以下、実施形態の搬送装置を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の搬送装置1の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、搬送装置1は、例えば紙葉類等の郵便物を搬送するためのものであって、供給部2と、取出部3と、搬送部4と、第1排除集積部5と、第2排除集積部6と、区分集積部7と、ラベル貼付装置8と、ギャップ補正部9と、制御装置10と、を備えている。
供給部2は、操作者によって収集される複数の搬送物を所定の姿勢状態で積層配置して保持する。供給部2は、複数の搬送物を積層方向に移動させることによって積層方向先端側に存在する取出部3に供給する。なお、搬送物は、例えば、はがき等の書状、および封筒等の平たい書類で多少厚みのあるものも含む。搬送物は、第1面に対して書き込み、または印刷される区分情報を有している。
取出部3は、供給部2によって供給される複数の搬送物のうちから積層方向における最先端の搬送物を、1つずつ順次取り出し、取出し方向に存在する搬送部4に送り出す。
搬送部4は、複数の搬送ベルト4aと、複数の搬送ローラ18(何れも図2参照)と、により構成されている。そして、搬送ベルト4aを駆動することにより、搬送ベルト4aの敷設方向に沿って搬送物を搬送する。
第1排除集積部5および第2排除集積部6は、搬送部4に設けられている。第1排除集積部5および第2排除集積部6は、取出部3によって取り出される複数の搬送物のうちから排除対象の搬送物を集積する。第1排除集積部5は、規定厚さを超える厚さの搬送物、および異物が収容されている搬送物を検出し、検出した搬送物を集積回収する。第2排除集積部6は、搬送姿勢が規定姿勢からずれている搬送物を検出し、検出した搬送物を集積回収する。
区分集積部7は、搬送路(不図示)等を介してラベル貼付装置8、およびギャップ補正部9に接続されている。より具体的には、区分集積部7は、ラベル貼付装置8を迂回する搬送ベルト(不図示)によってギャップ補正部9に直接的に接続されると共に、ラベル貼付装置8が設けられる分岐搬送路(不図示)によってギャップ補正部9に間接的に接続されている。
区分集積部7は、搬送物に付与されている区分情報およびラベル貼付装置8によって搬送物に貼付されるラベルの情報を取得する。区分集積部7は、搬送物から取得する区分情報またはラベルの情報に応じて搬送物を区分集積する。区分集積部7は、ラベル貼付装置8において排除対象とされる搬送物を集積回収する排除集積部とは独立して、ラベル貼付装置8においてラベルが貼り付けられなかった搬送物を区分集積する。
ラベル貼付装置8は、ギャップ補正部9と区分集積部7との間の分岐搬送路(不図示)に配置されている。ラベル貼付装置8は、予め搬送物の第1面に付与されている区分情報に対する新たな情報(例えば、区分情報に対する修正情報または追加情報など)が記載されたラベルを搬送物に貼り付ける。
ギャップ補正部9は、搬送部4の終端(下流端)に搬送方向で対向するように配置されている。ギャップ補正部9は、搬送方向の前後で隣り合う搬送物の前ギャップおよび後ギャップを検出し、検出するギャップを所定範囲内の値に収まるように、搬送物の搬送速度を設定する(ギャップ補正を行う)。ギャップ補正部9の出力端(下流端)は、下流側搬送部14(図2参照)によって区分集積部7に接続されている。
なお、下流側搬送部14の構成も、搬送部4の構成と基本的に同一である。すなわち、下流側搬送部14は、複数の搬送ベルト14aと複数の搬送ローラ19(何れも図2参照)と、により構成されている。そして、搬送ベルト14aを駆動することにより、搬送ベルト14aの敷設方向に沿って搬送物を搬送する。また、搬送部4と下流側搬送部14の搬送速度(所定速度)は、同一速度に設定されている。
次に、図2、図3に基づいて、ギャップ補正部9について詳述する。
図2は、第1の実施形態のギャップ補正部9を示す概略構成図である。
同図に示すように、ギャップ補正部9は、搬送物の前ギャップ(第1の前ギャップ)および後ギャップを検出するギャップ検出部(第1のギャップ検出部)11と、搬送物の速度を調整する速度調整部12と、この速度調整部12に対する搬送物の位置を検出する搬送物位置検出部13と、を主構成としている。
ギャップ検出部11は、搬送部4の途中に設けられている。ギャップ検出部11は、例えば、光電センサ等により構成されている。ギャップ検出部11は、搬送物の前ギャップおよび後ギャップの他に、搬送物の搬送方向Yにおける長さ(以下、単に搬送物の長さという)、厚さ、および重さを検出している。これらの検出結果は信号として制御装置10に出力され、この制御装置10のメモリ等に記憶される。なお、搬送物の重さを検出するには、ひずみゲージ等が用いられる。
また、搬送部4の途中には、ギャップ検出部11の搬送方向Yの下流側に、タイミングセンサ15が設けられている。すなわち、タイミングセンサ15は、速度調整部12の直近上流側に配置されている。タイミングセンサ15は、例えば、透過型の光電センサ等により構成されている。タイミングセンサ15は、このタイミングセンサ15が配置されている箇所に、搬送物が到達したか否かを検出している。この検出結果は、信号として制御装置10に出力される。
制御装置10は、タイミングセンサ15からの出力信号に基づき、対応する搬送物(補正対象搬送物)のギャップ検出部11による検出結果をメモリ等から取り出し、この検出結果に基づいて、速度調整部12の駆動制御を行う。
速度調整部12は、第1調整部16と第2調整部17の2つの調整部16,17を備えている。これら2つの調整部16,17は、搬送方向Yの上流側から第1調整部16、第2調整部17の順に並んで配置されている。
各調整部16,17は、それぞれ駆動ローラ16a,17aと、従動ローラ16b,17bとで対を成すように設けられている。そして、各調整部16,17は、駆動ローラ16a,17aと従動ローラ16b,17bとで搬送物を挟持しながら、この搬送物を下流側搬送部14へと搬送する。
駆動ローラ16a,17aは、例えば、硬質のゴム材により構成されている。各駆動ローラ16a,17aには、別々に駆動モータ20a,20bが連結されている。このため、各駆動ローラ16a,17aは、それぞれ別々に駆動することができる。
また、各駆動モータ20a,20bは、制御装置10からの出力信号に基づいて駆動する。これにより、速度調整部12に搬送される搬送物の搬送速度が、搬送部4や下流側搬送部14の搬送速度に対して加減速され、補正対象搬送物の前ギャップおよび後ギャップが調整される。
なお、速度調整部12による搬送物の加減速の方法についての詳細は、後述する。また、以下の説明では、搬送速度を定速という場合がある。さらに、以下の説明では、搬送速度に対する加速、減速を、単に加速、減速という。
一方、従動ローラ16b,17bは、スポンジ等の弾性変形可能な材料によって構成されており、その外径は、駆動ローラ16a,17aと比較して大きく設定されている。従動ローラ16b,17bの外周面は、駆動ローラ16a,17aの外周面に当接するように配置されている。
このように従動ローラ16b,17bを構成することにより、厚さの異なる搬送物が各調整部16,17に搬送される場合であっても、それぞれ2つのローラ16a,16b,17a,17bで搬送物を確実に挟持でき、かつ搬送物に無理な応力をかけることがない。すなわち、厚さの厚い搬送物の場合は、この厚さに応じて従動ローラ16b,17bが弾性変形するので、搬送物に無理な応力がかかってしまうことを防止できる。
このように構成された駆動ローラ16a,17aおよび従動ローラ16b,17bは、互いに当接する箇所の外周面が、搬送部4の搬送ベルト3aおよび下流側搬送部14の搬送ベルト14aの敷設方向(搬送方向)上に位置するように配置されている。
また、第1調整部16および第2調整部17のそれぞれに、搬送物位置検出部13が設けられている。すなわち、第1調整部16には、各ローラ16a,16bの回転中心位置に対応するように、搬送物位置検出部13の第1検出部13aが設けられている。また、第2調整部17には、各ローラ17a,17bの回転中心位置に対応するように、搬送物位置検出部13の第2検出部13bが設けられている。
各位置検出部13a,13bは、例えば、透過型の光電センサにより構成されている。
そして、第1位置検出部13aは、第1調整部16の各ローラ16a,16bの回転中心位置に、搬送物の搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したときを検出する。一方、第2位置検出部13bは、第2調整部17の各ローラ17a,17bの回転中心位置に、搬送物の搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したときを検出する。これら検出結果は、信号として制御装置10に出力される。制御装置10は、各位置検出部13a,13bの検出結果も反映させた形で駆動モータ20a,20bの駆動制御を行う。
ここで、第1調整部16の各ローラ16a,16bの回転中心位置と、第1調整部16の直近上流側に配置された搬送ローラ18の回転中心位置との間の距離をL1とし、第1調整部16の各ローラ16a,16bの回転中心位置と、第2調整部17の各ローラ17a,17bの回転中心位置との間の距離をL2とし、搬送物の長さが最も短い最短搬送物の長さをLminとし、搬送物の長さが最も長い最長搬送物の長さをLmaxとし、第1調整部16の直近上流側に配置された搬送ローラ18から飛び出した最短搬送物を、第1調整部16に受け渡し可能な距離をα1としたとき、
距離L1,L2は、
α1≧L1≧Lmin ・・・(1)
L2<Lmin ・・・(2)
L1+L2≧Lmax ・・・(3)
