JP6705780B2 - 防音構造 - Google Patents

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Description

本発明は、防音構造に係り、詳しくは貫通孔板、枠体及び背面板からなる共鳴構造の貫通孔板側に微細貫通孔層を設けた防音構造に関する。
ヘルムホルツ型の共鳴構造は、孔部の背面に閉空間を有する構造であり、背面の閉空間の空気バネと孔部の空気錘とからなるマス−バネ共鳴構造である。特許文献1、2、及び3に記載されるように、ヘルムホルツ共振(共鳴)を利用する防音構造は、多数の貫通孔が形成された板状部材の背面に、壁面、又は遮蔽板等を配置して音響的に閉じられた閉空間を設けた構成を有する。このようなヘルムホルツ共鳴を利用する防音構造は、貫通孔の径や長さ、及び閉空間の体積等を変えることによって所望の周波数において高い吸音効果が得られることから、様々な分野において広く使用されている。
特許文献1に開示のパネル部材は、壁に取り付けられるもので、内部に形成されたキャビティと、キャビティを外部に連通する連通口が開口する表側の前壁面と、壁に面する裏側の後壁面と、キャビティと連通して後壁面に開口する少なくとも一条のスリットとを有する板状本体を備えるものである。ここで、このパネル部材では、連通口及びキャビティの空気層によってヘルムホルツ型の共鳴構造を構成するとともに、スリット及び後壁面と壁との間の空気層によってヘルムホルツ型の共鳴構造を構成している。また、特許文献1に開示のパネル部材は、更に、板状部材の前壁面に貼着され、少なくとも連通口と連通する孔が形成されたシート部材を備えているものである。このパネル部材では、これらの孔が連通口と協働して、キャビティと共にヘルムホルツ型の共鳴構造を構成している。
特許文献2に開示の吸音構造体は、通気性の表面板が板状または面状の吸音材、又は金属繊維を板状に圧縮成形した吸音材で構成され、吸音材の背後には、背後空気層とスリット構成の共鳴吸音構造とが形成されているものである。ここで、背後空気層は、吸音材の下面に長手方向に沿って任意の間隔で複数設置した断面形状が凹型の長手形状部材の内部空間によって形成されている。吸音材と背後空気層とは吸音構造を構成している。また、スリット構成の共鳴吸音構造は、隣接する長手形状部材間の隙間がスリットとなり、長手形状部材の下面に形成される共鳴空間とによって形成されている。このスリット構成の共鳴吸音構造は、ヘルムホルツ型の共鳴構造を利用している。
特許文献3に開示の吸音パネルは、金属製の板状部材にその板厚方向に沿って直径200μm以下の複数の貫通孔が設けられている吸音体と剛体とが所定の間隔を空けて相対配置され、吸音材と剛体との間に空気層が設けられているものである。この吸音パネルは、吸音材、剛体、及びその間の空気層によって、ヘルムホルツ型の共鳴構造を構成している。
特開2017−089220号公報 特開2001−003322号公報 特開2007−256750号公報
ところで、特許文献1〜3に開示の吸音構造は、複数のスリット、又は吸音体の複数の貫通孔に共通な空気層を用いるヘルムホルツ型の共鳴構造であり、空気層が枠体によって分割されていない構造である。
また、特許文献1及び2に開示の吸音構造は、ヘルムホルツ型の共鳴構造を利用するものであるが、構造が複雑であるという問題もあった。
また、特許文献1〜3に開示の吸音構造のような従来のヘルムホルツ型の共鳴構造を用いる防音構造を室内で使用する際に、ヘルムホルツ型の共鳴構造の孔部が室内側に向き出した状態となり、孔部が視認され、外観を損なうという問題があった。
従来からヘルムホルツ型の共鳴構造の孔部に微細な孔の開いた構造を配置し、抵抗を上げることで広帯域な吸音が可能になることが知られている。しかしながら、従来の微細貫通孔構造は、孔径が大きく規則的に配置されているため、視認性が高いという問題があった。そのため、従来の微細貫通孔構造では外観上の問題を克服することができないという問題があった。
なお、特許文献3に開示の吸音パネルでは、貫通孔の視認性の問題、及び吸音材の美観性の問題から、貫通孔の直径を200μm以下に制限しているが、これだけでは、貫通孔の視認性、ひいては吸音材の美観性は、十分に向上できないという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、広帯域な吸音が可能であり、吸音性能を向上させることができ、かつ外観上の問題を克服することができる防音構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記目的を達成することができるヘルムホルツ型の共鳴構造を用いる防音構造を提供することにある。
ここで、本発明において、「防音」とは、音響特性として、「遮音」と「吸音」の両方の意味を含むが、特に、「遮音」を言う。また、「遮音」は、「音を遮蔽する」ことを言う。即ち、「遮音」とは、「音を透過させない」ことを言う。したがって、「遮音」とは、音を「反射」すること(音響の反射)、及び音を「吸収」すること(音響の吸収)を含めて言う(三省堂 大辞林(第三版)、及び日本音響材料学会のウェブページのhttp://www.onzai.or.jp/question/soundproof.html、並びにhttp://www.onzai.or.jp/pdf/new/gijutsu201312_3.pdf参照)。
以下では、基本的に、「反射」と「吸収」とを区別せずに、両者を含めて「遮音」及び「遮蔽」と言い、両者を区別する時に、「反射」及び「吸収」と言う。
上記目的を達成するために、本発明の防音構造は、厚み方向に貫通し、孔径10mm以上100mm以下の複数の貫通孔を有する貫通孔板と、ランダムに穿孔され、厚み方向に貫通し、孔径1μm〜250μmの複数の微細貫通孔を有し、貫通孔板の一方の主面に配置された微細貫通孔層と、貫通孔板の他方の主面の側に間隔を開けて配置された背面板と、貫通孔板と背面板との間に配置される、貫通孔を有する枠体とを有し、貫通孔板は、枠体の開口に対応する貫通孔を有するものであり、貫通孔板、及び背面板は、枠体の複数の開口の両面をそれぞれ覆って閉塞するものであり、微細貫通孔層の複数の微細貫通孔が全体の内の少なくとも10%の微細貫通孔が周期構造からずれた状態にあるようにランダムに配置されており、貫通孔板と背面板と枠体とは共鳴構造を成すものである。
ここで、微細貫通孔層の厚みは、1μm〜250μmであることが好ましい。
また、微細貫通孔層の材料は、難燃材であることが好ましい。また、難燃材は、金属であることが好ましい。また、金属は、アルミニウム、又はアルミニウム合金である
また、枠体は、ハニカム構造を有することが好ましい。
また、貫通孔板、背面板、及び枠体は、可燃性材料からなることが好ましい。また、可燃性材料は、合成樹脂、又は紙であることが好ましい。
また、貫通孔板の複数の貫通孔は、それぞれ枠体の複数の開口に対応し、1つの開口を有する枠体の部分と、1つの開口に対応する1つの貫通孔を有する貫通孔板の部分と、1つの開口に対応する背面板の部分とは、ヘルムホルツ型の共鳴構造を成すことが好ましい。
また、微細貫通孔層がフィルム状の層であり、微細貫通孔の内壁面が粗面化されており、表面粗さRaが、0.1μm以上、0.1〜10μmであることが好ましい。
また、微細貫通孔層がフィルム状の層であり、微細貫通孔の内壁面に凹凸があり、その凸部の平均粒径が0.1μm以上10.0μm以下であるであることが好ましい。
本発明によれば、広帯域な吸音が可能であり、吸音効果を高め、吸音性能を向上させることができ、かつ外観上の問題を克服することができる。
また、本発明によれば、ヘルムホルツ型の共鳴構造を用いる防音構造において、上記効果を奏することができる。
本発明の一実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示す防音構造を模式的に示す上面図である。 距離と目の分解能との関係を表すグラフである。 平均開口径と最適な空間周波数との関係を表すグラフである。 平均開口径とVTFとの関係を表すグラフである。 空間周波数とVTFとの関係を表すグラフである。 本発明の実施例1の防音構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例1及び比較例1の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2及び比較例2の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明の実施例3及び比較例3の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る防音構造について、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[防音構造]
本発明の防音構造は、厚み方向に貫通し、孔径1mm以上の複数の貫通孔を有する貫通孔板と、ランダムに穿孔され、厚み方向に貫通し、平均孔径1μm〜250μmの複数の微細貫通孔を有し、貫通孔板の一方の主面に配置された微細貫通孔層と、貫通孔板の他方の主面の側に間隔を開けて配置された背面板と、貫通孔板と背面板との間に配置される、貫通する複数の開口を有する枠体とを有し、貫通孔板は、枠体の開口に対応する貫通孔を有するものであり、貫通孔板と背面板と枠体とは共鳴構造を成すものである防音構造である。
