JP6702660B2 - 熱応動素子並びにそれを備えたブレーカー、安全回路、及び、二次電池パック - Google Patents

熱応動素子並びにそれを備えたブレーカー、安全回路、及び、二次電池パック Download PDF

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Description

本発明は、電気機器等の二次電池に内蔵されるブレーカーに用いられる熱応動素子に関するものである。
例えばスマートフォン等の小型の電気機器においてバッテリーに過電流が供給されることや高温状態となることを防ぐために熱応動素子を具備するブレーカーが用いられる。
前記熱応動素子は、バイメタルの板材に対して曲げ加工を施して概略ドーム状のスナップ要素を形成したものである。このスナップ要素は、高温の動作温度になると通常時の形状から別の形状に変化し、動作温度から所定温度だけ低い復帰温度になると再び通常時の形状に戻る。このような熱応動素子のスナップ動作によって可動片に設けられた可動接点を固定片に設けられた固定接点に対して接離させ、電流の遮断と導通を実現している(特許文献1又は2参照)。
ところで、熱応動素子の動作温度及び復帰温度は、熱応動素子自体の大きさ、スナップ要素を形成する時に板材に与える曲げ量等によって決まる。前記曲げ量は、ブレーカーとして求められる動作温度と復帰温度との温度差が実現できるように設定される。
特開2013−152826号公報 特開平11−273519号公報
しかしながら、近年の電気機器の小型化に合わせて熱応動素子自体の大きさを単純に相似形で小さくしていくと、熱応動素子はスナップ動作しにくくなるので、動作温度と復帰温度との差を十分に大きくすることが難しい。すなわち、特許文献1及び2に記載の熱応動素子のようにバイメタルの曲げ量だけで温度特性を所望のものに調整しようとすると、バイメタルの厚みを小さくしなくてはならなくなってしまう。厚みが小さくなると、熱応動素子が変形した際の姿勢保持力も小さくなってしまい、可動接点を支え続けにくくなるため、大きさでブレーカーとしての機能を実現することができない。
本発明は、上述したような問題を鑑みてなされたものであり、必要とされる変形後の姿勢保持力を保ちながら小型化を実現しつつ、動作温度と復帰温度との温度差を十分に大きくすることができる熱応動素子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の熱応動素子は、熱膨張率の異なる複数の金属が積層された板材を曲げて概略ドーム状に形成されており、温度変化に応じて形状が変化するスナップ要素と、前記スナップ要素のふちから外側へと広がるフランジと、を備え、前記スナップ要素が、前記フランジと略同じ厚さで概略ドーム状をなし、そのふちにおいて前記フランジと接続されている本体と、前記本体の表側又は裏側から押し出されて形成され、前記スナップ要素の表面の少なくとも一部をなす表面部と、前記表面部と、前記本体又は前記フランジとの間に形成された境界と、を具備することを特徴とする。
このようなものであれば、前記スナップ要素が前記板材を曲げて形成された前記本体から、前記表面が押し出されて形成されているので、前記境界又はその近傍において板厚方向に沿ってせん断方向に作用する残留応力を形成することができる。
このせん断方向に作用する残留応力は、温度変化により発生する熱応力による前記スナップ要素の形状変化を妨げる方向に作用することになるので、温度変化による形状変化が生じにくくなって動作温度と復帰温度との温度差を大きくすることができる。
また、前記境界又はその近傍におけるせん断方向の残留応力を適宜設定することによって、前記熱応動素子の厚みを小さくしなくても動作温度と復帰温度との温度差を必要な値に調節できる。このため変形時の姿勢保持力については前記熱応動素子の厚みを従来と大差ないままにしつつ同程度に保つことができる。
したがって、小型化を実現しながら例えばブレーカーとして必要とされる動作温度と復帰温度の温度差と、姿勢保持力を両立する事ができる。
