JP6705336B2 - 鋼床版の疲労亀裂発生抑制方法、鋼床版の製造方法、および内面押圧装置 - Google Patents

鋼床版の疲労亀裂発生抑制方法、鋼床版の製造方法、および内面押圧装置 Download PDF

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Description

本発明は、鋼床版の疲労亀裂発生を抑制する方法、疲労亀裂の発生が抑制された鋼床版を製造する方法、およびUリブの内面を押圧する内面押圧装置に関する。
従来、橋梁等の土木構造物において、鋼床版が用いられている。図1は、鋼床版を備えた橋梁の一例を示す図である。なお、図1においては、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示している。X方向は橋梁1の長さ方向を示し、Y方向は橋梁1の幅方向を示し、Z方向は鉛直方向を示す。以下の説明では、橋梁1の長さ方向を前後方向ともいい、橋梁1の幅方向を、左右方向ともいう。
図1に示す橋梁1は、鋼床版2を有している。図2は、鋼床版2の一部を斜め下方から見た図である。なお、図2においても、図1と同様に、X方向、Y方向およびZ方向を示している。
図1および図2を参照して、鋼床版2は、デッキプレート3と、複数の主桁4(図1参照)と、複数の横リブ5と、複数の縦リブ6とを有している。デッキプレート3、主桁4、横リブ5および縦リブ6はそれぞれ、鋼材からなる。
図1を参照して、デッキプレート3は、平板形状を有する。デッキプレート3の表面3aは、舗装材7によって舗装されている。舗装材7としては、例えば、アスファルトまたはコンクリート等の種々の材料を用いることができる。
主桁4は、Y−Z平面に平行な断面において、例えばI字形状を有している。主桁4は、橋梁1の長さ方向に延びるように設けられている。主桁4の上端部は、例えば、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。
図1および図2を参照して、横リブ5は、X−Z平面に平行な断面において、例えば逆T字形状を有している。横リブ5は、橋梁1の幅方向に延びるように設けられている。横リブ5の左右の端部は、例えば、主桁4に溶接されている。
図2を参照して、横リブ5は、上下方向に延びる板状のウェブ5aと、ウェブ5aの下端から前後方向に延びる板状のフランジ5bとを有している。ウェブ5aの上端部は、例えば、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。
ウェブ5aの上端部には、複数の凹部5cが設けられている。各凹部5cは、上方に向かって(デッキプレート3に向かって)開口するように形成されている。これにより、デッキプレート3とウェブ5aとの間に、縦リブ6を通すための孔が形成されている。
図1および図2を参照して、縦リブ6は、デッキプレート3側が開口するように開断面形状(U字形状)を有するUリブである。以下、縦リブ6を、Uリブ6という。具体的には、Uリブ6は、左右方向に延びる底壁部6aと、底壁部6aの左右方向における両端部から上方に延びる一対の側壁部6b,6cとを有する。側壁部6b,6cは、先端側(図1においてはデッキプレート3側)ほど互いの間隔が広がるように、底壁部6aに対して傾斜している。Uリブ6は、橋梁1の長さ方向に延びるように、かつ横リブ5を貫通するように設けられている。側壁部6b,6cの上端部は、デッキプレート3の裏面3bに溶接されている。Uリブ6の外周面は、横リブ5のウェブ5aに溶接されている。
図1を参照して、上記のような構成を有する橋梁1では、例えば、橋梁1上を自動車8が通過することによって、鋼床版2において疲労亀裂が発生する場合がある。この疲労亀裂は、例えば、デッキプレート3とUリブ6との接合部9において発生する。以下、接合部9における疲労亀裂の発生態様について説明する。
図3は、デッキプレート3と側壁部6bとの接合部9を示す拡大図である。図3に示すように、側壁部6bをデッキプレート3に溶接する際には、例えば、側壁部6bの先端部のうち外側の部分6dが溶接ビード10によってデッキプレート3に接合される。通常、溶接ビード10の溶け込み量は、Uリブの厚みの75%が基準とされており、側壁部6bの先端部のうち内側の部分6eは接合されない。このため、デッキプレート3と溶接ビード10と部分6eとの間に、切欠き状の空間11(以下、不溶着部11という。)が形成されている。このような接合部9では、溶接ビード10の近傍において、溶接時の膨張および溶接後の収縮によって、引張りの残留応力が発生している。
ここで、自動車8が橋梁1上を通過すると、デッキプレート3に荷重が加わり、デッキプレート3が撓む。これにより、デッキプレート3と溶接ビード10との境界部および側壁部6bと溶接ビード10との境界部に、曲げ応力が発生したり、引張および圧縮の変動応力が発生したりする。これらの応力の内、鋼床版の幅方向に生じる引張応力が上述の残留応力に重畳されることにより、接合部9では大きな引張応力が発生しやすい。そして、複数の自動車8が通過することによって、上記荷重がデッキプレート3に繰り返し加わると、デッキプレート3と溶接ビード10との境界部近傍および側壁部6bと溶接ビード10との境界部近傍において疲労亀裂が発生する場合がある。例えば、溶接ビード10のデッキプレート3側の止端12または側壁部6b側の止端13に疲労亀裂が発生したり、デッキプレート3側のルート部14に疲労亀裂が発生したりする。これにより、鋼床版2の強度が低下するおそれがある。
