I定義
特別に定義していない限り、本文で使用する全ての科学技術用語は当業者が通常に理解している意味と同じ意味を持つ。情報を開示するため、以下のものを定義する。
冠詞「一つ」と「1種類」は、一つ又は一つより多い(即ち、少なくとも一つ)冠詞修飾対象を指す。例えば、「一つの要素」は、一つの要素又は一つより多い要素を指す。
用語「又は」と用語「及び/又は」とは、明確な説明がない限り、相互交換することができる。
明細書又は請求項中の用語「含む」、「含有する」、「有する」又はその文法上の変形は、「含むが、それらに限定されることはない」ことを指し、また相互交換することができる。
用語「約」は、数量、レベル、数値、頻度、パーセント、サイズ、大きさ、重量又は長さの差異範囲が最大で対応する参照指標の30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%であることを指す。「約」で一つの数値を修飾した時、数値の上下範囲を拡張したことを指す。通常、「約」による数値の拡張範囲は平方偏差が≦10%であることを指す。
前記「ADAMTS−5」は、血小板結合タンパク質モチーフを有する解重合タンパク質金属様プロテアーゼ5である。「ADAMTS−5」は、ヒトのADAMTS−5(そのmRNA配列はGenBankの登録番号NM_007038.3(SEQ ID NO: 191)を参照することができる)と、ラットADAMTS−5(そのmRNA配列はGenBankの登録番号NM_198761.1(SEQ ID NO:192)を参照することができる)と、マウスADAMTS−5(そのmRNA配列はGenBankの登録番号NM_011782(SEQ ID NO:193)を参照することができる)とを含む。他のADAMTS−5のmRNA配列も、例えばGenBankから簡単に入手できる。
前記「ADAM17」は、解重合タンパク質金属様プロテアーゼ17を含有し、腫瘍壊死因子−α変換酵素(TACE)とも呼ばれる。「ADAM17」は、ヒトのADAM17(そのmRNA配列はGenBank、登録番号NM_003183(SEQ ID NO:194)を参照することができる)と、ラットADAM17(そのmRNA配列はGenBank、登録番号NM_020306(SEQ ID NO:195)を参照することができる)と、マウスADAM17(そのmRNA配列はGenBank、登録番号NM_001277266(SEQ ID NO:196)、NM_001291871(SEQ ID NO:197)、又はNM_009615 (SEQ ID NO:198)を参照することができる)とを含む。他のADAMTS−17のmRNA配列も、例えばGenBankから簡単に入手できる。
用語「標的配列」は、例えばADAMTS−5又はADAM17遺伝子転写中に形成したRNA分子のヌクレオチド配列中の一区間の連続する部分等の標的遺伝子を指し、一次転写産物RNAを加工した後のmRNA産物を含む。複数の実施例において、標的配列は、ADAMTS−5又はADAM17のmRNAの連続する10〜30個のヌクレオチドを含み、例えばmRNA中の10〜25又は15〜20個のヌクレオチドを含む。一部の実施例において、標的配列は、mRNA中の連続する11、13、15、17、19、21、23、25又は27個のヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、標的配列はmRNA中の連続する19個のヌクレオチドを含むことができる。
用語「相互補完」は、一定の条件で、核酸同士が水素結合によって交雑して二重鎖構造を形成することを指す。一定の条件は厳格な条件であることができる。「厳格な条件」で、核酸が標的配列と交雑し、非標的配列とは交雑しない。厳格な条件は、配列が依頼するものであって、且つ一部の要因の影響を受け、例えば長い配列のほど必要とする標的配列との交雑温度が高いことがある。非制限の厳格な条件の例としては、400 mM NaCl、40 mM PIPES、pH 6.4、1 mM EDTA、50℃又は70℃で12〜16時間持続してから洗浄する。他の条件として、例えば生物体内で会えることのある生理関連条件を応用することができる。当業者は、交雑ヌクレオチドの最終的な応用に応じて、二つの配列の相互補完に適合する1セットの条件を確定できる。前記交雑は、Watson−Crick塩基によりペアリングし、又は非Watson−Crick塩基によりペアリングし、又は非天然又は修飾のヌクレオチドと形成した塩基によりペアリングして仲介することができ、交雑要求を満たすのであればよい。非Watson−Crick塩基によりペアリングする例として、G:U Wobble又はHoogstein塩基によりペアリングすることを含む。一部の実施例において、核酸分子とそれと相互補完する配列との交雑は、核酸機能(例えば、RNAi活性)の発揮に充分である。
一部の実施例において、二つのヌクレオチド配列は完全に相互補完し、即ち第1ヌクレオチド配列の全ての連続するヌクレオチドが第2ヌクレオチド配列の同数量の連続するヌクレオチド塩基とペアリングする。「実質的相互補完」とは、二つの配列が完全に相互補完するか、又は交雑する時一つ又は複数の塩基のミスマッチを形成するが、最終的な応用に関連する条件で交雑の能力を保留することを指す。一部の実施例において、二つの配列同士のミスマッチは6個を超えない。例えば、二つの配列同士のミスマッチは4、3、2又は1個を超えない。二つの配列を交雑する際に一つ又は複数の一本鎖オーバーハングを形成するように設計した場合、相互補完性を確定する際、このようなオーバーハングをミスマッチとみなしてはいけない。例えば、19ntのオリゴヌクレオチドと23ntのオリゴヌクレオチドの場合、長いオリゴヌクレオチドは短いオリゴヌクレオチドと完全に相互補完する19個のヌクレオチドを含み、「完全相互補完」と称すこともできる。
用語「配列同一性」(例えば、配列が……と50%の同一性を有する)は、1本の配列を比較ウィンドウにおいて(例えば、参照配列全体)ヌクレオチドを逐一比較した場合の配列の同一程度を指す。「同一性パーセント」(又は「% 同一性」)は、比較ウィンドウにおいて二つの配列を比較することで、マッチング位置の数量を計算することができ、当該位置で、2本の鎖の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U)は同一である。そして、マッチング位置の数量を比較ウィンドウの位置総数(例えば、参照配列の長さ)で割って、100を掛け算すると、配列の同一性のパーセントを得ることができる。既存技術におけるコンピュータが実行可能なアルゴリズム(例えば、BLAST(登録商標)アルゴリズム)、又は検査と選択可能な複種類の方法の最適化比較(例えば、比較ウィンドウに最も高いホモロジーを有する)によって比較ウィンドウにおける最適な配列比較を実現する。よって、用語「配列同一性」は、配列を参照配列の全体配列と比較した場合の同一であるヌクレオチド数量の比である。化学修飾のsiRNA配列の配列同一性は対応する未修飾ヌクレオチドから計算する。例えば、長さが15ntである一本の鎖RNAは、長さが19ntである参照RNAと14個の連続又は非連続するヌクレオチドが同一で、両方の同一性は74%である(14nt/19nt)。他の例として、例えば、長さが23ntである一本の鎖RNAが、長さが19ntである参照RNAと19個の連続又は非連続するヌクレオチドが同一であると、「長いRNAが短いRNAを含む」と称すことができる。即ち、同一性を計算する時、参照配列は挿入、欠失、入れ替えによって切断される。
「G」、「C」、「A」と「U」はそれぞれ、グアニン、シトシン、アデニン、ウラシル塩基を表す。「T」と「dT」は相互交換可能であって、核酸塩基が、例えばデオキシリボースチミン、2’−デオキシチミジン又はチミジン等のチミンのデオキシリボースヌクレオチドを含むことを指す。用語「ヌクレオチド」又は「リボースヌクレオチド」又は「デオキシリボースヌクレオチド」は、1種類の天然ヌクレオチドを指し、核酸塩基と、糖と、少なくとも一つのリン酸基(例えば、ホスホジエステル接続基)とからなる。そして、修飾のヌクレオチドを指し、例えば一つの化学修飾のヌクレオチド、又は入れ替えされたモチーフを有する。アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルは他のモチーフにより置換されることができるが、このような置換されたヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基ペアリング能力は実質的な変化がない。例えば、イノシンを塩基とするヌクレオチドは、アデニン、シトシン、ウラシルを含むヌクレオチドとペアリングされることができる。従って、上記したヌクレオチド配列においてウラシル、グアニン、アデニンを含むヌクレオチドは、例えばイノシンを含むヌクレオチドにより置換されることができる。前記ヌクレオチド配列におけるいずれかの位置のシトシンはグアニン又はウラシルにより置換されることができる。
用語「核酸塩基」又は「塩基」は、天然DNA又はRNA(例えば、U、T、A、C、G)中のプリンとピリミジンに係わる時に相互交換可能である。当該用語は、このような天然プリンとピリミジンの類似物又は修飾物をさらに含み、核酸分子の性能を改善することができる。
用語「短干渉RNA」又は「siRNA」は、遺伝子発現を抑制又はダウンレギュレーションできる全ての核酸分子を指し、例えばRNAi又は遺伝子サイレンシングによって配列が特異であるRNA転写物(例えば、mRNA)の分解を仲介する。一部の実施例において、siRNAは、相互補完するセンスとアンチセンス領域のある二重鎖ポリヌクレオチド分子を含むことができる。アンチセンス領域は、標的核酸分子(例えば、ADAMTS−5又はADAM17 mRNA)又はその一部(例えば、標的配列又はその一部)のヌクレオチド配列と相互補完するヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を含む。一部の実施例において、siRNAは、二つの分離したオリゴヌクレオチドから構成され、センス鎖とアンチセンス鎖とを含み、センス鎖とアンチセンス鎖は相互補完し、例えば、各鎖は他の1本の鎖のヌクレオチド配列と相互補完するヌクレオチド配列を含み、このように、アンチセンスとセンス鎖により二倍体又は二重鎖構造を形成する。アンチセンス鎖は標的核酸分子(例えば、ADAMTS−5又はADAM17 mRNA)又はその一部(例えば、標的配列又はその一部)のヌクレオチド配列と相互補完するヌクレオチド配列を含み、センス鎖は標的配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を含む。一部の実施例において、siRNAは一本鎖オリゴヌクレオチドからなり、上記した自行相互補完するsiRNAのセンスとアンチセンス領域は、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドの接続によってサブ接続を実現する。一部の実施例において、siRNAは、二倍、非対称二倍、ヘアピン、非対称ヘアピン二級構造のポリヌクレオチドであることができる。一部の実施例において、siRNAは二つ又は複数のループ構造と、自行相互補完するセンスとアンチセンス領域とを含む一つの茎と、を有する環状ポリヌクレオチドであることができる。環状ポリヌクレオチドは、体外又は体内処理を経て、RNAiを仲介することのできる活性siRNA分子を生成する。一部の実施例において、siRNAは、1種類の一本鎖のポリヌクレオチドを含むこともでき、標的核酸分子中のヌクレオチド配列又はその一部(例えば、ADAMTS−5又はADAM17 mRNA)と相互補完するヌクレオチド配列を有し、ここで、このようなsiRNA分子はsiRNA分子内で標的配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を現す必要がない。
特定の実施例において、siRNA分子が天然ヌクレオチドのみを含むと限定しなく、修飾のヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含むこともできる。例えば、siRNA分子の各本の鎖の多くのヌクレオチドはリボースヌクレオチドであるが、siRNAの1本又は2本の鎖は、例えばデオキシリボースヌクレオチド及び/又は修飾のヌクレオチド、例えば化学修飾のヌクレオチド等の一つ又は複数の非リボースヌクレオチドを含むこともできる。一部の実施例において、siRNA分子の複数のヌクレオチドに化学修飾を含み、又は単一のヌクレオチドに複数の化学修飾を含む。上記修飾は開示された又は当該分野で周知の全てのタイプの修飾を含むことができる。
用語「siRNA」は、例えば二重鎖RNA(dsRNA)、micro−RNA (miRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、短干渉オリゴヌクレオチド、短干渉核酸、短干渉修飾オリゴヌクレオチド等の他の配列特異RNAiを仲介できる核酸分子、化学修飾のsiRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)を含むこともできる。そして、用語「RNAi」は、例えば転写後遺伝子サイレンシング、遺伝子サイレンシング、翻訳抑制又はエピジェネティクス等の他の配列特異RNAiを記述する用語を含むこともできる。一部の実施例において、siRNAは調節することができ、例えば細胞中のADAMTS−5又はADAM17の発現を抑制することができ、細胞は培養した細胞又は被験者中の細胞であることができ、例えば人類等の哺乳類動物の被験者であることができる。
「ヌクレオチドオーバーハング」は、siRNA 1本鎖の3'端の延出が他の1本鎖の5'端を超える時当該二重鎖siRNAの二量体構造から突出した一つ又は複数のペアを成さないヌクレオチドを指し、又はその逆も同じである。「平滑端」又は「平滑末端末端」は、当該二重鎖siRNAの末端にペアを成さないヌクレオチドがない、即ちヌクレオチドオーバーハングがないことを指す。前記siRNAsは一つの末端にヌクレオチドオーバーハングがあって、即ち一つのオーバーハング端と一つの平滑端を有し、又は両端にいずれもオーバーハングがある。前記siRNAは全長さが二重鎖であることもでき、即ち分子のいずれの一端にもヌクレオチドオーバーハングがないこともできる。
用語「調節」は、遺伝子発現レベル、mRNA分子レベル、一つ又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコーディングする等価RNA分子、又は一つ又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性レベルのアップレギュレーション又はダウンレギュレーションを指し、上記した発現、レベル又は活性値はレギュロンがない時の値より高い又は低い。例えば、用語「調節」は、「抑制」を指すことができるが、「調節」の使用は当該定義に限定されることはない。
用語「抑制」、「ダウンレギュレーション」、「低下」、「サイレンシング」、又は「阻止」は相互交換可能であって、遺伝子の発現レベル、mRNA分子レベル、一つ又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコーディングする等価RNA分子、又は一つ又は複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性又はレベルが、核酸分子(例えば、siRNA)が存在しない時に比べて、低下することを指す。特定の実施例において、siRNA分子の抑制、ダウンレギュレーション、低下、サイレンシング、阻止又は抑制は、不活性化分子又は削減分子が存在する時のレベルより低い。他の一つの例において、siRNA分子の抑制、ダウンレギュレーション、低下、サイレンシング、阻止又は抑制は、例えば乱雑配列又はミスマッチのあるsiRNA分子(例えば、ランダムで非特異配列のsiRNA分子)が存在する時のレベルより低い。
「ADAMTS−5の発現を抑制する」又は「ADAM17の発現を抑制する」は、いずれかのADAMTS−5又はADAM17遺伝子(例えば、マウス、ラット、猿又はヒトの遺伝子)及びその変異体(例えば、自然発生変異体)の発現又はADAMTS−5又はADAM17遺伝子の突然変異体を抑制することを指す。従って、ADAMTS−5又はADAM17遺伝子は、野生型遺伝子、変異遺伝子、突然変異遺伝子又は遺伝子操作細胞の導入遺伝子、細胞群の導入遺伝子又は生物中の導入遺伝子であることもできる。
「ADAMTS−5の発現を抑制する」又は「ADAM17の発現を抑制する」は、標的遺伝子の全てのレベルの抑制を含み、例えば少なくともADAMTS−5又はADAM17遺伝子の発現の一部を抑制する。標的遺伝子の発現は、例えばADAMTS−5又はADAM17 mRNAレベル、ADAMTS−5又はADAM17タンパク質レベル、又はADAMTS−5又はADAM17に関連する異常に参与した炎症性因子を含む免疫性因子のレベル、例えば腫瘍壊死因子(TNF、例えば、TNF−α)、シクロオキシゲナーゼ(COX、例えばCOX−2)、インターロイキン(IL、例えばIL−1β)等の標的遺伝子の発現に関連するいずれかの変数レベルに基づいて評価することができる。
抑制を、このような一つ又は複数の変量とコントロールと比較した絶対又は相対的減少によって評価することができる。コントロールレベルは本分野で使用されるいずれかのコントロールレベル、例えば薬物投入前の基線レベル、又は類似する被験者、細胞から定められるレベル、又は未処理のサンプル又はコントロール(例えば、緩衝液のみのコントロール又は非活性剤コントロール)で処理した後のレベルであることができる。
