JP6704581B2 - 金属酸化物触媒、ブタジエンの製造方法および金属酸化物触媒の製造方法 - Google Patents

金属酸化物触媒、ブタジエンの製造方法および金属酸化物触媒の製造方法 Download PDF

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本発明は、金属酸化物触媒およびそれを用いたブタジエンの製造方法ならびに金属酸化物触媒の製造方法に関する。
現在、ブタジエンは、主に石油からエチレンを合成(ナフサクラッキング)する際に副生するC4留分を分離精製することにより製造されている。
近年になって、石油から得られる化学工業原料に代えて、バイオマス由来の原料から誘導された化学工業原料が注目されており、例えば、サトウキビやトウモロコシなどのバイオマス由来のバイオエタノールをブタジエンに変換する技術が研究されてきている。
例えば、特許文献1には、「加熱下で、少なくともエタノールを含む原料を、マグネシウムシリケート構造を有する触媒に接触させることにより1,3−ブタジエンを得ることを特徴とする1,3−ブタジエンの製造方法であって、前記マグネシウムシリケート構造を有する触媒が、マグネシウム化合物と珪素化合物とを含む混合液を水熱処理に付し、その後焼成処理に付す水熱合成法であって、下記(A)〜(E)から選択される少なくとも1つの条件を具備した水熱合成法により得られるものであることを特徴とする1,3−ブタジエンの製造方法」が記載されている([請求項1])。
(A)水熱処理温度が120℃以上
(B)水熱処理時間が50〜200時間
(C)水熱処理に付す混合液中のマグネシウム化合物濃度(マグネシウム換算)が1.6〜2.4モル/L
(D)均一沈殿剤の存在下(水熱処理に付す混合液中の均一沈殿剤の濃度:2.5モル/L以上)で水熱処理を行う
(E)焼成処理温度が450℃を超え、700℃以下
特開2015−168644号公報
本発明者らは、特許文献1に記載された所定の水熱処理および焼成処理を付す水熱合成法で合成された触媒について検討したところ、エタノールを含む原料の供給条件(例えば、エタノールの濃度、触媒との接触時間など)によっては、ブタジエンの選択率および生成速度が低くなることを明らかとした。
そこで、本発明は、原料の供給条件に寄らずにブタジエンの選択率および生成速度を高くすることができる金属酸化物触媒およびそれを用いたブタジエンの製造方法ならびに金属酸化物触媒の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、所定の元素を担持し、かつ、X線光電子分光により測定したスペクトルにおいて、結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲に酸素の1s軌道に帰属するピークを有する金属酸化物触媒を用いることにより、ブタジエンの選択率および生成速度が向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1] 亜鉛、銀、インジウム、ゲルマニウム、タングステンおよびリンからなる群から選択される少なくとも1つの元素を担持し、
X線光電子分光分析により測定したスペクトルにおいて、結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲に、酸素の1s軌道に帰属するピークを有する、金属酸化物触媒。
[2] 上記触媒が、マグネシウムシリケート構造を有する、[1]に記載の金属酸化物触媒。
[3] マグネシウム(Mg)とケイ素(Si)とのモル比(Mg/Si)が、10/1〜1/10である、[2]に記載の金属酸化物触媒。
[4] 上記元素の含有量が、4.0×10-4mol/g未満である、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属酸化物触媒。
[5] エタノールから触媒を用いてブタジエンを得るブタジエンの製造方法であって、
上記触媒が、[1]〜[4]のいずれかに記載の金属酸化物触媒である、ブタジエンの製造方法。
[6] エタノールを含む原料を、200〜800℃の加熱条件下で、上記金属酸化物触媒に接触させることによりブタジエンを得る、[5]に記載のブタジエンの製造方法。
[7] 水熱合成法により[1]〜[4]のいずれかに記載の金属酸化物触媒を得る金属酸化物触媒の製造方法であって、