本発明の防音構造は、例えば複写機、送風機、空調機器、換気扇、ポンプ類、発電機、ダクト、その他にも、塗布機、及び回転機、搬送機など音を発する様々な種類の製造機器等の産業用機器、自動車、電車、および、航空機等の輸送用機器、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、テレビジョン、コピー機、電子レンジ、ゲーム機、エアコン、扇風機、PC(パーソナルコンピュータ)、掃除機、空気清浄機、および、換気扇等の一般家庭用機器等に用いられるものであり、各種機器において騒音源から発生する音が通過する位置に適宜配置される。
本発明に係る防音構造について、図1、及び図2を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す防音構造を模式的に示す上面図である。
図1、及び図2に示すように、本発明の防音構造10は、複数の貫通孔14を有する板状の貫通孔板12と、複数の微細貫通孔18を有する微細貫通孔層16と、貫通孔板12に間隔を開けて配置された背面板20と、複数の開口24を有する枠体22とを有する。
貫通孔板12は、板状を成し、厚み方向に貫通する複数の貫通孔14を有するものである。貫通孔板12の貫通孔14は、枠体22の開口24に対応する。
貫通孔板12の貫通孔14の背後には、貫通孔板12、枠体22、及び背面板20によって閉空間内の背後空気層が形成される。この貫通孔14とその背後の背後空気層とを形成する貫通孔板12、枠体22、及び背面板20は、ヘルムホルツ型の共鳴構造を構成する。即ち、1つの開口24を有する枠体22の部分と、1つの開口24に対応する1つの貫通孔14を有する貫通孔板12の部分と、1つの開口24に対応する20背面板の部分とは、ヘルムホルツ型の共鳴構造を構成する。
ここで、複数の貫通孔14は、貫通孔板12にどのように配置されていても良いが、一定程度規則的に配置されていることが好ましい。
本発明において、貫通孔板12の厚みは、ヘルムホルツ型の共鳴構造を構成できるものであれば、特に制限的ではない。貫通孔板12の厚みは、例えば、0.01mm〜50mmであることが好ましく、0.1mm〜30mmであることがより好ましく、1mm〜10mmであることが特に好ましい。
なお、貫通孔板12の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、貫通孔板12を用いる防音構造10の使用される場所、及び環境等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
本発明においては、貫通孔板12の複数の貫通孔14は、それぞれ枠体22の複数の開口24に対応するように配置されることが好ましい。特に、貫通孔板12の1つの貫通孔14と、枠体22の1つの開口24とが、1対1で対応するように配置されることが好ましい。しかしながら、本発明は、これに限定されず、貫通孔板12、枠体22、及び背面板20がヘルムホルツ型の共鳴構造を構成できれば、枠体22の1つの開口24に対して2以上の貫通孔14が設けられていても良い。なお、本発明においては、貫通孔板12の複数の貫通孔14は、規則的に配列されていることが好ましいが、ランダム(不規則)に配置されていても良い。
貫通孔14の形状は、平面形状で、円形であることが好ましいが、本発明においては、特に制限的ではない。例えば、貫通孔14の形状は、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、貫通孔14の孔径は、貫通孔14の形状が円形または正方形のような正多角形の場合には、その中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができ、多角形、楕円、又は不定形の場合には、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径および半径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径および半径である。
貫通孔板12の貫通孔14の孔径は、1mm以上である。貫通孔14の孔径は、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、25mm以下であることが特に好ましい。
ここで、貫通孔14の孔径を1mm以上に限定する理由は、1mm以下の貫通孔14において、貫通孔14のインダクタンスが大きくなり、共鳴周波数を低周波化できるからである。
貫通孔14の形状,及び/又は孔径は、全ての貫通孔14において、一定であっても良いが、異なるサイズ(形状が異なる場合も含む)の枠が含まれていても良い。
なお、本発明においては、貫通孔板12の貫通孔14の孔径は、微細貫通孔層16の微細貫通孔18の孔径よりも大きく、また、貫通孔板12の貫通孔14の開口率は、微細貫通孔層16の微細貫通孔18の開口率よりも大きい。
貫通孔板12の貫通孔14の開口率は、0.001%〜50%であることが好ましく、0.01%〜20%であることがより好ましく、0.1%〜10%であることが特に好ましい。
貫通孔板12の材料も、貫通孔板12が枠体22、及び背面板20と共にヘルムホルツ型の共鳴構造を構成できれば、特に制限的ではない。貫通孔板12の材料としては、例えば、難燃材であっても、可燃性材料であっても良い。
本発明において難燃材とは、建築物の材料の場合、建築基準法第2条第9号で定める不燃材料、建築基準法施行令第1条第5号で定める準不燃材料、及び同第1条第6号で定める難燃材料を指す。これらの材料は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間以上は燃焼しないこと、防火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷を生じないこと、避難上有害な煙またはガスを発生しないことの3点を満たす必要がある。難燃材としては、例えば、金属材料、無機材料、難燃合板、難燃繊維板、及び難燃プラスチック板などの材料を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、スチール、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、及びこれらの合金等を挙げることができる。無機材料としては、例えば、ガラス、コンクリート、石膏ボード、サファイア、及びセラミックス等を挙げることができる。
本発明において可燃性材料とは、上記難燃材以外の材料を指し、例えば、木材、紙、及び合成樹脂などの樹脂材料等も挙げることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、及びトリアセチルセルロース等を挙げることができる。
また、これら以外の貫通孔板12の材料として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等の炭素繊維を含む材料を挙げることもできる。
なお、これらの貫通孔板12の材料の複数種を組み合わせて用いてもよい。
次に、微細貫通孔層16は、厚み方向に貫通する複数の微細貫通孔18を有し、貫通孔板12の一方の主面(図1中上面)に接して配置される。
微細貫通孔層16の微細貫通孔18は、平均孔径1μm〜250μmであり、微細貫通孔層16にランダムに穿孔される。なお、微細貫通孔18の孔径は、貫通孔14の孔径と同様に定義することができる。
なお、微細貫通孔層16は、ランダムに穿孔され、厚み方向に貫通する複数の微細貫通孔18を有していれば、フィルム状の層であっても、繊維状の層であっても良い。繊維状の層の場合には、繊維間の空間を微細貫通孔18と見なすことができるが、微細貫通孔18にランダム性が必要とされるために、繊維自体の層、ランダムな織り目を持つ織布、又は不織布の層である。
また、微細貫通孔18の形状は、平面形状で円形であることが好ましいが、本発明においては、特に制限的ではない。例えば、微細貫通孔18の形状は、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
本発明の防音構造10は、貫通孔14を有する貫通孔板12、枠体22、及び背面板20によって形成されるヘルムホルツ型の共鳴構造によって共鳴中心周波数を低周波数化すると共に、微細貫通孔層16の複数の微細貫通孔18によって吸音周波数の広帯域化する効果を奏するものである。
なお、本発明の防音構造10においては、微細貫通孔層16に形成される複数の微細貫通孔18の平均孔径が0.1μm以上100μm未満であり、微細貫通孔18の平均開口率が以下の範囲である場合には、微細貫通孔層16単体が、貫通孔14を有する貫通孔板12、枠体22、及び背面板20によって形成されるヘルムホルツ型の共鳴構造が無くても独立して吸音する防音構造として機能させることができる。
微細貫通孔層16の複数の微細貫通孔18の平均孔径をphi(μm)とし、微細貫通孔層16の厚みをt(μm)としたときに、rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にある。
本発明の微細貫通孔層16は、平均孔径が0.1μm以上100μm未満の微細貫通孔18を上記範囲の平均開口率で有することによって、微細貫通孔18を音が通る際の、微細貫通孔18の内壁面と空気との摩擦により吸音するものである。すなわち、微細貫通孔層16は、貫通孔14を有する貫通孔板12、枠体22、及び背面板20によって形成されるヘルムホルツ型の共鳴構造の背後空気層の閉空間があっても、その閉空間との共鳴ではないメカニズムで吸音するものである。このように、微細貫通孔層16における吸音は、微細貫通孔18内の空気層と閉空間内の空気層との連結をマスバネとして機能させて共振を起こして吸音するヘルムホルツ共振(共鳴)の原理を用いるものではない。
