JP6710557B2 - 多気筒内燃機関 - Google Patents

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Description

本願発明は、多気筒内燃機関に関するもので、より正確には、シリンダブロックのウォータジャケットにジャケットスペーサを挿入しているタイプの内燃機関を対象にしている。
内燃機関のシリンダブロックには、気筒を冷却するためにウォータジャケットが形成されているが、気筒の上部が高温になることから、気筒の上部を集中的に冷却することが必要である。そこで、ウォータジャケットに整流用のジャケットスペーサ(ウォータジャケットスペーサ)を挿入して、冷却水をウォータジャケットの上部に流すことが行われている。
そして、多気筒内燃機関において、ウォータジャケットはシリンダボアの群(気筒群)を囲うように形成されており、このため、隣り合ったシリンダボアの間に位置したボア間部では、ウォータジャケットは気筒列中心線の側に入り込んだくびれ部(追い込み部)になっており、これに伴って、ジャケットスペーサもボア間の個所はくびれ部になっている。
ボア間部は、隣り合ったシリンダボアの燃焼ガスに晒されるため、シリンダブロックのうちで最も高温になるが、冷却水の流れは直進性があるのに対して、ウォータジャケットのくびれ部はく字状に曲がっているため、冷却水がくびれ部の奥部に入り込みにくくて、ボア間部の冷却が不十分になりやすい。そこで、冷却水をウォータジャケットにおけるくびれ部の奥部に積極的に導くことが考えられている。
その例として特許文献1には、ジャケットスペーサを、ウォータジャケットの上端まで届く高さに設定して、ジャケットスペーサの内側を全高にわたって冷却水通路に形成しているタイプにおいて、ジャケットスペーサのくびれ部のうち、ボア間部の中間点を通るボア間部横長中心線の上流側を切欠くことによって、冷却水をボア間部に誘導する一方、ボア間部には、シリンダヘッドのジャケットとウォータジャケットのくびれ部とに連通した穴(ドリルパス)を空けておき、ウォータジャケットからシリンダヘッドへの水流を形成することにより、ボア間部の冷却性を向上させることが開示されている。
また、特許文献2〜4には、特許文献1と同様にジャケットスペーサをウォータジャケットの上端まで届くように設定しているタイプにおいて、ジャケットスペーサのうちくびれ部に、ウォータジャケットの上端まで届く突起を設けて、この突起により、冷却水の流れがウォータジャケットにおけるくびれ部の奥部に向かうように誘導することが開示されている。更に述べると、特許文献2,3では、突起は、冷却水の流れ方向から見て、ボア間部横長中心線よりも手前側にオフセットされており、特許文献4では、突起はボア間部横長中心線を挟んだ前後両側に広がっている。
特開2005−291013号公報 特開2015−108346号公報 特開2015−108347号公報 特許第5175808号公報
特許文献1では、ジャケットスペーサの全体をウォータジャケットの上端に位置させており、ウォータジャケットの内側(ウォータジャケットの内周面とジャケットスペーサとの間)の間を、全高にわたって冷却水通路に形成しているため、気筒の上部を集中的に冷却するという機能が不十分になっていると云える。冷却水は、ウォータジャケットの全高に亙ってジャケットスペーサに接触するため、流れ抵抗(圧損)が大きくなって、燃費にとってマイナス要因になるという問題もある。
他方、特許文献2〜4では、ウォータジャケットの上部に主たる冷却水通路が形成されるため、気筒の上部を集中的に冷却する機能は強くなっていると云える。しかし、くびれ部の個所では突起はウォータジャケットの上端まで至っているため、突起が冷却水の流れに対する大きな抵抗として作用しており、従って、機関が高速回転して冷却水の流速が速くなると、くびれ部の個所において流れ抵抗が過剰に高くなって圧損が高くなったり、乱流が発生して流れのスムース性が損なわれたりすることが懸念される。
