以下、実施形態に係るコイルアンテナ、アンテナ装置、及び電子機器について、図面を参照して説明する。なお、明細書及び図面に記載された構成要素について、明細書及び図面に記載された大きさ及び厚さ、並びにそれらの寸法関係は例示であり、これらの構成要素は、明細書及び図面に記載された例示には限定されない。
(実施形態)
(1)アンテナ装置の全体構成
本実施形態に係るアンテナ装置1は、図1A、図1B、図2、及び図3に示すように、コイルアンテナ2と、平面導体3とを備える。アンテナ装置1では、コイルアンテナ2が、コイル開口60を有するコイル導体6を含む。平面導体3は、コイルアンテナ2と対向するように配置されている。
コイル導体6は、第1コイル導体部材61と、第2コイル導体部材62と、複数のスルーホール63とを含む。第1コイル導体部材61は、第1方向D1に沿った第1軸(巻回軸)の周りにスパイラル状に設けられている。第2コイル導体部材62は、第1方向D1に沿った第2軸(巻回軸)の周りにスパイラル状に設けられている。
上記のようなアンテナ装置1において、第1コイル導体部材61は、第1コイル導体部64aと、第2コイル導体部65aと、第3コイル導体部66aとを含む。第2コイル導体部材62は、第1コイル導体部64bと、第2コイル導体部65bと、第3コイル導体部66bとを含む。
第1コイル導体部材61において、第3コイル導体部66aの導体線幅W13は、第1コイル導体部64aの導体線幅W11よりも太く、かつ、第2コイル導体部65aの導体線幅W12よりも細い。同様に、第2コイル導体部材62において、第3コイル導体部66bの導体線幅W23は、第1コイル導体部64bの導体線幅W21よりも太く、かつ、第2コイル導体部65bの導体線幅W22よりも太い。
上記のようなアンテナ装置1は、図8に示すように、電子機器8に搭載されており、例えば、磁界結合を利用した電子機器8に対するワイヤレス給電(ワイヤレス充電を含む)に用いられる。アンテナ装置1が用いられるワイヤレス給電方式としては、例えば電磁誘導方式又は磁界共鳴方式がある。電磁誘導方式のワイヤレス給電の規格としては、例えばWPC(Wireless Power Consortium)の策定するQi(登録商標)がある。磁界共鳴方式のワイヤレス給電の規格としては、例えばA4WP(Alliance for Wireless Power)がある。
アンテナ装置1を備える電子機器8は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話、ウェアラブル機器、腕時計型端末、ヘッドフォン又は補聴器である。電子機器8は、アンテナ装置1を備えると共に、制御部81を備える。制御部81は、コイルアンテナ2が受信又は送信する信号を制御する。
(2)アンテナ装置の各構成要素
次に、本実施形態に係るアンテナ装置1の各構成要素について、図面を参照して説明する。
(2.1)平面導体
平面導体3は、図1A及び図3に示すように、金属などにより例えば四角形状に形成されている。平面導体3は、例えば、アルミニウム、ステンレス又は銅などの単一の材料により形成されている。平面導体3は、例えば、電子機器8(図8参照)内に搭載されている二次電池の金属ケースである。平面導体3は、第1主面31と、第2主面32とを有し、第1方向D1において第1主面31がコイルアンテナ2と対向するように配置されている。第1主面31及び第2主面32は四角形状の平面であり、平面導体3における厚み方向(第1方向D1)の両端に位置する。また、第1主面31及び第2主面32は互いに対面し、第1主面31の法線方向及び第2主面32の法線方向は第1方向D1と一致するか、実質的に一致する。
平面導体3では、第1方向D1の寸法に対する第2方向D2の寸法(第1方向D1と直交する方向、又は、平面導体3の第1主面31若しくは第2主面32に沿った方向)の寸法比が1よりも大きい。つまり、平面導体3は、第1方向D1の寸法よりも第2方向D2の寸法のほうが長い平面導体である。
なお、平面導体3において、コイルアンテナ2と対向する第1主面31が完全な平面であることには限定されない。ここでは、平面導体3の第1方向D1における寸法(平面導体3の厚み)又は第2方向D2における寸法に比べて小さい凹凸があっても、平面といえる。また、第1主面31の全てが平面であることにも限定されない。すなわち、第1主面31は、少なくとも一部において、平面であってもよい。なお、平面導体3に代えて、曲面を有する面状導体を用いてもよい。
(2.2)コイルアンテナ
コイルアンテナ2は、図1A、図1B、及び図2に示すように、四角形状に形成されており、基材5と、コイル導体6と、磁性体7とを備える。また、コイルアンテナ2は、2つの接続端子21と、第1保護層41と、第2保護層42とを更に備える。コイルアンテナ2は、第1方向D1において平面導体3に隣接(近接)している。なお、コイルアンテナ2は、平面導体3と密着してもよいし、平面導体3に対して隙間を介して配置されていてもよい。
(2.2.1)基材
基材5は、樹脂などの電気絶縁材料により板状又はシート状に形成されており、第1主面51及び第2主面52を有する。基材5に用いられる電気絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、PET(Poly Ethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)又は液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)がある。基材5は、第1方向D1からの平面視で四角形状である。基材5の大きさは、コイル導体6が設けられるのに十分な大きさである。
(2.2.2)コイル導体
コイル導体6は、上述したように、第1方向D1からの平面視で円環状であり、コイル開口60を有する。また、コイル導体6は、上述したように、第1コイル導体部材61と、第2コイル導体部材62と、複数のスルーホール63とを備える。コイルアンテナ2の抵抗成分を低減するために、第1コイル導体部材61と第2コイル導体部材62とが電気的に並列に接続されており、第1コイル導体部材61と第2コイル導体部材62とを複数のスルーホール63が電気的に接続している。本実施形態において、コイル開口60の中心と重心は一致している。
第1コイル導体部材61は、図2及び図3に示すように、第1方向D1に沿った第1軸の周りにスパイラル状に設けられている。第1コイル導体部材61は、例えば12回巻かれた状態に設けられている。第1コイル導体部材61は、銅又はアルミニウムなどにより、基材5の第1主面51に設けられている。例えば、エッチング又は印刷により、銅膜又はアルミニウム膜が基材5の第1主面51上に形成されることによって、第1コイル導体部材61が基材5の第1主面51に設けられる。
第2コイル導体部材62は、第1コイル導体部材61と同様、図3に示すように、第1方向D1に沿った第2軸の周りにスパイラル状に設けられている。第2コイル導体部材62は、例えば12回巻かれた状態に設けられている。第2コイル導体部材62は、第1方向D1において第1コイル導体部材61に比べて平面導体3の近くに位置する。第2コイル導体部材62は、銅又はアルミニウムなどにより、基材5の第2主面52(図1A参照)に設けられている。例えば、エッチング又は印刷により、銅膜又はアルミニウム膜が基材5の第2主面52上に形成されることによって、第2コイル導体部材62が基材5の第2主面52に設けられる。なお、本実施形態においては、平面導体3の第1主面31、平面導体3の第2主面32、基材5の第1主面51、及び基材5の第2主面52は互いに平行である。また、基材5の第1主面51及び基材5の第2主面52は互いに対面し、基材5の第1主面51の法線方向及び基材5の第2主面52の法線方向は第1方向D1と一致するか、実質的に一致する。
ここで、「N(Nは自然数)回巻かれた状態に設けられている」とは、線状の導線がN回巻かれている場合だけではなく、線状の導体がN回巻かれた形状にパターン形成されている場合も含む。
また、スパイラル状に設けられているコイル導体部材(第1コイル導体部材61、第2コイル導体部材62)は、一の平面上において巻回軸の周りに渦巻き状に複数回巻かれているような形状の2次元のコイル導体であってもよいし、あるいは、巻回軸の周りに巻回軸に沿ってらせん状に複数回巻かれているような形状の3次元のコイル導体であってもよい。図1A、図2、及び図3は、2次元のコイル導体を示す。
第1コイル導体部材61は、図1A、図1B及び図3に示すように、第1方向D1において、第2コイル導体部材62よりも磁性体7から遠い位置(図1Aでは上側の位置)に設けられている。一方、第2コイル導体部材62は、第1方向D1において、第1コイル導体部材61よりも磁性体7に近い位置(図1Aでは下側の位置)に設けられている。つまり、第2コイル導体部材62は、第1コイル導体部材61に比べて、磁性体7に近接する。
第2コイル導体部材62は、第1方向D1からの平面視で、第1コイル導体部材61と重なる位置にある。そして、第2コイル導体部材62は、第1方向D1からの平面視で、第1コイル導体部材61に沿って形成されている。言い換えると、第2コイル導体部材62は、第1コイル導体部材61と直交して形成されているのではなく、第2コイル導体部材62の周方向が第1コイル導体部材61の周方向と略平行になるように形成されている。