微細貫通孔層16自体の吸音のメカニズムは、微細貫通孔18を音が通る際の、微細貫通孔18の内壁面と空気との摩擦による、音のエネルギの熱エネルギへの変化であると推定した。このメカニズムは微細貫通孔18のサイズが微細なことによって生じるため、共振によるメカニズムとは異なる。微細貫通孔18によって空気中の音として直接通過するパスは、いったん膜振動に変換されてから再び音として放射されるパスに比べて、音響インピーダンスが遥かに小さい。したがって、膜振動よりも微細貫通孔18のパスを音は通りやすい。その微細貫通孔部分を通過する際に、微細貫通孔層16上の全体の広い面積から微細貫通孔18の狭い面積へと音が集約されて通過する。微細貫通孔18の中で音が集まることによって局所速度が極めて大きくなる。摩擦は速度と相関するために、微細貫通孔18内で摩擦が大きくなり熱に変換される。
微細貫通孔18の平均孔径が小さい場合は、開口面積に対する微細貫通孔18の縁長さの比率が大きくなるため、微細貫通孔18の縁部や内壁面で生じる摩擦を大きくすることができると考えられる。微細貫通孔18を通る際の摩擦を大きくすることによって、音のエネルギを熱エネルギへと変換して、吸音することができる。
また、微細貫通孔18の平均開口率に最適な割合が存在し、特に平均孔径が50μm程度以上と比較的大きいときには平均開口率が小さいほど吸収率が高くなる。平均開口率が大きい場合には、多くの微細貫通孔18のそれぞれを音が通過するのに対して、平均開口率が小さい場合には、微細貫通孔18の数が少なくなるため、1つの微細貫通孔18を通過する音が多くなり、微細貫通孔18を通過する際の空気の局所速度がより増大して、微細貫通孔18の縁部や内壁面で生じる摩擦をより大きくすることができる。
このように、微細貫通孔18による吸音は、背面に閉空間を必要とせず、微細貫通孔18を有する微細貫通孔層16単体で機能するのでサイズを自由に設定することができる。
また、上述のように、微細貫通孔18による吸音は、音が微細貫通孔18を通過する際の摩擦で吸音するので、音の周波数帯によらず吸音することができ、広帯域で吸音することができる。
また、微細貫通孔18を形成することによって機能するので、素材選択の自由度が高く、周辺環境の汚染や、耐環境性能の問題もその環境に合わせて素材を選択できるために問題を少なくすることができる。
また、微細貫通孔18を有するので、微細貫通孔層16に水等の液体が付着した場合であっても、表面張力により水が微細貫通孔18の部分を避けて微細貫通孔18を塞がないため、吸音性能が低下しにくい。
また、微細貫通孔層16は、薄い膜状の層であるため、配置する場所に合わせて湾曲させることができる。
微細貫通孔層16単体の吸音のメカニズムは、微細貫通孔層16のみで機能し、微細貫通孔層16の背後に閉空間を必要としない。ただし、窓に対する部屋壁など閉空間が微細貫通孔層16の後ろに構成されていても同様の機能を得ることもできる。なお、本願においては、微細貫通孔層16の、音が入射する側の面を表面とし、反対側の面を背面とし、微細貫通孔層16の背面側の空間を背後の空間とする。
なお、「音の入射方向」に関して、例えばスピーカーや機械騒音など、騒音源が明確な場合はそのものの方向を入射方向として決定できる。また、「音の入射方向」を定量的に決定する手法として、マイクロフォンアレイやビームフォーミング、PUプローブを用いて、音圧の位相情報や粒子速度を音圧の振幅情報と同時に測定することによって音源の方向を定めることができる。
小野測器製の3次元インテンシティプローブMI-6420や、Microflown製のPUプローブ(音圧−粒子速度プローブ)、ブリューエルアンドケラー社のマイクロホンアレイシステムなどを用いることによって、音圧の強さだけでなく位置も決定することができる。十分にスペースのある広い自由空間ではマイクロホンアレイシステムを用いて空間全体から周波数ごとの騒音源を決定することが望ましく、ダクト内など広さが限られる場合は小型のインテンシティプローブや、PUプローブで決定することができる。
ここで、吸音性能等の観点から、微細貫通孔18の平均孔径の上限値は、100μm未満であり、80μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、50μm以下が最も好ましく、30μm以下が最も好ましい。これは、微細貫通孔18の平均孔径が小さくなるほど、微細貫通孔18の開口面積に対する微細貫通孔18の中で摩擦に寄与する微細貫通孔18の縁の長さの比率が大きくなり、摩擦が生じやすくなることによる。
また、平均孔径の下限値は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましい。平均孔径が小さすぎると微細貫通孔18を通過する際の粘性抵抗が高すぎて十分に音が通らないため開口率を高くしても吸音効果が十分に得られない。
また、微細貫通孔18の平均開口率rhoは、前述のとおり、平均孔径をphi(μm)、微細貫通孔層16の厚みをt(μm)としたときに、微細貫通孔18の平均開口率rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲に入るものである。
また、平均開口率rhoは、rho_center-0.050×(phi/30)-2以上、rho_center+0.505×(phi/30)-2以下の範囲が好ましく、rho_center-0.048×(phi/30)-2以上、rho_center+0.345×(phi/30)-2以下の範囲がより好ましく、rho_center-0.085×(phi/20)-2以上、rho_center+0.35×(phi/20)-2以下の範囲がさらに好ましく、(rho_center-0.24×(phi/10)-2)以上、(rho_center+0.57×(phi/10)-2)以下の範囲が特に好ましく、(rho_center-0.185×(phi/10)-2)以上、(rho_center+0.34×(phi/10)-2)以下の範囲が最も好ましい。
このように、本発明の防音構造10において、微細貫通孔層16に形成される複数の微細貫通孔18の平均孔径が0.1μm以上100μm未満である時、微細貫通孔18の平均開口率rhoを上記範囲とすることは、本発明の微細貫通孔層16単体の吸音率(微細貫通孔層16を音が通過する時の吸収率)を最適化することである。このように、微細貫通孔層16単体の吸音率(微細貫通孔層16を音が通過する時の吸収率)を最適化することは、微細貫通孔層16において高い音響抵抗を得ることになる。したがって、本発明の防音構造10のように、平均開口率rhoが上記範囲を満たす微細貫通孔18を、貫通孔14を有する貫通孔板12、枠体22、及び背面板20によって形成されるヘルムホルツ型の共鳴構造に積層して用いることで、ヘルムホルツ型の共鳴構造におけるヘルムホルツ共鳴に、広帯域特性を得るのに最適な大きな音響抵抗値を付加することができる。
即ち、微細貫通孔層16単体の吸音率(微細貫通孔層16を音が通過する時の吸収率)を最適化するパラメータである平均開口率rhoは、ヘルムホル共鳴における最適な音響抵抗を与えるパラメータに等しい。
なお、微細貫通孔18の平均孔径は、微細貫通孔層16の表面側から、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて微細貫通孔層16の表面を倍率200倍で撮影し、得られたSEM写真において、周囲が環状に連なっている微細貫通孔18を20個抽出し、その孔径を読み取って、これらの平均値を平均孔径として算出する。もし、1枚のSEM写真内に微細貫通孔18が20個未満の場合は、周辺の別の位置でSEM写真を撮影し、合計個数が20個になるまでカウントする。
なお、孔径は、微細貫通孔18の部分の面積をそれぞれ計測し、同一の面積となる円に置き換えたときの直径(円相当直径)を用いて評価した。すなわち、微細貫通孔18の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、同一面積となる円の直径で評価した。従って、例えば、2以上の微細貫通孔が一体化したような形状の微細貫通孔の場合にも、これを1つの微細貫通孔18とみなし、微細貫通孔18の円相当直径を孔径とする。
これらの作業は、例えば「Image J」(https://imagej.nih.gov/ij/)を用いて、Analyze Particlesにより円相当直径、開口率などを全て計算することができる。
また、平均開口率は、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて微細貫通孔層16の表面を真上から倍率200倍で撮影し、得られたSEM写真の30mm×30mmの視野(5箇所)について、画像解析ソフト等で2値化して微細貫通孔18の部分と非微細貫通孔部分を観察し、微細貫通孔18の開口面積の合計と視野の面積(幾何学的面積)とから、比率(開口面積/幾何学的面積)から算出し、各視野(5箇所)における平均値を平均開口率として算出する。
ところで、貫通孔板12の複数の貫通孔14の孔径が大きく、規則的に配列されていると、貫通孔14が視認されてしまう。そのため、実際に壁上、車両天井および床などにそのまま使用すると貫通孔14が視認されてしまい、デザインや質感を大きく妨げるという問題がある。