を満たすように設定されている。これにより、搬送物の長さに関わらず、搬送部4から第1調整部16へと搬送物を確実に受け渡すことができる。また、第1調整部16から第2調整部17へと搬送物を確実に受け渡すことができる。
ここで、第1調整部16の直近上流側に配置された搬送ローラ18から飛び出した最短搬送物を第1調整部16に受け渡し可能な距離α1について、具体的に説明する。
最短搬送物は軽量であるため、搬送ローラ18から飛び出すとある程度の飛距離だけ飛ばして第1調整部16に到達させることができる。このとき、最短搬送物は、搬送ローラ18から発射後に空気抵抗を受けてブレが生じる。そのブレた状態の最短搬送物を、第1調整部16の2つのローラ16a,16bによって挟持し、引き込むことができる距離がα1である。このため、α1は、α1=Lmin+δ(δは、最短搬送物が完全に飛んでいる状態の距離)で表すことができる。なお、δは、実験等の結果から導き出すことができる。
また、第2調整部17の各ローラ17a,17bの回転中心位置と、第2調整部17の直近下流側に配置された搬送ローラ19の回転中心位置との間の距離をL3とし、第2調整部17から飛び出した最短搬送物を、この第2調整部17の直近下流側に配置された搬送ローラ19に受け渡し可能な距離をα2とし、第2調整部17における搬送物の最大加速時に、この搬送物が移動する搬送物最大移動距離をDmaxとしたとき、距離L3は、
α2≧L3≧Dmax・・・(4)
を満たすように設定されている。これにより、第2調整部17から下流側搬送部14へと搬送物を確実に受け渡すことができると共に、第2調整部17から下流側搬送部14へと搬送物を受け渡す途中で、この搬送物に無理な応力がかかることを防止できる。このことについて、以下に詳述する。
まず、距離α2については、上述の距離α1の求め方と同様であるから説明を省略する。
次に、搬送物最大移動距離Dmaxについて説明する。
ここで、第2調整部17によって、仮に搬送物を加速させる場合、搬送物が搬送ローラ19に到達する前に、この搬送物を定速に戻す必要がある。これは、搬送物の搬送方向前端が搬送ローラ19に到達した時点で、搬送物の搬送方向後部がまだ第2調整部17の2つのローラ17a,17bに挟持されている場合を考慮する必要があるからである。すなわち、搬送物が搬送ローラ19と第2調整部17の2つのローラ17a,17bとの両方に接触している状態で、搬送ローラ19と2つのローラ17a,17bとの間で速度差が生じていると、搬送物に無理な応力がかかってしまう。このため、距離L3は、搬送物最大移動距離Dmax以下に設定する必要がある。
図3に基づいて、搬送物最大移動距離Dmaxについて、より具体的に説明する。
図3は、第1の実施形態において、縦軸を速度調整部12における搬送物の搬送速度(V)とし、横軸を時間(T)としたときの搬送速度(V)の変化を示すグラフである。
定速をV0とし、速度調整部12における搬送物の最大速度をV1としたとき、搬送物の加速開始(P1)から減速を開始(P2)して定速に戻るまでは、駆動モータ20a,20bの加速時間、減速時間も考慮すると、図3に示すようなグラフになる。ここで、搬送物が加速されてから定速に戻るまでは、図3のエリアE1の面積(ハッチ部の面積)だけ搬送物が移動することになる。この面積が、搬送物最大移動距離Dmaxとなる。
なお、本実施形態では、加速時間を一定に設定し、加速後の速度を変化させることにより前ギャップおよび後ギャップの補正を行うように構成している(詳細は、後述のギャップ補正部9の動作説明参照)。しかしながら、これに限られるものではなく、搬送物の前ギャップおよび後ギャップに応じて加速時間を変化させるように構成することも可能である。
また、図3では特に図示しないが、減速に関しても加速の場合と同様の考え方である。
本実施形態では、減速時間を一定に設定し、減速後の速度を変化させることにより前ギャップおよび後ギャップの補正を行うように構成している。しかしながら、これに限られるものではなく、搬送物の前ギャップおよび後ギャップに応じて減速時間を変化させるように構成することも可能である。
次に、図1〜図10に基づいて、ギャップ補正部9による搬送物の前ギャップ、後ギャップの調整方法について、詳述する。
図4〜図8は、第1の実施形態のギャップ補正部9の動作を示すフローチャートである。
図1、図2、図4に示すように、まず、供給部2、取出部3を介して搬送部4に1つずつ搬送物が送り出される(ステップST1000)。
そして、搬送物がギャップ検出部11を通過する際に、このギャップ検出部11によって搬送物の長さ、厚さ、重さが検出される(ステップST2000)。
さらに、ギャップ検出部11によって、各搬送物の前ギャップおよび後ギャップが検出される(ステップST3000)。
続いて、タイミングセンサ15によって、このタイミングセンサ15に搬送物の搬送方向先端が到達したか否かを判断する(ステップST4000)。
ステップST4000による判断が「Yes」、つまり、タイミングセンサ15に搬送物の搬送方向先端が到達した場合、制御装置10は、到達した搬送物(補正対象搬送物)のギャップ検出部11による検出結果をメモリ等から取り出す(ステップST5000)。
また、制御装置10は、補正対象搬送物の1つ前に搬送されている搬送物の補正値に基づいて、ステップST5000で取得した前ギャップの値を修正する(ステップST6000)。このステップST6000の作業について、以下により詳しく説明する。
つまり、ギャップ検出部11で前ギャップの情報を取得した際は、何れの搬送物もギャップ補正前である。しかしながら、補正対象搬送物がタイミングセンサ15に到達した時点では、速度調整部12によって、前搬送物の前ギャップおよび後ギャップが補正されている可能性がある。このため、補正対象搬送物の前ギャップの値は、ギャップ検出部11に到達した時点と、タイミングセンサ15に到達した時点とで異なる可能性がある。このため、制御装置10は、ステップST6000の作業を行う。
続いて制御装置10は、ステップST6000の作業を経て得られた前ギャップの値と後ギャップとの値を比較し、前ギャップの値が後ギャップの値よりも大きいか(ステップST7000)、または、前ギャップの値と後ギャップの値とが同じであるか(ステップST8000)、または、前ギャップの値が後ギャップの値よりも小さいか(ステップST9000)、を判断する。
前ギャップの値と後ギャップの値とが同じ(ステップST8000)である場合、ギャップ補正を行う必要がないので、ギャップ補正部9の速度調整部12は、定速のまま補正対象搬送物を搬送する(ステップST8100)。
一方、前ギャップの値が後ギャップの値よりも大きい(ステップST7000)場合、速度調整部12において、補正対象搬送物を加速させて前ギャップの値と後ギャップの値との差を縮める必要がある。
この加速動作を行うにあたって、制御装置10では、まず、後ギャップ制限速度(搬送速度上限値)と、目標搬送速度(目標速度)と、を算出する(ステップST7100)。
ここでいう目標搬送速度とは、前ギャップの値と後ギャップの値とを所定範囲内の値に収めるために必要な計算上の加速後の速度である。
ここで、図9を参照しながら、補正対象搬送物を加速させる場合における後ギャップ制限速度について詳述する。
図9は、第1の実施形態の速度調整部12において、補正対象搬送物S1を加速させる場合を示す説明図であって、(a)〜(c)は、各タイミングでの速度調整部12と搬送物S1,S2の挙動を示している。
まず、図9(a)に示すように、補正対象搬送物を加速させる場合、速度調整部12は、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物S1の搬送方向前端位置が到達したことを検出したときに、各調整部16,17による加速が開始される。
そして、図9(b)に示すように、所定の加速時間が経過した後、減速を開始し、各調整部16,17を定速に戻す。
ここで、図3に示すように、各調整部16,17による加速時間は、加速開始(P1)から減速開始(P2)までとなるが、実際に各調整部16,17が減速開始(P2)から定速に戻るまでには時間がかかる。なお、この時間を戻り時間Δtとする。
そして、図9(c)に示すように、戻り時間Δtの時間帯に、後搬送物S2が第1調整部16に到達してしまうと、後搬送物S2のギャップ補正を適正に行うことが困難になってしまう。
このような状況は、補正対象搬送物S1と、後搬送物S2との間隔(後ギャップ)が短いほど生じやすい。このため、後ギャップの長さに応じて加速させる速度に制限を設ける必要がある。この制限速度が、補正対象搬送物S1を加速させる場合における後ギャップ制限速度である。
なお、戻り時間Δtを例に、後ギャップ制限速度の考え方について説明したが、実際に各調整部16,17が減速開始(P2)から定速に戻るまでの距離で考慮した場合であっても同様の事がいえる。
図2、図5に戻り、後ギャップ制限速度と、目標速度とを算出(ステップST7100)した後、目標速度と後ギャップ制限速度とを比較する。つまり、制御装置10によって、目標速度が後ギャップ制限速度以下であるか(ステップST7110)、または、目標速度が後ギャップ制限速度よりも大きいか(ステップST7120)を判断する。
目標速度が後ギャップ制限速度以下(ステップST7110)である場合、制御装置10は、目標速度を、実際に各速度調整部12によって補正対象搬送物を搬送させる決定速度(以下、単に決定速度という)として設定する(ステップST7111)。
一方、目標速度が後ギャップ制限速度よりも大きい(ステップST7120)場合、制御装置10は、後ギャップ制限速度を決定速度として設定する(ステップST7121)。