動作温度を上昇させる効果、あるいは、復帰温度を低下させる効果のいずれか一方のみを顕著に発揮させ、所望の動作温度と復帰温度との温度差を実現しやすくするには、前記境界が、前記本体又は前記フランジと、前記表面部との間の段差によって形成されており、前記本体の表側又は裏側のうち前記表面部が形成されていない側と、前記フランジとの間が滑らかに接続されていればよい。
前記熱応動素子の前記スナップ要素が温度変化によってその湾曲している方向が逆転するように形状変化する可動ギャップを安定的かつ大きくできるようにするには、前記本体が部分球殻をなすように形成されており、前記境界を交差するように前記本体又は前記フランジの表面から前記表面部へと進んだ場合に前記表面部の方が前記本体又は前記フランジの表面よりも板厚方向に高い位置にあればよい。
前記熱応動素子の動作温度を上昇させるには、前記表面部は、前記スナップ要素において高膨張側に形成されていればよい。
本発明の構成による小型化を実現しつつ、動作温度と復帰温度との温度差を大きく設定できる効果によって、従来は熱応動素子としては使用しにくかった材料も使用可能となる。この効果を利用して、前記熱応動素子にさらに防錆性を付与するには、前記板材の高膨張側の金属がニッケル−クロム−鉄合金(Ni−Cr−Fe)であればよい。
前記熱応動素子の復帰温度をさらに低下させるには、前記板材の低膨張側の金属がコバルトを含むものであればよい。
小型化を実現しつつ、動作温度と復帰温度との温度差を大きく設定するための本発明の別の態様としては、熱膨張率の異なる複数の金属が積層された板材を曲げて概略ドーム状に形成されており、温度変化に応じて形状が変化するスナップ要素と、前記スナップ要素のふちから外側へと広がるフランジと、を備え、前記スナップ要素と前記フランジとの境界又はその近傍に前記板材を板厚方向に押し押しされた凸体が形成されていることを特徴とする熱応動素子が挙げられる。このようなものであれば、前記凸体が形成されることにより、前記スナップ要素と前記フランジと間に板厚方向に沿ってせん断方向の残留応力が形成されるので、同様に動作温度と復帰温度との温度差を大きく保つことが可能となる。
例えばスマートフォン等の非常に小型の電気機器に好適に用いられるブレーカーを構成するには、本発明の熱応動素子と、固定接点を有する固定片と、可動接点を有し、前記熱応動素子の変形に応じて前記可動接点が前記固定接点と接離する可動片と、を備えればよい。
また、このようなブレーカーを備えた電気機器用の安全回路を用いれば非常に小型でありながらも過電流や温度上昇を確実に防ぐことが可能となる。
さらに、上記のようなブレーカーを備えた二次電池パックであれば、安全回路は小さく、かつ二次電池パックは大きくして電源容量を大きくしつつ、その安全性を高めることができる。
このように本発明の熱応動素子によれば、複数種類の金属が積層された板材を曲げて形成されたスナップ要素が、概略ドーム状に曲げて形成された前記本体から押し出されて形成された表面部を具備し、その境界においてせん断方向の残留応力を形成することができる。このせん断方向の残留応力により前記熱応動素子のスナップ動作を促進又は抑制して動作温度と復帰温度との温度差を大きくできるので、厚みを保って姿勢保持力を大きくしながら小型化する事が可能となる。
本発明の第1実施形態に係る熱応動素子を用いたブレーカー。 第1実施形態におけるブレーカーの導通時と遮断時の形態を示す模式的断面図。 第1実施形態における熱応動素子の形状を示す模式図。 第1実施形態における熱応動素子の表面部の形成方法について示す模式図。 第2実施形態における熱応動素子の形状を示す模式図。 第2実施形態における熱応動素子の表面部の形成方法について示す模式図。 第3実施形態における熱応動素子の形状を示す模式図。
本発明の第1実施形態に係る熱応動素子5及び当該熱応動素子5を用いたブレーカー1について各図を参照しながら説明する。図1に示す第1実施形態のブレーカー1は例えばモバイルパソコン、タブレット端末、スマートフォン等の小型の電気機器に用いられる二次電池(バッテリー)パックにおいて温度上昇が発生した場合や過度の電流が流れた場合にその温度変化に基づいて電流を遮断する安全回路の一部を構成するものである。また、このブレーカー1の保護対象は上述した各電気機器に限られるものではなく、例えば小型モータ等の保護回路としても用いられる。
