JP6707660B2 - 抗ポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2モノクローナル抗体とその生成方法及び使用 - Google Patents

抗ポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2モノクローナル抗体とその生成方法及び使用 Download PDF

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Description

本発明はバイオファーミング分野に関し、特に、胃癌細胞の表面に機能的に発現するポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2(PODXL−v2)に対するモノクローナル抗体(MS17−38と命名)とその生成方法及び使用に関する。
発明者である陸梅生らが過去に出願した「細胞表面の異所性発現に抵抗するモノクローナル抗体MS17−57とその生成方法及び使用(特許文献1。公開・許可済)の背景知識に記載されているように、胃癌(Gastric Cancer,GC)はヒトにとって最も一般的な消化器系の悪性腫瘍であって、腫瘍関連死の主な原因の一つとなっている。中国、日本などは世界で最も胃癌発症率の高い国である。これらの国では毎年新たに60〜70万近い発症例が確認されており、世界の症例の多数を占めている。また、胃癌患者の多くは初診の段階ですでに臨床末期となっている。現在、胃癌の早期スクリーニング検査や診断は主に胃カメラと組織病理学的生検に依存しているが、こうした早期スクリーニング検査や診断に依存した手段では、その特異性、感度、精度及び安全性にある程度の限界があり、普及が困難である。また、様々な干渉要因が存在するほか、臨床での応用効果が満足のいくものとなっていない。結果、胃癌患者の多くには初診の段階ですでに他の臓器への転移が認められ、外科手術や放射線治療、全身化学療法等に頼らざるを得ない。こうした従来の治療或いは救命対策は費用が高騰するだけでなく、個人や社会の経済的負担が大幅に増加するほか、治療の特異性や治療効果が十分でない等の課題がある。概算によれば、末期胃癌患者の5年生存率は一般的に10%以下となっている。よって、胃癌における特異的且つ高効率の新たな臨床治療方法が緊急に必要とされている。近年、新たな化学治療薬や併用療法(オーダーメイド医療)の実施によって胃癌患者の治療反応性はある程度向上している。しかし、臨床研究についてランダム調査を実施した結果、生存期間中央値1年以上との治療目標は未だ達成されていないことがわかった。
化学療法や放射線治療は胃癌に対する感度が一般的に低く、且つ、これらに代わる治療プランも存在しない。そのため、ここ数年は胃癌の新たな治療方法や薬物の研究開発が基礎研究及び臨床研究の焦点となっている。2002年、米国国立癌研究所(NCI)の癌専門家らは、腫瘍患者のカスタマイズ治療や再発検査、予後評価等が効果的に実現されるよう、腫瘍の分子分析について定義を提案した。こうした新たな理念を指針として、胃癌の分子標的治療や分子生体機能学的治療が急速に発展しており、腫瘍治療の新たな流れともなっている。
発明者である陸梅生らは、過去に出願した「細胞表面の異所性発現に抵抗するモノクローナル抗体とその生成方法及び使用」(特許文献1。開示・許可済)において、更に、腫瘍マーカーを標的とした治療や生体機能学的治療では、腫瘍細胞の表面に過剰に発現又は機能的に発現する何らかのバイオマーカー分子を標的にすると述べている。1990年代以降、様々な分子標的治療薬(抗体薬を含む)が続々と臨床試験における腫瘍治療に取り入れられ、良好な治療効果を示してきた。これらは、大分子のモノクローナル抗体(細胞外に作用する治療抗体薬)と、小分子のチロシンキナーゼ阻害薬(細胞内に作用する化学系薬物)の2種類に大別される。抗体薬は、対応する腫瘍細胞外受容体を高度な特異性をもって識別及び結合可能であり、速やかに細胞の生体機能を活性化する。また、機能の活性化が不可能な場合には、1.抗体−薬物複合(Antibody Drug Conjugation,ADC)、2.抗体と放射性同位体を結合して実施する特異性放射免疫療法、3.キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor,CAR)によるT細胞免疫療法、といったその他いくつかの抗体療法が存在する。我々は、これらを腫瘍の抗体標的療法(Antibody Targeting Therapy,ATT)と抗体生体機能学的療法(Antibody Biofunctional Therapy,ABT)としてまとめた。更に、後者の抗体生体機能学的療法(ABT)は、抗体と生体機能を連携させるアゴニスト(Agonist)と、抗体と生体機能を競わせるアンタゴニスト(Antagonist)に分けられる。抗体の生体機能は主な役割として、腫瘍細胞から発生して成長する関連分子を標的とし、腫瘍の特異的殺傷を実現することで、転移を防止したり、腫瘍を成長させる微小環境に干渉したりする。そのため、従来の化学療法や放射線治療、東洋医学・漢方薬と比較して、抗体薬は効果がより明らかであり、効用が長く持続し、且つ副作用も少ない。したがって、腫瘍の抗体生体機能学的療法は腫瘍治療発展の大勢になるものと考えられる。
発明者である陸梅生らが過去に出願した「細胞表面の異所性発現に抵抗するモノクローナル抗体とその生成方法及び使用」(特許文献1。開示・許可済)では、胃癌の抗体治療の背景について、更に、抗体薬による胃癌治療がここ数年急速に発展しているとの記載がある。しかし、現在米国FDAの承認を受けている一部抗体薬については、前臨床毒性試験や各臨床フェーズでの症例報告から、特異性の低さ、標的性の弱さ、実際の臨床治療効果が総体的に十分でないといった点が明らかになっている。これらの薬物には、上皮成長因子受容体(EGFR)に抵抗するセツキシマブ(Cetuximab)モノクローナル抗体薬であるアービタックス(Erbitux)、抗上皮成長因子受容体−2(EGFR2)又はHER2を標的とするトラスツズマブ(Trastuzumab)モノクローナル抗体薬であるハーセプチン(Herceptin)、及び、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とするベバシズマブ(Bevacizumab)モノクローナル抗体薬であるアバスチン(Avastin)等が含まれる。そこで、現在の腫瘍臨床医学における喫緊の必要性に対応すべく、胃癌の生体機能を標的とする高効率のモノクローナル抗体薬を生成することが求められている。学者のBrichoryは、世界で初めてプロテオミクスにおけるポリペプチドの合成又は構築方法を、腫瘍関連抗原の鑑定とスクリーニング、及び抗腫瘍抗体分野に取り入れた。