JP6709492B2 - 送信装置、送信方法及び送信プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、無線信号を送信する送信装置、送信方法及び送信プログラムに関する。
IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)の技術革新によって、車・船舶・航空機等の移動体の半自動化・完全自動化が進んでいる。移動体の自動化、並びに移動体同士または移動体と人との間の協調作業、情報共有のためには、近接する移動体間の瞬間的な一対一又は一対多の通信が必要である(例えば、非特許文献1参照。)。
非特許文献1の通信システムは、前方と後方の2つの指向性アンテナを備える通信装置を車両に搭載し、車両の前方から受信した信号は車両の後方へ、車両の後方から受信した信号は車両の前方に、片方向転送を行う。
栗林他、「VANETのための遅延耐性を有するブロードキャスト通信方式の特性分析」、電子情報通信学会技術研究報告.IN、情報ネットワーク 109(37)、pp.19−24、2009−05−14
任意の移動体間の意思疎通のためには、移動体の空間的位置関係を用いた柔軟な通信を行うことが好ましい。特に任意の方向に移動可能なドローンやロボットの場合、信号の転送の方向が定まらない。非特許文献1のシステムは、信号の転送の方向が前方又は後方だけであるため、任意の方向に移動可能な移動体には適用できない。
そこで、本発明は、任意の方向に移動可能な移動体間の意思疎通を可能にすることを目的とする。
具体的には、本発明に係る送信装置は、
自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
方角を検出する方角検出部と、
前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
を備える。
具体的には、本発明に係る送信方法は、
自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出ステップと、
方角を検出する方角検出ステップと、
前記位置検出ステップで取得した地理的位置及び前記方角検出ステップで検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定ステップと、
前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御ステップと、
を備える。
具体的には、本発明に係る送信プログラムは、本発明に係る送信方法に備わる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。
本発明によれば、任意の方向に移動可能な移動体間の意思疎通を可能にすることができる。
本実施形態に係る通信システムの一例を示す。 本実施形態に係る通信機能の階層構造の一例を示す。 本実施形態に係る通信装置の構成例を示す。 仮想ビームとアンテナビームの一例を示す。 仮想ビームの照準を特定する座標の一例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第1例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第2例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第3例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第4例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第5例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第6例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第7例を示す。 実施形態2に係る仮想ビームBIの第8例を示す。 実施形態3に係る通信装置の一例を示す。 実施形態3に係る仮想ビームBIの第1例を示す。 実施形態3に係る仮想ビームBIの第2例を示す。 実施形態3に係る仮想ビームBIの第3例を示す。 実施形態4に係る通信装置の一例を示す。 実施形態4に係る仮想ビームBIの第1例を示す。 実施形態4に係る仮想ビームBIの第2例を示す。 実施形態4に係る仮想ビームBIの第3例を示す。 実施形態5に係る通信装置の一例を示す。 実施形態5に係る仮想ビームBIの一例を示す。 実施形態7に係る通信装置の一例を示す。 実施形態7に係る仮想ビームBIの一例を示す。 実施形態9〜11に係る通信システムの構成例を示す。 実施形態10に係る通信システムの構成例を示す。 実施形態11に係る通信システムの構成例を示す。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(実施形態1)
図1に、本実施形態に係る通信システムの一例を示す。本実施形態に係る通信システムは、移動可能な移動体に搭載された複数の通信装置91を備える。移動体は任意であり、例えば、人又はロボットである。移動体の移動範囲は任意であり、例えば、自動車若しくは列車のように地上であってもよいし、ボート、ヨット又は潜水艦のように水上又は水中であってもよいし、ドローン、航空機、衛星又は探査機のように空中又は宇宙であってもよい。本実施形態に係る通信システムは、各通信装置91−1、91−2、・・・91−Nの協調動作のために、RCL(Relay Control Layer)を用いることが好ましい。
図2に、通信装置91に備わる通信機能の階層構造の一例を示す。本実施形態における通信装置91の機能は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルの7階層、またはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)モデルの4階層に新たに1つ新しい層(RCL:Relay Control Layer)を追加し、新規に追加したRCLの機能として実現する。RCLの上位層はTCP/IPモデルのインターネット層であっても、今後新たに登場する新規のネットワーク層/トランスポート層でもよい。ネットワークインタフェース層は、既存のWiFi(登録商標)やBlueTooth(登録商標)でもよいし、今後登場する新規のネットワークインタフェース層でもよい。RCLは、フレーム単位で転送、送受信の処理を行い、フレームに対して処理に必要な情報を付加することもできる。本実施形態に係る通信システムは、事前のルーティングを必要とせずブロードキャスト転送を基本とするが、ルーティングプロトコルと協調して動作し、ユニキャスト転送を行ってもよい。
通信装置91−1は、発信ノードとして機能し、フレームを送信する。通信装置91−2は、転送ノードとして機能し、受信したフレームを転送する。通信装置91−3は、宛先ノードとして機能し、フレームを受信する。発信ノード及び転送ノードは、フレームを送信する際は送信ノードとして機能する。転送ノード及び宛先ノードは、フレームを受信する際は受信ノードとして機能する。各通信装置91は、送信ノードとして機能する際、フレームを送信する方角をフレームごとに決定し、その方角にフレームを送信する。