温度条件が50〜200℃であり、かつ、時間条件が1〜48時間である水熱処理を施す工程と、
温度条件が450℃未満であり、かつ、時間条件が30分〜24時間である焼成処理を施す工程とを有する、金属酸化物触媒の製造方法。
本発明によれば、原料の供給条件に寄らずにブタジエンの選択率および生成速度を高くすることができる金属酸化物触媒およびそれを用いたブタジエンの製造方法ならびに金属酸化物触媒の製造方法を提供することができる。
[金属酸化物触媒]
本発明の金属酸化物触媒(以下、「本発明の触媒」とも略す。)は、亜鉛、銀、インジウム、ゲルマニウム、タングステンおよびリンからなる群から選択される少なくとも1つの元素を担持している。
また、本発明の触媒は、X線光電子分光〔X-ray Photoelectron Spectroscopy(以下、「XPS」とも略す。)〕により測定したスペクトル(以下、「XPSスペクトル」とも略す。)において、結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲に酸素の1s軌道(以下、「O1s」とも略す。)に帰属するピークを有する。
ここで、XPSスペクトルは、金属酸化物触媒を含む分散液(溶媒:トルエン)をノンドープのSi基板上に塗布し、乾燥させたサンプルを用い、以下の測定条件で測定したスペクトルをいう。
<測定条件>
・X線源:Al−Kα線(分析径100μm、25W、15kV)
・光電子取出角度:45°
・測定範囲:スポット径100μm
・補正:電子銃・低速イオン銃併用による帯電補正
・測定元素(測定軌道):O(1s)、Mg(2s)、Si(2p)、Zn(2p3/2)
本発明の触媒は、XPSスペクトルの結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲にO1sに帰属するピークを有していることにより、原料の供給条件、特に、原料との接触時間が短い場合であってもブタジエンの選択率および生成速度を高くすることができる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、特許文献1などの記載されたエタノールからのブタジエンを生成する機構は、以下に示す生成機構と考えられる。
すなわち、エタノールが酸化マグネシウム(MgO)の化学種と反応して、アセトアルデヒドと、Mg−H(H:ヒドリド)とO−H(H:プロトン)とが生成し、更にアセトアルデヒドの二量化反応(アルドール縮合)で生成したクロトンアルデヒドの還元反応に、Mg−HのヒドリドとO−Hのプロトンが利用され、クロチルアルコールに変換される。そして、このクロチルアルコールから脱水反応によりブタジエンが生成する。
また、後述する比較例1〜3に示すように、亜鉛などの元素を担持させない場合や、触媒の調製条件(水熱処理および焼成処理の条件)によっては、XPSスペクトルの結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲にO1sに帰属するピークが現れないことが分かった。
そのため、本発明においては、亜鉛などの元素を担持し、かつ、XPSスペクトルの結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲にO1sに帰属するピークを有することにより、原料との接触時間が短い場合であっても、高い選択性と生成速度で水素移動反応を加速することが推察できる。
本発明の触媒は、マグネシウム(Mg)とケイ素(Si)とを含有しているのが好ましく、中でも、ブタジエンの選択率がより高くなる理由から、マグネシウムシリケート構造を有しているのがより好ましい。
これは、マグネシウムシリケート構造が、八面体層のMgOと四面体層のSiO2から構成される結晶構造を有していることにより、MgOの水素移動反応に対する触媒活性および活性サイトが有効に利用できたためと考えられる。
本発明においては、本発明の触媒がマグネシウムシリケート構造を有している場合、ブタジエンの選択率が更に高くなる理由から、マグネシウム(Mg)とケイ素(Si)とのモル比(Mg/Si)が10/1〜1/10であることが好ましく、5/1〜1/5であることがより好ましく、3/1〜1/3であることが更に好ましい。