上記のように、第2コイル導体部材62が第1コイル導体部材61と重なっていることにより、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62で囲まれているコイル開口60を大きくしつつ、コイルアンテナ2が大きくなることを抑制することができる。
複数のスルーホール63は、図1A、図1B、図2、及び図3に示すように、第1方向D1からの平面視で互いに異なる位置に設けられており、第1コイル導体部材61と第2コイル導体部材62とを電気的に接続させる。複数のスルーホール63は、基材5の内部において互いに異なる位置に設けられている。
図示例では、第1コイル導体部材61の幅方向において、第2コイル導体部材62の中心が第1コイル導体部材61の中心と一致するように、第2コイル導体部材62は形成されている。ただし、第2コイル導体部材62の中心は、第1コイル導体部材61の中心と一致することには限定されない。
また、上述したように、第1コイル導体部材61と第2コイル導体部材62とは、複数のスルーホール63により、電気的に接続されている。これにより、スルーホール63を介して電流が第1方向D1(第1コイル導体部材61から第2コイル導体部材62に向かう方向、又は、第2コイル導体部材62から第1コイル導体部材61に向かう方向)に流れることができる。その結果、第1コイル導体部材61のみ、あるいは、第2コイル導体部材62のみでコイル導体6が構成されている場合に比べて、抵抗成分を小さくすることができる。
(2.2.3)コイル導体の導体線幅
コイル導体6の第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62は、図1A、図1B、図2、及び図3に示すように、細長い線状の導体である。より詳細には、第1コイル導体部材61は、第1軸方向(第1方向D1)からの平面視で第1軸の周りに巻かれた形状に設けられている。第2コイル導体部材62は、第2軸方向(第1方向D1)からの平面視で第2軸の周りに巻かれた形状に設けられている。
このような第1コイル導体部材61では、コイル導体6の最内周とコイル導体6の最外周との間において、導体線幅は、全ての位置で同じではない。第2コイル導体部材62でも、第1コイル導体部材61と同様、コイル導体6の最内周とコイル導体6の最外周との間において、導体線幅は、全ての位置で同じではない。以下、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の導体線幅について、詳細を説明する。
まず、第1コイル導体部材61について説明する。第1コイル導体部材61は、図1A、図1B、図2、及び図3に示すように、第1コイル導体部64aと、第2コイル導体部65aと、第3コイル導体部66aとを備える。第1コイル導体部64aは、少なくとも1回(図示例では4回)巻かれた状態に設けられている。第2コイル導体部65aは、少なくとも1回(図示例では4回)巻かれた状態であり、第1コイル導体部64aに比べてコイル開口60から離れて設けられている。第3コイル導体部66aは、少なくとも1回(図示例では4回)巻かれた状態であり、第2コイル導体部65aに比べてコイル開口60から離れて設けられている。
第1コイル導体部材61において、第3コイル導体部66aの導体線幅W13は、第1コイル導体部64aの導体線幅W11よりも太く、かつ、第2コイル導体部65aの導体線幅W12よりも細い。つまり、第1コイル導体部材61において、内周部の導体線幅及び外周部の導体線幅に対して、中間部の導体線幅が太い。
ここで、第1コイル導体部64aの導体線幅W11とは、第1コイル導体部64aを構成する線状の導体のうち、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11上に位置する部分の幅をいう。例えば、第1コイル導体部64aの導体線幅W11は、第1コイル導体部64aを構成する線状の導体の第2方向D2における長さである。ここで、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11は、言い換えれば、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線ともいうことができる。また、第1軸の方向において、コイル開口60の重心と第1コイル導体部材61とが異なる位置にある場合、直線L11は、第1軸の方向からの平面視で、第1軸に直交し、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周を結ぶ直線とする。
なお、本実施形態では、上記の規定を満たす全て(任意)の直線L11上において、第1コイル導体部64aの導体線幅W11、第2コイル導体部65aの導体線幅W12、及び第3コイル導体部66aの導体線幅W13が上記の条件を満たしている。ただし、全ての直線L11上において、導体線幅W11,W12,W13が上記の条件を満たしていることには限定されず、特定の1本の直線L11上において、導体線幅W11,W12,W13が上記の条件を満たしていてもよい。
第1コイル導体部64aが第1軸の周りに円状に巻かれているような形状である場合、第1コイル導体部64aの導体線幅W11は、第1コイル導体部64aを構成する線状の導体において長手方向(円周方向)に直交する短手方向の長さをいう。この場合、第1コイル導体部64aを構成する線状の導体の長手方向が円周方向に沿っているから、上記導体の短手方向が半径方向となる。
また、第1コイル導体部64aが複数回巻かれているような形状である場合、第1コイル導体部64aの導体線幅W11とは、第1コイル導体部64aを構成する線状の導体のうち、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11上に位置する複数の部分の幅の平均値をいう。例えば、図1Aに示すように第1コイル導体部64aが4回巻かれているような形状である場合、つまり、第2方向D2において4か所の導体部分がある場合、第1コイル導体部64aの導体線幅W11は、上記4か所の導体部分の第2方向D2における長さの平均値である。
第2コイル導体部65aについても、第1コイル導体部64aと同様、第2コイル導体部65aの導体線幅W12とは、第2コイル導体部65aを構成する線状の導体のうち、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11上に位置する部分の幅をいう。例えば、第2コイル導体部65aの導体線幅W12は、第2コイル導体部65aを構成する線状の導体の第2方向D2における長さである。
第2コイル導体部65aが第1軸の周りに円状に巻かれているような形状である場合、第2コイル導体部65aの導体線幅W12は、第2コイル導体部65aを構成する線状の導体において長手方向(円周方向)に直交する短手方向の長さをいう。この場合、第2コイル導体部65aを構成する線状の導体の長手方向が円周方向に沿っているから、上記導体の短手方向が半径方向となる。
また、第2コイル導体部65aが複数回巻かれているような形状である場合、第2コイル導体部65aの導体線幅W12とは、第2コイル導体部65aを構成する線状の導体のうち、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11上に位置する複数の部分の幅の平均値をいう。例えば、第2コイル導体部65aが4回巻かれているような形状である場合、つまり、第2方向D2において4か所の導体部分がある場合、第2コイル導体部65aの導体線幅W12は、上記4か所の導体部分の第2方向D2における長さの平均値である。
第3コイル導体部66aについても、第1コイル導体部64a及び第2コイル導体部65aと同様、第3コイル導体部66aの導体線幅W13とは、第3コイル導体部66aを構成する線状の導体のうち、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11上に位置する部分の幅をいう。例えば、第3コイル導体部66aの導体線幅W13は、第3コイル導体部66aを構成する線状の導体の第2方向D2における長さである。
第3コイル導体部66aが第1軸の周りに円状に巻かれているような形状である場合、第3コイル導体部66aの導体線幅W13は、第3コイル導体部66aを構成する線状の導体において長手方向(円周方向)に直交する短手方向の長さをいう。この場合、第3コイル導体部66aを構成する線状の導体の長手方向が円周方向に沿っているから、上記導体の短手方向が半径方向となる。
また、第3コイル導体部66aが複数回巻かれているような形状である場合、第3コイル導体部66aの導体線幅W13とは、第3コイル導体部66aを構成する線状の導体のうち、第1コイル導体部材61の第1軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L11上に位置する複数の部分の幅の平均値をいう。例えば、第3コイル導体部66aが4回巻かれているような形状である場合、つまり、第2方向D2において4か所の導体部分がある場合、第3コイル導体部66aの導体線幅W13は、上記4か所の導体部分の第2方向D2における長さの平均値である。