各通信装置91は固有のノードIDを有し、各フレームは固有のフレームIDを有する。ノードIDは、各通信装置91に固有な任意の識別情報であり、例えばMACアドレスである。フレームIDは、各フレームに固有な任意の識別情報であり、例えばシーケンス番号である。フレームIDは、発信ノードのノードIDと発信ノードで作成されたシーケンス番号の組み合わせであってもよい。
発信ノードは、自装置のノードID、シーケンス番号をフレームに含める。発信ノードは、さらに、自装置の位置を示す発信位置をフレームに含めてもよいし、フレームを送信した時刻を示す発信時刻をフレームに含めてもよい。
転送ノードは、自装置のノードIDをフレームに含める。転送ノードは、フレーム送信時の自装置の位置を示す送信位置をフレームに含めてもよい。転送ノードは、転送履歴をフレームに含めてもよい。転送履歴は、例えば、ホップ数又は転送経路長である。
図3に、本実施形態に係る通信装置の構成例を示す。本実施形態に係る通信装置91は、位置検出部11、方角検出部12、RCLは内部に仮想ビーム決定部31、アンテナ制御部32、フレーム生成部33、受信処理部34を備える。ネットワークインタフェース層は、内部に送信アンテナ14、受信アンテナ15、を備える。
通信装置91は、コンピュータを、通信装置91に備わる各機能として機能させることで実現してもよい。この場合、通信装置91内のCPU(不図示)が、記憶部(不図示)に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、各構成を実現する。
位置検出部11は、自装置の絶対的な地理的位置を取得し、位置情報を出力する。取得方法は任意であり、例えば、衛星測位システムを用いることができる。方角検出部12は、例えば地磁気センサ、加速度センサ又は方位センサであり、方角を検出し、方角情報を出力する。
フレーム生成部33は、通信装置91の送信するフレームを生成する。フレームは、RCLで処理されるRCLフレームであることが好ましい。送信アンテナ14は、アンテナ制御部32からの制御に従って、無線信号を送信する。受信アンテナ15は、無線信号を受信する。受信処理部34は、フレームを受信する。
図4に、送信アンテナ14の一例を示す。送信アンテナ14A〜14Dは、通信装置91に対して特定の方向に指向性を有し、ビームフォーミングの可能なアンテナであることが好ましい。通信装置91と送信アンテナ14A〜14Dの接続は固定であることから、いつ、どこで、どのアンテナがどの方向を向いているかを検知することができる。受信アンテナ15は、送信アンテナ14と同様に、通信装置91に対して特定の方向に指向性を有していてもよい。また送信アンテナ14及び受信アンテナ15は共通のアンテナであってもよい。
なお、送信アンテナ14A〜14Dの間に遮蔽板を設置することが好ましい。また送信アンテナ14は、4本に限らず、2本、6本、8本などの任意の本数であってもよい。例えば、仮想ビームBIの宛先方角に応じてアンテナビームBAの方向が可変な送信アンテナ14であれば、送信アンテナ14の本数を1本にすることもできる。また、アンテナ14A〜14Dが指向性を有する方向は、水平方向に限らず、図5に示すように、垂直方向であってもよい。
仮想ビーム決定部31は、方角情報を用いて、送信アンテナ14がどの方角を向いているのかを検出する。そして、仮想ビーム決定部31は、位置情報及び方角情報を用いて、仮想ビームの照準及び形状を決定する。仮想ビームは、送信アンテナ14から放射する理想的なビームである。アンテナ制御部32は、フレーム生成部33の生成したフレームを、送信アンテナ14に送信させる。このとき、各送信アンテナ14から送信されるアンテナビームが、仮想ビームに応じた照準及び形状を有するように、各送信アンテナ14を制御する。これにより、通信装置91は、通信装置が回転したり、移動したりしても、特定の絶対的な宛先方角に向けて、フレームを送信することができる。
このように、通信装置91は、アンテナビームを特定の宛先方角に放射する。このため、送信アンテナ14は、アンテナビームの照準及び形状が可変な指向性を有するアンテナであることが好ましい。また、通信装置91は、特定の絶対的な宛先方角に向けてフレームを送信するため、通信装置91同士の電波干渉を抑制しつつ、任意の方向に移動可能な移動体間の意思疎通を行うことができる。
図4に、仮想ビームとアンテナビームの一例を示す。送信アンテナ14A〜14Dの各アンテナビームの照準がそれぞれ北東、南東、南西、北西であり、仮想ビームBIの照準Sが北北東であり、仮想ビームBIのビーム形状を示す角度θが135°である場合、送信アンテナ14A及び14DがアンテナビームBAを放射する。このとき、送信アンテナ14Dは、仮想ビームBIと重複する範囲のみにアンテナビームBAを出力することが好ましい。また、送信すべき宛先方角を最もカバーしている送信アンテナ14AのみがアンテナビームBAを出力してもよい。
仮想ビームの照準は任意であり、例えば、座標であってもよいし、方向であってもよい。座標は、例えば図5に示すような、南南東157.5°かつ距離200mや、上45°かつ200mなどの、方向及び自装置からの距離である。座標は、例えば、北緯35°42’18’’,東経139°44’13’’,高度1mなどの、緯度、経度及び高度の組み合わせである。方向は、例えば、南南東157.5°かつ上45°などの水平方向及び垂直方向の指定であってもよい。
仮想ビームの形状は任意であり、例えば、球状又は楕円球状又はこれらの一部である。球状又は楕円球状の一部の場合、仮想ビームBIの形状は、照準Sの座標と自装置と照準Sとの直接の周りで球面を切り取る角度θでありうる。ただし、後述するように、仮想ビームBIの形状は、送信アンテナ14の形成し易い任意の形状にすることができる。その場合、仮想ビームBIの形状は、角度θに代えて、送信アンテナ14に応じた任意のパラメータとなる。
以上説明したように、各通信装置91は、フレームを送信する際に、仮想ビームBIを決定し、これに応じてアンテナビームBAを放射する。このため、本実施形態に係る通信装置91及びこれを用いた通信システムは、自装置の位置と通知メッセージをリレーする方向を絶対座標で認識して動作することができる。
(実施形態2)
本実施形態に係る通信装置91は、宛先空間Aに向けてフレームを送信する。仮想ビーム決定部31は、フレームの宛先を示す宛先空間Aに基づいて、仮想ビームBIの照準S及び形状を決定する。
宛先空間Aは、宛先の座標から決定することができる。座標は、例えば、緯度、経度及び高度の組み合わせである。宛先空間Aは、3次元空間を構成する複数の座標を含んでいてもよい。3次元空間の形状は、通信システムが利用される環境に応じた任意の形状とすることができ、例えば、方形、球、楕円球、コーン形状又はこれらの組み合わせが例示できる。例えば、部屋などの閉じた空間であれば、3次元空間の形状は方形となりうる。宛先空間Aは、宛先ノードのノードIDから決定してもよい。この場合、宛先ノードのノードIDから、宛先ノードが位置する空間を導出し宛先空間Aとする。宛先空間Aは、宛先の座標又は宛先ノードの周囲の空間を含んでいてもよい。宛先空間Aは、さらに時間に基づいて決定されてもよい。時間に基づいて決定する例として、電車の車両を宛先空間としたい場合、電車の運行状況と現在時刻に基づいて宛先空間Aを決定する。
