JP6707242B1 - アレイ型パラメトリックスピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波スピーカの設置数を増やすことなく、発生させる音波の音圧を増大させることができるアレイ型パラメトリックスピーカを提供する。【解決手段】複数の超音波スピーカ2を有し、複数の超音波スピーカ2が整列配置されたアレイ型パラメトリックスピーカ1である。超音波スピーカ2は、音波を発生させる振動部を有する。複数の超音波スピーカ2は、振動部の振動面が同一方向を向き、かつ、振動面が同一平面上に位置するように整列配置されており、更に、内部空間6が形成された筒状反射器4を備える。筒状反射器4は、複数の超音波スピーカ2の各々に設置される。内部空間6は、末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大するホーン状内部空間であり、ホーン状内部空間の開口角度は、超音波スピーカ2の放射角より小となるように形成されており、筒状反射器4の末端部によって、超音波スピーカ2の振動面がその外周側から包囲されている。【選択図】図2

Description

本発明は、複数の超音波スピーカが整列配置されたアレイ型パラメトリックスピーカの技術分野に属するものである。
パラメトリックスピーカは超音波を変調させた音波を発生させるスピーカである。超音波を変調させた音波は通常の可聴音より指向性が高いという性質がある。このため、パラメトリックスピーカは通常のスピーカより発生させる音波の指向性を高めることができる。
特に、複数個の超音波スピーカを整列配置したアレイ型パラメトリックスピーカは発生する音波の指向性を更に鋭くすることができる。このため、アレイ型パラメトリックスピーカは狭い範囲に選択的に音を伝えることができる利点があり、例えば、観光施設、博物館、美術館等において音声案内用のスピーカとして使われている。日本の代表的な観光施設である京都・清水寺の入り口に入場案内用のパラメトリックスピーカが設置されていることは有名である。パラメトリックスピーカの利用分野は前記観光施設等には限られない。例えば、アミューズメント施設、街頭の大型ビジョン、デジタルサイネージ等、様々な分野で利用が広がっている。
従来、アレイ型パラメトリックスピーカについては、以下に示すような技術が公開されている。例えば、複数の超音波トランスデューサ(超音波スピーカ)からなる超音波発生器に、超音波を遮断するための筒状体と、前記筒状体の開口部を塞ぐ音響フィルタとを備えたパラメトリックスピーカが提案されている(特許文献1)。
また、超音波トランスデューサ(超音波スピーカ)アレイを複数個のトランスデューサアレイユニットに分割し、前記トランスデューサアレイユニットの音波放射面の角度を個別に変えることを可能としたパラメトリックスピーカが提案されている(特許文献2)。
更に、多数の超音波振動子を基板上に取り付けた超音波発生器と、前記超音波発生器から発生させた超音波から再生(変調)された可聴音波を反射させるための凹型の反射板を備えたパラメトリックスピーカが提案されている(特許文献3)。
特開昭60−167597 特開昭61−253996 特開昭61−264795
しかし、特許文献1ないし3に記載のパラメトリックスピーカは、発生させる音波の指向性は高いものの、音圧が未だ不十分であるという問題があった。発生させる音波の音圧を増大させる方法としては、超音波スピーカの数を増やす方法も考えられる。しかし、超音波スピーカは高価であるため、その設置数を増やせばパラメトリックスピーカの製造コストを大幅に増大させるという問題がある。従って、超音波スピーカの設置数を増やすことなく、発生させる音波の音圧を増大させることができるアレイ型パラメトリックスピーカが切望されている。
本発明は、前記のような従来技術が有する課題を解決するものである。すなわち、本発明は、超音波スピーカの設置数を増やすことなく、発生させる音波の音圧を増大させることができるアレイ型パラメトリックスピーカを提供するものである。
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。そして、従来のアレイ型パラメトリックスピーカの構造に発生させる音波の音圧を低下させる原因があることを見出した。具体的には、従来のアレイ型パラメトリックスピーカにおいては、超音波スピーカの斜め前方に伝搬していく音波が隣接する超音波スピーカの斜め前方に伝搬していく逆位相の音波によって相殺されてしまい、パラメトリックスピーカ全体の音圧を低下させているという事実を見出した。