図1Aに示す例の場合、第1コイル導体部材61は、12回巻かれた状態に設けられている。第1コイル導体部材61における1ターン目から12ターン目までの導体線幅w1〜w12の関係は、図4に示すとおりである。図4の横軸は、第1コイル導体部材61を構成する線状の導体部分における各部分の位置を、ターン番号として表わしている。例えば、図4の横軸の「1」は、1ターン目の導体部分を表し、横軸の「12」は、12ターン目の導体部分を表す。コイル導体6の最内周側から順に、1ターン目、2ターン目と規定し、コイル導体6の最外周が12ターン目となる。
図4に示す例では、第1コイル導体部64aでは、1ターン目から4ターン目までの導体線幅w1〜w4は0.5mmである。したがって、第1コイル導体部64aの導体線幅W11は0.5mmである。第2コイル導体部65aでは、5ターン目及び8ターン目の導体線幅w5,w8は1.6mmであり、6ターン目及び7ターン目の導体線幅w6,w7は1.7mmである。第2コイル導体部65aの導体線幅W12は、5ターン目から8ターン目までの導体線幅w5〜w8の平均値であるから、1.65mmである。第3コイル導体部66aでは、9ターン目の導体線幅w9は1.0mmであり、10ターン目の導体線幅w10は0.9mmであり、11ターン目の導体線幅w11は0.8mmであり、12ターン目の導体線幅w12は0.7mmである。第3コイル導体部66aの導体線幅W13は、9ターン目から12ターン目までの導体線幅w9〜w12の平均値であるから、0.85mmである。
次に、第2コイル導体部材62について説明する。第2コイル導体部材62は、図1A、図1B、及び図3に示すように、第1コイル導体部64bと、第2コイル導体部65bと、第3コイル導体部66bとを備える。第1コイル導体部64bは、少なくとも1回(図示例では4回)巻かれた状態に設けられている。第2コイル導体部65bは、少なくとも1回(図示例では4回)巻かれた状態であり、第1コイル導体部64bに比べてコイル開口60から離れて設けられている。第3コイル導体部66bは、少なくとも1回(図示例では4回)巻かれた状態であり、第2コイル導体部65bに比べてコイル開口60から離れて設けられている。
第2コイル導体部材62においても、第1コイル導体部材61と同様、第3コイル導体部66bの導体線幅W23は、第1コイル導体部64bの導体線幅W21よりも太く、かつ、第2コイル導体部65bの導体線幅W22よりも細い。
ここで、第2コイル導体部材62についても、第1コイル導体部材61と同様、第1コイル導体部64bの導体線幅W21とは、第1コイル導体部64bを構成する線状の導体のうち、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12上に位置する部分の幅をいう。例えば、第1コイル導体部64bの導体線幅W21は、第1コイル導体部64bを構成する線状の導体の第2方向D2における長さである。ここで、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12は、言い換えれば、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線ともいうことができる。また、第2軸の方向において、コイル開口60の重心と第2コイル導体部材62とが異なる位置にある場合、直線L12は、第2軸の方向からの平面視で、第2軸に直交し、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周を結ぶ直線とする。
なお、本実施形態では、上記の規定を満たす全て(任意)の直線L12上において、第1コイル導体部64bの導体線幅W21、第2コイル導体部65bの導体線幅W22、及び第3コイル導体部66bの導体線幅W23が上記の条件を満たしている。ただし、全ての直線L12上において、導体線幅W21,W22,W23が上記の条件を満たしていることには限定されず、特定の1本の直線L12上において、導体線幅W21,W22,W23が上記の条件を満たしていてもよい。
第1コイル導体部64bが第2軸の周りに円状に巻かれているような形状である場合、第1コイル導体部64bの導体線幅W21は、第1コイル導体部64bを構成する線状の導体において長手方向(円周方向)に直交する短手方向の長さをいう。この場合、第1コイル導体部64bを構成する線状の導体の長手方向が円周方向に沿っているから、上記導体の短手方向が半径方向となる。
また、第1コイル導体部64bが複数回巻かれているような形状である場合、第1コイル導体部64bの導体線幅W21とは、第1コイル導体部64bを構成する線状の導体のうち、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12上に位置する複数の部分の幅の平均値をいう。例えば、第1コイル導体部64bが4回巻かれているような形状である場合、つまり、第2方向D2において4か所の導体部分がある場合、第1コイル導体部64bの導体線幅W21は、上記4か所の導体部分の第2方向D2における長さの平均値である。
第2コイル導体部65bについても、第1コイル導体部64bと同様、第2コイル導体部65bの導体線幅W22とは、第2コイル導体部65bを構成する線状の導体のうち、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12上に位置する複数の部分の幅をいう。例えば、第2コイル導体部65bの導体線幅W22は、第2コイル導体部65bを構成する線状の導体の第2方向D2における長さである。
第2コイル導体部65bが第2軸の周りに円状に巻かれているような形状である場合、第2コイル導体部65bの導体線幅W22は、第2コイル導体部65bを構成する線状の導体において長手方向(円周方向)に直交する短手方向の長さをいう。この場合、第2コイル導体部65bを構成する線状の導体の長手方向が円周方向に沿っているから、上記導体の短手方向が半径方向となる。
また、第2コイル導体部65bが複数回巻かれているような形状である場合、第2コイル導体部65bの導体線幅W22とは、第2コイル導体部65bを構成する線状の導体のうち、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12上に位置する複数の部分の幅の平均値をいう。例えば、第2コイル導体部65bが4回巻かれているような形状である場合、つまり、第2方向D2において4か所の導体部分がある場合、第2コイル導体部65bの導体線幅W22は、上記4か所の導体部分の第2方向D2における長さの平均値である。
第3コイル導体部66bについても、第1コイル導体部64b及び第2コイル導体部65bと同様、第3コイル導体部66bの導体線幅W23とは、第3コイル導体部66bを構成する線状の導体のうち、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12上に位置する部分の幅をいう。例えば、第3コイル導体部66bの導体線幅W23は、第3コイル導体部66bを構成する線状の導体の第2方向D2における長さである。
第3コイル導体部66bが第2軸の周りに円状に巻かれているような形状である場合、第3コイル導体部66bの導体線幅W23は、第3コイル導体部66bを構成する線状の導体において長手方向(円周方向)に直交する短手方向の長さをいう。この場合、第3コイル導体部66bを構成する線状の導体の長手方向が円周方向に沿っているから、上記導体の短手方向が半径方向となる。
また、第3コイル導体部66bが複数回巻かれているような形状である場合、第3コイル導体部66bの導体線幅W23とは、第3コイル導体部66bを構成する線状の導体のうち、第2コイル導体部材62の第2軸に直交しコイル開口60の重心を通る直線L12上に位置する複数の部分の幅の平均値をいう。例えば、第3コイル導体部66bが4回巻かれているような形状である場合、つまり、第2方向D2において4か所の導体部分がある場合、第3コイル導体部66bの導体線幅W23は、上記4か所の導体部分の第2方向D2における長さの平均値である。
図1Aに示す例の場合、第1コイル導体部材61と同様、第2コイル導体部材62は12回巻かれた状態に設けられている。第2コイル導体部材62における1ターン目から12ターン目までの導体線幅w1〜w12の関係は、第1コイル導体部材61と同様であり、図4に示すとおりである。
図4に示す例では、第1コイル導体部64bでは、1ターン目から4ターン目までの導体線幅w1〜w4は0.5mmである。したがって、第1コイル導体部64bの導体線幅W21は0.5mmである。第2コイル導体部65bでは、5ターン目及び8ターン目の導体線幅w5,w8は1.6mmであり、6ターン目及び7ターン目の導体線幅w6,w7は1.7mmである。第2コイル導体部65bの導体線幅W22は、5ターン目から8ターン目までの導体線幅w5〜w8の平均値であるから、1.65mmである。第3コイル導体部66bでは、9ターン目の導体線幅w9は1.0mmであり、10ターン目の導体線幅w10は0.9mmであり、11ターン目の導体線幅w11は0.8mmであり、12ターン目の導体線幅w12は0.7mmである。第3コイル導体部66bの導体線幅W23は、9ターン目から12ターン目までの導体線幅w9〜w12の平均値であるから、0.85mmである。
上記のような導体線幅の関係を有するコイル導体6の周囲には、図6に示すような磁束が発生する。図6の矢印は、磁束を表す。