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
本願発明の内燃機関は、
「上面にシリンダヘッドが固定されるシリンダブロックに、直列に並んで上下に開口したシリンダボアの群と、前記シリンダボアの群を囲って上向きに開口したウォータジャケットとが形成されており、前記ウォータジャケットのうちボア間の部位は、前記各シリンダボアの軸心を結ぶボア列中心線の側に入り込むくびれ部になっており、冷却水は、前記ウォータジャケットを、端部に位置したシリンダボアの近傍部から周方向に流れるようになっており、
かつ、前記ウォータジャケットには、当該ウォータジャケットと略相似した整流用ジャケットスペーサが挿入されており、従って、ジャケットスペーサも、ボア列中心線の側に入り込むくびれ部を有している」、
という基本構成である。
そして、請求項1では、上記基本構成に加えて、
「前記ジャケットスペーサのうち冷却水が流れる部位を、前記シリンダブロックの上面よりも低い基本高さに設定することにより、ウォータジャケットのうち前記ジャケットスペーサの上側の部位に主たる冷却水流路を構成しており、かつ、前記ジャケットスペーサのうち少なくとも1つのくびれ部に、冷却水がボア間部に向かうように誘導する上向きのガイド突起が、前記ボア列中心線と直交してボア間の中間を通るボア間中心線よりも冷却水の流れの下流側にオフセットされた状態で設けられており、
かつ、前記ガイド突起は前記ウォータジャケットの上端より低い高さであり、前記ガイド突起の上方にも冷却水流路が形成されている」、
という構成になっている。
本願発明は、様々に展開することができる。その例として、請求項2の発明では、前記ガイド突起のうち冷却水が衝突する面を、冷却水の流れ方向に向かって上に行くに従って前にずれる傾斜面に形成している。
本願発明において、上下はシリンダボアの軸心方向を意味しており、シリンダブロックのうちシリンダヘッドにガスケットを介して固定される面を上面としている。従って、上下方向は必ずしも鉛直方向と一致するものではなく、スラント型の内燃機関では、上下方向は水平方向に近づくこともある。
更に、ジャケットスペーサを上下方向に位置決めする手段としては、ジャケットスペーサの適宜部位(例えば、気筒列方向に向いた前後両端部)に、ウォータジャケットの上端まで届くストッパー突起を設けたらよい。
本願発明は、冷却水が気筒列の一端部近傍からウォータジャケットに流入して、ウォータジャケットのほぼ全体を1周してからシリンダヘッドに排出されるタイプと、冷却水が、ウォータジャケットのうち排気側と吸気側との両方に分かれて流入して、両者が半周ずつ流れて合流してシリンダヘッドに排出されるタイプとの両方を含んでいる。冷却水がウォータジャケットをほぼ1周するタイプでは、冷却水は、排気側に流入してから吸気側に回り込むのが一般的である。
本願発明では、ジャケットスペーサのうちくびれ部の個所にガイド突起を設けたことにより、ガイド突起が冷却水の流れに対する堰の役割を果たして、冷却水の一部が、ウォータジャケットにおけるくびれ部の奥部に向かうように流れ方向が変えられる。これにより、シリンダブロックのボア間部を的確に冷却できる。
そして、本願発明では、ジャケットスペーサは、基本的にはウォータジャケットの上端よりも低い高さになっている。従って、ウォータジャケットの上部を冷却水の流路として、気筒の上部を集中的に冷却することができる。また、くびれ部の奥に入り込んだ冷却水は、ガイド突起の上を流れる水流に引き寄せられて速やかに排除されるため、ボア間部を常に強い水流に晒すことができるのであり、この面でも、ボア間部の冷却を確実化できると云える。