人々は、このような構想及び方法から、例えばグルコース調節タンパク質(Glucose Regulated Protein,GRP78)、熱ショックタンパク質−27,−60,−70等(Heat Shock Protein,HSP−27,−60,−70等)、及びフィブリノペプチド−A(Fibrin Peptide−A)など、新たな細胞内及び細胞外の腫瘍マーカータンパク質分子を多数開示してきた。しかし、こうした手段は多くの限界をもたらしてもいる。なぜなら、腫瘍の生体機能学的標的は細胞表面の特異性抗原だけでなく、機能としてタンパク質の空間構造又は天然の立体構造を備えている必要があるからである。このことが、Brichory構想の更なる研究及び応用を大きく制限している。一方、本研究及び発明では、人体が生物学的に自然な状態で、生細胞の免疫及びハイスループットフローサイトメーター(FACS)による生細胞のスクリーニングを行い、胃癌又はその他腫瘍細胞表面の特異性抗原を鑑定することで、特異的且つ高効率の治療抗体薬を捕捉及び生成する。また、胃癌の分子マーカー鑑定及び胃癌の標的治療用モノクローナル抗体薬の臨床応用に有力なツールを提供する。
ポドカリキシン(Podocalyxin,PC)は、主に糸球体の基底膜における足細胞(Podocyte)表面に発現する糖タンパク質である。タンパク質の等電点(pI)は7未満であり、酸性且つマイナス電荷を有している。ポドカリキシンは、糸球体の足細胞上で濾過隙間の開発を維持する役割を果たす。また、ポドカリキシンは、血小板による凝血、初期糖尿病の発症においても一定の役割を果たす。一方で、ポドカリキシン様タンパク質(Podocalyxin−Like protein,PODXL)はヒト特有のものであり、PODXL遺伝子でコードされる唾液ムチンファミリーに属している。ポドカリキシン様タンパク質は、細胞内の構成要素を有するNa/H交換輸送体(Na/H exchanger、NHE)と複合物を構成するとともに、造血細胞の分化において一定の役割を果たす。ポドカリキシン様タンパク質は血管内皮細胞で発現し、L−セレクチン(L−selectin)と結合可能である。また、PODXLは、異なるアミノ酸配列や異なるポリペプチド断片長さのサブタイプを有し、且つ、異なる組織、細胞及び腫瘍上で発現する。
中国特許出願第201310090565.9号
上述した従来技術の欠点に鑑みて、本発明は、従来技術の課題を解決するための胃癌細胞の表面に機能的に発現するポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2(英文略称:PODXL−v2、英文正式名称:Podocalyxin Isoform 2 Precursor,PODXL−v2)に抵抗するモノクローナル抗体とその生成方法及び使用を提供することを目的とする。
上記の目的及びその他関連の目的を実現すべく、本発明は第一の局面において、胃癌細胞の表面に機能的に発現するポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2(PODXL−v2)に対するモノクローナル抗体(MS17−38)であって、当該抗体のL鎖可変領域におけるアミノ酸配列がSEQ ID NO:2又はその保存的変異体配列であり、当該抗体のH鎖可変領域におけるアミノ酸配列がSEQ ID NO:4又はその保存的変異体配列であるモノクローナル抗体を提供する。
好ましくは、前記L鎖可変領域におけるコード配列は、SEQ ID NO:1又はその保存的変異体配列であり、前記H鎖可変領域におけるコード配列は、SEQ ID NO:3又はその保存的変異体配列である。
好ましくは、前記MS17−38モノクローナル抗体はマウス由来である。
より好ましくは、前記MS17−38モノクローナル抗体は、IgG1H鎖及びκ L鎖のサブタイプの免疫グロブリンである。
本発明で提供するMS17−38モノクローナル抗体は、腫瘍細胞の表面に機能的に発現するPODXL−v2抗原(又は受容体或いはエピトープ)に抵抗(結合又は作用)するか、或いは、部分的にPODXL抗原に抵抗(結合又は作用)するか、或いは、部分的にPODXL−v1抗原に抵抗(結合又は作用)するモノクローナル抗体である。
更に、本発明は、前記MS17−38モノクローナル抗体の誘導体を提供する。前記誘導体は、前記MS17−38モノクローナル抗体の断片としてもよいし、或いは、前記MS17−38モノクローナル抗体又はMS17−38モノクローナル抗体の断片を含む融合タンパク質としてもよい。また、前記モノクローナル抗体の断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv又はscFv等である。
本発明は第二の局面において、前記MS17−38モノクローナル抗体におけるH鎖及び/又はL鎖の可変領域或いは全アミノ酸をコードする分離されたDNA分子を提供する。
本発明は第三の局面において、前記分離されたDNA分子を含む構造体を提供する。
好ましくは、前記DNAベクター発現構造体は、前記分離された抗体のDNA分子を発現ベクターのマルチクローニングサイトに挿入することで構築される。
前記発現ベクターは、具体的に、当業者が熟知するこれまで常用されてきた発現ベクターとすればよい。具体的に適用可能な発現ベクターには、pET系発現ベクター、pGEX系発現ベクター、pcDNA系発現ベクター等が含まれるがこれらに限らない。
本発明は第四の局面において、上記構造体が宿主細胞にトランスフェクションされて構成されるモノクローナル抗体の発現系を提供する。
発現ベクター(構造体)に適用されて本件特許に記載する抗体を発現するあらゆる細胞が宿主細胞となり得る。例えば、酵母、昆虫、植物等の細胞が可能である。好ましくは、前記宿主細胞は真核細胞であり、抗体を産生しない哺乳動物の宿主細胞系を用いればよい。具体的に使用可能な細胞系には、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)、幼少ハムスターの腎細胞(BHK、ATCC CCL 10)、幼少マウスのセルトリ細胞(Sertoli cells)、サルの腎細胞(COS細胞)、SV40(COS−7、ATCC CRL 165 1)により形質転換したサルの腎臓CVI細胞、ヒト胎児腎細胞(HEK−293)、サルの腎細胞(CVI、ATCC CCL−70)、アフリカミドリザルの腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL−2)等が含まれるがこれらに限らない。
本発明では、効果的な腫瘍生細胞のハイスループットスクリーニング方法を構築する。ヒトの胃癌細胞系生細胞を混合してマウスを免疫するとともに、高い免疫反応を示したマウスの脾臓を選択してマウスのSP2/0細胞系と融合することで抗体ハイブリドーマを産生する。そして、抗胃癌細胞系ハイブリドーマ抗体に対しハイスループット生細胞スクリーニングを行うとともに、健常人の新鮮な末梢血単核細胞(PBMC)に対し対照スクリーニングを行うことで、このハイブリドーマ株からなる胃癌細胞に対し高い特異的反応を示すモノクローナル抗体MS17−38を取得する。更に、本発明は発現ベクターを構築すべく、モノクローナル抗体を培養する細胞株からスクリーニングにより目的の抗体の遺伝子コード配列を取得する。発現系による発現で抗体は活性を再構築し、MS17−38モノクローナル抗体が得られる。