まず、コイル導体6の内周側に位置する第1コイル導体部64a,64bでは、第1コイル導体部64aの導体線幅W11が第2コイル導体部65aの導体線幅W12よりも細く、かつ、第1コイル導体部64bの導体線幅W21が第2コイル導体部65bの導体線幅W22よりも細い。このため、第1コイル導体部64a,64bでは、第2コイル導体部65a,65bに比べて、第1方向D1の磁束が強い。第1コイル導体部64a,64bでは、第2コイル導体部65a,65bに比べて、電流密度が高いから、導体の周りの磁束密度も大きい。
同様に、コイル導体6の外周側に位置する第3コイル導体部66a,66bでも、第3コイル導体部66aの導体線幅W13が第2コイル導体部65aの導体線幅W12よりも細く、かつ、第3コイル導体部66bの導体線幅W23が第2コイル導体部65bの導体線幅W22よりも細い。このため、第3コイル導体部66a,66bでも、第2コイル導体部65a,65bに比べて、第1方向D1の磁束が強い。第3コイル導体部66a,66bでは、第2コイル導体部65a,65bに比べて、電流密度が高いから、導体の周りの磁束密度も大きい。
また、導体線幅W11,W21及び導体線幅W13,W23を細くすることにより、第1コイル導体部64a,64b及び第3コイル導体部66a,66bにおいて、磁束が鎖交する面積を小さくすることができる。これにより、第1コイル導体部64a,64b及び第3コイル導体部66a,66bに発生する渦電流を低減させることができる。
一方、第1コイル導体部64aと第3コイル導体部66aとの間に位置する第2コイル導体部65aでは、第2コイル導体部65aの導体線幅W12が第1コイル導体部64aの導体線幅W11及び第3コイル導体部66aの導体線幅W13よりも太い。また、第1コイル導体部64bと第3コイル導体部66bとの間に位置する第2コイル導体部65bでは、第2コイル導体部65bの導体線幅W22が第1コイル導体部64bの導体線幅W21及び第3コイル導体部66bの導体線幅W23よりも太い。このため、第1コイル導体部64a,64b及び第3コイル導体部66a,66bに比べて、第2方向D2の磁束が強い。第2コイル導体部65a,65bでは、導体部分に遮られるため、第1方向D1の磁束が少ない。
上記のような導体線幅W11〜W13,W21〜W23の関係を有するコイル導体6は、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体6の抵抗を小さくすることができる。これにより、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合の強さを表す結合度kの大きさを保ちつつ、コイルアンテナ2のQ値(=2πfL/R)を大きくすることができる(L:コイル導体6のインダクタンス、R:コイル導体6の抵抗、f:周波数)。その結果、本実施形態に係るコイルアンテナ2では、コイルアンテナ2の性能を表す指標であるkQ積を向上させることができる。kQ積が大きいほど送電効率が向上する。
例えば、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21が0.5mmであり、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22が1.65mmであり、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23が0.85mmである場合、全ての導体線幅が1.0mmと一定であるコイル導体に比べて、結合度kを略一定に保ちつつ、Q値を大きくすることができる。その結果、kQ積を20%程度大きくすることができる。
ところで、コイル導体6の第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62において、第1コイル導体部64a,64b、第2コイル導体部65a,65b、及び第3コイル導体部66a,66bにおける全ての線間幅δ1は、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22、及び第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23よりも細い。例えば、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21が0.5mm、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22が1.65mm、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23が0.85mmであるのに対し、線間幅δ1は、全て0.15mmである。
上記より、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の各々において、線間幅δ1が導体線幅W11〜W13,W21〜W23よりも細いので、線間を通る磁束を低減させることができる。
ところで、本実施形態のコイル導体6では、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の各々において、第1コイル導体部64a,64bは、上述したように、複数回巻かれた状態に設けられている。そして、第1コイル導体部64a,64bにおいて、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L11,L12上に位置する複数の導体部分の導体線幅w1〜w4は、コイル開口60の重心からの距離に関係なく一定である(図4参照)。上記より、第1コイル導体部64a,64bを容易に作成することができる。
一方、本実施形態のコイル導体6では、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の各々において、第3コイル導体部66a,66bは、上述したように、複数回巻かれた状態に設けられている。そして、第3コイル導体部66a,66bにおいて、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L11,L12上に位置する複数の導体部分の導体線幅w9〜w12は、コイル開口60の重心から離れるほど細くなる(図4参照)。上述したように、導体線幅が細いほど第1方向D1の磁束が強くなり、導体線幅が太いほど第2方向D2の磁束が強くなる。上記より、コイル導体6の外周側における磁束の方向を水平方向から垂直方向へ容易に変えることができ、図6に示すような、磁束のループC1を形成しやすくなる。
また、本実施形態のコイル導体6では、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の各々において、第2コイル導体部65a,65bは、上述したように、複数回巻かれた状態に設けられている。そして、第2コイル導体部65a,65bにおいて、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L11;L12上に位置する複数の導体部分の導体線幅w5〜w8は、第2コイル導体部65a,65bの中央に近づくほど太くなる(図4参照)。例えば、5ターン目の導体線幅w5及び8ターン目の導体線幅w8が1.6mmであるのに対し、6ターン目の導体線幅w6及び7ターン目の導体線幅w7は1.7mmである。
ところで、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の各々において、第1コイル導体部64a,64bの2つの領域幅A3の各々は、相手側アンテナ9におけるコイル導体91のコイル開口92の開口幅A2とコイル開口60の開口幅A1との差の2分の1以下である。相手側アンテナ9が送電側アンテナであり、本実施形態に係るコイルアンテナ2が受電側アンテナである場合、コイル導体91の最内周付近の磁束密度が最も高い。上記より、相手側アンテナ9からの磁束が最大となる部分に、導体線幅の細い第1コイル導体部64a,64bを位置させることができる。なお、コイル導体6のコイル開口60及びコイル導体91のコイル開口92は、用途又は規格に応じて異なる。例えばQiの規格に基づいてワイヤレス給電のために用いられる場合、コイル開口60の直径は16.5mmであり、コイル開口92の直径は20mmである。
(2.2.4)コイル導体の線間数
コイル導体6の第1コイル導体部材61は、図7に示すように、4回以上(図示例では12回)巻かれた状態に設けられている。
図7に示すように、第1コイル導体部材61は、第1領域B11、第2領域B12、及び第3領域B13を有する。第1領域B11、第2領域B12、及び第3領域B13は、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L11上において、第1コイル導体部材61の最内周と第1コイル導体部材61の最外周との間の長さを3等分して得られる。
第1領域B11は、第2領域B12に比べてコイル開口60に近接する。第2領域B12は、第3領域B13に比べてコイル開口60に近接する。第3領域B13は、第1領域B11及び第2領域B12に比べて外周側に位置する。