そこで、本発明者らは、パラメトリックスピーカを構成する複数の超音波スピーカの各々に筒状反射器を取り付け、隣接する超音波スピーカから発生する音波同士が相殺されないようにすることで、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、前記課題は以下に示す本発明によって解決される。
[1]アレイ型パラメトリックスピーカ:
本発明のアレイ型パラメトリックスピーカは、複数の超音波スピーカを有し、前記複数の超音波スピーカが整列配置されたアレイ型パラメトリックスピーカであって、前記超音波スピーカは音波を発生させる振動部を有し、前記複数の超音波スピーカは前記振動部の振動面が同一方向を向き、かつ、前記振動面が同一平面上に位置するように整列配置されており、更に、内部空間が形成された筒状反射器を備え、前記筒状反射器が前記複数の超音波スピーカの各々に設置され、前記筒状反射器の前記内部空間は末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大するホーン状内部空間であり、前記ホーン状内部空間の開口角度は前記超音波スピーカの放射角より小となるように形成されており、前記筒状反射器の末端部によって、前記超音波スピーカの前記振動面がその外周側から包囲され、かつ、前記超音波スピーカの前記振動面と前記筒状反射器が非接触の状態に保たれているアレイ型パラメトリックスピーカ;である。
本発明のアレイ型パラメトリックスピーカは、
前記筒状反射器の前記内部空間は末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大する円錐台状内部空間であること;
更に、基板を備え、前記基板上に、前記超音波スピーカおよび前記筒状反射器が取り付けられており、前記超音波スピーカと前記筒状反射器との間、および前記超音波スピーカと前記基板との間に緩衝材が配置され、前記超音波スピーカと前記筒状反射器、および前記超音波スピーカと前記基板が非接触の状態に保たれていること;
前記筒状反射器は隣接する筒状反射器と離隔した状態で配置されているか、或いは前記超音波スピーカと隣接する筒状反射器との間に緩衝材が配置され、前記筒状反射器と隣接する筒状反射器が非接触の状態に保たれていること;が好ましい。
本発明のアレイ型パラメトリックスピーカは、超音波スピーカの設置数を増やすことなく、発生させる音波の音圧を増大させることができる。
本発明のアレイ型パラメトリックスピーカの一の実施形態を模式的に示す正面図である。 図1に示すアレイ型パラメトリックスピーカのA−A断面図である。 図1に示すアレイ型パラメトリックスピーカにおける超音波スピーカの指向性と筒状反射器の開口角度との関係を示す概念図である。 図1に示すアレイ型パラメトリックスピーカの回路図である。 従来のアレイ型パラメトリックスピーカの作用を示す概念図である。 従来のアレイ型パラメトリックスピーカの一の実施形態を模式的に示す正面図である。 図6に示すアレイ型パラメトリックスピーカのA−A断面図である。 図6に示すアレイ型パラメトリックスピーカの音圧と指向性を示すグラフである。 図1に示すアレイ型パラメトリックスピーカの音圧と指向性を示すグラフである。
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。但し、本発明は特許請求の範囲に記載された要件を満たす全ての形態を包含し、図面に示された形態のみに限定されるものではない。
[1]本発明の特徴:
アレイ型パラメトリックスピーカにおいては複数の超音波スピーカが整列配置されている。従って、一の超音波スピーカから発生させた音波が隣接する他の超音波スピーカから発生させた音波の影響を受けるおそれがある。
図5は従来のアレイ型パラメトリックスピーカの作用を示す概念図である。図5の(A)図は、従来のアレイ型パラメトリックスピーカ101において、超音波スピーカ2A,2Bから発生され、超音波スピーカ2A,2Bの前方に伝搬していく音波W1,W2を概念的に示した図である。音波W1,W2は同位相の波であるため、音波W1,W2は相互に強め合う。その結果、音波W1,W2はアレイ型パラメトリックスピーカ101の音圧を増大させている。
一方、図5の(B)図は、従来のアレイ型パラメトリックスピーカ101において、超音波スピーカ2A,2Bから発生され、超音波スピーカ2A,2Bの斜め前方に伝搬していく音波W3,W4を概念的に示した図である。音波W3,W4は逆位相の波であるため、音波W3,W4は互いに相殺して打ち消し合う。その結果、音波W3,W4はアレイ型パラメトリックスピーカ101の音圧を低減させてしまう。
そこで、本発明のアレイ型パラメトリックスピーカは、図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1のように、
