(第1実施例)
(1)遊技球通路構造
本実施例の遊技機においては遊技領域に飾り部品が設けられ、その飾り部品の左右に遊技球の流路が形成される。発射装置から打ち出された遊技球は、遊技盤に向かって左側から遊技領域の上部に流入し、いずれかの流路を流下する。飾り部品の下方には始動口が設けられる。左側流路の下部から始動口に向けて延びるようにガイド通路が設けられる。ガイド通路は、いわゆる「道釘」と呼ばれる遊技釘の配列でもよいし、役物により形成されるものでもよい。ガイド通路の途中には、遊技球が脱落する可能性がある開口、孔、隙間が設けられてもよい。
そして特に、左側流路を少なくとも部分的に前面側から覆うように流下通路部品が配設される。流下通路部品は役物からなるものでもよい。流下通路部品は、上方から流下してくる遊技球を受け入れる上部開口部と、その上部開口部から流入した遊技球を減速しつつ下方にガイドする内部通路と、その内部通路を通過した遊技球の全てをガイド通路に導出する下部開口部とを有する。内部通路は、遊技球を減速させるために下方に向けて左右交互に傾斜するものでもよいし、下方に向けて螺旋状に形成されたものでもよく、遊技球の落下等による跳ね返りを抑制できるよう概ね連続的に形成されるのが好ましい。
この流下通路部品は、左側流路の全体にわたって設けられてもよいし、左側流路の下半部などを部分的に覆うように設けられてもよい。飾り部品における流下通路部品よりも上方の位置には、下方に流下する遊技球の一部をその飾り部品の内方に導入するいわゆるワープ通路が設けられてもよい。ただし、遊技領域において流下通路部品の左右に遊技球が通過する隙間ができないよう、流下通路部品を配置するようにする。上述のようなワープ通路を設ける場合、左側流路を流下する遊技球のうち、そのワープ通路に流入しないものの全てが流下通路部品の上部開口部に流入するように構成するとよい。
流下通路部品の内部通路を通過した遊技球は、全てガイド通路の上流部に導出される。すなわち、流下通路部品は、左側流路を流下する遊技球を始動口へ向かう通路に寄せる球寄せ機能を有し、従来の寄り釘に置き換わることができる。しかも、左側流路を覆うように設けられるため、寄り釘のような通路形状の変更ができないため、マイナス調整されることもない。このため、始動口への入賞率を設計値にそってより安定に維持することが可能となる。すなわち、本実施例によれば、遊技領域の設定位置に流下通路部品を取り付けるだけで入賞率の安定化を図ることができる。また、流下通路部品を設けることでマイナス調整が行われないことを遊技者にアピールすることができ、遊技機の稼働率向上につながることが期待される。
さらに、本実施例では、その流下通路部品に一体に近接センサが組み付けられる。この近接センサは、流下通路部品の内部通路を通過する遊技球の存在を非接触にて検出するものであり、いわゆる通過センサとは異なる。すなわち、通過センサは、それ自体に遊技球を通過させて1球ずつ検出するものであるため、遊技球1球分の径を有する環状をなす。このため、流下する遊技球の数や勢いによっては遊技球が詰まり、後続の遊技球を滞留させてしまう可能性がある。これに対し、近接センサは内部通路の路面から離間した位置に配置されるため、それ自体が球詰まりの問題を発生させることはない。この近接センサによる遊技球の検出は、通常状態(非時短状態)における発射球数の算出や、不正入賞検出の補助に用いることができる。すなわち、本実施例によれば、始動口への入賞率の安定化が図れるとともに、球詰まりを防止又は抑制して安定した検出、ひいては入賞率の算出を行えるという付加価値が得られる。
(2)一般入賞口への不正行為の検出
本実施例ではさらに、遊技領域に始動口とは別に遊技球の入球が賞球付与の契機となる一般入賞口が設けられる。この一般入賞口には、左側流路を流下した遊技球のみ入球可能性があり、その入球は入球センサにより検出される。入球センサは、通過センサからなるものでもよい。このような構成において、入球センサによる検出球数が、上記近接センサの検出状態との対比から定められる基準球数を超えた場合にエラー判定がなされる。
この「基準球数」は、一般入賞口への入球状態が異常であることを判定するための基準として予め設定される。例えば、近接センサの検出状態から連続的な発射状態が推定されるとしても、設計上不可能とされる入球数を基準球数として設定してもよい。この基準球数は、流下通路部品や遊技釘等、一般入賞口の上流側に設けられる機構の構成および配置、遊技球の発射装置の発射性能等に基づいて変化し得るため、実験や解析等により適正な値を設定するとよい。あるいは、近接センサの検出状態から一般入賞口への入球があり得ない状態において入球センサによる検出があった場合、エラーと判定してもよい。例えば、遊技者がいわゆる右打ちを行っていたり、止め打ちを行っていることにより、左側流路への遊技球の流下がない状態が継続しているにもかかわらず、一般入賞口への入球が検出された場合にエラーと判定してもよい。あるいは、左側流路への遊技球の流下が途切れたときの流下なし時間を計時し、その流下なし時間から一般入賞口への入球が不可能と推定される期間に入球検出があった場合にエラーと判定してもよい。これらの場合、「基準球数」はゼロとなる。すなわち、状態に応じて基準球数をゼロに設定してもよい。
このようにエラー判定がなされた場合、その旨を表示装置に表示させたり、音声により報知してもよい。本実施例によれば、上述した効果に加え、一般入賞口へのいわゆるゴト行為を効果的に防止又は抑制することができる。
(3)近接センサの検出状態に基づく演出
本実施例では、近接センサの検出状態に基づいて得られる遊技球の発射数(発射球数)と、入球センサにより検出された入球数とに基づいて始動口への入球率が算出される。そして、算出された入球率に応じた演出が実行される。ここでいう「近接センサの検出状態」は、近接センサによる累積検出時間としてもよい。近接センサは通過センサと比較して感度が低く、遊技球の存在をピンポイントではなく、ある程度近接した範囲で検出する。つまり、1球あたり所定の検出幅を有する。このため、前後の遊技球が近接しつつ流下してきたような場合、それぞれを検出するのが困難となる。そこで、近接センサにより1球1球を検出するのではなく、その近接センサによる累積検出時間から発射球数を推定する形で算出する。一方、入球センサは感度が高いため、始動口への入球を1球1球を識別しつつ検出することができる。
すなわち、本実施例では、このように推定的に算出された発射球数に対する始動口への入球数(入球数/発射球数)により始動口への入球率(後述する入賞率Ncr)を算出する。そして、その入球数に応じた演出を実行する。演出は表示装置に表示されるものでもよいし、音声等により実現されるものでもよい。このように、発射球数の検出に近接センサを用いることで球詰まりを防止又は抑制しつつ、当該遊技機の入球率を演出を通じて遊技者に示唆することが可能となる。
以下、本実施例の詳細について説明する。
本実施例のぱちんこ遊技機においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技が複数混在する遊技性を有する。その複数の遊技としての第1の遊技と第2の遊技の遊技性を両立させるために、本実施例のぱちんこ遊技機は、複数の始動入賞口(「始動口」という)、複数の特別図柄表示装置、複数の保留ランプを備える。遊技球が第1始動口または第2始動口に入球すると、第1の抽選、第2の抽選がそれぞれ実行され、その当否抽選の結果が「大当り」であった場合、大入賞口が開閉を繰り返す特別遊技が開始される。大入賞口が開放されて遊技球が入球すると、その都度所定数の賞球が払い出されることで遊技者は大きな利益を獲得できる。
本実施例では、大当りとして、通常の大当りと特定の大当りが設けられている。通常の大当りは通常の特別遊技(「通常特別遊技」という)への移行を示し、特定の大当りは特定の特別遊技(「特定特別遊技」という)への移行を示す。いずれの特別遊技も複数の単位遊技(特別遊技が継続する場合の単位となる遊技)を含むが、大入賞口の開放態様(開放時間)が互いに異なっている。通常特別遊技は、所定継続回数(16回又は4回)の単位遊技を含み、所定数以上の入球(10球以上入賞)または所定時間(30秒)の経過が各単位遊技の終了条件とされている。本実施例では、この通常特別遊技を単位遊技数に合わせて「16R特別遊技」、「4R特別遊技」とも呼ぶ。また、その実行契機となる通常の大当りを「16R大当り」、「4R大当り」とも呼ぶ。一方、特定特別遊技は、所定継続回数(2回)の単位遊技を含み、所定数以上の入球(10球以上入賞)または所定時間(0.5秒)の経過が各単位遊技の終了条件とされている。後述のように、この0.5秒という極短期間には大入賞口への入球がほとんど見込めないため、実質的に出玉は期待できない。本実施例では、この特定特別遊技を単位遊技数に合わせて「2R特別遊技」とも呼ぶ。また、その実行契機となる特定の大当りを「2R大当り」とも呼ぶ。
なお、本実施例では2R大当りおよび4R大当りは全て確率変動遊技(以下「確変」ともいう)への移行を伴う。16R大当りは確変移行を伴う場合と確変移行を伴わない場合がある。以下、確変移行を伴う16R大当りを「16R確変大当り」、確変移行を伴わない(通常状態への移行を伴う)16R大当りを「16R通常大当り」とも呼ぶ。なお、説明の便宜上、2R大当りについても「2R確変大当り」と呼び、4R大当りについても「4R確変大当り」と呼ぶことがある。
また、いずれの大当りも、その特別遊技終了後に変動時間短縮遊技(以下「時短」ともいう)への移行を伴う。時短は、当否抽選の結果を示す特別図柄の変動時間を通常状態よりも短くすることで一定時間あたりの図柄変動および当否抽選の回数を増加させる。また、時短中には第2始動口への一定時間あたりの入球容易性が高められるため、その第2始動口への入球により賞球が得られる頻度が増し、遊技者は持ち玉の減少を抑制しながら効率よく大当りを狙うことができる。すなわち、時短中は「入球容易状態」となる。本実施例における時短は、特別遊技の終了後に特別図柄の変動回数が所定回数(「時短終期回数」ともいう)に達するまで、または新たな大当りが発生するまで継続する。具体的には後述のように、確変移行を伴う大当りが発生した場合には、時短の終期は次の大当りが発生するまでとなり、確変移行を伴わない大当りが発生した場合には、時短の終期は所定の終期回数(100回)に達するか、それ以前に新たな大当りが発生するまでとなる。なお、本実施例では、確変の終期については次の大当りが発生するまでとしているが、変形例においては、特別遊技終了後に特別図柄の変動回数が所定回数(「確変終期回数」ともいう)に達するまで、または新たな大当りが発生するまでとしてもよい。
本実施例のぱちんこ遊技機は、このような構成において第1の抽選よりも第2の抽選を優遇した仕様を有する。すなわち後述のように、第1の抽選と第2の抽選の当選確率は等しく設定されているものの、第1の抽選の当否抽選値(「第1当否抽選値」ともいう)には大当りとして2R特殊大当りが対応づけられているのに対し、第2の抽選の当否抽選値(「第2当否抽選値」ともいう)には2R通常大当りが対応づけられている。このため、出玉獲得の点で第2の遊技が有利となっている。一方、第1の抽選よりも第2の抽選を優先して実行するいわゆる「優先消化」が適用された仕様となっている。このため、第2当否抽選値の保留を絶やさない限り、遊技者は相対的に有利に遊技を進行できる可能性が高い。以下、その詳細について説明する。
図1は、第1実施例に係るぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する発射装置および発射機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、演出表示装置60、第1始動口62、第2始動口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。また、遊技盤50における遊技領域52の外側には、第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71が設けられている。第1特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192の変動が表示され、第2特別図柄表示装置71には第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。
第1始動口62は第1の遊技に対応する始動口として設けられ、第2始動口63は第2の遊技に対応する始動口として設けられる。第1始動口62および第2始動口63は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられる。第1始動口62と第2始動口63は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によっていずれか一方への入球を狙うことが可能となるよう、それぞれ遊技領域52の左側と右側に離れて設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成となっている。例えば、第1始動口62は遊技領域52の左側を狙って比較的弱めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられ、第2始動口63は遊技領域52の右側を狙って比較的強めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられる。
第1始動口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動口63への入球容易性が高まる。
なお、本実施例では、第2始動口63として普通電動役物65が非作動のときに閉鎖されて入球が阻止される開閉式の構成を採用するが、変形例においては普通電動役物65が非作動のときにも小さく開口して入球可能性を残す拡開式(開度可変式)の構成を採用してもよい。あるいは、普通電動役物65が非作動のときにも小さく開口はするが、その直上に設けられた遊技釘によって入球が実質的に規制される構成を採用してもよい。なお、「普通電動役物65が拡開する」とは、普通電動役物65が閉鎖状態から開放状態となる場合を含むものとする。普通電動役物65が拡開したときの第2始動口63の開口面積は、第1始動口62の開口面積よりも大きい。
また、第2始動口63は図示するとおり遊技領域52の右側における狭い通路に設けられているので、右側を狙って強めに打球した遊技球の多くが少なくとも第2始動口63の近傍に集まる。このため、普通電動役物65が拡開されていると、第2始動口63への入球可能性は高い。これに対し、第1始動口62には普通電動役物が設置されておらず、しかも狭い通路から離れた位置に設けられているため、入球可能性はそれほど高くない。ただし、第2始動口63が拡開されていない状態において第1始動口62よりも入球容易性が低くなることは言うまでもない。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
第1大入賞口91および第2大入賞口92は、遊技領域52における右下の領域に上下に隣接するように設けられている。図示のように、第2始動口63の直上やや右寄りの位置に第2大入賞口92が設けられ、その第2大入賞口92の直上やや右寄りの位置に第1大入賞口91が設けられている。したがって、2つの大入賞口は、遊技領域52の右側を狙って遊技球を比較的強めに発射するいわゆる「右打ち」を行ったときに入球しやすくなる配置構成となっている。
第1大入賞口91は、第1の遊技および第2の遊技の双方に対応する大入賞口として設けられる。一方、第2大入賞口92は、第2の遊技に対応する大入賞口として設けられる。すなわち、第1の遊技においては第1大入賞口91のみが開放され、第2の遊技においては第1大入賞口91および第2大入賞口92の双方が開放される。具体的には、第1の遊技にて16R特別遊技又は2R特別遊技へ移行されると、第1大入賞口91のみが連続的に開放される。一方、第2の遊技にて16R特別遊技又は4R特別遊技へ移行されると、2つの大入賞口がラウンドごとに交互に開放される。一方の大入賞口が閉鎖されるとほぼ同時に他方の大入賞口が開放されるため、両者の開放タイミングに実質的な待ち時間(インターバル時間)がなく、賞球が付与される効率(払出効率:つまり出玉スピード)が高められる。
第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、第1大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口91は、第1特別図柄192又は第2特別図柄193が所定の大当り態様にて停止したときに開放状態となる横長方形状の入賞口である。一方、第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92を開閉させるための大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成する。第2大入賞口92は、第2特別図柄193が所定の大当り態様にて停止したときに開放状態となる。なお、第2の遊技にて特別遊技へ移行されたときに一方の大入賞口の閉鎖と同時に他方の大入賞口の開放を可能とするために、第1大入賞口91の入球検出処理と第2大入賞口92の入球検出処理との並行が許容されている。
遊技領域52の略中央に演出表示装置60が設けられている。演出表示装置60の左下方の遊技領域52から外れたスペースには、第1の遊技に対応する第1特別図柄表示装置70と第2の遊技に対応する第2特別図柄表示装置71とが互いに左右に隣接するように設けられている。第1特別図柄192は、第1始動口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71は、ドットマトリクス・ディスプレイや7セグメントLEDで構成される表示手段である。第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「1」〜「9」の9種類の数字や、「A」〜「C」,「−」等の文字や、その他の記号で表される。