第1領域B11は、第1コイル導体部材61を構成する線状の導体のうち、3回以上巻かれた状態の導体部分である。つまり、第1領域B11内には、2つ以上の線間が存在する。第3領域B13は、第1コイル導体部材61を構成する線状の導体のうち、2回以上巻かれた状態の導体部分である。つまり、第3領域B13には、1つ以上の線間が存在する。これに対して、第2領域B12は、第1コイル導体部材61を構成する線状の導体のうち、1回以上巻かれた状態の導体部分である。つまり、第2領域B12が1回巻かれた状態の導体部分である場合、第2領域B12内には、線間が存在しない。一方、第2領域B12が2回以上巻かれた状態の導体部分である場合、第2領域B12内には、1つ以上の線間が存在する。
上記のような第1コイル導体部材61において、第3領域B13内の直線L11上における線間数は、第1領域B11内の直線L11上における線間数よりも少なく、かつ、第2領域B12内の直線L11上における線間数よりも多い。図7の例では、第1領域B11内の線間数は5つであり、第2領域B12内の線間数は2つであり、第3領域B13内の線間数は4つである。他の例としては、第1コイル導体部材61が4回巻かれた状態に設けられている場合がある。第1コイル導体部材61全体における線間数の総数は3つである。この場合、第1領域B11内の線間数は2つであり、第2領域B12内の線間数は0であり、第3領域B13内の線間数は1つである。
第1領域B11、第2領域B12、及び第3領域B13は3等分して得られた領域であるから、第1領域B11と第2領域B12と第3領域B13との直線L11上における長さは同一である。したがって、線間数が多いほど、領域内に含まれる導体部分の導体線幅は細くなり、線間数が少ないほど、領域内に含まれる導体の導体線幅は太くなる。なお、線間幅δ1は一定である。
第2コイル導体部材62も、第1コイル導体部材61と同様、3回以上(図示例では12回)巻かれた状態に設けられている。
第2コイル導体部材62は、第1領域B21、第2領域B22、及び第3領域B23を有する。第1領域B21、第2領域B22、及び第3領域B23は、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L12上において、第2コイル導体部材62の最内周と第2コイル導体部材62の最外周との間の距離を3等分して得られる。
第1領域B21は、第2領域B22に比べてコイル開口60に近接する。第2領域B22は、第3領域B23に比べてコイル開口60に近接する。第3領域B23は、第1領域B21及び第2領域B22に比べて外周側に位置する。
第1領域B21は、第2コイル導体部材62を構成する線状の導体のうち、3回以上巻かれた状態の導体部分である。つまり、第1領域B21内には、2つ以上の線間が存在する。第3領域B23は、第2コイル導体部材62を構成する線状の導体のうち、2回以上巻かれた状態の導体部分である。つまり、第3領域B23には、1つ以上の線間が存在する。これに対して、第2領域B22は、第2コイル導体部材62を構成する線状の導体のうち、1回以上巻かれた状態の導体部分である。つまり、第2領域B22が1回巻かれた状態の導体部分である場合、第2領域B22内には、線間が存在しない。一方、第2領域B22が2回以上巻かれた状態の導体部分である場合、第2領域B22内には、1つ以上の線間が存在する。
上記のような第2コイル導体部材62において、第3領域B23内の直線L12上における線間数は、第1領域B21内の直線L12上における線間数よりも少なく、かつ、第2領域B22内の直線L12上における線間数よりも多い。図7の例では、第1領域B21内の線間数は5つであり、第2領域B22内の線間数は2つであり、第3領域B23内の線間数は4つである。他の例としては、第2コイル導体部材62が4回巻かれた状態に設けられている場合がある。第2コイル導体部材62全体における線間数の総数は3つである。この場合、第1領域B21内の線間数は2つであり、第2領域B22内の線間数は0であり、第3領域B23内の線間数は1つである。
第1領域B21、第2領域B22、及び第3領域B23は3等分して得られた領域であるから、第1領域B21と第2領域B22と第3領域B23との直線L12上における長さは同一である。したがって、線間数が多いほど、領域内に含まれる導体部分の導体線幅は細くなり、線間数が少ないほど、領域内に含まれる導体の導体線幅は太くなる。なお、第2コイル導体部材62においても、線間幅δ1は一定である。
上記のような導体線幅の関係を有するコイル導体6の周囲には、図6に示すような磁束が発生する。
コイル導体6の内周側に位置する第1領域B11,B21の導体線幅の平均値は、第2領域B12,B22の導体線幅の平均値よりも細いため、第1領域B11,B21では、第2領域B12,B22に比べて、第1方向D1の磁束が強くなる。第1領域B11,B21では、電流密度が高いから、導体の周りの磁束密度も大きくなる。同様に、コイル導体6の外周側に位置する第3領域B13,B23の導体線幅の平均値も、第2領域B12,B22の導体線幅の平均値よりも細いため、第3領域B13,B23では、第2領域B12,B22に比べて、第1方向D1の磁束が強くなる。第3領域B13,B23では、電流密度が高いから、導体の周りの磁束密度も大きくなる。
一方、第1領域B11,B21と第3領域B13,B23との間に位置する第2領域B12,B22の導体線幅は、第1領域B11,B21の導体線幅及び第3領域B13,B23の導体線幅よりも太いため、第2領域B12,B22では、第1領域B11,B21及び第3領域B13,B23に比べて、第2方向D2の磁束が強くなる。第2領域B12,B22では、導体部分に遮られるため、第1方向D1の磁束が少ない。これにより、コイル導体6の最外周における磁束の方向を水平方向から垂直方向へ容易に変えることができ、図6に示すような、磁束のループC1が形成される。
上記のような導体線幅の関係を有するコイル導体6は、上述したように、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体6の抵抗を小さくすることができる。これにより、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合度kの大きさを保ちつつ、コイルアンテナ2のQ値を大きくすることができる。その結果、本実施形態に係るコイルアンテナ2では、コイルアンテナ2の性能を表す指標であるkQ積を向上させることができる。
(2.2.5)接続端子
2つの接続端子21は、図2に示すように、制御部81(図8参照)などの外部回路とコイル導体6とを電気的に接続するために、基材5に形成されている。2つの接続端子21は、コイル導体6の両端に接続されており、コイル導体6の両端以外と電気的に絶縁するように形成されている。
(2.2.6)第1保護層
第1保護層41は、図1Aに示すように、基材5の第1主面51に設けられた第1コイル導体部材61を覆い、外力などから第1コイル導体部材61を保護する。第1保護層41は、樹脂などの電気絶縁材料により板状又はシート状に形成されている。第1方向D1からの平面視において、第1保護層41の平面形状は、基材5と略同じ形状である。第1保護層41は、図示しない接着層を介して基材5の第1主面51に貼付されている。
(2.2.7)第2保護層
第2保護層42は、図1Aに示すように、基材5の第2主面52に設けられた第2コイル導体部材62を覆い、外力などから第2コイル導体部材62を保護する。第2保護層42は、第1保護層41と同様、樹脂などの電気絶縁材料により板状又はシート状に形成されている。第1方向D1からの平面視において、第2保護層42の平面形状は、基材5と略同じ形状である。第2保護層42は、図示しない接着層を介して基材5の第2主面52に貼付されている。
(2.2.8)磁性体
磁性体7は、図1A及び図3に示すように、第1方向D1において第2コイル導体部材62と平面導体3との間に設けられている。磁性体7は、フェライトなどの強磁性材料により四角形の板状又は四角形のシート状に形成されている。磁性体7は、第1主面71と、第2主面72とを有する。磁性体7は、平面導体3、基材5、第1保護層41及び第2保護層42よりも高い透磁率を有する。磁性体7に用いられる強磁性材料としては、例えばNi−Zn−Cu系フェライト又は六方晶系フェライトがある。なお、本実施形態においては、平面導体3の第1主面31、平面導体3の第2主面32、磁性体7の第1主面71、及び磁性体7の第2主面72は、互いに平行である。また、磁性体7の第1主面71及び磁性体7の第2主面72は互いに対面し、磁性体7の第1主面71の法線方向及び磁性体7の第2主面72の法線方向は第1方向D1と一致するか、実質的に一致する。
磁性体7は、第1コイル導体部材61に比べて第2コイル導体部材62に近接する。すなわち、第1コイル導体部材61は、第1方向D1において、磁性体7側ではなく、磁性体7とは反対側に位置し、第2コイル導体部材62は、第1方向D1において、磁性体7側に位置する。磁性体7の第1主面71は、第1方向D1において第2コイル導体部材62と対面し、磁性体7の第2主面72は、第1方向D1において平面導体3の第1主面31と対面する。
(3)アンテナ装置の動作
次に、本実施形態に係るアンテナ装置1を備える電子機器8(図8参照)のワイヤレス給電におけるアンテナ装置1の動作について、図1A及び図2を参照して説明する。