(1)複数の超音波スピーカ2の各々に筒状反射器4を設置したこと;
(2)筒状反射器4の内部空間6を末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大するホーン状内部空間としたこと;
(3)ホーン状内部空間の開口角度βを超音波スピーカ2の放射角αより小となるように形成したこと;を特徴とする。
前記の構成を採用することにより、超音波スピーカ2から発生した音波は筒状反射器4の内部で反射し、超音波スピーカ2の前方に伝搬していく。即ち、超音波スピーカ2から発生した音波が超音波スピーカ2の斜め前方には伝搬し難くなる。従って、隣接する超音波スピーカ2から発生され、その超音波スピーカの斜め前方に伝搬していく逆位相の音波と相殺し打ち消し合う現象を効果的に抑制することができる。
[2]アレイ型パラメトリックスピーカ:
図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1は、複数の超音波スピーカ2を有し、複数の超音波スピーカ2が整列配置されたアレイ型パラメトリックスピーカである。
「超音波」とは、人間が聞き取れない周波数の音波を意味し、例えば20kHzを超える周波数の音波を指す。ここでいう「超音波スピーカ」とは、入力された電気信号を機械振動に変換し、超音波を変調させた音波を発生させる装置を意味する。
一般に「変調」とは、基準信号の周波数、振幅、位相等を変化させることを意味する。但し、ここでは超音波帯のパルスからなる基準信号の周波数を変化させ、前記基準信号よりも低い周波数のパルスからなる出力信号に変換することを意味する。
[2−1]超音波スピーカ:
図1乃至図3に示す超音波スピーカ2は音波を発生させる振動部を有している。超音波スピーカ2は圧電セラミック素子からなる振動部を有している。
複数の超音波スピーカ2は振動部の振動面が同一方向を向き、かつ、前記振動面が同一平面上に位置するように整列配置されている。
図示のアレイ型パラメトリックスピーカ1は7基の超音波スピーカ2を有している。この7基の超音波スピーカ2は圧電セラミック素子からなる振動部の振動面が同一方向(図1では前方、図2では右方向)を向き、振動面(超音波スピーカ2の最前面)が同一平面上に位置するように(即ち、面一となるように)整列配置されている。即ち、超音波スピーカ2の前後方向の組付け位置が全て同じ位置となるように基板8に接合されている。
また、7基の超音波スピーカ2は左列に2基、中央列に3基、右列に2基の3列配置となっており、全ての超音波スピーカ2が等間隔に位置するように配置されている。これら7基の超音波スピーカ2は前方(正面方向)に伝搬していく音波が同位相となり、音圧が増大するように並列に接続されている。但し、超音波スピーカ2の数は特に限定されない。数十基の超音波スピーカを設置する構成も採用することができる。
超音波スピーカ2は、超音波を変調させた音波を発生させる。「超音波を変調させた音波」は、例えば提供情報のデータに基づいて超音波帯のパルスからなる音源コード(基準信号)を作成し、前記基準信号を前記基準信号よりも低い周波数のパルスからなる出力信号に変調して前記基準信号よりも低い周波数のパルスからなる音源信号を生成し、前記音源信号を増幅して出力信号を生成する等の方法で得ることができる。
アレイ型パラメトリックスピーカ1は前記基準信号を変調させる機能を有しておらず、前記音源信号を増幅する機能のみを有している。即ち、外部で生成させた音源信号を入力し、前記音源信号を増幅して出力信号とし、前記出力信号を超音波スピーカ2に入力する方式のものである。
提供情報の音源の種類としては、例えば音声、音楽等を挙げることができる。提供情報の内容としては、観光施設、博物館、美術館、アミューズメント施設、街頭の大型ビジョン、デジタルサイネージ等のユーザにとって有益な情報、例えば大型ビジョンやデジタルサイネージに表示される映像に関する音声や音楽、パラメトリックスピーカの設置位置(観光施設、博物館、美術館等)またはその周辺地域に関する情報等を挙げることができる。
アレイ型パラメトリックスピーカ1においては、音源信号の周波数を20kHz以下としている。即ち、超音波スピーカ2から発生させる情報音波は周波数20kHz以下に変調された音源である。人に聞こえる音波の周波数は、年齢や個人の能力によって異なる。但し、一般的な若者に聞こえる、周波数20Hz以上17kHz以下の音波を「可聴音」と呼ぶことが多い。これに対し、周波数17kHz超20kHz以下の音波を「非可聴音」と呼ぶ。前記音源信号の周波数が17kHz超20kHz以下の場合、人には聞こえない非可聴音が発生する。但し、非可聴音も信号データとして利用可能である。例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末のマイクでは非可聴音を認識させることが可能であり(近年のサンプリングレートは44.1kHz以上である)、非可聴音はこれらの情報端末に送信する信号データとして利用することができる。