ここで、MgとSiとのモル比は、調製に用いるMgおよびSiの量(仕込み量)が分かる場合は、仕込み量から算出されるモル比をいうが、仕込み量が不明の場合は、触媒のICP発光分光分析やXPSスペクトルにおけるケイ素元素のピーク強度に対するマグネシウム元素のピーク強度の比を、元素ごとの相対感度係数で補正することで求められる。
本発明の触媒は、上述した通り、亜鉛、銀、インジウム、ゲルマニウム、タングステンおよびリンからなる群から選択される少なくとも1つの元素を担持している。
上記元素のうち、ブタジエンの選択率がより高くなり、また、ブタジエンの生成速度が速くなる理由から、亜鉛、銀、ゲルマニウムであることが好ましく、亜鉛であることがより好ましい。
本発明においては、ブタジエンの選択率がより高くなる理由から、上記元素(特に、亜鉛)の含有量が、4.0×10-4mol/g未満であることが好ましく、1.0×10-8mol/g以上2.0×10-4mol/g以下であることがより好ましい。
[金属酸化物触媒の製造方法]
本発明の金属酸化物触媒の製造方法は、水熱合成法により本発明の金属酸化物触媒を得る金属酸化物触媒の製造方法であり、水熱処理を施す工程と、焼成処理を施す工程とを有する。
ここで、水熱合成法とは、固体触媒の調製法のうち、液相での結晶形成の手法の1つとして知られており(「触媒便覧」、第1版264頁)、一般に、「高温の水、特に高温高圧の水の存在の下に行われる物質の合成および結晶成長法」(「岩波 理化学辞典」、第5版)のことをいう。
また、本発明の金属酸化物触媒の製造方法は、上記水熱処理の温度条件が50〜200℃であり、かつ、上記水熱処理の時間条件が1〜48時間である。
更に、本発明の金属酸化物触媒の製造方法は、上記焼成処理の温度条件が450℃未満であり、かつ、上記焼成処理の時間条件が30分〜24時間である。
このように、本発明の金属酸化物触媒の製造方法は、上記水熱処理、上記焼成処理および後述する任意の前処理などのいずれの段階においても、450℃以上の温度環境とならないことも特徴の1つと言える。
〔触媒原料〕
本発明の金属酸化物触媒の製造方法においては、本発明の触媒に担持している亜鉛、銀、インジウム、ゲルマニウム、タングステンおよびリンからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含有する化合物を原料として用いる。
また、本発明の触媒がマグネシウムシリケート構造を有している場合は、上記元素の原料の他、マグネシウム化合物およびケイ素化合物を原料として用いる。
本発明の触媒が亜鉛を担持する場合、原料として用いる亜鉛を含有する化合物としては、具体的には、例えば、酸化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、塩基性炭酸亜鉛、硫酸亜鉛七水和物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒が銀を担持する場合、原料として用いる銀を含有する化合物としては、具体的には、例えば、硝酸銀、硫酸銀等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒がインジウムを担持する場合、原料として用いるインジウムを含有する化合物としては、具体的には、例えば、硝酸インジウム、酸化インジウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒がゲルマニウムを担持する場合、原料として用いるゲルマニウムを含有する化合物としては、具体的には、例えば、金属ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、四塩化ゲルマニウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒がタングステンを担持する場合、原料として用いるタングステンを含有する化合物としては、具体的には、例えば、タングステン酸カルシウム、タングステン(V)エトキシド、酸化タングステン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒がリンを担持する場合、原料として用いるリンを含有する化合物としては、具体的には、例えば、亜リン酸エステル(ホスファイト)、塩化リン、五酸化二リン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の触媒がマグネシウムシリケート構造を有している場合は、原料として用いるマグネシウム化合物としては、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、原料として用いるケイ素化合物としては、具体的には、例えば、ケイ酸(例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等)、テトラエチルオルソシリケート等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔水熱処理〕