ところで、鋼床版2では、止端12および止端13は、Uリブ6の外側に位置する。このため、止端12および止端13において発生した疲労亀裂は、橋梁1の点検時等に、作業者によって発見されやすい。この場合、疲労亀裂が発生した部分を早期に補修することができるので、鋼床版2の強度低下を抑制しやすい。
一方、ルート部14は、Uリブ6の外側からは見えない位置にあるので、ルート部14において発生した疲労亀裂を発見することは難しい。また、仮に、ルート部14に疲労亀裂が発生していることを発見できたとしても、ルート部14をUリブ6の外側から補修することは難しい。このため、ルート部14に疲労亀裂が発生した場合は、Uリブ6の内側からルート部14を補修する必要があり、疲労亀裂の補修に時間および労力を要する。
そこで、従来、ルート部14において疲労亀裂が発生することを抑制するための技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、ピーニング施工方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、Uリブを用いた鋼床版において、ピーニング工具によってデッキプレートの表面に打撃を与える。特許文献1には、上記のように打撃を与えることによって、Uリブの内側の部分に圧縮残留ひずみを与えることができると記載されている。特許文献1に記載された方法では、上記のようにして圧縮残留応力を与えることによって、Uリブの内側の部分に発生した疲労亀裂の進展を抑制していると考えられる。
特開2014−172043号公報
しかしながら、上記の方法では、デッキプレートの表面側をピーニング工具によって打撃するので、デッキプレートの裏面側に十分な大きさの圧縮残留応力を与えることは難しい。この場合、疲労亀裂の進展または疲労亀裂の発生を十分に抑制できない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、Uリブとデッキプレートとを接合する溶接ビードのルート部に疲労亀裂が発生すること、およびルート部に疲労亀裂が発生した場合にその疲労亀裂が進展すること、を抑制するのに適した、方法および装置を提供することを目的としている。
(1)本発明の一実施形態に係る疲労亀裂発生抑制方法は、デッキプレートと、前記デッキプレートの下面に溶接された板厚Tのウェブを有する横リブと、前記ウェブを貫通して延びかつ一対の側壁部が前記デッキプレートおよび前記ウェブに溶接されたUリブと、を有する鋼床版の疲労亀裂発生抑制方法であって、
前記一対の側壁部が前記Uリブの外側に向かって変形するように、一対の押圧部材によって前記一対の側壁部を前記Uリブの内側から押圧する負荷工程と、
前記負荷工程において前記一対の押圧部材によって前記一対の側壁部に加えられた圧力を除く除荷工程とを備え、
前記Uリブの長さ方向を前後方向と定義し、前記一対の側壁部において、基準領域Rb、前記基準領域Rbよりも後方の後方領域Rr、および前記基準領域Rbよりも前方の前方領域Rfを下記のように定義した場合に、
前記負荷工程は、前記一対の押圧部材が後方領域Rrの少なくとも一部に接触しつつ前記一対の側壁部を押圧する後方負荷工程と、前記一対の押圧部材が前方領域Rfの少なくとも一部に接触しつつ前記一対の側壁部を押圧する前方負荷工程とを含み、
前記後方負荷工程および前記前方負荷工程において、前記一対の押圧部材は、基準領域Rbに接触しないように前記一対の側壁部を押圧する。
基準領域Rb:前記ウェブの板厚中心線から後方に0.5Tの位置よりも前方でかつ前記板厚中心線から前方に0.5Tの位置よりも後方の領域。
後方領域Rr:前記板厚中心線から後方に0.5Tの位置よりも後方でかつ前記板厚中心線から後方に2.5Tの位置よりも前方の領域。
前方領域Rf:前記板厚中心線から前方に0.5Tの位置よりも前方でかつ前記板厚中心線から前方に2.5Tの位置よりも後方の領域。
(2)前記負荷工程では、前記一対の押圧部材は、前記一対の側壁部を押圧するように前記Uリブの前記長さ方向に直交する方向に移動し、
前記除荷工程では、前記一対の押圧部材は、前記一対の側壁部から離れるように前記Uリブの前記長さ方向に直交する方向に移動してもよい。
(3)前記負荷工程および前記除荷工程は、前記一対の押圧部材を前記Uリブの前記長さ方向に移動させて繰り返し実行されてもよい。
(4)本発明の他の実施形態に係る鋼床版の製造方法は、デッキプレートと、前記デッキプレートの下面に溶接された板厚Tのウェブを有する横リブと、前記ウェブを貫通して延びかつ一対の側壁部が前記デッキプレートおよび前記ウェブに溶接されたUリブと、を備えた基材に対して、上記の疲労亀裂発生抑制方法を実施する工程を含む。
(5)本発明の他の実施形態に係る内面押圧装置は、疲労亀裂発生抑制方法を実施するために、前記Uリブの内側に配置されて使用される内面押圧装置であって、
本体部と、
前記本体部が前記Uリブの前記長さ方向に移動できるように前記本体部を支持する支持部と、