用語「細胞に接触する」、「導入」又は「配達」は、開示したオリゴマーを、例えばトランスフェクション(例えば、リポソーム、リン酸カルシウム、ポリエチレンイミンを介して)、電気穿孔法(単一孔細胞ヌクレオフェクション)又は顕微注射などの本分野で周知の方法で細胞へ配達することを含む。接触は体内又は体外の接触を含む。体外接触細胞は、細胞をsiRNAと一緒に孵化することができる。体内接触細胞は、siRNAを細胞が位置する組織又は細胞が位置する組織付近に注射するか、又はsiRNAを他の領域、例えば血液又は皮下領域に注射して、siRNAがその後に細胞が位置する組織に達することができる。
用語「被験者」又は「必要な被験者」は、例えばヒト被験者などの哺乳類動物被験者を含む。実例の哺乳類動物被験者は、ADAMTS−5又はADAM17に関連する病気(例えば、OAとRAを含む関節炎)にかかっていて、又は病気にかかる可能性がある。
ADAMTS−5又はADAM17に関連する病気は、ADAMTS−5又はADAM17遺伝子又はタンパク質と関連する失調、疾患又は状況を含む。上記疾患は、ADAMTS−5又はADAM17遺伝子の変異又は突然変異、ADAMTS−5又はADAM17タンパク質のミスフォールディング、細胞内タンパク質(例えば、ミスフォールディングのタンパク質)の蓄積、タンパク質過剰産生、タンパク質異常切断、ADAMTS−5又はADAM17と他のタンパク質又は内外因性物質の異常相互作用によるものである。一部の実施例において、ADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患は、炎症に関連する疾患であることができる。一部の実施例において、ADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患は、関節炎、例えばOA、RA、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風であることができる。ADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患の状況又は症状は、関節線維化、軟骨浸食、軟骨コラーゲン損失、関節軟骨表面ダメージ、滑膜炎、関節包炎、関節痛、関節靭帯肥厚、メニスカス骨化、軟骨細胞配列混乱を含む。
化合物又は組成物の「治療有効量」又は「有効量」は、失調の予防又は治療における有効量を指す。用語は、被験者にADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患を充分に有効治療できるsiRNA量を適用することを指し、例えば症状の緩和、改善、維持、症状を維持する1種類又は複種類の症状又は病気を抑制する過程を含む。「治療有効量」又は「有効量」は、siRNA分子、薬物投入ルート、疾患タイプ及びその厳重程度及び被験者の健康、年齢、体重、家族歴、遺伝組み合わせ、ADAMTS−5又はADAM17の発現によって仲介された病理過程の段階、前期治療又は随伴治療のタイプ、又は被験者の他の個体特性の影響を受ける。
複種類の実施例において、用語「治療」は、被験者(例えば、哺乳類動物、例えばヒト)又は細胞について治療して、被験者又は細胞の現状を変更することを指す。治療は、これらに限定されないが、薬物組成物の投薬を含み、予防性投薬又は病理開始後又は病原体と接触した後の投薬を行なうことができる。さらに、「予防性治療」を含み、被治療の疾患又は状況の進捗速度を低下し、疾患又は状況の発生を遅延し、又は発生した厳重程度を緩和する。「治療」又は「予防」は、必ずしも疾患又は状況又は関連する症状を完全に除去、キュアー又は阻止することを示すものではない。複数の実施例において、用語「治療」は、例えば関節炎(例えば、OA、RA、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風)の緩和、例えば症状の緩和、例えば関節線維化、軟骨浸食、軟骨コラーゲン損失、関節軟骨表面ダメージ、滑膜炎、関節包炎、関節痛、関節靭帯肥厚、メニスカス骨化、軟骨細胞配列混乱等のADAMTS−5又はADAM17の発現が仲介した病理過程又は症状の緩和、軽減又は逆転を含むことができる。
用語「投薬」又は「適用」は、前記siRNAを一部又はシステムによって投薬して被験者に配達することを含む。投薬は、一部(眼部、粘膜、膣、直腸配達を含む)、肺(例えば、気体粉末又はエアロゾルの吸い込み又は注入を含む。噴霧器、気管内又は鼻内によるものを含む)、上皮、皮膚、経口又は非経口であることができる。非経口投薬は、静脈、動脈、皮下、腹腔又は筋肉内注射又は灌流と、例えば髄腔内又は脳室投薬の脳内投薬、又は関節又は関節内注射を含む。
II siRNA
開示したある態様によると、体外で、例えば溶液又は無細胞系(例えば、細胞溶解物又は再構成システム)において、又は細胞、例えば体外培養細胞(例えば、ADAMTS−5又はADAM17を発現する細胞)において、又は被験者体内の細胞においては、ADAMTS−5又はADAM17遺伝子の発現を抑制するsiRNAsを提供する。被験者は、例えばラット、マウス又はヒトのような哺乳類動物であることができる。一部の実施例において、被験者は、例えば炎症に関連する病気等のADAMTS−5又はADAM17に関連する病気にかかっているか又は上記病気にかかる可能性がある。実例の炎症に関連する疾患は、関節炎(OA、RA、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風を含む)を含む。一部の実施例において、疾患は関節炎であることができる。一部の実施例において、疾患はOAであることができる。一部の実施例において、疾患はRAであることができる。
siRNAsはそれと交雑する標的配列に案内され又はそれと交雑する標的配列を標的とする。複数の実施例において、標的配列はADAMTS−5又はADAM17遺伝子のRNA転写物(例えば、標的mRNA)の10〜30個の連続するヌクレオチドを含み、例えば10〜25又は15〜20個の標的mRNAの連続するヌクレオチドを含み、範囲内の全ての整数を含む。例えば、標的配列は11、13、15、17、19、21、23、25又は27個の標的mRNAの連続するヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、標的配列は、19個の標的mRNAの連続するヌクレオチドを含むことができる。複数の実施例において、前記siRNAsは、標的mRNA配列と充分の相互補完性を有するアンチセンス領域を含んで、RNAi機能を実現する。例えば、アンチセンス領域は、少なくとも11個の連続又は非連続の標的mRNA配列と相互補完するヌクレオチドを含むことができ、例えば少なくとも15個の連続又は非連続の標的mRNA配列と相互補完するヌクレオチドを含む。一部の実施例において、アンチセンス領域は、11、13、15、17、19、21、23、25又は27個の連続又は非連続の標的mRNA配列と相互補完するヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、アンチセンス領域は、15個の連続又は非連続の標的mRNA配列と相互補完するヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、アンチセンス領域は17個の連続又は非連続の標的mRNA配列と相互補完するヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、アンチセンス領域は19個の連続又は非連続の標的mRNA配列と相互補完するヌクレオチドを含むことができ、一部の実施例において、アンチセンス領域は実質的に少なくとも一部のADAMTS−5又はADAM17遺伝子RNA転写物(ADAMTS−5又はADAM17 mRNA)と相互補完する。一部の実施例において、アンチセンス領域は少なくとも一部のADAMTS−5又はADAM17遺伝子RNA転写物と完全に相互補完する。
異なる実施例は、一本鎖siRNAsを含み、ここで、siRNAの自行相互補完するセンスとアンチセンス領域とはヌクレオチド又は非ヌクレオチド接続によってサブ接続を実現する。一部の実施例において、siRNAは二倍、非対称二倍、ヘアピン、非対称ヘアピン二級構造を有する一本鎖ポリヌクレオチドであることができる。一部の実施例において、siRNAは二つ又は複数のループ構造と、自行相互補完するセンスとアンチセンス領域とを含む一つの茎とを有する環状一本鎖ポリヌクレオチドを含む。一部の実施例において、環状ポリヌクレオチドは体外又は体内処理を経て、RNAiを仲介できる活性siRNA分子を生成することができる。一部の実施例において、siRNAは1種類の一本鎖のポリヌクレオチドを含むこともでき、標的配列(例えば、ADAMTS−5又はADAM17 mRNA又はその一部)と相互補完するアンチセンス領域を有し、このようなsiRNAは内部に標的配列に対応するセンス領域を有する必要がない。
一部の実施例において、siRNAは、センス鎖とアンチセンス鎖を含む二重鎖のsiRNAであることができる。アンチセンス鎖はsiRNAのアンチセンス領域を含むことができる。siRNAのセンスとアンチセンス鎖は、二重鎖構造を形成することができる。一部の実施例において、アンチセンス鎖はADAM−5 mRNAと交雑し、センス鎖はアンチセンス鎖と交雑することができる。一部の実施例において、アンチセンス鎖はADAM17 mRNAと交雑し、センス鎖はアンチセンス鎖と交雑することができる。一部の実施例において、RNAiは、例えば少なくとも15bp、少なくとも17bp又は少なくとも19bpのように少なくとも11bpの二重鎖領域を有することができる。例えば、RNAiの二重鎖領域は、11、13、15、17、19、21、23、25又は27bpであることができる。一部の実施例において、RNAiの二重鎖領域は15bpであることができる。一部の実施例において、RNAiの二重鎖領域は17bpであることができる。一部の実施例において、RNAiの二重鎖領域は19bpであることができる。
siRNAは二重鎖分子で、各鎖の長さは同一又は異なっている。一部の実施例において、siRNAの各鎖、一本鎖又は二重鎖の、長さは10〜60ntであることができる。例えば、各鎖の長さは10〜50nt、10〜40nt、10〜30nt、10〜25nt、10〜20nt、15〜25nt、15〜27nt又は15〜20ntであることができ、且つ当該範囲内の全ての整数を含む。一部の実施例において、各鎖の長さは15〜27ntであることができ、且つ当該範囲内の全ての整数を含む。一部の実施例において、各鎖の長さは11、13、15、17、19、21、23、25又は27ntであることができる。一部の実施例において、各鎖の長さは15ntである。一部の実施例において、各鎖の長さは17ntである。一部の実施例において、各鎖の長さは19ntである。2種類又は複種類のsiRNA分子を組み合わせて使用する場合、それぞれのsiRNAの各鎖の長さは同じであるか又は異なることができる。開示するため、いずれかの二重鎖のsiRNA鎖の長さを計算する方法もいずれかのヌクレオチドオーバーハングを排除するべきである。
当業者であれば、siRNAsに、既存方法でヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチがあったことが分かる。例えばヌクレオチド配列におけるU、G、Aを含むヌクレオチドは、例えばイノシンを含むヌクレオチドに置換されることができる。ヌクレオチド配列の任意位置のCはU又はGに置換されることができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 2、4、8又は10、又は表2、3、9と10から選ばれた配列のアンチセンス配列を含むことができ、1、2、3、4、5、6、7又は8個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有する。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 1、3、7又は9、又は表1、3、8と10から選ばれたセンス配列を含むことができ、1、2、3、4、5、6、7又は8個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有する。一部の実施例において、siRNAは、SEQ ID NO: 2、4、8又は10又は表2、3、9と10から選ばれた配列のアンチセンス配列を含むことができ、1、2、3又は4個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有する。一部の実施例において、siRNAはさらに、SEQ ID NO: 1、3、7又は9、又は表1、3、8と10から選ばれたセンス配列を含むことができ、1、2、3又は4個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有する。一部の実施例において、siRNAは、1、2、3又は4個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有するSEQ ID NO: 2を含むアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに、1、2、3又は4個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有するSEQ ID NO: 1を含むセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは、1、2、3又は4個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチのあるSEQ ID NO: 8を含むセンス鎖を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに、1、2、3又は4個のヌクレオチドの挿入、入れ替え、欠失又はミスマッチを有するSEQ ID NO: 7を含むセンス配列を含むことができる。
一部の実施例において、siRNAはアンチセンス配列を含み、当該アンチセンス配列は表1、3、8、10から選ばれたアンチセンス配列とのヌクレオチド差異が8個を超えない少なくとも11個の、例えば少なくとも15個又は少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含む。一部の実施例において、siRNAはアンチセンス配列を含み、当該アンチセンス配列は表1、3、8、10から選ばれたアンチセンス配列とのヌクレオチド差異が4個を超えない少なくとも11個の、例えば少なくとも15個又は少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含む。一部の実施例において、siRNAはさらにセンス配列を含み、当該センス配列は表2、3、9、10から選ばれたセンス配列とのヌクレオチド差異が8個を超えない少なくとも11個、例えば少なくとも15個又は少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含む。一部の実施例において、siRNAはさらにセンス配列を含み、当該センス配列は表2、3、9、10から選ばれたセンス配列とのヌクレオチド差異が4個を超えない少なくとも11個、例えば少なくとも15個又は少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含む。
siRNAsの実施例は、例えばSEQ ID NOs: 1〜4、7〜10及び表1〜3(SEQ ID NOs:17〜49)と表8〜10(SEQ ID NOs:98〜128)の配列等の開示したヌクレオチド配列と一定の同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。例えばsiRNAは開示したいずれかの配列との同一性が少なくとも60%、例えば70%、80%、90%、95%又はさらに高い同一性のある配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは開示したいずれかの配列との同一性が少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%である配列を含むことができる。
実例のADAMTS−5を標的とするsiRNAsはSEQ ID NO: 2又は4、又は表2と3から選ばれたアンチセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 1又は3、又は表1と3から選ばれたセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。
一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 2と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 1と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 2のアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 1のセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 2と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 1のセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 2のアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 1と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列とを含むことができる。