水熱処理の温度条件としては、50〜200℃であることが好ましく、50〜150℃であることがより好ましい。
また、水熱処理の時間条件としては、1〜48時間であることが好ましく、3〜48時間であることがより好ましい。
〔乾燥処理〕
本発明の金属酸化物触媒の製造方法においては、上記水熱処理後(水熱処理の後に焼成処理を施す場合は焼成処理の前)に、乾燥処理を施してもよい。
上記乾燥処理としては、例えば、室温に冷却した後に固形物を取り出し、蒸留水で洗浄した後に、オーブンの中で100℃で12時間乾燥する処理などが挙げられる。
〔焼成処理〕
焼成処理の温度条件としては、450℃未満であることが好ましく、200℃超430℃以下であることがより好ましい。
また、焼成処理の時間条件としては、30分〜24時間であることが好ましく、1時間〜20時間であることがより好ましく、2時間超20時間以下であることが更に好ましく、3〜18時間であることが特に好ましい。
〔前処理〕
本発明の金属酸化物触媒の製造方法においては、水熱合成法により金属酸化物触媒を調製した後に、水、不純物および触媒副生成物の除去を行うため、反応器(例えば、常圧固定床流通反応器など)の内部において、空気を0〜1000mL/min(25℃基準)で供給し、50℃以上450℃未満で0.5〜2時間程度の前処理を施すのが好ましい。
本発明の金属酸化物触媒の製造方法においては、上記前処理が上述した焼成処理を兼ねる処理であってもよく、例えば、上述した水熱処理後(水熱処理の後に乾燥処理を施す場合は乾燥処理の後)の触媒前駆体を常圧固定床流通反応器に入れた後に、焼成処理を兼ねた前処理を施すことにより、反応器内で金属酸化物触媒を調製することができる。
なお、上述した焼成処理を兼ねた前処理を施す場合は、その処理条件については、上述した焼成処理の条件を満たしていれば特に限定されないが、温度条件は250℃以上430℃以下であることが好ましく、時間条件は3〜18時間であることが好ましい。
本発明の金属酸化物触媒の製造方法においては、上述した水熱処理および焼成処理の順序は特に限定されないが、焼成処理よりも先に水熱処理を施すことが好ましく、上述した水熱処理、乾燥処理、焼成処理および前処理をこの順に施すことがより好ましく、上述した水熱処理、乾燥処理、および、焼成処理を兼ねた前処理をこの順に施すことが更に好ましい。
[ブタジエンの製造方法]
本発明のブタジエンの製造方法は、上述した本発明の触媒を用いてエタノールからブタジエンを得るブタジエンの製造方法であり、具体的には、エタノールを含む原料(以下、「エタノール原料」ともいう。)を、200〜800℃の加熱条件下で、本発明の触媒に接触させることによりブタジエンを得るブタジエンの製造方法である。
以下に、本発明のブタジエンの製造方法で用いるエタノール原料および触媒との接触条件について詳述する。
〔エタノール原料〕
原料に含まれるエタノールは特に限定されず、例えば、サトウキビやトウモロコシなどのバイオマス由来のエタノール;石油や天然ガス由来のエタノール;などを挙げることができる。
本発明においては、特に、バイオマス由来のエタノールを使用することが、多くの産業分野において重要な合成ゴムの原料である1,3−ブタジエンを地球温暖化の主な原因とされている温室効果ガスの排出量を抑制しつつ製造することができる点で好ましい。
〔触媒との接触条件〕
本発明のブタジエンの製造方法は、上述したエタノールを含む原料と上述した本発明の触媒とを接触させることにより、ブタジエンを生成する製造方法である。
具体的には、ブタジエンは、加熱条件下で上述したエタノール原料を上述した金属酸化物触媒に接触させることにより製造することができる。
また、上記加熱条件は、特に限定されないが、200〜800℃程度であるのが好ましく、300〜600℃であるのがより好ましい。