演出表示装置60は、液晶ディスプレイからなる表示領域194を有する。この表示領域194には、第1特別図柄192に連動する装飾図柄190または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190の変動が表示される。装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される第1の抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、LEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では遊技領域52の外側に配置された第1特別図柄表示装置70および第2特別図柄表示装置71にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
作動口68は、遊技盤50の右側方位置にて第1大入賞口91の直上やや右寄りに位置するように設けられる。図示のように、遊技領域52の右側における遊技球の流下通路に沿って上方から作動口68、第1大入賞口91、第2大入賞口92、第2始動口63が順次配置されている。いわゆる右打ちがなされている状態でこれらの入球口への入球効率が高められる配置構成とされている。
作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第2始動口63の普通電動役物65を拡開させるか否かを決定する普通図柄抽選の契機となる。第1特別図柄表示装置70の上方には、普通図柄表示装置59が設けられている。作動口68を遊技球が通過すると、普通図柄抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。この普通図柄抽選は、普通図柄の停止図柄により普通電動役物65の作動有無、つまり第2始動口63の拡開作動の有無を決定するための抽選であり、「作動抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄195の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄195の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄195の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、普通電動役物65が所定時間拡開される。
演出表示装置60の周囲にはセンター飾り64が設けられている。センター飾り64は、「飾り部品」として機能し、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64が遊技領域52の上半部中央に大きく設けられることで、遊技領域52における遊技球の流下通路が遊技者からみて左側流路55と右側流路57とに分岐される。左側流路55には、遊技球の流れを規制するための流下通路部品200が配設されている。この流下通路部品200およびその周辺構造の詳細については後述する。
遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。第1始動口62の右下方には、回転体として構成された可動役物140が配置されている。可動役物140は、自軸周りに回転自在に支持され、遊技盤50の背面側に設置された図示しないモータにより回転駆動される。可動役物140の回転有無および回転速度により第1始動口62への入賞率の高低が示唆されるが、その詳細については後述する。
第1特別図柄表示装置70の上方には、第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20が設けられている。第1特図保留ランプ20は2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第1の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
また、第2特別図柄表示装置71の上方には、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21が設けられている。第2特図保留ランプ21も2個のランプからなる。第2特図保留ランプ21は、その点灯個数または点滅個数によって第2の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第2特図保留ランプ21における当否抽選値の保留数は、第2特別図柄193の変動中または特別遊技の実行中に第2始動口63へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。
普通図柄表示装置59の下方には、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22が設けられている。普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄195の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄195の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンであり、「操作入力手段」として機能する。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動口62、第2始動口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。
第1特別図柄192および第2特別図柄193は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって第1特別図柄192または第2特別図柄193が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合も特別遊技に移行し、第1大入賞口91および第2大入賞口92の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
当否抽選が大当りに該当した場合は特別遊技が実行される。16R特別遊技および4R特別遊技は、開始デモと呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモの画面表示後に大入賞口が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または10球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口の開閉ないし単位遊技が16回又は4回繰り返された後、終了デモと呼ばれる演出画面の表示によって通常特別遊技が終了される。
また、2R特別遊技も開始デモの表示によって開始される。その開始デモの画面表示後に大入賞口が開放され、その開放が約0.5秒間続いた後、または10球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口の開放から閉鎖までが単位遊技となる。大入賞口の開閉ないし単位遊技が2回繰り返された後、終了デモの表示によって特定特別遊技が終了される。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、その特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の時短が開始される。第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の時短は、これらの変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、普通図柄抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長が実施されることにより第2始動口63への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。通常状態における普通図柄195の変動表示において30秒から60秒の間で比較的長い変動時間が設定されるのに対し、時短状態では1秒から5秒の間で通常状態よりも相当短い変動時間が設定される。
普通図柄抽選の確率変動は、普通図柄抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。通常状態では26/256の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。一方、時短状態では通常状態よりも高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。具体的には、通常時短においては230/256の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。
普通電動役物65の開放延長は、普通電動役物65の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。すなわち、普通電動役物65の作動1回あたりの開放時間は、通常状態においては0.5秒の1回開放(通常開放パターン1)、1秒の1回開放(通常開放パターン2)、2秒の1回開放(通常開放パターン3)の3種類が設けられており、それらの通常開放パターン1,2,3の選択確率が約90%,7%,3%となっている。一方、時短中においては普通電動役物65の作動1回あたりの開放時間が2秒の3回開放(特定開放パターン1)、3秒の2回開放(特定開放パターン2)、6秒の1回開放(特定開放パターン3)の3種類が設けられており、それらの特定開放パターン1,2,3の選択確率が約90%,7%,3%となっている。すなわち、時短中においては普通電動役物65の作動1回あたりの開放時間が通常状態よりも長いので、遊技球は第2始動口63に入球しやすくなる。
時短による入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、第2始動口63への入球容易性も増すため、第2始動口63への入球数が増加する可能性も高まる。したがって、第1特別図柄192、第2特別図柄193および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は第2始動口63への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉の減少を抑制しつつ遊技し続けることが可能となる。
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、普通図柄抽選の確率変動、普通電動役物65の開放延長という3つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて第2始動口63への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても第2始動口63への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
図2は、遊技領域52の下半部の構成を表す部分拡大図である。図3は、流下通路部品200の構成を表す説明図である。(a)は斜視図であり、(b)は流下通路部品200の前面カバーを取り外した状態を示す斜視図であり、(c)はその前面カバーを取り外した状態を示す正面図である。図2に示すように、遊技領域52における左側流路55には、流下通路部品200が配設されている。
図3にも示すように、流下通路部品200は、遊技盤50に固定される本体210と、本体210の前面側を覆うカバー212とを組み付けて構成される。本体210およびカバー212は、それぞれ樹脂材を射出成形することにより得られる。流下通路部品200は、上方から流下してくる遊技球を受け入れる上部開口部214と、その上部開口部214から流入した遊技球を減速しつつ下方にガイドするように形状が定められた内部通路216と、その内部通路216を通過した遊技球を導出する下部開口部218とを有する。
内部通路216は、下向きに傾斜する通路面を左右交互に有する蛇行形状(ジグザグ形状)をなす。すなわち、上方から右下方に向けて傾斜する第1通路220、左下方に向けて傾斜する第2通路222、右下方に向けて傾斜する第3通路224が順次配設されている。第3通路224は、段差を介して出口通路226に連設されている。出口通路226の先端部が下部開口部218を形成している。また、内部通路216の側壁には微小突起228が複数設けられている。各微小突起228は、遊技球の流下方向と直角方向に延びる突条をなし、流下する遊技球が擦る程度に形成されている。すなわち、内部通路216そのものの形状と微小突起228の配設により、遊技球の流下速度を減速できるようにされている。出口通路226のやや下方には収容孔225が形成され、板状の近接センサ227が配設されている。
近接センサ227は、出口通路226およびその近傍を遊技球が通過している際に、その遊技球の存在を検出する。すなわち、近接センサ227は、遊技球が設定された検出範囲に存在するときに、それを示す検出信号を出力するものであり、遊技球の進行方向に所定の検出幅を有する。なお、上述のように、内部通路216の形状を、遊技球を減速しつつ下方にガイドするように定めることで、近接センサ227の検出時におけるチャタリングを防止してその検出の安定化を図っている。近接センサ227は、出口通路226の通路面から離間した位置に配置されるため、遊技球が接触することはない。つまり、近接センサ227は非接触センサである。
下部開口部218の近傍には、遊技球の出口側からの侵入を防止するためのゲート229が設けられている。ゲート229は、本体210に設けられた回動軸を中心に遊技球の流下方向に回動可能に設けられている。すなわち、図3(c)に示す状態を基準位置とし、そこから図中反時計回りに所定角度(90度)の範囲で回動可能に構成されている。基準位置から時計回りには回動できない構成とされている。
図2に戻り、センター飾り64の左側壁には、左側流路55を流下する遊技球Wを受け入れ可能な導入口230が形成されている。導入口230は、流下通路部品200のやや上方に位置する。一方、演出表示装置60の下方には、センター飾り64と一体にステージ232が設けられており、このステージ232と導入口230とを連結するワープ通路234が形成されている。左側流路55を流下する遊技球Wの多くは流下通路部品200に流入するが、左側流路55の上部に設けられた図示略の遊技釘に跳ね返ることにより、一部がワープ通路234に流入する可能性がある。
ワープ通路234を通ってステージ232に導かれた遊技球Wは、そのステージ232の中央にある入球孔236に導入される。この入球孔236は、ステージ232の背面に設けられた図示しない連通路を通ってステージ232直下の導出孔238から排出される。この導出孔238から排出された遊技球Wは、ほぼ確実に第1始動口62に入球するように構成されている。本実施例では、左側通路55を流下する遊技球が流下通路部品200又はワープ通路234のいずれかに流入するよう、流下通路部品200の配置構成が設定されている。
遊技領域52には、左側流路55の下部から第1始動口62に向けて延在し、第1始動口62に向かう遊技球の流下をガイドするガイド通路240が設けられている。本実施例のガイド通路240は、いわゆる道釘のように遊技釘を配列して構成されている。ガイド通路240の上流側端は、流下通路部品200の下部開口部218のほぼ直下に位置している。このため、流下通路部品200の内部通路216を通過した遊技球の全てがガイド通路240に導出されるようになる。ただし、ガイド通路240の中途には、遊技球Wが落下可能な複数の隙間242が設けられている。このため、ガイド通路240に導出された遊技球Wの一部が、隙間242を介してガイド通路240から離脱して流下することがある。
本実施例では、一般入賞口72が3つ設けられており、それらの全てがガイド通路240の下方に配置されている。そして、隙間242から落下した遊技球が所定確率にて一般入賞口72に入球可能となるよう遊技釘が配列されている。なお、同図には便宜上、それらの遊技釘の図示を省略している。隙間242から落下して一般入賞口72に入球しなかった遊技球Wは、アウト口58に落入する。
図4は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40は、ぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動口62、第2始動口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図5は、近接センサの特性を表す説明図である。(a)は比較例として通過センサの特性を示し、(b)および(c)は近接センサの特性を示す。上述した作動口68および各入賞口(始動口62,63、大入賞口91,92、一般入賞口72)に設けられた入球センサ73,74,75,78,79は、遊技球を通過させることによりそれを検出する通過センサであり、図5(a)に示すような検出信号を出力する。この通過センサは、近接センサと比較して感度が高く、検出幅が小さいため、1球1球を高精度に検出することができる。
すなわち、遊技球が通過センサに差し掛かったときに、通過センサの出力がL(Low)
からH(High)に変化するため、この立ち上がりエッジを検出することにより、遊技球の入球を検出することができる(一点鎖線矢印参照)。通過センサによれば、前後の検出がオーバラップすることがないため、その検出数をカウントすれば、入球数を得ることができる。図示の例では、時刻t1から連続的に遊技球が発射され、時刻t3にて発射が停止されている。そして、時刻t5から発射が再開されている。