前記MS17−38モノクローナル抗体は、次の手順でスクリーニングすることで得られる。即ち、4種類の混合胃癌細胞株SGC7901、BGC823、MKN28、MKN45の生細胞を用いて複数部位でマウスを免疫し、免疫したマウスの脾臓細胞とマウスの骨髄腫細胞を融合する。そして、上記4種類の胃癌生細胞の表面に結合可能な抗原を分泌可能だが健常人の末梢血単核細胞とは反応しないハイブリドーマ株をスクリーニングする。このハイブリドーマ株をサブクローニングしてから、培養されたハイブリドーマの上清液を取得して、親和及び精製すれば前記モノクローナル抗体MS17−38が得られる。本発明の一実施例において、前記4種類の混合胃癌細胞株SGC7901、BGC823、MKN28、MKN45の生細胞は等しい比率で混合することが好ましい。また、前記マウスの骨髄腫細胞は、SP2/0マウスの骨髄腫細胞である。具体的な融合方法としてはPEG化学融合法を用い、ハイブリドーマの培養上清液を免疫アフィニティークロマトグラフィーで精製する。
本発明は第五の局面において、前記MS17−38モノクローナル抗体の生成方法であって、前記抗体の発現に適した条件で、前記モノクローナル抗体の発現系を培養することで前記モノクローナル抗体を発現し、前記モノクローナル抗体を精製及び分離するステップを含む方法を提供する。
本発明の抗体をコードする核酸配列を取得した後、以下の方法で目的の抗体を生産可能である。例えば、目的の抗体をコードする核酸を含むベクターを宿主細胞に直接組み込み、適切な条件で細胞を培養することでコードされた抗体の発現を誘導する。本発明で使用する発現ベクター及び宿主細胞はいずれも従来技術であり、商業ルートから直接取得可能である。培養に使用する10%FBSのDMEM培地もまた各種の一般的な哺乳細胞培地である。当業者であれば、適用するDMEM培地を経験的に選択し、宿主細胞の成長に適した条件で培養することが可能である。宿主細胞が適切な細胞密度まで成長すると、適切な方法(例えば、温度変換又は化学誘導)で誘導及び選択したプロモーターを用い、細胞を更に一定期間培養する。上記方法における組み換えポリペプチドは、細胞内又は細胞膜上に発現可能であるか、細胞外に分泌される。本発明で述べるモノクローナル抗体を取得すれば、その物理的特性、化学的特性及びその他の特性を利用して、各種分離方法により前記モノクローナル抗体を分離及び精製可能となる。これらの方法は、当業者が熟知するものである。また、これらの方法の例としては、一般的な復元処理、タンパク質沈殿剤処理(塩析方法)、遠心、浸透菌破砕、超処理、超遠心、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びその他各種の液体クロマトグラフィー技術及びこれらの組み合わせを含むが上記に限らない。
本発明は第六の局面において、前記MS17−38モノクローナル抗体の、腫瘍治療薬の生成又はスクリーニングにおける使用、或いは、腫瘍診断薬の生成における使用を提供する。
前記腫瘍治療薬とは、具体的に、腫瘍細胞の表面に機能的に発現するPODXL−v2を抗原とし、前記抗原PODXL−v2に結合又は作用することで癌の治療及び原発癌の転移予防を行う薬物のことをいう。前記抗原PODXL−v2に対する結合又は作用には、具体的に、PODXL−v2抗原の免疫抑制、又は、特異性モノクローナル抗体により腫瘍の抗原を識別し、腫瘍治療薬を指向的に腫瘍部位に集中させることで腫瘍細胞を選択的に殺傷すること等が含まれるが、これらに限らない。
したがって、腫瘍診断薬とは、具体的に、腫瘍細胞の作用標的であるPODXL−v2に対し、PODXL−v2をバイオマーカーとして、鑑別診断、病理診断、早期診断、映像診断及び予後診断等を行うための診断用試薬をいう。
好ましくは、前記腫瘍は胃癌である。
より好ましくは、前記胃癌は、胃扁平上皮癌、胃腺癌、胃小細胞癌、胃腺扁平上皮癌、胃カルチノイド又は胃・十二指腸癌である。
本発明は第七の局面において、治療有効量の前記MS17−38モノクローナル抗体又はその免疫複合体を含む医薬組成物を提供する。
前記免疫複合体は、前記モノクローナル抗体又はその断片及び薬物、毒素、サイトカイン、放射性核種、酵素又はその他の診断用試薬等を組み合わせてなる複合体を含むがこれらに限らない。
前記医薬組成物とは、腫瘍細胞の表面に機能的に発現するPODXL−v2を抗原とし、前記抗原に結合又は作用することで癌の治療及び/又は原発癌の転移予防を行うものをいう。
本発明のMS17−38モノクローナル抗体は、当該分野における既知のあらゆる方式で医薬組成物を調合して使用すればよい。このような組成物は、前記モノクローナル抗体を活性成分とし、1又は複数の薬学的に受け入れ可能なベクター又は賦形剤が加えられる。前記ベクター又は賦形剤は、前記モノクローナル抗体と親和性のあるものとすべきである。
前記医薬組成物は胃癌の治療に用いられ、好ましくは、胃扁平上皮癌、胃腺癌、胃小細胞癌、胃腺扁平上皮癌、胃カルチノイド又は胃・十二指腸癌の1又は複数の組み合わせの治療に用いられる。前記医薬組成物を対象体内の腫瘍の予防又は治療に用いる場合には、有効投与量の前記医薬組成物を対象に投与すればよい。
本発明は第八の局面において、治療有効量の前記MS17−38モノクローナル抗体又はその免疫複合体を含む診断用試薬キットを提供する。
したがって、診断用試薬キットとは、腫瘍細胞の作用標的であるPODXL−v2に対し、PODXL−v2をバイオマーカーとして、鑑別診断、病理診断、早期診断、映像診断及び予後診断等を行うものをいう。
好ましくは、前記診断用試薬キットは、MS17−38モノクローナル抗体のマーカーを更に含む。
前記MS17−38モノクローナル抗体のマーカーとMS17−38モノクローナル抗体との結合に適用可能なマーカーの種類には、蛍光マーカー、放射性マーカー、酵素標識マーカー、化学発光性マーカーのうち1又は複数の組み合わせが含まれるがこれらに限らない。
試薬キットの検出原理に応じて、前記試薬キットは検出に必要な1又は複数の試薬を含んでもよい。また、必要に応じて、前記試薬キットには、容器、対照物(陰性又は陽性)、緩衝剤、助剤等を含んでもよい。
本発明は、更に、逆スクリーニングにより胃癌細胞表面の抗原を鑑定し、新たなバイオマーカー抗原を取得する抗胃癌モノクローナル抗体を生成して取得する。具体的に、本発明は、腫瘍バイオマーカーを発見及び鑑定するとともに、当該マーカー抗原(胃癌細胞表面における天然立体構造のPODXL−v2抗原)に対する特異性MS17−38モノクローナル抗体を生成する一方、当該特異性抗体に基づいて、対応する特異性胃癌分子マーカーである細胞膜発現タンパク質PODXL−v2をスクリーニングにより鑑定する。
