JP6704146B1 - 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品 - Google Patents

熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP6704146B1
JP6704146B1 JP2019006252A JP2019006252A JP6704146B1 JP 6704146 B1 JP6704146 B1 JP 6704146B1 JP 2019006252 A JP2019006252 A JP 2019006252A JP 2019006252 A JP2019006252 A JP 2019006252A JP 6704146 B1 JP6704146 B1 JP 6704146B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
thermoplastic
polypropylene
long
propylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019006252A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020114897A (ja
Inventor
佑介 平池
佑介 平池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TBM Co Ltd
Original Assignee
TBM Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TBM Co Ltd filed Critical TBM Co Ltd
Priority to JP2019006252A priority Critical patent/JP6704146B1/ja
Priority to PCT/JP2019/047378 priority patent/WO2020149038A1/ja
Priority to TW108147987A priority patent/TW202031760A/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP6704146B1 publication Critical patent/JP6704146B1/ja
Publication of JP2020114897A publication Critical patent/JP2020114897A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • C08J9/04Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof using blowing gases generated by a previously added blowing agent
    • C08J9/06Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof using blowing gases generated by a previously added blowing agent by a chemical blowing agent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/01Use of inorganic substances as compounding ingredients characterized by their specific function
    • C08K3/013Fillers, pigments or reinforcing additives
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L23/00Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/10Homopolymers or copolymers of propene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L23/00Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L23/02Compositions of homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Compositions of derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08L23/10Homopolymers or copolymers of propene
    • C08L23/12Polypropene

Abstract

【課題】無機物質粉末を多く含んでいても、良好な発泡構造を形成し、軽量な成形品を提供することが可能な熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品を提供すること。【解決手段】 少なくとも熱可塑性樹脂、無機物質粉末および化学発泡剤を有してなる熱可塑性発泡樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂には、長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)と長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)とを、質量比80:20〜98:2の割合で含有するものである。これにより得られる発泡成形品は、良好な発泡構造を有し軽量で、表面性状、強度等の物性に優れたものとなる。【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品に関する。
従来より、熱可塑性樹脂は、工業用および家庭用の各種成形品、食品包装や一般用品の成形包装等の材料として、森林資源を源とする紙資材と共に広く用いられてきたが、環境保護が国際的な問題となって来た現在、これらを無毒で、リサイクル可能とする、焼却できるといった観点と並行して、熱可塑性樹脂ならびに紙資材の消費量を低減することも大いに検討されている。
このような点から、無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に高充填してなる無機物質粉末配合熱可塑性樹脂組成物が提唱され、実用化されている。
例えば、特許文献1には、約43重量%〜約18重量%のポリエチレンと56重量%〜80重量%の無機鉱物粉末と約1重量%〜約2重量%の添加剤を含んでいる組成物を混合、押出し、ペレット化し、さらにパリソン形成してブロー成形によってシート状とすると同時に引張りローラーにより延伸して2軸方向に延伸することで、無機鉱物粉末を高含有する環境性を考慮したポリエチレン系合成紙が提案されている。
また、特許文献2では、配合する無機物質粉末として所定の平均粒径範囲を有すると共に粗大粒子を含まないこと、組成物の混練にニ軸スクリューを配した押出機を用いて高剪断応力を作用させて混練すること、Tダイ方式によってシート状に押出成形すること、さらに縦方向、横方向の延伸倍率を何れも規定値以内に抑えて、延伸後のシートを所望の見かけ比重に調整することで、夾雑物の混入が抑制され、厚さが均一で、紙に類似した見かけ比重を有する商品性に優れた、無機充填剤を高配合した樹脂シートを提供することが提案されている。
特許文献3においては、このような無機充填剤を高配合した加工用樹脂シートにおいて、延伸の度合を調整することによって、比重を所定範囲内のものとすると共に、吸水度を所定範囲内として、樹脂シート表面に加工材料を低コストで効率良く塗布あるいは蒸着でき、積層した層が強固に接着する加工用樹脂シートを提供することが提案されている。
さらに、特許文献4においては、オフセット印刷用複合材として、その表面に形成されるインキ被着層を支持する基材として、熱可塑性樹脂と、空孔形成の核となる無機フィラー又は有機フィラー等とを混合した樹脂組成物を公知の方法でシート形成し、得られたシートを一軸又は二軸延伸することにより、内部に微細な空孔を多数形成し、支持体を白色化し、延伸の度合を調整することによって、比重を所定範囲内のものとすることが示されている。
また、特許文献5においては、主たる成分が長鎖分岐指数0.35〜0.70の熱可塑性樹脂100重量部に対し、充填材を1〜900重量部含有させた熱可塑性樹脂組成物、またはポリプロピレンと低密度ポリエチレンとの混合割合を重量比で95:5〜70:30とし、溶融張力(メルトテンション)が0.1〜3.0g、メルトフローレート(230℃)が10〜50g/10分である熱可塑性樹脂100重量部に対し、充填材を1〜900重量部含有させた熱可塑性樹脂組成物を、基材の表面にコーティングすることが示されている。
このように無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に高充填してなる無機物質粉末配合熱可塑性樹脂組成物は、環境面や経済面から優れているのみでなく、各種物性面においても優れており、前記したような押出成形品や基材表面へのコーティングといった態様等に加え、射出成形品等にも適用が期待される。しかし、無機物質粉末を高充填しているために、ポリプロピレン(比重約0.9)などの汎用樹脂成形品に比べると比重が高く、より汎用的に商業的な利用を行う上では軽量化が必要であった。
特開2001−71378号公報 特開2013−10931号公報 国際公開第WO2014/109267号明細書 国際公開第WO2017/057739号明細書 特開平10−219042号公報
無機物質粉末を熱可塑性樹脂中に高充填してなる組成物より形成される成形品の軽量化の手段としては、従来技術において示されるような延伸技術よりも効果的なものとして、発泡技術があり、中でも高倍率発泡(=低比重化)可能な手法として化学発泡が有望であると考えられる。しかし、無機物質粉末を多く含む熱可塑性樹脂組成物は、無機物質粉末を含まないかごく少量しか含まない汎用の熱可塑性樹脂組成物などに比べて、樹脂組成物の流動性が阻害され、均一に所望の発泡状態が得られず、また、発泡状態に大きなバラツキが生じるものであった。
加えて、このような発泡状態のバラツキに起因して、成形品の表面状態の不均一性や機械的特性のバラツキも大きいものとなるという問題も生じるものであった。
このように、無機物質粉末を多く含む熱可塑性樹脂組成物から発泡成形品を得るにおいて、単に化学発泡剤を添加しただけでは成形性に優れず、破泡に起因する表面品質の低下、発泡構造の悪化、力学特性低下といった問題が生じるものであった。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、無機物質粉末を多く含んでいても、良好な発泡構造を形成し、軽量な成形品を提供することが可能な熱可塑性発泡樹脂組成物、およびこれを用いてなる成形品を提供することを目的とする。本発明はまた、無機物質粉末を多く含んでいても、加熱溶融時のドローダウン特性、樹脂延展性が良好であり、さらに発泡時において均一に所望の発泡状態を維持でき、このため表面性状および機械的特性等の物性にも優れた成形品への成形が可能である熱可塑性発泡樹脂組成物、およびこれを用いてなる成形品を提供することを別の目的とする。本発明はさらに、耐熱性、難燃性に優れた熱可塑性発泡樹脂組成物、およびこれを用いてなる成形品を提供することを別の目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂と無機物質粉末と化学発泡剤とを含有する熱可塑性樹脂組成物により発泡成形品を得るにおいて、成形時の樹脂組成物の流動性を阻害することなく、均一な所望の発泡状態を得、発泡状態にバラツキがなく、従って表面状態の均一性や機械的特性の均一性も高い成形品を得る上で、高分子の融点以上の温度域、特に発泡成形時においても、高分子の流動性を抑制できれば発泡構造および樹脂製品の形状を維持できるとの観点から、成形性、加工性を低下させることなく、このような流動性を抑制して良好な発泡形成をできるものとして、長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)に長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)とを配合することを想起し、さらにその配合を特定割合とすれば、無機物質粉末を多く含んでいても、良好な発泡構造の成形体が得られることを見出した。さらにこのような熱可塑性発泡樹脂組成物においては、無機物質粉末を多く含んでいても、加熱溶融時のドローダウン特性、樹脂延展性が良好であり、良好な特性をもって種々の形態へと成形可能であること、さらに、得られる成形品が、耐熱性、難燃性に優れたものとなるとの知見を得て、本発明に到達したものである。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、少なくとも熱可塑性樹脂、無機物質粉末および化学発泡剤を有してなる熱可塑性発泡樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂には、長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)と長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)とを、質量比80:20〜98:2の割合で含有する熱可塑性発泡樹脂組成物である。