これに対し、図5(b)に示すように、近接センサは、通過センサと比較して感度が低く、1球1球を高精度に検出することが困難である。図中実線が近接センサの出力を示し、点線が比較例としての通過センサの出力を示している。図示のように近接センサの検出幅が大きいため(二点鎖線矢印参照)、遊技球の発射状態によっては前後の検出がオーバラップすることがある。図示の例では、図5(a)の例と同様に時刻t1から連続的に遊技球が発射され、時刻t3にて発射が停止されている。そして、時刻t5から発射が再開されている。
図示のように、近接センサによれば通過センサの場合とは異なり、遊技球が直上に到達する前からLからHに変化し、発射停止時の遊技球が直上を通過した後にHからLに変化している。すなわち、遊技者が発射ハンドル17を回動位置に保持した発射状態では、遊技球が連続的に流下してくることになるが、先の遊技球の検出が終了する前に後続の遊技球が検出されるため、その発射状態が終了するまでHの出力状態が維持される。このため、1球ごとの通過を検出することができない。
そこで、本実施例では、近接センサ227により遊技球の発射球数を直接検出するのではなく、近接センサ227による検出時間(Hの時間)を計時することにより、遊技球の発射継続時間(遊技者が発射ハンドル17を回動位置に保持した状態の継続時間)を算出する。そして、算出された発射継続時間から発射球数を算出する、つまりその発射継続時間から逆算して発射球数を推定する処理を実行する。これは、発射装置の動作中にはほぼ等間隔(一定周期)で遊技球が発射されることを利用するものである。なお、発射継続時間と発射球数との対応関係については、実験や解析により予め設定しておくようにする。
本実施例では、図5(b)に示すように、遊技球の発射継続中は出力値がHを維持するように、流下通路部品200の内部通路216の構造、近接センサ227の特性および配置を選定し設計している。このため、発射球数の算出においては、単純に近接センサ227がHを出力している時間T1やT2を計測して発射継続時間Tとすれば足りる。なお、変形例においては、図5(c)に示すように、発射継続中に近接センサ227の出力状態が必ずしもHに維持されない場合に対処できるよう演算処理を行ってもよい。
図5(c)には、発射継続中に近接センサ227がHからLに変化する例が示されている。図示の例では、時刻t2にて遊技球の検出が開始されてから発射継続中である時刻t21にHからLに変化し、その直後の時刻t22にLからHに変化している。また、時刻t23にHからLに変化し、その後の時刻t24にLからHに変化している。このような検出が想定される場合、近接センサ227がLに変化してから再度Hとなるまでの時間Δtが予め定める基準時間Δt0以下であれば、発射状態継続中と判定してもよい。この基準時間Δt0については、実験や解析により適宜設定することができる。そして、発射状態継続中と判定された前後でHが出力されている時間を累積加算することにより、発射継続時間Tを算出してもよい。図示の例では、発射継続時間T=T11+T12+T13として算出することができる。
図6は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動口62、第2始動口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、第1特別図柄表示装置70、第2特別図柄表示装置71、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、状態監視手段111、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、特図調整手段152、条件保持手段176、遊技状態保持手段180、電断復帰制御手段182を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段138を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
状態監視手段111は、発射装置による遊技球の発射状態を判定する。状態監視手段111は、近接センサ227の検出状態に基づいて発射継続状態であるか否かを判定する。すなわち、近接センサ227による遊技球の通過継続情報を受け取ると、遊技球の発射継続状態であると判断する。状態監視手段111は、第1始動口62への入賞率を算出する「入球率算出手段」として機能し、また、一般入賞口72への入球状態に基づいてエラーを判定する「エラー判定手段」としても機能するが、その詳細については後述する。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、「特図抽選手段」として機能する。第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114を含み、第1始動口62への入球に対応する特別図柄抽選として第1の抽選を実行する。第1の抽選の結果は、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。一方、第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119を含み、第2始動口63への入球に対応する特別図柄抽選として第2の抽選を実行する。第2の抽選の結果は、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに演出決定手段132へ送信する。さらに、第1抽選手段126および第2抽選手段128は、第1始動口62または第2始動口63への入球時にも事前判定処理として抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行し、その判定結果を抽選結果として演出決定手段132へ送信する。事前判定処理の結果は送信バッファに一時保存された後、その抽選に対応する図柄変動表示が直ちに開始されるか否かにかかわらず演出決定手段132へ送信され、送信バッファから消去または後に上書きされる。そのため、サブ基板104の側にとっては図柄変動開始の順番が巡ってくる前に予め当否結果を推測的に認識できる、いわゆる「先読み」と呼ばれる処理が実現される。
第1抽選値取得手段112は、第1始動口62への入球を契機に、第1の抽選のための乱数の値を第1当否抽選値(「特図抽選値」ともいう)として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動口63への入球を契機に、第2の抽選のための乱数の値を第2当否抽選値(「特図抽選値」ともいう)として取得する。例えば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得された値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1抽選手段126は、第1当否抽選値が保留されたときに現在の第1当否抽選値の保留数の情報を演出決定手段132へ送信する。第2抽選手段128は、第2当否抽選値が保留されたときに現在の第2当否抽選値の保留数の情報を演出決定手段132へ送信する。なお、変形例においては各当否抽選値の保留数の情報ではなく保留された旨の情報のみを送信し、演出決定手段132が各当否抽選値の保留数を管理(演算・更新)できるようにしてもよい。なお、以下の説明において第1当否抽選値と第2当否抽選値とを区別しない場合には、単に「当否抽選値」ともいう。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、第1当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定と、第2当否抽選値が当否判定におけるいずれの抽選値範囲に該当するかの事前当否判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否判定テーブルと事前当否判定テーブルを保持する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する当否判定を、特に事前当否判定と区別するために、適宜「本判定としての当否判定」とも呼ぶ。
図7は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、本判定としての当否判定において図示の当否判定テーブルを参照する。図7(a)は通常時に参照されるテーブルであり、図7(b)は確変時に参照されるテーブルである。
すなわち、各当否判定手段による当否抽選においては、通常時には当否抽選値が0〜163の範囲に該当したときのみ大当りとなる。一方、確変時には大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜163の範囲に該当する場合だけでなく、164〜1639の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化するが、第1の抽選と第2の抽選とで大当りに該当する確率は等しい。大当りに該当した場合、それが確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよいし、第1の抽選用と第2の抽選用とで別個に用意してもよい。
図8は、事前当否判定で参照される事前当否判定テーブルを模式的に示す図である。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、図示のテーブルを参照し、当否抽選値が「0〜163」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としての当否範囲に設定し、当否抽選値が「164〜1639」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。当否抽選値が「1640〜65535」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としての当否範囲に設定する。第1当否判定手段113は、以上のように当否範囲を設定するたびにその値を第1の抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段132へ送信する。第2当否判定手段117は、以上のように当否範囲を設定するたびにその値を第2の抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段132へ送信する。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、別途取得する乱数値である図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定するとともに、図柄抽選値がいずれの図柄範囲に該当するかの事前図柄判定を実行する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する複数の図柄判定テーブルと事前図柄判定テーブルを保持する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定結果に応じて異なる図柄判定テーブルを参照する。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する図柄判定を、特に事前図柄判定と区別するために、適宜「本判定としての図柄判定」とも呼ぶ。
図9は、本判定で参照される図柄判定テーブルの構成例を示す。ここでは、図柄抽選値は「0」から「255」までの値範囲であることとする。この図柄判定テーブルには、図柄抽選値に対し、第1特別図柄192および第2特別図柄193の停止態様(停止図柄)、特別遊技のラウンド数、確変移行の有無がそれぞれ対応づけられている。図9(a)および(b)は当否抽選の結果が大当りであった場合に参照されるテーブルであり、図9(c)は当否抽選の結果が外れであった場合に参照されるテーブルである。図柄判定テーブルには、特別図柄の種類を示す「0」〜「18」の番号と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」〜「17」が大当りに対応し、「18」が外れに対応する。各種類には複数の特別図柄、すなわちセグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号が複数割り当てられている。
第1当否判定手段113は、第1の抽選の結果が大当りとなった場合、図9(a)の図柄判定テーブルを参照する。この図柄判定テーブルでは、特別図柄の種類「0」〜「8」が大当りに対応付けられている。そのうち、種類「0」〜「4」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜136」のうち図柄ごとの異なる範囲に対応付けられる。また、種類「5」「6」は確変を伴う16R大当りを示し、それぞれ図柄抽選値の範囲「137〜163」「164〜190」に対応付けられる。種類「7」「8」は確変を伴わない16R大当りを示し、それぞれ図柄抽選値の範囲「191〜217」「218〜255」に対応付けられる。このように図柄抽選値の範囲の大きさによって大当り種類ごとの選択確率が定まる。なお、図示を省略するが、確変を伴う大当り(「確変大当り」ともいう)は、確変と同様に次の大当りまでを終期とする時短を伴う。一方、確変を伴わない大当り(「通常大当り」ともいう)は、特別図柄の変動回数100回の期間を終期とする時短を伴う。
一方、第2当否判定手段117は、第2の抽選の結果が大当りとなった場合、図9(b)の図柄判定テーブルを参照する。この図柄判定テーブルでも特別図柄の種類「9」〜「17」が大当りに対応付けられている。そのうち、種類「9」〜「13」は確変を伴う4R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜136」のうち図柄ごとの異なる範囲に対応付けられる。また、種類「14」「15」は確変を伴う16R大当りを示し、それぞれ図柄抽選値の範囲「137〜163」「164〜190」に対応付けられる。種類「16」「17」は確変を伴わない16R大当りを示し、それぞれ図柄抽選値の範囲「191〜217」「218〜255」に対応付けられる。このように図柄抽選値の範囲の大きさによって大当り種類ごとの選択確率が定まる。なお、図示を省略するが、第2の遊技においても、確変大当りは、確変と同様に次の大当りまでを終期とする時短を伴う。一方、通常大当りは、特別図柄の変動回数100回の期間を終期とする時短を伴う。
このように、第1の遊技と第2の遊技とは確変大当りの当選確率が同じとなるように設定されているが、第1の抽選においては16R大当りおよび2R大当りが選択対象となっているのに対し、第2の抽選においては16R大当りおよび4R大当りが選択対象となっており、ラウンド振り分けにおいて第2の遊技のほうが優遇されている。なお、本実施例では図9(a)の図柄判定テーブルで選択される図柄と(b)の図柄判定テーブルで選択される図柄はすべて異なるよう定めている。変形例においては、一部の図柄、例えば16R大当りに対応する図柄、例えば「5」〜「8」または「14」〜「17」を共通で用いてもよい。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否抽選の結果が外れとなった場合に図9(c)の図柄判定テーブルを参照する。種類「18」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。なお、図示を省略するが、特別遊技における大入賞口の開放パターンは、本図に示す特別図柄の種類に対応付けられている。すなわち、図9(a)の図柄判定テーブルに関し、種類「0」〜「4」(2R大当り)については、第1大入賞口91が2ラウンドにわたって繰り返し開放される開放パターンが対応付けられている。種類「5」〜「8」(16R大当り)については、第1大入賞口91が16ラウンドにわたって繰り返し開放される開放パターンが対応付けられている。図9(b)の図柄判定テーブルに関し、種類「9」〜「13」(4R大当り)については、第1大入賞口91と第2大入賞口92とが第4ラウンドまでラウンドごとに交互に開放される開放パターンが対応付けられている。種類「14」〜「17」(16R大当り)については、第1大入賞口91と第2大入賞口92とが16ラウンドまでラウンドごとに交互に開放される開放パターンが対応付けられている。なお、本実施例では上述のように、第1の遊技において第1大入賞口91のみが開放されるようにしたが、変形例においては第1の遊技および第2の遊技ともに全ての大当りについて第1大入賞口91と第2大入賞口92の双方が交互に開放されるようにしてもよい。そのように、特別遊技の種類と開放パターンとを対応付けてもよい。
図10は、事前図柄判定で参照される事前図柄判定テーブルを模式的に示す図である。第1当否判定手段113は、当否抽選値が大当りに該当する場合に図10(a)のテーブルを参照する。図柄抽選値が「0〜136」の場合はその旨を示す「1」の値を判定結果としての図柄範囲に設定し、図柄抽選値が「137〜190」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。図柄抽選値が「191〜255」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。ここで、図9(a)との対比からも分かるように、図柄範囲「1」は2R確変大当りを示し、図柄範囲「2」は16R確変大当りを示し、図柄範囲「3」は16R通常大当りを示している。なお、図示を省略するが、当否抽選値が外れに該当する場合には、その旨を示す「5」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。第1当否判定手段113は、以上のように図柄範囲を設定するたびにその値を第1の抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段132へ送信する。