また、本願発明では、ガイド突起の上方にも冷却水の流路が形成されているため、冷却水の一部は、ガイド突起に接触することなくウォータジャケットの上端部を流れる水流になるが、この水流はガイド突起による抵抗がない分だけ流速が速くなるため、気筒の上端部の冷却性にも優れていると共に、圧損を抑制して燃費の向上に貢献できる。
更に、本願発明では、ガイド突起に衝突した冷却水は、当該ガイド突起の上方に逃げることができるため、機関が高速回転していて冷却水の流速が速くても、乱流の発生を防止又は抑制しつつ、冷却水を、くびれ部の部位をスムースに通過させることができる。更に述べると、ガイド突起の上方に上部水流が形成されていて、ガイド突起に当たって方向変換した冷却水は上部水流に引き寄せられるため、くびれ部の奥部の冷却を十分に行いつつ、冷却水の流れをスムースにすることができる。この面でも、圧損を抑制して燃費の向上に貢献できると云える。
請求項2の構成を採用すると、ガイド突起に衝突した冷却水を上方に逃がすことがよりスムースになるため、圧損の抑制に一層貢献できる。この場合も、ガイド突起は堰の役割を果たしていて、ガイド突起に衝突した冷却水は横に逃げてくびれ部の奥に入り込むため、ボア間部の冷却は的確に行われる。
既述のとおり、特許文献2,3では、突起は冷却水の流れ方向から見てボア間中心線の手前に位置しているが、ガイド突起の上方に水流が形成されるタイプでは、特許文献2,3のようにガイド突起をボア間中心線の手前(上流側)に配置すると、冷却水がウォータジャケットのくびれ部にあまり入り込まずに、ガイド突起の上方に逃げてしまい過ぎることになる。
これに対して本願発明のように、ガイド突起をボア間中心線の下流側に配置すると、冷却水の流れ方向から見てガイド突起の手前側にくびれ部が広がっているため、ガイド突起に衝突した冷却水をくびれ部の奥部に的確に誘導することができる。従って、ボア間部の冷却性をより確実化することができる。
(A)はシリンダブロックの平面図、(B)はガスケットを重ねた状態でのシリンダブロックの部分的な平面図である。 (A)はジャケットスペーサの斜視図、(B)は(A)のB−B視図(正面図)である。 (A)はジャケットスペーサの平面図、(B)は(A)の側面図である。 (A)はジャケットスペーサが組み込まれた状態でのシリンダブロックの平面図、(B)は(A)の要部拡大図である。 (A)は要部の部分平面図、(B)は要部の部分側面図である。 (A)は要部の拡大平面図、(B)は(A)のB−B視断面図で図5(B)のVIB-VIB 視断面図,(C)は(A)の(C)C−C視断面図で図5(B)のVIC-VIC 視断面図である。
(1).シリンダブロック
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、シリンダブロック1には、上下に開口したシリンダボア2が、クランク軸線方向に並んで3つ形成されており、更に、シリンダブロック1には、シリンダボア2の群を囲う上向き開口のウォータジャケット3が形成されている。
ウォータジャケット3は閉ループ形状であり、ボア間部4の個所では、各シリンダボア2の軸心を結ぶボア列中心線5の側に入り込んだくびれ部6になっている。くびれ部6の内周面は、ボア列中心線5に向かう山形形状であり、くびれ部6の外周面は、ヘッドボルト用タップ穴7を囲う円弧状になっている。従って、くびれ部6は、平面視においてボア列中心線5と直交してボア間部4の中間点を通るボア間中心線8の個所において最も深くなっている。なお、ボア列中心線5は、クランク軸線とほぼ同じである。
ウォータジャケット3のうち、シリンダブロック1の4つのコーナー部に位置した部位は、ヘッドボルト用タップ穴7の取り付け部が迫り出して隘路9になっており、隣り合ったくびれ部6の間の部位と、隣り合ったくびれ部6と隘路9との間の部位、及び、隣り合った隘路9の間の各部位は、大まかには、シリンダボア2群のうち、一端部のシリンダボア2の個所の1つを除いて、シリンダボア2の外周回りに緩く湾曲した弧状通路10になっている。