通信装置91が宛先空間Aに向けてフレームを送信するため、実施形態に係る通信システムは、宛先空間Aへの情報配信を行うことができる。送信ノードが宛先空間A外のとき、フレームを宛先空間Aまで効率よく転送することができる。これにより、一定エリア内で利用可能なクーポンをエリアに近づく通信装置に配布したり、エリア内のサイネージに配布したりすることが可能になる。また送信ノードが宛先空間A内のときには、フレームを宛先空間A内に一様に過不足なく行きわたらせることができる。これにより、同一エリア内を移動するロボット同士の存在周知を行うことができる。宛先空間Aは、自装置に対する宛先方角であってもよい。車やドローンなどが進行方向に発するアラート等に適用できる。特に交差点やカーブで有用である。
図6に、アンテナビームBAが宛先空間Aに到達しない場合の仮想ビームBIの一例を示す。仮想ビームBIの照準Sが通信装置91と宛先空間A内に位置する点を結ぶ直線上の座標であり、仮想ビームBIの形状を示す角度θ内に宛先空間Aを含む。宛先空間A内に位置する点は、宛先空間A内に位置する1以上の任意の点とすることが可能であり、例えば、宛先空間Aの中心に位置する点PRCであってもよいし、宛先空間Aの端部に位置する点PREであってもよい。
図7に、アンテナビームBAが宛先空間Aに到達する場合の仮想ビームBIの一例を示す。仮想ビームBIの照準Sが宛先空間A内の座標であり、仮想ビームBIの形状が球であり、球を切り取る角度θ内に宛先空間Aを含む。通信装置91から宛先空間Aまでの距離Rが既知の場合、仮想ビーム決定部31は、仮想ビームBIの照準S及び形状に加え、さらに仮想ビームBIの距離Dを決定してもよい。
ここで、仮想ビームBIの形状を示す角度θは、発信ノードの発信位置からの距離によって異なってもよい。例えば、通信装置91が周回衛星である場合、地球から遠い衛星ほど周回速度が速い。この場合、図8に示すように、通信装置91−1の角度θ−1、通信装置91−2の角度θ−2、通信装置91−3の角度θ−3の順に、角度が大きくなることが好ましい。これにより、高度の高い周回衛星であっても受信確率を向上することができる。なお、発信ノードの発信位置からの距離は、直線距離に限らず、発信ノードからのホップ数であってもよいし、発信ノードからの転送経路長であってもよいし、発信ノードの発信時刻から現在時刻までの経過時間であってもよい。
仮想ビームBIの形状を示す角度θは、宛先空間Aから自装置までの距離によって異なってもよい。例えば、宛先空間Aが大きい場合、複数の転送ノードを用いて宛先空間Aに転送する必要がある。この場合、図9に示すように、宛先空間Aから自装置までの距離が短いほど仮想ビームBIの形状を示す角度θを大きくする。具体的には通信装置91−1の角度θ−1、通信装置91−2の角度θ−2、通信装置91−3,91−4の角度θ−3,θ−4の順に、角度が大きくなることが好ましい。これにより、宛先空間Aが大きい場合であっても、宛先空間A内の全域にフレームを転送することができる。なお、宛先空間Aから自装置までの距離は、直線距離に限らず、宛先空間から自装置までのホップ数であってもよいし、宛先空間から自装置までの転送経路長であってもよいし、現在時刻から予め定められた制限時刻までの残り時間であってもよい。宛先空間A内の宛先ノードの受信可能な電波の方向が限定されている場合においても有効である。
なお、仮想ビームBIの形状は球や楕円球に限らず異なる形状の立体であってもよい。例えば、図10に示すように、円柱(楕円柱)を切り取った形状であってもよい。この場合、仮想ビームBIの形状は、高さHを含む。
図11に、通信装置91が宛先空間Aの端点に接する場合の仮想ビームBIの一例を示す。図12に、通信装置91が宛先空間Aの一面に接する場合の仮想ビームBIの一例を示す。通信装置91が宛先空間Aの端点又は一面に接する場合、仮想ビームBIの照準Sは宛先空間A内の座標であり、仮想ビームBIの形状を示す角度θ内に宛先空間Aを含む。図では、角度θの一例として、水平面であるxy平面における角度θIxy、高さ方向を含むxz平面における角度θIxz、高さ方向を含むyz平面における角度θIyzのうちのxz平面についてのみ示した。図11に示すように宛先空間Aが直方体であり、直方体の頂点に通信装置91が位置する場合、仮想ビームBIの形状は、宛先空間Aを含む最小の球面の一部である1/8球面であり、度θIxy、角度θIxz及び角度θIyzは90°である。また図12に示すように宛先空間Aが直方体であり、直方体の面上に通信装置91位置する場合、角度θIxyは360°であり、角度θIxz及び角度θIyzは180°である。
図10〜図12では仮想ビームBIの形状が角度θで定められる例を示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、屋内、道路上等を想定すると、図13に示すように、仮想ビームBIは、多面体となりうる。この場合、宛先空間Aの形状が特定できるよう、仮想ビームBIの形状は、宛先空間Aを構成する線又は面に配置される1以上の参考点Pを含む。仮想ビームBIが直方体の場合、仮想ビームBIの形状は、例えば、照準Sと参考点P2点の座標である。
また、仮想ビーム決定部31は、宛先空間Aの形状をそのまま仮想ビームBIの形状としてもよい。また、図11〜図13では宛先空間Aが直方体(立方体)である例を示したが、宛先空間Aの形状は任意である。例えば、円柱、楕円柱、球、楕円球であってもよい。
また、図11〜図13では通信装置91が宛先空間Aに接する例を示したが、通信装置91は宛先空間A内に位置していてもよい。この場合、仮想ビームBIの照準Sを全方位又は∞とし、宛先空間A内に一様に過不足なく行きわたらせることが好ましい。例えば、仮想ビームBIの形状が角度θで定められる場合、仮想ビームBIの形状を球形とする。宛先空間AがアンテナビームBAの到達範囲内である場合、球の半径Rは、仮想ビームBIが宛先空間Aを含む最小の球となるように定めることが好ましい。
また、仮想ビーム決定部31は、宛先空間Aの形状をそのまま仮想ビームBIの形状としてもよい。例えば、仮想ビームBIの形状が立方体の場合、仮想ビームBIの形状は、照準Sと参考点P2点の座標を用いて特定する。
なお、図12では仮想ビームBIの中心に自装置である通信装置91が配置される例を示した、仮想ビームBIに対する通信装置91の位置は任意である。この場合、図13と同様に、自装置に代わり中心点となる参考点Pを別途指定する。
(実施形態3)
本実施形態に係る通信装置91は、自装置の周囲に位置するノードに応じた宛先方角にフレームを送信する。図14に、本実施形態に係る通信装置の一例を示す。本実施形態に係る通信装置91はノード検出部41を備える。ノード検出部41は、自装置である通信装置91の周囲に位置するノード92を検出する。仮想ビーム決定部31は、ノードの位置に基づいて、仮想ビームの照準S及び形状を決定する。