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の一態様においては、前記熱可塑性樹脂と前記無機物質粉末とが質量比50:50〜10:90の割合で含有する熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の別の一態様においては、前記長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)が、13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が90%以上である長鎖分岐構造を有するポリプロピレンである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の別の一態様においては、前記長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)が、メルトフローレート(230℃)が1.0〜10.0g/10分で、溶融張力(230℃)が3.5〜30.0gである長鎖分岐構造を有するポリプロピレンである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の別の一態様においては、前記長鎖分岐構造を有しないポリプロピレン(B)が、メルトフローレート(230℃)が0.3〜50.0g/10分のポリプロピレンである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物のさらに別の一態様においては、前記無機物質粉末が平均粒子径0.1μm以上50.0μm以下のものである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物のさらに別の一態様においては、さらに前記無機物質粉末が炭酸カルシウムである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の一態様においては、前記無機物質粉末が重質炭酸カルシウムである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の一態様においては、前記化学発泡剤が、炭酸水素酸塩、炭酸塩、亜硝酸塩、水ないし結晶水含有無機物、水アゾ化合物およびニトロソ化合物からなる群から選択された少なくとも何れか1つのものである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物の好ましい一態様においては、前記化学発泡剤が、炭酸水素ナトリウムである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物のさらに好ましい一態様においては、前記炭酸水素ナトリウムを組成物の全質量に対して1.00〜10.00質量%含有するものである熱可塑性発泡樹脂組成物が示される。
上記課題を解決する本発明は、さらに、上記熱可塑性発泡樹脂組成物よりなる成形品である。
本発明に係る成形品の一態様においては、見掛け密度が、1.3〜0.8g/cmである成形品が示される。
本発明によれば、無機物質粉末を多く含んでいても、良好な発泡構造を形成することが可能な熱可塑性発泡樹脂組成物、およびこれを用いたシート等の成形品を提供することができる。本発明よれば、無機物質粉末を多く含んでいても、加熱溶融時のドローダウン特性、樹脂延展性が良好であり、良好な特性をもって種々の形態へと成形可能である熱可塑性発泡樹脂組成物、およびこれを用いてなる成形品を提供することができる。本発明においては、さらに、耐熱性、難燃性に優れた熱可塑性発泡樹脂組成物、およびこれを用いてなる成形品を提供することができる。
実施例において成形した成形品の形状を示す図面である。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
≪熱可塑性発泡樹脂組成物≫
本発明の熱可塑性発泡樹脂組成物は、少なくとも熱可塑性樹脂、無機物質粉末および化学発泡剤を含有するものであるが、該熱可塑性樹脂として、長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)と長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)とを後述する特定の割合で含有するものである。以下、本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物を構成する各成分につき、それぞれ詳細に説明する。
≪長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体≫
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物において、熱可塑性樹脂を構成する一成分として長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)を含有する。
本明細書において、「長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体」ないしは「長鎖分岐構造を有するポリプロピレン」とは、ポリプロピレン主鎖骨格から枝分かれしたポリプロピレン鎖を有する構造を有するプロピレン系重合体ないしポリプロピレンを言う。すなわち、「長鎖分岐」とは、モノマーが重合することによって分岐が重合体主鎖に形成されたものを意味し、プロピレン重合体におけるメチル基のように主鎖を形成するモノマーに由来する短鎖分岐は含まない。本明細書において「長鎖分岐」として、より具体的には、プロピレン系重合体の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系重合体残基を示す。炭素数5以上の分岐と炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより区別できる(Macromol.chem.phys.2003年、Vol.204、1738頁参照。)。なお、この文献における関連記載部分は、その関連により本明細書中に取り込まれる。
一方、上記ポリプロピレン主鎖骨格は、短鎖分岐を有していても良い直鎖状ポリプロピレンである。
ポリプロピレン中に長鎖分岐を有することは、樹脂のレオロジー特性による方法、例えば、固有粘度等の一般的分析法によって、分子量と粘度との関係を用いて分岐指数g’を算出する方法、13C−NMRを用いる方法などによって確認することができる。
(分岐指数g’)
分岐指数g’は、長鎖分岐に関する、直接的な指標として知られている。「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に詳細な説明があるが、分岐指数g’の定義は、以下の通りである。
分岐指数g’=[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
分岐指数g’は、光散乱計と粘度計を検出器に備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。分岐指数g’の測定方法については特開2015−40213号に詳細が記載されているが、例えば、下記に従い測定できる。
[測定方法]
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
[解析方法]
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
Polymer, 45, 6495−6505(2004)
Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
(これらの文献の関連部分の記載はその関連により本明細書中に取り込まれる。)
本発明において用いられる長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体の有する分岐指数g’としては、光散乱によって求めた絶対分子量Mabsが100万の時に、g’が0.30以上1.00未満であり、より好ましくは0.55以上0.98以下、さらに好ましくは0.75以上0.96以下、最も好ましくは0.78以上0.95以下である。
長鎖分岐を有するプロピレン系重合体(A)は、分子構造としては、櫛型鎖が生成すると考えられ、g’が0.30未満であると、主鎖が少なく側鎖の割合が極めて多いこととなり、溶融張力が十分なものとならない虞れがある。一方、g’が1.00である場合には、これは分岐が存在しないことを意味するものであり、後述する長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)に配合してもドローダウン特性、樹脂延展性を改善できないためである。分岐指数g’が、上記した0.55以上0.98以下、さらに0.75以上0.96以下、特に0.78以上0.95以下の範囲内にあると、十分な溶融張力を発揮する一方でゲル化といった問題も生じないため、後述する長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と所定割合で配合した際に、熱可塑性発泡樹脂組成物の成形性および加工性を低下させることなく、ドローダウン特性、樹脂延展性をより良好に改善する。このため当該発泡樹脂組成物を用いて発泡成形を行う際に、気泡が成長しすぎて隣のセルと繋がってしまうといった現象が起こることを効果的に抑制でき、良好な発泡構造を有する成形品を得ることができる。また、良好な発泡構造を形成できるため、破泡に起因して起こる表面のスワールマークなどの表面品質の低下、力学特性低下などもなく、優れた表面品質、力学特性を発揮する。
13C−NMR)
さらに、13C−NMRは、上述のように、短鎖分岐構造と長鎖分岐構造を区別することができる。Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、以下の通りである。
長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)は、例えば、下記構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。構造式(1)において、C、C、Cは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P、P、Pは、プロピレン系重合体残基を示す。なお、P、P、Pは、それ自体が、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有し得る。
このような分岐構造は、13C−NMR分析により同定される。各ピークの帰属は、Macromolecules,Vol.35、No.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にすることができる。すなわち、43.9〜44.1ppm,44.5〜44.7ppmおよび44.7〜44.9ppmに、それぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(C、C、C)が観測され、31.5〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測される。上記の31.5〜31.7ppmに観測されるメチン炭素を、以下、分岐メチン炭素(Cbr)と略称することがある。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
13C−NMRで帰属されるこのような分岐鎖は、プロピレン系重合体の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系重合体残基を示し、それと炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより、区別できるので、この分岐メチン炭素のピークが確認されることにより、長鎖分岐構造の有無を判断することができる。
なお、本明細書における13C−NMRの測定方法については、下記の通りである。
13C−NMR測定方法]
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行う。
13C−NMR測定は直径10mmのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行う。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施する。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
長鎖分岐を有するポリプロピレン系重合体は、13C−NMRスペクトルの、44ppm付近のピークから定量された長鎖分岐量が0.01個/1000トータルプロピレン以上であることが好ましく、より好ましくは0.03個/1000トータルプロピレン以上、さらに好ましくは0.05個/1000トータルプロピレン以上である。好ましくは1.00個/1000トータルプロピレン以下、より好ましくは0.50個/1000トータルプロピレン以下、さらに好ましくは0.30個/1000トータルプロピレン以下である。この範囲であると、十分な溶融張力を発揮する一方でゲル化といった問題も生じないため、後述する長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と所定割合で配合した際に、熱可塑性発泡樹脂組成物の成形性および加工性を低下させることなく、ドローダウン特性、樹脂延展性をより良好に改善し、射出成形等による発泡成形の際に、良好な発泡構造を形成できる。