図1及び図2に示すように、本実施形態のブレーカー1は、概略扁平直方体形状のケース7内に所定条件時に電流を遮断するためのスイッチング機構Sを収容したものである。前記スイッチング機構Sと他の電気素子や回路と接続するための2つの端子は、ケース7のそれぞれ対向する面から外部へと露出させてある。
加えて、このケース7は、例えば縦4mm以下、横6mm以下、高さ1.5mm以下となるように形成してある。すなわち、このケース7に収容されるスイッチング機構Sを構成する各部品についてもその外形寸法はこれらの寸法よりも小さく形成されることになる。
図1の分解斜視図及び図2の断面図に示すように、前記ケース7は概略箱状に形成されたベース71と、前記ベース71の開口の蓋をする板状のカバー72とから構成してある。前記ベース71と前記カバー72との間には前記スイッチング機構Sを構成する先端部21に固定接点23が形成された固定片2、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ6、バイメタルで形成された温度変化に伴って変形する熱応動素子5、先端側に可動接点43が形成された可動片4が順番に収容してある。なお、前記熱応動素子5の形状等の詳細については後述する。
前記固定片2は、固定接点23が形成された先端部21が前記ケース7内で前記ベース71に固定され、基端部22が前記ケース7外に露出する金属片である。本実施形態では、前記固定片2の先端部21の下面及び周囲を覆うようにインサート成型により前記ベース71が形成されて一体化してある。
前記可動片4は、板状の金属を概略弓状に湾曲させた本体4Bと、前記本体4Bの先端側に形成された可動接点43と、を具備するものであり、前記本体4Bは、可動接点43が設けられており、前記ケース7内に収容される可動部41と、前記ケース7外に露出される端子部42と、からなる。また、前記固定片2の基端部22と前記可動片4の端子部42はそれぞれが前記ケース7の対向面から外部へ露出するように配置してある。この基端部22又は端子部42は、例えば他の電気素子や回路基板の端子、電池のタブリードと溶接等により接続される。さらに、前記可動片4は可動部41において前記可動接点43の近傍に配置された第1の凸部44と、ベース71の内壁近傍に配置される第2の凸部45とを備えている。
図2(a)は通常の通電時におけるブレーカー1を示すものであって、前記熱応動素子5は初期形状を維持し、前記カバー72側へ凸となるように湾曲した形状となっている。この状態では、前記固定片2の先端部21に形成された固定接点23と、前記可動片4の先端側の可動部41に形成された可動接点43とが接触して前記可動片4から前記固定片2を通ってほとんどの電流が流れることになる。
一方、図2(b)は過電流状態や異常時におけるブレーカー1を示すものである。過電流又は高温状態となると動作温度に達した前記熱応動素子5は逆反りして前記ベース71側へ凸となるように湾曲した形状へ変形する。この状態では固定接点23と可動接点43は離間した状態となり、電流は前記可動片4から前記固定片2へと直接流れないように遮断される。すなわち、可動片4、熱応動素子5、PTCサーミスタ6、固定片2を介して微小な漏れ電流しか流れず、実質的に電流が遮断されることになる。漏れ電流は、PTCサーミスタ6の発熱、続いて熱応動素子5への熱移動及び反転動作の継続を引き起こし、自己保持回路が構成される。このようにPTCサーミスタ6によって、実質的な電流の遮断状態が構成されていないと、電流が遮断された後、熱応動素子5が冷却されて復帰温度以下となると元の順反りの形状に戻り、電流が再開されると再び過熱によって逆反りの形状になるといった動作が際限なく繰り返されてしまう。すなわち、本実施形態では前記PTCサーミスタ6が設けてあるので、過熱と冷却が際限なく繰り返されるのを防ぐことができる。
このように、前記ケース7の内部に収容されている前記固定片2の先端部21、前記PTCサーミスタ6、前記熱応動素子5、前記可動片4の可動部41によってスイッチング機構Sを構成してある。
次に第1実施形態の熱応動素子5の詳細について図3(a)の斜視図、及び、図3(b)の前記熱応動素子5の中心部を通るように切断した断面図を参照しながら説明する。なお、各図の熱応動素子5は動作温度に達する前の順反りの状態を示している。
