JP6704227B2 - 鉄筋コンクリート柱 - Google Patents
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鉄筋コンクリート柱は、建築基準法施行令第77条第5号によって径長さ比(柱高さ/断面の小径)が15以下に制限されていたため、柱高さ(柱の長さ)に対して十分な大きさの断面寸法(太さ)を有しており、座屈破壊に対して十分な耐力を備えていると考えられていた。
ところが、平成23年の建築基準法の法改正により、鉄筋コンクリート柱に座屈が発生しないことが確認されれば、径長さ比を15以上にすることが可能となった。
このような長柱については、オイラー座屈の式を用いて座屈耐力の算定を行うのが一般的である。
このような観点から、本発明は、火災時であっても座屈耐力が急激に低下することがない鉄筋コンクリート柱を提案することを課題とする。
このようにすれば、鉄筋コンクリート柱の両端部において主筋の降伏点が高められるため、座屈耐力を向上させることができる。
また、主筋を部分的に補強しているため主筋を全長にわたって補強する場合に比べてコスト低減化を図ることができる。
本実施形態では、図1に示すように、径長さ比が15を超える鉄筋コンクリート柱1について説明する。
本実施形態の鉄筋コンクリート柱1の両端は、上下の梁にそれぞれ固定(剛結合)されている。
図2に示すように、鉄筋コンクリート柱1は、正方形断面のコンクリート硬化体2と、コンクリート硬化体2の各角部に配筋された主筋3,3,…と、コンクリート硬化体2の表面を被覆する耐火材4とからなる。
コンクリート硬化体2は、普通コンクリートにより形成されている。なお、コンクリート硬化体2を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、高強度コンクリートであってもよい。
主筋3を構成する普通鉄筋32と高強度鉄筋31,31は、同一の鉄筋径を有しており、端面同士を突き合わせた状態で摩擦圧接により連結されている。
本実施形態では、コンクリート硬化体2の先端から柱高さ6〜10%の範囲に対して高強度鉄筋31を配筋している。なお、高強度鉄筋31を配筋する範囲(長さ)は限定されない。
主筋3は、直線状を呈しており、直線状に形成されたコンクリート硬化体2の内部に、一定の被りコンクリート厚さ(構造上必要な被りコンクリート厚さ)を有して埋め込まれている。
なお、高強度鉄筋31および普通鉄筋32を構成する材料は、前記のものに限定されない。また、主筋3は、全延長にわたって同一の材料により構成してもよく、必ずしも普通鉄筋32と高強度鉄筋31とを連結することにより構成する必要はない。
本実施形態では、耐火材4として、モルタルをコンクリート硬化体2の表面に被覆する。なお、耐火材4を構成する材料はモルタルに限定されるものではなく、例えば、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、吹き付けロックウール、耐火塗料、巻き付け耐火被覆材等を使用してもよい。
また、耐火材(モルタル)4の被覆厚は限定されるものではないが、本実施形態では25mmの厚さで被覆する。
また、鉄筋コンクリート柱1の端部に耐火材4を被覆することで、柱端部において主筋3が火災時の熱の影響を受け難い。
主筋3の両端部に高強度鉄筋31を使用しているため、鉄筋コンクリート柱1の端部に生じる曲げモーメントが大きくなる場合であっても、座屈を抑制することができる。また、主筋3を全長にわたって高強度化する場合に比べて、費用を削減することができる。
また、主筋3を構成する高強度鉄筋31,31と普通鉄筋32は、端面同士を突き合わせた状態で工場において摩擦圧接により接合されているので、ガス圧接継手、機械式継手、溶接式継手などに比べて、ふくらみが少なく外部から加熱された場合に、熱を受けやすいコンクリート表面に近い部分を減らすことができ、好適である。
解析モデルは、図3(a)に示すように、高さ(長さ)5mの鉄筋コンクリート柱1で、両端固定(剛結)とする。鉄筋コンクリート柱1は、両端部において、500mmの範囲が、厚さ25mmのモルタル(耐火材)により被覆されている。
また、比較例として、図3(b)に示すように、両端部が被覆されていない高さ5mの鉄筋コンクリート柱10についても火災時の応力状態の解析を行った。鉄筋コンクリート柱10の両端は固定(剛結)とする。
なお、図4(b)に示すように、加熱時間が長くなるにつれて鉄筋コンクリート柱10の変形が大きくなり、これに伴い軸力による付加曲げモーメントが大きくなる。比較例では、図4(b)に示すように、柱中央部よりも柱端部において火災時の付加曲げモーメントが大きくなるため、柱端部において鉄筋コンクリート柱10が破壊することになる。