前記本体部に対して移動可能に該本体部に支持される前記一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記Uリブの一対の側壁部を前記Uリブの外側に向かって押圧するように、前記一対の押圧部材を移動させる駆動機構とを備える。
本発明によれば、Uリブおよび横リブを有する鋼床版において、溶接ビードのルート部における疲労亀裂発生および疲労亀裂進展を抑制できる。
図1は、鋼床版を備えた橋梁の一例を示す図である。 図2は、鋼床版の一部を斜め下方から見た図である。 図3は、デッキプレートと側壁部との接合部を示す拡大図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る疲労亀裂発生抑制方法の基本動作を説明するための図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る疲労亀裂発生抑制方法の基本動作を説明するための図である。 図6は、本実施形態に係る抑制方法の基本動作による作用効果を説明するための図である。 図7は、横リブ、一対の側壁部および一対の押圧部材の位置関係を示す平面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る内面押圧装置の概略構成を示す平面図である。 図9は、押圧装置の使用例を説明するための図である。 図10は、実験で用いた鋼床版を示す図である。 図11は、除荷工程後のルート部に発生している応力を示す図である。 図12は、疲労試験の結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。なお、本明細書において疲労亀裂発生抑制とは、疲労亀裂が新たに発生することを抑制するだけではなく、すでに存在している疲労亀裂がさらに進展して拡大することを抑制することも意味する。
(疲労亀裂発生抑制方法の基本動作)
まず、本発明の一実施形態に係る疲労亀裂発生抑制方法の基本動作について説明する。図4および図5は、本発明の一実施形態に係る疲労亀裂発生抑制方法の基本動作を説明するための図である。以下においては、図1〜図3に示した鋼床版2において、本実施形態に係る疲労亀裂発生抑制方法(以下、単に抑制方法ともいう。)を適用する場合について説明する。本発明が適用される鋼床版2において、デッキプレート3の厚みは、例えば、12〜16mmであり、Uリブ6の厚みは、例えば、3〜12mmである。
なお、本実施形態に係る抑制方法は、橋梁1の構成要素として用いられる前の鋼床版2に対して実施してもよく、橋梁1の構成要素として用いられている状態の鋼床版2に対して実施してもよい。また、本実施形態に係る抑制方法は、主桁4が設けられていない鋼床版に対して実施してもよく、主桁4が設けられた状態の鋼床版に対して実施してもよい。以下においては、橋梁1の構成要素として用いられる前で、かつ主桁4が設けられていない状態の鋼床版2に対して本実施形態に係る抑制方法を実施する場合について説明する。
図4および図5においては、横リブ5の図示は省略しているが、本実施形態に係る抑制方法は、横リブ5が設けられた状態の鋼床版2に対して実施される。以下の説明では、上下方向およびUリブ6の長さ方向に対して垂直な方向をUリブ6の幅方向とする。図4においては、左右方向がUリブ6の幅方向になる。
図4を参照して、本実施形態では、例えば、デッキプレート3が下になりかつUリブ6(より具体的には、底壁部6a)が上になるように、作業台15上に鋼床版2を置く。
次に、Uリブ6内に一対の押圧部材16を配置する。押圧部材16は、断面円弧状の曲面部16aを有する。Uリブ6の長さ方向に垂直な断面において、曲面部16aの曲率半径は、例えば、5〜80mmに設定される。
本実施形態では、押圧部材16は、Uリブ6の長さ方向に延びるように設けられている。より具体的には、Uリブ6の長さ方向における曲面部16aの長さは、例えば、側壁部6b,6cの厚みtの4〜50倍に設定される。一方の押圧部材16の曲面部16aは、側壁部6bの内面に対向するように設けられ、他方の押圧部材16の曲面部16aは、側壁部6cの内面に対向するように設けられている。押圧部材16は、左右方向に移動可能に設けられており、図示しない駆動機構によって駆動されることによって左右方向に移動する。
本実施形態では、曲面部16aの曲率中心16bとデッキプレート3の裏面3bとの距離d1は、例えば、側壁部6b,6cの厚みtの1.5倍以上に設定され、好ましくは2倍以上に設定され、より好ましくは3倍以上に設定される。また、距離d1は、例えば、側壁部6b,6cの厚みtの7倍以下に設定され、好ましくは5倍以下に設定され、より好ましくは4倍以下に設定される。なお、距離d1は、デッキプレート3の厚み方向(図4では上下方向)における長さである。また、厚みtは、例えば、側壁部6b,6cの平均の厚みとして算出される。