まず、アンテナ装置1の第1コイル導体部材61の第1軸に沿った第1方向D1において電子機器8と外部機器(図示せず)とが対向するように、電子機器8と外部機器とを近づける。より詳細には、第1方向D1に外部機器の相手側アンテナ9(図5参照)のコイル導体91(図5参照)の巻回軸が沿うように、電子機器8と外部機器とを近づける。その後、外部機器のコイル導体91に流れる電流により、外部機器の相手側アンテナ9の周囲には、磁束が発生する。そして、外部機器から放射される磁束が電子機器8のコイル導体6を鎖交することにより、電子機器8のコイル導体6には、コイル導体6を鎖交した磁束の変化に応じた大きさの起電力が発生して誘導電流が流れる。これにより、外部機器から電子機器8を給電することができる。
(4)効果
以上説明したように、本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23は、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21よりも太く、かつ、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22よりも細い。これにより、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体6の抵抗を小さくすることでき、その結果、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合度を保ちつつ、コイルアンテナ2のQ値を向上させることができる。
また、コイル導体6では、一般的に、外周部に位置するほど線長が伸びるため、内周部と外周部とで導体線幅が一定である場合、外周部のほうが内周部よりも抵抗が大きい。そこで、本実施形態に係るコイルアンテナ2では、外周部である第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23が、内周部である第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21よりも太い。これにより、内周部である第1コイル導体部64a,64bに対する外周部である第3コイル導体部66a,66bの抵抗の増加率を抑制することができる。特にワイヤレス充電の場合、コイル導体6の抵抗を低減させることが望ましい。
本実施形態に係るコイルアンテナ2によれば、最も細い導体線幅W11,W21よりも線間幅δ1が細いので、線間を通る磁束を低減させることができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第1コイル導体部64a,64bが複数回巻かれた状態に設けられている。これにより、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合度を更に高めることができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第1コイル導体部64a,64bにおける複数の導体部分の導体線幅w1〜w4がコイル開口60の重心からの距離に関係なく一定である。これにより、第1コイル導体部64a,64bを容易に作成することができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第3コイル導体部66a,66bが複数回巻かれた状態に設けられている。これにより、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合度を更に高めることができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第3コイル導体部66a,66bにおける複数の導体部分の導体線幅w9〜w12がコイル開口60の重心から離れるほど細くなる。これにより、コイル導体6の最外周における磁束の方向を水平方向から垂直方向へ容易に変えることができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第2コイル導体部65a,65bが複数回巻かれた状態に設けられている。これにより、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合度を更に高めることができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2によれば、相手側アンテナ9からの磁束が大きい部分に第1コイル導体部64a,64bを位置させることができる。
本実施形態に係るコイルアンテナ2では、第3領域B13,B23内の線間数は、第1領域B11,B21内の線間数よりも少なく、かつ、第2領域B12,B22内の線間数よりも多い。これにより、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体6の抵抗を小さくすることができる。その結果、コイルアンテナ2と相手側アンテナ9との結合度を保ちつつ、コイルアンテナ2のQ値を向上させることができる。
(5)変形例
以下、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態の第1変形例として、図9Aに示すように、第3コイル導体部66a,66bにおいて、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L11,L12上に位置する複数の導体部分の導体線幅w9〜w12は、コイル開口60の重心からの距離に関係なく一定であってもよい。
第1変形例に係るコイルアンテナ2では、第3コイル導体部66a,66bにおける複数の導体部分の導体線幅w9〜w12がコイル開口60の重心からの距離に関係なく一定である。これにおり、第3コイル導体部66a,66bを容易に作成することができる。
また、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅w5〜w8も、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅w9〜w12と同様、コイル開口60の重心からの距離に関係なく一定であってもよい。
第1変形例では、第1コイル導体部64a,64b、第2コイル導体部65a,65b、及び第3コイル導体部66a,66bの各々において、コイル開口60の重心からの距離に関係なく導体線幅w1〜w12が一定である。ただし、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21(導体線幅w1〜w4の平均値)と第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22(導体線幅w5〜w8の平均値)と第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23(導体線幅w9〜w12の平均値)はそれぞれ異なっている。第1変形例においても、実施形態1と同様、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23は、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W12よりも太く、かつ、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22よりも細い。
次に、本実施形態の第2変形例として、図9Bに示すように、第1コイル導体部64a,64bの各々において、コイル開口60の重心とコイル導体6の最外周とを結ぶ直線L11,L12上に位置する複数の導体部分の導体線幅w1〜w4は、コイル開口60の重心から離れるほど太くなってもよい。ただし、第2変形例においても、実施形態1と同様、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23は、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W12よりも太く、かつ、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22よりも細い。
一般的に、導体線幅が細いほど第1方向D1の磁束が強くなり、導体線幅が太いほど第2方向D2の磁束が強くなる。したがって、第2変形例に係るコイルアンテナ2では、第1コイル導体部64a,64bにおける複数の導体部分の導体線幅w1〜w4がコイル開口60の重心から離れるほど太くなる。これにより、コイル導体6の最内周における磁束の向きを垂直方向から水平方向に徐々に変え、図6で示すループC1のような磁束のループを形成することができる。
さらに、本実施形態の第3変形例として、図9Cに示すように、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の各々について、導体線幅w1〜w12が徐々に変化していってもよい。より詳細には、1ターン目から6ターン目までは導体線幅w1〜w6が徐々に太くなっていき、7ターン目から12ターン目までは導体線幅w7〜w12が徐々に細くなっていく。第3変形例においても、1ターン目から4ターン目までを第1コイル導体部64a,64bとし、5ターン目から8ターン目までを第2コイル導体部65a,65bとし、9ターン目から12ターン目までを第3コイル導体部66a,66bとすることができる。第3変形例においても、実施形態1と同様、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23は、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21よりも太く、かつ、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22よりも細い。