本発明において、抗体に結合される腫瘍細胞表面の発現抗原を抗体のハイスループットスクリーニング(HTS)によって逆鑑定するとの戦略は、胃癌細胞表面の分子マーカーに対する特異性モノクローナル抗体を生成するとともに、スクリーニングにより新たな胃癌分子マーカーを鑑定可能とすることを目的としている。モノクローナル抗体は、プロテオミクス研究にとって良好なツールである。従来のモノクローナル抗体生成過程では抗体をハイブリダイゼーションする方法を用いており、通常は分子マーカーによる免疫は用いず、融合後に大量のプレーティングを行うHTS方法を用いることも少なかった。そのため、抗細胞抗原天然エピトープ抗体が取得される確率が低かった(従来の抗体スクリーニング生成方法では、腫瘍生細胞表面の天然立体構造の抗原を識別するような抗体を得ることは難しかった)。これに対し、本発明では、「ショットガン法」(“Shot−Gun”method)に類似する方法で生細胞を免疫し、抗体のハイブリダイゼーション技術とフローサイトメトリーハイスループット検出を組み合わせている。腫瘍生細胞でマウスを免疫し、独特の抗体ハイブリダイゼーションによる高融合手法で融合及び大量のプレーティング(毎回50〜80枚)を行い、生細胞に対する蛍光フローサイトメトリー(FACS)−HTSを組み合わせて検出及びスクリーニングする方法で、細胞表面に立体構造エピトープ(Conformational Epitope)を備える分子マーカーに対するモノクローナル抗体を生細胞レベルで直接スクリーニングするとともに、再検査により抗体ハイブリドーマのサブクローンを鑑定する。そして、最後に、特異的且つ高親和性のモノクローナル抗体として、胃癌細胞表面の天然立体構造PODXL−v2抗原に対するMS17−38特異性抗体を選択する。また、MS17−38抗体を鑑定するとともに、MS17−38抗体及び胃癌について臨床病理学的なパラメーターの相関分析を行った後、ウェスタンブロッティング、免疫沈降法及びタンパク質質量分析によって、生成されたMS17−38抗体が特異的に結合する標的抗原タンパク質を迅速に鑑定する。こうして、PODXL−v2という新たな胃癌細胞表面の分子マーカーがスクリーニングにより発見された。
本発明のMS17−38モノクローナル抗体は、複合物全体の分子量が135kDaであり、腫瘍細胞表面に自然に発現するとともに空間立体構造を有するポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2(PODXL−v2)の分子に対しては高い特異性をもって反応する一方、PODXL−v2単体の分子量が約51kDaである線形体分子のタンパク質に対しては反応しない。本発明における特殊なモノクローナル抗体のハイブリドーマスクリーニング設計では、発現するモノクローナル抗体がMS17−38と称されるモノクローナル抗体のハイブリドーマ株から分泌されて産生する。また、マウスのモノクローナル抗体のサブタイプはIgG1H鎖及びκL鎖に属している。
本発明では、生成により取得した胃癌混合細胞株に対する特異性モノクローナル抗体と胃癌等の消化器腫瘍について臨床病理学的パラメーターの関連分析を実施した。そして、腫瘍細胞表面のPODXL−v2分子に対するMS17−38モノクローナル抗体の作用及び機能を分析したところ、MS17−38モノクローナル抗体がヒト胃癌細胞の表面のPODXL抗原に対して産生されたものであり、特異性及び機能的生体反応を誘導可能なことから、胃癌等の消化器腫瘍を特異的に識別して標的治療することが可能であるとともに、消化器腫瘍の診断及び映像にも応用可能であることを発見した。本発明は、胃癌及び消化器固形腫瘍細胞の表面の天然立体構造を持つ抗原に対する特異性抗体をハイスループットで生成可能な全く新しい方法を構築した。また、取得されるMS17−38モノクローナル抗体はプロテオミクス研究のツールとなり、胃癌等の消化器固形腫瘍細胞の表面における分子標的マーカーを逆スクリーニングにより鑑定可能である。前記モノクローナル抗体は、キメラ化又はヒト化することで、更にヒトの胃癌治療用バイオ薬剤を開発可能となる。
図1は、4種類の混合胃癌細胞株で免疫したマウスの血清と、健常人PBMC、胃癌SGC7901及びBGC823細胞株との力価反応をFACSにより検出したものである。 図2は、MS17−38モノクローナル抗体と、4種類の免疫用胃癌細胞株及びその他の対照細胞株とを異なるレベルでそれぞれ結合反応させた場合をFACSにより検出したものである。図2(A)は、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、SGC−7901及びBGC−823胃癌細胞株との結合反応を示す。図2(B)は、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、MKN−45、BGC−823及び健常人の末梢血PBMC細胞とをそれぞれ結合反応させた場合を示す。 図3は、MS17−38モノクローナル抗体と2種類の胃癌細胞株を異なるレベルでそれぞれ結合反応させた場合をFACSにより検出したものである。図3では、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、MKN−28及びAGS−N細胞株との反応を示している。 図4は、MS17−38モノクローナル抗体と2つの対照細胞株を異なるレベルでそれぞれ結合反応させた場合をFACSにより検出したものである。図4では、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、健常人の末梢血PBMC細胞及び胎児の胃粘膜上皮形質転換細胞株GES−1細胞株とをそれぞれ結合反応させている。 図5は、MS17−38モノクローナル抗体と、胃癌BGC823細胞膜抽出タンパク質との結合反応をELISAで検出したものである。 図6は、MS17−38モノクローナル抗体と、胃癌MKN45細胞膜抽出タンパク質との結合反応をELISAで検出したものである。 図7は、MS17−38モノクローナル抗体及びアイソタイプが同じ無関係なモノクローナル抗体の、A.胃粘膜形質転換細胞GES−1、B.胃癌細胞MKN−45、C.胃癌細胞BGC−823における免疫組織化学反応を検出したものである。 図8は、MS17−38モノクローナル抗体によって胃癌BGC82及びMKN45の細胞膜抽出標的タンパク質に対し実施したSDS−PAGEゲルの精製ストリップを示す。 図9は、MS17−38モノクローナル抗体によって胃癌BGC82及びMKN45の細胞膜抽出標的タンパク質に対し実施した3度の質量分析の結果である。 図10は、マイクロマトリックスチップに積載した6−mer及び8−merのアミノ酸をMS17−38モノクローナル抗体により分析したものである。 図11は、PODXL、PODXL−v1、PODXL−v2のアミノ酸配列における比較及びこれらの違いと、PODXL−v2における空間立体構造の座位のうちMS17−38モノクローナル抗体が具体的に結合する2つの座位を示している。 図12は、MKN45細胞膜上でのPODXL−v2の発現をPODXL−v2とsiRNAが干渉することをウェスタンブロット試験により示したものである。