次に、図4および図5(a)を参照して、一対の押圧部材16をUリブ6の外側に向かって移動させて、側壁部6b,6cの内面に接触させる。なお、図4を参照して、本実施形態では、側壁部6b,6cは、デッキプレート3から離れるほど互いの間隔が狭くなるように、デッキプレート3に対して傾斜している。このため、図5(a)を参照して、一方の押圧部材16の曲面部16aと側壁部6bとの接触部17は、曲率中心16bよりも上方に位置する。説明は省略するが、他方の押圧部材16も同様に側壁部6cに接触する。なお、以下においては、側壁部6bと一方の押圧部材16との関係について説明するが、側壁部6cと他方の押圧部材16との関係も同様である。
次に、図5(b)に示すように、押圧部材16をUリブ6の外側に向かって移動させる(負荷工程)。これにより、Uリブ6の内側から側壁部6bに対して圧力が加えられる。その結果、側壁部6bは、Uリブ6の外側に向かって膨らむように変形する。なお、負荷工程における押圧部材16の移動距離d2は、例えば、0.05〜10mmに設定される。本実施形態では、負荷工程において、例えば、ルート部14の近傍を塑性変形させるように、側壁部6bに圧力を加える。
次に、図5(c)を参照して、押圧部材16を側壁部6bから離れるように移動させる(除荷工程)。これにより、負荷工程で側壁部6bに加えられた圧力が除かれる。その結果、側壁部6bは、負荷工程前の側壁部6bの形状に戻るように変形する。なお、本実施形態では、上述のように、負荷工程においてルート部14の近傍を塑性変形させている。そのため、除荷工程後の側壁部6bは、負荷工程前の側壁部6bの形状に完全には戻らない。
ここで、Uリブ6の長さ方向に垂直な断面において、負荷工程前の側壁部6bの位置と除荷工程後の側壁部6bの位置との左右方向における距離を残留変位量とする。本実施形態では、Uリブ6の長さ方向に垂直な断面において、負荷工程前の側壁部6bの外面(または内面)の任意の位置と除荷工程後の側壁部6bの外面(または内面)の任意の位置との左右方向における距離を残留変位量とする。図5(c)においては、裏面3bからデッキプレート3の厚み方向に距離d1離れた位置における残留変位量が、距離d3(以下、残留変位量d3という。)として示されている。本実施形態では、残留変位量d3が0.01〜3mmになるように、負荷工程および除荷工程が実行される。負荷工程および除荷工程は、同一の部分に対して、1回実施されてもよく、2回以上実施されてもよい。すなわち、残留変位量d3が0.01〜3mmの範囲の値になるまで、負荷工程および除荷工程を繰り返し実行してもよい。なお、Uリブ6の形状および断面係数、ならびに横リブ5の面外座屈の抑制等を考慮して、残留変位量d3の目標値は適宜設定される。残留変位量d3を精度よく測定することが好ましく、残留変位量d3は0.1mm以上であることが好ましい。残留変位量d3は、例えば、ダイヤルゲージやレーザー変位計を用いて測定できる。
(疲労亀裂発生抑制方法の基本動作による効果)
以下、本実施形態に係る抑制方法の基本動作による作用効果について説明する。図6は、本実施形態に係る抑制方法の基本動作による作用効果を説明するための図である。
図6を参照して、上述したように、溶接ビード10のルート部14近傍においては、溶接時の膨張および溶接後の収縮によって、引張の残留応力が発生している。この状態で、上述の負荷工程を実行することによって、側壁部6bは、Uリブ6の外側に向かって移動しようとする。これにより、溶接ビード10がUリブ6の外側に向かって引っ張られ、ルート部14近傍の引張応力は一時的に大きくなる。
その後、除荷工程を実行することによって、側壁部6bは、Uリブ6の内側に向かって移動しようとする。これにより、溶接ビード10がUリブ6の内側に向かって押し付けられる。すなわち、いわゆるスプリングバックの効果が生じる。これにより、ルート部14近傍に圧縮方向の力を加えることができる。その結果、ルート部14近傍の引張残留応力を低減できる、またはルート部14近傍に圧縮残留応力を発生させることができる。これにより、例えば、鋼床版2に荷重が繰り返し加わった場合でも、ルート部14の近傍において大きな引張応力が発生することを防止することができる。その結果、ルート部14の近傍において疲労亀裂が発生することを抑制することができる。また、ルート部14の近傍に疲労亀裂が既に発生している場合には、その亀裂先端の引張残留応力を低減できる、または亀裂先端に圧縮残留応力を発生させることができるので、疲労亀裂が進展することを抑制することができる。
また、本実施形態では、デッキプレート3に直接力を加える必要がない。これにより、デッキプレート3の変形および損傷を防止できる。
本実施形態では、曲面部16aを有する押圧部材16によって、側壁部6b,6cに圧力が加えられる。この場合、Uリブ6の内面が損傷することを抑制できる。
(疲労亀裂発生抑制方法の実施位置)
上述したように、本実施形態に係る抑制方法は、横リブ5を有する鋼床版2に対して実施される。本発明者らの種々の検討の結果、横リブ5の周辺の適切な位置において本実施形態に係る抑制方法を実施することによって、押圧部材16の押圧力を大きくすることなく、横リブ5の周辺において、上述のスプリングバックの効果を適切に得られることが分かった。以下、具体的に説明する。
図7は、横リブ5、一対の側壁部6b,6cおよび一対の押圧部材16の位置関係を示す平面図である。なお、以下の説明では、Uリブ6の長さ方向を、前後方向とする。