このため、本発明では、貫通孔板12の複数の貫通孔14の孔径が大きく、規則的に配列されている場合であっても、貫通孔板12の一方の主面(視認側の面)に、ランダムに穿孔された複数の微細貫通孔18を有する微細貫通孔層16を取り付けて配置して、貫通孔板12の複数の貫通孔14を視認されないようにする。これに加えて、本発明では、微細貫通孔層16の微細貫通孔18を音が通る際において、微細貫通孔18の内壁面と空気との摩擦によって音のエネルギを熱エネルギに変換させて吸音の効率を向上させることにより、貫通孔板12、枠体22、及び背面板からなるヘルムホルツ型の共鳴構造による吸音の効率を向上させ、本発明の防音構造10の防音効率の低下を防止している。
即ち、微細貫通孔層16の複数の微細貫通孔18は、貫通孔板12の複数の貫通孔14が視認されないのは勿論、微細貫通孔18自体が視認されないようにランダムに配置されている。なお、本発明では、複数の微細貫通孔18が視認され難いほど視認性が良いという。このように、複数の微細貫通孔18がランダムに配置されていることは、視認性の点のみならず、微細貫通孔18の生産性、吸音特性のロバスト性、さらには音の回折を抑制する等の観点から好ましい。音の回折に関しては、微細貫通孔18が周期的に配列されているとその微細貫通孔18の周期に従って音の回折現象が生じ、音が回折により曲がり騒音の進む方向が複数に分かれる懸念がある。ランダムとは完全に配列したような周期性は持たない配置になっている状態であり、各微細貫通孔18による吸収効果が現れる一方で、微細貫通孔18間の最小距離による音の回折現象は生じない配置となる。
上述したように、配列に起因する微細貫通孔18の視認性の観点から、微細貫通孔18はランダムに配置されている必要がある。微細貫通孔18が規則的に配列されていると、その微細貫通孔18の配列の周期に従って光の回折現象が生じ光が虹色に拡がって見えるおそれがある。
特に、上述したように、微細貫通孔18の平均孔径を100μm未満と小さい孔径とした場合には、吸音性能の観点から平均開口率はある程度高くする必要がある。そのため、隣接する微細貫通孔18間の距離(貫通孔間最小距離)が小さくなるため、規則的な配列による光の回折現象が発生しやすくなる。しかしながら、本発明では、微細貫通孔18をランダムに配置しているので、微細貫通孔の平均孔径を100μm未満と小さい孔径とし、高い吸音性能を発揮する構成とした場合でも、微細貫通孔間最小距離による光の回折現象は生じにくくすることができる。
なお、本発明において、微細貫通孔がランダムに配置されるとは、以下のように定義する。
完全に周期構造であるときには強い回折光が現れる。また、周期構造のごく一部だけ位置が異なるなどしても、残りの構造によって回折光が現れる。回折光は、周期構造の基本セルからの散乱光の重ね合わせで形成される波であるため、ごく一部だけ乱されても残りの構造による干渉が回折光を生じるというメカニズムである。
よって、周期構造から乱れた基本セルが多くなればなるほど、回折光を強めあう干渉をする散乱光が減っていくことにより、回折光の強さが小さくなる。
よって、本発明における「ランダム」とは、少なくとも全体の10%の微細貫通孔が周期構造からずれた状態であることを示す。上記の議論より、回折光を抑制するためには周期構造からずれた基本セルが多いほど望ましいため、全体の50%がずれている構造が好ましく、全体の80%がずれている構造がより好ましく、全体の90%がずれている構造がさらに好ましい。
ずれの検証としては、微細貫通孔が5個以上が収まる画像をとり、その分析を行うことによって行うことができる。収める微細貫通孔の数は多い方がより精度の高い分析を行うことができる。画像は光学顕微鏡によっても、SEMによっても、その他、微細貫通孔複数個の位置を認識できる画像であれば用いることができる。
撮影した画像において、一つの微細貫通孔に着目し、その周囲の微細貫通孔との距離を測定する。最近接である距離をa1、第二、第三、第四番目に近い距離をそれぞれa2、a3、a4とする。このとき、a1からa4の中で二つ以上の距離が一致する場合(例えば、その一致した距離をb1とする)、その微細貫通孔はb1の距離について周期構造を持つ孔として判断できる。一方で、a1からa4のどの距離も一致しない場合、その微細貫通孔は周期構造からずれた微細貫通孔として判断できる。この作業を画像上の全微細貫通孔に行い判断を行う。
ここで、上記「一致する」は着目した微細貫通孔の孔径をΦとしたときにΦのずれまでは一致したとする。つまり、a2−Φ<a1<a2+Φの関係であるとき、a2とa1は一致したとする。これは、回折光が各微細貫通孔からの散乱光を考えているため、孔径Φの範囲では散乱が生じていると考えられるためである。なお、微細貫通孔の形状が円形でない場合は、外接円で近似して円形として取り扱う。
次に、例えば「b1の距離について周期構造を持つ微細貫通孔」の個数を数えて、画像上の全微細貫通孔の個数に対する割合を求める。この割合をc1としたとき、割合c1が周期構造を持つ微細貫通孔の割合であり、1−c1が周期構造からずれた微細貫通孔の割合となり、1−c1が上記の「ランダム」を決める数値となる。複数の距離、例えば「b1の距離について周期構造を持つ微細貫通孔」と「b2の距離について周期構造を持つ微細貫通孔」が存在した場合、b1とb2についてはそれぞれ別にカウントする。b1の距離について周期構造の割合がc1、b2の距離について周期構造の割合がc2であったとすると、(1−c1)と(1−c2)がともに10%以上である場合にその構造は「ランダム」となる。
一方で、(1−c1)と(1-c2)のいずれかが10%未満となる場合、その構造は周期構造を持つことになり「ランダム」ではない。このようにして、いずれの割合c1、c2、…に対しても「ランダム」の条件を満たす場合に、その構造を「ランダム」と定義する。
また、複数の微細貫通孔18は、平均孔径が1μm〜250μmであれば、1種類の孔径の微細貫通孔18からなるものであってもよく、2種以上の孔径の微細貫通孔18からなるものであってもよい。生産性の観点、耐久性の観点等から、2種以上の孔径の微細貫通孔18からなるのが好ましい。
生産性としては、上記のランダム配列と同じく、大量にエッチング処理を行う観点から孔径にばらつきを許容した方が生産性が向上する。また、耐久性の観点としては、環境によってほこりやごみのサイズが異なるため、もし1種類の孔径の微細貫通孔とすると主要なゴミのサイズが微細貫通孔とほぼ合致するときに全ての微細貫通孔に影響を与えることとなる。複数種類の孔径の微細貫通孔を設けておくことによって、様々な環境において適用できるデバイスとなる。
また、国際公開WO2016/060037号に記載の製造方法等によって、微細貫通孔内部で孔径が膨らんでいる、内部で最大径となる微細貫通孔を形成することができる。この形状によって、微細貫通孔サイズ程度のゴミ(埃、トナー、不織布や発泡体のバラけたものなど)が内部に詰まりにくくなり、微細貫通孔を有する微細貫通孔層の耐久性が向上する。
微細貫通孔の最表面の直径より大きなゴミは微細貫通孔内に侵入せず、一方直径より小さなゴミは内部直径が大きくなっていることよりそのまま微細貫通孔内を通過できる。
これは、逆の形状で内部がすぼまっている形状を考えると、微細貫通孔の最表面を通ったゴミが内部の直径が小さい部分に引っかかり、ゴミがそのまま残りやすいことと比較すると、内部で最大径となる形状がゴミの詰まり抑制では有利に機能することがわかる。
また、いわゆるテーパ形状のように、膜のどちらか一方の表面が最大径となり、内部直径が略単調減少する形状においては、最大径となる方から「最大径>ゴミのサイズ>もう一方の表面の直径」の関係を満たすゴミが入った場合に、内部形状がスロープのように機能して途中で詰まる可能性がさらに大きくなる。
また、音が微細貫通孔内を通過する際の摩擦をより大きくする観点から、微細貫通孔の内壁面は、粗面化されているのが好ましい。具体的には、微細貫通孔の内壁面の表面粗さRaは、0.1μm以上であるのが好ましく、0.1μm〜10.0μmであるのがより好ましく、0.2μm以上1.0μm以下であるのがより好ましい。
ここで、表面粗さRaは微細貫通孔内をAFM(Atomic Force Microscope)で計測することによって測定を行うことができる。AFMとしては、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス社製 SPA300を用いることができる。カンチレバーはOMCL−AC200TSを用い、DFM(Dynamic Force Mode)モードで測定することができる。微細貫通孔の内壁面の表面粗さは、数ミクロン程度であるため、数ミクロンの測定範囲および精度を有する点から、AFMを用いることが好ましい。
また、微細貫通孔内のSEM画像から微細貫通孔内の凹凸の凸部の一つ一つを粒子とみなして、凸部の平均粒径を算出することができる。
具体的には、2000倍の倍率で撮ったSEM画像(1mm×1mm程度の視野)をImage Jに取り込み、凸部が白となるように白黒に二値化し、その各凸部の面積をAnalyze Particlesにて求める。その各面積と同一面積となる円を想定した円相当径を各凸部について求めて、その平均値を平均粒径として算出する。
この凸部の平均粒径は0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。
ここで、例えば、シミュレーションによって微細貫通孔内の速度を計測すると、貫通孔内の速度は音圧が1[Pa](=94dB)のときに5×10-2(m/s)程度、60dBのときに1×10-3(m/s)程度となる。
シミュレーションにおいては、有限要素法の解析ソフトウェアであるCOMSOLver5.1(COMSOL Inc)の音響モジュールを用いて設計を行う。音響モジュール内での熱音響モデルを用いることによって、流体中(空気も含む)を透過する音波と微細貫通孔の壁面の摩擦による吸音を計算することができる。