また、別の実施形態として、超音波スピーカ2を、図4に示すような超音波変調回路30に電気的に接続してもよい。「超音波変調回路」とは、超音波帯のパルスからなる基準信号を前記基準信号よりも低い周波数のパルスからなる出力信号に変調する回路を指す。超音波変調回路30は記憶媒体(メモリ32)、中央演算処理装置(CPU34)および増幅器(アンプ36)を備えたマイクロコンピュータである。
超音波変調回路30は超音波帯のパルスからなる基準信号を変調し、前記基準信号よりも低い周波数のパルスからなる出力信号を生成する機能を有する。
超音波変調回路30においては、メモリ32に提供情報の音データが保存されている。CPU34はメモリ32内の提供情報のデータに基づいて超音波帯のパルスからなる音源コード(基準信号)を作成し、前記基準信号を変調して(具体的には前記基準信号のパルス幅を設定して)、前記基準信号よりも低い周波数のパルスからなる音源信号を生成し、アンプ36に出力する。アンプ36は前記音源信号を増幅して出力信号を生成し、超音波スピーカ2に出力する。超音波スピーカ2は前記出力信号を音波に変換し、超音波を変調させた音波を発生させる。
超音波変調回路30は外部電源から供給される電源電力によって作動する。超音波変調回路30は差込プラグ38を経由して外部電源に接続されている。超音波変調回路30の外部電源は商用交流100Vの電源電力である。但し、電源電力の供給方法は特に限定されない。差込プラグを経由することなく外部電源に接続されていてもよいし、電源電力が商用交流100Vである必要もない。例えば、ACアダプタ等を用いる方法を採用してもよい。
超音波変調回路30は、図示されない電源回路を備えている。「電源回路」は外部電源から入力される入力電力から、超音波変調回路30(具体的には、メモリ32、CPU34、アンプ36等)を作動させる出力電力を生成させる電力回路である。超音波変調回路30における電源回路は商用交流100Vの電源電力から、超音波変調回路30を作動させる直流の制御電圧(Vcc)を生成させるものである。
[2−2]筒状反射器:
図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1は、内部空間6が形成された筒状反射器4を備えている。筒状反射器4は複数の超音波スピーカ2の各々に設置されている。
筒状反射器4の内部空間6は末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大するホーン状内部空間である。筒状反射器4の内部空間6は末端から先端に向かうにつれて開口面積が漸次増大する円錐台形状に構成されている。内部空間6を円錐台形状とすると、円錐台の中心軸と直交する断面形状が対称形状の円形となり、ノイズ成分の低減効果が高い筒状反射器4とすることができる。
但し、筒状反射器4の内部空間の形状は末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大するホーン状である限り、円錐台形状に限定されない。例えば、開口部の形状が真円である必要はなく、楕円形状であってもよい。また、開口部の形状が曲線的に構成されている必要もなく、四角形、六角形、八角形等の多角形状であってもよい。更に、開口部の形状は末端側から先端側まで相似形状である必要はなく、例えば円形から多角形等に変化していてもよい。
「末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大する」とは、円錐台形状のように開口径(または開口面積)が1次関数的に増大するものだけには限られない。例えば、開口径(または開口面積)が2次関数的に増大するもの;開口径(または開口面積)が指数関数的に増大するもの;等であってもよい。
ホーン状内部空間の開口角度は超音波スピーカ2の放射角より小となるように形成されている。
図3に示すように、超音波スピーカ2から発生させた音波は一定の放射角αで拡散されていく。この場合に、ホーン状内部空間の開口角度βを超音波スピーカ2の放射角αより小となるように形成することで、超音波スピーカ2から発生される音波の放射角が狭まる。これにより、隣接する超音波スピーカから発生する音波が相互に影響を受け難くなり(音波同士が相殺され難くなり)、また、超音波スピーカから発生させた音波が筒状反射器4内部で反射した音波と重なり合い、アレイ型パラメトリックスピーカ全体の音圧を増大させることができる。