続いて、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物S1の搬送方向前端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST7200)。
ステップST7200による判断が「Yes」、つまり、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達した場合、第1調整部16による補正対象搬送物の加速を開始する(ステップST7300)。
また、これと同時に、第2調整部17による補正対象搬送物の加速を開始する(ステップST7400)。
そして、第1調整部16を決定速度まで加速させる(ステップST7310)と共に、第2調整部17を決定速度まで加速させる(ステップST7410)。
続いて、制御装置10は、第1調整部16による加速時間(図3参照)が経過したか(ステップST7320)、または、第1調整部16に設けられている第1位置検出部13aによって、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST7330)。なお、加速時間は、一定に設定されている。
そして、ステップST7320による判断が「Yes」、つまり、第1調整部16による加速時間が経過した、または、ステップST7330による判断が「Yes」、つまり、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合の何れかの場合に、第1調整部16の加速を中止する。換言すれば、第1調整部16の減速を開始(図3におけるP2参照)し、第1調整部16を定速に戻す(ステップST7340)。
また、制御装置10は、第2調整部17による加速時間(図3参照)が経過したか(ステップST7420)、または、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST7430)。なお、加速時間が一定に設定されている点は、第1調整部16と同様である(以下の減速動作の場合も同様)。
そして、ステップST7420による判断が「Yes」、つまり、第2調整部17による加速時間が経過した、または、ステップST7430による判断が「Yes」、つまり、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合の何れかの場合に、第2調整部17の加速を中止する。換言すれば、第2調整部17の減速を開始(図3におけるP2参照)し、第2調整部17を定速に戻す(ステップST7440)。
一方、図4、図6に示すように、前ギャップの値が後ギャップの値よりも小さい(ステップST9000)場合、速度調整部12において、補正対象搬送物を減速させて前ギャップの値と後ギャップの値との差を縮める必要がある。
この減速動作を行うにあたって、制御装置10では、まず、後ギャップ制限速度(搬送速度下限値)と、前ギャップ制限速度(減速開始閾値)と、目標搬送速度(目標速度)と、を算出する(ステップST9100)。
ここでいう目標搬送速度とは、前ギャップの値と後ギャップの値とを所定範囲内の値に収めるために必要な計算上の減速後の速度である。
ここで、図10を参照しながら、補正対象搬送物を減速させる場合における後ギャップ制限速度と、前ギャップ制限速度について詳述する。
図10は、第1の実施形態の速度調整部12において、補正対象搬送物S1を減速させる場合を示す説明図であって、(a)〜(d)は、各タイミングでの速度調整部12と補正対象搬送物S1および後搬送物S2の挙動を示している。
ここで、補正対象搬送物S1を減速させる場合、図10(a)に示すように、第1調整部16の減速開始タイミングが第2調整部17の減速開始タイミングよりも早い場合と、図10(d)に示すように、第1調整部16の減速開始タイミングと第2調整部17の減速開始タイミングとが同時の場合の大きく2パターンがある。この点、前述の補正対象搬送物を加速させる場合と異なる。このため、後ギャップ制限速度と、前ギャップ制限速度の2つの制限速度が必要になる。
後ギャップ制限速度については、前述の補正対象搬送物S1を加速させる場合における後ギャップ制限速度と考え方は同じである(図3参照)。但し、補正対象搬送物S1を減速させる場合における後ギャップ制限速度は、搬送速度下限値となる。
すなわち、各調整部16,17によって減速が開始され、所定の減速時間が経過した後、加速を開始し、最終的に各調整部16,17を定速に戻すが、加速開始から定速に戻るまでに時間(戻り時間)がかかる。この戻り時間の時間帯に、後搬送物(図10では不図示)が第1調整部16に到達してしまうと、後搬送物のギャップ補正を適正に行うことが困難になってしまう。このため、後ギャップの長さに応じて減速させる速度に制限を設ける必要がある。この制限速度が、補正対象搬送物S1を減速させる場合における後ギャップ制限速度である。
次に、前ギャップ制限速度について説明する。
図10(a)に示すように、第1調整部16の減速開始タイミングが第2調整部17の減速開始タイミングよりも早い場合において、第1調整部16によって補正対象搬送物S1の減速が開始された時点で、前搬送物S3が、第2調整部17によってギャップ補正中の場合がある。
このような場合、第2調整部17に補正対象搬送物S1が到達する時点で、第2調整部17は、第1調整部16の速度と同期している必要がある。
すなわち、図10(b)に示すように、第2調整部17は、この第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に前搬送物S3の搬送方向後端位置が到達したことを検出したときに、第2調整部17の速度調整が開始される。
そして、図10(c)に示すように、第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物S1の搬送方向前端位置が到達したことを検出したときに、第1調整部16の速度と第2調整部17の速度とが同一になっている必要がある。第1調整部16の速度と第2調整部17の速度とが異なっていると、補正対象搬送物S1に無理な応力がかかり、この補正対象搬送物S1の品質を悪化させてしまう可能性があるからである。
このような状況は、補正対象搬送物S1と、前搬送物S3との間隔(前ギャップ)が短いほど生じやすい。このため、前ギャップの長さ、および前搬送物S3の第2調整部17における搬送速度に応じて補正対象搬送物S1の減速開始タイミングに制限を設ける必要がある。すなわち、図10(d)に示すように、第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物S1の搬送方向前端位置が到達したことを検出したときに、減速を開始する必要がある。このような制限が、前ギャップ制限速度である。
図2、図6に戻り、後ギャップ制限速度と、前ギャップ制限速度と、目標搬送速度とを算出(ステップST9100)した後、目標速度と後ギャップ制限速度とを比較する。つまり、制御装置10によって、目標速度が後ギャップ制限速度以上であるか(ステップST9110)、または、目標速度が後ギャップ制限速度よりも小さいか(ステップST9120)を判断する。
目標速度が後ギャップ制限速度以上(ステップST9110)である場合、制御装置10は、目標速度を決定速度として設定する(ステップST9111)。
一方、目標速度が後ギャップ制限速度よりも小さい(ステップST9120)場合、制御装置10は、後ギャップ制限速度を決定速度として設定する(ステップST9121)。
続いて、決定速度と前ギャップ制限速度とを比較する。つまり、制御装置10によって、決定速度が前ギャップ制限速度以上であるか(ステップST9200)、または、決定速度が前ギャップ制限速度よりも小さいか(ステップST9300)を判断する。
決定速度が前ギャップ制限速度以上(ステップST9200)の場合、制御装置10は、タイミングセンサ15によって、補正対象搬送物の搬送方向後端が検出された時点から一定時間経過したか否かの判断を行う(ステップST9210、図7参照)。
一方、決定速度が前ギャップ制限速度よりも小さい(ステップST9300)場合、制御装置10は、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9310、図8参照)。
図2、図7に示すように、ステップST9210による判断が「Yes」、つまり、タイミングセンサ15によって、補正対象搬送物の搬送方向後端が検出された時点から一定時間経過した場合、第1調整部16に設けられている第1位置検出部13aによって、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9220)。
ステップST9220による判断が「Yes」、つまり、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達した場合、第1調整部16による補正対象搬送物の減速を開始する(ステップST9230)。
そして、第1調整部16を決定速度まで減速させる(ステップST9231)。
続いて、第1調整部16による減速時間が経過したか(ステップST9232)、制御装置10は、第1調整部16に設けられている第1位置検出部13aによって、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9233)。なお、減速時間は、加速時間と同様に一定に設定されている。
そして、ステップST9232による判断が「Yes」、つまり、第1調整部16による減速時間が経過した、または、ステップST9233による判断が「Yes」、つまり、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合の何れかの場合に、第1調整部16の減速を中止する。換言すれば、第1調整部16の加速を開始し、第1調整部16を定速に戻す(ステップST9234)。