また、本実施形態の第4変形例として、図9Dに示すように、コイル導体6が3回しか巻かれていない状態に設けられており、第1コイル導体部64a,64b、第2コイル導体部65a,65b、及び第3コイル導体部66a,66bがそれぞれ1回しか巻かれていない状態に設けられていてもよい。この場合、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21は、1ターン目の導体線幅w1であり、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22は、2ターン目の導体線幅w2であり、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23は、3ターン目の導体線幅w3であり。第4変形例においても、実施形態1と同様、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23は、第1コイル導体部64aの導体線幅W11,W21よりも太く、かつ、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22よりも細い。
本実施形態の第5変形例に係るアンテナ装置1aでは、図10に示すように、コイルアンテナ2aのコイル導体6aは、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の2層構造には限定されず、1層構造であってもよい。つまり、第5変形例に係るコイルアンテナ2aのコイル導体6aは、実施形態1に係るコイルアンテナ2における第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62のうちいずれか一方しか備えていない。
コイルアンテナ2aは、基材5と、コイル導体6aと、磁性体7と、保護層43とを備える。コイル導体6aは、第1コイル導体部67と、第2コイル導体部68と、第3コイル導体部69とを備える。コイル導体6aは、コイル開口60aを有する。
第5変形例においても、実施形態1と同様、コイル開口60aの重心とコイル導体6aの最外周とを結ぶ直線L2上において、第3コイル導体部69の導体線幅W33は、第1コイル導体部67の導体線幅W31よりも太く、かつ、第2コイル導体部68の導体線幅W32よりも細い。
また、コイルアンテナ2のコイル導体6が2層構造である場合、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の両方において、第3コイル導体部66a,66bの導体線幅W13,W23が、第1コイル導体部64a,64bの導体線幅W11,W21よりも太く、かつ、第2コイル導体部65a,65bの導体線幅W12,W22よりも細いという条件を満たしていることには限定されない。第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62のいずれか一方において、上記条件を満たしていてもよい。要するに、コイル導体6が2層構造である場合、第1コイル導体部材61及び第2コイル導体部材62の少なくとも一方において、上記条件を満たしていればよい。
一方、コイルアンテナ2のコイル導体6は、3層以上の構造であってもよい。コイル導体6が3層以上の構造であっても、3つ以上のコイル導体部材の全てにおいて、第3コイル導体部の導体線幅が、第1コイル導体部の導体線幅よりも太く、かつ、第2コイル導体部の導体線幅よりも細いという条件を満たしている。あるいは、3つ以上のコイル導体部材のうちの1つ又は2つにおいて、上記条件を満たしていてもよい。要するに、コイル導体6が3層以上の構造である場合、3つ以上のコイル導体部材の少なくとも1つにおいて、上記条件を満たしていればよい。
また、コイル導体6が複数層構造(2層構造を含む)である場合、コイル導体部材ごとに、上記条件を満たしていればよい。
また、本実施形態の変形例として、コイルアンテナ2は、磁性体7を備えなくてもよい。つまり、磁性体7は必須の構成ではない。
アンテナ装置1の用途は、ワイヤレス給電(ワイヤレス充電を含む)には限定されない。アンテナ装置1は、NFC(Near Field Communication)のような近距離無線通信のために用いられてもよい。
アンテナ装置1は、複数のコイルアンテナを備えてもよい。つまり、アンテナ装置1は、いわゆるコンボアンテナを備えてもよい。複数のコイルアンテナとしては、例えば、異なる規格の給電方式のアンテナがある。具体的には、アンテナ装置1は、複数のコイルアンテナとして、Qi用のアンテナとA4WP用のアンテナとの両方を備えてもよい。
また、アンテナ装置1が複数のコイルアンテナを備える場合、複数のコイルアンテナの全てが、第3コイル導体部の導体線幅が第1コイル導体部の導体線幅よりも太く、かつ、第2コイル導体部の導体線幅よりも細いという条件を満たしていてもよいし、複数のコイルアンテナのうちの一部のコイルアンテナが上記条件を満たしていてもよい。要するに、複数のコイルアンテナのうち少なくとも1つが上記条件を満たしていればよい。
平面導体3は、二次電池の金属ケースには限定されず、電子機器8(図8参照)の筐体の金属部分であってもよく、電子機器8内に搭載されているグランド基板やシールドボックス、又はディスプレイのバックメタル等の各種金属部材であってもよい。
また、本実施形態の変形例として、コイルアンテナ2は、平面導体3を備えなくてもよい。つまり、平面導体3は必須の構成ではない。
コイルアンテナ2の形状は、四角形状には限定されない。コイルアンテナ2は、第1方向D1からの平面視で、円状に形成されていてもよい。あるいは、コイルアンテナ2は、四角形以外の多角形状に形成されていてもよい。
さらに、第1コイル導体部材61のループ数(巻回数)は12回には限定されない。第1コイル導体部材61は、11回以下に巻かれた状態に設けられていてもよいし、13回以上巻かれた状態に設けられていてもよい。
同様に、第2コイル導体部材62のループ数(巻回数)も12回には限定されない。第2コイル導体部材62は、11回以下に巻かれた状態に設けられていてもよいし、13回以上巻かれた状態に設けられていてもよい。
また、コイルアンテナ2は、樹脂などの電気絶縁材料により形成されている基材5に代えて、例えば磁性材料により形成されている基材を備えてもよい。基材が磁性材料により形成されている場合においても、コイル導体6は、磁性材料の基材に直接形成される。また、基材が磁性材料で形成されている場合、基材と磁性体7とを兼用することができる。これにより、コイルアンテナ2の第1方向D1の厚みを低減させることができる。
上記の各変形例に係るアンテナ装置1においても、本実施形態に係るアンテナ装置1と同様の効果を奏する。
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の様々な実施形態及び変形例の一部に過ぎない。また、実施形態及び変形例は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(まとめ)
以上説明した実施形態から以下の態様が開示されていることが明らかである。
第1の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、コイル導体(6;6a)を備える。コイル導体(6;6a)は、巻回軸の周りに巻き回され、コイル開口(60;60a)を有する。コイル導体(6;6a)は、第1コイル導体部(64a;64b;67)と、第2コイル導体部(65a;65b;68)と、第3コイル導体部(66a;66b;69)とを備える。第1コイル導体部(64a;64b;67)は、少なくとも1回巻かれた状態に設けられている。第2コイル導体部(65a;65b;68)は、少なくとも1回巻かれた状態であり、第1コイル導体部(64a;64b;67)に比べてコイル開口(60;60a)から離れて設けられている。第3コイル導体部(66a;66b;69)は、少なくとも1回巻かれた状態であり、第2コイル導体部(65a;65b;68)に比べてコイル開口(60;60a)から離れて設けられている。第3コイル導体部(66a;66b;69)の導体線幅(W13;W23;W33)は、第1コイル導体部(64a;64b;67)の導体線幅(W11;W21;W31)よりも太く、かつ、第2コイル導体部(65a;65b;68)の導体線幅(W12;W22;W32)よりも細い。
第1の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第3コイル導体部(66a;66b;69)の導体線幅(W13;W23;W33)は、第1コイル導体部(64a;64b;67)の導体線幅(W11;W21;W31)よりも太く、かつ、第2コイル導体部(65a;65b;68)の導体線幅(W12;W22;W32)よりも細い。これにより、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体(6;6a)の抵抗を小さくすることでき、その結果、コイルアンテナ(2;2a)と相手側アンテナ(9)との結合度を保ちつつ、コイルアンテナ(2;2a)のQ値を向上させることができる。
