sまで移送された金属線材10の長手方向中央部分に対し他方の金属線材10側から当接する一次固定型341と、筐体36に対し基端(下端)が軸340回りに回転自在に支持され、待機位置(図15に示す位置)と進出位置(図19に示す位置)との間で左右方向に揺動する一次駆動型342とを備えている。この一次駆動型342は、その背面側となる左右方向外側面(図15及び図19では左側面)に円弧状のカム面342aを有している。
図21は図20の一方の二次成形金型35により二次成形し始めた一次成形品W1の状態をその成形位置Sにおいて後方から見た背面図を示している。また、図22は図21の二次成形金型35により二次成形し始めた二次成形開始直後の一次成形品W1であって、(a)は二次成形開始直後の一次成形品W1の斜視図、(b)は二次成形開始直後の一次成形品W1の背面図、(c)は二次成形開始直後の一次成形品W1の平面図をそれぞれ示している。更に、図23は図21の一方の二次成形金型35による一次成形品W1の二次成形完了直前の状態を後方から見た背面図を示している。
また、図21及び図22に示すように、各一次駆動型342の先部(上部)には、左右方向から見て略凹字状を呈する凹部342bが設けられている。この凹部342bは、進出位置まで揺動した際に一次固定型341の前後両端に対し金属線材10の直径相当分のクリアランスD,D(図20に表れる)を存した状態で前後方向から見てオーバーラップし、金属線材10の中間部分W11を残して両側部分W12,W12を他方の金属線材10側(左右方向内方側)に折曲加工している。
各一次駆動型342は、スプリング344により待機位置側へ付勢され、プレス金型33による鉛直方向下方への進出前期動作及び進出後期動作に伴って第1移動部材345が下方へ移動する。この第1移動部材345下端にはアーム347の基端が回転軸346を介して枢着され、そのアーム347の二股状に前後に分岐する各先端にはそれぞれローラ348,348が回転自在に取り付けられている。
そして、各一次駆動型342は、プレス金型33による進出前期動作に伴い第1移動部材345が下方へ移動することで、アーム347先端の各ローラ348によりカム面342aが押され、スプリング344の付勢力に抗して左右方向内方側(図15及び図19では右側)へ揺動する。この各一次駆動型342がその左右方向内方側への揺動によって進出位置に位置付けられると、一次固定型341に対して金属線材10が折曲加工されて一次成形品W1を成形するようにしている。この場合、一次成形品W1は、一次成形金型34によって、金属線材10の長手方向中間部分に対応する中間部分W11と、この中間部分W11の長手方向両端より略90°折曲加工された長手方向の両側部分W12,W12とに横方向から折曲成形される。
図24は図23の一方の二次成形金型35による一次成形品W1の二次成形完了直前の状態を斜め後方から見た斜視図を示している。また、図25は図21の一方の二次成形金型35による二次成形完了後の二次成形品W2の状態を後方から見た背面図、図26は図25の一方の二次成形金型35による二次成形完了後の二次成形品W2の状態を斜め後方から見た斜視図をそれぞれ示している。
図24〜図26に示すように、各二次成形金型35は、成形位置Sにおいて成形された一次成形品W1の両側部分W12,W12の左右方向の中間部分W21に対し下方から当接する略V字状の二次固定型351と、一次成形品W1の両側部分W12,W12の左右方向の中間部分W21を残してその左右両側の内側部分W22及び外側部分W23に対し上方から当接し、当該内側部分W22及び外側部分W23を下方へ折曲加工する左右方向内外一対の二次内側及び二次外側駆動型352a,352bとを備えている。
二次内側及び二次外側駆動型352a、352b同士は、一次成形品W1の両側部分W12,W12の中間部分W21の寸法分だけ離間して設置されている。また、二次内側及び二次外側駆動型352a、352bは、二次固定型351の左右方向両端に対し金属線材10の直径相当分のクリアランスD,D(図25に表れる)を存した状態で前後方向から見てオーバーラップし、一次成形品W1の両側部分W12,W12の中間部分W21を残して内側部分W22及び外側部分W23を下方へ折曲加工している。