一方、本実施形態の鉄筋コンクリート柱1は、柱端部において耐火材4を被覆して部材の温度上昇を抑制することで、耐火性能を向上させている。鉄筋コンクリート柱1では、比較例に比べて破壊に至るまでの時間が30分以上長い。
したがって、本実施形態の鉄筋コンクリート柱1によれば、両端部において耐火および補強しているため、火災時の座屈破壊耐力が向上している。
第二の実施形態では、図5に示すように、径長さ比が15を超える鉄筋コンクリート柱1について説明する。
本実施形態の鉄筋コンクリート柱1の両端は、上下の梁にそれぞれ固定されている。
図6に示すように、鉄筋コンクリート柱1は、断面正方形のコンクリート硬化体2と、コンクリート硬化体2の各角部に配筋された主筋3,3,…と、コンクリート硬化体2の両端部に配筋された補強鉄筋5,5,…とを備えている。
コンクリート硬化体2は、柱中央部の一般部21と、柱両端分の拡径部22とを有している。拡径部22は、コンクリート硬化体2の先端から、柱高さ6〜10%の範囲に形成されている。
拡径部22の断面形状(図6(b)参照)は、一般部21の断面形状(図6(c)参照)よりも大きい。そのため、コンクリート硬化体2の両端部における主筋3の被りコンクリート厚は、一般部21における被りコンクリート厚よりも大きい。
拡径部22の柱軸方向中央側は、中央に向うに従って幅が狭まるように傾斜していて、一般部21に擦り付いている。なお、一般部21と拡径部22との境界部は、傾斜面を形成することなく、段差を有していてもよい。
主筋3は、直線状を呈しており、一般部21において構造上必要な被りコンクリート厚さを確保できるように、コンクリート硬化体2に埋設されている。
補強鉄筋5は、火災時に座屈による変形が大きくなる箇所に配筋するものとし、コンクリート硬化体2の先端から、柱高さ6〜10%の範囲に配筋される長さを有している。なお、補強鉄筋5の長さは限定されるものではない。
また、本実施形態では、主筋3と補強鉄筋5との離隔距離(あき)が25mmを確保できるようにする。なお、主筋3と補強鉄筋5との離隔距離(あき)の大きさは限定されず、補強鉄筋5は主筋3に接してもよいし、平面視柱中心に補強鉄筋を配筋してもよい。
主筋3の両端部に補強鉄筋5を並設しているため、鉄筋コンクリート柱1を剛結合することで、鉄筋コンクリート柱1の端部に生じる曲げモーメントが大きくなる場合であっても、座屈を抑制することができる。また、主筋3を全長にわたって高強度化する場合や、補強鉄筋5を鉄筋コンクリート柱1の全長にわたって配筋する場合に比べて、費用を削減することができる。
なお、鉄筋コンクリート柱の両端を剛結合すると、柱端部において鉄筋コンクリート柱が破壊することになる(図4(b)参照)が、本実施形態の鉄筋コンクリート柱1は、柱端部において断面形状を大きくしているため、温度上昇が抑制されている。さらに、柱端部に補強鉄筋5を配筋することで、座屈耐力が高められている。
例えば、前記実施形態では鉄筋コンクリート柱1の両端部に、高強度鉄筋31または補強鉄筋5を配筋する場合について説明したが、高強度鉄筋31または補強鉄筋5は、鉄筋コンクリート柱1に作用する応力に応じて配筋すればよい。例えば、鉄筋コンクリート柱1端部をピン接合する場合には、図7に示すように、柱中央部において曲げモーメントが大きくなることが予想されるため、柱中央部に高強度鉄筋31または補強鉄筋5を配筋すればよい。すなわち、高強度鉄筋31または補強鉄筋5を配筋する位置は、鉄筋コンクリート柱1の固定度に応じて設定してもよい。
前記各実施形態では、主筋3(計4本の主筋3)をコンクリート硬化体2の各角部に配筋する場合について説明したが、主筋3の配置および配筋ピッチは限定されるものではない。
また、コンクリート硬化体2の断面形状は正方形に限定されるものではなく、例えば、円形、長方形等の他の多角形断面等であってもよい。
2 コンクリート硬化体
21 一般部
22 拡径部
3 主筋
31 高強度鉄筋
32 普通鉄筋
4 耐火材
5 補強鉄筋(高強度鉄筋)
Claims (1)
- 径高さ比が15を超えるコンクリート硬化体と、
前記コンクリート硬化体に配筋された主筋と、
前記コンクリート硬化体の表面を被覆する耐火材と、を備える鉄筋コンクリート柱であって、
前記主筋の両端部は、火災時に熱の影響を受けて降伏しない高強度鉄筋からなり、
前記主筋の中央部は、前記高強度鉄筋に連結された普通鉄筋からなり、
前記高強度鉄筋と前記普通鉄筋は、同一の鉄筋径を有していて、端面同士を突き合せた状態で摩擦圧接により連結されており、
前記耐火材は、前記コンクリート硬化体の両端部を被覆していることを特徴とする、鉄筋コンクリート柱。
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