また、エタノール原料を上述した金属酸化物触媒に接触には、キャリアガス(例えば、ヘリウム、水素、窒素など)を用いてもよい。
本発明のブタジエンの製造方法においては、エタノール原料と上述した本発明の触媒との接触条件に関して、「W」を触媒質量(g)とし、「F」をエタノールを含む原料の流速(mol/h)とした時の接触時間(W/F)が、10gh/mol以下であることが好ましく、7.0gh/mol以下であることがより好ましく、0.1〜6.0gh/molであることが更に好ましい。
本発明においては、上述したエタノールを含む原料を上述した本発明の触媒に接触させる方法としては、例えば、懸濁床方式、流動床方式、固定床方式等を挙げることができ、気相法および液相法のいずれであってもよい。
これらのうち、大量合成が可能な点、運転作業負荷の低い点、触媒の回収・再生処理が簡便な点で、上述した本発明の触媒を反応管に充填して触媒層を形成し、上述したエタノールを含む原料を流通させて気相にて反応させる固定床式気相連続流通反応装置を用いることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<触媒Aの調製>
水酸化マグネシウム(関東化学社製)を600℃で12時間焼成して調製した酸化マグネシウム1.34g、シリカ(CariACT G−6、富士シリシア化学)2.69g、および、酸化亜鉛(関東化学社製)0.20gを、アンモニア水43.2gに加え、室温(25℃)で1時間混錬し、混合物を調製した。
調製した混合物を、毎分0.5℃で室温から150℃まで昇温させ、150℃で10時間施す水熱処理を行った。
その後、室温まで戻し、蒸留水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
乾燥後の固体を粉末とした後、油圧プレス成型機で20mm径、約0.5mm圧のディスクに成型し、破砕・篩分により16−32メッシュの粉状触媒前駆体(以下、「触媒前駆体A」と略す。)を調製した。
内径10mmの常圧固定床流通反応器に、調製した触媒前駆体A(0.30g)を入れ、触媒層両端をシリカウール固定された状態で充填し、さらに触媒層上流空塔部には不活性粒状シリカ(Merck社製、6.0g)を充填した。
この反応器に、窒素500mL/minを流しながら室温から400℃まで毎分1℃ずつ昇温させた後、400℃で8時間維持することによって焼成処理を兼ねた前処理を施し、反応器内で触媒Aを調製した。
なお、別途、触媒前駆体Aに対して、400℃で8時間、真空条件下で焼成処理を施して得られる触媒Aを調製し、上述した方法により、XPSスペクトルを測定したところ、O1sに帰属するピークの結合エネルギーが、531.8eVであることが分かった。
<ブタジエンの生成>
接触時間(W/F)は5.49gh/mol、Wは触媒重量(g)でFは流速(mol/h)、エタノールの圧力は101.3kPaで反応器中に通した。
反応器出口ガスをガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と略す。)で分析した結果、エタノールの反応率は58%でブタジエンの選択率が46%であった。この時のブタジエン生成速度は、2.4×10-2mol/g・hであった。
〔実施例2〕
<触媒Bの調製>
水酸化マグネシウム(関東化学社製)を600℃で12時間焼成して調製した酸化マグネシウム1.34g、シリカ(CariACT G−6、富士シリシア化学)2.69g、および、酸化亜鉛(関東化学社製)0.63gを、アンモニア水43.2gに加え、室温(25℃)で1時間混錬し、混合物を調製した。
調製した混合物を、毎分0.5℃で室温から150℃まで昇温させ、150℃で10時間施す水熱処理を行った。
その後、室温まで戻し、蒸留水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
乾燥後の固体を粉末とした後、油圧プレス成型機で20mm径、約0.5mm圧のディスクに成型し、破砕・篩分により16−32メッシュの粉状触媒前駆体(以下、「触媒前駆体B」と略す。)を調製した。
内径10mmの常圧固定床流通反応器に、調製した触媒前駆体B(0.30g)を入れ、触媒層両端をシリカウール固定された状態で充填し、さらに触媒層上流空塔部には不活性粒状シリカ(Merck社製、6.0g)を充填した。