二次内側及び二次外側駆動型352a,352bの間には、圧縮スプリング353により下方へ付勢された二次中央駆動型352cが摺動自在に支持されている。この二次中央駆動型352cは、二次固定型351と対峙するように下方へV字状に突出する形状に形成され、プレス金型33による鉛直方向下方への進出後期動作によって、一次成形品W1の両側部分W12,W12の中間部分W21を二次固定型351との間で略V字状に下方へ凹ませるように屈曲形成することで、当該中間部分W21にコンクリート構造物の補強用鉄筋を支持する支持部W24を成形している。
一方、二次固定型351の左右方向内側部分には、一次成形品W1の両側部分W12,W12の内側部分W22における両端の内側脚部W25を二次内側駆動型352aとの当接により略水平に折曲加工する内側折曲加工部351aが設けられている。また、二次固定型351の下端部には、一次成形品W1の下方へ折曲加工された外側部分W23の中間部分W11を上方へ折曲加工して前後に外側脚部W26,W26を形成する外側折曲加工手段37が設けられている。
外側折曲加工手段37は、二次固定型351の下端部に左右方向中途部が軸370を介して回転自在に支持されたシーソー型の折曲加工片371と、この折曲加工片371の左右方向外側端に設けられ、二次成形品W2の外側部分W23の中間部分W11に当接する凸状部372と、二次内側駆動型352aの下端より下方へ突設された突設片373とを備えている。この突設片373は、プレス金型33による二次内側駆動型352aの進出後期動作完了時に折曲加工片371の左右方向内方端に当接すると、凸状部372を二次成形品W2の外側部分W23の中間部分W11の前後方向中央に当接させて上方へ凹ませ、これによって当該中間部分W11に外側脚部W26,W26を折曲加工するようにしている。
図27は図26の二次成形品W2を成形位置Sから滑走台上に移送する前の状態を示す受渡装置5の斜視図、図28は図27の二次成形品W2を成形位置Sから滑走台上に移送する状態を示す受渡装置5の斜視図をそれぞれ示している。また、図29は図27の一方の二次成形品W2に対する受渡装置5の一方の内側スライダー231の状態を他方の内側スライダー231側から見た左側面図を示し、(a)は二次成形品W2に対する内側スライダー231の近接状態を示す左側面図、(b)は二次成形品W2に対する内側スライダー231の当接状態を示す左側面図、(c)は内側スライダー231の当接により滑走台上での二次成形品W2の滑走状態を示す左側面図をそれぞれ示している。
図27及び図28にも示すように、受渡装置5は、移送装置22の各内側スライダー231より成形位置Sに向かって突出する左右一対の突片51,51と、各成形位置Sと搬出装置6との間をそれぞれ前後方向へ延び、搬出装置6側に向かって斜め下向きに傾斜する滑走台52,52とを備えている。この各滑走台52の下流側部分は略水平に形成され、各滑走台52上を滑走してくる二次成形品W2を下流側部分で減速させて順次連ならせるようにしている。
図29の(a)に示すように、各突片51は、各二次成形金型35により成形された成形位置Sの二次成形品W2に対し駆動手段24による各内側スライダー231の往動により接近する。その後、各突片51は、図29の(b)に示すように、駆動手段24による各内側スライダー231のさらなる往動により成形位置Sの二次成形品W2に対し当接する。このとき、図29の(c)に示すように、成形位置Sの二次成形品W2は、各突片51の当接により各滑走台52上に押し出され、各滑走台52上を滑走して防錆処理装置4まで案内される。各滑走台52上を滑走する二次成形品W2は、当該各滑走台52上における滑走方向下流側において順次連なった状態で搬送される。この場合、各外側スライダー232は、駆動手段24による各内側スライダー231の供給位置Kと成形位置Sとの間での往復動と同期して往復動し、往動する都度、新たな金属線材10を供給位置Kから成形位置Sまで移送している。