また、ステップST9220による判断が「Yes」、つまり、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達した場合、制御装置10は、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に前搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9240)。
ステップST9240による判断が「Yes」、つまり、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合、この直後に第2調整部17の減速を開始する(ステップST9241)。このとき、第2調整部17に補正対象搬送物が到達したか否かは関係なく、減速を開始する。そして、第2調整部17を決定速度まで減速させる(ステップST9242)。
続いて、制御装置10は、第2調整部17による減速時間が経過したか(ステップST9243)、または、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9244)。
なお、ここでの減速時間も一定であり、ステップST9232における減速時間と同一に設定されている。ここで、減速時間のカウント開始タイミングは、ステップST9241における第2調整部17の減速を開始時点である。しかしながら、これに限られるものではなく、第2位置検出部13bによって、第2調整部17の各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達したことを検出したタイミングを、減速時間のカウント開始タイミングに設定してもよい。
続いて、ステップST9243による判断が「Yes」、つまり、第2調整部16による減速時間が経過した、または、ステップST9244による判断が「Yes」、つまり、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合の何れかの場合に、第2調整部17の減速を中止する。換言すれば、第2調整部17の加速を開始し、第2調整部17を定速に戻す(ステップST9245)。
一方、図2、図8に示すように、ステップST9310による判断が「Yes」、つまり、第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向前端位置が到達したことを検出した場合、第1調整部16による補正対象搬送物の減速を開始する(ステップST9320)と同時に、第2調整部17による補正対象搬送物の減速を開始する(ステップST9330)。
そして、第1調整部16を決定速度まで減速させる(ステップST9321)と共に、第2調整部17を決定速度まで減速させる(ステップST9331)。
続いて、制御装置10は、第1調整部16による減速時間が経過したか(ステップST9322)、第1調整部16に設けられている第1位置検出部13aによって、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9323)。なお、減速時間は、一定に設定されている。
そして、ステップST9322による判断が「Yes」、つまり、第1調整部16による減速時間が経過した、または、ステップST9323による判断が「Yes」、つまり、各ローラ16a,16bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合の何れかの場合に、第1調整部16の減速を中止する。換言すれば、第1調整部16の加速を開始し、第1調整部16を定速に戻す(ステップST9324)。
また、制御装置10は、第2調整部17による減速時間が経過したか(ステップST9332)、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9333)。なお、減速時間が一定に設定されている点は、第1調整部16と同様である。
そして、ステップST9332による判断が「Yes」、つまり、第2調整部17による減速時間が経過した、または、ステップST9333による判断が「Yes」、つまり、各ローラ17a,17bの回転中心位置に、補正対象搬送物の搬送方向後端位置が到達した場合の何れかの場合に、第2調整部17の減速を中止する。換言すれば、第2調整部17の加速を開始し、第2調整部17を定速に戻す(ステップST9334)。
これにより、ギャップ補正部9による搬送物の前ギャップ、後ギャップの調整が完了する。
このように、本実施形態のギャップ補正部9は、速度調整部12として2つの調整部16,17を備えている。さらに、各調整部16,17に、それぞれ位置検出部13a,13bが設けられている。そして、ギャップ検出部11の検出結果と、各位置検出部13a,13bの検出結果とに基づいて、2つの調整部16,17の加減速度を、それぞれ別々に制御している。このため、搬送物の長さに関わらず、この搬送物の前ギャップや後ギャップを補正できると共に、搬送物に無理な応力をかけることがなく、搬送物の品質を適正に保つことができる。
また、第1調整部16の各ローラ16a,16bの回転中心位置と、第1調整部16の直近上流側に配置された搬送ローラ18の回転中心位置との間の距離をL1とし、第1調整部16の各ローラ16a,16bの回転中心位置と、第2調整部17の各ローラ17a,17bの回転中心位置との間の距離をL2とし、搬送物の長さが最も短い最短搬送物の長さをLminとし、搬送物の長さが最も長い最長搬送物の長さをLmaxとし、第1調整部16の直近上流側に配置された搬送ローラ18から飛び出した最短搬送物を、第1調整部16に受け渡し可能な距離をα1としたとき、距離L1,L2は、式(1)〜(3)を満たすように設定されている。
このため、搬送物の長さに関わらず、搬送部4から第1調整部16へと搬送物を確実に受け渡すことができると共に、第1調整部16から第2調整部17へと搬送物を確実に受け渡すことができる。これに加え、搬送ローラ18と第1調整部16との間の距離、第1調整部16と第2調整部17との間の距離を適正に保つことにより、2つの調整部16,17によって、確実に搬送物の前ギャップおよび後ギャップを補正できる。
さらに、第2調整部17の各ローラ17a,17bの回転中心位置と、第2調整部17の直近下流側に配置された搬送ローラ19の回転中心位置との間の距離をL3とし、第2調整部17から飛び出した最短搬送物を、この第2調整部17の直近下流側に配置された搬送ローラ19に受け渡し可能な距離をα2とし、第2調整部17における搬送物の最大加速時に、この搬送物が移動する搬送物最大移動距離をDmaxとしたとき、距離L3は、式(4)を満たすように設定されている。
このため、第2調整部17から下流側搬送部14へと搬送物を確実に受け渡すことができる。また、第2調整部17から下流側搬送部14へと搬送物を受け渡す途中で、この搬送物に無理な応力がかかることを防止しつつ、搬送物の前ギャップおよび後ギャップを確実に補正できる。
また、第1位置検出部13aは、第1調整部16における各ローラ16a,16bの回転中心位置に対応するように設けられている。さらに、第2位置検出部13bは、第2調整部17における各ローラ17a,17bの回転中心位置に対応するように設けられている。このため、それぞれの位置検出部13a,13bによって、各ローラ16a,16b,17a,17bの回転中心位置に、搬送物の搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したときを、精度よく検出することができる。この結果、各調整部16,17の駆動制御を高精度に行うことが可能になる。
さらに、各調整部16,17を構成する駆動ローラ16a,17aと、従動ローラ16b,17bのうち、従動ローラ16b,17bを、弾性変形可能な材料によって構成している。このため、駆動ローラ16a,17aと、従動ローラ16b,17bとの間に、厚さの異なる搬送物が通過した場合であっても、従動ローラ16b,17bが弾性変形することにより、搬送物に無理な応力がかかってしまうことを防止できる。
また、従動ローラ16b,17bの外径を、駆動ローラ16a,17aの外径と比較して大きく設定している。このため、搬送物の厚さの違いを、従動ローラ16b,17bによって十分吸収することができる。
さらに、制御装置10は、速度調整部12によって搬送物を加速させる場合において、後ギャップ制限速度(搬送速度上限値)と、前ギャップの値と後ギャップの値とを所定範囲内の値に収めるために必要な計算上の加速後の目標搬送速度(目標速度)と、を算出している(ステップST7100)。そして、これら後ギャップ制限速度と目標速度とを比較し、この比較結果に基づいて、実際の搬送物の加速後の速度(決定速度)を決定している(ステップST7110〜ステップST7121)。このため、補正対象搬送物に対する後搬送物の補正が不安定になることがなく、ギャップ補正部9による搬送物のギャップ補正を、正確に行うことができる。
また、制御装置10は、速度調整部12によって搬送物を加速させる場合において、2つの調整部16,17のうち、第2調整部17に搬送物が到達した時点で2つの調整部16,17を同時に加速させるように制御している(ステップST7200〜ステップST7400)。このため、補正対象搬送物の前ギャップを考慮することなく、この補正対象搬送物のギャップ補正を行うことができる。よって、制御プログラムを簡素化できる。