この反応器に、窒素500mL/minを流しながら室温から400℃まで毎分1℃ずつ昇温させた後、400℃で8時間維持することによって焼成処理を兼ねた前処理を施し、反応器内で触媒Bを調製した。
なお、別途、触媒前駆体Bに対して、400℃で8時間、真空条件下で焼成処理を施して得られる触媒Bを調製し、上述した方法により、XPSスペクトルを測定したところ、O1sに帰属するピークの結合エネルギーが、532.3eVであることが分かった。
<ブタジエンの生成>
接触時間(W/F)は5.49gh/mol、Wは触媒重量(g)でFは流速(mol/h)、エタノールの圧力は101.3kPaで反応器中に通した。
反応器出口ガスをGSで分析した結果、エタノールの反応率は45%でブタジエンの選択率が25%であった。この時のブタジエン生成速度は、1.2×10-2mol/g・hであった。
〔比較例1〕
<触媒Cの調製>
水酸化マグネシウム(関東化学社製)を600℃で12時間焼成して調製した酸化マグネシウム1.34g、および、シリカ(CariACT G−6、富士シリシア化学)2.69gを、アンモニア水43.2gに加え、室温(25℃)で1時間混錬し、混合物を調製した。
調製した混合物を、毎分0.5℃で室温から150℃まで昇温させ、150℃で10時間施す水熱処理を行った。
その後、室温まで戻し、蒸留水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
乾燥後の固体を粉末とした後、油圧プレス成型機で20mm径、約0.5mm圧のディスクに成型し、破砕・篩分により16−32メッシュの粉状触媒前駆体(以下、「触媒前駆体C」と略す。)を調製した。
内径10mmの常圧固定床流通反応器に、調製した触媒前駆体C(0.30g)を入れ、触媒層両端をシリカウール固定された状態で充填し、さらに触媒層上流空塔部には不活性粒状シリカ(Merck社製、6.0g)を充填した。
この反応器に、窒素500mL/minを流しながら室温から400℃まで毎分1℃ずつ昇温させた後、400℃で8時間維持することによって焼成処理を兼ねた前処理を施し、反応器内で触媒Cを調製した。
なお、別途、触媒前駆体Cに対して、400℃で8時間、真空条件下で焼成処理を施して得た触媒Cを調製し、上述した方法により、XPSスペクトルを測定したところ、O1sに帰属するピークの結合エネルギーが、532.5eVであることが分かった。
<ブタジエンの生成>
接触時間(W/F)は5.49gh/mol、Wは触媒重量(g)でFは流速(mol/h)、エタノールの圧力は101.3kPaで反応器中に通した。
反応器出口ガスをGCで分析した結果、エタノールの反応率は14.1%でブタジエンの選択率が4.8%であった。この時のブタジエン生成速度は、6.2×10-4mol/g・hであった。
〔比較例2〕
<触媒Dの調製>
0.1M硝酸水溶液5mLに、硝酸マグネシウム六水和物(和光純薬工業(株)製)2.705g(0.021モル、反応系中のMg濃度:1.4モル/L)、硝酸亜鉛六水和物(和光純薬工業(株)製)0.165g(0.001モル、反応系中のZn濃度:0.07モル/L)、および、尿素1.00g(反応系中の尿素濃度:2.2モル/L)を加え溶解するまで撹拌した。
得られた溶液にテトラエチルオルソシリケート(東京化成工業(株)製)2.5mL(0.022モル)を加え、溶液が均一になるまで撹拌した。
均一化した溶液を50mL圧力容器に移液し、密閉した後に、自圧下、100℃で48時間加熱した(水熱処理)。圧力容器中に形成したゲルを濾過することにより回収し、60℃で2日間、乾燥させ白色固体を得た。この固体を粉砕し、さらに170℃で1時間乾燥させた後に、550℃で2時間焼成して触媒D(Si:Mg:Zn(モル比)=1:0.95:0.05、触媒全量におけるZn含有量:3.2重量%)を得た。
調製した触媒Dについて、上述した方法により、XPSスペクトルを測定したところ、O1sに帰属するピークの結合エネルギーが、533.0eVであることが分かった。
内径10mmの常圧固定床流通反応器に、調製した触媒D(0.30g)を入れ、触媒層両端をシリカウール固定された状態で充填し、さらに触媒層上流空塔部には不活性粒状シリカ(Merck社製、6.0g)を充填した。
この反応器に、窒素500mL/minを流しながら室温から450℃まで毎分1℃ずつ昇温させた後、450℃で1時間維持することによって前処理を施した。
<ブタジエンの生成>