一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 4と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 3と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 4のアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 3のセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 4と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 3のセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 4のアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 3と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列とを含むことができる。
一部の実施例において、siRNAは表2と3から選ばれたアンチセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに表1と3から選ばれたセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表2と3から選ばれたアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに表1と3から選ばれたセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表2と3から選ばれたアンチセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列と、表1と3から選ばれたセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表2と3から選ばれたアンチセンス配列と、表1と表3から選ばれたセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列とを含むことができる。
実例のADAM17を標的とするsiRNAsはSEQ ID NO: 8又は10、又は表9と10から選ばれたアンチセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 7又は9又は表8と10から選ばれたセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。
一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 8と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 7と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 8のアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 7のセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 8と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 7のセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 8のアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 7と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。
一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 10と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 9と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 10のアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらにSEQ ID NO: 9のセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 10と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 9のセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAはSEQ ID NO: 10のアンチセンス配列と、SEQ ID NO: 9と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列とを含むことができる。
一部の実施例において、siRNAは表9と10から選ばれたアンチセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに表8と10から選ばれたセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表9と10から選ばれたアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに表8と10から選ばれたセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表9と10から選ばれたアンチセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するアンチセンス配列と、表8と10から選ばれたセンス配列とを含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表9と10から選ばれたアンチセンス配列と、表8と表10から選ばれたセンス配列と少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)の同一性を有するセンス配列とを含むことができる。
前記二重鎖siRNAの特定の実施例は、一本鎖/二重鎖の5’端、3’端、又は両端に、一つ又は複数の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを含むことができる。各鎖のヌクレオチドオーバーハングの数量、長さ、配列、位置は同一であるか又は異なることができる。例えば、ヌクレオチドオーバーハング位置がセンス鎖、アンチセンス鎖又は二重鎖の3’端に位置することができる。siRNAがアンチセンス鎖5’端(又はセンス鎖3’端)に一つの平滑末端を有することができ、その逆であってもよい。一部の実施例において、siRNAアンチセンス鎖は3’端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’端に平滑末端を有することができる。オーバーハング端は標的配列とミスマッチすることができ、又は標的配列と相互補完することができ、又は他の配列と相互補完することができる。一部の実施例において、少なくともsiRNAのいずれかの鎖の少なくとも一端に、長さが例えば1〜8、2〜8、1〜6、2〜6、1〜5、2〜5、1〜4、2〜4、1〜3、2〜3、又は1〜2個のような、1〜10個のヌクレオチドであるオーバーハングを含むことができ、且つ区間内の全ての整数を含む。一部の実施例において、オーバーハング長さは一つ又は二つのヌクレオチドであることができる。異なる実施例において、オーバーハング中のヌクレオチドは、それぞれが独立した未修飾の又は開示又は本分野の周知の修飾ヌクレオチドであることができる。例えば、オーバーハングは少なくとも一つのdTを含むことができる。一部の実施例において、オーバーハングはdTdTであることができる。一部の実施例において、siRNAアンチセンス鎖は3’端にdTdTを有することができる。一部の実施例において、siRNAセンス鎖は3’端にdTdTを有することができる。一部の実施例において、siRNA二重鎖は3’端にdTdTを有することができる。2種類又は複種類のsiRNA分子を組み合わせて使用する時、それぞれのsiRNAのオーバーハング構造は同一であるか又は異なることができる。例えば、各鎖ヌクレオチドオーバーハングの数量、長さ、配列又は位置を別途に選択することができる。
III 化学修飾
複数の実施例において、siRNAは活性(例えば、安定性、有効性、特異性)、細胞分布、細胞取込又は他の性能を向上させるため化学修飾されることができる。前記siRNAは、既存の方法で合成及び/又は修飾されることができる。異なる実施例において、siRNAは少なくとも一つの任意の適切な基によって修飾されたヌクレオチド(例えば、化学修飾、共役又は置換)を含むことでsiRNA性能を向上させる。所定のsiRNAの全ての位置に同一の修飾を行う必要はない。一部の実施例において、単一のsiRNA又はsiRNAの単一のヌクレオチドに1個を超える修飾を含むことができる。実例の修飾は、例えば5’端修飾(例えば、リン酸化、共役、反転結合等)又は3’端修飾(例えば、共役、DNAヌクレオチド、反転結合等)のような末端修飾と、例えば安定な塩基、不安定な塩基、又は拡張した配偶体レパートリーと塩基ペアリングする塩基への入れ替え、塩基の移転(非塩基ヌクレオチド)又は塩基の共役のような塩基修飾と、糖修飾(例えば、2'位又は4'位)又は糖置換と、及び/又は、ホスホジエステル結合の修飾又は入れ替えを含む骨格修飾とを含む。
実施例において、骨格修飾のあるsiRNAsは骨格にリン原子を有するかリン原子のないものを含む。実例のsiRNAリン酸骨格修飾は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキルホスホン酸エステル、逆極性のあるエステルを含み、ここで、隣接するヌクレオチドは3’〜5’乃至5’〜3’、又は2’〜5’乃至5’〜2’接続される。一部の実施例において、siRNA糖骨格は、アミド、モルホリン、シクロブチル等に置換可能である。特定の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は、ホスホロチオエート修飾のリン酸骨格を有する。リン酸骨格において、ホスホロチオエートはP−S結合でP−OH結合を置換できる。
複数の実施例において、上述した任意の修飾のsiRNAsは、一つ又は複数の修飾のグリコシルを含むことができる。修飾のグリコシルはリボース又はデオキシリボースであることができる。例えばsiRNAは、例えば2’−デオキシ−2’−フッ素、2’−O−メチル、2’−デオキシ、2’−O−(2−メトキシエチル)(又は2’−MOE)、2’−アミノ基、2’−アルキル基、2’−SH修飾のヌクレオチドから選ばれた少なくとも一つを含むことができる。実例の修飾グリコシルはさらに、例えばロックド核酸(LNA)、オープンループ又は非ロックド核酸(UNA)及びペプチド核酸(PNA)を含むことができる。類似する修飾はさらに、例えば3’末端ヌクレオチドにおける糖の3’位置又は5’末端ヌクレオチドにおける糖の5’位置等のsiRNAの他の位置にあることができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、即ち2’−O−メチル修飾のリボース又はデオキシリボースを含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は2’−デオキシ−2’−フッ素修飾ヌクレオチド、即ち2’−デオキシ−2’−フッ素修飾のリボース又はデオキシリボースを含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はLNAを含むことができる。前記LNAはリボース又はデオキシリボースの2’−Oと4’−Cとの間に環状構造を形成することができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は開環核酸又はUNAを含むことができる。前記開環核酸又はUNAはリボース又はデオキシリボースの2’−Cと3’−Cとの間の割れを含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はPNAを含むことができる。前記PNAはアミノ基を含有する骨格でヌクレオチドの糖骨格を置換して含むことができる。
複数の実施例において、前記siRNAsは核酸塩基(又は塩基)修飾を含むことができる。「未修飾」又は「天然」核酸塩基はプリン塩基AとG、ピリミジン塩基T、C、Uを含む。修飾の核酸塩基は他の合成及び天然の核酸塩基を含み、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、5−アセチリエニルウラシル、又は5−エチニルウラシル、5−プロピニルウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノ基アデニン、6−メチル及び他のアルキル基誘導体修飾のアデニンやグアニン、2−チオウラシル、5−ハロウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アゾシトシン、5−ウラシル(偽ウラシル)、インドール、8−ハロ基、8−アミノ基、及び他の8−修飾のアデニンやグアニンを含む。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はインドール修飾を含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は5−メチルシトシン修飾を含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は5−エチニルウラシル修飾を含むことができる。
上記実例のsiRNAs修飾もsiRNAを1種類又は複種類の細胞取込や標的指向性を強化し、siRNA半減期を延長することのできる部分又は共役物に接続するためのものを含むことができる。当該部分は脂質部分(例えば、コレステリル誘導体、リン脂質、脂肪族鎖)、ペプタイド、ナノ粒子、標記物(例えば、アントシアン蛍光染料、例えばCy3又はCy5)、ポリマー(例えば、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖)、糖(例えば、ガラクトシル誘導体)、抗体、ビオチン、コール酸、リガンド、メルカプタン、ビタミン(例えば、ビタミンE)、NH2、リン酸、葉酸を含むがこれらに限定されることはない。共役物はsiRNAの5’端、3’端又は両端又は内部に接続されることができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はコレステリル誘導体に接続される末端ヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、コレステリル誘導体はコレステロールである。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はガラクトシル誘導体に接続される末端ヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、ガラクトシル誘導体はガラクトースである。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はペプタイドに接続される末端ヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、ペプタイドはアミノ酸配列N’−Arg−Gly−Asp−C’、即ちRGDペプタイドを含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は蛍光標記物に接続される末端ヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、蛍光標記物はアントシアン標記物である。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はビオチン物に接続される末端ヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖はリン酸化の末端ヌクレオチドを含むことができる。
siRNAの複数の実施例は、上述した又は本分野で周知の1種類又は複種類の修飾組み合せを含むことができる。一部の実施例において、siRNAの少なくとも1本鎖は、(a)ホスホロチオエート修飾のリン酸骨格、(b)リボース又はデオキシリボースの2’−O−メチル修飾、(c)リボース又はデオキシリボースの2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾、(d)ロックド核酸(LNA)修飾、(e)開環核酸又はUNA、(f)インドール修飾、(g)5−メチルシトシン、(h)5’−エチニルウラシル、(i)コレステリル誘導体に接続される末端ヌクレオチド(例えばコレステロール)、(j)ガラクトシル誘導体に接続される末端ヌクレオチド(例えばガラクトース)、(k)ペプタイドに接続される末端ヌクレオチド(例えばRGDペプタイド)、(l)リン酸化の末端ヌクレオチド(例えば5’−リン酸化)、(m)蛍光標記物に接続される末端ヌクレオチド(例えばアントシアン標記)、(n)ビオチン標記に接続される末端ヌクレオチドから選ばれた少なくとも一つの化学修飾を含むことができる。例えばsiRNAの少なくとも1本鎖は表7と13から選ばれた一つ又は複数の修飾の組み合せを含むことができる。
一部の実施例において、前記siRNAは表7から選ばれた化学修飾のアンチセンス鎖を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに表7から選ばれた化学修飾のセンス鎖を含むことができる。一部の実施例において、siRNAは表13から選ばれた化学修飾のアンチセンス鎖を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはさらに表13から選ばれた化学修飾のセンス鎖を含むことができる。