さらに、制御装置10は、速度調整部12によって搬送物を減速させる場合において、後ギャップ制限速度(搬送速度下限値)と、前ギャップの値と後ギャップの値とを所定範囲内の値に収めるために必要な計算上の減速後の目標搬送速度(目標速度)と、を算出している(ステップST9100)。そして、これら後ギャップ制限速度と目標速度とを比較し、この比較結果に基づいて、実際の搬送物の減速後の速度(決定速度)を決定している(ステップST9110〜ステップST9121)。このため、補正対象搬送物に対する後搬送物の補正が不安定になることがなく、ギャップ補正部9による搬送物のギャップ補正を、正確に行うことができる。
また、制御装置10は、速度調整部12によって搬送物を減速させる場合において、前ギャップ制限速度(減速開始閾値)を算出し、この前ギャップ制限速度と決定速度とを比較している(ステップST9100、ステップST9200、ステップST9300)。
そして、この比較結果に基づいて、2つの調整部16,17のうち、どちらの調整部16,17に搬送物が到達した時点で搬送物の減速を開始するかを決定している(ステップST9210、ステップST9220、ステップST9310)。このため、2つの調整部16,17に搬送物が跨っている状態で2つの調整部16,17の速度が異なってしまうことを防止できる。よって、速度調整部12において、搬送物に無理な応力をかけることがなく、搬送物の品質を適正に保つことができる。
なお、上述の実施形態では、紙葉類等の郵便物を搬送するための搬送装置1に、ギャップ補正部9を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな搬送物を搬送する搬送装置に、ギャップ補正部9の構成を適用することができる。
また、上述の実施形態では、ギャップ検出部11は、搬送物の前ギャップおよび後ギャップの他に、搬送物の長さ、厚さ、および重さを検出している。しかしながら、ギャップ補正部9を適正に動作させる場合においては、必ずしも搬送物の長さ、厚さ、および重さは検出する必要がない。このため、搬送物の重さを検出しない場合は、ひずみゲージ等の重さを検出するために必要な構成も必要なくなる。
さらに、上述の実施形態では、ギャップ補正部9において、搬送物を加速させる場合、前ギャップ制限速度を算出することなく、第2調整部17に搬送物が到達した時点で搬送物の加速を開始する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、搬送物を加速させる場合も前ギャップ制限速度を算出し、搬送物を減速させる場合と同様に各調整部16,17の駆動制御を行うように構成してもよい。つまり、搬送物を加速させる場合において、前ギャップ制限速度と決定速度とを比較し、この比較結果に基づいて、2つの調整部16,17のうち、どちらの調整部16,17に搬送物が到達した時点で搬送物の加速を開始するかを決定してもよい。
また、上述の実施形態では、速度調整部12によって搬送物を減速させる場合において、第1調整部16による補正対象搬送物の減速を開始する(ステップST9230)工程と、第2調整部17に設けられている第2位置検出部13bによって、各ローラ17a,17bの回転中心位置に前搬送物の搬送方向後端位置が到達したことを検出したか否かの判断を行う(ステップST9240)工程とを同時に行い、このステップST9240の後に第2調整部17の減速を開始する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第2調整部17では、前搬送物の搬送方向後端位置が通過して時点で、予め減速させておいてもよい。この場合、第1調整部16よりも先に第2調整部17の減速が開始されることもあり得る。
さらに、上述の実施形態では、速度調整部12は、2つの調整部16,17を備えている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、3つ以上の調整部を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、位置検出部13a,13bは、それぞれ各ローラ16a,16b,17a,17bの回転中心位置に対応するように設けられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、各調整部16,17に対応するように設けられていればよい。そして、位置検出部13a,13bによって、搬送物の搬送方向前後端位置が各ローラ16a,16bの回転中心位置に到達したか否かを検出できるように構成されていればよい。
例えば、各ローラ16a,16bの回転中心位置よりも搬送方向上流側に位置検出部13a,13bを配置し、これら位置検出部13a,13bによって検出された時点から所定時間経過後に、各ローラ16a,16bの回転中心位置に搬送物の搬送方向前後端位置が到達したとみなすように構成してもよい。さらに、各ローラ16a,16bの回転中心位置に限らず、位置検出部13a,13bによって、各調整部16,17の任意の位置に、搬送物の搬送方向前後端位置が到達したことを検出するように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、制御装置10は、ギャップ検出部11で検出した情報(搬送物の長さ、厚さ、および重さ)を、タイミングセンサ15に搬送物が到達した時点で取り出すように構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、タイミングセンサ15を配置する箇所に、ギャップ検出部11を設け、タイミングセンサ15を廃止してもよい。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態の搬送装置1について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付することにより詳細な説明を省略する。
図11は、第2の実施形態のギャップ補正部9Aの構成図である。第2の実施形態の搬送装置1におけるギャップ補正部9Aは、搬送方向に並んで配置された2つの速度調整部(16および17)のうち下流側の速度調整部(第2調整部17)に設けられ、搬送物Sと、その搬送物Sの1つ前に搬送される前搬送物との第2の前ギャップを検出する第2ギャップ検出部11A(第2のギャップ検出部)を備える点で、第1の実施形態の搬送装置1とは異なる。以下、この相違点を中心として説明する。
第2ギャップ検出部11Aは、例えば、光電センサ等により構成されている。第2ギャップ検出部11Aは、搬送方向Yに並んで配置された2つの速度調整部(16および17)のうち下流側の速度調整部(第2調整部17)に設けられる。第2の実施形態において、第2ギャップ検出部11Aは、駆動ローラ17aおよび従動ローラ17bの回転中心位置から搬送方向Yの下流側に所定距離だけずれた位置に到達した搬送物Sについて、第2の前ギャップを検出する。第2ギャップ検出部11Aは、搬送物Sと該搬送物Sの1つ前に搬送される前搬送物との第2の前ギャップを検出する。第2ギャップ検出部11Aは、第2の前ギャップの検出結果をセンサ信号として制御装置10に出力する。なお、駆動ローラ17aおよび従動ローラ17bの回転中心位置に対する第2ギャップ検出部11Aのズレ量は、駆動ローラ17aと従動ローラ17bとにより搬送物Sを狭持する位置から、搬送物Sの搬送方向前端位置または搬送方向後端位置が、第2調整部17を通過したとみなすことができる程度に小さい距離であればよい。
搬送物位置検出部13は、位置検出部13−1と、位置検出部13−2と、位置検出部13−3と、位置検出部13−4とを備えてよいが、これには限られない。位置検出部13−1、位置検出部13−2、位置検出部13−3、および位置検出部13−4は、例えば、透過型の光電センサにより構成されている。
位置検出部13−1は、搬送ローラ18の下流側であって第1調整部16の上流側に設けられる。位置検出部13−1は、第1調整部16の上流側に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したことを検出する。位置検出部13−2は、駆動ローラ16aおよび従動ローラ16bの回転中心位置から搬送方向Yの下流側に所定距離だけずれた位置に設けられる。位置検出部13−2は、第1調整部16の下流側に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したことを検出する。位置検出部13−3は、搬送方向Yにおいて第1調整部16と第2調整部17との間の任意の位置に設けられる。位置検出部13−3は、第1調整部16と第2調整部17との間に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したことを検出する。なお、図11において、位置検出部13−3は、第1調整部16と第2調整部17との略中央位置に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したことを検出する。位置検出部13−4は、駆動ローラ17aおよび従動ローラ17bの回転中心位置から搬送方向Yの下流側に所定距離だけずれた位置に設けられる。位置検出部13−4は、第2調整部17の下流側に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したことを検出する。なお、駆動ローラ16aおよび従動ローラ16bの回転中心位置に対する位置検出部13−4のズレ量は、駆動ローラ16aと従動ローラ16bとにより搬送物Sを狭持する上流側位置から、搬送物Sの搬送方向前端位置または搬送方向後端位置が第1調整部16を通過したとみなすことができる程度に小さい距離であればよい。