ホーン状内部空間の開口角度βは超音波スピーカ2の放射角αとの関係で設定すればよい。具体的な開口角度βは特に限定されない。但し、開口角度βは0°超90°未満であることが必要である。また、一般に超音波スピーカの放射角が60°以上80°以下程度であることを考慮すると、10°以上30°以下であることが好ましく、15°以上25°以下であることが特に好ましい。
筒状反射器4の末端側開口部の開口径および先端側開口部の開口径は超音波スピーカ2の外径や複数の超音波スピーカ2の位置関係等の要因で制約を受け、その大きさが決まってしまう場合もある。しかし、末端側開口部の開口径および先端側開口部の開口径が固定値となった場合でも、筒状反射器4の長さLを変動させることにより、開口角度βを所望の値に調整することができる。
図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1においては、筒状反射器4の末端部によって、超音波スピーカ2の振動面(超音波スピーカ2の最前面)がその外周側から包囲されている。このような構成により、超音波スピーカ2の振動面から発生される音波は筒状反射器4の末端開口部から漏れなく筒状反射器4の内部空間6に入射し、筒状反射器4の先端開口部から放射される。
筒状反射器4はアルミニウムによって構成されている。但し、筒状反射器4の材質は特に限定されない。例えば、炭素鋼等の金属;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン共重合体をはじめとするフッ素樹脂(登録商標「テフロン」)のような剛性の高い樹脂;のような音波を反射しやすい材質により構成することが好ましい。
筒状反射器4は内面の表面粗さ(Ra)が0.8である。内面の表面粗さ(Ra)は音波を反射しやすくするため、0.2以上6.3以下とすることが好ましく、0.2以上1.6以下とすることが特に好ましい。ここに言う「表面粗さ」とは、JIS B 0601−2001「触針式表面粗さ測定機の特性」に準拠して測定した、接触式(触針式走査法)による表面粗さを意味するものとする。
なお、アレイ型パラメトリックスピーカ1に用いられている7個の筒状反射器4は別個独立に形成されている。但し、複数の筒状反射器4を一体的に構成してもよい。複数の筒状反射器4を一体的に構成すると、後述する緩衝材等を使用しなくても筒状反射器4の振動を他の筒状反射器4に伝達させ難くすることができる。
[2−3]緩衝材:
超音波スピーカは電音変換の際に振動を発生する。この振動は他の超音波スピーカに悪影響を及ぼすおそれがある。従って、アレイ型パラメトリックスピーカにおいては、可能な限り、超音波スピーカの振動を他の部材に伝達させない構成とすることが好ましい。
図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1は、超音波スピーカ2および筒状反射器4に加えて、更に、基板8を備えており、基板8上に、超音波スピーカ2および筒状反射器4が取り付けられている。そして、超音波スピーカ2と筒状反射器4との間、および超音波スピーカ2と基板8との間に緩衝材10が配置されている。この緩衝材10によって、超音波スピーカ2と筒状反射器4、および超音波スピーカ2と基板8は非接触の状態に保たれている。
緩衝材10は有底円筒状のゴムキャップである。このゴムキャップの内径は超音波スピーカ2の外径に対応するように構成されている。緩衝材の種類は特にゴムに限定されるものではない。制振性と耐候性の高い材質で構成されていればよく、例えばクロロプレンゴムやシリコーンゴム等の材質を好適に用いることができる。
また、筒状反射器は超音波スピーカから発生した音波によって振動させられる。従って、アレイ型パラメトリックスピーカにおいては、可能な限り、筒状反射器の振動を他の部材に伝達させない構成とすることが好ましい。
超音波スピーカの振動を他の部材に伝達させないという観点から、筒状反射器は隣接する筒状反射器と離隔した状態で配置されているか、或いは筒状反射器と隣接する筒状反射器との間に緩衝材が配置され、筒状反射器と隣接する筒状反射器が非接触の状態に保たれていることが好ましい。
図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1は、筒状反射器4を隣接する筒状反射器4と離隔した状態で配置しており、筒状反射器4の振動を他の筒状反射器4に伝達させない構成としている。
(比較例1)