周波数2500Hzの音を吸音するとき、局所速度より、音波を媒介する媒質の局所的な移動速度が分かる。それより、もし、微細貫通孔の貫通方向に粒子が振動していると仮定して、移動距離を求めた。音は振動しているため、その距離振幅は半周期内に移動できる距離となる。2500Hzでは、一周期が1/2500秒であるため、その半分の時間は同じ方向にできる。局所速度から求められる音波半周期での最大移動距離(音響移動距離)は、94dBで10μm、60dBで0.2μmとなる。よって、この音響移動距離程度の表面粗さを持つことによって摩擦が増加するため、上述した表面粗さRaの範囲、および、凸部の平均粒径の範囲が好ましい。
ここで、微細貫通孔18の大きさに起因する視認性の観点からは、微細貫通孔層16に形成される複数の微細貫通孔18の平均孔径は、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
本発明の防音構造10に用いられる、微細貫通孔18を有する微細貫通孔層16を壁表面や目に見えるところに配置する場合、微細貫通孔18自体が見えてしまうとデザイン性を損ない、見た目として孔があいていることが気になるため、微細貫通孔18が見えにくい必要がある。部屋内の防音壁、調音壁、防音パネル、調音パネル、および、機械の外装部分など様々なところで微細貫通孔が見えてしまうと問題になる。
まず、一つの微細貫通孔の視認性について検討する。
以下、人間の目の分解能が視力1の場合において議論する。
視力1の定義は1分角を分解して見えることである。これは30cmの距離で87μmが分解できることを示す。視力1の場合の距離と分解能との関係を図3に示す。
微細貫通孔が見えるかどうかは、上記視力に強く関係する。視力検査をランドルト環のギャップ部分の認識で行うように、二点及び/又は二線分間の空白が見えるかは分解能に依存する。すなわち、目の分解能未満の孔径の微細貫通孔は、微細貫通孔のエッヂ間の距離が目で分解ができないため視認が困難となる。一方で目の分解能以上の孔径の微細貫通孔の形状は認識できる。
視力1の場合、100μmの微細貫通孔は35cmの距離から分解できるが、50μmの微細貫通孔は18cm、20μmの微細貫通孔は7cmの距離まで近づかないと分解することができない。よって、100μmの微細貫通孔では視認できて気になる場合でも、20μmの微細貫通孔を用いることで1/5の極めて近い距離に近づかない限り認識できない。よって、孔径が小さい方が、微細貫通孔が視認されにくく有利となる。防音構造を壁や車内に用いたときに観察者からの距離は一般的に数10cmの距離となるが、その場合は孔径100μm程度がその境目となる。
次に、微細貫通孔によって生じる光散乱について議論する。可視光の波長は400nm〜800nm(0.4μm〜0.8μm)程度であるため、本発明で議論している数10μmの孔径は十分に光学波長より大きい。この場合、可視光において散乱断面積(物体がどれだけ強く散乱するかを示す量、単位は面積)は幾何学的断面積、すなわち今回の場合では微細貫通孔の断面積にほぼ一致する。すなわち、可視光が散乱される大きさは微細貫通孔の半径(円相当直径の半分)の二乗に比例することが分かる。よって、微細貫通孔が大きければ大きいほど、光の散乱の強さが貫通孔の半径の二乗で大きくなっていく。微細貫通孔単体の見えやすさは光の散乱量に比例するため、平均開口率が同一の場合でも微細貫通孔一つ一つが大きい場合の方が見えやすい。
さらに、本発明の防音構造は、微細貫通孔が複数存在する系であるため、一つ一つの微細貫通孔の見えやすさに加えて、微細貫通孔の配置による空間周波数も視認性に強く関連する。配列による見えやすさを示したものが視覚伝達関数(visual transfer function(VTF)、国際公開WO2014/141867 A1参照、視覚伝達関数自体は「R.P.Dooley, R.Shaw: Noise Perception in Electrophotography, J.Appl.Photogr.Eng., 5, 4 (1979), pp.190-196.」により提唱されている)である。視覚伝達関数とは、空間周波数(周期構造、ピッチ、および、粒子配列などの並び方)ごとに、どの程度人間の視覚により検知されやすいかを示した関数であり、数値が大きいほど検知されやすいことを示す。
視覚伝達関数によると、人間は数mm-1の空間周波数を最も強く認識できることが分かっている。
視覚伝達関数についての検討結果を以下に示す。
まず、ヘルムホルツ型の共鳴構造の上に配置された微細貫通孔が複数形成された微細貫通孔層に関して、微細貫通孔の平均孔径が20μm、30μm、40μm、及び50μmのそれぞれ場合について、その際の微細貫通孔間の平均ピッチから空間周波数を計算した。結果を図4に示す。このとき、それぞれの微細貫通孔は二次元正方配置で周期的に並んでいるとした。
次に、各平均孔径について、上記で求めた空間周波数の場合の視認性を視覚伝達関数(VTF)を用いて評価した。結果を図5に示す。また、図6に平均孔径が20μmの空間周波数と視覚伝達関数との関係を求めたグラフを示す。
図5に示すとおり、平均孔径が50μmの場合は、VTFが0.77と大きいのに対して、平均孔径が20μmの場合は、VTFが0.009と1/850程度小さくなる。すなわち、吸音特性を持たせた場合に平均孔径が20μmの構成は、平均孔径50μmの構成と比較して1/850倍視認されにくい構造とすることができる。
なお、上記議論は、完全に周期性を持つ場合について行ったが、擬周期性を有する場合でも同様の議論ができる。微細貫通孔、及び粒子配列における擬周期性について以下に示す。一つ一つの単位(今回は一つ一つの微細貫通孔)は大きさを持たない理想的な点ではなく大きさ(今回は一つ一つの孔径)を有する。特に密度が大きい場合や単位間反発が大きい場合には、それぞれの単位がその大きさによってお互いを反発したり排除し合って配列する。このとき、特徴的な単位間長さを有し、ランダムなプロセスであっても擬周期性を持つことがある。
最後に、微細貫通孔の配列に関して周期性を有さないランダムな配列と、周期的な配列との差について検討する。周期的な配列では、その周期に応じて光の回折現象が生じる。この場合、透過する白色光、反射する白色光および広いスペクトルの光等が当たった場合に、光が回折して虹のように色がずれて見える、特定角度で強く反射するなど、色みが様々に見えてしまうことでパターンが目立つ。
一方で、ランダムに配列した場合は上記の回折現象が生じない。
また、微細貫通孔層16の厚みには限定はないが、厚みが厚いほど音が微細貫通孔18を通過する際に受ける摩擦エネルギが大きくなるため、吸音性能がより向上すると考えられる。また、極端に薄い場合には取り扱いが難しく破けやすいため、保持できる程度に厚い方が望ましい。一方で、小型化、通気性および光の透過性は厚みが薄いのが好ましい。また、微細貫通孔18の形成方法にエッチングなどを用いる場合は、厚みが厚いほど作製に時間がかかるため生産性の観点からは薄い方が望ましい。
吸音性能、小型化、通気性および光の透過性の観点から、微細貫通孔層16の厚みは、1μm〜250μmであることが好ましく、5μm〜200μmであることがより好ましく、7μm〜150μmであることが更に好ましく、10μm〜100μmであることが更により好ましく、15μm〜50μmであることが特に好ましい。
なお、微細貫通孔層16の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、貫通孔板12の平面形状、及びサイズ等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
以下、微細貫通孔層16がフィルム状の層である場合について説明する。
フィルム状の層の材料には、特に限定はなく、貫通孔板12の材料と同様な材料を用いることができる。微細貫通孔層16の材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル、パーマロイ、42アロイ、コバール、ニクロム、銅、ベリリウム、リン青銅、黄銅、洋白、錫、亜鉛、鉄、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鋼鉄、タングステン、鉛、ステンレス、および、イリジウム等の各種金属;それら金属による合金材料;PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリ塩化ビニルデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルベンテン、COP(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート、ゼオノア、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレン、および、ポリイミド、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)、PLA樹脂等の樹脂材料等が利用可能である。さらに、薄膜ガラスなどのガラス材料;CFRP(炭素繊維強化プラスチック:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック:Glass Fiber Reinforced Plastics)のような繊維強化プラスチック材料を用いることもできる。
微細貫通孔層16の材料としては、特に、貫通孔板12、背面板20、及び枠体22が可燃性材料からなる場合には、難燃材であることが好ましい。難燃材としては、金属材料であることがより好ましい。