図7を参照して、本実施形態では、一対の押圧部材16のUリブ6の長さ方向への移動と、上述の負荷工程および除荷工程がそれぞれ繰り返し間欠的に実行される。ここで、本発明者らが疲労亀裂発生抑制方法について検討を進める中で、横リブ5とUリブ6とが交差する部分においてスプリングバックの効果を十分に得るためには、大きな力で一対の側壁部6b,6cを押圧しなければならないことが分かった。これは、上記交差する部分では、一対の側壁部6b,6cの変形が横リブ5によって抑制されるからである。
しかしながら、上記交差する部分において大きな力で一対の側壁部6b,6cを押圧するためには、大きな力で一対の押圧部材16を駆動する必要がある。この場合、一対の押圧部材16を駆動するための装置が大型化し、好ましくない。
そこで、本実施形態では、まず、図7に示すように、一対の側壁部6b,6cにおいて、基準領域Rb、後方領域Rr、および前方領域Rfを定義した。具体的には、一対の側壁部6b,6cにおいて、ウェブ5aの板厚中心線Cから後方に0.5T(Tはウェブ5aの板厚)の位置P1よりも前方でかつ板厚中心線Cから前方に0.5Tの位置P2よりも後方の領域を、基準領域Rbと定義した。言い換えると、一対の側壁部6b,6cのうち、ウェブ5aと交差する領域を、基準領域Rbと定義した。また、一対の側壁部6b,6cにおいて、板厚中心線Cから後方に0.5Tの位置P1よりも後方でかつ板厚中心線Cから後方に2.5Tの位置P3よりも前方の領域を、後方領域Rrと定義した。さらに、一対の側壁部6b,6cにおいて、板厚中心線Cから前方に0.5Tの位置P2よりも前方でかつ板厚中心線Cから前方に2.5Tの位置P4よりも後方の領域を、前方領域Rfと定義した。
本実施形態では、後方領域Rrにおいて上述の負荷工程および除荷工程を実施するとともに、前方領域Rfにおいて上述の負荷工程および除荷工程を実施する。なお、以下においては、後方領域Rrにおいて実行される負荷工程を、後方負荷工程といい、前方領域Rfにおいて実行される負荷工程を、前方負荷工程という。
後方負荷工程では、一対の押圧部材16がそれぞれ後方領域Rrの少なくとも一部に接触しつつ一対の側壁部6b,6cを押圧する。また、前方負荷工程では、一対の押圧部材16がそれぞれ前方領域Rfの少なくとも一部に接触しつつ一対の側壁部6b,6cを押圧する。ただし、後方負荷工程および前方負荷工程において、一対の押圧部材16は、基準領域Rbに接触しないように一対の側壁部6b,6cを押圧する。
上記のように、本実施形態では、後方負荷工程および前方負荷工程において、一対の押圧部材16は、一対の側壁部6b,6cのうち横リブ5と交差する部分(すなわち、基準領域Rb)を押圧しない。この場合、小さな力で、一対の側壁部6b,6cを十分に変形させることができる。それにより、一対の側壁部6b,6cのうち、基準領域Rbの前後の領域(後方領域Rrおよび前方領域Rf)において、小さな押圧力で、スプリングバックの効果を十分に得ることができる。
なお、後方負荷工程および前方負荷工程において基準領域Rbは押圧されないので、基準領域Rbにおいてはスプリングバックの効果を十分に得られない場合がある。しかしながら、上記のように、基準領域Rbの前後の領域(後方領域Rrおよび前方領域Rf)においてスプリングバックの効果を十分に得ることができる。このため、仮に、基準領域Rbにおいて亀裂が発生したとしても、その亀裂の進展を、後方領域Rrおよび前方領域Rfにおいて十分に抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、横リブ5の周辺のルート部14において疲労亀裂が発生すること、または疲労亀裂が進展することを、小さな押圧力で十分に抑制することができる。
なお、後方負荷工程が実施される前または後に、一対の押圧部材16によって基準領域Rbを押圧するように負荷工程を実施してもよい。この場合、大きな力で基準領域Rbを押圧する必要はない。同様に、前方負荷工程が実施される前または後に、一対の押圧部材16によって基準領域Rbを押圧するように負荷工程を実施してもよい。一方、後方負荷工程が実施される前または後、並びに、前方負荷工程が実施される前または後に、一対の押圧部材16によって基準領域Rbを押圧しないことが好ましい。疲労亀裂発生抑制方法に必要となる手間が増えるからである。
(内面押圧装置の説明)
次に、上述の抑制方法を実施する際に使用される内面押圧装置について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る内面押圧装置(以下、押圧装置と略記する。)20の概略構成を示す平面図である。
図8参照して、押圧装置20は、本体部22、車輪24a〜24d、車軸26a,26b、駆動機構28,30、移動量検出部32a,32b、荷重検出部34a,34b、距離検出部36、撮像装置37、通信部38、および上述の一対の押圧部材16を備えている。
本実施形態では、本体部22は、駆動機構28,30、移動量検出部32a,32b、荷重検出部34a,34b、距離検出部36および通信部38を収容している。車輪24a,24bは、車軸26aを介して、本体部22に回転可能に支持されている。車輪24c,24dは、車軸26bを介して、本体部22に回転可能に支持されている。本実施形態では、車輪24a〜24dは、磁石を含む。本実施形態では、車輪24a〜24dおよび車軸26a,26bが、本体部22を支持する支持部に相当する。