図6および図7に示す従来のアレイ型パラメトリックスピーカ101を作製した。超音波スピーカ2の音波の放射角は60°であった。アレイ型パラメトリックスピーカ101は、基板8を備えており、基板8上に、超音波スピーカ2が取り付けられている。そして、超音波スピーカ2と基板8との間に緩衝材10が配置されている。緩衝材10としてはゴムキャップを使用した。超音波スピーカ2同士は7mmずつ間隔を空けて配置した。
このアレイ型パラメトリックスピーカ101から発生される音波の音圧と指向性をFFT(高速フーリエ変換)アナライザにより測定した。測定条件はスピーカとマイクの距離を1m、音源信号の周波数を4kHzとした。その結果を図8に示す。
(実施例1)
図1乃至図3に示すアレイ型パラメトリックスピーカ1を作製した。超音波スピーカ2、基板8および緩衝材10(ゴムキャップ)は比較例1と全く同じものを用いた。筒状反射器4はアルミニウム製で表面粗さRaは0.8のものを用いた。筒状反射器4の末端開口径は19mmΦ、先端側開口径は30mmΦ、長さLは20mmとした。筒状反射器4の開口角度βは15°とした。
比較例1と同一の装置を用い、同一の測定条件で、アレイ型パラメトリックスピーカ1から発生される音波の音圧と指向性を測定した。その結果を図9に示す。
図8に示すように、筒状反射器を設置しない比較例1のアレイ型パラメトリックスピーカ101では、超音波スピーカ2から発生された音波の音圧は70db、音波の放射角は60°であった。これに対し、図9に示すように、筒状反射器4を設置した実施例1のアレイ型パラメトリックスピーカ1では、超音波スピーカ2から発生された音波の音圧は72.5db、音波の放射角は20°であった。即ち、実施例1のアレイ型パラメトリックスピーカ1は、比較例1のアレイ型パラメトリックスピーカと比較して、音圧が2.5db増大したことに加え、音波の放射角が40°狭まり、鋭い指向性が得られた。
本発明のアレイ型パラメトリックスピーカは、例えば観光施設、博物館、美術館等において音声案内用のスピーカとして、また、アミューズメント施設や街頭の大型ビジョン、デジタルサイネージ等の狭い範囲に選択的に音を伝える必要がある用途で使用する高指向性のスピーカとして好適に用いることができる。
1: アレイ型パラメトリックスピーカ
2,2A,2B: 超音波スピーカ
4: 筒状反射器
6: 内部空間
8: 基板
10: 緩衝材
30: 超音波変調回路
32: メモリ
34: CPU
36: アンプ
38: 差込プラグ
101: アレイ型パラメトリックスピーカ
α: 放射角
β: 開口角度
L: 長さ
W1,W2,W3,W4: 音波

Claims (4)

  1. 複数の超音波スピーカを有し、前記複数の超音波スピーカが整列配置されたアレイ型パラメトリックスピーカであって、
    前記超音波スピーカは音波を発生させる振動部を有し、
    前記複数の超音波スピーカは前記振動部の振動面が同一方向を向き、かつ、前記振動面が同一平面上に位置するように整列配置されており、
    更に、内部空間が形成された筒状反射器を備え、
    前記筒状反射器が前記複数の超音波スピーカの各々に設置され、
    前記筒状反射器の前記内部空間は末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大するホーン状内部空間であり、
    前記ホーン状内部空間の開口角度は前記超音波スピーカの放射角より小となるように形成されており、
    前記筒状反射器の末端部によって、前記超音波スピーカの前記振動面がその外周側から包囲され、かつ、前記超音波スピーカの前記振動面と前記筒状反射器が非接触の状態に保たれているアレイ型パラメトリックスピーカ。
  2. 前記筒状反射器の前記内部空間は末端側から先端側に向かって開口面積が漸次増大する円錐台状内部空間である請求項1に記載のアレイ型パラメトリックスピーカ。
  3. 更に、基板を備え、
    前記基板上に、前記超音波スピーカおよび前記筒状反射器が取り付けられており、
    前記超音波スピーカと前記筒状反射器との間、および前記超音波スピーカと前記基板との間に緩衝材が配置され、
    前記超音波スピーカと前記筒状反射器、および前記超音波スピーカと前記基板が非接触の状態に保たれている請求項1または2に記載のアレイ型パラメトリックスピーカ。
  4. 前記筒状反射器は隣接する筒状反射器と離隔した状態で配置されているか、或いは前記超音波スピーカと隣接する筒状反射器との間に緩衝材が配置され、
    前記筒状反射器と隣接する筒状反射器が非接触の状態に保たれている請求項1から3までのいずれか一項に記載のアレイ型パラメトリックスピーカ。
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