一部の実施例において、センス鎖はヌクレオチド配列5’−K−LLMUUUAUGUGGGCAUPMQdTdT−3’(SEQ ID NO: 13)を含むことができ、アンチセンス鎖はヌクレオチド配列5’−R−MQLAUGCCCACAUAAAQPPdTdT−3’(SEQ ID NO: 14)を含むことができ、ここで、
Kは5’−末端ヌクレオチドに接続されたコレステロール基であることができ、
Rは5’−末端ヌクレオチドのリン酸化修飾であることができ、
dTはチミンデオキシリボヌクレオチドであって、
Lは未修飾又は2’−O−メチル修飾のグアニンデオキシリボースヌクレオチドであって、
Mは未修飾又は2’−O−メチル修飾のアデニンデオキシリボースヌクレオチドであって、
Pは未修飾又は2’−O−メチル修飾のシトシンデオキシリボースヌクレオチドであって、
Qは未修飾又は2’−O−メチル修飾のウラシルデオキシリボースヌクレオチドであって、
L、M、P及びQの中の少なくとも一つがチオリン酸骨格を有することができる。
一部の実施例において、少なくともL、M、P及びQの中の一つがチオリン酸骨格を有することができる。一部の実施例において、L、M、P、Qがいずれもチオリン酸骨格を有することができる。一部の実施例において、センス鎖は表7から選ばれたセンス配列を含むことができ、アンチセンス鎖は表7から選ばれたアンチセンス配列を含むことができる。
一部の実施例において、センス鎖はヌクレオチド配列5’−K’−L’P’M’UCAUGUAUCUGAAP’Μ’M’dTdT−3’(SEQ ID NO: 15)を含むことができ、アンチセンス鎖はヌクレオチド配列5’−R’−Q’Q’L’UUCAGAUACAUGAQ’L’P’dTdT−3’(SEQ ID NO: 16)を含むことができ、ここで、
K’は5’−末端ヌクレオチドに接続されたコレステロール基であることができ、
R’は5’−末端ヌクレオチドのリン酸化修飾であることができ、
dTはチミンデオキシリボースヌクレオチドであって、
L’は未修飾又は2’−O−メチル修飾のグアニンデオキシリボースヌクレオチドであって、
M’は未修飾又は2’−O−メチル修飾のアデニンデオキシリボースヌクレオチドであって、
P’は未修飾又は2’−O−メチル修飾のシトシンデオキシリボースヌクレオチドであって、
Q’は未修飾又は2’−O−メチル修飾のウラシルリボースヌクレオチドであって、
L’、M,’、P’及びQ’の中の少なくとも一つがチオリン酸骨格を有することができる。
一部の実施例において、L’、M’、P’及びQ’の中の少なくとも一つがチオリン酸骨格を有することができる。一部の実施例において、L’、M’、P’及びQ’がいずれもチオリン酸骨格を有することができる。一部の実施例において、センス鎖は表13から選ばれたセンス配列を含むことができ、アンチセンス鎖は表13から選ばれたアンチセンス配列を含むことができる。
IV siRNAをコーディングする核酸
開示した他の態様は前記siRNAsをコーディングする核酸を含む。例えば、核酸は、例えばヌクレオチド配列がSEQ ID NOs:1〜4、7〜10、又は表1〜3(SEQ ID NOs: 17−49)と表8〜10(SEQ ID NOs: 98〜128)に開示した任意のヌクレオチド配列との同一性が少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)又は100%であるsiRNAをコーディングすることができる。一部の実施例において、核酸がコーディングしたsiRNAは、SEQ ID NO: 2との同一性が少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)であるアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸がコーディングしたsiRNAは、SEQ ID NO: 2に示すヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 6の36〜54位を有するヌクレオチドを含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 6に示すヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸がコーディングしたsiRNAは、SEQ ID NO: 1との同一性が少なくとも60%(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)であるセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸がコーディングしたsiRNAはSEQ ID NO: 1に示すヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 5の10〜28位ヌクレオチドを有することができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 5を含むことができる。
他の実施例において、核酸はsiRNAをコーディングすることができ、当該siRNAはSEQ ID NO: 8と少なくとも60%の同一性(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)を有するアンチセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 8ヌクレオチド配列を含むsiRNAをコーディングする。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 11の38〜56位ヌクレオチドを有する配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 11を含む。一部の実施例において、核酸はsiRNAをコーディングすることができ、当該siRNAはSEQ ID NO: 7と少なくとも60%の同一性(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%)を有するセンス配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 7を含むsiRNAをコーディングする。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 12の8〜26位ヌクレオチドを有する配列を含むことができる。一部の実施例において、核酸はSEQ ID NO: 12のヌクレオチド配列を含むことができる。
一部の実施例において、核酸はベクターであることができる。前記「ベクター」は、一つの実体の一つの環境から他の環境への転移を許可するか促進する。ベクターはレプリコンであることができ、例えばプラスミド、ファージ、コスミドであることができ、他の核酸断片はレプリコンに挿入されて挿入断片を複製することができる。一部の実施例において、ベクターが適切な制御素子の存在下で複製することができる。概して、用語「ベクター」は、接続された他の核酸分子を搬送できる核酸分子を指す。実例のベクターは、一本鎖、二重鎖又は一部の二重鎖の核酸分子を含み、一つ又は複数の自由末端又は自由末端のない核酸分子(例えば環状)を含み、DNA及び/又はRNAの核酸分子を含む。他の周知のポリヌクレオチド変異体も含む。ベクターの一つのである「プラスミド」は、環状の二重鎖DNAを指し、他のDNA断片の挿入を許可する(例えば、通常の分子生物学技術によって挿入する)。他のベクターとしてのウイルスベクターは、ウイルス由来のDNA又はRNA配列がベクター中に現れ、例えばレトロウイルス、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、複製欠損アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス等のウイルス中へのパッケージングに用いられる。ウイルスベクターは、ウイルスにより配達される宿主細胞のトランスフェクションに用いられるポリヌクレオチドを含むことができる。一部のベクターは侵入した宿主細胞にて自行複製することができる(例えば、細菌複製開始点がある細菌ベクター及びエピソーマル哺乳類動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーマル哺乳類動物ベクター)は宿主細胞に侵入した後、宿主細胞の遺伝子組に統合され、遺伝子組の複製によって複製される。そして、一部のベクターは接続された遺伝子を発現させることができ、「発現ベクター」と呼ばれる。組換DNA技術に使用される通常の発現ベクターの形式は大部分がプラスミドである。
組換発現ベクターは、上述したsiRNAをコーディングする核酸を含み、宿主細胞における核酸の発現に適切な形式で存在する。例えば、組換発現ベクターは一つ又は複数の発現する宿主細胞に基づいて選択したレギュレータを含むことができ、発現しようとする核酸配列と操作可能に接続される。組換発現ベクターにおいて、「操作可能に接続される」とは、目標ヌクレオチド配列を、例えば体外転写/翻訳体系、又はベクターで宿主細胞に導入した後の宿主細胞内においては発現可能な形態でレギュレータに接続することを指す。
一部の実施例において、ベクターはリニア構造体で、環状プラスミド、統合又は非統合のウイルスベクターであることができる。一部の実施例において、siRNA中の一つ又は二つの鎖は発現ベクター上のプロモーターから転写することができる。二つの別途の鎖の発現によって二重鎖siRNAを発生した状況で、二つの単独の発現ベクターを共に(例えば、トランスフェクション又は感染によって)標的細胞に導入することができる。そして、二重鎖siRNA中のそれぞれの鎖は同一の発現プラスミド上に位置するプロモーターから転写されることができる。一部の実施例において、二重鎖siRNAは、1種類の接続基ポリヌクレオチド配列が参与される逆方向反復ヌクレオチドの発現によって、当該二重鎖siRNAは茎ループ構造を有することになる。
一部の実施例において、siRNA発現ベクターはDNAプラスミド又はウイルスベクターであることができる。一部の実施例において、siRNAを配達するベクターは、充分な標的細胞又は組織にてsiRNAを発現できる調節要素(プロモーター、エンハンサー等)を含むことができる。調節要素は、構成性又は調整型/誘導型発現を提供することに選択される。siRNA発現は、例えば、循環グルコースレベル又はホルモンなどの一部の生理レギュロンに敏感である誘導調節配列を使用して調整される。前記誘導発現系は、細胞と哺乳類動物中のsiRNA発現の調整に適合し、例えばエクジソン、エストロゲン、黄体ホルモン、テトラサイクリン、二量化化学誘導物及びイソプロピル−ベタ−D1−チオガラクトピラノシード(IPTG)によって調整を行なう。当業者はsiRNA導入遺伝子の応用に応じて、適切な調整/開始配列を選択することができる。
発現ベクターは真核細胞と互換性を有し、例えば哺乳類動物細胞と互換して組換構築体を生成して前記siRNAを発現するベクターである。真核細胞発現ベクターは本分野で周知であって且つ各種の商業源から購入することができ、例えば必要な核酸断片を挿入する制限部位を含むベクターがある。一部の実施例において、siRNA発現ベクターはプラスミドpGCsi−H1/Neoを含むことができ、制限部位BamHIとHindIIIとの間に入れ替えられたヌクレオチド配列を有する。一部の実施例において、入れ替えられたヌクレオチド配列は上述したいずれかのsiRNAをコーディングすることができる。
siRNA発現ベクターの配達は全身に達することができ、例えば静脈内、筋肉内、関節又は関節腔を介して適用できる。被験者の体内から取り出した細胞の標的に適用した後に再び被験者の体内に導入し、又は例えば被験者の体内の標的細胞等の他のいずれかの標的細胞に導入可能な手段にて導入する。一部の実施例において、siRNA発現ベクターは、例えばカチオン脂質ベクター(例えば、Oligofectamine)又は非カチオン脂質ベクター(例えばTransit−TKO.TM.)等の一部の配達ベクターと一緒に複合体を形成して標的細胞をトランスフェクションすることができる。本発明は、一週間又はさらに長い時間内に複数回のリポソームトランスフェクションを経て、siRNAが標的RNAの異なる領域のノックダウンを仲介することになることも構想する。ベクターが宿主細胞への導入に成功したかは各種の周知の方法で監視することができる。例えば、瞬間トランスフェクションすると、報告物で、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光標記のような受態によって信号化することができる。安定した離間細胞トランスフェクションは、トランスフェクション細胞へ、特定の環境因子(例えば、抗生物質及び薬物)に対する抵抗性、例えばハイグロマイシンB抵抗を提供する標記の使用によって確保できる。
本願で説明した方法や組成物に使用されるウイルスベクター系は、(a)アデノウイルスベクター、(b)レトロウイルスベクター、例えば慢性ウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルス等、(c)アデノ随伴ウイルスベクター、(d)単純疱疹ウイルスベクター、(e)SV 40 ベクター、(f)ポリオーマウイルスベクター、(g)パピローマウイルスベクター、(h)小RNAウイルスベクター、(i)ポックスウイルスベクター、例えばワクシニアウイルスベクターなどのオルトウイルス、カナリアポックスウイルスなどの鶏痘ウイルス、又は鶏FPVウイルス、(j)ヘルパー依存のアデノウイルス又は腸管無しアデノウイルスを含むが、これらに限定されることはない。複製欠損型ウイルスが有利であることもある。異なるベクターは標的細胞の遺伝子組に統合されるか統合されない。必要の場合、構築体は、トランスフェクション用としてウイルス配列を含むことができる。そして、構築体はエピソーム型複製を発生可能なベクター(例えば、EPVとEBVベクター)に統合されることができる。siRNAの組換発現に用いられる構築体はさらに、例えばプロモーター、エンハンサー等の調節素子を含んで、siRNAによる標的細胞中の発現を確保する。
本開示はsiRNAをコーディングする核酸を含む宿主細胞に係わっている。一部の実施例において、宿主細胞は、例えば前記ベクター等の一つ又は複数の核酸を瞬間的又は非瞬間的にトランスフェクションすることができる。一部の実施例において、細胞は被験者の体内に位置する時にトランスフェクションされる。一部の実施例において、トランスフェクションされた細胞は、例えば細胞系等の被験者から取る。本分野で周知の各種の組織培養の細胞系は、C8161、CCRF−CEM、MOLT、mIMCD−3、NHDF、HeLa−S3、Huh1、Huh4、Huh7、HUVEC、HASMC、HEKn、HEKa、MiaPaCell、Panc1、PC−3、TF1、CTLL−2、C1R、Rat6、CV1、RPTE、A10、T24、J82、A375、ARH−77、Calul、SW480、SW620、SKOV3、SK−UT、CaCo2、P388D1、SEM−K2、WEHI−231、HB56、TIB55、Jurkat、J45.01、LRMB、Bcl−1、BC−3、IC21、DLD2、Raw264.7、NRK、NRK−52E、MRCS、MEF、Hep G2、HeLa B、HeLa T4、COS、COS−1、COS−6、COS−M6A、BS−C−1猿の腎臓上皮細胞、BALB/3 T3マウス胚線維芽細胞、3T3 Swiss、3T3−L1、132−d5ヒト胎児線維芽細胞10.1マウス線維芽細胞、293T、3T3、721、9L、A2780、A2780ADR、A2780cis、A172、A20、A253、A431、A−549、ALC、B16、B35、BCP−1細胞、BEAS−2B、bEnd.3、BHK−21、BR 293、BxPC3、C3H−10T1/2、C6/36、Cal−27、CHO、CHO−7、CHO−IR、CHO−K1、CHO−K2、CHO−T、CHO Dhfr−/−、COR−L23、COR−L23/CPR、COR−L23/5010、COR−L23/R23、COS−7、COV−434、CML T1、CMT、CT26、D17、DH82、DU145、DuCaP、EL4、EM2、EM3、EMT6/AR1、EMT6/AR10.0、FM3、H1299、H69、HB54、HB55、HCA2、HEK−293、HeLa、Hepa1c1c7、HL−60、HMEC、HT−29、Jurkat、JY細胞、K562細胞、Ku812、KCL22、KG1、KYO1、LNCap、Ma−Mel 1−48、MC−38、MCF−7、MCF−10A、MDA−MB−231、MDA−MB−468、MDA−MB−435、MDCK II、MDCK II、MOR/0.2R、MONO−MAC 6、MTD−1A、MyEnd、NCI−H69/CPR、NCI−H69/LX10、NCI−H69/LX20、NCI−H69/LX4、NIH−3T3、NALM−1、NW−145、OPCN/OPCT細胞系、Peer、PNT−1A/PNT 2、RenCa、RIN−5F、RMA/RMAS、Saos−2細胞、Sf−9、SkBr3、T2、T−47D、T84、THP1、U373、U87、U937、VCaP、Vero細胞、WM39、WT−49、X63、YAC−1、YAR及びその導入遺伝子変異体を含む。細胞系は各種の商業源から取得できる(例えばATCC)。一部の実施例において、前記一つ又は複数のベクターのトランスフェクションが行われた細胞は、新しい一つ又は複数のベクター由来配列を含む細胞系の構築に利用されることができる。
V 薬物組成物