即ち、難燃性が高く、かつヤング率が高く、厚みが薄くても振動が起きにくく、微細貫通孔での摩擦による吸音の効果が得られやすい等の観点から、金属材料を用いるのがより好ましい。なかでも、コストおよび入手容易性の観点から、銅、ニッケル、ステンレス、チタンおよびアルミニウムが更に好ましい。特に、軽量である、エッチング等により微小な貫通孔を形成しやすい、入手性やコスト等の観点からアルミニウム及びアルミニウム合金を用いるのが最も好ましい。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
さらに、少なくとも微細貫通孔の内表面に金属めっきを施すことによって、微細貫通孔の平均孔径をより小さい範囲に調整してもよい。
また、微細貫通孔層の材料として、金属材料のように導電性を持ち帯電しない材料を用いることによって、微小な埃およびゴミ等が静電気で膜に引き寄せられることがなく、微細貫通孔層の微細貫通孔に埃およびゴミ等が詰まって吸音性能が低下することを抑制できる。
また、微細貫通孔層の材料として、金属材料を用いることによって、耐熱性を高くできる。また、耐オゾン性を高くすることができる。
また、微細貫通孔層の材料として、金属材料を用いる場合には、電波を遮蔽することができる。
また、金属材料は、遠赤外線による輻射熱に対する反射率が大きいため、微細貫通孔層の材料として金属材料(導電性材料)を用いることで、輻射熱による伝熱を防ぐ断熱材としても機能する。その際、微細貫通孔層には複数の微細貫通孔が形成されているが、微細貫通孔の孔径が小さいため微細貫通孔層は反射膜として機能する。
金属に複数の微細貫通孔が開いた構造は、周波数のハイパスフィルタとして機能することが知られている。例えば、電子レンジの金属の網目がついた窓は、高周波である可視光は通しながら、電子レンジに用いられるマイクロ波に対しては遮蔽する性質を持つ。この場合、微細貫通孔の孔径をΦ、電磁波の波長をλとしたときに、Φ<λの関係の長波長成分は通さず、Φ>λである短波長成分は透過するフィルタとして機能する。
ここで、輻射熱に対する応答を考える。輻射熱とは、物体から物体温度に応じて遠赤外線が放射され、それが他の物体に伝えられる伝熱機構である。ヴィーンの放射法則(Wien's radiation law)から、室温程度の環境における輻射熱はλ=10μmを中心として分布し、長波長側にはその3倍程度の波長まで(30μmまで)は実効的に熱を輻射で伝えることに寄与していることが知られている。上記ハイパスフィルタの孔径Φと波長λの関係を考えると、Φ=20μmの場合はλ>20μmの成分を強く遮蔽する一方で、Φ=50μmの場合はΦ>λの関係となり輻射熱が微細貫通孔を通って伝搬してしまう。すなわち、孔径Φが数10μmであるために孔径Φの違いによって輻射熱の伝搬性能が大きく変わり、孔径Φ、すなわち、平均孔径が小さいほど輻射熱カットフィルタとして機能することが分かる。従って、輻射熱による伝熱を防ぐ断熱材としての観点からは、微細貫通孔層に形成される微細貫通孔の平均孔径は20μm以下が好ましい。
一方で、防音構造全体に透明性が必要な場合には、透明にできる樹脂材料やガラス材料を用いることができる。例えば、PETフィルムは、樹脂材料の中ではヤング率も比較的高く、入手も容易で透明性も高いため、微細貫通孔を形成し好適な防音構造とすることができる。
また、微細貫通孔層は、その素材に応じて、適宜、表面処理(メッキ処理、酸化皮膜処理、表面コーティング(フッ素、セラミック)など)を行うことで、微細貫通孔層の耐久性を向上することができる。例えば、微細貫通孔層の材料としてアルミニウムを用いる場合には、アルマイト処理(陽極酸化処理)あるいはベーマイト処理を行なって表面に酸化皮膜を形成することができる。表面に酸化皮膜を形成することで、耐腐食性、耐摩耗性および耐擦傷性等を向上することができる。また、処理時間を調整して酸化皮膜の厚みを調整することで光学干渉による色味の調整を行なうことができる。
また、微細貫通孔層に対して、色付け、加飾、装飾およびデザイン等を施すことができる。これらを施す方法としては、微細貫通孔層の材質や表面処理の状態により適宜方法を選択すればよい。例えば、インクジェット法を用いた印刷などを用いることができる。また、微細貫通孔層の材料としてアルミニウムを用いる場合には、カラーアルマイト処理を行うことで耐久性の高い色付けを行なうことができる。カラーアルマイト処理とは表面にアルマイト処理を行った後に、染料を浸透させ、その後に表面を封孔処理する処理のことである。これによって、金属光沢の有無や色など、デザイン性の高い微細貫通孔層とすることができる。また、微細貫通孔を形成したのちにアルマイト処理を行うことで、アルミニウム部分のみに陽極酸化被膜が形成されるために、染料が微細貫通孔を覆ってしまい吸音特性を低減するということなく加飾を行うことができる。
上記アルマイト処理と合わせることで、さまざまな色みやデザインをつけることができる。
次に、微細貫通孔層が、繊維状の層である場合について説明する。
前述のとおり、微細貫通孔層は、繊維自体、又は不織布などの繊維状の層であってもよい。繊維状の層の場合には、繊維間の空間を貫通孔と見なすことができる。
また、繊維自体を層状にした場合には、繊維が不規則に重なるために、また、不織布の場合には、繊維は不規則に織られるため、繊維同士は平行または直交ではないが、繊維に囲まれた空間に貫通孔が形成される。従って、繊維径と密度とによって微細貫通孔の平均孔径と平均開口率とが決まる。
微細貫通孔層が、繊維状の層である場合の厚みは、250μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
繊維状の層の繊維径は、通常数10μm程度である。従って、厚みを100μm以下とすることで、多くの糸が積層されない。そのため、繊維に囲まれた空間をほぼ貫通孔のようにみなすことができる。このことにより、繊維状の部材であっても貫通孔を有する板状の部材と同様にして吸音特性を取り扱うことができる。
繊維状の層の材料としては、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、低密度ポリエチレン樹脂繊維、エチレン酢酸ビニル樹脂繊維、合成ゴム繊維、共重合ポリアミド樹脂繊維、共重合ポリエステル樹脂繊維、等の樹脂材料からなる繊維;紙(ティッシュペーパー、和紙など);SUS繊維(株式会社巴川製紙所製ステンレス繊維シート「トミーファイレックSS」など)等の金属材料からなる繊維;カーボン材料の繊維、カーボン含有材料の繊維などを挙げることができる。
本発明における吸収の特性は微細貫通孔を音が通過することで生じるため、繊維状の部材の材質が変化しても音響特性にはほとんど変化はない。よって、素材は自由に選択することができる。また、音響特性以外の特性に合わせて選択することもできる。例えば、耐熱性が必要な場合には金属材料を選択することができ、軽量化が必要な場合にはプラスチック材料を選択することができる。
また、微細貫通孔層16と貫通孔板12とは接して配置されていればよいが、接着固定されるのが好ましい。
微細貫通孔層16と貫通孔板12とを接着固定することによって、微細貫通孔層16の剛性をより高くすることができ、共鳴振動周波数をより高くすることができる。
微細貫通孔層16と貫通孔板12とを接着固定する場合に用いる接着剤は、微細貫通孔層16の材質および貫通孔板12の材質等に応じて選択すればよい。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、および、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
次に、背面板20は、貫通孔板12の他方の主面(図1中下面)の側(即ち、微細貫通孔層16が設けられる側と反対側)に間隔を開けて配置される。
背面板20は、貫通孔板12との間に枠体22を挟持するためのものである。
背面板20の厚みは、貫通孔板12との間において枠体22を支持できれば特に制限的ではないが、例えば、0.1mm〜100mmであることが好ましく、1mm〜50mmであることがより好ましく、5mm〜20mmであることが特に好ましい。
また、背面板20の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、貫通孔板12、又は枠体22の平面形状、及びサイズ等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
また、背面板20の材料としては、貫通孔板12との間において枠体22を挟持できれば特に制限的ではなく、貫通孔板12と同様な材料を用いることができる。例えば、背面板20の材料として、アルミニウム、および、鉄等の各種金属、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の各種樹脂材料を用いることができる。
また、背面板20は、貫通孔板12との間に枠体22を挟持できれば、防音構造を設置する各種機器の構成部材、あるいは、壁等であってもよい。すなわち、例えば、微細貫通孔板16と貫通孔板12と枠体22とからなる防音構造を壁に設置する際に、枠体22の貫通孔板12が配置される面とは反対側の面を壁に接するように配置することで、壁を背面板20として利用する構成としてもよい。
枠体22は、貫通孔板12と背面板20との間に配置されるもので、厚み方向に貫通する複数の開口(枠)24を有する。
枠体22の複数の開口24は、両側に配置される貫通孔板12と背面板20とによって閉じられ、貫通孔板12の貫通孔14背後は、閉空間とされ、背後空気層が形成される。