ノードの検出方法は任意である。例えば、以下が例示できる。
(1)通常のフレームを利用する。例えば、各ノードは、自装置のノードIDをフレームに含める。ノードの位置は、フレーム内に送信元の位置(GPS値:緯度、経度、高度を含む)を含めてもよいし、受信したフレームの電波強度から距離を推定してもよいし、受信したフレームの方向を推定可能なアンテナからの情報を利用してもよい。位置は、最新版を利用してもよいし、一定期間の平均値を利用してもよい。
(2)各リンクが保持している情報を利用する。例えば、WiFiでは、Beacon受信状況により隣接ノード情報を保持しているので、その情報を取得して利用する。
(3)ノード検出用のフレームを利用する。例えば、各ノードがノード検出用のフレームを定期的に送信し、その受信状況に基づいて周辺のノードを検出する。ノード検出用のフレームに含まれる情報は(1)の方法と同様である。
図15及び図16に、仮想ビームBIの第1例及び第2例を示す。仮想ビームBIの第1例は、ノード92の位置に合わせた仮想ビームBIの照準S−1、S−2及び角度θ−1、θ−2となっている。仮想ビームBIの第2例は、ノード92の空間的分布に合わせた仮想ビームBIの照準S及び角度θとなっている。仮想ビームBIの形状は、例えば、ノード92の密度の高い領域のみが含まれるような形状である。
図17に、仮想ビームBIの第3例を示す。仮想ビームBIの第3例は、転送元のノード93を避けた仮想ビームBIの照準S及び角度θとなっている。この場合、仮想ビーム決定部31は、ノード検出部41の検出したノードにフレームの転送元のノード93が含まれているか否かを判定し、ノードのなかに転送元のノード93が存在する場合、仮想ビームBIの領域内にノード93が含まれないよう、仮想ビームBIの形状を決定する。無駄な電波の放出を抑え、消費電力削減、電波干渉の回避が期待できる。
図15〜図17では仮想ビームBIの形状が自装置と照準との直接の周りで球面を切り取る図6及び図7に示すような角度θである場合を示すが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態2において説明したように、球面を切り取った形状でない他の形状との組み合わせであってもよい。
また、仮想ビームBIの宛先方角は、宛先空間Aとは反対の方角であってもよい。ノードが存在しない場合、宛先方角への電波発射が許可されていない場合などに、迂回路を探し出すことができる。
また、仮想ビーム決定部31は、ノード検出部41の検出したノードのなかから所定の条件をみたすものを選択し、選択したノードのみが含まれるように仮想ビームBIの照準S及び形状を決定してもよい。所定の条件は、例えば、過去の通信成功度を管理し、通信成功度の高いノードのみを選択する方法がある。また、各ノード92の移動速度が遅いノードのみを選択する方法がある。各ノード92の電池残量が多いノードのみを選択する方法がある。各ノード92の演算処理負荷が低いノードのみ選択する方法がある。自通信装置91が対応可能な無線方式チャネル等のパラメータを持つノードのみを選択する方法がある。これらの方法でノードを選択することで、本実施形態に係る通信装置91は、電波干渉を抑制しつつ、より確実に転送可能なノードに対してフレームを送信することができる。
(実施形態4)
本実施形態に係る通信装置91は、フレームの到来方角に応じた宛先方角にフレームを送信する。図18に、本実施形態に係る通信装置の一例を示す。本実施形態に係る通信装置91は到来方角検出部42を備える。到来方角検出部42は、受信アンテナ15がフレームを受信すると、方角検出部12からの方角情報を用いて当該フレームが到来した到来方角を検出する。仮想ビーム決定部31は、到来方角検出部42の検出した到来方角に基づいて、仮想ビームBIの照準S及び形状を決定する。
受信アンテナ15が図4に示す14A〜14Dのように配置されており、14Aのみがフレームを受信した場合、到来方角検出部42は、14Aの方角を到来方角として検出する。到来方角は、14Aの中心角Cの方角であってもよいし、アンテナビームBAの全範囲の方角であってもよい。
図19〜図21に、仮想ビームBIの第1例〜第3例を示す。図19に示した仮想ビームBIの第1例では、仮想ビーム決定部31が、ノード93の位置する到来方角とは反対方向を、仮想ビームBIの照準Sに決定する。これにより、中継効果が得られる。図20に示した仮想ビームBIの第2例では、仮想ビーム決定部31が、ノード93の位置する到来方角を除く範囲を、仮想ビームBIの形状に決定する。これにより、拡散効果が得られる。図21に示した仮想ビームBIの第3例では、仮想ビーム決定部31が、同一水平面上に配置されていたノード93とは垂直な垂直面方向を、仮想ビームBIの照準Sに決定する。これにより、中継面の転換を行うことができる。
(実施形態5)
本実施形態に係る通信装置91は、電波環境に応じた宛先方角にフレームを送信する。図22に、本実施形態に係る通信装置の一例を示す。本実施形態に係る通信装置91は電波環境検出部44を備える。電波環境検出部44は、自装置である通信装置91の周囲の電波使用状況を把握する。仮想ビーム決定部31は、電波環境検出部44の検出した電波環境に基づいて、仮想ビームBIの照準S及び形状を決定する。
図23に、仮想ビームBIの一例を示す。同一周波数チャネルを利用する電波発生源94が存在する場合、仮想ビーム決定部31は、電波発生源94を含まないように、仮想ビームBIの照準S及び角度θを決定する。電波発生源94は、ノードに限らず、電波の到来方向であってもよい。
仮想ビーム決定部31は、宛先方角に電波発生源が存在する場合は、電波発生源94を含むように、仮想ビームBIの照準S及び角度θを決定してもよい。電波発生源に向けて送信することで、受信確度を上げる効果がある。また電波発生源94の方角に送信する場合、仮想ビームBIの角度θを狭め、仮想ビームBIの距離Dを長くとることで、同様に受信確度を向上することができる。
(実施形態6)
本実施形態に係る通信装置91は、自装置の高度に応じた宛先方角にフレームを送信する。例えば、通信装置91が図3と同様の構成を備え、位置検出部11が自装置の高度を検出する。仮想ビーム決定部31は、自装置の高度に基づいて、仮想ビームの照準S及び形状を決定する。
例えば、位置検出部11が飛行中であることを示す高度を検出した場合、仮想ビーム決定部31は、図5に示す下−90°を、仮想ビームBIの照準Sに決定する。一方、位置検出部11が地上を走行中であることを示す高度を検出した場合、仮想ビーム決定部31は、図5に示す水平0°を、仮想ビームBIの照準Sに決定する。これにより、空中に位置する場合は地上に向けてフレームを送信し、地上の場合は地上に向けてフレームを送信することができる。
(実施形態7)