第2当否判定手段117は、当否抽選値が大当りに該当する場合に図10(b)のテーブルを参照する。図柄抽選値が「0〜136」の場合はその旨を示す「4」の値を判定結果としての図柄範囲に設定し、図柄抽選値が「137〜190」の場合はその旨を示す「2」の値を判定結果としての図柄範囲に設定し、図柄抽選値が「191〜255」の場合はその旨を示す「3」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。ここで、図9(b)との対比からも分かるように、図柄範囲「4」は4R確変大当りを示し、図柄範囲「2」は16R確変大当りを示し、図柄範囲「3」は16R通常大当りを示している。なお、図示を省略するが、当否抽選値が外れに該当する場合には、その旨を示す「5」の値を判定結果としての図柄範囲に設定する。第2当否判定手段117は、以上のように図柄範囲を設定するたびにその値を第2の抽選であることを示す値や保留の個数とともに演出決定手段132へ送信する。
なお、変形例においては、第2特別図柄193の図柄範囲であることを明確に区別できるよう、第1特別図柄192の図柄範囲の値と異ならせてもよい。具体的には、図10(b)のテーブルにおいて、図柄抽選値が「137〜190」の場合はその旨を示す「6」の値を判定結果としての図柄範囲に設定し、図柄抽選値が「191〜255」の場合はその旨を示す「7」の値を判定結果としての図柄範囲に設定してもよい。また、当否抽選値が外れに該当する場合には、その旨を示す「8」の値を判定結果としての図柄範囲に設定してもよい。
図6に戻り、第1パターン決定手段114は、第1特別図柄表示装置70および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、第2特別図柄表示装置71および演出表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。
また、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、パターン抽選値がいずれの変動パターン範囲に該当するかの事前パターン判定を実行する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルと事前パターン判定テーブルをそれぞれ保持または共有する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動時間が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。なお、図柄変動を開始するにあたって実行する変動パターン判定を、特に事前パターン判定と区別するために、適宜「本判定としての変動パターン判定」とも呼ぶ。これら変動パターンテーブルおよび事前パターン判定テーブルの詳細については後述する。
普図抽選手段136は、「作動抽選手段」として機能し、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値(「普図抽選値」ともいう)を取得することにより普通図柄抽選を実行する。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。その図柄判定テーブルには抽選値と普通図柄の対応関係が定められており、普図抽選手段136は普通図柄の停止図柄を図柄判定テーブルを参照して決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が普通電動役物65を所定時間拡開する。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、第1始動口62への入球により新たに第1当否抽選値が取得されたときにそれ以前の第1の抽選に対応する第1特別図柄192の変動が表示されている場合、新たな第1当否抽選値をその抽選に対応する第1特別図柄192の変動表示開始まで保留する。すなわち、第1特別図柄192の図柄変動許可が下りていない状況で取得した乱数を一時記憶するか否かを判定し、この判定結果に基づきその乱数をその図柄変動許可が下りるまで一次記憶手段に保留する。本実施例では4個を上限として第1当否抽選値を保留する。この保留数は、第1特図保留ランプ20の点灯数または点滅数により表される。
第2保留手段146は、第2始動口63への入球により新たに第2当否抽選値が取得されたときにそれ以前の第2の抽選に対応する第2特別図柄193の変動が表示されている場合、新たな第2当否抽選値をその抽選に対応する第2特別図柄193の変動表示開始まで保留する。すなわち、第2特別図柄193の図柄変動許可が下りていない状況で取得した乱数を一時記憶するか否かを判定し、この判定結果に基づきその乱数をその図柄変動許可が下りるまで一次記憶手段に保留する。本実施例では4個を上限として第2当否抽選値を保留する。この保留数は、第2特図保留ランプ21の点灯数または点滅数により表される。このように、第1の抽選の当否抽選値の保留上限数が4個、第2の抽選の当否抽選値の保留上限数が4個であることから、第1の抽選と第2の抽選とを合わせた当否抽選値の保留上限数は8個ということになる。
普図保留手段147は、作動口68への入球により新たに普図抽選値が取得されたときにそれ以前の作動抽選に対応する普通図柄の変動が表示されている場合、新たな普図抽選値をその作動抽選に対応する普通図柄の変動表示開始まで保留する。すなわち、普通図柄の図柄変動許可が下りていない状況で取得した乱数を一時記憶するか否かを判定し、この判定結果に基づきその乱数をその図柄変動許可が下りるまで一次記憶手段に保留する。本実施例では、4個を上限として普図抽選値を保留する。この保留数は、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を第1特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を第2特別図柄表示装置71に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の抽選または第2の抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄195の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。本実施例において、特図調整手段152は、第1特別図柄192よりも第2特別図柄193の変動表示を優先的に実行する。すなわち、第2保留手段146に当否抽選値が保留されている間は、第1保留手段144に当否抽選値が保留されていても、第2保留手段146に保留された当否抽選値の消化を優先させる(このような仕様を「優先消化」ともいう)。これにより、第2特別図柄193の変動終了時には既に第2保留手段146により当否抽選値が保留されているという状態を維持するかぎり、第2の抽選を継続的に実行させることが可能になる。その結果、出玉のある大当りを早期に発生させやすくなる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方が当り態様で停止されたときはその停止表示を継続し、他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。
条件保持手段176は、特別遊技作動条件保持手段178を含む。特別遊技作動条件保持手段178は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件保持手段178は、当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となり、特別図柄が所定の大当り態様で停止されることをその特別遊技作動条件として保持する。すなわち、特別遊技作動条件保持手段178は、当否抽選の結果が16R大当りとなり、特別図柄が16R大当りを示す図柄で停止されることを16R特別遊技の作動条件として保持する。特別遊技作動条件保持手段178は、当否抽選の結果が4R大当りとなり、特別図柄が4R大当りを示す図柄で停止されることを4R特別遊技の作動条件として保持する。特別遊技作動条件保持手段178は、当否抽選の結果が2R大当りとなり、特別図柄が2R大当りを示す図柄で停止されることを2R特別遊技の作動条件として保持する。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否抽選結果が大当りであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成される。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技が所定回数を消化した場合に特別遊技を終了させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選の結果が16R大当りとなって特別遊技作動条件が成立したときに長期開放遊技として16R特別遊技を実行する。すなわち、16R特別遊技として単位遊技を16回繰り返し、1回の単位遊技において第1大入賞口91又は第2大入賞口92を約30秒間開放させる。16R特別遊技における大入賞口のトータルの開放時間(総開状態時間)は、予め定めた開放基準時間(本実施例では2秒)以上となっている。なお、本実施例では、第1の遊技において16R特別遊技が実行される場合には第1大入賞口91のみが開放されるが、第2の遊技において16R特別遊技が実行される場合には第1大入賞口91と第2大入賞口92とが交互に開放される。
特別遊技制御手段120は、また、当否抽選の結果が4R大当りとなって特別遊技作動条件が成立したときに中期開放遊技として4R特別遊技を実行する。すなわち、4R特別遊技として単位遊技を4回繰り返し、1回の単位遊技において大入賞口を約30秒間開放させる。4R特別遊技における大入賞口のトータルの開放時間(総開状態時間)は上記開放基準時間以上となる。なお、本実施例では、第2の遊技においてのみ4R特別遊技が実行される可能性があり、その実行の際には第1大入賞口91と第2大入賞口92とが交互に開放される。
特別遊技制御手段120は、さらに、当否抽選の結果が2R大当りとなって特別遊技作動条件が成立したときに短期開放遊技として2R特別遊技を実行する。すなわち、2R特別遊技として単位遊技を2回繰り返し、1回の単位遊技において大入賞口を約0.5秒間開放させる。2R特別遊技における大入賞口のトータルの開放時間(総開状態時間:本実施例では0.5×2=1秒)は上記開放基準時間未満となる。なお、本実施例では、第1の遊技においてのみ2R特別遊技が実行される可能性があり、その実行の際には第1大入賞口91のみが連続的に開放される。
特定遊技実行手段122は、確変状態および時短状態(入球容易状態)における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、確変状態を次の大当りが発生するまで継続する。特定遊技実行手段122は、時短状態を予め定められた終期に到達するまで継続するが、その終期に到達するまでに当否抽選が大当りとなれば一旦時短状態を終了する。時短状態においては、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。また、入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、第2始動口63の拡開機構(「入球変動機構」として機能する)の開放延長が実施される。
開閉制御手段124は、「作動制御手段」として機能し、第2始動口63の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄195が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、入球容易状態においては普通電動役物65を通常状態に比べて長い時間作動させ、第2始動口63を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。第2始動口63の入球容易性を高め、遊技者が持ち玉の減少を抑制しつつ遊技を継続可能にするものである。開閉制御手段124は、特別遊技において大入賞口ソレノイド80または大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させる。
遊技状態保持手段180は、遊技状態がどの状態であるかを特定できる状態情報を記憶する。遊技状態保持手段180は、その状態情報を記憶するための所定の内蔵の不揮発性メモリを含み、電源ユニット48からの電力供給が遮断されるときはその時点の状態情報の記憶を保持する。なお、ここでいう「電力供給の遮断」は、手段を問わず電力供給が遮断される場合が該当し、電源スイッチ40の操作による意図的な遮断のほか、停電時などのように意図しない遮断も含まれる。
電断復帰制御手段182は、電源遮断時に後述する電断時処理を実行し、電源投入時に後述する電源投入時処理を実行する。電源ユニット48には電圧監視手段が設けられており、メイン基板102およびサブ基板104への供給電圧が基準電圧を下回ると、メイン基板102に向けてその旨を表す「電断信号」を出力する。電断復帰制御手段182は、この電断信号を受信すると、遊技状態を保存するための後述する電断時処理を実行する。また、このように電源が遮断された後に再投入されると、電断復帰制御手段182は、遊技制御を正常に開始するための後述する電源投入時処理を実行する。電断復帰制御手段182は、また、電源遮断後に次の電源投入がなされたことを契機に、遊技状態保持手段180が記憶している状態情報を取得し、その状態情報に基づいて電源遮断前の遊技状態を復元させる。
一方、いわゆる「RAMクリア」と呼ばれる特別な操作方法を経て電源が投入される場合、電断復帰制御手段182は、遊技状態保持手段180が記憶している電源遮断前の遊技状態を取得せずに電源を投入させる。その特別な操作方法は、通常の電源投入のための電源スイッチ40の操作方法とは異なる操作方法であり、図示しないRAMクリアスイッチを押しながら電源スイッチ40を操作する方法である。
電断復帰制御手段182は、その特別な操作方法を経て電源投入がなされたときは、電源遮断前の遊技状態を復元せず、初期状態(非確変状態かつ非時短状態)にて遊技機を起動する。なお、変形例として、上記の特別な操作方法を経て電源投入されたときに、電断復帰制御手段182は、遊技状態保持手段180に記憶された状態情報を消去してもよいし、取得した上で破棄してもよい。あるいは、電断復帰制御手段182は、その状態情報を復元する処理自体を電源投入時にスキップすることとしてもよい。
メイン基板102には、電源ユニット48から電源供給を受けて稼動する処理ユニットが実装されている。この処理ユニットは、演算処理を実行するCPU、遊技プログラムが格納されたROM、遊技プログラムを実行する上で作業領域として機能する揮発性の処理用RAM、遊技データをバックアップするための不揮発性のバックアップRAM等を備えている。そのCPUは電断復帰制御手段182等の各手段としても機能し、そのバックアップRAMは遊技状態保持手段180としても機能する。ROMには、遊技プログラムのほか、その遊技プログラムに初期状態を示すパラメータ群(以下、単に「初期状態データ」とよぶ)が保持される。電源が遮断されるとCPUが動作を停止し、処理用RAM上のデータも消失するが、バックアップRAMに格納された遊技データは保持される。ここでいう「遊技データ」とは、初期状態データと後述の中途状態データを含むデータであり、このうちの全部または一部のデータがバックアップの対象となる。
バックアップRAMは、中途状態データを保持する。ここでいう「中途状態データ」とは、電源遮断時における遊技状態を示す遊技データである。電源が投入されると、CPUは、遊技プログラムをROMから処理用RAMにロードする。そして、バックアップRAMに適切な中途状態データが存在しないときには、初期状態データを処理用RAMにロードし、その初期状態データに基づいて遊技プログラムを実行することにより、初期状態から遊技を開始する。一方、バックアップRAMに中途状態データが適切にバックアップされていれば、CPUは、初期状態データの代わりに中途状態データを処理用RAMにロードし、その処理用RAMにロードされた中途状態データに基づいて遊技プログラムを実行する。これにより、電源遮断時に中断された遊技状態が再現可能となる。
一方、サブ基板104にも、電源ユニット48から電源供給を受けて稼動する処理ユニットが実装されている。この処理ユニットもCPU、ROM、処理用RAM等を備えている。ROMには、演出制御等の遊技プログラムが保持される。電源が遮断されるとCPUが動作を停止し、処理用RAM上のデータは消失する。サブ基板104のパターン記憶手段130の機能は主としてROMにより実現される。サブ基板104の他の手段の各機能は、主としてCPUが実行する遊技プログラムにより実現される。電源が投入されると、CPUは、遊技プログラムをROMから処理用RAMにロードして遊技プログラムを実行する。
パターン記憶手段130は、演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄190の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。なお、変形例においては、変動演出と予告演出とを予め一体に構成した総合演出パターンとして設けてもよい。パターン記憶手段130は、特別遊技中に演出表示装置60に表示させるべき大当り演出のデータをさらに保持する。