前記熱応動素子5は、熱膨張率の異なる2種類の金属が積層された板材であるバイメタルをプレスによって曲げ加工を施しつつ、一部押し出し加工を施して形成したものである。この板材の高膨張側の金属には、ニッケル−クロム−鉄合金(Ni−Cr−Fe)を用いており、低膨張側の金属にはコバルトを含有させている。二クロム鉄を用いることにより前記熱応動素子5の防錆性を向上させることができる。また、低膨張側にコバルトを含有させることで動作温度と復帰温度を低下させやすくなる。
前記熱応動素子5は、図3(a)及び図3(b)に示すように前記板材を概略ドーム状に曲げてある。より具体的には図3(b)の断面図に示すように中央部に形成された概略部分球殻状をなすスナップ要素5Aと、前記スナップ要素5Aのふちから外側へと広がるフランジ5Bとを具備している。前記スナップ要素5Aは曲面を有するように形成されているが、前記フランジ5Bは平面状に形成してある。
さらに前記スナップ要素5Aは、図3に示すように前記フランジ5Bと略同じ厚さで概略ドーム状をなし、そのふちにおいて前記フランジ5Bと接続されている本体51と、前記本体51の表側から押し出して形成され、前記スナップ要素5Aの表面をなす表面部52と、前記表面部52と、前記フランジ5Bとの間に形成された境界53と、を備えている。
前記本体51は従来の熱応動素子5と同様に前記板材を曲げて部分球殻状に形成している部分である。より具体的には前記板材において高膨張側が凸になるように曲げてあり、動作温度に達するまでの通常時にはこの順反りが保たれるようにしてある。この本体51の内部には板曲げによる組成変形が生じており、従来と同様に周方向に残留応力が発生している。
前記表面部52は、湾曲させた前記本体51を高膨張側に押し出して形成したものである。前記本体51は、湾曲面を有したパンチPをバイメタルの板材に押し込むことで形成される。より具体的には図4に示すように概略円筒状の逃げ孔D1が形成されたダイスDに対して前記本体51の曲率と略同じ湾曲面を有したパンチPを押し込んでバイメタルの前記板材を曲げていく工程でまず前記本体51と前記フランジ5Bが形成される。前記フランジ5BはダイスDとパンチPにおいてそれぞれの平面部分に押圧挟持されるので曲げ加工されず略平面状に形成してある。第1実施形態では、前記本体51及び前記フランジ5Bの表側の面が連続した滑らかな曲面を有した状態でパンチPの押し込みを終了するのではなく、さらに前記板材を逃げ孔D1に押し込むことで前記表面部52を形成している。すなわち、ダイスDの逃げ孔D1内に前記板材の一部が入り込みダイスDとパンチPで挟持され前記フランジ5Bとなる部分と、前記スナップ要素5Aとして形成される部分との間でわずかにせん断が生じるようにしている。したがって、前記表面部52は前記フランジ5Bの表面よりもわずかに突出することになる。
なお、第1実施形態では前記本体51を形成するための曲げ工程と、前記境界53及び前記表面部52を形成するための工程は1回のパンチPの押し込みで実現しているが、これらの工程は分離して行っても構わない。より具体的にはある金型で前記本体51を形成するための曲げ加工を行った後、別の金型で前記本体51が形成された板材にさらに前記境界53及び前記表面部51を形成するための加工を行っても構わない。
前記境界53は、前記板材の一部がダイスDの逃げ孔D1の中に押し出されるようにすることで前記板材の表面に形成される段差である。第1実施形態では前記境界53は図1に示されるように前記熱応動素子5の高膨張側表面において概略円環状の線として目視することができる。なお、第1実施形態における境界53とは、実質的に測定可能な高さの違いが表れた段差であると定義しているが、前記フランジ5Bの表面と前記表面部52との高さの違いは極めて僅少であり、前記熱応動素子5の高膨張側表面において光の反射が他の表面光沢と異なっている部分として定義することもできる。
このような光の反射の違いは、パンチPで押されていて単に曲げ加工のみが行われることになる低膨張側の表面には生じない。すなわち、前記本体51において前記表面部52が形成されていない裏側の表面と、前記フランジ5Bの裏側の表面との間は滑らかに接続されている。そして、前記境界53と対応する裏側の場所には明確な線は形成されないものの前記表面部52を形成するためのせん断力により複数本の同心円状のしわが形成される。なお、第1実施形態の前記本体51の裏側に形成されるしわは、境界53が形成されていない従来の熱応動素子5の裏側と比較してより明瞭且つ緻密なしわとして視認できるものである。これは前記境界53を形成するせん断応力の有無の差が表れているためであると考えられる。