さらに当該長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)のプロピレン単位としては、本発明に係る熱可塑性組成物の耐熱性や粘弾性等の機械的特性を優れたものにするといった観点から、高い立体規則性のある構造を有することが好ましい。具体的には、13C−NMR測定によって得られるアイソタクチックトライアッド分率(mm)(すなわち、3連続したプロピレン単位のmm分率)が、十分に高い値、具体的には90.0%以上の高い立体規則性を有していることが好ましい。
ここで、mm分率とは、該ポリプロピレン鎖を構成する任意の3連続したプロピレン単位を1ユニットと見た際、各1ユニット中のメチル分岐の方向が同方向である3連続したプロピレン単位の割合であり、分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクティックにどの程度制御されているかを示す値である。
3連続したプロピレン単位は、後述する式(3a)〜(3c)で表される3種類に大別できるが、mm分率は、{下記式(3a)の単位の数}/{下記式(3a)の単位の数+下記式(3b)の単位の数+下記式(3c)の単位の数}×100で定義され、この値が、長鎖分岐を有するプロピレン系重合体(A)およびそれを含む組成物の耐熱性や粘弾性等の機械的特性の観点から、90.0%以上、さらに91.0%以上が好ましく、93.0%以上がさらに好ましく、95.0%以上が特に好ましい。また、上限は100.0%であるが、通常は、製品製造管理上の難易度およびそれによるコストの観点から、99.8%以下、さらに99.5%以下がさらに好ましく、99.0%以下がさらにより好ましい。
3連続したプロピレン単位のmm分率は、例えば、前述の13C−NMRでの分岐構造の分析の場合と同様の条件で13C−NMR測定された結果を用いて算出することができる。この場合、サンプルの調製条件、および、13C−NMRの測定条件は、該プロピレン単位を好適に定量できる条件であれば特に限定されないが、例えば、試料390mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.6mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmのNMR試料管に入れ溶解し、公知の分光計を用いて、13C−NMR測定を行う。
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:128回以上
観測域:−20ppmから179ppm
各ピークの帰属は、前記したMacromolecules,Vol.35、No.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にすることができる。
プロピレン系重合体分子を構成する3種類の3連続したプロピレン単位を下記式(3a)〜下記式(3c)に表した。下記式(3a)はmm構造、下記式(3b)はmr構造、下記式(3c)はrr構造を表す。
3連続したプロピレン単位のmm分率で用いる13C−NMR測定結果とは、具体的には、下記式(3a)〜下記式(3c)に表した3連続したプロピレン単位中の中心プロピレンのメチル基に由来する炭素のピークを用いてメチル基量を定量した結果である。
該3種類のメチル基の化学シフトは、以下の通りである。
mm:24.3ppm〜21.1ppm付近
mr:21.2ppm〜20.5ppm付近
rr:20.5ppm〜19.8ppm付近
上記3種類の着目するメチル基の化学シフト範囲は、概ね上記の化学シフト範囲である。分子量等により若干変化することはあるが、着目するメチル基に由来するシグナルの識別は容易である。
さらに当該長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)は、JIS K7210−1:2014(ISO 1133−1:2011)に準拠して、温度230℃、2.16Kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が1.0〜10.0g/10分、であることが好ましい。好ましくは1.0〜3.0g/10分、さらに好ましくは、1.0〜2.5g/10分である。
長鎖分岐を有するプロピレン系重合体(A)のMFRが上記範囲内にあると、これを含む熱可塑性発泡樹脂組成物の流動性の大幅な低下を引き起して加工性を低下させることがない一方で、後述する長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)に所定量配合することにより、得られる発泡成形品の所定温度域での耐熱性、耐延伸性を向上させることができる。
また、当該長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)は、温度230℃での溶融張力が、5〜30g、より好ましくは10〜30g、さらに好ましくは、14〜30gあることが望ましい。
長鎖分岐を有するプロピレン系重合体(A)の溶融張力が上記範囲内にあると、これを含む熱可塑性発泡樹脂組成物を用いて発泡成形する際に良好な独立気泡構造を保持し得、結果的に発泡構造、表面品質および力学特性等の何れにおいても優れた成形品を得ることができる。
なお、本発明における溶融張力は、以下の条件で測定した値とする。
[測定条件]
測定装置:(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B
キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
シリンダー径:9.55mm
シリンダー押出速度:20mm/分
引き取り速度:4.0m/分(但し、溶融張力が高すぎて樹脂が破断してしまう場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度で測定する。)
温度:230℃
また、当該長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)は、溶融張力の値がさらに、上記したメルトフローレート(MFR)の値と、次の条件を満たすことが望ましい。
log(溶融張力)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または30≧溶融張力≧15
この条件を溶融張力が満たすことにより、後述する長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)に、当該長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)を配合することによって樹脂組成物の延展性等の加工性を良好なものに保ちつつ、上記したような成形品が熱固定工程を有する装置内を通過するといった際の耐熱性をより向上させることが可能となる。
さらに、次の条件:
log(溶融張力)≧−0.9×log(MFR)+0.9、または30≧溶融張力≧15
を満たすことがより好ましく、以下の条件:
log(溶融張力)≧−0.9×log(MFR)+1.1、または30≧溶融張力≧15
を満たすことがさらに好ましい。
一般に、長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)の製法としては、放射線や過酸化物を利用した変性により分岐構造を導入する方法や、二段重合による方法、ジエンの微量添加による方法、メタロセン触媒を利用し、例えば、重合第一段階(マクロマー合成工程)で、特定の錯体と特定の重合条件により、末端にビニル構造をもつプロピレンマクロマーを製造し、その後、重合第二段階(マクロマー共重合工程)で、特定の触媒と特定の重合条件によりプロピレンと共重合を行うことにより、長鎖分岐構造を形成するマクロマー共重合法を行う方法などが知られている。なお、マクロマー共重合法に用いられるメタロセン触媒は、直鎖ポリプロピレンの合成に用いられる単純な非架橋メタロセン触媒とは異なり、架橋メタロセンやハーフメタロセン、特に限定されるわけではないが、例えば、シリレン架橋のメタロセン錯体等が選択性の高い触媒として用いられる。
本発明において用いられる長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)の製造方法としては、長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)が上記所定の特性を有する限り、特に限定されるわけではなく、何れの製造方法によるものであってもよい。しかしながら、前述したようにより高い立体規則性のある構造を有することが望ましいことから、メタロセン触媒を用いたマクロマー共重合法により合成されたものが好ましく例示できる。このような特定のメタロセン触媒を使用して重合した合成方法としては、例えば特開2009−299025号公報に詳しい。
長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体を製造する好ましい方法の一例として、プロピレン重合触媒に下記の触媒成分(K)、(L)および(M)を用いるプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(K):下記一般式(k1)で表される化合物である成分[K−1]から少なくとも1種類と、後記一般式(k2)で表される化合物である成分[K−2]から少なくとも1種類の、2種以上の周期表4族の遷移金属化合物;
(L):イオン交換性層状珪酸塩;および
(M):有機アルミニウム化合物。
以下、触媒成分(K)、(L)および(M)について、詳細に説明する。
・触媒成分(K)
(i)成分[K−1]:下記一般式(k1)で表される化合物
[一般式(k1)中、RおよびRは、各々独立して、炭素数4〜16の窒素、酸素または硫黄を含有する複素環基を示す。また、RおよびRは、各々独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リンまたはこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素、酸素または硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、XおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Qは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。]
上記RおよびRの炭素数4〜16の窒素、酸素または硫黄を含有する複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、RおよびRとして、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、RおよびRは、互いに同一である場合が好ましい。
上記RおよびRの炭素数6〜16の、ハロゲン、珪素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい。アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
およびRとしては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、またはフェナンスリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R3およびR4が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(k1)中、XおよびYは、補助配位子であり、触媒成分(L)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、XとYは、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
また、一般式(k1)中、Qは、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基の何れかを示す。シリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQの具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基の珪素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(k1)で表される化合物として具体的には例えば、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウムなどを挙げることができる。
(ii)成分[K−2]:一般式(k2)で表される化合物
[一般式(k2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン、珪素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リンまたはこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基である。XおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q2は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。Mは、ジルコニウムまたはハフニウムである。]