演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、第1パターン決定手段114または第2パターン決定手段119により決定された特別図柄(第1特別図柄192,第2特別図柄193)の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータの中からいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出す。演出決定手段132は、読み出した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、第1抽選手段126または第2抽選手段128による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。演出決定手段132は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。演出決定手段132は、また、特別遊技の実行に先立って、その特別遊技中に表示される開始デモおよび終了デモを含む大当り演出の内容を決定する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成される。例えば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が大当りの場合には、その大当りを示す特定の組合せ(当り図柄組合せ)が選択される。基本的には、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択される。すなわち、2R大当りの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が外れの場合には、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。当否判定結果がリーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄組合せと装飾図柄の変動演出パターンを示す情報を演出表示制御手段134へ送る。
装飾図柄の変動演出パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動演出パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当り図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、相対的に変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、特定のキャラクタのコメントを表示させるコメント予告演出、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけのキャラクタ予告演出、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。なお、本実施例では、このような予告演出を含むバトル演出(特殊演出)が設けられる。また、先読み処理に基づいて表示予定のバトル演出の種別を事前に予告する前兆演出(「先読み演出」ともいう)が設けられる。その詳細については後述する。
予告演出パターンには、装飾図柄の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に表示させるべき予告演出等の演出パターンを決定する。演出決定手段132は、演出パターンの種類を選択するときに参照すべき演出パターンテーブルを保持する。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168および第2演出制御手段170を含む。第1演出制御手段168は、第1抽選手段126による第1の抽選の結果を、選択された変動パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第2演出制御手段170は、第2抽選手段128による第2の抽選の結果を、選択された変動パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、それ以前の第1の抽選または第2の抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段138は、状態監視手段111から受け取る指示にしたがい、可動役物140の回転を制御する。この制御の詳細については後述する。
次に、本実施例の特徴的構成および動作について説明する。
本実施例では、近接センサの検出状態に基づいて発射継続時間を推定する。そして、その発射継続時間から割り出される発射球数と、第1始動口62への入賞数とに基づいて第1始動口62の入賞率(発射球数に対する始動口への入賞数の比率)を算出する。具体的には、発射装置の作動継続中は1分間あたり100球の発射がなされるものと仮定し、発射継続時間が10分経過するごとに後述する積算方式にて入賞率を算出する。すなわち、推定1000発の遊技球を発射するごとに入賞率を算出し、その入賞率に基づいて演出モードを切り替えることにより演出態様の多様化を実現する。また、算出された入賞率に応じて可動役物140の回転速度を変化させることにより、遊技中の遊技機10(遊技台)の入賞率の高低を示唆するサービスを提供する。以下、その詳細について説明する。
図11は、本判定で参照される変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターンテーブルには、パターン抽選値と変動パターンとが対応づけられている。ここでは、パターン抽選値は「0」から「255」までの値範囲であることとする。図11(a)は入賞率が低い場合に参照されるテーブルであり、図11(b)は入賞率が通常(中程度)の場合に参照されるテーブルであり、図11(c)は入賞率が高い場合に参照されるテーブルである。図12は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
入賞率Ncrが通常である場合(50/1000≦Ncr<70/1000)、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、図11(b)の変動パターンテーブルを参照する。当否抽選の結果が外れの場合には図11(b)の上段のテーブルが参照され、4R大当りおよび16R大当りの場合には図11(b)の中段のテーブルが参照され、2R大当りの場合には図11(b)の下段のテーブルが参照される。
図示のように、外れ用の変動パターンテーブルにおいては、パターン抽選値「0〜10」に「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値「11〜20」に「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値「21〜255」には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図12において説明する。
4R大当りおよび16R大当り用の変動パターンテーブルにおいては、パターン抽選値「0〜120」に「スーパー1」が対応付けられ、パターン抽選値「121〜240」に「スーパー2」が対応付けられている。パターン抽選値「241〜250」には「ノーマル1」が対応付けられ、パターン抽選値「251〜255」には「ノーマル2」が対応付けられている。このように、当否判定結果が4R大当りおよび16R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
2R大当りの変動パターンテーブルにおいては、パターン抽選値「0〜122」に「スーパー2」が対応付けられ、パターン抽選値「123〜255」に「ノーマル2」が対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当の場合は「スーパー2」または「ノーマル2」がそれぞれ約50%の確率で選択される。なお、本実施例では説明の便宜上、パターン抽選値に対して「スーパー1」,「スーパー2」、「ノーマル1」,「ノーマル2」を割り当てる例を示したが、実際にはこれらの各変動パターンがさらに細分化され、細分化されたパターン抽選値が割り当てられてもよいことは言うまでもない。
一方、入賞率Ncrが低い場合(Ncr<50/1000)、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、図11(a)の変動パターンテーブルを参照する。当否抽選の結果が外れの場合には図11(a)の上段のテーブルが参照され、4R大当りおよび16R大当りの場合には図11(a)の中段のテーブルが参照され、2R大当りの場合には図11(a)の下段のテーブルが参照される。図11(b)のテーブルとの対比から分かるように、入賞率Ncrが低い場合には、外れの変動パターンについてスーパーリーチが相対的に選択され易くなっている。
入賞率Ncrが高い場合(70/1000<Ncr)、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、図11(c)の変動パターンテーブルを参照する。当否抽選の結果が外れの場合には図11(c)の上段のテーブルが参照され、4R大当りおよび16R大当りの場合には図11(c)の中段のテーブルが参照され、2R大当りの場合には図11(c)の下段のテーブルが参照される。図11(b)のテーブルとの対比から分かるように、入賞率Ncrが低い場合には、外れの変動パターンについてリーチなしが相対的に選択され易くなっている。
図12は、外れ用の変動パターンテーブルにおけるスーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなし各変動パターンに対するパターン抽選値の割り当て(割合)の傾向を示し、図11(a)〜(c)のテーブルに共通する。図示のように、外れ用の変動パターンテーブルにおいては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が1から2、3、4と多くなるにつれて「ノーマルリーチ外れ」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択され易くなり、保留数が多くなったときに変動時間の短い変動パターンが選択され易くなる制御を実現することができる。
以上のような変動パターンの割り当てにより、入賞率Ncrに応じて遊技者の便宜を図る制御を実現している。すなわち、入賞率Ncrが低いことは相対的に変動し難いことを意味するため、相対的に変動時間が長いスーパーリーチを選択され易くすることで、変動が途切れ難くし、遊技者の苛立ちを緩和できるようにしている。一方、入賞率Ncrが高いことは相対的に変動し易いことを意味するため、相対的に変動時間が短いリーチなしを選択され易くすることで、高速変動により大当り発生までの体感速度を高めて遊技者のストレスを緩和できるようにしている。
図13は、事前パターン判定で参照される事前パターン判定テーブルを模式的に示す図である。図13(a)は入賞率が低い場合に参照されるテーブルであり、図13(b)は入賞率が通常(中程度)の場合に参照されるテーブルであり、図13(c)は入賞率が高い場合に参照されるテーブルである。
入賞率Ncrが通常である場合(50/1000≦Ncr<70/1000)、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、当否結果が外れの場合に図13(b)の上段のテーブルを参照する。当否結果が4R大当り又は16R大当りの場合には図13(b)の中段のテーブルを参照し、当否結果が2R大当りの場合には図13(b)の下段のテーブルを参照する。図11(b)に示した変動パターンテーブルとの対比から分かるように、各変動パターンのパターン抽選値の範囲に対応するように判定結果としてのパターン範囲「1」〜「8」のいずれかが設定される。
一方、入賞率Ncrが低い場合(Ncr<50/1000)、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、当否結果が外れの場合に図13(a)の上段のテーブルを参照する。当否結果が4R大当り又は16R大当りの場合には図13(a)の中段のテーブルを参照し、当否結果が2R大当りの場合には図13(a)の下段のテーブルを参照する。そして、パターン抽選値に対応するパターン範囲を設定する。変動パターンとパターン範囲との対応関係は、図13(b)のテーブルと同様である。
入賞率Ncrが高い場合(70/1000<Ncr)、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、当否結果が外れの場合に図13(c)の上段のテーブルを参照する。当否結果が4R大当り又は16R大当りの場合には図13(c)の中段のテーブルを参照し、当否結果が2R大当りの場合には図13(c)の下段のテーブルを参照する。そして、パターン抽選値に対応するパターン範囲を設定する。変動パターンとパターン範囲との対応関係は、図13(b)のテーブルと同様である。
第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、以上のようにパターン範囲を設定するたびにその値を第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値や保留の個数とともに演出決定手段132へ送信する。なお、本実施例においては、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が、共通の変動パターンテーブル、事前パターン判定テーブルを用いる例を示した。変形例においては、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が、これら変動パターンテーブルおよび事前パターン判定テーブルの少なくとも一方について別々のテーブルを用いるようにしてもよい。
図14は、通常遊技時の演出全体の概略構成を示す図である。本実施例においては、遊技モードとして非時短状態(通常状態)である通常モードと、時短状態であるチャンスモードとが設けられる。そして、各遊技モードにおいて、入賞率Ncrに応じた演出モードの切り替えが行われる。切り替え対象となる複数の演出モードは、選択対象とされる演出パターンの演出形態(本実施例ではメインキャラクタ)が互いに異なる。
すなわち、図14(a)および(b)に示すように、3種類の演出モードA〜Cが設けられている。演出モードAはキャラクタAを、演出モードBはキャラクタBを、演出モードCはキャラクタCを、それぞれメインキャラクタとしている。各演出モードでは、遊技モード間でメインキャラクタの変化はないが、メインキャラクタを含めて進行する示唆演出の内容(ストーリー)が遊技モード間で変化する。各演出モードでは、確変大当りの発生期待度が示唆される。演出モードAはその示唆確度が高く、演出モードBは示唆確度が中程度であり、演出モードCは示唆確度が低くなるように設定されている。
通常モードにおいて、演出モードAでは完全告知型の演出が表示され、現在表示中の図柄変動(「当該変動」ともいう)の結果として確変大当りが発生するか否かが、当該変動中にコメントとして確定的に示される。演出モードBではバランス告知型の演出が表示され、当該変動の結果として確変大当りが発生する期待度が、当該変動中にコメントとして示唆される。演出モードCでは非報知型の演出が表示され、当該変動中は確変大当りが発生する期待度は示唆されない。
チャンスモードにおいて、演出モードAでは専用先読み予告演出が表示され、現在保留中のいずれかの当否抽選値によって確変大当りが発生するか否かが、画面中央の予告演出にて示唆される。演出モードBでは保留先読み予告演出が表示され、現在保留中の当否抽選値により確変大当りが発生する期待度が、保留表示演出にて示唆される。演出モードCでは通常予告演出が表示され、先読み予告演出はなされない。
図14(c)には、通常モードにて表示される予告演出の概要が示されている。通常の予告演出には、コメント予告,キャラクタ予告,群予告等が含まれ、その予告種類に応じて大当りが発生する期待度(「当り期待度」ともいう)が異なるように設定されている。スーパー1に発展すると、メインキャラクタが敵キャラクタと戦うバトル演出が表示される。このバトル演出は、メインキャラクタの勝利により大当りの発生(特別遊技への移行確定)を示唆するものである。
具体的には図示のように、バトル演出の敵キャラクタとしてキャラクタa〜cが設定されている。キャラクタの強さはa<b<cとなっている。このため、最強のキャラクタcが登場するとメインキャラクタが敗北する可能性が高く、当り期待度が低い。逆に、最弱のキャラクタaが登場するとメインキャラクタが勝利する可能性が高く、当り期待度が高い。
また、メインキャラクタが繰り出す必殺技についても必殺技X,Y,Zが設定されており、その効果はX>Y>Zとなっている。このため、相対的に効果の大きい必殺技Xが繰り出されるとメインキャラクタが勝利する可能性が高く、当り期待度が高い。逆に、相対的に効果の小さい必殺技Zが繰り出されるとメインキャラクタが敗北する可能性が高く、当り期待度が低い。他にも敵キャラクタの攻撃技や、メインキャラクタがその攻撃を避けられるか否かによって当り期待度が変わるよう設定されているが、その詳細については説明を省略する。このような演出を表示させる過程において、現在の演出モードに応じた態様で確変大当りの発生期待度が示唆される。
なお、同図には通常モードの演出概要を示したが、チャンスモードにおいても同様に通常演出およびバトル演出が表示される。それらのバトル演出における敵キャラクタの種別、期待度、必殺技の期待度等は、通常モードと共通する。ただし、確変大当りの発生期待度の示唆態様は通常モードとは異なる。チャンスモードにおいては上述のように、先読み演出がなされることがある。
図15は、演出表示装置に表示される画面例を表す図である。(a)〜(h)はその演出過程の一部を例示している。図15(a)に示すように、演出表示装置60の表示領域194には、その略中央の領域に装飾図柄190が変動表示される他、その装飾図柄190の変動表示に重ねられるように、各種演出の画像が表示される。また、装飾図柄190の変動表示に干渉しない下方の左右には特定表示領域202,204が設定され、第1の遊技の保留表示演出、第2の遊技の保留表示演出がそれぞれ表示される。