以下に、特定の具体的実施例を挙げて本発明の実施形態につき説明する。なお、当業者であれば本明細書に開示の内容から本発明のその他の利点及び効果を容易に理解可能である。更に、本発明はその他の異なる具体的実施形態によっても実施又は応用可能である。また、本明細書の各詳細事項については、視点及び応用の違いに応じて、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の補足又は変更が可能である。
本発明の具体的実施形態について更に記載する前に、本発明による保護の範囲は後述する特定の具体的実施方案に限らないと解釈すべきである。また、本発明の実施例で使用される用語は特定の具体的実施方案を記載するためのものであって、本発明による保護の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。本発明の明細書及び請求の範囲では、特に明記しない限り、「1つ」「一の」及び「この」といった単数形には複数形が含まれる。
実施例が数値範囲を提示する場合、本発明においては特に説明がない限り、各数値範囲の2つの端点及び2つの端点間の任意の数値をいずれも使用可能であると解釈すべきである。また、特に定義されない限り、本発明で使用されるあらゆる技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解する意味と同義である。実施例で使用される具体的方法、デバイス、材料のほかに、当業者が把握する従来技術及び本発明の記載に基づいて、本発明の実施例における上記の方法、デバイス、材料と類似又は同等の従来技術における任意の方法、デバイス及び材料を用いて本発明を実現してもよい。
また、別途説明がない限り、本発明で開示される実験方法、検出方法、生成方法には、当業者にとって一般的な分子生物学、生物化学、クロマチン構造及び分析、分析化学、細胞培養、組換えDNA技術及び関連分野の一般的技術を採用可能である。これら技術については、既存の文献に十分に説明されている。具体的には、以下の文献等を参照すればよい。
Sambrook 他,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989 and Third edition,2001
Ausubel 他,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,1987 and periodic updates
the series METHODS IN ENZYMOLOGY,Academic Press,San Diego
Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998
METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,Chromatin(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999
METHODS IN MOLECULAR BIOLOGYと、Vol.119,Chromatin Protocols(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999
実施例1
4種類の等しい比率で混合した4株の胃癌細胞(BGC−823、MKN−28、MKN−45及びSGC−7901。いずれも中国科学院上海細胞生物学研究所製)を用い、10%FBSを含有するDMEM培地及び5%CO、37℃環境で培養した後、収集した生細胞をPBS緩衝液内で混合して免疫原とした。続いて、これをA/J−JAXマウス(南京大学実験動物モデルセンターより購入。マウスは米国ジャクソン研究所由来)の背部皮下及び尾静脈に注射して免疫した。なお、毎回マウス1匹につき各部位3〜5百万の細胞(0.1ml)を注射した。免疫は隔週で実施された。3回目の免疫から1週間後にマウスの血清を抽出し、フローサイトメトリーハイスループットシステム(FACS−HTS)によって、血清と4種類の混合胃癌細胞株との反応状況を検出した(具体的には実施例3を参照)。また、健常人ボランティアのPBMCを対照細胞とした(健常人ボランティアの末梢血からフィコール液で末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cells,PBMC)を分離し、蛍光フローサイトメトリーハイスループットスクリーニング(FACS−HTS)における健常人の細胞抗原として対照スクリーニングした)。そして、血清の力価が高く、且つ対照細胞PBMCとの交叉反応レベルが低いマウス(同じ希釈比率で、血清と胃癌細胞及び対照細胞との平均蛍光強度値の差>500)を選択し、融合前に免疫を強化した。
そして、免疫を強化したマウスの脾臓を抽出し、無血清のDMEM培養液を用いて免疫応答性の高かった1号マウスの脾臓細胞を単一細胞懸濁液とした。50%PEG(pH7.4)条件下で脾臓細胞とSP2/0マウスの骨髄腫細胞を融合し、融合後に大量プレーティング(50プレート)してから、抗体ハイブリドーマのクローンが形成されるまでHAT選択培地で10日間培養した。次に、大量培養した前記4種類の胃癌細胞株をスクリーニング対象として収集及び混合するとともに、健常人の末梢血PBMC細胞をスクリーニング用の対照細胞として分離した。2群の細胞(第1群は4種類の胃癌細胞を等しい比率で混合したもの、第2群は健常人の末梢血PBMC細胞)はいずれも氷上で予め冷却した1.5%BSA/PBS系ブロッキング溶液中でそれぞれ再懸濁し、51枚の96ウェルU型プレート内に均一に(各ウェルにつき約10万〜20万細胞)分配した(合計102枚。51枚目のプレート2枚については、それぞれ陽性(免疫後のマウス血清且つ段階希釈)及び陰性(正常なマウス血清、段階希釈及びHAT選択培養液)の対照プレートとした)。
続いて、50枚の抗体ハイブリドーマ融合プレート(96ウェルプレート)の上清液(初期モノクローナル抗体である第1抗体に相当)を毎回70μL/ウェルずつ対応するスクリーニングプレート及び対照プレートにそれぞれ移し、振とう混合した。そして、氷浴反応させ、ブロッキング溶液で洗浄した後に、100μL/ウェルのFITC蛍光標識したヤギ抗マウスを加えて細胞蛍光染色実験を実施し反応させた。これによる蛍光フローサイトメトリーハイスループットスクリーニング(FACS−HTS)では、まずブランク対照ウェルとアイソタイプ対照ウェルの細胞でFACSのパラメーターを調節し、バックグラウンドとした。そして、2群の96ウェルU型プレートにおける各ウェルの細胞サンプルについて一つずつFACS検出を実施し、下記2つの条件を満たしたものを陽性細胞ウェルとした。