本開示はさらに、1種類又は複種類の上述したsiRNAsを含む薬物組成物に係わっている。一部の実施例において、薬物組成物はsiRNAと選択できる1種類の製薬的に許容されるベクター、希釈剤又は賦形剤を含むことができる。一部の実施例において、siRNAはADAMTS−5の発現を抑制できる。他の実施例において、siRNAはADAM17の発現を抑制できる。特定の実施例において、前記薬物組成物は一つ又は複数の第1核酸を標的とするsiRNAと、一つ又は複数の第2核酸を標的とするsiRNAとを含む。例えば、前記薬物組成物はADAMTS−5の発現を抑制するsiRNAと、ADAM17の発現を抑制するsiRNAとを含むことができる。一部の実施例において、薬物組成物はADAMTS−5又はADAM17の発現を抑制するsiRNAと、1種類の他の遺伝子を標的とするsiRNAとを含むことができる。他の実施例において、化学組成物は二つ又は複数の同一の標的核酸の異なる領域を標的とするsiRNAsを含むことができる。例えば、薬物組成物は二つ又は複数のADAMTS−5 mRNAの異なる領域を標的とするsiRNAsを含むことができる。一部の実施例において、薬物組成物は二つ又は複数のADAM17 mRNAの異なる領域を標的とするsiRNAを含むことができる。2種類又は複種類の異なるsiRNAsを組み合わせて使用する時、siRNAsのモルが同じであることができる。2種類又は複種を組み合せしたsiRNAsを同時に使用することができれば、順序に使用することもできる。
前記薬物組成物は、ADAMTS−5及び/又はADAM17発現又は活性に関連する疾患又は病理過程、例えば炎症に関連する疾患や変形性関節症、リウマチ性関節炎、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風を含む関節炎等の予防又は治療に用いられる。一部の実施例において、疾患は関節炎であることができる。一部の実施例において、疾患は変形性関節症であることができる。一部の実施例において、疾患はリウマチ性関節炎であることができる。前記薬物組成物は、例えば関節線維化、軟骨浸食、軟骨コラーゲン損失、関節軟骨表面ダメージ、滑膜炎、関節包炎、関節痛、関節靭帯肥厚、メニスカス骨化、軟骨細胞配列混乱を含むADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患の状況又は症状の予防又は治療に利用されることができる。前記薬物組成物は、TNF−α、COX−2又はIL−1βに関連する関節炎にかかった被験者の治療に利用されることができる。実例の薬物組成物の応用はさらに、例えばECM分解の抑制、炎症性因子の発現の調整、免疫細胞の移転、炎症性シグナル伝達、軟骨や滑膜や関節や骨の保護を含む。前記薬物組成物はさらに、例えば骨痛み又は関節痛等の痛みの治療又は緩和に利用されることができる。複数の実施例はさらに、薬物組成物を利用して前記疾患、状況又は症状を予防又は治療することを含む。
「製薬的に許容されるベクター、希釈剤、賦形剤」は、任意標準の薬学ベクター、希釈剤、緩衝液及び賦形剤を指し、例えばリン酸緩衝液(PBS)、5%グルコース溶液、オイル/水又は水/オイルエマルジョン、複種類の湿潤剤及び/又はアジュバントを指す。適切な薬学ベクター、希釈剤又は賦形剤及び製剤は本分野で周知のものであって、薬学ベクター、希釈剤又は賦形剤は活性剤の投薬モードに応じて合理的に選択することができる。
前記薬物組成物に、本分野で周知の方法と開示された方法を適用することができる。例えば、局部又は全身への投薬及び治療位置によって投薬方式を決定することができる。投薬は局部(眼部、粘膜、膣、直腸配達を含む)、肺(例えば、気体粉末又はエアロゾルの吸い込み又は注入、噴霧器、気管内又は鼻内によるものを含む)、上皮、皮膚、背骨、経口又は非経口であることができる。非経口投薬は、静脈、動脈、皮下、腹腔又は筋肉内注射又は灌流と、例えば植入装置による皮下と、例えば髄腔内又は脳室投薬の脳内投薬と、又は関節又は関節内注射を含む。一部の実施例において、siRNAは、例えば関節(例えば関節腔)のような特定の組織を標的とする方式で配達される。例えば、薬物組成物は関節又は関節内注射によって投薬することができる。一部の実施例において、薬物組成物は治療しようとする被験者の関節腔に注射することができる。
薬物組成物は例えばリポソーム、ポリマー、ポリペプチド、ナノ材料、キトサン、ヒアルロン酸等の複種類の配達ベクターによって細胞に配達される。一部の実施例において、薬物組成物はカチオンリポソーム、キトサンナノ粒子、ペプチド、ポリマーから選ばれたベクターによって細胞に配達される。
ベクター化合物に比べ、「製薬的に許容されるベクター」又は「賦形剤」は、被験者に一つ又は複数の核酸を配達する製薬的に許容される溶剤、沈殿防止剤、又は任意の他の薬物不活性の媒介物を指す。当該賦形剤は液体又は固体であることができ、且つ核酸と特定の薬物組成物の他の成分とを組み合せする時、所望の容積、粘度等を提供するように、投薬方式に応じて賦形剤を選択することができる。典型的な薬物ベクターは、バインダー(例えば、アルファ化コーンスターチ、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等)と、充填剤(例えば、乳糖と他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリル酸エステル又はリン酸水素カルシウム等)と、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状シリカ、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、水素化植物油、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)と、崩壊剤(例えば、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム等)と、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)を含む。製薬的に許容されるベクターは、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を含む。
前記薬物組成物は、例えば錠剤、カプセル、ゲルカプセル、粉末又は粒子のいずれかの剤形に調製されてもよい。前記薬物組成物は溶液、懸濁液、乳剤、又は混合溶液に調製されてもよい。
一部の実施例において、薬物組成物を溶液状に調製することもできる。例えばsiRNAが、水又は塩水等の非緩衝溶液に位置することができる。一部の実施例において、siRNAは、例えば酢酸、クエン酸、プロラミン、炭酸塩、リン酸塩又はその任意の組み合せ緩衝液等の適切な緩衝液に位置することができる。一部の実施例において、緩衝液はリン酸塩緩衝液(PBS)であることができる。siRNAを含有する緩衝液のpHと浸透圧は被験者への投薬に適合するものに調整することができる。
一部の実施例において、薬物組成物は水性、非水性又は混合媒体中の懸濁液に調製されることができる。水性懸濁液はさらに、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストラン等のを含むことができる。懸濁液はさらに安定剤を含むことができる。
一部の実施例において、薬物組成物は、乳剤状に調製されることもできる。典型的な乳剤は、1種類の液体が液滴形態(通常、直径が0.1 μmを超える)で他の1種類に分散された非均一系である。分散相(水相、オイル相中の溶液、又はその自体を独立相とする)と活性薬物以外、乳剤は他の成分を更に含むこともできる。ミクロ乳剤も開示した実例に含まれる。
一部の実施例において、薬物組成物がリポソームに調製されることもできる。前記「リポソーム」とは、一つ又は複数の球形二分子層に配列された両性リポソームから構成される小嚢を指す。リポソームは、単層又は多層小嚢で、親油性物質からなる膜と配達しようとする組成物を含有する水性内部とを有する。カチオンリポソームは、正に帯電したリポソームで、例えばDNA分子のような負に帯電した核酸分子と相互作用して安定したコンプレックスを形成する。pH敏感又は負に帯電したリポソームはDNAと複合するのではなく、DNAを捕捉する。カチオンと非カチオンリポソームはいずれも前記核酸分子の細胞内への配達に利用される。
リポソームはさらに「空間的に安定する」リポソームを含み、1種類又は複種類の特別な脂質を含むことができる。このような特別な脂質のないリポソームに比べ、特別な脂質をトーピングしたリポソームは循環周期が延長される。空間的に安定するリポソームの実例としては、リポソームの小嚢が形成されたリポソーム部分は、1種類又は複種類の糖脂質を含み、又は1種類又は複種類の親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))から派生されたものを含む。
前記薬物組成物は、界面活性剤を含むことができる。一部の実施例において、薬物組成物は、複種類の浸透促進剤を利用することで、核酸の配達効率を向上させる。浸透促進剤は、非親油性薬物が拡散して細胞膜を通過するに協力する以外、親油性薬物の透過性を促進する。典型的な浸透促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤及び非キレート性非界面活性剤を含む。
VI 使用方法
開示した一態様において調整方法を提供し、例えばADAMTS−5又はADAM17の体外発現を、例えば溶液又は無細胞系(例えば、再構築系又は細胞溶解物)において、又は、体外培養した細胞(例えば、ADAMTS−5又はADAM17を発現した細胞)又は被験者の体内細胞のような細胞において抑制する。一部の実施例において、前記方法は、細胞を有効量のsiRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物と接触させて、細胞中のADAMTS−5又はADAM17の発現を抑制することを含む。開示した他の態様において調整方法を提供し、例えば炎症性因子の発現を、例えば溶液又は無細胞系(例えば、再構築系又は細胞溶解物)のような試験管内において、又は体外培養した細胞(例えば、発現ADAMTS−5又はADAM17の細胞)又は被験者の体内細胞において抑制する方法を提供する。一部の実施例において、前記方法は、細胞を有効量のsiRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物と接触させて、細胞中の炎症性因子の発現を抑制することを含む。一部の実施例において、炎症性因子は、TNF、COX−2、IL−1βから選ばれるものであることができる。
一部の実施例において、細胞は、哺乳類動物細胞(例えば、ラット、マウス、人類細胞)、滑膜細胞又は組換細胞であることができる。一部の実施例において、細胞は人類細胞であることができる。被験者は、例えばラット、マウス、又はヒト等の哺乳類動物であることができる。一部の実施例において、被験者はヒトであることができる。一部の実施例において、被験者は、例えば炎症に関連する病気のようなADAMTS−5又はADAM17に関連する病気にかかっているかこのような病気にかかるリスクがある。典型的な炎症に関連する病気は、変形性関節症、リウマチ性関節炎、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風等を含む関節炎を含む。一部の実施例において、疾患は関節炎であることができる。一部の実施例において、疾患は変形性関節症であることができる。一部の実施例において、疾患はリウマチ性関節炎であることができる。
他の開示した態様において調整方法を提供し、例えば被験者体内におけるADAMTS−5又はADAM17遺伝子の発現を抑制する。一部の実施例において、前記方法は、被験者に治療有効量のsiRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物を適用して、ADAMTS−5及び/又はADAM17遺伝子の発現を抑制することを含む。一部の実施例において、前記方法は、治療しようとする被験者に治療有効量の、2種類又は複種類の異なるsiRNA分子を含む組成物を適用することをさらに含むことができ、その中の1種類はADAMTS−5遺伝子を標的とし、他の1種類はADAM17遺伝子を標的とする。被験者は、例えばラット、マウス、又はヒト等の哺乳類動物であることができる。一部の実施例において、被験者はヒトであることができる。一部の実施例において、被験者は、例えば炎症に関連する病気等のADAMTS−5又はADAM17に関連する病気にかかっているか、又はこのような病気にかかるリスクがある。典型的な炎症に関連する病気は、、例えば変形性関節症、リウマチ性関節炎、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風を含む関節炎を含む。一部の実施例において、疾患は関節炎であることができる。一部の実施例において、疾患は変形性関節症であることができる。一部の実施例において、疾患はリウマチ性関節炎であることができる。
開示した他の態様において少なくとも1種類のsiRNA(例えば、ADAMTS−5−siRNA、ADAM17−siRNA又はその組み合せ)、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物の用途を提供し、例えば変形性関節症、リウマチ性関節炎、慢性感染性関節炎、脊椎炎、乾癬関節炎、痛風を含む関節炎のような炎症に関連する疾患の予防又は治療に利用される。一部の実施例において、疾患は関節炎であることができる。一部の実施例において、疾患は変形性関節症であることができる。一部の実施例において、疾患はリウマチ性関節炎であることができる。siRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物は、例えば関節線維化、軟骨浸食、軟骨コラーゲン損失、関節軟骨表面ダメージ、滑膜炎、関節包炎、関節痛、関節靭帯肥厚、メニスカス骨化、軟骨細胞配列混乱等のADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患の状況又は症状の予防又は治療に利用されることができる。siRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物は、TNF−α、COX−2又はIL−1βに関連する関節炎にかかってる被験者の治療に利用されることができる。典型的なsiRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物の応用は、例えばECM分解の抑制、炎症性因子の発現の調整、免疫細胞の移転、炎症性シグナルの伝達、及び軟骨、滑膜、関節、骨の保護をさらに含む。前記siRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物は、例えば骨痛み又は関節痛の痛みの治療又は緩和に利用されることもできる。複数の実施例は、siRNAの前記疾患、状況又は症状を予防又は治療する薬物の調製における応用をさらに含む。一部の実施例において、前記用途又は方法は、前記疾患、状況又は症状のある又は病気にかかるリスクのある被験者に治療有効量のsiRNA、siRNAをコーディングする核酸、又はsiRNAを含む薬物組成物を適用することを含むことができる。
前記薬物組成物は、本分野で周知の方法と開示した方法で適用されることができる。例えば、局部又は全身への投薬及び治療位置に基づいて投薬方式を決定する。投薬は局部(眼部、粘膜、膣、直腸配達を含む)、肺(例えば、気体粉末又はエアロゾルの吸い込み又は注入を含む。噴霧器、気管内又は鼻内によるものを含む)、上皮、皮膚、背骨、経口又は非経口であることができる。非経口投薬は、静脈、動脈、皮下、腹腔又は筋肉内注射又は灌流と、例えば植入装置による皮下と、例えば髄腔内又は脳室投薬のような脳内投薬と、又は関節又は関節内注射とを含む。一部の実施例において、siRNAは特定の組織を標的とする方式で配達されることがで、例えば関節(例えば、関節内)注射することができる。一部の実施例において、薬物組成物は、例えば関節(例えば関節腔)等の特定の組織を標的として配達されることができる。例えば、薬物組成物は関節又は関節内注射によって適用されることができる。一部の実施例において、薬物組成物は治療しようとする被験者の関節腔に注射されることができる。
複数の実施例において、siRNAは、ADAMTS−5又はADAM17の発現を抑制するに充分な一回量で適用される。例えば、siRNAの適切な一回量は約20〜1000nmol/受容体体重kgである。一部の実施例において、1000gあたりの一回量範囲は約40〜500nmolである。一部の実施例において、薬物組成物は、体重1000gあたりに約40、50、100、150、200、250、300、350、400、450又は500nmolの一回量で適用される。薬物組成物の投薬は、一回量又は複数回の投薬であることができる。例えば、毎日に1回又は複数回、又は例えば毎週、2週間、毎月又は毎年のようなもっと長い間隔単位で投薬することができる。特定の実施例において、薬物組成物は、毎週に2回投薬することができる。前記薬物組成物は、短期間内で一定の間隔、例えば毎日又は毎週に投薬して数週間又はそれより短い時間持続することができる。一部の例において、薬物組成物を長期間に渡って断続的に投薬することもできる。
一部の実施例において、前記siRNAsを、例えば他のsiRNAs又は抗炎症剤等の前記siRNAsの効能を向上させることのできる化合物等の他の薬学活性化合物と組み合せて使用することができる。一部の実施例において、siRNAを、例えばコルチコステロイド、ヒアルロン酸又はその塩、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、例えばイブプロフェン、パラセタモール)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs、例えばメトトレキサート)、疾患修飾性変形性関節症薬物(DMOADs)、軟骨保護剤(例えば、アミノ基グルコース、コンドロイチン硫酸)等の他の薬物と同時又は順序に投薬して治療することができる。