すなわち、表示領域194の左下の特定表示領域202には、第1保留手段144により保持される当否抽選値(第1当否抽選値)の保留状態がランプをモチーフとした保留対応画像206の態様により表示される。図示の例では、その保留数の上限値と同数(本実施例では4つ)のランプ画像のうち、現在の保留数に相当する2つのランプが点灯表示されている。特定表示領域202における4つのランプ画像は、第1保留手段144による第1当否抽選値の保留が追加されるごとに、右方から順次追加点灯され、保留が消化されるごとに左方から消灯される。演出上は、保留対応画像206が右端側から順次消化されてその点灯状態が右へシフトするように表示される。
表示領域194の右下の特定表示領域204には、第2保留手段146により保持される当否抽選値(第2当否抽選値)の保留状態がランプをモチーフとした保留対応画像208の態様により表示される。図示の例では、その保留数の上限値と同数(本実施例では4つ)のランプ画像のうち、現在の保留数に相当する2つのランプが点灯表示されている。特定表示領域204における4つのランプ画像は、第2保留手段146による第2当否抽選値の保留が追加されるごとに、左方から順次追加点灯され、保留が消化されるごとに右方から消灯される。演出上は、保留対応画像206が左端側から順次消化されてその点灯状態が左方へシフトするように表示される。
通常モードにおいて演出モードAが設定されていると、上述した完全告知型の演出が表示される。すなわち、当否抽選の結果が確変大当りであった場合、例えば図15(b)に示すように、その図柄変動中に「確変大当り確定!」といったコメントが表示される。つまり、当該変動に対応する当否抽選の結果が確変大当りであることが事前に告知される。その後、図15(e)に示すように、確変大当りを示す「777」等の当り図柄組合せが停止表示される。なお、当否抽選の結果が外れであった場合には、図15(f)に示すように、メインキャラクタが敗北し、最終的に外れ図柄組合せが停止表示される。
一方、通常モードにおいて演出モードBが設定されていると、上述したバランス告知型の演出が表示される。すなわち、例えば図15(c)に示すように、その図柄変動中に「確変大当り確率:80%」等のコメントが表示される。つまり、当該変動に対応する当否抽選の結果が確変大当りである期待度が事前に示唆される。本実施例では、「確変大当り確率:80%」のほか、「確変大当り確率:60%」、「確変大当り確率:40%」等のコメントが選択対象とされており、当否抽選の結果が確変大当りであるときに高確率のコメントが選択され易くなるよう、演出パターン抽選値が割り当てられている。
通常モードにおいて演出モードCが設定されていると、上述した非報知型の演出が表示される。すなわち、当否抽選の結果が確変大当りであったとしても、図柄変動中にそれが示唆されることはない。
なお、バトル演出においては、そのバトル中に近接センサ227の出力がHとなっている期間、図15(d)に示すように、メインキャラクタが敵キャラクタに対して所定周期で打撃を加える演出が表示される。すなわち、バトル演出が開始されてもなお遊技者が遊技球を打ち出し続けることへの対価として、敵キャラクタにダメージを与えるような演出が表示されるようになる。
一方、チャンスモードでは第2当否抽選値の保留が見込まれるため、図15(a)に示すように、第1当否抽選値に対応する保留対応画像206のみならず、第2当否抽選値に対応する保留対応画像208が表示される。保留対応画像206と保留対応画像208とは配色が異なるため、遊技者は、いずれの当否抽選値が保留されているかを容易に識別することができる。既に述べたように、本実施例では第2当否抽選値の消化を優先する「優先消化」の仕様が適用されるため、第2当否抽選値が保留されると、保留対応画像208のシフト表示制御が優先的になされるようになる。
チャンスモードにおいて演出モードAが設定されていると、上述した専用先読み予告演出が表示される。この専用先読み予告は、現在保留中のいずれかの当否抽選値によって確変大当りが発生するか否かを示唆するものである。具体的には図15(g)に示すように、画面上にレベルメータ250が表示され、その表示レベルにより確変大当りの発生期待度が示唆される。その表示レベルが高まった状態で大当りになると、確変大当りである可能性が高い。レベルメータ250による演出は、バトル演出が開始されるまで図柄変動複数回分の期間にわたって表示され、バトル演出に先立って確変大当りとなる期待度を事前に示唆する前兆演出である。
チャンスモードにおいて演出モードBが設定されていると、上述した保留先読み予告演出が表示される。この保留先読み予告は、現在保留中の第2当否抽選値について、保留表示によりその当り期待度を示唆するものである。具体的には図15(h)に示すように、バトル演出での対戦が予定される敵キャラクタをシルエット252にて示唆する前兆演出が表示される。シルエット252は、該当する保留対応画像の直上に表示される。遊技者は、このシルエット252から対戦相手となる敵キャラクタを推測することができ、その期待感が煽られる。図示の例では、次変動から3変動目にキャラクタcとのバトルが開始されることが示唆されている。
このシルエット252は、確変大当りとなる期待度の高さに応じて配色が変化する。本実施例では、「黒」<「青」<「赤」の順に期待度が高くなるように設定されている。すなわち、当否抽選の結果が確変大当りであるときに「赤」が選択され易くなるよう、演出パターン抽選値が割り当てられている。シルエット252は、対応する保留対応画像とともにシフト表示され、該当する抽選値が消化されるまで表示される。すなわち、前兆演出は、その表示契機となった図柄変動が開始されるまで表示される。既に述べたように、敵キャラクタの種別が当り期待度にも対応するため、遊技者は、期待度の高い敵キャラクタが表示されると、その当否抽選値が消化される変動で大当りが発生し易いことを認識することができる。そして、事前に表示されるシルエット252の配色により、大当りとなった場合にそれが確変大当りとなる期待度を認識することができる。
なお、第1当否抽選値については、このような演出表示は行わない。仮に第1当否抽選値ついても同様の演出表示を行った場合、第1当否抽選値に対して期待度の高いシルエット252が表示されてしまうと、遊技者が遊技球の打ち出しを止める可能性がある。優先消化が適用される仕様であるため、いわゆる止め打ちにより第2当否抽選値の新たな保留を阻止し、その期待度の高い第1当否抽選値を早期に消化させるものである。このような止め打ちによって遊技機の稼働率を低下させないよう、本実施例では第1当否抽選値については保留先読み表示を行わないようにしている。
チャンスモードにおいて演出モードCが設定されていると、上述した通常演出やバトル演出により当該変動による当り期待度が示唆されることはあっても、確変大当りとなる期待度が示唆されることはない。
図16は、演出モードの設定の際に参照される演出モード設定テーブルを模式的に示す図である。演出決定手段132は、推定1000発の遊技球を発射するごとに入賞率Ncrの情報を取得し、その入賞率Ncrを用いて図示のテーブルを参照し、演出モードを切り替える。この演出モード設定テーブルには、入賞率Ncrと演出モードとの対応関係が定義されている。
すなわち、入賞率Ncrが高い場合には(70/1000<Ncr)演出モードAが設定され、入賞率Ncrが通常である場合には(50/1000≦Ncr<70/1000)演出モードBが設定され、入賞率Ncrが低い場合には(Ncr<50/1000)演出モードCが設定されるよう、演出モード設定テーブルが構成されている。なお、この入賞率Ncrの割り当ては、図11(a)〜(c)に示した変動パターンテーブルと対応している。
図17は、可動役物140の回転制御に際して参照される回転制御テーブルを模式的に示す図である。演出決定手段132は、いわうる左打ちがなされている状態で推定1000発の遊技球を発射するごとに、入賞率Ncrを用いて図示のテーブルを参照し、可動役物140の回転有無および回転速度を切り替える。上述のように、可動役物140の回転速度の高低により、当該遊技機10(遊技台)の入賞率の高低を示唆するものである。
図示のように、入賞率Ncr<45/1000については「回転:停止」に対応づけられている。すなわち、可動役物140の回転停止状態が維持され、それにより遊技台が悪台であること、つまり入賞率が低く回り難い台であることが示唆される。一方、45/1000≦Ncr<50/1000については「回転:低速」に対応づけられている。すなわち、可動役物140の回転速度が低速に制御され、それにより普通台であることが示唆される。50/1000≦Ncr<55/1000については「回転:中速」に対応づけられている。すなわち、可動役物140の回転速度が中速とされ、良台であることが示唆される。Ncr≧55/1000については「回転:高速」に対応づけられている。すなわち、可動役物140の回転速度が高速とされ、最良台であることが示唆される。
このようにして、可動役物140の回転が高速であるほど入賞率が高い良台であることが示唆される。本実施例では、遊技が中断又は終了されてデモ画面が表示された後も、この可動役物140の回転状態を維持する。このため、遊技者は、例えば現在遊技中の台と隣の台とを比較し、隣の台のほうが可動役物140が高速で回転していると判断すると、遊技台を移ることもできる。また、遊技の開始又は再開前に隣り合う遊技台を比較し、可動役物140が高速で回転している側の遊技台を選択することもできる。
図18は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、電源投入時処理を実行する(S10)。この電源投入時処理は、電源が投入されたときに遊技データをロードして遊技プログラムを正常に動作させるものである。この電源投入時処理は、通常は遊技機の起動が正常に終了された場合の電源投入時に実行されるが、停電などの予期しない電源遮断後の再投入時にも電断復帰処理として実行される。
続いて、累積発射時間計時処理を実行する(S11)。この累積発射時間計時処理は、上述した入賞率Ncrに基づく演出制御を実行するために、電源投入からの遊技球の発射時間を積算するものである。この累積発射時間に基づいて遊技球の発射球数が算出され、別途カウントする第1始動口62への入球数およびこの発射球数の情報に基づいて入賞率Ncrが算出される。その詳細については後述する。
続いて、遊技球が第1始動口62、第2始動口63、一般入賞口72、作動口68、第1大入賞口91、第2大入賞口92などへ入球した場合の処理を実行する(S12)。そして、通常遊技中であれば(S13のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行する(S14)。通常遊技中でなければ(S13のN)、特別遊技の制御処理を実行する(S16)。そして、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。電源の遮断が検出されると、電断時処理を実行する(S20)。
図19は、図18におけるS10の電源投入時処理を詳細に示すフローチャートである。電源が遮断された後に再投入されると、まずサブ基板104が起動し、続いてメイン基板102が起動する。メイン基板102からそのメイン基板102が起動したタイミングで送信される遊技状態を含む各種コマンド情報をサブ基板104側で取りこぼさないようにするためである。電断復帰制御手段182は、RAMクリアスイッチがオンにされていれば(S300のY)、予め定める初期化処理を実行する(S302)。このとき、バックアップRAMに中途状態データ等の遊技データが保持されていれば、消去される。
この初期化処理に続いて、電源投入からの発射時間である累積発射時間Talの計時と、電源投入からの第1始動口62への入球数のカウントを開始する。すなわち、バックアップRAMの所定領域に記憶される累積発射時間Talをゼロクリアし、その累積発射時間Talの計時を開始(再開)する(S304)。この累積発射時間Talは、電源投入後の遊技球のトータルの発射球数Nalを算出するために計測される。累積発射時間Talは、近接センサ227の検出時間(Hが出力されている時間)として計測される。
また、バックアップRAMの所定領域に記憶される始動入賞数Ncをゼロクリアし、その始動入賞数Ncのカウントを開始(再開)する(S306)。この始動入賞数Ncは、電源投入後の入賞率Ncrを所定周期で算出するためにカウントされる。始動入賞数Ncは、始動入賞検出装置74(入球センサ)による検出ごとにアップカウントされる。入賞率Ncrは、電源投入からの発射球数Nalに対する電源投入からの始動入賞数Ncとして算出される(Ncr=Nc/Nal)。
RAMクリアスイッチがオンにされていない場合(S300のN)、電源遮断時の遊技状態を再現するための「再現処理」が実行される。すなわち、電断復帰制御手段182は、バックアップRAMから処理用RAMに中途状態データをロードするとともに、後述するS20の電断時処理にて生成した第1チェックサムも取得する。続いて、ロードした中途状態データから、第1チェックサムの生成方式と同一方式にて新たなチェックサムである第2チェックサムを生成し、第1チェックサムと第2チェックサムとが一致するか否かを判定する。このとき、両チェックサムが一致していれば(S310のY)、ロードした中途状態データを有効なものとして設定する(S312)。一方、チェックサムが一致していなければ(S310のN)、初期化処理を実行する(S302)。
図20は、図18におけるS11の累積発射時間計時処理を詳細に示すフローチャートである。状態監視手段111は、既に累積発射時間Talの計時が開始されている場合(S320のY)、近接センサ227の出力がオフ(L)になれば(S322のY)、累積発射時間Talの計時を中断する(S324)。そして、バックアップRAMの所定領域に記憶される近接センサ227の検出オフ時間Toffをゼロクリアし、その検出オフ時間Toffの計時を開始する(S326)。この検出オフ時間Toffは、後述するエラー判定に用い
られるものである。近接センサ227の出力がオン(H)の状態であれば(S322のN)、S324およびS326の処理をスキップする。
累積発射時間Talの計時が開始されていなければ(S320のN)、近接センサ227の出力がオン(H)になれば(S328のY)、その累積発射時間Talの計時を開始(再開)するとともに(S330)、検出オフ時間Toffの計時を停止する(S332)。近
接センサ227の出力がオフ(L)の状態であれば(S328のN)、S330およびS332の処理をスキップする。
図21は、図18におけるS12の入球処理を詳細に示すフローチャートである。入球判定手段110は、始動口(第1始動口62または第2始動口63)への入球が検出されると(S200のY)、始動入賞監視処理を実行し(S201)、その始動口に対応する規定賞球数をセットする(S202)。なお、始動入賞監視処理は、第1始動口62への入賞率Ncrに基づいて演出態様を切り替える処理である。そして、当否抽選値を取得し(S204)、保留制御手段116による当否抽選値の保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S206のY)、その当否抽選値について先読みによる事前判定処理を実行し(S208)、その当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S210)。S206において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合は(S206のN)、S208およびS210の処理をスキップする。S200において入球検出がない場合には(S200のN)、S201からS210の処理をスキップする。
作動口68に入球があった場合(S212のY)、普図抽選値を取得し(S214)、保留制御手段116による普図抽選値の保留数が4未満であるか参照してさらに保留可能な状態であれば(S216のY)、その普図抽選値を保留制御手段116に保留する(S220)。S212において作動口68への入球がない場合は(S212のN)、S214からS220までの処理をスキップする。S216において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合には(S216のN)、S220の処理をスキップする。
一般入賞口72に入球があった場合(S222のY)、一般入賞監視処理を実行し(S223)、一般入賞口72に対応する規定賞球数をセットする(S224)。なお、一般入賞監視処理は、一般入賞口72への入球状態に基づいてエラー判定を実行する処理である。一般入賞口72への入球がないときは(S222のN)、S223およびS224の処理をスキップする。
大入賞口(第1大入賞口91または第2大入賞口92)に入球があった場合(S226のY)、大入賞口に対応する規定賞球数をセットする(S228)。大入賞口への入球がないときは(S226のN)、S228の処理をスキップする。
図22は、図21におけるS201の始動入賞監視処理を詳細に示すフローチャートである。以下に述べるように、第1始動口62への入賞率Ncrの算出は、電源投入から予め定める算出開始時間Tstの経過を待って開始され、その後は予め定める一定の算出周期ΔTにて繰り返し行われる。これは、電源投入直後は発射装置等の作動状態が必ずしも安定しないため、一定時間の経過を待って算出を開始することにより、入賞率Ncrをより正確な値に収束させるものである。
本実施例では、この算出開始時間Tstを60分(推定6000発)とし、算出周期ΔTを算出開始時間Tstよりも短い10分(推定1000発)としている。算出開始時間Tstの経過後は発射状態も安定していると想定し、発射継続時間が10分経過するごとに、それまでの積算値の比率として入賞率Ncrを算出するものである。なお、算出周期ΔTについては、遊技球の発射から近接センサ227により検出されるまでの時間、ひいては第1始動口62への入球が検出されるまでの時間を考慮して十分な値とされている。