図30は図28の一対の滑走台52,52上に移送された各二次成形品W2,W2,…が連なっている状態を斜め上方から見た斜視図を示している。この図30にも示すように、防錆処理装置4は、各滑走台52の下流側部分において順次連なる二次成形品W2,W2,…の内側及び外側脚部W25,W26を加熱する加熱手段41と、各滑走台52の下流側部分の上方に設けられ、当該各滑走台52の下流側部分上において連なる二次成形品W2,W2,…に対し搬送力を付与する搬送力付与コンベア42,42と、各滑走台52にそれぞれ連設された搬出装置6の左右一対のコンベアチェーン61,61の最上流側に設けられ、粉末の防錆材Bを貯留する防錆材槽43と、この防錆材槽43の上方に設けられ、当該防錆材槽43に対し防錆材Bを投入するホッパ44とを備えている。
加熱手段41は、各滑走台52の下方に設置された熱処理機411と、各滑走台52の下流側部分の下方に設けられ、当該各滑走台52の下流側部分上において連なる二次成形品W2,W2,…に対し熱処理機411からの高周波電流を流して交番磁束を発生する誘導子(コイル)412とを備えている。この誘導子412で発生する交番磁束に誘導されたうず電流が直角方向に発生すると、各滑走台52の下流側部分において連なる各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26の表面に対し浸透し、その浸透している面積に相当する内側及び外側脚部W25,W26を発熱現象により急速に昇温させるように加熱している。
図30にも示すように、各搬送力付与コンベア42は、前後一対のスプロケット421,422と、このスプロケット421,422間に巻回された無端コンベアベルト423と、この無端コンベアベルト423の周方向等間隔置きに当該無端コンベアベルト423に対し直交する外方向きに垂直に突出するロッド状の突条424,424,…とを備えている。無端コンベアベルト423の回転に伴って各突条424の先端が、各滑走台52の下流側部分において連なる各二次成形品W2の中間部分W21の支持部W24に当接し、当該各二次成形品W2に対し搬送力を付与している。
図31は図30の各滑走台52上から一対のコンベアチェーン61,61に移送された二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26に対する防錆材Bの付着状態を防錆材槽の斜め上方から示す斜視図、図32は図31の一方のコンベアチェーン61で移送されている状態を示す二次成形品W2の斜視図をそれぞれ示している。
図31及び図32にも示すように、搬出装置6の各コンベアチェーン61は、その両側の各リンクのうちの互いに4つ隔てた両側のリンクの中央部分より各コンベアチェーン61に対し直交する外方向きに垂直に起立するアタッチメント611,611が設けられている。そして、無端コンベアベルト423の各突条424の先端との当接により搬送力が付与された各滑走台52上の各二次成形品W2は、各滑走台52上から押し出されると、個々の二次成形品W2の両中間部分W21,W21の支持部W24,W24同士が各コンベアチェーン61両側のアタッチメント611,611を挟むように係合した状態で乗せ替えられ、各コンベアチェーン61による搬出に移行する。
防錆材槽43の防錆材Bは、ホッパ44からの投入によって常時一定量に満たされていて、加熱された被対象物に対して融着する。この防錆材槽43の防錆材Bは、各滑走台52の下流側部分において加熱手段41により加熱された各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26との接触により加熱溶融し、当該内側及び外側脚部W25,W26に対し溶着する。防錆材槽43の上側には、各コンベアチェーン61毎に対応する前後一対のローラ45,45が設けられている。この各ローラ45には、各コンベアチェーン61両側のアタッチメント611,611を収容しつつ各コンベアチェーン61を案内する案内溝451が設けられている。そして、前後のローラ45,45間でコンベアチェーン61と共に各二次成形品W2の下部側(内側及び外側脚部W25,W26側)を防錆材槽43の防錆材Bの中に沈めることで、加熱されている各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26に対し防錆材Bを融着させるようにしている。