(1)4株の胃癌細胞の表面抗原との間に結合反応がある(即ち、アイソタイプ対照の信号ピークと比較して、サンプルの信号ピークのずれ幅が対数値1つ分よりも大きい)。
(2)PBMC細胞との間に結合反応がない(即ち、アイソタイプ対照の信号ピークと比較して、サンプルの信号ピークのずれ幅が5〜10%未満)。
このようにして選択及び採取された独特な結合を示すハイブリドーマのハイスループットスクリーニング細胞は、選択培地や一般的な10%FBSのDMEM培地、ハイブリドーマのサブクローニング及び複数回に渡る抗体ハイブリドーマの培養上清検出を経たものである。MS17−38モノクローナル抗体に対応するハイブリドーマの上清は、親和及び精製を経て0.2μm膜で濾過し、4℃で無菌保存した。或いは、50%グリセリンを添加して−20℃で長期保存した。
実施例2
QIAGEN社(米国カリフォルニア州バレンシア)のRNeasy試薬キットを用いてMS17−38モノクローナル抗体のハイブリドーマ株からトータルRNAを抽出し、インビトロジェン社(米国ニューヨーク州グランドアイランド)のSuperScript III First−Strand試薬キットを用いてmRNAをMS17−38モノクローナル抗体のcDNAライブラリに逆転写した。次に、ドイツProgen Biotechnik社の「Mouse IgG Library Primer Set」(F2010)試薬キットに含まれる23個のプライマー及び実験方法を用い、21個の特定のプライマー対によるPCR反応を実施した(λL鎖の反応は含まない)。そして、発生した特異的なL鎖・H鎖の産物について、DNAシークエンシング、アミノ酸ポリペプチド配列の翻訳、及びCDRs(抗原決定基領域)とFW(足場領域)の識別を実施した。具体的な結果を以下に示す。
MS17−38モノクローナル抗体のL鎖可変領域におけるコード配列は、SEQ ID NO:1のようになった。
MS17−38モノクローナル抗体のL鎖可変領域におけるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2のようになった。
MS17−38モノクローナル抗体のH鎖可変領域におけるコード配列は、SEQ ID NO:3のようになった。
MS17−38モノクローナル抗体のH鎖可変領域におけるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4のようになった。
コード配列であるSEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:3は、それぞれアミノ酸配列であるSEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:4に対応している。アミノ酸配列における下線部はCDR領域の位置を示しており、CDR1、CDR2、CDR3の順で配列されている。また、これらの間の領域が足場タンパク質配列(FW)である。
実施例3
MS17−38モノクローナル抗体全長における真核発現ベクターの構築及びその発現細胞株の作製:
PCR反応によって上記L鎖可変領域及びH鎖可変領域のDNAのコード配列を増幅し、抗体のH鎖可変領域とL鎖可変領域の遺伝子の両端に適切な酵素切断点を組み込んだ。PCR増幅後に、L鎖可変領域の遺伝子及びH鎖可変領域の遺伝子のPCR産物をアガロースゲル電気泳動で回収し精製した。L鎖及びH鎖の増幅産物はそれぞれ対応する制限酵素に加え、酵素切断産物をDNA回収・精製試薬キットにより精製した。PCRにより取得したH鎖(VH)及びL鎖(VL)の産物をヒトIgG1CH1及びCLを含有する中間ベクター(pGEM−T)とライゲーションすることで中間ベクターpGEM−T−H及びpGEM−T−Lをそれぞれ取得してから、取得したVL+CL及びVH+CH1遺伝子をベクターpcDNA3.1に組み替えた。ライゲーション産物はDH5α大腸菌に形質転換し、50μg/mlのカルベニシリンを含有する2YT寒天培地に塗布した。取得した陽性クローンは50μg/mlのカルベニシリンを含有する2YT液体培地で培養し、インビトロジェン社によるシークエンシング検証の後に、Plasmid Maxi Preparation Kitを用いて陽性クローンのプラスミドを抽出した。
続いて、インビトロジェン社のNeonシステムを用い、線形化したプラスミドDNAをCHO細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションしたCHO細胞は希釈クローニング培養し、50マイクロモル(μmol)のメチオニンスルホキシミン(methionine sulfoximine,MSX)を含有する94113培地(Irvine Scientific社製)でスクリーニングすることで、モノクローナル抗体発現細胞系を取得した。
取得したモノクローナル細胞系は、50μmolのメチオニンスルホキシミンを含有する94113培地で振とうフラスコ培養し、生細胞の密度が30%未満となってから細胞培養液の上清を収集した。そして、Protein Aアフィニティークロマトグラフィーカラムを用い、細胞培養上清から目的の抗体を分離精製した。
次に、モノクローナル細胞からRNAを抽出して目的遺伝子の検出を行い、取得したモノクローナル細胞の目的遺伝子のコピー数を確認して、前記MS17−38モノクローナル抗体であることを検証した。また、抗体タンパク質のN末端シークエンシングを実施した結果、抗体ハイブリドーマ株から検出される抗体アミノ酸と配列と一致していた。
実施例4
96ウェル「U」型プレート上で、1%BSA/PBSを用いて各ウェルにつき平均約20万個の異なる胃癌細胞(胃癌のSGC7901及びBGC823細胞株と、対照として健常人PBMC)/100μLとなるよう配合し、U型プレートに加えた。そして、胃癌生細胞で免疫した血清(実施例1で取得した免疫後のマウス血清)をそれぞれ5倍力価で段階希釈した後、各ウェルに100マイクロリットル(μL)ずつ加えて均一に混合し、氷上又は4℃下で20分間反応させた。そして、2回洗浄してから1:333で希釈したヤギ抗マウスIgGFc−FITCを100μL/ウェル加え、4℃で反応及び洗浄した後、BD社のLSR−II蛍光フローサイトメーター・HTS機で各ウェルの平均蛍光強度値(MFI)を読み取った。
その結果、免疫応答性の高かった1号マウスの血清を胃癌細胞と結合させた場合の力価反応は、健常人PBMCと結合させた場合の力価よりも明らかに高かった。そこで、当該マウスの脾臓細胞をMS17−38モノクローナル抗体のハイブリドーマ産生のための融合実験に使用した(図1は、4種類の混合胃癌細胞株で免疫したマウスの血清と、健常人PBMC、胃癌SGC7901及びBGC823細胞株との力価反応をFACSにより検出したものである)。