すなわち、状態監視手段111は、第1始動口62への入球が検出されると(S340のY)、入賞数Ncを1インクリメントする(S341)。このとき、未だ入賞率Ncrの算出が開始されていなければ(S342のN)、算出開始時間Tstとなったときに(S344のY)、累積発射時間Talの情報を取得して発射球数Nalに換算する(S348)。そして、入賞率Ncr(=Nc/Nal)を算出する(S350)。状態監視手段111は、この入賞率Ncrの情報を演出決定手段132に送信する。
既に始動入賞数Ncの算出が開始されていれば(S342のY)、算出周期ΔTが到来するごとに(S346のY)、累積発射時間Talの情報を取得して発射球数Nalに換算する(S348)。そして、入賞率Ncr(=Nc/Nal)を算出する(S350)。状態監視手段111は、この入賞率Ncrの情報を演出決定手段132に送信する。
演出決定手段132は、受信した入賞率Ncrの情報に基づいて図17の回転制御テーブルを参照し、可動役物140の回転パターン(回転速度)を設定する(S352)。役物制御手段172は、この回転パターンにしたがって可動役物140の回転を制御する(S354)。また、入賞率Ncrの情報に基づいて図16の演出モード設定テーブルを参照し、演出モードを設定する(S356)。
なお、算出開始時間Tstでなければ(S344のN)、S348以降の処理をスキップする。また、算出周期ΔTでなければ(S346のN)、S348以降の処理をスキップする。第1始動口62への入球でなければ(S340のN)、S341以降の処理をスキップする。
図23は、図21におけるS208の事前判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、事前当否判定テーブルを参照して事前当否判定を実行し(S230)、その判定結果として当否範囲を示す値を設定し(S232)、事前図柄判定テーブルを参照して事前図柄判定を実行し(S234)、その判定結果として図柄範囲を示す値を設定し(S236)、事前パターン判定テーブルを参照して事前パターン判定を実行し(S238)、その判定結果として変動パターン範囲を示す値を設定する(S240)。以上のように設定された事前判定結果の値が、第1の抽選と第2の抽選のいずれであるかを示す値、保留の個数、保留順序等の情報とともに送信バッファに一時保存され、サブ基板104の演出決定手段132へ送信される(S242)。
図24は、図21におけるS223の一般入賞監視処理を詳細に示すフローチャートである。この一般入賞監視処理は、近接センサ227が遊技球を検出しない状態が続いている、つまりいわゆる左打ち又は止め打ちがなされており、一般入賞口72への入球があり得ない状態であるにもかかわらず、その入球が検出がなされた場合にエラーと判定するものである。
すなわち、状態監視手段111は、一般入賞口72への入球検出があった場合、近接センサ227の出力状態がオフ(L)であれば(S360のY)、図20のS326で計時が開始された検出オフ時間Toffの情報を取得する(S362)。このとき、この検出オ
フ時間Toffが予め定めるエラー基準値Ter以上となっていれば(S364のY)、エラ
ーと判定し、そのエラー報知を実行する(S366)。本実施例では、遊技効果ランプ90をそのエラーを示す態様にて点滅表示させる。なお、変形例においては、状態監視手段111がエラー判定をしたときに、その旨を示す情報を演出決定手段132に送信してもよい。そして、演出表示装置60にエラーを示す表示を行ったり、あるいは音声によりエラーを報知してもよい。検出オフ時間Toffが予め定めるエラー基準値Ter未満であれば
(S364のN)、S366の処理をスキップする。近接センサ227の出力状態がオン(H)であれば(S360のN)、S362以降の処理をスキップする。
図25は、図18におけるS14の通常遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。この通常遊技制御処理は、サブ基板104における先読み処理が実行され(S250)、メイン基板102における特別図柄変動処理の実行(S252)、サブ基板104における装飾図柄変動処理の実行(S254)が、繰り返し処理される。
図26は、図25におけるS250の先読み処理を詳細に示すフローチャートである。本実施例では、いわゆる先読みによって得られる事前判定情報(抽選値情報)に基づき、保留表示を更新する。また、所定条件のもと、その抽選値の消化とともに表示させるバトル演出と、その抽選値が消化される前にバトル演出の内容を示唆する前兆演出の内容を事前決定する。
すなわち、サブ基板104がメイン基板102から事前判定情報を受信した場合(S260のY)、演出決定手段132が保留数の情報に基づいて保留表示演出の内容を決定し、演出表示制御手段134が保留表示の更新を実行する(S261)。すなわち、保留対応画像206,208の表示処理を実行する。
続いて、演出決定手段132は、事前判定情報を受信したときの遊技モードがチャンスモードであり(S262のY)、演出モードが演出モードAである場合(S263のY)、その時点での保留数が所定数(例えば3つ)以上であり(S264のY)、事前判定により設定された当否範囲の値が「1」でパターン範囲の値が「4」の場合や(S265のY)、異なる値であっても(S265のN)、事前判定により設定された当否範囲の値が「3」でパターン範囲の値が「1」の場合は(S266のY)、前兆設定をオンにする(S267)。すなわち、保留数が前兆演出をするのに十分な個数であり、大当り又は外れ確定で変動パターンとしてスーパー1が事前決定されていれば、前兆演出の実行を示すフラグをセットする。
そして、図示しない演出パターンテーブルを参照してバトル演出の演出パターンを事前決定し(S268)、前兆演出の演出パターンを決定する(S269)。前兆演出の演出パターンは、バトル演出の演出パターンに予め対応付けられたものを決定する。前兆演出は、その後のバトル演出の当り期待度をレベルメータ250により示唆する演出である。このため、決定されたバトル演出に対応する期待度に対応した到達レベルを特定し、図柄変動複数回分の期間で徐々にその到達レベルに近づくよう、複数回変動分の演出を事前決定しておく。S266において当否範囲の値とパターン範囲の値が該当しない場合は(S266のN)、S267からS269の処理をスキップする。保留数が所定数に満たない場合は(S264のN)、S265からS269の処理をスキップする。
演出モードAではなく(S263のN)、演出モードBである場合(S270のY)、その事前判定情報に係るバトル演出を事前決定する(S272)。すなわち、図示しない演出パターンテーブルを参照してバトル演出の演出パターンを事前決定する。そして、決定されたバトル演出に登場する敵キャラクタを、その事前判定情報に係る保留対応画像の直上に表示させる保留示唆演出を表示する(図15(h)参照)。このとき、事前判定で設定された図柄範囲に基づいて確変大当りであるか否かが判定される。そして、その判定結果に応じて演出パターンテーブルが参照され、敵キャラクタの配色が決定される。保留対応画像の直上には、決定された配色の敵キャラクタが表示される。演出モードCであった場合には(S270のN)、S272およびS274の処理をスキップする。
チャンスモードでない場合は(S262のN)、S263からS274の処理をスキップする。事前判定処理の結果を受信していない場合は本図のフロー全体をスキップする(S260のN)。なお、本図の例では、事前判定により設定された当否範囲とパターン範囲に基づいて前兆設定をオンすべきか否かを決定したが、変形例においては事前判定により設定された図柄範囲とパターン範囲に基づいて前兆設定をオンすべきか否かを決定してもよい。
図27は、図25におけるS252の特別図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S20のN)、第2特別図柄193の変動表示タイミングであれば(S22のY)、第2抽選手段128が第2保留手段146から第2当否抽選値を読み出して当否判定を実行し(S24)、第2特別図柄193の停止図柄を決定し(S26)、第2特別図柄193の変動パターンを決定する(S28)。そして、第2特別図柄193の図柄変動が開始される(S38)。一方、第2特別図柄193の変動表示タイミングでなく(S22のN)、第1特別図柄192の変動表示タイミングであれば(S30のY)、第1抽選手段126が第1保留手段144から第1当否抽選値を読み出して当否判定を実行し(S32)、第1特別図柄192の停止図柄を決定し(S34)、第1特別図柄192の変動パターンを決定する(S36)。そして、第1特別図柄192の図柄変動が開始される(S38)。
なお、第1特別図柄192の変動表示タイミングであるか、第2特別図柄193の変動表示タイミングであるかは、第2保留手段146に第2当否抽選値が保留されているか否かに加え、図柄変動中であるか否か応じて決定される。本実施例では上述のように、第2保留手段146が保留する第2当否抽選値を第1保留手段144が保留する第1当否抽選値よりも優先的に消化し、第1特別図柄192よりも第2特別図柄193の変動表示を優先的に実行する。したがって、第2保留手段146が第2当否抽選値を保留していれば、次の変動表示タイミングには第2特別図柄193の変動表示が開始されることになる。第2保留手段146が第2当否抽選値を保留しておらず、第1保留手段144のみが第1当否抽選値を保留している場合、次の変動表示タイミングには第1特別図柄192の変動表示が開始されることになる。
第2特別図柄193の変動表示タイミングでなく(S22のN)、第1特別図柄192の変動表示タイミングでもなければ(S30のN)、本図のフローを終了する。一方、既に図柄変動表示が開始されている場合は(S20のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動の停止タイミングに達していれば(S42のY)、図柄変動の停止処理を実行する(S44)。図柄変動の停止タイミングに達していないときは(S42のN)、S44をスキップする。
図28は、図27におけるS44の図柄変動停止処理を詳細に示すフローチャートである。まず図柄変動を停止する処理を実行し(S50)、当否抽選の結果が大当りであった場合(S52のY)、時短(入球容易状態)を伴う図柄であれば(S54のY)、時短の設定をオンする(S56)。時短を伴う図柄でなければ(S54のN)、S56の処理をスキップする。さらに確変を伴う図柄であれば(S58のY)、確変の設定をオンし(S60)、確変を伴う図柄でなければ(S58のN)、確変の設定をオフする(S62)。そして、特別遊技へ移行する(S64)。2R通常大当りである場合は2R通常特別遊技へ移行し、4R通常大当りである場合は4R通常特別遊技へ移行し、16R通常大当りである場合は16R通常特別遊技へ移行する。なお、ここで設定された確変のオンおよび時短のオンは、特別遊技の終了後に有効となる。ただし、本実施例においては大当りが全て時短を伴うため、S54,S56において時短の設定は必ずオンにされることになる。
一方、大当りでなく外れであった場合には(S52のN)、時短中であれば(S66のY)、その時短の終期となっていれば(S68のY)、時短の設定をオフにし(S70)、通常モードへ移行する(S72)。時短の終期となっていなければ(S68のN)、S70およびS72の処理をスキップする。時短中でなければ(S66のN)、S68からS72の処理をスキップする。
図29は、図25におけるS254の装飾図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。サブ基板104の演出決定手段132がメイン基板102から変動開始コマンドを受信した場合(S280のY)、受信した当否判定結果および特別図柄の停止図柄に応じて装飾図柄の停止態様を決定する(S282)。また、受信した当否判定結果および変動パターンに応じて変動演出パターンを決定する(S284)。さらに、受信した当否判定結果および変動パターンに応じて予告演出パターンを決定する(S285)。このとき、現在の演出モードに応じて図示しない演出パターンテーブルを参照し、演出パターンを決定する。
このとき、前兆設定がオンであれば(S286のY)、前兆設定の契機となった特定の変動でなければ(S288のN)、前兆演出を設定する(S289)。すなわち、図26のS269にて事前決定された前兆演出を設定する。前兆設定の契機となった変動であれば(S288のY)、特定のバトル演出を設定し(S290)、前兆設定をオフにする(S291)。すなわち、図26のS268にて事前決定されたバトル演出を設定する。そして、演出表示制御手段134は、装飾図柄190による図柄変動演出、予告演出などの表示制御を開始する(S292)。前兆設定がオフであれば(S286のN)、S288からS291の処理をスキップする。変動開始コマンドを受信していない場合には(S280のN)、S282からS292の処理をスキップする。
既に装飾図柄の変動表示が開始済みであれば(S293のY)、その演出表示処理を実行し(S294)、メイン基板102から変動停止コマンドを受信したときは(S296のY)、S282で決定された停止態様にて装飾図柄を停止表示させることで図柄変動表示を停止する(S298)。変動停止コマンドをメイン基板102から受信していないときは(S296のN)、S298の処理をスキップする。変動表示が開始済みでないときは(S293のN)、S294からS298の処理をスキップする。
図30は、図18におけるS16の特別遊技制御処理の全体的な過程を示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口(第1大入賞口91又は第2大入賞口92)が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口の開放処理を実行する(S100)。大入賞口が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。
一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、大入賞口の開放パターンを設定し(S93)、大当り演出の演出パターンを設定する(S94)。そして、特別遊技を開始して(S95)、大当り演出を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、チャンスモードに移行させる(S119)。そして、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
図31は、図30におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口を開放させる(S126)。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
図32は、図30におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
なお、この特別遊技における入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。4R特別遊技又は16R特別遊技であれば大入賞口の開放開始から30秒の経過であり、2R特別遊技であれば大入賞口の開放開始から0.5秒の経過である。このとき、単位遊技の繰り返し数が継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。この継続上限回数は、2R特別遊技であれば2回であり、4R特別遊技であれば4回であり、16R特別遊技であれば16回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
図33は、図18のS20における電断時処理を詳細に示すフローチャートである。メイン基板102に電源が遮断されたことを示す電断信号が入力されると(S370のY)、遊技状態を保存する処理が実行される。電断復帰制御手段182は、バックアップ対象となる遊技データを特定し、チェックサム(第1チェックサム)を生成してバックアップRAMに記録する(S372)。チェックサムの生成方式は、既知の方式であればよい。このとき特定される遊技データには中途状態データが含まれており、電断復帰制御手段182は、その遊技データをバックアップRAMに退避させる(S374)。遊技状態保持手段180は、その電源遮断時の遊技状態およびその進行状態を示す情報を記憶する。一方、電断信号の入力がなければ(S370のN)、S372およびS374の処理はスキップされる。なお、この電源遮断時においては、まずメイン基板102側が起動を停止し、続いてサブ基板104側が起動を停止する。メイン基板102から送信される各種コマンド情報をサブ基板104側で取りこぼさないようにするためである。
(第2実施例)
本実施例においては、一般入賞口72の配置およびエラー判定処理が第1実施例と異なる。以下、本実施例の詳細について、第1実施例との相異点を中心に説明する。図34は、第2実施例に係る遊技領域52の下半部の構成を表す部分拡大図である。
本実施例では、右側流路を流下した遊技球のみ一般入賞口への入球可能性があるように構成する。そして、近接センサによる検出状態との関係で入球センサによる検出可能性があり得ないタイミングで入球センサによる入球検出があった場合にエラーと判定する。
すなわち、本実施例では図示のように、一般入賞口72がセンター飾り64の右下方に配置され、右側流路57を流下する遊技球は入球し得るが、左側流路55を流下する遊技球は入球し得ない構成とされている。このような配置構成を利用し、近接センサ227による検出状態との関係で一般入賞検出装置73(入球センサ)による検出可能性がないと予め定められたタイミングでその入球検出があった場合にエラーと判定する。