なお、第2の実施形態において、第2ギャップ検出部11Aにより第2の前ギャップを検出する位置と、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置を検出する位置とが同じであるものとして説明したが、これに限られない。また、第2の実施形態において、位置検出部13−3を設けたが、位置検出部13−3を設ける代わりに、位置検出部13−2に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置が到達した時刻、および搬送物Sの速度等に基づいて、第1調整部16と第2調整部17との間の位置に搬送物Sの搬送方向前端位置および搬送方向後端位置がそれぞれ到達したことを推定してもよい。
以下、図12、図13、図14、および図15を参照して、第2の実施形態の搬送装置1により搬送物Sの前ギャップおよび後ギャップを調整する処理について説明する。図12、図13、図14、および図15は、第2の実施形態のギャップ補正部9の動作を示すフローチャートである。
基本動作に関しては、第1の実施形態の図4の記載を援用する。すなわち、第2の実施形態の搬送装置1は、供給部2および取出部3を介して搬送部4により1つずつ搬送物Sを搬送する(ステップST1000)。ギャップ検出部11は、搬送部4により搬送物Sが搬送された場合に、搬送物Sの長さ、厚さ、および重さを検出し(ステップST2000)、搬送物Sについて前ギャップおよび後ギャップを検出する(ステップST3000)。
制御装置10は、図12に示すように、内蔵するタイマから、所定の期間が経過したことを示す信号が入力されたか否かを判定する(ステップST100)。すなわち、制御装置10は、所定の期間が経過したか否かを判定する。制御装置10は、内蔵するタイマから信号が入力された場合には、図15のステップST200以降に処理を進め、タイマにより出力された信号を入力されていない場合にはステップST102に処理を進める。
制御装置10は、搬送物位置検出部13により搬送物Sを検出したか否かを判定する(ステップST102)。制御装置10は、搬送物Sを搬送物位置検出部13により検出していない場合にはステップST100に処理を戻す。
搬送物Sを搬送物位置検出部13により検出することで搬送物位置検出部13から信号が供給された場合、制御装置10は、搬送物位置検出部13により検出した信号に基づいて、位置検出部13−1により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したか否かを判定する(ステップST110)。
制御装置10は、位置検出部13−1により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したと判定した場合、ステップST110において搬送方向前端位置が検出された搬送物Sについての搬送物番号、前ギャップおよび後ギャップを、ギャップ検出部11から取得する(ステップST111)。なお、搬送物番号は搬送物Sを他の搬送物と識別するための情報である。
制御装置10は、ギャップ検出部11により取得された情報に基づいて、位置検出部13−1により検出された搬送物Sが、搬送装置1の動作が開始されてから1通目の搬送物であるか否かを判定する(ステップST112)。
搬送物Sが1通目の搬送物ではないと判定した場合、制御装置10は、搬送物Sに対する前搬送物の補正量を、ステップST111において取得した搬送物Sの前ギャップに加算して(ステップST113)、ステップST114に処理を進める。搬送物Sが1通目の搬送物であると判定した場合、またはステップS113の処理を行った場合、制御装置10は、ステップST111において取得した前ギャップおよび後ギャップに基づいて搬送物S(搬送対象物)の補正量を算出し、算出した補正量に基づいて目標ギャップを算出する(ステップST114)。制御装置10は、例えば、搬送物Sの前ギャップおよび後ギャップが均等に配分されるように補正値および目標ギャップを算出する。
搬送物Sの前ギャップをA、搬送物Sの後ギャップをB、前搬送物の補正量をΔLn−1とした場合、搬送物Sの補正量ΔLnは下記の式(5)により示される。前搬送物の補正量ΔLn−1は、加速の場合には正値となり、減速の場合には負値となる。これにより、制御装置10は、前搬送物の補正量、および加減速ステータスを加味した前搬送物Sの前ギャップに基づいて補正量ΔLnを計算する。加減速ステータスは、第1調整部16および第2調整部17の動作状態を表し、搬送物Sを加速させる加速動作、搬送物Sを減速させる減速動作、または、搬送物Sを搬送部4の搬送速度で搬送させる加減速無し動作の何れかである。
ΔLn={(A±ΔLn−1)−B}/2 ・・・(5)
次に、制御装置10は、算出した搬送物Sの補正量ΔLnに基づいて搬送物Sの加減速ステータスを設定する(ステップST115)。制御装置10は、補正量ΔLnが0よりも小さい場合には加減速ステータスを「加速」に設定し、補正量ΔLnが0よりも大きい場合には加減速ステータスを「減速」に設定し、補正量ΔLnが0である場合には加減速ステータスを「加減速無し」に設定する。
次に、制御装置10は、搬送物Sについて、減速キャンセル期間を設定して、減速キャンセル期間の計時を開始する(ステップST116)。減速キャンセル期間とは、搬送物Sが第1調整部16に到達する時よりも前に、第1調整部16の減速動作をキャンセルさせて搬送部4の搬送速度に戻すための期間である。減速キャンセル期間は、位置検出部13−1を通過した搬送物Sが減速動作をしている第1調整部16に搬送されることで搬送物Sの品質が低下することを回避するために設定される。減速キャンセル期間は、位置検出部13−1が設けられた搬送方向Yの位置から第1調整部16により搬送物Sを狭持する位置までの距離と、搬送部4の搬送速度とにより決まる期間よりも短い期間に設定される。これにより、制御装置10は、第1調整部16により搬送物Sを減速させている場合に、後搬送物が到達する前に、第1調整部16により搬送物Sの減速を停止させる。制御装置10は、減速キャンセル期間を開始した後、処理をステップST100に戻す。
ステップST110において、位置検出部13−1により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したと判定しなかった場合、制御装置10は、位置検出部13−1により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したか否かを判定する(ステップST120)。制御装置10は、位置検出部13−1により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したと判定した場合にはステップST100に処理を戻す。
ステップST120において、位置検出部13−1により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出していないと判定した場合、制御装置10は、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したか否かを判定する(ステップST130)。図16は、第2の実施形態において搬送物Sが位置検出部13−2に到達した様子を示す図である。搬送物Sが位置検出部13−2に到達した場合、図16に示すように前搬送物Spが第2調整部17により狭持されている場合と、前搬送物Spが第2調整部17により狭持されていない場合とがある。図12に戻り、制御装置10は、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したと判定した場合にはステップST131に処理を進め、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出していないと判定した場合にはステップST140に処理を進める。
ステップST130において位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したと判定した場合、制御装置10は、搬送物Sに設定された加減速ステータスを判定し(ステップST131)、加減速ステータスが「加速」である場合には、第2調整部17に前搬送物Spがあるか否かを判定する(ステップST132)。図16に示すように第2調整部17に前搬送物Spが狭持されている場合、制御装置10は、搬送物Sに前搬送物Spが有ると判定する。制御装置10は、加減速ステータスが「減速」または「加減速無し」である場合にはステップST100に処理を戻す。
ステップST132において、第2調整部17に前搬送物Spがないと判定した場合、制御装置10は、補正量ΔLnに基づいて、搬送物Sの目標速度を設定する(ステップST133)。
図17は、第2の実施形態において補正量ΔLと、搬送物Sの目標速度と、加減速の制御時間との関係を示す図である。搬送物Sの目標速度は、補正量ΔLに対応した加速後の速度または減速後の速度を示し、制御時間は、搬送部4の搬送速度から加速後の速度または減速後の速度で搬送物Sを搬送する時間である。制御装置10は、記憶部(不図示)に、図17に示す関係を記述したテーブルデータを記憶する。制御装置10は、搬送物Sの加速を開始する場合に、算出した補正量ΔLに対応した搬送物Sの速度および制御時間を読み出し、読み出した速度を、目標速度に設定する。
搬送物Sの目標速度を設定すると、制御装置10は、搬送物Sの速度がステップST133において設定された搬送物Sの目標速度となるように第1調整部16の回転速度を制御することで、搬送物Sの加速を開始させる(ステップST134)。このとき、制御装置10は、補正量ΔLに対応した制御時間を加速時間として設定する。
ステップST130において、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出していないと判定した場合、制御装置10は、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したか否かを判定する(ステップST140)。