本実施形態に係る通信装置91は、自装置の周辺の情報に応じた宛先方角にフレームを送信する。図24に、本実施形態に係る通信装置の一例を示す。本実施形態に係る通信装置91は情報取得部45を備える。情報取得部45は、自装置の周辺の情報を取得する。仮想ビーム決定部31は、当該情報に基づいて、仮想ビームBIの照準S及び形状を決定する。自装置の周辺の情報は、例えば、地図情報又は電波環境情報である。
図25に、仮想ビームBIの一例を示す。自装置の周囲に電波を妨害する障害物95が存在する場合、仮想ビーム決定部31は、障害物95を避けるように、仮想ビームBIの照準S及び角度θを決定する。障害物95は、例えば、ビルなどの構造物、電波を共用する他の通信システムの通信領域である。時刻によって障害物95の有無が変わる場合、自装置の周辺の情報として、時間の情報が含まれていてもよい。
(実施形態8)
本実施形態に係る通信装置91は、自装置の電池残量に応じた宛先方角、範囲にフレームを送信する。例えば、通信装置91が図3と同様の構成を備え、仮想ビーム決定部31が自装置の電池残量を取得する。仮想ビーム決定部31は、自装置の電池残量に基づいて、仮想ビームの照準及び形状を決定する。
例えば、電池残量が多い場合は角度θを広くし、電池残量が少ない場合は角度θを狭くする。角度θを狭くすることで、図4に示す送信アンテナ14A〜14Dのうちの稼働させるアンテナの数を減らすことができる。これにより、消費電力を低減することができる。またビームフォーミング可能なアンテナであれば、範囲が狭まるとアンテナの出力電力も抑えられ、消費電力の削減効果がある。電池残量が多い場合は仮想ビームBIの距離Dを長くし、電池残量が少ない場合は仮想ビームBIの距離Dを短くしてもよい。
(実施形態9)
本実施形態に係る通信装置91は、無限のフレームの転送を防ぐための機能を有する。以下、図26を参照しながら説明する。図26は、発信ノードとして機能する通信装置91−1から送信されたフレームが、通信装置91−4及び91−5、通信装置91−6で順に転送され、宛先空間Aに位置する通信装置91−9及び91−10で受信される例を示す。
例えば、通信装置91が図3と同様の構成を備え、フレームが保存期限を含む。通信装置91−1において、フレーム生成部33が、保存期限をフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6において、受信処理部34は、フレームから保存期限を読み出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、フレームの受信時刻が保存期限内である場合に、仮想ビームBIの照準及び形状を決定する。通信装置91−9、91−10においてフレームの受信時刻が保存期限を過ぎている場合、通信装置91−9、91−10はフレームを送信しない。このため、無限のフレームの転送を防ぐことができる。
例えば、通信装置91が図3と同様の構成を備え、フレームがフレームの生成地点である発信位置を含む。通信装置91−1において、フレーム生成部33は、位置検出部11の検出した位置を発信位置としてフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、受信処理部34は、フレームから発信位置を読み出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、位置検出部11の取得した地理的位置が発信位置から設定された範囲内である場合に、仮想ビームBIの照準及び形状を決定する。この設定された範囲は、予め定められたしきい値を用いてもよいし、自装置の状況に応じてしきい値を変更してもよい。通信装置91−9、91−10において位置検出部11の取得した地理的位置が発信位置から設定された範囲外である場合、通信装置91−9、91−10はフレームを送信しない。このため、無限のフレームの転送を防ぐことができる。
例えば、通信装置91が図3と同様の構成を備え、フレームが宛先空間Aを含む。通信装置91−1において、フレーム生成部33は、宛先空間Aをフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、受信処理部34は、フレームから宛先空間Aを読み出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、位置検出部11の取得した地理的位置が宛先空間Aを基点として設定された範囲内である場合に、仮想ビームBIの照準及び形状を決定する。この設定された範囲は、予め定められたしきい値を用いてもよいし、自装置の状況に応じてしきい値を変更してもよい。通信装置91−9、91−10において位置検出部11の取得した地理的位置が宛先空間Aを基点として設定された範囲外である場合、通信装置91−9、91−10はフレームを送信しない。このため、無限のフレームの転送を防ぐことができる。
例えば、通信装置91が図3と同様の構成を備え、フレームが残り可能ホップ数を含む。通信装置91−1において、フレーム生成部33は、残り可能ホップ数をフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、受信処理部34は、フレームから残り可能ホップ数を読み出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、残り可能ホップ数が1以上の場合に、仮想ビームの照準及び形状を決定する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、アンテナ制御部32は、フレームに含まれる残り可能ホップ数が1つ減らされたフレームを、送信アンテナ14に送信させる。通信装置91−9、91−10において残り可能ホップ数が1未満の場合、通信装置91−9、91−10はフレームを送信しない。このため、無限のフレームの転送を防ぐことができる。
例えば、通信装置91がさらに距離算出部(不図示)を備え、フレームが転送経路長を含む。転送経路長は、フレームの生成地点である発信位置から送信ノードまでの転送経路長である。通信装置91−1において、フレーム生成部33は、位置検出部11の取得した位置情報を、転送経路長としてフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、受信処理部34は、フレームから転送経路長を読み出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、距離算出部(不図示)は、受信アンテナ15が受信したフレームの送信元である送信ノードから自装置までの距離を算出する。例えば、通信装置91−6は、通信装置91−4から通信装置91−6までの距離を算出する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、距離算出部(不図示)の算出した距離を転送経路長に加算した総転送経路長が設定された範囲内である場合に、仮想ビームの照準及び形状を決定する。ここで、この設定された範囲は、予め定められたしきい値を用いてもよいし、自装置の状況に応じてしきい値を変更してもよい。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、アンテナ制御部32は、フレームに含まれる転送経路長が総転送経路長に更新されたフレームを、送信アンテナ14にフレームを送信させる。通信装置91−9、91−10において距離算出部(不図示)の算出した距離を転送経路長に加算した総転送経路長が設定されたしきい値以上である場合、通信装置91−9、91−10はフレームを送信しない。このため、無限のフレームの転送を防ぐことができる。