実施例5
親和及び精製したMS17−38モノクローナル抗体に対し実施例4の説明で述べたU型ウェルプレートによる細胞染色方法を適用し、4種類の免疫用胃癌細胞株を結合染色反応させてLSR−II FACSメーターでMFIを読み取った。なお、その他の実験手順については実施例4と同様とした。
結果、MS17−38モノクローナル抗体と3種類の免疫用胃癌細胞株とを異なるレベルでそれぞれ結合反応させてFACSにより検出したところ、MS17−38モノクローナル抗体はMKN−45胃癌細胞株に対する反応が最も高いことがわかった。これに対し、SGC−7901細胞及びBGC−823細胞に対する反応はやや低く、健常人PBMCの応答性については結合反応がみられなかった(図2は、MS17−38モノクローナル抗体と、3種類の免疫用胃癌細胞株及び健常人PBMC細胞とを異なるレベルでそれぞれ結合反応させた場合をFACSにより検出したものである。このうち、図2(A)は、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体(アイソタイプが同じ無関係のマウスのモノクローナル抗体。IgG1H鎖、KappaL鎖。後述する対照抗体はいずれも同一の対照モノクローナル抗体)と、SGC−7901及びBGC−823胃癌細胞株との結合反応を示している。また、図2(B)は、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、MKN−45、BGC−823及び健常人の末梢血PBMC細胞とをそれぞれ結合反応させた場合を示している)。
実施例6
親和及び精製したMS17−38モノクローナル抗体に対し実施例4の説明で述べたU型ウェルプレートによる細胞染色方法を適用し、健常人PBMC、胃癌細胞株MKN−28、GES−1、AGS−Nを結合染色反応させてLSR−II FACSメーターでFITC蛍光のMFI値を読み取った。
結果、MS17−38モノクローナル抗体はGES−1及びAGS細胞株の双方に対し高い結合反応を有するが、健常人PBMCには結合反応がみられないことがわかった。また、アイソタイプ対照である無関係のモノクローナル抗体については、いずれも結合反応のない陰性対照であった(図3及び図4は、MS17−38モノクローナル抗体と、2種類の胃癌細胞株及び2つの対照細胞株とを異なるレベルでそれぞれ結合反応させた場合をFACSにより検出したものである。このうち、図3では、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、MKN−28及びAGS−N細胞株との反応を示している。また、図4では、MS17−38モノクローナル抗体及び対照抗体と、健常人の末梢血PBMC細胞及びGES−1(胎児の胃粘膜上皮形質転換細胞)細胞株とをそれぞれ結合反応させた場合を示している)。
実施例7
親和及び精製したMS17−38モノクローナル抗体を、それぞれ胃癌細胞株BGC823及び胃癌細胞株MKN−45の細胞膜抽出タンパク質(事前に米国Fisher Scientific社製のImmunlon−II 96−ウェルELISA反応プレートに充填)と酵素結合反応をさせ(例えばELISA等)、ELISAプレートリーダーにおいて450−nmの光学密度でOD値を読み取って作図した。
ELISAの結果より、MS17−38モノクローナル抗体と胃癌BGC823及び胃癌MKN−45の膜抽出タンパク質との間には結合反応が認められなかった。このことは、MS17−38モノクローナル抗体がELISAプレートに付着して分解された結合標的タンパク質とは反応し得ないことを意味している。つまり、MS17−38モノクローナル抗体と抗原の立体構造エピトープとの特異な反応が示された。これは、後述する抗体の共免疫沈降法における特殊な操作条件のための準備的実験となった(MS17−38モノクローナル抗体と、胃癌BGC823(図5参照)及び胃癌MKN−45(図6参照)の細胞膜抽出タンパク質とを結合させたELISA検出反応を参照)。
実施例8
胃粘膜形質転換細胞GES−1及び胃癌細胞BGC823、MKN45をサイトスピン(Cytospin)してからMS17−38モノクローナル抗体と結合し、カタラーゼ染色反応させた結果、標的タンパク質がいずれも細胞膜表面に分布していることがわかった(拡大倍率は各40x)(免疫組織化学法)。また、胃粘膜形質転換細胞GES−1についてはサイトスピン(Cytospin)後に、培養上清液を親和及び精製して取得したMS17−38モノクローナル抗体と結合した。これをカタラーゼ染色反応させた結果、モノクローナル抗体が細胞膜表面の標的タンパク質に結合可能なことがわかった。
免疫組織化学法の検出結果から、MS17−38モノクローナル抗体が胃粘膜形質転換細胞GES−1及び胃癌細胞BGC823、MKN45の細胞膜表面に結合可能なことが示されたが、このことは、MS17−38モノクローナル抗体が標的タンパク質に照準を合わせていることの証拠でもある(図7は、MS17−38モノクローナル抗体及びアイソタイプが同じ無関係なモノクローナル抗体の、A.胃粘膜形質転換細胞GES−1、B.胃癌細胞MKN−45、C.胃癌細胞BGC−823における免疫組織化学反応を検出したものである)。
実施例9
胃癌細胞株BGC823及びMKN45の細胞膜抽出タンパク質をMS17−38モノクローナル抗体との親和カラム(特に、結合するMS17−38モノクローナル抗体との親和精製カラム)で精製及び共免疫沈降(IP)した後、産物を分子量の異なる分子マーカーサンプルとともにそれぞれサンプル投入して電気泳動(SDS−PAGE)を実施した。電気泳動後にSDS−PAGEゲルをブロモフェノールブルー染色した結果、MS17−38モノクローナル抗体により精製された胃癌MKN45及びBGC823の細胞膜抽出タンパク質は抗原純度がたいへん高いことがわかった。また、抗原ストリップゲルをそれぞれ切り出すことで、更に抗原の質量分析を実施したいとの要求にも対応可能であった(図8は、MS17−38モノクローナル抗体によって胃癌BGC82及びMKN45の細胞膜抽出標的タンパク質に対し実施したSDS−PAGEゲルの精製ストリップを示す)。
実施例10