また、図3(b)の断面を見た場合において前記境界53をなす段差は前記フランジ5Bの内側端と前記表面部52の外側端が半径方向に略一直線上に並び不連続となっている。ここで不連続とは段差における接線を考えた場合に前記境界53を超える方向によって接線が一致しない部分があることを言う。すなわち、前記境界53の段差は特許文献1及び2の従来の熱応動素子のように連続で滑らかな曲線のみで形成されておらず、表面に対して略垂直に立ち上がる立壁が形成されているとも言える。さらに、視線や光線の入射角度によっては前記境界53において光の筋とともに立壁により形成される影も視認することができる。一方、従来のようにスナップ要素とフランジとの間に段差がなく滑らかな曲面が形成されている場合には、第1実施形態の前記境界53のように影を視認することはできない。
このように前記表面部52及び前記境界53を形成することによる効果について説明する。
前記熱応動素子5の前記境界53及びその近傍においては曲げ加工による周方向の圧縮応力又は引張応力が加えられた後に、パンチPとダイスDによって板厚方向にせん断応力がさらに加えられることになる。したがって、前記境界53及びその近傍には板厚方向に沿ってせん断方向の残留応力が発生することになる。言い換えると、前記熱応動素子5には、前記境界53の近傍においてせん断残留応力発生部5Cが形成してあるとも言える。
このせん断方向の残留応力は、前記熱応動素子5が温度変化により動作温度で逆反り状態になってから復帰温度において順反り状態に戻る場合に発生する熱応力と向きが逆向きとなる。すなわち、前記せん断残留応力発生部5Cは、前記熱応動素子5が逆反りの状態から順反りの状態になるのを阻害するように働く。したがって、温度が十分に低下して前記熱応動素子5内に発生する熱応力が大きくならないと順反りの状態に戻らなくなるので、結果として復帰温度が低下することになる。このように、1実施形態では前記板材の高膨張側に前記表面部52を押し出して形成することにより、前記表面部52を設けない場合と比較して復帰温度をより低くすることができ、動作温度と復帰温度との温度差を大きくすることができる。
さらに前記せん断残留応力発生部5Cによる残留応力は動作温度において順反り状態から逆反り状態へと変化するのを促進する方向に働くので、前記熱応動素子5の厚みを保ちながら表面積を小さくした場合でも温度が上昇した場合に変形しやすくなる。つまり、小型化を実現しながら前記熱応動素子5の動作温度と復帰温度との温度差を大きくしつつ、姿勢の保持力は大きく保つことが可能となる。
加えて、前記熱応動素子5の湾曲方向が温度変化によって反転するように構成されており、しかも前記スナップ要素5Aのふちの周囲には前記フランジ5Bが設けてあるので、動作時に接点間のギャップを大きくすることが可能となる。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、図5(a)の斜視図及び図5(b)の断面図に示すように前記本体51の一部にのみ前記表面部52を形成して、前記本体51と前記表面部52との間に前記境界53を形成するようにしている。図6に示すように例えばダイスDにパンチPの曲面からの圧力を受ける受け曲面D2を形成し、受け曲面D2の一部にのみ逃げ孔D1を設けておき、この逃げ孔D1に前記板材を押し込むようにすることで第2実施形態の熱応動素子5は形成される。
この第2実施形態の熱応動素子5でも前記表面部52と前記本体51との間の境界53近傍には前記残留応力発生部5Cが形成され、せん断方向の残留応力を発生させて、湾曲方向の変形を促進又は阻害することが可能となる。
したがって第2実施形態であっても動作温度と復帰温度との温度差を大きくすることができ、小型でありながらもブレーカー1として必要な性能を実現することが可能である。