(実施形態10)
本実施形態に係る通信装置91は、不要な転送を防ぐための機能を有する。以下、図26及び図27を参照しながら説明する。
例えば、2回以上同じフレームを送信しない。この場合の通信装置91の装置構成は図3と同様である。図27に示すように、通信装置91−1において、フレーム生成部33は、自装置のノードIDをフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9において、仮想ビーム決定部31は、ノードIDのなかに自装置のノードIDが含まれない場合、仮想ビームの照準及び形状を決定する。一方、通信装置91−4、91−5、91−6、91−9において、仮想ビーム決定部31は、ノードIDのなかに自装置のノードIDが含まれる場合、仮想ビームの照準及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。例えば、通信装置91−6において通信装置91−9からのフレームを受信すると、ノードIDのなかに自装置のノードIDが含まれるため、通信装置91−6はフレームを送信しない。このため、不要な転送を防ぐことができる。
例えば、同じフレームは2回以上同一方位に送信しない。この場合の通信装置91の装置構成は、図3の構成にさらに送信履歴記憶部(不図示)を備える。図26に示すように、通信装置91−1において、フレーム生成部33は、フレームIDをフレームに含める。通信装置91−1、91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、送信履歴記憶部(不図示)は、自装置が送信したフレームIDを、フレームのアンテナビームBAの照準S及び形状と共に記憶する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、仮想ビームBIの照準S及び形状を決定したフレームIDと同一のフレームIDが送信履歴記憶部(不図示)に記憶されているか否かを照合し、記憶されている場合はフレームIDの共通するアンテナビームの照準及び形状を読み出し、アンテナビームの照準及び形状が仮想ビームの照準及び形状と重複するか否かを判定する。そして、通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、仮想ビームBIの照準及び形状が送信履歴記憶部(不図示)に記憶されているアンテナビームBAの照準S及び形状と重複しない場合、仮想ビームBIの照準及び形状を決定する。一方、通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、仮想ビームBIの照準及び形状が送信履歴記憶部(不図示)に記憶されているアンテナビームBAの照準S及び形状と重複する場合、仮想ビームBIの照準及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。例えば、通信装置91−6において、91−4からフレームを受信した時に送信履歴記憶部(不図示)に記憶したアンテナビームBAの照準S及び形状と、91−5からフレームを受信した時に決定した仮想ビームBIの照準及び形状が重複する場合、通信装置91−6はフレームを送信しない。このため、不要な転送を防ぐことができる。
例えば、フレームを転送する際、そのフレームを受信済みのノード以外に周辺にノードが存在しない場合、送信しない。この場合の通信装置91の装置構成は図14と同様である。図26に示すように、通信装置91−1において、フレーム生成部33は、フレームの経由した各通信装置のノードIDとして、自装置のノードIDをフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、受信処理部34は、ノードIDをフレームから読み出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、受信処理部34から取得したノードIDのなかにノード検出部41の検出したノードIDのすべてが含まれている場合、仮想ビームBIの照準及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。例えば、通信装置91−9において、ノード検出部41が通信装置91−6を検出し、受信したフレームにノード検出部41が検出した通信装置の全てのノードID(91−6)が含まれているため、通信装置91−9はフレームを送信しない。このため、不要な転送を防ぐことができる。
例えば、同じフレームを送信元に戻さない。この場合の通信装置91の装置構成は、図14の構成にさらに受信履歴記憶部(不図示)を備える。図26に示すように、通信装置91−1において、フレーム生成部33は、自装置のノードIDをフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、受信履歴記憶部(不図示)は、受信したフレームIDと送信元の送信ノードのノードIDを記憶する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、受信履歴記憶部(不図示)を参照してフレームIDと紐付されているノードIDを受信履歴記憶部(不図示)から抽出し、抽出したノードIDとノード検出部41の検出したノードIDを比較し、ノード検出部41の検出した全てのノードIDが抽出したノードIDに含まれている場合、仮想ビームの照準及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。例えば、通信装置91−9において、ノード検出部41が通信装置91−6を検出し、91−6からフレームを受信した場合、ノード検出部41の検出した全てのノードID(91−6)が抽出したノードIDに含まれているため、通信装置91−9はフレームを送信しない。このため、不要な転送を防ぐことができる。
(実施形態11)
本実施形態に係る通信装置91は、非効率な転送を削減するための機能を有する。以下、図26及び図28を参照しながら説明する。
例えば、周辺の通信装置91の数に応じた一定確率で転送を止める。この場合の通信装置91の装置構成は図14と同様である。図26に示すように、通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、ノード検出部41は、検出した通信ノードの数を仮想ビーム決定部31に出力する。例えば、通信装置91−4の検出した通信ノードが通信装置91−1、91−2、91−3、91−5、91−6である場合、検出した通信ノード数は自装置も含めて6台となる。また、通信装置91−5の検出した通信ノードが91−1,91−4、91−6である場合、検出した通信ノード数は自装置も含めて4台となる。仮想ビーム決定部31は、ノード数に応じた確率で、仮想ビームの照準及び形状を決定する。ノード数が多いときにはフレームの転送を止める確率を高くなる。このため、非効率な転送を削減することができる。例えば、転送をやめる確率を「1−1/検出した通信ノード数」とする方法が考えられる。上記の例では通信装置91−4が転送をやめる確率1−1/6=5/6、通信装置91−5が転送をやめる確率1−1/4=3/4となり、通信装置91−4の方が通信を止める確率が高くなる。