各弧状通路10は、シリンダボア2の軸心を横切るように延びる横長ボア中心線11又はボア列中心線5を挟んで対称形状になっており、かつ、弧状通路10の内周面はシリンダボア2と同心の円弧形状であるが、外周面は、内周面よりも大きい曲率半径の円弧面になっている。このため、各弧状通路10は、横長ボア中心線11又はボア列中心線5から遠ざかるほど、溝幅が徐々に大きくなっている。
ウォータジャケット3のうち、手前のシリンダボア2を挟んで排気側に位置した部分は、ボア列中心線5から大きく張り出した広幅の冷却水入り口12になっており、冷却水入り口12には、シリンダブロック1の長手一側面に開口した送水穴13が連通している。送水穴13に、ウォータポンプから冷却水が圧送される。シリンダブロック1の長手側面は、シリンダヘッドの排気側面と同じ側の排気側と、シリンダヘッドの吸気側面と同じ側の吸気側とに分かれているが、冷却水入り口12及び送水穴13は排気側に設けている。
内燃機関では、一般に、クランク軸線方向を前後方向として定義しており、タイミングチェーンが配置される側を前として、変速機が配置される側を後ろとしている。そこで、実施形態でもこの一般的な呼び方を踏襲しており、この呼び方に従うと、冷却水入り口12と送水穴13とは、シリンダブロック1の前部に設けている。
図1(B)に部分的に示すように、シリンダブロック1の上面にはガスケット14が重なっており、シリンダヘッドは、ガスケットを介してシリンダブロック1に固定されている。そして、冷却水入り口12に入った冷却水は、ウォータジャケット3のうち排気側の部分を後ろ向きに流れてから、後端のシリンダボア2の個所で流れを変えて、吸気側では前向きに流れており、ウォータジャケット3の前端部からシリンダヘッドに排出される。そこで、ガスケット14のうち、ウォータジャケット3の冷却水入り口12と部分的に重なる個所に連通穴15を空けている。
(2).ジャケットスペーサ
図2以下に示すように、ウォータジャケット3には、冷却水の流れを制御するため(整流するため)、ジャケットスペーサ18が挿入されている。ジャケットスペーサ18は、その機能からして、ウォータジャケット3と概ね相似した閉ループ形状であり、従って、ウォータジャケット3のくびれ部6に嵌まるくびれ部19と、ウォータジャケット3の弧状通路10に嵌まる弧状部20〜23とを有している。
ジャケットスペーサ18は、ウォータジャケット3の冷却水入り口12に嵌まる弧状部を有しており、便宜的に、この弧状部を入り口側弧状部と呼んで符号20を付している。また、ジャケットスペーサ18のうち、入り口側弧状部20に連続した前端部の弧状部は、フロント弧状部と呼んで符号21を付し、ジャケットスペーサ18のうち後端に位置した弧状部はリア弧状部と呼んで符号22を付しており、更に、残りの弧状部はサイド弧状部と呼んで、符号23を付している。
ガスケット14はウォータジャケット3の上端と同じ高さになるが、図5(B)に明示するように、サイド弧状部23とリア弧状部22とは、ウォータジャケット3の上端よりもある程度の寸法H1だけ低い基準高さになっている。従って、ウォータジャケット3のうち上側のH1の深さの部分が主たる冷却水通路になっている。
他方、図2に示すように、リア弧状部22には、ほぼウォータジャケット3の上端に至る薄いリアストッパー24を外周側に寄せて設けている。従って、ジャケットスペーサ18は、冷却水の流れを阻害することなく、後端部が上下動不能に保持されている。
また、図2から理解できるように、入り口側弧状部20と前端側のサイド弧状部23とに、ウォータジャケット3の上端まで届くフロントストッパー25〜27を設けており、これにより、ジャケットスペーサ18は全体にわたって上下動不能に保持されてている。この場合、サイド弧状部23に設けた第1フロントストッパー25は、サイド弧状部の外周側に寄せて薄く形成されており、このため、冷却水の流れは阻害されていない。