駆動機構28は、例えば電動モータを含み、車軸26aを介して車輪24a,24bを回転駆動する。これにより、押圧装置20が移動する。なお、図8に示すように、以下においては、押圧装置20が移動する方向を前後方向とする。また、該前後方向を基準として、左右方向を規定する。
一対の押圧部材16は、本体部22の前後方向における中央部において、左右方向に移動可能に本体部22に支持されている。駆動機構30は、例えば、油圧によって一対の押圧部材16を左右方向に移動させる。
移動量検出部32aは、一方の押圧部材16の移動量を検出し、移動量検出部32bは、他方の押圧部材16の移動量を検出する。移動量検出部32a,32bの検出結果は、距離検出部36へ出力される。なお、移動量検出部32a,32bとしては、例えば、公知の変位センサを用いることができる。したがって、移動量検出部32a,32bの詳細な説明は省略する。
荷重検出部34aは、一方の押圧部材16にかかる荷重を検出し、荷重検出部34bは、他方の押圧部材16にかかる荷重を検出する。荷重検出部34a,34bの検出結果は、距離検出部36へ出力される。なお、荷重検出部34a,34bとしては、例えば、公知の荷重センサを用いることができる。したがって、荷重検出部34a,34bの詳細な説明は省略する。
距離検出部36は、後述するように、移動量検出部32a,32bおよび荷重検出部34a,34bの検出結果に基づいて、Uリブ6の側壁部6b,6cの残留変位量を検出する。距離検出部36の検出結果は、通信部38へ出力される。
撮像装置37は、Uリブ6内を撮影し、画像データを通信部38へ出力する。通信部38は、図示しない遠隔操作装置との間でデータを送受信する。
本実施形態では、例えば、押圧装置20の操縦者は、上記遠隔操作装置を介して押圧装置20を操縦することができる。本実施形態では、例えば、操縦者の操作に基づいて、駆動機構28,30を制御するための制御信号が上記遠隔操作装置から出力され、該制御信号が通信部38によって受信される。通信部38は受信した制御信号を、駆動機構28,30へ出力する。これにより、駆動機構28,30が制御される。また、距離検出部36の検出結果は、通信部38を介して遠隔操作装置に送信される。これにより、押圧装置20の操縦者は、遠隔操作装置に送信されてきた距離検出部36の検出結果を参照して、押圧装置20を操縦することができる。また、撮影装置37によって撮影されたUリブ6の内部の画像データは、通信部38を解して遠隔操作装置に送信される。操縦者は、上記画像データを参照して、横リブ5の位置を把握することができる。これにより、上述の前方負荷工程および後方負荷工程を適切な位置で行うことができる。なお、詳細な説明は省略するが、例えば、Uリブ6内における横リブ5の位置と、押圧装置20の移動距離との関係を押圧装置20に予め記憶させておいて、押圧装置20が所定の位置に移動した際に上述の前方負荷工程および後方負荷工程を行うようにしてもよい。
図9は、押圧装置20の使用例を説明するための図である。図9を参照して、押圧装置20を使用する際には、押圧装置20をUリブ6の内側に配置する。上述したように、本実施形態では、車輪24a〜24dは磁石を含む。このため、デッキプレート3が上でかつ底壁部6aが下になった状態で、デッキプレート3の裏面3bに、磁力によって車輪24a〜24dをくっつけることができる。例えば、鋼床版2(図1参照)が橋梁1(図1参照)の構成部材として利用されている状態で、デッキプレート3の裏面3bに、車輪24a〜24dをくっつけることができる。また、上述したように、押圧装置20は、前後方向に移動できる。これにより、押圧装置20は、Uリブ6の内側において、Uリブ6の長さ方向に移動することができる。
上記のように押圧装置20を配置した後、一対の押圧部材16を左右方向に移動させて、上述の負荷工程および除荷工程を実行する。その後、押圧装置20を前進させて、負荷工程および除荷工程を実行する。上記の動作を繰り返すことによって、Uリブ6の長さ方向の全体に亘って、上述の負荷工程および除荷工程を実行することができる。
押圧装置20においては、以下のようにして、側壁部の残留変位量を検出することができる。なお、以下においては、側壁部6bの残留変位量の検出方法について説明するが、側壁部6cの残留変位量の検出方法も同様である。
図9を参照して、まず、負荷工程において、押圧部材16を基準位置(ゼロ点)から側壁部6b側に移動させることによって、曲面部16aが側壁部6bに接触する。曲面部16aが側壁部6bに接触することによって、押圧部材16にかかる荷重が増加する。このため、距離検出部36は、荷重検出部34aの検出結果に基づいて、曲面部16aが側壁部6bに接触したことを検知できる。また、距離検出部36は、移動量検出部32aの検出結果に基づいて、曲面部16aが側壁部6bに接触したときの押圧部材16の移動量(基準位置からの移動量)を検出することができる。以下、曲面部16aが側壁部6bに接触したときの押圧部材16の移動量を第1移動量という。