接触時間(W/F)は5.49gh/mol、Wは触媒重量(g)でFは流速(mol/h)、エタノールの圧力は101.3kPaで反応器中に通した。
反応器出口ガスをGCで分析した結果、エタノールの反応率は11.0%でブタジエンの選択率が4.5%であった。この時のブタジエン生成速度は、4.5×10-4mol/g・hであった。
〔比較例3〕
<触媒Eの調製>
焼成処理の温度を650℃に変更した以外は、触媒Dと同様の方法で、触媒Eを調製した。
調製した触媒Eについて、上述した方法により、XPSスペクトルを測定したところ、O1sに帰属するピークの結合エネルギーが、532.7eVであることが分かった。
内径10mmの常圧固定床流通反応器に、調製した触媒E(0.30g)を入れ、触媒層両端をシリカウール固定された状態で充填し、さらに触媒層上流空塔部には不活性粒状シリカ(Merck社製、6.0g)を充填した。
この反応器に、窒素500mL/minを流しながら室温から450℃まで毎分1℃ずつ昇温させた後、450℃で1時間維持することによって前処理を施した。
<ブタジエンの生成>
接触時間(W/F)は5.49gh/mol、Wは触媒重量(g)でFは流速(mol/h)、エタノールの圧力は101.3kPaで反応器中に通した。
反応器出口ガスをGCで分析した結果、エタノールの反応率は12.2%でブタジエンの選択率が5.1%であった。この時のブタジエン生成速度は、9.7×10-4mol/g・hであった。
以上の実施例および比較例の結果から、亜鉛等の元素を担持しない金属酸化物触媒は、ブタジエンの生成速度が非常に遅いことが分かった(比較例1)。
また、特許文献1の調製例に相当する比較例2および3では、亜鉛を担持しているが、XPSスペクトルの結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲にO1sに帰属するピークを有していないため、接触時間(W/F)が10gh/mol以下の条件で反応を行った場合にブタジエンの選択率が低くなることが分かった。
これに対し、亜鉛等の元素を担持し、XPSスペクトルの結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲にO1sに帰属するピークを有する金属酸化物触媒は、接触時間(W/F)が10gh/mol以下の条件で反応を行った場合であってもブタジエンの選択率が高くなることが分かった。

Claims (7)

  1. ブタジエンの製造に用いる金属酸化物触媒であって、
    亜鉛、銀、インジウム、ゲルマニウム、タングステンおよびリンからなる群から選択される少なくとも1つの元素を担持し、
    X線光電子分光分析により測定したスペクトルにおいて、結合エネルギーが531.0eV以上532.5eV未満の範囲に、酸素の1s軌道に帰属するピークを有する、金属酸化物触媒。
  2. 前記触媒が、マグネシウムシリケート構造を有する、請求項1に記載の金属酸化物触媒。
  3. マグネシウム(Mg)とケイ素(Si)とのモル比(Mg/Si)が、10/1〜1/10である、請求項2に記載の金属酸化物触媒。
  4. 前記元素の含有量が、4.0×10-4mol/g未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物触媒。
  5. エタノールから触媒を用いてブタジエンを得るブタジエンの製造方法であって、
    前記触媒が、請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物触媒である、ブタジエンの製造方法。
  6. エタノールを含む原料を、200〜800℃の加熱条件下で、前記金属酸化物触媒に接触させることによりブタジエンを得る、請求項5に記載のブタジエンの製造方法。
  7. 水熱合成法により請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物触媒を得る金属酸化物触媒の製造方法であって、
    温度条件が50〜200℃であり、かつ、時間条件が1〜48時間である水熱処理を施す工程と、
    温度条件が450℃未満であり、かつ、時間条件が30分〜24時間である焼成処理を施す工程とを有する、金属酸化物触媒の製造方法。
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