上記RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数6〜16の、好ましくは炭素数6〜12の、ハロゲン、珪素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記XおよびYは、補助配位子であり、触媒成分(L)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りXおよびYは、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
また、上記Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基あるいは置換ゲルミレン基である。珪素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。
Q2の具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記Mは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(k2)で表されるメタロセン化合物として具体的には例えば、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムなどが挙げられる。また、以上では、中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、ジルコニウムに代替した化合物も同様に例示できる。
(L):イオン交換性層状珪酸塩
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある。)とは、イオン結合などによって構成される面が、互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然では主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(L)に含まれる。
使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよく、また、それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等が挙げられる。
珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることがさらに好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易にかつ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩(L)は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理の何れをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれるが、これらの吸着水および層間水を除去して触媒成分(L)として使用するのが好ましい。触媒成分(N)として特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3質量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する有機アルミニウム化合物の触媒成分(M)で処理を行うことが可能である。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する触媒成分(M)の使用量に制限は無いが、通常20.0mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10.0mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は、後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
(M):有機アルミニウム化合物
触媒成分(M)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:
(AlR 3−q で示される化合物が好適である。
式中、R9は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素原子、アルコキシ基またはアミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。
としては、アルキル基が好ましく、また、Zは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
この式で表される化合物は、単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
触媒は、上記の各触媒成分(K)〜(M)を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃〜150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
触媒成分(L)を使用する場合、触媒成分(K)と触媒成分(L)を接触させる前に、触媒成分(K)と、あるいは触媒成分(L)と、または触媒成分(K)および触媒成分(L)の両方に触媒成分(M)を接触させること、または、触媒成分(K)と触媒成分(L)を接触させるのと同時に触媒成分(M)を接触させること、または、触媒成分(K)と触媒成分(L)を接触させた後に触媒成分(M)を接触させることが可能であるが、好ましくは、触媒成分(K)と触媒成分(L)を接触させる前に、触媒成分(M)と何れかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(K)、(L)および(M)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(L)に対する触媒成分(K)の使用量は、触媒成分(L)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1,000.0μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500.0μmolの範囲である。また触媒成分(K)に対する触媒成分(M)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5.00×10、特に好ましくは0.1〜1.0×10の範囲内が好ましい。
前記成分[K−1](一般式(k1)で表される化合物)と前記成分[K−2](一般式(k2)で表される化合物)の使用割合は、長鎖分岐を有するポリプロピレン樹脂(A)の前記特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[K−1]と[K−2]の合計量に対する[K−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[K−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[K−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[K−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、分岐指数g’、溶融張力、延展性といった溶融物性を制御することができる。
長鎖分岐を有するポリプロピレン樹脂(A)を製造するためには、前記モル比は、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.40以上であり、さらに好ましくは0.50以上である。また、上限に関しては、好ましくは0.99以下であり、高い触媒活性で効率的に長鎖分岐を有するポリプロピレン樹脂(A)を得るためには、好ましくは0.95以下であり、さらに好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[K−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
触媒は、好ましくは、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合の量は、予備重合ポリマー量が触媒成分(K)に対し、重量比で好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(M)を添加、または追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
重合様式は、前記触媒成分(K)、触媒成分(L)および触媒成分(M)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、いわゆるバルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独または混合物が用いられる。
また、重合温度は、通常0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、さらに好ましくは75℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、さらに好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下であることが好ましい。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、さらに好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、さらに好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、さらに好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、さらに好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で、好ましくは1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、MFR、分岐指数、溶融張力、延展性といった、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)を特徴付ける溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、さらに好ましくは0.8×10−2以下である。
ここで例示した触媒、重合法を用いてプロピレンを重合すると、触媒成分[M−1]由来の活性種から、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により、ポリマー片末端が主としてプロペニル構造を示し、いわゆるマクロマーが生成する。このマクロマーは、より高分子量を生成することができ、より共重合性がよい触媒成分[M−2]由来の活性種に取り込まれ、マクロマー共重合が進行すると考えられる。したがって、生成する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の分岐構造としては、櫛型鎖が主であると考えられる。
さらに上記したようなメタロセン系触媒を用いることで、前述したような高い立体規則性のある構造を有するものとすることができる。
さらに、本発明において用いられ得る長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)として使用可能な市販品としては、ウェイマックス(商品名)(日本ポリプロ(株)製)の各種グレード、MFX8、MFX6、MFX3、EX8000、EX6000、EX4000、PF814(商品名)(Lyondell Basell社製)、Daploy(商品名) WB140HMS(Borealis社製)等が挙げられる。
≪長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)≫
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物においては、上記した長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)と共に、ベースとなる成分として、長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)を含有する。
本明細書において、「長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体」ないしは「長鎖分岐構造を有しないポリプロピレン」とは、直鎖プロピレン系重合体ないしは直鎖ポリプロピレン、あるいはメチル基のように主鎖を形成するモノマーに由来する短鎖分岐を含む直鎖短鎖分岐プロピレン系重合体ないしは直鎖短鎖分岐ポリプロピレンを含み、より具体的には、前述した「長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体」ないし「長鎖分岐構造を有するポリプロピレン」の規定に該当しない、プロピレン系重合体ないしポリプロピレンである。