さらに本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、第1及び第2実施形態において本体51から押し出して形成した表面部52を形成する代わりに図7に示すように前記フランジ5Bと前記スナップ要素5Aとの境界53に複数の凸体54を環状に配置し形成してせん断方向の残留応力が発生するようにしてある。
前記凸体54はプレス加工で前記スナップ要素5Aを概略ドーム状に形成した後で、例えばピン等を用いた別の加工で押し出して形成してある。
このようなものであっても第1及び第2実施形態と同様に熱応動素子5の動作温度と復帰温度との温度差を大きくすることが可能である。なお、凸体54の個数や配置間隔等については図7に示したものに限られない。例えば凸体54を1つだけ又は複数設けてもよい。
その他の実施形態について説明する。
熱応動素子を形成する板材としてバイメタルを用いた例を示したが、さらに複数の金属が積層された板材として例えばトリメタルを用いて本発明の熱応動素子を構成してもよい。また、スナップ要素の形状は部分球殻状に限られるものではなく、概略ドーム状をなす曲板部を構成するものであればよい。
また、各実施形態では前記板材の高膨張側に前記表面部を押し出して形成していたが、例えば前記板材の低膨張側に表面部を押し出して形成してもよい。この場合、動作温度を上昇させることができ、動作温度と復帰温度との温度差を大きくすることができる。加えて、前記表面部を前記板材の高膨張側と低膨張側の両方に形成するように加工を行っても構わない。
さらに表面部の数や本体部に対する位置は前記実施形態に示されたものに限られない。表面部は板材を曲げて形成される本体から押し出されてせん断応力が掛かって形成されていればよい。言い換えれば、表面部が本体又はフランジとの間で段差により境界をなすものであればよい。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
1 ・・・ブレーカー
2 ・・・固定片
4 ・・・可動片
5 ・・・熱応動素子
5A ・・・スナップ要素
5B ・・・フランジ
5C ・・・せん断残留応力発生部
51 ・・・本体
52 ・・・表面部
53 ・・・境界(段差)
54 ・・・凸体
6 ・・・PTCサーミスタ
7 ・・・ケース

Claims (7)

  1. 熱膨張率の異なる複数の金属が積層された板材を曲げて概略ドーム状に形成されており、温度変化に応じて形状が変化するスナップ要素と、
    前記スナップ要素のふちから外側へと広がるフランジと、を備えた熱応動素子であって、
    前記スナップ要素が、
    前記フランジと略同じ厚さで概略ドーム状をなし、そのふちにおいて前記フランジと接続されている本体と、
    前記本体の表側又は裏側から押し出されて形成され、前記スナップ要素の表面の少なくとも一部をなす表面部と、
    前記表面部と、前記本体又は前記フランジとの間に形成された境界と、を具備し、
    前記熱応動素子において前記表面部が形成されていない側の面の全体が、滑らかな面となっており、
    前記境界が、前記本体又は前記フランジと、前記表面部との間の段差によって形成されていることを特徴とする熱応動素子。
  2. 前記本体が部分球殻をなすように形成されており、
    前記境界を交差するように前記本体又は前記フランジの表面から前記表面部へと進んだ場合に前記表面部の方が前記本体又は前記フランジの表面よりも板厚方向に高い位置にある請求項1記載の熱応動素子。
  3. 前記板材の高膨張側の金属がニッケル−クロム−鉄合金(Ni−Cr−Fe)である請求項1又は2記載の熱応動素子。
  4. 前記板材の低膨張側の金属がコバルトを含むものである請求項1乃至3いずれか一項に記載の熱応動素子。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の熱応動素子と、
    固定接点を有する固定片と、
    可動接点を有し、前記熱応動素子の変形に応じて前記可動接点が前記固定接点と接離する可動片と、を備えたブレーカー。
  6. 請求項5に記載のブレーカーを備えた電気機器用の安全回路。
  7. 請求項6に記載安全回路を備えた二次電池パック。
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