具体的には、近接センサ227による検出状態(H)が継続している状態において、一般入賞口72への入球が検出された場合にエラーと判定する。遊技者がいわゆる左打ちを連続的に行っている場合を想定し、入球するはずのない一般入賞口72への入球検出があった場合に不正行為がなされている可能性があると判定するものである。このように、近接センサ227と一般入賞口72との位置関係を利用してエラー判定を効果的に行うことができる。
(第3実施例)
本実施例においては、流下通路部品が組合せ選択可能な複数の部品により構成される点が第1実施例と異なる。以下、本実施例の詳細について、第1実施例との相異点を中心に説明する。図35は、第3実施例に係る流下通路部品の構成を模式的に示す説明図である。(a)は流下通路部品の全体図を示し、(b)は流下通路部品を構成する部品とその組合せ態様を示している。
図35(a)に示すように、流下通路部品300は、上側の第1部品302と下側の第2部品304とを着脱可能に組み付けて構成される。第1部品302は、上部開口部214に導入された遊技球の減速度を調整する機能を有し、第2部品304は、ガイド通路240(図2参照)へ導出する遊技球の速度を調整する機能を有する。第1部品302は、下向きに傾斜する通路面を左右交互に有するジグザグ形状の内部通路を有する。図示の例では、上方から第1通路320、第2通路321、第3通路322および第4通路323が配設されており、これらが内部通路の通路面を形成している。
図35(b)に示すように、本実施例では第1部品302を2種類用意し、第2部品304を2種類用意している。すなわち、第1部品302として部品302a,302bが用意され、第2部品304として部品304a,304bが用意されている。部品302aは、部品302bと比較して内部通路の傾斜角度が小さく、上下方向の通路の数も多い。このため、部品302aのほうが部品302bよりも減速性能が高い。言い換えれば、部品302aは、部品302bと比較して遊技球の渋滞を招き易く、単位時間あたりの入賞数の低下(以下、「スランプ」ともいう)を意図的に起こすことができる。すなわち、第1部品302を「スランプ生成部」として機能させることもできる。
一方、部品304aは、部品304bと比較して通路の傾斜角度が大きい。このため、部品304bよりも遊技球をガイド通路240に向けて勢い良く送り出すことができる。すなわち、第2部品304における通路の傾斜角度を変更することにより、ガイド通路240を転動する遊技球の速度を調整することができ、それが隙間242からの落下率に影響する。傾斜角度が大きい部品304aを選択すれば、相対的に遊技球の勢いが大きくなり、隙間242を飛び越え易くなる。逆に、傾斜角度が小さい部品304bを選択すれば、相対的に遊技球の勢いが小さくなり、隙間242から落下し易くなる。それにより、第1始動口62への入賞率を変化させることができる。すなわち、第2部品304を「入賞率コントロール部」として機能させることもできる。
図示の例では、第1部品302と第2部品304との組合せとして4通りが選択可能とされている(点線矢印参照)。なお、変形例においては、第1部品302および第2部品304のそれぞれの種類の数を本実施例と異ならせてもよい。各部品の種類を多くすることで、スランプの発生率や始動口への入賞率についての設計値を容易に変更することができる。流下通路部品300の選定(第1部品302と第2部品304との組合せの選定)により、ガイド通路240(ゲージ)を変更することなく、これらの設計値を容易に変更できる。このため、遊技盤や部品の共用化が可能となり、汎用性が高められるといったメリットもある。
(第4実施例)
本実施例においては、アウト口の近傍に流下通路部品を設けた点が第1実施例と異なる。以下、本実施例の詳細について、第1実施例との相異点を中心に説明する。図36は、第4実施例およびその変形例に係る遊技領域52の下半部の構成を表す部分拡大図である。(a)は第4実施例を示し、(b)はその変形例を示す。
本実施例では、図36(a)に示すように、第1始動口62の左下方に流下通路部品410が着脱可能に取り付けられ、第1始動口62の右下方に流下通路部品412が着脱可能に取り付けられている。流下通路部品410は、遊技領域52の下部における左半部に延在し、その上面に右下方に向かって傾斜する通路面が形成されている。流下通路部品410の右端部は、アウト口58の上端縁および左端縁に沿う切り欠き形状とされており、その先端部の路面近傍に近接センサ414が埋設されている。
一方、流下通路部品412は、長尺板状をなして遊技領域52の下部における右半部に延在し、その上面に左下方に向かって傾斜する通路面が形成されている。流下通路部品412の左端は、流下通路部品410の右端部のやや上方に位置し、その先端と流下通路部品410の路面との距離が、遊技球の直径よりもやや大きくなるように構成されている。近接センサ414は、流下通路部品412と流下通路部品410とが上下方向にオーバラップする位置に配設されている。
このような構成により、ガイド通路240の隙間242から落下し、一般入賞口72に入球しなかった遊技球は、流下通路部品410の上面に受け止められ、その傾斜面に沿ってアウト口58に導かれる。また、右側流路57を流下し、大入賞口91,92、第2始動口63のいずれにも入球しなかった遊技球は、流下通路部品412の上面に受け止められ、その傾斜面に沿って流下通路部品410の上面に導かれ、方向を転換してアウト口58へと導かれる。これらの遊技球は、必ず近接センサ414の近傍の路面を通過することになる。これら流下通路部品410,412の通路面の傾斜角度を調整することにより、近接センサ414の検出幅(1球あたりの検出時間)を調整することもできる。
本実施例では、近接センサ414の検出状態に基づいてアウト口58に落入する遊技球の数(「アウト球数」ともいう)を算出する。この算出法は、近接センサ227を用いた発射球数の算出と同様であり、近接センサ414による検出時間からアウト球数を算出することができる。このアウト球数の算出により、例えばスランプ状態となっているか否かを判定することが可能となる。また、いわゆる左打ちの場合のみならず、右打ちの場合も含めた発射球数を算出することも可能となる。その場合、流下通路部品200内の近接センサ227については、左打ちによる発射球数のみの検出に用いることができる。
本実施例によれば、このようにアウト球の検出に通過センサではなく近接センサを用いることで、アウト口58での球詰まりを防止又は抑制することができる。また、流下通路部品410,412を着脱自在としたことで、アウト球数の算出の必要がない場合や、遊技領域52の下部スペースに余裕がない場合には、これらを取り付けないなどの選択も可能であり、遊技機の仕様に応じた柔軟な対応をすることができる。
図36(b)に示す変形例では、第1始動口62の右下方に流下通路部品420が着脱可能に取り付けられている。流下通路部品420は、遊技領域52の下部における右半部に延在し、その上面に左下方に向かって傾斜する通路面が形成されている。流下通路部品420の左端部は、アウト口58の上端縁および右端縁に沿う切り欠き形状とされており、その先端部の下面近傍に近接センサ414が埋設されている。その先端部の下面と遊技領域52の下端レール422との距離が、遊技球の直径よりもやや大きくなるように構成されている。
このような構成により、ガイド通路240の隙間242から落下し、一般入賞口72に入球しなかった遊技球は、下端レール422に沿ってアウト口58に導かれる。また、右側流路57を流下し、大入賞口91,92、第2始動口63のいずれにも入球しなかった遊技球は、流下通路部品420の上面に受け止められ、その傾斜面に沿って下端レール422に導かれ、方向を転換してアウト口58へと導かれる。これらの遊技球は、必ず近接センサ414の近傍の路面を通過することになる。流下通路部品420の通路面や下端レール422の傾斜角度を調整することにより、近接センサ414の検出幅を調整することもできる。
(第5実施例)
本実施例においては、近接センサの出力に基づく発射球数の算出方法が第1実施例と異なる。以下、本実施例の詳細について、第1実施例との相異点を中心に説明する。図37は、第5実施例に係る発射球数の算出方法を表す説明図である。
本実施例では、近接センサ227がオン(L→H)となったときに予め定める有効時間Tset(例えば5秒)の発射継続があったとみなす一方で、その発射継続時間の検出を継続する。そして、その有効時間Tsetが経過するまでに次の検出(L→H)がなされたときに、それまでの計時時間Δtを確定するとともに、そこから新たな有効時間Tsetの発射継続があったとみなす。このような演算処理を、有効時間Tset内に次の検出がなされなかったときまで繰り返し、それまでの計時時間Δtの累積値と最後に設定した有効時間Tsetとを加算した結果を発射継続時間T=ΣΔt+Tsetとして算出する。
図示の例では、時刻t2にて遊技球の検出が開始されたことにより有効時間Tsetがセットされている。その後、その有効時間Tsetが満了する前の時刻t31に次の検出がなされたため、それまでの計時時間Δt1を確定するとともに、そこから有効時間Tsetの発射継続があったとみなしている。その後、その有効時間Tsetが満了する前の時刻t32にさらに次の検出がなされたため、時刻t31からそれまでの計時時間Δt2を確定するとともに、そこから有効時間Tsetの発射継続があったとみなしている。すなわち、この時点での暫定的な発射継続時間Ttotal=Δt1+Δt2+Tsetということになる。その後、その有効時間Tsetが満了するまでに次の検出がなかったため、時刻t33にてその暫定的な発射継続時間Ttotalを算出値として確定している。
このように、近接センサ227の検出があるごとに有効時間Tsetを保証するのは、遊技球が流下通路部品200へ流入せずにワープ通路234に流入する可能性を考慮したものである。すなわち、ワープ通路234へ流入した遊技球も発射球数に含める必要があるため、その可能性を加味した補正値として有効時間Tsetを設定するものである。なお、この有効時間Tsetとしては、発射装置の操作中における発射周期よりも十分に長く、意図的な止め打ち時の未発射を発射球数と誤認しない程度の適度な時間が設定されている。
本実施例によれば、左側流路55を流下する遊技球のうち、ワープ通路234への分散球を考慮して発射球数が算出されるため、その発射球数の算出に取りこぼしが少なくなるといったメリットが得られる。なお、変形例においては、ワープ通路234への遊技球の分散率の係数を設定して発射球数を予測するようにしてもよい。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
(変形例1)
上記第1実施例では、図24に示したように、近接センサ227の検出オフ時間Toffがエラー基準値Ter以上となっているにもかかわらず、一般入賞口72への入球が検出された場合にエラーと判定する例を示した。変形例においては、近接センサ227の検出状態から推定される発射継続時間又は発射球数に対し、一般入賞口72への入球数が設計上不可能とされる判定基準値(エラー基準値)を超えた場合にエラーと判定するようにしてもよい。例えば、予め定める一定の発射時間を周期として一般入賞口72への入球数をカウントし、そのカウント値が予め設定したエラー基準値を超えたときにエラーと判定するようにしてもよい。この判定周期およびエラー基準値については、実験や解析等により適正な値を設定する。
(変形例2)
上記第1実施例では、図19に示したように、電源投入時に累積発射時間Talをクリア(初期化)する例を示した。変形例においては、ぱちんこ遊技機10がいわゆるリアルタイムクロックを内蔵し、そのリアルタイムクロックによる日付および時刻の情報に基づいて累積発射時間Talをクリアするようにしてもよい。あるいは、その時間情報に基づいて所定時間(例えば3時間)おきにそれをクリアしてもよいし、所定時間以上電源がオフとされた後の電源投入時にクリアしてもよい。
(変形例3)
上記第1実施例では、図14に示したように、演出モードによって確変大当りの示唆確度(明確性)が異なるよう演出態様を異ならせた。変形例においては、各演出モードにおいて確変大当りをコメント等により明示する共通の示唆演出を表示させることを前提としつつ、演出モードによってその示唆演出の出現頻度が異なるようにしてもよい。
(変形例4)
上記第3実施例では、流下通路部品を2分割する例を示したが、3分割以上としてもよい。そして、各部について内部通路の形状、大きさ、傾き等の少なくともいずれかが異なるものを複数種類設け、組合せのバリエーションを増加させてもよい。それにより、流下通路部品における遊技球の流下コントロールを微調整することも可能となる。
(変形例5)
上記実施例では、遊技状態にかかわらず先読みによる事前判定を実行する例を示した。変形例においては、入球容易状態(時短中)であることを条件に先読み処理を実行し、専用先読み予告や保留先読み予告等の先読み演出を表示させてもよい。また、例えばチャンスモードに限定するなど、先読み演出を表示対象とする遊技モードにおいてのみ先読み処理を実行してもよい。あるいは、演出モードA又はBが設定されている場合のチャンスモードに限定するなど、先読み演出を表示対象とする演出モードにおいてのみ先読み処理を実行してもよい。上記実施例では、第1の遊技および第2の遊技の双方において先読み処理を実行する例を示した。変形例においては、第2の遊技についてのみ先読み処理を実行し、先読み演出を表示させてもよい。また、入球容易状態の第2の遊技についてのみ先読み処理を実行し、先読み演出を表示させる構成としてもよい。
(変形例6)
上記実施例では、先読みによる事前判定を前提とする例を示したが、変形例においては先読みを行わない構成としてもよい。
(変形例7)
上記実施例では、当否抽選値の消化順序について第2当否抽選値を第1当否抽選値よりも優先的に消化する優先消化の仕様を採用した。変形例においては、第1始動口62および第2始動口63のうちいずれに遊技球が入球したかの順序にしたがって当否抽選値を消化させ、第1特別図柄192と第2特別図柄193とを選択的に変動表示させてもよい。このようにすれば、新たな保留がなされたときに演出表示順序が入れ替わることがなくなり、よりシンプルで遊技者に分かり易い遊技性を実現することができる。
(変形例8)
上記実施例では述べなかったが、入賞率Ncrが予め定める判定基準値以下である場合に、遊技機の画像や音声を遊技者の好みにカスタマイズしたり、その画像や音声の一部を遊技者に提供するサービスを付加してもよい。大当りを思い通りに獲得できなくとも、好みの画像や音声の提供という二次的なサービスにより遊技者を満足させ、それにより集客力の強化を図るものである。このサービスの利用にあたってユーザ登録等を行う場合には、遊技者が保有する携帯端末と遊技機、サービスサーバとの間で所定の通信処理を実行させればよい。このようにすることで、遊技者がいわゆるハマリの状態に陥っても遊技意欲を維持させることが可能となる。
(変形例9)
上記実施例では述べなかったが、アウト球の検出情報を用いて、特定の先読み演出を行うようにしてもよい。具体的には、先読み処理にて保留中の抽選値に大当りが含まれているか否かを判定する一方で、アウト球数に応じた演出を行うようにする。すなわち、アウト球数が所定球数を更新するごとに所定の先読み演出を表示させてもよい。例えば、アウト球の検出開始から20球が検出されるごとに、保留内に大当りがあれば「チャンス」,「キター」などを表示し、大当りがなければ「がんばる!」などを表示してもよい。大当りが継続して保留されないいわゆるハマリ状態となった場合、例えばアウト球数の累積値が3000球となったときに「あと少し!」などを表示し、6000球となったときに「もう一息!」などを表示してもよい。さらに8000球以降に大当りとなった場合、0球目から規定時間内であれば希少性の高いプレミア演出を表示させるようにしてもよい。このような演出制御を採用することで、遊技者がいわゆるハマリの状態に陥っても遊技意欲を維持させることが可能となる。
なお、このアウト球の検出については、アウト口58の近傍に通過センサ(入球センサ)を配置してもよいし、図36に示したような態様で近接センサを配置してもよい。前者を採用すれば、アウト球数を直接算出することができる。後者を採用する場合には、第1実施例にて説明したように、近接センサの検出状態からアウト球の検出時間を算出し、その検出時間からアウト球数を算出してもよい。近接センサとして感度の高いものを使用する場合には、その近接センサの出力に基づいてアウト球数を直接算出することもできる。
(変形例10)
上記実施例では、第1始動口62への入賞率Ncrの高低を示唆する演出として、演出可動役物140による回転表示演出を例示した。可動役物140の一方向への回転速度の大きさにより示唆するものである。変形例においては、入賞率Ncrの高さに応じて可動役物140の回転方向、回転/回転停止のタイミング等を異ならせるなどして示唆してもよい。あるいは、他の役物の動作演出にて示唆したり、演出表示装置60に演出として表示させてもよい。
また、一般入賞口72への入賞に関するエラー報知に可動役物140を利用してもよい。例えば、エラー判定がなされたときに、可動役物140を通常とは逆回転としてもよい。あるいは、回転/回転停止のタイミング等によりエラーを示唆するようにしてもよい。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。尚、本願発明は上記実施例や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施例や変形例に開示されている複数の構成要素の適宜組合せにより種々の発明を形成しても良いし、上記実施例や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、複数の実施例にわたる構成要素を適宜組み合わせることも可能である。