このような長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)としては、上記規定に該当するものである限り、特に限定されるものではない。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒あるいは塩化マグネシウム担持型チーグラー・ナッタ触媒を用いて、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウム等の助触媒の共存下に、プロピレン、あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとを重合することによって得られたものや、あるいは、メタロセン化合物を使用したカミンスキー型触媒を用いて重合されたものであっても良い。
長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)の立体規則性についても、特に制限はなく、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックあるいはこれらの任意の割合の混合系であっても良い。特に限定されるものではないが、工業的な入手容易性からすれば、結晶性のアイソタクチックポリマーを主成分とし、0.5〜2.0モル%程度のアタクチックポリマーを含むポリプロピレンが用いられ得る。
しかしながら本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物として、より良好な成形性、溶融特性等を得る上では、ベースとなる長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)としても、一定範囲内の流動特性を有していることが望ましく、上記したものと同じ条件により測定したメルトフローレート(230℃)が0.3〜50.0g/10分であることが望ましい。より好ましくは0.3〜10.0g/10分、さらに好ましくは、0.3〜1.0g/10分である。
なお、本発明においては、上記した長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)を配合することよって、熱可塑性発泡樹脂組成物のドローダウン特性、延展性等を改善するものであるので、ベースとなる長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)としては熱可塑性発泡樹脂組成物の流動性および加工性が低下することのないように、ある程度高い値のメルトフローレートとすることが望ましい。
また、長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)としては、プロピレン単独重合体であることが望ましく、この場合、特に限定されるものではないが、13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が90%程度以上であることが望ましい。
長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)において、プロピレンと共重合し得る他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ヘキセンなどが挙げられ、これらの中でも特にエチレン、1−ブテンおよび1−へキセンである。長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)は、特に限定されるものではないが、プロピレン以外のモノマーに由来する構成単位を、15質量%未満の割合で含むものであってもよいが、好ましくは上記したように、プロピレンの単独重合体である。
≪長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)との配合比≫
しかして本発明に係る熱可塑性組成物においては、上記した長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と上記した長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)とが、質量比80:20〜98:2の割合で含有される。この範囲内の配合割合とすることで、本発明に係る無機物質粉末と熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性組成物が、(1)長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)単体、(2)長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と無機物質粉末とを含む熱可塑性組成物、および(3)長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)とを含むポリプロピレン系重合体ブレンドと比較して、例えば、170℃〜180℃温度での破断点強度および最大伸びの大幅な向上が見られ、熱可塑性発泡樹脂組成物が無機物質粉末を多く含み、かつ化学発泡剤により発泡させて成形した場合に、加熱溶融時のドローダウン特性、延展性が良好であり、良好な発泡成形が行える。また、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)を上記所定量含有することによって、成形品の耐熱性、難燃性も向上する。
長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)との質量比としては、80:20〜98:2の割合であることがより好ましく、80:20〜90:10の割合であることがさらに好ましい。
≪その他の熱可塑性樹脂≫
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物において、樹脂成分としては、前記した長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と前記した長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)以外の熱可塑性樹脂も、前記長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と前記した長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)とによる所定の効果を大きく損なわないものである限り含有することができるが、樹脂成分全体の質量を100%とした場合に、これら他の熱可塑性樹脂は0〜30質量%程度であることが望まれる。すなわち、熱可塑性発泡樹脂組成物における樹脂成分全体の質量を100%とした場合において、前記長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と前記長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)の合計量が70質量%〜100質量%となることが望まれる。その他の熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリブチレン等)、生分解性樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
なお、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂とは、ポリオレフィン、ポリアミドを主鎖として有する樹脂のことを指す。より具体的には、例えば、ポリエチレンは、エチレンを主鎖として有する樹脂のことを指し、これらの樹脂は、結晶性を有するものが好ましく他のモノマーとの共重合体であってもよい。
なお、生分解性樹脂とは、自然界の微生物によって完全に消費され最終的に水と二酸化炭素に分解される樹脂をいう。
具体的には、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、セルロースエステル等を挙げることができる。また、結晶性高分子は1種単独でもよく、2種以上を用いてもよく、例えば、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものであってもよい。
≪無機物質粉末≫
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物中に配合され得る無機物質粉末としては、特に限定されず、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛などの炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、もしくはこれらの水和物の粉末状のものが挙げられ、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。これらは合成のものであっても天然鉱物由来のものであってもよく、また、これらは単独で2種類以上併用して使用され得る。
さらに、無機物質粉末の形状としても、特に限定されるわけではなく、粒子状、フレーク状、顆粒状、繊維状等の何れであってもよい。また、粒子状としても、一般的に合成法により得られるような球形のものであっても、あるいは、採集した天然鉱物を粉砕にかけることにより得られるような不定形状のものであっても良い。
これらの無機物質粉末として、好ましくは炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等であり、特に炭酸カルシウムが好ましい。さらに炭酸カルシウムとしては、合成法により調製されたもの、いわゆる軽質炭酸カルシウムと、石灰石などCaCOを主成分とする天然原料を機械的に粉砕分級して得られる、いわゆる重質炭酸カルシウムとの何れであっても良く、これらを組合わせることも可能であるが、経済性の観点で、好ましくは、重質炭酸カルシウムである。
また、無機物質粉末の分散性または反応性を高めるために、無機物質粉末の表面をあらかじめ常法に従い改質しておいてもよい。表面改質法としては、プラズマ処理等の物理的な方法や、カップリング剤や界面活性剤で表面を化学的に処理するものなどが例示できる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の何れのものであってもよく、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
無機物質粉末は、粒子であることが好ましく平均粒子径は、0.1μm以上50.0μm以下が好ましく、1.0μm以上15.0μm以下がより好ましい。なお、本明細書において述べる無機物質粉末の平均粒子径は、JIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値をいう。測定機器としては、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型を好ましく用いることができる。特に、その粒径分布において、粒子径50.0μm以上の粒子を含有しないことが好ましい。他方、粒子が細かくなり過ぎると、前述した熱可塑性樹脂と混練した際に粘度が著しく上昇し、成形品の製造が困難になると虞れがある。そのため、その平均粒子径は0.5μm以上とすることが好ましい。
粉末状、フレーク状、または顆粒状である無機物質粉末の平均粒子径は、好ましくは、10.0μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下である。
繊維状である無機物質粉末の平均繊維長は、好ましくは、3.0μm以上20.0μm以下である。平均繊維径は、好ましくは、0.2μm以上1.5μm以下である。また、アスペクト比は、通常、10以上30以下である。なお、繊維状である無機物質粉末の平均繊維長および平均繊維径は、電子顕微鏡で測定したものであり、アスペクト比は、平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均繊維長/平均繊維径)である。
本発明の組成物が含有する重質炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムであれば特に限定されず、任意で表面処理されていてもよい。
ここで、重質炭酸カルシウムとは、天然の石灰石などを機械的に粉砕・加工して得られるものであって、化学的沈殿反応等によって製造される合成炭酸カルシウムとは明確に区別される。なお、粉砕方法には乾式法と湿式法とがあるが、経済性の観点で、乾式法が好ましい。
上記重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、本発明の組成物の硬化物の引裂強さがより優れるという理由から、15.0μm以下が好ましく、1.0〜5.0μmがより好ましい。
なお、上記重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、JIS M−8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値をいう。測定機器としては、島津製作所社製の比表面積測定装置SS−100型を用いるのが好ましい。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物に含まれる上記した熱可塑性樹脂と、無機物質粉末との配合比(質量%)は、50:50〜10:90の比率であれば特に限定されないが、40:60〜20:80の比率であることが好ましく、40:60〜25:75の比率であることが好ましい。熱可塑性樹脂と無機物質粉末との配合比において、無機物質粉末の割合が50質量%より低いものであると、無機物質粉末を配合したことによる熱可塑性発泡樹脂組成物の所定の質感、耐衝撃性等の物性が得られないものとなり、一方90質量%よりも高いものであると、押出成形等による成形加工が困難となるためである。