次に、除荷工程において、押圧部材16を本体部22側に移動させることによって、曲面部16aが側壁部6bから離れる。曲面部16aが側壁部6bから離れることによって、押圧部材16にかかる荷重が減少する。このため、距離検出部36は、荷重検出部34aの検出結果に基づいて、曲面部16aが側壁部6bから離れたことを検知できる。また、距離検出部36は、移動量検出部32aの検出結果に基づいて、曲面部16aが側壁部6bから離れたときの押圧部材16の移動量を検出することができる。以下、曲面部16aが側壁部6bから離れたときの押圧部材16の移動量(基準位置からの移動量)を第2移動量という。
最後に、距離検出部36は、上記のようにして検出した第1移動量と第2移動量との差を求める。これにより、距離検出部36は、上記負荷工程前の側壁部6bの位置と上記除荷工程後の側壁部6bの位置との距離(本実施形態では、デッキプレート3の裏面3bに平行な方向における距離)を検出することができる。すなわち、本実施形態では、距離検出部36は、上記のようにして検出した第1移動量と第2移動量との差を算出することによって、側壁部6bの残留変位量を求めることができる。具体的には、距離検出部36は、第2移動量から第1移動量を減算することによって、側壁部6bの残留変位量を求めることができる。
(鋼床版の製造方法)
上述の疲労亀裂発生抑制方法は、鋼床版を製造する際にも利用できる。具体的には、まず、デッキプレートに、横リブおよびUリブが溶接された構成を有する基材を準備する。基材としては、例えば、上述の抑制方法を実施する前の鋼床版2(図2参照)を用いることができる。したがって、基材は、従来の鋼床版を製造する際に利用される公知の製造方法によって製造することができる。基材を準備した後、その基材に対して、上述の疲労亀裂発生抑制方法を実施する。これにより、疲労亀裂の発生および進展が抑制された鋼床版を製造することができる。
(シミュレーションに基づく検討)
以下、コンピュータを用いたFEM解析によるシミュレーション結果とともに、本発明の効果を説明する。シミュレーションでは、図10に示す寸法・形状の鋼床版(以下、仮想鋼床版という。)を想定して、FEM解析モデルを作成した。図10に示す仮想鋼床版は、デッキプレートに相当する板材に3つのUリブを溶接した構成とした。また、仮想鋼床版では、Uリブの長さ方向における中央部に、横リブのウェブに相当する板材(厚さ:9mm)を溶接した構成とした。図10に示す寸法の単位は、「mm」である。
なお、FEM解析では、図10に示す仮想鋼床版の1/4対称モデルを解析モデルとして使用し、8節点6面体要素要素を用いて解析を行った。使用鋼材の応力ひずみ関係は、SM490Bのデータを用いた。また、ヤング率は206GPa、ポアソン比は0.3とし、硬化則は等方硬化を用いた。
また、FEM解析では、さらに、上述の一対の押圧部材16に相当する解析モデルを作成し、Uリブの側壁部に対して負荷工程および除荷工程を実施した。押圧部材の曲面部(図4の曲面部16a参照)の曲率半径は、35mmとし、長さは(Uリブの長さ方向における長さ)は、50mmとした。FEM解析では、横リブのウェブの板厚中心線と押圧部材との距離(図7の距離L参照)を段階的に変化させて、負荷工程および除荷工程を行い、負荷工程における押し込み荷重、および除荷工程後のルート部の残留応力を算出した。なお、負荷工程時の押圧部材の押し込み量は、1.2mmとした。下記の表1に、解析条件および解析結果(押し込み荷重)を示す。なお、上述したように、解析モデルにおいてウェブの板厚(図7の板厚T参照)は9mmであるので、解析No.3〜5の距離Lはそれぞれ、0.5T(4.5mm)、1.0T(9.0mm)、および1.5T(13.5mm)に相当する。したがって、解析No.3〜5における負荷工程は、上述の前方負荷工程に相当する。一方、解析No.1および2では、負荷工程において、押圧部材は、ウェブの板厚中心線から前方に0.5T以内の領域を押圧している。すなわち、解析No.1および2では、押圧部材が、側壁部の基準領域(図7の基準領域Rb参照)を押圧している。
Figure 0006705336
表1に示すように、側壁部の基準領域を押圧した解析No.1および2に比べて、基準領域を押圧していない解析No.3〜6では、押し込み荷重を十分に低減できた。この結果から、本発明の実施の形態に係る抑制方法によれば、小さな力で、一対の側壁部を変形させることが可能であることがわかる。
図11は、除荷工程後のルート部14に発生している応力を示す図である。図11において縦軸は、Uリブの幅方向に生じる応力を示し、正の値は引張応力を示し、負の値は圧縮応力を示す。また、図11において横軸は、Uリブの長さ方向における、ウェブの板厚中心線からの距離を示す。図11に示すように、解析No.3〜6では、横リブと交差する部分(基準領域:ウェブの板厚中心線から4.5mm以内の領域)において、側壁部の変形量が減少するため、上記交差する部分の近傍において、十分な圧縮応力を発生できていない。しかし、ウェブの板厚中心線から20mm程度離れた位置においては、十分な圧縮応力を発生させることができた。特に、上述の実施形態の前方負荷工程に相当する負荷工程を実施した解析No.3〜5では、引張残留応力が発生する領域を十分に狭くすることができた。これにより、横リブ周辺のルート部において仮に疲労亀裂が発生したとしても、その疲労亀裂の進展を、圧縮応力によって十分に抑制することができることがわかる。