一部の実施例において、前記siRNAsを、1種類又は複種類の炎症性因子、免疫性因子、又は炎症過程を調整できる試薬と組み合せて使用することができる(例えば、小分子、モノクローナル抗体、RNAi試薬等)。典型的な試薬は、例えばCOX−2阻害剤(例えばセレコキシブ)、TNF−αアンタゴニスト(例えばエタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ)、JAK3 阻害剤、インターロイキン阻害剤を含む。一部の実施例において、前記siRNAsは、例えば痛み止め薬又は鎮痛剤(例えばジピロン)のような1種類又は複種類の補助治療剤と組み合わせて使用することができ、又は他の遺伝子を標的とするsiRNAと組み合せて使用することもできる。上述した薬物組成物を、例えば手術(例えば軟骨移植等)、免疫抑制、放射線治療、理学療法等の他の治療と組み合せて使用することができる。
VII キット
他の部分は、上述したいずれかのsiRNAs及び/又は方法を使用したキットを含む。一部の実施例において、キットは、1種類又は複種類のsiRNA(s)と、例えば細胞を有効量のsiRNA(s)に接触させることでADAMTS−5又はADAM17の発現を抑制することを説明したり又は被験者に治療有効量のsiRNA(s)を適用してADAMTS−5又はADAM17に関連する疾患を治療又は予防することを説明したその使用説明を含む。一部の実施例において、読み取り可能な媒体に記録されていると説明した。一部の実施例において、炎症が発生した箇所に前記siRNAs、siRNAをコーディングする核酸、又は薬物組成物を適用可能であると説明した。
キットはさらに、細胞をsiRNAに接触させる方法又は被験者にsiRNAを適用する方法(例えば、関節又は関節内注射に用いられる装置等の注射機器)、又はADAMTS−5又はADAM17の抑制を検出する方法(例えば、ADAMTS−5又はADAM17 mRNAの抑制を検出する方法)を含むことができる。前記ADAMTS−5又はADAM17の抑制を検出する方法は、被験者から例えば血液又は関節滑液サンプルのようなサンプルを取得する方法を含むことができる。一部の実施例において、関節滑液サンプルは、例えば手、足、手首、手肘又は足首から取得する。キットは、被験者にsiRNA(s)を適用する方法又は治療又は予防有効量を確定する方法を更に含むこともできる。
特別に定義されていない限り、ここで使用する全ての科学技術用語は当業者が通称に理解している意味と同じ意味を持つ。上述した方法又は材料に類似又は同一の方法又は材料を本発明に応用することが可能であるが、以下でも適切な方法や材料を提供する。全ての出版物、特許出願、特許、他の記載された引用文献を参照により完全に組み込む。衝突する場合、定義を含む本発明の説明を基準とする。そして、材料、方法、例は説明用で、本発明を限定するものではない。
特別な説明がないと、実施例中の材料と試薬はいずれも商業ルートで購入することができる。実施例で使用する材料と試薬は以下のようである:変形性関節症hFLS細胞(広東省中国医学病院により提供)、293T細胞(ATCC製品、製品リスト番号:CRL−3216)、MCF−7細胞(ATCC製品、製品リスト番号:HTB−22)、AssayMaxTM Human IL−1β ELISA キット(AssayPro製品、製品リスト番号:EI2200−1)、pGCsi−H1/Neo発現ベクター(Genscript、文献「季国忠、張発明、黄曙等、Smad4/DPC4遺伝子小ヘアピンRNAプラスミド発現ベクターの構築及び鑑定、医学研究生学報、2006、19(11):973−977」にも開示された)、Lipofectamine(登録商標)2000キット(Invitrogen)、雄性SDラット(220±20g)(広東省医学実験動物センターから入手した)。
特別な説明がないと、以下の実施例中のsiRNAsはいずれも二重鎖siRNA分子であって、ラット注射液の溶剤はいずれもPBSであって、hFLS細胞は変形性関節症hFLS細胞である。
実施例1 ADAMTS−5の発現を抑制するsiRNAsの選別
siRNA設計
生物情報学技術、例えばBLAST(登録商標)を利用して、ADAMTS−5を標的とするsiRNAsを設計した。ヒトソースADAMTS−5のmRNA配列(登録番号:NM_007038.3、SEQ ID NO: 191)、ラットソースADAMTS−5の mRNA配列(登録番号:NM_198761.1、SEQ ID NO: 192)、マウスソースADAMTS−5の mRNA配列(登録番号:No. NM_011782、SEQ ID NO: 193)を使用する。選択したいずれのsiRNAが標的ADAMTS−5に対して特異性を有することを確保するため、即ち、選択した配列がターゲットの遺伝子のみを標的とし、他の遺伝子を標的とすることがないように、BLAST(登録商標)で配列のホモロジー解析を行って、潜在的な標的mRNAと一部配列ホモロジーを有する多くの遺伝子中の配列差異が最も大きい配列のみを選択する。選別した8個のADAMTS−5の発現を抑制できるsiRNAsは、siRNA−RB−01、siRNA−RB−02、siRNA−RB−03、siRNA−RB−04、siRNA−RB−05、siRNA−RB−06、siRNA−RB−07、siRNA−RB−08である。8個の配列の全てが同時にヒト、ラット、マウスの三つの物の中のADAMTS−5を標的とすることができる。
siRNA合成
5'−O−(4、4'−ジメトキシトリチル)−2'−O−t−ブチルジメチルシリル−3'−O−(2−シアノエチル−N、N−ジイソプロピル)RNA、2'−デオキシ−DNAフォスフォラミダイト、2'−O−メチルフォスフォラミダイト、6−N−ベンゾイルアデノシンのモノマー(A−Bz)、4−N−アセチルシチジン(C−Ac)、2−N−イソブチリル−グアノシン(G−iBu)、ウリジン(U)はProligoから購入した。2’−デオキシ−2’−フルオロフォスフォラミダイト、5−メチル−2’−デオキシシチジン、Cy5蛍光修飾のフォスフォラミダイトはThermo Fisherから購入した。2’−O−TBDMS−イノシン、コレステロールフォスフォラミダイト、ベンゾジチオール−3−オン−1,1−二酸化物(CAS番号:66304−01−6)(Beaucage試薬)、チオール基修飾のC6 S−S及びCPG固体支持体はChemgenesから購入した。環状ペプチドシクロ[Arg−Gly−Asp−D−Phe−Lys(PEG−MAL)](cRGD)はInternational Incから購入した。ロックド核酸、開環核酸及びガラクトース修飾のフォスフォラミダイトは、中国科学院広州生物医薬と健康研究院により提供した。他の溶剤又は試薬はAladdin Reagentsから購入した。
全ての合成はABI 394 DNAシンセサイザーで行われ、基準プロセスと延長した2〜10minのカップリング工程を使用する。それぞれのカップリング循環は、10〜40倍のフォスフォラミダイトと150〜300倍の5−エチルチオ−1H−テトラゾールを使用する。合成規模は1μmolである。trityによりモニタリングしたカップリング平均収量は95〜98%であった。CPG結合したオリゴヌクレオチドを合成カラムから5mlガラススクリューキャップボトルに転移した。2〜3mlエタノールアミンを添加し、55℃で12〜16時間加熱する。−20℃まで冷却した後、CPGビーズからエタノールアミンを除去し、50:50のアルコール:水でCPGビーズを洗浄した。洗浄して得たオリゴヌクレオチドを含有する上清液を複数回乾燥した。2’−O−TBDMS保護基を除去するため、200μl〜1mlの1M TBAF/THFを投入して、室温で12〜24hr孵化した。溶液に2〜10mlの0.1M TEABを添加した後、脱塩カラムにロードした。UV−検出器でオリゴヌクレオチド含有量を測定し、Oligo HTCS LC−MSシステム(Novatia)でオリゴヌクレオチドの品質を検出した。cRGDペプタイド siRNAの共役物調製方法は、文献Liu、et al. 「Tumor−targeted in vivo gene silencing via systemic delivery of cRGD−conjugated siRNA、」Nucleic Acids Res.、42(18):11805−17. (2014)を参照することができる。二重鎖を95℃で3minアニーリングし、徐々に20℃まで冷却し、体外に応用されるsiRNAを得た。さらに、標準プロセスに従って脱塩や濾過処理を経て、体内に応用することができる。
細胞トランスフェクション
実験を、標的無し(No target)対照組(NTC)と、陰性対照組(NC)と、siRNA−RB−01〜siRNA−RB−08の8つの実験組との10組に分けて行った。
実験組:hFLS細胞を0.25%のトリプシンで消化し、濃度が104個の細胞/mlの細胞懸濁液を調製し、それを12ウェル培養プレートに接種し、各ウェルは500μlである。hFLS細胞が対数増殖期まで成長した(即ち、成長が80%に達してシートに融合した)時、Lipofectamine(登録商標)2000キットの説明書に従って、siRNAを50nMの最終濃度でhFLS細胞にトランスフェクションした。
NTC組:実験組のsiRNAをランダムな非特異siRNAに入れ替えし、他の工程は変更ない。
センス鎖:5’−AGAUCGUUAGUUAGGUUGCdTdT−3’(SEQ ID NO: 175);
アンチセンス鎖:5’−GCAACCUAACUAACGAUCUdTdT−3’(SEQ ID NO: 176)。
NC組:siRNAを添加しなく、その他の工程は実験組と同じである。
リアルタイム定量PCR(qPCR)
24hトランスフェクションした後、各組のhFLS細胞を収集し、1000rpmで5分遠心処理し、上清液を除去した。Trizol(登録商標)でRNAを抽出した後、各組のRNAをcDNAに逆転写した。cDNAをモデルとし、以下のFとRをプライマーとし、β−actinを参照遺伝子としてqPCRを行った。
F: 5’−CTGCTCCCAGAAACAACG−3’(SEQ ID NO: 177)
R: 5’−ATTCAGTGCCATCGGTCA−3’(SEQ ID NO: 178)
図1は、8個のsiRNAsがADAMTS−5の発現を抑制した結果である。図1に示すように、siRNA−RB−04のhFLS細胞におけるADAMTS−5 mRNA発現に対する抑制効果が最も優れていて、90%の遺伝子発現を抑制した。
siRNA−RB−04センス配列とアンチセンス配列は以下のようである:siRNA−RB−04センス鎖:5'−GGAUUUAUGUGGGCAUCAU−3'(SEQ ID NO: 1);siRNA−RB−04アンチセンス鎖:5'−AUGAUGCCCACAUAAAUCC−3'(SEQ ID NO: 2)。
Westernブロット
siRNA−RB−04実験組、NTC組、NC組のhFLS細胞を取ってWesternブロットを行った。細胞培養液を除去し、PBSで細胞を2回洗浄し、PBSを捨て、その後、適切な量の予備冷却された2×溶解緩衝液(Lysis Buffer)を加入し、セルスクレーパーで細胞を掻き取って氷上で30min孵化し、そして、サンプルを4℃に放置し、12000g、15min遠心処理して、上清液を取って、Bradford法でタンパク質濃度を測定し、最後に、サンプルタンパク質の最終濃度を2μg/μlに調整して、−80℃に保存した。それぞれ12μgの総タンパク質量サンプルを取って、同体積の2Xローディング緩衝液(loading buffer)を加入し、両方を充分且つ均一に混合した後、沸騰水浴で10分孵化した後、4℃に放置する。10%SDS−PAGE分離ゲルと5%濃縮ゲルを利用して、タンパク質を分離させた。電気泳動を終了した後、4℃、400mA定電流条件で、2時間電力トレーディングし、タンパク質をPVDF膜に転移した。
その結果は図2に示すとおりである。「Control」はNC組で、「no target」はNTC組で、「siRNA」はsiRNA−RB−04組である。図2に示すように、siRNA−RB−04はADAMTS−5のタンパク質の発現を有効に低下させ、後述においてsiRNA−RB−04を選択して分析する。
IC50検出
濃度がそれぞれ0.01nM、0.5nM、2.5nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nMであるsiRNA−RB−04をトランスフェクションしたhFLS細胞にIC50検出を行った(対照組に比べ、ADAMTS−5 mRNA発現を50%抑制したsiRNAの濃度)。IC50値をソフトウェアOrigin 8.0で計算した結果、siRNA−RB−04のIC50は12.6nMで、ADAMTS−5 mRNAの発現レベルはsiRNAの使用量に依存し、上記濃度において、発現レベルはそれぞれ16%、19%、36%、39%、41%、63%、73%、74%低下された。
実施例2 siRNAsによる炎症因子の発現の抑制
実験を以下の組に分けて行った:
hFLS−siRNA−RB−04実験組:初代培養したhFLS細胞を6ウェルプレートに接種し、50%まで成長してシート状に融合された時、Lipofectamine(登録商標)2000キット説明書に従って、siRNA−RB−04を50nMの最終濃度で細胞にトランスフェクションした。
293T−siRNA−RB−04実験組:初代培養した293T細胞を6ウェルプレートに接種し、50%まで成長してシート状に融合された時、Lipofectamine(登録商標)2000キット説明書に従って、siRNA−RB−04を50nMの最終濃度で細胞にトランスフェクションした。
hFLS−No target(NTC)組:hFLS−siRNA−RB−04実験組のsiRNAを以下のランダムな非特異siRNAに入れ替えし、その他の工程はhFLS−siRNA−RB−04実験組と同じである。
センス鎖:5’−AGAUCGUUAGUUAGGUUGCdTdT−3’(SEQ ID NO: 175)
アンチセンス鎖:5’−GCAACCUAACUAACGAUCUdTdT−3’(SEQ ID NO: 176)
293T−No target(NTC)組:293T−siRNA−RB−04実験組のsiRNAを以下のランダムな非特異siRNAに入れ替えし、その他の工程は293T−siRNA−RB−04実験組と同じである。
センス鎖:5’−AGAUCGUUAGUUAGGUUGCdTdT−3’(SEQ ID NO: 175)
アンチセンス鎖:5’−GCAACCUAACUAACGAUCUdTdT−3’(SEQ ID NO: 176)
hFLS−陰性(NC)対照組:siRNAのトランスフェクションがなく、その他の工程はhFLS−siRNA−RB−04実験組と同じである。
293T−陰性対照組(NC):siRNAのトランスフェクションがなく、その他の工程は293T−siRNA−RB−04実験組と同じである。
24時間トランスフェクションした後、無血清培地に換えて、各組の細胞を24時間飢餓培養した。各組の細胞に最終濃度が10ng/mlであるIL−1αを加入し、24時間刺激した後、各組の細胞のRNAを抽出して、以下のプライマーで、β−actinを参照遺伝子として、TNF、COX−2、IL−1β遺伝子発現レベルをqPCR検出した。
TNF−F:5’−CGAGTGACAAGCCTGTAGCC−3’(SEQ ID NO: 179)
TNF−R:5’−TGAAGAGGACCTGGGAGTAGAT−3’(SEQ ID NO: 180)
Cox2−F:5’−CAGGGTTGCTGGTGGTAGGA−3’(SEQ ID NO: 181)
Cox2−R:5’−GCATAAAGCGTTTGCGGTAC−3’(SEQ ID NO: 182)
IL−Iβ −F:5’−ACGAATCTCCGACCACCA−3’(SEQ ID NO: 183)
IL−Iβ −R:5’−GGACCAGACATCACCAAGC−3’(SEQ ID NO: 184)
図3Aに示すように、siRNA−RB−04はhFLSと293T細胞中のTNF、COX−2、IL−1β mRNAの発現を有効に低下させた。特に、hFLS細胞中のIL−1β発現レベルを89%低下させた。
細胞の上清液を収集して、AssayMaxTM Human IL−1β ELISAキットで、IL−1βの分泌を検出した。ここで、NTC組はさらに以下の各組を設けた:
hFLS−No target(NTC+)対照組:IL−1α処理したhFLS−NTC組。
hFLS−No target(NTC−)対照組:IL−1α処理していないhFLS−NTC組。
293T−No target(NTC+)対照組:IL−1α処理した293T−NTC組。
293T−No target(NTC)対照組:IL−1α処理していないの293T−NTC組。
図3Bに示すように、siRNA−RB−04はIL−1βタンパク質の分泌を抑制し、その分泌レベルは刺激のないNTC組より低い。
実施例3 siRNA−RB−04と一定の配列同一性のあるsiRNAsによるADAMTS−5の抑制
第1組の実験に使用されたsiRNAsは、siRNA−RB−04のアンチセンス鎖5’−AUGAUGCCCACAUAAAUCC−3’(SEQ ID NO: 2)を有し、センス鎖はsiRNA−RB−04のセンス鎖5’−GGAUUUAUGUGGGCAUCAU−3’(SEQ ID NO: 1)又はそれと同一性のある配列を含み、表1に示すとおりである。
第2組の実験に使用されたsiRNAsは、siRNA−RB−04のセンス鎖5’−GGAUUUAUGUGGGCAUCAU−3’(SEQ ID NO: 1)を有し、アンチセンス鎖はsiRNA−RB−04のアンチセンス鎖5’−AUGAUGCCCACAUAAAUCC−3’(SEQ ID NO: 2)、又はそれと同一性のある配列を含み、表2に示すとおりである。