なお、本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物において、無機物質粉末を除いた長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)と長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)の質量比(質量%)しては、80:20〜98:2の割合であることが好ましく、80:20〜90:10の割合であるものが、より好ましい例として挙げることができる。
≪発泡剤≫
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物は、さらに発泡剤として化学発泡剤を含有する。
一般に、樹脂組成物を発泡させる方法としては、公知のように化学発泡法、物理発泡法がある。物理発泡は「ガス発泡」とも言われ、高圧下で材料にガスを封じ込める手法である。物理発泡剤としては炭化水素、フロンなどがあるが、ガス自体の可燃性・環境負荷の問題が指摘されている。一方、化学発泡は樹脂組成物に添加した化合物の熱分解により生じたガスにより気泡を化学的に形成させる手法で、環境負荷の懸念も低く、特殊設備が不要であり通常の射出成形機がそのまま使用でき、均一な独立気泡発泡体を得る上から、本発明においては化学発泡剤を用いる。
化学発泡剤としては、熱可塑性発泡樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度近傍か、それ以上の温度でガスを発生するものであれば、有機系熱分解型発泡剤でも無機系熱分解型発泡剤でも、特に限定されることなく用いられ得、また単独種の使用のみならず、複数の種類を組合わせて用いることも可能である。
特に限定されるものではないが、有機系熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
また、特に限定されるものではないが、無機系熱分解型発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。更に、水(水蒸気)を利用した所謂水発泡も採用でき、用いる発泡剤として水、結晶水含有無機物等も挙げることができる。
熱可塑性発泡樹脂組成物中の熱可塑性樹脂成分の溶融温度、溶融粘度、その他の物性値を勘案して適当な化学発泡剤を選択することが好ましい。特に、望ましくは、射出発泡成形において、成形性を維持するため、発泡性熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂成分と化学発泡剤が次式(1)を満たすものであることが望ましい。
<T<T (1)
: 熱可塑性樹脂の軟化点
: 化学発泡剤の分解温度
: 成形温度
本発明に係る熱可塑性樹脂は、長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)と長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)とを、質量比80:20〜98:2の割合で含有するものであるため、特に限定されるものではないが、代表的には、Tが最大140℃程度、成形温度Tが180〜210℃程度とすることが好ましいものであるため、Tdが140〜180℃であるものが望ましい。この点から、化学発泡剤としては、特に炭酸水素ナトリウムが望ましい。なお、炭酸水素ナトリウムは約50℃程度の温度から徐々に分解が始まることが知られているが、活発に分解しガスを発生するのはこの温度範囲である。
また、炭酸水素ナトリウムは、重曹としても知られ広く食品添加物としても使用されることからも安全性が高く、本発明に係る発泡性熱可塑性樹脂組成物により成形した成形品が、例えば、食品と接する食品包装用等の用途であっても、問題なく使用できることとなるため、この安全性という側面からも望ましい。
本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物において含まれる化学発泡剤の含有量は、当該組成物中に含まれる熱可塑性樹脂、無機物質粉末等の種類および量、さらに得ようとする発泡体の比重、気泡率等に応じて、適宜設定することができるが、熱可塑性発泡樹脂組成物の全質量に対して1.0〜10.0質量%、より好ましくは2.0〜6.0質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲内であると、本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物を用いて、例えば、発泡射出成形等により成形を行う際に、当該化学発泡剤の分解により発生するガス総量を適当なものとして、成形品内において独立気泡構造を保持しかつ所望の比重、発泡度の成形品を容易に得ることが可能となる。
なお、本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物が発泡剤を含有する態様において、無機物質粉末を除いた長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)+長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)と化学発泡剤の2成分の質量比(質量%)としては、80:20〜98:2の割合であることがより好ましく、80:20〜90:10の割合であるものが、好ましい例として挙げることができる。
また、化学発泡剤の使用態様としては、本発明に係る発泡性熱可塑性樹脂組成物中における均一分散性を高める上で、例えば、組成物に配合される熱可塑性樹脂の一部となる少量の熱可塑性樹脂に予め化学発泡剤を高濃度、例えば5.0〜50.0質量%となる割合で配合して混合した、いわゆるマスターバッチを形成し、これを組成物に添加するような態様を採ることも可能である。このようなマスターバッチ状の発泡剤としては、さらに、市販のものを用いることも可能である。
≪その他の添加剤≫
本発明の熱可塑性発泡樹脂組成物には、必要に応じて、補助剤としてその他の添加剤を配合することも可能である。その他の添加剤としては、例えば、色剤、滑剤、カップリング剤、流動性改良材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤等を配合してもよい。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらは、後述の混練工程において配合してもよく、混練工程の前にあらかじめ樹脂組成物に配合していてもよい。本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物において、これらのその他の添加剤の添加量は、上記した長鎖分岐を有しないプロピレン系重合体(B)および長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)を含む熱可塑性樹脂と、無機物質粉末との配合による所望の効果を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性発泡樹脂組成物全体の質量を100%とした場合に、これらその他の添加剤はそれぞれ0〜5.0質量%程度の割合で、かつ当該その他の添加剤全体で2.0質量%以下となる割合で配合されることが望まれる。
以下に、これらのうち、重要と考えられるものについて例を挙げて説明するが、これらに限られるものではない。
色剤としては、公知の有機顔料または無機顔料あるいは染料の何れをも用いることができる。具体的には、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオオサジン系、ペリノン系、キノフタロン系、ペリレン系顔料などの有機顔料や群青、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラックなどの無機顔料が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪族アルコール系滑剤、ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、リシノールアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘンアミド、高級脂肪酸のビスアミド酸、複合型アミド等の脂肪族アマイド系滑剤、ステアリン酸−n−ブチル、ヒドロキシステアリン酸メチル、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、エステル系ワックス等の脂肪族エステル系滑剤、脂肪酸金属石鹸系滑剤等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ペンタエリスリトール系酸化防止剤が使用できる。リン系、より具体的には亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系酸化防止安定剤が好ましく用いられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらリン系酸化防止剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系の酸化防止剤としては、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネイト、2−t−ブチル−6−(3'−t−ブチル−5'−メチル−2'−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネイトジエチルエステル、およびテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が例示され、これらは単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン系難燃剤や、あるいはリン系難燃剤や金属水和物などの非リン系ハロゲン系難燃剤を用いることができる。ハロゲン系難燃剤としては、具体的には例えば、ハロゲン化ビスフェニルアルカン、ハロゲン化ビスフェニルエーテル、ハロゲン化ビスフェニルチオエーテル、ハロゲン化ビスフェニルスルフォンなどのハロゲン化ビスフェノール系化合物、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールS、塩素化ビスフェノールA、塩素化ビスフェノールSなどのビスフェノール−ビス(アルキルエーテル)系化合物等が、またリン系難燃剤としては、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、クレジルジ2、6−キシレニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル等が、金属水和物としては、例えば、アルミニウム三水和物、二水酸化マグネシウムまたはこれらの組み合わせ等がそれぞれ例示でき、これらは単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。難燃助剤として働き、より効果的に難燃効果を向上させることが可能となる。さらに、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミ、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等を難燃助剤として併用することも可能である。
≪成形品の製造方法≫
本発明に係る成形品の製造方法としては、組成物中の化学発泡剤の分解により所望の発泡構造を樹脂相内に形成しかつ所望の形状に成形できるものであれば特に限定されず、例えば、射出発泡、押出発泡、発泡ブロー等の液相発泡法、あるいは、例えば、ビーズ発泡、バッチ発泡、プレス発泡、常圧二次発泡等の固相発泡法の何れを用いることも可能である。特に、結晶性ポリプロピレンをキャリアレジンとし、炭酸水素ナトリウムを化学発泡剤として含む本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物おいては、射出発泡法および押出発泡法、さらには射出発泡法が望ましく用いられ得る。
射出発泡法としては、さらに、一般に、充填形式として、ショートショット法とフルショット法とが知られ、さらにキャビティ容積が可変である金型を用いるコアバック法なども知られているが、その何れを用いることも可能である。
さらに、射出成形の樹脂組成物充填時に、金型内をガスで加圧しておくガスカウンタープレッシャー法が知られており、好ましく採用できる。すなわち、一般的に射出発泡による成形品は金型に接触した部分に気泡が存在しないソリッドスキン層を形成し、ソリッドスキンに挟まれる形で発泡コア層が形成された、いわゆるストラクチュアルフォームとなるが、ストラクチュアルフォームは、表面に、気泡、特に破泡に由来するスワールマーク(流れ模様)が生じやすく、上記したようなガスカウンタープレッシャーによって、効果的にスワールマークの発生を抑制できるためである。
なお、成形時における成形温度としては、その成形方法によってもある程度異なるため、一概には規定できるものではないが、例えば、180〜260℃、より好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは180〜210℃の温度であれば、本発明に係る発泡性熱可塑性組成物が、均一な独立気泡を形成する良好な発泡特性を発揮しつつ、良好なドローダウン特性、延展性を持って、かつ組成物が局部的にも変性を生じることなく所定形状に成形できる。