例えば、フレームを転送しようとするとき、実際に送信する前にフレームIDの共通するフレームを再度受信した場合は転送を止める。この場合の通信装置91の装置構成は図3と同様である。図28に示すように、通信装置91−4、91−5、91−6、91−9において、受信処理部34は、受信アンテナ15がフレームを受信した時刻を検出し、仮想ビーム決定部31に出力する。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9において、仮想ビーム決定部31は、受信アンテナ15がフレームを受信した時点から設定された待機時間の経過時点までの間にフレームIDの共通するフレームを受信したか否かを判定し、受信した場合は仮想ビームBIの照準及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。例えば、通信装置91−5が通信装置91−1から受信した時点から待機時間の経過時点までの間に通信装置91−4からフレームを受信した場合、通信装置91−5に備わる仮想ビーム決定部31は仮想ビームBIの照準及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。
待機時間を適切に設定する制御と合わせて用いることが好ましく、例えば発信ノードからの距離が短い場合は待機時間を長くし、発信ノードからの距離が長い場合は待機時間を短くすることで、より早く遠くへ転送できるようになる。また、自身の電池残量が少ない時、演算負荷が大きい時、移動速度が大きい時は待機時間を長くし、電池残量が多い時、演算負荷が少ない時、移動速度が小さい時は待機時間を短くする方法もある。
例えば、宛先空間Aの方位から一定以上異なる場合に転送を止める。この場合の通信装置91の装置構成は図3と同様である。図26に示すように、通信装置91−1において、フレーム生成部33は、宛先空間Aをフレームに含める。通信装置91−4、91−5、91−6、91−9、91−10において、仮想ビーム決定部31は、仮想ビームBIの照準Sと自装置に対する宛先空間Aへの宛先方角との差が設定された範囲を超える場合、仮想ビームBIの照準S及び形状をアンテナ制御部32に出力しない。この設定された範囲は、予め定められたしきい値を用いてもよいし、自装置の状況に応じてしきい値を変更してもよい。迂回が好ましくないなどのレーダのような用途で有効である。
本発明は情報通信産業に適用することができる。
11:位置検出部
12:方角検出部
14:送信アンテナ
15:受信アンテナ
31:仮想ビーム決定部
32:アンテナ制御部
33:フレーム生成部
34:受信処理部
41:ノード検出部
42:到来方角検出部
44:電波環境検出部
45:情報取得部
91、91−1、91−2、91−3、91−4、91−5、91−6、91−7、91−8、91−9、91−10、91−N:通信装置
92:ノード
93:転送元のノード
94:電波発生源
95:障害物

Claims (22)

  1. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え
    前記仮想ビーム決定部は、
    信号の宛先を示す宛先空間が決定された発信位置から自装置までの距離若しくはホップ数、
    前記宛先空間が決定された発信時刻から現在時刻までの経過時間、又は
    前記宛先空間から自装置までのホップ数、
    の少なくともいずれかに基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    送信装置。
  2. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え、
    アンテナの受信した信号が、残り可能ホップ数を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記残り可能ホップ数が1以上の場合に、前記仮想ビームの照準及び形状を決定し、
    アンテナ制御部は、当該信号に含まれる前記残り可能ホップ数が1つ減らされた信号を、アンテナに送信させる、
    送信装置。
  3. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え、
    前記アンテナが受信した信号の送信元である送信ノードから自装置までの距離を算出する距離算出部を備え、
    アンテナの受信した信号が、当該信号の生成地点である発信位置から前記送信ノードまでの転送経路長を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記距離算出部の算出した距離を前記転送経路長に加算した総転送経路長が設定された範囲内である場合に、前記仮想ビームの照準及び形状を決定し、
    アンテナ制御部は、当該信号に含まれる前記転送経路長が前記総転送経路長に更新された信号を、アンテナに信号を送信させる、
    送信装置。
  4. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え、
    アンテナの受信した信号が、当該信号の経由した各ノードの識別情報を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記識別情報のなかに自装置の識別情報が含まれる場合、前記仮想ビームの照準及び形状を前記アンテナ制御部に出力しない、
    送信装置。
  5. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え、
    アンテナの受信した信号が、信号の識別情報を含み、
    自装置が送信した信号の送信履歴を当該信号のアンテナビームの照準及び形状と共に記憶する送信履歴記憶部を備え、
    前記仮想ビーム決定部は、前記仮想ビームの照準及び形状を決定した信号と同一の信号が前記送信履歴記憶部に記憶されており、かつ、前記送信履歴記憶部に記憶されているアンテナビームの照準及び形状が前記仮想ビームの照準及び形状と重複する場合、前記仮想ビームの照準及び形状を前記アンテナ制御部に出力しない、
    送信装置。
  6. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え、
    前記仮想ビーム決定部は、アンテナが信号を受信した時点から設定された待機時間の経過時点までの間に、アンテナが同一の信号を受信した場合、前記仮想ビームの照準及び形状を前記アンテナ制御部に出力しない、
    送信装置。
  7. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    を備え、