第3組の実験に使用されたsiRNAsは、siRNA−RB−04のセンス鎖5’−GGAUUUAUGUGGGCAUCAU−3’(SEQ ID NO: 1)又はそれと一定の同一性のある配列を含み、アンチセンス鎖はsiRNA−RB−04のアンチセンス鎖5’−AUGAUGCCCACAUAAAUCC−3’(SEQ ID NO: 2)又はそれと一定の同一性のある配列を含み、表3に示すとおりである。
表1〜3中のsiRNAsをhFLS細胞にトランスフェクションし、実施例1の方法でADAMTS−5遺伝子のmRNA発現レベルを検出した。以上の3組の実験で、実施例1の方法でNTC組とNC組を設定した。
表1〜3に示すように、3組で設計したsiRNAはいずれもADAMTS−5 mRNA発現を低下させることができる。最も有効であるsiRNAsは、(1)SEQ ID NO:2に示すアンチセンス鎖と、SEQ ID NO:1と少なくとも60%の同一性のあるセンス鎖とを含有するsiRNAs、(2)SEQ ID NO:1に示すセンス鎖と、SEQ ID NO:2と少なくとも60%の同一性のあるアンチセンス鎖とを含有するsiRNAs、(3)SEQ ID NO:1と少なくとも60%の同一性のあるセンス鎖と、SEQ ID NO:2と少なくとも60%の同一性のあるアンチセンス鎖とを含有するsiRNAsである。特に、3’端オーバーハングした21−ntを有するsiRNA−RB−13は、ADAMTS−5の発現レベルを91%低下させることができる。
実施例4 siRNAをコーディングするプラスミドによるADAMTS−5のサイレンシング
siRNA−RB−04配列をコーディングするDNAオリゴヌクレオチドを設計し、表4に示すとおりである。
下線部は塩基相互補完領域である。SEQ ID NO:5中の第10〜28位(太字)のヌクレオチドによりsiRNA−RB−04のセンス鎖(SEQ ID NO:1)をコーディングする。SEQ ID NO:6中の第36〜54位のヌクレオチド(太字)によりsiRNA−RB−04のアンチセンス鎖(SEQ ID NO:2)をコーディングする。
表4中のDNA鎖にアニーリング処理を行った後二重鎖を形成し、siRNA発現ベクターpGCsi−H1/NeoのBamHIとHindIIIの酵素切断部位間にクローンして、ベクター1である組換されたsiRNA発現プラスミドを得た。
実験は以下の組に分けて行われた:
実験組:トランスフェクションする前日、hFLS細胞を6ウェルプレートに接種した。Lipofectamine(登録商標)2000説明書に従って、50nM最終濃度のベクター1をhFLS細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション後に48h経過した後、細胞を収集した。実施例1の方法でADAMTS−5 mRNAの発現レベルを検出した。
標的無し対照組(NTC):以下のランダムな非特異siRNAをコーディングするDNAをpGCsi−H1/Neoにクローンし、他の工程は実験組と同じである。
センス鎖:5’−AGAUCGUUAGUUAGGUUGCdTdT−3’(SEQ ID NO: 175)
アンチセンス鎖:5’−GCAACCUAACUAACGAUCUdTdT−3’(SEQ ID NO: 176)
陰性対照組(NC):干渉断片を追加していない原始pGCsi−H1/Neoプラスミドを使用し、他の工程は実験組と同じである。表5に結果を示す。
表5に示すように、siRNA−RB−04をコーディングするDNAをトランスフェクションしても、ADAMTS−5を有効にサイレンシングした。
実施例5 化学修飾のsiRNAsによるADAMTS−5のサイレンシング
siRNA−RB−13とsiRNA−RB−04に異なる種類又は異なる組み合せの化学修飾(例えば表6と表7)を行って、siRNAの安定性や干渉効果を向上させた。
ホスホロチオエート(P−S結合)修飾は図4に示すとおりである。LNA修飾は、リボース又はデオキシリボースの2′−O位と4′−C位とに環状構造を形成することである。使用したポリペプチドはRGD((N’−Arg−Gly−Asp−C’、Sigma)である。Aはいずれかのヌクレオチドを表す。
表7に示す化学修飾siRNAはhFLS細胞にトランスフェクションされ、実施例1の方法でADAMTS−5 mRNAレベルを検出した。コレステロール、ポリペプチド、ガラクトース修飾のsiRNAsを使用する時、トランスフェクション試薬を加入しない。
表7に示すように、適切に化学修飾された後のsiRNA−RB−13とsiRNA−RB−04は、ADAMTS−5を有効にサイレンシングした。
実施例6 化学修飾によるsiRNAs血清安定性
実施例5の化学修飾siRNAsに血清安定性の検出を行って、その工程は、各siRNAs分子をRNAase無し水で5μMまで希釈した後、同体積の新鮮なラット血清を加入し、混合物を37℃で3分孵化し、その後、siRNAsの完全性を電気泳動検出した。
図5に示すように、ラット血清と30分孵化した後、未修飾のsiRNA−RB−13は明らかに分解され、化学修飾のsiRNA−RB−41、siRNA−RB−40、siRNA−RB−35は分解の傾向が見られなかった。
実施例7 siRNAsで関節炎モデルラットを処理した場合の有効性
関節炎モデルラットを構築し、ウシII型コラーゲンを誘導剤として使用して変形性関節症の症状を含む関節炎の形成を促進した。ウシII型コラーゲン(4mg/mL、Sigma)を雄性SDラット(220±20g)の関節腔に注射し、100μL/足、各動物に200μL注射した。
ウシII型コラーゲン3dを注射した後、関節炎ラットを8匹ずつランダムに、100μL PBSを注射する対照組であるPBS組と、50μL/足で10nmolのsiRNA溶液(100μL)を注射するsiRNA−RB−40、siRNA−RB−35、siRNA−RB−41実験組の4組に分けた。各組はいずれも毎週に2回投薬し(対照又はsiRNA)、連続して2週間投薬した。
各組から4匹のラットを取って、第4回の投薬が終了した後の次の日に動物を殺して、膝関節を取って組織保存液に固定し、標準方法であるヘマトキシリン‐エンジン(HE)とトルイジンブルー(TB)で染色し、顕微鏡で組織構造の変化を分析した。
結果は図6に示し、ここで、AとBはPBS組モデル組のHEとTB染色(20×)で、CはDはPBS組モデル組のHEとTB染色(10×)であって、EはFは投薬組siRNA−RB−35のHEとTB染色(20×)で、GとHは投薬組siRNA−RB−35のHEとTB染色(10×)であって、IとJはsiRNA−RB−40投薬組のHEとTB染色(20×)で、KとLはsiRNA−RB−40投薬組のHEとTB染色(10×)であって、MとNはsiRNA−RB−41投薬組のHEとTB染色(20×)で、OとPはsiRNA−RB−41投薬組のHEとTB染色(10×)である。
図6に示すように、2週間投薬した後、PBSモデル組に、半月板軟骨細胞骨化、関節面の軟骨層の明らかな骨化変性、細胞配列混乱、コラーゲンの厳重流出、関節腔の指状の線維性組織突起、関節嚢結合組織過形成等の炎症性症状が現れた。PBS組に比べ、siRNA−RB−40投薬組の関節面は滑らかで、関節嚢における局部線維性肥厚が少量だけで、軟骨層の細胞はすっきり配列され、形状が完全で、明らかなコラーゲン流出は見られなかった。siRNA−RB−35投薬組は、一部でコラーゲンが欠失し、関節の表面に一部の線維化があったが、半月板、軟骨層構造は完全であった。siRNA−RB−41投薬組は、関節の表面が滑らかで、軟骨層構造が完全で、半月板と軟骨局部に石灰変性があったが、線維化構造を見られなかった。
結果、siRNA−RB−40、siRNA− RB−35、siRNA− RB−41は変形性関節症ラットの病理過程を抑制し、関節表面線維化、軟骨浸食、滑膜炎等を含む多種類の症状を緩和した。前記siRNAsを潜在的な関節炎を治療する治療剤とすることができる。
実施例8 siRNAsがラット関節免疫性因子を抑制する有効性
実施例7の方法でPBS組、siRNA−RB−35組、siRNA−RB−40組、siRNA−RB−41組を構築した。ここで、siRNA−RB−35組はsiRNAをキトサンナノ粒子でラップしてから注射し、その他の工程は同じである。
第4回の投薬処理後の次の日に動物を殺して、膝関節を取って液体窒素で冷凍した。RNeasy(登録商標) Mini Kit(QIAGEN)で膝関節RNAを抽出して逆転写した。それぞれ実施例1と9の方法でADAMTS−5とADAM17 mRNAの発現レベルを測定した。実施例2の方法でTNF、COX−2、IL−1βの発現レベルを検出した。
結果は図7に示し、「Normal(健康組)」は、健康な雄性SDラット組を指し、「モデル組」はPBS組である。図7に示すように、健康組に比べ、PBS組中のADAMTS−5、ADAM17、TNF、COX−2、IL−1βの発現は増加した。しかし、siRNA−RB−40、siRNA−RB−35、siRNA−RB−41は、このような免疫性因子の発現レベルを顕著にダウンレギュレーションし、軟骨と滑膜を保護する効果があった。これに基づいて、前記siRNAsは、炎症に関連する疾患を有効に予防及び/又は治療できることが分かる。
実施例9 ADAM17の発現を抑制するsiRNAsの選別
siRNAの設計
生物情報学技術を利用して、例えばBLAST(登録商標)に基づいて、ADAM17を標的とするsiRNAsを設計した。設計中にヒトソースADAM17のmRNA配列(登録番号:NM_003183、SEQ ID NO: 194))、ラットソースADAM17の mRNA配列(登録番号:NM_020306、SEQ ID NO: 195)、マウスソースADAM17の mRNA配列(登録番号:NM_001277266、SEQ ID NO: 196;NM_001291871、SEQ ID NO: 197;NM_009615、SEQ ID NO: 198)を使用した。ADAM17を標的とするsiRNAsの特異性は実施例1の方法で確認した。選別した8個のADAM17の発現を抑制できるsiRNAsは、siRNA−AD−01、siRNA−AD−02、siRNA−AD−03、siRNA−AD−04、siRNA−AD−05、s iRNA−AD−06、siRNA−AD−07、siRNA−AD−08である。
siRNA合成
ADAM17を標的とするsiRNAsの合成は実施例1と同じである。
細胞のトランスフェクション
実験を、標的無し対照組(NTC)と、陰性対照組(NC)と、siRNA−AD−01〜siRNA−AD−08の八つの実験組との10組に分けて行った。
実験組:hFLS細胞を0.25%のトリプシンで消化し、濃度が104個/mlの細胞懸濁液を調製し、それを12ウェル培養プレートに接種し、各ウェルは500μlである。hFLS細胞が対数増殖期まで成長した(即ち、成長が80%に達してシートに融合した)時、Lipofectamine(登録商標)2000キットの説明書に従って、それぞれの対応するsiRNAsを50nMの最終濃度でhFLS細胞にトランスフェクションした。
NTC組:実験組のsiRNAを以下のランダムな非特異siRNAに入れ替えし、他の工程は変更ない。
センス鎖:5’−AGUAUGCCACAUAAGCAUCdTdT−3’(SEQ ID NO: 185);
アンチセンス鎖:5’−GAUGCUUAUGUGGCAUACUdTdT−3’(SEQ ID NO: 186)
NC組:siRNAのトランスフェクションがなく、その他の工程は実験組と同じである。
リアルタイム定量PCR(qPCR)
24hトランスフェクションした後、各組のhFLS細胞を収集し、1000rpmで5分遠心処理し、上清液を除去した。Trizol(登録商標)法で各組のRNAを抽出した後、RNAをcDNAに逆転写した。cDNAをモデルとし、以下のADAM17−F1とADAM17−R1をプライマーとし、β−actinを参照遺伝子としてqPCR検出を行った。
ADAM17−F1:5’−GGACCAGGGAGGGAAATA−3’(SEQ ID NO: 187)
ADAM17−R1:3’−TTGCTGTGGACGACGTTG−5’(SEQ ID NO: 188)
図8は、8個のsiRNAsがADAM17の発現を抑制した結果である。図8に示すように、siRNA−AD−08のhFLS細胞におけるADAM17 mRNA発現に対する抑制効果が最も優れていて、86%の遺伝子発現を低下した。
siRNA−AD−08センス配列とアンチセンス配列は、
siRNA−AD−08 センス鎖:5’−GCAUCAUGUAUCUGAACAA−3’ (SEQ ID NO: 7);
siRNA−AD−08アンチセンス鎖:5’−UUGUUCAGAUACAUGAUGC−3’ (SEQ ID NO: 8)である。
Westernブロット
siRNA−AD−08実験組、NTC組、NC組のhFLS細胞を取ってWesternブロットを行った。細胞培養液を除去し、PBSで細胞を2回洗浄し、PBSを捨て、その後、適切な量の予備冷却された2×溶解緩衝液を加入した。その後、セルスクレーパーで細胞を掻き取って氷上で30min孵化し、そして、4℃に放置し、12000g、15min遠心処理して、上清液を取って、Bradford法でタンパク質濃度を測定し、最後に、サンプルタンパク質の最終濃度を2μg/μlに調整して、−80℃に保存した。それぞれ12μgの総タンパク質量サンプルを取って、同体積の2Xローディング緩衝液を加入した。両方を充分且つ均一に混合した後、沸騰したお湯で10分煮て、4℃に放置する。10%SDS−PAGE分離ゲルと5%濃縮ゲルを利用して、タンパク質を電気泳動分離させた。電気泳動を終了した後、4℃、400mA定電流条件で、2時間電力トレーディングし、タンパク質をPVDF膜に転移した。
その結果は図9に示すとおりである。「対照」はNC組で、「標的無し」はNTC組で、「siRNA」はsiRNA−AD−08組である。図9に示すように、siRNA−AD−08はADAM17のタンパク質の発現を有効に低下させ、後述においてsiRNA−AD−08を選択して分析する。
IC50検出
濃度がそれぞれ0.01nM、0.1nM、0.5nM、2.5nM、25nM、50nM、100nMであるsiRNA−AD−08をトランスフェクションしたhFLS細胞にIC50検出を行った(対照組に比べ、ADAM17 mRNAを50%抑制したsiRNAの濃度)。IC50値をソフトウェアOrigin 8.0で計算した結果、siRNA−AD−08のIC50は0.25nMで、ADAM17 mRNAの発現レベルがそれぞれ26%、39%、77%、84%、87%、89%、91%低下された。
実施例10 siRNAsによる炎症因子の発現の抑制
実験を以下の組に分けて行った:
hFLS−siRNA−AD−08実験組:初代培養したhFLS細胞を6ウェルプレートに接種し、50%まで成長してシート状に融合された時、Lipofectamine(登録商標)2000キット説明書に従って、siRNA−AD−08を50nMの最終濃度で細胞にトランスフェクションした。
MCF7−siRNA−AD−08実験組:初代培養したMCF7細胞を6ウェルプレートに接種し、50%まで成長してシート状に融合された時、Lipofectamine(登録商標)2000キット説明書に従って、siRNA−AD−08を50nMの最終濃度で細胞にトランスフェクションした。
hFLS−標的無し対照組(NTC):hFLS−siRNA−AD−08実験組のsiRNAを以下のランダムな非特異siRNAに入れ替えし、その他の工程はhFLS−siRNA−AD−08実験組と同じである。
センス鎖:5’−AGUAUGCCACAUAAGCAUCdTdT−3’(SEQ ID NO: 185)
アンチセンス鎖:5’−GAUGCUUAUGUGGCAUACUdTdT−3’(SEQ ID NO: 186)
MCF7−標的無し対照組(NTC):以下のランダムな非特異siRNAでMCF7細胞をトランスフェクションし、その他の工程はhFLS−siRNA−AD−08組と同じである。
センス鎖:5’−AGUAUGCCACAUAAGCAUCdTdT−3’(SEQ ID NO: 185)
アンチセンス鎖:5’−GAUGCUUAUGUGGCAUACUdTdT−3’(SEQ ID NO: 186)
hFLS−陰性(NC)対照組:siRNAのトランスフェクションがなく、その他の工程はhFLS−siRNA−AD−08組と同じである。
MCF7−陰性対照組(NC):siRNAがなく、その他の工程はMCF7−siRNA−AD−08組と同じである。
24時間トランスフェクションした後、無血清培地に換えて、各組の細胞を24時間飢餓培養した。各組の細胞に最終濃度が10ng/mlであるようにIL−1αを加入し、24時間刺激した後、各組の細胞のRNAを抽出して、実施例2のプライマーで、β−actinを参照遺伝子として、TNF、COX−2、IL−1βの発現レベルを検出した。
図10Aに示すように、siRNA−AD−08は、MCF−7とhFLS細胞においていずれもCOX−2とIL−1βのmRNA発現を有効に低下させる。特に、hFLS中のIL−1β発現レベルは88%低下された。MCF−7におけるsiRNA−AD−08をトランスフェクションした後のTNFレベルはNTC組より高く、これはTNFの細胞機能の複雑性によるものである可能性がある。
細胞の上清液を収集して、AssayMaxTM Human IL−1β ELISAキットで、IL−1βの分泌を検出した。ここで、NTC組はさらに以下の各組を設けた:
hFLS−標的無し(NTC+)対照組:IL−1α処理したhFLS−NTC組。
hFLS−標的無し(NTC−)対照組:IL−1α処理していないhFLS−NTC組。
MCF7−標的無し(NTC+)対照組:IL−1α処理したMCF7−NTC組。
MCF7−標的無し(NTC−)対照組:IL−1α処理していないMCF7−NTC組。
図10Bに示すように、siRNA−AD−08はIL−1βタンパク質の分泌を抑制し、その分泌レベルは刺激のないNTC組より低い。
実施例11 siRNA−AD−08と一定の配列同一性のあるsiRNAsによるADAM17の抑制