≪成形品≫
本発明に係る成形品は、上記熱可塑性発泡樹脂組成物を用いて発泡成形された成形品である。
本発明に係る成形品の形状等においては特に限定されるものではなく、各種の形態のものであってもよいが、例えば、シート、容器体等として成形され得る。
本発明に係る成形品の発泡倍率は、例えば、1.2〜3.0倍、好ましくは1.6〜2.5倍、さらに好ましくは1.8〜2.3倍程度である。本発明では、上記したような組成を有する熱可塑性発泡樹脂組成物とすることにより、比較的高い発泡倍率(例えば、2.0〜3.0倍程度)で発泡させても、発泡構造が破泡せず、均一な発泡構造が得られ、破泡が原因で起こる表面のスワールマーク発生等を抑制して、表面性状も良好な製品とすることができる。なお、発泡倍率は、発泡性樹脂組成物の密度を発泡体の密度で除することにより算出できる。ここで、発泡体の密度(見掛け密度)は、JIS K 6767:1999に準じた測定方法により測定できる。
さらに、成形品の密度(見掛け密度)としては、特に限定されるものではないが、例えば、0.80〜1.30g/cm、好ましくは0.80〜1.10g/cm、さらに好ましくは0.85〜1.00g/cm程度である。見掛け密度が小さすぎると剛性が低下して脆くなり、見掛け密度が大きすぎると発泡構造による所期の軽量化が十分に図れないためである。
なお、本発明に係る成形品である発泡体の気泡構造としては、特に独立気泡構造に限られるものではなく、成形品の用途によっては、連続気泡構造、あるいは、独立気泡構造と連続気泡構造とが混合した構造などであっても良いが、本発明に係る成形品を構成する組成が、高充填率で無機充填剤を含有するものであって、比較的高強度な製品用途や耐水性ないし液体不透過性等が必要とされる製品用途が主に考慮される点から、独立気泡構造であることが望ましい。
前記成形品中に形成される独立気泡の平均径(μm)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜500μm程度が好ましい。前記平均径がこの範囲内にあると、得られる成形品の強度を十分なものとして維持し、表面性状も良好に保ちつつ、発泡化による軽量化を図ることができる。なお、独立気泡の平均径は、ASTM D3576−3577に準じて測定されたものである。
さらに、本発明に係る成形品として、独立気泡構造のものとする実施態様においては、前記したように本発明に係る熱可塑性発泡樹脂組成物が無機物質粉末を多く含んでいても、加熱溶融時のドローダウン特性、延展性が良好であり、形成された発泡構造に破泡が生じ難いものであるため、成形品において破泡部断面積を10%未満、より好ましくは5%未満とすることができる。なおここで「破泡部断面積」とは、成形品である発泡体を切断し、断面写真を撮影し、その写真上での該当領域面積を測定し、同様に測定した全セル断面の面積の総和との比率を計算したものである。
また、本発明に係る上記熱可塑性発泡樹脂組成物は、無機物質粉末を多く含んでいても、加熱溶融時のドローダウン特性、延展性が良好であるため、成形型等が例えば深絞り等を有するものであっても、追従性良く成形可能であるため、本発明の成形品はその形状に係りなく所望の形状を有しかつ各部位においてその品質が均質なものとなる。
さらに、無機物質粉末を含有すると共に、所定量の長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)を含有することで、耐熱性、難燃性に優れたものとなる。
具体的には、難燃性に関しては、例えば、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories lnc.)が定めるUL94規格において、UL94 V−1以上、特に、UL94 V−0の規格を、その成形品が発泡体の態様であっても満たすことが可能であり、さらに適切な難燃剤を配合することによってUL 94 5Vというより高い難燃性能を満たすことが可能となる。
本発明に係る成形品の肉厚としても特に限定されるものではなく、その成形品の形態に応じて、薄肉のものから厚肉のものまで種々のものでありえるが、例えば、肉厚0.01mm以上100mm以下、より好ましくは肉厚1mm以上30mm以下である成形品が示される。この範囲内の肉厚であれば、成形性、加工性の問題なく、偏肉を生じることなく均質で欠陥のない成形品を形成することが可能である。
以下本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念および範囲の理解を、より容易なものとする上で、特定の態様および実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(評価方法)
以下の実施例および比較例においての各物性値はそれぞれ以下の方法により評価されたものである。
メルトフローレート(MFR):
長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体(A)および長鎖分岐構造を有しないプロピレン系重合体(B)は、JIS K7210−1:2014 A法 条件Mに従い、試験温度:230℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mmで測定した。
溶融張力:
東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、以下の条件で測定した。
キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
シリンダー径:9.55mm
シリンダー押出速度:20mm/分
引き取り速度:4.0m/分
アイソタクチックトライアッド分率(mm)
試料390mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.6mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行った。13C−NMR測定は直径10mmのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行った。
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:128回以上
観測域:−20ppmから179ppm
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
分岐指数g’:
[測定方法]
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
[解析方法]
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用した。
発泡倍率:
発泡性樹脂組成物の密度を発泡体の密度で除することにより算出した。なお、発泡体の密度(見掛け密度)は、JIS K 6767:1999に準じた測定方法により測定した。
密度(見掛け密度):
上記したようにJIS K 6767:1999に準じた測定方法により測定した。
引張強度試験:
引張強度は、JIS K 7161−2:2014に準じて、23℃、50%RHの条件下で、オートグラフAG−100kNXplus(株式会社島津製作所)を用いて測定した。試験片としては、下記に示す成形品より切り出したダンベル形状とした。延伸速度は10mm/分であった。
曲げ試験:
曲げ試験は、JIS K7171:2016に準じて、23℃、50%RHの条件下で、オートグラフAG−10TD(株式会社島津製作所)を用いて測定した。試験片としては、下記に示す成形品より切り出した短冊形状とした。試験速度は2mm/分であった。
表面品位:
成形品表面におけるスワールマークの発生の有無を目視により調べ、次の評価基準によって評価した。
[評価基準]
○:表面にスワールマークが全く観察されない。
△:表面にスワールマークが僅かに観察される。
×:表面にスワールマークが数多く観察される。
発泡構造(破泡):
成形品を切断し、当該切断面における一定の視野内(5mm×4mm)における1mm以上の破泡数を調べ、次の評価基準によって評価した。
[評価基準」
◎:1mm以上の破泡が全くない。
○:1mm以上の破泡が1個ある。
△:1mm以上の破泡が2〜5個ある。
×:1mm以上の破泡が6個以上ある。
(材料)
以下の実施例および比較例において使用した成分はそれぞれ以下のものであった。
長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B):
長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)としては、次のものを使用した。
B1: ポリプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製:ノバテック(商品名)PP EA9)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):0.5g/分
B2: ポリプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製:ノバテック(商品名)PP FY6C)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):2.4g/分
B3: ポリプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製:ノバテック(商品名)PP MA1B)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):21.0g/分
B4: ポリプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製:ノバテック(商品名)PP BC06C)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):60.0g/分
長鎖分岐を有するポリプロピレン(A):
長鎖分岐を有するポリプロピレン(A)としては、次のものを使用した。
A1:メタロセン系長鎖分岐ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製:ウェイマックス(商品名)MFX 8)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):1.1g/分
溶融張力(230℃):25g
アイソタクチックトライアッド分率(mm):90%以上
分岐指数g’:0.30以上、1.00未満

A2:メタロセン系長鎖分岐ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製:ウェイマックス(商品名)MFX 6)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):2.5g/分
溶融張力(230℃):17g
アイソタクチックトライアッド分率(mm):90%以上
分岐指数g’:0.30以上、1.00未満

A3:メタロセン系長鎖分岐ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製:ウェイマックス(商品名)MFX 3)
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):9.0g/分
溶融張力(230℃):5g
アイソタクチックトライアッド分率(mm):90%以上
分岐指数g’:0.30以上、1.00未満

A4:メタロセン系長鎖分岐ポリプロピレン
MFR(JIS K7210−1:2014、230℃):12.0g/分
溶融張力(230℃):3g
アイソタクチックトライアッド分率(mm):90%以上
分岐指数g’:0.30以上、1.00未満
その他の樹脂(Z):
Z1:超高分子量ポリエチレン(三井化学(株)製、リュブマー(登録商標)L3000)

Z2:ポリメチルペンテン(三井化学(株)製、TPX(登録商標)DX845)
無機物質粉末(C):
C1:脂肪酸表面処理重質炭酸カルシウム粒子 平均粒径2.2μm(備北粉化工業株式会社製、ライトンS−4)
C2:軽質炭酸カルシウム粒子 平均粒径1.5μm(白石工業(株)製、PC)
発泡剤(D):
D1:炭酸水素ナトリウム
D2:アゾジカルボンアミド
実施例1
長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)として、上記B1を、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)として上記A1を、無機物質粉末として上記C1を、発泡剤として上記D1を、さらに滑剤として上記E1を、表1に示す配合割合において用いた。なお、表1において各成分の数値は質量部の値である。そして、全自動式射出成形機(WD650WS−V、宇部興産機械株式会社製)を用い、次の条件下で発泡射出成形した。
使用金型:約40cm×30cmのシボ模様付き自動車内装ミニチュア形状(図1参照)用金型
材料配合:電動攪拌機で5分攪拌
スクリュー温度:180〜210℃
金型温度:30℃。
型締力:4000kN
射出速度:80mm/秒
保圧:35MPa
上記した条件により試験片を作製して引張強度試験、曲げ試験、表面品位および発泡構造について調べた。得られた結果を表2に示す。
実施例2〜20および比較例1〜10
上記実施例1と、熱可塑性発泡樹脂組成物中における各成分の種類および量をそれぞれ、下記表1に示すように変更する以外は実施例1と同様にして、発泡射出成形を成形した。そして、上記した条件により試験片を作製して引張強度試験、曲げ試験、表面品位および発泡構造について調べた。得られた結果を表2に示す。