    アンテナの受信した信号が、信号の宛先を示す宛先空間を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記仮想ビームの照準と自装置に対する前記宛先空間への方角との差が設定された範囲を超える場合、前記仮想ビームの照準及び形状を前記アンテナ制御部に出力しない、
    送信装置。
  8. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    自装置の周囲に位置するノードを検出するノード検出部と、
    を備え、
    アンテナの受信した信号が、当該信号の経由した各ノードの識別情報を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記識別情報のなかに前記ノード検出部の検出したノードの識別情報のすべてが含まれている場合、前記仮想ビームの照準及び形状を前記アンテナ制御部に出力しない、
    送信装置。
  9. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    自装置の周囲に位置するノードを検出するノード検出部と、
    前記ノード検出部の検出した各ノードにおける信号の受信履歴を記憶する受信履歴記憶部と、
    を備え、
    アンテナの受信した信号が、信号の識別情報を含み
    記仮想ビーム決定部は、前記仮想ビームの照準及び形状を決定した信号と同一の信号を受信したノードを前記受信履歴記憶部から取得し、取得したノードに前記ノード検出部の検出した全てのノードが含まれている場合、前記仮想ビームの照準及び形状を前記アンテナ制御部に出力しない、
    送信装置。
  10. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出部と、
    方角を検出する方角検出部と、
    前記位置検出部の取得した地理的位置及び前記方角検出部の検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定部と、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御部と、
    自装置の周囲に位置するノードを検出するノード検出部と、
    を備え、
    前記仮想ビーム決定部は、前記ノード検出部の検出したノード数に応じた確率で、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    送信装置。
  11. 自装置の周囲に位置するノードを検出するノード検出部を備え、
    前記仮想ビーム決定部は、前記ノード検出部の検出したノードの位置に基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から7のいずれかに記載の送信装置。
  12. アンテナが信号を受信すると、前記方角検出部の検出結果を用いて当該信号が到来した到来方角を検出する到来方角検出部を備え、
    前記仮想ビーム決定部は、前記到来方角検出部の検出した到来方角に基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から11のいずれかに記載の送信装置。
  13. 自装置の使用する電波環境を検出する電波環境検出部を備え、
    前記仮想ビーム決定部は、前記電波環境検出部の検出した電波環境に基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から12のいずれかに記載の送信装置。
  14. 前記仮想ビーム決定部は、自装置の高度に基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から13のいずれかに記載の送信装置。
  15. 前記仮想ビーム決定部は、自装置の周辺の情報を取得し、当該情報に基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から14のいずれかに記載の送信装置。
  16. 前記仮想ビーム決定部は、自装置の電池残量に基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から15のいずれかに記載の送信装置。
  17. アンテナの受信した信号が、保存期限を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記信号の受信時刻が前記保存期限内である場合に、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から16のいずれかに記載の送信装置。
  18. アンテナの受信した信号が、信号の生成地点である発信位置を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記位置検出部の取得した地理的位置が前記発信位置から設定された範囲内である場合に、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から17のいずれかに記載の送信装置。
  19. アンテナの受信した信号が、信号の宛先を示す宛先空間を含み、
    前記仮想ビーム決定部は、前記位置検出部の取得した地理的位置が前記宛先空間を基点として設定された範囲内である場合に、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    請求項1から18のいずれかに記載の送信装置。
  20. フレームを送信する発信ノードと、
    フレームを転送する転送ノードと、
    フレームを受信する宛先ノードと、
    を備え、
    前記発信ノード及び前記転送ノードの少なくともいずれかが、請求項1から19のいずれかに記載の送信装置を含む、
    通信システム。
  21. 自装置の絶対的な地理的位置を取得する位置検出ステップと、
    方角を検出する方角検出ステップと、
    前記位置検出ステップで取得した地理的位置及び前記方角検出ステップで検出した方角を用いて、アンテナから放射する理想的なビームである仮想ビームの照準及び形状を決定する仮想ビーム決定ステップと、
    前記仮想ビームに応じた照準及び形状を有するアンテナビームをアンテナに送信させるアンテナ制御ステップと、
    を備え
    前記仮想ビーム決定ステップは、
    信号の宛先を示す宛先空間が決定された発信位置から自装置までの距離若しくはホップ数、
    前記宛先空間が決定された発信時刻から現在時刻までの経過時間、又は
    前記宛先空間から自装置までのホップ数、
    の少なくともいずれかに基づいて、前記仮想ビームの照準及び形状を決定する、
    送信方法。
  22. 請求項21に記載の各ステップをコンピュータに実行させるための送信プログラム。
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