他方、入り口側弧状部20の前端部には、周回した冷却水が冷却水入り口12に還流することを阻止する仕切り板28を設けており、仕切り板28の上部に、入り口側弧状部20から分岐した形態の第2フロントストッパー26を形成して、第2フロントストッパー26と入り口側弧状部20の上端部とを底板29で繋ぐことにより、平面視で冷却水入り口12と部分的に重なる上向き開口のポケット部30を形成している。このポケット部30が、ガスケット14の連通穴15を介してシリンダヘッドのジャケットと連通している。第3フロントストッパー27は入り口側弧状部20に形成しており、第2フロントストッパー26と連続している。
フロント弧状部21は、おおまかにはウォータジャケット3を塞ぐような厚さであり(少しは隙間がある)、肉厚を均等化するために凹所31を形成している。そして、フロント弧状部21の上端は、各フロントストッパー25〜27よりも少し低くなっている。従って、ウォータジャケット3を周回するように流れた冷却水は、フロント弧状部21の上方を流れてからポケット部30に至り、ポケット部30からシリンダヘッドのジャケットに流れていく。
図2から容易に理解できるように、ウォータジャケット3の前端部と冷却水入り口12とは、ジャケットスペーサ18の仕切り板28と第2及び第3のフロントストッパー26,27とで仕切られている。このため、冷却水入り口12から冷却水がポケット部30に漏洩することは、全く又は殆どない。従って、冷却水入り口12に流入した冷却水は、シリンダヘッドにリークすることなくウォータジャケット3の排気側に流れていく。
ジャケットスペーサ18のうち入り口側弧状部20の個所には、冷却水を上向きにガイドして排気側に流す整流底板33を設けている。従って、整流底板33は、下流側に向けて高さが高くなるように傾斜している。また、入り口側弧状部20に、冷却水をジャケットスペーサ18の内側に導くために、上向きに開口した切り開き溝34を形成しており、切り開き溝34は、手前に位置したくびれ部19に連続している。
(3).ガイド突起
図2から把握できるように、ジャケットスペーサ18のうち排気側に位置した2つのくびれ部19には、冷却水をウォータジャケット3におけるくびれ部6の奥部に誘導するためのガイド突起35,36を設けている。便宜的に、冷却水の流れ方向を向いて後ろ側のガイド突起を第1ガイド突起と呼んで符号35を付し、前方のガイド突起を第2ガイド突起と呼んで符号36を付している。
両ガイド突起35,36は、ウォータジャケット3のくびれ部6に入り込むように、厚肉状に形成されているが、冷却水の流れ方向から見て、第1ガイド突起35の左右幅(左右厚さ)T1が、第2ガイド突起36の左右幅(左右厚さ)T2よりも小さくなっている。従って、冷却水の流れに対する抵抗は、第1ガイド突起35の方が小さい。
また、図5(B)に表示するように、第1ガイド突起35の高さH2は、第2ガイド突起36の高さH3よりも低くなっている。従って、両者の間にH4の高低差があり、この点でも、冷却水の流れに対する抵抗は、第1ガイド突起35の方が小さい。これら幅と高さとの違いにより、冷却水の流速は、第1ガイド突起35の個所よりも第2ガイド突起36の個所において速くなっている。
端的には、第1ガイド突起35の前面35aの面積を、第2ガイド突起36の前面36aの面積よりも小さくしている(或いは、36aを35aより大きくしている)のであり、これにより、冷却水の流れのスムース性を確保しつつ、前後2つのボア間部4が同じ程度に冷却されるように配慮しているのである。
つまり、冷却水は流れながら昇温していくが、第2ガイド突起36の個所では流速が速くなっているため、ボア間部4に対する冷却水の接触性は、第1ガイド突起35の個所よりも第2ガイド突起36の個所の方が高くなっており、従って、前後のボア間部4に対する冷却性(冷却水への放熱性)をできるだけ均等化できるのである。