さらにこのようにして得られたシートについて、同様にして170℃、180℃での引張試験を行った。得られた結果を表2に示す。なお、実施例2においては、滑剤を配合しなかったものであるため押出外観にごく僅かなざらつきが生じたが、得られたシート自体に実用上の問題はなく、実施例1と同等性能を示した。
表2に示す結果にも示されるように、本発明に係る実施例においては、射出成形作業は特に問題なく安定して行うことができ、所望倍率での発泡構造にて軽量化を達成できる。また表面におけるスワールマークもなく、機械的強度としても良好であり、成形品における偏肉も生じず、品質が良好な成形品を得ることができた。

Claims (11)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂、無機物質粉末および化学発泡剤を有してなる熱可塑性発泡樹脂組成物であって、
    該熱可塑性樹脂は、長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)及び長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)のみからなり
    前記熱可塑性樹脂と前記無機物質粉末との質量比が、50:50〜10:90であり、
    前記長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)と前記長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)との質量比が、80:20〜98:2であり、かつ、
    前記長鎖分岐を有しないポリプロピレン(B)がプロピレン単独重合体である、熱可塑性発泡樹脂組成物。
  2. 前記長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)が、13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が90%以上である長鎖分岐構造を有するポリプロピレンである請求項1に記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  3. 前記長鎖分岐構造を有するポリプロピレン(A)が、メルトフローレート(230℃)が1.0〜3.0g/10分で、溶融張力(230℃)が5〜30gである長鎖分岐構造を有するプロピレンである請求項1または2に記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  4. 前記長鎖分岐構造を有しないポリプロピレン(B)が、メルトフローレート(230℃)が0.3〜50.0g/10分のポリプロピレンである請求項1〜の何れかに記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  5. 前記無機物質粉末が平均粒子径0.1μm以上50.0μm以下のものである請求項1〜の何れかに記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  6. 前記無機物質粉末が炭酸カルシウムである請求項1〜の何れかに記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  7. 前記無機物質粉末が重質炭酸カルシウムである請求項に記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  8. 前記化学発泡剤が、炭酸水素酸塩、炭酸塩、亜硝酸塩、水ないし結晶水含有無機物、水アゾ化合物およびニトロソ化合物からなる群から選択された少なくとも何れか1つのものである請求項1〜の何れかに記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  9. 前記化学発泡剤が、炭酸水素ナトリウムである請求項1〜の何れかに記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  10. 前記化学発泡剤として、前記炭酸水素ナトリウムを組成物の全質量に対して1.00〜10.00質量%含有するものである請求項に記載の熱可塑性発泡樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の熱可塑性発泡樹脂組成物からなる成形品。
JP2019006252A 2019-01-17 2019-01-17 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品 Active JP6704146B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019006252A JP6704146B1 (ja) 2019-01-17 2019-01-17 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品
PCT/JP2019/047378 WO2020149038A1 (ja) 2019-01-17 2019-12-04 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品
TW108147987A TW202031760A (zh) 2019-01-17 2019-12-27 熱可塑性發泡樹脂組成物及使用其而成之成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019006252A JP6704146B1 (ja) 2019-01-17 2019-01-17 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6704146B1 true JP6704146B1 (ja) 2020-06-03
JP2020114897A JP2020114897A (ja) 2020-07-30

Family

ID=70858255

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019006252A Active JP6704146B1 (ja) 2019-01-17 2019-01-17 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6704146B1 (ja)
TW (1) TW202031760A (ja)
WO (1) WO2020149038A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20240002492A (ko) * 2022-06-29 2024-01-05 롯데케미칼 주식회사 열가소성 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품
WO2024072544A1 (en) * 2022-09-29 2024-04-04 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Foamable branched polypropylene compositions and foamed products therefrom
CN115584117A (zh) * 2022-10-12 2023-01-10 镇江美达塑胶有限公司 一种tpu改性树脂发泡材料及其成型方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07268121A (ja) * 1994-03-31 1995-10-17 Zeon Kasei Co Ltd 発泡用ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いて成るポリプロピレン系樹脂発泡シート
JPH10219042A (ja) * 1997-02-04 1998-08-18 Showa Denko Kk 樹脂組成物
JP3704034B2 (ja) * 1999-12-06 2005-10-05 積水化成品工業株式会社 ポリプロピレン系樹脂発泡体、成形品およびその製法
JP2006143769A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Prime Polymer:Kk ポリプロピレン系樹脂組成物及び発泡成形体
JP2006144272A (ja) * 2004-11-16 2006-06-08 Sekisui Chem Co Ltd 床材
JP2006241356A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Prime Polymer:Kk Tダイでの発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体
JP2012197345A (ja) * 2011-03-18 2012-10-18 Kaneka Corp 射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる射出発泡成形体
CN104136524B (zh) * 2012-02-23 2016-01-20 日本聚丙烯株式会社 聚丙烯类树脂组合物和发泡片材
JP6606676B2 (ja) * 2016-08-04 2019-11-20 株式会社Tbm 樹脂成形体
JP6809696B2 (ja) * 2016-09-09 2021-01-06 株式会社Tbm シートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020114897A (ja) 2020-07-30
WO2020149038A1 (ja) 2020-07-23
TW202031760A (zh) 2020-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6742044B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品
JP6064668B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート
JP5342915B2 (ja) ポリプロピレン系熱成形用シートおよびその深絞り成形体
JP5624851B2 (ja) 発泡シート成形用ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート
JP6704146B1 (ja) 熱可塑性発泡樹脂組成物およびこれを用いてなる成形品
JP5297838B2 (ja) ポリプロピレン系発泡延伸フィルム
CN104769018A (zh) 含宽分子量分布聚丙烯树脂的制品
JP6209953B2 (ja) インフレーションフィルム成形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびフィルムの製造方法
JP2013010890A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート
JP6098274B2 (ja) プロピレン−エチレン共重合体樹脂組成物並びにフィルム
JP5422323B2 (ja) ポリプロピレン系射出発泡成形体及びその製造方法
JP5417023B2 (ja) ポリプロピレン系発泡シート、多層発泡シートおよびそれを用いた熱成形体
JP5297834B2 (ja) ポリプロピレン系発泡フィルム
EP2002963A2 (en) Process for producing oriented film
JP2017066204A (ja) 発泡成形用ポリプロピレン樹脂および成形体
JP5286147B2 (ja) ポリプロピレン系深絞り成形体
JP5315113B2 (ja) ポリプロピレン系中空発泡成形体
JP5252478B2 (ja) 空冷インフレーション用発泡樹脂組成物およびそれを用いた空冷インフレーション発泡フィルム
JP2021045959A (ja) ポリプロピレン系樹脂多層発泡シート
JP2014141566A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物及び射出発泡成形体
JP2021045958A (ja) ポリプロピレン系樹脂多層発泡シート
JP2020132854A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート
JP2020117687A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡シート
JP2021014110A (ja) ポリプロピレン系樹脂多層発泡シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190802

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190802

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20191121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6704146

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250