実施例では、図10に示した仮想鋼床版を作成し、上述の負荷工程および除荷工程を実施して、疲労寿命を測定した。押圧部材による一対の側壁部の押圧位置は、上述の解析No.3と同様の位置とした。押圧部材の押圧面の曲率半径は、35mmとし、油圧ジャッキを用いて負荷工程を実施した。一対の押圧部材の押し込み量は、1.8mmとし、側壁部の残留変位量は、約1.1mmであった。また、比較例として、図10に示した仮想鋼床版に対して、上述の負荷工程および除荷工程を実施せずに、疲労寿命を測定した。疲労試験では、デッキプレートの上面(より具体的には、Uリブの中央部の上方)に大型車のシングルタイヤを想定した200×200mmのゴム板(40mm厚)を設置し、軸荷重を載荷した。また、疲労試験では、デッキプレートの下面において、Uリブとの交点から5mmの位置(Uリブの内側の位置:2箇所)にひずみゲージ(ゲージ長:1mm)を貼付け、載荷中のひずみ振幅を測定した。疲労寿命の判定には、軸荷重の載荷開始後、ひずみ振幅が10%低下した際の繰返し数を用いた。図12に、疲労試験の結果を示す。
図12に示す結果から、本発明の実施形態に係る負荷工程および除荷工程を実施した仮想鋼床版では、疲労寿命が十分に向上したことがわかる。
本発明によれば、鋼床版において、デッキプレートの変形を抑制しつつ、Uリブとデッキプレートとを接合する溶接ビードのルート部における疲労亀裂発生および疲労亀裂進展を抑制できる。したがって、本発明は、橋梁等を構成する鋼床版の疲労亀裂発生抑制に好適に利用することができる。
1 橋梁
2 鋼床版
3 デッキプレート
4 主桁
5 横リブ
6 Uリブ(縦リブ)
7 舗装材
8 自動車
9 接合部
10 溶接ビード
11 不溶着部
12,13 止端
14 ルート部
16 押圧部材

Claims (5)

  1. デッキプレートと、前記デッキプレートの下面に溶接された板厚Tのウェブを有する横リブと、前記ウェブを貫通して延びかつ一対の側壁部が前記デッキプレートおよび前記ウェブに溶接されたUリブと、を有する鋼床版の疲労亀裂発生抑制方法であって、
    前記一対の側壁部が前記Uリブの外側に向かって変形するように、一対の押圧部材によって前記一対の側壁部を前記Uリブの内側から押圧する負荷工程と、
    前記負荷工程において前記一対の押圧部材によって前記一対の側壁部に加えられた圧力を除く除荷工程とを備え、
    前記Uリブの長さ方向を前後方向と定義し、前記一対の側壁部において、基準領域Rb、前記基準領域Rbよりも後方の後方領域Rr、および前記基準領域Rbよりも前方の前方領域Rfを下記のように定義した場合に、
    前記負荷工程は、前記一対の押圧部材が後方領域Rrの少なくとも一部に接触しつつ前記一対の側壁部を押圧する後方負荷工程と、前記一対の押圧部材が前方領域Rfの少なくとも一部に接触しつつ前記一対の側壁部を押圧する前方負荷工程とを含み、
    前記後方負荷工程および前記前方負荷工程において、前記一対の押圧部材は、基準領域Rbに接触しないように前記一対の側壁部を押圧する、疲労亀裂発生抑制方法。
    基準領域Rb:前記ウェブの板厚中心線から後方に0.5Tの位置よりも前方でかつ前記板厚中心線から前方に0.5Tの位置よりも後方の領域。
    後方領域Rr:前記板厚中心線から後方に0.5Tの位置よりも後方でかつ前記板厚中心線から後方に2.5Tの位置よりも前方の領域。
    前方領域Rf:前記板厚中心線から前方に0.5Tの位置よりも前方でかつ前記板厚中心線から前方に2.5Tの位置よりも後方の領域。
  2. 前記負荷工程では、前記一対の押圧部材は、前記一対の側壁部を押圧するように前記Uリブの前記長さ方向に直交する方向に移動し、
    前記除荷工程では、前記一対の押圧部材は、前記一対の側壁部から離れるように前記Uリブの前記長さ方向に直交する方向に移動する、請求項1に記載の疲労亀裂発生抑制方法。
  3. 前記負荷工程および前記除荷工程は、前記一対の押圧部材を前記Uリブの前記長さ方向に移動させて繰り返し実行される、請求項1または2に記載の疲労亀裂発生抑制方法。
  4. デッキプレートと、前記デッキプレートの下面に溶接された板厚Tのウェブを有する横リブと、前記ウェブを貫通して延びかつ一対の側壁部が前記デッキプレートおよび前記ウェブに溶接されたUリブと、を備えた基材に対して、請求項1から3のいずれかに記載の疲労亀裂発生抑制方法を実施する工程を含む、鋼床版の製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の疲労亀裂発生抑制方法を実施するために、前記Uリブの内側に配置されて使用される内面押圧装置であって、
    本体部と、
    前記本体部が前記Uリブの前記長さ方向に移動できるように前記本体部を支持する支持部と、
    前記本体部に対して移動可能に該本体部に支持される前記一対の押圧部材と、
    前記一対の押圧部材が前記Uリブの一対の側壁部を前記Uリブの外側に向かって押圧するように、前記一対の押圧部材を移動させる駆動機構とを備える、内面押圧装置。
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