図18は、第2の実施形態において搬送物Sの搬送方向後端位置が位置検出部13−2に到達した様子を示す図である。図示するように、搬送物Sの搬送方向後端位置が位置検出部13−2に到達した場合、搬送物Sは、第1調整部16からY方向に抜けて第2調整部17に狭持される状態となる。
ステップST140において、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したと判定した場合、制御装置10は、搬送物Sの速度が搬送部4の搬送速度であるか否かを判定する(ステップST141)。制御装置10は、搬送物Sの速度が搬送部4の搬送速度であると判定した場合にはステップST100に処理を戻す。一方、搬送物Sの速度が搬送部4の搬送速度ではないと判定した場合、制御装置10は、第1調整部16により搬送物Sを搬送する速度を搬送部4の搬送速度に戻して(ステップST142)、処理をステップST100に戻す。
ステップST140において、位置検出部13−2により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出していないと判定した場合、制御装置10は、位置検出部13−3により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したか否かを判定する(ステップST150)。図19は、第2の実施形態において搬送物Sの搬送方向前端位置が位置検出部13−3に到達した様子を示す図である。搬送物Sの搬送方向前端位置が位置検出部13−3に到達した場合、図19に示すように前搬送物Spが第2調整部17により狭持されている場合と、前搬送物Spが第2調整部17に狭持されていない場合がある。
ステップST150において、位置検出部13−3により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したと判定した場合、制御装置10は、搬送物Sに設定された加減速ステータスを判定する(ステップST151)。制御装置10は、加減速ステータスが「減速」または「加減速無し」である場合にはステップST100に処理を戻す。
ステップST151において、加減速ステータスが「加速」であると判定した場合、制御装置10は、第1調整部16により搬送物Sの加速を開始していないか否かを判定する(ステップST152)。制御装置10は、搬送物Sの加速を開始している場合にはステップST100に処理を戻す。
ステップST152において、搬送物Sの加速を開始していると判定した場合、制御装置10は、第2調整部17に前搬送物Spが存在するか否かを判定する(ステップST153)。図19に示すように、第2調整部17に前搬送物Spが狭持されている場合、制御装置10は、搬送物Sに前搬送物Spが有ると判定してステップST100に処理を戻す。
第2調整部17に前搬送物Spがないと判定した場合、制御装置10は、第1調整部16の回転速度を高くすることで、搬送物Sの加速を開始させる(ステップST154)。このとき、制御装置10は、補正量ΔLに対応した制御時間を加速時間として設定する。
ステップST150において、位置検出部13−3により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出していないと判定した場合、制御装置10は、位置検出部13−3により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したか否かを判定する(ステップST160)。
図20は、第2の実施形態において搬送物Sの搬送方向後端位置が位置検出部13−3に到達した様子を示す図である。搬送物Sの搬送方向後端位置が位置検出部13−3に到達した場合、搬送物Sは、第1調整部16からY方向に抜けて第2調整部17に狭持される状態となる。制御装置10は、位置検出部13−3により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したと判定した場合には、ステップST100に処理を戻す。
ステップST160において、位置検出部13−3により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出していないと判定した場合、制御装置10は、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したか否かを判定する(ステップST170)。
ステップST170において、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したと判定した場合、第2ギャップ検出部11Aは、位置検出部13−4に到達した搬送物Sの搬送方向前端位置を検出したタイミングで、搬送物Sの前ギャップ(第2の前ギャップ)を再演算する(ステップST172)。
図21は、第2の実施形態において搬送物Sの搬送方向前端位置が位置検出部13−4に到達した様子を示す図である。第2の実施形態において、搬送方向Yにおける第1調整部16と第2調整部17との距離は、例えば、搬送装置1における搬送物Sの最小長さよりも短く設定される。このため、搬送物Sの搬送方向前端位置が位置検出部13−4に到達した場合、搬送物Sは、第1調整部16および第2調整部17の双方に狭持される。第2ギャップ検出部11Aは、例えば、搬送物Sに対する前搬送物Spが第2ギャップ検出部11Aに到来した時刻と搬送物Sが第2ギャップ検出部11Aに到来した時刻との時間差と、搬送部4の搬送速度とに基づいて搬送物Sの前ギャップを再演算する。
次に、制御装置10は、搬送物Sに設定された加減速ステータスを判定し(ステップST173)、加減速ステータスが「加速」である場合にはステップST174に処理を進め、加減速ステータスが「加減速無し」である場合にはステップST180に処理を進め、加減速ステータスが「減速」である場合にはステップST182に処理を進める。
加減速ステータスが「加速」である場合、制御装置10は、搬送物Sの加速を開始しているか否かを判定する(ステップST174)。搬送物Sの加速を開始している場合、制御装置10は、再演算された前ギャップ(第2の前ギャップ)と目標ギャップとの差から残りの補正量を算出する(ステップST175)。次に、制御装置10は、算出した残りの補正量、および現在の搬送物Sの速度(目標速度)に基づいて残りの補正時間を算出する(ステップST176)。
図22は、第2の実施形態において加速の制御時間を調整する動作を説明する図である。制御装置10は、残りの補正量がΔL#である場合、残りの補正量ΔL#だけ搬送物Sを進めるように搬送物Sの減速開始時刻P2を時間Tだけ遅らせた時刻Δtを設定する。これにより、制御装置10は、搬送物Sの速度を搬送速度(V0)から最大速度(V1)に制御する加速時間を長くすることで、残りの補正量ΔL#だけ前ギャップを狭くするよう調整する。制御装置10は、搬送物Sの加速時間を長く変更した後、処理をステップST100に戻す。
なお、第2の実施形態では、再演算した前ギャップと目標ギャップとの差に基づいて残りの補正時間を設定するものとしたが、これに限られない。第2の実施形態は、第2ギャップ検出部11Aにより前ギャップのみならず後ギャップを検出し、前ギャップと後ギャップとが均等になるように残りの補正時間を設定してもよい。また、第2の実施形態は、残りの補正量に基づいて残りの制御時間を調整したが、これに限らず、搬送物Sの搬送速度を再調整してもよい。制御装置10は、例えば、搬送物Sが比較的厚い場合、残りの補正量に基づいて搬送物Sを再加速させてもよい。
ステップST174において搬送物Sの加速を開始していないと判定した場合、または、後述するステップST181において加減速ステータスを再判定した結果、搬送物Sを加速させる場合、制御装置10は、第2ギャップ検出部11Aにより再演算した前ギャップと後ギャップとに基づいて、式1により補正量ΔLを算出する(ステップST177)。次に、制御装置10は、算出した補正量ΔLに基づいて、搬送物Sの目標速度および制御時間を設定する(ステップST178)。制御装置10は、例えば、図17に示したテーブルデータを参照して搬送物Sの目標速度および制御時間を設定する。そして、制御装置10は、搬送物Sの速度がステップST178において設定された搬送物Sの目標速度となるように第1調整部16の回転速度を制御することで、搬送物Sの加速を開始させる(ステップST179)。このとき、制御装置10は、補正量ΔLに対応した制御時間を加速時間として設定する。
ステップST173において、加減速ステータスが「加減速無し」であると判定した場合、制御装置10は、ステップST172において再演算した前ギャップと、ギャップ検出部11から取得した後ギャップとに基づいて、加減速ステータスを設定する(ステップST180)。制御装置10は、再演算した前ギャップと後ギャップとに基づいて式1により補正量ΔLを算出することで、加減速ステータスを設定する。次に、制御装置10は、ステップST180において設定された結果に基づいて、加減速ステータスを再判定する(ステップST181)。制御装置10は、加減速ステータスが「加速」である場合にはステップST177に処理を進め、加減速ステータスが「加減速無し」である場合にはステップST100に処理を戻し、加減速ステータスが「減速」である場合にはステップST182に処理を進める。
