JP6706496B2 - 位相変更ユニット及びバルブタイミング変更装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような内接式遊星歯車機構では、内歯車の径方向内側に遊星歯車を配置するため、径方向の小型化等を図るには限界があり、又、高減速比の要求と小型化の要求を両立させるのは困難である。
この場合、第2フェースギヤと第1フェースギヤとは歯数が異なるため、第2フェースギヤと第1フェースギヤの間に回転位相差を生じる。その結果、第1回転体と第2回転体との相対的な回転位相が変更される。
ここでは、連結機構として、上記複数の円板部材及び複数の係合部材を含む構成を採用したことにより、回転軸部材に外力が及ぼされないときは、係合部材と円板部材がロックされて、第2回転体と第2フェースギヤが一体的に回転する。
一方、回転軸部材に外力が及ぼされるときは、第2フェースギヤのすりこぎ運動及び軸線回りの回転に伴って、複数の円板部材が支軸回りに適宜回転し、第2回転体に固定された係合部材が直線溝の範囲内で相対的に移動し、第2フェースギヤの回転が第2回転体に伝達される。
すなわち、直線溝をもつ円板部材及び係合部材により、オルダム継手と同様の作用が得られて、第2回転体及び第2フェースギヤを軸線回りに一体的に回転させ得るべく、すりこぎ運動をする第2フェースギヤから回転のみを取り出すことができる。
この構成によれば、凸凸同士で接触する外歯同士の噛合いに比べて、凸凹で接触する外歯と内歯の噛合いの方が接触面積を大きくでき、第1フェースギヤ及び第2フェースギヤの歯面強度を高めることができる。
この構成によれば、複数の円板部材及び対応する係合部材が軸線周りに等間隔で配置されるため、力の伝達を均等にすることができ、円滑な動作が得られる。
この構成によれば、係合部材が第2回転体に一体的に形成される場合に比べて、製造が容易で、生産性、組み付け性を向上させることができる。
一方、位相を変更する場合は、例えば電動モータ等の駆動源により、位相変更ユニットの回転軸部材を軸線回りの一方向又は他方向に適宜回転させる。これにより、ハウジングロータの回転に対するカムシャフトの回転が遅角側又は進角側に変更され、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が変更される。
この実施形態に係るバルブタイミング変更装置は、図1に示すように、カムシャフトCSとスプロケット11aの相対的な回転位相を変更する位相変更ユニットU等を備えている。ここで、カムシャフトCSは、軸線S回りの一方向(図1中のR方向)に回転する第1回転体を形成する。スプロケット11aは、軸線S回りの一方向(図1中のR方向)に回転する第2回転体の一部を形成し、チェーンを介してクランクシャフトの回転に連動する。
ここで、連結機構M1は、ダブルフェースギヤ30に含まれる第3フェースギヤ34、ハウジングロータ10に固定される第4フェースギヤ50により構成されている。
第2ハウジング12は、第1ハウジング11と接合される円筒部12a、軸受RB2を嵌め込む環状の内周部12b、第4フェースギヤ50を固定する複数の嵌合凸部12c、ボルトb1を通す複数の円孔12d等を有する。
歯列21は、歯数Z1からなり、軸線S方向の前方F側の端面において環状に配列して形成されている。
円筒部22は、内周面にカムシャフトCSの端部を嵌合し、外周面に軸受RB1を嵌め込むように形成されている。
円孔24は、円筒部22にカムシャフトCSを嵌め込んだ状態で、カムシャフトCSに捩じ込むボルトb2が通されるように形成されている。
すなわち、第1フェースギヤ20は、ボルトb2によりカムシャフトCSに固定されて、軸線S回りにカムシャフトCSと一体的に回転するようになっている。
第3フェースギヤ34は、歯数Z3からなり、第4フェースギヤ50と噛合するべく環状に配列して形成された歯列34aを有する。
軸部42は、第2ハウジング12の内周部12bに嵌め込まれた軸受RB2により回動自在に支持される。
連結部44は、外力としての回転駆動力を及ぼす電動モータDMの駆動軸(不図示)が着脱自在に連結されるべく、軸部42の一部を切り欠いたスリット状に形成されている。
尚、軸受RB1,RB2,RB3,RB4は、ラジアル軸受である。
歯列51は、歯数Z4からなり、軸線S方向の後方R側の端面において環状に配列して形成されている。
嵌合凹部53は、第2ハウジング12の嵌合凸部12cを嵌め込むように形成されている。
回転軸部材40が外力により回転駆動されないとき、第3フェースギヤ34及び第4フェースギヤ50は、互いにロックして軸線S回りに一体的に回転するように連結される。
すなわち、ハウジングロータ10及び第2フェースギヤ33は、一体的に回転するように連結される。
すなわち、ハウジングロータ10に対して第2フェースギヤ33が相対的に移動しつつ、第2フェースギヤ33の軸線S回りの回転が、ハウジングロータ10に伝達される。
また、第1フェースギヤ10と第2フェースギヤ33のフェースギヤ同士の噛合い及び第3フェースギヤ34と第4フェースギヤ50のフェースギヤ同士の噛合いは、図9に示すように、噛合いの中心を対称軸とした鏡面対称となるため、バックラッシを抑制することができる。