本実施形態の特徴の一つとして、第2ガイド突起36とウォータジャケット3の上端(或いはガスケット14)との間には、水流が形成される程度の間隔H5が空いている。従って、ウォータジャケット3の上端部では、ガイド突起35,36の抵抗を受けずに流れる水流が形成される。
更に、図5(B)に明示するように、2つのガイド突起35,36の前面35a,36a(冷却水が衝突する面)は、冷却水の流れ方向に向かって下流に行くほど高くなるように傾斜しており、このため、冷却水が上向きに流れることがスムースにガイドされる。
更に、図5(B)に明示するように、2つのガイド突起35,36は、シリンダブロック1のボア間中心線8に対して冷却水の流れ方向の下流側に全体的にずれている(オフセットされている。)。より正確に述べると、両ガイド突起35,36の上端は、シリンダブロック1のボア間中心線8に対して、冷却水の流れ方向の下流側にオフセットされている。この構成により、ウォータジャケット3のくびれ部6に至った冷却水は、ジャケットスペーサ18のガイド突起35,36によって、ボア間部4に向かうような横向きのガイド作用を受ける。従って、ボア間部4を的確に冷却することができる。
ウォータジャケット3には、幅方向のウォータジャケット3の溝幅方向の位置決めのため、その内面と外面とにリブ37を設けている。また、図5(A)に明示するように、第1ガイド突起35と第2ガイド突起36との間に位置したサイド弧状部23は、上流側が内側で下流側が外側に位置するように、平面視で半径方向に段違いの形状になっている。いずれにしても、冷却水の水流は、主としてサイド弧状部23やリア弧状部22の上に形成される。
図2に明示するように、ジャケットスペーサ18のうち吸気側のくびれ部19の個所には、内向きリブ38を設けている。但し、吸気側のくびれ部19にもガイド突起を設けることは可能であり、この場合、冷却水の流れ方向に向かって、ボア間中心線8よりも下流側にオフセットするのが好ましい。また、吸気側のガイド突起は、第2ガイド突起36と同じ程度の高さ及び幅に設定しておくことができる。
図6(A)(B)に示すように、シリンダヘッド39に、ウォータジャケット3のくびれ部6に対応した冷却水取り入れ穴40を設けて、ウォータジャケット3のくびれ部6から、ガスケット14に形成した連通穴41を介してウォータジャケット3の冷却水取り入れ穴40に送水することも可能である。
この場合は、冷却水はガイド突起35のガイド作用によってくびれ部6の奥部に強制的に送られるため、冷却水取り入れ穴40に対して強く圧送される状態になっており、かつ、冷却水がシリンダヘッド39に流れると、くびれ部6への冷却水の入り込みも加速される。これらの相乗作用により、ボア間部4に対する冷却性を更に向上できる。
また、シリンダヘッド36はシリンダブロック1よりも高温になるが、シリンダヘッド39のジャケットに低温の冷却水をリークさせることができるため、シリンダヘッド36の冷却性も向上できる。その結果、冷却水の早期昇温によって暖機運転の短縮にも貢献できる。図では、1つのくびれ部6の個所でしかシリンダヘッド39に通水していないが、ガイド突起35,36を設けた全てのくびれ部6の個所において、くびれ部6からシリンダヘッド39に通水することは可能である。ジャケットスペーサ18の下端には、適宜間隔で多数の足42を設けている。
(4).その他
上記した実施形態は3気筒の内燃機関に適用した場合であったが、本願発明が2気筒又は4気筒以上の内燃機関にも適用できることはいうまでもない。また、ガイド突起は少なくとも1つのくびれ部の個所に設けたらよいが、その場合、少なくとも排気側のくびれ部に設けるのが好ましい。