ここで、枠体22の1つの開口24に対応して、貫通孔板12の1つの貫通孔14が対応するように貫通孔板12に対して枠体22を配置することが好ましい。したがって、貫通孔板12の複数の貫通孔14は、それぞれ枠体22の複数の開口24に対応して配置される。複数の貫通孔14が貫通孔板12に規則的に配置されている場合には、枠体22の複数の開口24も、複数の貫通孔14の規則的な配置に応じて規則的に配置されることは勿論である。
なお、枠体22の複数の開口24の配置、及び貫通孔板12の複数の貫通孔14の配置は、上記のものに限定されない。枠体22の開口24に対して貫通孔板12の2つ以上の貫通孔14が対応するように貫通孔板12に対して枠体22を配置してもよい。また、複数の開口24は、枠体22に規則的に配置されていなくても良い。
また、枠体22は、ハニカム構造を有することが好ましい。即ち、開口(枠)24の形状は、平面形状で、ハニカム形状であることが好ましいが、本発明においては、特に制限的ではない。例えば、開口24の形状は、円形、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、開口24の孔径(サイズ)は、貫通孔14の孔径と同様に定義することができる。
ここで、枠体22の開口(枠)24の孔径(サイズ)は、1mm〜500mmであることが好ましく、5mm〜250mmであることがより好ましく、10mm〜100mmであることが特に好ましい。
ここで、図1に示すように、枠体22の開口24の孔径は、貫通孔板12の貫通孔14の孔径よりも大きく、また、枠体22の開口24の開口率は、貫通孔板12の貫通孔14の開口率よりも大きい。
なお、開口24の形状、及び/又は孔径は、全ての開口24において、一定であっても良いが、異なるサイズ(形状が異なる場合も含む)の開口(枠)が含まれていても良い。
枠体22の厚みは、貫通孔板12と背面板20との間の間隔(離間距離)に等しいが、特に制限的ではなく、本発明の防音構造10が使用される場所、及び環境に応じて決定されれば良いし、選択されればよい。枠体22の厚みは、例えば、0.1mm〜10mmであることが好ましく、1mm〜5mmであることがより好ましい。
また、枠体22の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、貫通孔板12、又は枠体22の平面形状、及びサイズ等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
また、枠体22の材料としては、貫通孔板12及び微細貫通孔板16を支持でき、貫通孔板12と背面板20との間の間隔を一定に維持できれば、特に制限的ではなく、貫通孔板12と同様な材料を用いることができる。
枠体22と貫通孔板12、及び枠体22と背面板20とは、隙間なく固定されていることが好ましい。枠体22と貫通孔板12との固定方法、及び枠体22と背面板20との固定方法は、特に制限的ではなく、枠体22と貫通孔板12、及び背面板20とを固定できればどのようなものでも良く、例えば、接着剤用いる方法、又は物理的な固定具を用いる方法などを挙げることができる。
接着剤を用いる方法は、接着剤を枠体22の開口24を囲む(枠の)表面上に接着剤を塗布し、その上に貫通孔板12、及び背面板20を載置し、枠体22に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、および、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
物理的な固定具を用いる方法としては、枠体22の開口(枠)24を覆うように配置された貫通孔板12、及び背面板20を枠体22と棒等の固定部材との間に挟み、固定部材をネジやビス等の固定具を用いて枠体22に固定する方法等を挙げることができる。
また、図1に示す例においては、枠体22は、複数の開口24を有する構成としたが、これに限定はされず、図7に示すように、1つの開口(枠)24のみを有する構成としても良い。
なお、上述した例においては、貫通孔板12と枠体22と背面板20とは別の部材としたが、貫通孔板12と枠体22とが一体化されていても良いし、枠体22と背面板20とが一体化されていても良い。あるいはさらに、微細貫通孔層16と貫通孔板12と枠体22とが一体化された構成であってもよい。
貫通孔板12と枠体22とが一体化した部材、及び枠体22と背面板20とが一体化した部材は、例えば、3Dプリンターで作製することができる。また、微細貫通孔層16と貫通孔板12と枠体22とが一体化した部材は、例えば、微細貫通孔層16を形成する部材と貫通孔板12と枠体22とを3Dプリンターで一体成型した後に、レーザーで微細貫通孔層16を形成する部材に微細貫通孔18を形成することによって作製できる。
以上のように、貫通孔板12、枠体22、及び背面板20を有する構成とすることによって、ヘルムホルツ型の共鳴構造を構成することができ、ヘルムホルツ型の共鳴構造によって共鳴中心周波数を低周波数化することができる。また、枠体22、及び背面板20によって微細貫通孔層16及び貫通孔板12の剛性をより高くすることができる。
また、本発明においては、平均孔径が1μm〜250μmであり、ランダムに穿孔された微細貫通孔18を有する微細貫通孔構造を持つ微細貫通孔層16をヘルムホルツ型の共鳴構造の貫通孔板12の貫通孔14の上に配置することにより、ヘルムホルツ型の共鳴構造の貫通孔14を見え難くし、外観の美観性を高め、かつ広帯域な吸音を行うことができる。
また、微細貫通孔層16を金属によって構成することにより、ヘルムホルツ型の共鳴構造を構成する貫通孔板12、枠体22、及び背面板20が合成樹脂、又は紙等の可燃性材料でできている場合、その構造の耐火性を高めることができる。
即ち、本発明の防音構造では、ヘルムホルツ型の共鳴構造を用いるものであるにもかかわらず、外観上の見栄えをよくするだけでなく、吸音効果を高めることができる。
本発明の防音構造は、上記以外にも、以下のような防音部材として使用することができる。
例えば、本発明の防音構造を持つ防音部材としては、
建材用防音部材:建材用として使用する防音部材、
空気調和設備用防音部材:換気口、および、空調用ダクトなどに設置し、外部からの騒音を防ぐ防音部材、
外部開口部用防音部材:部屋の窓に設置し、室内又は室外からの騒音を防ぐ防音部材、
天井用防音部材:室内の天井に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
床用防音部材:床に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
内部開口部用防音部材:室内のドア、あるいは、ふすまの部分に設置され、各部屋からの騒音を防ぐ防音部材、
トイレ用防音部材:トイレ内またはドア(室内外)部に設置、トイレからの騒音を防ぐ防音部材、
バルコニー用防音部材:バルコニーに設置し、自分のバルコニーまたは隣のバルコニーからの騒音を防ぐ防音部材、
室内調音用部材:部屋の音響を制御するための防音部材、
簡易防音室部材:簡易に組み立て可能で、移動も簡易な防音部材、
ペット用防音室部材:ペットの部屋を囲い、騒音を防ぐ防音部材、
アミューズメント施設:ゲームセンター、スポーツセンター、コンサートホール、および、映画館等に設置される防音部材、
工事現場用仮囲い用の防音部材:工事現場を覆い周囲に騒音の漏れを防ぐ防音部材、
トンネル用の防音部材:トンネル内に設置し、トンネル内部および外部に漏れる騒音を防ぐ防音部材、等を挙げることができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
図1に示す防音構造10のように、まず、厚み5mmの背面板20と、直径φ10mmの貫通孔14が中央に穿孔された厚み2mmの貫通孔板12と、背面板20と貫通孔板12との間に厚みが20mm、内径が40mmの開口24が空いた外形が44mmの枠体22とが配置されているヘルムホルツ型の共鳴器(共鳴構造)を準備した。これらの背面板20、貫通孔板12、及び枠体22は、アクリル製であった。次に、平均孔径が25μm、平均開口率が6.2%の微細貫通孔18がランダムに穿孔された、平均厚みが20μmのアルミニウム製の微細貫通孔層16を作製した。更に、貫通孔板12上に、作製したアルミニウム製の微細貫通孔層16を積層して、実施例1の防音構造を作製した。
なお、微細貫通孔層16の作製は、以下のように行った。
平均厚み20μm、大きさ210mm×297mm(A4サイズ)のアルミニウム基材(JIS H−4160、合金番号:1N30−H、アルミニウム純度:99.30%)の表面に、以下に示す処理を施し、微細貫通孔層16を作製した。
(a1)水酸化アルミニウム皮膜形成処理(皮膜形成工程)
50℃に保温した電解液(硝酸濃度10g/L、硫酸濃度6g/L、アルミニウム濃度4.5g/L、流量0.3m/s)を用いて、上記アルミニウム基材を陰極として、電気量総和が1000C/dm2の条件下で20秒間、電解処理を施し、アルミニウム基材に水酸化アルミ皮膜を形成した。なお、電解処理は、直流電源で行った。電流密度は、50A/dm2とした。
水酸化アルミニウム皮膜形成後、スプレーによる水洗を行った。
(b1)電解溶解処理(貫通孔形成工程)
次いで、50℃に保温した電解液(硝酸濃度10g/L、硫酸濃度6g/L、アルミニウム濃度4.5g/L、流量0.3m/s)を用いて、アルミニウム基材を陽極として、電気量総和が600C/dm2の条件下で24秒間、電解処理を施し、アルミニウム基材及び水酸化アルミ皮膜に貫通孔を形成した。なお、電解処理は、直流電源で行った。電流密度は、25A/dm2とした。