ステップST173またはステップST181において、加減速ステータスが「減速」であると判定した場合、制御装置10は、第2ギャップ検出部11Aにより再演算した前ギャップと後ギャップとに基づいて、式1により補正量ΔLを算出する(ステップST182)。次に、制御装置10は、算出した補正量ΔLに基づいて、搬送物Sの目標速度および制御時間を設定する(ステップST183)。制御装置10は、例えば、図17に示したテーブルデータを参照して搬送物Sの目標速度および制御時間を設定する。そして、制御装置10は、搬送物Sの速度がステップST183において設定された搬送物Sの目標速度となるように第1調整部16の回転速度を制御することで、搬送物Sの減速を開始させる(ステップST184)。このとき、制御装置10は、補正量ΔLに対応した制御時間を減速時間として設定する。
なお、制御装置10は、ギャップ検出部11により検出された前ギャップおよび後ギャップに基づいて搬送物Sを減速させる場合に、ステップST182の処理を省略してもよい。また、第2の実施形態は、位置検出部13−4に搬送物Sの搬送方向前端位置が到達した場合に搬送物Sの減速を開始するものとしたが、これに限られず、搬送物Sの搬送方向前端位置が位置検出部13−2に到達した場合、または搬送物Sの搬送方向前端位置が位置検出部13−3に到達した場合に搬送物Sの減速を開始してもよい。
ステップST170において、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向前端位置を検出していないと判定した場合、制御装置10は、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したか否かを判定する(ステップST190)。
図23は、第2の実施形態において搬送物Sの搬送方向後端位置が位置検出部13−4に到達した様子を示す図である。搬送物Sの搬送方向後端位置が位置検出部13−4に到達した場合、搬送物Sは、第2調整部17からY方向に抜けた状態となる。制御装置10は、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したと判定した場合にはステップST191に処理を進め、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出していないと判定した場合にはステップST100に処理を戻す。
ステップST190において、位置検出部13−4により搬送物Sの搬送方向後端位置を検出したと判定した場合、制御装置10は、第1調整部16および第2調整部17における搬送物Sの速度が搬送部4の搬送速度であるか否かを判定する(ステップST191)。制御装置10は、第1調整部16および第2調整部17における搬送物Sの速度が搬送部4の搬送速度であると判定した場合にはステップST100に処理を戻す。搬送物Sの速度が搬送部4の搬送速度ではないと判定した場合、制御装置10は、第2調整部17により搬送物Sを搬送する速度を搬送部4の搬送速度に戻して(ステップST192)、処理をステップST100に戻す。
ステップST100において、内蔵するタイマから信号が入力されたと判定した場合、制御装置10は、ステップST200において減速キャンセル期間が終了したか否かを判定する(ステップST200)。制御装置10は、減速キャンセル期間が終了したと判定した場合にはステップST201に処理を進め、減速キャンセル期間が終了していないと判定した場合にはステップST210に処理を進める。
ステップST200において、減速キャンセル期間が終了したと判定した場合、制御装置10は、第1調整部16に前搬送物Spがあるか否かを判定する(ステップST201)。制御装置10は、第1調整部16に前搬送物Spがない場合にはステップST100に処理を戻す。第1調整部16に前搬送物Spがある場合、制御装置10は、第1調整部16の加減速ステータスが「減速」であるか否かを判定する(ステップST202)。制御装置10は、加減速ステータスが「減速」ではないと判定した場合にはステップST100に処理を戻す。第1調整部16の加減速ステータスが「減速」であると判定した場合、制御装置10は、搬送物Sの減速動作を終了させ(ステップST203)、第1調整部16および第2調整部17による搬送物Sの搬送速度を搬送部4の搬送速度に戻す(ステップST204)。なお、制御装置10は、第1調整部16と第2調整部17との双方を同時に加速または減速するように制御している場合、第1調整部16および第2調整部17の双方に設定されている加減速ステータスを参照して判定してもよい。
ステップST200において、減速キャンセル期間が終了していないと判定した場合、制御装置10は、加速時間が終了したか否かを判定する(ステップST210)。制御装置10は、加速時間が終了したと判定した場合には、第1調整部16および第2調整部17による搬送物Sの搬送速度を搬送部4の搬送速度に戻す(ステップST211)。制御装置10は、加速時間が終了してない場合、減速時間が終了したか否かを判定する(ステップST220)。制御装置10は、減速時間が終了したと判定した場合には、第1調整部16および第2調整部17による搬送物Sの搬送速度を搬送部4の搬送速度に戻す(ステップST221)。
以上説明したように、第2の実施形態は、第1調整部16および第2調整部17のうち下流側の第2調整部17に設けられた第2ギャップ検出部11Aを備え、ギャップ検出部11により検出された前ギャップおよび後ギャップに基づいて搬送物Sの搬送速度を制御し、さらに、第2ギャップ検出部11Aにより検出された前ギャップに基づいて搬送物Sの搬送を制御する。これにより、第2の実施形態によれば、ギャップ検出部11の検出結果に基づく搬送物Sの制御が想定通りではない場合に、第2ギャップ検出部11Aの検出結果に基づいて搬送物Sの搬送を調整することができる。例えば、搬送物Sの厚さが比較的厚い搬送物Sである場合には前搬送物Spに対して搬送遅れが発生しやすく、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて前ギャップおよび後ギャップを均等に制御しても搬送誤差が生じる場合がある。これに対し、第2の実施形態によれば、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて加速をしても前ギャップが補正量通りに狭くならなくても、第2ギャップ検出部11Aの検出結果に基づいて搬送物Sの搬送を再調整することで前ギャップを調整することができる。
また、第2の実施形態によれば、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送物Sを加速させている場合に、第2ギャップ検出部11Aにより検出された前ギャップに基づいて搬送物Sを加速させる残り時間を設定するので、ギャップ検出部11の検出結果に基づく補正量を修正することで搬送誤差をより低減することができる。また、第2の実施形態によれば、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送物Sを加速させていない場合に、第2ギャップ検出部11Aにより検出された第2の前ギャップと、ギャップ検出部11により検出された後ギャップとに基づいて搬送物Sを加速させることができ、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送誤差がないと判定された場合であっても、第2ギャップ検出部11Aの検出結果に基づいて搬送誤差を低減することができる。
また、第2の実施形態によれば、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送物Sを減速させない場合に、第2ギャップ検出部11Aにより検出された前ギャップに基づいて搬送物Sの減速を開始させるので、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送誤差がないと判定された場合であっても、第2ギャップ検出部11Aの検出結果に基づいて搬送誤差を低減することができる。また、第2の実施形態によれば、ギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送物Sを減速させる場合でも第2ギャップ検出部11Aにより検出された前ギャップに基づいて搬送物Sの減速を開始させるので、第2ギャップ検出部11Aの検出結果に基づいて搬送誤差を低減することができる。
また、第2実施形態によれば、第1調整部16に搬送物Sが到達し、且つ第2調整部17に前搬送物Spが存在していない場合にギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送物Sの加速を開始させる。また、第2実施形態によれば、第1調整部16と第2調整部17との間の位置に搬送物Sが到達し、且つ第2調整部17に前搬送物Spが存在していない場合にギャップ検出部11の検出結果に基づいて搬送物Sの加速を開始させる。これにより、第2の実施形態によれば、第2調整部17に搬送物Sが到達した場合に加速を開始させる場合と比較して、搬送物Sの前ギャップを狭くするよう制御することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ギャップ補正部9は、速度調整部12として2つの調整部16,17を備えている。さらに、各調整部16,17に、それぞれ位置検出部13a,13bが設けられている。そして、ギャップ検出部11の検出結果と、各位置検出部13a,13bの検出結果とに基づいて、2つの調整部16,17の加減速度を、それぞれ別々に制御している。このため、搬送物の長さに関わらず、この搬送物の前ギャップや後ギャップを補正できる。また、搬送物に無理な応力をかけることがなく、搬送物の品質を適正に保つことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。