4気筒以上の内燃機関の場合、排気側の各くびれ部において、ガイド突起の高さや幅を徐々に大きくすることも可能であるし、1番目のガイド突起と2番目のガイド突起とだけ幅と高さ(前面の面積)とを変えて、2番目以降のガイド突起は同じ高さと幅に設定することも可能である。或いは、1番目と2番目のガイド突起の面積は同じにして、3番目のガイド突起の面積を大きくすることも可能である。更に、各ガイド突起の面積を変える場合、2番目以降のガイド突起は同じ高さにして、幅だけを変更することも可能である。
更に、複数のガイド突起の前面を傾斜させる場合、その傾斜角度を変えることにより、冷却水の流れ抵抗を調節しつつボア間部の適切な冷却を図ることも可能である。前面を直立させたガイド突起と、前面が傾斜したガイド突起とを並設することも可能である(例えば、手前のガイド突起の前面は前傾させて、前方のガイド突起の前面は直立させる。)。
結局、複数のガイド突起の高さ、幅、前面の傾斜の程度(角度)を適宜組み合わせることにより、冷却水の流れを細やかに調節することが可能になる。また、ガイド突起による偏流作用調節手段としては、ガイド突起の前面を傾斜させることに代えて又はこれに加えて、ガイド突起の前面を、平面視でウォータジャケットの内面に近づくほど下流側にずれるように傾斜させることも可能であり、この場合は、冷却水をボア間部に向かわせる機能がより高くなると云える。
実施形態では、ガイド突起35,36の前面35a,36aは概ね縦長の長方形になっているが、少なくともの一部のガイド突起の前面を、上に行くに従って左右幅が小さくなる台形や三角形状に形成することも可能である。このように、前面の形状を変えることによっても、整流作用を調節することができる。
本願発明は、実際に内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 シリンダブロック
2 シリンダボア
3 ウォータジャケット
4 ボア間部
5 ボア列中心線
6 ウォータジャケットのくびれ部
8 ボア間中心線
10 弧状通路
12 冷却水入り口
14 ガスケット
18 ジャケットスペーサ
19 ジャケットスペーサのくびれ部
20〜23 ジャケットスペーサの弧状部
24〜27 ストッパー
35,36 ガイド突起
35a,36a 前面

Claims (2)

  1. 上面にシリンダヘッドが固定されるシリンダブロックに、直列に並んで上下に開口したシリンダボアの群と、前記シリンダボアの群を囲って上向きに開口したウォータジャケットとが形成されており、前記ウォータジャケットのうちボア間の部位は、前記各シリンダボアの軸心を結ぶボア列中心線の側に入り込むくびれ部になっており、冷却水は、前記ウォータジャケットを、端部に位置したシリンダボアの近傍部から周方向に流れるようになっており、
    かつ、前記ウォータジャケットには、当該ウォータジャケットと略相似した整流用ジャケットスペーサが挿入されており、従って、ジャケットスペーサも、ボア列中心線の側に入り込むくびれ部を有している構成であって、
    前記ジャケットスペーサのうち冷却水が流れる部位を、前記シリンダブロックの上面よりも低い基本高さに設定することにより、ウォータジャケットのうち前記ジャケットスペーサの上側の部位に主たる冷却水流路を構成しており、かつ、前記ジャケットスペーサのうち少なくとも1つのくびれ部に、冷却水がボア間部に向かうように誘導する上向きのガイド突起が、前記ボア列中心線と直交してボア間の中間を通るボア間中心線よりも冷却水の流れの下流側にオフセットされた状態で設けられており、
    かつ、前記ガイド突起は前記ウォータジャケットの上端より低い高さであり、前記ガイド突起の上方にも冷却水流路が形成されている、
    多気筒内燃機関。
  2. 前記ガイド突起のうち冷却水が衝突する面を、冷却水の流れ方向に向かって上に行くに従って前にずれる傾斜面に形成している、
    請求項1に記載した多気筒内燃機関。
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