貫通孔の形成後、スプレーによる水洗を行い、乾燥させた。
(c1)水酸化アルミニウム皮膜の除去処理(皮膜除去工程)
次いで、電解溶解処理後のアルミニウム基材を、水酸化ナトリウム濃度50g/L、アルミニウムイオン濃度3g/Lの水溶液(液温35℃)中に32秒間浸漬させた後、硝酸濃度10g/L、アルミニウムイオン濃度4.5g/Lの水溶液(液温50℃)中に40秒間浸漬させることにより、水酸化アルミニウム皮膜を溶解し、除去した。
その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥させることにより、貫通孔を有する微細貫通孔層16を作製した。
こうして作製した微細貫通孔層16の微細貫通孔18の平均孔径および平均開口率を測定したところ、平均孔径25μm、平均開口率6.2%であった。
また、微細貫通孔層16の微細貫通孔18の平均孔径、平均開口率、及びランダム性を上述の測定方法に従って、以下のように測定した。
1.まず、倒立光学顕微鏡により、微細貫通孔膜16の写真を撮影した。
2.ImageJを用いて、微細貫通孔18の孔径、開口率、及び2つの微細貫通孔18の孔間距離を求めた。上記写真上の微細貫通孔18の個数を求めた。
3.上記写真上の微細貫通孔18の求めた個数の平均孔径を算出し、個数及び平均孔径から平均開口率を求めた。
4.上記孔間距離の内も最も多いものを距離b1とし、距離b1となる微細貫通孔18の個数と上記写真上の微細貫通孔18の個数からランダム性1−C1を算出した。
その結果、微細貫通孔層16は、全体の約43%の微細貫通孔18が周期構造からずれた状態であった。
また、微細貫通孔層16の厚みは、テクロック定圧厚さ測定器PG-18J(株式会社テクロック製)を用いて微細貫通孔層16の膜面内を20点測定し、その平均値から算出した。測定した微細貫通孔層16の平均厚みは、20μmであった。
なお、上述した平均開口率rhoの下限値は0.0045、上限値は0.593となるので、平均開口率6.2%はこの範囲を満足した。
(比較例1)
実施例1の防音構造において、微細貫通孔層16が形成されていないヘルムホルツ型の共鳴構造のみの防音構造を比較例1とした。
(実施例2〜3、及び比較例2〜3)
実施例1の防音構造において、直径10mmの貫通孔14が穿孔された貫通孔板12の代わりに、直径15mm、及び20mmの貫通孔14が穿孔された貫通孔板12を用いた防音構造をそれぞれ実施例2、及び実施例3とした。
実施例2、及び実施例3の防音構造において、微細貫通孔層16が形成されていないヘルムホルツ型の共鳴構造のみの防音構造をそれぞれ比較例2、及び比較例3とした。
作製した実施例1〜3、及び比較例1〜3の防音構造の音響特性を、自作のアクリル製音響管に4本のマイクを用いて伝達関数法により測定した。
この測定手法は、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従う。この測定法は、例えば、日本音響エンジニアリング株式会社が提供しているWinZacを用いた4本マイク測定法と同一の測定原理である。この測定手法で広いスペクトル帯域において垂直入射吸音率を測定することができる。100Hz〜4000Hzの範囲で垂直入射吸音率の測定を行った。音響管の内径は40mmであり、4000Hz以上までは十分に測定することができる。
図8に、実施例1、及び比較例1の防音構造の垂直入射吸音率の測定結果を示す。図9に、実施例2、及び比較例2の防音構造の垂直入射吸音率の測定結果を示す。図10に、実施例3、及び比較例3の防音構造の垂直入射吸音率の測定結果を示す。
図8〜図10から分かるように、微細貫通孔層16がない比較例1〜3の防音構造の状態であるとヘルムホルツ共鳴による吸音ピークが存在するが、実施例1〜3の防音構造のように微細貫通孔層16を配置することで吸音率が全体的に増加していることがわかる。
また、実施例1〜3の防音構造を微細貫通孔層16の側から、かつ比較例1〜3の防音構造を貫通孔板12の側から、3人の研究員が観察して、微細貫通孔層16の微細貫通孔18の視認性、及び貫通孔板12の貫通孔14の視認性を目視評価した。
その結果、実施例1〜3の防音構造では、微細貫通孔層16の微細貫通孔18、及び貫通孔板12の貫通孔14は、3人の研究員とも視認することができなかったが、比較例1〜3の防音構造では、貫通孔板12の貫通孔14は、3人の研究員とも視認することができた。
以上から、実施例1〜3の防音構造のように、表側(視認側)に微細貫通孔層16を配置することで、貫通孔板12の貫通孔14を見えなくするだけでなく、吸音性を高めることができる。また、実施例1〜3の防音構造において、微細貫通孔層16がアルミニウムなどの金属からできていれば、背面板20、枠体22、及び貫通孔板12が合成樹脂、又は紙などの可燃性材料であったとしても、防音構造の可燃性を抑制することができる。
また、枠体22がハニカム構造でできている場合には、防音構造の剛性を高めることができるので好ましい。
(実施例4)
厚み2mmの背面板20と、直径φ10mmの貫通孔14が穿孔された厚み2mmの貫通孔板12と、背面板20と貫通孔板12との間に厚みが30mm、10mm角の開口24が空いており、開口24を隔てる壁厚みが1mmの枠体22が配置されているヘルムホルツ型の共鳴器(共鳴構造)を準備した。これらの背面板20、貫通孔板12、及び枠体22は、アクリル製であった。更に、平均孔径が25μm、平均開口率が6.2%、厚みが20μmの微細貫通孔18がランダムに穿孔されたアルミニウム製の微細貫通孔層16を作製し、貫通孔板12上に積層して、実施例4の防音構造を作製した。また、微細貫通孔層16は、全体の約43%の微細貫通孔18が周期構造からずれた状態であった。
なお、上述した平均開口率rhoの下限値は0.0045、上限値は0.593となるので、平均開口率6.2%はこの範囲を満足した。
作製された実施例4の防音構造を微細貫通孔層16の側から3人の研究員が観察して、微細貫通孔層16の微細貫通孔18の視認性、及び貫通孔板12の貫通孔14の視認性を目視評価した。
その結果、実施例4の防音構造では、微細貫通孔層16の微細貫通孔18、及び貫通孔板12の貫通孔14は、3人の研究員とも視認することができなかった。
以上の結果から、本発明の効果は明らかである。
以上、本発明に係る防音構造についての種々の実施形態および実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態および実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良、又は変更をしてもよいのはもちろんである。
10 防音構造
12 貫通孔板
14 貫通孔
16 微細貫通孔板
18 微細貫通孔
20 背面板
22 枠体
24 開口

Claims (11)

  1. 厚み方向に貫通し、孔径10mm以上100mm以下の複数の貫通孔を有する貫通孔板と、
    ランダムに穿孔され、厚み方向に貫通し、平均孔径1μm〜250μmの複数の微細貫通孔を有し、前記貫通孔板の一方の主面に配置された微細貫通孔層と、
    前記貫通孔板の他方の主面の側に間隔を開けて配置された背面板と、
    前記貫通孔板と前記背面板との間に配置される、貫通する複数の開口を有する枠体とを有し、
    前記貫通孔板は、前記枠体の前記開口に対応する前記貫通孔を有するものであり、
    前記貫通孔板、及び前記背面板は、前記枠体の前記複数の開口の両面をそれぞれ覆って閉塞するものであり、
    前記微細貫通孔層の前記複数の微細貫通孔が全体の内の少なくとも10%の前記微細貫通孔が周期構造からずれた状態にあるようにランダムに配置されており、
    前記貫通孔板と前記背面板と前記枠体とは共鳴構造を成すものである防音構造。
  2. 前記微細貫通孔層の厚みは、1μm〜250μmである請求項1に記載の防音構造。
  3. 前記微細貫通孔層の材料は、難燃材である請求項1、又は2に記載の防音構造。
  4. 前記難燃材は、金属である請求項3に記載の防音構造。
  5. 前記金属は、アルミニウム、又はアルミニウム合金である請求項4に記載の防音構造。
  6. 前記枠体は、ハニカム構造を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の防音構造。
  7. 前記貫通孔板、前記背面板、及び前記枠体は、可燃性材料からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の防音構造。
  8. 前記可燃性材料は、合成樹脂、又は紙である請求項7に記載の防音構造。
  9. 前記貫通孔板の前記複数の貫通孔は、それぞれ前記枠体の前記複数の開口に対応し、
    1つの開口を有する前記枠体の部分と、前記1つの開口に対応する1つの前記貫通孔を有する前記貫通孔板の部分と、前記1つの開口に対応する前記背面板の部分とは、ヘルムホルツ型の共鳴構造を成す請求項1〜8のいずれか1項に記載の防音構造。
  10. 前記微細貫通孔層がフィルム状の層であり、前記微細貫通孔の内壁面が粗面化されており、表面粗さRaが、0.1μm以上、0.1〜10μmである請求項1〜9のいずれか1項に記載の防音構造。
  11. 前記微細貫通孔層がフィルム状の層であり、前記微細貫通孔の内壁面に凹凸があり、その凸部の平均粒径が0.1μm以上10.0μm以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の防音構造。
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