r=1/{(Z4−Z3)/Z3+(Z1−Z2)/Z2}
で表される。例えば、Z1=100、Z2=101、Z3=100、Z4=100とすると、r=−101となり、ダブルフェースギヤ30の回転方向とは逆向きに101の高減速比を得ることができる。
これによれば、第1フェースギヤ20の歯数Z1と第2フェースギヤ33の歯数Z2だけで減速比を決定できるため、減速比の設定が容易である。
先ず、位相の変更を行わない、すなわち、バルブタイミングを変更しない場合は、回転軸部材40に回転駆動力が及ぼされない。
したがって、第1フェースギヤ20とダブルフェースギヤ30の第2フェースギヤ33は,互いに噛合った位置でロックされる。
また、ダブルフェースギヤ30の第3フェースギヤ34と第4フェースギヤ50とは、互いに噛合った位置でロックされる。
これにより、カムシャフトCSとハウジングロータ10は、軸線S回りにおいて一方向(図1中のR方向、すなわちCW方向)に一体的に回転する。
例えば、回転軸部材40が軸線S回りの他方向(図1中のCCW方向)に相対的に回転させられると、ダブルフェースギヤ30が傾斜軸線DLを中心としてすりこぎ運動を行いつつ他方向(CCW方向)に相対的に回転する。
すなわち、回転軸部材40が他方向(CCW方向)に連続して複数回に亘って回転させられることにより、ハウジングロータ10に対してカムシャフトCSの回転位相が進められて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が進角側に変更される。
すなわち、回転軸部材40が一方向に連続して複数回に亘って回転させられることにより、ハウジングロータ10に対してカムシャフトCSの回転位相が遅らせられて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が遅角側に変更される。
例えば、減速比を大きくできるため、小さい出力の電動モータDM等の外力を用いて、ハウジングロータ10に対するカムシャフトCSの相対的な回転位相を容易に変更できる。また、フェースギヤ同士の噛合いは、噛合いの中心を対称軸とした鏡面対称となるため、バックラッシを抑制できる。
この実施形態においては、連結機構及びそれに関連する細部を変更した以外は、前述の実施形態と同一である。したがって、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、連結機構M2は、複数の円板部材60、複数の係合部材70により構成されている。
第2ハウジング12´は、図10及び図11に示すように、円筒部12a、内周部12b、円孔12d、軸受SB2を受ける受面12e´、半球状の内壁面12f´、係合部材70を嵌合させる複数の嵌合孔12g´等を有する。
複数の嵌合孔12g´は、図10及び図11に示すように、外側から内部に貫通するように形成され、軸線S周りにおいて等間隔に配置されている。ここでは、4つの嵌合孔12g´が、軸線S周りにおいて90度間隔で配置されている。
歯列21´は、歯数Z1からなり、軸線S方向の前方F側の端面において環状に配列し、かつ、歯列21よりも傾斜したかさ歯車状に形成されている。
湾曲外周面33´は、第2フェースギヤ30´が軸線S回りに回転しつつすりこぎ運動する際に、第2ハウジング12´の内壁面12f´と非接触となる輪郭に形成されている。
環状凹部34´は、支軸36´を中心として円板部材60を回転自在に受け入れるように形成されている。
尚、軸受SB1,SB2は、スラスト軸受である。
直線溝62は、ハウジングロータ10´に固定された係合部材70を移動自在に受け入れるように形成されている。
そして、円板部材60は、第1フェースギヤ30´の環状凹部34´に嵌め込まれて、支軸36´回りに回動自在に支持される。
そして、係合部材70の端部が、円板部材60の直線溝62に挿入される。
回転軸部材40´が外力により回転駆動されないとき、係合部材70及び円板部材60は、相対移動不能に互いにロックして軸線S回りに一体的に回転するように連結される。
すなわち、ハウジングロータ10´及び第2フェースギヤ30´は、一体的に回転するように連結される。
したがって、仮に一つの円板部材60の直線溝62が軸線S回りの回転方向に方向付けられて係合部材70の相対的な移動が許容され得る状態になったとしても、他の円板部材60及び係合部材70の係合関係によりロック状態が維持されるようになっている。
また、複数の円板部材60及び複数の係合部材70は、軸線S周りにおいて等間隔に配置されているため、力の伝達を均等にすることができ、円滑な動作が得られる。
したがって、第2フェースギヤ30´の軸線S回りの回転は、回転位相のずれを生じることなく、ハウジングロータ10´に伝達される。
先ず、位相の変更を行わない、すなわち、バルブタイミングを変更しない場合は、回転軸部材40´に回転駆動力が及ぼされない。
したがって、第1フェースギヤ20´と第2フェースギヤ30´は,互いに噛合った位置でロックされる。
また、円板部材60と係合部材70は、互いに係合した位置でロックされる。
これにより、カムシャフトCSとハウジングロータ10´は、軸線S回りにおいて一方向(図1中のR方向、すなわちCW方向)に一体的に回転する。