実施例9で述べたように、間接免疫沈降法では、MS17−38モノクローナル抗体との親和カラムによって、結合する抗原を胃癌細胞(MKN45及びBGC823)の膜抽出タンパク質から精製し、抗体のFc末端がProtein−Aの磁気ビーズに特異的に結合して非特異的吸着タンパクが洗い流された後、SDS−PAGEにサンプルを投入し、緩衝液を加えて加熱解離した。一方、直接免疫沈降法では、MS17−38モノクローナル抗体を、米国インビトロジェン社(米国ニューヨーク州グランドアイランド)製の活性化したDynabeads磁気ビーズに直接連結し、それ以降の反応手順は間接免疫沈降法と同様とした。実践より、MS17−38モノクローナル抗体の免疫沈降法としては、直接法でなければ特異的且つ明瞭な標的ストリップを得られないことが証明された(図8参照)。その後、複数回の高感度質量分析によって、MS17−38モノクローナル抗体に対応する標的がPODXL−v2タンパク質であることが特定された(図9は、MS17−38モノクローナル抗体によって胃癌BGC82及びMKN45の細胞膜抽出標的タンパク質に対し実施した3度の質量分析の結果を示す)。
実施例11
NCBIの大規模データベースのデータより、PODXLのいくつかのサブタイプのうち最長のアミノ酸配列における8−merのアミノ酸と6−merのアミノ酸を重複させ、マイクロマトリックスチップに積層した。次に、MS17−38モノクローナル抗体に蛍光標識したヤギ抗体を加えて間接的なハイブリダイゼーションを実施したところ、アミノ酸配列のうち221〜224と473〜477の2つセグメントにおいて強い蛍光結合強度が認められた。即ち、MS17−38モノクローナル抗体は、異性体PODXL−v2と結合することが示された(図10は、マイクロマトリックスチップに積載した6−mer及び8−merのアミノ酸をMS17−38モノクローナル抗体により分析したものである)。MS17−38モノクローナル抗体が異性体PODXL−v2と特異的に結合したのは、PODXL−v2のみが2つの空間立体構造の結合座位間に配列の欠損を有していたからである。このような2つの立体構造の座位が形成されるにはフォールディングが必要であり、PODXLとPODXL−v1にはMS17−38モノクローナル抗体とPODXL−v2との結合のような立体構造座位は形成され得ない(図11は、PODXL、PODXL−v1、PODXL−v2のアミノ酸配列における比較及びこれらの違いと、PODXL−v2における空間立体構造の座位のうちMS17−38モノクローナル抗体が具体的に結合する2つの座位を示している)。
実施例12
MKN−45細胞の培養では、Ambion Lifetech社(現サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)から購入した各25nM(ナノモル)の最終濃度のPODXL−v2(品番s10769)、FAM120B、Sec16A、SMARCC1及びブランク対照siRNAをそれぞれ添加した。そして、細胞に対しsiRNAをトランスフェクションすることで、最終的に各siRNAの標的タンパク質の発現が抑制された。次に、処理済みの細胞タンパク質を抽出し、それぞれSDS−PAGEにおいて各タンパク質ストリップを分離した。そして、MS17−38モノクローナル抗体とβ−Actin抗体(ウェスタンブロットの対照)を用いて特異的に反応させたところ、PODXL−v2とsiRNAで処理したMKN−45の細胞抽出タンパク質のみにおいて、MS17−38モノクローナル抗体と結合可能なPODXL−v2ストリップベルトが消失した。即ち、別の観点からもMS17−38モノクローナル抗体がPODXL−v2と特異的に反応することが証明された(図12は、MKN45細胞膜上でのPODXL−v2の発現をPODXL−v2とsiRNAが干渉することをウェスタンブロット試験により示したものである)。
以上述べたように、本発明は従来技術における様々な欠点を解消するものであり、高度な産業上の利用価値を有する。
上記の実施例は本発明の原理と効果を例示的に説明するものにすぎず、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱しないことを前提に、上記の実施例を補足又は変形可能である。したがって、当業者が本発明で開示した精神及び技術的思想から逸脱することなく遂行するあらゆる等価の補足又は変形もまた本発明の請求の範囲に含まれる。

Claims (14)

  1. 胃癌細胞の表面に機能的に発現するポドカリキシン様タンパク質前駆体サブタイプ2に対するモノクローナル抗体であって、
    当該抗体のL鎖可変領域におけるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2であり、当該抗体のH鎖可変領域におけるアミノ酸配列は、SEQ ID NO:4であるモノクローナル抗体。
  2. 前記L鎖可変領域におけるコード配列は、SEQ ID NO:1であり、前記H鎖可変領域におけるコード配列は、SEQ ID NO:3であることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. 前記モノクローナル抗体は、マウス由来であることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  4. 前記モノクローナル抗体は、IgG1H鎖及びκL鎖のサブタイプの免疫グロブリンであることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のモノクローナル抗体におけるH鎖及びL鎖の可変領域をコードするDNA分子。
  6. 請求項5に記載のDNA分子を含む構造体。
  7. 請求項6に記載の構造体が宿主細胞にトランスフェクションされて構成されるモノクローナル抗体の発現系。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のモノクローナル抗体の生成方法であって、
    前記抗体の発現に適した条件で、請求項7に記載されたモノクローナル抗体の発現系を培養することで前記モノクローナル抗体を発現し、前記モノクローナル抗体を精製及び分離するステップを含む方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のモノクローナル抗体の、腫瘍治療薬の生成又はスクリーニングにおける使用、或いは、腫瘍診断薬の生成における使用。
  10. 前記腫瘍が、胃癌であることを特徴とする請求項9に記載の使用。
  11. 前記胃癌が、胃扁平上皮癌、胃腺癌、胃小細胞癌、胃腺扁平上皮癌、胃カルチノイド、或いは、胃及び十二指腸癌であることを特徴とする請求項10に記載の使用。
  12. 治療有効投与量の、請求項1〜4のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含む医薬組成物。
  13. 1以上の薬学的に許容されるベクター又は賦形剤を含むことを特徴とする請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 請求項1〜4のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含む診断用試薬キット。
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