第2の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1の態様において、第1コイル導体部(64a;64b;67)、第2コイル導体部(65a;65b;68)、及び第3コイル導体部(66a;66b;69)における複数の線間幅(δ1)は、それぞれ、第1コイル導体部(64a;64b;67)の導体線幅(W11;W21;W31)よりも細い。
第2の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)によれば、最も細い導体線幅(W11;W21;W31)よりも線間幅(δ1)が細いので、線間を通る磁束を低減させることができる。
第3の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1又は2の態様において、第1コイル導体部(64a;64b;67)は、複数回巻かれた状態に設けられている。
第3の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1コイル導体部(64a;64b;67)が複数回巻かれた状態に設けられている。これにより、コイルアンテナ(2;2a)と相手側アンテナ(9)との結合度を更に高めることができる。
第4の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、第3の態様を引用し、第1コイル導体部(64a;64b;67)において、コイル開口(60;60a)の重心とコイル導体(6;6a)の最外周とを結ぶ直線(L11;L12;L2)上に位置する複数の導体部分の導体線幅(w1〜w4)は、コイル開口(60;60a)の重心から離れるほど太くなる。
第4の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1コイル導体部(64a;64b;67)における複数の導体部分の導体線幅(w1〜w4)がコイル開口(60;60a)の重心から離れるほど太くなる。これにより、コイル導体(6;6a)の最内周における磁束の向きを垂直方向から水平方向に徐々に変えることができる。
第5の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、第3の態様を引用し、第1コイル導体部(64a;64b;67)において、コイル開口(60;60a)の重心とコイル導体(6;6a)の最外周とを結ぶ直線(L11;L12;L2)上に位置する複数の導体部分の導体線幅(w1〜w4)は、コイル開口(60;60a)の重心からの距離に関係なく一定である。
第5の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1コイル導体部(64a;64b;67)における複数の導体部分の導体線幅(w1〜w4)がコイル開口(60;60a)の重心からの距離に関係なく一定である。これにより、第1コイル導体部(64a;64b;67)を容易に作成することができる。
第6の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1〜5の態様のいずれか1つにおいて、第3コイル導体部(66a;66b;69)は、複数回巻かれた状態に設けられている。
第6の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第3コイル導体部(66a;66b;69)が複数回巻かれた状態に設けられている。これにより、コイルアンテナ(2;2a)と相手側アンテナ(9)との結合度を更に高めることができる。
第7の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、第6の態様を引用し、第3コイル導体部(66a;66b;69)において、コイル開口(60;60a)の重心とコイル導体(6;6a)の最外周とを結ぶ直線(L11;L12;L2)上に位置する複数の導体部分の導体線幅(w9〜w12)は、コイル開口(60;60a)の重心から離れるほど細くなる。
第7の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第3コイル導体部(66a;66b;69)における複数の導体部分の導体線幅(w9〜w12)がコイル開口(60;60a)の重心から離れるほど細くなる。これにより、コイル導体(6;6a)の最外周における磁束の方向を水平方向から垂直方向へ容易に変えることができる。
第8の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、第6の態様を引用し、第3コイル導体部(66a;66b;69)において、コイル開口(60;60a)の重心とコイル導体(6;6a)の最外周とを結ぶ直線(L11;L12;L2)上に位置する複数の導体部分の導体線幅(w9〜w12)は、コイル開口(60;60a)の重心からの距離に関係なく一定である。
第8の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第3コイル導体部(66a;66b;69)における複数の導体部分の導体線幅(w9〜w12)がコイル開口(60;60a)の重心からの距離に関係なく一定である。これにおり、第3コイル導体部(66a;66b;69)を容易に作成することができる。
第9の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第1〜8の態様のいずれか1つにおいて、第2コイル導体部(65a;65b;68)は、複数回巻かれた状態に設けられている。
第9の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第2コイル導体部(65a;65b;68)が複数回巻かれた状態に設けられている。これにより、コイルアンテナ(2;2a)と相手側アンテナ(9)との結合度を更に高めることができる。
第10の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第3〜9の態様のいずれか1つにおいて、第1コイル導体部(64a;64b;67)の領域幅(A3)は、相手側アンテナ(9)におけるコイル導体(91)のコイル開口(92)の開口幅(A2)とコイル開口(60;60a)の開口幅(A1)との差の2分の1以下である。
第10の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)によれば、相手側アンテナ(9)からの磁束が大きい部分に第1コイル導体部(64a;64b;67)を位置させることができる。
第11の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、コイル導体(6;6a)を備える。コイル導体(60;60a)は、巻回軸の周りに巻き回され、コイル開口(60;60a)を有する。コイル導体(6;6a)は、第1領域(B11;B21)、第2領域(B12;B22)、及び第3領域(B13;B23)を有する。第1領域(B11;B21)、第2領域(B12;B22)、及び第3領域(B13;B23)は、コイル開口(60;60a)の重心とコイル導体(6;6a)の最外周とを結ぶ直線(L11;L12;L2)上において、コイル導体(6;6a)の最内周とコイル導体(6;6a)の最外周との間の長さを3等分して得られる。第1領域(B11;B21)は、第2領域(B12;B22)に比べてコイル開口(60;60a)の重心に近接する。第2領域(B12;B22)は、第3領域(B13;B23)に比べてコイル開口(60;60a)の重心に近接する。第3領域(B13;B23)内の直線(L11;L12;L2)上における線間数は、第1領域(B11;B21)内の直線(L11;L12;L2)上における線間数よりも少なく、かつ、第2領域(B12;B22)内の直線(L11;L12;L2)上における線間数よりも多い。
第11の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)では、第3領域(B13;B23)内の線間数は、第1領域(B11;B21)内の線間数よりも少なく、かつ、第2領域(B12;B22)内の線間数よりも多い。これにより、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体(6;6a)の抵抗を小さくすることができる。その結果、コイルアンテナ(2;2a)と相手側アンテナ(9)との結合度を保ちつつ、コイルアンテナ(2;2a)のQ値を向上させることができる。
第12の態様に係るコイルアンテナ(2;2a)は、第1〜11の態様のいずれか1つにおいて、磁界結合によるワイヤレス給電に用いられる。
第13の態様に係る電子機器(8)は、第1〜12の態様のいずれか1つのコイルアンテナ(2;2a)と、制御部(81)とを備える。制御部(81)は、コイルアンテナ(2;2a)が受信又は送信する信号を制御する。
第13の態様に係る電子機器(8)によれば、導体線幅が一定であるコイル導体に比べて、コイル導体(6;6a)の抵抗を小さくすることができる。その結果、コイルアンテナ(2;2a)と相手側アンテナ(9)との結合度を保ちつつ、コイルアンテナ(2;2a)のQ値を向上させることができる。