例えば、回転軸部材40´が軸線S回りの他方向(図1中のCCW方向)に相対的に回転させられると、第2フェースギヤ30´が傾斜軸線DLを中心としてすりこぎ運動を行いつつ他方向(CCW方向)に相対的に回転する。
すなわち、回転軸部材40´が他方向(CCW方向)に連続して複数回に亘って回転させられることにより、ハウジングロータ10´に対してカムシャフトCSの回転位相が進められて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が進角側に変更される。
すなわち、回転軸部材40´が一方向に連続して複数回に亘って回転させられることにより、ハウジングロータ10´に対してカムシャフトCSの回転位相が遅らせられて、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期が遅角側に変更される。
例えば、減速比を大きくできるため、小さい出力の電動モータDM等の外力を用いて、ハウジングロータ10´に対するカムシャフトCSの相対的な回転位相を容易に変更できる。また、フェースギヤ同士の噛合いは、噛合いの中心を対称軸とした鏡面対称となるため、バックラッシを抑制できる。
しかしながら、これらの構成に限定されるものではなく、回転軸部材に外力が及ぼされないとき第2回転体及び第2フェースギヤを一体的に回転するように連結すると共に,回転軸部材に外力が及ぼされるとき第2回転体に対して相対的に移動させつつ第2フェースギヤの回転を伝達するものであれば、その他の構成をなす連結機構を採用することができる。
S 軸線
DL 傾斜軸線
DM 電動モータ
M1,M2 連結機構
RB1,RB2,RB3,RB4 軸受(ラジアル軸受)
SB1,SB2 軸受(スラスト軸受)
b1,b2 ボルト
10,10´ ハウジングロータ(第2回転体)
11,11´ 第1ハウジング
11a スプロケット
11b 内周部
11c 凹部
11d ネジ孔
11e´ 受面
12,12´ 第2ハウジング
12a 円筒部
12b 内周部
12c 嵌合凸部
12d 円孔
12e´ 受面
12f´ 内壁面
12g´ 嵌合孔
20,20´ 第1フェースギヤ
21,21´ 歯列
22 円筒部
23 内周部
24 円孔
25´ 受面
30 ダブルフェースギヤ
30´ 第2フェースギヤ
31 円筒部
31´ 内周部
32 鍔部
32´ 歯列
33 第2フェースギヤ
33a 歯列
33´ 湾曲外周面
34 第3フェースギヤ(連結機構)
34a 歯列
34´ 環状凹部
35´ 貫通孔
36´ 支軸
40,40´ 回転軸部材
41,42,43 軸部
44 連結部
45´ 受面
50 第4フェースギヤ(連結機構)
52 円孔
53 嵌合凹部
60 円板部材(連結機構)
61 円孔
62 直線溝
70 係合部材(連結機構)
Claims (5)
- 第1回転体と第2回転体の相対的な回転位相を変更する位相変更ユニットであって、
所定の軸線回りにおいて前記第1回転体と一体的に回転する第1フェースギヤと、
前記第1フェースギヤと異なる歯数を有する第2フェースギヤと、
前記第2フェースギヤを前記軸線に対し傾斜した傾斜軸線回りに回動自在に支持して前記第1フェースギヤと噛合させると共に,外力により前記軸線回りに回転させられる回転軸部材と、
前記回転軸部材に外力が及ぼされないとき前記第2回転体及び第2フェースギヤを一体的に回転するように連結すると共に,前記回転軸部材に外力が及ぼされるとき前記第2回転体に対して相対的に移動させつつ前記第2フェースギヤの回転を伝達する連結機構とを含み、
前記連結機構は、前記第2フェースギヤに設けられた所定の支軸回りに回動自在に取り付けられると共に直線溝をもつ複数の円板部材と、前記第2回転体に設けられると共に前記直線溝に移動自在に挿入される複数の係合部材とを含む、
ことを特徴とする位相変更ユニット。 - 前記第1フェースギヤ及び第2フェースギヤは、凸状に湾曲した外歯と凹状に湾曲した内歯の噛合いとなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の位相変更ユニット。 - 前記複数の円板部材及び複数の係合部材は、前記軸線周りにおいて等間隔に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位相変更ユニット。 - 前記第2回転体は、前記第1フェースギヤ、前記回転軸部材、及び前記連結機構を収容するハウジングを含み、
前記複数の係合部材は、前記ハウジングに設けられた複数の嵌合孔に嵌合固定されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の位相変更ユニット。 - 第1回転体をなすカムシャフトと第2回転体をなすハウジングロータの相対的な回転位相を変更する位相変更ユニットを備え、前記カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期を変更するバルブタイミング変更装置であって、
前記位相変更ユニットは、請求項1ないし4いずれか一つに記載の位相変更ユニットである、
ことを特徴とするバルブタイミング変更装置。
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