第1組の実験に使用されたsiRNAsは、siRNA−AD−08のアンチセンス鎖5’−UUGUUCAGAUACAUGAUGC−3’(SEQ ID NO: 8)を有し、センス鎖はsiRNA−AD−08のセンス鎖5’−GCAUCAUGUAUCUGAACAA−3’(SEQ ID NO: 7)又はそれと同一性のある配列を含み、表8に示すとおりである。
第2組の実験に使用されたsiRNAsはsiRNA−AD−08のセンス鎖5’−GCAUCAUGUAUCUGAACAA−3’(SEQ ID NO: 7)を有し、アンチセンス鎖はsiRNA−AD−08のアンチセンス鎖5’−UUGUUCAGAUACAUGAUGC−3’(SEQ ID NO: 8)、又はそれと同一性のある配列を含み、表9に示すとおりである。
第3組の実験に使用されたsiRNAsはsiRNA−AD−08のセンス鎖5’−GCAUCAUGUAUCUGAACAA−3’(SEQ ID NO: 7)又はそれと一定の同一性のある配列を含み、アンチセンス鎖はsiRNA−AD−08のアンチセンス鎖5’−UUGUUCAGAUACAUGAUGC−3’(SEQ ID NO: 8)又はそれと一定の同一性の配列を含み、表10に示すとおりである。
表8〜10中のsiRNAsをそれぞれhFLS細胞トランスフェクションし、実施例8の方法でADAM17遺伝子のmRNA発現レベルを検出した。以上の3組の実験は実施例8の方法でNTC組とNC組を設定した。
表8〜10に示すように、3組のsiRNAsはいずれもADAM17 mRNAの発現を低下させることができる。最も有効なsiRNAsは、(1)SEQ ID NO:8に示すアンチセンス鎖と、SEQ ID NO:7と少なくとも60%の同一性を有するセンス鎖とを含むsiRNAs、(2)SEQ ID NO:7に示すセンス鎖と、SEQ ID NO:8と少なくとも60%の同一性を有するアンチセンス鎖とを含むsiRNAs、(3)SEQ ID NO:7と少なくとも60%の同一性を有するセンス鎖と、SEQ ID NO:8と少なくとも60%の同一性を有するアンチセンス鎖とを含むsiRNAsと、を含む。特に、3’端オーバーハングした21−ntを有するsiRNA−AD−13は、ADAM17の発現レベルを88%低下させることができる。
実施例12 siRNAをコーディングするプラスミドによるADAM17のサイレンシング
siRNA−AD−08配列をコーディングするDNAオリゴヌクレオチドを設計し、表11に示すとおりである。
下線部は塩基相互補完領域である。SEQ ID NO:11中の第38〜56位(太字)のヌクレオチドによりsiRNA−AD−08のアンチセンス鎖(SEQ ID NO:8 )をコーディングする。SEQ ID NO:12中の第8〜26位(太字)のヌクレオチドによりsiRNA−AD−08のセンス鎖(SEQ ID NO:7)をコーディングする。
表12中のDNA鎖にアニーリング処理を行った後二重鎖を形成し、siRNA発現ベクターpGCsi−H1/NeoのBamHIとHindIIIの酵素切断部位間にクローンして、ベクター2である組換されたsiRNA発現プラスミドを得た。
実験は以下の組に分けて行われた:
実験組:トランスフェクションする前日、hFLS細胞を6ウェルプレートに接種した。Lipofectamine(登録商標) 2000説明書に従って、50nM最終濃度のベクター2をhFLS細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション後に48h経過した後、細胞を収集した。実施例9の方法でADAM17 mRNAの発現レベルを検出した。
標的無し対照組(NTC):以下のランダムな非特異siRNAをコーディングするDNAをpGCsi−H1/Neoにクローンし、他の工程は実験組と同じである。
センス鎖:5’−AGUAUGCCACAUAAGCAUCdTdT−3’(SEQ ID NO: 185)
アンチセンス鎖:5’−GAUGCUUAUGUGGCAUACUdTdT−3’(SEQ ID NO: 186)
陰性対照組(NC):干渉断片を追加していない原始pGCsi−H1/Neoプラスミド、他の工程は実験組と同じである。表12に結果を示す。
表12に示すように、siRNA−AD−08をコーディングするDNAをトランスフェクションしても、ADAM17を有効にサイレンシングした。
実施例13 化学修飾のsiRNAsによるADAM17のサイレンシング
siRNA−RB−13に異なる種類又は異なる組み合せの化学修飾(例えば表6と表14)を行って、siRNAの安定性や干渉効果を向上させた。
表13に示す化学修飾siRNAはhFLS細胞にトランスフェクションされ、実施例9の方法でADAM17 mRNAレベルを検出した。コレステロール、ポリペプチド又はガラクトース修飾のsiRNAsを使用する時、トランスフェクション試薬を加入しない。
表13に示すよう、適切に化学修飾された後のsiRNA−AD−13とsiRNA−AD−08は、ADAM17を有効にサイレンシングした。
実施例14 化学修飾によるsiRNAsの血清安定性
実施例13の化学修飾siRNAsに血清安定性の検出を行って、その工程は、各siRNA分子をRNAase無し水で5μMまで希釈した後、同体積の新鮮なラット血清を加入し、混合物を37℃で3分孵化し、その後、siRNAsの完全性を電気泳動検出した。
図11に示すように、ラット血清と30分孵化した後、未修飾のsiRNA−AD−13は明らかに分解され、化学修飾のsiRNA−AD−26、siRNA−AD−39、siRNA−AD−40は分解の傾向が見られなかった。
実施例15 siRNAsで関節炎モデルラットを処理した場合の有効性
関節炎モデルラットの構築は実施例7と同じである。
ウシII型コラーゲン3dを注射した後、関節炎ラットを8匹ずつランダムに、100μL PBSを注射する対照組であるPBS組と、50μL/足で10nmolのsiRNA溶液(100μL)を注射するsRNA−AD−26、siRNA−AD−40、siRNA −AD−39実験組との4組に分けた。各組はいずれも毎週に2回投薬し(対照又はsiRNA)、連続して2週間投薬した。
各組から4匹のラットを取って、第4回の投薬が終了した後の次の日に動物を殺して、膝関節を取って組織保存液に固定し、標準方法であるヘマトキシリン‐エンジン(HE)とトルイジンブルー(TB)で染色し、顕微鏡で組織構造の変化を分析した。
結果は図12に示し、ここで、AとBはPBS組モデル組のHEとTB染色(20×)で、CとDはPBS組モデル組のHEとTB染色(10×)であって、EとFは投薬組siRNA−AD−40のHEとTB染色(20×)で、GとHは投薬組siRNA−AD−40のHEとTB染色(10×)であって、IとJはsiRNA−AD−26投薬組のHEとTB染色(20×)で、KとLはsiRNA−AD−26投薬組のHEとTB染色(10×)であって、MとNはsiRNA−AD−39投薬組のHEとTB染色(20×)で、OとPはsiRNA−AD−39投薬組のHEとTB染色(10×)である。
図12に示すように、2週間投薬した後、PBSモデル組に、関節面と関節腔の大量線維化、メニスカス骨化、軟骨層細胞混乱、コラーゲン大量流出等の炎症性症状が現れた。PBS組に比べ、siRNA−AD−40投薬組はメニスカス骨化が見られたが、形状は正常であって、関節面は滑らかで、骨化と線維化が局部的で、軟骨層細胞の配列は正常で、コラーゲンの流出は局部的でした。siRNA−AD−26投薬組はメニスカス骨化やコラーゲン流出が見られたが、関節腔内は鮮明であった。siRNA−AD−39投薬組は関節面が滑らかで、関節腔における線維化組織が少量で、半月板や軟骨の骨化が局部的で、軟骨層細胞は順序に配列されていて、コラーゲンの流出が一部だけでした。
結果、siRNA−AD−26、siRNA−AD−39、siRNA−AD−40は関節炎ラットの疾患過程を抑制したことが分かる。前記siRNAsを潜在的な関節炎を治療する薬剤とすることができる。
実施例16 siRNAsがラット関節免疫性因子を抑制する有効性
実施例15の方法でPBS組、siRNA−AD−26、siRNA−AD−39、siRNA−AD−40組を構築した。ここで、siRNA−AD−41組中のsiRNAがキトサンナノ粒子でラップされ、その他の工程は同じである。
第4回の投薬処理後の次の日に動物を殺して、膝関節を取って液体窒素で冷凍した。RNeasy(登録商標) Mini Kit(QIAGEN)で膝関節RNAを抽出して逆転写した。それぞれ実施例1と9の方法でADAMTS−5とADAM17 mRNAの発現レベルを測定した。実施例10の方法でTNF、COX−2、IL−1βの発現レベルを検出した。
結果は図13に示し、「Normal(健康組)」は、健康な雄性SDラット組を指し、「モデル組」はPBS組である。図13に示すように、健康な雄性SDラット組に比べ、PBS組中のADAMTS−5、ADAM17、TNF、COX−2、IL−1βの発現は増加した。しかし、siRNA−AD−40、siRNA−AD−39、siRNA−AD−26は、このような免疫性因子の発現レベルを顕著にダウンレギュレーションし、軟骨と滑膜を保護する効果があった。これに基づいて、前記siRNAsは、炎症に関連する疾患を有効に予防及び/又は治療できることが分かる。
実施例17 siRNAs長期投薬の効果
実施例16の方法でPBS組と、siRNA−AD−40一回量投薬組(一回量投薬、1.5又は3週間投薬した後に発現レベルを検出した)と、siRNA−AD−40長期投薬組(長期投薬、0.5週あたりに1回投薬し、1.5週又は3週持続する)とを構築した。実施例9の方法でADAM17 mRNAの発現レベルを検出した。実施例10の方法でTNF、COX−2とIL−1βの発現レベルを検出した。
図14Bに示すように、1.5週の時間において長期投薬と一回量投薬との免疫性因子の発現レベルに対する抑制効果は類似である。2種類の投薬方案で、ADAM17、TNF、COX−2、IL−1βの発現レベルはいずれも低下された。図14Aに示すように、治療が3週まで延長された時、長期投薬の抑制効果がもっと優れている。
実施例18 siRNAsを組み合せて使用する際の炎症因子に対する抑制
ADAMTS−5+ADAM17組:初代培養hFLS細胞を6ウェルプレートに接種し、50%まで成長してシート状に融合された時、Lipofectaminer(登録商標)2000キットの説明書に従って、25nM 最終濃度のsiRNA−RB−13と25 nM最終濃度のsiRNA−AD−13とを細胞にトランスフェクションした。
ADAMTS−5組:siRNA−RB−13を50nMの最終濃度でhFLS細胞にトランスフェクションし、その他の工程はADAMTS−5+ADAM17組と同じである。
ADAM17組:siRNA−AD−13を50nMの最終濃度でhFLS細胞にトランスフェクションし、その他の工程はADAMTS−5+ADAM17組と同じである。
標的無し(NTC)対照組:以下のランダムな非特異siRNAをhFLS細胞にトランスフェクションし、その他の工程はADAMTS−5+ADAM17組と同じである。
センス鎖:5’−UUCUCCGAACGUGUCACGUdTdT−3’(SEQ ID NO: 189);
アンチセンス鎖:5’−ACGUGACACGUUCGGAGAAdTdT−3’(SEQ ID NO: 190)。
陰性対照組(NC):siRNAのトランスフェクションがなく、その他の工程はADAMTS−5+ADAM17組と同じである。
24時間トランスフェクションした後、無血清培地に換えて、各組の細胞を24時間飢餓培養した。最終濃度が10ng/mlになるように、IL1−α(10ng/ml)を加入し、24時間刺激した。実施例2の方法でIL−1βの分泌レベルを検出した。
結果は図15に示し、単一のsiRNA投薬に比べ、siRNA−RB−13とsiRNA−AD−13とを組み合せて投薬した場合、IL−1β分泌に対する抑制効果が顕著に向上された。
実施例19 組み合せのsiRNAが関節炎モデルラットを治療する有効性
関節炎モデルラットの構築は実施例7と同じである。
ウシII型コラーゲン3dを注射した後、12匹の関節炎ラットそれぞれの一側の後ろ足に100μL PBSを適用して対照組とし、他の側の後ろ足に10nmol siRNA−RB−40と10nmol siRNA−AD−26とを合計100μL適用してAD5&17組とし、毎週に2回投薬し、連続して3週間投薬した。第2、4、6回の投薬処理後の次の日に動物をそれぞれ殺して材料をとった。膝関節を組織保存液に固定し、標準方法であるヘマトキシリン‐エンジン(HE)とトルイジンブルー(TB)で染色し、顕微鏡で組織構造の変化を分析した。
HEとTB染色結果は図16Aと16Bに示す。結果から、モデルを構築してから1週間後に、対照組の軟骨細胞の配列が混乱し、軟骨層が肥厚し、メニスカスが骨化し、軟骨コラーゲンが流出した。反対に、AD5&17組は軟骨コラーゲンの流出が見られなく、わずかなメニスカスの骨化のみがあった。モデルを構築してから2週間後に、対照組の軟骨下骨層に局部的な線維化が見られ、軟骨層の関節腔に接近する部分と滑膜層とのいずれも線維化肥厚があって、同時に、コラーゲンが厳重に流出し、関節嚢線維化が厳重で、メニスカスが骨化した。しかし、AD5&17組は局部的な軟骨層コラーゲンの少量流出しかなかった。モデルを構築してから3週間後に、対照組は関節面が厳重に線維化され、関節腔に組織断片があって、大量の炎症性細胞浸潤もあった。一方、AD5&17組は滑らかな関節面及び活性の軟骨細胞を維持した。当該結果によると、観察した各段階において、AD5&17組の病理変化はいずれも対照組より軽いことが分かる。AD5&17 siRNAsを組み合せて使用すると、ラット関節炎の進捗を抑制できることが分かる。
実施例20 組み合せsiRNAによってラット関節免疫性因子を抑制する有効性
実施例7の方法でADAMTS−5−siRNA&ADAM17−siRNA投薬組を構築し、ここで、各足にそれぞれ5nmolのsiRNA−RB−40とsiRNA−AD−26を注射し、毎週に2回投薬した。関節炎モデル組の構築方法は実施例7と同じであって、同使用量のPBSを注射した。健康なラット組は雄性SDラット(220±20g)である。
それぞれ第2、4、6回の投薬処理を行った次の日に動物を殺して材料を取って、膝関節滑液体を取って窒素冷凍した。冷凍した膝関節からRNAを抽出し、RNeasy(登録商標) Mini Kit(QIAGEN)でcDNAに逆転写した。実施例1と9の方法でADAMTS−5とADAM17 mRNA発現レベルを検出した。実施例2の方法でTNF、COX−2、IL−1βの発現レベルを検出した。結果は表14に示す。
健康なラット組に比べ、関節炎モデルラット組中のADAMTS−5、ADAM17、TNF、COX−2、IL−Iβの発現レベルは向上された。しかし、siRNAs組み合せ投薬組は、1〜3週間投薬した後、顕著な遺伝子サイレンシング作用が見られた。よって、ADAMTS−5とADAM17 siRNAsを組み合せて使用すると、炎症に関連する疾患を効率的に治療することができる。
実施例21 毒性の検出(データは示していない)
異なる使用量でのsiRNAsによる健康な雄性SDラット(220±20g)に対する毒性影響を研究した。1組は尾静脈に注射し、1組は局部の関節に注射し、2組の注射体積はいずれも0.2mlである。尾静脈組はさらに、PBS子組と、10nmol、50nmol、100nmolの三つのsiRNA子組とに分けられ、各子組は6匹のラットを含む。siRNA−RB−40&siRNA−AD−26を組み合せ、各子組の使用量はそれぞれ10nmol、50nmol、100nmolである。局部関節注射組も上述した四つの子組に分けられ、各組は9匹のラットを含む。毎週に2回投薬した。
毎回の投薬を行う前に尾静脈組の動物の体重を計って、3週間投薬した後に殺す。局部関節注射組の動物は、それぞれ第2回、第4回、第6回の投薬を行った後の三日目に動物を殺し、各子組は3匹を含み、病理分析と生物化学検出に利用した。結果、尾静脈組動物は死亡がなく、実験中に体重の低減が見られなかった。局部関節注射組の動物も死亡がなく、実験中に動物の行為に異常がなく、病理セクション分析した結果、明確な線維化損害はなかった。
実施例22 siRNAsのプリ投薬の影響(データは示していない)
45匹の健康な雄性SDラット(220±20g)それぞれの膝関節にそれぞれ10nmol、50nmol、又は100nmolのsiRNA組成物siRNA−RB−40とsiRNA−AD−26を適用した後、所定の時間で0.2mlウシII型コラーゲン(2mg/ml)を供給して刺激し、3日刺激した後に動物を殺した。
10nmol 組:コラーゲンで刺激する日の3日と5日前に前処理を行って、PBSを注射した関節炎モデル組に比べ、一定の保護作用が見られた。siRNAsプリ投薬組は、膝関節のダメージが軽く、軟骨細胞が完全であって、順序に排列されていて、滑膜層に明確な線維性肥厚がなく、半月板が完全であった。コラーゲンで刺激する日の8日と12日前に前処理した症状はモデル組に類似し、明確な線維性ダメージがあって、半月板は一部又は全部壊れて、関節の表面は線維性肥厚し、軟骨細胞の配列は混乱し、局部的に骨化があった。
50nmolと100nmol組:コラーゲンで刺激する日の3日と8日前の前処理はいずれも耐コラーゲン誘導の関節ダメージの保護作用があった。ここで、コラーゲンで刺激する日の3日前に前処理したラットはコラーゲンで刺激していない健康な雄性SDラット(正常組)に類似した。しかし、コラーゲンで刺激する日の8日前に前処理したラットには、軽い半月板壊れや骨化があって、関節周囲の結合組織は線維性肥厚したが、関節面は滑らかで完全であって、軟骨細胞は順序に排列され、局部から軟骨細胞の骨化が見られた。コラーゲンで刺激する日の12日前に前処理した状況はモデル組に類似する。
従って、OAが発生する前のsiRNA前処理は保護作用があって、且つ当該保護作用はプリ投薬の時間と関連する可能性がある。