搬出装置6の各コンベアチェーン61は、下流側に向かって比較的長い経路に設定され、加熱された各鉄筋配筋用スペーサー1の内側及び外側脚部W25,W26を常温に戻して当該内側及び外側脚部W25,W26に融着された防錆材Bを安定化させるようにしている。また、各コンベアチェーン61の経路上には、図示しない送風機が設置され、内側及び外側脚部W25,W26に対し送風機からの風を当てて常温への戻しが積極的に行われるようにしている。
各コンベアチェーン61の最下流側には、当該各コンベアチェーン61上で搬出された各鉄筋配筋用スペーサー1を排出する排出台62が設置されている。この排出台62は、各コンベアチェーン61の最下流端よりマイナス方向(各コンベアチェーン61の上流側向き)に折り返された位置に設置されている案内板63の下端の下方に設けられている。そして、案内板63は、各コンベアチェーン61の最下流端よりマイナス方向に折り返された位置で各コンベアチェーン61上のアタッチメント611,611から両中間部分W21,W21の支持部W24,W24が外れて自然落下する鉄筋配筋用スペーサー1を排出台62まで案内している。
したがって、本実施の形態では、金属線材10を横方向から折曲加工して一次成形品W1を成形した成形位置Sから一次成形金型34が横方向へ退避した状態で、成形位置Sに止まる一次成形品W1に対して二次成形金型35による縦方向からの折曲加工により二次成形品W2が成形されているので、一次成形金型34と二次成形金型35とが共に一次成形品W1の成形位置Sに設置されることになる。このため、成形位置Sから二次成形金型35の設置位置Sまで一次成形品W1を移動させてから再度位置決めし直す必要がなく、二次成形する際に一次成形品W1の位置決め精度が不要となる上、製造ラインも複雑化することがない。これにより、製造ラインを構築するに当たってコストダウンや構造のシンプル化を図ることができる。
また、縦方向に進退動作する進退動作手段30による偏心駆動部材32を介したプレス金型33の進出前期動作によりカム面342aを押して一次駆動型342が軸340回りに回転することで、金属線材10を一次固定型341に対する横方向からの折曲加工により一次固定型341に対する折曲加工を終える。それから、プレス金型33の進出後期動作により、一次駆動型342を退避させた状態で成形位置Sの一次成形品W1に対し二次成形金型35の二次内側、二次外側及び二次中央駆動型352a〜352c並びに外側折曲加工手段37による縦方向からの折曲加工を行って、二次成形品W2を成形している。これにより、一次駆動型342を軸340回りに回転させて横方向から折曲加工して一次成形品W1を成形する進出前期動作と、一次駆動型342を退避させた状態で一次成形品W1に対し二次内側、二次外側及び二次中央駆動型352a〜352c並びに外側折曲加工手段37による縦方向からの折曲加工により二次成形品W2を成形する進出後期動作とを進退動作手段30による偏心駆動部材32を介した単一のプレス金型33により行え、一次及び二次成形金型34,35並びに外側折曲加工手段37を非常に効率よく駆動させることができる。
更に、各二次成形金型35により順次成形した二次成形品W2,W2,…を滑走台52の傾斜で滑走させて防錆処理装置4まで搬送する際に、滑走する各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26を滑走台52下方の加熱手段41により防錆処理装置4での防錆材Bが付着し易くなるように加熱しているので、各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26を均等に効率よく加熱することができ、各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26に対する防錆材Bの付着を円滑に行うことができる。しかも、二次成形品W2を滑走台52上で搬送する際に、各滑走台52の下流側部分において各二次成形品W2が順次連なるので、各二次成形品W2の内側及び外側脚部W25,W26を時間を掛けてより効率よく加熱することができる。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記実施の形態では、搬出装置6の各コンベアチェーン61の両側の各リンクのうちの互いに4つ隔てたリンク毎にアタッチメント611を設けたが、2つ隔てたリンク毎にアタッチメントが設けられていてもよい。